説明

乗物を動作させるための方法、システム、および装置

【課題】乗物(102)を動作させるのに使用されるシステム(100)を提供すること。
【解決手段】システムは、乗物内のエンジン制御システム(204)に結合されるように構成され、かつ乗物の座標を決定するようにさらに構成されたトランスポンダ(202)と、トランスポンダと通信するように構成された中央制御装置(104)とを含む。中央制御装置は、トランスポンダにより決定された乗物の座標を含む位置メッセージをトランスポンダから受け取り、乗物の現在の移動経路を決定し、現在の経路に関係する地形データを受け取り、エンジン制御システムにより使用される望ましいエネルギー配分を計算し、かつエンジン制御システムが、望ましいエネルギー配分に基づいてエンジン機能を制御するように、望ましいエネルギー配分をトランスポンダに送信するようにさらに構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で述べる実施形態は、一般に、乗物に関し、より詳細には、ハイブリッド車に対してエネルギー消費量、排出ガスの低減、および/または音の低減を制御するのに使用される方法、システム、および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくともいくつかの知られたハイブリッド車は、テストサイクル中に収集された一般的な使用統計に基づいて、エネルギーの蓄積および/または消費量を変えるようにプログラムされた組込みロジックを含む制御システムを使用する。具体的には、少なくともいくつかの知られたハイブリッド車制御システムは、試験路で、乗物が動作する地域および/または国などで、広く使用される条件など一般化されたかつ/または広範囲な運転条件にわたってエネルギーの使用を最適化する組込みアルゴリズムを含む。しかし、知られたアルゴリズムは、エネルギーの使用を最適化するために、実時間の、またはほぼ実時間の位置および/または条件情報を使用していない。その結果、少なくともいくつかの知られたハイブリッド車では、通常の動作条件下で、試験路における動作中に観察されたものと同様の燃料効率が達成されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,392,871号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、乗物を動作させるための方法が提供される。本方法は、中央制御装置により、乗物に関係する位置データ、および乗物の現在の経路に関係する環境データを受け取ることを含む。本方法はまた、中央制御装置を用いて、位置データおよび環境データに基づいて望ましいエネルギー配分を計算すること、およびエンジン機能を制御するのに使用するために、望ましいエネルギー配分を乗物に送信することを含む。
【0005】
他の態様では、乗物を動作させるのに使用されるシステムが提供される。システムは、乗物内のエンジン制御システムに結合され、かつ乗物の座標を決定するように構成された通信トランスポンダを含む。システムはまた、通信トランスポンダと通信するように構成された中央制御装置を含み、プロセッサは、通信トランスポンダにより決定された乗物の座標を含む位置メッセージを、通信トランスポンダから受信するように構成される。中央制御装置はまた、乗物の現在の移動経路を決定し、現在の経路に関係する地形データを受け取り、エンジン制御システムにより使用される望ましいエネルギー配分を計算し、かつエンジン制御システムが、望ましいエネルギー配分に基づいて乗物のエンジン機能を制御するように、望ましいエネルギー配分を通信トランスポンダに送信するように構成される。
【0006】
他の態様では、乗物により望ましいエネルギー配分を決定するのに使用するための制御装置が提供される。制御装置は、乗物による少なくとも1つの以前の移動経路を記憶するように構成されたメモリと、メモリに結合されたプロセッサとを含む。プロセッサは、乗物から位置データを受け取り、位置データおよび以前の経路に基づいて現在の経路を決定し、環境データを受け取り、現在の経路および環境データに基づいて望ましいエネルギー配分を計算し、かつエンジン機能を制御するのに使用するために、望ましいエネルギー配分を乗物に送信するように構成される。
【0007】
本明細書で述べる諸実施形態は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより、よりよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】乗物におけるエネルギー消費量および/またはエネルギー生成を制御するために使用できる例示的なシステムの上位レベルの概略図である。
【図2】図1で示すシステムの例示的な電気的アーキテクチャの概略のブロック図である。
