乾燥粉末の投与量を生産するための供給チャンバ、装置、および方法、また充填中における乾燥粉末中の粒子分離を制御する方法
本発明は、乾燥粉末薬剤の投与量を正確に計量し、乾燥粉末吸入器(DPI)による投与に適合されかつ事前に成形されたコンテナ中に容積測定による充填を行うための方法、および装置を開示する。本発明の充填装置は、少なくとも原料粉末供給源(401)、供給チャンバ(134)、および乾燥粉末の指定された充填材料質量(202)の容積を提供する容器(110)を含む。原料粉末供給源は、粉末の一部分を断続的に供給チャンバに放出するが、充填動作中は供給チャンバおよび容器との接続が解除される。充填装置はさらに、移動可能な供給チャンバと接触する平坦な表面(103)を提示し、また動摩擦および粉末の残留を低減するための耐摩耗性のある低摩擦コーティングを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細化された乾燥粉末の計量された投与量を用いて一連のコンテナを充填するための方法およびデバイスに関し、その投与量は、乾燥粉末吸入器(DPI)により吸入されるように意図されている。
【0002】
(背景)
今日の医療サービスでは、薬の投与はいくつかの異なる方法で行われる。健康管理においては、乾燥薬剤の粉末を患者の気道および肺に直接吸入することにより薬を投与することに基づく医療製品に対する関心が高まっている。多くの様々な疾患の治療のために乾燥粉末の投与量として配合された多くの物質の、効率のよい、迅速な、さらに使い勝手のよいデリバリを提供するので、乾燥粉末吸入器(DPI)に関心の集中することが多い。効き目が早く、吸入された投与量の効果が、例えば、経口投与されたカプセルまたは錠剤よりずっと高くなることがしばしばあるので、吸入投与量には、経口カプセルまたは錠剤における薬剤粉末量のうちの少量が必要となるだけである。比較的少量で、吸入可能な、乾燥粉末の計量された薬剤投与量に対する要求が増加しており、それには、少量で、かつ低い相対標準偏差(RSD)を有する正確な吸入投与量を作製するためのよりよい充填方法およびデバイスが必要となる。
【0003】
容積測定による充填は、薬剤の乾燥粉末投与量を生産する最も普通の方法である。通常、第1ステップで、ある分量の粉末が、重力により、しばしば、詰込み(impaction)もしくは振動の形の機械的エネルギにより支援されて指定容積の容器中に導入され、あるいは、容器は吸引力によっても充填され得る。次いで、第2ステップで、余剰と考えられる粉末を除去した後、容器を排出位置に移動し、そこで、粉末は、容器から、重力および/または機械的な手段によりブリスタ(blister)もしくはカプセルなどのコンテナ中に排出される。複数の容器を充填ツール中に配置することができ、その充填ツールは、粉末の計量された量すべてが各コンテナ中に排出され得るように、対応する容器と一致する複数のコンテナ、例えば、ブリスタもしくはカプセルを運ぶ機構に適合され得る。容器を、ほぼ連続的で周期的に充填しかつ排出できるように、充填マシーンに充填ツールを統合化することができる。従来技術の諸例は、例えば、発行物、EP0319131B1、WO95/21768、US6267155B1、US6581650B2、およびDE20209156U1で学ぶことができる。
【0004】
吸入用粉末は、粉末における多量の粒子の大部分が、空気力学的粒子サイズ(AD)で1μmと5μmの間にあるように微細化されるか、あるいは非常に多孔性である必要がある。5μmより大きい粉末粒子は、吸入されたとき肺に蓄積せず、口および上気道に付着される傾向があり、その場合、薬剤が無駄になり、また有害な副作用を引き起こすこともあり得る。しかし、微細化された粉末は、ほとんど自由に流れることがなく、それが接触したすべての表面に付着される傾向があり、また、小さな粒子は凝集して塊になりやすい。それは、原料密度が、たとえ粉末量に対して測定したとき一定であったとしても、投与量間で相当大きく変化し、投与量よりも数桁大きくなり得るので、正しい投与量の計量をより困難にしている。したがって、正しい量を計量して投与量コンテナ中に充填することは、少ない投与量を用いる場合はさらに困難である。しかし、5mgから0.1mgに至るまでの投与量に対する要求は増加しており、業界に対して製造段階における計量および充填のための方法およびデバイスを改善するように、ならびに乾燥粉末吸入器に対して非凝集および効果の点から性能を改善するように圧力が加えられている。計量エラーを低減するために計量容器中に粉末を詰め込むことは可能であるが、凝塊形成が悪化しないように、また、塊が、吸入器により確実に非凝集化され得るように注意が必要である。
【0005】
さらに、粒子に作用する静電気力、摩擦力、およびファンデルワールス力は、粒子サイズが減少すると重力よりも強くなる。医療用粉末は、特に乾燥条件で、粉末の移送中および取扱い中に静電気の帯電を非常に受けやすい。
【0006】
吸入用に微細化された粉末の薬剤投与量を正確に計量するための、また吸入器デバイスで使用するのに適切なコンテナ中に、投与量を一貫性があり高い信頼性で充填するための方法およびデバイスの改善が求められている。
【0007】
(概要)
本発明は、微細化した乾燥粉末を、正確に、反復可能に計量し、かつ事前に成形されたコンテナ中に充填するための方法およびデバイスを開示し、コンテナおよびそれに含まれる投与量は、DPIによる吸入に適合される。
【0008】
開示された方法の特定の一実施形態では、粉末入口および粉末出口を有する粉末供給チャンバは、計量容器に利用可能な知られた品質の粉末の作製において、選択された乾燥粉末薬剤のための重要な中間プロセスステップとして使用される。粉末の一部分は、容器が作られる高精度に仕上げられた低摩擦面を提示する充填ツールの計量容器中に、吸引法により移送される。充填後、容器中に得られた粉末の充填材料(load)は、空気圧により容器から押し出されて投与量コンテナ中に排出される。
【0009】
供給チャンバは、チャンバ中の粉末量を好ましくは一定に保つために、選択された粉末の原料供給源から、好ましくは、重力的な配置により断続的に補給される。供給チャンバは、多数の容器充填材料と等量の粉末を保持する。本方法は、微細化された、通常、容易に流れないものであっても、多くの乾燥粉末に適している。開示の方法は、低エンタルピ方法、すなわち、充填および計量ステップのすべてにおいて、粉末に供給されるエネルギは、従来技術の充填方法と比較して非常に低い。本発明の特定の一実施形態では、供給チャンバ中の粉末は、崩され(collapse)、また少なくとも1つの機械的部材によりチャンバの壁から分離されており、その機械的部材は、チャンバ中の粉末本体が、例えば、チャンバの壁から一様に分離されるように、好ましくは計量容器を充填する前に、チャンバの内側を移動する。そのステップは、容器が供給チャンバ出口と一致したとき、粉末の一部分がチャンバ出口から容器に吸引される直前に行われるのが好ましい。一貫性のある粉末の充填材料で容器を繰り返し充填するためには、非常に短くかつ低いパワーの吸引パルスで十分である。
【0010】
本発明の特定の一実施形態では、供給チャンバ出口は、チャンバ中の粉末本体から粒子が出口を通って逃げないように、常に充填ツールの表面と緊密に接触している。チャンバ出口と充填ツールの間で接触は常に維持されるが、充填ツールは、容器がチャンバ出口から接触を解除して充填材料を排出する位置に移動するように、チャンバ出口に対して移動可能である。驚くことには、その相対的な運動は、容器を充填した後のチャンバ中の粉末本体の均質性を回復させるのを助け、また、わずかではあるが、粉末粒子と充填ツール表面の間の剪断力がチャンバ中に貯えられた粉末中の不規則性をさらになくすようにする。
【0011】
本発明は、以下の利点を提供する。
・乾燥粉末の少ない投与量を、高精度でかつ正確に生産するために使用できること。
・粒子の低い凝集性を得るために、低エンタルピの原理に従って動作すること。
・低くかつ制御可能な粒子分離を有すること。
・定常状態条件中で、比較的一定した粒子サイズの勾配を提供すること。
・低自由流れ特性を有する微細化した粒子に使用できること。
【0012】
本発明によって提供される他の利点は、本発明の諸実施形態の以下の説明を読めば理解されよう。
【0013】
本発明は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより、そのさらなる目的および利点も合わせて非常によく理解することができる。
【0014】
(発明の説明)
本発明は、乾燥粉末薬剤の投与量を、正確に計量し、かつ事前に成形されたコンテナに容積測定による充填を行うための方法、デバイス、および装置を開示し、その投与量およびコンテナは、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いた吸入により投与するように適合されている。本発明による方法は、図1の流れ図で示す。
【0015】
従来技術の方法およびデバイスは、主に、複数の全体に円錐形の計量キャビティ(cavity)、すなわち、容器を有する円筒形の充填ツールを使用し、それは、大量の粉末を保持する供給源からの原料粉末で充填される。次いで、その円筒形の充填ツールは、排出位置へと回転し、そこで、充填された容器が適切なパッケージ中に排出される。しかし、充填工程は、充填プロセスに含まれる粉末、特に、容器に充填される粉末の細粒分(fine particle fraction)の品質に影響を与えるため、容器中に充填される粉末の品質は、時間が経過すると変動する。したがって、原料粉末を混合し均一化し、また原料粉末中に形成され得る粒子の凝集を非凝集化するために、製造者の好みに応じて、様々の供給源から原料粉末にエネルギが供給される。
【0016】
本発明は、いくつかの点で既存の従来技術の改良である。従来技術の方法およびデバイスは、しばしば、振動、ふるい、および他のパワーデバイスを用いて、粉末を移送し、また粉末保管部の粒子を凝集しないようにする。従来技術は、高エンタルピ方法と要約することができる。本発明は、原料保管部から計量容器に粉末を移送するために可能な限りエネルギを使用しない。本目的は、好ましくは分離(下記を参照)を回避し、または少なくともそれを制御し、また低エンタルピ充填システムを用いて粒子の凝集を回避することである。
【0017】
5μm未満の空気力学的な直径(AD)を有する、吸入に適した微細粉末は、超微粉砕、例えば、ジェットミル、または噴霧乾燥により生成することができる。特別な乾燥粉末配合は、例えば、噴霧乾燥プロセスで、または5μmよりずっと大きい幾何的な直径を有するが、なお、5μm未満のADを有する非常に多孔性の粒子を作ることにより生成することができる。活性作用薬を含むそれらの微細粉末は、流れやすいことはまれであり、さらに、例えば、得られる薬剤の効力を薄めるために付形剤を加える必要がしばしばある。粉末の流動性を高める普通の方法は、活性微細粉末成分を、より小さな活性微細粉末粒子のキャリアとして働くより大きな粒子を有する生物学的に許容可能な付形剤と混合することである。これは、オーダードミクスチャ(ordered mixture)である。
【0018】
しかし、ある範囲の粒子サイズを含む任意の粉末は、それが、完全な、オーダードミクスチャであろうと、それとも単一の乾燥粉末配合であろうと、粉末が充填プロセス中で移送され、または処理される場合、小さい粒子が大きい粒子から分離される危険がある。例えば、小粒子は、特に、保管部が励起されている場合に、重力により保管部の底に落ちる傾向があり、したがって、時間が経過すると、保管部の底近くで小さな活性粒子の濃度が増加し、保管部の上部では欠乏することになる。その結果、計量された投与量の質量はバッチ全体にわたりある程度一定であるが、充填プロセスの実行中に、計量された投与量中の活性作用薬の微細粒子投与量は、多すぎる場合から少なすぎる場合まで、充填プロセスに応じて逆も同様であるが、変動することになる。その結果、吸入される活性投与量は、その投与量がバッチの実行中の早い段階で生成されたものであるか、それとも、後で生成されたものかに応じてかなり変動することになる。それは、当然許容できないことである。したがって、充填プロセスは、分離の問題を積極的に処理し、それを制御下に保つ必要がある。
【0019】
分離の問題を認識したが、次に、連続する充填動作において、粉末が保管部の底から供給されており、また新鮮で影響を受けていない原料粉末が保管部の上部に補給されている場合、底近くの小さな粉末粒子の濃度は、定常状態条件に達した後、上部の新しい粉末の濃度未満になるはずである。本発明の特定の一実施形態では、好ましくは重力または他の適切な手段により、原材料粉末供給源から、生産される限られた数の投与量のためには十分な、限られた量の粉末を保管する容量を有する供給チャンバの第1の端部の入口中に、複数の部分に分けて粉末配合が放出される。
【0020】
粉末の分離は、このように比較的小さな供給チャンバに制限される。通常、チャンバ中に存在する粉末柱の1回の動作後に、粉末が粉末出口を通って供給されると、供給チャンバ中に存在している粉末の本体、いわゆる柱の中で速やかに定常状態条件に達するが、それは、当然、供給チャンバ出口から供給された粉末を補うために原料粉末供給源から粉末が適切な方法で受け取られていることを前提とする。したがって、供給チャンバの最初の充填後、投与量の計量および充填中に、チャンバ出口からの断続的な粉末の流れを補うために、原料粉末は比較的小さな部分でチャンバの入口に断続的に供給される。チャンバ入口からチャンバ出口まで、粉末粒子が、速度の遅いプラグ状(plug−like)の断続的な流れとして移送される間、供給チャンバは、原料粉末の品質および特性を維持するように構成される。従来技術とは反対に、本方法は、粉末を移送するためにほとんどパワーを使用せず、また本方法は、供給チャンバ中で自然に凝集が形成されないという単純な理由により、粒子の凝集を破砕するためにエネルギを加えることが回避される。したがって、原料粉末の特性は、供給チャンバ入口からその出口まで元のままである。しかし、限られた数の投与量が生産された最初の開始期間の後、供給チャンバ中に含まれる粉末中に形成される、入口から出口まで微細粒子欠乏のある種の勾配により特徴付けられた定常状態条件に達する。最初の開始期間の後、微細粒子の濃度は、供給チャンバ入口の充填された原料粉末と比べて、出口に近い粉末中で常に少ない。供給チャンバは、原料粉末の一部分で断続的に補給されるため、勾配および欠乏は許容可能な値に保たれ、それにより、供給チャンバ中の粉末本体は安全限度内に保たれる。欠乏の程度は、粉末の配合および粒子サイズ分布に依存する。
【0021】
