説明

予備吐出装置及び予備吐出方法

【課題】装置自体が大型化することなく、またローラ自体に高い加工精度を必要としない予備吐出装置、洗浄液の消費量が比較的少量で済み、ランニングコストが安価な予備吐出装置を実現する。
【解決手段】基板Wへの塗布に先立って、スリットノズル3からの塗布液を吐出させるための予備吐出装置において、スリットノズル3と対向して配置され、スリットノズル3のスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面20と、予備吐出面20の近傍に、予備吐出面20の表面に存在する塗布液を除去する除去機構21が設けられている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板や半導体ウェハ等の基板表面にレジスト等の塗布液を塗布するスリットコータの予備吐出装置及び予備吐出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スリットコータを用いて基板表面に塗布液をコートする場合、塗布作業が終了した後の次の基板に塗布するまでの待機期間中に、スリットノズルの先端部の塗布液が空気と接触するため塗布液の濃度が部分的に高くなり、部分的に塗布液の粘度が上昇してしまう。
このような状態で塗布作業を行うと、部分的な粘度むらにより縦筋等の塗布むらや膜切れが発生する。
このような不具合を解消するために、基板への塗布液の供給に先立ってスリットノズルの開口付近に存在する少量の塗布液を吐出させる予備吐出処理が行われている。
【0003】
このような予備吐出処理を行う予備吐出装置として、プライミングローラを用い、スリットノズルからプライミングローラ上に少量の塗布液を吐出させるローラ方式の予備吐出装置が既知である(例えば特許文献1参照)。
この予備吐出装置では、洗浄液が収容されている洗浄槽内にプライミングローラを浸浸し、スリットノズルから吐出された塗布液をプライミングローラの回転に伴いスキージにより掻き落とすように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−329340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したようなローラ方式の予備吐出装置は、ローラ自身を収容する洗浄槽を必要とするため装置自体の容積が大きくなり装置自体が大型化する欠点がある。また塗布される基板の大型化に伴いローラも大型化するため、ローラの加工精度を維持するのが困難になる欠点が生じていた。さらにローラ方式の場合、洗浄液中にプライミングローラを浸漬するために洗浄液の消費量が大量になり、ランニングコストも高価になる欠点も指摘されている。
またこれ以外にも、ローラ全体を常に清浄に保つために、スリットノズルのスリット長以上のスキージ(ローラ表面の塗布液かき取り用)が必要となるので、ローラの場合と同様スキージの加工精度の維持が困難であり、さらにはこのような大型化したスキージをローラに対して所定の角度で設けることに関しても精度の維持が困難であった。
またローラの清掃に欠陥が生じた場合、その欠陥が塗布自体に悪影響を与え易いという欠点がある。
【0006】
本発明は上述した点に鑑み、装置自体が大型化することなく、またローラ自体に高い加工精度を必要としない予備吐出装置及び予備吐出方法を実現するものである。
さらに、本発明の他の目的は、洗浄液の消費量が比較的少量で済み、ランニングコストが安価な予備吐出装置及び予備吐出方法を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の予備吐出装置は、基板表面への塗布に先立って、スリットノズルからの塗布液を吐出させるための予備吐出装置であって、スリットノズルと対向して配置され、スリットノズルのスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面と、予備吐出面の近傍に、予備吐出面の表面に存在する塗布液を除去する除去機構が設けられている構成とする。
【0008】
本発明の予備吐出装置によれば、スリットノズルと対向して配置され、スリットノズルのスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面と、予備吐出面の近傍に、予備吐出面の表面に存在する塗布液を除去する除去機構が設けられているので、予備吐出面(仮想の基板)に塗布液を吐出するようにして実際の予備吐出処理を行うことが可能になる。これにより、例えばローラ方式の予備吐出装置の場合に比べて駆動装置を設ける必要もなく簡易な構造を得られると共に装置の大型化を抑えることができる。また製造コストも抑えることができる。さらにはローラ方式を用いていないので高い加工精度も必要としない。
