説明

二量体Smac模倣薬

本発明は、連結基によって連結された二つの結合領域を有する二量体または二量体様化合物であるSmacペプチドの小分子模倣体を提供する。これらの化合物は、アポトーシスを促進する上で有用である。本発明は、そのような化合物を含む医薬組成物および癌および自己免疫障害などの状態を治療する上でのそれらの使用方法を含むものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二量体および二量体様小分子アポトーシス促進剤に関するものである。これら化合物は、Smacと称されるタンパク質の活性を模倣するものであることで、アポトーシスの開始を促進することができる。従って、その化合物は、病的細胞または組織などのアポトーシス開始が望まれる状態の治療において有用である。本発明はさらに、一部においてそのような化合物およびその化合物を含む医薬組成物を用いる方法に関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
アポトーシスは、全ての多細胞生物の発達および恒常性維持において、中心的な役割を果たす。アポトーシスの異常な阻害は、癌および自己免疫病の特徴であるが、その一方では、細胞死の過剰な活性化は、アルツハイマー病のような神経変性疾患に結び付けられる。アポトーシス促進性の化学療法剤は、薬剤抵抗性の臨床上の問題を克服する近年のアプローチを提供する;例えば、Makin et al., Cell Tissue Res. (2000年7月)301(1):143−152 (「Apoptosis and cancer chemotherapy」)参照。
【0003】
アポトーシスの機序は、種を超えて保存され、カスパーゼと呼ばれるプロテアーゼの連続的な活性化のカスケードで実行される。活性化されると、これらのカスパーゼは、最終的に細胞死に導く広範囲の細胞標的のタンパク質分解の原因となる。IAP(アポトーシスタンパク質阻害因子)は、カスパーゼを阻害することによってアポトーシスを制御するタンパク質ファミリーである。ウィルスおよび細胞のIAPは、1から3個のN末端バキュロウィルスIAP反復(BIR)モチーフおよびC末端RINGフィンガードメインを含む。ヒトIAPの例には、X連結IAP(XIAP)、cIAP2(HIAP1またはBIRC3とも称される)およびcIAP1(HIAP2またはBIRC2とも称される)などがある。
【0004】
Smac(「カスパーゼの第二ミトコンドリア由来活性化剤」)と称されるミトコンドリアタンパク質は非常に多様なIAPに結合し、それを阻害することで、カスパーゼ活性化を促進することが明らかになっており、それは哺乳類におけるアポトーシスの主要制御因子であると考えられている(Du, et al., Cell (2000) 102:33−43; Verhagen et al., Cell (2000) 102:43−53;およびVucic et al., Biochem. J. (2005) 385(1): 11−20を参照)。Smac由来のN末端ペプチドおよび模倣体は、同様にIAPを阻害し、カスパーゼの活性化を促進することが示されてきた。IAPは、TNFR(腫瘍壊死因子受容体)の構成要素であるので、IAP阻害因子は、TNFRシグナルリングをNfkB介在炎症誘発シグナルから抗炎症アポトーシスシグナルに転用することができる。
【0005】
アポトーシス制御欠損は、多くの現代の処置プロトコルに対する抵抗性を付与し得るものであり、腫瘍の成長に至る。このことは、IAPの過剰発現の結果として起こり得るものであり、反対にアポトーシスを開始するカスパーゼを阻害する。あるいは、制御解除が、IAPの活性を阻害するように働くSmacペプチドの産生低下の結果として起こり得る。従って、Smacの欠乏によって、IAPはアポトーシスがしかるべき時に起こるのを防ぐことができる。本発明の化合物などのSmac模倣体は、Smacの活性に置き換わることができ、そのため、所望のアポトーシスを促進することができる。
【0006】
Debatinら(WO03/086470)は、Smacペプチドを癌および自己免疫病に対する有用な治療剤として説明し、それらは、TRAIL誘導性または抗癌剤誘導性のアポトーシスに対して細胞を感受性にすることによって作用することを報告する(TRAILは、TNF関連アポトーシス誘発リガンドを表す)。Li, et al., Science (2004年9月3日) 305:1471−14744も参照。Debatinは、Smacが、TRAILとの組合せで投与された場合に、動物のグリオブラストーマ腫モデルのようなある腫瘍の根絶を誘発するというイン・ビボでの証拠を提供する。Debatinによれば、シグナリング経路の制御解除の結果起こる強侵襲性の癌表現型は通常、それが起こって急速かつ異常な組織成長が可能とならなければアポトーシスに従うことはない。Bockbraderらは、TRAILまたはエトポシドと組み合わせて使用したとき、また、相対的に高いレベルでTRAILを発現する細胞に使用したときの乳癌細胞株に対するSmac模倣化合物の効力を開示している(Oncogene (2005) 24:7381−7388)。
【0007】
同様に、Debatinによれば、アポトーシス制御の欠損は、播種性紅斑性狼瘡および関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症において主要な役割を果たす。従って、Smacの活性を模倣する化合物は、そのような状態の作用の一部を処理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】Makin et al., Cell Tissue Res. (2000年7月)301(1):143−152 (「Apoptosis and cancer chemotherapy」).
【特許文献2】Du, et al., Cell (2000) 102:33−43.
【特許文献3】Verhagen et al., Cell (2000) 102:43−53.
【特許文献4】Vucic et al., Biochem. J. (2005) 385(1): 11−20.
【特許文献5】Li, et al., Science (2004年9月3日) 305:1471−14744.
【特許文献6】Oncogene (2005) 24:7381−7388).
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】WO03/086470
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
二量体化合物が、米国特許第7309792号および米国特許出願US2008/0119532、US2008/0051389およびUS2009/0104151に開示されえいる。これら化合物は、広く記載されている連結基によって連結された二つの結合ドメインを有する。二量体Smac阻害薬は、米国特許第7547724号、7579320号、7589118号および米国特許出願US2007/0093429、US2007/0219140およびUS2009/0192140にも開示されている。別の米国特許出願US 2006/0025347は、アポトーシスの促進に関連する活性を有する小分子化合物を開示している。しかしながら、後者の引用文献が、二量体化合物が使用され得ると記載しているが、それに開示されている化合物で二量体構造を有するものはない。
【0011】
最近のいくつかの特許出願、例えば、US 2006/0025347、US 2005/0197403、WO 2006/069063、US 2006/0014700、WO 2005/094818およびWO 2005/097791(これらはそれぞれ、引用によって全体が本明細書に組み込まれる)には、単量体IAP阻害因子が開示されているが、二量体構造の記載はない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、二つの構造的に類似した結合領域を有する式(I)の二量体および二量体様化合物を提供する。これらの結合領域は連結基によって連結されており、類似はしているが、これら領域は同一である必要はない。ある種の実施形態において、各結合領域が同一であることから、分子はそれの連結基に対して対称である。他の実施形態において、その二つの結合領域は異なっている。
【0013】
1態様において、本発明は下記式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含まれる。
【0014】
【化1】


式中、各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すか;=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rが独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであるか、これらの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1a、R1b、R1a′およびR1b′のそれぞれは独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
1aとR1b、またはR1a′とR1b′がそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良く;
各RおよびR2′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
JおよびJ′のそれぞれは独立に、−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり、
各Rは独立に、H、または置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
各nおよびn′は独立に0から3であり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0015】
別の態様において本発明は、下記式(VI)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含まれる。
【0016】
【化2】

式中、
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立に、H、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1a、R1b、R1a′およびR1b′のそれぞれが独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
1aとR1b、またはR1a′とR1b′がそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良く;
各RおよびR2′は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各WおよびW′は独立に置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンを表し;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各QおよびQ′は独立に−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にH、または置換されていても良いC1−C8アルキル、または置換されていても良いC1−C8ヘテロアルキルであり;またはLが環を含む場合にQおよびQ′のうちの一方または両方が結合であることができ;
各nおよびn′は独立に0から3であり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0017】
さらに別の態様において本発明は、式(VIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0018】
【化3】

式中、
環Aおよび環A′のそれぞれは独立にC3−C12アザシクロ環を表し、それらのそれぞれは環員としてN、O、Sから選択される0から2個の別のヘテロ原子を含んでいても良く;
各YおよびY′は独立に置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;アルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各WおよびW′は独立に、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各EおよびE′は独立に、−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、CH(R)D−、−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にH、または置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEおよびE′のうちの一方または両方が結合であることができ、その場合にLは環を含み;
各RおよびR2′は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキルであり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0019】
さらに別の態様において本発明は、下記式(X)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0020】
【化4】

式中、
環Bおよび環B′のそれぞれが独立に、環員としてN、O、Sから選択される1から3個のヘテロ原子を含むC3−C12炭素環またはC3−C12複素環であり;
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであり、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各UおよびU′は独立に−NR−、−O−、または−S(O)−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルであり、vは0から2であり;
各WおよびW′は独立に、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、そして単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各EおよびE′は独立に、−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、CH(R)D−、または−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にH、または置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEおよびE′のうちの一方または両方が結合であることができ、その場合にLは環を含み;
各RおよびR′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各RおよびR′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキルであり;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0021】
さらに別の態様において本発明は、下記式(XII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0022】
【化5】