【図3】図1および2で示されたシステムを用いる乗物におけるエネルギー消費量を制御するための例示的な方法を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、実時間の、またはほぼ実時間の環境要因および運転要因に基づいて、ハイブリッド車、電動の乗物、および/または任意の他の適切な乗物などの乗物において、エネルギーを割り振ることを容易にする方法、システム、および装置の例示的な実施形態が述べられる。本発明に従ってエネルギー配分を最適化することは、運転者のために燃費を向上させることを容易にし、かつ/または運転パターンおよび挙動に関係する情報を得ることを可能にする。燃費を向上させることは、運転者による必要な燃料購入量を減少させることを容易にし、一方、運転パターンおよび挙動に関係する情報を取得することは、その後の乗物設計を改良することを容易にし、かつ/または使用量ベースの料金および/または挙動ベースの料金に基づいて保険料を下げることを容易にする。交通パターンを測定し、かつ/または最適化することができる。さらに、このような情報を取得することは、交通事故の緊急サービスを通知すること、盗難時に乗物の位置を特定すること、および/または燃費を向上させる運転速度、および/または低燃料警告時に給油所などに関する推奨を提供することを容易にする。
【0010】
本明細書で述べられる方法、システム、および装置の例示的な技術的効果は、(a)中央制御装置により、ハイブリッド車の緯度座標および/または経度座標、ならびに高度を含む、ハイブリッド車の位置に関係する位置的データを受け取ること、(b)燃料効率、平均速度、および/または平均加速度を含む、エネルギー使用データをハイブリッド車から受け取ること、(c)中央制御装置を用いて、メモリに記憶された位置データおよび/または以前の経路に基づいて、ハイブリッド車の現在の経路を決定すること、(d)中央制御装置により、天候データ、交通データ、および/または地形データを含む、ハイブリッド車の現在の経路に関係する環境データを受け取ること、(e)現在の、または予測される経路、高度、および/または環境データに基づいて、ハイブリッド車で使用される望ましいエネルギー配分を計算すること、(f)ハイブリッド車により、燃料効率および/または蓄積されたエネルギー量を最適化するために、望ましいエネルギー配分に基づいてエンジン機能を制御すること、のうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
図1は、ハイブリッド車102におけるエネルギー消費量および/またはエネルギー生成を制御するのに使用される例示的なシステム100の上位レベルの概略図である。例示的な実施形態では、システム100はまた、少なくとも1つの中央制御装置104、およびGPS(全地球測位システム)衛星などの複数の測位衛星106を含む。代替の実施形態では、システム100は、セルラ式ネットワークノードなどの複数の地上要素を含む。
【0012】
さらに、例示的な実施形態では、ハイブリッド車102は、トランスポンダに結合されたエンジン制御システムを含む(いずれも図1では示していない)。エンジン制御システムは、燃料駆動系およびハイブリッド駆動系(いずれも図示せず)を含む、ハイブリッド車102を推進するために使用される複数の駆動系の動作側面を監視し、かつ制御する。より具体的には、エンジン制御システムは、内部の動作要因および/または外部の動作要因により導入されるエネルギー需要が確実に満たされるように、必要に応じて、燃料エンジンおよび1つまたは複数の電気モータ(いずれも図示せず)を調節する。このような内部の動作要因は、これだけに限らないが、ギアのシフト位置、アクセルの使用、および/または乗物速度を含むことができる。このような外部の動作要因は、これだけに限らないが、天候条件、交通条件、地形条件、および/またはハイブリッド車102が動作する高度を含むことができる。エンジン制御システムはまた、ハイブリッド車102の動力要件を平衡させるインバータおよびコンバータ(いずれも図示せず)の動作を制御する。より具体的には、例示的な実施形態では、エンジン制御システムは、燃料駆動系およびハイブリッド駆動系の使用を制御して、エネルギーの使用および/またはエネルギーバランスを最適化することを容易にし、したがって、ハイブリッド車102は、最適な時間期間中に、新しい電気エネルギーを蓄積するために生成し、他の最適な時間期間中に、蓄積された電気エネルギーを使用するが、それを以下でより詳細に述べる。
【0013】