充填工程に利用可能な原料粉末を作る本方法を適用することにより、投与量質量および細粒分の点で投与量相互間の変動を、従来技術の充填方法と比べて劇的に改善することができる。充填プロセスにおける分離現象を示す図表を図13に示す。図示の例は、80対20の関係で、乳糖とインシュリンの混合物であり、インシュリン粉末は、直径5μm未満の小粒子からなり、乳糖粒子は、約10倍大きい。粉末中のインシュリンの小粒子の濃度が、供給チャンバで採取されたサンプルの位置に対してプロットされている。小粒子の濃度は、供給チャンバの底または出口端部の方向にかなり下がる。
【0022】
供給チャンバは、充填および排出が容易なように、形状は円筒形で軸が垂直であることが好ましいが、他の形状および構成も当業者には自明なはずであり、またそのような変形形態は、なお、本発明の範囲に含まれる。チャンバは、任意選択で、供給チャンバ中の粉末柱を崩すことのできる少なくとも1つの付勢可能部材、例えば、掻き取り(scraping)、振動、または撓ませる(flexing)部材を備え、それにより、チャンバを介して粉末のプラグ状の流れを維持することができる。さらに、本発明の特定の一実施形態では、チャンバおよび少なくとも1つの掻き取り部材は、少なくとも1つの掻き取り部材がチャンバ壁に対して移動して、全回転の少なくとも一部分をカバーすることができるように、互いに回転可能であり、それにより、その相対運動でカバーされているチャンバのセクションで、内壁から粉末を分離することができる。1つまたは複数の掻き取り部材は、チャンバの内側表面全体が、充填動作の開始前に、粉末が残らないように拭き取られる。掻き取りアクションは、全体に、チャンバの内壁と接触しない粉末の円筒形の柱を生成する。掻き取り部材は、任意選択の出口部分を含めてチャンバの全体長よりわずかに短く作るのが有利である。チャンバの好ましい垂直な姿勢では、チャンバの出口端部と強制的に接触する充填ツールの表面により、粉末の柱が第2の端部出口の開口部を通って落下するのが阻止される。したがって、機会があれば、粉末柱は、多孔性の粉末柱としてその中心線に沿って自由に移動し、それにより、高いタップ密度のため柱中で大きな粒子から小さな粒子のランダムな分離が回避され、また剪断力および摩擦力を得ることができる。
【0023】
供給チャンバの特定の一実施形態は、チャンバの中心軸に沿って移動可能な、チャンバの出口端部を構成する別個の部分を有する。その出口部分は、チャンバにばねでマウントされることが好ましく、それにより、出口端部と充填ツール表面の間に力を生成する。出口部分は、このようにスクレーパを構成し、またチャンバそれ自体とは異なる材料から作ることができる。その材料および表面仕上げは、例えば、充填ツールに対する摩擦を最小にするように選択することができる。本発明の特定の一実施形態では、充填ツールの表面は平坦であり、かつ高精度に仕上げられる。本発明の他の諸実施形態は、部分的な円筒形または部分的な球形など、非平面の充填ツール表面を備えることもできる。
【0024】
本発明はさらに、好ましくは高精度仕上げされた平面において、少なくとも1つのキャビティを有する充填ツールを開示する。そのキャビティは、所定量の粉末を計量するための容器を形成する。容器のサイズおよび容積は、開示の充填方法から得られる選択されたタイプの粉末の充填材料量を決定するが、その充填材料は、通常0.1mgから50mgの範囲であり、好ましくは、0.1mgから10mgの範囲であり、さらに好ましくは0.1mgから5mgの範囲である。容器の形状は、受け取る投与量コンテナの選択されたタイプに適合される。例えば、容器は、形状を切頭形(truncated)、円錐形、球形、立方体形、または全体に長円形とすることができる。さらに、容器は、充填ツールの平坦な表面に第1の開口部、および充填ツールの内側に、通常、より小さい第2の開口部を有する。第2の開口部にフィルタを適用することができ、また充填および排出動作において使用されるフィルタのもう一方の側に空気ノズルを接続することができる。充填ツールは、2つ以上の部分から構成されることが好ましく、容器を含む各領域が第1の部分を構成し、それは、第2の部分を構成する充填ツールの残りの部分から取外し可能である。したがって、供給チャンバ出口が、排出されようとする充填された容器を含む第1の部分と接触していない場合、第1の部分は、第2の部分から取り外されその充填材料を排出する。排出された後、充填ツールの第1の部分は、充填ツールの第2の部分に復帰する。このように、供給チャンバ出口は、第2の部分の充填ツール表面との接触を決して失うことはない。排出のために取り外された場合、充填ツールの第1の部分は、好ましくは、方向を変え、したがって、空気パルスが充填材料を押し出したとき、選択されたコンテナ中に重力で支援されるように、容器の第1の開口部は下向きにされる。
【0025】
本発明の他の実施形態では、充填ツールは、容器ごとの単一のアイテムである。容器は、第1の開口部を介して充填され、第2の開口部を介して排出することができる。充填段階で、第1の開口部は、粉末を入れるために覆いが取られ、一方、充填動作中は、第2の開口部に第2のフィルタが適用される。容器は、供給チャンバ出口が容器に対して正しい位置にあるとき、フィルタを通して吸引することにより充填される。排出段階で、第1のフィルタが容器の第1の開口部に適用され、第2の開口部が、第1のフィルタがその時点で除去されることにより開放されたままであり、したがって、空気圧パルスが、フィルタを通して第1の開口部に加えられると、容器中の充填材料が選択されたコンテナ中に押し出される。
【0026】
本発明によると、充填シーケンスは、図1で示す以下の諸ステップを含む。
【0027】
I.(図1のステップ2)充填ツール表面と接触している開放された出口端部を有する供給チャンバが、容器の第1の開口部よりもその出口端部の直径が大きい供給チャンバの出口端部と充填ツールの容器が一列に並ぶように、充填ツールに対して動作する。任意選択の少なくとも1つの付勢可能部材がチャンバの動きと同時に付勢され、それにより粉末の柱が作製される。
【0028】
II.(図1のステップ3)容器の第1の開口部が供給チャンバ出口と一致したとき、容器の第2の開口部に吸引パルスが加えられ、それにより、供給チャンバ中の粉末柱の一部分が容器中に吸引されて完全にそれを充填する。容器中に適合されなかった余剰の粉末は、供給チャンバ中に残るが、それは、充填ツールの外部表面が供給チャンバの出口開口部と強制的に接触されており、供給チャンバの外に余剰粉末の逃げる余地が残されていないからである。加えられた吸引は、粉末柱全体をプラグ状に出口端部の方向に移動させ、不規則性を一様化し、また供給チャンバ中で粉末をある程度詰め込むようにし、したがって、チャンバ中の粉末柱が復元される。チャンバ出口が容器の外側に移動する前に、吸引パルスは停止する。任意選択では、吸引は容器がチャンバ出口と一致する位置でチャンバが一時的に停止したときに行われるが、吸引のパルスは、通常、チャンバが充填ツールに対して移動する間に加えられる。
【0029】
III.(図1のステップ4)容器中に充填材料を搬送する充填ツールの第1の部分もしくは一部分は、次に排出位置に移動し、充填材料を第1の開口部を介して押し出す場合、その逆も同様であるが、容器の第2の開口部に導かれた空気圧パルスにより計量された充填材料が押し出され、充填材料は投与量コンテナ中に落とされる。
【0030】
IV.(図1のステップ5および6)複数の充填材料が1回の投与量を示す場合は、コンテナ中に落とされる充填材料の数をカウントする必要がある。
【0031】
V.(図1のステップ7および8)コンテナ中に投与量が充填された後、コンテナはシールされ、パッケージングに送られる。粉末の充填材料を受け入れるために新しいコンテナが準備される。
【0032】
VI.(図1のステップ9)任意選択で、充填位置に復帰する前に、容器は、例えば、真空掃除によりクリーニングされる。
【0033】
VII.(図1のステップ1)次に、必要な場合、供給チャンバを原料粉末供給源からの粉末で充填することができ、新しくなった柱がチャンバ中に形成され、新しい充填動作を待つことができる。
【0034】
本発明の特定の一実施形態では、供給チャンバは付勢可能部材に対して、その逆の場合も同様であるが、回転し、一方、チャンバは、充填ツールの方向に移動してチャンバ出口を容器に対する定位置に運び、したがって、容器は、粉末柱からの粉末で充填することができる。チャンバ出口は、すべての相対運動の間、充填ツールの表面と一定の接触状態にある。したがって、チャンバ中の柱と充填ツール表面の間での回転および運動により剪断力を受ける。剪断力および摩擦力は、ただし、材料および仕上げの注意深い選択により摩擦力は可能な限り小さくなっているが、柱全体の原材料密度における差を一様化させる。逃れた粒子が充填ツールの容器中に吸引されたときに生ずる粉末柱のより多孔性の部分は、充填される容器からの吸引により、また柱の出口端部における粉末、移動し回転するチャンバ出口、および平坦な充填ツール表面の間に作用する摩擦力の支援を得て、柱中の結合された粒子重量により柱が崩れると充填される。充填ツール表面に対する柱の重量または圧力は、垂直姿勢である場合、原料密度および柱の高さに比例する。
【0035】
チャンバ中の粉末は、通常、10以上で100以下の比較的少ない数の投与量を示している。限られた質量の粉末を多孔性の柱中に有することは、大きな粒子から小さな粒子が制御されずに分離されることを阻止するための驚くほど重要な要因であることが分かってきている。粉末の原料供給源から断続的に補給することにより、粉末柱の質量および高さをある程度一定に保つことが重要である。しかし、柱中に何らかの分離の生ずること、すなわち、チャンバの第1の入口端部から第2の出口端部にわたり小粒子の濃度勾配が大きくなることは避けられない。勾配の程度は、粉末の配合に依存することになるが、充填プロセスにおいて定常状態条件が確立された後、勾配は、元の粉末本体もしくは粉末柱における投与量数をはるかに超える多数サイクルの投与量充填を通して一定となる。粉末の原料供給源からチャンバに補給する場合、原料粉末は、例えば容器の充填中に、吸引パワーのパルスを受けないこともまた重要である。原料粉末内で分離する危険が増加するので、原料粉末は、不必要なエネルギ供給源の影響下に置くべきではない。例えば、重力のみで、粉末の原料供給源から供給チャンバに粉末の部分を供給するように構成することにより、可能な限り少ないエネルギを使用し、必要に応じてチャンバを充填すべきである。
【0036】
計量および充填工程のいずれのステップも原料粉末の品質に影響を与えることができないように適切な方策を講じるべきである。本発明の特定の一実施形態では、充填装置を、少なくとも3つの主要な部分に分離する。すなわち、多数の投与量と等価な質量を保持する粉末の原料供給源、限られた数の投与量に対応する限られた量の粉末を保持できる供給チャンバ、および投与量形成のための少なくとも1つの計量容器を備える充填ツールであり、原料供給源は、原料粉末を用いて断続的に供給チャンバを補給し、またチャンバは、次に、さらなる下流の充填ツールにその粉末を利用可能にする。粉末の原料供給源は、指定された限度内にその中の粉末レベルを維持するのに必要な頻度でチャンバを再充填するように構成することができるが、それは、少なくとも1つの容器の充填を一時的に禁止したときに限られ、さらに、原料供給源およびその再充填動作から独立して実行される投与量の計量および充填工程により原料供給源中の粉末に何らかの影響を与えることがないように行われる。したがって、粉末の入口および粉末の出口を備える供給チャンバは、粉末を投与量の計量および充填工程に利用可能にするために、最小のエネルギ、好ましくは重力だけを用いて、粉末の凝集性のあるプラグとして、先入れ先出し的に入口から出口までスムーズに粉末を移送する仕事が与えられる。
【0037】
本発明のさらなる態様では、粉末を供給する柱の構造は非常に多孔性であるが均一であるため、容器を充填するために必要な吸引エネルギは非常に小さい。したがって、短いパルスが、粒子を柱から容器中に引き込むために必要なだけであり、それにより、柱が崩れるが、直ちに入口から出口までそれ自体を再構築することになる。通常、吸引パルスの持続期間は、0.05秒以上で5秒を超えない。使用される圧力は、圧力システムにおける圧力損失、例えば、どのフィルタが使用されるかに関する損失に依存するが、一般に、0.2から20kPaの吸引圧力は、0.1リットル/分以上で10リットル/分を超えない空気流を生成する。
【0038】
例えば、発行物、US5826633、およびDE10327070A1に記載の現況技術は本発明とかなり異なる。本文書中に開示された重要な革新は、供給チャンバであり、それは、ホッパとは異なり、先細になっておらず円筒形であり、また任意選択で、粉末がチャンバの内壁に付着しないようにする、掻き取り部材などの付勢可能部材を有しており、それにより、出口方向へプラグユニットとしてほぼ自由に移動できる粉末本体、すなわち粉末の柱もしくは円筒を作製することが可能である。ホッパと共通の問題であるが、特に、10μm未満の粒子サイズを有する微細化された粉末を処理する場合、粉末がホッパの中央部でのみ自由に移動できるような材料付着および蓄積の問題は、本発明では解消されている。現況技術のデバイスでは、粒子の分離問題が、キャビティを充填するために空気吸引または機械的パワー供給源を用いることによりさらに悪化している。パワーを加えれば加えるほどさらに分離を生じ、それは、特に、粉末の原料供給が大量であり、さらに、例えば、吸引を受ける場合はそうである。本発明の他の重要な態様は、粉末で充填されるキャビティ、容器の湾曲した表面を有することなく、チャンバ出口に隙間なく適合された、好ましくは平面の充填ツールを使用することである。アーチ形のキャビティの場合、容器と、ホッパなどの粉末供給の間の接続を、一貫性を持って制御するのが非常に困難である。驚くことには、平面の容器中に充填材料を充填し、詰め込むことは、アーチ形の容器と比較して、計量される粉末質量の点においてより一貫性があり、制御するのが容易になる。
【0039】
驚くことには、開示された充填方法の効果は、小粒子ならびに大きな粒子も同様に、粉末柱中の粒子はすべて、充填材料形成レートによって規定された不連続な運動で、供給チャンバの入口から出口まで同様のゆっくりした速度で移動することである。本発明の方法、およびその方法を実施するための充填装置は、入力材料として供給される原料粉末の品質が、充填プロセスによって悪くならないことを示している。具体的には、粒子の凝集が高い頻度で生ずることはなく、また大きな粒子からの小粒子の分離は、完全に消滅していなくとも、制御下に保たれて、生産される投与量の数にかかわらず、充填動作全体中に定常状態条件へと導かれる。驚くことには、本発明は、多かれ少なかれ、自由に流れる粉末を前提としていないが、現況技術の容積充填方法には、普通、不適切な、微細化した粉末に対しても等しくよく働く。デリバリされる微細粒子の投与量相互間の相対標準偏差は、通常3%未満であり、本教示を用いたUSP標準によると、明らかに、5%未満である。
