説明

二官能アミン系界面活性剤、ならびにその前駆体、製造、組成物および使用

式I(式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6,Xおよびnは定義される通りである)のカチオン性界面活性剤は、種々の用途(クリーナー、洗剤およびパーソナルケア製品等、特にシャンプーおよびコンディショナー)において有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本件は、米国特許出願第61/258,803号(2009年11月6日出願)(その全内容を参照により本明細書に組入れる)に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、双頭型の単鎖界面活性剤であることを特徴とする新分類のアミン含有双頭型界面活性剤に関する。双頭型アミン誘導体は新規構造であり、これは有用な界面活性剤誘導体(例えば、ビス4級アンモニウム塩、アミンオキサイド、または内塩等)に転化できる。一側面において、本発明は、これらの界面活性剤のジアミン前駆体のための物質の組成物に関し、一方別の側面では、本発明は、これらの界面活性剤の製造方法に関する。更に別の側面において、本発明はこれらの界面活性剤を含む組成物に関し、一方、更に別の側面では、本発明は、これらの界面活性剤を使用する種々の用途に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
アミン系界面活性剤は、多くの用途(例えば、これらに必ずしも限定されないが、消毒剤、クレンザーおよび滅菌剤、化粧品(消臭剤、フケ除去剤、エマルション安定剤)、殺菌剤、防カビ剤、帯電防止剤、およびサイズ添加剤、殺生剤が挙げられる)における広範な使用、写真用フィルム用の染料の親和性を増大させること、顔料粒子のコーティング中の分散性を改善すること、ロードドレッシングおよび塗料の接着を増大させること、農業用途でのアジュバントとして、そして油およびガスの製造および輸送に関する用途において(例えば、これらに必ずしも限定されないが、界面活性剤、分散剤、殺生剤、腐食防止剤等が挙げられる)、見出されてきた。公知のアミン系界面活性剤の殆どは、分子当たり1つの官能基を有する(一官能の)または分子当たり3つ以上の基を有する(多官能の)ポリマー骨格を含む。これに反し、本発明のアミン系界面活性剤は、2つの官能基を含み(二官能)、この二官能性は、これらの化合物に特異な特性を与える。
【0003】
コンディショニングは、ヘアケア製品についての鍵となる消費者利益の1つである。これは典型的には、洗い流さないおよび洗い流すトリートメントによる毛(hair)の上のコンディショニング剤の堆積を通じて実現される。洗い流さないトリートメントによるコンディショニング物質を堆積させることはより単純であるが、洗い流す型の堆積は挑戦を与える。洗い流すトリートメント(例えばシャンプーまたはコンディショナー等)を適用する際、配合物中に含有されるコンディショニングに役立つ剤の少ない部分のみが毛の表面に吸着し、洗い流しサイクルが完了した後に残留する。幾つかのカチオン性物質(例えばモノクアット(モノ4級アンモニウム界面活性剤)およびポリクアット(ポリ4級アンモニウム界面活性剤))は、毛の表面のアニオン電荷によってこれらが毛の上により容易に堆積および残留するため、これらの目的のために使用できる。しかしながら、パーソナルケア産業において、既に存在するものよりも更により有効なカチオン性物質の開発、ならびに洗い流さないおよび洗い流すシャンプーおよびコンディショナーの型の系において広く良好に働く物質について、関心が残る。
【0004】
除草剤組成物はしばしば、性能および活性含有成分の植物への吸収を向上させる成分(一般的にはアジュバントと称する)を含む。界面活性剤はアジュバントとして頻繁に用いる。これらは活性含有成分の植物への吸収を向上させること、および除草剤の適用を容易にすることの両者が可能であるからである。界面活性剤アジュバントはしばしばアミン系である。
【0005】
アミン系界面活性剤が有用であると証明された他の用途としては、付加重合(例えばエポキシ重合)の触媒、および冷水クリーニング、特に窒素含有酸化物の除去が挙げられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
一態様において、本発明は、新分類の二官能アミン、およびこれらの誘導体:二官能カチオン性界面活性剤,例えばジクアット(ジ−またはビス−4級アンモニウム界面活性剤)、二官能両性界面活性剤,例えばジーベタイン、および二官能ノニオン性界面活性剤,例えばビス−N−オキサイド(双頭型構造を有するもの)である。
【0007】
一態様において、本発明は、この新分類のアミン系界面活性剤のジアミン前駆体である。これらの前駆体は式Iの化合物である。
【化1】

(式中、R1、R2、R4、R5およびR6は下記定義の通りである)
【0008】
一態様において、本発明は、式II(下記)のカチオン性界面活性剤である。一態様において、本発明は、式Iのアミン前駆体から式IIのカチオン性界面活性剤を製造する方法である。該方法は:イオン化条件下で(i)式Iのジアミン、および(ii)ハロアルキル化合物、を接触させるステップを含む。該方法はアミンアルキル化として一般に公知である。
【化2】

(式中、R1、R2、R3、R4、R5およびR6、Xおよびnは下記定義の通りである)
【0009】
一態様において、本発明は、式III(下記)の両性界面活性剤である。一態様において、本発明は、式Iのアミン前駆体から式III(下記)の両性界面活性剤を製造する方法である。該方法は、式Iのアミン前駆体をアルキル化剤と接触させるステップを含む。
【化3】

(式中、R1、R2、R4、R5、R6およびR7は下記定義の通りである)
【0010】
一態様において、本発明は、式IV(下記)のノニオン性界面活性剤である。一態様において、本発明は、式Iのアミン前駆体から式IVのノニオン性界面活性剤を製造する方法である。該方法は、アミン前駆体を酸化剤と接触させるステップを含む。
【化4】