式中、ΦおよびΦは独立に、下記のものからなる群から選択され:
【0023】
【化6】

はLへの結合箇所を表し;
各Yは独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであり、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各R1aは独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各Jは独立に−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり、
各Rは独立に、H、または置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって、置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
各Qは、−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にH、または置換されていても良いC1−C8アルキル、または置換されていても良いC1−C8ヘテロアルキルであり;またはLが環を含む場合に、Qが結合であることができ;
各Eは−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、−CH(R)D−、または−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にHまたは置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEが結合であることができ、その場合にLは環を含み;
Wは置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXは置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
Xは独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWの同一の原子に結合した2個の5から10員環状基を表すことができ;
各Uは独立に、−NR−、−O−または−S(O)−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルであり、vは0から2であり;
環Aは環員としてN、O、Sから選択される0から2個の別のヘテロ原子を含んでいても良いC3−C12アザシクロ環を表し;
B環はC3−C12炭素環または環員としてN、O、Sから選択される1から3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環を表し;
各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各R10は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各R11は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
mは0から4であり;
各Zは独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0024】
本発明は、本明細書に記載の式の化合物の製薬上許容される塩も含む。
【0025】
本発明は、少なくとも一つの本明細書に記載の式のいずれかの化合物および1以上の製薬上許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物も提供する。これら化合物のうちの少なくとも一つを含む医薬組成物は、本明細書に記載のものなどの処理方法で用いることができる。本明細書にさらに記載の特定の状態の処理におけるこれら化合物および組成物の使用方法も提供される。
【0026】
1態様において本発明は、処置を必要とする対象者に対して有効量の本明細書に開示の式のいずれかによる化合物を投与することで、細胞増殖性障害を治療または改善する段階を有する、細胞増殖性障害の治療または改善方法を提供する。
【0027】
別の態様において本発明は、細胞を有効量の本明細書に開示の式のいずれかによる化合物と接触させることで、細胞増殖を低下または細胞死を誘発する段階を有する、細胞増殖を低下または細胞死を誘発する方法を提供する。
【0028】
さらに別の態様において本発明は、細胞を細胞の増殖を阻害する上で有効な量の本明細書に開示の式のいずれかによる化合物と接触させる段階を有する、細胞増殖の阻害方法を提供する。
【0029】
本発明のこれらの実施形態および他の実施形態について、下記の説明で述べる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明については、下記の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明および本明細書に含まれる実施例を参照することで、より容易に理解することができる。理解すべき点として、本明細書において使用される用語は、具体的な実施形態を説明するためのものであり、限定するものではない。さらに理解すべき点として、本明細書において具体的に定義されていない限り、本明細書において使用される用語は、関連する技術分野において公知の従来からの意味を示すものである。
【0031】
本明細書で使用される場合、単数形「一つの」、「1個の」および「その」は、別段の断りがない限り、複数形を含むものである。例えば、「一つの」賦形剤は1以上の賦形剤を含むものである。
【0032】
特定の疾患または障害に関連しての「治療する」、「治療」または「処置」という用語は、その疾患もしくは障害の予防、および/またはその疾患もしくは障害の症状および/または病態を軽減、改善、緩和もしくは除去することを含むものである。
【0033】
「治療上有効量」または「有効量」という用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床関係者が求めている細胞、組織、系、動物もしくはヒトの生理的もしくは医学的応答を誘発する薬剤もしくは医薬の量を意味するものである。さらに、「治療上有効量」という用語は、そのような量の投与を受けなかった相当する対象者と比較して、疾患、障害もしくは副作用の改善された治療、治癒、予防もしくは改善または疾患もしくは障害の進行速度の低下を生じる量を意味する。
【0034】
本明細書に記載の化合物は、医薬製剤または医薬品において治療上有効量で存在させることができ、それは所望の生理的効果を生じることで、例えば疾患もしくは状態の症状の改善、緩和、低減または除去をもたらすことができる量である。その用語は、細胞増殖速度の低下または増殖停止(例えば、腫瘍増殖の鈍化または停止)または増殖する癌細胞数の低減(例えば、腫瘍の一部または全ての除去)、または疾患もしくは障害の進行速度の低下を指すこともできる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「対象者」とは、ヒトまたは動物の対象者を指す。ある種の好ましい実施形態において、対象者はヒトである。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル残基」は、別段の定義がない限り、炭素および水素のみを含有する残基を指す。その残基は、脂肪族または芳香族の直鎖、環状、分岐の飽和もしくは不飽和状、またはこれらの組合せであることができる。従って、ヘテロ原子を含むことまたは含んでいても良いことが具体的に記載されている場合には、ヒドロカルビル基は、ヒドロカルビル残基の「骨格」内に、示された1以上のヘテロ原子を含有することができ、置換されていても良い場合には、ヒドロカルビル残基は、親ヒドロカルビル残基の1以上の水素の代わりに、本明細書においてさらに記載される1以上のカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基および他の好適な置換基を有することもできる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」という用語は、置換されていない場合には、CおよびHのみを含む直鎖、分岐および環状の1価のヒドロカルビル基およびこれらの組合せを含む。例としては、メチル、エチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロへキシル、シクロペンチルエチル、2−プロペニル、3−ブチニルなどがある。そのような各基における炭素原子の総数は、本明細書に記載されている場合があり、例えば、その基が10個以下の炭素原子を含有し得る場合には、1−10CまたはC1−C10もしくはC10と記載することができる。ヘテロアルキル基でのように、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基の炭素原子に代えてヘテロ原子(代表的には、N、OおよびS)とすることが可能である場合、例えば、基を説明する数は、例えばC1−C6と書かれていても、その基における炭素原子の数と記載されている環もしくは鎖での炭素原子に置き換わるものとして含まれるそのようなヘテロ原子の数との合計数を表す。
【0038】
代表的には、本発明のアルキル、アルケニルおよびアルキニル置換基は、1−10C(アルキル)または2−10C(アルケニルもしくはアルキニル)を含む。好ましくは、それらは、1−8C(アルキル)または2−8C(アルケニルもしくはアルキニル)を含む。それらが1−4C(アルキル)または2−4C(アルケニルもしくはアルキニル)を含む場合もある。単一の基は、複数の種類の多重結合、または複数個の多重結合を含むことができる;それらが少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む場合、そのような基は「アルケニル」という用語の定義に包含され、それらが少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む場合には、それらは「アルキニル」という用語の定義に包含される。
【0039】
アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、置換が化学的に妥当である範囲で置換される場合が多い。代表的な置換基には、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR、=NR、OR、NR、SR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、CORおよびNOなどがあるが、それらに限定されるものではなく、各Rは独立に、H、C1−C8アルキル、C2−C8へテロアルキル、C1−C8アシル、C2−C8ヘテロアシル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリールまたはC5−C12ヘテロアリールであり、各Rは、ハロ、=O、=N−CN、=N−OR′、=NR′、OR′、NR′、SR′、SOR′、SONR′、NR′SOR′、NR′CONR′、NR′COOR′、NR′COR′、CN、COOR′、CONR′、OOCR′、COR′およびNOから選択される1以上の基で置換されていても良く、各R′は独立に、H、C1−C8アルキル、C2−C8へテロアルキル、C1−C8アシル、C2−C8ヘテロアシル、C5−C12アリールまたはC5−C12ヘテロアリールである。アルキル、アルケニルおよびアルキニル基は、C1−C8アシル、C2−C8ヘテロアシル、C5−C12アリールまたはC5−C12ヘテロアリールによって置換されていることができ、それらはそれぞれ特定の基に適した置換基によって置換されていることができる。
【0040】
「へテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」などは、対応するヒドロカルビル(アルキル、アルケニルおよびアルキニル)基と同様に定義されるが、「ヘテロ」という用語は、主骨格残基の中にO、SおよびNそしてその組合せから選択される1以上のヘテロ原子を含む基を意味する。従って、対応するアルキル、アルケニルもしくはアルキニル基の少なくとも1つの炭素原子は、へテロアルキル、ヘテロアルケニルまたはヘテロアルキニル基を形成する特定のヘテロ原子によって置き換えられる。好ましくは、各へテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル基は、へテロアルキル基(すなわち、存在し得る置換基を含まない基)の主骨格の骨格の一部として1から2個のヘテロ原子のみを含む。
【0041】
アルキル、アルケニルおよびアルキニル基のヘテロ型の代表的なおよび好ましい大きさは、一般的に、対応するヒドロカルビル基と同様であり、ヘテロ型上に存在し得る置換基は、ヒドロカルビル基の上記置換基と同様である。そのような基がNを含む場合、窒素原子はNHとして存在することができるか、へテロアルキルまたは同様の基が、置換されていても良いものとして記載されている場合には、それは置換されていても良い。そのような基がSを含む場合、硫黄原子は、別段の断りがない限り、酸化されてSOまたはSOとなっていても良い。化学的安定性のため、別段の指定がない限り、そのような基は、へテロアルキル鎖の一部として、2以上の近接ヘテロ原子を含まないが、オキソ基は、ニトロ基またはスルホニル基内において、NまたはS上に存在することができる。従って、−C(O)NHは、=Oで置換されたC2へテロアルキル基であることができ;−SONH−は、Sが1つの炭素に置き換わり、Nが1つの炭素に置き換わり、Sが2つの=Oで置換されたC2ヘテロアルキレンであることができる。
【0042】
これに対して、本明細書で使用の「アルキル」は、シクロアルキルおよびシクロアルキルアルキル基を含み、「シクロアルキル」という用語は、本明細書において、環炭素原子を介して結合された炭素環非芳香族基を具体的に説明するのに使用することができ、「シクロアルキルアルキル」は、アルキル連結基を介して基礎分子に結合された炭素環非芳香族基を説明するのに使用することができる。同様に、「複素環」は、代表的にはN、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を環員として含有し、環状基の環原子(CまたはNがあり得る)を介して分子に結合された非芳香族環状基を説明するのに使用することができ、「複素環アルキル」は、アルキル連結基を介して別の分子に結合されたそのような基を説明するのに使用することができる。シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、複素環および複素環アルキル基に適する大きさおよび置換基は、上記のアルキル基のものと同様である。シクロアルキルアルキルまたは複素環アルキル基の大きさは、炭素原子の総数または炭素原子とアルケニル、アルキニル、シクロアルキルまたはアルキレニル部分の炭素原子を置き換えたヘテロ原子とを足した総数を表す。非常に多くの実施形態において、シクロアルキルおよび複素環は、C3−C12、C3−C10またはC3−C8環であり、単環系、二環系または多環系を含むこともできる。本明細書で使用される場合、これらの用語は、その環が芳香族でない限り、1個もしくは2個の2重結合を含む環を含む。本明細書で使用される場合、シクロアルキルは、アダマンチル環系などの架橋炭素環系も含むことができる。
【0043】
本明細書で使用の「アシル」は、カルボニル炭素原子の2つの利用できる原子価位置の一つに結合したアルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキルラジカル含む基を包含し、例えば−C(=O)R(ここで、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリールまたはアリールアルキル基)であり、そしてヘテロアシルは、カルボニル炭素以外の少なくとも1個の炭素がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子によって置き換わった相当する基を意味する。従って、ヘテロアシルは、例えば、−C(=O)ORおよび−C(=O)NR、そして−C(=O)−ヘテロアリールを含む。
【0044】
アシルおよびヘテロアシル基は、カルボニル炭素の開放電子価を介して結合した基または分子に結合している。代表的には、それらは、ホルミル、アセチル、ピバロイルおよびベンゾイルなどのC1−C8アシル基であり、そしてメトキシアセチル、エトキシカルボニルおよび4−ピリジノイルなどのC2−C8ヘテロアシル基である。アシルまたはヘテロアシル基を含むヒドロカルビル基、アリール基およびその基のヘテロ型は、一般的にアシルまたはヘテロアシル基の相当する化合物のそれぞれに適する置換基として本明細書に記載の置換基で置換され得る。
【0045】
「芳香族」部分または「アリール」部分は、公知の芳香族の特徴を有する単環式部分または縮合二環式部分を指し、例としては、フェニルおよびナフチルを含む。同様に、「ヘテロ芳香族」および「ヘテロアリール」は、O、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を環員として含むそのような単環式環系または縮合二環式環系を指す。ヘテロ原子の含有は、5員環および6員環における芳香族性を許容するものである。
【0046】
代表的な複素芳香環系は、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピラダジニル、トリアジニル、チエニル、フラニル、ピロリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルおよびテトラゾリル環などの単環式C5−C6芳香族基、およびインドリル、ベンズイミダゾリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、イソキノリニル、キノリニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンズイソキサゾリル、ピアゾロピリジル、キナゾリニル、キノキサリニル、シンノリニルなどのC8−C12二環式基を形成するようにこれらの単環式の基と、フェニル環とを縮合させることによって、またはヘテロ芳香族単環式基とを縮合させることによって形成された縮合二環式部分を含む。環系全体における電子分布に関して芳香族性の特徴を有する単環式環系または縮合二環式環系は、この定義に含まれる。それは、テトラヒドロナフチル、インダニル、フルオレニルなどのように、非芳香族環に縮合可能であったとしても分子の残りの部分に直接結合した環が少なくとも芳香族性の特徴を有する二環式の基も含む。代表的には、その環系は、5から12個の環員原子を含む。好ましくは、単環式ヘテロアリール基は、5から6個の環員を含有し、二環式ヘテロアリールは8から12個の環員を含む。
【0047】
