交通信号設備
【課題】アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる新たな技術的手段を提供する。
【解決手段】交通信号灯器1は、道路上に設けられた支柱に設置され、交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を道路上の領域に対して投光する。この交通信号灯器1にアンテナ4が組み込まれている。アンテナ4は、交通信号灯器1の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである。
【解決手段】交通信号灯器1は、道路上に設けられた支柱に設置され、交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を道路上の領域に対して投光する。この交通信号灯器1にアンテナ4が組み込まれている。アンテナ4は、交通信号灯器1の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等に設置される交通信号設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が提案されている。このITSでは、道路に路側通信装置(インフラ装置)が設置されていて、この路側通信装置から発せられた無線情報を、道路を走行する車両に搭載した車載通信装置が受信し、車載通信装置が無線情報に含まれている各種情報を活用することにより、車両の走行についての安全性を向上させることができる(特許文献1参照)。
【0003】
このような路側通信装置と車載通信装置との間の通信(路車間通信)を無線によって行なう場合、無線通信の見通しを確保する観点から、歩道等に設置した支柱から車道側にアームを張り出し、このアーム上に路側通信装置のアンテナを取り付けている。また、前記アームを設けなくても見通しが確保できる場合、前記支柱に路側通信装置のアンテナを取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路側通信装置のアンテナを道路に設置するために、アンテナ専用の支柱を新たに設けることは経済的でなく、また、道路の美観の点でも好ましくない。
そこで、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる新たな技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の交通信号設備は、道路上に設けられた構造物に設置され交通に関する情報を当該道路上の領域に対して報知する情報報知手段と、前記情報報知手段に組み込まれたアンテナとを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、道路上に設けられた、支柱や歩道橋等の構造物に設置される情報報知手段に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
【0007】
(2)そして、前記アンテナは、前記情報報知手段が前記領域に対して前記交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナであるのが好ましい。
情報報知手段は、交通に関する情報を道路上のある領域に対して報知するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している例えば車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。したがって、このような情報報知手段にアンテナが組み込まれ、当該アンテナが、当該情報報知手段が交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナであるため、このアンテナにより、例えば前記車両に搭載された車載通信装置との間で良好な通信状態が得られる。
【0008】
(3)前記情報報知手段として様々なものがあるが、前記情報報知手段は、前記交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を投光する交通信号灯器からなり、前記アンテナは、前記交通信号灯器の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである構成とすることができる。
この場合、道路上に設けられた、支柱や歩道橋等の構造物に設置される交通信号灯器に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
そして、交通信号灯器は、停止又は進行可能について示す灯色を前方の道路上のある領域に対して投光するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している例えば車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。したがって、このような交通信号灯器にアンテナが組み込まれ、当該アンテナが、当該交通信号灯器の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナであるため、このアンテナにより、例えば前記車両に搭載された車載通信装置との間で良好な通信状態が得られる。
【0009】
(4)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記交通信号灯器に取り付けられているのが好ましい。
この場合、交通信号灯器を下から見た際に、アンテナは庇に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
【0010】
(5)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記アンテナは、前記庇に取り付けられている構成とすることができる。
この構成によれば、アンテナを取り替える場合、庇を交換すればよく、交通信号灯器全体を取り替える必要がない。
(6)この場合において、前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で当該庇に取り付けられているのが好ましい。
この場合、交通信号灯器を下から見た際に、アンテナは庇に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
【0011】
(7)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体とを有し、前記アンテナは、前記筐体に組み込まれている構成とすることができる。
(8)この場合において、前記交通信号灯器は、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇を有し、前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記筐体に取り付けられているのが好ましい。
この場合、交通信号灯器を下から見た際に、アンテナは庇に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
【0012】
(9)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記庇は、誘電体からなり、内部に前記アンテナを格納するための空間部が形成されている構成とすることができる。この場合、外部からアンテナを見えなくすることができ、また、アンテナを保護することができる。
【0013】
(10)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記アンテナは、前記筐体に取り付けられている第一アンテナと、前記庇に取り付けられている第二アンテナとを有している構成とすることができる。
この場合、複数のアンテナを有していても、これらアンテナを設置するための専用の支柱を不要とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、道路上に設けられた構造物に設置される情報報知手段に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の交通信号設備の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】信号灯器の正面図である。
【図3】一つの光学ユニット及び庇の斜視図である。
【図4】光学ユニットの断面図である。
【図5】庇にアンテナが取り付けられた信号灯器の側面図である。
【図6】アンテナが取り付けられた庇を正面の斜め上方から見た斜視図である。
【図7】給電部を説明する説明図である。
【図8】庇及びダイポールアンテナを正面から見た図である。
【図9】筐体にアンテナが取り付けられた信号灯器の側面図である。
【図10】庇の上方に設けられたダイポールアンテナを正面の斜め上方から見た斜視図である。
【図11】庇及びダイポールアンテナを正面から見た図である。
【図12】庇にアンテナが格納された信号灯器の側面図である。
【図13】信号灯器の正面図である。
【図14】本発明の交通信号設備の他の実施の形態を示す正面図である。
【図15】アンテナ用基板を用いたダイポールアンテナの変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の交通信号設備の実施の一形態を示す正面図である。本発明の交通信号設備は、交通に関する情報を道路上のある領域に対して報知する情報報知手段を備えている。図1の実施形態では、前記情報報知手段は、前記交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を前方へ投光する交通信号灯器1(以下、単に信号灯器1ともいう)からなる。なお、図1の信号灯器1は主として車両用であり、赤青黄いずれか一つの灯色を投光し、道路を走行する車両の運転者に対して、停止又は進行可能についての情報を報知する。
【0017】
信号灯器1は、道路上に設けられた構造物に設置されるものであり、図1の実施形態では、前記構造物は、歩道等の路側に設けられた支柱40である。信号灯器1の設置構造についてさらに説明すると、支柱40から車道側にアーム41が張り出されて設けられており、このアーム41に信号灯器1が取り付けられている。
