説明

二酸化炭素回収方法及び二酸化炭素回収型汽力発電システム

【課題】熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を有する二酸化炭素回収型汽力発電システムを提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収型汽力発電システムは、発電機に連結され、ボイラーから蒸気が供給されて回転駆動する第1タービンと、ボイラーからの排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、二酸化炭素を吸収した吸収液から二酸化炭素ガスを放出させて排出する再生塔と、冷却水を用いて、再生塔から排出された二酸化炭素ガスから水分を凝縮させて除去する凝縮器と、水分が除去された二酸化炭素ガスを圧縮するコンプレッサと、コンプレッサを駆動する第2タービンと、を備え、冷却水が凝縮器において二酸化炭素ガスから熱を回収することで生成される蒸気が第1タービン又は第2タービンに供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化炭素回収方法及び二酸化炭素回収型汽力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大量の化石燃料を使用する火力発電所等の発電システムでは、地球の温暖化現象の原因の1つである二酸化炭素を除去回収する方法として、アミン吸収法が採用されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、アミン吸収法では、二酸化炭素を吸収した吸収液を再生するために、多大な低圧(例えば約0.3MPa)蒸気による熱エネルギーを必要とする。
【0003】
この熱エネルギーを補償するために、タービン復水系統から分岐させた復水を、吸収された二酸化炭素が持つ熱量及び二酸化炭素を地中に圧入するために高圧(例えば約8MPa)に圧縮することによって発生する熱量と熱交換して、脱気器に合流させる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
しかし、二酸化炭素の有する全熱量を回収しようとすると、復水量が不足するという問題があった。また、結果的に、低圧ヒータに流れる復水量が減少し、タービンからの抽気量が減少して復水器へ捨てられる熱が増え、従来持っている再生サイクル効果が減るために、回収した熱量に対してタービン出力がさほど増えないという問題があった。
【0005】
また、回収した二酸化炭素を地中に圧入するにあたり、二酸化炭素を高圧に圧縮する必要があるが、このような圧縮の動力源を確保するためには、発電所の膨大な出力低下が避けられなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−257355号公報
【特許文献2】特開2004−323339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を有する二酸化炭素回収方法及び二酸化炭素回収型汽力発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様による二酸化炭素回収型汽力発電システムは、燃料を燃焼して蒸気を生成して排ガスを発生させるボイラーと、発電機に連結され、前記ボイラーから蒸気が供給されて回転駆動する第1タービンと、前記ボイラーから前記排ガスが供給され、この排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、前記吸収塔から二酸化炭素を吸収した吸収液が供給され、この吸収液から二酸化炭素ガスを放出させ、この二酸化炭素ガスを排出する再生塔と、前記再生塔からの吸収液を加熱し、発生させた蒸気を前記再生塔に供給するリボイラーと、冷却水を用いて、前記再生塔から排出された二酸化炭素ガスから水分を凝縮させて除去する凝縮器と、前記凝縮器により水分が除去された二酸化炭素ガスを圧縮するコンプレッサと、前記コンプレッサを駆動する第2タービンと、を備え、前記冷却水が前記凝縮器において前記二酸化炭素ガスから熱を回収することで生成される蒸気が前記第1タービン又は前記第2タービンに供給されるものである。
【0009】