アリールおよびヘテロアリール部分は、C1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C1−C8アシルおよびそれらのヘテロ型(それぞれ、自体がさらに置換され得る)を含む種々の置換基で置換されていても良く、アリールおよびヘテロアリール部分の他の置換基には、ハロ、OR、NR、SR、SOR、SONR、NRSOR、NRCONR、NRCOOR、NRCOR、CN、COOR、CONR、OOCR、−C(O)RおよびNOなどがあり、各Rは独立に、H、C1−C8アルキル、C2−C8へテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C21アリールアルキルまたはC5−C21ヘテロアリールアルキルであり、各Rは、上記アルキル基のように置換されていても良い。
【0048】
好ましい適宜の置換基には、アリールまたはヘテロアリール環上に存在する場合、ハロゲン化されていても良いアルキル(C1−C4)、ハロゲン化されていても良いアルコキシ(C1−C4)、ハロ、−NH、−OH、−CN、−NOおよびNRなどがある(ここで、Rは独立に、HまたはC1−4アルキルである)。
【0049】
アリールまたはヘテロアリール基上の置換基は、当然のことながら、置換基を含む各種類の基に好適なものとして本明細書に記載された基でさらに置換されても良い。従って、例えば、アリールアルキル置換基は、アリール部分上でアリール基について代表的なものと本明細書に記載された置換基で置換されていても良く、それはさらに、アルキル部分上で、アリール基に代表的または好適であると本明細書に記載された置換基で置換されていても良い。
【0050】
同様に、「アリールアルキル」および「ヘテロアリールアルキル」は、アルキレンなどの連結基(置換されているか置換されていない飽和もしくは不飽和の環状もしくは非環状の連結基を含む)を介してその結合箇所に結合された芳香族およびヘテロ芳香族の環系を指す。代表的には、連結基は、C1−C8アルキルまたはそのヘテロ型である。これらの連結基は、カルボニル基を含むことができ、従って、アシルまたはヘテロアシル部分としての置換基を提供することができるようになる。
【0051】
アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基内のアリールまたはヘテロアリール環は、上記のアリール基と同様の置換基で置換されていても良い。好ましくは、アリールアルキル基は、上記のアリール基で定義された基で置換されていても良いフェニル環と、置換されていないか1個もしくは2個のC1−C4アルキル基またはへテロアルキル基(アルキルまたはへテロアルキル基は、環化することで、シクロプロパン、ジオキソランまたはオキサシクロペンタンなどの環を形成しても良い)で置換されたC1−C8アルキレンとを含む。
【0052】
同様に、ヘテロアリールアルキル基には好ましくは、アリール基上で代表的な置換基として前述された基で置換されていても良いC5−C6単環式ヘテロアリール基と、置換されていないか1個もしくは2個のC1−C4アルキルもしくはへテロアルキル基で置換されたC1−C8アルキレンなどがあるか、置換されていても良いフェニル環またはC5−C6単環式ヘテロアリールと、置換されていないか1個もしくは2個のC1−C4アルキルもしくはへテロアルキル基で置換されたC1−C8へテロアルキレンなどがあり、ここで、アルキルまたはへテロアルキル基が環化して、シクロプロパン、ジオキソランまたはオキサシクロペンタンなどの環を形成していても良い。
【0053】
アリールアルキルまたはヘテロアリールアルキル基が、置換されていても良いものとして記載された場合には、置換基は、基のアルキルもしくはへテロアルキル部分またはアリールもしくはヘテロアリール部分のいずれかの上にあることができる。アルキルまたはへテロアルキル部分の上に存在しても良い置換基は、アルキル基について前述したものと同じであり、アリールまたはヘテロアリール部分の上に存在しても良い置換基は、アリール基について前述したものと同じである。
【0054】
本明細書で使用される「アリールアルキル」基は、置換されていない場合には、ヒドロカルビル基であり、環中およびアルキレンもしくは同様の連結基内の炭素原子の総数によって記載される。従って、ベンジル基は、C7−アリールアルキル基であり、フェニルエチルは、C8−アリールアルキルである。
【0055】
上記の「ヘテロアリールアルキル」は、連結基を介して結合したアリール基を含む部分を指し、アリール部分の少なくとも1個の環原子または連結基内の1個の原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子である点において「アリールアルキル」と異なるヘテロアリールアルキル基は、環および連結基の組み合わせにおける原子の総数に従って本明細書に記載され、へテロアルキル連結基を介して連結されるアリール基;アルキレンなどのヒドロカルビル連結基を介して連結されたヘテロアリール基;およびへテロアルキル連結基を介して連結されたヘテロアリール基などがある。従って、例えば、C7−ヘテロアリールアルキルは、ピリジルメチル、フェノキシおよびN−ピロリルメトキシを含む。
【0056】
「アルキレン」は、本明細書で使用されたように、2価のヒドロカルビル基を指す;2価であることから、それは2個の他の基を互いに連結することができる。代表的には、それは、−(CH−を意味し、ここで、mは1から14であり、好ましくは、mは1から8であるが、特定されている場合であっても、アルキレンは、他の基によって置換されていても良く、別の長さのものであることができ、そして開放電子価は鎖の逆の端にある必要はない。したがって、−CH(Me)−および−C(Me)−が、アルキレンと称されることもでき、シクロプロパン−1,1−ジイルなどの環状基がアルキレンと称されること場合もあり得る。しかしながら、明瞭を期して、アルキレン基である3原子連結基は、例えば、他の基への結合に利用可能な原子価が、−(CH−のような3つの原子だけ分離される2価の基を意味する。すなわち、特定された長さは、ヒドロカルビル基中の原子の総数ではなく、結合箇所を連結する原子の数を表し、利用できる原子価が、1原子のみだけ分離されているので、−C(Me)−は、1原子連結基となる。アルキレン基が置換されている場合には、その置換基は、本明細書に記載のアルキル基上に存在する代表的なものを含む。従って、−C(=O)−は、1炭素置換アルキレンの例である。不飽和と記載されている場合には、アルキレン基は、1以上の二重結合または三重結合を含むことができ、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む場合にはアルケニレン基と称されることができ、または少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む場合にはアルキニレン基と称されることができる。
【0057】
本明細書で使用される「ヘテロアルキレン」は、相当するアルキレン基と同様に定義されるが、「ヘテロ」という用語は、主骨格残基内にO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子およびその組合せを含む基を指す。従って、相当するアルキレン基の少なくとも1個の炭素原子が1個の特定のヘテロ原子によって置き換えられていることで、ヘテロアルキレン基を形成している。従って、−C(=O)NH−は、Nが1個の炭素に置き換わり、Cが=O基で置換された場合の2炭素置換ヘテロアルキレンの例である。
【0058】
本明細書で使用される「アリーレン」は、結合を介してその結合箇所に結合された2価または3価の芳香族または複素芳香環系を意味し、例えばフェニレン部分である。
【0059】
本明細書で使用される「アリールアルキレン」は、置換されているか置換されていない飽和もしくは不飽和の環式および非環式連結基を含むアルキレン連結基を介して結合箇所に結合した2価または3価の芳香族および複素芳香族環系(「ヘテロアリールアルキレン」と称される場合もある)を意味する。一部の実施形態において、アルキレン連結基は不飽和であり、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む場合には、アリールアルケニレン基と称されることができ、または少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む場合には、アリールアルキニレン基と称されることができる。代表的には、アルキレン連結基は、C1−C8アルキレンまたはそのヘテロ型である。非常に多くの場合、芳香族基もしくはヘテロ芳香族基は2個のC1−C8アルキレン連結基に結合しており、それらの各連結基は分子の残りの部分に対する結合箇所として働き、例えばその式の基および−CH−Ar−CH−または−(CH−Ar−(CHであり、qは1から8であり、Arは芳香環もしくはヘテロ芳香環を表す。これらの連結基は、カルボニル基を含むことができ、従って、アシルまたはヘテロアシル部分などの置換基を提供することができるようになる。例えば、−(CHC(O)−Ar−C(O)(CH−、−C(O)−Ar−C(O)−および−C(O)−Ar−CH−は、カルボニル基で置換されたアリールアルキレン基の例である。
【0060】
本明細書で使用される「ヘテロアリールアルキレン」は、相当するアリールアルキレン基と同様に定義されるが、アルキレン残基または芳香環の中にO、SおよびNそしてその組合せから選択される1以上のヘテロ原子を含有する。従って、相当するアルキレン基の少なくとも1個の炭素原子または芳香環の炭素原子は、ヘテロアリールアルキレン基を形成する特定のヘテロ原子によって置き換えられる。例えば、−(CHNHC(O)−Ar−C(O)NH(CH−および−CH−ピリジル−CH−は、ヘテロアリールアルキレン基の例である。
【0061】
一般的には、置換基内に含有されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アシルまたはアリール、もしくはアリールアルキル基あるいはそれらの基のいずれか一つのヘテロ型は、それ自体がさらに別の置換基によって置換されていても良い。これらの置換基の性質は、置換基について別段の説明がない限り、主たる置換基自体に関して示されたものと同様である。従って、1実施形態において、例えば、R′″はアルキルであり、化学的に妥当であり、かつアルキルそれ自体の提供された大きさの限度を超えない場合には、このアルキルはR″′の実施形態として挙げられた残りの置換基によって置換されていることができる。例えば、アルキルによってまたはアルケニルによって置換されたアルキルは、これらの実施形態の炭素原子の上限を単純に増やすものと考えられ、含まれるものではない。しかしながら、ハロ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、ヒドロキシ、アルコキシ(C1−C4アルキル)、=O、=Sなどによって置換されたアルキルは、本発明の範囲に包含されると考えられ、これら置換基の原子は、記載されているアルキル、アルケニル基等を説明するのに用いられる数でカウントされない。
【0062】
置換基の数が特定されていない場合、そのような各アルキル、アルケニル、アルキニル、アシルまたはアリール基は、利用できる原子価に従い、かつ一般的に知られている化学的安定性の原則に従って、いくつかの置換基で置換されることができ、特に、これらのいずれの基も、炭素原子上のいずれかまたは全ての利用できる原子価が、例えば、フッ素原子で置換されていても良い。
【0063】
本明細書で使用される「ヘテロ型」は、環状炭素基を表す少なくとも1個の炭素原子がN、OおよびSから選択されるヘテロ原子によって置き換えられているアルキル、アリールまたはアシルなどの基の誘導体を意味する。従って、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリールおよびアリールアルキルのヘテロ型は、それぞれ、へテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアシル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルである。別段の断りがない限り、オキソ基がNまたはSに結合してニトロまたはスルホニル基を形成している場合を除き、通常は連続して連結されるのは2個以下のN、OまたはS原子であることは明らかである。
【0064】
本明細書で使用される「置換されていても良い」とは、記載されている特定の基(1以上)が、非水素置換基を持たない可能性があること、あるいは、特定の基または記載されている基が、1以上の非水素置換基を有する可能性があることを示す。別段の指定がない場合、存在し得るそのような置換基の総数は、置換されていない形の記載されている基上に存在するH原子の数に等しい。存在しても良い置換基が、カルボキシル酸素(=O)のように2重結合を介して結合している場合、置換基は、2個の利用可能な原子価を奪うことから、含まれ得る置換基の総数は、利用可能な原子価の数に応じて減少する。置換されていても良い化合物は、本明細書において「置換されているか置換されていない化合物」とも称することができる。
【0065】
本明細書で使用される「ハロ」には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードなどがある。多くの場合、フルオロおよびクロロが好ましい。
【0066】
本明細書で使用される「アミノ」はNHを意味するが、アミノが「置換されている」か「置換されていても良い」と記載されている場合、その用語は、NR′R”を含む(ここで、各R′およびR″は独立に、Hであるか、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリールもしくはアリールアルキル基またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、そのアルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アリールもしくはアリールアルキル基またはこれらのうちの一つのヘテロ型のそれぞれは、相当する種類の基に好適であると本明細書に記載された置換基で置換されていても良い。その用語は、R′およびR″が一体に連結されて、3から8員環(飽和、不飽和または芳香族であることができ、環員として、独立にN、OおよびSから選択される1から3個のヘテロ原子を含み、そしてアルキル基に好適であると記載された置換基で置換されていても良い)を形成しているか、NR′R″が芳香族基である場合には、それが、ヘテロアリール基に関して代表的であると記載された置換基で置換されていても良い形態も含むものである。
【0067】
本明細書で使用される場合、「炭素環」または「炭素環式」という用語は、環中に炭素原子のみを含む環状化合物を指し、「複素環」または「複素環式」という用語は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む環状化合物を指す。炭素環および複素環構造は、単環系、二環系または多環系を有する化合物を包含し、別段の断りがない限り、飽和、部分飽和または芳香族であることができ、環構造の性質に好適な1以上の置換基で置換されていても良い。代表的には、炭素環および複素環は環員として3から12個の原子を含む。単環式の炭素環および複素環は代表的には環員として3から7個の原子を含み、二環式の炭素環および複素環は代表的には環員として8から12個の原子を含む。
【0068】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、窒素、酸素または硫黄などの炭素でも水素でもない原子を指す。
【0069】
本明細書で使用される場合、「アザシクロ」環とは、少なくとも1個の窒素を環員として含む複素環を指し、そのアザシクロ基はアザシクロ環の窒素原子を介して基礎分子に結合している。アザシクロ環は、環員としてN、OおよびSから選択される0から2個の別のヘテロ原子を含むことができる。本明細書に記載のアザシクロ環は飽和もしくは不飽和であることができ、置換されていても良い。アザシクロ環上に存在する場合に、好ましい置換基には、例えばオキソ(C=O)、ハロ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシなどがある。代表的には、これらのアザシクロ基は、置換されていても良いC3−C12員環である。非常に多くの実施形態において、アザシクロ環は3から8員単環式環系または8から12員縮合二環式環系を含み、それは含窒素環に縮合した芳香族またはヘテロ芳香族環を含むことができる。
【0070】
本明細書で使用される「溶媒和物」という用語は、溶質(例を挙げると、本明細書に記載の式(I)から(XII)の化合物またはそれの塩)および溶媒によって形成される各種化学量論の錯体を指す。溶媒の例には、水(すなわち、水和物)、アセトン、メタノール、エタノールおよび酢酸などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0071】
本明細書で使用される「製薬上許容される」という用語は、本明細書に記載の化合物の生理活性または特性を損なうことのない担体または希釈剤などの材料を指す。そのような材料は、個体に投与されて、望ましくない生理効果を引き起こしたり、それが含まれる組成物のいずれかの成分と有害な形で相互作用することがない。
【0072】
本明細書で使用される「製薬上許容される塩」という用語は、それを投与する生物に対してほとんど刺激を生じることがなく、本明細書に記載の化合物の生理活性および特性を損なうことがない化合物の製剤を指す。
【0073】
本発明は、二つの構造的に類似した結合領域を有する二量体および二量体様化合物を提供する。これらの結合領域は連結基によって連結されており、類似しているが、それらの領域は必ずしも同一である必要はない。ある種の実施形態において、各結合領域が同一であることから、その分子はそれの連結基に対して対称である。他の実施形態において、二つの結合領域は異なっている。具体的な実施形態に関して本明細書でさらに説明されるように、この連結は、飽和もしくは不飽和であることができる置換されていても良いアルキレンまたはヘテロアルキレン鎖、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い炭素環または複素環を含むことができ、環状もしくは非環状の特徴の組み合わせを含んでいても良い多くの選択肢含むことができる。
【0074】
本明細書で提供されるアポトーシス促進化合物は、「二量体」と称される場合がある。これらの「二量体」には、二つの同一のモノマー結合領域を含む対称二量体ならびに非対称二量体の両方が含まれる。非対称二量体は、異なって置換された同一のコア基を含むことができるか、モノマー部分を一体に連結する連結基Lに結合した2個の異なるコア基を含むことができる。対称二量体は、連結基Lに結合した二つの同一のモノマー単位を含む。
【0075】
1態様において、本発明は下記式(I)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含まれる。
【0076】
【化7】