(式中、R1、R2、R4、R5、R6は下記定義の通りである)
【0011】
一態様において、本発明は、式II、IIIまたはIVの1種以上のアミン系界面活性剤を含む組成物である。
【0012】
一態様において、本発明は、アミン系界面活性剤の、単独または組合せでの、多数の種々の用途(これらに限定するものではないが、パーソナルケア(特にヘアクレンジング等)、クリーニング用途(特に硬質表面および洗濯)、農業処理(特に除草製剤)、および付加重合触媒(特にエポキシ重合等)が挙げられる)のいずれか1つにおける使用である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
好ましい態様の説明
定義
特記、内容の黙示、または当該分野での慣習がない限り、全ての部およびパーセントは質量基準であり、全ての試験方法は本開示の出願日現在のものである。米国特許実務の目的のために、任意の参照する特許、特許出願または公報の内容はその全部を、特に合成方法、定義(本開示で具体的に与える任意の定義と矛盾しない限りにおいて)および当該分野の一般的知識の開示に関し、参照により本開示に組入れる(またはその同等の米国版を参照により組入れる)。
【0014】
本開示における数値範囲は近似であり、従って特記がない限り範囲外の値を包含してもよい。数値範囲は、下側値から上側値までのこれらを含む全ての値を、任意の下側値と任意の上側値との間が少なくとも2単位離れていることを条件に、1単位刻みで包含する。例としては、組成の、物理的なまたは他の特性,例えば分子量、粘度、メルトインデックス等が100〜1,000であると記載される場合、全てのそれぞれの値,例えば100,101,102等、および下位範囲,例えば100〜144,155〜170,197〜200等が、本明細書において明示的に列挙されることが意図される。1未満である値を含むか、または1超の端数を含む(例えば1.1,1.5等)範囲について、1単位は、それに見合って0.0001,0.001,0.01または0.1と考えられる。10未満の有効数字1桁を含む範囲(例えば1〜5)について、1単位は、典型的には0.1と考えられる。これらは具体的に意図されるものの例に過ぎず、そして列挙する下限値と上限値との間の数値の全ての可能な組合せは、本開示で明示的に記載されると考えるべきである。数値範囲は、本開示で、とりわけ、種々の組成物におけるカチオン性界面活性剤の使用量および種々のプロセスパラメーターについて与える。
【0015】
カチオン性界面活性剤
一態様において、本発明は、新分類のカチオン性界面活性剤である。本発明のカチオン性界面活性剤は、低度に分岐したアルキルエーテル骨格上に2つの4級アンモニウム基を含有する。用語「低度に分岐」は、アルキルエーテル骨格が、R4、R5およびR6で定義されるアルキル基を含有することを意味する。カチオン性界面活性剤は、モノクアットおよびポリクアットの界面活性剤と比べて改善された範囲の特性を示し、これらが広範な用途で使用されることを可能にする。例えば、本発明の界面活性剤は、コンディショナーおよびシャンプーにおいてモノクアットに対して改善された範囲の特性を示し、そしてコンディショナーにおいてポリクアットに対して改善された範囲の特性を示し、そしてシャンプーにおいてポリクアットと同等の性能を示す。
【0016】
本発明のカチオン性界面活性剤は、式II:
【化5】

(式中、
1およびR2は、C1−C4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、または互いに結合して3〜9炭素原子の環を形成でき;
3は、C1−C20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアリールアルキル基であり;
4は、水素またはC1−C8アルキル基、好ましくは水素であり;
5は、C1−C10直鎖アルキル基であり;
6は、直鎖C2−C20アルキル基であり、そしてR5およびR6は互いに結合して3〜10炭素原子の環を形成してもよく;
但し、R4、R5、R6および中心炭素原子の組合せの炭素原子数は4〜22であり;
Xは、ハライド(クロリド、ブロミドまたはヨージド)、ビカーボネート、カーボネート、スルフェート、メチルスルフェートおよびビスルフェートの少なくとも1つのモノ−またはジーアニオンであり;そして
nは、Xn=2で与えられる総アニオン電荷であるような整数である。)
の化合物である。
一態様において、R5およびR6は結合して3〜10炭素原子の環を形成できる。
【0017】
本発明のカチオン性界面活性剤を製造するための以下に記載する方法によれば、式Iの化合物の混合物の配合物を得ることができる。式Iの個別の化合物は混合物から単離できるが、このステップは必須ではなく、実際界面活性剤は好ましくは混合物の形で用いることもある。従って、式Iの化合物の混合物である界面活性剤は意図され、そして本発明の範囲内である。
【0018】
式Iの好ましいカチオン性界面活性剤としては、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(1−メチルウンデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド;N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(1−メチルペンタデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド;N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(1−メチルトリデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド;N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(1−メチルヘプタデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド;N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサエチル−2−(1−メチルペンタデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド;N,N,N’,N’−テトラエチル−N,N’−ジメチル−2−(1−メチルペンタ−デシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド;およびN,N,N’,N’−テトラエチル−N,N’−ジベンジル−2−(1−メチルペンタデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリドおよびこれらの同様の構造異性体であってアルコキシ基がアルキル鎖の任意の2級炭素上で置換されているものが挙げられる。式IIの他の好ましいカチオン性界面活性剤としては、N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(1−エチルデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド,およびN,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(1−エチルテトラデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド,および同様の構造異性体であってアルコキシ基がアルキル鎖の任意の2級炭素上で置換されているものが挙げられる。
【0019】
一態様において、本発明は、式IIのカチオン性界面活性剤の製造方法であり、該方法は、イオン化条件下で(i)式Iのジアミン、および(ii)ハロアルキル化合物、を接触させるステップを含む。「イオン化条件」は、温度20〜250℃、好ましくは35〜200℃、およびより好ましくは50〜150℃を含む。イオン化条件はまた、反応を促進させる溶媒,例えば水、アルコール、エーテル、ニトリル、N,N−ジアルキルアミド等、またはこれらの混合物を含む。温度の上限は、反応生成物のホフマン分解を回避するようなものである。圧力は溶媒およびアルキル化剤の関数である。任意の溶媒は、反応温度で中間モノクアットが溶液で残っているのに十分に極性であるのがよい。滞留時間は基質および温度の関数である。典型的には、反応時間はジアミンをジクアットに完全に転化するのに十分であり、この時間は一般に、1時間より長く、24時間以上の長さであることができる。プロセスは通常触媒なしで行う。
【0020】
式Iのジアミン前駆体のエーテル成分は、米国特許出願整理番号第12/430,171号(2009年4月27日出願)に記載されるように調製できる。一般に、合成は、アルコール化合物とオレフィンとの、酸性エーテル化触媒の存在下での反応を含む。典型的には、等モルまたは若干過剰のオレフィンを用いる。溶媒は、使用できるが必須ではない。反応は高温、例えば50〜150℃で実施できる。所望量のエーテル化合物生成物が形成されたら(例えばガスクロマトグラフィで評価したとき)、反応混合物を冷却して従来の検査に供する。例えば、均一な酸触媒を除去するために、冷却された混合物を、炭酸水素塩および/または塩化物塩を含有する水に添加し、そしてエーテル化合物を含有する混合物の有機液相が取り出される。エーテル化合物は公知の方法(例えば蒸留)で更に精製できる。
【0021】
上記合成のアルコールは一般に式(V):
【化6】

