説明

二次電池

【課題】 集電効率を高めて出力性能を向上させると同時に、電極群の各部位から発生する電流を実質的に均一に引き出すことができる二次電池を提供する。
【解決手段】 周縁部に沿って活物質が塗布されていない正極無地部11aおよび負極無地部がそれぞれ形成された正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータを含む電極群10と、正極無地部11aと前記負極無地部のそれぞれを覆いながら正極無地部11aおよび前記負極無地部にそれぞれ結合される集電板20および他の集電板と、電極群10、集電板20および他の集電板が内蔵されるケースと、前記ケースに結合されることによって前記ケースを密閉させ、集電板20および他の集電板と電気的に接続される端子が設置されるキャップ組立体とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二次電池に関し、より詳しくは集電効率を高めることができる二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、二次電池は、充電が不可能な一次電池とは異なって充電と放電が可能な電池であり、電池パック形態に製作されて携帯電話、ノートブックコンピュータ及びカムコーダのような携帯用電子機器の電源として広く使用されている。
【0003】
最近は、ハイブリッド電気自動車(HEV)などに装着されるモータ駆動用として高出力電池が開発されている。
【0004】
このような二次電池は多様な形状に製造されているが、代表的な形状として円筒形、角形があり、その構造としては、帯状の正極、負極の間に絶縁体であるセパレータを介在し、これらを渦流状に巻いて電極群を形成するものや、あるいは、セパレータを間に置いて正極と負極を複数個積層して電極群を形成した後、これをケースに内装設置し、このケースにキャップ組立体を結合して形成するものがある。
【0005】
前記の正極と負極が巻かれることによって構成される電極群の場合、正極と負極には、電池の起電時において正極と負極で発生する電流を集電するための各々のリードが取り付けられる。このリードは、正極及び負極の外部端子に連結されることによって、正極と負極で発生した電流を外部端子に誘導する。
【0006】
ところが、このような構造においては、電池容量の小さい小型電池では特別に問題なく集電効果を発揮するが、電池が大型で高出力を出さなければならない、いわゆるHEV用のようなモータ駆動用電池においては、正極と負極の面積が電池の大きさに比例して大きくなり、これに伴い生じる抵抗などを考慮すれば、前記リードによる集電方式において、その集電効率が落ちるだけでなく、電極群の各部位から発生した電流を均一に引き出すことが困難である。
【0007】
これに鑑み、帯状の正極及び負極集電体の一側端部に活物質が塗布されていないリード取り付け部を形成し、正極及び負極とセパレータを巻いて電極群として形成するにあたって、前記リード取り付け部をセパレータより高く突出するように配置し、当該リード取り付け部に複数の正極リード及び負極リードを取り付けるように構成される二次電池がある。これに関連した従来技術としては、特許文献1に開示された二次電池を例に挙げることができる。
【0008】
このような従来の二次電池は、リード取り付け部に複数のリードを固定させることができるために電池の内部抵抗を減らしながら、正極及び負極から集電を行うことができるので集電効率を高める効果がある。
【0009】
しかし、上記の従来文献に開示された電池構造では、正極及び負極のリード取り付け部に複数のリードを取り付けて電池を構成するため、製造時における作業の効率が低下する問題点があるとともに、電池内部で活物質を保有しないため、実質的に電池反応に寄与できない部分、つまり、前記リード取り付け部と複数のリードが占める部分の容量が大きくなるため、電池の大容量化と高出力化を難しくする問題点がある。
【0010】
また、電極群において活物質が塗布されていない突出端部に連結される端子の構造が特許文献2に開示されているが、この技術では前記端子は前記突出端部に実質的に接触することによって、この突出端部と端子とを電気的に接続する接触部の接触面積が限定されるため、集電効率を極大化させることができない問題点がある。
【特許文献1】特開平6−267528号公報
【特許文献2】特開2000−40501号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、集電効率を高めて出力性能を向上させると同時に、電極群の各部位から発生する電流を実質的に均一に引き出すことができる二次電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明による二次電池は、周縁部に沿って活物質が塗布されていない正極無地部および負極無地部がそれぞれ形成された正極、負極及び前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータを含む電極群と、前記正極無地部と前記負極無地部のそれぞれを覆いながら前記正極無地部および前記負極無地部に結合される集電板と、前記電極群と前記集電板が内蔵されるケースと、前記ケースに結合されることによって前記ケースを密閉させ、前記集電板と電気的に接続される端子が設置されるキャップ組立体とを含む。
【0013】
前記集電板は前記正極無地部および前記負極無地部を覆いながら、前記正極無地部および前記負極無地部に固定されるカバーと、前記カバーから延伸するように形成され、前記端子と接続される連結部を含む。
【0014】
前記カバーは、前記正極無地部および前記負極無地部と接触し得る面に複数個の突起を有し得る。
【0015】