【0009】
本発明の予備吐出方法は、基板表面への塗布に先立って、スリットノズルからの塗布液を吐出させるための予備吐出方法であって、スリットノズルが基板表面に塗布液を供給する間に、スリットノズルのスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面上で除去機構を移動させることで、予備吐出面上に残存する塗布液を除去するようにする。
【0010】
本発明の予備吐出方法によれば、スリットノズルが基板表面に塗布液を供給する間に、スリットノズルのスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面上で除去機構を移動させることで、予備吐出面上に残存する塗布液を除去するようにしたので、例えばローラ方式の予備吐出方式に比べて簡易に予備吐出処理を行うことができ処理効率を向上させることができる。また、予備吐出処理中は例えば予備吐出面へ少量の洗浄液を供給するだけで構わなく、その後の除去機構の移動で塗布液を除去することができるので、例えばローラ方式の予備吐出方式に比べて洗浄液の消費量を大幅に削減することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の予備吐出装置によれば、構造的に簡易であり、また安価な予備吐出装置を得ることが可能になる。
また、本発明の予備吐出方法によれば、予備吐出処理の処理効率の向上及び洗浄液の削減をも図ることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は、本発明の予備吐出装置を具えるスリットコータの概略構成図を示し、図1は平面図、図2は図1のA―A線上の断面図である。また図3及び図4は予備吐出装置の概略構成図、図5は予備吐出装置の除去機構の詳細を示す側面図である。
図1及び図2に示すように、スリットコータは基台1を具え、基台1に一対のレール(2a,2b)が設けられている。レール(2a,2b)にはスリットノズル3が搭載された移動装置4が走行自在に配置され、レール(2a,2b)のほぼ中央に基板載置ステージ5が配置されている。そして、基板載置ステージ5上にガラス基板や半導体ウェハ等の基板Wが配置され、基板Wの表面にレジスト等の塗布液が塗布される。移動装置4は、レール(2a,2b)に係合する駆動部(6a,6b)とこれら駆動部間に架設したビーム(7a,7b)を具えている。
【0013】
スリットノズル3は、2つの駆動装置(6a,6b)との間に昇降自在に支持され、レール(2a,2b)の延在方向と直交する方向に延在するスリット開口を有しており、塗布液はこのスリット開口を介して基板Wの表面に塗布される。スリットノズル3は、シリンジポンプ(図示せず)と連通すると共に塗布液供給チューブ(図示せず)共連通して1回分の塗布液が供給される。そして、1回の塗布が終了した後は、余分な塗布液は排出チューブを介して回収される。
【0014】
なお、基板W表面への塗布に際しては、例えばギャップセンサを用いてスリットノズルと基板W表面との間隔を測定し、図示しない昇降装置を駆動してスリットノズル3と基板W表面との間隔が所定の間隔に維持されるように調整する。
【0015】
そして本実施の形態においては特に、基板載置ステージ5から離れた位置に設けられた予備吐出部10において、予備吐出装置が次に示すように構成されている。
即ち、予備吐出装置は、図3及び図4に示すように、スリットノズル3と対向するように配置され、スリットノズル3のスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面20と、予備吐出面20の表面に存在する塗布液を除去する除去機構21等から構成されている。
【0016】
予備吐出面20は板状のプレートで形成されており、このプレート20はドレインパン22に固定され、スリットノズル3のスリット開口の延在方向と同一の方向に延在している。ドレインパン22には、図示しないが、ドレインパン22自身を洗浄する洗浄液供給機構を独自で有している。またドレインパン22内を排気する排気機構も有している。
またプレート20の両端(20a,20b)は面取り加工されている。このように面取り加工することにより、後述するように、スキージ22がプレート20上を移動する際、スキージ22がプレート20の両端(20a,20b)により影響(接触による破損等)を受けることを防ぐことができる。