(式中、R7はHまたはCH2Xであり、R8はXであり、そしてR9はHまたはCH2Xであり、ここでR7またはR9の1つがHであり、そしてXはF,Cl,Br,またはI(好ましくはCl)である)
のものである。
【0022】
合成のための好ましいアルコールとしては:1,3−ジハロ−2−プロパノールおよび2,3−ジハロプロパノール、または2つの混合物が挙げられる。特に好ましくは1,3−ジクロロ−2−プロパノールおよび2,3−ジクロロプロパノール、または2つの混合物である。
【0023】
上記合成で用いるためのオレフィンは、好ましくは、4〜22個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐のアルファ−オレフィン(すなわち1−アルケン)、または4〜22個の炭素原子を含有する直鎖もしくは分岐の1−アルケンの異性体(これらの内部および/または3級オレフィン異性体とともに)の混合物である。好ましくは、アルケンは直鎖であり、6〜18個の炭素原子を含有する。特に好ましいアルファオレフィンの非限定例としては:1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、またはこれらの化合物の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0024】
オレフィンは、酸性エーテル化触媒との接触時に異性化してもよく、アルファ−オレフィンの使用は必須ではなく、4〜22個の炭素原子を含有する内部オレフィン、または直鎖もしくは分岐のアルケンの異性体の混合物もまた使用に好適である。好適な内部オレフィンの非限定例としては:2−ブテン、2−ペンテン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、2−ヘプテン、3−ヘプテン、2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、2−ノネン、3−ノネン、4−ノネン、2−デセン、3−デセン、4−デセン、5−デセン等、またはこれらの化合物の2つ以上の混合物が挙げられる。
【0025】
エーテル化合物の合成における使用に好適な酸性エーテル化触媒としては、これらに限定するものではないが、酸性イオン交換樹脂、例えばDOWEX DR−2030(The Dow Chemical Companyから入手可能)、クレー、ゼオライト、スルホネート化ポリスチレンビーズ、および酸(不均一表面上に固定されたもの),例えばテトラフルオロエタンスルホン酸(シリカビーズ上の)、ブレンステッド酸,例えばトリフリック(トリフルオロメタンスルホン)酸、メタンスルホン酸、または硫酸、ルイス酸,例えばBF3およびその誘導体(例えば二水和物またはエーテル)、ならびにトリメチルシリルトリフラートが挙げられる。反応物質に対する触媒の比は臨界的ではなく、一般に、所望の反応度を得るように調整する。好ましくは、触媒は、プロセス中に温度約50〜150℃でエーテル化反応を促進するようにする。
【0026】
好ましいアルキル化剤は、コスト、安全性プロフィール(より強力なアルキル化剤,例えばヨードメタンおよびジメチルスルフェートに対し)の理由で、クロロメタンのハロアルキル化合物であり、これはジメチルカーボネートよりもクリーンに反応する。しかし、好ましいものを示したが、他のアルキル化剤として、ブロモメタン、ヨードメタン、ジメチルスルフェート、ジメチルカーボネート、ベンジルクロリド、およびクロロエタンが挙げられる。他の「X」対イオンは、制御された加水分解によって(例えば、ジメチルスルフェートとの反応において形成されるメチルスルフェートアニオンはスルフェートに加水分解されることができる)、または適切な樹脂上でのイオン交換によって、生成できる。
【0027】
プロセスの接触ステップは、式Iのジアミンおよびアルキル化剤を、イオン化条件下で、すなわち式IIのカチオン性界面活性剤を生成するのに十分な条件下で、互いに接触させることを必要とする。典型的には、この接触は、液体相中で、溶媒,例えばメタノール、ならびに高温および高圧,例えば50〜150℃および50〜200psigを用いて実施する。反応が生じるのに十分な時間(例えば2〜20時間)の後、反応混合物を冷却し、環境条件に下げ、次いで従来の検査に供する。式IIの化合物は任意に更に精製してもよい。精製は、従来技術,例えば抽出、ろ過、クロマトグラフィ、および/または結晶化を用いて実施できる。
【0028】
本発明のカチオン性界面活性剤が式IIの化合物の混合物を含む場合、混合物の組成は、接触条件,例えばアルキル鎖長、反応温度、pHおよび反応剤量を変えることにより制御できる。このようにして、界面活性剤生成物の特徴および特性を、所望用途の要求に適合するように調整できる。
【0029】
式IIのカチオン性界面活性剤は、界面活性剤の存在が所望されまたは必要である広範な組成物および用途において使用できる。非限定例として、界面活性剤は:洗濯洗剤、塗料およびコーティングの配合物、エマルション重合の剤または配合物、家庭用および工業用のクリーナー、農業用配合物、ラテックス配合物、環境改善剤、油田化学物質、高度油回収配合物、ガス処理配合物、テキスタイル加工および仕上げ剤、パルプおよび紙の加工剤、芳香剤可溶化剤配合物、金属作動流体,例えば切削流体、パーソナルケア製品(スキンケア製品およびヘアケア製品,例えばシャンプー)等としてまたはこれらにおいて使用できる。これらの用途において用いるべき式Iの化合物の量および組成は、用途および所望の結果に応じて変動し、過度の実験なく当業者によって決定できる。典型的には、界面活性剤として式IIの化合物を含む組成物は、少なくとも0.01質量%、より典型的には少なくとも0.05質量%、更により典型的には少なくとも0.2質量%、および更により典型的には0.3質量%の界面活性剤(組成物の総質量基準で)を含有することになる。組成物中の界面活性剤としての式IIの最大量は、広く変動でき、典型的には、経済性および簡便性の要因によって決定されるが、典型的には、最大量は、20質量%を超えず、より典型的には10質量%を超えず、そして更により典型的には5質量%を超えない(組成物の総質量基準で)界面活性剤である。
【0030】
好ましい態様において、式IIの界面活性剤はパーソナルケア製品、特にヘアケア製品,例えばシャンプーおよびコンディショナーにおいて使用する。そのような製品は優れた櫛通り性、柔軟性および光沢を人毛に与える。シャンプー組成物またはコンディショナー組成物において使用すべき式IIの界面活性剤の量は、当業者によって容易に決定できる。例として、量は典型的には約0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.3質量%〜5質量%(組成物の総質量基準で)である。
【0031】
シャンプー組成物およびコンディショナー組成物は、そのような組成物において一般的に使用される他の添加剤(例えば、他のカチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、酵素、溶媒、ヒドロトロープ、ビルダー、増粘剤、キレート剤、香料、染料、不透明化剤、光学的光沢剤、脱色剤、およびpH緩衝剤から選択される1種以上の添加剤が挙げられる)を任意に含有できる。
【0032】
存在する場合、そのような任意の添加剤の量は好ましくは以下の通りである:カチオン性界面活性剤 0.01%〜50%、好ましくは0.01%〜25%、より好ましくは1%〜20%の範囲;ノニオン性界面活性剤 0.01%〜20%、好ましくは0.01〜15%、より好ましくは0.5%〜10%の範囲;アニオン性界面活性剤 0.01%〜20%、好ましくは0.01〜15%、より好ましくは0.5%〜10%の範囲;両性界面活性剤 0.01%〜20%、好ましくは0.01%〜15%、より好ましくは0.5%〜10%の範囲;酵素 0.0001%〜6%の範囲;溶媒0.01%〜20%の範囲、好ましくは0.01〜15%、より好ましくは0.5%〜10%の範囲;ビルダー 1%〜60%の範囲;キレート剤 0.1%〜20%の範囲;そしてヒドロトロープ 0.1%〜15%、好ましくは0.5%〜10%の範囲。
【0033】
両性界面活性剤
一態様において、本発明は、新分類の式IIIの両性界面活性剤である。これらの界面活性剤は式IIのカチオン性界面活性剤と本質的に同じ構造のものであるが、関連のXアニオンを有さず、そしてR基のうち1つが負に荷電している。すなわちR7は式−(CH2mY(式中、mは0〜4の整数であり、そしてYはカルボキシレート基、スルホネート基、スルフェート基、ホスホネート基、またはホスフェート基である)のモノアニオン性基である。両性界面活性剤は、イオン化条件下で(i)式Iのジアミン、および(ii)アルキル化剤,例えばナトリウムクロロアセテート、クロロスルホン酸等、を接触させるステップを含む方法によって形成される。これらの界面活性剤は、カチオン性界面活性剤と同様の様式および用途で使用される。
【0034】
ノニオン性界面活性剤
一態様において、本発明は、新分類の式IVのノニオン性界面活性剤である。これらの界面活性剤は、式IIのカチオン性界面活性剤と本質的に同じ構造のものであるが、関連のXアニオンを有さず、そしてR基のうち1つがイオン化酸素原子で置換えられている。ノニオン性界面活性剤は、酸化条件下で(i)式Iのジアミン、および(ii)酸化剤,例えば過酸化水素、を接触させるステップを含む方法によって形成される。「酸化条件」は、温度20〜250℃、好ましくは35〜200℃およびより好ましくは50〜150℃を含む。酸化条件はまた、反応を促進させる溶媒,例えば水、アルコール、ニトリル、ハロ炭素、N,N−ジアルキルアミド、脂肪族エステル等、またはこれらの混合物を含む。温度の上限は、反応生成物のホフマン分解を回避するようなものである。圧力は溶媒および酸化剤の関数である。任意の溶媒は、反応温度で中間モノクアットが溶液で残っているのに十分に極性であるのがよい。滞留時間は基質および温度の関数である。典型的には、反応時間はジアミンを完全に転化するのに十分であり、この時間は一般に、1時間より長く、24時間以上の長さであることができる。プロセスは通常触媒なしで行う。ノニオン性界面活性剤は、カチオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤と同様の様式および用途で使用される。
【0035】
上記のように、本発明は、多様な用途における使用を可能にする改善された範囲の特性を示す新分類のアミン含有双頭型界面活性剤を提供する。このような特性としては、高い水中溶解性、硬水、電解質、および苛性溶液に対する高い耐性、ならびに、クリーニング組成物において使用する場合には、ヘアケア製品における優れた性能、が挙げられる。
【0036】
以下の例は本発明の例示であるがその範囲の限定を意図しない。特記がない限り、ここで用いる比、パーセント、部等は質量基準である。
【0037】

