説明

乳化剤を含まない、ポリマーで安定化された泡沫製剤

本発明は、油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、このエマルションは、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含み、このイオン性ポリマーは、モノマー単位としてイオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである、泡沫製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容的および皮膚科学的な泡沫製剤に、特に、従来の乳化剤を含まないかまたは実質的に含まずかつ5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含む水中油型のエマルションに基づく泡沫クリームであって、このイオン性ポリマーは、モノマー単位として、イオン性モノマーおよび少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである泡沫クリームに関する。
【背景技術】
【0002】
1. エマルション
用語「エマルション」は一般に、通常は相として表現される、混和性でないかまたは限られた程度にのみ混和性である2つの液体からなる不均一系に関連する。エマルションでは、これら2つの液体のうちの一方が、微細な液滴の形で他方の液体中に分散している。
【0003】
この2つの液体が水と油であって、この油滴が微細に水中に分散している場合、このエマルションは水中油型エマルション(O/Wエマルション、例えば牛乳)である。O/Wエマルションの基本的特性は、水によって規定される。油中水型エマルション(W/Oエマルション、例えばバター)の場合、反対の原理が当てはまり、この場合はその基本的特性は油によって規定される。
【0004】
ある液体の中での別の液体の持続性のある分散液を得るために、従来の意味のエマルションでは、表面活性剤(乳化剤)の添加が必要である。乳化剤は、空間的に互いに離れている、分子の極性部(親水性部)および非極性部(親油性部)からなる両親媒性分子構造を有する。単純なエマルションでは、一方の相は、乳化剤のシェルで取り囲まれた第2の相の微細に分散した液滴(W/Oにおける水滴またはO/Wエマルションにおける脂質ベシクル)を含有する。乳化剤はその2つの液体間の境界面に配列するため、乳化剤はそれらの相間の表面張力を低下させる。乳化剤は、油相/水相の境界に界面膜を形成し、これが液滴の不可逆的融着に対抗する。エマルションを安定化するために、乳化剤の混合物がしばしば使用される。
【0005】
用語「乳化剤」または「従来の乳化剤」は、当該技術分野で公知である。従来の乳化剤およびそれらの使用は、例えば、刊行物:非特許文献1および非特許文献2に記載されている。
【0006】
従来の乳化剤は、その分子の親水性部に依って、イオン性(アニオン性、カチオン性および両性)乳化剤ならびに非イオン性乳化剤に分類することができる:
・アニオン性乳化剤の最もよく知られた例は、飽和および不飽和の高級脂肪酸の水溶性のナトリウム塩またはカリウム塩についての従来の名称である石鹸であると考えられる。
・カチオン性乳化剤の重要なメンバーは第四級アンモニウム化合物である。
・非イオン性乳化剤の分子の親水性部は、しばしば、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビタン、炭水化物またはポリオキシエチレングリコールからなり、エステル結合およびエーテル結合によってその分子の親油性部に連結されていることが最も多い。その親油性部は、典型的には脂肪アルコール、脂肪酸またはイソ脂肪酸からなる。
【0007】
分子の極性部および非極性部の構造およびサイズが変わることによって、乳化剤の親油性および親水性は大きく改変されうる。
【0008】
乳化剤を正しく選択することは、エマルションの安定性にとって非常に重要である。この点に関して、その系に含有されるすべての物質の特徴が考慮される必要がある。例えば、スキンケア用エマルションの場合には、極性の油成分(例えばUVフィルターなど)は不安定性につながりうる。それゆえ、乳化剤とは別に、例えばエマルションの粘度を上昇させかつ/または保護コロイドとして作用する他の安定剤がさらに使用される。
【0009】
エマルションは、様々な応用分野で使用される美容的および/または皮膚科学的調製物の分野において重要な種類の製品の位置を占める。それゆえ、様々な製品(ローションおよびクリームなど)は、スキンケア用に、特に乾燥肌を再び潤すために利用できる。スキンケアの目的は、日々の洗浄によって引き起こされる脂質および水分の減少分を補うことである。加えて、スキンケア製品は、環境ストレスから(特に日光および風から)保護するはずであり、皮膚の老化を遅らせるはずである。
【0010】
化粧品用エマルションはまた、デオドラントとしても使用される。このような製剤は、それ自体は臭いがない新しい汗が微生物によって分解されるときに生成する体臭を取り除くために使用される。
【0011】
洗浄用エマルションの形態のエマルションはまた、皮膚および皮膚付属器の洗浄用にも使用される。それらは、洗顔のために、および特に装飾用化粧品を除去するために使用されることが最も多い。このような洗浄用エマルションは、他の洗浄用調製物(石鹸など)とは対照的に、特に皮膚に対して低刺激性であるという利点を有する。なぜなら、それらは親油性相の中に栄養となる油および/または非極性活性薬剤、例えばビタミンEなどを含有していてもよいからである。
【0012】
2. 乳化剤を含まないエマルション
IUPACは、用語「乳化剤」を以下のように定義している:乳化剤は表面活性物質である。それらは、好ましくは油相と水相との境界面に配列し、それゆえ、表面張力を低下させる。低濃度でさえ、乳化剤はエマルションの形成を容易にする。加えて、これらの物質は、それらが凝集および/または融着の速度を低下させるため、エマルションの安定性を高めることができる。
【0013】
薬理学的エマルションおよび美容的エマルションを安定化するために、いわゆる真の乳化剤(すなわち、本願明細書の記載の意味での従来の乳化剤)が主に使用され、この真の乳化剤は、その構造およびその物理化学的挙動に従うと界面活性剤のクラスに属する。それらは、両親媒性構造およびミセル会合できる能力を特徴とする。
【0014】
しかしながら、このような低分子の両親媒性物質は、皮膚ケア製品の不適合性、例えば皮膚バリアの機能停止またはマヨルカざ瘡(Mallorca acne)などの原因として繰り返し取り上げられている。それゆえ、化粧品産業は、乳化剤を含まないエマルションの形態の、従来の製剤に代わるものを探索している。
【0015】
乳化剤を含まないエマルションは、従来の乳化剤を含まず、すなわち、好適な濃度ではミセルおよび/または他の液晶性凝集体を形成することができる、低分子量(すなわち、5000g/mol未満の分子量)を有する両親媒性化合物、を含まない。
【0016】
用語「乳化剤を含まない」は、当該技術分野では確立されている。薬剤師、皮膚科医および(http://www.dermotopics.de/german/ausgabe_1_03_d/emulgatorfrei_1_2003_d.htm)他の専門家の学際的な意見の一致によって採用される、der Gesellschaft fuer Dermopharmazieの用語の定義によれば、より狭義の乳化剤(従来の乳化剤)の代わりに(すなわち5000を超える分子量を有する)表面活性高分子によって安定化されている場合、製剤は、「乳化剤を含まない」と表すことができる。
【0017】
高分子乳化剤および固体乳化剤の使用は、従来の乳化剤に関連する不都合を回避するのに役立つ十分に安定で美容的に魅力がある製品を得るという目的に関しては、乳化剤を含まないエマルションについての有望なアプローチであることが判明した。
【0018】
3. 固体で安定化されたエマルション
乳化剤を含まないエマルションの例は、固体によって安定化されたエマルションである。ピッカリングエマルションとして当該技術分野で公知の、固体で安定化されたエマルションは、微細に分散した固体粒子によって安定化されており、この種のエマルションによって従来の乳化剤の実質的な不使用が可能になる。
【0019】
固体で安定化されたエマルションでは、固体は油/水境界面に層の形で堆積し、これにより分散した相の融着が防止される。
【0020】
好適な固体乳化剤は、特に、親水性液体および親油性液体の両方によって湿潤可能である微粒子の無機固体または有機固体である。固体で安定化されたエマルションまたはピッカリングエマルションでは、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、Fe、ビーガム(veegum)、ベントナイトおよびエチルセルロースが、固体乳化剤として好ましく使用される。
【0021】
4. ポリマーで安定化されたエマルション
乳化剤を含まないエマルションのさらなる例は、ポリマーで安定化されたエマルションである。ポリマーで安定化されたエマルションの場合は、そして従来のエマルションとは対照的に、必要とされる安定化は、両親媒性の、界面活性剤様の乳化剤によっては成し遂げられず、好適な高分子によって成し遂げられる。このようにして安定化される製剤の刺激作用の可能性は、従来の乳化剤によって安定化されているエマルションの刺激作用の可能性とは大きく異なる。高分子量のため、高分子乳化剤は角質層の中へと浸透することはできない。それゆえ、例えばマヨルカざ瘡という意味での望まれない相互作用は、予想され得ない。
【0022】
ポリマーが加えられる場合、ポリマーの安定化効果は、その増粘効果に起因し、そしてエマルションの外側相にもたらされる流れ境界に起因することが多い。
【0023】
carbomer 1342またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの表面活性高分子を一次乳化剤として使用することは、実質的により効果的である。これらの高分子は、融着に対する効果的な保護を確実にする構造化された界面膜を形成する。この場合、外側相の粘度の上昇は、エマルションの安定性にとってはあまり重要ではない。
【0024】
高分子乳化剤によって形成される界面膜の構造は、いわゆるテイル−ループ−トレイン(tail−loop−train)モデル(非特許文献3を参照)によって一般に記述することができ、このモデルは、概略的に図1に示されている。
【0025】
ポリマーが十分に高い表面活性を呈する場合には、そのポリマーは、乳化剤として使用することができる。親水性のモノマー部分に加えて、より低い極性を有するモノマー部分を含有する高分子量のコポリマーは特に好適である。連続する水相における粘度の上昇のほかにも、ポリマーは、油相/水相界面の安定化を同時にそして主に引き起こす。より低い極性を有する部分は油相に吸着し、親水性の構造は水相の中で膨潤して、相界面においてゲル構造が形成される。油相/水相界面に沿って、例えば微細なゲル液滴の形態で、強く水和されている、親水性のポリマーセグメントによって形成されるゲル構造は、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースによって形成されるもののようなゲル様ではない界面膜よりも、融着に対するさらにより効果的な保護を提供する可能性がある。
【0026】
相界面におけるコポリマー乳化剤の正確な分子配列は、コポリマー分子全体の中での親水性のセグメントおよび極性がより低いセグメントの分布によってほとんど決定される。図2には、A−Bブロックコポリマー[図2、(A)]、A−B−Aブロックコポリマー[図2、(B)]、ならびに親水性セグメントおよびより低い極性のセグメントのランダム分布を有するコポリマー[図2、(C)]について、可能性がある配列が概略的に図示されている。
【0027】
いずれの理論にも結び付けられたくはないが、これらのエマルションの特に良好な安定化は、とりわけ、架橋されたイオン性コポリマーによって成し遂げることができるということが想定される。これは、架橋は、水相の中での親水性の(イオン性の)ポリマーセグメントの強い広がりを防ぐということに起因する。従って、親水性の(イオン性の)ポリマーセグメントは、水相の中で自在に広がることはできずにコンパクトな構造を保持し、そして油相/水相界面のすぐそばで水和および膨潤する必要がある。その結果、特に剛性の、液滴のようなゲル構造が油相/水相界面で形成され、これが、融着に対する最適の保護および最適の安定化効果をもたらす。
【0028】
油相/水相界面での上記のゲル構造の形成による水中油型エマルションの安定化は、例えば高分子乳化剤Carbomer 1342によってもたらされる。Carbomer 1342は、アクリル酸およびアクリル酸C10〜C30アルキルのコポリマーであり、親水性のアクリル酸部分が親油性のアクリル酸アルキル部分よりも優勢である。このアクリル酸C10〜C30アルキルは、加えて、アリルペンタエリスリトールによって架橋されている。
【0029】
乳化剤を含まない水中油型エマルション用の特に有効な安定剤は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸の多様な市販のコポリマーである。化学式(2)を有する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
【化1】