なお、信号灯器1の設置構造は図示したもの以外であってもよい。例えば、図示しないが、前記支柱40及び前記アーム41の形態が異なっていてもよく、また、前記構造物は歩道橋であってもよい。すなわち、信号灯器1は歩道橋に設置されていてもよい。
【0018】
図2は、信号灯器1の正面図である。信号灯器1は、複数(図例では三つ)の光学ユニット2と、これら光学ユニット2を組み込んでいる筐体3とを有している。三つの光学ユニット2は、赤、黄、青の灯光色を有している。さらに、信号灯器1は、各光学ユニット2の上側に取り付けられた庇30を有している。
庇30は、光学ユニット2に対する太陽光の入射を制限する機能を有している。庇30は、正面視円形である光学ユニット2のほぼ上半分の範囲を上及び左右から覆うように、正面視円弧状に形成されていて、筐体3から前方に延伸している。つまり、庇30は、ほぼ下半分が開口している円筒形状である。庇30は、筐体3の前部にネジ等の留め具33(図5参照)によって着脱可能として取り付けられている。
【0019】
図1において、前記支柱40には、制御装置5aが取り付けられていて、この制御装置5aは、信号灯器1の点灯を制御する。なお、制御装置5aは、信号灯器1の筐体3内に設けられていてもよい。
この制御装置5aの他に、後述するアンテナ4を用いた無線通信の制御を行なう制御装置5bも設けられている。両制御装置5a,5bは別のものであってもよいが、一方の制御装置が他方の制御装置を兼ねていてもよい。また、両制御装置5a,5bが別々である場合であっても、両制御装置を同一の筐体に内蔵させることができる。又は、筐体をそれぞれ別々とし、無線通信用の制御装置5bを点灯用の制御装置5aの近傍(同一の支柱40)に設置してもよい。
【0020】
図3は信号灯器1が有している一つの光学ユニット2及び庇30の斜視図であり、図4は光学ユニット2の断面図である。光学ユニット2は、発光体としての発光ダイオード7(以下、LEDという)と、複数のLED7が前面8aに実装されたLED基板8と、収容部材6と、カバー部材9とを有している。LED基板8は、その裏面に配線パターンが形成されていて、LED7のリード線(端子)7cと繋がっている。LED基板8上には複数のLED7が面状に広がって配設されている。LED基板8は、前記制御装置5aから延びている給電線(図示せず)と繋がっている。
【0021】
収容部材6は、底部(底壁)6aと、この底部6aの周縁から立設した側部(側壁)6bとを有している皿形状であり、前方に開口している。その開口側である前部に、カバー部材9が取り付けられている。収容部材6は、鋼板、アルミ又は樹脂製である。収容部材6とカバー部材9との間に収容空間部Sが形成されていて、この収容空間部SにLED7及びLED基板8が収容されている。さらに、この光学ユニット2は、反射防止部材10を更に備えているが、無くてもよい。
【0022】
カバー部材9は可視光透過性を有しており(可視光に対して透明であり)複数のLED7を前方で覆っている。カバー部材9は、ガラス又は樹脂製である。この光学ユニット2(信号灯器1)において、前方とはLED7の光の投光側であり(カバー部材9側であり)、後方とは収容部材6の底部6a側である。
【0023】
図2において、このように構成された信号灯器1にアンテナ4が組み込まれている。このアンテナ4は、後に具体的な構成を説明するが、信号灯器1が交通に関する情報を道路のある領域に報知することを意図する方向、すなわち、信号灯器1の停止又は進行可能について示す灯色を投光する方向(つまり、前方)と同一方向に、電波を放射する指向性アンテナである。
【0024】
〔アンテナの第一の組み込み構造〕
第一の組み込み構造として、前記指向性アンテナ(以下、アンテナという)は、信号灯器1の内の庇30に取り付けられている。この組み込み構造は、図2の信号灯器1の中央にある、中央ユニットU1に示されている。なお、中央ユニット1は、中央の単一の光学ユニット2、当該光学ユニット2の上に設けられた庇30及び当該光学ユニット2を組み込んでいる筐体3の中央部からなる。
【0025】
図5は、庇30にアンテナが取り付けられた信号灯器1の側面図であり、図6はアンテナが取り付けられた庇30を正面の斜め上方から見た斜視図である。前記アンテナは、ダイポールアンテナ4であり、庇30の上面30aに沿って取り付けられている。なお、図6の下が前方であり、光学ユニットの投光方向となる。
アンテナ4を庇30に取り付ける場合、庇30の材質は樹脂製等の誘電体であり、例えば、強度面、加工の容易性から、FRP、ポリカーボネート、アクリルが好ましい。
【0026】
図6において、ダイポールアンテナ4は、樹脂等の誘電体からなるアンテナ用基板16と、このアンテナ用基板16の一面側に形成されたダイポール部25、一対の平衡給電線部27a,27b及び短絡部28を有している。平衡給電線部27a,27bは前後方向に延びて形成されていて、ダイポール部25が有しているアンテナ素子25a,25bは左右方向に延びている(左右に展開している)。短絡部28は一対の平衡給電線部27a,27bを短絡している。
さらに、アンテナ用基板16の他面側には、ストリップ線路26が形成されている。平衡給電線部27a,27b及び短絡部28が、ストリップ線路26のグランドを兼ねている。
【0027】
ダイポール部25、平衡給電線部27a,27b及び短絡部28は、アンテナ用基板16の一面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。また、ストリップ線路26は、アンテナ用基板16の他面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。前記薄膜導電体は金属箔パターンにより得ることができ、これをフィルム状のアンテナ用基板16に貼り付ければよい。また、庇30の形状に沿って十分に曲げることができる程度に、両面を金属箔(銅箔)としたプリント基板が薄い場合、当該プリント基板を用いてエッチングにより作成してもよい。例えば、厚さ0.1mm程度の樹脂製の基板に金属箔がプリントされたプリント基板であれば、曲面状に曲げることが可能である。
【0028】
ストリップ線路26は、アンテナ用基板16の他面側であって給電線部27bの裏側となる位置で直線的に延びて形成され、ダイポール部25のアンテナ素子25a,25b間の中央部においてU字状に方向を反転し、アンテナ用基板16の他面側であって給電線部27aの裏側となる位置で直線的に延びて形成されている。このストリップ線路26、平衡給電線部27a,27b及び短絡部28によって、バルン(平衡不平衡変換部)が構成されている。この実施形態のアンテナは、ダイポールアンテナ4及びバルンが一つのアンテナ用基板16に形成されたバルン一体型のアンテナである。
【0029】
そして、このアンテナ用基板16が、庇30の上面30aにダイポール部25が前となって取り付けられている。実施形態のダイポールアンテナ4は、アンテナ用基板16が円弧形状に形成されていて、アンテナ全体も円弧形状となっている。つまり、ダイポールアンテナ4は、庇30の上面30aに沿った形状となっている。そして、図5に示しているように、このダイポールアンテナ4は、樹脂製等の誘電体からなるカバー部材19aによって、上から被覆されている。
また、信号灯器1の筐体3を金属製とし、ダイポールアンテナ4をこの筐体3の前に設置することで、この筐体3の前面3aが反射板としての機能を奏することが可能となり、前方への指向性を有することができる。
【0030】
ダイポールアンテナ4は平衡型であり、平衡二線で給電される。ダイポールアンテナ4は、コネクタ17を介して給電用の同軸ケーブル15(給電線)が接続されている。同軸ケーブル15は筐体3内を通ってコネクタ17に接続されている。同軸ケーブル15には、図1の前記制御装置5bから給電される。
図7(a)は給電部を説明する説明図である。コネクタ17は、内導体17aと外導体17bとを有している。さらに、外導体17bには金属部材18が接続されている。同軸ケーブル15は、内導体15a、絶縁体、外導体15b及び被覆部を有していて、同軸ケーブル15の内導体15aがコネクタ17の内導体17aを介して前記ストリップ線路26に接続され、同軸ケーブル15の外導体15bがコネクタ17の外導体17b及び金属部材18を介してグランド(前記短絡部28)に接続されている。
【0031】
図7(b)は給電部の変形例を示している。この変形例では、アンテナ用基板16に貫通孔17cが形成されていて、同軸ケーブル15の内導体15aが接続された状態にあるコネクタ17の内導体17aが、前記貫通孔17cを挿通した状態となり、ストリップ線路26に接続されている。そして、同軸ケーブル15の外導体15bがコネクタ17の外導体17bを介してグランド(短絡部28)に接続されている。
【0032】
このような各給電部も、樹脂製等の誘電体からなるカバー部材(図示せず)によって、覆われている。なお、図示しないが、前記バルンは、アンテナ用基板16とは別の部分に設けられていてもよい。例えば、バルンは信号灯器1の筐体3内に設けられていて、このバルンと平衡給電線部27a,27bとがリード線を介して繋がっていてもよい。
【0033】
また、ダイポールアンテナ4の形態に関して、図6の二点鎖線で示しているように、短絡部28側で左右に延長した延長部28bが形成されていてもよい。この場合、延長部28bが反射器としての機能を有することができる。
さらに、図15(a)はアンテナ用基板(プリント基板)16を用いたダイポールアンテナ4の変形例を説明する説明図である。このダイポールアンテナ4では、アンテナ用基板16の一面16aに第一のアンテナ素子25a及び第一のストリップ線路26aが形成され、他面16bに第二のアンテナ素子25b及び第二のストリップ線路26bが形成されている。そして、第二のストリップ線路26bの基部のグランド部26dを漸次細くなるように形成することで、バルンとしての機能を有するものとなる。
【0034】