例1A:C12−ジクアット−TM(N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(ドデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド)の調製
ステップ1:1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシドデカンからのC12−ジアミン2(N,N,N’,N’−テトラメチル−2−(ドデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミン)の調製
2−パージした450mLのParr反応器(プロペラ型インペラおよび取り外し可能なガラスライナーを備える)に17.7グラム(g)のN2−スパージされた1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシドデカン(59.5mmol)をシリンジ経由で入れる。次いで反応器にカニューレ経由で115.8gのジメチルアミン溶液(40%,水中、Aldrich;1,028mmol;17.3eq.)(脱気していない)を入れる。反応器を密閉し、撹拌および加熱を開始する。温度は最大119℃に100分以内に到達し、次いで106〜108℃の間で16時間安定させる。次いで反応器を80℃まで冷やし、大量の1NHCl中にガス分散器で圧力をゆっくり開放する。反応器を室温で開け、曇白色の下層および極めて薄い暗色の上層がみられる。100mLのジエチルエーテルの添加によってこれらを分離し、水層を2回、75mLのエーテルで洗浄する。組合せの有機画分を無水MgSO4に通して乾燥させ、ろ過し、そしてロータリーエバポレーションで油に減量する。これを次いで0.6〜0.9mmHgおよび129〜136℃で短径路マイクロ蒸留装置を用いて蒸留する。明澄な無色の若干粘稠な油の収量:14.44g(FW=314.55,77%)。1H NMR(CHCl3),ppm:(δ)3.3−3.75(m,2.3H);2.2−2.4(m,2つの強い等しくないピークを有する,13H);1.5(br m),1.24(br s),1.12(d,6Hz),0.87(m);全アルキル積分(0.8−1.6)24H.13C NMR(CHC13),ppm:(δ)79.2,63.3,63.1,46.7,37.4,32.1,30.0,29.5,25.9,22.8,20.6,14.3(44.2,43.9,43.8,26.9,25.6にも小さいピークが見られる)。C19422O(%)について算出:C,72.55;H,13.46;N,8.91;O,5.09;Cl,0。見出される:C,71.36;H,13.14;N,7.92;O,4.58;Cl,0.38.
【0038】
ステップ2:C12ジアミン(N,N,N’,N’−テトラメチル−2−(ドデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミン)からのC12−ジクアットTM(l)(N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(ドデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド)の調製
2−パージした450mLのParr反応器(プロペラ型インペラおよび取り外し可能なガラスライナーを備える)に40mLメタノールおよび10mL水の混合物を入れ、撹拌を開始する。次いで反応器を密閉し、10加圧で32psiまで窒素下に置き、次いで雰囲気圧までベントする。クロロメタンで30psiまで3加圧し、次いで雰囲気圧までベントした後、反応器にクロロメタンを圧力50psiまで30℃で入れ、ここでクロロメタンの流れを止める。5分後、反応器温度は25℃まで、そして圧力は40〜45psiまで下がる。隔離口を介して8.01gのC12−ジアミン2(25.5mmol)を添加する。次いで反応器を89〜95℃まで17.5時間加熱し、その間、圧力を90psiまで上げた後、75〜80psiまで下げる。反応器を冷やし、ベントした後、反応混合物(茶色がかった油状液体)をロータリーエバポレーションによって濃タールに減量する。エタノール(50mL)を添加し、ロータリーエバポレーションで2回除去する。次いでエタノール(80mL)を添加し、ろ別された固体を得て、エタノールで洗浄し、淡青色粉末(2.42g)に乾燥させる。ろ液を暗色油に濃縮し、80mLのジエチルエーテルと混合して、1晩撹拌する。得られる湿潤ケークを遠心分離して、上澄みを捨てる。ジエチルエーテルを更に添加し、青色固体をろ別し、更なるジエチルエーテルで洗浄する。空気中で乾燥させた後、固体はタール状緑色ワックスになる。サンプルは、16.6wt%の無機塩化物(AgNO3滴定により(理論上 17.1))および5%の水(カールフィッシャー滴定により)を含有する。7.67g(FW=415.52,69%,水について較正されたもの)を得る。プロトンNMRスペクトルは、ブロードな重畳ピークからなる。1H NMR(CD3OD),ppm:(δ)3.69(br m),3.30(br s),2.98(br s),1.69(br m),1.26(br s),1.15(m),0.94(br s),0.86(br s)。領域4.1〜2.6ppmの、領域2.0〜0.6ppmに対する全積分の比=22.4:24(理論上 24:24)。Varian Inova 400MHzスペクトルメーターでNMRスペクトルを得る。元素分析はQuantitative Technologies,Inc.,Whitehouse,NJ.により提供される。
【0039】
例1B:C16−ジクアット−TM(N,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2-(ヘキサデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド)の調製
ステップ1:1,3−ジクロロプロパン−2−イルオキシヘキサンデカンからのN,N,N’,N’−テトラメチル−2−(ヘキサデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミン(C16−ジアミン2)の調製
2−パージした450mLのParr反応器(プロペラ型インペラおよび取り外し可能なガラスライナーを備える)に26.80gの1,3−ジクロロプロパン−イルオキシへキサデカン(75.8mmol)をシリンジ経由で、そして130.35gのジメチルアミン溶液(40%,水中、Aldrich;1.157mmol;15.3eq.)をカニューレ経由で入れる。反応器を10psi N2下で密閉し、105〜116℃(90〜110psi)まで19時間加熱する。30℃まで冷却した後、反応器をベントし、次いで流N2を約75分間パージする。反応器内容物を200mLの水および100mLのヘキサンとともに分液漏斗に注ぎ入れる。水性画分を2回、100mLのヘキサンで洗浄し、組合せの有機画分を無水MgSO4に通して乾燥させ、ロータリーエバポレーションで明澄黄色油に減量する。生成物は、短径路ジャケット付カラムを用いて0.27〜0.34mmHgおよび159〜168℃で蒸留する。明澄、無色、若干粘稠な油の収量:24.822g(FW=370.39,88%)。1H NMR(CHCl3),ppm:(δ)3.3−3.8(m,2.9H);2.2−2.5(m,2つの強い等しくないピークを有する,13H);1.5(br m),1.26(br s),1.14(d,6Hz),0.89(m);全アルキル積分(0.8−1.6)32H。