(式中、Xは、遊離酸の場合は、Hである)は、AMPSまたは2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸とも呼ばれる。その塩(式中、XはH以外のカチオンを表す)は、アクリロイルジメチルタウリン酸塩(acryloyl dimethyltaurate)とも呼ばれる。
【0030】
市販のポリマーであるClariant社のAristoflex(登録商標) AVCおよびAristoflex(登録商標) HMBは、このファミリーの特に好適なコポリマーに属する。Aristoflex(登録商標) AVC(INCI名、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ビニルピロリドンコポリマー)およびAristoflex(登録商標) HMB(INCI名、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ベヘネス(beheneth)−25 メタクリレートクロスポリマー)は、イオン性モノマー部分である2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、およびさらなる、極性がより低いモノマー部分(ビニルピロリドンまたはベヘネス−25 メタクリレート)を含む。これらのポリマーは、水中油型エマルション用に増粘剤として、および安定剤として使用され、低濃度でさえも極めて安定なエマルションを形成する。特に、これらのポリマーは、シリコーンオイル、炭化水素/ワックスおよびエステル油を含むほとんどすべての油相と併用して使用することができる。さらには、これらのポリマーは、広いpH範囲にわたって(Aristoflex(登録商標) AVC:pH 4.0〜9.0;Aristoflex(登録商標) HMB:pH 3.0〜9.0)使用することができ、しかもこれらのポリマーはUVに対して安定である。
【0031】
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマーも、乳化剤を含まないエマルション用の高分子乳化剤として、Seppic社によって提供され開発されている。この2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸のコポリマーとしては、市販の製品Sepinov(商標) EMT 10(INCI名、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、CAS番号111286−86−3)、および試験的ポリマー8732MP(製品名:Sepinov P88、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、CAS番号187725−30−0)、8885MP2(製品名:Sepinov EG−P、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、CAS番号77019−71−7)、および8947MPが挙げられる。これらのポリマーも、良好な乳化特性を有し、広いpH範囲(例えばSepinov(商標) EMT 10については、pH 3〜11)にわたって使用することができ、しかもUVに対して安定である。
【0032】
Aristoflex(登録商標) AVC、Aristoflex(登録商標) HMB、Sepinov(商標) EMT 10および試験的なSeppicのポリマー8732MP、8885MP2および8947MPは、すでに中和された形態で配合されており、すなわち2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位は、少なくとも部分的に塩として配合物の中に存在し、しかもそれらは粉末形態にある。
【0033】
アクリロイルジメチルタウリン酸塩コポリマー、その製造、ならびに美容的なおよび薬学の用途のためのエマルションの増粘剤または安定剤としてのその使用は、例えば、刊行物、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4に記載されている。
【0034】
特許文献5は、タウリン酸塩コポリマーの、特にAristoflex(登録商標) AVCの、化粧料用組成物用、特にC〜C25 α−またはβ−ヒドロキシカルボン酸を含むローションおよびクリーム製剤用の増粘剤および安定剤としての使用を記載する。
【0035】
5. 泡沫製剤
美容的および/または皮膚科学的エマルションの特別の応用形態は、泡沫としての応用である。泡沫製剤は、それらは容易に皮膚上に広がることができるという利点を有する。泡沫のコンシステンシーは快適と感じられ、製品は通常、良好な肌の感じを残す。特に、泡沫の物理的構造は皮膚の保護機能に対して良い方向に作用する。泡沫は、その泡沫を構成する成分の特別の均衡を必要とする複雑な物理的構造をしている。一般に、泡沫は、エマルション製剤または水系界面活性剤(安定剤)溶液を噴霧することによって得られる。例えば、噴霧剤とともに充填されたエマルションは耐圧容器から分注される(このような系もまた文献および特許文献に、エアロゾル泡沫として記載されている)。エマルションおよび噴霧剤の加圧された混合物は膨張して、泡沫気泡を形成する。具体的には、油溶性気体が溶解している分散した油相が膨張する。しかしながら、泡沫はまた他の系(例えば、ポンプによる噴霧など)によっても形成することができる。
【0036】
使用の際には、均衡をとった泡沫製剤は、膜に匹敵するネットワーク構造を皮膚上に形成する2以上の相の安定な多分散構造を有する。このようなネットワーク構造は、それらは例えば水との接触に対する保護作用を作り上げるが、しかしながら環境との妨げのない気体の交換を可能にするという利点を有する。このような泡沫では、事実上、不感蒸泄(perspiratio insensibiles)に対する障害はなく、かつ対応する熱の発生はない。従って、保護作用および栄養供与作用という有利な特性は、一定の発汗と組み合わされる。
【0037】
これまでに公知の泡沫製剤はほとんど、エマルションの安定化のため、およびその結果としての泡沫安定性のために役立つ従来の界面活性剤/乳化剤を含有する。
【0038】
しかしながら、従来の乳化剤または界面活性剤は、それぞれ、前述のとおり、スキンケア製品の不適合性の原因として何度も取り上げられている。しかしながら、好適な安定剤を加えることは、必要である。なぜなら、上記の分散系(例えばエマルションなど)は熱力学的に不安定であるからである。
【0039】
上記のピッカリングエマルションは、従来の乳化剤を回避するための1つの選択肢である。特許文献6または特許文献7には、しかしながらローション、クリームおよびジェルの形態でエマルションとして使用されるピッカリングエマルションが記載されている。
【0040】
特許文献8には、特に低粘度を特徴とし、それゆえ、皮膚科用布地にとって好適であるさらなるピッカリングエマルションが記載されている。このような希薄な流体のピッカリングエマルションでさえ、煙霧を形成して噴霧することができる。
【0041】
特許文献9には、乳化剤を含まないピッカリングエマルションに基づく泡沫製剤が記載されている。
【0042】
特許文献10は、エマルションに基づく泡沫製剤であって、油相が、泡沫製剤の中でラメラ状に並んだ膜を形成する少なくとも1つの膜形成物質を含み、このエマルションは好ましくは乳化剤を含まない、泡沫製剤を記載する。
【0043】
しかしながら、上記の文献のいずれも、5000g/mol超の分子量を有するイオン性の、表面活性なポリマーによって安定化され、このイオン性ポリマーがモノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである、乳化剤を含まないエマルションに基づく泡沫製剤を記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】欧州特許第1 069 142(A1)号明細書
【特許文献2】欧州特許第1 116 733(A1)号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/087326(A2)号パンフレット
【特許文献4】欧州特許第1 138 703(A1)号明細書
【特許文献5】国際公開第03/022236(A1)号パンフレット
【特許文献6】欧州特許第1 352 639(A1)号明細書
【特許文献7】独国特許第101 62 840号明細書
【特許文献8】国際公開第2004/017930号パンフレット
【特許文献9】国際公開第2008/138894号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2008/155389号パンフレット
【非特許文献】
【0045】
【非特許文献1】Pflegekosmetik、第4版、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH、シュトゥットガルト、151−159頁
【非特許文献2】Fiedler Lexikon der Hilfsstoffe、第5版、Editio Cantor Verlag、アウレンドルフ、97−121頁
【非特許文献3】Meyers D.、「Surfaces,interfaces and colloids」中のMyers D.、「Polymers at Interfaces」、VHC Publishers、New York、1991年、283−297頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0046】
本出願人は、本発明において、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含む水中油型エマルションであって、このイオン性ポリマーがモノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである水中油型エマルションが、泡沫製剤用の基剤として好適であるということを見出した。これにより、泡沫製剤の良好な特徴は、ポリマーで安定化されたエマルションの良好な特徴と組み合わされる。特に、泡沫の良好な特徴、つまり物理的構造および心地よい施用性を、ポリマーで安定化されたエマルションの良好な特徴、例えばその良好な皮膚との適合性と組み合わせる、従来の乳化剤を含まないかまたは非常に低含有量の従来の乳化剤しか含まない泡沫製剤を製造することができる。これにより、このような泡沫製剤が、敏感な皮膚のタイプ用の美容的および皮膚科学的な製剤のためにとりわけ有用なものになる。適合性と使用者に優しいこととが、有利に組み合わされる。
【0047】
5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含む水中油型エマルションであって、このイオン性ポリマーがモノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである水中油型エマルションの泡沫形成によって安定な泡沫生成物がもたらされることは自明ではない。すでに記載したように、泡沫は、例えば(加圧)液化された噴霧剤をOWエマルション系に組み込むことにより得られる。分散した油相に溶解した噴霧剤が泡沫形成の際に蒸発するとき、泡沫(液中気型分散物)が形成される。分散した油相に溶解した噴霧剤の蒸発および膨張は、分散した油相の拡張を導く。本発明で、驚くべきことに、相界面で形成されるポリマーゲル構造が拡張応力に耐えることができること、および本発明に係る泡沫製剤の泡沫形成の際に、当該製剤の破壊は起こらず、薬学的および美容的な製品で使用するのに好適な泡沫が形成されることが見出された。当該製剤は、例えば皮膚に施用するために十分に安定である。
【0048】
特に、驚くべきことに、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーと、少なくとも1つの固体乳化剤とを含む水中油型エマルションであって、このイオン性ポリマーは、モノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーであるエマルションが、泡沫製剤のための特に好適なベースであるということが見出された。当該エマルションから作製される泡沫製剤は、ピッカリングエマルションから作製される当該技術分野で公知の泡沫製剤と、および上記の、ポリマーのみで安定化された泡沫製剤と比較して、特に、改善された安定性を呈する。
【0049】
従って、本発明は、油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、このエマルションは、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含み、このイオン性ポリマーは、モノマー単位として、イオン性モノマー(M1)と、少なくとも1つのさらなるモノマーとを含むコポリマーである泡沫製剤に関する。好ましくは、本発明に係る泡沫製剤は、少なくとも1つの固体乳化剤をさらに含有する。
【0050】
さらには、本発明は、泡沫製剤の製造のための、油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションの使用であって、このエマルションは、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含み、このイオン性ポリマーはモノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである使用に関する。
【0051】
さらには、本発明は、水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤の安定化のための、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーの使用であって、このイオン性ポリマーはモノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである使用に関する。
【0052】
さらには、本発明は、活性薬剤のための担体としての、皮膚ケア剤としての、皮膚洗浄剤としての、または日焼け止めとしての、本発明に係る泡沫製剤の使用に関する。それゆえ、この泡沫製剤は、化粧品、医薬製品または医薬組成物の製造のために使用することができる。
【0053】
さらに、本発明は、本発明に係る泡沫製剤の製造のための方法を含む。当該方法は、
a)水中油型のエマルションを調製する工程と、
b)このエマルションを噴霧剤とともに加圧容器へと充填する工程、または
c)このエマルションを、エマルションの分注の際に泡沫を生成する、加圧容器以外の容器へと充填する工程と
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】テイル−ループ−トレインモデルによる高分子界面膜の概略的構造を図示する。
【図2】A−Bブロックコポリマー(A)、A−B−Aブロックコポリマー(B)ならびに親水性セグメントおよびより低い極性のセグメントのランダム分布を有するコポリマー(C)の場合の親油性セグメントおよび親水性セグメントの分布による、コポリマー乳化剤の可能性がある配列を概略的に図示する。
【発明を実施するための形態】
【0055】
1. 定義
本発明によれば、泡沫製剤は、泡沫の形成のために明らかに適合した製剤、特にエマルションである。特に、この製剤は、(加圧)液化された噴霧剤と一緒に加圧容器へと充填されるか、または噴霧剤なしに、製剤/エマルションの分注の際に泡沫の形成を可能にする、加圧容器以外の容器へと充填されるかのいずれでもよい。例えば、ポンプスプレー容器が使用されてもよい。
【0056】
本発明によれば、実質的に乳化剤を含まないエマルションは、0.5重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の、特に好ましくは0.05重量%未満の従来の乳化剤を含有するエマルションである。本発明によれば、乳化剤を含まないエマルションは、従来の乳化剤をまったく含有しないエマルションである。
【0057】
1つの態様によれば、本発明に係る従来の乳化剤は、アニオン性、カチオン性、両性のおよび非イオン性界面活性剤である。アニオン性界面活性剤の代表例は、10〜40個の炭素原子の鎖長を有する、中和された、分枝状のおよび/または非分枝状の、飽和または不飽和脂肪酸である。カチオン性界面活性剤の代表例はアンモニウム化合物である。非イオン性界面活性剤の代表例は、エステルおよび/またはエーテル結合によって、典型的には脂肪アルコール、脂肪酸またはイソ脂肪酸からなる当該分子の親油性部へ連結されている当該分子の親水性部、例えばグリセロール、ポリグリセロール、ソルビタン、炭水化物またはポリオキシエチレングリコールを有する。例えば、10〜40個の炭素原子の鎖長および5〜100のエトキシル化度を有するポリエトキシル化脂肪酸エステルが、この群に属する。さらには、10〜40個の炭素原子の鎖長を有する飽和および/または不飽和の、分枝状および/または非分枝状の脂肪アルコールが非イオン性乳化剤の群に属する。従来の乳化剤は、組み合わせて使用されることが多い。本願明細書記載の意味での従来の乳化剤は、刊行物、Pflegekosmetik、第4版、Wissenschaftliche Verlagsgesellschaft mbH、シュトゥットガルト、151−159頁およびFiedler Lexikon der Hilfsstoffe、第5版、Editio Cantor Verlag、アウレンドルフ、97−121頁で特定される。
【0058】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る従来の乳化剤は、すべて、より高濃度でミセルおよび/または他の液晶性凝集体を形成する可能性がある5000g/mol未満の分子量を有する両親媒性物質である。
【0059】
なおさらなる態様によれば、従来の乳化剤は、すべて、とりわけ従来の保存および施用の温度で、例えば室温などで、エマルションの中に固体としても、ポリマーとしても存在しない表面活性物質である。これは、例えば、上記の10〜40個の炭素原子の鎖長を有する脂肪アルコールは、それらが、その製剤/組成に起因して、固体としてではなく例えば液晶性形態または溶解した形態としてエマルションの中に存在するかぎり、従来の乳化剤の定義を満たすということを意味する。対照的に、この10〜40個の炭素原子の鎖長を有する脂肪アルコールがエマルションの中に固体として存在する場合、それらは、従来の乳化剤の定義を満たさない。
【0060】
本発明によれば、固体乳化剤は、親油性液体および親水性液体の両方によって湿潤可能な微粒子物質である。固体乳化剤は、無機固体または有機固体であってもよい。さらには、この粒子は、未処理でもよいし、またはコーティングされていてもよい。粒径は、好ましくは、1nm〜200nm、より好ましくは5nm〜100nmである。結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸エステルまたは結晶性脂肪アルコールなどの有機固体乳化剤の場合には、粒径は、好ましくは1nm〜1000nmである。
【0061】
本発明によれば、遊離酸または遊離酸官能基は、それぞれ、少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、特に好ましくは100%の程度までは中和されていない酸機能または酸機能を有する化合物である。
【0062】
本発明によれば、完全に中和された酸または完全に中和された酸官能基は、それぞれ、少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、特に好ましくは100%の程度まで、中和されてその塩の形態で存在する酸機能または酸機能を有する化合物である。
【0063】
本発明によれば、部分的に中和された酸または部分的に中和された酸官能基は、それぞれ、少なくとも2%、好ましくは少なくとも1%、および多くとも98%、好ましくは多くとも99%の程度まで、中和されてその塩の形態で存在し、他方で、中和されていない部分は遊離酸として存在する酸機能または酸機能を有する化合物である。
【0064】
本発明によれば、「泡沫製剤の安定化」は、乳化剤ポリマー、特に当該乳化剤ポリマーおよび固体乳化剤の組み合わせの存在に起因して、当該泡沫製剤から形成される泡沫の構造が、泡沫が崩壊するまでにより長い時間、例えば少なくとも30秒間、好ましくは少なくとも1分間、特に好ましくは少なくとも2分間の継続期間のあいだ維持されることが可能であるということを意味する。
【0065】
本発明によれば、表現「2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド」は、(i)環状アミドの場合、その環の中の炭素原子の数(例えば、N−ビニルピロリドンの場合、炭素原子の数は4である)に関し、(ii)線状のアミドの場合は、カルボン酸部分の鎖長(例えばN−ビニルアセトアミドの場合には、それぞれの数は2である)に関する。
【0066】
2. 本発明に係る泡沫製剤の組成
本発明に係る泡沫製剤は、油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションに基づき、このエマルションは、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含む。
【0067】
この5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、モノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである。以下では、このようなポリマーは、乳化剤コポリマーとも呼ばれる。
【0068】
好ましくは、この水中油型エマルションは、少なくとも1つの固体乳化剤をさらに含む。
【0069】
好ましい実施形態では、このエマルションは、従来の乳化剤をまったく含まない。
【0070】
さらなる実施形態では、本発明に係る泡沫製剤は、油相および水相を含む水中油型のエマルションを含み、このエマルションは、実質的に
a)少なくとも1つの固体乳化剤と、
b)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーであって、このイオン性ポリマーは、モノマー単位として、イオン性モノマー(M1)、および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーであるイオン性ポリマーと
からなる乳化剤系を含む。
【0071】
表現「実質的に…からなる乳化剤系」は、この乳化剤系は、適宜、少量の従来の乳化剤を含有してもよいということを意味する。しかしながら、従来の乳化剤の量は、それでも、この乳化剤系を含むエマルションが本発明に係る「実質的に乳化剤を含まないエマルション」であるのに十分低い必要がある。好ましい実施形態では、この乳化剤系は、上記少なくとも1つの固体乳化剤および上記少なくとも1つの乳化剤−(コ)ポリマーからなる。この乳化剤系の乳化剤のほかに、当該泡沫製剤の基礎となる水中油型エマルションは、さらなる乳化剤をまったく含まない。
【0072】
あるいはまたは加えて、当該5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、油相/水相界面でのゲル構造の形成によってエマルションを安定化するポリマーとして記載されてもよい。このような乳化剤ポリマーは、アニオン性、カチオン性または双性イオン性であってもよい。
【0073】
好ましくは、油相/水相界面で形成されるゲル構造は、油相を取り囲むゲル液滴の層の形態で存在し、このゲル液滴は、強く水和されていることが好ましい。このようなゲル構造の存在は、界面レオロジー測定によって明らかにすることができる。
【0074】
さらなる実施形態では、油相/水相界面でのゲル構造の形成によってエマルションを安定化するこの表面活性なイオン性ポリマーは、加えて、増粘剤として作用し、すなわち油相/水相界面でのゲル構造の形成のほかに、周囲の水相の粘度も上昇する。この油相/水相界面でのこのゲル構造は、このゲル構造を取り囲む水相よりも高い粘度を有することが好ましい。
【0075】
好ましくは、油相/水相界面でのゲル構造の形成によって当該エマルションを安定化する、この5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、モノマー単位として、イオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含むコポリマーである(すなわち、乳化剤コポリマーである)。
【0076】
この5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、好ましくは水溶性または水膨潤性、特に好ましくは水膨潤性である。本発明に関しては、「水膨潤性」は、水との接触の際、ポリマーは体積増加を伴って水和するということを意味する。
【0077】
好ましくは、当該エマルションは、当該エマルション(噴霧剤を除く)の総重量に基づき、およそ0.01〜およそ10重量%、好ましくはおよそ0.05〜およそ8重量%、より好ましくはおよそ0.1〜およそ5重量%、特に好ましくはおよそ0.2〜およそ2重量%、最も好ましくはおよそ0.2〜およそ1重量%の量の、上記5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含有する。
【0078】
乳化剤コポリマー:
本願明細書でこれまでに論じたように、本発明に従って使用される乳化剤コポリマーは、モノマー単位としてイオン性モノマー(M1)および少なくとも1つのさらなるモノマーを含有する。この少なくとも1つのさらなるモノマーは、イオン性モノマー(M1)とは異なる。
【0079】
1つのさらなるモノマーを含有する乳化剤コポリマーはバイポリマー(bipolymer)であり、2つのさらなるモノマーの場合は、乳化剤コポリマーはターポリマーである、などである。本発明によれば、バイポリマー、ターポリマー、クオーターポリマー(quaterpolymer)などはすべて、用語「コポリマー」に含まれる。
【0080】
本発明に関しては、分子内架橋を含有するコポリマーは、架橋コポリマーまたはクロスポリマーと呼ばれる。
【0081】
好ましくは、当該少なくとも1つのさらなるモノマーは、当該イオン性モノマー(M1)とは異なる極性を有する。用語「極性」は、当該技術分野における通常の意味に従って理解されるものとする。極性は、原子群の中の電荷のシフトによって引き起こされて、その原子群がもはや電気的に中性ではないようにする、分離された電荷の結合を指す。電気双極子モーメントは、分子の極性の指標である。個々の双極子モーメントのベクトル加法の結果である分子の全体の双極子モーメントの値に応じて、物質は、程度の差はあるが極性であり、極めて極性から完全に非極性まで滑らかに移り変わる。例えば、当該さらなるモノマーが、定義によって、イオン性化合物よりも低い極性を有する非イオン性モノマーである場合は、そのさらなるモノマーは、当該イオン性モノマー(M1)とは異なる極性を有する。しかしながら、異なる極性のそのさらなるモノマーも、イオン性モノマーであってもよい。この場合のイオン性モノマーが、そのイオン性の官能基のほかに、例えば長い疎水性の脂肪酸鎖を含有する場合、そのイオン性モノマーは、全体として、疎水性部を含有しないイオン性モノマー(M1)よりも小さい極性を有してもよい。
【0082】
少なくとも1つのさらなるモノマーは、好ましくは、イオン性モノマー、非イオン性モノマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、この少なくとも1つのさらなるモノマーは、少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む。
【0083】
イオン性モノマー(M1):
当該イオン性モノマー(M1)は、好ましくは、アニオン性、カチオン性または双性イオン性、特に好ましくはアニオン性である。
【0084】
好ましくは、このイオン性モノマー(M1)は、遊離の、部分的に中和されたまたは完全に中和された酸官能基を含有する。遊離酸官能基を含有するモノマーは、イオン性モノマーとして理解されるべきである。なぜなら、コポリマーの製造の際または水中油型エマルションの製造の際のいずれかで、その酸官能基は、少なくとも部分的に中和されてもよいからである。
【0085】
酸官能基は、好ましくは、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0086】
好ましい実施形態では、イオン性モノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸(これらは、各々、遊離酸として、それらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて、または無水物として存在してもよい)、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましい実施形態では、このイオン性モノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリルアミドアルキルスルホン酸からなる群から選択される。
【0087】
当該イオン性モノマー(M1)は、好ましくはアクリルアミドアルキルスルホン酸、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である。特に好ましくは、このアクリルアミドアルキルスルホン酸は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアンモニウム塩として、特に好ましくはナトリウム塩またはアンモニウム塩として、最も好ましくはアンモニウム塩として、部分的にまたは完全に中和されて存在する。
【0088】
特に好ましくは、当該アクリルアミドアルキルスルホン酸は、一般式(1)
【化2】

