説明

二次元定常ビームの形状と角度のマッピング

本発明のイオンビーム均一性検出器は、平行な平面上に配置されかつ選択された距離によって分離された、多数の水平ロッドと多数の垂直ロッドと含む。クロスオーバー測定点は、水平ロッド及び垂直ロッドの交点によって形成される。垂直ロッドに選択的にかつ順次パルスを加えると同時に水平ロッドにバイアスを加えることによって、クロスオーバー測定点に対する測定値を得ることができる。この測定値は、クロスオーバー測定点でのイオンビームの形状及びビーム強度を決定するのに用いられる。これらの測定値に基づいて、続くイオン注入処理の調整を行うことができ、その結果、所望のビーム形状を与えるとともに、ビーム強度に関する均一性を高める。さらに、種々のクロスオーバー点での二次元の入射角度を示す測定値を得るために、複数対の垂直ロッド及び水平ロッドを用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、イオン注入装置に関し、特に、二次元のビーム形状及び角度のマッピングシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン注入は、化学的処理である拡散に対抗した物理的処理であり、半導体および/またはウエハ材料に選択的にドーパントを注入するために半導体素子製造に用いられる。このように注入動作は、ドーパントと半導体材料との間の化学的相互作用に頼るものではない。イオン注入のために、ドーパント原子/分子は、イオン化されかつ分離され、さらに加速または減速されてイオンビームを形成する。そして、このイオンビームは、ウエハを横切って走査される。このドーパントイオンは、物理的にウエハに衝突して、ウエハ表面に入り込み、そして、この表面の下方に残留する。
【0003】
イオン注入システムは、複雑なサブシステムの集合体であり、各サブシステムは、ドーパントイオンに対して特別の動作を実行する。ドーパント要素は、ガスまたは固体状態で、イオン室内に存在し、適当なイオン化処理によりイオン化される。1つの例示的な処理において、処理室は、低圧力(真空)に維持される。この処理室内にはフィラメントが配置され、電子がフィラメント源から作り出されるように加熱される。負に帯電した電子が処理室内で対向する正に帯電したアノードに引き寄せられる。フィラメントからアノードへの移動中、電子はドーパント源要素(分子または原子)と衝突し、そして、分子内の要素から正に帯電した多数のイオンが作り出される。
【0004】
一般的に、他の正のイオンは、所望のドーパントイオンとともに作られる。これらの所望のドーパントイオンは、質量分析、選択、またはイオン分離と言われる処理によってイオンから選択される。この選択は、イオン化室からのイオンを移動させる磁界を作り出す質量分析器を用いて達成される。多数のイオンは、比較的早い速度でイオン化室から離れて磁界によって弓状に曲げられる。弓状の半径は、個々のイオン、速度、及び磁界の強さによって決められる。質量分析器の出口は、1つのイオン種またはイオンが通過でき、所望のドーパントイオンが質量分析器から排出される。
【0005】
線形加速器と呼ばれる加速システムは、ウエハ表面を貫通するために、所望のドーパントイオンを所定の運動量(例えば、ドーパントイオンの質量に速度を乗算したもの)に加速または減速するために用いられる。この加速のために、システムは、環状の電極及びこの軸線に沿って配置された複数対の四極子レンズを備えるリニア構造を含む。四極子レンズは、正及び負の電位によって駆動される。ドーパントイオンは、このレンズを通り、強力な電極によって加速され、そして、四極子レンズによって選択的に(ビームとして)集束される。
【0006】
続いて、ドーパントイオンは、エンドステーションでターゲットウエハに向けて指向される。ビームとしてのドーパントイオンは、位置の関数として単位時間当たりの粒子数の尺度であるビーム強度と、位置の関数としてのビームの角度分布(入射角度)であるエミッタンスとによってウエハに衝突する。一般的に、ビーム強度とエミッタンスは、期待値または所望値でほぼ均一であることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つ以上の基本的理解を与えるために単純化した要約を以下に示す。この要約は、本発明を拡張するものではなく、また、本発明の本質または重要な部分を区別したり、技術的範囲を詳細に正確に描写するものでもない。
【0008】
むしろ、この要約の第1の目的は、本発明を単純化した形の概念を示すものであり、以下で説明するより詳細な説明の序文となるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、イオン注入における均一性を決定しかつ提供するのに重要である強度および/またはエミッタンスに関するイオンビームの均一性を監視することによって半導体素子製造を容易にする。この均一性は、十分な空間分解能で比較的容易に得ることができ、次に続く操作を考慮して、比較的均一なイオン注入を達成することができる。
【0010】
本発明の均一性検出器は、平行な平面に配置されかつ選択された距離によって分離された、多数の水平ロッド及び多数の垂直ロッドを含む。クロスオーバー測定点は、水平ロッド及び垂直ロッドの交点によって定まる。垂直ロッドに負のパルスを選択的及び順次加え、同時に、水平ロッドにバイアスを加えることによって、クロスオーバー測定点に対する測定値を得ることができる。この測定値は、クロスオーバー測定点でのビーム密度を決定するために用いられる。また、平行な平面に配置されかつ選択された距離によって分離された、複数対の水平ロッドと複数対の垂直ロッドを有する本発明の別の強度均一性検出器に関する均一性を向上させるために、これらの測定値に基づいて、続けられるイオン注入処理を調整することができる。複数のクロスオーバー測定点は、複数対の水平ロッド及び複数対の垂直ロッドの複数の交点によって定められる。垂直ロッド対に負のパルスを選択的にかつ順次加え、同時に、水平ロッド対にバイアスを加えることにより、クロスオーバー測定点に対する測定値が得られ、この測定値は、クロスオーバー測定点でのイオンビーム密度、及び入射角度値を決定するのに用いられる。
【0011】