式中、各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すか;=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rが独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであるか、これらの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1a、R1b、R1a′およびR1b′のそれぞれは独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
1aとR1b、またはR1a′とR1b′がそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良く;
各RおよびR2′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
JおよびJ′のそれぞれは独立に、−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり、
各Rは独立に、H、または置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
各nおよびn′は独立に0から3であり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0077】
別の態様において本発明は、下記式(II)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0078】
【化8】

式中、J、J′、L、K、K′、R1a、R1a′、R、R2′、Y、Y′、Z、Z′、mおよびm′は式(I)について定義の通りである。
【0079】
式(I)および(II)の化合物は、同一であるか異なっていることができ、−K−L−K′−として表される部分を介して連結している二つの結合領域を含み、K、K′およびLは本明細書で提供のように定義され、KおよびK′は同一であるか異なっていることができる。非常に多くの実施形態において、KおよびK′は同一である。他の実施形態において、それらは異なっている。
【0080】
式(I)の一部の実施形態において、R1a、R1b、R1aおよびR1bのそれぞれは独立に、HまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルもしくはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0081】
ある種の好ましい実施形態において、R1bおよびR1b′は両方ともHである。他の好ましい実施形態において、R1aおよびR1a′のそれぞれがC1−C8アルキル、好ましくはC1−C4アルキルである。非常に多くの実施形態において、R1aおよび/またはR1aはメチル、えチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルである。
【0082】
式(I)の他の実施形態において、R1aとR1bまたはR1a′とR1b′がそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良い。
【0083】
式(I)の化合物において、各nおよびn′は独立に0から3であることで、結合領域のコアを形成する含窒素含が置換されたアゼチジン、ピロリジン、ピペリジンまたはホモピペリジン環となるようになっている。
【0084】
式(I)および(II)の一部の実施形態において、結合領域のコア環は(Y)または(Y′)−と称される4個以下の基によって置換されていても良く、mおよびm′は独立に0から4である。存在する場合、各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し、または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基である。非常に多くの実施形態で、mおよびm′は独立に0または1である。ある種の好ましい実施形態において、mおよびm′の両方が0である。他の好ましい実施形態において、mおよびm′の両方が1である。
【0085】
式(I)および(II)の他の実施形態において、同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良い。一部のそのような実施形態において、隣接する原子上の2個のY基またはY′基が環化して、コア含窒素環に縮合した置換されていても良いフェニル環を形成していることができ、それによって結合領域のうちの一方または両方が例えば置換されていても良いインドリン、イソインドリン、テトラヒドロキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環などの縮合環系を含む。
【0086】
式(I)および(II)の化合物において、各RおよびR2′は独立にHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルである。非常に多くの実施形態におちて、RおよびRのそれぞれがHまたはメチルであり、好ましくは、RおよびR′のそれぞれがHである。
【0087】
式(I)および(II)の化合物において、JおよびJ′のそれぞれが独立に、−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルである。ある種の好ましい実施形態において、JおよびJ′のそれぞれが−C(O)−である。他の好ましい実施形態において、JおよびJ′のそれぞれが−CH−である。
【0088】
式(I)から(V)の化合物において、KおよびK′(存在する場合)のそれぞれは独立に、ジアミン、アミノアルコール、ジオール、アミノチオール、ジチオール、またはメルカプトアルコール部分を含み、そのアミノ、アルコール、および/またはチオール基のN、OおよびS原子はそれぞれ、一方で基JまたはJ′そして他方で連結基Lを介して結合領域への結合箇所を形成している。例えば、Kがジアミノ部分を含む場合、アミノ基のうちの一つがJに結合しており、他方がLに結合している。好適なジアミン、アミノアルコール、ジオール、アミノチオール、ジチオール、またはメルカプトアルコール部分には、1,2−ジアミン類、1,2−アミノアルコール類、1,2−ジオール類、1,2−アミノチオール類、1,2−ジチオール類、または1,2−メルカプトアルコール類、1,3−ジアミン類、1,3−アミノアルコール類、1,3−ジオール類、1,3−アミノチオール類、1,3−ジチオール類、または1,3−メルカプトアルコール類、および1,4−ジアミン類、1,4−アミノアルコール類、1,4−ジオール類、1,4−アミノチオール類、1,4−ジチオール類、または1,4−メルカプトアルコール類などがある。これらの部分は、環状または非環状であることができ、置換されていても良い。
【0089】
式(I)および(II)の化合物において、KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択されることができ、各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;各Rは独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキルもしくはC3−C8複素環であり、あるいは2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;各pは独立に2から4である。
【0090】
式(I)および(II)の化合物において、各ZおよびZ′は独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表す。一部の実施形態において、Zおよび/またはZ′は1−アミノアルキル基であることができる。例えば、Zおよび/またはZ′は1−アミノメチルまたは1−アミノエチルまたは1−アミノプロピルなどの1−アミノアルキル基であることができ、そのアミン基は1個もしくは2個の置換されていても良いC1−C8アルキル基で置換されており、C1−C8アシルまたはヘテロアシル基で置換されていても良い。代表的な実施形態では、ZおよびZ′のそれぞれが1−アミノプロピル、または1−アミノエチル、またはアミノメチル、または1−メチルアミノプロピル、または1−メチルアミノエチル、またはメチルアミノメチルである。あるいは、ZまたはZ′は1−エチルアミノメチルまたは1−エチルアミノエチルであることができる。ある種の実施形態において、ZおよびZ′は同一である。ZまたはZ′が、それが結合しているカルボニルに隣接したキラル中心を有する場合、そのキラル中心は(R)配置または(S)配置のいずれかを有することができる。具体的な実施形態において、それは場合により、好ましくは(S)絶対配置である。
【0091】
ある種の実施形態において、Zおよび/またはZ′は、式−CH(R)NRの基を表し、RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり、各RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基である。具体的な好ましい実施形態において、RおよびRのそれぞれは独立に、HおよびC1−C4アルキルから選択される。ある種の好ましい実施形態において、RはC1−C4アルキルであり、一方のRはHであり、他方のRはC1−C4アルキルである。他の好ましい実施形態において、Rはヒドロキシルによって置換されたC1−4アルキルであり、例えば一部の実施形態では、Rは−CHOHである。一部のそのような実施形態において、各Rは独立にHおよびC1−C4アルキルから選択される。
【0092】
式(I)から(V)の化合物において、LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0093】
本明細書で示した式について記載の連結基L自体が対称または非対称であることができることは当業者には明らかであろう。単なる例として挙げると、非対称連結基Lには、例えば−フェニル−CH−および−C(O)−CH−などがあり、対称連結基Lの例には、例えば−C(O)−(CH−C(O)−、−C(O)−フェニル−C(O)−、−(CH−および−CH−C≡C−C≡C−CH−などがある。
【0094】
別の態様において本発明は、下記式(III)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0095】
【化9】

式中、
J、L、K、R1a、R、Y、Z、およびmは式(I)について定義の通りである。
【0096】
さらに別の態様において本発明は、下記式(IV)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0097】
【化10】

式中、
各Yは置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し、または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く、またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1aはHまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
はHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
Jは−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
Kは−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;
各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
mは0から4であり;
はHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
各RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0098】
式(IV)の一部の実施形態において、当該化合物は下記式(IV−A)または(IV−B)またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型の構造を有し、それらの立体異性体型を含む。
【0099】
【化11】

式中、
J、K、L、R1a、R、R、RおよびYは式(IV)について定義の通りである。
【0100】
別の態様において本発明は、下記式(V)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0101】
【化12】

式中、
各Yは置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く、またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1aはHまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
Jは−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
Kは、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;
各Rは独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環一体となってを形成しており;
各pは独立に2から4であり;
mは0から4であり;
は、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
各Rは、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0102】
式(V)の一部の実施形態において、当該化合物は下記式(V−A)もしくは(V−B)の構造またはまたはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を有する。
【0103】
【化13】

式中、J、K、L、R1a、R、RおよびYは式(V)について定義の通りである。
【0104】
式(III)の化合物において、Zは置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表す。非常に多くの実施形態において、Zは1−アミノアルキル基である。例えば、Zは1−アミノメチルまたは1−アミノエチルまたは1−アミノプロピルなどの1−アミノアルキル基であることができ、そのアミン基は1個もしくは2個の置換されていても良いC1−C8アルキル基で置換されており、C1−C8アシルまたはヘテロアシル基で置換されていることもできる。代表的な実施形態において、Zは1−アミノプロピル、または1−アミノエチル、またはアミノメチル、または1−メチルアミノプロピル、または1−メチルアミノエチル、またはメチルアミノメチルである。あるいは、Zは1−エチルアミノメチルまたは1−エチルアミノエチルであることができる。Zが、それが結合しているカルボニルに隣接したキラル中心を有する場合、そのキラル中心は(R)配置または(S)配置のいずれかを有することができる。具体的な実施形態において、それは場合により、好ましくは(S)配置である。
【0105】
式(III)のある種の実施形態において、Zは、式−CH(R)NRの基を表し、RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり、各RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基である。具体的な好ましい実施形態において、RおよびRのそれぞれは独立に、HおよびC1−C4アルキルから選択される。ある種の好ましい実施形態において、RはC1−C4アルキルであり、一方のRはHであり、他方のRはC1−C4アルキルである。他の好ましい実施形態において、Rはヒドロキシルによって置換されたC1−4アルキルであり、例えば一部の実施形態では、Rは−CHOHである。一部のそのような実施形態において、各Rは独立にHおよびC1−C4アルキルから選択される。
【0106】
式(III)および(IV)の化合物において、RはHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルである。非常に多くの実施形態において、RはHまたはメチルであり、好ましくは、RのそれぞれがHである。
【0107】
(III)から(V)の化合物において式、R1aはHまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良い。ある種の実施形態において、R1aはC1−C8アルキル、好ましくはC1−C4アルキルである。非常に多くの実施形態において、R1aはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルまたはtert−ブチルである。
【0108】
式(III)から(V)の一部の実施形態において、結合領域のピロリジン環は、(Y)と称される4個以下の基によって置換されていても良く、mは0から4である。存在する場合、各Yは、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し、または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基である。非常に多くの実施形態で、mは0または1である。ある種の好ましい実施形態において、mは0である。他の好ましい実施形態において、mは1である。
【0109】
式(III)から(V)の他の実施形態において、同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良い。一部のそのような実施形態において、隣接する原子上の2個のY基が環化して、コア含窒素環に縮合した置換されていても良いフェニル環を形成していることができ、それによって結合領域のうちの一方または両方が例えば置換されていても良いインドリン、イソインドリン、テトラヒドロキノリンまたはテトラヒドロイソキノリン環などの縮合環系を含む。
【0110】
式(III)から(V)の化合物において、Jは−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルである。ある種の好ましい実施形態において、Jは−C(O)−である。他の好ましい実施形態において、Jは−CH−である。
【0111】
式(III)から(V)の化合物において、Kは、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;各Rは独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキルもしくはC3−C8複素環であり、あるいは2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;各pは独立に2から4である。
【0112】
式(IV)および(V)の化合物において、式(I)から(III)でZと称される基は式−CH(R)NRの基によって置き換わっており、RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり、各RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基である。具体的な好ましい実施形態において、RおよびRのそれぞれは独立に、HおよびC1−C4アルキルから選択される。ある種の好ましい実施形態において、RはC1−C4アルキルであり、一方のRはHであり、他方のRはC1−C4アルキルである。特に実施形態において、Rはメチルであり、一方のRはHであり、他方のRはメチルである。他の好ましい実施形態において、Rはヒドロキシルによって置換されたC1−4アルキルであり;例えば一部の実施形態において、Rは−CHOHである。一部のそのような実施形態において、各Rは独立にHおよびC1−C4アルキルから選択される。
【0113】
一部の実施形態において、−CH(R)NRとして表される基は、1−アミノプロピル、1−アミノエチル、アミノメチル、1−メチルアミノプロピル、1−メチルアミノエチル、メチルアミノメチル、1−エチルアミノメチルまたは1−エチルアミノエチルである。置換基Rを有する炭素原子は、RがHではない場合には、キラル中心を有する。そのキラル中心は(R)配置または(S)配置のいずれかを有することができ、それは場合により、好ましくは(S)配置である。
【0114】
式(I)の化合物が式(II)、(III)、(IV)および(V)の化合物を包含すること、式(IV)の化合物が式(IV−A)および(IV−B)の化合物を包含すること、そして式(V)の化合物が式(V−A)および(V−B)の化合物を包含することは明らかであろう。
【0115】
本明細書に開示の式(I)から(V)の一部の実施形態において、KおよびK′(存在する場合)のそれぞれは、下記の構造を有する1,2−アミノアルコールまたは1,2−ジアミノ部分を表し、それの立体異性体型も含む。
【0116】
【化14】

一部のそのような実施形態において、KおよびK′(存在する場合)のそれぞれは、下記のものからなる群から選択される。
【0117】
【化15】

式(I)から(V)のある種の実施形態において、KおよびK′(存在する場合)では、下記の基は除外される。
【0118】
【化16】

式(I)から(V)の化合物において、LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0119】
式(I)から(V)の一部の実施形態において、Lは、置換されていても良いおよび/または不飽和のC1−C14アルキレンまたはC1−C14ヘテロアルキレンである。例えば、Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン連結基またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すことができ、それらはそれぞれ置換されていても良い。一部のそのような実施形態において、Lは、2個のKおよび/またはK′基間の経路の一部を形成する飽和、部分不飽和または芳香族の炭素環または複素環を含む。非常に多くの実施形態において、Lは、1以上のカルボニル置換基(=O)で置換されていることで、1以上のアシル基を含む連結基を形成している。
【0120】
本明細書における式について記載のある種の実施形態において、Lは、それの中心原子(2個の利用可能な原子価をつなぐ鎖が長さにおいて奇数個の原子である場合)またはそれの中心結合(2個の利用可能な原子価をつなぐ鎖が長さにおいて偶数個の原子である場合)で対称である。式IからVの一部の実施形態において、Lは、2個のK基間またはKとK′の間の最短経路でカウントして2から8個の原子の長さである。ある種の実施形態において、LはN、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含むこともできるが、ジスルフィド連結は含まない。
【0121】
Lが環を含む場合、その環はシクロアルキル、複素環、アリール、またはヘテロアリールであることができ、さらに置換されていても良い。式IからVの一部の実施形態において、そのような環はKおよび/またはK′に直接結合していることができるか、C1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基を介してKおよび/またはK′に結合していることができる。非常に多くの場合、Lの一部である環は、カルボキシ基によって置換されており、それがKおよび/またはK′への結合箇所を形成していることで、エステルまたはアミド連結がK/K′およびLの間の結合によって形成されている。
【0122】
ある種の実施形態において、Lは置換されていても良い5員もしくは6員芳香族またはヘテロ芳香族環を含む。具体的な実施形態において、Lは少なくとも一つの置換されていても良いフェニル、ピリジル、ピラゾールまたはトリアゾール環を含む。そのような環は、基KおよびK′によって1,2−ジ置換、または1,3−ジ置換、または1,4−ジ置換されていることができ、それらの置換基は環に直接結合していることができるか、L中に含まれる1以上の原子によって、例えばC1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基によって環から分離されていても良い。
【0123】
連結基Lの一部を含む環は、そのような置換が化学的に妥当である程度まで置換されていても良い。Lの一部を含む環上に存在する場合の好ましい適宜の置換基には、アルキル(C1−C4)、アルコキシ(C1−C4)、−CF、−OCF、ハロ、−OH、−NO、−CN、またはNRなどがあり、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルである。
【0124】
ある種の実施形態において、Lは置換されていても良いアリーレンまたはアリールアルキレン基またはこれらのうちの一つのヘテロ型を含み、それに対してKおよびK′は直接または間接に結合している。例えば、Lは−CH−Ar−CH−、−C(O)−Ar−C(O)−、−SO−Ar−SO−、−C(O)−Ar−または−Ar−であることができ、Arは置換されていても良い5員もしくは6員の芳香族またはヘテロ芳香族環を表す。一部の実施形態において、Lは、基Kおよび/またはK′によって1,2−ジ置換、または1,3−ジ置換、または1,4−ジ置換されていても良いフェニル環を含み、その置換基は環に直接または間接に結合していることができる。他の実施形態において、Lは、環員としてN、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含むことができる置換されていても良い5員もしくは6員のヘテロアリール環を含む。さらに別の実施形態において、Lは、置換されていても良いC3−C10シクロアルキレン環を含む。
【0125】
式IからVの化合物について本明細書に記載のLの実施形態は、式VIからXIIの化合物にも好適である。
【0126】
別の態様において本発明は、下記式(VI)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0127】
【化17】

式中、
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立に、H、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1a、R1b、R1a′およびR1b′のそれぞれが独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
1aとR1b、またはR1a′とR1b′がそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良く;
各RおよびR2′は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各WおよびW′は独立に置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各QおよびQ′は独立に−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にH、または置換されていても良いC1−C8アルキル、または置換されていても良いC1−C8ヘテロアルキルであり;またはLが環を含む場合にQおよびQ′のうちの一方または両方が結合であることができ;
各nおよびn′は独立に0から3であり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0128】
別の態様において本発明は、下記式(VII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0129】
【化18】