を有し、式中、Rは、水素、メチルまたはエチルからなる群から選択され、Zは、非置換であってもよいしまたは1以上の(C〜C)−アルキル基で置換されていてもよい(C〜C)−アルキレンであり、Xは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアンモニウムイオン、またはこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、Xは、H、Na、NH、またはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0089】
本発明の特に好ましい実施形態では、このアクリルアミドアルキルスルホン酸またはイオン性モノマー(M1)は、化学式(2)を有する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸)であり、
【化3】

これは、遊離酸(XはHである)として、またはその塩の形態(アクリロイルジメチルタウリン酸塩であり、XはHを除くカチオン、例えばNaなどのアルカリ金属イオン、(1/2)Ca2+などのアルカリ土類金属イオン、またはNHなどのアンモニウムイオンである)で部分的にもしくは完全に中和されて存在してよい。好ましくは、Xは、H、Na、NH、またはこれらの混合物からなる群から選択される。特に好ましくは、このイオン性モノマー(M1)は、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムまたはアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム(Xは、それぞれNaおよびNHである)である。
【0090】
別の実施形態では、このイオン性モノマー(M1)は、アクリル酸および/またはメタクリル酸である。
【0091】
さらなるモノマー:
1つの実施形態では、当該少なくとも1つのさらなるモノマーは、好ましくはスチレン、クロロスチレン、ジ−(C〜C30)−アルキルアミノスチレン、塩化ビニル、イソプレン、ビニルアルコール、ビニルメチルエーテル、(C〜C30)−カルボン酸ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸エステル;特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル;1〜40個のエチレンオキシド単位を有する、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸のエトキシル化(C〜C30)−アルキルエステル;アクリルアミド、特にN,N−ジ−(C〜C30)−アルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、特にN,N−ジ−(C〜C30)−アルキルメタクリルアミド、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、好ましくはN−ビニルピロリドン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む。
【0092】
この少なくとも1つのさらなるモノマーは、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸(これらは、各々、遊離酸として、それらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて、または無水物として存在してもよい)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのイオン性モノマーも含んでよい。好ましい実施形態では、この少なくとも1つのさらなるモノマーはアクリル酸を含み、このアクリル酸は、そのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて存在する。特に好ましくは、この少なくとも1つのさらなるモノマーは、アクリル酸ナトリウムを含む。
【0093】
特に好適な乳化剤コポリマーは、例えばアクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、特に、8885MP2(Sepinov EG−P)の製品名でSeppic社から入手できる製品の形態のコポリマーである。別の特に好適な乳化剤コポリマーは、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、特に、8732MP(Sepinov P88)の製品名でSeppic社から入手できる製品の形態のコポリマーである。さらなる特に好適な乳化剤コポリマーは、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、特に、Sepinov(商標) EMT 10の商標名でSeppic社によって販売されている製品の形態のコポリマーである。
【0094】
特に好適な乳化剤コポリマーは、アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー、好ましくはアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ビニルピロリドンコポリマー、特にAristoflex(登録商標) AVCの商標名で販売されている製品の形態のコポリマーである。
【0095】
アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマーは、好ましくは、一般式(3)
【化4】