【0040】
本発明に関しては、用語「コンテナ(container)」は、総称的に使用され、ブリスタ、カプセル、ならびにボール(bowl)、ポッド(pod)などのよく知られた設計を含み、その中に、乾燥粉末薬剤の計量された量、すなわち投与量が保管される。充填後、コンテナを閉じて、シールし、その後、DPIデバイスを介するユーザの吸入に対して投与量をデリバリできるDPIで使用できるようにする。用語「容器(receptacle)」は、充填ツールの平坦な表面中に作られた非常に正確な寸法および容積の開放されたキャビティを記述するのに使用され、その充填ツールは、少なくとも1つの容器をそれぞれが有する複数の平坦な表面中に、このようなキャビティを複数有することができる。
【0041】
容器をそれぞれが構成し、後に述べるフィルタおよび空気供給ノズルを嵌合させることの可能なキャビティの好ましくはより小さい開口部へのアクセスを、充填ツールの内側から得ることができる。
【0042】
本発明によるデバイスの諸実施形態を図2〜12で示す。図中、同様の要素は同様の番号で示される。
【0043】
図2は、原料粉末供給源401、供給チャンバ134、および充填ツール101、102を備える充填装置の少なくとも3つの主要部分を外観的に示す。原料粉末供給源は、原料粉末400と、供給チャンバ134中の粉末柱200に補給する必要がある場合、原料粉末の一部分を放出するための構成410とを含む。充填ツール101は、計量容器110を含む。
【0044】
図3は、平坦な上部表面103を有する充填ツール101を示す。容器110の形状およびサイズは、計量される粉末充填材料のサイズおよび質量に応じて変わり得る。円錐形状は、円形、長方形、または楕円形でもよく、その幅および深さ、すなわち、容積は、意図する充填材料および投与量コンテナタイプに適合される。フィルタ121、シール122、任意選択の安定化金網もしくは焼結フィルタ123、および空気接続ノズル124も示されている。
【0045】
図4は、入口開口部132、出口開口部133、および内管131を有する供給チャンバ134の一実施形態の主要な断面図を示す。チャンバはさらに、少なくとも1つの機械的部材135を備える。移動可能な出口部分137、およびその出口部分を充填ツールの平坦な表面に接触するように強制する伸縮ばね136もまた示されている。
【0046】
図5は、第2の充填ツール部分102に適合された容器を備える動作可能な充填ツールの第1の部分101の様式化された主要な断面図を示す。容器110は、容器と整列された供給チャンバ中の粉末柱200からの粉末201によって充填されるように示されている。充填ツールの部分101および102の高精度に仕上げられた平坦な表面103は、互いに同一高さである。空気の吸引125のパルスが加えられて、容器中に粉末が吸引される。
【0047】
図6は、チャンバ134が、充填ツール101、102に対して移動したとき、出口部分137により、充填ツール表面103と同一高さに掻き落とされた、容器中の充填材料202の様式化された主要な断面図を示す。チャンバは、充填動作後の開始位置および終了位置で止まっている場合を示している。任意選択で、充填材料が排出位置まで移送される間、それを元のままに保つために、わずかな吸引125が空気ノズル124に加えられる。
【0048】
図7は、ツール102から取り外され、排出位置に配置された充填ツール101の様式化された主要な断面図を示しており、その場合、充填材料202を、空気ノズル124に導かれた空気圧パルス126により容器から押し出すことができる。コンテナ211は、充填材料を受け取る位置に存在する。
【0049】
図8は、コンテナ211中に置かれた充填材料202の様式化された主要な断面図を示す。容器110は、いまや空である。
【0050】
図9は、充填ツール102に戻される前のクリーニング位置における充填ツール101および容器110の様式化された主要な断面図である。クリーニングは、一例として、真空掃除301および吸引302により実施されるように示している。他の方法は、当業者には自明である。
【0051】
図10は、単一の部分だけを備える、充填ツール101の第2の実施形態の様式化された主要な断面図を示す。その場合、同様なフィルタ121および128をそれぞれ備え、また同様なシールおよび任意選択のサポート支援(詳細には図示せず)を含む2つの同様な空気ノズル124および127が、それぞれ、充填および排出のために使用される。ツールは、図5と同様に充填位置で示されている。しかし、容器は同一の開口部を有しており、したがって、充填材料は、第1の開口部を介して充填され、また第2の開口部を介して容易に排出される。
【0052】
図11は、次に、ノズル124と共に排出位置に移動し、空気ノズル127と一致した充填ツール101の第2の実施形態の様式化された主要な断面図を示す。わずかな吸引125が、容器中に充填材料202を保つためにノズル127に加えられ、したがって、ノズル124は、再度、充填位置に戻ることができる。チャンバ134が充填ツール101に対して移動すると、充填材料は、出口部分137により充填ツールの表面103と同じ高さに掻き落とされている。充填動作後に、開始位置および終了位置に留まっているときのチャンバが示されている。
【0053】
図12は、空気ノズル127と、正しく位置決めされ、ノズル127に加えられた空気圧パルス126により排出された充填材料202を受け入れる準備のできている投与量コンテナ103とに対して整列された、排出位置にある充填ツール101の第2の実施形態の様式化された主要な断面図を示す。ノズル124が、その充填位置に戻る状態で示されている。
【0054】
本発明によると、容器の第2の開口部が空気ノズルに接続され、それは、次に、例えば、高速動作オンオフバルブを介して真空および圧縮空気の供給に接続される。ノズルと容器の第2の開口部の間の、好ましくは織られたフィルタは、粉末がノズル中に入らないようにする。充填ツールの少なくとも1つの充填の完了後、ツールは、非充填位置に移動し、また任意選択で、動作中、加えられるわずかな吸引により、充填材料が容器からこぼれ出ないようにする。排出位置にあるとき、その任意選択の吸引は終了し、圧縮空気のパルスが容器の第2の開口部に加えられ、そこで、空気は粉末充填材料に対して力を加える。それにより、充填材料が容器から押し出され、選択されたコンテナが正しい位置にある場合、その中に落とされる。充填材料の詰め込みの程度は、好ましくは、充填中に吸引パルスのバランスを取ることにより調整され、したがって、容器から、粉末の固まりではなく、粉の出ない結合された粒子の多孔性の本体として充填材料を押し出すことができる。その後、充填ツールは、任意選択でクリーニング位置に移動し、空気の吸入により得られた任意の粒子がクリーニングされる。次いで、充填ツールは、新しい充填動作に対する用意が整う。
【0055】
フィルタは、粉末を空気を用いて容器中に引き寄せ、または容器から排除する場合に必要である。容器に加えられたよくバランスの取れた吸引力は、供給チャンバから粉末を収集し、容器を充填し、したがって、粉末は、計量チャンバとして働く容器中にある度合いで詰め込まれる。容器の第2の開口部のフィルタは、空気システム中に粉末が吸引されないようにし、それにより、充填プロセス中で失われることになる。フィルタは、空気供給システム中の任意の異粒子が充填材料中の粉末を汚染されないようにするので、排出動作中に、容器から充填材料を押し出すために空気圧を使用する場合にも必要である。フェルト材料は、粉末の充填材料を汚染し得る繊維を放出する可能性があるため、フィルタをフェルトから作るべきではない。フェルトのフィルタは、普通、かなり厚く、またフェルト中の繊維は、定位置に保持されないように意図されている。フェルトは、単に圧縮された繊維の集合であり、ランダムに配置され、結合剤により一緒に保持され、また多かれ少なかれ、ゆるい織物である。使用すると、フェルトは、繊維を放出し、粉末中に混合されることもあり、それは粉末の充填材料に追随してコンテナ中に入ることになる。本発明は、好ましくは、織られて事前に伸ばされ表面処理された、例えば、米国デラウェア州ニューアークのW.L.Gore & Associates、Inc.により製作された薄いフィルタを使用し、それは、設計的に通過する空気に対して繊維が失われない。本発明のさらなる利点は、フィルタが非常に薄いので、計量容器の空気接続端部に対して容易にシールできることである。厚いフェルトを変形させる機械的に強い力により容器に対してフェルトフィルタをしっかりと締め付ける共通の従来技術を実施する代わりに、伸ばされて織られたフィルタは、好ましくは、シールのもう一方の側にある空気ノズルに対して働く弾性のある適度なばね力を含む構成を用いて、容器の底部端にフィルタをシールする弾性的なシールにより定位置に保持され、それにより、接触圧力が一定に保持され、したがって、空気ノズルと、容器の空気接続端部との間でしっかりとした接続が維持される。シールは、非繊維質とすべきであり、また、例えば、PTFE、PFA、EPDM、ネオプレン、またはニトリル、および同様の、医学的に認められた材料から作ることできる。本発明のさらなる利点は、織られたフィルタは、所与の流れおよび粒子のろ過に対して、フェルトのフィルタと比較して、それをはさむ圧力の差が少なくてすむ、すなわち、必要なエネルギが少なく、それにより、充填および排出動作の制御が簡単化されることである。
【0056】
容器中の粉末量を適正に計量することは困難であるが重要であり、同じ容器から得られる充填材料相互間の一貫性もまた、当然、重要であり、また、複数ある場合、充填プロセスに含まれる異なる容器からの充填材料相互間の一貫性も重要である。従来技術のフェルトフィルタは、例えば、かなりの力で、空気ノズルをフェルト中に押し込むことにより、容器の空気接続端部にしっかりと締め付けられたとき、容易に変形する。フェルトは、内側に隆起し、計量容器の底部に侵入し、したがって、容器の実際の容積を減少させ、それにより、充填ステップで容器中に吸引される粉末充填材料が低減されて、受取りコンテナに移送すべき充填材料中の粉末質量が少なくなる結果となる。本発明は、その問題を、事前に伸張された、織られたフィルタを使用することにより解決するものであり、フィルタは、充填中の空気吸引および排出中の空気圧から得られる適度な力によりほとんど撓まない。しかし、フィルタは、吸引方向にわずかに隆起するので、容器の容積は、充填中にわずかに増加する。本発明の特定の一実施形態では、支持金網または焼結フィルタを、一方または両側上の織られたフィルタを支持するために使用される。好ましくは、支持網または焼結フィルタは、充填中に隆起する影響を阻止するために、織られたフィルタの吸引側に対してのみ適用され、それにより、公称の容器容積を維持することができる。しかし、反対方向に隆起することは、押し出すモードで利点があり、容器から充填材料を空気圧が押し出すのを助ける。織られたフィルタを適切な焼結フィルタと別々のアイテムで使用するのではなく、単一のフィルタ製品として一体化することもまた可能である。驚くことには、開示のフィルタの最適な使用により、同じ容器から得られる次の充填材料との相互間の相対標準偏差(RSD)が低減されるだけではなく、異なる容器からの充填材料相互間におけるRSDも低減される。
【0057】
さらに、排出後、計量容器中の粉末の残留は、織られたフィルタを使用した場合、フェルトフィルタと比較して驚く程少ないことも分かってきた。その理由は、従来技術のフェルトフィルタは、非常に変形され、かつ空気接続端部にしっかりと保持される縁部の周りで高密度となり、充填材料の押し出し中に、圧縮された空気が容器の内壁近くをやっと通過できるだけだからである。その現象は、壁に付着している粉末のすべてをクリーニングするには不十分な乱流を有する容器の内壁近くの空気流を大幅に低減させる。しかし、フェルトフィルタの代わりに、織られたフィルタが使用される場合であっても、容器壁の先細の角度を広くし過ぎないようにすべきであり、さもないと、壁の近傍の不十分な空気の乱れにより、容器の内壁上に粉末残留が増加する危険がある。好ましくは、壁と容器の中心線の間の先細り角度は、3〜30度の範囲であり、より好ましくは、6〜20度の範囲であり、非常に好ましくは、9〜15度の範囲である。
【0058】
粉末と接触し得るすべての表面上の粉末残留を低減することは、本発明のさらなる態様である。供給チャンバ、充填ツール、および粉末と接触する他の部分の材料は、形状の極度の安定性、良好な機械加工特性、磨耗に対する良好な耐性、必要な場合はコーティングにより達成される低摩擦特性を有する高精度の表面仕上げを示すように注意深く選択される。充填ツールなどに適切な材料は、例えば、真空アーク溶解(VAR)ステンレス鋼、金属、合金、PEEK、およびガラスを含む。適切なコーティング材料は、PTFE、PE、パリレンおよび同様のものなど、熱可塑性の材料から選択することができる。粉末と接触するツールの表面、例えば、計量容器は、研磨され、またはコーティングされて、Ra=0.25μm未満の粗粒率、および好ましくは、Ra=0.1μm未満の粗粒率とすべきであり、また得られた表面は、可能な限り低動摩擦係数を示すべきである。充填ツールの好ましい一実施形態は、機械加工されたステンレス鋼の本体を使用し、それは、数ステップで研磨され、さらに磨かれて、次いで任意選択で電解研磨され、その結果Ra=0.1μm未満の平滑さを得る。充填ツールおよび他の部分は、次いで、例えば、窒化クロム、石炭(coal)/クロム化合物の蒸着により、またはグラファイトコーティングにより、冶金学的にコーティングすることができる。こうすることにより、粉末の粒子が表面に付着するのを困難にし、非常に低摩擦で耐性のある表面を確保できる。どんな材料を使用するか、適切な研磨、および研磨/磨きステップ、および必要な場合にはコーティングタイプを決定することにおいて、薬剤粉末および粉末配合のタイプを検討する必要のあることは当然である。
【0059】