これらの測定値に基づいて、続けられるイオン注入処理を調整することができ、その結果、所望のビーム形状を与えるとともに、ビームのエミッタンス及び強度に関する均一性を高めることができる。
【0012】
上述の目的および関連する目的を達成するために、本発明は、以下に十分に説明され、特に、請求項に見出される特徴を含んでいる。以下の詳細な説明と添付図面は、本発明のある詳細な例示的構成および実施を示している。しかし、これらの形態は、本発明の原理が採用され得るような種々の方式におけるいくつかを示しているだけである。本発明の他の目的、長所及び新規な特徴は、図面との関連で考えると、本発明の次の詳細な説明から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、図面を参照して説明するものであるが、同一の参照番号は、全体にわたって同一の要素を表すために用いられる。これらの説明及び以下の記述は、本来的に例示のためのものであり、これに限定されるものではない。
【0014】
イオンビームの形状及び角度内容は、イオン注入の均一性を決めるために重要であり、かつイオン注入処理中に均一性を高めるために調整する場合においても重要である。均一性の1つの特性は、イオンビーム強度であり、このイオンビーム強度は、与えられた位置で、イオンビーム断面の単位時間当たりの粒子数の尺度である。均一性の別の特性は、イオンビームのエミッタンス(emittance)であり、このエミッタンスは、ビーム内の位置に応じたビームの角度分布である。イオンビーム形状は、一方向または二方向に、ビームが横切るイオンビーム強度の尺度である。
【0015】
イオン注入機のあるクラス(例えば、シリアルイオン注入機)では、目標ウエハは、固定で、イオンビームは、ウエハ表面を横切ってスキャンされる。他のクラスのイオン注入機は、バッチ型イオン注入機と呼ばれ、回転する円板又はプラテンを用いるもので、多数のウエハが、このプラテン上に固定配置され、入射イオンビームを通過して回転するようになっている。両クラスのものに対して、ビームの均一性は、所望の均一性を有するイオン注入を達成するために重要である。
【0016】
いくつかの従来形式のイオン注入システムは、回転円板プロファイラーまたはリニアアレイを用いて、イオン注入中のビーム特性を測定する。このプロファイラーは、回転円板を用いて、スパイラルホールパターンにおけるビーム強度を測定する。しかし、プロファイラーは、制限された分解能を有し、回転円板及びこれに関連した回転機構を必要とし、データの取得が比較的遅い。リニアアレイは、比較的ゆっくした機械的スキャンを用い、比較的大きな空間を必要とするので、イオン注入処理の信頼性にとって悪影響を与える。さらに、リニアアレイは、一次元に限られ、その結果、二次元のマッピングを提供することができない。
【0017】
イオンビームの形状及び角度内容は、イオン注入の均一性を決めるために重要であり、特にシリアル注入機では、目標ウエハの異なる部分が、ビームの異なる部分によって注入される。目標ウエハを横切って均一な注入を得るために、イオン注入中の角度内容及び形状を調整することが必要となる。このような調整の後、ビーム分布が、現在のイオン注入を修正し、さらに、その後のイオン注入を導くために測定される。
【0018】
本発明は、イオンビームの強度および/またはエミッタンスに関してイオンビームの均一性を監視することによって半導体素子製造を容易にする。このイオンビームの強度および/またはエミッタンスは、イオン注入における均一性を決定しかつ提供する場合に重要である。
【0019】
この均一性は、十分な空間分配能で比較的迅速に得ることができ、均一なイオン注入を達成するために、イオンビームの次に続く操作を可能にする。測定値は、イオン注入前(例えば、較正)、イオン注入中(例えば、原位置で)、またはイオン注入後(例えば、検証)に与えることができる。均一性の測定値に基づいて、イオンビームは、均一性を改善するためにリアルタイムで調整される。結果として、イオン注入は、改善された均一性およびより強化された処理制御に基づいて実行される。
【0020】
図1から始めると、本発明の構成に従う単純化した例示的な単一ウエハのイオン注入システム100が、ブロック図の形で図示されている。このシステム100は、室102、イオン源を含むイオン注入システム104、均一性検出器106、単一のウエハ108を保持する、ペデスタルまたはエンドステーションと呼ばれるモジュール110とを含んでいる。図1に示されたシステム100は、例示的な目的のために提供されており、イオン注入システムのすべての構成、構成要素及び特徴を含むことを意図するものではない。代わりに、このシステム100は、本発明の更なる理解を容易にするために図示されている。
【0021】
イオン注入システム104は、イオンビーム112、典型的にはリボンビーム又は走査されるペンシルビームを発生し、形状、ドーパント形式、線量、ビーム電流、強度、エミッタンス、入射角度、エネルギー等の多数の特性を有する。イオンビーム112は、ウエハ108の表面に本質的に直交するように図示されているが、このイオンビーム112は、ウエハ108の表面に対して他の入射角度(例えば、θ>0、ここで、0は、ウエハ表面に垂直なビームとなる)とすることができる。
【0022】
上述したように、モジュール110は、例えば、機械的な又は静電的なクランプによりウエハ108を保持する。さらに、このモジュール110は、所望の注入結果を達成するように制御された速度でイオンビーム112を通過してウエハ(図示するように)を移動するように作動可能である。別の構成では、イオンビーム112は、単一経路又は複数の経路で、ウエハを横切って移動する。一般的に、所定のイオン注入は、イオンビーム112を介してウエハ108の単一経路内で実行される。そうすることにより、ウエハ108のすべての部品または部分がほぼ同一の速度でイオンビーム112を通過して移動するので、ウエハ108を横切るほぼ均一な注入が得られる。対照的に、他のイオン注入システムは、本発明に包含され得る処理ディスクを使用する。
【0023】