を有し、式中、XはNaまたはNHであり、nおよびmは、互いに独立に、1〜10,000の範囲で変わる整数である。これに関して、当該ポリマーは、好ましくは、統計的コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマー、特に好ましくは統計的コポリマーである。
【0096】
イオン性モノマー(M1)がアクリル酸および/またはメタクリル酸である別の好ましい実施形態では、当該少なくとも1つのさらなるモノマーは、好ましくは、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される。特に、この少なくとも1つのさらなるモノマーは、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0097】
好ましい実施形態では、当該イオン性モノマー(M1)はアクリル酸であり、当該少なくとも1つのさらなるモノマーは、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状または線状のN−ビニルカルボン酸アミドである。
【0098】
このようなコポリマー、それらの調製およびヘアスタイリング製品における使用は、例えば、国際公開第2006/044193(A2)号パンフレットに記載されている。
【0099】
上記の環状または線状のN−ビニルカルボン酸アミドは、好ましくは、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、またはN−ビニル−N−メチルアセトアミドからなる群から選択される。好ましくは、上記2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有するN−ビニルカルボン酸アミドはN−ビニルピロリドンである。
【0100】
これに関しての特に好適な乳化剤コポリマーは、例えばアクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマー、特に製品UltraThix P−100(INCI名:アクリル酸/VPクロスポリマー)の形態のコポリマーである。ビニルピロリドンおよびアクリル酸の軽度に架橋されたコポリマーであるUltraThix P−100は、ISP社によって販売されている。
【0101】
このアクリル酸N−ビニルピロリドンコポリマーにおけるN−ビニルピロリドンに対するアクリル酸の重量比は、好ましくは、1:3〜3:1、より好ましくは1:2〜2:1の範囲にあってもよく、最も好ましくは1:1に等しい。
【0102】
さらなる好ましい実施形態では、当該イオン性モノマー(M1)はメタクリル酸であり、当該少なくとも1つのさらなるモノマーは、1以上の、アクリル酸またはメタクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、好ましくは1以上のアクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C)−アルキルエステルから、より好ましくはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、およびこれらの混合物のうちの1以上から選択される。
【0103】
本発明に関しての特に好適な乳化剤コポリマーは、例えば、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸エチルおよびメタクリル酸のターポリマー、特にLuvimer(登録商標) 100 P(INCI名:アクリレートコポリマー)の製品の形態のコポリマーである。Luvimer(登録商標)シリーズのポリマー(Luvimer(登録商標) 100 P、Luvimer(登録商標) 36 DおよびLuvimer(登録商標) 30 Eなど)は、BASF AG社によって販売されている。
【0104】
出願人は、さらに驚くべきことに、本発明に係る泡沫製剤が、
a)アクリル酸と2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状または線状のN−ビニルカルボン酸アミドとのコポリマー、例えばアクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマーと、
b)メタクリル酸と1以上のアクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C)−アルキルエステルとのコポリマー、例えばアクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸ターポリマーと
の組み合わせを含有するとき、特に安定でかつ微細な泡の泡沫を得ることができるということを見出した。
【0105】
従って、本発明の好ましい実施形態では、この少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマーおよび/またはアクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸ターポリマーを含む。
【0106】
本発明のさらなる態様によれば、この少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、好ましくは、アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマー、アクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸ターポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される。
【0107】
好ましくは、この乳化剤コポリマーは予め中和された形態で使用され、それらは、好ましくは粉末形態にある。あるいは、この乳化剤コポリマーは、エマルションの製造の際に、例えば乳化剤コポリマーを含有する水相のpHを調整することにより、少なくとも部分的に中和されてもよい。
【0108】
本発明の特定の実施形態では、当該イオン性モノマー(M1)と当該少なくとも1つのさらなるモノマーとの間の重量比は、99:1〜1:99、好ましくは95:5〜5:95、特に好ましくは90:10〜10:90である。
【0109】
当該乳化剤コポリマーは、例えば、統計的コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーまたはこれらの混合物であってもよく、統計的コポリマーが好ましい。
【0110】
本発明の特定の実施形態では、当該乳化剤コポリマーは架橋されており、この架橋された乳化剤コポリマーは、好ましくは0.001〜10重量%、特に好ましくは0.01〜10重量%の架橋剤を含有する。
【0111】
架橋剤として、例えば、ジアリルオキシ酢酸またはその塩、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、メチレンビス(アクリルアミド)、ジビニルベンゼン、ジアリル尿素、トリアリルアミン、1,1,2,2−テトラアリルオキシエタン、アクリル酸アリルエステル、メタクリル酸アリルエステル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、またはヒドロキノンジアリルエーテルが使用されてもよい。他の好適な架橋剤は、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアクリレート、またはペンタエリスリトールテトラアクリレートを含む。
【0112】
本発明の特に好ましい実施形態では、当該少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、0.5〜1.5重量%、好ましくは約1重量%のペンタエリスリトールトリアリルエーテルで架橋されている線状のアクリル酸N−ビニルピロリドンコポリマーを含む。
【0113】
固体乳化剤:
好ましい実施形態では、当該エマルションは、好ましくは0.5重量%超、特に好ましくは1重量%超の量の少なくとも1つの固体乳化剤を含有する。特に、当該エマルションは、0.5〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%の当該少なくとも1つの固体乳化剤を含有する。この重量百分率は、各々、噴霧剤を除く当該エマルションの総重量に基づく。
【0114】
当該エマルションが少なくとも1つの固体乳化剤を含有する場合、このエマルションにおける少なくとも1つのイオン性の、表面活性なポリマーに対する当該少なくとも1つの固体乳化剤の重量比は、好ましくは0.5:1〜10:1、より好ましくは1:1〜8:1、特に好ましくは2:1〜8:1である。
【0115】
好適な固体乳化剤は、親油性液体および親水性液体の両方によって湿潤可能な微粒子の無機固体または有機固体である。好適な代表例は、例えば、二酸化チタン、特にコーティングされた二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標) T−2000の製品名でMerck KGaAから入手できるもの)、酸化亜鉛(例えばZ−Cote Maxの製品名でBASF AGから入手できるもの)、二酸化ケイ素、特に高分散性の二酸化ケイ素、Fe、ビーガム、ベントナイトおよびエチルセルロースである。さらには、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、石炭、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸エステル、結晶性脂肪アルコール、ポリマー格子、例えばポリスチレンまたはポリメタクリレート、およびポリマー擬似格子を使用してもよい。上記の固体乳化剤の混合物も使用してよい。好ましくは、この少なくとも1つの固体乳化剤は、結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸アルキルエステル、結晶性脂肪アルコールまたはこれらの混合物からなる群から選択される。
【0116】
例えば、当該少なくとも1つの固体乳化剤は、好ましくは10〜40個の炭素原子の鎖長を有する結晶性脂肪酸を含む。この結晶性脂肪酸は、特に、好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸またはこれらの混合物からなる群から選択される飽和脂肪酸である。
【0117】
特に好ましい実施形態では、この少なくとも1つの固体乳化剤は、ステアリン酸を含む。ステアリン酸は、例えばCognis社からCutina FS 45の名称で入手できる。
【0118】
さらには、この少なくとも1つの固体乳化剤は、好ましくは10〜40個の炭素原子の鎖長を有する結晶性脂肪アルコールを含んでもよい。この結晶性脂肪アルコールは、特に、好ましくはミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、エイコサノールまたはこれらの混合物からなる群から選択される飽和脂肪アルコールである。
【0119】
特に好ましい実施形態では、この少なくとも1つの固体乳化剤は、セチルステアリルアルコールを含む。セチルステアリルアルコールは、例えばCognis社からLanette Oの名称で入手できる。
【0120】
さらには、当該少なくとも1つの固体乳化剤は、結晶性脂肪酸アルキルエステル、好ましくはパルミチン酸セチルを含んでもよい。パルミチン酸セチルは、例えばCognis社からCutina CPの名称で入手できる。
【0121】
油相:
油相を形成しうる好適な成分は、極性の油および非極性の油またはこれらの混合物から選択されてもよい。
【0122】
本発明の製剤の油相は、有利なことに、レシチンおよび脂肪酸トリグリセリドなどのリン脂質の群から、プロピレングリコール脂肪酸エステルまたはブチレングリコール脂肪酸エステルの群から、動物由来または植物由来の天然ワックスの群から、エステル油の群から、ジアルキルエーテルおよびジアルキルカーボネートの群から、分枝状および非分枝状の炭化水素およびワックスの群から、ならびに環状および線状のシリコーンオイルの群から選択される。
【0123】
1つの実施形態では、この油相は、オレイン酸デシルエステル(オレイン酸デシル)またはイソノナン酸セテアリルなどの少なくとも1つの脂肪酸アルキルエステル、および/または2−オクチルドデカノールなどの少なくとも1つの脂肪アルコールを含む。さらには、この油相は、パラフィンなどの飽和脂肪族炭化水素を含有してもよい。
【0124】
オレイン酸デシルは、例えばCetiol Vの製品名でCognis社から入手できる。イソノナン酸セテアリルは、例えばCetiol SNの製品名でCognis社から入手できる。2−オクチルドデカノールは、例えばEutanol Gの製品名でCognis社から入手できる。
【0125】
好ましい実施形態では、当該油相は、少なくとも1つのトリグリセリドを含む。
【0126】
好ましくは、この少なくとも1つのトリグリセリドは、Sasol社のMiglyol 812の製品名で入手することができるカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、およびこれらとさらなる油およびワックス成分との混合物を含む。
【0127】
さらには、トリグリセリド、特にSasol社のMiglyol 812/Cognis社のMyritol 312の製品名で入手することができるカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドが特に好ましい。
【0128】
本発明に係るエマルションは、好ましくは、5〜50重量%の油相、特に好ましくは10〜35重量%、とりわけ好ましくは12〜25重量%油相を含有する。これらの値は、各々、噴霧剤を除く当該エマルションの総重量を基準にしている。
【0129】
水相:
当該水相は、美容用アジュバント、例えば低級アルコール(例えばエタノール、イソプロパノール)、低級ジオールまたはポリオールならびにこれらのエーテル(例えばプロピレングリコール、グリセロール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールおよびエチレングリコール)、整泡剤および増粘剤を含有してもよい。
【0130】
好適な増粘剤は、部分的に水溶性のまたは少なくとも水分散性でありかつ水系の中でゲルまたは粘性の高い溶液を形成する高分子増粘剤である。このような増粘剤は、水分子を結合すること(水和)によりまたは、相互に絡み合った高分子の中へと水を組み込んで閉じ込め、水の移動可能性を減少させることにより、水の粘度を上昇させる。好適なポリマーは、
・修飾された天然物質、例えばセルロースエーテル(例えばヒドロキシプロピルセルロースエーテル、ヒドロキシエチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースエーテル);
・天然化合物、例えばキサンタン、寒天、カラゲーン、ポリオース、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼインなど;
・合成化合物、例えばビニルポリマー、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミドおよびポリアクリル酸の誘導体など;ならびに
・無機化合物、例えばポリケイ酸および粘土鉱物など
である。
【0131】
好ましくは、当該エマルションは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの増粘剤を含有する。
【0132】
本発明に係る好ましいヒドロキシプロピルメチルセルロースはMetolose 90SH 100である。ヒドロキシプロピルメチルセルロースについての一般的な薬局方用語はヒプロメロースである。
【0133】
キサンタンガムは、例えばKeltrol(登録商標) CGの製品名でKelco社から入手できる。ポリアクリル酸ナトリウムは、例えばCosmedia SPの製品名でCognis社から入手できる。
【0134】
本発明に係るエマルションは、好ましくは、増粘剤の乾燥重量および噴霧剤を除く当該エマルションの総重量に基づいて、0.2〜1.5重量%の増粘剤を含有する。0.2〜0.8重量%の増粘剤が特に好ましい。さらなる好ましい実施形態では、本発明に係るエマルションは、増粘剤としてポリアクリレート(ホモポリマー)を含有しない。
【0135】
活性薬剤:
任意に含有される活性薬剤は、皮膚の表面へと施用されうるすべての活性薬剤、およびこれらの混合物から選択されてもよい。この活性薬剤は、美容的または薬学的に作用してもよい。従って、美容的または皮膚科学的な(医薬製品または医薬組成物として用いられることになる)泡沫製剤が得られる。さらには、この製剤は、環境の影響に対して皮膚を保護するために使用されてもよい。活性薬剤は、天然由来または合成由来であってもよい。活性薬剤の群は、例えば上記油成分、上記増粘剤または上記固体乳化剤などの他の成分群と重なってもよい。例えば、いくつかの油成分は、活性薬剤としても作用する可能性があり、例えば多価不飽和脂肪酸を有する油、または例えば微粒子状二酸化チタンなどの固体乳化剤は、UVフィルターとしての役割を果たしうる。物質の特性に応じて、それらの物質は、いくつかの群に割り当てることができる。
【0136】
本発明の製剤の活性薬剤は、湿潤特性およびバリア強化特性を有する物質の群、例えばHydroviton(NMFの模倣物)、ピロリドンカルボン酸およびその塩、乳酸およびその塩、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコールおよび尿素などから、タンパク質およびタンパク質加水分解生成物の群からの物質、例えばコラーゲン、エラスチンおよび絹タンパク質などから、グルコサミノグルカンの群の物質から、例えばヒアルロン酸など、炭水化物の群から、例えば、組成に関してはヒトの角膜層の炭水化物混合物に相当するPentavitinなど、ならびに脂質および脂質前駆体の群、例えばセラミドなどから選択されることが有利である。本発明に関してさらに有利な活性薬剤は、ビタミンの群、例えばパンテノール、ナイアシン、α−トコフェロールおよびそのエステル、ビタミンAならびにビタミンCなどからさらに選択されてもよい。さらに、抗酸化物質、例えば没食子酸塩もしくは没食子酸エステルおよびポリフェノールの群から選択される活性薬剤が使用されてもよい。尿素、ヒアルロン酸およびPentavitinが好ましい物質である。
【0137】
肌を滑らかにする作用および肌の再生作用を有する物質、例えばパンテノール、ビサボロールおよび植物ステロールなどが活性薬剤として用いられることがさらに好ましい。
【0138】
好ましい実施形態では、本発明に係る泡沫製剤は尿素を含有する。さらなる好ましい実施形態では、本発明に係る泡沫製剤は、α−またはβ−ヒドロキシカルボン酸またはその塩を含有せず、特にC〜C25−α−またはC〜C25−β−ヒドロキシカルボン酸またはその塩を含有しない。
【0139】
植物および植物エキスも、本発明に関して、有利な活性薬剤である。これらには、例えば、藻類、アロエ、アルニカ、サルオガセ(barber’s rash)、コンフリー、カバノキ、イラクサ、キンセンカ、オーク、ツタ、マンサク、ヘナ、ホップ、カモミール、ラスカス、ペパーミント、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、緑茶、ティーツリー、ツクシ、タイムおよびクルミ、ならびにこれらのエキスが含まれる。
