二つの噛合ローター及びディスククラッチを備えた過給機
本発明は相互に係合する二つのローターを有しディスククラッチを備える過給機に関わるものである。ディスククラッチは駆動軸(7)とローターのうちの一方とそれぞれ接続された駆動(9)及び従動(12)クラッチを有する。さらに、軸方向に変移可能な押圧体(15)及び押圧体のための作動装置(13)並びに非作動バネ(17)を備えている。本発明によれば、ディスククラッチは非作動方向で押圧体(15)の軸方向動作を制限する停止装置(18、19)を備えている。停止装置(18、19)は押圧体(15)或いは従動クラッチホルダ(11)上の衝撃手段(18)とその他の構成要素上の停止手段(19)とで構成されている。衝撃手段(18)は軸方向で固定され一方で停止手段(19)は摩擦継手で接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
相互に噛合う二つのローターを有し、また
− 駆動軸に接続された駆動クラッチホルダを有する駆動クラッチ、
− ローターの一つに接続された従動クラッチホルダを有する従動クラッチ、
− 作動時にこれらクラッチを圧縮するよう配置された軸方向に移動可能な押圧体、
− 押圧体を作動するための作動装置、及び
− 押圧体を非作動にするためのバネ手段
から構成されるディスククラッチを備えた過給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、上記種類の過給機は従来公知である。過給機は、例えば加速時に内燃エンジンに正圧で空気を供給する必要がある場合に、ディスククラッチによって係合される。
【0003】
過給機の係合が実行されると、過給が実行状態となるまで、例えばアクセルペダル又は電気制御型式係合を介して係合動作が開始されるという事実から特定の遅延が発生する。かかる遅延は、特に、クラッチが相互に完全に係合されるまでピストンが初期設定位置からディスククラッチを動かすのに掛かる時間から成る。この動きは、一方では相互にクラッチを押す押圧体が必要な製造公差の結果としてクラッチパックに到達するまでの動き対応する距離にわたり、他方ではクラッチを互いに押圧して相互に完全に係合させるのに必要な距離にわたるべきである。非作動状態においては、駆動及び従動クラッチは当然相互に対して特定の隙間を有しなければならない。
【0004】
上記遅延のための時間を可能な限り減少させることが重要である。
【0005】
さらに、特許文献2により、ディスククラッチは従来公知であり、ストローク長及びそれによって係合時間を制限する目的で非作動方向におけるクラッチ板の動きを制限する装置が設けられている。かかる装置はカム表面と共動するバネ負荷ボールを備えている。そのためその構造は複雑であり、それによって製造費用が嵩んでいる。さらに、しかもこの種の装置は動作上の障害を受け易い。公知のディスククラッチは過給機と係合するようにされていないため、ディスククラッチはそのような装置を操作する際の特別な条件に適応していない。
【0006】
過給機を係合するためのディスククラッチでは、迅速な係合の必要性が特に強調されている。車の過給機に関しては、係合の開始時例えば追い越し時に過給機が可能な限り速やかに応動することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スウェーデン国特許第511,761号
【特許文献2】米国特許第5,749,451号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単でしかも信頼できる仕方で、内燃エンジンの過給機が係合する時間を短縮させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本明細書の最初部分に記載した種類の過給機が特別の特徴を有すること、すなわちディスククラッチが非作動方向における押圧体の軸方向の動きを制限する停止装置を備え、停止装置が衝撃手段と停止手段とを備え、衝撃手段及び停止手段の一方が従動クラッチホルダに接続され、衝撃手段及び停止手段の他方が押圧体に接続され、衝撃手段の接続が軸方向で固定され、停止手段の接続が摩擦継手で行われることによって、前記の目的は達成される。
【0010】
停止装置が押圧体の軸方向の動きを制限することによって、衝撃手段及び停止手段の最適化された軸方向の位置決めを達成することができ、それにより軸方向の動きはクラッチの隙間を埋めるように要求される程度に制限される。
【0011】
従って必要な製造公差を埋めるよう要求されるストローク長の部分は取り除かれる。さらに、クラッチの隙間は最小限に保つことができる。幾つかの、通常は約15個の共動する構成要素を備えているため、公差の除去及び隙間の縮小は係合時のストローク長を著しく短縮することになる。停止手段の接続が摩擦継手によって行われることにより、上記最適な位置決めに対応する状況に停止手段の位置決めを軸方向に調節することは容易である。よって、押圧体が両クラッチを押し始める前に移動する必要のある距離は取り除かれる。従って、押圧体のストローク長はクラッチ間の隙間に対応するだけである。操作手段のストローク長は対応する程度まで制限されるようになる。よって係合時間はおよそ0.5秒から0.2秒すなわち約半分の値まで短縮することができる。
【0012】
停止手段とその関連構成要素との間の摩擦継手の特別な解決策には、停止装置が非常に容易に製造され調節されるようになる。さらに設計においても信頼性が非常に高まることになる。
【0013】
本発明の利点は、主に係合時間を低減することで使用するのは興味深いことではあるが、これらの利点は代わりに維持した係合時間を受け入れることによって利用することも可能である、しかも寸法的に縮小される操作装置を代替的に使用してもよい。例えば液圧式ピストン作動では、エンジンの油圧が液圧源として使用され、そのため流量は絞りで調整することができる。代わりに油がポンプで供給される場合には、低圧力及び/又は低容量を有するものを選択することが可能である。
【0014】
好ましい実施形態によれば、停止手段は少なくとも1つの停止リングを備えている。
【0015】
この手段をリングとして形成することは構造上の利点が伴い、目的に適った仕方で摩擦継手を容易に形成できる。適当には、リングはディスククラッチの主軸線と同軸である。また衝撃手段は、適当にはリング型でありしかも好ましくは同軸である。代わりに、停止リングはディスククラッチの主軸線に平行に横方向に変位され得、好ましくはディスククラッチの主軸線と同心の円形線上に配置される複数の停止リングを備えるようにするのも適当であり得る。
【0016】
追加の好ましい実施形態によれば、各停止リングの摩擦継手は停止リングの半径方向外側或いは内側と、停止リングの接続される押圧体及び従動クラッチホルダ及びのうちの何れかの半径方向内側或いは外側との間に形成される。
【0017】
それにより、比較的容易な仕方で、製造精度に不必要に要求される高度な諸要件なしに、十分に適用された摩擦力を得ることができる。
【0018】
追加の好ましい実施形態によれば、停止リングには、異なる軸方向で異なる強度の摩擦力をもたらす手段を設け、作動の際に、押圧体の動作方向に停止リングを変移させようと保つ摩擦力が停止リングを反対方向に変移させようと保つ摩擦力より小さくなるようにしている。
【0019】
それにより、停止リングは、非作動時に、クラッチの隙間のみに対応するものに押圧体の変位を制限するように押圧方向に変位されるように抵抗が極く僅かであることによって、最適な軸方向の状況に容易に調節できる。
【0020】
追加の好ましい実施形態によれば、摩擦継手の一部を構成する各停止リングの半径方向側部は上記異なる大きな摩擦力を得るために非対称である。
【0021】
停止リングの構造により摩擦力を不均衡にすることは比較的簡単で目的に適った解決策である。
【0022】
追加の好ましい実施形態によれば、摩擦継手の一部を構成する各停止リングの半径方向側部は斜めに向いた複数の突起を備え、これらの突起は非作動時に押圧体の動く方向に傾斜される。
【0023】