本発明の例における均一性検出器106は、モジュール110の下方に配置され、イオンビーム112と同一線上に位置する。この検出器106は、静止位置に示されている。本発明の別の構成では、適当な数の検出器を含み、かつ複数の検出器は、別の位置に配置され、移動可能である。例えば、検出器106は、モジュール又はペデスタル110に統合することができ、ウエハ108とほぼ同一平面にある。検出器106は、イオンビームを横切るビーム電流の均一性を多数の位置で測定する。また、検出器は、イオンビーム112の形状を示す。さらに、検出器106は、二次元の多数の位置において、イオンビーム112の入射角度の測定値を得る。ビーム電流の均一性及び入射角度の測定値は、均一性を改善するように、イオン注入システム104によって発生したイオンビーム112を修正するために用いられる。さらに、これらの測定値が実質的な偏差を示す場合、ウエハへの損傷を示すのに用いることができる。
【0024】
検出器106は、それぞれ1つの開口及びクロスオーバー点を含む一連の要素を含んでいる。開口は、ビームレットと呼ばれるイオンビーム112の一部分の通過を可能にし、クロスオーバー点を通過する。各センサによって測定されたビーム電流は、ビームレット、それゆえ、イオンビーム112の一部分の入射角度を示すのに用いられる。したがって、各クロスオーバー点は、入射角度の測定値を得るために用いることができ、かつ構成要素の測定値は、イオンビーム112全体の入射角度の均一性を決定するために用いられる。さらに、本発明に従う適切な検出器の詳細および例示を以下に記載する。
【0025】
図2を見ると、単一寸法の検出器200の一部分の断面図が示されている。この断面図は、直交する方向に沿って、マップされるイオンビームの最大寸法を越える長さにわたってビームが均一である。検出器200は、マスク206と、多数の構成要素から形成される一連のセンサ対212(S1及びS2)とからなり、第1方向における入射角度とビーム均一性の測定値を得るように作動可能である。この均一性検出器200は、一次元におけるビーム電流及び入射角度に関してイオンビームの均一性を示すように、イオンビーム208の種々の部分での均一性の測定値を得ることができる。
【0026】
個々の構成要素は、スリット開口214、第1ビーム電流センサ202、および第2ビーム電流センサ204からなる。開口214は、マスク206によって形成され、そして、開口214の幅wに従ってイオンビーム208からビームレット210を得る。第1ビーム電流センサ202及び第2ビーム電流センサ204は、開口214の下側に、距離gを置いて対称的に配置され、ギャップ215によって互いに分離されている。これらのセンサ(202及び204)は、ビームレット210からビーム電流測定値(第1及び第2の測定値)を得る。これらの配置により、第1センサ202と第2センサ204は、図2に示すビームレット210およびイオンビーム208の入射角度によるビーム電流の異なる量を測定する。一例として、図2に示すビームレット210は、第1センサ202と比較すると、第2センサ204によって、より大きく測定されたビーム電流を生じることになる。入射角度Aがほぼゼロ(例えば、検出器にほぼ垂直なビーム)である場合、センサ(202及び204)の測定されたビーム電流は、ほぼ等しい。
【0027】
ビームレット210の入射角度Aは、第1測定値および第2測定値の関数である。入射角度Aを結成するために、本発明に従って使用される適切な公式は、以下のとおりである。

A=(S1−S2)/(S1+S2)*w/2g (式1)

ここで、Aは入射角度、S1は測定された第1のビーム電流、S2は測定された第2のビーム電流、wは開口の幅、gはマスク206または開口214の下側に配置されるセンサのマスクからの距離である。
【0028】
入射角度および/または入射角度の指示を得るのに、他の適当な公式を用いることもでき、この公式も本発明に従う。さらに、測定された第1、第2のビーム電流は、一緒に加えられ(S1+S2)、他の寸法に沿って平均化された、単一次元における構成要素のビーム電流の指示を与える。
【0029】
検出器200は、直交する面に沿って平均化された、単一次元に対する入射角度を得ることができるのみである。その結果として、第2方向における平均化した入射角度測定値を得るために、検出器200に直交して配置された、他の同様の検出器を使用できる。
【0030】
Mが、ある方向におけるスリットおよびセンサ対の数であり、別の方向におけるスリット及びセンサ対の数である場合、検出器は、MとNの強度プロフィール値と、MとNの角度プロフィール値を生じる。
【0031】
対照的に、本発明において記載された検出器は、各点(ある方向にわたり平均化されていない)での強度と角度を測定して、N×M値の強度プロフィールマップとM×N値の角度プロフィールマップを生じる。これらの特性をより正確に特徴付ける。
【0032】
図3は、本発明の構成に従う均一性検出器300を示す図である。検出器300は、ビーム強度及び形状に関してイオンビームを特徴付けるように作動可能である。さらに、検出器300は、イオン光学要素が評価される展開中のビームラインにおける診断ツールとして用いることができる。一般的に、検出器の上方に配置されるマスク(図示略)は、センサ300に衝突するビームレットと呼ばれる入射イオンビームの一部分の通過を選択的に可能にする1つ以上の開口を有する。さらに、適切なマスクの記載が後述される。
【0033】
均一性検出器300は、垂直ロッド301の数と水平ロッド302の数を含んでいる。垂直ロッド301は、さらに、水平ロッド302よりも入射イオンビームの下流(背後)に配置されている。これらのロッド(301と302)の交点は、クロスオーバー点を形成する。各垂直ロッド301は、水平マルチプレクサスイッチ303に接続されて、このスイッチを介して入力パルスを受信し、さらに、多数のダイオード306のそれぞれに接続されている。この入力パルスは、選択されたとき、水平ロッド302に対して垂直ロッド301に負のバイアスを与える。水平ロッド302は、多数の水平マルチプレクサスイッチ304とアースを経由して、電荷収集回路308に接続される。多数の高域フィルタ305が、後述するように、クロスロッド干渉(cross rod interference)を和らげるために、水平ロッド302上で水平マルチプレクサスイッチ304の前に挿入される(一方のロッドから他方のロッドに直流バイアスを加える。)。電荷収集回路308は、水平マルチプレクサスイッチ304に接続され、特定のクロスオーバー点に対するビーム強度を示す出力電荷量を与える。