式中、
各Yは独立に置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
1aは、HまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
は、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
Wは、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWは結合であることができ、その場合にXは置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各Xは、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWの同一の原子に結合した2個の5から10員環状基を表すことができ;
Qは、−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、または置換されていても良いC1−C8ヘテロアルキルであり;またはLが環を含む場合に、Qが結合であることができ;
mは0から4であり;
Zは、置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレンまたはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0130】
式(VI)の化合物において、各QおよびQ′は独立に、−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルである。式(VI)の一部の実施形態において、QおよびQ′は同一である。式(VI)の具体的な実施形態において、QおよびQ′のそれぞれが−NH−である。他の実施形態において、Lが環を含む場合、各QおよびQ′は独立に結合を表すことができる。具体的な実施形態において、Lが少なくとも1個のフェニル、ピリジン、ピラゾールまたはトリアゾール環を含む場合、各QおよびQ′は独立に、結合を表す。
【0131】
式(VII)の化合物において、Qは−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルである。式(VII)の具体的な実施形態において、各Qは−NH−である。他の実施形態において、Lが環を含む場合、各Qは結合を表す。具体的な実施形態において、Lが少なくとも1個のフェニル、ピリジン、ピラゾールまたはトリアゾール環を含む場合、各Qは結合を表す。
【0132】
式(VI)の化合物において、nおよびn′は独立に0から3であることができ、一部の実施形態において、nおよびn′は同一である。ある種の実施形態において、nおよびn′はそれぞれ1および2から選択され、同一であるか異なっていることができ、具体的な実施形態において、nおよびn′は両方とも1である。
【0133】
式(VI)および(VII)の化合物において、(Y)および(Y′)−のそれぞれが、存在する場合、含窒素環上に存在しても良い1以上の置換基を表し、mおよびm′のそれぞれが0から4である。式(VI)の化合物において、含窒素コア環のそれぞれが異なって置換されていても良い。一部のそのような実施形態において、各Yおよび/またはY′は独立に、アルキル基に好適なものと本明細書に記載の置換基から選択される。例えば、各Yおよび/またはY′は独立に、C1−C8アルキル、=O、OR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRSORまたはCOORを表すことができ、各Rは独立にH、C1−C8アルキルまたはC1−C8ヘテロアルキルである。ある種の実施形態において、単一の含窒素コア環基上の2個のYまたはY″基が環化して、3から6環員を有し、環員として1以上のヘテロ原子(N、OまたはS)を含んでいても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の環を形成することができ、そのような環の実施形態は本明細書に記載の好適な置換基で置換されていても良い。
【0134】
式(VI)のある種の実施形態において、mおよびm′は同一である。式(VI)の多くの実施形態において、mおよびm′のそれぞれが0または1である。具体的な実施形態には、m=m′=1およびm=m′=0などがある。mおよびm′が1である一部の実施形態において、YおよびY′のそれぞれが同じである。式(VII)のある種の実施形態において、mは0または1である。一部の実施形態において、mは0である。他の実施形態において、mは1である。
【0135】
式(VI)の一部の実施形態において、R1a、R1b、R1aおよびR1bのそれぞれは独立に、HまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良い。一部のそのような実施形態において、R1aおよびR1bのうちの一方がHであり、他方がC1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニルであり、R1a′およびR1b′のうちの一方がHであり、他方がC1−C4アルキル、C2−C4アルケニルまたはC2−C4アルキニルである。
【0136】
式(VI)の一部の実施形態において、R1aとR1bまたはR1aとR1bがそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択されるヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良い。
【0137】
式(VII)の一部の実施形態において、R1aのそれぞれが独立に、HまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良い。一部のそのような実施形態において、R1aはC1−C4アルキル、C2−C4アルケニル、C2−C4アルキニルである。ある種の実施形態において、R1aはメチル、エチル、アリル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、プロピン−3−イル、シクロヘキシルまたはフェニルから選択される。
【0138】
式(VI)の化合物について、各RおよびR2′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり、好ましい実施形態において、RおよびR2′はHである、式(VII)の化合物について、RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり、好ましい実施形態において、RはHである。
【0139】
式(VI)または(VII)の化合物におけるZおよび/またはZ′のそれぞれが、独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基である。これは、少なくとも1個のアミン基で置換されており、アルキル基について置換基として好適な1以上の他の基で置換されていても良いC1−C6アルキル基であることができる。
【0140】
式(VI)および(VII)の一部の実施形態において、Zは式−CH(R)NRの基を表し、RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;各RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基である。具体的な好ましい実施形態において、RおよびRのそれぞれは独立に、HおよびC1−C4アルキルから選択される。ある種の好ましい実施形態において、RはC1−C4アルキルであり、一つのRがHであり、他方のRがC1−C4アルキルである。一部のそのような実施形態において、RはHまたはメチル、エチル、アリルもしくはプロピルなどのC1−C4アルキル基である。ある種の好ましい実施形態において、各Rは独立に、Hまたはメチル、エチルまたはプロピルなどのC1−C4アルキル基である。一部の好ましい実施形態において、RはC1−C4アルキル基であり、一つのR基はHであり、他方はC1−C4アルキルである。他の好ましい実施形態において、Rは、ヒドロキシルで置換されたC1−4アルキルであり;例えば、一部の実施形態において、Rは−CHOHである。一部のそのような実施形態において、各Rは独立にHおよびC1−C4アルキルから選択される。場合により、各Zおよび/またはZ′は式−CH(Me)NHMeまたは−CH(CHOH)NHMeの基を表す。
【0141】
式(VI)および(VII)の一部の実施形態において、Zおよび/またはZ′は1−アミノメチルまたは1−アミノエチルまたは1−アミノプロピルなどの1−アミノアルキル基であることができ、そのアミン基は1個もしくは2個の置換されていても良いC1−C8アルキル基で置換されており、C1−C8アシルまたはヘテロアシル基で置換されていても良い。代表的な実施形態において、Zおよび/またはZ′のそれぞれは、1−アミノプロピル、または1−アミノエチル、またはアミノメチル、または1−メチルアミノプロピル、または1−メチルアミノエチル、またはメチルアミノメチルである。あるいは、Zおよび/またはZ′は1−エチルアミノメチルまたは1−エチルアミノエチルであることができる。式(VI)のある種の実施形態において、ZおよびZ′は同じである。
【0142】
ZまたはZ′がそれらが連結されているカルボニルに隣接したキラル中心を有する場合、そのキラル中心は(R)配置または(S)配置を有することができる。具体的な実施形態に関して、場合により、それは好ましくは(S)絶対配置のものである。具体的な実施形態において、Zおよび/またはZ′は、本明細書にさらに記載の式−CH(R)NRの基である。
【0143】
式(VI)の一部の実施形態において、各WおよびW′は独立に、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレン連結基であり、それにXまたはX′が結合している。式(VI)の他の実施形態において、各WおよびW′は独立に結合を表し、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含む。
【0144】
式(VI)におけるWおよびW′のそれぞれは独立に選択されることから、それらは同一であるか異なっていることができる。一部の実施形態において、WおよびW′は同一であり、多くの実施形態において、WおよびW′のそれぞれが=Oで置換されている。
【0145】
式(VI)の一部の実施形態において、WおよびW′のそれぞれは、−C(O)NR(CHR−と表すことができ、各pは0から2であり、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルまたはC1−C4ヘテロアルキルである。
【0146】
式(VI)の一部の実施形態において、XおよびX′のそれぞれが、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環である。他の実施形態において、XおよびX′のそれぞれは、少なくとも一つのアリールまたはヘテロアリール基および環員としてN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含むC5−C20環系であり、単一の5から15員環基であることができるか、それはWまたはW′の単一の原子に両方が結合している二つの5から10員環状基であることができる。これら環状基のそれぞれは単一の環、縮合環系またはビアリール基などの連結環であることができる。適宜に、各XおよびX′置換されていることができ、O、NおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含むことができる。従って、例を挙げると、各XおよびX′はアリールまたはヘテロアリール環を含むことができ、それは単環式または二環式であることができるが、ただし二環基の少なくとも一つの環が芳香族であり、あるいはそれは二つの5から10員環状基を表すことができるが、ただしそれらのうちの少なくとも一つがアリールまたはヘテロアリール環を含む。
【0147】
式(VII)の一部の実施形態において、Wは、Xが結合している置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレン連結基である。式(VII)の他の実施形態において、Wは結合であり、その場合にXは置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含む。
【0148】
式(VII)の多くの実施形態において、Wは=Oで置換されている。ある種の実施形態において、Wのそれぞれが−C(O)NR(CHR−と表すことができ、各pは0から2であり、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルまたはC1−C4ヘテロアルキルである。
【0149】
式(VII)の一部の実施形態において、Xは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環である。非常に多くの実施形態において、式(VII)の化合物における各Xは、少なくとも一つのアリールまたはヘテロアリール基および環員としてN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基であることができるか、それがWの単一の原子に両方が結合した二つの5から10員環状基であることができる。これら環状基のそれぞれは、単一の環、縮合環系またはビアリール基などの連結環であることができる。適宜に、各Xは置換されていることができ、O、NおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含むことができる。従って、例を挙げると、各Xはアリールまたはヘテロアリール環を含むことができ、それは単環式または二環式であることができるが、ただし二環式基のうちの少なくとも一つの環が芳香族であり、あるいはそれは二つの5から10員環基を表すことができるが、ただしそれらのうちの少なくとも一つがアリールまたはヘテロアリール環を含む。
【0150】
式(VI)の具体的な実施形態において、各XおよびX′は独立に、置換されていても良いフェニル環または一方もしくは両方のフェニル環上で置換されていることができるWまたはW′の1個の原子上の2個のフェニル環を含み、あるいは各XおよびX′は独立に、2個の芳香族環を有するか、5から6員のアリール環に縮合した飽和5から6員環を有する縮合環系を含むことができ、それらのそれぞれはいずれか一方または両方の環上で置換されていることができる。XおよびX′は独立に選択され、同一であるか異なっていることができる。具体的な実施形態において、XおよびX′は場合によって同一である。
【0151】
式(VII)の具体的な実施形態において、Xは置換されていても良いフェニル環またはWの1個の原子上の2個のフェニル環を含み、それは一方または両方のフェニル環上で置換されていることができ;または各Xが2個の芳香族環を有するか、5から6員アリール環に縮合した飽和5から6員環を有する縮合環系を含むことができ、それらのそれぞれが一方の環または両方の環で置換されていることができる。
【0152】
式(VI)および(VII)の化合物において、Xおよび/またはX′が5もしくは6員アリール環に縮合した5もしくは6員飽和環を含む場合、一部の実施形態において、その飽和環中の原子を介してXがWに結合している(またはX′がWに結合している)。具体的な実施形態において、各Xおよび/またはX′は独立に、テトラヒドロナフチル、インダニルまたはフルオレニル環系の飽和環上の開放原子価を介してWおよび/またはW′の窒素に連結されたテトラヒドロナフチル、インダニルまたはフルオレニル環系である。式(VI)および(VII)の一部の実施形態において、Xは1個もしくは2個のアリール環、好ましくは1個もしくは2個のフェニル環を含み、各アリール環はWの末端炭素原子を介してWに結合している。例えば、一部のそのような実施形態において、−W−Xは、ベンジル、1−フェニルエチルまたはジフェニルメチルなどのアリールアルキル基を含む。式(VI)の一部の実施形態において、X′は1個もしくは2個のアリール環、好ましくは1個もしくは2個のフェニル環を含み;各アリール環はWの末端炭素原子を介してWに結合している。例えば、一部の実施形態において、−W′−X′はベンジル、1−フェニルエチルまたはジフェニルメチルなどのアリールアルキル基を含む。
【0153】
これら実施形態におけるアリールまたはヘテロアリール環は置換されていても良い。XまたはX′の一部であるアリールまたはヘテロアリール環上に存在する場合、好ましい置換基には、C1−C4アルキル、C1−4ヘテロアルキル、C1−C4アルケニル、C1−4ヘテロアルケニル、C1−C4アルキニル、C1−4ヘテロアルキニル、OR、NR、SR、S(O)R、SOR、C(O)R、C5−12アリール、C5−12ヘテロアリール、C5−12アリールアルキル、C5−12ヘテロアリールアルキルおよびハロなどがあり、各Rは独立にH、またはC1−C4アルキル、C1−C4ヘテロアルキル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C12アリールアルキルまたはC5−C12ヘテロアリールアルキルであり、それらのそれぞれはそれの構造に好適な基でさらに置換されていることができ、アルキルまたはアリールアルキル置換基はアルキル部分上でフッ素化されていても良い。Xの一部であるアリールまたはヘテロアリール環上に存在する場合に、より好ましい置換基には、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、CF、OCF、ハロ、NO、CNおよびNRなどがあり、各Rは独立にHまたはC1−4アルキルである。
【0154】
式(VI)の特定の実施形態において、−W−XおよびW′−X′は−C(O)NR(CHRXまたは−C(O)NR(CHRX′の形の基を表し、各pは0から2であり、各Rは独立にHまたはC1−C8アルキル基である。ある種の実施形態において、pは0または1であり、各RはHまたはメチルであることができる。式(VI)の一部の実施形態において、−W−XおよびW′−X′は同一であるが、これらは異なっていることができる。式(VI)の具体的な実施形態において、各XおよびX′は独立に、1個もしくは2個のフェニル基、またはテトラヒドロナフチル、インダニルもしくはフルオレニル環系の飽和環上の開放原子価を介してWの窒素に連結されたテトラヒドロナフチル、インダニルもしくはフルオレニル環系を含む。
【0155】
式(VII)の特定の実施形態において、−W−Xは−C(O)NH(CHR)Ph′の形の基を表し、RはHまたはMeであり、Ph′は置換されていても良いフェニルである。他の実施形態において、−W−Xは−C(O)NHCH(Ph′)の形の基を表し、Ph′は置換されていても良いフェニルである。式(VII)の別の好ましい実施形態において、各Xは、テトラヒドロナフチル、インダニルまたはフルオレニル環系の飽和環上の開放原子価を介してWの窒素に連結した1個もしくは2個のフェニル基またはテトラヒドロナフチル、インダニルまたはフルオレニル環系を含む。
【0156】
式(VI)および(VII)の一部の実施形態において、−W−Xおよび/または−W′−X′は−C(O)NH−Ar′の形の基を表し、Ar′は好ましくは飽和環中の原子の一つを介してアミド窒素に結合したインダニル、テトラヒドロナフチルまたはフルオレニル環系を表す。
【0157】
式(VI)および(VII)の化合物において、LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0158】
式(VI)および(VII)の一部の実施形態において、Lは置換されていても良いおよび/または不飽和C1−C14アルキレンまたはC1−C14ヘテロアルキレンである。例えば、LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン連結基またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すことができ、それらはそれぞれ置換されていても良い。一部のそのような実施形態において、Lは、二つのQおよび/またはQ′基の間の経路の一部を形成している飽和、部分不飽和または芳香族の炭素環または複素環を含む。非常に多くの実施形態において、Lは1以上のカルボニル置換基(=O)で置換されていることで、1以上のアシル基を含む連結基を形成している。
【0159】
ある種の実施形態において、Lは、それの中心原子(2個の利用可能な原子価をつなぐ鎖が長さにおいて奇数個の原子である場合)またはそれの中心結合(2個の利用可能な原子価をつなぐ鎖が長さにおいて偶数個の原子である場合)で対称である。一部の実施形態において、Lは、2個のQ基間またはQとQ′の間の最短経路でカウントして2から8個の原子の長さである。ある種の実施形態において、LはN、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含むこともできるが、ジスルフィド連結は含まない。
【0160】
Lが環を含む場合、その環はシクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであることができ、さらに置換されていても良い。そのような環はQおよび/またはQ′に直接結合していることができるか、C1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基を介してQおよび/またはQ′に結合していることができる。非常に多くの場合、Lの一部である環は、カルボキシ基によって置換されており、それがQおよび/またはQ′への結合箇所を形成していることで、エステルまたはアミド連結がQ/Q′およびLの間の結合によって形成されている。
【0161】
ある種の実施形態において、Lは置換されていても良い5員もしくは6員芳香族またはヘテロ芳香族環を含む。具体的な実施形態において、Lは少なくとも一つの置換されていても良いフェニル、ピリジル、ピラゾールまたはトリアゾール環を含む。そのような環は、基QおよびQ′によって1,2−ジ置換、または1,3−ジ置換、または1,4−ジ置換されていることができ、それらの置換基は環に直接結合していることができるか、L中に含まれる1以上の原子によって、例えばC1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基によって環から分離されていても良い。
【0162】
連結基Lの一部を含む環は、そのような置換が化学的に妥当である程度まで置換されていても良い。Lの一部を含む環上に存在する場合の好ましい適宜の置換基には、アルキル(C1−C4)、アルコキシ(C1−C4)、−CF、−OCF、ハロ、−OH、−NO、−CN、またはNRなどがあり、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルである。
【0163】
ある種の実施形態において、Lは置換されていても良いアリーレンまたはアリールアルキレン基またはこれらのうちの一つのヘテロ型を含み、それに対してKおよびK′は直接または間接に結合している。例えば、Lは−CH−Ar−CH−、−C(O)−Ar−C(O)−、−SO−Ar−SO−、−C(O)−Ar−または−Ar−であることができ、Arは置換されていても良い5員もしくは6員の芳香族またはヘテロ芳香族環を表す。一部の実施形態において、Lは、基Qおよび/またはQ′によって1,2−ジ置換、または1,3−ジ置換、または1,4−ジ置換されていても良いフェニル環を含み、その置換基は環に直接または間接に結合していることができる。他の実施形態において、Lは、環員としてN、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含むことができる置換されていても良い5員もしくは6員のヘテロアリール環を含む。さらに別の実施形態において、Lは、置換されていても良いC3−C10シクロアルキレン環を含む。
【0164】
別の態様において本発明は、下記式(VIII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0165】
【化19】