傾斜した突起は、従動クラッチホルダ或いは押圧体の材料に対して内側に押される一種の棘のようなもの(barb)として機能するため、非作動方向の動きを打ち消す強い摩擦力を発生する。他の方向では、突起はその位置決めを許容する低摩擦力を保証し引きずられるように摺動することができる。アルミニウムから押圧体を作ることができるため突起を押圧体に向かって外側に方向付けた代替案は特に有意であり、優れた保持条件を保証する。
【0024】
上述の幾つかの実施形態の代わりの実施形態によれば、摩擦継手はバネ手段の最大軸方向力よりも大きい押圧力を有する圧縮継手である。
【0025】
停止リングは、従動クラッチホルダ及び従動クラッチホルダの接続されている押圧体のうちの一方に固定され収縮する平らなリングとして形成することができる。上述の実施形態における停止リングが異なる軸方向の動きに対して異なる抵抗を有するが、動きに対抗する摩擦力は両方向において同じである。
【0026】
一方向における動きの可能性及び他方向における動きに対する抵抗は、それぞれの方向でリングに作用する強さの異なる外力に摩擦力を適用させることによって得られる。
【0027】
追加の好ましい実施形態によれば、操作手段は、液圧式ピストンから成っている。
【0028】
これは一般的に過給機のディスククラッチに最も多く使用されている種類の操作手段であり、従って本発明は、上記操作手段を活用することが特に興味深いことである。この実施形態において、本発明は、はじめに指摘したように従来技術と比較しても係合時間を短縮することなしに低性能の液圧媒体の供給を使用することができる。
【0029】
追加の好ましい実施形態によれば、過給機はスクリュー圧縮機から成る。
【0030】
本発明はそれ自体、例えばルーツブロワーの形態の他の種類の過給機の型式にも適用可能であるが、それに伴う一般的な利点を活用してスクリュー圧縮機に用いるのに特に適している。
【0031】
上述の好ましい実施形態は、請求項1の独立請求項に記載されている。当然ながら追加の好ましい実施形態は上述の好ましい実施形態の実現可能な全ての組合せから成ることが強調されるべきである。
【0032】
第二の特徴では、本発明は、特に本発明の好ましい実施形態のいずれかによる、本発明の過給機に包含されるディスククラッチとして対応する設計のディスククラッチに関する。
【0033】
前記で説明してきたように、本発明によるディスククラッチ及びディスククラッチの好ましい実施形態は、本発明による過給機として対応する種類の利点を有している。
【0034】
本発明は、添付図面を参照して以下に詳細に記載する本発明の実施形態の例によってより詳細に説明される 。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による型式の過給機示す斜視図。
【図2】非係合すなわち分離位置における図1の過給機のディスククラッチの軸方向断面図。
【図3】図2の細部の拡大図。
【図4】係合位置における図2に対応する軸方向断面図。
【図5】図4の部分拡大図。
【図6】図2〜図5におけるディスククラッチの細部の一部を示す端面図。
【図7】図6の細部の側面図。
【図8】代わりの実施形態を示す図3に対応する軸方向断面図。
【図9】代わりの実施形態を示す図4に対応する軸方向断面図。
【図10】追加の実施形態を示す図3に対応する軸方向断面図。
【図11】追加の実施形態を示す図4に対応する軸方向断面図。
【図12】図10のディスククラッチの細部を示す端面図。
【図13】図11のディスククラッチの細部を示す側面図。
【図14】さらに別の追加の実施形態を示す図3に対応する軸方向断面図。
【図15】さらに別の追加の実施形態を示す図4に対応する軸方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1の斜視図に示された過給機は、圧縮機ハウジング1に配置されたスクリュー圧縮機と駆動接続部6を備えてクラッチハウジング2に配置されたディスククラッチとを有し、これらのハウジングは相互に連結されている。スクリュー圧縮機は相互に係合する2つのネジローター4、5を有し、一方ネジローターは雄型ローターであり、もう一方のネジローターは雌型ローターである。空気は圧縮機出口3を介してローター4、5と内燃エンジンの圧縮機ハウジングとの間に形成されたチャンバーで圧縮されて供給される。入口(図示されていない)は空気の吸気用ローターの他端部に配置されている。本発明はまた例えばルーツ型の同様なローターにも適用可能である。
【0037】
通常の動作では過給機は機能しない。出力要求が一時的に増加した時に、ディスククラッチを起動して過給機を駆動する。
【0038】
図2及び図3に詳細に示されたディスククラッチは、駆動部と従動部とを有する。駆動部は駆動軸7を備え、駆動軸7は駆動接続部6(図1参照)を介して入力駆動軸と接続されている。駆動軸7は駆動クラッチホルダ8によって駆動クラッチ9とスプライン接続されている。
【0039】
従動部は従動ハブ10を備え、従動ハブ10は従動クラッチホルダによって従動クラッチ12とスプライン接続されている。従動ハブ10はネジローターのうちの1つ、適切には雌型ローターから成る従動軸と駆動接続される。簡明にするために従動ハブ10とローター軸との接続は図面では省略されているが、従来型の接続であり得る。
【0040】
図2には、ディスククラッチが非作動状態であり、すなわち駆動クラッチ9から従動クラッチ12に駆動出力が伝達されず過給機は作動していない。
【0041】
過給機を係合するために、液圧ピストン13が設けられており、この液圧ピストン13は、液圧媒体供給用の密封空間14を有している。液圧ピストン13のスリーブ型伸長部13aには押圧体15が球軸受16を介してジャーナル軸受されている。押圧体15と従動クラッチホルダ11との間にはバネ17が配置され、このバネ17はそれらの間を離すように作用する。
【0042】
過給機が係合されることになる際には、液圧媒体が密封空間14に導入され、ピストン13は図中右へ変位され、バネ17による抗力に打ち勝ちながら、押圧体15も変位される。クラッチパックが圧縮されると、駆動トルクが従動ハブ10へそしてさらには過給機へと伝達される。この状態は図4及び図5に示されている。
【0043】
非係合時には、密封空間14内の圧力は解放されて押圧体15はバネによって図中左へ押し戻され、それによって液圧ピストン13もまた左方向に押される。
【0044】
本明細書では、本発明は過給機の従来型ディスククラッチと共通して持っているものを本質的に説明してきた。
【0045】
本発明で特別なのは、非作動時すなわちディスククラッチの非係合時に押圧体の動きを制限する停止装置である。かかる停止装置は衝撃リング18及び停止リング19から成っている。
【0046】
衝撃リング18は押圧体15の軸方向に突出したフランジ21の内側の溝20に固定されている。停止リング19は従動クラッチホルダ11の外側に取付けられている。停止装置の機能は図3及び図5に明示されている。
【0047】
ディスククラッチが図4及び図5に示された状態から分離されることになる場合、押圧体15はバネ17によって左方向に動かされ、それによって衝撃リング18もまた動かされる。図2及び図3に示されるように、それに関連して衝撃リング18が停止リング19まで到達すると、継続動作は阻止されて押圧体15及び液圧ピストン13は停止手段18、19で画定された軸方向位置を取る。停止リング19がなければ、押圧体15及び液圧ピストン13は液圧ピストンのストローク長で許容される範囲までバネ17からの力によって左方向へ変位し続ける。
【0048】
従って停止手段18、19が液圧ピストンの復帰動作を制限することによって、ディスククラッチが再作動されることになる際に必要なストローク長は停止手段18、19が無い場合よりも短くなる。従って、係合時間は、相応して短くなる。
【0049】
係合状態(図4及び図5)における衝撃リング18と停止リング19との間の距離は、クラッチパックのクリアランス(隙間)を埋めるのに必要な距離に対応するよう調節される。距離の調節は従動クラッチホルダ11における停止リング19の軸方向位置を調節することによって行われる。
【0050】
そのような調節をして停止リング19の停止機能を同時に保証するために、停止リング19は、従動クラッチホルダ11に関して一方向には軸方向に変位できるが、他方向には変位できないように設計されている。
【0051】