また、図15(b)は、図15(a)のダイポールアンテナの変形例を示している。このアンテナは折り返しダイポールアンテナとなっている。この場合、アンテナ用基板16の一面16aから他面16bへと貫通孔が形成され、この貫通孔に導体25eが設けられていて、第一のアンテナ素子25aと第二のアンテナ素子25bとが電気的に接続された構成となる。
【0035】
以上の構成により、ダイポールアンテナ4は、信号灯器1の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなる。つまり、ダイポールアンテナ4の指向性と、光学ユニット2の投光方向とを略一致させることができる。
そして、信号灯器1は、当該信号灯器1の前方であって当該信号灯器1が設置されている道路を走行する車両、及び、信号灯器1の前方の領域に対して、見通しが良い位置に設置される。したがって、このダイポールアンテナ4の指向性によって、この信号灯器1が設置されている道路を走行している前記車両に搭載した車載通信装置(図示せず)との間、及び、この信号灯器1の前方の領域に設置されている他の路側通信装置(図示せず)との間で、良好な通信状態が得られる。
【0036】
このように、信号灯器1に組み込まれたアンテナ4及び前記制御装置5b(図1参照)を路側通信装置とすることで、当該路側通信装置と車両に搭載した車載通信装置との間で無線通信(路車間通信)が行われ、また、当該路側通信装置と前記他の路側通信装置との間で無線通信(路路間通信)が行われ、交通安全の促進や交通事故の防止を目的とする高度道路交通システム(ITS)を実現することができる。このシステムで使用される無線周波数は、例えば、720MHz帯、2.4GHz帯がある。なお、前記他の路側通信装置についても、前記アンテナ組込型の信号灯器を有しているものとすることができる。
【0037】
信号灯器1における庇30の大きさとダイポールアンテナ4の大きさとの関係を図6及び図8により説明する。なお、図8は庇30及びダイポールアンテナ4を正面から見た図である。
図8において、庇30は、光学ユニット2の左端2aから上端2bを経て右端2cまでを覆う形状であり、光学ユニット2の中心C周りに180°(以上)の範囲(光学ユニット2の上半分)にわたって設けられている形状である。庇30の内面30bの半径rは約160mmであり、庇30の前後方向寸法Lは約340mmである。
【0038】
ダイポールアンテナ4の共振周波数を720MHz帯に設定する場合、図6の左右方向の寸法A(円弧面に沿った寸法)を180mm〜210mm(0.38λ〜0.5λ:λは入力される高周波信号の波長)とすることができ、前後方向の寸法Bを100mm程度(約λ/4)とすることができる。
このダイポールアンテナ4を、前記上端2bを周方向の中心として、庇30の上面30aに沿うように設けると、当該ダイポールアンテナ4は、周方向にθ=68°〜80°の範囲を占めることになる。つまり、ダイポールアンテナ4は、庇30が存在している180°の範囲よりも狭くなっており、また、ダイポールアンテナ4の前後方向の寸法Bも、庇30の前後方向寸法Lよりも小さくなっている。
すなわち、ダイポールアンテナ4は、庇30の下方からの投影面の範囲で当該庇30に取り付けられた構成となる。この構成によれば、信号灯器1を下から見た際に、ダイポールアンテナ4は庇30に隠れた状態にあり、ダイポールアンテナ4を目立たなくすることができる。
【0039】
また、この実施形態では、ダイポールアンテナ4が取り付けられている庇30は、信号灯器1の筐体3に対してネジ等の留め具33(図5参照)によって取り外しが可能となっている。このため、例えばダイポールアンテナ4を取り替える場合、庇30を交換すればよく、信号灯器1全体を取り替える必要がなく、経済的である。
また、ダイポールアンテナ4を庇30に直接取り付けてもよいが、ダイポールアンテナ4を誘電体からなるアンテナ筐体に収納した状態として、ダイポールアンテナ4をアンテナ筐体を介して庇30に取り付けてもよい。なお、この場合、アンテナ筐体の全体(又はアンテナ筐体の少なくとも下面)は、庇30の上面30aの形状に沿った湾曲形状とする。
また、ダイポールアンテナ4を他の周波数帯で使用されるように設定してもよく、例えば2.4GHz帯とすることができる。
【0040】
〔アンテナの第二の組み込み構造〕
第二の組み込み構造として、前記指向性アンテナ(以下、アンテナという)は、前記信号灯器1の内の筐体3に組み込まれている。この組み込み構造は、図2の信号灯器1の左側にある左側ユニットU2に示されている。
図9は、筐体3にアンテナが取り付けられた信号灯器1の側面図である。このアンテナも、前記実施形態と同様のダイポールアンテナ4であり、庇30の上方で信号灯器1の筐体3に取り付けられている。この形態においても、庇30の材質は樹脂製等の誘電体であるのが好ましい。
【0041】
このダイポールアンテナ4は、樹脂などの誘電体からなるアンテナ筐体20を介して信号灯器1の筐体3に取り付けられている。すなわち、ダイポールアンテナ4はアンテナ筐体20に格納されていて、このアンテナ筐体20が、ネジ等の留め具(図示せず)によって、信号灯器1の筐体3に取り付けられている。なお、アンテナ筐体20は庇30にも固定されていてもよい。
図10は、庇30の上方に設けられたダイポールアンテナ4を正面の斜め上方から見た斜視図である。なお、図10では、アンテナ筐体20を二点鎖線で示している。ダイポールアンテナ4の基本的な構成は前記形態(図6)と同様であるが、この実施形態ではダイポールアンテナ4を湾曲させていない。
【0042】
具体的な構成を図10により説明すると、ダイポールアンテナ4は、平坦状の樹脂板からなるアンテナ用基板16と、このアンテナ用基板16の一面側に形成されたダイポール部25、一対の平衡給電線部27a,27b及び短絡部28とを有している。平衡給電線部27a,27bは前後方向に延びて形成されていて、ダイポール部25が有しているアンテナ素子25a,25bが左右方向に延びている(左右に展開している)。短絡部28は一対の平衡給電線部27a,27bを短絡している。
さらに、アンテナ用基板16の他面側には、ストリップ線路26が形成されている。
【0043】
ダイポール部25、平衡給電線部27a,27b及び短絡部28は、アンテナ用基板16の一面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。また、ストリップ線路26は、アンテナ用基板16の他面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。
【0044】
そして、このアンテナ用基板16がアンテナ筐体20内に格納された状態となり、アンテナ筐体20の後部が、信号灯器1の筐体3の前面3aに固定されている(図9参照)。信号灯器1の筐体3に対するアンテナ筐体20の固定は、庇30を筐体3に固定するためのネジの留め具33(図5参照)を用いてもよい。つまり、留め具33によって、信号灯器1の筐体3に、アンテナ筐体20及び庇30を共締めしてもよい。
【0045】
アンテナ筐体20は、上下方向に偏平した形状であり、左右方向及び前後方向に比べて、上下方向に薄い直方体であり、庇30の上面30aの頂部と信号灯器1の筐体3の上端との間の上下方向の空間よりも、薄く構成されている。そして、このアンテナ筐体20内に、アンテナ用基板16は、そのアンテナ形成面が水平(投光方向に平行)となるようにして設けられている。
このダイポールアンテナ4の給電部の構造は、前記第一の組み込み構造におけるアンテナと同様の構成(図7参照)であり、説明を省略する。
【0046】
以上の構成により、ダイポールアンテナ4は、水平偏波となり、信号灯器1の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなる。つまり、ダイポールアンテナ4の指向性と、光学ユニット2の投光方向とを略一致させることができる。
【0047】
この第二の組み込み構造では、ダイポールアンテナ4の共振周波数を前記と同様の720MHz帯とすることができるが、より高い周波数とするのが好ましく、2.4GHz帯とすることができる。
この場合のダイポールアンテナ4の大きさと、庇30の大きさとの関係を図10及び図11により説明する。なお、図11は庇30及びダイポールアンテナ4を正面から見た図である。
図11において、庇30は、光学ユニット2の左端2aから上端2bを経て右端2cまでを覆う形状であり、光学ユニット2の中心C周りに180°(以上)の範囲(光学ユニット2の上半分)にわたって設けられている形状である。そして、図11の庇30の内面30bの半径rは約160mmであり、庇30の前後方向寸法Lは約340mmである。
【0048】
アンテナの使用周波数を2.4GHz帯に設定すると、図10の左右方向の寸法Aを46mm〜61mm(0.38λ〜0.5λ:λは入力される高周波信号の波長)とすることができ、前後方向の寸法Bを30mm程度(約λ/4)とすることができる。このように2.4GHz帯のダイポールアンテナ4は、720MHz帯の場合よりも小さくなる。
【0049】
このダイポールアンテナ4を、前記上端2bを周方向の中心として、庇30の上方に水平として設けても、当該ダイポールアンテナ4は、周方向にθ=18°〜24°の範囲を占めることとなる。つまり、ダイポールアンテナ4は、庇30が存在している180°の範囲よりも狭くなっており、また、ダイポールアンテナ4の前後方向の寸法Bも、庇30の前後方向寸法Lよりも小さくなっている。
すなわち、ダイポールアンテナ4は、庇30の下方からの投影面の範囲で筐体3に取り付けられた構成となる。この構成によれば、信号灯器1を下から見た際に、ダイポールアンテナ4は庇30に隠れた状態にあり、ダイポールアンテナ4を目立たなくすることができる。
【0050】
なお、この第二の組み込み構造によるダイポールアンテナ4を、720MHz帯に設定してもよい。この場合であっても、当該ダイポールアンテナ4は、庇30の下方からの投影面の範囲で当該庇30に取り付けられる構成となる。しかし、共振周波数がさらに小さくなると、アンテナが大きくなり、庇30の左右方向の幅寸法よりも大きくなる場合もある。このため、この第二の組み込み構造では、共振周波数が高い方が好ましい場合がある。