【0040】
ステップ2:N,N,N’,N’−テトラメチル−2−(ヘキサデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミン(C16−ジアミン2)からのN,N,N,N’,N’,N’−ヘキサメチル−2−(ヘキサデシルオキシ)−1,3−プロパンジアミニウムジクロリド(C16−ジクアット−TM)の調製
450mLのParr反応器(インペラを取り外し、熱電対筐体を、鉱物油を収容するガラスNMR管部分で被覆してPTFEテープでシールし、そして磁気撹拌棒を収容する取り外し可能なガラスライナーを有する)を密閉してN2でパージする。反応器に、5mLの水、および15.42gのC16−ジアミン2(41.6mmol)と55.70gのメタノールとのN2−スパージされた混合物を添加する。反応器をクロロメタン(Aldrich,99.5%)で急速に加圧し、3サイクル除圧し、次いでクロロメタンのタンクで16分間平衡させ、その後タンクを閉めて反応器を86〜87℃まで19時間加熱する。36℃まで冷却した後、反応器をベントし、次いでN2流で6分間パージする。得られる明澄、緑色の溶液をロータリーエバポレーションにより琥珀色油に減量する。次いでソープ状ケークに50mLのエタノールを添加し、これをロータリーエバポレーションにより除去し、続いて第2のエタノール100mLを入れ、これもまた同様に除去する。得られる固体の混合物(エチルエーテルおよびヘキサン中)はろ別できなかったため、これを空気中で乾燥させ、次いで減圧乾燥(42℃、1晩)させる。ワックス状固体の収量:18.41g。プロトンNMRスペクトルはブロードな重畳ピークからなっていた。1H NMR(CH3OD)、ppm:(δ)3.5〜3.8(br m),3.3(br s),3.0(br s),1.26(br s),1.15(m),0.94(br s),0.87(m)。領域4.1〜2.9ppmの、領域2.0〜0.6ppmに対する全積分の比=19.6:32(理論上 24:32)。13C NMR(CD3OD),ppm:(δ)74.4,70.0,69.6,69.2,66.8,38.0,33.1,30.5〜31.1,26.4〜26.8,23.7,20.8,19.9,18.8,14.5(多くの小さいピークを有する)。C2556Cl22O(%)について算出:C,63.67;H,11.97;N,5.94;Cl,15.03。見出される:C,60.68;H,11.73;N,4.41;Cl,15.29。無機塩化物(AgNO3滴定):12.6wt%(理論上 15.0)および3.3%の水(カールフィッシャー滴定により)。遷移金属量(ICP):Fe,0.31%;Cr,0.17%;Ni,0.04%。
【0041】
例1C:C12ジベタイン((2,2’−(ドデカン−2−イルオキシプロパン−1,3−ジイル)ビス)(ジメチルアンモニオンジイル)ジアセテート)の調製
250mLの丸底フラスコに24.6g(0.211mol)のクロロ酢酸ナトリウム、4.58g(0.043mol)の炭酸ナトリウム、26.77g(0.0852mol)のN,N,N’,N’−テトラメチル−2−ドデシルオキシプロピル−1,3−ジアミン、90mLのメタノール、および10mLの水を入れた。還流で2日間加熱した後、混合物を氷浴中で冷却し、ろ別し、次いでフィルターケークをメタノールでリンスした。ろ液を濃縮して47.8gの明澄な油((2,2’-(ドデカン−2−イルオキシプロパン-1,3-ジイル)ビス)(ジメチルアンモニオンジイル)ジアセテートを含有する)(5wt%塩化ナトリウム(イオン選択性電極)を有する)を得る。1H NMR (D2O),ppm:(δ)4.6−4.9(br m),3.9(br, m),3.3(br s),2.4(br s),2.25(s),1.2−1.8(br s),0.9(s).13C NMR(D2O),ppm:(δ)170.4,170.3,170.2,170.1,75.0,73.4,67.2,67.4,67.8,68.3,54.6,54.9,55.0,55.5,55.8,16から51(複数ピーク)。マススペクトル:C234625、実際質量 430.340672。
【0042】
例1D:C16 N−オキサイド(へキサデカン−2−イルオキシ−N,N,N’,N’−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミンジオキサイド)の調製
100mLの三口丸底フラスコに8.91gのC16−ジアミン2(24.1mmol)、27mLの蒸留水、および37mgのEDTA二ナトリウム二水和物(0.10mmol)(存在する錯体の任意の遷移金属に対して)を入れた。フラスコに窒素を約40分間流しパージし、次いでオイルバブラーで静圧下に置いた。添加漏斗に5.26gの35wt%過酸化水素(Acros Organics,安定化,54.1mmol,2.25eq.を入れた。混合物を、加熱マントルで61℃に加熱した。その上で過酸化物の添加を開始した。これをゆっくり、1度に1または2滴で、1時間かけて行い、温度は59〜65℃に保った。温度を72〜76℃に上げ、混合物を更に3時間撹拌した。1時間以内で、濁ったエマルションが明澄になった。混合物を室温まで冷やして1晩撹拌した。過酸化物試験ストリップを用い、残留過酸化水素を、亜硫酸水素ナトリウム(Aldrich ACSグレード)を少量添加しながらモニターした。各添加は温度を若干上昇させ、32.5℃で終わった。1.15gの亜硫酸水素ナトリウム(10.8mmol)の添加後、過酸化物は検出されず、同様の読取が更に10分間の撹拌の後に得られ、40.3gの明澄、無色、幾らかソープ状の液体を生じた(溶液は数日以内に黄色になった)。溶液の一部を52℃にて減圧オーブン内で1晩、窒素を流しながら乾燥させ、28.8wt%の黄色、粘稠の油/ワックス(計算で、27wt%固形分)を得た。亜硫酸塩の消費に基づき、アミンのアミン−N−オキサイドへの転化は90%と見積もられた。1H NMR(δ),ppm:4.4(br s,0.3H),3.5−3.9(m,3.4H),3.3−3.4(m,7.3H),2.74(s),2.69(s),[2.5−3.1:3.9H],1.3(br s),0.92(br s),[0.7−1.9:32H].13C{1H}(δ),ppm:74.8,73.2,72.9,71.1,58−60(br),37.0,32.2,30.2(br),25.4,19.0,14.0。中性メチルアミン基に関するプロトンNMRスペクトルの範囲(2−2.5ppm)でピークは観察されなかったが、13Cスペクトルにおける43−45ppmの小さいブロードな吸収は未反応アミンを示す可能性がある。アルキル鎖に関するものではないピークについての合計のプロトンNMRの積分の、鎖のものに対する比 15:32は、出発物質および生成物について予測されるもの(17:32)に近い。
【0043】
例2:ヘアケア用途における本発明および比較の配合物
本発明および比較の配合物において用いる物質を表1に挙げる。
【表1】