これは、図6及び図7に見られるように、停止リング19が内方に方向付けされた複数の突起22が斜め内側に方向付けされることによって行われる。
【0052】
図3及び図5に見られるように、停止リング19は外側から及び内側から見られるように、左斜め方向で従動クラッチホルダ11に適用されている。斜め方向は、それぞれの突起22の内側縁部を棘のような方法でクラッチホルダ11の外側に押し付けることを伴い、その結果、大きな抵抗で停止リングに左向きの動きを引き起こすことになる。他の方向では、動きに対する抵抗は著しく低いため突起22はクラッチホルダ11の外側を摺動することができる。停止リング19の外側は、フランジ21と従動クラッチホルダ11との間にリングを押し付けるように押圧体15のフランジ21の内側に当接する。
【0053】
停止リング19の軸方向位置の調節は、ディスククラッチ実装時に図示されているものよりもさらに従動クラッチホルダ11の左に予め位置する停止リング19によって達成される。これに関して、ディスククラッチの起動時にはバネ17からの力によって押圧体15は図示されたものよりもさらに左に位置し、液圧ピストン13は基本的にストロークの全長に対応してさらに左にある位置から開始される。この初期係合動作の際、チャンバー14が加圧されて液圧ピストン13は右方向に変位され、フランジ23の内側のショルダー24は停止リング19を同じ方向すなわち停止リングが容易に移動可能な方向へと変位させる。また衝撃リング18は当然押圧体15と一体で右方向に変位される。係合動作の終了時には図4及び図5に示された位置に到達する。
【0054】
その後、チャンバー14が圧力解放され押圧体15がバネ17によって左方向に変位されて分離が起こると、衝撃リング18は復帰動作を追従するが停止リングは復帰動作を追従しない。衝撃リング18が停止リング19に到達し接触すると、衝撃リング18の継続動作はブロックされ、押圧体もまたブロックされる。この作用は、バネ17からのバネ力に打勝つことのできない方向に移動させるように上記で説明した停止リング19の強い抵抗によるものである。ここでディスククラッチは非係合すなわち分離位置(図2及び図3)にある。
【0055】
このようにして調節された停止リングの位置は再係合時におけるストローク長を画定する。ストローク長はクラッチパックのクリアランスに制限される。
【0056】
装置は、クラッチが摩耗するにつれて自動的な再調節を伴う。これは、クラッチの摩耗が増加するとストロークの動きを幾分かさらに右方向へ進ませ、それによって停止リング19をこの方向に対応して変位させるという事実に起因している。
【0057】
停止リング19の代わりの実施形態は図8及び図9に示されている。この場合、停止リングは収縮リング19aとして形成されている。収縮リング19aは従動クラッチホルダ11と圧縮継手を形成する。圧縮継手はバネ17からの力で打勝つことのできる力よりも摩擦力が大きくなるようにされているが、液圧ピストン13からの操作力で克服することが可能であるよう十分に制限されている。
【0058】
このように、非係合の動き時に、停止リング19aは衝撃リング18の左方向への動きを停止させ、復帰ストローク長を制限する。
【0059】
停止リング19aの初期の軸方向位置決めは、クラッチパックのクリアランスに関して要求される分だけストローク長を制限するようにされている。それに関して停止リング19aは従動クラッチホルダ11に適用され、装着押圧で適位置に押される。係合された状態は図9に示されている。
【0060】
代わりに、初期係合時に操作ピストンによって停止リングを適位置に押すことが可能である。これは、継手の押圧力が操作ピストンで達成可能な力よりも小さいことを前提としている。
【0061】
非係合(すなわち分離)時には、衝撃リングは、停止リング19aに当接するとさらなる動きを阻止するまで左方向に変位される。停止リングは、適位置に保つ摩擦力がバネ力より大きいことにより左方向への移動をブロックされる。非係合位置は図8に示されている。
【0062】
このようにして、停止リング19aは必要に応じてストローク長を制限する軸方向位置を得る。
【0063】
追加の代わりの実施形態は図10及び図11に示されている。図10は非係合位置におけるディスククラッチを、図11は係合位置におけるディスククラッチを示している。
【0064】
図12及び図13に詳細に示す停止リング19bは、この例では、半径方向外向きで方向付けされた傾斜突起22bを有し、押圧体15の軸方向に方向付けされたフランジ21の内側に当接している。ここでは、衝撃リング18bは従動クラッチホルダ11のリング型半径方向フランジとして形成されている。図10の非係合位置では、停止リング19bは従動クラッチホルダ11における衝撃リング18bに当接し、従って押圧体15の復帰の動きを制限している。
【0065】
図10及び図11に見られるように、停止リング19bは、内側から及び外側から見られるように、突起22bを右斜め方向に向けて押圧体15のフランジ21の内側に適用される。斜め方向は、突起22bのそれぞれの内縁部を棘のような仕方でフランジ21の内側に押し付けることを伴い、その結果、停止リングに右向きの動きに対して大きな抵抗が生じる。他の方向では、動きに対する抵抗は著しく低く、突起22bはフランジ21の内側に対して摺動することができる。停止リング19bの内側は、フランジ21と従動クラッチホルダ11との間にリングを押し付けるように従動クラッチホルダ11の外側に当接する。
【0066】
停止リング19bの軸方向位置の調節は、ディスククラッチの装着時に図示されているものよりもさらにフランジ21の右に停止リング19bを予め位置させることによって達成される。ディスククラッチの初期作動時には、バネ17からの力によって押圧体15は図示されたものよりもさらに左に位置され、液圧ピストン13は基本的にストロークの全長に対応してさらに左にある位置から始動される。この初期係合動作の際、チャンバー14が加圧され、液圧ピストン13が右方向に変位される場合、従動クラッチホルダ11の担持リング24bは停止リング19bの動作を制限し、すなわちフランジ21と停止リング19bとの間の相対動きは、停止リング19bが容易に変移可能な方向で起こる。係合動作の終了時には、図11に示された位置に到達する。
【0067】
その後、チャンバー14が圧力解放され押圧体15がバネ17により左方向に変位して非係合が起こると、停止リング19bは復帰の動きをする。停止リング19bが衝撃リング18に到達し接触すると、停止リング19bの継続した動きはブロックされ、押圧体もブロックされる。この作用は、フランジ21に関して左方向に移動するのに対して上記で説明した停止リング19bの強い抵抗に起因し、バネ17によるバネ力は打勝つことができない。ディスククラッチは非係合位置(図10)にある。
【0068】
さらに代わりの実施形態は図14及び図15に示され、 図14は非係合位置におけるディスククラッチを、また図15は係合位置におけるディスククラッチを示している。
【0069】
この例では、停止手段は、ディスククラッチの主軸線と同心の円に沿って配置された複数の例えば8個の停止リング19cを備えている。各停止リング19cは図3及び図5に関連して説明したものと同じ種類の摩擦継手で円筒形ピン25に取付けられ、停止リング19cは図3及び図5さらに詳しくは図6及び図7で示された停止リング19のように対応する内側に向いた突起を備えている。しかし、当然のことながら停止リング19cは図6及び図7の停止リング19よりも比較的小さい外径を有している。各停止リング19cにおける突起の斜め方向は、上述の棘作用のお陰で、ピン25に関して図中左への停止リング19cの相対的な動きに対する抵抗が右への相対的な動きに対する抵抗よりも著しく大きい。
【0070】
各ピン25は、従動クラッチホルダ11に固定して接続され、よって従動クラッチホルダ11の一部としてみなすことができる。ピン25は押圧体15の開口部26を通って伸長している。さらに押圧体15はクラッチパックから外れる側面に半径方向の周囲溝27を備え、そこに半径方向フランジ24cが形成され、フランジの各開口部26は継続部28を備えている。
【0071】