本発明の一態様による二酸化炭素回収方法は、燃料を燃焼させてタービンを駆動する蒸気を生成すると共に排ガスを発生させる工程と、前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる工程と、二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して二酸化炭素ガスを放出させ、この二酸化炭素ガスを排出する工程と、排出された前記二酸化炭素ガスを冷却水により冷却し、当該二酸化炭素ガスから水分を凝縮させて除去する工程と、水分の除去された前記二酸化炭素ガスをコンプレッサにより圧縮する工程と、前記二酸化炭素ガスから水分を凝縮させる工程で前記冷却水が熱を回収して生成される蒸気を、前記コンプレッサを駆動する駆動タービン又は前記タービンに供給する工程と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を有する二酸化炭素回収方法及び二酸化炭素回収型汽力発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【図5】変形例による二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【図6】本発明の第5の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【図7】本発明の第6の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)図1に本発明の第1の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの全体構成を示す。二酸化炭素回収型汽力発電システム1は、燃料を燃焼してタービン蒸気4を生成し、タービンを回転駆動させて発電を行う汽力発電プラント1aと、ボイラー6において生成された排ガス5から、この排ガス5に含まれる二酸化炭素を吸収する吸収液を用いて二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収プラント1bとから構成されている。
【0013】
ボイラー6には燃料及び燃焼用空気が供給され、火炉において燃料が燃焼し、タービン蒸気4が生成されるとともに、排ガス5が発生する。ボイラー6は、火炉における燃焼によりタービン蒸気4を加熱し主蒸気を発生させる過熱器9と、過熱器9に隣接して設けられ、過熱器9から後述する高圧蒸気タービン21を介して供給されるタービン蒸気4を再加熱して再熱蒸気とする再熱器10とを有する。
【0014】
汽力発電プラント1aは、ボイラー6の過熱器9から供給されるタービン蒸気4(主蒸気)により回転駆動する高圧蒸気タービン(高圧タービン)21と、この高圧タービン21にタービン軸20を介して連結され、高圧タービン21からボイラー6の再熱器10を介して供給されるタービン蒸気4(再熱蒸気)により回転駆動する中圧蒸気タービン(中圧タービン)22とを有している。また、この中圧タービン22にタービン軸20を介して低圧蒸気タービン(低圧タービン)23が連結され、この低圧タービン23は中圧タービン22から供給されるタービン蒸気4(中圧タービン22からの排気蒸気(中圧排気蒸気))により回転駆動するように構成されている。さらに、タービン軸20に、タービン軸20の回転により発電を行う発電機24が連結されている。
【0015】
なお、本実施形態では、高圧タービン21、中圧タービン22、低圧タービン23、及び発電機24の回転軸が連結されて1つのタービン軸20を構成する形としているが、このような構成に限定されず、それぞれ少なくとも1つの蒸気タービンを備える2軸以上のタービン軸と、各タービン軸に連結された複数の発電機により汽力発電プラント1aを構成してもよい。
【0016】
低圧タービン23の下部に、低圧タービン23から排出されるタービン蒸気(低圧タービン23からの排気蒸気(低圧排気蒸気))を冷却し凝縮させて復水27とする復水器26が設けられている。復水器26から排出された復水27は、復水ポンプ31によりライン28の下流側へ送られ、給水ポンプ34によりライン33を介してボイラー6へ送られる。
【0017】
図1に示すように、二酸化炭素回収プラント1bには、ボイラー6から排ガス5が供給され、この排ガス5に含まれる二酸化炭素を分離して回収する公知の二酸化炭素分離回収装置40が設けられている。二酸化炭素分離回収装置40は、排ガス5に含まれる二酸化炭素を二酸化炭素吸収液に吸収させる吸収塔(図示せず)と、吸収塔から二酸化炭素を吸収した吸収液(リッチ液)が供給され、リッチ液から二酸化炭素ガスを放出させて水蒸気を含む二酸化炭素ガス42を排出するとともに、吸収液を再生する再生塔(図示せず)とを備える。再生塔において再生された吸収液は、吸収塔に供給される。
【0018】
二酸化炭素を吸収するために用いる吸収液は、アミン化合物を水に溶かしたアミン化合物水溶液を用いることができる。
【0019】
再生塔にはリボイラー41が設けられている。リボイラー41は、再生塔に貯留されているリーン液(二酸化炭素の含有量の少ない再生された吸収液)の一部を加熱してその温度を上昇させて蒸気を生成し、再生塔に供給する。リボイラー41においてリーン液を加熱する際、リーン液から二酸化炭素ガスが放出され、吸収液蒸気とともに再生塔に供給される。この吸収液蒸気は、再生塔内を上昇し、リッチ液を加熱する。これによりリッチ液から二酸化炭素ガスが放出される。