【0140】
本発明に係る製剤は、活性薬剤として、合成由来または天然由来の抗真菌薬(antimycotics)および防腐剤/消毒薬をさらに含有してもよい。
【0141】
さらなる活性薬剤は、グルココルチコイド、抗生物質、鎮痛薬、消炎薬、抗リウマチ薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、抗痒疹薬(antipruriginostics)、乾癬治療薬、レチノイド、局所麻酔薬、静脈治療薬、角質溶解薬(ceratolytics)、充血性物質、冠動脈治療薬(硝酸塩/ニトロ化合物)、抗ウイルス薬、細胞分裂阻害剤、ホルモン、創傷治癒を促進する薬剤(例えば成長因子)、酵素製剤および殺虫剤である。
【0142】
エマルションのさらなる成分:
さらには、上記製剤は、着色料、真珠光沢顔料、香料/香水、日焼け止め剤物質、保存料、錯化剤、抗酸化物質および噴霧剤、ならびにpH調整剤を、任意にさらに含有してもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、本発明に係る製剤は、皮膚を刺激する可能性がある物質を含まず、特に、香料/香水、着色剤および従来の乳化剤を含まない。
【0143】
本発明の泡沫製剤は、すでに上に記載した構成成分とは別に、当該技術分野で通常のように、さらなる天然脂肪(例えばシアバター、天然油、オリーブ油、スクアラン、セラミドなど)および保湿性物質を含んでよい。
【0144】
当該エマルションの個々の成分の上記の一覧は、個々の例示された成分は、それらの多様な特性に起因して、いくつかの群に割り当てられる可能性もあるというように理解されるべきである。
【0145】
噴霧剤:
好適な噴霧剤は、例えばNO、プロパン、ブタンおよびi−ブタンである。完成した泡沫製剤は、例えば1〜20重量%、2〜18重量%または5〜15重量%、好ましくはおよそ10重量%の噴霧剤を含有する。(加圧)液化された噴霧剤は、噴霧剤とともに当該エマルションを充填するために使用される。
【0146】
3. 製造方法
本発明に係る泡沫製剤は、水中油型のエマルションを準備し、このエマルションを、任意に噴霧剤の充填とともに、好適な容器、好ましくは加圧容器へと充填することにより、調製される。噴霧剤および加圧容器の代替として、当該ポリマーで安定化されたエマルションは、噴霧剤の不存在下でさえも当該エマルションを泡沫として分注するのに好適な異なる容器へと充填されてもよい。このような系は、当業者には公知である。
【0147】
特に、当該エマルションを製造するための方法は、以下の工程、
(1)液体油相を準備する工程と
(2)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含有する水相を準備する工程であって、このイオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである工程と、
(3)この水相を上記油相と混合および均質化する工程と
を含む。
【0148】
好ましい実施形態では、工程(1)の液体油相は、好ましくは60〜90℃、特に好ましくは60〜80℃、最も好ましくはおよそ70℃の温度に加熱することにより、透明な融体の形態で準備され、そして任意に、その後、工程(3)で使用される温度まで冷却される。
【0149】
好ましくは、工程(3)における水相と油相との混合および均質化は、25〜60℃、より好ましくは30〜50℃、特に好ましくは35〜45℃、最も好ましくはおよそ40℃の温度で実施される。
【0150】
当該ポリマーで安定化されたエマルションが、少なくとも1つの固体乳化剤を含む場合、工程(1)で準備される液体油相は、好ましくは、少なくとも1つの固体乳化剤を含有する。
【0151】
このポリマーで安定化されたエマルションが、少なくとも1つの増粘剤を含む場合、工程(1)で準備される油相は、好ましくは、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または工程(2)で準備される水相は、好ましくは、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または当該方法は、好ましくは以下のさらなる工程、
(4)水性の増粘剤溶液を準備する工程と、
(5)この増粘剤溶液を工程(3)で得られるエマルションと混合する工程と
を含む。
【0152】
本発明のさらなる実施形態によれば、当該ポリマーで安定化されたエマルションを製造する方法は、以下の工程、
(1)液体油相を準備する工程と、
(2)水相を準備する工程と、
(3)この水相を上記油相と混合および均質化して、エマルションを得る工程と、
(4)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含有するさらなる水相を準備する工程であって、このイオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)、および
少なくとも1つのさらなるモノマー
を含むコポリマーである工程と、
(5)このさらなる水相を工程(3)で得られるエマルションと混合する工程と
を含む。
【0153】
好ましい実施形態では、工程(1)の液体油相は、好ましくは60〜90℃、特に好ましくは60〜80℃、最も好ましくはおよそ70℃の温度に加熱することにより、透明な融体の形態で準備され、そして任意に、その後、工程(3)で使用される温度まで冷却される。
【0154】
好ましくは、工程(3)における水相と油相との混合および均質化は、25〜60℃、より好ましくは30〜50℃、特に好ましくは35〜45℃、最も好ましくはおよそ40℃の温度で実施される。
【0155】
好ましい実施形態では、工程(5)のさらなる水相とエマルションとの混合は、10〜30℃、好ましくは15〜25℃の温度で、特に好ましくは室温で実施される。
【0156】
当該ポリマーで安定化されたエマルションが、少なくとも1つの固体乳化剤を含む場合、工程(1)で準備される液体油相は、好ましくは、少なくとも1つの固体乳化剤を含有する。
【0157】
このポリマーで安定化されたエマルションが、少なくとも1つの増粘剤を含む場合、工程(1)で準備される油相は、好ましくは、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または工程(2)で準備される水相は、好ましくは、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または工程(4)で準備されるさらなる水相は、好ましくは、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または当該方法は、好ましくは以下のさらなる工程、
(6)水性の増粘剤溶液を準備する工程と、
(7)この増粘剤溶液を工程(5)で得られるエマルションと混合する工程と
を含む。
【0158】
上記の方法のいずれかにおいて、当該少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーが予め中和された形態で使用されない場合、または別の理由で必要な場合、この少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含有する水相のpH値は、この水相が油相または得られるエマルションに加えられる前に、好適に調整されることが好ましい。このpH調整により、少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーが少なくとも部分的に中和されていることが確実になる。例えば、このpH値は、6〜7に調整されてもよい。この目的のために、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、2−アミノ−2−メチルプロパン−1−オール、またはトロメタモール(trometamol)(2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−プロパン−1,3−ジオール)などの、いずれの好適な塩基が使用されてもよい。トロメタモールが特に好ましい。
【0159】
当業者は、上記の製造方法の組み合わせも、本発明に従って使用されるポリマーで安定化されたエマルションの製造のために可能であるということを理解する。
【0160】
当該泡沫製剤の製造のために、上記の方法に従って製造されるエマルションには、好ましくは、泡沫製剤の重量に基づき1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜15重量%、特に好ましくは10重量%の噴霧剤が充填される。好ましくは、噴霧剤は加圧液化された噴霧剤である。
【0161】
4. 応用例
本発明に係る泡沫製剤は、すべての美容的および皮膚科学的な目的(医薬製品または医薬組成物として)のために用いることができる。例えば、当該泡沫製剤は、皮膚ケア剤、または皮膚洗浄剤として用いられてもよい。さらに、当該泡沫製剤は、活性薬剤のための担体として使用されてもよく、医療の皮膚学分野において用いられてもよい。特に、当該製剤は、日焼け止めとして用いられてもよい。例えば二酸化チタンなどの固体乳化剤の多くは、有効なUVAおよびUVBフィルターである。
【0162】
5. 好ましい実施形態
本発明は、特に、以下の好ましい実施形態に関する。
【0163】
[1]油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、前記油相/水相界面でのゲル構造の形成によって前記エマルションを安定化する、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含む、泡沫製剤。
【0164】
[2]油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、
a)少なくとも1つの固体乳化剤と、
b)前記油相/水相界面でのゲル構造の形成によって前記エマルションを安定化する、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーと
を含む、泡沫製剤。
【0165】
[3]油相および水相を含む水中油型のエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、実質的に
a)少なくとも1つの固体乳化剤と、
b)前記油相/水相界面でのゲル構造の形成によって前記エマルションを安定化する、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーと
からなる乳化剤系を含む、泡沫製剤。
【0166】
[4]前記イオン性ポリマーは、アニオン性、カチオン性または双性イオン性、好ましくはアニオン性である、実施形態1から実施形態3のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0167】
[5]前記油相/水相界面での前記ゲル構造は、前記油相を取り囲むゲル液滴の層の形態で存在する、実施形態1から実施形態4のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0168】
[6]前記ゲル液滴は強く水和されている、実施形態5に記載の泡沫製剤。
【0169】
[7]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、増粘剤としてさらに作用する、実施形態1から実施形態6のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0170】
[8]前記油相/水相界面での前記ゲル構造は、前記ゲル構造を取り囲む水相よりも高い粘度を有する、実施形態1から実施形態7のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0171】
[9]前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、実施形態1から実施形態8のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0172】
[10]油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、
5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーであって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、イオン性ポリマーを含む、泡沫製剤。
【0173】
[11]油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、
a)少なくとも1つの固体乳化剤と、
b)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーであって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)、および
少なくとも1つのさらなるモノマー
を含むコポリマーであるイオン性ポリマーと
を含む泡沫製剤。
【0174】
[12]油相および水相を含む水中油型のエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、実質的に
a)少なくとも1つの固体乳化剤と、
b)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーであって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)、および
少なくとも1つのさらなるモノマー
を含むコポリマーであるイオン性ポリマーと
からなる乳化剤系を含む、泡沫製剤。
【0175】
[13]前記エマルションは、0.5重量%未満、好ましくは0.3重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の従来の乳化剤を含有する、実施形態1から実施形態12のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0176】
[14]前記エマルションは、従来の乳化剤を含有しない、実施形態1から実施形態13のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0177】
[15]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、水溶性または水膨潤性、好ましくは水膨潤性である、実施形態1から実施形態14のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0178】
[16]前記エマルションは、前記エマルション(噴霧剤を除く)の総重量に基づき、約0.01〜約10重量%、好ましくは約0.05〜約8重量%、より好ましくは約0.1〜約5重量%、特に好ましくは約0.2〜約2重量%、最も好ましくは約0.2〜約1重量%の前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含有する、実施形態1から実施形態15のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0179】
[17]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、前記イオン性モノマー(M1)とは異なる極性を有する、実施形態9から実施形態16のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0180】
[18]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、イオン性モノマー、非イオン性モノマーおよびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態9から実施形態17のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0181】
[19]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む、実施形態9から実施形態18のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0182】
[20]前記イオン性モノマー(M1)は、アニオン性、カチオン性または双性イオン性、好ましくはアニオン性である、実施形態9から実施形態19のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0183】
[21]前記イオン性モノマー(M1)は、遊離の、部分的に中和されたまたは完全に中和された酸官能基を含有する、実施形態9から実施形態20のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0184】
[22]前記酸官能基は、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態21に記載の泡沫製剤。
【0185】
[23]前記イオン性モノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸(これらは、各々、遊離酸として、それらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて、または無水物として存在してもよい)、およびこれらの混合物からなる群から選択され、好ましくは前記イオン性モノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリルアミドアルキルスルホン酸からなる群から選択される、実施形態9から実施形態22のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0186】
[24]前記イオン性モノマー(M1)は、遊離酸として、その塩の形態で部分的にまたは完全に中和されて存在するアクリルアミドアルキルスルホン酸である、実施形態9から実施形態23のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0187】
[25]前記アクリルアミドアルキルスルホン酸は、部分的にまたは完全に中和されており、かつアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩またはアルカノールアンモニウム塩として、好ましくはナトリウム塩またはアンモニウム塩として、特に好ましくはアンモニウム塩として存在する、実施形態24に記載の泡沫製剤。
【0188】
[26]前記アクリルアミドアルキルスルホン酸は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸である、実施形態24または実施形態25に記載の泡沫製剤。
【0189】
[27]前記イオン性モノマー(M1)は、一般式(1)を有するアクリルアミドアルキルスルホン酸
【化5】