従って、溝27は一方の方向ではフランジ24cによって他方の方向では押圧体の対壁18cによって制限されている。リング型壁18cは停止リング19cと共動する衝撃手段18cを構成する。
【0072】
ディスククラッチが図15に示された状態から分離されることになる際には、押圧体15はバネ17によって左方向に動かされ、衝撃リング18もまた動かされる。図14に示されるように、それに関連して衝撃手段18cが停止リング19まで到達すると、継続した動きは阻止され、押圧体15及び液圧ピストン13は停止手段18c、19cで画定された軸方向位置を取る。停止リング19cなしでは押圧体15及び液圧ピストン13は液圧ピストンのストローク長で許容される範囲までバネ17からの力によって左方向へ変位し続ける。
【0073】
このように停止手段18c、19cが液圧ピストンの復帰の動きを制限することによって、ディスククラッチが再作動されることになる際に必要なストローク長は停止手段18c、19cがない場合よりも短くなる。それよって係合時間は相対して短くなる。
【0074】
係合状態(図15)における衝撃手段18cと各停止リング19cとの間の距離は、クラッチパックのクリアランスを埋めるのに必要な距離に対応するよう調節される。距離の調節は、従動クラッチホルダ11のピン25上の各停止リング19cの軸方向位置を調節することによってもたらされる。
【0075】
各停止リング19cの軸方向位置の調節は、ディスククラッチ実装時に図示されているものよりもピン25それぞれの左に各停止リング19cを予め位置させることによって達成される。それに関して、ディスククラッチの初期始動時には、バネ17からの力によって押圧体15は図示されたものよりもさらに左に位置し、液圧ピストン13は基本的にストロークの全長に対応してさらに左にある位置から始動される。この初期係合動作の際に、チャンバー14が加圧され、液圧ピストン13が右方向に変位する場合、フランジ24cは、各停止リングを同じ方向すなわち停止リングが容易に移動可能な方向へと変位される。係合動作の終了時には、図15に示された位置に到達する。
【0076】
その後、チャンバー14が圧力解放されて非係合が起こると、押圧体15がバネ17により左方向に変位される。衝撃リング18cが停止リング19cに到達し接触すると、押圧体15の継続した動きはブロックされる。これは、バネ17からのバネ力が克服できない方向に移動させる上記で説明された各停止リング19の強い抵抗のためである。こうしてディスククラッチは非係合位置(図14)になる。
【符号の説明】
【0077】
1 圧縮機ハウジング
2 クラッチハウジング
3 圧縮機出口
4 ネジローター
5 ネジローター
6 駆動接続
7 駆動軸
8 駆動クラッチホルダ
9 駆動クラッチ
10 駆動ハブ
11 従動クラッチホルダ
12 従動クラッチ
13 液圧式ピストン
13a 伸長部
14 密封空間
15 押圧体
16 球軸受
17 バネ
18;18b;18c 衝撃リング
19;19b;19c 停止リング
20 溝
21 フランジ
22;22b 突起
23 フランジ
24 ショルダー
24b 担持リング
24c フランジ
25 ピン
26 開口部
27 溝
28 継続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、
相互に噛合う二つのローターを有し、また
− 駆動軸に接続された駆動クラッチホルダを有する駆動クラッチ、
− ローターの一つに接続された従動クラッチホルダを有する従動クラッチ、
− 作動時にこれらクラッチを圧縮するよう配置された軸方向に移動可能な押圧体、
− 押圧体を作動するための作動装置、及び
− 押圧体を非作動にするためのバネ手段
から構成されるディスククラッチを備えた過給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、上記種類の過給機は従来公知である。過給機は、例えば加速時に内燃エンジンに正圧で空気を供給する必要がある場合に、ディスククラッチによって係合される。
【0003】
過給機の係合が実行されると、過給が実行状態となるまで、例えばアクセルペダル又は電気制御型式係合を介して係合動作が開始されるという事実から特定の遅延が発生する。かかる遅延は、特に、クラッチが相互に完全に係合されるまでピストンが初期設定位置からディスククラッチを動かすのに掛かる時間から成る。この動きは、一方では相互にクラッチを押す押圧体が必要な製造公差の結果としてクラッチパックに到達するまでの動き対応する距離にわたり、他方ではクラッチを互いに押圧して相互に完全に係合させるのに必要な距離にわたるべきである。非作動状態においては、駆動及び従動クラッチは当然相互に対して特定の隙間を有しなければならない。
【0004】
上記遅延のための時間を可能な限り減少させることが重要である。
【0005】
さらに、特許文献2により、ディスククラッチは従来公知であり、ストローク長及びそれによって係合時間を制限する目的で非作動方向におけるクラッチ板の動きを制限する装置が設けられている。かかる装置はカム表面と共動するバネ負荷ボールを備えている。そのためその構造は複雑であり、それによって製造費用が嵩んでいる。さらに、しかもこの種の装置は動作上の障害を受け易い。公知のディスククラッチは過給機と係合するようにされていないため、ディスククラッチはそのような装置を操作する際の特別な条件に適応していない。
【0006】
過給機を係合するためのディスククラッチでは、迅速な係合の必要性が特に強調されている。車の過給機に関しては、係合の開始時例えば追い越し時に過給機が可能な限り速やかに応動することが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】スウェーデン国特許第511,761号
【特許文献2】米国特許第5,749,451号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、簡単でしかも信頼できる仕方で、内燃エンジンの過給機が係合する時間を短縮させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本明細書の最初部分に記載した種類の過給機が特別の特徴を有すること、すなわちディスククラッチが非作動方向における押圧体の軸方向の動きを制限する停止装置を備え、停止装置が衝撃手段と停止手段とを備え、衝撃手段及び停止手段の一方が従動クラッチホルダに接続され、衝撃手段及び停止手段の他方が押圧体に接続され、衝撃手段の接続が軸方向で固定され、停止手段の接続が摩擦継手で行われることによって、前記の目的は達成される。
【0010】
停止装置が押圧体の軸方向の動きを制限することによって、衝撃手段及び停止手段の最適化された軸方向の位置決めを達成することができ、それにより軸方向の動きはクラッチの隙間を埋めるように要求される程度に制限される。
【0011】
従って必要な製造公差を埋めるよう要求されるストローク長の部分は取り除かれる。さらに、クラッチの隙間は最小限に保つことができる。幾つかの、通常は約15個の共動する構成要素を備えているため、公差の除去及び隙間の縮小は係合時のストローク長を著しく短縮することになる。停止手段の接続が摩擦継手によって行われることにより、上記最適な位置決めに対応する状況に停止手段の位置決めを軸方向に調節することは容易である。よって、押圧体が両クラッチを押し始める前に移動する必要のある距離は取り除かれる。従って、押圧体のストローク長はクラッチ間の隙間に対応するだけである。操作手段のストローク長は対応する程度まで制限されるようになる。よって係合時間はおよそ0.5秒から0.2秒すなわち約半分の値まで短縮することができる。
【0012】
停止手段とその関連構成要素との間の摩擦継手の特別な解決策には、停止装置が非常に容易に製造され調節されるようになる。さらに設計においても信頼性が非常に高まることになる。
【0013】
本発明の利点は、主に係合時間を低減することで使用するのは興味深いことではあるが、これらの利点は代わりに維持した係合時間を受け入れることによって利用することも可能である、しかも寸法的に縮小される操作装置を代替的に使用してもよい。例えば液圧式ピストン作動では、エンジンの油圧が液圧源として使用され、そのため流量は絞りで調整することができる。代わりに油がポンプで供給される場合には、低圧力及び/又は低容量を有するものを選択することが可能である。