乾燥粉末、特に微細化された粉末の取扱いにおいて、静電気がしばしば問題になる。微細粒子は、移送されるとき、移送システムのオブジェクトとの接触によるだけではなく、流れる空気によっても容易に摩擦帯電する。問題は、粉末の品質および特性に影響を与えないように、通常、20%未満の相対湿度の乾燥した環境中で粉末を扱う必要性によりさらに悪化することである。粉末、充填ツール、および関連の機器の静電気の帯電を、充填工程を通して最小に保つ必要がある場合、例えば、米国ニューヨーク州グランドアイランドのNRD LLCの静電気除去装置を適用することによって、粉末粒子を電気的に放電させることができる。このようにすることにより、充填プロセスでの静電気による粒子の付着および他の妨害に起因する粒子の損失は最小に維持される。加えられた空気圧パルス粉末が計量容器から粉末充填材料を排出する場合、粉末粒子は、受取りコンテナに達する間に存在する空気間隙を通過する必要がある。摩擦帯電により、粒子は、多かれ少なかれ正または負の電荷を得る。電荷は、空気間隙中に存在する漂遊電界の影響によって、予測される慣性および重力軌跡とは別の方向に偏向させられ、したがって、受取りコンテナの予測されたターゲット領域とは別の表面領域に置かれるようになる。この種の流出を低減するために、本発明は、計量容器を組み込んだツールと、コンテナの間の空気間隙の近くに配置される、例えばイオン供給源など、帯電を中性にする供給源の追加を開示する。その場合、電気的に帯電された粒子は、供給源からの電荷により非常に急速に中性にされ、静電気に起因する容器からコンテナへの移送中の粒子損失が低減されることになる。
【0060】
本発明は、事前に計量される投与量が、100μg〜50mgの範囲であり、好ましくは、100μg〜10mgの範囲であり、非常に好ましくは、100μg〜5mgの範囲であるDPI中に挿入される予定のコンテナ中に、薬剤の乾燥粉末投与量を一貫性を有して充填することに関し、さらに、5%以下のRSDを提示することに関する。コンテナ中における計量される投与量は、複数の充填材料を含むことができるが、それは例外であって通常の工程ではない。それは、1回の投与量でコンテナを充填するために長時間かかるはずだからである。
【0061】
前述の内容で述べたことは、例としてだけであり、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示の諸実施形態に対する多くの変形形態が当業者には自明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の充填方法の流れ図である。
【図2】原料粉末供給源、供給チャンバ、および充填ツールの外観を示す第1の実施形態の断面図である。
【図3】円錐形の計量容器を備える充填ツールの第1の実施形態の断面図である。
【図4】粉末の柱を含む供給チャンバの一実施形態を原理的に示す断面図である。
【図5】容器の充填中における、織られたフィルタ、シール、空気ノズルを合わせた充填ツール、供給チャンバ、および粉末の柱の第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図6】充填ツール、計量された充填材料、および新しい充填動作を待機中の、充填動作後のその開始/終了位置における供給チャンバの第1の実施形態の原理的な断面図である。
【図7】充填材料が、容器から投与量コンテナ中に押し出される直前の排出位置における充填ツールの第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図8】充填材料が、容器からコンテナ中に移送された直後の排出位置における充填ツールの第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図9】クリーニング位置における充填ツールの第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図10】容器の充填中における充填ツールおよび供給チャンバ構成の第2の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図11】充填ツールが排出位置に移動したときの充填ツールおよび供給チャンバ構成の第2の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図12】粉末の充填材料を受け取るために正しく配置された投与量コンテナ中に、容器から充填材料が押し出される直前の排出位置における充填ツールの第2の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図13】供給チャンバにおける位置の関数として、大きな粒子と混合した、この場合はインシュリンである小さな粒子の濃度の図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細化された乾燥粉末の計量された投与量を用いて一連のコンテナを充填するための方法およびデバイスに関し、その投与量は、乾燥粉末吸入器(DPI)により吸入されるように意図されている。
【0002】
(背景)
今日の医療サービスでは、薬の投与はいくつかの異なる方法で行われる。健康管理においては、乾燥薬剤の粉末を患者の気道および肺に直接吸入することにより薬を投与することに基づく医療製品に対する関心が高まっている。多くの様々な疾患の治療のために乾燥粉末の投与量として配合された多くの物質の、効率のよい、迅速な、さらに使い勝手のよいデリバリを提供するので、乾燥粉末吸入器(DPI)に関心の集中することが多い。効き目が早く、吸入された投与量の効果が、例えば、経口投与されたカプセルまたは錠剤よりずっと高くなることがしばしばあるので、吸入投与量には、経口カプセルまたは錠剤における薬剤粉末量のうちの少量が必要となるだけである。比較的少量で、吸入可能な、乾燥粉末の計量された薬剤投与量に対する要求が増加しており、それには、少量で、かつ低い相対標準偏差(RSD)を有する正確な吸入投与量を作製するためのよりよい充填方法およびデバイスが必要となる。
【0003】
容積測定による充填は、薬剤の乾燥粉末投与量を生産する最も普通の方法である。通常、第1ステップで、ある分量の粉末が、重力により、しばしば、詰込み(impaction)もしくは振動の形の機械的エネルギにより支援されて指定容積の容器中に導入され、あるいは、容器は吸引力によっても充填され得る。次いで、第2ステップで、余剰と考えられる粉末を除去した後、容器を排出位置に移動し、そこで、粉末は、容器から、重力および/または機械的な手段によりブリスタ(blister)もしくはカプセルなどのコンテナ中に排出される。複数の容器を充填ツール中に配置することができ、その充填ツールは、粉末の計量された量すべてが各コンテナ中に排出され得るように、対応する容器と一致する複数のコンテナ、例えば、ブリスタもしくはカプセルを運ぶ機構に適合され得る。容器を、ほぼ連続的で周期的に充填しかつ排出できるように、充填マシーンに充填ツールを統合化することができる。従来技術の諸例は、例えば、発行物、EP0319131B1、WO95/21768、US6267155B1、US6581650B2、およびDE20209156U1で学ぶことができる。
【0004】
吸入用粉末は、粉末における多量の粒子の大部分が、空気力学的粒子サイズ(AD)で1μmと5μmの間にあるように微細化されるか、あるいは非常に多孔性である必要がある。5μmより大きい粉末粒子は、吸入されたとき肺に蓄積せず、口および上気道に付着される傾向があり、その場合、薬剤が無駄になり、また有害な副作用を引き起こすこともあり得る。しかし、微細化された粉末は、ほとんど自由に流れることがなく、それが接触したすべての表面に付着される傾向があり、また、小さな粒子は凝集して塊になりやすい。それは、原料密度が、たとえ粉末量に対して測定したとき一定であったとしても、投与量間で相当大きく変化し、投与量よりも数桁大きくなり得るので、正しい投与量の計量をより困難にしている。したがって、正しい量を計量して投与量コンテナ中に充填することは、少ない投与量を用いる場合はさらに困難である。しかし、5mgから0.1mgに至るまでの投与量に対する要求は増加しており、業界に対して製造段階における計量および充填のための方法およびデバイスを改善するように、ならびに乾燥粉末吸入器に対して非凝集および効果の点から性能を改善するように圧力が加えられている。計量エラーを低減するために計量容器中に粉末を詰め込むことは可能であるが、凝塊形成が悪化しないように、また、塊が、吸入器により確実に非凝集化され得るように注意が必要である。
【0005】
さらに、粒子に作用する静電気力、摩擦力、およびファンデルワールス力は、粒子サイズが減少すると重力よりも強くなる。医療用粉末は、特に乾燥条件で、粉末の移送中および取扱い中に静電気の帯電を非常に受けやすい。
【0006】
吸入用に微細化された粉末の薬剤投与量を正確に計量するための、また吸入器デバイスで使用するのに適切なコンテナ中に、投与量を一貫性があり高い信頼性で充填するための方法およびデバイスの改善が求められている。
【0007】
(概要)
本発明は、微細化した乾燥粉末を、正確に、反復可能に計量し、かつ事前に成形されたコンテナ中に充填するための方法およびデバイスを開示し、コンテナおよびそれに含まれる投与量は、DPIによる吸入に適合される。
【0008】
開示された方法の特定の一実施形態では、粉末入口および粉末出口を有する粉末供給チャンバは、計量容器に利用可能な知られた品質の粉末の作製において、選択された乾燥粉末薬剤のための重要な中間プロセスステップとして使用される。粉末の一部分は、容器が作られる高精度に仕上げられた低摩擦面を提示する充填ツールの計量容器中に、吸引法により移送される。充填後、容器中に得られた粉末の充填材料(load)は、空気圧により容器から押し出されて投与量コンテナ中に排出される。
【0009】
供給チャンバは、チャンバ中の粉末量を好ましくは一定に保つために、選択された粉末の原料供給源から、好ましくは、重力的な配置により断続的に補給される。供給チャンバは、多数の容器充填材料と等量の粉末を保持する。本方法は、微細化された、通常、容易に流れないものであっても、多くの乾燥粉末に適している。開示の方法は、低エンタルピ方法、すなわち、充填および計量ステップのすべてにおいて、粉末に供給されるエネルギは、従来技術の充填方法と比較して非常に低い。本発明の特定の一実施形態では、供給チャンバ中の粉末は、崩され(collapse)、また少なくとも1つの機械的部材によりチャンバの壁から分離されており、その機械的部材は、チャンバ中の粉末本体が、例えば、チャンバの壁から一様に分離されるように、好ましくは計量容器を充填する前に、チャンバの内側を移動する。そのステップは、容器が供給チャンバ出口と一致したとき、粉末の一部分がチャンバ出口から容器に吸引される直前に行われるのが好ましい。一貫性のある粉末の充填材料で容器を繰り返し充填するためには、非常に短くかつ低いパワーの吸引パルスで十分である。
【0010】
本発明の特定の一実施形態では、供給チャンバ出口は、チャンバ中の粉末本体から粒子が出口を通って逃げないように、常に充填ツールの表面と緊密に接触している。チャンバ出口と充填ツールの間で接触は常に維持されるが、充填ツールは、容器がチャンバ出口から接触を解除して充填材料を排出する位置に移動するように、チャンバ出口に対して移動可能である。驚くことには、その相対的な運動は、容器を充填した後のチャンバ中の粉末本体の均質性を回復させるのを助け、また、わずかではあるが、粉末粒子と充填ツール表面の間の剪断力がチャンバ中に貯えられた粉末中の不規則性をさらになくすようにする。
【0011】
本発明は、以下の利点を提供する。
・乾燥粉末の少ない投与量を、高精度でかつ正確に生産するために使用できること。
・粒子の低い凝集性を得るために、低エンタルピの原理に従って動作すること。
・低くかつ制御可能な粒子分離を有すること。
・定常状態条件中で、比較的一定した粒子サイズの勾配を提供すること。
・低自由流れ特性を有する微細化した粒子に使用できること。
【0012】
本発明によって提供される他の利点は、本発明の諸実施形態の以下の説明を読めば理解されよう。
【0013】
本発明は、添付の図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより、そのさらなる目的および利点も合わせて非常によく理解することができる。
【0014】
(発明の説明)
本発明は、乾燥粉末薬剤の投与量を、正確に計量し、かつ事前に成形されたコンテナに容積測定による充填を行うための方法、デバイス、および装置を開示し、その投与量およびコンテナは、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いた吸入により投与するように適合されている。本発明による方法は、図1の流れ図で示す。
【0015】
従来技術の方法およびデバイスは、主に、複数の全体に円錐形の計量キャビティ(cavity)、すなわち、容器を有する円筒形の充填ツールを使用し、それは、大量の粉末を保持する供給源からの原料粉末で充填される。次いで、その円筒形の充填ツールは、排出位置へと回転し、そこで、充填された容器が適切なパッケージ中に排出される。しかし、充填工程は、充填プロセスに含まれる粉末、特に、容器に充填される粉末の細粒分(fine particle fraction)の品質に影響を与えるため、容器中に充填される粉末の品質は、時間が経過すると変動する。したがって、原料粉末を混合し均一化し、また原料粉末中に形成され得る粒子の凝集を非凝集化するために、製造者の好みに応じて、様々の供給源から原料粉末にエネルギが供給される。
【0016】
本発明は、いくつかの点で既存の従来技術の改良である。従来技術の方法およびデバイスは、しばしば、振動、ふるい、および他のパワーデバイスを用いて、粉末を移送し、また粉末保管部の粒子を凝集しないようにする。従来技術は、高エンタルピ方法と要約することができる。本発明は、原料保管部から計量容器に粉末を移送するために可能な限りエネルギを使用しない。本目的は、好ましくは分離(下記を参照)を回避し、または少なくともそれを制御し、また低エンタルピ充填システムを用いて粒子の凝集を回避することである。
【0017】
5μm未満の空気力学的な直径(AD)を有する、吸入に適した微細粉末は、超微粉砕、例えば、ジェットミル、または噴霧乾燥により生成することができる。特別な乾燥粉末配合は、例えば、噴霧乾燥プロセスで、または5μmよりずっと大きい幾何的な直径を有するが、なお、5μm未満のADを有する非常に多孔性の粒子を作ることにより生成することができる。活性作用薬を含むそれらの微細粉末は、流れやすいことはまれであり、さらに、例えば、得られる薬剤の効力を薄めるために付形剤を加える必要がしばしばある。粉末の流動性を高める普通の方法は、活性微細粉末成分を、より小さな活性微細粉末粒子のキャリアとして働くより大きな粒子を有する生物学的に許容可能な付形剤と混合することである。これは、オーダードミクスチャ(ordered mixture)である。