【0020】
リボイラー41には、高圧タービン21、中圧タービン22、又は低圧タービン23から抽気又は排気された蒸気18が、減温器44により二酸化炭素吸収液を加温するのに適切な温度まで減温されて、供給される。高圧タービン21、中圧タービン22、低圧タービン23のうち、いずれからの蒸気を用いるかは、弁37〜39により切り替えることができる。
【0021】
リボイラー41から排出された蒸気は、ドレンとして復水ポンプ31と給水ポンプ34との間におけるライン28の適切な位置に合流される。
【0022】
図1に示すように、二酸化炭素分離回収装置40の再生塔の頂部から排出される水蒸気含有二酸化炭素ガス42はCOコンデンサ(凝縮器)51へ供給される。COコンデンサ51によって凝縮された水蒸気(水分)は、二酸化炭素分離回収装置40の再生塔へ戻される(図示せず)。
【0023】
COコンデンサ51により水蒸気(水分)が除去されて純度が高められた二酸化炭素52は、コンプレッサ53、54により、地中への圧入に適した高圧状態(例えば約8MPa)に圧縮される。コンプレッサ53により圧縮された二酸化炭素52は中間冷却器55により冷却された後、コンプレッサ54により圧縮される。また、コンプレッサ54に圧縮された二酸化炭素52は出口冷却器56により冷却される。このように、中間冷却器55、出口冷却器56を設けることで、圧縮効率の向上を図ると共に、圧縮に伴い昇温した二酸化炭素52から熱を回収することができる。
【0024】
コンプレッサ53、54は、コンプレッサ53、54を駆動するタービン(駆動タービン)57及びモータ58と同軸上に連結されている。モータ58は、例えば発電機24により発電された電力が供給される。タービン57には、COコンデンサ51において冷却水61が水蒸気含有二酸化炭素ガス42と熱交換することにより発生する蒸気62が供給され、タービン57を駆動するために使用される。従って、COコンデンサ51で回収した熱をタービン57の動力として使用し、コンプレッサ53、54の動力の一部を補うことができる。
【0025】
タービン57から排出される蒸気は、復水器63により復水され、ポンプ64により冷却水61としてCOコンデンサ51へ送られる。
【0026】
このように、本実施形態は、二酸化炭素分離回収装置40の再生塔から放出された二酸化炭素42の熱エネルギーを回収し、発生した蒸気をコンプレッサ駆動タービン57に供給することで、コンプレッサ53、54の動力の一部を補うことができる。そのため、二酸化炭素回収型汽力発電システム1は、熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を実現することができる。また、二酸化炭素圧縮の動力源の確保に伴う汽力発電プラント1aの出力低下を抑制することができる。
【0027】
(第2の実施形態)図2に本発明の第2の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成を示す。本実施形態は、図1に示す第1の実施形態と比較して、冷却水61が、水蒸気含有二酸化炭素ガス42及びリボイラー加熱用の蒸気18と熱交換を行う点が異なる。図2において、図1に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
図2に示すように、冷却水61が、COコンデンサ51において水蒸気含有二酸化炭素ガス42と熱交換し、その後、減温器44においてリボイラー41の熱源となる蒸気18と熱交換する。水蒸気含有二酸化炭素ガス42及び蒸気18との熱交換により発生する蒸気62がタービン57に供給され、コンプレッサ53、54の動力の一部を補う。すなわち、本実施形態においては、高圧タービン21、中圧タービン22、又は低圧タービン23から抽気又は排気された蒸気18が、リボイラー41に導かれて二酸化炭素を吸収するために用いる吸収液の加熱源となるだけでなく、タービン57を駆動する蒸気62の加熱源としても用いられている。
【0029】
このように、本実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システム1は、リボイラー加熱用の蒸気18からも熱回収を行うことで、熱エネルギーをさらに効率良く回収し、さらに高い熱効率を実現することができる。
【0030】
(第3の実施形態)図2に本発明の第3の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成を示す。本実施形態は、図2に示す第2の実施形態と比較して、冷却水61の流量を調整する弁71と、減温器44により減温された蒸気18の温度を測定し、弁71の開度を制御する制御部72とを備える点が異なる。図3において、図2に示す第2の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