【0017】
除去機構21は、図5に示すように、スキージ23が取り付けられた本体24と、この本体24に取り付けられた洗浄液供給機構25、乾燥機構26、吸引機構27とから構成されている。
【0018】
除去機構21では、図示のようにプレート20上に配置された際に、可動方向(矢印A参照)を基準として、本体24の前段に乾燥機構26が、本体26の後段に洗浄液供給機構25が配置されるように取り付けられている。吸引機構27は、本体24においてスキージ23が取り付けられた側とは反対側に取り付けられている。また本体30は支点Xを基準として可動可能に取り付けられている。
なお、洗浄液供給機構25、乾燥機構26、吸引機構27の取り付け位置やプレート20に対する本体24の向き等は図示の場合に限定されず状況に応じて様々な形態が考えられる。
【0019】
このような構成の除去機構21では、図示しない駆動機構に設けられた押圧バネにより自身がプレート20に押圧されると共にスキージ23もプレート20に圧接される。そしてスリットノズル3の開口の延在方向と同一の方向(長手方向)に一体で移動し後述するような予備吐出処理を行う。なお、プレート20上に塗布液を吐出しない場合は、除去機構21はプレート20上から一旦上方へ離れ、プレート20に対して直行方向(矢印B参照)に移動し待機位置に戻る。即ちプレート20の横側へ移動する。
【0020】
スキージ23の端部(下端)は上述したようにプレート20の表面に対して圧接され、スキージ23とプレート20の表面との間には弾性圧接力が作用している。プレート20に対してのスキージ23の突き当て角度は例えば30〜75度(好ましくは45〜60度)の範囲で調整することができる。このような角度でスキージ23をプレート20に突き当てることにより塗布液のかき取り効果を高めることができる。
【0021】
スキージ23としては、プレート20よりも硬度が低く、耐溶剤性があり、弾性を有する材料からなるものが好ましい。本実施の形態ではポリエステルを用いているが、これ以外にも例えば弾性変形可能なゴム材料からなるものも用いることができる。
【0022】
洗浄液供給機構25には洗浄液を供給する洗浄液供給孔29が設けられている。この洗浄液供給機構25はプレート20上に洗浄液を供給できる構成であれば構わなく供給管やノズル形状等は様々な形態が考えられ、例えば複数のノズルを設けるようにしてプレート20上に異なる種類の洗浄液を供給することもできる。またこれ以外にもノズルの向き或いはノズルからの洗浄液の供給角度を変えることでプレート20だけでなくスキージ23に洗浄液を供給することもできる。この場合は別途スキージ23用の洗浄液供給機構を設ける必要もなく構成を簡素化できる。
【0023】
乾燥機構26にはエアを供給するエア供給孔28が設けられている。この乾燥機構26も洗浄液供給機構25に類似して、プレート20上にエアを供給できる構成であれば構わなく供給管やノズル形状等は様々な形態が考えられる。例えばノズルの向き或いはノズルからのエアの供給角度を変えることでプレート20だけでなくスキージ23にエアを供給することもでき、この場合は別途スキージ23用の乾燥機構を設ける必要もなく構成を簡素化できる。
【0024】
なおスキージ23用の洗浄液供給機構或いは乾燥機構を別途設ける場合は、プレート20の近傍(上側、下側、横側等)、除去機構21の移動終点位置近傍、除去機構21の待機位置近傍等に設けることができる。また除去機構21に一体に組み込むこともできる。
【0025】
吸引機構27は、図示しないが、本体24内を通じてスキージ23の近傍へと通じる吸引用のノズルから構成されている。
【0026】
このような本実施の形態の予備吐出装置によれば、スリットノズル3のスリット開口の延在方向と同一の方向に延在するプレート20と、このプレート20の近傍に、プレート20の表面に存在する塗布液を除去する除去機構21が設けられているので、後述するように実際にプレート20上で移動させた場合は、プレート(仮想の基板)20に正規の塗布工程と同様に塗布液を吐出して除去機構21によりプレート20上の塗布液を除去するという容易な予備吐出処理を行うことが可能になる(例えばローラ方式の予備吐出装置の場合に比べて)。
すなわち、本実施の形態の場合、板状のプレート20の幅と略同等の幅のスキージ23を単にスリットノズル3の開口の延在方向に移動させるといった簡易な構成なので、ローラ方式のようにローラの駆動機構やスリット長以上のスキージ等は必要なく、ローラ自体やスキージの取り付け方に高い精度も要求されない。このように、高い加工精度も要求されず大掛りな駆動装置も必要としないので製造コストが抑えられた簡易な装置構造を得ることができる。