さらに、アンテナが大きくなると、図示しないが、下面が平坦であるアンテナ筐体20と、円弧形状である庇30との左右両側における隙間が大きくなり、信号灯器1を正面から見た場合に、アンテナ筐体20が目立つおそれがある。
そこで、この第二の組み込み構造の変形例として、アンテナ筐体20全体(又は少なくとも下面)を庇30の上面30aに沿った円弧形状としてもよい。
【0051】
〔アンテナの第三の組み込み構造〕
第三の組み込み構造では、庇30は、誘電体からなり、その内部にアンテナを格納するための空間部Kが形成されている。すなわち、この実施形態の指向性アンテナ(以下、アンテナという)は、信号灯器1の内の庇30の内部に格納されている。この組み込み構造は、図2の信号灯器1の右側にある右側ユニットU3に示されている。
なお、信号灯器1の筐体3は、中央ユニットU1、左側ユニットU2及び右側ユニットU3で分離可能であってもよく、分離不能の一体ものであってもよい。
【0052】
図12は、庇30にアンテナが格納された信号灯器1の側面図であり、庇30部分を断面により示している。このアンテナも、前記各実施形態と同様のダイポールアンテナ4であり、ダイポールアンテナ4は庇30の内の上部に格納されている。この形態では、庇30の材質は樹脂製等の誘電体である。
この組み込み構造のために、庇30の上部に前記空間部Kが形成されている。庇30の上面30aは、信号灯器1の筐体3の上端よりも低く構成されている。
【0053】
庇30は、光学ユニット2のほぼ上半分の範囲を覆う正面視円弧形状の主庇部35と、主庇部35の上部に前記空間部Kを形成するための前壁31a、後壁31b、左右の側壁31c(図2参照)、上壁31dを有していて、主庇部35の一部(上部)が空間部Kを形成するための底壁となる。そして、これら壁で囲まれた範囲が、ダイポールアンテナ4を収納する前記空間部Kとなる。
【0054】
ダイポールアンテナ4の具体的な構成は、図10に示したものと同じであり、その説明を省略する。また、このダイポールアンテナ4の給電構造は、前記第一及び第二の組み込み構造におけるアンテナと同様の構成(図7参照)であるが、図12の形態では、前記コネクタ17は、前記後壁31bに設けられている。これにより、ダイポールアンテナ4は、信号灯器1の金属製の筐体3の前に配置された構成となる。この形態では、後壁31bのみ金属製とすることができ、この場合、後壁31bと、前記ストリップ線路26a及び前記コネクタ17の内導体17a(図7(a)参照)との間は、絶縁されている必要がある。
【0055】
以上の構成により、ダイポールアンテナ4は、信号灯器1の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなる。つまり、ダイポールアンテナ4の指向性と、光学ユニット2の投光方向とを略一致させることができる。
【0056】
この第三の組み込み構造では、ダイポールアンテナ4の共振周波数を前記と同様の720MHz帯や2.4GHz帯とすることができる。また、この場合においても、ダイポールアンテナ4の大きさは、前記のとおり、庇30の左右方向の幅よりも小さく、かつ、庇30の前後方向よりも小さい。したがって、前記空間部Kは、庇30の左右方向の幅よりも小さく、かつ、庇30の前後方向よりも小さい形状でよい。
また、この第三の組み込み構造によれば、ダイポールアンテナ4は庇30に格納されているので、当該ダイポールアンテナ4を見えなくすることができる。また、下から見てアンテナ4を格納する空間部Kが見えない庇30となっている。
【0057】
〔アンテナの第四の組み込み構造〕
アンテナは、光学ユニット2の投光方向と同一方向の指向性を有するように構成されているが、アンテナの種類は、前記のようなダイポールアンテナ以外に、折り返しダイポールアンテナや、パッチアンテナ等であってもよい。
特にアンテナの種類を、折り返しダイポールアンテナとした場合、不平衡電流が流れにくいことからバルンを省略して、直接的に同軸ケーブルを平衡給電線部に接続してもアンテナ性能を確保し易いという利点がある。
また、アンテナをパッチアンテナとした場合、その指向性を投光方向と同一方向とするために、図13の右側ユニットU3に示しているように、パッチアンテナ104は、信号灯器1の筐体3の前面3aに取り付けられている。この場合、偏波は水平偏波にこだわらず、垂直偏波、円偏波など色々な偏波のアンテナを実現することができる。なお、各実施形態において、庇に取り付けたアンテナを、水平偏波として説明したが、垂直偏波となるように構成してもよい。
【0058】
パッチアンテナ104は、投光方向の前方のパッチ素子11と、パッチ素子11の後方のグランド素子12とを有している。なお、信号灯器1の筐体3が金属製である場合、この筐体3の前面3aをグランド素子12として機能させることができる。
パッチアンテナ104の共振周波数を2.4GHz帯に設定した場合、パッチ素子11の大きさを(パッチ素子11を矩形とした場合)60mm程度とすることができる。
【0059】
そこで、このパッチ素子11を図13に示しているように、筐体3の前面の上半分の領域に取り付けている。この取り付け位置をさらに説明する。信号灯器1の筐体3の内の、中央ユニットU1の前面3d、左側ユニットU2の前面3e及び右側ユニットU3の前面3fそれぞれは、正面視ほぼ矩形であるのに対して、光学ユニット2は円形であり、庇30も円弧形状である。このため、代表として右側ユニットU3について説明すると、前面3fの四隅には、前方に面した正面板部37aが形成されている。この四隅の正面板部37aの内の上二つのいずれかに、パッチアンテナ104が設けられている。この場合、下方から信号灯器1を見ると、パッチ素子11は庇30によって隠れた状態となる。
【0060】
さらに、右側ユニットU3の前面3fにおいて、上二つの正面板部37aの内の、隣の他のユニット(中央ユニットU1)が存在している側の正面板部37aに、パッチアンテナ104を設けると(図13に示している形態)、右側ユニットU3及び中央ユニットU1の庇30によって、パッチ素子11は隠れた状態となる。
【0061】
このように、第一のアンテナとして、パッチアンテナ104が信号灯器1の筐体3に取り付けられている。さらに、この信号灯器1には、前記第一の組み込み構造が採用されている。つまり、第二のアンテナとして、ダイポールアンテナ4が前記信号灯器1の庇30に取り付けられている。つまり、この形態の信号灯器1に組み込まれるアンテナは、第一と第二の二つのアンテナを備えている。
図13の形態では、パッチアンテナ104(第一アンテナ)が右側ユニットU3に組み込まれていて、ダイポールアンテナ4(第二アンテナ)が左側ユニットU2に組み込まれている。なお、第一アンテナ及び第二アンテナは、ユニットU1,U2,U3の内、異なるユニットに分かれて組み込まれていてもよいが(図13)、同一のユニットに組み込まれていてもよい(図示せず)。
【0062】
また、一つの信号灯器1に複数のアンテナを組み込み場合、当該複数のアンテナの共振周波数を、相互で異なるように構成することができる。
また、信号灯器1の筐体3の前面に取り付けるアンテナを、ダイポールアンテナ又は、折り返しダイポールアンテナとし、例えば2.4GHz等の高周波用とした場合、このアンテナを小さくする(長手方向が60mm程度とする)ことができることから、アンテナ用基板16(図7参照)を、垂直面に沿う方向として、筐体3の前面3aに取り付けることができる。この場合、このアンテナは、垂直偏波となる。
【0063】
以上、信号灯器1についての前記各実施形態によれば、道路上の支柱40に設置されている信号灯器1に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
また、信号灯器1は、赤青黄いずれか一つの灯色を前方の道路上のある領域に対して投光するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。すなわち、交通用の信号灯器1は、車両の運転者による視認性を考慮して道路に設置されている。そして、このような信号灯器1にアンテナが組み込まれ、当該アンテナは、信号灯器1の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである。したがって、信号灯器1のアンテナ4と車両の車載通信装置との間で無線通信を行なう上で、見通しが良好な状態を自然と得ることができる。
これにより、信号灯器1に組み込んだアンテナを、路車通信を行なう高度道路交通システム(ITS)に活用することができ、良好な通信状態が得られる。
【0064】
さらに、アンテナが組み込まれた信号灯器(第一の信号灯器)1は、当該信号灯器1の前方に関して見晴らしが良くなるようにして設置されていることから、この信号灯器1とは別に前方に設置された路側通信装置との間で良好な通信状態が得られ、路路間通信が可能となる。なお、この路側通信装置は、本発明のように構成された信号灯器(第二の信号灯器)であってもよい。
そして、前記第一のアンテナを路路間通信用(2.4GHz帯)とし、前記第二のアンテナを路車間通信用(720MHz帯)とすることができる。
【0065】
また、アンテナが、庇30の下方からの投影面の範囲で信号灯器1に取り付けられている場合、信号灯器1を下から見た際に、アンテナは庇30に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
さらに、信号灯器1の筐体3を金属製とし、アンテナをこの筐体3の前に設置した場合、この筐体3の前面が反射板としての機能を奏することが可能となり、前方への指向性を有することができる。
【0066】
以上の前記各実施形態では、情報報知手段を、車両用の信号灯器1として説明したが、本発明の交通信号設備では、情報報知手段を他のものとすることができる。例えば、歩行者用の交通信号灯器、矢印式交通信号灯器、交通信号灯器に併設された待ち時間表示装置、文字情報表示装置、歩行者用の交通信号灯器と共に設けられる音響装置、道路標識等とすることができる。
【0067】
図14に示しているように、情報報知手段を、歩行者用の交通信号灯器55(以下、歩行者用信号灯器という)とした場合を説明する。