であり、式中、Rは、水素、メチルまたはエチルからなる群から選択され、Zは、非置換であってもよいしまたは1以上の(C〜C)−アルキル基で置換されていてもよい(C〜C)−アルキレンであり、Xは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアンモニウムイオン、またはこれらの混合物からなる群から、好ましくはH、Na、NH、またはこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態9から実施形態25のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0190】
[28]前記イオン性モノマー(M1)は、一般式(2)を有する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
【化6】

であり、式中、Xは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアンモニウムイオンまたはこれらの混合物からなる群から、好ましくはH、Na、NHまたはこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態9から実施形態25のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0191】
[29]前記イオン性モノマー(M1)は、アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムまたはアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウムである、実施形態9から実施形態28のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0192】
[30]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、スチレン、クロロスチレン、ジ−(C〜C30)−アルキルアミノスチレン、塩化ビニル、イソプレン、ビニルアルコール、ビニルメチルエーテル、(C〜C30)−カルボン酸ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸エステル;特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル;1〜40個のエチレンオキシド単位を有するアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸のエトキシル化(C〜C30)−アルキルエステル;アクリルアミド、特にN,N−ジ−(C〜C30)−アルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、特にN,N−ジ−(C〜C30)−アルキルメタクリルアミド、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、好ましくはN−ビニルピロリドン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む、実施形態9から実施形態29のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0193】
[31]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル;アクリル酸またはメタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル;1〜40個のエチレンオキシド単位を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエトキシル化(C〜C30)−アルキルエステル;N,N−ジ−(C〜C30)−アルキルアクリルアミド、N,N−ジ−(C〜C30)−アルキルメタクリルアミド、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、好ましくはN−ビニルピロリドン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む、実施形態9から実施形態30のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0194】
[32]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C)−ヒドロキシアルキルエステル、好ましくはアクリル酸ヒドロキシエチル;1〜40個のエチレンオキシド単位を有するアクリル酸またはメタクリル酸のエトキシル化(C〜C30)−アルキルエステル;好ましくはベヘネス−25−メタクリレート;N,N−ジ−(C〜C)−アルキルアクリルアミド、好ましくはΝ,Ν−ジメチルアクリルアミド、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、好ましくはN−ビニルピロリドン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む、実施形態9から実施形態31のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0195】
[33]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸(これらは、各々、遊離酸として、それらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて、または無水物として存在してもよい)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのイオン性モノマーを含む、実施形態9から実施形態32のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0196】
[34]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩またはアンモニウム塩の形態で部分的にまたは完全に中和されて存在するアクリル酸を含む、実施形態33に記載の泡沫製剤。
【0197】
[35]前記少なくとも1つのさらなるモノマーはアクリル酸ナトリウムを含む、実施形態33または実施形態34に記載の泡沫製剤。
【0198】
[36]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1から実施形態35のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0199】
[37]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー、特に好ましくはアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ビニルピロリドンコポリマーである、実施形態1から実施形態36のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0200】
[38]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、一般式(3)を有するアクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー
【化7】