【0034】
続いて、均一性検出器300の構成要素に対する典型的な寸法が与えられる。水平ロッド302と垂直ロッド301は、導電性材料から作られ、比較的小さい直径(約1mm)を有する。水平ロッド302間の間隔および垂直ロッド301間の間隔は、比較的小さい(たとえば、約5.0mm)。マスクは、適当な長方形寸法(たとえば、3×3mmの四角形)の開口を有し、クロスオーバー点から適当な距離(たとえば、2.5mm)にある。本発明は、均一性検出器300の構成要素として、他の適当な寸法を考えることができる。
【0035】
典型的に、均一性検出器の構成要素に対する寸法は、必要とする空間的な分解能、必要とする角度の分解能、及び必要とする角度範囲に従って選択される。一般的に、より小さい直径のロッド301,302が、高密度グリッド及び分解能(例えば、より高い空間的な分解能)に対して用いられる。垂直ロッド301及び水平ロッド302間のより大きい間隔及びクロスオーバー点からマスクまでのより大きな距離は、低い角度範囲ではあるが、高い角度分解能を与え、また整合性の精度を高める。対照的に、より大きな径のロッドは、垂直ロッド301および水平ロッド302間の空間をより小さくし、クロスオーバー点からマスクまでの距離をより小さくし、より広い角度範囲及び整合性の感度が低くなるが、より低い密度分解能に適応できる。結果として、これらの範囲がイオンビーム特性及びイオン注入の目的に従って選択される。
【0036】
作動中、単一の垂直ロッド301及び単一の水平ロッド302は、関連したクロスオーバー点での測定値サンプルを得るために、同時に選択されかつ接続される。例えば、垂直ロッドのための垂直マルチプレクサスイッチ310がターンオンされ、これにより、垂直ロッドに入力パルスが供給される。さらに、水平マルチプレクサスイッチ312がターンオンされ、そして、電流クロスオーバー点314のための電荷の測定値が得られる。入射イオンビームによりクロスオーバー点314で発生する二次電子放出は、垂直ロッドに印加される入力電圧パルスによって駆動され、隣接する水平ロッド404内に向かう。これらの二次電子放出は、電荷増幅回路308によって出力される電荷量の結果であり、この回路は、クロスオーバー点314でのビーム強さを示している。一般的に、この出力電荷量は、そのクロスオーバー点での電流密度に比例する。測定された出力電荷量が約ゼロである場合、この入射イオンビームは、特定のクロスオーバー点で衝突しないと考えられる。
【0037】
図4は、本発明の他の構成に従う、単一ロッドの均一性検出器400を示す断面図である。この図は、検出器400の一部分のみを示し、この検出器は、他の水平ロッド、垂直ロッド、および図3に示すような同等物を含んでいる。ここで、この図は、入射イオンビームの一部分408が通過できるマスク402を含む。また、通過できる部分は、ビームレットと呼ばれる。
【0038】
水平ロッド404は、この水平ロッドに対して下流に位置しかつ直交する垂直ロッド406と同じように設けられる。垂直ロッド406及び水平ロッド404は、関連したクロスオーバー点に対する出力電荷量を測定するために、適当なスイッチ(図示略)を介して一般に選択される。この構成において、水平ロッド404は、正のパルスを用いて振動し、垂直ロッド406は、負又は接地電圧にバイアスされる。その結果、ビームレット408は、ビームレット408が、水平ロッド404及び垂直ロッド406に衝突して、正に振動した水平ロッド404によって発生しかつ収集される二次電子放出を生じる。これらの放射は、関連したクロスオーバー点の電荷出力値として測定され、この電荷出力値は、関連したクロスオーバー点でのビーム強度に関連、すなわち、ビーム強度の関数である。
【0039】
図5は、本発明の他の構成に従うデュアルロッドの均一性検出器500を示す図である。この検出器500は、ビーム強度及び形状に関してイオンビームを特徴付けるように作動可能である。さらに、検出器500は、イオン光学要素が評価される開発中でのビームラインにおける診断ツールとして用いることができる。一般的に、マスクは、検出器500に衝突する入射イオンビームの一部分を選択的に通過させる、定められた開口を有する。
【0040】
均一性検出器500は、垂直ロッド対501と水平ロッド対502を含む。垂直ロッド対501は、さらに、水平ロッド対502よりも下流(すなわち背後)の位置で入射イオンビームを受ける。これらのロッド(501と502)の交点は、垂直ロッド対が水平ロッド対に交差する点であるクロスオーバー点を形成する。垂直ロッド対501は、水平マルチプレクサスイッチ503に接続され、これを介して入力パルスを受け、また、複数のダイオード506を経由して接地される。入力パルスは、負バイアスを与える。水平ロッド対502は、多数の水平マルチプレクサスイッチ504を介して電荷収集回路508に接続され、またアースに接地される。多数の高域フィルタ505は、後述するように、クロスロッド干渉を和らげるために、水平ロッド対502上で水平マルチプレクサスイッチ504の前に挿入される(一方のロッドから他方のロッドに直流バイアスを加える。)。電荷収集回路508は、水平マルチプレクサスイッチ504に接続され、特定のクロスオーバー点に対するビーム強度を示す出力電荷量を与える。
【0041】
続いて、均一性検出器500の構成要素に対する典型的な寸法が与えられる。水平ロッド対502と垂直ロッド対501は、導電性材料から作られ、比較的小さい直径(約1mm)を有する。水平ロッド対502間の間隔および垂直ロッド対501間の間隔は、比較的小さい(たとえば、約5.0mm)。水平ロッド対と垂直ロッド対(501と502)の間の間隔は、適当な値(たとえば、約2.5mm)である。マスクは、適当な長方形寸法(たとえば、3×3mmの四角形)の開口を有し、クロスオーバー点から適当な距離(たとえば、2.5mm)にある。本発明は、均一性検出器500の構成要素として、他の適当な寸法を考えることができる。
【0042】
典型的に、均一性検出器の構成要素に対する寸法は、必要とする空間的な分解能、必要とする角度の分解能、及び必要とする角度範囲に従って選択される。一般的に、より小さい直径のロッド501,502が、高密度グリッド及び分解能(例えば、より高い空間的な分解能)に対して用いられる。より直径が小さいロッドは、垂直ロッド対501及び水平ロッド対502間の間隔がより大きく、また、クロスオーバー点からマスクまでの距離がより大きく、そして、低い角度範囲ではあるが、高い角度分解能を与え、また整合性の精度を高める。