【0027】
また除去機構21が、スキージ23及び洗浄液供給機構25、更には乾燥機構26や吸引機構27とから構成されているので、後述するように実際にプレート20上で移動させた場合は、プレート20上の塗布液を洗浄液でやわらかくしてスキージ23でかき取ることが可能になる。そして更に、吸引機構によりかき取った塗布液をダイレクトに吸引することもでき、かき取った後のプレート20をクリーンな状態に乾燥させることも可能になる。
【0028】
次に、上述した予備吐出装置を用いた実際の予備吐出方法(予備吐出処理)の実施の形態を説明する。本実施の形態では、塗布に際し、予備吐出部10をスタート位置とする。
【0029】
基板Wへの正規塗布工程が終了すると、図3に示したようにスリットノズル3はスタート位置である予備吐出部10に戻る。そしてスリットノズル3からプレート20へ、正規の塗布工程と同様な操作により所定量の塗布液を吐出(供給)する。
この際、スリットノズル3は、プレート20に近づくように下降し、例えばスリットノズル3の先端とプレート20の表面との間隔が例えば30μmとなるまで下降してビードを形成する。その後、スリットノズル3を例えば150〜200μm程度まで上昇させ、その間にポンプからの塗布液供給速度を基板Wへの塗布速度まで上げてスリットノズル3を移動させて所定量の塗布液を吐出する。
【0030】
プレート20上に塗布液を吐出した後、スリットノズル3は基板W上へ移動し基板Wへの正規塗布工程へ再び戻る。
具体的には、リニアモータが駆動されることで移動装置5が図面の右側に向けて移動し、スリットノズル3から基板Wの表面にレジスト等の塗布液を供給する。基板Wの表面への正規な塗布工程が終了すると、スリットノズル3は昇降しスタート位置まで戻る。
【0031】
このように次の基板Wへの正規塗布工程が再び行われ始めると、予備吐出部10では除去機構21が動作してプレート20上の塗布液の除去を始める。
即ち、除去機構21が待機位置からプレート20上に移動し、図4及び図5に示すようにプレート20上に対向して配置される。そして洗浄液供給機構25から洗浄液をプレート20上に供給する。
【0032】
次に除去機構21をプレート20上の一端から他端(図4及び図5中矢印A)へ移動することでプレート20上の塗布液をスキージ23によりかき取る。この際、洗浄液により塗布液の粘性は低下しておりプレート20上から塗布液をきれいにかき取ることができる。そしてこのかき取り動作にあわせて吸引機構27の駆動によりスキージ23に付いた塗布液をダイレクトに吸引する。
なお吸引はかき取り動作にあわせなくても構わなく、スキージ23が移動終点まで到達した時点で動作することもできる。また除去機構21の移動は1回きりではなく複数回行う場合も考えられる。
【0033】
次に乾燥機構26よりエアをプレート20上に供給してプレート20を乾燥する。そしてこの後は、除去機構21をプレート20上から一旦上方へ離し、プレート20に対して直行方向に移動させ(図4中矢印B参照)待機位置へと戻す。
なお、例えばスキージ23も洗浄液で洗浄し乾燥させる場合は、洗浄液供給機構や乾燥機構が設けられている箇所にもよるが(除去機構21に一体に設けられているかそれとも別途設けられているか)、待機位置に戻る前(プレート20の乾燥後)や待機位置に戻ってから行われる。
【0034】
このような本実施の形態の予備吐出方法によれば、プレート20上に塗布液を吐出して洗浄液を供給後、スキージ23でかき取るだけの簡易な方法としたので、例えばローラ方式の予備吐出方式に比べて処理効率を向上できる。また、予備吐出処理中は洗浄液供給機構25から少量の洗浄液をプレート20上へ供給するだけで構わなく、例えばローラ方式の予備吐出方式に比べて洗浄液の消費量を大幅に削減することができる。
また、吸引機構27でスキージ23に付いた塗布液をダイレクトに吸引しているのでスキージ23を常に洗浄後に近い状態にすることができ処理中は最大のかき取り効果を維持することができる。またかき取り後のプレート20を乾燥機構26により乾燥させているので、プレート20上を常にクリーンな状態にすることもできる。
なお、プレート20だけでなくスキージ23を洗浄及び乾燥する場合は、よりクリーンな環境下で予備吐出処理を行うことができる。
【0035】
上述した実施の形態の予備吐出装置では、予備吐出面20として板状のプレートを用いたが、これ以外にもベルト状のものを用いることもできる。