前記カバーは複数個の孔を有し得る。
【0016】
前記カバーは前記正極無地部および前記負極無地部の外形に対応する形状を有することができ、これは、たとえば前記正極無地部と前記負極無地部が複数層を形成しながら対向配置される時、前記正極無地部および前記負極無地部の先端全体に密着される第1カバーと、前記第1カバーの両端から折れ曲がるように形成され前記正極無地部および前記負極無地部の周部に密着される第2カバーを含むことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の二次電池は電極群の無地部に接触される集電板の接触面積を極大化させることができるので、集電効率の向上を期待することができる。
【0018】
また、電極群の各部位から発生した電流を実質的に均一に引き出すことができる。
【0019】
したがって、本発明の二次電池は、高出力/大容量が要求されるHEV(ハイブリッド自動車)、EV(電気自動車)、無線掃除機、電動自転車、電動スクーターなどのようにモータを使用して作動する機器において、当該機器のモータを駆動するためのエネルギー源として有用に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面を参照して詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の実施例による二次電池を示した断面図である。
【0022】
図1に示すように、二次電池は帯状の正極11と負極12がセパレータ13を間に置いて積層された状態で、これらを巻いてゼリーロール形態に形成した電極群10と、一端が開放されることによって開口14aが形成され内部に電極群10を収容する空間を有する角形のケース14と、ケース14の開口14aに結合されてこのケース14を密閉し、電極群10と電気的に接続される正極端子32と負極端子33が設置されたキャップ組立体30と、電極群10の正極無地部11aと負極無地部12aを覆いながらこれらにそれぞれ固定され、正極端子32および負極端子33と電気的に接続される集電板20、20’を含む。なお、以下において、正極無地部11aおよび負極無地部12aについて、無地部11a、12aと適宜略して説明する。
【0023】
ケース14はアルミニウム、アルミニウム合金またはニッケルがメッキされたスチールのような導電性金属で製作され、その形状は電極群10が位置する内部空間を有する六面体またはその他の形状に形成される。
【0024】
そして、キャップ組立体30は、ケース14の開口14aを密封するように取り付けられケース14を密閉するキャッププレート31と、このキャッププレート31の両側に設置されて集電板20、20’を媒介として正極無地部11aと負極無地部12aにそれぞれ電気的に接続される正極端子32と負極端子33を含む。
【0025】
キャッププレート31と端子32、33との間には、これらを絶縁させるための絶縁部材34、34’を位置させることができる。
【0026】
電極群10は、各々の活物質が集電体にコーティングされて構成された正極11と負極12がセパレータ13を間に置いて積層された状態で渦流状に巻かれるゼリーロールタイプに形成される。
【0027】
本発明における電極群は前記ゼリーロールタイプの他にもセパレータを間に置いて正極と負極が複数層に積層された構造であっても良い。
【0028】
電極群10が形成される時、正極無地部11aと負極無地部12aは複数層をなしながら対向配置される。ここで、この無地部11a、12aとは、正極集電体と負極集電体に正極活物質と負極活物質がそれぞれ塗布されるにあたって、これら集電体の長手方向と平行な一側端に沿って活物質が塗布されていない部位を示す。
【0029】
電極群10が形成される時、これら無地部11a、12aはセパレータ13より高く突出するように位置する。
【0030】
上述した構造の二次電池において、本実施例による集電板20、20’は図2に示すように、電極群10の両端に配置される無地部11a、12aを覆いながらこれに溶接で固定される板構造物からなる。本実施例において、集電板20、20’は、同一の構造を有するので、図2では便宜上、正極無地部11aに結合される集電板20のみを示した。図2〜4においては、便宜上、集電板20のみを示すものであるが、以下の説明において述べる事項は、集電板20’についても当てはまるものである。このため、以下の説明においては、図2〜4に図示されない集電板20’等についても合わせて説明する。 本実施例における集電板20、20’は、正極無地部11aと負極無地部12aを覆いながらこれらにそれぞれ固定されるカバー21、21’と、このカバー21、21’の上端中央部位から延伸するように一体に形成されて端子32、33と電気的に接続される連結部22、22’を含む。
【0031】
ここで、集電板20、20’の長さL1は、電極群10の無地部11a、12a長さL2と同程度であり、集電板20,20’の幅は無地部11a、12aを十分に覆う程度であれば良い。
【0032】
本実施例における集電板20、20’は、無地部11a、12aの先端全体をカバーしながら、当該先端に密着される第1カバー21a、21’aと、この第1カバー21a、21’aの両端から折り曲げられるように形成され、無地部11a、12a周部をカバーしながら当該周部に密着される第2カバー21b、21’bを含むように前記カバー21、21’を構成している。
【0033】
このように形成される集電板20、20’は、無地部11a、12aに嵌合するとともに、カバー21、21’の内側面が無地部11a、12aのそれぞれの先端と周部に密着されるようにして、無地部11a、12aを覆う構造になる(図3参照)。
【0034】