【0014】
好ましい実施形態によれば、停止手段は少なくとも1つの停止リングを備えている。
【0015】
この手段をリングとして形成することは構造上の利点が伴い、目的に適った仕方で摩擦継手を容易に形成できる。適当には、リングはディスククラッチの主軸線と同軸である。また衝撃手段は、適当にはリング型でありしかも好ましくは同軸である。代わりに、停止リングはディスククラッチの主軸線に平行に横方向に変位され得、好ましくはディスククラッチの主軸線と同心の円形線上に配置される複数の停止リングを備えるようにするのも適当であり得る。
【0016】
追加の好ましい実施形態によれば、各停止リングの摩擦継手は停止リングの半径方向外側或いは内側と、停止リングの接続される押圧体及び従動クラッチホルダ及びのうちの何れかの半径方向内側或いは外側との間に形成される。
【0017】
それにより、比較的容易な仕方で、製造精度に不必要に要求される高度な諸要件なしに、十分に適用された摩擦力を得ることができる。
【0018】
追加の好ましい実施形態によれば、停止リングには、異なる軸方向で異なる強度の摩擦力をもたらす手段を設け、作動の際に、押圧体の動作方向に停止リングを変移させようと保つ摩擦力が停止リングを反対方向に変移させようと保つ摩擦力より小さくなるようにしている。
【0019】
それにより、停止リングは、非作動時に、クラッチの隙間のみに対応するものに押圧体の変位を制限するように押圧方向に変位されるように抵抗が極く僅かであることによって、最適な軸方向の状況に容易に調節できる。
【0020】
追加の好ましい実施形態によれば、摩擦継手の一部を構成する各停止リングの半径方向側部は上記異なる大きな摩擦力を得るために非対称である。
【0021】
停止リングの構造により摩擦力を不均衡にすることは比較的簡単で目的に適った解決策である。
【0022】
追加の好ましい実施形態によれば、摩擦継手の一部を構成する各停止リングの半径方向側部は斜めに向いた複数の突起を備え、これらの突起は非作動時に押圧体の動く方向に傾斜される。
【0023】
傾斜した突起は、従動クラッチホルダ或いは押圧体の材料に対して内側に押される一種の棘のようなもの(barb)として機能するため、非作動方向の動きを打ち消す強い摩擦力を発生する。他の方向では、突起はその位置決めを許容する低摩擦力を保証し引きずられるように摺動することができる。アルミニウムから押圧体を作ることができるため突起を押圧体に向かって外側に方向付けた代替案は特に有意であり、優れた保持条件を保証する。
【0024】
上述の幾つかの実施形態の代わりの実施形態によれば、摩擦継手はバネ手段の最大軸方向力よりも大きい押圧力を有する圧縮継手である。
【0025】
停止リングは、従動クラッチホルダ及び従動クラッチホルダの接続されている押圧体のうちの一方に固定され収縮する平らなリングとして形成することができる。上述の実施形態における停止リングが異なる軸方向の動きに対して異なる抵抗を有するが、動きに対抗する摩擦力は両方向において同じである。
【0026】
一方向における動きの可能性及び他方向における動きに対する抵抗は、それぞれの方向でリングに作用する強さの異なる外力に摩擦力を適用させることによって得られる。
【0027】
追加の好ましい実施形態によれば、操作手段は、液圧式ピストンから成っている。
【0028】
これは一般的に過給機のディスククラッチに最も多く使用されている種類の操作手段であり、従って本発明は、上記操作手段を活用することが特に興味深いことである。この実施形態において、本発明は、はじめに指摘したように従来技術と比較しても係合時間を短縮することなしに低性能の液圧媒体の供給を使用することができる。
【0029】
追加の好ましい実施形態によれば、過給機はスクリュー圧縮機から成る。
【0030】
本発明はそれ自体、例えばルーツブロワーの形態の他の種類の過給機の型式にも適用可能であるが、それに伴う一般的な利点を活用してスクリュー圧縮機に用いるのに特に適している。
【0031】
上述の好ましい実施形態は、請求項1の独立請求項に記載されている。当然ながら追加の好ましい実施形態は上述の好ましい実施形態の実現可能な全ての組合せから成ることが強調されるべきである。
【0032】
第二の特徴では、本発明は、特に本発明の好ましい実施形態のいずれかによる、本発明の過給機に包含されるディスククラッチとして対応する設計のディスククラッチに関する。
【0033】
前記で説明してきたように、本発明によるディスククラッチ及びディスククラッチの好ましい実施形態は、本発明による過給機として対応する種類の利点を有している。
【0034】
本発明は、添付図面を参照して以下に詳細に記載する本発明の実施形態の例によってより詳細に説明される 。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による型式の過給機示す斜視図。
【図2】非係合すなわち分離位置における図1の過給機のディスククラッチの軸方向断面図。
【図3】図2の細部の拡大図。
【図4】係合位置における図2に対応する軸方向断面図。
【図5】図4の部分拡大図。
【図6】図2〜図5におけるディスククラッチの細部の一部を示す端面図。
【図7】図6の細部の側面図。
【図8】代わりの実施形態を示す図3に対応する軸方向断面図。
【図9】代わりの実施形態を示す図4に対応する軸方向断面図。
【図10】追加の実施形態を示す図3に対応する軸方向断面図。
【図11】追加の実施形態を示す図4に対応する軸方向断面図。
【図12】図10のディスククラッチの細部を示す端面図。
【図13】図11のディスククラッチの細部を示す側面図。
【図14】さらに別の追加の実施形態を示す図3に対応する軸方向断面図。
【図15】さらに別の追加の実施形態を示す図4に対応する軸方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1の斜視図に示された過給機は、圧縮機ハウジング1に配置されたスクリュー圧縮機と駆動接続部6を備えてクラッチハウジング2に配置されたディスククラッチとを有し、これらのハウジングは相互に連結されている。スクリュー圧縮機は相互に係合する2つのネジローター4、5を有し、一方ネジローターは雄型ローターであり、もう一方のネジローターは雌型ローターである。空気は圧縮機出口3を介してローター4、5と内燃エンジンの圧縮機ハウジングとの間に形成されたチャンバーで圧縮されて供給される。入口(図示されていない)は空気の吸気用ローターの他端部に配置されている。本発明はまた例えばルーツ型の同様なローターにも適用可能である。
【0037】
通常の動作では過給機は機能しない。出力要求が一時的に増加した時に、ディスククラッチを起動して過給機を駆動する。
【0038】
図2及び図3に詳細に示されたディスククラッチは、駆動部と従動部とを有する。駆動部は駆動軸7を備え、駆動軸7は駆動接続部6(図1参照)を介して入力駆動軸と接続されている。駆動軸7は駆動クラッチホルダ8によって駆動クラッチ9とスプライン接続されている。
【0039】
従動部は従動ハブ10を備え、従動ハブ10は従動クラッチホルダによって従動クラッチ12とスプライン接続されている。従動ハブ10はネジローターのうちの1つ、適切には雌型ローターから成る従動軸と駆動接続される。簡明にするために従動ハブ10とローター軸との接続は図面では省略されているが、従来型の接続であり得る。
【0040】
図2には、ディスククラッチが非作動状態であり、すなわち駆動クラッチ9から従動クラッチ12に駆動出力が伝達されず過給機は作動していない。
【0041】
過給機を係合するために、液圧ピストン13が設けられており、この液圧ピストン13は、液圧媒体供給用の密封空間14を有している。液圧ピストン13のスリーブ型伸長部13aには押圧体15が球軸受16を介してジャーナル軸受されている。押圧体15と従動クラッチホルダ11との間にはバネ17が配置され、このバネ17はそれらの間を離すように作用する。
【0042】
過給機が係合されることになる際には、液圧媒体が密封空間14に導入され、ピストン13は図中右へ変位され、バネ17による抗力に打ち勝ちながら、押圧体15も変位される。クラッチパックが圧縮されると、駆動トルクが従動ハブ10へそしてさらには過給機へと伝達される。この状態は図4及び図5に示されている。