環Aおよび環A′のそれぞれは独立にC3−C12アザシクロ環を表し、それらのそれぞれは環員としてN、O、Sから選択される0から2個の別のヘテロ原子を含んでいても良く;
各YおよびY′は独立に置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;アルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各WおよびW′は独立に、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各EおよびE′は独立に、−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、CH(R)D−、−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にH、または置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEおよびE′のうちの一方または両方が結合であることができ、その場合にLは環を含み;
各RおよびR2′は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキルであり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0166】
さらに別の態様において本発明は、下記式(IX)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0167】
【化20】

環AはC3−C12アザシクロ環を表し、それらのそれぞれは環員としてN、O、Sから選択される0から2個の別のヘテロ原子を含んでいても良く;
各Yは置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;アルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
Wは、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWは結合であることができ、その場合にXは置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
Xは、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWの同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各Eは、−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、CH(R)D−、−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にH、または置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEおよびE′のうちの一方または両方が結合であることができ、その場合にLは環を含み;
各RはHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり;
mは0から4であり;
各Zは、置換されていても良いC1−C6アミノアルキルであり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0168】
式(VIII)および(IX)の一部の実施形態において、環Aおよび環A′のそれぞれは独立に、下記のものからなる群から選択される。
【0169】
【化21】

式中、は、それぞれ環Aまたは環A′におけるWまたはW′への結合箇所を表す。
【0170】
式(VIII)および(IX)の好ましい実施形態において、環Aおよび環A′は両方が下記式のピロリジンであることはない。
【0171】
【化22】

別の態様において本発明は、下記式(X)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0172】
【化23】

式中、
環Bおよび環B′のそれぞれが独立に、環員としてN、O、Sから選択される1から3個のヘテロ原子を含むC3−C12炭素環またはC3−C12複素環であり;
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであり、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各UおよびU′は独立に−NR−、−O−、または−S(O)−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルであり、vは0から2であり;
各WおよびW′は独立に、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、そして単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各EおよびE′は独立に、−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、CH(R)D−、または−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にH、または置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEおよびE′のうちの一方または両方が結合であることができ、その場合にLは環を含み;
各RおよびR′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各RおよびR′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキルであり;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0173】
さらに別の態様において本発明は、下記式(XI)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0174】
【化24】

式中、環B、E、L、U、W、X、Y、Z、R、Rおよびmは式(X)について定義の通りである。
【0175】
式(X)および(XI)の化合物において、B環および/またはB′環は単環式もしくは縮合二環式C3−C12炭素環もしくは複素環系であることができ、それは飽和、不飽和または芳香族であることができ、さらに置換されていても良い。式(X)の化合物において、B環およびB′環は独立に選択される。
【0176】
式(X)および(XI)の一部の実施形態において、Bおよび環B′のそれぞれ環は独立に、置換されていても良いインダンまたはテトラヒドロナフタレン環系を表す。一部のそのような実施形態において、Bおよび環B′のそれぞれ環は独立に下記のものである。
【0177】
【化25】

式中、**はUまたはU′への結合箇所を表し、はNRまたはNR7′への結合箇所を表す。
【0178】
式(VI)から(XI)の化合物において、各WおよびW′が存在する場合、それらは独立に置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンを表し;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含む。
【0179】
式(VI)から(XI)の化合物の非常に多くの実施形態において、各XおよびX′は独立に、少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系を表し、単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ、ただし、各XおよびX′は少なくとも一つのアリールまたはヘテロアリール環を含む。他の実施形態において、各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環である。
【0180】
式(VI)から(XI)の一部のそのような実施形態において、W−Xおよび/またはW′−X′は独立に、下記のものを表す。
【0181】
【化26】

式中、
各tは1から4であり;
は、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルであり、その各アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルおよび複素環は置換されていても良い。
【0182】
式(VI)から(XI)の化合物において、LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0183】
式(VI)から(XI)の一部の実施形態において、Lは、置換されていても良いおよび/または不飽和のC1−C14アルキレンまたはC1−C14ヘテロアルキレンである。例えば、Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン連結基またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すことができ、それらはそれぞれ置換されていても良い。一部のそのような実施形態において、Lは、式(VI)および(VII)では2個のQおよび/またはQ′基間、または式(VIII)から(XI)では2個のEおよび/またはE′基間の経路の一部を形成する飽和、部分不飽和または芳香族の炭素環または複素環を含む。非常に多くの実施形態において、Lは、1以上のカルボニル置換基(=O)で置換されていることで、1以上のアシル基を含む連結基を形成している。
【0184】
ある種の実施形態において、Lは、それの中心原子(2個の利用可能な原子価をつなぐ鎖が長さにおいて奇数個の原子である場合)またはそれの中心結合(2個の利用可能な原子価をつなぐ鎖が長さにおいて偶数個の原子である場合)で対称である。一部の実施形態において、Lは、2個のQ基間またはQとQ′の間の最短経路でカウントして2から8個の原子の長さである。ある種の実施形態において、LはN、OおよびSから選択される1以上のヘテロ原子を含むこともできるが、ジスルフィド連結は含まない。
【0185】
式(VI)から(XI)の一部の実施形態において、Lが環を含む場合、その環はシクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであることができ、さらに置換されていても良い。式(VI)および(VII)において、そのような環はQおよび/またはQ′に直接結合していることができるか、C1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基を介してQおよび/またはQ′に結合していることができる。非常に多くの場合、Lの一部である環は、カルボキシ基によって置換されており、それがQおよび/またはQ′への結合箇所を形成していることで、エステルまたはアミド連結がQ/Q′およびLの間の結合によって形成されている。式(VIII)から(XI)において、そのような環は、Eおよび/またはE′に直接結合していることができるか、C1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基を介してEおよび/またはE′に結合していることができる。非常に多くの場合、Lの一部である環は、カルボキシ基によって置換されており、それがEおよび/またはE′への結合箇所を形成していることで、エステルまたはアミド連結がE/E′およびLの間の結合によって形成されている。
【0186】
ある種の実施形態において、Lは置換されていても良い5員もしくは6員芳香族またはヘテロ芳香族環を含む。具体的な実施形態において、Lは少なくとも一つの置換されていても良いフェニル、ピリジル、ピラゾールまたはトリアゾール環を含む。そのような環は、基QおよびQ′またはEおよびE′によって1,2−ジ置換、または1,3−ジ置換、または1,4−ジ置換されていることができ、それらの置換基は環に直接結合していることができるか、L中に含まれる1以上の原子によって、例えばC1−C8アルキレンまたはヘテロアルキレン基によって環から分離されていても良い。
【0187】
連結基Lの一部を含む環は、そのような置換が化学的に妥当である程度まで置換されていても良い。Lの一部を含む環上に存在する場合の好ましい適宜の置換基には、アルキル(C1−C4)、アルコキシ(C1−C4)、−CF、−OCF、ハロ、−OH、−NO、−CN、またはNRなどがあり、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルである。
【0188】
ある種の実施形態において、Lは置換されていても良いアリーレンまたはアリールアルキレン基またはこれらのうちの一つのヘテロ型を含み、それに対してQおよびQ′またはEおよびE′は直接または間接に結合している。例えば、Lは−CH−Ar−CH−、−C(O)−Ar−C(O)−、−SO−Ar−SO−、−C(O)−Ar−または−Ar−であることができ、Arは置換されていても良い5員もしくは6員の芳香族またはヘテロ芳香族環を表す。一部の実施形態において、Lは、基Qおよび/またはQ′またはEおよび/またはE′によって1,2−ジ置換、または1,3−ジ置換、または1,4−ジ置換されていても良いフェニル環を含み、その置換基は環に直接または間接に結合していることができる。他の実施形態において、Lは、環員としてN、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含むことができる置換されていても良い5員もしくは6員のヘテロアリール環を含む。さらに別の実施形態において、Lは、置換されていても良いC3−C10シクロアルキレン環を含む。
【0189】
さらに別の態様において本発明は、下記式(XII)の化合物またはそれの製薬上許容される塩もしくは水和物型を提供し、それの立体異性体型も含む。
【0190】
【化27】