歩行者用信号灯器55は、道路上に設けられた支柱40に設置されていて、交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色(青赤いずれか一つの灯色)を道路上の領域に対して投光し、主に道路を歩行する歩行者に対して、停止又は進行可能についての情報を報知する。
そして、この歩行者用信号灯器55にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、歩行者用信号灯器55の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。
【0068】
歩行者用信号灯器55も、車両用と同様に、内部に発光体(LED)等を有している光学ユニット55aと、この光学ユニット55aを組み込んでいる筐体55bと、光学ユニット55aに対する太陽光の入射を制限する庇55cとを有していて、アンテナ4を、庇55cに取り付けることができる。さらに、アンテナ4を、庇55cの下方からの投影面の範囲で当該庇55cに取り付けることができる。
この場合、アンテナ4を用いた無線通信の相手は、車両に搭載された車載用通信装置以外に、歩行者が携帯している携帯無線通信端末であってもよい。
【0069】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、矢印式交通信号灯器51とした場合を説明する。この信号灯器51は、道路上に設けられた支柱40にアーム41を介して設置されていて、交通に関する情報として進行可能について示す灯光(矢印の灯光)を、道路の交差点手前の領域に対して投光し、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、進行可能についての情報を報知する。
そして、この信号灯器51にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、信号灯器51の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。
【0070】
この信号灯器51は、赤、黄、青の灯光色を有する光学ユニット2以外に、車両等の進行可能を意味する矢印を点灯させる光学ユニット52、この光学ユニット52を組み込んでいる筐体52b及びこの光学ユニット52のための庇52aを更に備えている。光学ユニット52も、赤、黄、青の光学ユニット2と同様に、内部に発光体(LED)等を有している。そして、この信号灯器51の庇52a又は筐体52bに、アンテナ4を取り付けることができる。
【0071】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、交通信号灯器に併設された待ち時間表示装置54とした場合を説明する。待ち時間表示装置54は、併設された信号灯器が赤の時間帯に、次に青の灯色に変わるまでの残り時間を表示する光学ユニット54a及びこの光学ユニット54aを組み込んでいる筐体54bを有している。さらに、光学ユニット54aのための庇54cを備えていてもよい。
この光学ユニット54aは、信号灯器の光学ユニットと同様に、内部に複数のLEDを有していて、これらLEDは数字を表示することができるように配置されている。そして、発光させるLEDの組み合わせを制御装置5aが制御することで、信号灯器が次に青の灯色に変わるまでの残り時間を車両等に対して表示することができる。
【0072】
この待ち時間表示装置54は、道路上に設けられた支柱40にアーム41を介して設置されていて、交通に関する情報として、光学ユニット2が次に青の灯色に変わるまでの残り時間について示す灯光を、道路の交差点手前の領域に対して投光し、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、前記残り時間についての情報を報知する。
そして、この待ち時間表示装置54に、アンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、待ち時間表示装置54の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。そして、アンテナ4を、筐体54b又は庇54cに取り付けることができる。
【0073】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、文字情報表示装置53とした場合を説明する。文字情報表示装置53は信号灯器に併設されていて、信号灯器の光学ユニット2と同様に、内部に多数のLED等を有している光学ユニット53a、この光学ユニット53aを組み込んでいる筐体53b、及び、庇53cを備えていて、発光させるLEDの組み合わせを制御装置5aが制御することで、様々な文字情報を車両に対して表示することができる。
【0074】
この信号灯器の文字情報表示装置53は、道路上に設けられた支柱40にアーム41を介して設置されていて、交通に関する情報として、例えば道路前方の交通状況について示す文字情報を、道路の交差点手前の領域に対して前記LEDにより投光し、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、文字情報を報知する。
そして、この文字情報表示装置53にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、文字情報表示装置53の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。そして、アンテナ4を、筐体53b又は庇53cに取り付けることができる。
【0075】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、交通信号灯器と共に設けられる音響装置56とした場合を説明する。この音響装置56は、特に歩行者に対して音声で歩行者用信号灯器55の光学ユニット55aの灯色に関する情報を伝えることができ、音を発することのできるスピーカ56aを備えている。音響装置56は、制御装置5aの制御によって、光学ユニット55aの灯色と連動するように機能し、例えば視覚障害者のために、灯色が青の際に誘導音を発することができる。
【0076】
この音響装置56は、道路上に設けられた支柱40に設置されていて、交通に関する情報として、光学ユニット55aの灯色に関する情報を音として報知する。
そして、この音響装置56にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、スピーカ56aが音を発す方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。そして、アンテナ4を、音響装置56が有している筐体56b(筐体56bの内部)に取り付けることができる。
【0077】
このように、図14に示した歩行者用信号灯器55、矢印式信号灯器51、文字情報表示装置53、待ち時間表示装置54は、これらが設置されている道路を走行する車両に対して、つまり、前方に対して見通しが良い位置に設置されていて、アンテナ4の指向性を、交通に関する情報を報知する前方と同一方向とすることにより、例えば前記車両に搭載した車載通信装置(図示せず)との間で、良好な通信状態が得られる。
【0078】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、道路標識57とした場合を説明する。この道路標識57は、道路上に設けられた支柱40に設置されていて、信号灯器51が設置されている場所(交差点)の地名を表示している案内標識である。そして、この案内標識にアンテナ4が組み込まれている。
道路標識57は、交通に関する情報として、前記のとおり信号灯器51が設置されている場所(交差点)の地名についての情報を、道路の交差点手前の領域に対して表示することを目的として設置されていて、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、地名についての情報を視覚情報として報知する。このような道路標識57は、例えば当該道路標識57が設置されている交差点に向かって走行してくる車両に対向するように表示面57aが設置されている。
そして、この道路標識57にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、道路標識57の表示面57aによって情報を表示させる当該表示面57aの前方と、同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。
【0079】
この道路標識57の前記表示面57aは、文字(や図等)を表示していて、この表示面57aに例えばパッチアンテナ4が貼り付けられている。すなわち、パッチアンテナ4の上に、文字(や図等)の表示が形成されている。
この場合においても、道路標識57は、当該道路標識57が設置されている道路を走行する車両に対して、見通しが良い位置に設置されていて、アンテナ4の指向性を前方(標識を表示している道路へ向かう方向)とすることにより、車両に搭載した車載通信装置(図示せず)等との間で、良好な通信状態が得られる。
【0080】
以上の各実施形態によれば、情報報知手段が道路上に設けられた支柱や歩道橋等の構造物に設置され、当該情報報知手段にアンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
また、前記のような各情報報知手段は、交通に関する情報を道路上のある領域に対して報知するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している例えば車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。したがって、このような情報報知手段にアンテナが組み込まれ、そして、当該アンテナは、当該情報報知手段が道路上のある領域に対して交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に、電波を放射する指向性アンテナであるため、このアンテナにより、例えば前記車両に搭載された車載通信装置との間で良好な通信状態が得られる。
【0081】