【0018】
しかし、ある範囲の粒子サイズを含む任意の粉末は、それが、完全な、オーダードミクスチャであろうと、それとも単一の乾燥粉末配合であろうと、粉末が充填プロセス中で移送され、または処理される場合、小さい粒子が大きい粒子から分離される危険がある。例えば、小粒子は、特に、保管部が励起されている場合に、重力により保管部の底に落ちる傾向があり、したがって、時間が経過すると、保管部の底近くで小さな活性粒子の濃度が増加し、保管部の上部では欠乏することになる。その結果、計量された投与量の質量はバッチ全体にわたりある程度一定であるが、充填プロセスの実行中に、計量された投与量中の活性作用薬の微細粒子投与量は、多すぎる場合から少なすぎる場合まで、充填プロセスに応じて逆も同様であるが、変動することになる。その結果、吸入される活性投与量は、その投与量がバッチの実行中の早い段階で生成されたものであるか、それとも、後で生成されたものかに応じてかなり変動することになる。それは、当然許容できないことである。したがって、充填プロセスは、分離の問題を積極的に処理し、それを制御下に保つ必要がある。
【0019】
分離の問題を認識したが、次に、連続する充填動作において、粉末が保管部の底から供給されており、また新鮮で影響を受けていない原料粉末が保管部の上部に補給されている場合、底近くの小さな粉末粒子の濃度は、定常状態条件に達した後、上部の新しい粉末の濃度未満になるはずである。本発明の特定の一実施形態では、好ましくは重力または他の適切な手段により、原材料粉末供給源から、生産される限られた数の投与量のためには十分な、限られた量の粉末を保管する容量を有する供給チャンバの第1の端部の入口中に、複数の部分に分けて粉末配合が放出される。
【0020】
粉末の分離は、このように比較的小さな供給チャンバに制限される。通常、チャンバ中に存在する粉末柱の1回の動作後に、粉末が粉末出口を通って供給されると、供給チャンバ中に存在している粉末の本体、いわゆる柱の中で速やかに定常状態条件に達するが、それは、当然、供給チャンバ出口から供給された粉末を補うために原料粉末供給源から粉末が適切な方法で受け取られていることを前提とする。したがって、供給チャンバの最初の充填後、投与量の計量および充填中に、チャンバ出口からの断続的な粉末の流れを補うために、原料粉末は比較的小さな部分でチャンバの入口に断続的に供給される。チャンバ入口からチャンバ出口まで、粉末粒子が、速度の遅いプラグ状(plug−like)の断続的な流れとして移送される間、供給チャンバは、原料粉末の品質および特性を維持するように構成される。従来技術とは反対に、本方法は、粉末を移送するためにほとんどパワーを使用せず、また本方法は、供給チャンバ中で自然に凝集が形成されないという単純な理由により、粒子の凝集を破砕するためにエネルギを加えることが回避される。したがって、原料粉末の特性は、供給チャンバ入口からその出口まで元のままである。しかし、限られた数の投与量が生産された最初の開始期間の後、供給チャンバ中に含まれる粉末中に形成される、入口から出口まで微細粒子欠乏のある種の勾配により特徴付けられた定常状態条件に達する。最初の開始期間の後、微細粒子の濃度は、供給チャンバ入口の充填された原料粉末と比べて、出口に近い粉末中で常に少ない。供給チャンバは、原料粉末の一部分で断続的に補給されるため、勾配および欠乏は許容可能な値に保たれ、それにより、供給チャンバ中の粉末本体は安全限度内に保たれる。欠乏の程度は、粉末の配合および粒子サイズ分布に依存する。
【0021】
充填工程に利用可能な原料粉末を作る本方法を適用することにより、投与量質量および細粒分の点で投与量相互間の変動を、従来技術の充填方法と比べて劇的に改善することができる。充填プロセスにおける分離現象を示す図表を図13に示す。図示の例は、80対20の関係で、乳糖とインシュリンの混合物であり、インシュリン粉末は、直径5μm未満の小粒子からなり、乳糖粒子は、約10倍大きい。粉末中のインシュリンの小粒子の濃度が、供給チャンバで採取されたサンプルの位置に対してプロットされている。小粒子の濃度は、供給チャンバの底または出口端部の方向にかなり下がる。
【0022】
供給チャンバは、充填および排出が容易なように、形状は円筒形で軸が垂直であることが好ましいが、他の形状および構成も当業者には自明なはずであり、またそのような変形形態は、なお、本発明の範囲に含まれる。チャンバは、任意選択で、供給チャンバ中の粉末柱を崩すことのできる少なくとも1つの付勢可能部材、例えば、掻き取り(scraping)、振動、または撓ませる(flexing)部材を備え、それにより、チャンバを介して粉末のプラグ状の流れを維持することができる。さらに、本発明の特定の一実施形態では、チャンバおよび少なくとも1つの掻き取り部材は、少なくとも1つの掻き取り部材がチャンバ壁に対して移動して、全回転の少なくとも一部分をカバーすることができるように、互いに回転可能であり、それにより、その相対運動でカバーされているチャンバのセクションで、内壁から粉末を分離することができる。1つまたは複数の掻き取り部材は、チャンバの内側表面全体が、充填動作の開始前に、粉末が残らないように拭き取られる。掻き取りアクションは、全体に、チャンバの内壁と接触しない粉末の円筒形の柱を生成する。掻き取り部材は、任意選択の出口部分を含めてチャンバの全体長よりわずかに短く作るのが有利である。チャンバの好ましい垂直な姿勢では、チャンバの出口端部と強制的に接触する充填ツールの表面により、粉末の柱が第2の端部出口の開口部を通って落下するのが阻止される。したがって、機会があれば、粉末柱は、多孔性の粉末柱としてその中心線に沿って自由に移動し、それにより、高いタップ密度のため柱中で大きな粒子から小さな粒子のランダムな分離が回避され、また剪断力および摩擦力を得ることができる。
【0023】
供給チャンバの特定の一実施形態は、チャンバの中心軸に沿って移動可能な、チャンバの出口端部を構成する別個の部分を有する。その出口部分は、チャンバにばねでマウントされることが好ましく、それにより、出口端部と充填ツール表面の間に力を生成する。出口部分は、このようにスクレーパを構成し、またチャンバそれ自体とは異なる材料から作ることができる。その材料および表面仕上げは、例えば、充填ツールに対する摩擦を最小にするように選択することができる。本発明の特定の一実施形態では、充填ツールの表面は平坦であり、かつ高精度に仕上げられる。本発明の他の諸実施形態は、部分的な円筒形または部分的な球形など、非平面の充填ツール表面を備えることもできる。
【0024】
本発明はさらに、好ましくは高精度仕上げされた平面において、少なくとも1つのキャビティを有する充填ツールを開示する。そのキャビティは、所定量の粉末を計量するための容器を形成する。容器のサイズおよび容積は、開示の充填方法から得られる選択されたタイプの粉末の充填材料量を決定するが、その充填材料は、通常0.1mgから50mgの範囲であり、好ましくは、0.1mgから10mgの範囲であり、さらに好ましくは0.1mgから5mgの範囲である。容器の形状は、受け取る投与量コンテナの選択されたタイプに適合される。例えば、容器は、形状を切頭形(truncated)、円錐形、球形、立方体形、または全体に長円形とすることができる。さらに、容器は、充填ツールの平坦な表面に第1の開口部、および充填ツールの内側に、通常、より小さい第2の開口部を有する。第2の開口部にフィルタを適用することができ、また充填および排出動作において使用されるフィルタのもう一方の側に空気ノズルを接続することができる。充填ツールは、2つ以上の部分から構成されることが好ましく、容器を含む各領域が第1の部分を構成し、それは、第2の部分を構成する充填ツールの残りの部分から取外し可能である。したがって、供給チャンバ出口が、排出されようとする充填された容器を含む第1の部分と接触していない場合、第1の部分は、第2の部分から取り外されその充填材料を排出する。排出された後、充填ツールの第1の部分は、充填ツールの第2の部分に復帰する。このように、供給チャンバ出口は、第2の部分の充填ツール表面との接触を決して失うことはない。排出のために取り外された場合、充填ツールの第1の部分は、好ましくは、方向を変え、したがって、空気パルスが充填材料を押し出したとき、選択されたコンテナ中に重力で支援されるように、容器の第1の開口部は下向きにされる。
【0025】
本発明の他の実施形態では、充填ツールは、容器ごとの単一のアイテムである。容器は、第1の開口部を介して充填され、第2の開口部を介して排出することができる。充填段階で、第1の開口部は、粉末を入れるために覆いが取られ、一方、充填動作中は、第2の開口部に第2のフィルタが適用される。容器は、供給チャンバ出口が容器に対して正しい位置にあるとき、フィルタを通して吸引することにより充填される。排出段階で、第1のフィルタが容器の第1の開口部に適用され、第2の開口部が、第1のフィルタがその時点で除去されることにより開放されたままであり、したがって、空気圧パルスが、フィルタを通して第1の開口部に加えられると、容器中の充填材料が選択されたコンテナ中に押し出される。
【0026】
本発明によると、充填シーケンスは、図1で示す以下の諸ステップを含む。
【0027】
I.(図1のステップ2)充填ツール表面と接触している開放された出口端部を有する供給チャンバが、容器の第1の開口部よりもその出口端部の直径が大きい供給チャンバの出口端部と充填ツールの容器が一列に並ぶように、充填ツールに対して動作する。任意選択の少なくとも1つの付勢可能部材がチャンバの動きと同時に付勢され、それにより粉末の柱が作製される。
【0028】
II.(図1のステップ3)容器の第1の開口部が供給チャンバ出口と一致したとき、容器の第2の開口部に吸引パルスが加えられ、それにより、供給チャンバ中の粉末柱の一部分が容器中に吸引されて完全にそれを充填する。容器中に適合されなかった余剰の粉末は、供給チャンバ中に残るが、それは、充填ツールの外部表面が供給チャンバの出口開口部と強制的に接触されており、供給チャンバの外に余剰粉末の逃げる余地が残されていないからである。加えられた吸引は、粉末柱全体をプラグ状に出口端部の方向に移動させ、不規則性を一様化し、また供給チャンバ中で粉末をある程度詰め込むようにし、したがって、チャンバ中の粉末柱が復元される。チャンバ出口が容器の外側に移動する前に、吸引パルスは停止する。任意選択では、吸引は容器がチャンバ出口と一致する位置でチャンバが一時的に停止したときに行われるが、吸引のパルスは、通常、チャンバが充填ツールに対して移動する間に加えられる。
【0029】
III.(図1のステップ4)容器中に充填材料を搬送する充填ツールの第1の部分もしくは一部分は、次に排出位置に移動し、充填材料を第1の開口部を介して押し出す場合、その逆も同様であるが、容器の第2の開口部に導かれた空気圧パルスにより計量された充填材料が押し出され、充填材料は投与量コンテナ中に落とされる。
【0030】
IV.(図1のステップ5および6)複数の充填材料が1回の投与量を示す場合は、コンテナ中に落とされる充填材料の数をカウントする必要がある。
【0031】
V.(図1のステップ7および8)コンテナ中に投与量が充填された後、コンテナはシールされ、パッケージングに送られる。粉末の充填材料を受け入れるために新しいコンテナが準備される。
【0032】
VI.(図1のステップ9)任意選択で、充填位置に復帰する前に、容器は、例えば、真空掃除によりクリーニングされる。
【0033】
VII.(図1のステップ1)次に、必要な場合、供給チャンバを原料粉末供給源からの粉末で充填することができ、新しくなった柱がチャンバ中に形成され、新しい充填動作を待つことができる。
【0034】
本発明の特定の一実施形態では、供給チャンバは付勢可能部材に対して、その逆の場合も同様であるが、回転し、一方、チャンバは、充填ツールの方向に移動してチャンバ出口を容器に対する定位置に運び、したがって、容器は、粉末柱からの粉末で充填することができる。チャンバ出口は、すべての相対運動の間、充填ツールの表面と一定の接触状態にある。したがって、チャンバ中の柱と充填ツール表面の間での回転および運動により剪断力を受ける。剪断力および摩擦力は、ただし、材料および仕上げの注意深い選択により摩擦力は可能な限り小さくなっているが、柱全体の原材料密度における差を一様化させる。逃れた粒子が充填ツールの容器中に吸引されたときに生ずる粉末柱のより多孔性の部分は、充填される容器からの吸引により、また柱の出口端部における粉末、移動し回転するチャンバ出口、および平坦な充填ツール表面の間に作用する摩擦力の支援を得て、柱中の結合された粒子重量により柱が崩れると充填される。充填ツール表面に対する柱の重量または圧力は、垂直姿勢である場合、原料密度および柱の高さに比例する。
【0035】
チャンバ中の粉末は、通常、10以上で100以下の比較的少ない数の投与量を示している。限られた質量の粉末を多孔性の柱中に有することは、大きな粒子から小さな粒子が制御されずに分離されることを阻止するための驚くほど重要な要因であることが分かってきている。粉末の原料供給源から断続的に補給することにより、粉末柱の質量および高さをある程度一定に保つことが重要である。しかし、柱中に何らかの分離の生ずること、すなわち、チャンバの第1の入口端部から第2の出口端部にわたり小粒子の濃度勾配が大きくなることは避けられない。勾配の程度は、粉末の配合に依存することになるが、充填プロセスにおいて定常状態条件が確立された後、勾配は、元の粉末本体もしくは粉末柱における投与量数をはるかに超える多数サイクルの投与量充填を通して一定となる。粉末の原料供給源からチャンバに補給する場合、原料粉末は、例えば容器の充填中に、吸引パワーのパルスを受けないこともまた重要である。原料粉末内で分離する危険が増加するので、原料粉末は、不必要なエネルギ供給源の影響下に置くべきではない。例えば、重力のみで、粉末の原料供給源から供給チャンバに粉末の部分を供給するように構成することにより、可能な限り少ないエネルギを使用し、必要に応じてチャンバを充填すべきである。
【0036】