トランスポンダは、ハイブリッド車102の位置を3つの次元で、すなわち、緯度、経度、および高度で決定するために、衛星106、および/または任意の適切な地上通信ネットワークと通信する。より具体的には、例示的な実施形態で、トランスポンダは、衛星106からメッセージを受信し、メッセージごとに送信された時間を測定する。受信したメッセージごとの送信時間に基づいて、トランスポンダは、トランスポンダと、メッセージを送信した各衛星106との間の距離を計算する。トランスポンダは、三角測量技法を用いて、ハイブリッド車102の位置を決定する。代替の実施形態では、トランスポンダは、地上セルラ式ネットワーク内の複数のノードから位置データを受け取り、三角測量技法を用いて、ハイブリッド車102の位置を決定する。トランスポンダは、次いで、例えば、無線通信を介してハイブリッド車102の位置を制御装置104に送信する。
【0014】
ハイブリッド車102の位置の受信に加えて、制御装置104はまた、例えば、インターネット108を介して複数のさらなるデータ要素を受け取る。より具体的には、制御装置104は、これだけに限らないが、道路条件、天候データ、交通データ、地形データ、交通信号灯の現在および/または将来の状態、および/または任意の他の適切な外部の動作要因などの環境データを求めて、知られたデータベース、インターネットウェブサイト、および/または他の適切なデータ源(図示せず)に照会する。以下でより詳細に説明するように、制御装置104は、ハイブリッド車102のエンジン機能の制御を容易にするために、エンジン制御システムにより使用される望ましいエネルギー配分を計算する。
【0015】
図2は、システム100の例示的な電気的アーキテクチャ200の概略のブロック図である。例示的な実施形態では、ハイブリッド車102は、内部ネットワーク206を介して、GPSトランスポンダまたはセルラ式トランスポンダなど、トランスポンダ202に結合されるエンジン制御システム204を含む。内部ネットワーク206は、シリアルネットワーク、光ファイバネットワーク、コンピュータバス、および/またはトランスポンダ202とエンジン制御システム204の間で通信を可能にする任意の他の適切なネットワークとして実施することができる。いくつかの実施形態では、トランスポンダ202は、ハイブリッド車102の位置を決定するために、複数のGPS衛星106と通信する。代替の実施形態では、トランスポンダ202は、ハイブリッド車102の位置を決定するために、地上のセルラ式ネットワークと通信する。さらに、いくつかの実施形態では、トランスポンダ202は、緯度および経度座標を含みかつ高度データを含む位置データ、ナビゲーションシステム(図示せず)により画定された以前の移動経路、燃費データ、加速度データ、および/または任意の他の適切なもしくは関連するデータを含むエネルギー使用データなどのデータを記憶する。例示的な実施形態では、エンジン制御システム204は、プロセッサ208と、プロセッサ208に結合されたメモリ210とを含む。メモリ210は、GPS座標を含みかつ高度データを含む位置データなどのデータを記憶する。さらに、メモリ210は、ナビゲーションシステム(図示せず)により画定された以前に移動した経路などのデータを記憶する。さらにメモリ210は、燃費データ、加速度データ、および/または任意の他の適切なもしくは関連するデータを含むエネルギー使用データなどのデータを記憶する。エンジン制御システム204は、複数のプロセッサ208および/または複数のメモリ領域210を含むことが可能であることを理解されたい。代替の実施形態では、メモリ210は、エンジン制御システム204に含まれないが、ハイブリッド車102の電子装置内に組み込まれる。代替の実施形態では、ハイブリッド車102はまた、中央制御装置104にハイブリッド車102の位置を伝えることを可能にする無線送信装置(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、無線送信装置はまた、制御装置104に対して、前に移動した経路および/またはエネルギー使用データを送信する。
【0016】
例示的な実施形態では、制御装置104は、プロセッサ212と、システムバス216を介してプロセッサ212に結合されたメモリ214とを含む。制御装置104は、複数のプロセッサ212および/または複数のメモリ領域214を含むことができることを理解されたい。さらに、例示的な実施形態では、制御装置104は、システムバス216を介してプロセッサ212およびメモリ214に結合されたトランスポンダインターフェース218を含む。トランスポンダインターフェース218は、これだけに限らないが、WAP(wireless access protocol)、WBXML(WAP Binary XML)、WML(wireless markup language:無線用マーク付け言語)、またはXHTML MP(Extensible Hypertext Markup Language Mobile Profile)などの無線プロトコルを介して、トランスポンダ202と無線で通信する。さらに、トランスポンダインターフェース218は、これだけに限らないが、CDMA(符号分割多元接続)、TDMA(時分割多元接続)、マイクロ波、IMT−2000(3G)、802.11nなどの物理層の通信プロトコルを用いて無線で通信する。しかし、任意の適切な無線通信プロトコルを使用して、トランスポンダ202とトランスポンダインターフェース218との間の通信を可能にすることができる。例示的な実施形態では、制御装置104はまた、システムバス216を介して、プロセッサ212およびメモリ214に結合されたネットワークインターフェース220を含む。ネットワークインターフェース220は、任意の適切な通信プロトコルを用いて、制御装置104とインターネット108の間の通信を可能にする。