【0043】
対照的に、より直径が大きいロッドは、垂直ロッド501および水平ロッド502間の空間をより小さくする必要があるが、より低い密度分解能に適用でき、また、より広い角度範囲及び整合性の感度が低くなるが、クロスオーバー点からマスクまでの距離をより小さくすることができる。結果として、これらの範囲が、イオンビーム特性及びイオン注入の目的に従って選択される。
【0044】
作動中、単一の垂直ロッド501及び単一の水平ロッド502は、関連したクロスオーバー点での測定値サンプルを得るために、同時に選択されかつ接続される。例えば、垂直ロッド対のための垂直マルチプレクサスイッチ510がターンオンされ、垂直ロッド対に入力パルスが供給される。さらに、水平マルチプレクサスイッチ512がターンオンされ、そして、電流クロスオーバー点514のための電荷の測定値が得られる。入射イオンビームにより現在のクロスオーバー点514で、二次電子放出が発生する。垂直ロッド対に印加される入力電圧パルスによって、隣接する水平ロッド504上の電流を駆動する。これらの二次電子放出は、電荷増幅回路508によって出力される測定された電荷量の結果であり、この回路は、クロスオーバー点314でのビーム強さを示している。一般的に、クロスオーバー点での電流密度が大きくなると、測定される出力電荷量も増加する。測定された出力電荷量が約ゼロである場合、この入射イオンビームは、特定のクロスオーバー点で衝突しないと考えられる。さらに、入射角度値を得るための詳細は、以下に説明される。
【0045】
図6は、本発明の構成に従う垂直ロッドに沿って図5のデュアルロッドの均一性検出器500の断面図である。この図は、垂直方向における入射角度を得るための方法をさらに図示している。
【0046】
図6Aに示す図は、選択された寸法を有して、入射イオンビームの一部分558が通過できる開口を有するマスクを含む。また、この通過可能な部分は、またビームレットと呼ばれる。
【0047】
この図は、単一の垂直ロッド556と、一対の水平ロッドとして作動する第1、第2の水平ロッド554,555を図示している。単一の垂直ロッド556及び第2の垂直ロッド(図示略)が一対の垂直ロッドとして作用する。マスク552は、選択されたビームレット558のみを通過させ、そしてこのビームをロッド(554,555、及び556)に衝突させる。ビームレット558は、第1水平ロッド554、第2水平ロッド555、及び垂直ロッド556の部分に衝突する。その結果、二次放射電流は、領域560,562から発生する。しかし、二次放射の異なる量が、ビームレット558の入射角度559及びマスクにおける開口に対して水平ロッド554,555の結合したシャドーにより発生する。第1、第2の電荷出力値は、入射角度559を得るために使用することができる個々の水平ロッド(554と555)に対して測定される。一般的に、入射角度559は、第1、第2の電荷出力値間の差に比例する。さらに、第1、第2の電荷出力値は、上述したように、クロスオーバー点でのビーム強度の指示値である。
【0048】
図6Bは、本発明の構成に従う水平ロッドに沿う図5のデュアルロッドの均一性検出器500の別の断面図である。この図は、水平方向における入射角度測定値を得るための方法をさらに説明するために与えられている。図6Bにおいて表される図は、選択された寸法を備えた開口を有するマスク552を含み、この開口を入射イオンビームの一部558が通過できる。通過できる部分は、またビームレット558と呼ばれる。
【0049】
この図は、単一の水平ロッド554と、一対の垂直ロッドとして作動する第1、第2の垂直ロッド556,557とが描かれている。マスク552は、選択されたビームレットのみがこのマスクを通過することができ、そして、ロッド(554,555、及び556)に衝突する。ビームレッド558は、水平ロッド554、第1垂直ロッド556、および第2垂直ロッド557の一部分に当たる。結果として、第1、第2のロッド556,557からの二次電子放出が発生する。しかし、異なる放射量は、ビームレット558及び入射イオンビームの入射角度により発生する。第1、第2の電荷出力値が、第1垂直ロッド556に対する第1パルス及び第2垂直ロッド557に対する第2パルスに従って水平ロッド554に対して測定される。第1、第2パルスは、入射角度568を得るために使用することができる。一般的に、入射角度558は、第1、第2電荷出力値間の差に比例する。さらに、台1、第2電荷出力値は、上述したように、クロスオーバー点でのビーム強度の指示値である。
【0050】
図7は、本発明の構成に従う高域積分器700を示す図である。典型的に、高域積分器は、本発明の検出器の中に存在する。そして、電荷出力回路にリンクする各水平マルチプレクサスイッチに接続された各垂直ロッドに対して高域積分器がある。高域積分器700は、本発明の均一性検出器における高域フィルタ、例えば、図3の高域フィルタ305及び図5の高域フィルタ等として用いることができる。
【0051】
現在、選択されたクロスオーバー点を横切って流れる電流、すなわち、入力電流(Iin)は、出力電圧(Vo)を生じるために、高域積分器によって積分される。この積分器700は、差動アンプ702の負端子に入力電流を受け入れる。第1抵抗(R)が設けられ、この抵抗は、負の入力端子を差動アンプ602の出力端子に接続する。第1キャパシタ(C1)の第1端子は、また、差動アンプ702の出力端子に接続される。第2抵抗(r)は、第1キャパシタ(C1)の第2端子に接続される第1端子と、水平マルチプレクサスイッチ704及び差動アンプ702の正の入力端子に接続される第2端子とを有する。第2キャパシタ(C2)の第1端子は、正の入力端子に接続され、第2キャパシタ(C2)の第2端子は、アースに接続される。
【0052】
高域積分器700は、次式に従って出力電圧Voを生じる入力電流Iinを積分する。

Vo = Iin*R/r*∫T (Iin) dt
【0053】