また、本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、信号灯器が有する発光体はLED以外に電球等であってもよい。
また、アンテナを信号灯器1の筐体3に組み込む場合、前記実施形態では、筐体3の外(前面3aの前方)にアンテナを取り付ける場合を説明したが、筐体3の内部(前面3aの後方)にアンテナを格納してもよい。この場合、アンテナの性能を発揮させるために、筐体3の全体又は一部(アンテナに対応する部分)を樹脂により作製する必要がある。
【符号の説明】
【0082】
1 交通信号灯器(情報報知手段)
2 光学ユニット
3 筐体
4 アンテナ
7 発光ダイオード(発光体)
30 庇
40 支柱(構造物)
51 矢印式交通信号灯器(情報報知手段)
53 文字情報表示装置(情報報知手段)
54 待ち時間表示装置(情報報知手段)
55 歩行者用の交通信号灯器(情報報知手段)
56 音響装置(情報報知手段)
57 道路標識(情報報知手段)
K 空間部
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等に設置される交通信号設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通安全の促進や交通事故の防止を目的として、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が提案されている。このITSでは、道路に路側通信装置(インフラ装置)が設置されていて、この路側通信装置から発せられた無線情報を、道路を走行する車両に搭載した車載通信装置が受信し、車載通信装置が無線情報に含まれている各種情報を活用することにより、車両の走行についての安全性を向上させることができる(特許文献1参照)。
【0003】
このような路側通信装置と車載通信装置との間の通信(路車間通信)を無線によって行なう場合、無線通信の見通しを確保する観点から、歩道等に設置した支柱から車道側にアームを張り出し、このアーム上に路側通信装置のアンテナを取り付けている。また、前記アームを設けなくても見通しが確保できる場合、前記支柱に路側通信装置のアンテナを取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2806801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路側通信装置のアンテナを道路に設置するために、アンテナ専用の支柱を新たに設けることは経済的でなく、また、道路の美観の点でも好ましくない。
そこで、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる新たな技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の交通信号設備は、道路上に設けられた構造物に設置され交通に関する情報を当該道路上の領域に対して報知する情報報知手段と、前記情報報知手段に組み込まれたアンテナとを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、道路上に設けられた、支柱や歩道橋等の構造物に設置される情報報知手段に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
【0007】
(2)そして、前記アンテナは、前記情報報知手段が前記領域に対して前記交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナであるのが好ましい。
情報報知手段は、交通に関する情報を道路上のある領域に対して報知するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している例えば車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。したがって、このような情報報知手段にアンテナが組み込まれ、当該アンテナが、当該情報報知手段が交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナであるため、このアンテナにより、例えば前記車両に搭載された車載通信装置との間で良好な通信状態が得られる。
【0008】
(3)前記情報報知手段として様々なものがあるが、前記情報報知手段は、前記交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を投光する交通信号灯器からなり、前記アンテナは、前記交通信号灯器の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである構成とすることができる。
この場合、道路上に設けられた、支柱や歩道橋等の構造物に設置される交通信号灯器に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
そして、交通信号灯器は、停止又は進行可能について示す灯色を前方の道路上のある領域に対して投光するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している例えば車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。したがって、このような交通信号灯器にアンテナが組み込まれ、当該アンテナが、当該交通信号灯器の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナであるため、このアンテナにより、例えば前記車両に搭載された車載通信装置との間で良好な通信状態が得られる。
【0009】
(4)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記交通信号灯器に取り付けられているのが好ましい。
この場合、交通信号灯器を下から見た際に、アンテナは庇に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
【0010】
(5)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記アンテナは、前記庇に取り付けられている構成とすることができる。
この構成によれば、アンテナを取り替える場合、庇を交換すればよく、交通信号灯器全体を取り替える必要がない。
(6)この場合において、前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で当該庇に取り付けられているのが好ましい。
この場合、交通信号灯器を下から見た際に、アンテナは庇に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
【0011】
(7)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体とを有し、前記アンテナは、前記筐体に組み込まれている構成とすることができる。
(8)この場合において、前記交通信号灯器は、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇を有し、前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記筐体に取り付けられているのが好ましい。
この場合、交通信号灯器を下から見た際に、アンテナは庇に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
【0012】
(9)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記庇は、誘電体からなり、内部に前記アンテナを格納するための空間部が形成されている構成とすることができる。この場合、外部からアンテナを見えなくすることができ、また、アンテナを保護することができる。
【0013】
(10)また、情報報知手段が交通信号灯器からなる場合において、前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇とを有し、前記アンテナは、前記筐体に取り付けられている第一アンテナと、前記庇に取り付けられている第二アンテナとを有している構成とすることができる。
この場合、複数のアンテナを有していても、これらアンテナを設置するための専用の支柱を不要とできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、道路上に設けられた構造物に設置される情報報知手段に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の交通信号設備の実施の一形態を示す正面図である。
【図2】信号灯器の正面図である。
【図3】一つの光学ユニット及び庇の斜視図である。
【図4】光学ユニットの断面図である。
【図5】庇にアンテナが取り付けられた信号灯器の側面図である。
【図6】アンテナが取り付けられた庇を正面の斜め上方から見た斜視図である。
【図7】給電部を説明する説明図である。
【図8】庇及びダイポールアンテナを正面から見た図である。
【図9】筐体にアンテナが取り付けられた信号灯器の側面図である。
【図10】庇の上方に設けられたダイポールアンテナを正面の斜め上方から見た斜視図である。
【図11】庇及びダイポールアンテナを正面から見た図である。
【図12】庇にアンテナが格納された信号灯器の側面図である。
【図13】信号灯器の正面図である。
【図14】本発明の交通信号設備の他の実施の形態を示す正面図である。
【図15】アンテナ用基板を用いたダイポールアンテナの変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の交通信号設備の実施の一形態を示す正面図である。本発明の交通信号設備は、交通に関する情報を道路上のある領域に対して報知する情報報知手段を備えている。図1の実施形態では、前記情報報知手段は、前記交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を前方へ投光する交通信号灯器1(以下、単に信号灯器1ともいう)からなる。なお、図1の信号灯器1は主として車両用であり、赤青黄いずれか一つの灯色を投光し、道路を走行する車両の運転者に対して、停止又は進行可能についての情報を報知する。