【0017】
図3は、ハイブリッド車102(図1および2で示す)などのハイブリッド車におけるエネルギー消費量を制御するための例示的な方法を示す流れ図300である。図2を参照すると、例示的な実施形態では、中央制御装置104は、ハイブリッド車102の位置に関係する位置データを受け取る(302)。具体的には、トランスポンダ202が、例えば定期的に、三角測量解析を用いてハイブリッド車102の位置を決定する。三角測量解析は、GPS衛星106から受信したGPSメッセージ、または地上のセルラ式ネットワークから受信したメッセージに関係するはずである。位置データは、緯度および経度座標を含み、またハイブリッド車102の高度を示すデータも含む。制御装置104は、毎分などの所定の頻度で位置データを受信する。トランスポンダ202は、無線通信プロトコルを介して、トランスポンダインターフェース218に位置データを送信する。代替の実施形態では、ハイブリッド車102は、位置データをトランスポンダインターフェース218に送信する無線送信装置を含む。
【0018】
さらに、例示的な実施形態では、制御装置104はまた、ハイブリッド車102からエネルギー使用データを受け取る(304)。より具体的には、プロセッサ208は、これだけに限らないが、燃料1ガロン当たりのマイル数、平均の加速度、および/または任意の他の適切なデータなどの燃費データを含むエネルギー使用データを、トランスポンダ202を介してトランスポンダインターフェース218に送信する。例示的な実施形態では、制御装置104は、位置データおよびエネルギー使用データをメモリ214に記憶する(306)。具体的には、制御装置104により受信された各メッセージは、一意のハイブリッド車識別子を含む。プロセッサ212は、メッセージから、ハイブリッド車識別子を決定し、各メッセージをメモリ214に記憶し、かつ各メッセージをハイブリッド車識別子と関連付ける。さらに、メモリ214は、ハイブリッド車102に対する以前の経路を記憶するが、以前の経路はそれぞれ、緯度および経度座標、ならびに高度などの位置データを含む。
【0019】
例示的な実施形態では、制御装置104は、位置データに基づいてハイブリッド車102の現在の経路を決定する(308)。より具体的には、プロセッサ212は、トランスポンダ202から受信した位置データを、ハイブリッド車102に対して記憶された、また以前の経路と関連付けられた緯度および経度座標、または任意の他の適切な位置座標と比較する。いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、交通データおよび/または交通渋滞データを決定するのに使用するために、通信トランスポンダ202から受信した位置データを、他のハイブリッド車102と関連付けられ記憶されたGPS座標と比較する。例示的な実施形態では、プロセッサ212は、現在の経路を、メモリ214に記憶された以前の経路と比較する。現在の経路が以前の経路と適合する場合、プロセッサ212は、現在の経路として以前の経路を特定する。現在の経路が以前の経路に適合しない場合、プロセッサ212は、各連続する位置データメッセージをメモリ214に記憶し続けて、そのデータを新しく保存された経路と関連付ける。代替の実施形態では、プロセッサ212は、いくつかの可能な経路のそれぞれに確率を割り当て、例えば、確率的最適化アルゴリズムを用いて、最も確度の高い経路を決定する。
【0020】
制御装置104が、ハイブリッド車102の現在の経路を決定した後、制御装置104は、現在の経路に関係する環境データを受け取る(310)。上記で述べたように、環境データは、天候データ、交通データ、および/または地形データを含むことができる。天候データの例は、これだけに限らないが、平均風速または瞬間風速などの風データ、気温データ、および/または気圧、予測降水確率、および/または過去の降水量などの降水データを含む。交通データの例は、これだけに限らないが、所与の距離に沿った平均の乗物速度、および/または2点間の平均移動時間を含む。交通データのさらなる例は、やがて出現する現在の経路に沿った曲がり角および/または坂、現在の経路に沿った既知の速度制限、時刻、および/または現在の経路に沿った既知のスクールゾーン制限を含む。地形データの例は、これだけに限らないが、2点間の道路の傾斜または険しさを含む。上記の諸例は例示的なものに過ぎず、また本明細書で述べるように使用できる天候データ、交通データ、および/または地形データのタイプもしくは値を限定することを意味しないことに留意されたい。