計量および充填工程のいずれのステップも原料粉末の品質に影響を与えることができないように適切な方策を講じるべきである。本発明の特定の一実施形態では、充填装置を、少なくとも3つの主要な部分に分離する。すなわち、多数の投与量と等価な質量を保持する粉末の原料供給源、限られた数の投与量に対応する限られた量の粉末を保持できる供給チャンバ、および投与量形成のための少なくとも1つの計量容器を備える充填ツールであり、原料供給源は、原料粉末を用いて断続的に供給チャンバを補給し、またチャンバは、次に、さらなる下流の充填ツールにその粉末を利用可能にする。粉末の原料供給源は、指定された限度内にその中の粉末レベルを維持するのに必要な頻度でチャンバを再充填するように構成することができるが、それは、少なくとも1つの容器の充填を一時的に禁止したときに限られ、さらに、原料供給源およびその再充填動作から独立して実行される投与量の計量および充填工程により原料供給源中の粉末に何らかの影響を与えることがないように行われる。したがって、粉末の入口および粉末の出口を備える供給チャンバは、粉末を投与量の計量および充填工程に利用可能にするために、最小のエネルギ、好ましくは重力だけを用いて、粉末の凝集性のあるプラグとして、先入れ先出し的に入口から出口までスムーズに粉末を移送する仕事が与えられる。
【0037】
本発明のさらなる態様では、粉末を供給する柱の構造は非常に多孔性であるが均一であるため、容器を充填するために必要な吸引エネルギは非常に小さい。したがって、短いパルスが、粒子を柱から容器中に引き込むために必要なだけであり、それにより、柱が崩れるが、直ちに入口から出口までそれ自体を再構築することになる。通常、吸引パルスの持続期間は、0.05秒以上で5秒を超えない。使用される圧力は、圧力システムにおける圧力損失、例えば、どのフィルタが使用されるかに関する損失に依存するが、一般に、0.2から20kPaの吸引圧力は、0.1リットル/分以上で10リットル/分を超えない空気流を生成する。
【0038】
例えば、発行物、US5826633、およびDE10327070A1に記載の現況技術は本発明とかなり異なる。本文書中に開示された重要な革新は、供給チャンバであり、それは、ホッパとは異なり、先細になっておらず円筒形であり、また任意選択で、粉末がチャンバの内壁に付着しないようにする、掻き取り部材などの付勢可能部材を有しており、それにより、出口方向へプラグユニットとしてほぼ自由に移動できる粉末本体、すなわち粉末の柱もしくは円筒を作製することが可能である。ホッパと共通の問題であるが、特に、10μm未満の粒子サイズを有する微細化された粉末を処理する場合、粉末がホッパの中央部でのみ自由に移動できるような材料付着および蓄積の問題は、本発明では解消されている。現況技術のデバイスでは、粒子の分離問題が、キャビティを充填するために空気吸引または機械的パワー供給源を用いることによりさらに悪化している。パワーを加えれば加えるほどさらに分離を生じ、それは、特に、粉末の原料供給が大量であり、さらに、例えば、吸引を受ける場合はそうである。本発明の他の重要な態様は、粉末で充填されるキャビティ、容器の湾曲した表面を有することなく、チャンバ出口に隙間なく適合された、好ましくは平面の充填ツールを使用することである。アーチ形のキャビティの場合、容器と、ホッパなどの粉末供給の間の接続を、一貫性を持って制御するのが非常に困難である。驚くことには、平面の容器中に充填材料を充填し、詰め込むことは、アーチ形の容器と比較して、計量される粉末質量の点においてより一貫性があり、制御するのが容易になる。
【0039】
驚くことには、開示された充填方法の効果は、小粒子ならびに大きな粒子も同様に、粉末柱中の粒子はすべて、充填材料形成レートによって規定された不連続な運動で、供給チャンバの入口から出口まで同様のゆっくりした速度で移動することである。本発明の方法、およびその方法を実施するための充填装置は、入力材料として供給される原料粉末の品質が、充填プロセスによって悪くならないことを示している。具体的には、粒子の凝集が高い頻度で生ずることはなく、また大きな粒子からの小粒子の分離は、完全に消滅していなくとも、制御下に保たれて、生産される投与量の数にかかわらず、充填動作全体中に定常状態条件へと導かれる。驚くことには、本発明は、多かれ少なかれ、自由に流れる粉末を前提としていないが、現況技術の容積充填方法には、普通、不適切な、微細化した粉末に対しても等しくよく働く。デリバリされる微細粒子の投与量相互間の相対標準偏差は、通常3%未満であり、本教示を用いたUSP標準によると、明らかに、5%未満である。
【0040】
本発明に関しては、用語「コンテナ(container)」は、総称的に使用され、ブリスタ、カプセル、ならびにボール(bowl)、ポッド(pod)などのよく知られた設計を含み、その中に、乾燥粉末薬剤の計量された量、すなわち投与量が保管される。充填後、コンテナを閉じて、シールし、その後、DPIデバイスを介するユーザの吸入に対して投与量をデリバリできるDPIで使用できるようにする。用語「容器(receptacle)」は、充填ツールの平坦な表面中に作られた非常に正確な寸法および容積の開放されたキャビティを記述するのに使用され、その充填ツールは、少なくとも1つの容器をそれぞれが有する複数の平坦な表面中に、このようなキャビティを複数有することができる。
【0041】
容器をそれぞれが構成し、後に述べるフィルタおよび空気供給ノズルを嵌合させることの可能なキャビティの好ましくはより小さい開口部へのアクセスを、充填ツールの内側から得ることができる。
【0042】
本発明によるデバイスの諸実施形態を図2〜12で示す。図中、同様の要素は同様の番号で示される。
【0043】
図2は、原料粉末供給源401、供給チャンバ134、および充填ツール101、102を備える充填装置の少なくとも3つの主要部分を外観的に示す。原料粉末供給源は、原料粉末400と、供給チャンバ134中の粉末柱200に補給する必要がある場合、原料粉末の一部分を放出するための構成410とを含む。充填ツール101は、計量容器110を含む。
【0044】
図3は、平坦な上部表面103を有する充填ツール101を示す。容器110の形状およびサイズは、計量される粉末充填材料のサイズおよび質量に応じて変わり得る。円錐形状は、円形、長方形、または楕円形でもよく、その幅および深さ、すなわち、容積は、意図する充填材料および投与量コンテナタイプに適合される。フィルタ121、シール122、任意選択の安定化金網もしくは焼結フィルタ123、および空気接続ノズル124も示されている。
【0045】
図4は、入口開口部132、出口開口部133、および内管131を有する供給チャンバ134の一実施形態の主要な断面図を示す。チャンバはさらに、少なくとも1つの機械的部材135を備える。移動可能な出口部分137、およびその出口部分を充填ツールの平坦な表面に接触するように強制する伸縮ばね136もまた示されている。
【0046】
図5は、第2の充填ツール部分102に適合された容器を備える動作可能な充填ツールの第1の部分101の様式化された主要な断面図を示す。容器110は、容器と整列された供給チャンバ中の粉末柱200からの粉末201によって充填されるように示されている。充填ツールの部分101および102の高精度に仕上げられた平坦な表面103は、互いに同一高さである。空気の吸引125のパルスが加えられて、容器中に粉末が吸引される。
【0047】
図6は、チャンバ134が、充填ツール101、102に対して移動したとき、出口部分137により、充填ツール表面103と同一高さに掻き落とされた、容器中の充填材料202の様式化された主要な断面図を示す。チャンバは、充填動作後の開始位置および終了位置で止まっている場合を示している。任意選択で、充填材料が排出位置まで移送される間、それを元のままに保つために、わずかな吸引125が空気ノズル124に加えられる。
【0048】
図7は、ツール102から取り外され、排出位置に配置された充填ツール101の様式化された主要な断面図を示しており、その場合、充填材料202を、空気ノズル124に導かれた空気圧パルス126により容器から押し出すことができる。コンテナ211は、充填材料を受け取る位置に存在する。
【0049】
図8は、コンテナ211中に置かれた充填材料202の様式化された主要な断面図を示す。容器110は、いまや空である。
【0050】
図9は、充填ツール102に戻される前のクリーニング位置における充填ツール101および容器110の様式化された主要な断面図である。クリーニングは、一例として、真空掃除301および吸引302により実施されるように示している。他の方法は、当業者には自明である。
【0051】
図10は、単一の部分だけを備える、充填ツール101の第2の実施形態の様式化された主要な断面図を示す。その場合、同様なフィルタ121および128をそれぞれ備え、また同様なシールおよび任意選択のサポート支援(詳細には図示せず)を含む2つの同様な空気ノズル124および127が、それぞれ、充填および排出のために使用される。ツールは、図5と同様に充填位置で示されている。しかし、容器は同一の開口部を有しており、したがって、充填材料は、第1の開口部を介して充填され、また第2の開口部を介して容易に排出される。
【0052】
図11は、次に、ノズル124と共に排出位置に移動し、空気ノズル127と一致した充填ツール101の第2の実施形態の様式化された主要な断面図を示す。わずかな吸引125が、容器中に充填材料202を保つためにノズル127に加えられ、したがって、ノズル124は、再度、充填位置に戻ることができる。チャンバ134が充填ツール101に対して移動すると、充填材料は、出口部分137により充填ツールの表面103と同じ高さに掻き落とされている。充填動作後に、開始位置および終了位置に留まっているときのチャンバが示されている。
【0053】
図12は、空気ノズル127と、正しく位置決めされ、ノズル127に加えられた空気圧パルス126により排出された充填材料202を受け入れる準備のできている投与量コンテナ103とに対して整列された、排出位置にある充填ツール101の第2の実施形態の様式化された主要な断面図を示す。ノズル124が、その充填位置に戻る状態で示されている。
【0054】
本発明によると、容器の第2の開口部が空気ノズルに接続され、それは、次に、例えば、高速動作オンオフバルブを介して真空および圧縮空気の供給に接続される。ノズルと容器の第2の開口部の間の、好ましくは織られたフィルタは、粉末がノズル中に入らないようにする。充填ツールの少なくとも1つの充填の完了後、ツールは、非充填位置に移動し、また任意選択で、動作中、加えられるわずかな吸引により、充填材料が容器からこぼれ出ないようにする。排出位置にあるとき、その任意選択の吸引は終了し、圧縮空気のパルスが容器の第2の開口部に加えられ、そこで、空気は粉末充填材料に対して力を加える。それにより、充填材料が容器から押し出され、選択されたコンテナが正しい位置にある場合、その中に落とされる。充填材料の詰め込みの程度は、好ましくは、充填中に吸引パルスのバランスを取ることにより調整され、したがって、容器から、粉末の固まりではなく、粉の出ない結合された粒子の多孔性の本体として充填材料を押し出すことができる。その後、充填ツールは、任意選択でクリーニング位置に移動し、空気の吸入により得られた任意の粒子がクリーニングされる。次いで、充填ツールは、新しい充填動作に対する用意が整う。
【0055】
フィルタは、粉末を空気を用いて容器中に引き寄せ、または容器から排除する場合に必要である。容器に加えられたよくバランスの取れた吸引力は、供給チャンバから粉末を収集し、容器を充填し、したがって、粉末は、計量チャンバとして働く容器中にある度合いで詰め込まれる。容器の第2の開口部のフィルタは、空気システム中に粉末が吸引されないようにし、それにより、充填プロセス中で失われることになる。フィルタは、空気供給システム中の任意の異粒子が充填材料中の粉末を汚染されないようにするので、排出動作中に、容器から充填材料を押し出すために空気圧を使用する場合にも必要である。フェルト材料は、粉末の充填材料を汚染し得る繊維を放出する可能性があるため、フィルタをフェルトから作るべきではない。フェルトのフィルタは、普通、かなり厚く、またフェルト中の繊維は、定位置に保持されないように意図されている。フェルトは、単に圧縮された繊維の集合であり、ランダムに配置され、結合剤により一緒に保持され、また多かれ少なかれ、ゆるい織物である。使用すると、フェルトは、繊維を放出し、粉末中に混合されることもあり、それは粉末の充填材料に追随してコンテナ中に入ることになる。本発明は、好ましくは、織られて事前に伸ばされ表面処理された、例えば、米国デラウェア州ニューアークのW.L.Gore & Associates、Inc.により製作された薄いフィルタを使用し、それは、設計的に通過する空気に対して繊維が失われない。本発明のさらなる利点は、フィルタが非常に薄いので、計量容器の空気接続端部に対して容易にシールできることである。厚いフェルトを変形させる機械的に強い力により容器に対してフェルトフィルタをしっかりと締め付ける共通の従来技術を実施する代わりに、伸ばされて織られたフィルタは、好ましくは、シールのもう一方の側にある空気ノズルに対して働く弾性のある適度なばね力を含む構成を用いて、容器の底部端にフィルタをシールする弾性的なシールにより定位置に保持され、それにより、接触圧力が一定に保持され、したがって、空気ノズルと、容器の空気接続端部との間でしっかりとした接続が維持される。シールは、非繊維質とすべきであり、また、例えば、PTFE、PFA、EPDM、ネオプレン、またはニトリル、および同様の、医学的に認められた材料から作ることできる。本発明のさらなる利点は、織られたフィルタは、所与の流れおよび粒子のろ過に対して、フェルトのフィルタと比較して、それをはさむ圧力の差が少なくてすむ、すなわち、必要なエネルギが少なく、それにより、充填および排出動作の制御が簡単化されることである。
【0056】
容器中の粉末量を適正に計量することは困難であるが重要であり、同じ容器から得られる充填材料相互間の一貫性もまた、当然、重要であり、また、複数ある場合、充填プロセスに含まれる異なる容器からの充填材料相互間の一貫性も重要である。従来技術のフェルトフィルタは、例えば、かなりの力で、空気ノズルをフェルト中に押し込むことにより、容器の空気接続端部にしっかりと締め付けられたとき、容易に変形する。フェルトは、内側に隆起し、計量容器の底部に侵入し、したがって、容器の実際の容積を減少させ、それにより、充填ステップで容器中に吸引される粉末充填材料が低減されて、受取りコンテナに移送すべき充填材料中の粉末質量が少なくなる結果となる。本発明は、その問題を、事前に伸張された、織られたフィルタを使用することにより解決するものであり、フィルタは、充填中の空気吸引および排出中の空気圧から得られる適度な力によりほとんど撓まない。しかし、フィルタは、吸引方向にわずかに隆起するので、容器の容積は、充填中にわずかに増加する。本発明の特定の一実施形態では、支持金網または焼結フィルタを、一方または両側上の織られたフィルタを支持するために使用される。好ましくは、支持網または焼結フィルタは、充填中に隆起する影響を阻止するために、織られたフィルタの吸引側に対してのみ適用され、それにより、公称の容器容積を維持することができる。しかし、反対方向に隆起することは、押し出すモードで利点があり、容器から充填材料を空気圧が押し出すのを助ける。織られたフィルタを適切な焼結フィルタと別々のアイテムで使用するのではなく、単一のフィルタ製品として一体化することもまた可能である。驚くことには、開示のフィルタの最適な使用により、同じ容器から得られる次の充填材料との相互間の相対標準偏差(RSD)が低減されるだけではなく、異なる容器からの充填材料相互間におけるRSDも低減される。