【0044】
例2A:新規なジクアット物質を含有する本発明の洗い流すコンディショナー配合物(C1)およびベヘントリモニウムクロリドを含有する比較の配合物
本発明のジクアット(1)を含有する洗い流すヘアコンディショナー配合物(C1)および化粧用モノクアットベヘントリモニウムクロリド(BTC)(ジクアット(1)に代えて)を含有する同様の配合物(C2)を表2に示す。表2における含有成分の量は質量/質量基準でのパーセント(wt%)単位で表す。ジクアット(1)は配合物(C1)中に0.5wt%レベルで組み入れられるが、配合物(C2)は2wt%(5倍で多い)のBTCモノクアットを含有していたことに留意されたい。
【表2】

【0045】
C1は、フェーズA成分を組合せ、次いで混合し、混合物を75℃まで撹拌下で加熱することにより配合する。別個の反応容器内で、フェーズC含有成分を組合せ、混合し、75℃まで撹拌下で加熱する。フェーズCをフェーズAに75℃で撹拌下で添加する。反応混合物またはバッチを室温で撹拌しながら冷やす。Glydant(フェーズC,防腐剤)を35℃で添加する。配合物のpHを、50%クエン酸を必要に応じて用いて、4〜5に調整する。フェーズB予混合物を、ジクアット物質を室温で水に添加することにより形成する。次いで予混合物Bをバッチにゆっくり添加し、バッチが均一になるまで混合する。
【0046】
C2は、フェーズAおよびBの成分を組合せ、次いで混合し、混合物を75℃まで撹拌下で加熱してバッチを形成することによって配合する。別個の反応溶液内で、フェーズC含有成分を組合せ、混合し、75℃まで撹拌下で加熱する。フェーズCをバッチに75℃で、470rpmでの撹拌下で添加する。反応混合物を室温で撹拌しながら冷やす。Glydant(フェーズC,防腐剤)を35℃で添加する。配合物のpHを、50%クエン酸を必要に応じて用いて、4〜5に調整する。
【0047】
例2B:新規なジクアット物質(2)を含有する本発明のシャンプー配合物および基準の4級物質を含有する比較のシャンプー配合物
本発明のジクアット(2)を含有するシャンプー配合物(S1)、ならびに化粧用モノクアットベヘントリモニウムクロリドおよびステアルアルコニウムクロリドおよびポリクオタニウム−10(ポリマーJR-400)(ジクアットに代えて)を含有する比較の配合物(S2)〜(S4)を表3に示す。表3中の含有成分の量は、質量/質量基準でのパーセント(wt%)単位で表す。全ての4級物質は配合物(S1)〜(S4)中に0.5wt%レベルで組入れる。
【表3】

【0048】
(S1)〜(S3)配合のためのプロトコルは以下の通りである:
1.Standapol ES−2,Velvetex CDC,および脱イオン水を混合する。均一になるまで高速で撹拌する。
2.水浴で、温度を70℃まで上げる。
3.モノクアット物質を添加して30分間混合する。
4.30分後、室温までゆっくり冷やす。
5.10%クエン酸溶液を配合物に添加して10分間撹拌する。
6.Glydantを添加し、激しく混合する。
7.水を適量添加する。
【0049】
(S4)を配合するためのプロトコルは以下の通りである:
1.Standapol ES−2,Velvetex CDC,および脱イオン水を混合する。均一になるまで高速で撹拌する。
2.高速で撹拌しながら、2%JR−400溶液をゆっくり添加し、よく混合されるまで高速での撹拌を継続する。
3.水浴で、温度を70℃まで上げる。
4.30分後、室温までゆっくり冷やす。
5.10%クエン酸溶液を配合物に添加して10分間撹拌する。
6.Glydantを添加し、激しく混合する。
7.水を適量添加する。
【0050】
例2C:新規なジクアット物質(C3)および(C4)を含有する本発明の洗い流さないコンディショナー配合物
本発明のジクアット(1)および(2)を含有する洗い流さないコンディショナー配合物(C3)および(C4)を、それぞれ表4Aに示す。表4A中の含有成分の量は質量/質量基準でのパーセント(wt%)単位で表す。
【表4】