【0021】
例示的な実施形態では、制御装置104は、エンジン制御システム204で使用するための望ましいエネルギー配分を計算する(312)。具体的には、プロセッサ212は、ハイブリッド車102の現在の経路、ハイブリッド車102の高度、環境データ、および/またはエネルギー使用データに基づいて、望ましいエネルギー配分を計算する。制御装置104は、次いで、望ましいエネルギー配分をハイブリッド車102に送信する(314)。具体的には、プロセッサ212は、望ましいエネルギー配分をトランスポンダ202に送信する。トランスポンダ202は、望ましいエネルギー配分を受け取り、プロセッサ208に伝達する。いくつかの実施形態では、プロセッサ212は、ハイブリッド車102の現在の経路、ハイブリッド車102の高度、環境データ、および/またはエネルギー使用データの様々な組合せに基づいて、複数の望ましいエネルギー配分を計算する。このような実施形態では、プロセッサ212は、確度の高い燃費および/または任意の他の望ましい尺度に基づいて、好ましいエネルギー配分を決定し、その好ましいエネルギー配分をハイブリッド車102に送信する(314)。他の実施形態では、エンジン制御システム204は、1つまたは複数のエンジンコンポーネント(図示せず)に関する既知の、または推定される寿命値を使用し、望ましい燃費に代えて、またはそれに加えて、このような値に基づいて好ましいエネルギー配分を決定する。
【0022】
例示的な実施形態では、エンジン制御システム204は、望ましいエネルギー配分に基づいてエンジン機能を制御する(316)。例えば、エンジン制御システム204は、エネルギーの蓄積を行うために、上り坂の走行中には1つまたは複数の電池(図示せず)を充電し、かつ推進のために燃料駆動系を使用することができる。他の例では、エンジン制御システム204は、下り坂の走行中は、推進のためにハイブリッド駆動系を使用し、さらに回生制動により1つまたは複数の電池を充電する。
【0023】
さらに、例示的な実施形態では、制御装置104は、より最適なエネルギー配分を可能にする代替の経路など、ハイブリッド車102のための新しい経路を決定する。このような実施形態では、制御装置104は、少なくとも部分的に、現在の経路および環境データに基づいて新しい経路を決定する。例えば、制御装置104が、ハイブリッド車102の現在の位置と目的地との間で走行時間が増加することを示す交通データを受け取った場合、制御装置104は、走行時間を低減することを容易にする、ハイブリッド車102および/または他のハイブリッド車102により使用された以前の経路に基づいて、新しい経路を決定する。さらに、制御装置104は、新しい経路に基づいて新たな望ましいエネルギー配分を計算し、その新たな望ましいエネルギー配分および新しい経路をハイブリッド車102に送信する。代替の実施形態では、制御装置104は、燃料コスト、時間コストの点で、かつ/またはハイブリッド車102のコンポーネントの耐久性の点で、ユーザもしくは運転者にとってより費用効果の高い、ハイブリッド車102に対する代替の経路などの新しい経路を決定する。例えば、エンジン制御システム204は、第1の時間および/または第1の燃料コストに関連する第1の経路と、第2の時間および/または第2の燃料コストに関連する第2の経路とを運転者に提示する。運転者は、より有利な時間および/またはコストに基づいて、第2の経路を使用することを選択することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、制御装置104は、エネルギー消費量を向上させるために、運転者が指定した終点をそれぞれが含む1つまたは複数の新しい経路を決定する。例えば、このような経路は、交通を迂回するさらなる走行距離を含む可能性があり、あるいは向かい風など、環境問題に近い障害物を含む可能性もある。
【0024】
いくつかの実施形態では、用語「ハイブリッド車」は、概して、乗物に推進力を与えるために使用される1つまたは複数の電気モータなど、複数のエネルギー源を含む乗物を指す。電動の乗物を推進するために使用されるエネルギーは、これだけに限らないが、搭載された再充電可能な電池、および/または搭載された燃料電池などの様々なソースから得ることができる。一実施形態では、ハイブリッド車は、ブレーキをかけることにより生成されるエネルギーを取り込み、かつ蓄積するハイブリッドの電気自動車である。さらに、ハイブリッドの電気自動車は、燃料を保存するために、休止時には電池などの電気的ソースに蓄積されたエネルギーを使用して動作を継続する。いくつかのハイブリッドの電気自動車は、一般的な電源出力など、電源の受け口にプラグを差し込むことにより、電池を再充電することができる。このような乗物は、限定するものではないが、自動車、トラック、バス、機関車、および/または自動二輪車を含む。上記の例は、例示的なものに過ぎず、したがって、用語「ハイブリッド車」の定義および/または意味を限定することを全く意図していない。