上述のように本実施例における集電板20、20’は無地部11a、12aの外形に対応する形状を有し、この無地部11a、12aを覆いながらこれに固定されるが、その具体的な形状は上述した例に限定されず、無地部11a、12aの全面に密着されて無地部11a、12aをカバーできる形状であれば良い。
【0035】
一方、集電板20、20’は無地部11a、12aに溶接によって固定され、この時、図4に示したように集電板20、20’の一方の側面、つまり、無地部11a、12aとの接合面に複数の突起23を形成してもよい。これにより、集電板20、20’が無地部11a、12aに密着されるときに、突起23が無地部11a、12aの内部まで入りこむことによって、集電板20,20’を無地部11a、12aに密着できる。この結果、無地部11a、12aに対する集電板20、20’の密着性をさらに強化させることができるので、溶接による集電板20、20’の固定状態を一層堅固にする。
【0036】
前記溶接は抵抗溶接、超音波溶接またはレーザー溶接によって行うことができる。
【0037】
また、前記集電板20、20’には複数個の電解液含浸用孔24をさらに形成することができる(図4参照)。
【0038】
前記孔24によって前記集電板20、20’が電極群10の無地部11a、12aを全体的に覆う状態でも集電板20、20’側に電解液が無地部11a、12aに流入されて含浸できる。
【0039】
ここで、前記孔24の大きさやその個数は特に限定されず、二次電池の大きさなどによって弾力的に対応することができる。
【0040】
前記では本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれに限定されず、特許請求の範囲と発明の詳細な説明及び添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することができ、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施例による二次電池を示した断面図である。
【図2】本発明の実施例による電極群に集電異なる結合される状態を説明するために示した斜視図である。
【図3】図2におけるI−I線の断面図である。
【図4】本発明の他の実施例による集電板を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0042】
10 電極群、
11 正極、
11a 正極無地部、
12 負極、
12a 負極無地部、
13 セパレータ、
14 ケース、
14a 開口、
20、20’ 集電板、
21、21’ カバー、
21a、21’a 第2カバー、
21b、21’b 第2カバー、
22、22’ 連結部、
23 突起、
24 孔、
30 キャップ組立体、
31 キャッププレート、
32 正極端子、
33 負極端子、
L1 集電板の長さ、
L2 無地部の長さ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周縁部に沿って活物質が塗布されていない正極無地部および負極無地部がそれぞれ形成された正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に配置されるセパレータを含む電極群と、
前記正極無地部と前記負極無地部のそれぞれを覆いながら前記正極無地部および前記負極無地部に結合される集電板と、
前記電極群と前記集電板が内蔵されるケースと、
前記ケースに結合されることによって前記ケースを密閉させ、前記集電板と電気的に接続される端子が設置されるキャップ組立体とを含む二次電池。
【請求項2】
前記集電板は、前記正極無地部および前記負極無地部を覆いながら、前記正極無地部および前記負極無地部に固定されるカバーと、前記カバーから延伸するように形成され、前記端子と接続される連結部とを含む、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記カバーは、前記正極無地部および前記負極無地部と接触し得る面に複数個の突起を有する、請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記カバーは複数個の孔を有する、請求項2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記カバーは前記正極無地部および前記負極無地部の外形に対応する形状を有する、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記正極無地部と前記負極無地部が複数層を形成しながら対向配置され、前記カバーは前記正極無地部および前記負極無地部の先端全体に密着される第1カバーと、前記第1カバーの両端から折れ曲がるように形成され前記正極無地部および前記負極無地部の周部に密着される第2カバーとを含む、請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記電極群はゼリーロール形態に形成される、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記二次電池は角形である、請求項1に記載の二次電池。
【請求項9】
前記二次電池はモータ駆動用である、請求項1に記載の二次電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−12836(P2006−12836A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−183986(P2005−183986)
【出願日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】