【0051】
配合物は以下のプロトコルに従って調製する:
1.Cellosize PCG−10を、急速撹拌している室温の水に振り入れる。均一になったらバッチ温度を75〜80℃に上げる。
2.別個の容器内で脂肪族アルコールを同じ温度まで加熱し、均一になるまで混合し(フェーズB)、バッチに添加する。均一になるまでバッチを混合する。
3.バッチが均一になるまで植物油をバッチに混ぜ入れる。
4.バッチを40℃まで冷やし、そしてパンテノールを添加する。
5.別個の容器内で、実験のジクアット物質を水中に分散させ(フェーズC)、そして予混合物に撹拌下で添加する。
6.pHをクエン酸で4.5〜5.5に調整する。
7.Glydant防腐剤を添加し、均一になるまでバッチを混合する。
8.水を適量添加する。
【0052】
例3:湿潤ヘア特性の主観評価(洗い流すコンディショナー)
ヘアトリートメント手順
前洗浄および前抱水させた10インチ長の毛束(ヨーロッパ人の単一脱色毛,International Hair Importers and Products Inc.(Floral Park,NY)から入手可能)を、洗い流すコンディショナー配合物で処理する。コンディショナー製品(0.1g)を毛の各束に適用する。製品を毛に1分間入れ込み、次いで流水道水下(38℃および0.4gal/分の水流)で1分間洗い流す。束を吊るして1晩乾燥させる。
【0053】
評価手順
翌日、毛の化粧用製品の性能を評価するために訓練した5人の熟練したパネリストに、乾燥毛束の櫛通り性および感触を評価してもらう。各パネリストは2対の束を評価する。各対は、本発明の組成物(C1)で処理された1つの束 対 比較組成物(C2)(2wt%のBTCを含有する)で処理されたものである。パネリストに、より容易に梳かされ、より滑らか/柔軟な感触である1つの束を取ってもらう。
【0054】
統計データ分析
加えて、主観評価を統計的に分析して、信頼度が89%を超える差異を特定する。結果を表4Bに報告する。
【表5】

+は、本発明のサンプルが、対照サンプルに対して統計的に優れていることを示す(発明サンプル10のうち最低8で優れていると判定)。
【0055】
表4中に報告するデータは、本発明のジクアット物質(1)を0.5%含有するに過ぎない洗い流すコンディショナー(C1)は、2wt%のBTCを含有する比較配合物(C2)に対して、乾燥櫛通り性および感触において優れることを示す。結果は選択した信頼度にて統計的に有意である。この例は、本発明のジクアット物質が、洗い流すヘアコンディショナー配合物において効率的なコンディショニング剤として機能することを示す。モノクアットレベルの1/4で用い、これは主要なコンディショニングモノクアットBTC(典型的にこの種のパーソナルケア用途において用いるもの)を凌ぐ。
【0056】
例4:ダイアストロン小型試験器を用いて測定される客観的湿潤櫛通り性(シャンプー)
ヘアトリートメント手順
前洗浄および前抱水させた8インチ長の毛束(ヨーロッパ人の単一脱色毛,International Hair Importers and Products Inc.(Floral Park,NY)から入手可能)をシャンプー配合物で処理する。コンディショナー製品(0.5g)を毛の各束に適用する。製品を毛に1分間入れ込み、次いで流水道水下(38℃および0.4gal/分の水流)で1分間洗い流す。
【0057】
評価手順
全ての測定は8インチ長のヨーロッパ人の脱色毛(約4gの重さ)の束を用いて行う。櫛がヨーロッパ人の単一脱色毛(International Hair Importers and Products Inc.から入手可能)の湿潤束を引き通すときの湿潤櫛通り(WCW)を、インストロン引張試験機のロードセルを用いて測定する。シャンプー配合物の湿潤櫛通り性を、本発明の配合物(S1)または比較の配合物(S2)〜(S4)で処理された毛束の湿潤櫛通り実施(WC WD),%(パーセント)低減について、配合物(S1)〜(S4)と同じ含有成分を含むが4級モノクアットまたはポリクアットを含まないベース配合物で処理された毛束との比較で、以下のように算出する:
%WCWD低減=[(WCWDベース−WCWD処理)]/WCWDベース]×100
(式中、ベースは、毛束が、モノクアット/ポリクアットを有さないベース配合物で処理されることを意味し、そして処理は、毛束がシャンプー組成物(S1)〜(S4)で処理されることを意味する。
【表6】

【0058】
表5中の結果は、本発明のジクアット誘導体を含有するシャンプー配合物が、市販で入手可能な化粧用モノクアット(配合物(S2)および(S3))ならびにポリクオタニウム−10 UCARE JR−400(配合物(S4))と比べてより良好なコンディショニング性能を有することを示す。具体的には、配合物(S1)でのヘアトリートメントは、比較配合物(S2)〜(S4)での毛の処理と比べて、湿潤櫛通りのより大きい低減をもたらす。
【0059】
例5:農業用途用のグリホセート配合物中のアジュバント
本発明で記載するカチオン性界面活性剤を、RODEO配合物(グリホセートIPA 480g ae/L,内在アジュバントなし)に添加し、内在アジュバント:Durango DMA(グリホセートDMA 480g ae/L)、およびRoundup WeatherMax(グリホセート K+ 540g ae/L)を有する市販配合物に対するこれらの性能を評価する。
【0060】
本発明で記載するカチオン性界面活性剤を、スプレー溶液に、グリホセート配合物中に典型的に含まれる界面活性剤の量と同等の濃度で添加する(0.18% v/v 界面活性剤(800g ae/haにて)のグリホセート,140 1/haの総スプレー体積中)。アジュバントレベルを滴定して、標準の性能と直接比較する。
【0061】
この例において、以下の種を試験する:Wild Poinsetta,Morning glory,Barnyard grass,Velvetleaf,Wild Oats,Quackgrass,Common Lambsquarters,Sicklepod。用量(g ae/ha)0,100,200,400,600および800;スプレー体積:140 1/ha=15 gpa;各試験は3回繰り返す。対照パーセントは試験した種を通じて、そして用量400 G/haで平均する。
【表7】