例えばベルトをローラ状に回転移動可能な構成とすれば、回転移動するベルトに対して固定されたスキージを当接することで、本実施の形態の構成(図3及び図4)と同様に塗布液をかき取ることができる。この場合、スキージはベルトに当接すればよいのでスキージの配置位置も特に限定されない。
【0036】
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、除去機構21が、スキージ23及び洗浄液供給機構25、更には乾燥機構26及び吸引機構27からなる場合を説明したが除去機構21の構成はこれに限定されない。即ち、塗布液の粘度が低く洗浄液をよりやわらかくする必要のない場合は、プレート20上の塗布液を単にかき取るという点では少なくともスキージ23を有していればよく、スキージ23のみの除去機構も考えられる。またこれ以外にもスキージ23と洗浄液供給機構25からなる除去機構も考えられる。
このように、状況下に応じて除去機構21の構成をさらに簡素化させることが可能なことはいうまでもない。無論除去機構21としては上述した構成とし、実際の処理中において必要のない工程を除く(工程を行わない)こともできる。
【0037】
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、除去機構21においてスキージ23を用いた場合を説明したが、例えばブラシ、エアナイフ或いはスポンジを用いることもできる。
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、除去機構21において1つのスキージ23が設けられた場合を説明したが、複数設けられた構成とすることもできる。この場合、それぞれのスキージを同じ材料から形成しても構わなく異なる材料で形成しても構わない。このような構成によりかき取り効果を単に1つの場合に比べて大幅に向上することができる。
またスキージとブラシ或いはエアナイフとを組み合わせたり、ブラシとエアナイフを組み合わせることもできる。
またこれ以外にも、スキージとスポンジ、ブラシとスポンジ或いはエアナイフとスポンジのように組み合わせることにより、例えば塗布液のかき取り及びプレートの洗浄(拭き取り)をいっきに行うこともでき相乗効果を期待できる。
【0038】
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、プレート20を例えば90度反転させ(垂直)、横面に取り付けられた除去機構21でプレート20の塗布液をかき取るようにする構成や、スリットノズル3より塗布液をプレート20上に吐出後にプレート20を180度反転させて、プレート20の下面に取り付けられた除去機構21で塗布液をかき取るようにすることもできる。
【0039】
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、例えばプレート20の端部においてスキージ23の先端がプレート20から離間するように(プレート20から上方へ離れるように)構成することもできる。例えば処理中における可動停止時にプレート20の端部においてスキージ23の先端がプレート20から離間することにより、スキージ22に不着した塗布液がプレート20上に残存する不具合が解消され、プレート20表面がクリーンな状態に維持される利点がある。
またこれ以外にも、プレート20に駆動機構を設け、プレート20が除去機構21(スキージ22)に対して離間する構成とすることもできる。
【0040】
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、除去機構21は最低限プレート20上に洗浄液を供給でき、プレート20上から塗布液を除去できればよいため、上述した実施の形態のようにプレート20の上側に位置するような構成に限定されず、プレート20の配置位置等により例えばプレート20に対して横側に設置することもできる。即ち、除去機構24の設置位置はプレート20に対し上側、下側、横側の何れかの箇所でも構わない。
【0041】
上述した実施の形態の予備吐出方法においては、スリットノズル3よりプレート20上へ塗布液を吐出した後、スキージ22でかき取る前に洗浄液をプレート20上に噴出したが、粘性が低ければ洗浄液を噴出せず単にスキージ22で塗布液をかき取ることも可能である。
【0042】
また上述した実施の形態の予備吐出装置では、スリットノズルを収容するガントリーを1個だけ有するスリットコータについて説明したが、基台上に2対のガントリーを具えるダブルガントリー方式にも適用することができる。