【0017】
信号灯器1は、道路上に設けられた構造物に設置されるものであり、図1の実施形態では、前記構造物は、歩道等の路側に設けられた支柱40である。信号灯器1の設置構造についてさらに説明すると、支柱40から車道側にアーム41が張り出されて設けられており、このアーム41に信号灯器1が取り付けられている。
なお、信号灯器1の設置構造は図示したもの以外であってもよい。例えば、図示しないが、前記支柱40及び前記アーム41の形態が異なっていてもよく、また、前記構造物は歩道橋であってもよい。すなわち、信号灯器1は歩道橋に設置されていてもよい。
【0018】
図2は、信号灯器1の正面図である。信号灯器1は、複数(図例では三つ)の光学ユニット2と、これら光学ユニット2を組み込んでいる筐体3とを有している。三つの光学ユニット2は、赤、黄、青の灯光色を有している。さらに、信号灯器1は、各光学ユニット2の上側に取り付けられた庇30を有している。
庇30は、光学ユニット2に対する太陽光の入射を制限する機能を有している。庇30は、正面視円形である光学ユニット2のほぼ上半分の範囲を上及び左右から覆うように、正面視円弧状に形成されていて、筐体3から前方に延伸している。つまり、庇30は、ほぼ下半分が開口している円筒形状である。庇30は、筐体3の前部にネジ等の留め具33(図5参照)によって着脱可能として取り付けられている。
【0019】
図1において、前記支柱40には、制御装置5aが取り付けられていて、この制御装置5aは、信号灯器1の点灯を制御する。なお、制御装置5aは、信号灯器1の筐体3内に設けられていてもよい。
この制御装置5aの他に、後述するアンテナ4を用いた無線通信の制御を行なう制御装置5bも設けられている。両制御装置5a,5bは別のものであってもよいが、一方の制御装置が他方の制御装置を兼ねていてもよい。また、両制御装置5a,5bが別々である場合であっても、両制御装置を同一の筐体に内蔵させることができる。又は、筐体をそれぞれ別々とし、無線通信用の制御装置5bを点灯用の制御装置5aの近傍(同一の支柱40)に設置してもよい。
【0020】
図3は信号灯器1が有している一つの光学ユニット2及び庇30の斜視図であり、図4は光学ユニット2の断面図である。光学ユニット2は、発光体としての発光ダイオード7(以下、LEDという)と、複数のLED7が前面8aに実装されたLED基板8と、収容部材6と、カバー部材9とを有している。LED基板8は、その裏面に配線パターンが形成されていて、LED7のリード線(端子)7cと繋がっている。LED基板8上には複数のLED7が面状に広がって配設されている。LED基板8は、前記制御装置5aから延びている給電線(図示せず)と繋がっている。
【0021】
収容部材6は、底部(底壁)6aと、この底部6aの周縁から立設した側部(側壁)6bとを有している皿形状であり、前方に開口している。その開口側である前部に、カバー部材9が取り付けられている。収容部材6は、鋼板、アルミ又は樹脂製である。収容部材6とカバー部材9との間に収容空間部Sが形成されていて、この収容空間部SにLED7及びLED基板8が収容されている。さらに、この光学ユニット2は、反射防止部材10を更に備えているが、無くてもよい。
【0022】
カバー部材9は可視光透過性を有しており(可視光に対して透明であり)複数のLED7を前方で覆っている。カバー部材9は、ガラス又は樹脂製である。この光学ユニット2(信号灯器1)において、前方とはLED7の光の投光側であり(カバー部材9側であり)、後方とは収容部材6の底部6a側である。
【0023】
図2において、このように構成された信号灯器1にアンテナ4が組み込まれている。このアンテナ4は、後に具体的な構成を説明するが、信号灯器1が交通に関する情報を道路のある領域に報知することを意図する方向、すなわち、信号灯器1の停止又は進行可能について示す灯色を投光する方向(つまり、前方)と同一方向に、電波を放射する指向性アンテナである。
【0024】
〔アンテナの第一の組み込み構造〕
第一の組み込み構造として、前記指向性アンテナ(以下、アンテナという)は、信号灯器1の内の庇30に取り付けられている。この組み込み構造は、図2の信号灯器1の中央にある、中央ユニットU1に示されている。なお、中央ユニット1は、中央の単一の光学ユニット2、当該光学ユニット2の上に設けられた庇30及び当該光学ユニット2を組み込んでいる筐体3の中央部からなる。
【0025】
図5は、庇30にアンテナが取り付けられた信号灯器1の側面図であり、図6はアンテナが取り付けられた庇30を正面の斜め上方から見た斜視図である。前記アンテナは、ダイポールアンテナ4であり、庇30の上面30aに沿って取り付けられている。なお、図6の下が前方であり、光学ユニットの投光方向となる。
アンテナ4を庇30に取り付ける場合、庇30の材質は樹脂製等の誘電体であり、例えば、強度面、加工の容易性から、FRP、ポリカーボネート、アクリルが好ましい。
【0026】
図6において、ダイポールアンテナ4は、樹脂等の誘電体からなるアンテナ用基板16と、このアンテナ用基板16の一面側に形成されたダイポール部25、一対の平衡給電線部27a,27b及び短絡部28を有している。平衡給電線部27a,27bは前後方向に延びて形成されていて、ダイポール部25が有しているアンテナ素子25a,25bは左右方向に延びている(左右に展開している)。短絡部28は一対の平衡給電線部27a,27bを短絡している。
さらに、アンテナ用基板16の他面側には、ストリップ線路26が形成されている。平衡給電線部27a,27b及び短絡部28が、ストリップ線路26のグランドを兼ねている。
【0027】
ダイポール部25、平衡給電線部27a,27b及び短絡部28は、アンテナ用基板16の一面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。また、ストリップ線路26は、アンテナ用基板16の他面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。前記薄膜導電体は金属箔パターンにより得ることができ、これをフィルム状のアンテナ用基板16に貼り付ければよい。また、庇30の形状に沿って十分に曲げることができる程度に、両面を金属箔(銅箔)としたプリント基板が薄い場合、当該プリント基板を用いてエッチングにより作成してもよい。例えば、厚さ0.1mm程度の樹脂製の基板に金属箔がプリントされたプリント基板であれば、曲面状に曲げることが可能である。
【0028】
ストリップ線路26は、アンテナ用基板16の他面側であって給電線部27bの裏側となる位置で直線的に延びて形成され、ダイポール部25のアンテナ素子25a,25b間の中央部においてU字状に方向を反転し、アンテナ用基板16の他面側であって給電線部27aの裏側となる位置で直線的に延びて形成されている。このストリップ線路26、平衡給電線部27a,27b及び短絡部28によって、バルン(平衡不平衡変換部)が構成されている。この実施形態のアンテナは、ダイポールアンテナ4及びバルンが一つのアンテナ用基板16に形成されたバルン一体型のアンテナである。
【0029】
そして、このアンテナ用基板16が、庇30の上面30aにダイポール部25が前となって取り付けられている。実施形態のダイポールアンテナ4は、アンテナ用基板16が円弧形状に形成されていて、アンテナ全体も円弧形状となっている。つまり、ダイポールアンテナ4は、庇30の上面30aに沿った形状となっている。そして、図5に示しているように、このダイポールアンテナ4は、樹脂製等の誘電体からなるカバー部材19aによって、上から被覆されている。
また、信号灯器1の筐体3を金属製とし、ダイポールアンテナ4をこの筐体3の前に設置することで、この筐体3の前面3aが反射板としての機能を奏することが可能となり、前方への指向性を有することができる。
【0030】
ダイポールアンテナ4は平衡型であり、平衡二線で給電される。ダイポールアンテナ4は、コネクタ17を介して給電用の同軸ケーブル15(給電線)が接続されている。同軸ケーブル15は筐体3内を通ってコネクタ17に接続されている。同軸ケーブル15には、図1の前記制御装置5bから給電される。
図7(a)は給電部を説明する説明図である。コネクタ17は、内導体17aと外導体17bとを有している。さらに、外導体17bには金属部材18が接続されている。同軸ケーブル15は、内導体15a、絶縁体、外導体15b及び被覆部を有していて、同軸ケーブル15の内導体15aがコネクタ17の内導体17aを介して前記ストリップ線路26に接続され、同軸ケーブル15の外導体15bがコネクタ17の外導体17b及び金属部材18を介してグランド(前記短絡部28)に接続されている。
【0031】
図7(b)は給電部の変形例を示している。この変形例では、アンテナ用基板16に貫通孔17cが形成されていて、同軸ケーブル15の内導体15aが接続された状態にあるコネクタ17の内導体17aが、前記貫通孔17cを挿通した状態となり、ストリップ線路26に接続されている。そして、同軸ケーブル15の外導体15bがコネクタ17の外導体17bを介してグランド(短絡部28)に接続されている。
【0032】
このような各給電部も、樹脂製等の誘電体からなるカバー部材(図示せず)によって、覆われている。なお、図示しないが、前記バルンは、アンテナ用基板16とは別の部分に設けられていてもよい。例えば、バルンは信号灯器1の筐体3内に設けられていて、このバルンと平衡給電線部27a,27bとがリード線を介して繋がっていてもよい。
【0033】
また、ダイポールアンテナ4の形態に関して、図6の二点鎖線で示しているように、短絡部28側で左右に延長した延長部28bが形成されていてもよい。この場合、延長部28bが反射器としての機能を有することができる。
さらに、図15(a)はアンテナ用基板(プリント基板)16を用いたダイポールアンテナ4の変形例を説明する説明図である。このダイポールアンテナ4では、アンテナ用基板16の一面16aに第一のアンテナ素子25a及び第一のストリップ線路26aが形成され、他面16bに第二のアンテナ素子25b及び第二のストリップ線路26bが形成されている。そして、第二のストリップ線路26bの基部のグランド部26dを漸次細くなるように形成することで、バルンとしての機能を有するものとなる。