【0043】
非係合時には、密封空間14内の圧力は解放されて押圧体15はバネによって図中左へ押し戻され、それによって液圧ピストン13もまた左方向に押される。
【0044】
本明細書では、本発明は過給機の従来型ディスククラッチと共通して持っているものを本質的に説明してきた。
【0045】
本発明で特別なのは、非作動時すなわちディスククラッチの非係合時に押圧体の動きを制限する停止装置である。かかる停止装置は衝撃リング18及び停止リング19から成っている。
【0046】
衝撃リング18は押圧体15の軸方向に突出したフランジ21の内側の溝20に固定されている。停止リング19は従動クラッチホルダ11の外側に取付けられている。停止装置の機能は図3及び図5に明示されている。
【0047】
ディスククラッチが図4及び図5に示された状態から分離されることになる場合、押圧体15はバネ17によって左方向に動かされ、それによって衝撃リング18もまた動かされる。図2及び図3に示されるように、それに関連して衝撃リング18が停止リング19まで到達すると、継続動作は阻止されて押圧体15及び液圧ピストン13は停止手段18、19で画定された軸方向位置を取る。停止リング19がなければ、押圧体15及び液圧ピストン13は液圧ピストンのストローク長で許容される範囲までバネ17からの力によって左方向へ変位し続ける。
【0048】
従って停止手段18、19が液圧ピストンの復帰動作を制限することによって、ディスククラッチが再作動されることになる際に必要なストローク長は停止手段18、19が無い場合よりも短くなる。従って、係合時間は、相応して短くなる。
【0049】
係合状態(図4及び図5)における衝撃リング18と停止リング19との間の距離は、クラッチパックのクリアランス(隙間)を埋めるのに必要な距離に対応するよう調節される。距離の調節は従動クラッチホルダ11における停止リング19の軸方向位置を調節することによって行われる。
【0050】
そのような調節をして停止リング19の停止機能を同時に保証するために、停止リング19は、従動クラッチホルダ11に関して一方向には軸方向に変位できるが、他方向には変位できないように設計されている。
【0051】
これは、図6及び図7に見られるように、停止リング19が内方に方向付けされた複数の突起22が斜め内側に方向付けされることによって行われる。
【0052】
図3及び図5に見られるように、停止リング19は外側から及び内側から見られるように、左斜め方向で従動クラッチホルダ11に適用されている。斜め方向は、それぞれの突起22の内側縁部を棘のような方法でクラッチホルダ11の外側に押し付けることを伴い、その結果、大きな抵抗で停止リングに左向きの動きを引き起こすことになる。他の方向では、動きに対する抵抗は著しく低いため突起22はクラッチホルダ11の外側を摺動することができる。停止リング19の外側は、フランジ21と従動クラッチホルダ11との間にリングを押し付けるように押圧体15のフランジ21の内側に当接する。
【0053】
停止リング19の軸方向位置の調節は、ディスククラッチ実装時に図示されているものよりもさらに従動クラッチホルダ11の左に予め位置する停止リング19によって達成される。これに関して、ディスククラッチの起動時にはバネ17からの力によって押圧体15は図示されたものよりもさらに左に位置し、液圧ピストン13は基本的にストロークの全長に対応してさらに左にある位置から開始される。この初期係合動作の際、チャンバー14が加圧されて液圧ピストン13は右方向に変位され、フランジ23の内側のショルダー24は停止リング19を同じ方向すなわち停止リングが容易に移動可能な方向へと変位させる。また衝撃リング18は当然押圧体15と一体で右方向に変位される。係合動作の終了時には図4及び図5に示された位置に到達する。
【0054】
その後、チャンバー14が圧力解放され押圧体15がバネ17によって左方向に変位されて分離が起こると、衝撃リング18は復帰動作を追従するが停止リングは復帰動作を追従しない。衝撃リング18が停止リング19に到達し接触すると、衝撃リング18の継続動作はブロックされ、押圧体もまたブロックされる。この作用は、バネ17からのバネ力に打勝つことのできない方向に移動させるように上記で説明した停止リング19の強い抵抗によるものである。ここでディスククラッチは非係合すなわち分離位置(図2及び図3)にある。
【0055】
このようにして調節された停止リングの位置は再係合時におけるストローク長を画定する。ストローク長はクラッチパックのクリアランスに制限される。
【0056】
装置は、クラッチが摩耗するにつれて自動的な再調節を伴う。これは、クラッチの摩耗が増加するとストロークの動きを幾分かさらに右方向へ進ませ、それによって停止リング19をこの方向に対応して変位させるという事実に起因している。
【0057】
停止リング19の代わりの実施形態は図8及び図9に示されている。この場合、停止リングは収縮リング19aとして形成されている。収縮リング19aは従動クラッチホルダ11と圧縮継手を形成する。圧縮継手はバネ17からの力で打勝つことのできる力よりも摩擦力が大きくなるようにされているが、液圧ピストン13からの操作力で克服することが可能であるよう十分に制限されている。
【0058】
このように、非係合の動き時に、停止リング19aは衝撃リング18の左方向への動きを停止させ、復帰ストローク長を制限する。
【0059】
停止リング19aの初期の軸方向位置決めは、クラッチパックのクリアランスに関して要求される分だけストローク長を制限するようにされている。それに関して停止リング19aは従動クラッチホルダ11に適用され、装着押圧で適位置に押される。係合された状態は図9に示されている。
【0060】
代わりに、初期係合時に操作ピストンによって停止リングを適位置に押すことが可能である。これは、継手の押圧力が操作ピストンで達成可能な力よりも小さいことを前提としている。
【0061】
非係合(すなわち分離)時には、衝撃リングは、停止リング19aに当接するとさらなる動きを阻止するまで左方向に変位される。停止リングは、適位置に保つ摩擦力がバネ力より大きいことにより左方向への移動をブロックされる。非係合位置は図8に示されている。
【0062】
このようにして、停止リング19aは必要に応じてストローク長を制限する軸方向位置を得る。
【0063】
追加の代わりの実施形態は図10及び図11に示されている。図10は非係合位置におけるディスククラッチを、図11は係合位置におけるディスククラッチを示している。
【0064】
図12及び図13に詳細に示す停止リング19bは、この例では、半径方向外向きで方向付けされた傾斜突起22bを有し、押圧体15の軸方向に方向付けされたフランジ21の内側に当接している。ここでは、衝撃リング18bは従動クラッチホルダ11のリング型半径方向フランジとして形成されている。図10の非係合位置では、停止リング19bは従動クラッチホルダ11における衝撃リング18bに当接し、従って押圧体15の復帰の動きを制限している。
【0065】
図10及び図11に見られるように、停止リング19bは、内側から及び外側から見られるように、突起22bを右斜め方向に向けて押圧体15のフランジ21の内側に適用される。斜め方向は、突起22bのそれぞれの内縁部を棘のような仕方でフランジ21の内側に押し付けることを伴い、その結果、停止リングに右向きの動きに対して大きな抵抗が生じる。他の方向では、動きに対する抵抗は著しく低く、突起22bはフランジ21の内側に対して摺動することができる。停止リング19bの内側は、フランジ21と従動クラッチホルダ11との間にリングを押し付けるように従動クラッチホルダ11の外側に当接する。
【0066】
停止リング19bの軸方向位置の調節は、ディスククラッチの装着時に図示されているものよりもさらにフランジ21の右に停止リング19bを予め位置させることによって達成される。ディスククラッチの初期作動時には、バネ17からの力によって押圧体15は図示されたものよりもさらに左に位置され、液圧ピストン13は基本的にストロークの全長に対応してさらに左にある位置から始動される。この初期係合動作の際、チャンバー14が加圧され、液圧ピストン13が右方向に変位される場合、従動クラッチホルダ11の担持リング24bは停止リング19bの動作を制限し、すなわちフランジ21と停止リング19bとの間の相対動きは、停止リング19bが容易に変移可能な方向で起こる。係合動作の終了時には、図11に示された位置に到達する。