ここで、Tは、選択された垂直ロッドに印加される負のパルスの周期である。高域積分器700の役割は、クロスオーバー点でのイオンビームの衝突から発生した二次電子放出に関係しないロッドを横切る定常状態の漏れを緩和することである。
【0054】
ノードを横切る二次電子を駆動する印加されたパルスによって使用可能な電流のみが積分される。他の適当な高域積分器/フィルタが用いられ、本発明に従う上記機能を実行する。
【0055】
図8は、本発明の構成に従う第1作動モードにおける検出器の一部分の断面図800である。この図は、本発明の検出器によって使用できる基本作動モードを説明するのに役立つ。
【0056】
この図800は、入射イオンビームのビームレットが下流へと通過できる開口を有するマスク802を含む。この開口は、一般的に矩形状であり、長さ816と幅(図示略)を有する。長さ及び幅は、適当な形状及び寸法のビームレット806を得るために選択される。第1ロッド804は、図8に示すように第1ロッドから後方、すなわち、下流にある第2ロッド806と同様に表される。さらに、第1ロッド804と第2ロッド806は、互いから90°オフセットされた角度に位置し、これらのロッドは、互いに直交する。第2ロッド806は、マスク802から第1距離814に位置し、マスク802の平面に対して平行である。第1ロッド804は、第2ロッド806の上流に第2距離812離れた位置にあり、また、マスク802の平面に対して平行である。
【0057】
第1作動モードに対して、負のパルスが第2ロッド806に加えられる。その結果、ビームレット808は、点808,810の点において、第2ロッド806から第1ロッド804に流れるように二次電子放出を発生させる。これらの二次電子放出は、上述したように、第1ロッド804から測定されて、利用できる。
【0058】
図9は、本発明の構成に従う第2作動モードにおける検出器の一部分の断面図900である。この図900は、図8のように、本発明の検出器によって用いることができる基本作動モードを説明するのに役立つ。
【0059】
図900は、入射イオンビームのビームレット908が下流へと通過できる開口を有するマスク902を含む。第1ロッド904は、図9に示すように第1ロッドから後方、すなわち、下流にある第2ロッド906と同様に表される。さらに、第1ロッド904と第2ロッド906は、互いから90°オフセットされた角度に位置し、これらのロッドは、互いに直交する。
【0060】
第2作動モードに対して、ビームレット908は、第1ロッド904から第2ロッド906に流れるように二次電子放出を発生させる。これらの二次電子放出は、上述したように、第2ロッド906上で、第1ロッド904に加えられる負の電圧パルスによって駆動されて、利用できる。
【0061】
図8及び図9は、上述したように、本発明の検出器によって使用できる2つの作動モードを説明する。さらに、水平及び垂直ロッドは、本発明に従う作動に関して交換することができ、また、水平ロッドは、ロッドを逆転させて、本発明に従って垂直ロッドの後方の下流に配置することができる。
【0062】
図10は、本発明の構成に従う均一性検出器1000の平面図である。この均一性検出器1000は、その上に横たわるマスク1002が示されている。この図は、説明的な目的のために表されており、検出器のいくつかの部分は図示または記載されていない。
【0063】
マスク1002は、多数の矩形状の開口1004を有し、この開口は、選択的に入射イオンビームのビームレットがクロスオーバー点の下側を通過できるようにする。開口1004は、ノイズ、隣接又は近くのクロスオーバー点からの干渉を和らげ、それぞれのクロスオーバー点で適当な信号を供給する。
【0064】
水平ロッド1005及び垂直ロッド1006が表され、そして、マスク1004の下側で、入射イオンビームの下流に配置される。水平ロッド1005と垂直ロッド1006は、マスク1002の下側に選択された距離に配置されかつ互いに直交している。クロスオーバー点は、水平ロッド1005及び垂直ロッド1006の交点に形成されている。水平ロッド1005及び垂直ロッド1006は、本発明に従う図5に関して記載されているように、デュアルロッドまたはロッド対によって置き換えることができる。
【0065】
水平マルチプレクサスイッチ1007は、一側の水平ロッドに接続されている。他方、水平ロッド1005は、アースに接続されている。垂直マルチプレクサスイッチ1008は、一側の垂直ロッドに接続されている。他方の側に垂直ロッド106は、アースに接続されかつ他の垂直ロッド1006および/または水平ロッド1005からの干渉を和らげるダイオード1010に接続される。
【0066】
作動中、単一の水平マルチプレクサスイッチが、ターンオンされ、関連した水平ロッドを電荷出力回路に接続する。負のパルスが垂直ロッド1006に順次印加され、現在の垂直マルチプレクサスイッチをターンオンし、負のパルスが印加され、現在のマルチプレクサスイッチをターンオフし、さらに電荷測定値が関連した横列のために得られるまで次の垂直マルチプレクサスイッチを繰り返し実行する。全体の処理は、次の列に対して再び、繰り返し実行される。例えば、図10は、現在の水平マルチプレクサスイッチ1012と同様にターンオンする現在の垂直マルチプレクサスイッチ1014を示している。その結果、電荷出力測定値は、クロスオーバー点で、接続された垂直ロッドに負のパルスが印加されることによって得られる。
【0067】
上記に記載の構造的及び機能的特徴によれば、本発明の種々の構成に従う方法論が上述した図面及び記載を参照して、より評価することができるであろう。説明を単純化するために、図11および図12の方法は、順次実行されるように図示及び記載されているが、本発明がこれらの順序によって制限されるものではなく、個々に図示されかつ記載された他の構成と異なる手順および/または同時に起こることを理解されるべきである。さらに、すべて説明した特徴が、本発明の構成に従う方法を実行するのに必要とされるものではない。
【0068】
図11を見ると、本発明の構成に従う均一性検出器のクロスオーバー点に対する電荷出力測定値を得る方法1100のフローチャートが示されている。この検出器は、個別の横列と縦列を含み、横列は、単一の水平ロッド又は水平ロッド対からなり、縦列は、単一の垂直ロッド又は垂直ロッド対からなる。横列と縦列は、クロスオーバー点で交差し、そこで、電荷出力測定値が得られる。