【0062】
例6:エポキシ用途における触媒
無水物硬化されたエポキシ系をこの例で用いる。本発明の配合物において用いる物質は:Epoxy D.E.R.383,無水物硬化剤ECA 100(メチルテトラヒドロフタル酸無水物とテトラヒドロフタル酸無水物とのブレンド物)、およびアミン系触媒である。触媒量は1wt%である。C12ジアミンおよびC12ジクアットを、エポキシ化学、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、およびベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(BTEAC)のそれぞれにおいて用いる一般的な触媒と比較する。
【0063】
12ジアミン触媒は、エポキシ/無水物混合物中で速く溶解した。C12ジクアットを60℃にて1晩、無水物中で完全溶解のために加熱する(BTEACと同様)。
【0064】
DSCスクリーンを用いて反応をモニターし、比較される触媒の間の触媒程度の相対比較を与える。C12ジアミンおよびC12ジクアットの両者は触媒として良好に作用した。
【0065】
DSC発熱は、BDMAまたはBTEACと比べて、1wt%触媒量でより高温に若干シフトするが、より高い分子量を有し、従って同じ質量%量でより低いモル%量を有する本発明の物質と触媒の同じモル%で使用する場合には、重複すると予測される。
【0066】
試験した触媒は、エポキシ−無水物硬化について良好な触媒活性を示し、より低い揮発性を与え、そしてアルキル鎖変性(例えば疎水性表面変性)によって最終コーティングの特性に寄与する機会を示す。
【0067】
本発明を、その特定の詳細とともに先の詳細な態様を通じて説明してきたが、この詳細は主に例示の目的である。多くの変更および改変を、特許請求の範囲に記載するような本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者によってなすことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

(式中、
1およびR2は、メチル基、エチル基もしくはブチル基であり、または互いに結合して3〜9炭素原子の環を形成してもよく;
4は、水素またはC1−C8アルキル基であり;
5は、C1−C10直鎖アルキル基であり;
6は、直鎖C2-20アルキル基であり;
5およびR6は、互いに結合して3〜10炭素原子の環を形成してもよく;
4、R5、R6および中心炭素原子の組合せの炭素原子数が4〜22個であることを条件とする)
のジアミン。
【請求項2】
式II:
【化2】

(式中、
1およびR2は、C1−C4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、または互いに結合して3〜9炭素原子の環を形成してもよく;
3は、C1−C20の直鎖または分岐鎖のアルキル基またはアリールアルキル基であり;
4は、水素またはC1−C8アルキル基であり;
5は、C1−C10直鎖アルキル基であり;
6は、直鎖C2−C20アルキル基であり;
5およびR6は、互いに結合して3〜10炭素の環を形成してもよく;
4、R5、R6および中心炭素原子の組合せの炭素原子数が4〜22個であることを条件とし;
Xは、ハライド、ビカーボネート、カーボネート、スルフェート、メチルスルフェートおよびビスルフェートの少なくとも1つのモノ−またはジ−アニオンであり;
nは、Xnによって与えられる総アニオン電荷が2である整数である)
のカチオン性界面活性剤。
【請求項3】
4が水素である、請求項2に記載のカチオン性界面活性剤。
【請求項4】
式III:
【化3】

(式中、
1およびR2は、C1−C4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、またはこれらが結合して3〜10炭素原子の環を形成してもよく;
4は、水素またはC1−C8アルキル基であり;
5は、C1−C10直鎖アルキル基であり;
6は、直鎖C2−C20アルキル基であり;
5およびR6は、互いに結合して3〜10炭素原子の環を形成してもよく;
7は、式−(CH2)mY(式中、mは0〜4の整数であり、そしてYはカルボキシレート基、スルホネート基、スルフェート基、ホスホネート基、またはホスフェート基である)のモノアニオン性基であり;
4、R5、R6および中心炭素原子の組合せの炭素原子数が4〜22個であることを条件とする)
の両性界面活性剤。
【請求項5】
4が水素である、請求項4に記載の両性界面活性剤。
【請求項6】
式IV:
【化4】

(式中、
1およびR2は、C1−C4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、またはこれらが結合して3〜10炭素原子の環を形成してもよく;
4は、水素またはC1−C8アルキル基であり;
5は、C1−C10直鎖アルキル基であり;
6は、直鎖C2−C20アルキル基であり;
5およびR6は、互いに結合して3〜10炭素原子の環を形成してもよく;
4、R5、R6および中心炭素原子の組合せの炭素原子数が4〜22個であることを条件とする)
のノニオン性界面活性剤。
【請求項7】
4が水素である、請求項6に記載のノニオン性界面活性剤。
【請求項8】
請求項2に記載のカチオン性界面活性剤を含む、組成物。
【請求項9】
洗濯洗剤、塗料、コーティング、エマルション重合剤、家庭用もしくは工業用のクリーナー、農業用配合物、ラテックス配合物、環境改善剤、油田化学物質、高度油回収配合物、ガス処理配合物、テキスタイル加工剤、仕上げ剤もしくはサイズ剤、パルプもしくは紙の加工剤、芳香剤可溶化剤もしくは芳香剤可溶化配合物、金属作動流体、またはパーソナルケア製品の形である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
ヘアシャンプーまたはヘアコンディショナーの形である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
毛の処理方法であって、請求項10に記載の組成物を適用することを含む、方法。
【請求項12】
請求項4に記載の両性界面活性剤を含む、組成物。
【請求項13】
洗濯洗剤、塗料、コーティング、エマルション重合剤、家庭用もしくは工業用のクリーナー、農業用配合物、ラテックス配合物、環境改善剤、油田化学物質、高度油回収配合物、ガス処理配合物、テキスタイル加工剤、仕上げ剤もしくはサイズ剤、パルプもしくは紙の加工剤、芳香剤可溶化剤もしくは芳香剤可溶化配合物、金属作動流体、またはパーソナルケア製品の形である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
請求項6に記載のノニオン性界面活性剤を含む、組成物。
【請求項15】
洗濯洗剤、塗料、コーティング、エマルション重合剤、家庭用もしくは工業用のクリーナー、農業用配合物、ラテックス配合物、環境改善剤、油田化学物質、高度油回収配合物、ガス処理配合物、テキスタイル加工剤、仕上げ剤もしくはサイズ剤、パルプもしくは紙の加工剤、芳香剤可溶化剤もしくは芳香剤可溶化配合物、金属作動流体、またはパーソナルケア製品の形である、請求項14に記載の組成物。

【公表番号】特表2013−510152(P2013−510152A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537916(P2012−537916)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/054196
【国際公開番号】WO2011/056620
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】