式中、ΦおよびΦは独立に、下記のものからなる群から選択され:
【0191】
【化28】

はLへの結合箇所を表し;
各Yは独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであり、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各R1aは独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各Jは独立に−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり、
各Rは独立に、H、または置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって、置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
各Qは、−O−、−S−または−NR−を表し、各Rは独立にH、または置換されていても良いC1−C8アルキル、または置換されていても良いC1−C8ヘテロアルキルであり;またはLが環を含む場合に、Qが結合であることができ;
各Eは−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、−CH(R)D−、または−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にHまたは置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEが結合であることができ、その場合にLは環を含み;
Wは置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXは置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
Xは、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、単一の5から15員環基または両方がWの同一の原子に結合した2個の5から10員環状基を表すことができ;
各Uは独立に、−NR−、−O−または−S(O)−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルであり、vは0から2であり;
環Aは環員としてN、O、Sから選択される0から2個の別のヘテロ原子を含んでいても良いC3−C12アザシクロ環を表し;
B環はC3−C12炭素環または環員としてN、O、Sから選択される1から3個のヘテロ原子を含むC3−C12複素環を表し;
各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各R10は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各R11は独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
mは0から4であり;
各Zは独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0192】
式(XII)の一部の実施形態において、ΦおよびΦのそれぞれが同じコア基を有するが異なって置換されている場合、式(XII)の化合物は非対称である。他の実施形態において、ΦおよびΦのそれぞれが異なるコア基を有する場合、式(XII)の化合物はヘテロ二量体である。他の実施形態において、ΦおよびΦのそれぞれが同一のコア基を含む場合、式(XII)の化合物は対称ホモ二量体である。
【0193】
式(XII)の化合物において、基R1a、R、Y、m、J、K、W、X、Q、E、環A、環B、UおよびRは、相当するコア構造を含む式(I)から(XI)の化合物についてと同じものである。従って、基R1a、R、Y、m、J、K、W、X、Q、E、環A、環B、UおよびRについて本明細書に記載の式(I)から(XI)の実施形態は、式(XII)の化合物についても好適である。式(XII)の化合物において、R、R10およびR11のそれぞれは独立に、置換されていても良いC1−C8アルキルである。
【0194】
本明細書で提供される式の一部の実施形態において、Lは置換されていても良いC1−C14アルキレンまたはC1−C14ヘテロアルキレンを含み、それらは飽和または不飽和であることができる。例えば、Lは、−(CH−(qは1から8である)であることができ、アルキル基について好適な基で置換されていても良い。ある種の実施形態において、前記アルキレン鎖は、1個もしくは2個のカルボニル酸素(=O)で置換されている。
【0195】
Lが不飽和である場合、それは場合により、C2−C14アルケニレンまたはC2−C14アルキニレン連結基である。例えば、それは、場合によりC2−C14アルケニレンまたはC2−C14アルキニレン連結基である。例えば、ある種の実施形態において、Lは置換されていても良いC2−C8アルケニレンまたはC2−C8アルキニレン連結基を表す。例えばLは、−(CH−C≡C−C≡C−(CH−または−C≡C−C≡C−(CHC(O)−(qは0から5である)などの置換されていても良いビスアセチレン連結基;−Ph−C≡C−(CH−(qは0から5である)などのアリールアルキニル連結基;1,4−ブト−2−エニレン(−CH−CH=CH−CH−);1,10−デカ−4,6−ジイニレン(−(CHC≡C−C≡C(CH−;1,7−ヘプタ−1,3−ジイニレン(−C≡C−C≡C(CH−;またはこれらのいずれかの置換されていても良いものであることができる。Lは1以上のヘテロ原子を含むこともでき、例えばそれは−CH−O−CH−または−(CHNHC(O)ArC(O)NH(CH−またはこれらのうちのいずれかの置換されたものであることができる。
【0196】
本明細書で提供される式の一部の実施形態において、Lは下記のものからなる群から選択される。
【0197】
【化29】

式中、各Mは独立に、結合または飽和もしくは不飽和C1−C8アルキレンまたはC1−C8ヘテロアルキレン基であり、それらはそれぞれ置換されていても良い。
【0198】
一部の実施形態において、Lは、下記の群から選択される構造を表す。
【0199】
【化30】

式中、は式(I)から(V)では隣接する基Kおよび/またはK′、式(VI)から(VII)ではQおよび/またはQ′、および式(VIII)から(XI)ではEおよび/またはE′、または式(XII)の化合物では適切な基K、QおよびEへの結合箇所を表す。そのような化合物における各qは独立に0から8であり、各芳香族、ヘテロ芳香族または複素環は置換されていても良い。ある種の実施形態において、Lの一部を含む環は、−OH、C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ、ハロ、NOまたはNHからなる群から選択される1以上の置換基で置換されている。
【0200】
特定の実施形態において、Lは下記構造を表す。
【0201】
【化31】

式中、は連結基から基K、K′、Q、Q′、EまたはE′への結合箇所を表し、Rは−OH、−OMe、Me、ハロ、NOまたはNHである。ある種の実施形態において、RはOH、OMe、MeまたはNHである。
【0202】
他の好ましい実施形態において、Lは下記構造を表す。
【0203】
【化32】


式中、は、連結基から基K、K′、Q、Q′、EまたはE′への結合箇所を表す。
【0204】
他の実施形態において、Lは下記の群から選択される構造を表す。
【0205】
【化33】

式中、は連結基から基K、K′、Q、Q′、EまたはE′への結合箇所を表す。
【0206】
本明細書で提供される式の一部の実施形態において、Lは下記の群から選択される構造を表す。
【0207】
【化34】

式中、は連結基から基K、K′、Q、Q′、EまたはE′への結合箇所を表し、各qは独立に0から8であり、各アルキレン基は置換されていても良い。
【0208】
本発明の化合物は代表的には、1以上のキラル中心を含むことができる。本発明は、単離された立体異性体型のそれぞれならびにラセミ混合物を含む多様な程度のキラル純度での立体異性体の混合物を含む。本発明は、形成され得る各種ジアステレオマーおよび互変異体を包含するものである。本発明の化合物は、複数の互変異型で存在する場合もある。一つの互変異体を本明細書で描いている場合、それは簡便を期してそうしているに過ぎず、示されている形の他の互変異体を包含することも明らかである。
【0209】
本発明の化合物は、塩基性アミンまたはカルボン酸のようなイオン化可能基が存在する場合には、塩として分離可能である。本発明は、製薬上許容される対イオンを有するこれらの化合物の塩を含む。そのような塩は当業界で公知であり、反応によって導入される対イオンが医薬用途に許容され得る限りにおいて、例えば、有機もしくは無機塩基との反応によって形成される酸性基の塩、および有機もしくは無機塩基との反応によって形成される塩基性基の塩を含む。適切な塩の製造方法または一つの塩の別の塩への交換は当業界で確立された技術である。場合により、当該化合物は、酸性官能基と塩基性官能基の両方を含むことができ、その場合にそれらは二つのイオン化基を有することができ、やはり正味の電荷を持たない。
【0210】
無機塩基の例には、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、カルシウム、マグネシウムなどのもの)およびアルミニウム、アンモニウムの水酸化物などがある。使用可能と考えられる有機塩基の例には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、Ν,Ν′−ジベンジルエチレンジアミン、カフェイン、および各種の他のアミン類などがある。
【0211】
使用可能と考えられる無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などがある。有機酸の例には、ギ酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などがある。アルギニン、リジン、オルニチンなどの塩基性アミノ酸との塩、およびアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩も含まれる。
【0212】
一部の実施形態において、本発明の化合物は、溶媒和物または塩の溶媒和物の形態で存在する。特定の実施形態において、当該化合物は、水和物または塩の水和物として提供される。
【0213】
本発明の化合物は、少なくとも一つの明細書に開示の式のいずれかの化合物および少なくとも一つの製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物を製造するのに用いることができる。その組成物は、少なくとも一つの製薬上許容される賦形剤、および好ましくは少なくとも一つの水以外のそのような賦形剤またはDMSOなどの溶媒と混合した本発明の化合物を含む。そのような組成物は、Remington′s Pharmaceutical Sciences, 最新版, Mack Publishing Co., Easton, PA(参照によって本明細書に組み込まれる)などのそのような目的において広く信頼されている指針を用いて各種の状態および投与経路に関して最適化することができる。
【0214】
本明細書においては、処置を必要とする対象者に対して、有効量の本明細書に開示の式のいずれかによる化合物を投与することで、細胞増殖性障害の治療または改善を行う段階を有する、細胞増殖性障害の治療または改善方法が提供される。一部の実施形態において、細胞増殖が低減し、細胞死すなわちアポトーシスが誘発される。
【0215】
非常に多くの実施形態において、細胞増殖性障害は癌である。ある種の実施形態において、細胞増殖状態は、腫瘍関連の癌である。その癌は、場合により、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、皮膚癌、卵巣癌、精巣癌、脳癌または肝臓癌である。一部の実施形態において、細胞増殖状態は、非腫瘍性癌であり、例えば白血病(例:急性もしくは慢性、リンパ性または骨髄性の白血病)、リンパ腫(ホジキンまたは非ホジキンリンパ腫)または骨髄腫がある。
【0216】
本発明の化合物は、非常に多様な癌を治療する上で好適である。特に、それらは乳癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌(SCLCおよびNSCLC)、造血性癌(例:白血病、リンパ腫、骨髄腫)、結腸癌、直腸癌、皮膚癌(例:メラノーマ)、卵巣癌、精巣癌、脳癌(例:神経芽細胞腫またはグリア芽細胞腫)または肝臓癌を治療する上で好適である。
【0217】
本明細書では、細胞の増殖を阻害する上で有効な量のでの本明細書に記載の化合物と細胞を接触させる段階を有する、細胞増殖の阻害方法も提供される。その接触は、イン・ビトロ、エクス・ビボまたはイン・ビボで行うことができる。細胞は場合により、癌細胞系などの細胞系のものであり、例えば乳癌、前立腺癌、膵臓癌、肺癌(SCLCおよびNSCLC)、造血性癌(例:白血病、リンパ腫、骨髄腫)、結腸癌、直腸癌、皮膚癌(例:メラノーマ)、卵巣癌、精巣癌、脳癌(例:神経芽細胞腫またはグリア芽細胞腫)または肝臓癌由来の細胞系である。細胞は場合により、組織のものであり、対象者のものであることができ、場合により腫瘍のものであり、そして場合により対象者における腫瘍のものである。ある種の実施形態において、前記方法はさらに、細胞アポトーシスを誘発する段階を有する。
【0218】
本発明の化合物は、各種自己免疫障害、特には関節リウマチ、狼瘡、脈管炎、糸球体腎炎、I型糖尿病、悪性貧血、重症筋無力症、ギランバレー症候群、ならびにAIDS、マラリア、シャーガス病およびライム病などの自己免疫効果を伴う感染を治療する上でも好適である。
【0219】
併用療法
本発明の化合物は、それ自体では、あまり強い細胞毒性を有さない。それらは、その活性について、他のエフェクター(天然、内在性因子、または別の治療因子であることができる)の効果の強化によって決まる。例えば、Smac模倣体は、同時投与した場合に、TRAILまたはエトポシドの活性を大きく強化することが明らかになっている。従って、本発明の化合物は、抗癌作用を有する別の治療因子と組み合わせてまたは併用で用いることができる。そのような別の治療因子は薬剤であることができるか、それは放射線治療であることができる。同様に、本発明の方法には、炎症および/または癌の治療が必要と診断された対象者を少なくとも一つの本発明の化合物で処置し、同時、同時的または順次で、1以上の別の治療剤で処置する方法も含む。
【0220】
別の薬剤を投与する場合、それは代表的には、細胞増殖抑制性、細胞傷害性または抗腫瘍活性を有することが知られたものである。これらの薬剤には、例えばシタラビン、フルダラジン、5−フルオロ−2′−デオキシウリジン、ゲムシタラビン、ヒドロキシ尿素、メトトレキサートなどの代謝拮抗剤;ブレオマイシン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミドなどのDNA活性剤;ドキソルビシン、アドリアマイシンおよびミトキサントロンなどの挿入剤;L−アスパラギナーゼ、シクロヘキシミド、ピューロマイシンなどのタンパク質合成阻害剤;カンプトテシンまたはトポテカンなどのトポイソメラーゼI阻害剤;エトポシドおよびテニポシドなどのトポイソメラーゼII阻害剤;コルセミド、コルヒチン類、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンブラスチンおよびビンクリスチンなどの微小管阻害剤;ならびにフラボピリドール、スタウロスポリンおよびヒドロキシスタウロスポリンなどのキナーゼ阻害剤などがある。これらの薬剤には、ホルモン療法および分子標的剤などもあり得て、特には例えば、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害薬(例:PDGF−R、VEGF−RおよびEGFR阻害薬)、およびモノクローナル抗体がある。
【0221】
本発明の化合物との併用投与に好ましい別の薬剤には、Hsp90(熱ショックタンパク質90)に影響するものなどがある。好適なHsp90阻害剤には、ゲルダノマイシンおよび17−(アリルアミノ)−17−デスメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、そのジヒドロ誘導体、17−AAGHなどのゲルダノマイシン誘導体、ならびに17−ジメチルアミノエチルアミノ−17−デメトキシ−ゲルダナマイシン(17−DMAG)などのゲルダナマイシンの17−アミノ誘導体、11−オキソゲルダナマイシン、そして5,6−ジヒドロゲルダナマイシンなどがある(それらは、米国特許第4261989号;同5387584号;および同5932566号に開示され、それぞれ参照によって本明細書に組み込まれる)。他の好適なHsp90阻害剤には、ラジシコールおよびオキシム類、そしてSoga, et al., Curr. Cancer Drug Targets (2003) 3:359−369、およびYamamoto, et al., Angew. Chem. (2003) 42:1280−1284;およびMoulin, et al, J. Amer. Chem. Soc. (2005) 127:6999−7004に開示されたそれの他の類縁体;PU3,PU24FCIおよびPUH64などのプリン誘導体(Chiosis et al., ACS Chem. Biol. (2006) 1(5):279−284参照)、PCT出願番号WO 2002/0236075に開示されたもの;PCT出願番号WO 2005/028434に開示された関連複素環誘導体;そしてCheung, et al., Bioorg. Med. Chem. Lett. (2005) 15:3338−3343に開示された3,4−ジアリールピラゾール化合物などがある。Hsp90に選択的に結合する抗体および抗体フラグメントも、Hsp90の阻害を起こすための薬剤として投与することができ、本発明の化合物と組み合わせて使用することができる。
【0222】
TRAIL、TRAIL受容体抗体、TNF−αおよびTNF−βなどの天然エフェクターも、この目的のために投与することができ、これらのペプチドおよび抗体の活性断片のように好ましい。
【0223】
本発明の化合物を用いて別の治療薬の効果を強化する場合、その二つの薬剤を併用することができるか、それらを別個に投与することができ、その場合にそれらの投与のタイミングを決めて、それら2薬剤が同時または順次作用するようにする。例えば、その2薬剤は、本発明の化合物と別の抗癌剤の両方を含む単一の医薬製剤として投与することができるか、それらを別個の製剤として同時に投与することができる。あるいは、その化合物および抗癌剤を、実質的に同時期に、例えば同時に、または別個に時間差で、例えば順次で投与することができる。ある種の例において、その組み合わせの個々の成分は、別個に、治療の途中で異なる時点で、または同時に、分割または単一の組み合わせ形態で投与することができる。従って本発明は、本明細書に開示の式の一つの化合物および第2の薬剤による同時、時間差または交互の処理を包含するものである。本発明の化合物を投与してから、抗癌剤を投与することができるか、抗癌剤を投与してから、本発明の化合物を投与することができ、例えば時間差は数秒、数分、数時間、数日または数週間とする。時間差処理の例では、本発明の化合物による治療法コースを行ってから、抗癌剤による治療法コースを行うことができるか、逆順序の処置を用いることができ、各成分による処置を複数回用いることも可能である。
【0224】
製剤および投与
本発明の化合物および組成物の製剤は、全身投与または局所もしくは局部投与に好適な方式で調製することができる。全身製剤には、注射(例えば、筋肉、静脈、皮下注射)向けに設計されたもの、および経皮、経粘膜もしくは経口投与用向けに調製されたものなどがある。製剤は、一般的には、希釈剤ならびに場合によっては、補助剤、緩衝剤、保存料などを含むことになる。当該化合物は、リポソーム組成物でも、またはマイクロエマルジョンとしても投与可能である。
【0225】
注射方法は場合により、全身処置用の化合物の適切な投与経路であり、場合により局所処置用にも適切な投与経路でもある。これらは、静脈、筋肉、皮下注射および対象の生存組織内に直接組成物を送達するように粘膜および皮膚障壁をバイパスする体内送達の他の方法を含むものである。
【0226】
注射用には、製剤は、液体溶液もしくは懸濁液としての、または注射前の液状の溶液または懸濁液に好適な固体、または乳濁液として従来の形態で調製することができる。好適な賦形剤には、例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖、グリセリンなどがある。そのような組成物は、湿展剤もしくは乳化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタンなど)のような無毒性補助物質量を含有することもできる。
【0227】
薬剤用の各種徐放システムも考案されており、本発明の化合物とともに利用することができる。例えば、米国特許第5624677号を参照する。本発明の組成物は、適切な場合、そのような徐放送達システムで利用することができる。
【0228】
全身投与には、坐剤、経皮貼付剤、経粘膜送達および鼻腔内投与の使用などの相対的に非侵襲性の方法などもあり得る。経口投与も、Smacペプチドそれ自体よりも堅牢であることから、経口で生物学的に利用可能である点でより有利である本発明の化合物に適している。好適な形態には、シロップ、カプセル、錠剤および当業界で理解される同様のものなどがある。
【0229】
所定の対象者および適応症への特定の投与経路の選択は、当業界における通常の技術レベルの範囲に含まれる。例えば、対象者が、有効な経口送達を妨げる吐き気および嘔吐症状を経験する場合に、坐剤としての直腸送達が適切である場合が多い。経皮貼付剤は、通常、数日間にわたる徐放投与および特定の部位への送達を可能とすることから、これらの効果が望まれる対象者に適している。
【0230】
経粘膜送達も、一部の本発明の組成物および方法に適する。従って、本発明の組成物は、当業界で公知の技術および製剤方法を用いて経粘膜的に投与することができる。
【0231】
動物またはヒト対象者への投与において、本発明の化合物の用量は代表的には1から2400mgであり、場合によっては10から1000mg/投与であるか、10から250mg/投与である。
【0232】
しかしながら、投与レベルは、症状の性質、患者の状態、医師の判断、投与の回数および形態に大きく依存する。そのような化合物の用量の選択は、当業者の技術の範囲内であり、比較的低用量で開始し、許容し得る効果が達成されるまで用量を増やすことによって達成することができる。
【0233】
本発明の化合物の投与回数も、公知の技術を用いて、当業者が容易に決定することができる。例えば、患者は、1日に1回またはそれ以下などの低回数で低用量の本発明の化合物または組成物を投与することができ、そして用量および/または投与回数は、患者において所望の効果が得られるまで体系的に増加させることができる。
【0234】
実施例1
代表的な本発明の化合物
代表的な本発明の化合物を、下記の表1から5および11から14に示す。
【0235】
【表1】



