【0025】
いくつかの実施形態では、用語「プロセッサ」は、概して、システムおよびマイクロコントローラ、RISC(縮小命令セット回路)、ASIC(特定用途向けIC)、PLC(プログラム可能な論理回路)、および本明細書で述べた諸機能を実行できる任意の他の回路またはプロセッサを含む任意のプログラム可能なシステムを指す。上記の例は、例示的なものに過ぎず、したがって、用語「プロセッサ」の定義および/または意味を限定することを全く意図していない。
【0026】
いくつかの実施形態では、用語「制御装置」は、概して、サーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、PDA(携帯情報端末)、移動電話もしくはスマートフォン、または任意の他の適切なデバイスもしくは装置を含むコンピューティング環境で使用される任意のデバイスもしくは装置を指す。上記の例は、例示的なものに過ぎず、したがって、用語「制御装置」の定義および/または意味を限定することを全く意図していない。
【0027】
実時間の、またはほぼ実時間の環境要因および運転要因に基づいて、ハイブリッド車、電動の乗物、および/または任意の他の適切な乗物などの乗物で、エネルギーを割り振るための装置、システム、方法、およびコンピュータ可読記憶媒体の例示的な諸実施形態が、上記で詳細に述べられている。装置、システム、方法、および記憶媒体は、本明細書で述べられた特定の実施形態に限定されることはなく、方法のオペレーション、および/またはシステムおよび/または装置のコンポーネントは、本明細書で述べた他のオペレーションおよび/またはコンポーネントとは独立して、かつ別個に使用することもできる。さらに、前述のオペレーションおよび/またはコンポーネントはまた、他のシステム、方法、および/または装置で定義され、あるいはそれらの組合せで使用することができ、本明細書で述べられたシステム、方法、および記憶媒体だけで実施することに限定されない。
【0028】
さらに、本明細書で例示され、述べられた本発明の諸実施形態におけるオペレーションを実行または実施する順序は、その他の形で指定されない限り、本質的なものではない。すなわち、オペレーションは、その他の形で指定されない限り、任意の順序で実施することができ、また本発明の実施形態は、本明細書で開示するものにさらに付加されたオペレーション、またはそれよりも少ないオペレーションを含むことができる。例えば、他のオペレーションの前に、それと同時に、またはその後に、特定のオペレーションを実行もしくは実施することも本発明の諸態様の範囲内であることが企図される。同様に、上記で述べたオペレーションを実行もしくは実施することは、その他の形で指定されない限り、本明細書で述べたシステムおよび/または装置の任意の構造により行うこともできる。
【0029】
本発明の諸態様またはその諸実施形態の要素を導入する場合、冠詞「a(1つの)」、「an(1つの)」、「the(その)」、および「前記」は、1つまたは複数の要素の存在を意味するものとする。用語「備える/含む(comprising)」、「含む(including)」および「有する(having)」という用語は、包含的であり、かつ列挙された要素以外のさらなる要素が存在しうることを意味するものとする。
【0030】
本書は、最良の形態を含む諸例を使用して本発明を開示し、さらに、当業者が、任意の装置もしくはシステムを作成しかつ使用すること、および任意の組み込まれた方法を実施することを含めて、本発明を実施することを可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲により定義され、また当業者が想到する他の例も含むことができる。このような他の例は、特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言とわずかな差しかない均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0031】
100 システム
102 ハイブリッド車
104 制御装置
106 GPS衛星
108 インターネット
200 例示的な電気的アーキテクチャ
202 トランスポンダ
204 エンジン制御システム
206 内部ネットワーク
208 プロセッサ
210 メモリ
212 プロセッサ
214 メモリ
216 システムバス
218 トランスポンダインターフェース
220 ネットワークインターフェース
300 流れ図
302 乗物に関係する位置データを受け取る
304 乗物からエネルギー使用データを受け取る
306 位置データおよびエネルギー使用データをメモリに記憶する
308 乗物による現在の移動経路を決定する