であり、式中、XはNaまたはNH、好ましくはNHであり、nおよびmは、互いに独立に、1〜10,000の範囲で変わる整数である、実施形態1から実施形態37のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0201】
[39]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーはアクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマーである、実施形態1から実施形態36のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0202】
[40]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーはアクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーである、実施形態1から実施形態36のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0203】
[41]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーはアクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマーである、実施形態1から実施形態36のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0204】
[42]前記イオン性モノマー(M1)は、アクリル酸および/またはメタクリル酸であり、前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1から実施形態23および実施形態30から実施形態33のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0205】
[43]前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、およびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態42に記載の泡沫製剤。
【0206】
[44]前記イオン性モノマー(M1)はアクリル酸であり、前記少なくとも1つのさらなるモノマーは2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状または線状のN−ビニルカルボン酸アミドである、実施形態42または実施形態43に記載の泡沫製剤。
【0207】
[45]前記環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミドは、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルアセトアミド、またはN−ビニル−N−メチルアセトアミド、好ましくはN−ビニルピロリドンである、実施形態42から実施形態44のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0208】
[46]前記イオン性モノマー(M1)はメタクリル酸であり、前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、1以上の、アクリル酸またはメタクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、好ましくは1以上のアクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C)−アルキルエステル、より好ましくは1以上のアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、およびこれらの混合物から選択される、実施形態42または実施形態43に記載の泡沫製剤。
【0209】
[47]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、
a)アクリル酸と2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状もしくは線状のN−ビニルカルボン酸アミドとのコポリマーと、
b)メタクリル酸と1以上のアクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C)−アルキルエステルとのコポリマーと
の組み合わせを含む、実施形態1から実施形態23および実施形態42から実施形態46のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0210】
[48]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマーおよび/またはアクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸ターポリマーを含む、実施形態1から実施形態23および実施形態42から実施形態47のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0211】
[49]前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマー、アクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸ターポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態1から実施形態48のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0212】
[50]前記コポリマーは、予め中和された形態で、好ましくは予め中和された粉末形態で使用される、実施形態9から実施形態49のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0213】
[51]前記少なくとも1つのさらなるモノマーに対する前記イオン性モノマー(M1)の重量比は、99:1〜1:99、好ましくは95:5〜5:95、特に好ましくは90:10〜10:90である、実施形態9から実施形態50のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0214】
[52]前記コポリマーは架橋されている、実施形態9から実施形態51のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0215】
[53]前記コポリマーは、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜10重量%の架橋剤を含有する、実施形態52に記載の泡沫製剤。
【0216】
[54]前記架橋剤は、ジアリルオキシ酢酸もしくはその塩、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、メチレンビス(アクリルアミド)、ジビニルベンゼン、ジアリル尿素、トリアリルアミン、1,1,2,2−テトラアリルオキシエタン、アクリル酸アリルエステル、メタクリル酸アリルエステル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリグリコールジアリルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジアリルエーテル、またはこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態52または実施形態53に記載の泡沫製剤。
【0217】
[55]前記コポリマーは、統計的コポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマー、好ましくは統計的コポリマーである、実施形態9から実施形態54のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0218】
[56]前記エマルションは、噴霧剤を除く前記エマルションの総重量に基づき、0.5重量%超、好ましくは1重量%超の前記少なくとも1つの固体乳化剤を含有する、実施形態2から実施形態9および実施形態11から実施形態55のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0219】
[57]前記エマルションは、噴霧剤を除く前記エマルションの総重量に基づき、0.5〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%の前記少なくとも1つの固体乳化剤を含有する、実施形態2から実施形態9および実施形態11から実施形態56のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0220】
[58]前記エマルションにおける前記少なくとも1つのイオン性の、表面活性なポリマーに対する前記少なくとも1つの固体乳化剤の重量比は、0.5:1〜10:1、好ましくは1:1〜8:1、最も好ましくは2:1〜8:1である、実施形態2から実施形態9および実施形態11から実施形態57のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0221】
[59]前記エマルションは、二酸化チタン、二酸化ケイ素、Fe、酸化亜鉛、ビーガム、ベントナイトおよびエチルセルロース、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、石炭、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸エステル、結晶性脂肪アルコール、ポリスチレンもしくはポリメタクリレートなどのポリマー格子、ならびにポリマー擬似格子またはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの微粒子固体乳化剤を含む、実施形態2から実施形態9および実施形態11から実施形態58のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0222】
[60]前記エマルションは、結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸アルキルエステル、結晶性脂肪アルコールまたはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの固体乳化剤を含む、実施形態59に記載の泡沫製剤。
【0223】
[61]前記少なくとも1つの固体乳化剤は、好ましくは10〜40個の炭素原子の鎖長を有する結晶性脂肪酸を含む、実施形態59または実施形態60に記載の泡沫製剤。
【0224】
[62]前記結晶性脂肪酸は、好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸およびアラキジン酸またはこれらの混合物からなる群から選択される飽和脂肪酸、特に好ましくはステアリン酸である、実施形態59から実施形態61のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0225】
[63]前記少なくとも1つの固体乳化剤は、好ましくは10〜40個の炭素原子の鎖長を有する結晶性脂肪アルコールを含む、実施形態59から実施形態62のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0226】
[64]前記結晶性脂肪アルコールは、好ましくは、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデカノール、ステアリルアルコール、セチルステアリルアルコール、エイコサノール、またはこれらの混合物からなる群から選択される飽和脂肪アルコール、特に好ましくはセチルステアリルアルコールである、実施形態59から実施形態63のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0227】
[65]前記少なくとも1つの固体乳化剤は、結晶性脂肪酸アルキルエステル、好ましくはパルミチン酸セチルを含む、実施形態59から実施形態64のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0228】
[66]前記油相は、少なくとも1つのトリグリセリドを含む、実施形態1から実施形態65のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0229】
[67]前記トリグリセリドは、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドを含む、実施形態66に記載の泡沫製剤。
【0230】
[68]前記油相は、好ましくは、オレイン酸デシル、イソノナン酸セテアリルおよび2−オクチルドデカノール、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの脂肪酸アルキルエステルおよび/または脂肪アルコールを含む、実施形態1から実施形態67のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0231】
[69]前記エマルションは、少なくとも1つの増粘剤を含む、実施形態1から実施形態68のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0232】
[70]前記エマルションは、前記増粘剤の乾燥重量および噴霧剤を除く前記エマルションの総重量に基づき、0.2〜1.5重量%増粘剤、好ましくは0.2〜0.8重量%の増粘剤を含む、実施形態1から実施形態69のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0233】
[71]前記増粘剤は、キサンタンガム、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態69または実施形態70に記載の泡沫製剤。
【0234】
[72]前記エマルションは少なくとも1つの活性薬剤を含有する、実施形態1から実施形態71のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0235】
[73]前記活性薬剤は、hydroviton、ピロリドンカルボン酸およびその塩、乳酸およびその塩、グリセロール、ソルビトール、プロピレングリコール、尿素、コラーゲン、エラスチン、絹タンパク質、ヒアルロン酸、pentavitin、セラミド、パンテノール、ナイアシン、α−トコフェロールおよびそのエステル、ビタミンA、ビタミンC、没食子酸塩もしくは没食子酸エステル、ポリフェノール、パンテノール、ビサボロール、植物ステロール、グルココルチコイド、抗生物質、鎮痛薬、消炎薬、抗リウマチ薬、抗アレルギー薬、駆虫薬、抗痒疹薬、乾癬治療薬、レチノイド、局所麻酔薬、静脈治療薬、角質溶解薬、充血性物質、冠動脈治療薬(硝酸塩/ニトロ化合物)、抗ウイルス薬、細胞分裂阻害剤、ホルモン、創傷治癒を促進する薬剤、成長因子、酵素製剤および殺虫剤、ならびに藻類、アロエ、アルニカ、サルオガセ、コンフリー、カバノキ、イラクサ、キンセンカ、オーク、ツタ、マンサク、ヘナ、ホップ、カモミール、ラスカス、ペパーミント、マリーゴールド、ローズマリー、セージ、緑茶、ティーツリー、ツクシ、タイムおよびクルミまたはこれらの混合物の植物エキスなどの植物物質からなる群から選択される、実施形態72に記載の泡沫製剤。
【0236】
[74]前記泡沫製剤は泡沫クリームである、実施形態1から実施形態73のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0237】
[75]前記泡沫製剤は、噴霧剤、好ましくは加圧液化された噴霧剤を含有する、実施形態1から実施形態74のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0238】
[76]前記噴霧剤は、NO、プロパン、ブタン、i−ブタンおよびこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態75に記載の泡沫製剤。
【0239】
[77]前記泡沫製剤は、1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜15重量%の噴霧剤を含有する、実施形態1から実施形態76のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0240】
[78]前記泡沫製剤は、加圧容器の中に存在する、実施形態1から実施形態77のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤。
【0241】
[79]泡沫製剤の製造のための、油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションの使用であって、前記エマルションは、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含み、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、使用。
【0242】
[80]実施形態1から実施形態70のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤の製造のための、実施形態79に記載の使用。
【0243】
[81]前記エマルションは、少なくとも1つの固体乳化剤を含む、実施形態79または実施形態80に記載の使用。
【0244】
[82]水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤を安定化するための、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーの使用であって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、使用。
【0245】
[83]前記ポリマーは、少なくとも1つの固体乳化剤と組み合わせて使用される、実施形態82に記載の使用。
【0246】
[84]活性薬剤のための担体としての、実施形態1から実施形態78のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤の使用。
【0247】
[85]皮膚ケア剤としての、実施形態1から実施形態78のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤の使用。
【0248】
[86]皮膚洗浄剤としての、実施形態1から実施形態78のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤の使用。
【0249】
[87]日焼け止めとしての、実施形態1から実施形態78のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤の使用。
【0250】
[88]化粧品、医薬製品または医薬組成物の製造のための、実施形態1から実施形態78のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤の使用。
【0251】
[89]実施形態1から実施形態78のいずれか1つの実施形態に記載の泡沫製剤を製造するための方法であって、
a)水中油型のエマルションを調製する工程と、
b)前記エマルションを噴霧剤とともに加圧容器へと充填する工程、または
c)前記エマルションを、前記エマルションの分注の際に泡沫を生成する、加圧容器以外の容器へと充填する工程と
を含む方法。
【0252】
[90]前記エマルションの製造は、
(1)液体油相を準備する工程と、
(2)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含む水相を準備する工程であって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)、および
少なくとも1つのさらなるモノマー
を含むコポリマーである工程と
(3)前記水相を前記油相と混合および均質化する工程と
を含む、実施形態89に記載の方法。
【0253】
[91]工程(1)で準備される油相は、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または工程(2)で準備される水相は、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または前記方法は、好ましくは、以下のさらなる工程、
(4)水性の増粘剤溶液を準備する工程と、
(5)前記増粘剤溶液を工程(3)で得られるエマルションと混合する工程と
を含む、実施形態90に記載の方法。
【0254】
[92]前記エマルション製造は、
(1)液体油相を準備する工程と、
(2)水相を準備する工程と、
(3)前記水相を前記油相と混合および均質化して、エマルションを得る工程と、
(4)5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含有するさらなる水相を準備する工程であって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)、および
少なくとも1つのさらなるモノマー
を含むコポリマーである工程と、
(5)前記さらなる水相を工程(3)で得られるエマルションと混合する工程と
を含む、実施形態89に記載の方法。
【0255】
[93]工程(1)で準備される油相は、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または工程(2)で準備される水相は、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または工程(4)で準備されるさらなる水相は、少なくとも1つの増粘剤を含有し、かつ/または前記方法は、好ましくは、以下のさらなる工程、
(6)水性の増粘剤溶液を準備する工程と、
(7)前記増粘剤溶液を工程(5)で得られるエマルションと混合する工程と
を含む、実施形態92に記載の方法。
【0256】
[94]工程(5)における前記さらなる水相と前記エマルションとの混合は、10〜30℃、好ましくは15〜25℃の温度で、特に好ましくは室温で実施される、実施形態92または実施形態93に記載の方法。
【0257】
[95]前記液体油相は、工程(1)で、好ましくは60〜90℃の温度に加熱することにより、透明な融体の形態で準備される、実施形態90から実施形態94のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【0258】
[96]工程(3)における前記水相と前記油相との混合および均質化は、25〜60℃、好ましくは30〜50℃の温度で実施される、実施形態90から実施形態95のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【0259】
[97]工程(1)で準備される液体油相は、少なくとも1つの固体乳化剤を含有する、実施形態90から実施形態96のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【0260】
[98]前記エマルションは、前記泡沫製剤の重量に基づき、1〜20重量%、好ましくは2〜18重量%、より好ましくは5〜15重量%、特に好ましくは10重量%の噴霧剤とともに充填される、実施形態89から実施形態97のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【0261】
[99]前記噴霧剤は加圧液化された噴霧剤である、実施形態89から実施形態98のいずれか1つの実施形態に記載の方法。
【実施例】
【0262】
6. 実施例
6.1. 実施例A:
【表1】