【0069】
方法1100は、ブロック1102で開始され、最初の横列が選択される。最初の横列に関連した1つ又は複数の水平ロッドは、電荷出力回路に接続される。ブロック1104では、最初の縦列が選択される。最初の縦列に関連した1つまたは複数の垂直ロッドが入力パルス回路に接続される。
【0070】
ブロック1106では、最初の縦列にパルスが印加され、そして、このパルスは、二次電子を収集するために形状及び極性に基づいて正又は負となることができる。このパルスは、約1ミリ秒の周期を有し、約20ボルトの電圧を有する。ビームレットが関連した水平ロッド及び垂直ロッドに同時に衝突して、二次電子放出が発生する。この放射は、現在のクロスオーバー点に対する電荷出力測定値として変換されかつ得られる。
【0071】
ブロック1110において、処理すべき更なる縦列が残っているかどうかの決定がなされる。その場合、次の隣接する縦列がブロック1112において選択される。そして、この方法は、ブロック1106に戻る。さもなければ、ブロック1114において、処理すべき更なる横列が残っているかどうかの決定がなされる。その場合、次の横列がブロック1116において選択される。そして、この方法は、ブロック1104に戻る。ここで、縦列の処理が次の横列に対して実行される。さもなくば、クロスオーバー点の測定値は、ブロック1118において、次の強度、形状、および/またはエミッタンスの1つ又は複数に関してイオンビームの均一性を改善するために、一組として集められ、かつフィードバックとして用いられる。この方法は、更なる組の電荷出力値を得るために所望の回数だけ繰り返される
【0072】
この方法によって得られる電荷出力値は、大きさ、形状、強度、及びエミッタンスに関して入射イオンビームを特徴付けるために使用することができる。この方法の処理は、図3及び図5に示すように、設計が単純であるので比較的早くすることができる。例えば、縦横列が30×30の検出器が、数ミリ秒で、すべてのクロスオーバー点(900個のクロスオーバー点)で電荷測定値を得ることができる。
【0073】
図12は、本発明の構成に従う多次元における入射角度と、入射イオンビームの強度を得るための方法1200である。この方法1200は、デユアルロッドの均一性検出器の単一クロスオーバー点に対するこれらの特性を得る。
【0074】
この方法は、ブロック1202で開始され、ここで、一対の垂直ロッド及び一対の水平ロッドが選択される。上述したように、垂直ロッド対は、パルス発生回路に接続され、垂直ロッド対は、電荷出力回路に接続される。一般的に、選択動作は、関連したロッド対のマルチプレクサスイッチがターンオンされることを意味する。
【0075】
パルス(例えば、負のパルス)は、垂直ロッド対の第1垂直ロッドに印加され、第1、第2の電荷測定値が、ブロック1204において、水平ロッド対から得られる。パルスは、垂直ロッド対の第2垂直ロッドに印加され、そして、第3、第4の電荷測定値が、ブロック1206において、水平ロッド対から得られる。ビーム強度は、ブロック1208において、第1、第2、第3、第4の電荷測定値に従う現在のクロスオーバー点に対して決定される。続いて、垂直方向における入射角度が、第1、第2の電荷測定値に応じて、ブロック1210において決定される。これらの測定値は、入射角度を示す比として定められる。入射角度は、水平方向にあり、ブロック1212において、第1、第3の電荷測定値に応じて決定される。代わりに又はさらに、第2,第4の電荷測定値が、水平方向における入射角度を決定するために用いることができる。
【0076】
本発明を1つ以上の実施形態に関して図示しかつ説明してきたが、この明細書と添付された図面とを読んで理解すると他の当業者にも同等の変更や修正が行われるものと理解されよう。特に上述の構成要素(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するのに使用される用語(「手段」に対する参照を含めて)は、他に表示されていなければ、たとえ開示された構成に構造的に同等でなくても本発明のここで図示された例示的実施においてその機能を果たせば、説明された構成要素の特定された機能を実行する(即ち、機能的に同等である)いずれかの構成要素に相当するものと意図されている。
【0077】
更に、本発明の特定の特徴が幾つかの実施の内のただ一つに対して開示されてきたが、そのような特徴は、いずれかの或る又は特定の用途にとって望ましくかつ有利な他の実施形態における一つ以上の特徴と組み合わされ得るものである。更に、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」及びそれらの変形が詳細な説明か特許請求の範囲のいずれかで使用されている限り、これらの用語は、用語の『構成されている』と同様に内包的であると理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の構成に従う単一ウエハのイオン注入システムを説明するブロック図である。
【図2】一次元の均一性検出器の一部分を示す図である。
【図3】本発明の構成に従う均一性検出器を示す図である。
【図4】本発明の別の構成に従う均一性検出器の単一ロッド対の断面図である。
【図5】本発明の構成に従うデュアルロッドの均一性検出器を示す図である。
【図6A】本発明の構成に従う垂直ロッドに沿う図5の均一性検出器のデュアルロッド対の断面図である。
【図6B】本発明の構成に従う水平ロッドに沿う図5の均一性検出器のデュアルロッド対の断面図である。
【図7】本発明の構成に従う高パス積分器を示す図である。
【図8】本発明の構成に従う第1作動モードにおける検出器の一部分を示す断面図である。
【図9】本発明の構成に従う第2作動モードにおける検出器の一部分を示す断面図である。
【図10】本発明の構成に従う均一性検出器の平面図である。
【図11】本発明の構成に従う均一性検出器のクロスオーバー点に対する電荷出力測定値を得るための方法を示す流れ図である。
【図12】本発明の構成に従う入射イオンビームの強度と、多数次元での入射角度を得るための方法を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延在して、垂直ロッド選択機構を介してパルス信号を選択的に受信する多数の垂直ロッドと、