【0057】
さらに、排出後、計量容器中の粉末の残留は、織られたフィルタを使用した場合、フェルトフィルタと比較して驚く程少ないことも分かってきた。その理由は、従来技術のフェルトフィルタは、非常に変形され、かつ空気接続端部にしっかりと保持される縁部の周りで高密度となり、充填材料の押し出し中に、圧縮された空気が容器の内壁近くをやっと通過できるだけだからである。その現象は、壁に付着している粉末のすべてをクリーニングするには不十分な乱流を有する容器の内壁近くの空気流を大幅に低減させる。しかし、フェルトフィルタの代わりに、織られたフィルタが使用される場合であっても、容器壁の先細の角度を広くし過ぎないようにすべきであり、さもないと、壁の近傍の不十分な空気の乱れにより、容器の内壁上に粉末残留が増加する危険がある。好ましくは、壁と容器の中心線の間の先細り角度は、3〜30度の範囲であり、より好ましくは、6〜20度の範囲であり、非常に好ましくは、9〜15度の範囲である。
【0058】
粉末と接触し得るすべての表面上の粉末残留を低減することは、本発明のさらなる態様である。供給チャンバ、充填ツール、および粉末と接触する他の部分の材料は、形状の極度の安定性、良好な機械加工特性、磨耗に対する良好な耐性、必要な場合はコーティングにより達成される低摩擦特性を有する高精度の表面仕上げを示すように注意深く選択される。充填ツールなどに適切な材料は、例えば、真空アーク溶解(VAR)ステンレス鋼、金属、合金、PEEK、およびガラスを含む。適切なコーティング材料は、PTFE、PE、パリレンおよび同様のものなど、熱可塑性の材料から選択することができる。粉末と接触するツールの表面、例えば、計量容器は、研磨され、またはコーティングされて、Ra=0.25μm未満の粗粒率、および好ましくは、Ra=0.1μm未満の粗粒率とすべきであり、また得られた表面は、可能な限り低動摩擦係数を示すべきである。充填ツールの好ましい一実施形態は、機械加工されたステンレス鋼の本体を使用し、それは、数ステップで研磨され、さらに磨かれて、次いで任意選択で電解研磨され、その結果Ra=0.1μm未満の平滑さを得る。充填ツールおよび他の部分は、次いで、例えば、窒化クロム、石炭(coal)/クロム化合物の蒸着により、またはグラファイトコーティングにより、冶金学的にコーティングすることができる。こうすることにより、粉末の粒子が表面に付着するのを困難にし、非常に低摩擦で耐性のある表面を確保できる。どんな材料を使用するか、適切な研磨、および研磨/磨きステップ、および必要な場合にはコーティングタイプを決定することにおいて、薬剤粉末および粉末配合のタイプを検討する必要のあることは当然である。
【0059】
乾燥粉末、特に微細化された粉末の取扱いにおいて、静電気がしばしば問題になる。微細粒子は、移送されるとき、移送システムのオブジェクトとの接触によるだけではなく、流れる空気によっても容易に摩擦帯電する。問題は、粉末の品質および特性に影響を与えないように、通常、20%未満の相対湿度の乾燥した環境中で粉末を扱う必要性によりさらに悪化することである。粉末、充填ツール、および関連の機器の静電気の帯電を、充填工程を通して最小に保つ必要がある場合、例えば、米国ニューヨーク州グランドアイランドのNRD LLCの静電気除去装置を適用することによって、粉末粒子を電気的に放電させることができる。このようにすることにより、充填プロセスでの静電気による粒子の付着および他の妨害に起因する粒子の損失は最小に維持される。加えられた空気圧パルス粉末が計量容器から粉末充填材料を排出する場合、粉末粒子は、受取りコンテナに達する間に存在する空気間隙を通過する必要がある。摩擦帯電により、粒子は、多かれ少なかれ正または負の電荷を得る。電荷は、空気間隙中に存在する漂遊電界の影響によって、予測される慣性および重力軌跡とは別の方向に偏向させられ、したがって、受取りコンテナの予測されたターゲット領域とは別の表面領域に置かれるようになる。この種の流出を低減するために、本発明は、計量容器を組み込んだツールと、コンテナの間の空気間隙の近くに配置される、例えばイオン供給源など、帯電を中性にする供給源の追加を開示する。その場合、電気的に帯電された粒子は、供給源からの電荷により非常に急速に中性にされ、静電気に起因する容器からコンテナへの移送中の粒子損失が低減されることになる。
【0060】
本発明は、事前に計量される投与量が、100μg〜50mgの範囲であり、好ましくは、100μg〜10mgの範囲であり、非常に好ましくは、100μg〜5mgの範囲であるDPI中に挿入される予定のコンテナ中に、薬剤の乾燥粉末投与量を一貫性を有して充填することに関し、さらに、5%以下のRSDを提示することに関する。コンテナ中における計量される投与量は、複数の充填材料を含むことができるが、それは例外であって通常の工程ではない。それは、1回の投与量でコンテナを充填するために長時間かかるはずだからである。
【0061】
前述の内容で述べたことは、例としてだけであり、添付の特許請求の範囲で定義された本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示の諸実施形態に対する多くの変形形態が当業者には自明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の充填方法の流れ図である。
【図2】原料粉末供給源、供給チャンバ、および充填ツールの外観を示す第1の実施形態の断面図である。
【図3】円錐形の計量容器を備える充填ツールの第1の実施形態の断面図である。
【図4】粉末の柱を含む供給チャンバの一実施形態を原理的に示す断面図である。
【図5】容器の充填中における、織られたフィルタ、シール、空気ノズルを合わせた充填ツール、供給チャンバ、および粉末の柱の第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図6】充填ツール、計量された充填材料、および新しい充填動作を待機中の、充填動作後のその開始/終了位置における供給チャンバの第1の実施形態の原理的な断面図である。
【図7】充填材料が、容器から投与量コンテナ中に押し出される直前の排出位置における充填ツールの第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図8】充填材料が、容器からコンテナ中に移送された直後の排出位置における充填ツールの第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図9】クリーニング位置における充填ツールの第1の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図10】容器の充填中における充填ツールおよび供給チャンバ構成の第2の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図11】充填ツールが排出位置に移動したときの充填ツールおよび供給チャンバ構成の第2の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図12】粉末の充填材料を受け取るために正しく配置された投与量コンテナ中に、容器から充填材料が押し出される直前の排出位置における充填ツールの第2の実施形態を原理的に示す断面図である。
【図13】供給チャンバにおける位置の関数として、大きな粒子と混合した、この場合はインシュリンである小さな粒子の濃度の図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粉末供給源から乾燥粉末を受け取るための少なくとも1つの入口、および投与量充填ツールに前記粉末を供給するための少なくとも1つの出口を有し、
定常状態条件中に、前記原料粉末供給源から断続的に補給され、限られた数の投与量を示す概して一定であるが限られた量の粉末を含み、
前記原料粉末供給源を前記投与量充填ツールから分離し、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口まで粉末のプラグフローを生成する独立した中間デバイスを構成し、
定常状態条件中に、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口にわたり、大きな粒子から小さな粒子が分離する程度を一定にすることを特徴とする供給チャンバデバイス。
【請求項2】
付勢されたとき、前記供給チャンバデバイス中の粉末本体を均質な粉末本体に崩すことが可能であり、前記粉末本体を、前記供給チャンバデバイスの内側表面と接触しないようにすることが可能な少なくとも1つの付勢可能部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の供給チャンバデバイス。
【請求項3】
前記付勢可能部材が、前記供給チャンバに対して移動可能な少なくとも1つのスクレーパ部材を備えることを特徴とする、請求項3に記載の付勢可能部材。
【請求項4】
乾燥粉末の投与量の容積測定による生産のための装置であって、
前記粉末を含み、前記粉末の部分を放出する手段を備える原料粉末供給源と、
少なくとも1つの入口から少なくとも1つの出口まで、粉末のプラグフローを生成する供給チャンバデバイスであって、前記少なくとも1つの入口が、前記放出する手段から前記粉末の部分を受け取るように適合される供給チャンバデバイスと、
少なくとも1つの粉末計量容器を備える充填ツールであって、前記充填ツールおよび前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記少なくとも1つの出口が前記少なくとも1つの計量容器を横切るように、互いに対して移動可能であり、前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記相対的な運動中に前記充填ツールの表面と強制的に接触状態にされる前記充填ツールと、
前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記少なくとも1つの計量容器を横切るとき、前記少なくとも1つの計量容器を粉末の投与量で充填するために空気吸引を加えるように適合された空気吸引手段とを備え、
前記供給チャンバデバイスが、前記原料粉末供給源を前記充填ツールから分離する独立した中間デバイスを構成することを特徴とする装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの粉末計量容器を備える前記充填ツールの表面が平坦であることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
粉末粒子が、前記容器の充填中に吸引される空気へと失われないように、前記容器にフィルタを適用することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタが織られたフィルタであることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持金網、または前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持焼結フィルタの少なくとも一方を配置することにより、前記フィルタの機械的な強度を強化することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
弾性シールシーリングノズル、フィルタ、および容器が、空気および粉末が前記容器の中/外への漏れを止めるように、空気ノズル、前記フィルタ、および空気を吸引するための前記容器の開口部の間で接触圧を維持するためにばね力を加えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
押し出された粉末充填材料中の電気的に帯電した粒子が、容器からコンテナに移送される間に電気的に中性になるように、前記充填ツールと投与量コンテナの間の空気の間隙中に電荷の供給源を配置することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
電荷の供給源が、前記粉末および前記装置の静電荷を電気的に中性にするために、前記原料粉末供給源に対する作動距離に配置され、任意選択で、前記供給チャンバ中の前記粉末に対する作動距離、および前記充填ツールに対する作動距離に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
計量された投与量の容積測定による充填中に乾燥粉末中の粒子の分離を制御する方法であって、
原料粉末供給源から乾燥粉末を受け取るための少なくとも1つの入口、および充填ツールに粉末を供給するための少なくとも1つの出口を有する供給チャンバデバイスを構成するステップであり、前記供給チャンバデバイスが、限られた数の投与量を示す限られた量の粉末を含むステップと、
充填動作中に、前記原料粉末供給源から前記供給チャンバデバイスへ断続的に補給するステップと、
前記原料粉末供給源を前記充填ツールから分離し、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口に、粉末のプラグフローを生成する独立した中間デバイスであるように、前記供給チャンバデバイスを構成するステップとを含み、
定常状態条件で、前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口にわたり、大きな粉末粒子から小さな粉末粒子の分離する度合いが一定に生成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
選択された粉末投与量の質量目標を、100μg〜50mgの範囲、好ましくは、100μg〜10mgの範囲、非常に好ましくは、100μg〜5mgの範囲であるように選択するさらなるステップを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