表に示す値はグラム(g)単位での重量を指す。
【0263】
O/W−エマルション/ゲルクリームの製造:
相1の成分を70℃に加熱して、透明な融体を得る。40℃に冷却後、40℃に加熱した相2の中へ相1を乳化させる。この混合物を3000rpmで5分間、均質化する。室温まで冷却後、得られたエマルションに相3を1000rpmで混合する。
【0264】
泡沫製剤の製造:
90gのこのエマルションをアルミニウムの一体鋳造の缶に充填し、10.00gの噴霧剤(プロパン−ブタン混合物)を充填する。
【0265】
泡沫製剤:
泡沫アプリケーターが取り付けられている好適な弁によって加圧容器から上記泡沫製剤を分注すると、クリーム泡沫が形成される。
【0266】
実施例A1〜A6の製剤を用いると以下の泡沫の品質が成し遂げられる。
【表2】

「−−」:非常に粗い泡の泡沫で、1分未満で崩壊することを意味する;「−」:粗い泡の泡沫で、1分未満で崩壊することを意味する;「±」:粗い〜微細な泡の泡沫で、1〜2分以内で崩壊することを意味する。
【0267】
泡沫安定性が「±」として示される製剤の場合は、泡沫の品質は、より高い含有量の乳化剤コポリマー(油相の中に固体物質が同時に存在する)によって「+」へと変わる可能性がある。
【0268】
6.2. 実施例B:
【表3】

表に示す値はグラム(g)単位での重量を指す。
【0269】
O/W−エマルション/ゲルクリームの製造:
相1の脂質成分を70℃に加熱して、透明な融体を得る。40℃に冷却後、2つのポリマーであるキサンタンガムおよびCosmedia SPをこの油の中に分散させる。
【0270】
相2の製造のために、尿素、プロピレングリコールおよびグリセロールを、40℃に加熱した水に加え、その水の中に溶解させるかまたは水とブレンドさせる。乳化剤コポリマー(実施例B1〜B4では「Aristoflex AVC」;実施例B5では「Sepinov EMT 10」;実施例B6では「Seppic 8732 MP」、または実施例B7では「Seppic 8947 MP」)をこの水溶液または混合物に加え、撹拌しながら溶液にする。40℃および1000rpmで、相1を相2の中へと乳化させる。その後、このエマルション/ゲルクリームを室温まで冷却する。
【0271】
泡沫製剤の製造:
90gのこのエマルションをアルミニウムの一体鋳造の缶に充填し、10.00gの噴霧剤(プロパン−ブタン混合物)を充填する。
【0272】
泡沫製剤:
泡沫アプリケーターが取り付けられている好適な弁によって加圧容器から上記泡沫製剤を分注すると、クリーム泡沫が形成される。
【0273】
実施例B1〜B7の製剤を用いると以下の泡沫の品質が成し遂げられる。
【表4】

「−」:粗い泡の泡沫で、1分未満で崩壊することを意味する;「±」:粗い〜微細な泡の泡沫で、1〜2分以内で崩壊することを意味する;「+」:微細な泡の泡沫で、2分より長く経過してから崩壊することを意味する。
【0274】
泡沫安定性が「±」として示される製剤の場合は、泡沫の品質は、より高い含有量の乳化剤コポリマー(油相の中に固体物質が同時に存在する)によって「+」へと変わる可能性がある。
【0275】
6.3. 実施例C:
【表5】

1)q.s.=必要量;トロメタモールを、相3をpH 6〜7に調整するための量だけ加える。
2)水の量は、相3の重量が40gであるように選ばれる。
表に示す値はグラム(g)単位での重量を指す。
【0276】
OWエマルション/ゲルクリームの製造:
相1の成分を70℃に加熱して、透明な融体を得る。40℃に冷却後、40℃に加熱した相2の中へ相1を乳化させる。この混合物を3000rpmで5分間、均質化する。室温まで冷却後、得られたエマルションに相3(pH 6〜7に調整する)を1000rpmで混合する。
【0277】
泡沫製剤の製造:
90gのこのエマルションをアルミニウムの一体鋳造の缶に充填し、5.00gの噴霧剤(プロパン−ブタン混合物)を充填する。
【0278】
泡沫製剤:
泡沫アプリケーターが取り付けられている好適な弁によって加圧容器から上記泡沫製剤を分注すると、クリーム泡沫が形成される。
【0279】
実施例C1〜C5の製剤を用いると以下の泡沫の品質が成し遂げられる。
【表6】

「+」:微細な泡の泡沫で、2分より長く経過してから崩壊することを意味する;「++」:微細な泡の泡沫で、4分より長く経過してから崩壊することを意味する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤であって、前記エマルションは、
5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーであって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として、
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、泡沫製剤。
【請求項2】
前記エマルションは、少なくとも1つの固体乳化剤をさらに含む、請求項1に記載の泡沫製剤。
【請求項3】
前記エマルションは、噴霧剤を除く前記エマルションの総重量に基づき、0.5〜7重量%、好ましくは0.5〜5重量%、特に好ましくは0.5〜3重量%の前記少なくとも1つの固体乳化剤を含有する、請求項2に記載の泡沫製剤。
【請求項4】
前記エマルションは、二酸化チタン、二酸化ケイ素、Fe、酸化亜鉛、ビーガム、ベントナイトおよびエチルセルロース、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、石炭、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、結晶性脂肪酸、結晶性脂肪酸エステル、結晶性脂肪アルコール、ポリスチレンまたはポリメタクリレートなどのポリマー格子、およびポリマー擬似格子またはこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの微粒子固体乳化剤を含む、請求項2または請求項3に記載の泡沫製剤。
【請求項5】
前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、前記イオン性モノマー(M1)とは異なる極性を有する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項6】
前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、イオン性モノマー、非イオン性モノマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項7】
前記イオン性モノマー(M1)は、遊離の、部分的に中和された、または完全に中和された酸官能基を含有し、前記酸官能基は、好ましくは、スルホン酸基、カルボン酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項8】
前記イオン性モノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸(これらは、各々、遊離酸として、それらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて、または無水物として存在してもよい)、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項9】
前記イオン性モノマー(M1)は、アクリル酸、メタクリル酸、およびアクリルアミドアルキルスルホン酸からなる群から選択される、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項10】
前記イオン性モノマー(M1)は、一般式(1)を有するアクリルアミドアルキルスルホン酸
【化1】

であり、式中、Rは、水素、メチル、またはエチルからなる群から選択され、Zは、非置換であってもよいしまたは1以上の(C〜C)−アルキル基で置換されていてもよい(C〜C)−アルキレンであり、Xは、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアンモニウムイオン、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項11】
前記イオン性モノマー(M1)は、一般式(2)を有する2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
【化2】

であり、式中、X、H、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、アルカノールアンモニウムイオン、またはこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項12】
前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、スチレン、クロロスチレン、ジ−(C〜C30)−アルキルアミノスチレン、塩化ビニル、イソプレン、ビニルアルコール、ビニルメチルエーテル、(C〜C30)−カルボン酸ビニルエステル、好ましくは酢酸ビニルおよびプロピオン酸ビニル;アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸エステル;特にアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル;1〜40個のエチレンオキシド単位を有する、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸およびクロトン酸のエトキシル化(C〜C30)−アルキルエステル;アクリルアミド、特にN,N−ジ−(C〜C30)−アルキルアクリルアミド、メタクリルアミド、特にN,N−ジ−(C〜C30)−アルキルメタクリルアミド、2〜9個の炭素原子を有する炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、好ましくはN−ビニルピロリドン;ならびにこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの非イオン性モノマーを含む、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項13】
前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アクリルアミドアルキルスルホン酸(これらは、各々、遊離酸として、それらの塩、好ましくはアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩もしくはアンモニウム塩の形態で部分的にもしくは完全に中和されて、または無水物として存在してもよい)、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのイオン性モノマーを含む、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項14】
前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ビニルピロリドンコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸塩/ジメチルアクリルアミドクロスポリマー、アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウムコポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項15】
前記イオン性モノマー(M1)はアクリル酸および/またはメタクリル酸であり、
前記少なくとも1つのさらなるモノマーは、2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状および線状のN−ビニルカルボン酸アミド、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、アクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−ヒドロキシアルキルエステル、メタクリル酸の線状および分枝状の(C〜C30)−アルキルエステル、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項16】
前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、
a)アクリル酸と2〜9個の炭素原子の炭素鎖を有する環状もしくは線状のN−ビニルカルボン酸アミドとのコポリマーと、
b)メタクリル酸と1以上のアクリル酸の直鎖状もしくは分枝状の(C〜C30)−アルキルエステルとのコポリマーと
の組み合わせを含む、請求項1から請求項9および請求項15のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項17】
前記少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーは、アクリル酸/N−ビニルピロリドンコポリマーおよび/またはアクリル酸tert−ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸ターポリマーを含む、請求項1から請求項9および請求項16のいずれか1項に記載の泡沫製剤。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の泡沫製剤の製造のための、油相および水相を含む水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションの使用であって、前記エマルションは、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーを含み、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、使用。
【請求項19】
水中油型の実質的に乳化剤を含まないエマルションを含む泡沫製剤を安定化するための、5000g/mol超の分子量を有する少なくとも1つの表面活性なイオン性ポリマーの使用であって、前記イオン性ポリマーは、モノマー単位として
イオン性モノマー(M1)と、
少なくとも1つのさらなるモノマーと
を含むコポリマーである、使用。
【請求項20】
前記ポリマーは、少なくとも1つの固体乳化剤と組み合わせて使用される、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
活性薬剤のための担体としての、皮膚ケア剤としての、皮膚洗浄剤としての、日焼け止めとしての、または化粧品、医薬製品または医薬組成物の製造のための、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の泡沫製剤の使用。
【請求項22】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の泡沫製剤を製造するための方法であって、
a)水中油型のエマルションを調製する工程と、
b)前記エマルションを噴霧剤とともに加圧容器へと充填する工程、または
c)前記エマルションを、前記エマルションの分注の際に泡沫を生成する、加圧容器以外の容器へと充填する工程と
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−513558(P2013−513558A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−542400(P2012−542400)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007542
【国際公開番号】WO2011/069674
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(505219912)ノイブルク スキン ケア ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (5)
【氏名又は名称原語表記】NEUBOURG SKIN CARE GMBH & CO.KG
【Fターム(参考)】