代表的な生物データ
表1から5に示した化合物についての生物データを、それぞれ下記の表6から10に提供している。
【0236】
表6:表1における化合物の生物データ
【0237】
【表2】


表7:表2における化合物の生物データ
【0238】
【表3】

表8:表3における化合物の生物データ
【0239】
【表4】

表9:表4における化合物の生物データ
【0240】
【表5】


表10:表5における化合物の生物データ
【0241】
【表6】

表11
【0242】
【表7】


表12
【0243】
【表8】








表13
【0244】
【表9】


















表14
【0245】
【表10】





代表的生物データ
表11から14で示した化合物についての生物データを、下記の表15から18に提供している。
【0246】
表15
【0247】
【表11】

表16
【0248】
【表12】


表17
【0249】
【表13】




表18
【0250】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物型およびそれの立体異性体型。
【化1】

[式中、
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すか;=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rが独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであるか、これらの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を含んでいても良く;
1a、R1b、R1a′およびR1b′のそれぞれは独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;または
1aとR1b、またはR1a′とR1b′がそれらが結合している炭素原子と一体となって、環員としてN、OおよびSから選択される1つのヘテロ原子を含んでいても良い置換されていても良い3から7員環を形成していても良く;
各RおよびR2′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
JおよびJ′のそれぞれは独立に、−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり、
各Rは独立に、H、または置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
各nおよびn′は独立に0から3であり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。]
【請求項2】
下記式(II)の構造を有する請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物型およびそれの立体異性体型。
【化2】

[式中、
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表すか;=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rが独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであるか、これらの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を含んでいても良く;
1aおよびR1a′のそれぞれは独立に、H、またはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
各RおよびR2′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
JおよびJ′のそれぞれは独立に、−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
KおよびK′のそれぞれは独立に、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり、
各Rは独立に、H、または置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。]
【請求項3】
(a)mおよびm′のそれぞれが0または1であり;(b)R1bおよびR1b′のそれぞれがHであり;(c)RおよびR2′のそれぞれがHであり;(d)ZおよびZ′のそれぞれが式−CH(R)NRによって表される1−アミノアルキル基であり;各RおよびRが独立にHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり;(e)JおよびJ′のそれぞれが−C(O)−であり;および/または(f)JおよびJ′のそれぞれが−CH−である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
下記式(III)の構造を有する請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物型;およびそれの立体異性体型。
【化3】

[式中、
各Yは置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルもしくはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールもしくはC5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を含むことができ;
1aは、HまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルもしくはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
はHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
Jは−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
Kは、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;
各Rは独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキルもしくはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
mは0から4であり;
Zは、置換されていても良いC1−C6アミノアルキル基を表し;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレンもしくはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。]
【請求項5】
Zが式−CH(R)NRによって表される1−アミノアルキル基であり、各RおよびRが独立にHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり、および/またはJが−C(O)−または−CH−であり、および/またはmが0または1である請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
下記式(IV)の構造を有する請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物型およびそれの立体異性体型。
【化4】

[式中、
各Yは置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し、または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く、またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を含んでいても良く;
1aはHまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
はHまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
Jは−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
Kは−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;
各Rは独立にHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
mは0から4であり;
はHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
各RはHまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。]
【請求項7】
Jが−C(O)−または−CH−であり、mが0であり、R1aがC1−C4アルキルであり、各RおよびRが独立にHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり、および/またはKが
【化5】

である請求項6に記載の化合物または該化合物の立体異性体型。
【請求項8】
下記式(V)の構造を有する請求項1に記載の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物型およびそれの立体異性体型。
【化6】

[式中、
各Yは置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く、またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のY基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1個のヘテロ原子を含んでいても良く;
1aはHまたはC1−C8アルキル、C3−C8シクロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキルまたはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;
Jは−C(O)−、−CH−または−CHR″−であり、R″はC1−C4アルキルであり;
Kは、−NR′−(CR−NR′−、−NR′−(CR−O−、−O−(CR−NR′−、−O−(CR−O−、−NR′−(CR−S−、−S−(CR−NR′、−O−(CR−S−、−S−(CR−O−、および−S−(CR−S−からなる群から選択され、
各R′は独立にHまたはC1−4アルキルであり;
各Rは独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8アルキニル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8ヘテロアルキニル、C5−C12アリール、C5−C12ヘテロアリール、C5−C20アリールアルキル、C5−C20ヘテロアリールアルキル、C3−C8シクロアルキル、またはC3−C8複素環であり;または
2個のR置換基が一体となって置換されていても良い飽和、不飽和もしくは芳香族の炭素環または複素環を形成しており;
各pは独立に2から4であり;
mは0から4であり;
は、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
各Rは、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C2−C8アルケニル、C2−C8ヘテロアルケニル、C2−C8アルキニルまたはC2−C8ヘテロアルキニル基であり;
Lは、C1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。]
【請求項9】
Jが−C(O)−または−CH−であり、mが0であり、R1aがC1−C4アルキルであり、各RおよびRが独立にHまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり、および/またはKが、
【化7】

である請求項8に記載の化合物または該化合物の立体異性体型。
【請求項10】
Lが、
【化8】

からなる群から選択され;
各Mが独立に結合または飽和もしくは不飽和C1−C8アルキレンまたはC1−C8ヘテロアルキレン基であり、それらがそれぞれ置換されていても良い請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
下記式(X)の化合物または該化合物の製薬上許容される塩もしくは水和物型およびそれの立体異性体型。
【化9】

[式中、
環Bおよび環B′のそれぞれが独立に、環員としてN、O、Sから選択される1から3個のヘテロ原子を含むC3−C12炭素環またはC3−C12複素環であり;
各YおよびY′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C5−C12アリール、C5−C20アリールアルキル、またはこれらのうちの一つのヘテロ型を表し;または=O、OR、SR、S(O)R、SOR、SONR、NR、OC(O)R、NRC(O)R、NRCOOR、NRC(O)NR、NRSOR、CN、C(O)NR、C(O)R、COOR、NOまたはハロであり、各Rは独立にH、C−Cアルキル、C5−C12アリールまたはC5−C20アリールアルキルであり、またはこれらのうちの一つのヘテロ型であり、それらはそれぞれ置換されていても良く;またはアルキル基に好適な他の置換基であり;
同一もしくは隣接する原子上の2個のYもしくはY′基が環化して、飽和、不飽和もしくは芳香族であることができる置換されていても良い3から7員環を形成していることができ、その環は環員としてO、SおよびNから選択される1以上のヘテロ原子を含んでいても良く;
各UおよびU′は独立に−NR−、−O−、または−S(O)−を表し、各Rは独立にHまたはC1−C4アルキルであり、vは0から2であり;
各WおよびW′は独立に、置換されていても良いC1−C6アルキレンまたはC1−C6ヘテロアルキレンであり;またはWおよび/またはW′は結合であることができ、その場合にXおよび/またはX′は置換されていても良いC5−C6アリールまたはヘテロアリール環を含み;
各XおよびX′は独立に、置換されていても良いC1−C8アルキル、C1−C8ヘテロアルキル、C3−C10シクロアルキル、C3−C10複素環、または少なくとも1個の芳香環および環員としてのN、OおよびSから選択される4個以下のヘテロ原子を含む置換されていても良いC5−C20環系であり、そして単一の5から15員環基または両方がWもしくはW′の同一原子に結合している2個の5から10員環基を表すことができ;
各EおよびE′は独立に、−CH−、−CH(OR)−、−CH(R)−、−(CHD−、CH(R)D−、または−CR=CR−または−C≡C−を表し、rは1から4であり、各Dは独立にO、NRまたはSであり、各Rは独立にH、または置換されていても良いC−Cアルキルまたは置換されていても良いC−Cヘテロアルキルであり;またはEおよびE′のうちの一方または両方が結合であることができ、その場合にLは環を含み;
各RおよびR′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C8アルキルであり;
各RおよびR′は独立に、Hまたは置換されていても良いC1−C4アルキルであり;
各mおよびm′は独立に0から4であり;
各ZおよびZ′は独立に、置換されていても良いC1−C6アミノアルキルであり;
LはC1−C14アルキレン、C1−C14アルケニレン、C1−C14アルキニレン、C3−C8シクロアルキレン、C5−C21シクロアルキルアルキレン、C5−C12アリーレン、C5−C21アリールアルキレン、C5−C21アリールアルケニレン、C5−C21アリールアルキニレン、C1−C14ヘテロアルキレン、C1−C14ヘテロアルケニレン、C1−C14ヘテロアルキニレン、C3−C8複素環、C5−C21複素環アルキレン、C5−C12ヘテロアリーレン、C5−C21ヘテロアリールアルキレン、C5−C21ヘテロアリールアルケニレン、またはC5−C21ヘテロアリールアルキニレン連結基を表し、それらはそれぞれ置換されていても良い。]
【請求項12】
遊離塩基型を含む表1から5に示した化合物1から213からなる群から選択される化合物または該化合物の製薬上許容される塩;およびそれの立体異性体型。
【請求項13】
遊離塩基型を含む表11から14に示した化合物からなる群から選択される化合物または該化合物の製薬上許容される塩;およびそれの立体異性体型。
【請求項14】
前記請求項のうちのいずれか1項の化合物、少なくとも一つの製薬上許容される賦形剤を含み、TRAIL、エトポシド、TRAIL受容体抗体、Hsp90阻害薬、TNF−αおよびTNF−βからなる群から選択されても良い少なくとも一つの別の治療薬をさらに含んでいても良い医薬組成物。
【請求項15】
細胞を有効量の前記請求項のうちのいずれか1項に記載の化合物と接触させることで、細胞増殖を低下または細胞死を誘発する段階ならびに適宜にTRAIL、TRAIL受容体抗体、Hsp90阻害薬、エトポシド、TNF−αおよびTNF−βからなる群から選択される別の治療薬と接触させて処理する段階を有する細胞増殖を低下または細胞死を誘発する方法。

【公表番号】特表2013−509429(P2013−509429A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537075(P2012−537075)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/054546
【国際公開番号】WO2011/059763
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(508285536)ジョイアント ファーマスーティカルズ、インク. (4)
【Fターム(参考)】