310 現在の経路に関係する環境データを受け取る
312 乗物により使用される望ましいエネルギー配分を計算する
314 望ましいエネルギー配分を乗物に送信する
316 望ましいエネルギー配分に従って、エンジン機能を制御する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗物(102)を動作させるのに使用するためのシステム(100)であって、
前記乗物内のエンジン制御システム(204)に結合されるように構成され、かつ前記乗物の座標を決定するようにさらに構成されたトランスポンダ(202)と、
前記トランスポンダと通信するように構成された中央制御装置(104)とを備え、前記中央制御装置(104)が、
前記トランスポンダにより決定された前記乗物の前記座標を含む位置メッセージを前記トランスポンダから受け取り、
前記乗物の現在の移動経路を決定し、
前記現在の経路に関係する地形データを受け取り、
前記エンジン制御システムにより使用される望ましいエネルギー配分を計算し、
前記エンジン制御システムが、前記望ましいエネルギー配分に基づいてエンジン機能を制御するように、前記望ましいエネルギー配分を前記トランスポンダに送信する
ようにさらに構成されている、システム(100)。
【請求項2】
前記中央制御装置(104)が、前記現在の経路および前記地形データに基づいて、前記望ましいエネルギー配分を計算するように構成されている、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記位置メッセージが、前記トランスポンダ(202)により決定された前記乗物(102)の高度を含み、前記中央制御装置(104)が、前記現在の経路、前記地形データ、および前記高度に基づいて、前記望ましいエネルギー配分を計算するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記中央制御装置(104)が、前記乗物(102)の少なくとも1つの以前の移動経路を記憶するように構成されたメモリ(210)を備え、前記中央制御装置が、前記位置メッセージに含まれた座標と、前記少なくとも1つの以前の経路に含まれた座標との間の比較に基づいて、現在の移動経路を決定するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記中央制御装置(104)が、
前記現在の経路に関係する天候データおよび交通データの少なくとも一方を受け取り、
前記現在の経路と、前記地形データと、前記天候データおよび前記交通データの少なくとも一方とに基づいて、前記望ましいエネルギー配分を計算する
ようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記中央制御装置(104)が、
前記乗物からエネルギー使用データを受け取り、
前記現在の経路、前記地形データ、および前記エネルギー使用データに基づいて前記望ましいエネルギー配分を計算する
ようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記中央制御装置(104)が、推進させるために前記乗物(102)により使用されるエネルギーと、蓄積するために前記乗物により生成されるエネルギーとの望ましい配分に従って、望ましいエネルギー配分を計算するようにさらに構成されている、請求項1記載のシステム(100)。
【請求項8】
乗物(102)により望ましいエネルギー配分を決定するのに使用される制御装置(104)であって、
前記乗物による少なくとも1つの以前の移動経路を記憶するように構成されたメモリ(210)と、
前記メモリに結合されたプロセッサ(208)とを備え、前記プロセッサ(208)が、
前記乗物から位置データを受け取り、
前記位置データおよび前記少なくとも1つの以前の経路に基づいて現在の経路を決定し、
環境データを受け取り、
前記現在の経路および前記環境データに基づいて前記望ましいエネルギー配分を計算し、
エンジン機能を制御するのに使用するために、前記望ましいエネルギー配分を前記乗物に送信する
ように構成されている、制御装置(104)。
【請求項9】
前記位置データが、位置座標および高度を含む、請求項8記載の制御装置(104)。
【請求項10】
前記環境データが、風データ、気温データ、降水データ、地形データ、および交通データのうちの少なくとも1つを含む、請求項8記載の制御装置(104)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−140948(P2011−140948A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289088(P2010−289088)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】