付勢されたとき、前記供給チャンバデバイス中の粉末本体を均質な粉末本体に崩すことが可能であり、前記粉末本体を、前記供給チャンバデバイスの内側表面と接触しないようにすることが可能な少なくとも1つの付勢可能部材を前記供給チャンバデバイス中に構成するさらなるステップを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記供給チャンバの内側に対して移動可能な少なくとも1つのスクレーパ部材を備えるように前記付勢可能部材を選択するさらなるステップを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
乾燥粉末の容積測定による投与量を生産する方法であって、
原料粉末供給源から、限られた数の投与量を示す限られた量の粉末を、供給チャンバデバイスの少なくとも1つの入口に断続的に補給するステップと、
少なくとも1つの出口が充填ツールの表面と強制的に接触するような方法で、前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が前記計量容器を横切るように、前記供給チャンバデバイスと、粉末計量容器を備える前記充填ツールとの間で相対的な運動を提供するステップと、
前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記計量容器を横切るとき、前記計量容器を、前記粉末の投与量で充填するように、空気の吸引パワーを加えるステップとを含み、
供給チャンバデバイスが、前記原料粉末供給源を前記充填ツールから分離する独立した中間デバイスを構成することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの粉末計量容器を備える前記充填ツールの表面が平坦であるように構成するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粉末粒子が、前記容器の充填中に、吸引される空気へと失われないように前記容器にフィルタを適用するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持金網、または前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持焼結フィルタの少なくとも一方を配置することにより、前記フィルタの機械的な強度を強化するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
弾性シールシーリングノズル、フィルタ、および容器が、空気および粉末の前記容器の中/外への漏れを止めるように、空気ノズル、前記フィルタ、および空気を吸引するための前記容器の開口部の間で接触圧を得るようにばね力を加えるさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
押し出された粉末充填材料中の電気的に帯電した粒子が、容器からコンテナに移送される間に、電気的に中性になるように、前記充填ツールと投与量コンテナの間の空気の間隙中に電荷の供給源を配置するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記充填プロセスが悪影響を与えないように、粉末および装置の静電荷を電気的に中性になることを達成するために、電荷の供給源を、前記原料粉末供給源に対する作動距離に配置し、任意選択で、前記供給チャンバ中の前記粉末に対する作動距離、および前記充填ツールに対する作動距離に配置するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項1】
原料粉末供給源から乾燥粉末を受け取るための少なくとも1つの入口、および投与量充填ツールに前記粉末を供給するための少なくとも1つの出口を有し、
定常状態条件中に、前記原料粉末供給源から断続的に補給され、限られた数の投与量を示す概して一定であるが限られた量の粉末を含み、
前記原料粉末供給源を前記投与量充填ツールから分離し、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口まで粉末のプラグフローを生成する独立した中間デバイスを構成し、
定常状態条件中に、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口にわたり、大きな粒子から小さな粒子が分離する程度を一定にすることを特徴とする供給チャンバデバイス。
【請求項2】
付勢されたとき、前記供給チャンバデバイス中の粉末本体を均質な粉末本体に崩すことが可能であり、前記粉末本体を、前記供給チャンバデバイスの内側表面と接触しないようにすることが可能な少なくとも1つの付勢可能部材を備えることを特徴とする、請求項1に記載の供給チャンバデバイス。
【請求項3】
前記付勢可能部材が、前記供給チャンバに対して移動可能な少なくとも1つのスクレーパ部材を備えることを特徴とする、請求項3に記載の付勢可能部材。
【請求項4】
乾燥粉末の投与量の容積測定による生産のための装置であって、
前記粉末を含み、前記粉末の部分を放出する手段を備える原料粉末供給源と、
少なくとも1つの入口から少なくとも1つの出口まで、粉末のプラグフローを生成する供給チャンバデバイスであって、前記少なくとも1つの入口が、前記放出する手段から前記粉末の部分を受け取るように適合される供給チャンバデバイスと、
少なくとも1つの粉末計量容器を備える充填ツールであって、前記充填ツールおよび前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記少なくとも1つの出口が前記少なくとも1つの計量容器を横切るように、互いに対して移動可能であり、前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記相対的な運動中に前記充填ツールの表面と強制的に接触状態にされる前記充填ツールと、
前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記少なくとも1つの計量容器を横切るとき、前記少なくとも1つの計量容器を粉末の投与量で充填するために空気吸引を加えるように適合された空気吸引手段とを備え、
前記供給チャンバデバイスが、前記原料粉末供給源を前記充填ツールから分離する独立した中間デバイスを構成することを特徴とする装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの粉末計量容器を備える前記充填ツールの表面が平坦であることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
粉末粒子が、前記容器の充填中に吸引される空気へと失われないように、前記容器にフィルタを適用することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記フィルタが織られたフィルタであることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持金網、または前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持焼結フィルタの少なくとも一方を配置することにより、前記フィルタの機械的な強度を強化することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
弾性シールシーリングノズル、フィルタ、および容器が、空気および粉末が前記容器の中/外への漏れを止めるように、空気ノズル、前記フィルタ、および空気を吸引するための前記容器の開口部の間で接触圧を維持するためにばね力を加えることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項10】
押し出された粉末充填材料中の電気的に帯電した粒子が、容器からコンテナに移送される間に電気的に中性になるように、前記充填ツールと投与量コンテナの間の空気の間隙中に電荷の供給源を配置することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
電荷の供給源が、前記粉末および前記装置の静電荷を電気的に中性にするために、前記原料粉末供給源に対する作動距離に配置され、任意選択で、前記供給チャンバ中の前記粉末に対する作動距離、および前記充填ツールに対する作動距離に配置されることを特徴とする、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
計量された投与量の容積測定による充填中に乾燥粉末中の粒子の分離を制御する方法であって、
原料粉末供給源から乾燥粉末を受け取るための少なくとも1つの入口、および充填ツールに粉末を供給するための少なくとも1つの出口を有する供給チャンバデバイスを構成するステップであり、前記供給チャンバデバイスが、限られた数の投与量を示す限られた量の粉末を含むステップと、
充填動作中に、前記原料粉末供給源から前記供給チャンバデバイスへ断続的に補給するステップと、
前記原料粉末供給源を前記充填ツールから分離し、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口に、粉末のプラグフローを生成する独立した中間デバイスであるように、前記供給チャンバデバイスを構成するステップとを含み、
定常状態条件で、前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの出口にわたり、大きな粉末粒子から小さな粉末粒子の分離する度合いが一定に生成されることを特徴とする方法。
【請求項13】
選択された粉末投与量の質量目標を、100μg〜50mgの範囲、好ましくは、100μg〜10mgの範囲、非常に好ましくは、100μg〜5mgの範囲であるように選択するさらなるステップを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
付勢されたとき、前記供給チャンバデバイス中の粉末本体を均質な粉末本体に崩すことが可能であり、前記粉末本体を、前記供給チャンバデバイスの内側表面と接触しないようにすることが可能な少なくとも1つの付勢可能部材を前記供給チャンバデバイス中に構成するさらなるステップを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記供給チャンバの内側に対して移動可能な少なくとも1つのスクレーパ部材を備えるように前記付勢可能部材を選択するさらなるステップを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
乾燥粉末の容積測定による投与量を生産する方法であって、
原料粉末供給源から、限られた数の投与量を示す限られた量の粉末を、供給チャンバデバイスの少なくとも1つの入口に断続的に補給するステップと、
少なくとも1つの出口が充填ツールの表面と強制的に接触するような方法で、前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が前記計量容器を横切るように、前記供給チャンバデバイスと、粉末計量容器を備える前記充填ツールとの間で相対的な運動を提供するステップと、
前記供給チャンバデバイスの前記少なくとも1つの出口が、前記計量容器を横切るとき、前記計量容器を、前記粉末の投与量で充填するように、空気の吸引パワーを加えるステップとを含み、
供給チャンバデバイスが、前記原料粉末供給源を前記充填ツールから分離する独立した中間デバイスを構成することを特徴とする方法。
【請求項17】
前記少なくとも1つの粉末計量容器を備える前記充填ツールの表面が平坦であるように構成するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粉末粒子が、前記容器の充填中に、吸引される空気へと失われないように前記容器にフィルタを適用するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持金網、または前記フィルタの片側もしくは任意選択で両側に支持焼結フィルタの少なくとも一方を配置することにより、前記フィルタの機械的な強度を強化するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
弾性シールシーリングノズル、フィルタ、および容器が、空気および粉末の前記容器の中/外への漏れを止めるように、空気ノズル、前記フィルタ、および空気を吸引するための前記容器の開口部の間で接触圧を得るようにばね力を加えるさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
押し出された粉末充填材料中の電気的に帯電した粒子が、容器からコンテナに移送される間に、電気的に中性になるように、前記充填ツールと投与量コンテナの間の空気の間隙中に電荷の供給源を配置するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記充填プロセスが悪影響を与えないように、粉末および装置の静電荷を電気的に中性になることを達成するために、電荷の供給源を、前記原料粉末供給源に対する作動距離に配置し、任意選択で、前記供給チャンバ中の前記粉末に対する作動距離、および前記充填ツールに対する作動距離に配置するさらなるステップを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−522048(P2007−522048A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553087(P2006−553087)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000162
【国際公開番号】WO2005/075292
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506013678)メデリオ アーゲー (8)
【氏名又は名称原語表記】MEDERIO AG
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000162
【国際公開番号】WO2005/075292
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(506013678)メデリオ アーゲー (8)
【氏名又は名称原語表記】MEDERIO AG
【Fターム(参考)】
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