【0067】
その後、チャンバー14が圧力解放され押圧体15がバネ17により左方向に変位して非係合が起こると、停止リング19bは復帰の動きをする。停止リング19bが衝撃リング18に到達し接触すると、停止リング19bの継続した動きはブロックされ、押圧体もブロックされる。この作用は、フランジ21に関して左方向に移動するのに対して上記で説明した停止リング19bの強い抵抗に起因し、バネ17によるバネ力は打勝つことができない。ディスククラッチは非係合位置(図10)にある。
【0068】
さらに代わりの実施形態は図14及び図15に示され、 図14は非係合位置におけるディスククラッチを、また図15は係合位置におけるディスククラッチを示している。
【0069】
この例では、停止手段は、ディスククラッチの主軸線と同心の円に沿って配置された複数の例えば8個の停止リング19cを備えている。各停止リング19cは図3及び図5に関連して説明したものと同じ種類の摩擦継手で円筒形ピン25に取付けられ、停止リング19cは図3及び図5さらに詳しくは図6及び図7で示された停止リング19のように対応する内側に向いた突起を備えている。しかし、当然のことながら停止リング19cは図6及び図7の停止リング19よりも比較的小さい外径を有している。各停止リング19cにおける突起の斜め方向は、上述の棘作用のお陰で、ピン25に関して図中左への停止リング19cの相対的な動きに対する抵抗が右への相対的な動きに対する抵抗よりも著しく大きい。
【0070】
各ピン25は、従動クラッチホルダ11に固定して接続され、よって従動クラッチホルダ11の一部としてみなすことができる。ピン25は押圧体15の開口部26を通って伸長している。さらに押圧体15はクラッチパックから外れる側面に半径方向の周囲溝27を備え、そこに半径方向フランジ24cが形成され、フランジの各開口部26は継続部28を備えている。
【0071】
従って、溝27は一方の方向ではフランジ24cによって他方の方向では押圧体の対壁18cによって制限されている。リング型壁18cは停止リング19cと共動する衝撃手段18cを構成する。
【0072】
ディスククラッチが図15に示された状態から分離されることになる際には、押圧体15はバネ17によって左方向に動かされ、衝撃リング18もまた動かされる。図14に示されるように、それに関連して衝撃手段18cが停止リング19まで到達すると、継続した動きは阻止され、押圧体15及び液圧ピストン13は停止手段18c、19cで画定された軸方向位置を取る。停止リング19cなしでは押圧体15及び液圧ピストン13は液圧ピストンのストローク長で許容される範囲までバネ17からの力によって左方向へ変位し続ける。
【0073】
このように停止手段18c、19cが液圧ピストンの復帰の動きを制限することによって、ディスククラッチが再作動されることになる際に必要なストローク長は停止手段18c、19cがない場合よりも短くなる。それよって係合時間は相対して短くなる。
【0074】
係合状態(図15)における衝撃手段18cと各停止リング19cとの間の距離は、クラッチパックのクリアランスを埋めるのに必要な距離に対応するよう調節される。距離の調節は、従動クラッチホルダ11のピン25上の各停止リング19cの軸方向位置を調節することによってもたらされる。
【0075】
各停止リング19cの軸方向位置の調節は、ディスククラッチ実装時に図示されているものよりもピン25それぞれの左に各停止リング19cを予め位置させることによって達成される。それに関して、ディスククラッチの初期始動時には、バネ17からの力によって押圧体15は図示されたものよりもさらに左に位置し、液圧ピストン13は基本的にストロークの全長に対応してさらに左にある位置から始動される。この初期係合動作の際に、チャンバー14が加圧され、液圧ピストン13が右方向に変位する場合、フランジ24cは、各停止リングを同じ方向すなわち停止リングが容易に移動可能な方向へと変位される。係合動作の終了時には、図15に示された位置に到達する。
【0076】
その後、チャンバー14が圧力解放されて非係合が起こると、押圧体15がバネ17により左方向に変位される。衝撃リング18cが停止リング19cに到達し接触すると、押圧体15の継続した動きはブロックされる。これは、バネ17からのバネ力が克服できない方向に移動させる上記で説明された各停止リング19の強い抵抗のためである。こうしてディスククラッチは非係合位置(図14)になる。
【符号の説明】
【0077】
1 圧縮機ハウジング
2 クラッチハウジング
3 圧縮機出口
4 ネジローター
5 ネジローター
6 駆動接続
7 駆動軸
8 駆動クラッチホルダ
9 駆動クラッチ
10 駆動ハブ
11 従動クラッチホルダ
12 従動クラッチ
13 液圧式ピストン
13a 伸長部
14 密封空間
15 押圧体
16 球軸受
17 バネ
18;18b;18c 衝撃リング
19;19b;19c 停止リング
20 溝
21 フランジ
22;22b 突起
23 フランジ
24 ショルダー
24b 担持リング
24c フランジ
25 ピン
26 開口部
27 溝
28 継続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に係合する二つのローター(4、5)を有し且つディスククラッチを備えた過給機であって、ディスククラッチが、
− 駆動軸(7)に接続された駆動クラッチホルダ(8)を有する駆動クラッチ(9)、
− ローター(4、5)のうちの一つに接続された従動クラッチホルダ(11)を有する従動クラッチ(12)、
− 作動時にクラッチ(9、12)を圧縮するように設けた軸方向に移動可能な押圧体(15)、
− 押圧体(15)を作動するための作動装置(13)、及び
− 押圧体(15)を非作動にするためのバネ手段(17)、
を備えている過給機において、
ディスククラッチが非作動方向に押圧体(15)の軸方向動きを制限するための停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)を備え、停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)が衝撃手段(18、18b、18c)及び停止手段(19、19a、19b、19c)で構成され、衝撃手段及び停止手段のうちの一方が従動クラッチホルダ(11)に接続され且つ衝撃手段及び停止手段のうちの他方が押圧体(15)に接続され、衝撃手段(18、18b、18c)の接続が軸方向で固定され、停止手段(19、19a、19b、19c)の接続が摩擦継手によって行われることを特徴とする過給機。
【請求項2】
停止手段(19、19a、19b、19c)が、少なくとも1つの停止リング(19、19a、19b、19c)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の過給機。
【請求項3】
各停止リング(19、19a、19b、19c)の摩擦継手が、停止リング(19、19a、19b、19c)の半径方向外側或いは内側と、従動クラッチホルダ(11)及び停止リング(19、19a、19b、19c)が接続されている押圧体(15)のうちの何れかの半径方向内側或いは外側との間に形成されることを特徴とする請求項2に記載の過給機。
【請求項4】
停止リング(19、19b、19c)には、異なる軸方向で異なる強度の摩擦力をもたらすための手段(22、22b)が設けられ、作動の際、押圧体(15)の動きの方向に停止リング(19、19b、19c)を変位させようと保つ摩擦力が停止リング(19、19b、19c)を反対方向に変位させようと保つ摩擦力よりも小さいことを特徴とする請求項2又は3に記載の過給機。
【請求項5】
摩擦継手の一部を構成する各停止リング(19、19b、19c)の半径方向側部が、上記異なる大きさの摩擦力をもたらすために非対称であることを特徴とする請求項4に記載の過給機。
【請求項6】