弁71はポンプ64とCOコンデンサ51との間に設けられており、その開度に応じて、COコンデンサ51及び減温器44に供給される冷却水61の流量、言い換えれば水蒸気含有二酸化炭素ガス42及び蒸気18と熱交換を行う冷却水61の流量を変更することができる。
【0032】
制御部72は、減温器44を通過した蒸気18の温度を測定し、リボイラー41に供給される蒸気18の温度が、二酸化炭素分離回収装置40の再生塔において吸収液から二酸化炭素を放出するために必要な温度となるように、弁71の開度を制御する。
【0033】
具体的には、蒸気18の測定温度が必要な温度より高い場合は、弁71の開度を大きくして冷却水61の流量を増加させることで、減温器44において蒸気18と熱交換する冷却水61の量を増やし、リボイラー41に供給される蒸気18の温度を下げる。
【0034】
一方、蒸気18の測定温度が必要な温度より低い場合は、弁71の開度を小さくして冷却水61の流量を減少させることで、減温器44において蒸気18と熱交換する冷却水61の量を減らし、リボイラー41に供給される蒸気18の温度を上げる。
【0035】
このように、水蒸気含有二酸化炭素ガス42及び蒸気18と熱交換を行う冷却水61の流量を調整することで、水蒸気含有二酸化炭素ガス42及びリボイラー加熱用の蒸気18から熱回収を行うとともに、リボイラー41に供給される蒸気18を所望の温度に設定することができる。
【0036】
(第4の実施形態)図4に本発明の第4の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成を示す。本実施形態は、図2に示す第2の実施形態と比較して、冷却水61の一部を分岐させて、中間冷却器55において二酸化炭素52と熱交換をして発生した蒸気82をタービン57に供給する点が異なる。図4において、図2に示す第2の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
ポンプ64から送り出された冷却水61は分岐し、一方はCOコンデンサ51に供給され、他方は中間冷却器55に供給される。中間冷却器55に供給される冷却水61の流量は弁81により調整することができる。
【0038】
中間冷却器55に供給される冷却水61が、コンプレッサ53により圧縮された高温(例えば200〜250℃程度)の二酸化炭素52と熱交換を行うことで、蒸気82が発生する。この蒸気82はタービン57に供給され、タービン57を駆動するために使用される。従って、中間冷却器55で回収した熱をタービン57の動力として使用し、コンプレッサ53、54の動力の一部を補うことができる。
【0039】
このように、圧縮された二酸化炭素52からも熱回収を行うことで、熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を実現することができる。
【0040】
図4に示す構成では、分岐した冷却水61が、中間冷却器55においてコンプレッサ53により圧縮された二酸化炭素52と熱交換を行っていたが、出口冷却器56においてコンプレッサ54により圧縮された二酸化炭素52と熱交換を行ってもよい。また、出口冷却器56で熱交換を行った後、中間冷却器55で熱交換を行うようにしてもよい。
【0041】
なお、本実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムに、上記第3の実施形態で説明した弁71及び制御部72をさらに設けてもよい。このような構成を図5に示す。さらに、制御部72が、弁81の開度を制御できるようにしてもよい。
【0042】
上記第1〜第4の実施形態では、冷却水61を用いて水蒸気含有二酸化炭素ガス42やリボイラー加熱用の蒸気18から熱回収を行っていたが、アンモニア等の低沸点媒体を使用してもよい。
【0043】
(第5の実施形態)図6に本発明の第5の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成を示す。本実施形態は、図1に示す第1の実施形態と比較して、復水27の一部を用いて水蒸気含有二酸化炭素ガス42と熱交換を行い、発生した蒸気91を低圧タービン23に供給する点が異なる。図6において、図1に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。また、図6ではコンプレッサ53、53を駆動するタービン57の図示も省略する。
【0044】