【0043】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲でその他様々な構成が取り得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】スリットコータの一例を示す平面図である。
【図2】図1に示すスリットコータのA−A線上の断面図である。
【図3】本発明に係る予備吐出装置の一実施の形態を示す概略構成図(その1)である。
【図4】本発明に係る予備吐出装置の一実施の形態を示す概略構成図(その2)である。
【図5】図3及び図4に示す予備吐出装置の除去機構の詳細を示す側面図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・基台、2a,2b・・・レール、3・・・スリットノズル、4・・・移動装置、5・・・基板載置ステージ、6a,6b・・・駆動部、7a,7b・・・ ビーム、10・・・予備吐出部、20・・・予備吐出面(プレート)、21・・・除去機構、22・・・ドレインパン、23・・・スキージ、24・・・本体、25・・・洗浄液供給機構、26・・・乾燥機構、27・・・吸引機構、28・・・エア供給孔、29・・・洗浄液供給孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板への塗布に先立って、スリットノズルからの塗布液を吐出させるための予備吐出装置において、
前記スリットノズルと対向して配置され、前記スリットノズルのスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面と、
前記予備吐出面の近傍に、前記予備吐出面の表面に存在する塗布液を除去する除去機構が設けられていることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の予備吐出装置において、前記除去機構はスキージと洗浄液供給機構とから構成されていることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項3】
請求項2に記載の予備吐出装置において、前記除去機構は乾燥機構及び吸引機構も有していることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項4】
請求項2に記載の予備吐出装置において、前記スキージはポリエステルから形成されていることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項5】
請求項2に記載の予備吐出装置において、前記スキージが複数設けられていることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項6】
請求項1に記載の予備吐出装置において、前記予備吐出面は板状のプレートであり、前記プレートの一端又は両端が面取り加工されていることを特徴とする予備吐出装置。
【請求項7】
基板表面への塗布に先立って、スリットノズルからの塗布液を吐出させるための予備吐出方法において、
前記スリットノズルが前記基板表面に塗布液を供給する間に、前記スリットノズルのスリット開口の延在方向と同一の方向に延在する予備吐出面上で除去機構を移動させることで、前記予備吐出面上に残存する塗布液を除去することを特徴とする予備吐出方法。
【請求項8】
請求項7に記載の予備吐出方法において、前記予備吐出面上に残存する塗布液を洗浄液で溶解させた後、溶解された塗布液をスキージで除去し、その後前記予備吐出面を乾燥させることを特徴とする予備吐出方法。
【請求項9】
請求項8に記載の予備吐出方法において、前記スキージを洗浄させることを特徴とすることを特徴とする予備吐出方法。
【請求項10】
請求項7に記載の予備吐出方法において、前記除去機構の移動を複数回繰り返すことを特徴とする予備吐出方法。
【請求項11】
請求項7に記載の予備吐出方法において、前記予備吐出面上に残存する塗布液を除去した後、前記予備吐出面を洗浄液で洗浄し乾燥させることを特徴とする予備吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−268391(P2007−268391A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−96270(P2006−96270)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】