摩擦継手の一部を構成する各停止リング(19、19b、19c)の半径方向側部が、非作動の際、押圧体(15)の動きの方向に傾斜している斜めに向いた突起(22、22b)を備えていることを特徴とする請求項5に記載の過給機。
【請求項7】
摩擦継手がバネ手段(17)の最大軸方向力よりも大きい押圧力を有する圧縮継手であることを特徴とする請求項2又は3に記載の過給機。
【請求項8】
作動装置(13)が液圧式ピストン(13)で構成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の過給機。
【請求項9】
過給機がスクリュー圧縮機を備えていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の過給機。
【請求項10】
− 駆動クラッチホルダ(8)を有する駆動クラッチ(9)、
− 従動クラッチホルダ(11)を有する従動クラッチ(12)、
− 作動時にクラッチ(9、12)を圧縮するように設けた軸方向に移動可能な押圧体(15)、
− 押圧体(15)を作動するための作動装置(13)、及び
− 押圧体(15)を非作動にするためのバネ手段(17)、
を備えたディスククラッチにおいて、
非作動方向に押圧体(15)の軸方向動きを制限するための停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)を備え、停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)が衝撃手段(18、18b、18c)及び停止手段(19、19a、19b、19c)で構成され、衝撃手段及び停止手段のうちの一方が従動クラッチホルダ(11)に接続され且つ衝撃手段及び停止手段のうちの他方が押圧体(15)に接続され、衝撃手段(18、18b、18c)の接続が軸方向で固定され、停止手段(19、19a、19b、19c)の接続が摩擦継手によって行われることを特徴とするディスククラッチ。
【請求項11】
ディスククラッチが請求項2〜8の何れか一項に記載のディスククラッチを画定する特徴を備えることを特徴とする請求項10に記載のディスククラッチ。
【請求項1】
相互に係合する二つのローター(4、5)を有し且つディスククラッチを備えた過給機であって、ディスククラッチが、
− 駆動軸(7)に接続された駆動クラッチホルダ(8)を有する駆動クラッチ(9)、
− ローター(4、5)のうちの一つに接続された従動クラッチホルダ(11)を有する従動クラッチ(12)、
− 作動時にクラッチ(9、12)を圧縮するように設けた軸方向に移動可能な押圧体(15)、
− 押圧体(15)を作動するための作動装置(13)、及び
− 押圧体(15)を非作動にするためのバネ手段(17)、
を備えている過給機において、
ディスククラッチが非作動方向に押圧体(15)の軸方向動きを制限するための停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)を備え、停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)が衝撃手段(18、18b、18c)及び停止手段(19、19a、19b、19c)で構成され、衝撃手段及び停止手段のうちの一方が従動クラッチホルダ(11)に接続され且つ衝撃手段及び停止手段のうちの他方が押圧体(15)に接続され、衝撃手段(18、18b、18c)の接続が軸方向で固定され、停止手段(19、19a、19b、19c)の接続が摩擦継手によって行われることを特徴とする過給機。
【請求項2】
停止手段(19、19a、19b、19c)が、少なくとも1つの停止リング(19、19a、19b、19c)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の過給機。
【請求項3】
各停止リング(19、19a、19b、19c)の摩擦継手が、停止リング(19、19a、19b、19c)の半径方向外側或いは内側と、従動クラッチホルダ(11)及び停止リング(19、19a、19b、19c)が接続されている押圧体(15)のうちの何れかの半径方向内側或いは外側との間に形成されることを特徴とする請求項2に記載の過給機。
【請求項4】
停止リング(19、19b、19c)には、異なる軸方向で異なる強度の摩擦力をもたらすための手段(22、22b)が設けられ、作動の際、押圧体(15)の動きの方向に停止リング(19、19b、19c)を変位させようと保つ摩擦力が停止リング(19、19b、19c)を反対方向に変位させようと保つ摩擦力よりも小さいことを特徴とする請求項2又は3に記載の過給機。
【請求項5】
摩擦継手の一部を構成する各停止リング(19、19b、19c)の半径方向側部が、上記異なる大きさの摩擦力をもたらすために非対称であることを特徴とする請求項4に記載の過給機。
【請求項6】
摩擦継手の一部を構成する各停止リング(19、19b、19c)の半径方向側部が、非作動の際、押圧体(15)の動きの方向に傾斜している斜めに向いた突起(22、22b)を備えていることを特徴とする請求項5に記載の過給機。
【請求項7】
摩擦継手がバネ手段(17)の最大軸方向力よりも大きい押圧力を有する圧縮継手であることを特徴とする請求項2又は3に記載の過給機。
【請求項8】
作動装置(13)が液圧式ピストン(13)で構成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の過給機。
【請求項9】
過給機がスクリュー圧縮機を備えていることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の過給機。
【請求項10】
− 駆動クラッチホルダ(8)を有する駆動クラッチ(9)、
− 従動クラッチホルダ(11)を有する従動クラッチ(12)、
− 作動時にクラッチ(9、12)を圧縮するように設けた軸方向に移動可能な押圧体(15)、
− 押圧体(15)を作動するための作動装置(13)、及び
− 押圧体(15)を非作動にするためのバネ手段(17)、
を備えたディスククラッチにおいて、
非作動方向に押圧体(15)の軸方向動きを制限するための停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)を備え、停止装置(18、18b、18c、19、19a、19b、19c)が衝撃手段(18、18b、18c)及び停止手段(19、19a、19b、19c)で構成され、衝撃手段及び停止手段のうちの一方が従動クラッチホルダ(11)に接続され且つ衝撃手段及び停止手段のうちの他方が押圧体(15)に接続され、衝撃手段(18、18b、18c)の接続が軸方向で固定され、停止手段(19、19a、19b、19c)の接続が摩擦継手によって行われることを特徴とするディスククラッチ。
【請求項11】
ディスククラッチが請求項2〜8の何れか一項に記載のディスククラッチを画定する特徴を備えることを特徴とする請求項10に記載のディスククラッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2013−506784(P2013−506784A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532047(P2012−532047)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051037
【国際公開番号】WO2011/040869
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(592180775)スベンスカ・ロツタア・マスキナア・アクチボラグ (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【国際出願番号】PCT/SE2010/051037
【国際公開番号】WO2011/040869
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(592180775)スベンスカ・ロツタア・マスキナア・アクチボラグ (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]