図6に示すように、復水ポンプ31の下流側においてライン28から分岐させた冷却水(復水27)が、COコンデンサ51にて水蒸気含有二酸化炭素ガス42の熱を回収することで蒸気91となり、この蒸気91が低圧タービン23に供給される。低圧タービン23に供給された蒸気91は、低圧タービン23の駆動用蒸気として利用される。二酸化炭素分離回収装置40の再生塔から放出された水蒸気含有二酸化炭素ガス42が有する熱エネルギーを、低圧タービン23の駆動エネルギーに利用することで、汽力発電プラント1aの出力を増加させることができる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、復水27の一部を用いて水蒸気含有二酸化炭素ガス42と熱交換を行い、発生した蒸気91を低圧タービン23の駆動用蒸気の一部として利用できる。従って、熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を実現することができる。
【0046】
(第6の実施形態)図7に本発明の第6の実施形態に係る二酸化炭素回収型汽力発電システムの概略構成を示す。本実施形態は、図6に示す第5の実施形態と比較して、コンプレッサ53、54を駆動するタービン57に蒸気91を供給する点が異なる。図7において、図6に示す第5の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図7に示すように、COコンデンサ51において復水27の一部が水蒸気含有二酸化炭素ガス42と熱交換することにより発生する蒸気91が、タービン57に供給される。蒸気91は、タービン57を駆動するために使用される。従って、COコンデンサ51で回収した熱をタービン57の動力として使用し、コンプレッサ53、54の動力の一部を補うことができる。
【0048】
タービン57から排出される蒸気は、ドレンとして復水ポンプ31と給水ポンプ34との間におけるライン28の適切な位置に合流される。
【0049】
このように、本実施形態は、二酸化炭素分離回収装置40の再生塔から放出された二酸化炭素42の熱エネルギーを回収し、発生した蒸気をコンプレッサ駆動タービン57に供給することで、コンプレッサ53、54の動力の一部を補うことができる。そのため、二酸化炭素回収型汽力発電システム1は、熱エネルギーを効率良く回収し、高い熱効率を実現することができる。また、二酸化炭素圧縮の動力源の確保に伴う汽力発電プラント1aの出力低下を抑制することができる。
【0050】
上記第1〜第6の実施形態では、二酸化炭素を圧縮するコンプレッサ及び圧縮された二酸化炭素を冷却する冷却器をそれぞれ2つ設ける構成を示したが、これらはそれぞれ1つでも良いし、3つ以上でもよい。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 二酸化炭素回収型汽力発電システム
1a 汽力発電プラント
1b 二酸化炭素回収プラント
4 タービン蒸気
5 排ガス
6 ボイラー
9 過熱器
10 再熱器
20 タービン軸
21 高圧タービン
22 中圧タービン
23 低圧タービン
24 発電機
26 復水器
27 復水
31 復水ポンプ
34 給水ポンプ
37〜39 弁
40 二酸化炭素分離回収装置
41 リボイラー
42 水蒸気含有二酸化炭素ガス
44 減温器
51 COコンデンサ
52 二酸化炭素
53、54 コンプレッサ
55 中間冷却器
56 出口冷却器
57 コンプレッサ駆動用タービン
58 コンプレッサ駆動用モータ
61 冷却水
62 蒸気
63 復水器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を燃焼して蒸気を生成して排ガスを発生させるボイラーと、
発電機に連結され、前記ボイラーから蒸気が供給されて回転駆動する第1タービンと、
前記ボイラーから前記排ガスが供給され、この排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる吸収塔と、
前記吸収塔から二酸化炭素を吸収した吸収液が供給され、この吸収液から二酸化炭素ガスを放出させ、この二酸化炭素ガスを排出する再生塔と、
前記再生塔からの吸収液を加熱し、発生させた蒸気を前記再生塔に供給するリボイラーと、
冷却水を用いて、前記再生塔から排出された二酸化炭素ガスから水分を凝縮させて除去する凝縮器と、
前記凝縮器により水分が除去された二酸化炭素ガスを圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサを駆動する第2タービンと、
を備え、
前記冷却水が前記凝縮器において前記二酸化炭素ガスから熱を回収することで生成される蒸気が前記第1タービン又は前記第2タービンに供給されることを特徴とする二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項2】
前記第2タービンからの排気蒸気を冷却及び凝縮して前記冷却水を生成する復水器をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項3】