前記第1方向に平行でない第2方向に延在して、前記多数の垂直ロッドの上流に配置され、かつ負のパルス信号より大きな電圧にバイアスされている多数の水平ロッドであって、前記多数の垂直ロッドとの交点に、多数のクロスオーバー測定点が定められている前記水平ロッドと、
水平ロッド選択機構を介して前記多数の水平ロッドを選択的にスキャンして、入射イオンビームに応答して、前記多数の水平ロッドから二次電子放出に対応する信号を得るための電荷出力回路とを含んでいることを特徴とするビーム均一測定システム。
【請求項2】
前記水平ロッドの上流にマスクを含み、このマスクは、基礎をなすクロスオーバー測定点を通過する前記入射イオンビームから複数のビームレットを選択的に得る多数の開口を含んでいることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記開口は、矩形状であり、この形状は、ノイズと信号強度を有する所望のビームレット特性によって決まることを特徴とする請求項2記載のシステム。
【請求項4】
前記電荷出力回路は、受信した二次電子放出に従って、多数のクロスオーバー測定点でのビーム強度を決定することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記電荷出力回路は、受信した二次電子放出に従って、電荷出力値を決定することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記電荷出力回路は、受信した二次電子放出に従って、ビーム形状を決定することを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項7】
正のパルス信号を選択的に受信する複数対の垂直ロッドと、
前記複数対の垂直ロッドの上流に配置され、かつ負のパルス信号より大きな電圧にバイアスされている複数対の水平ロッドであって、前記複数対の垂直ロッドに略直交し、かつ多数のクロスオーバー測定点が、前記複数対の垂直ロッドとの交点に定められている前記水平ロッドと、
入射イオンビームに応答して、前記複数対の水平ロッドから二次電子放出を選択的に受け入れる電荷出力回路とを含んでいることを特徴とするビーム均一測定システム。
【請求項8】
前記電荷出力回路は、受信した二次電子放出に従って、多数のクロスオーバー測定点でのビーム強度を決定することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記電荷出力回路は、受信した二次電子放出に従って、多数のクロスオーバー測定点での垂直及び水平方向における入射角度測定値を決定することを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記複数対の水平ロッドの数は30に等しく、前記複数対の垂直ロッドの数は30に等しく、クロスオーバー測定点の数は900に等しいことを特徴とする請求項7記載のシステム。
【請求項11】
多数の横列から最初の1つの横列を選択し、
多数の縦列から最初の1つの縦列を選択し、
選択された縦列にパルスを加え、
電流のクロスオーバー点の測定値を得て、
次の縦列を選択し、前記パルスを加え、更なるクロスオーバー点の測定値を得るステップを繰り返して更なる縦列を処理し、
次の横列を繰り返し選択することによって更なる横列を処理し、また、多数の縦列を処理して、更なる列のクロスオ−バー測定値を得る、各工程を含むことを特徴とするクロスオ−バー点の測定値を得るための方法。
【請求項12】
多数の横列は、それぞれ複数対の水平ロッドを含み、多数の縦列は、それぞれ複数対の垂直ロッドを含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項13】
多数の横列は、それぞれ、単一の水平ロッドを含み、多数の縦列は、それぞれ単一の垂直ロッドを含むことを特徴とする請求項11記載のシステム。
【請求項14】
得られたクロスオーバー点の測定値に従って、入射イオンビームのためのビーム強度を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項15】
得られたクロスオーバー点の測定値に従って、入射イオンビームのためのビームエミッタンスを決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項11記載の方法。
【請求項16】
一対の垂直ロッドと一対の水平ロッドを選択し、前記垂直ロッドが前記水平ロッドに直交する位置に配置され、前記垂直ロッドと水平ロッドの各対は、入射イオンビームを受け入れ、
前記垂直ロッドの対の第1垂直ロッドに負のパルスを加え、前記水平ロッドの対から第1、第2の電荷測定値を得て、
前記垂直ロッドの対の第2垂直ロッドに負のパルスを加え、前記水平ロッドの対から第3、第4の電荷測定値を得る、各工程を有することを特徴とする検出器を作動する方法。
【請求項17】
前記第1、第2、第3、第4の電荷測定値に従って、ビーム強度を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1、第2の電荷測定値に応じて、垂直方向における入射角度測定値を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記第1、第3の電荷測定値に応じて、水平方向における入射角度測定値を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項20】
前記第1、第2の電荷測定値に応じて、ビーム形状を決定する工程をさらに含むことを特徴とする請求項16記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−546141(P2008−546141A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513437(P2008−513437)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/018083
【国際公開番号】WO2006/126997
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】