前記第1タービンからの蒸気を減温して前記リボイラーに供給する減温器をさらに備え、
前記冷却水が前記凝縮器において前記二酸化炭素ガスから熱を回収した後、前記減温器において前記第1タービンからの蒸気から熱を回収することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項4】
前記減温器により減温された蒸気の温度を測定し、測定結果に基づいて、前記凝縮器に供給される前記冷却水の流量を制御する制御部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項5】
前記冷却水の一部が供給され、前記コンプレッサにより圧縮された二酸化炭素ガスを冷却する冷却器をさらに備え、
前記冷却器における二酸化炭素ガスの冷却により生成される蒸気が前記第2タービンに供給されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項6】
前記ボイラーは主蒸気を発生させる過熱器及び再熱蒸気を発生させる再熱器を有し、
前記第1タービンは、前記主蒸気が供給されて回転駆動する高圧タービン、前記再熱蒸気が供給されて回転駆動する中圧タービン、及び前記中圧タービンからの排気蒸気が供給されて回転駆動する低圧タービンを有し、
前記冷却水は、前記低圧タービンからの排気蒸気を冷却及び凝縮して生成された復水の一部であり、
前記凝縮器において生成される蒸気は前記低圧タービンに供給されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項7】
前記冷却水は、前記第1タービンからの排気蒸気を冷却及び凝縮して生成された復水の一部であり、
前記凝縮器において生成される蒸気は前記第2タービンに供給されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収型汽力発電システム。
【請求項8】
燃料を燃焼させてタービンを駆動する蒸気を生成すると共に排ガスを発生させる工程と、
前記排ガスに含まれる二酸化炭素を吸収液に吸収させる工程と、
二酸化炭素を吸収した前記吸収液を加熱して二酸化炭素ガスを放出させ、この二酸化炭素ガスを排出する工程と、
排出された前記二酸化炭素ガスを冷却水により冷却し、当該二酸化炭素ガスから水分を凝縮させて除去する工程と、
水分の除去された前記二酸化炭素ガスをコンプレッサにより圧縮する工程と、
前記二酸化炭素ガスから水分を凝縮させる工程で前記冷却水が熱を回収して生成される蒸気を、前記コンプレッサを駆動する駆動タービン又は前記タービンに供給する工程と、
を備える二酸化炭素回収方法。
【請求項9】
前記駆動タービンからの排気蒸気を冷却及び凝縮して前記冷却水を生成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項10】
前記タービンからの蒸気を、前記吸収液、および前記水分を凝縮させる工程で前記冷却水が熱を回収して生成される蒸気の加熱源として用いることを特徴とする請求項8又は9のいずれかに記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項11】
前記減温器により減温された蒸気の温度を測定する工程と、
前記温度の測定結果に基づいて、前記冷却水の流量を制御する工程と、
をさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項12】
前記冷却水の一部を用いて、前記コンプレッサにより圧縮された二酸化炭素ガスを冷却する工程をさらに備えることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項13】
前記冷却水は、前記タービンからの排気蒸気を冷却及び凝縮して生成された復水の一部であり、
前記水分を凝縮させる工程で前記冷却水が熱を回収して生成される蒸気は前記タービンに供給されることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収方法。
【請求項14】
前記冷却水は、前記タービンからの排気蒸気を冷却及び凝縮して生成された復水の一部であり、
前記水分を凝縮させる工程で前記冷却水が熱を回収して生成される蒸気は前記駆動タービンに供給されることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか1項に記載の二酸化炭素回収方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−87759(P2012−87759A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237573(P2010−237573)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】