【0034】
また、図15(b)は、図15(a)のダイポールアンテナの変形例を示している。このアンテナは折り返しダイポールアンテナとなっている。この場合、アンテナ用基板16の一面16aから他面16bへと貫通孔が形成され、この貫通孔に導体25eが設けられていて、第一のアンテナ素子25aと第二のアンテナ素子25bとが電気的に接続された構成となる。
【0035】
以上の構成により、ダイポールアンテナ4は、信号灯器1の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなる。つまり、ダイポールアンテナ4の指向性と、光学ユニット2の投光方向とを略一致させることができる。
そして、信号灯器1は、当該信号灯器1の前方であって当該信号灯器1が設置されている道路を走行する車両、及び、信号灯器1の前方の領域に対して、見通しが良い位置に設置される。したがって、このダイポールアンテナ4の指向性によって、この信号灯器1が設置されている道路を走行している前記車両に搭載した車載通信装置(図示せず)との間、及び、この信号灯器1の前方の領域に設置されている他の路側通信装置(図示せず)との間で、良好な通信状態が得られる。
【0036】
このように、信号灯器1に組み込まれたアンテナ4及び前記制御装置5b(図1参照)を路側通信装置とすることで、当該路側通信装置と車両に搭載した車載通信装置との間で無線通信(路車間通信)が行われ、また、当該路側通信装置と前記他の路側通信装置との間で無線通信(路路間通信)が行われ、交通安全の促進や交通事故の防止を目的とする高度道路交通システム(ITS)を実現することができる。このシステムで使用される無線周波数は、例えば、720MHz帯、2.4GHz帯がある。なお、前記他の路側通信装置についても、前記アンテナ組込型の信号灯器を有しているものとすることができる。
【0037】
信号灯器1における庇30の大きさとダイポールアンテナ4の大きさとの関係を図6及び図8により説明する。なお、図8は庇30及びダイポールアンテナ4を正面から見た図である。
図8において、庇30は、光学ユニット2の左端2aから上端2bを経て右端2cまでを覆う形状であり、光学ユニット2の中心C周りに180°(以上)の範囲(光学ユニット2の上半分)にわたって設けられている形状である。庇30の内面30bの半径rは約160mmであり、庇30の前後方向寸法Lは約340mmである。
【0038】
ダイポールアンテナ4の共振周波数を720MHz帯に設定する場合、図6の左右方向の寸法A(円弧面に沿った寸法)を180mm〜210mm(0.38λ〜0.5λ:λは入力される高周波信号の波長)とすることができ、前後方向の寸法Bを100mm程度(約λ/4)とすることができる。
このダイポールアンテナ4を、前記上端2bを周方向の中心として、庇30の上面30aに沿うように設けると、当該ダイポールアンテナ4は、周方向にθ=68°〜80°の範囲を占めることになる。つまり、ダイポールアンテナ4は、庇30が存在している180°の範囲よりも狭くなっており、また、ダイポールアンテナ4の前後方向の寸法Bも、庇30の前後方向寸法Lよりも小さくなっている。
すなわち、ダイポールアンテナ4は、庇30の下方からの投影面の範囲で当該庇30に取り付けられた構成となる。この構成によれば、信号灯器1を下から見た際に、ダイポールアンテナ4は庇30に隠れた状態にあり、ダイポールアンテナ4を目立たなくすることができる。
【0039】
また、この実施形態では、ダイポールアンテナ4が取り付けられている庇30は、信号灯器1の筐体3に対してネジ等の留め具33(図5参照)によって取り外しが可能となっている。このため、例えばダイポールアンテナ4を取り替える場合、庇30を交換すればよく、信号灯器1全体を取り替える必要がなく、経済的である。
また、ダイポールアンテナ4を庇30に直接取り付けてもよいが、ダイポールアンテナ4を誘電体からなるアンテナ筐体に収納した状態として、ダイポールアンテナ4をアンテナ筐体を介して庇30に取り付けてもよい。なお、この場合、アンテナ筐体の全体(又はアンテナ筐体の少なくとも下面)は、庇30の上面30aの形状に沿った湾曲形状とする。
また、ダイポールアンテナ4を他の周波数帯で使用されるように設定してもよく、例えば2.4GHz帯とすることができる。
【0040】
〔アンテナの第二の組み込み構造〕
第二の組み込み構造として、前記指向性アンテナ(以下、アンテナという)は、前記信号灯器1の内の筐体3に組み込まれている。この組み込み構造は、図2の信号灯器1の左側にある左側ユニットU2に示されている。
図9は、筐体3にアンテナが取り付けられた信号灯器1の側面図である。このアンテナも、前記実施形態と同様のダイポールアンテナ4であり、庇30の上方で信号灯器1の筐体3に取り付けられている。この形態においても、庇30の材質は樹脂製等の誘電体であるのが好ましい。
【0041】
このダイポールアンテナ4は、樹脂などの誘電体からなるアンテナ筐体20を介して信号灯器1の筐体3に取り付けられている。すなわち、ダイポールアンテナ4はアンテナ筐体20に格納されていて、このアンテナ筐体20が、ネジ等の留め具(図示せず)によって、信号灯器1の筐体3に取り付けられている。なお、アンテナ筐体20は庇30にも固定されていてもよい。
図10は、庇30の上方に設けられたダイポールアンテナ4を正面の斜め上方から見た斜視図である。なお、図10では、アンテナ筐体20を二点鎖線で示している。ダイポールアンテナ4の基本的な構成は前記形態(図6)と同様であるが、この実施形態ではダイポールアンテナ4を湾曲させていない。
【0042】
具体的な構成を図10により説明すると、ダイポールアンテナ4は、平坦状の樹脂板からなるアンテナ用基板16と、このアンテナ用基板16の一面側に形成されたダイポール部25、一対の平衡給電線部27a,27b及び短絡部28とを有している。平衡給電線部27a,27bは前後方向に延びて形成されていて、ダイポール部25が有しているアンテナ素子25a,25bが左右方向に延びている(左右に展開している)。短絡部28は一対の平衡給電線部27a,27bを短絡している。
さらに、アンテナ用基板16の他面側には、ストリップ線路26が形成されている。
【0043】
ダイポール部25、平衡給電線部27a,27b及び短絡部28は、アンテナ用基板16の一面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。また、ストリップ線路26は、アンテナ用基板16の他面側に薄膜導電体としてパターン形成された線路からなる。
【0044】
そして、このアンテナ用基板16がアンテナ筐体20内に格納された状態となり、アンテナ筐体20の後部が、信号灯器1の筐体3の前面3aに固定されている(図9参照)。信号灯器1の筐体3に対するアンテナ筐体20の固定は、庇30を筐体3に固定するためのネジの留め具33(図5参照)を用いてもよい。つまり、留め具33によって、信号灯器1の筐体3に、アンテナ筐体20及び庇30を共締めしてもよい。
【0045】
アンテナ筐体20は、上下方向に偏平した形状であり、左右方向及び前後方向に比べて、上下方向に薄い直方体であり、庇30の上面30aの頂部と信号灯器1の筐体3の上端との間の上下方向の空間よりも、薄く構成されている。そして、このアンテナ筐体20内に、アンテナ用基板16は、そのアンテナ形成面が水平(投光方向に平行)となるようにして設けられている。
このダイポールアンテナ4の給電部の構造は、前記第一の組み込み構造におけるアンテナと同様の構成(図7参照)であり、説明を省略する。
【0046】
以上の構成により、ダイポールアンテナ4は、水平偏波となり、信号灯器1の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなる。つまり、ダイポールアンテナ4の指向性と、光学ユニット2の投光方向とを略一致させることができる。
【0047】
この第二の組み込み構造では、ダイポールアンテナ4の共振周波数を前記と同様の720MHz帯とすることができるが、より高い周波数とするのが好ましく、2.4GHz帯とすることができる。
この場合のダイポールアンテナ4の大きさと、庇30の大きさとの関係を図10及び図11により説明する。なお、図11は庇30及びダイポールアンテナ4を正面から見た図である。
図11において、庇30は、光学ユニット2の左端2aから上端2bを経て右端2cまでを覆う形状であり、光学ユニット2の中心C周りに180°(以上)の範囲(光学ユニット2の上半分)にわたって設けられている形状である。そして、図11の庇30の内面30bの半径rは約160mmであり、庇30の前後方向寸法Lは約340mmである。
【0048】
アンテナの使用周波数を2.4GHz帯に設定すると、図10の左右方向の寸法Aを46mm〜61mm(0.38λ〜0.5λ:λは入力される高周波信号の波長)とすることができ、前後方向の寸法Bを30mm程度(約λ/4)とすることができる。このように2.4GHz帯のダイポールアンテナ4は、720MHz帯の場合よりも小さくなる。
【0049】
このダイポールアンテナ4を、前記上端2bを周方向の中心として、庇30の上方に水平として設けても、当該ダイポールアンテナ4は、周方向にθ=18°〜24°の範囲を占めることとなる。つまり、ダイポールアンテナ4は、庇30が存在している180°の範囲よりも狭くなっており、また、ダイポールアンテナ4の前後方向の寸法Bも、庇30の前後方向寸法Lよりも小さくなっている。
すなわち、ダイポールアンテナ4は、庇30の下方からの投影面の範囲で筐体3に取り付けられた構成となる。この構成によれば、信号灯器1を下から見た際に、ダイポールアンテナ4は庇30に隠れた状態にあり、ダイポールアンテナ4を目立たなくすることができる。
【0050】
なお、この第二の組み込み構造によるダイポールアンテナ4を、720MHz帯に設定してもよい。この場合であっても、当該ダイポールアンテナ4は、庇30の下方からの投影面の範囲で当該庇30に取り付けられる構成となる。しかし、共振周波数がさらに小さくなると、アンテナが大きくなり、庇30の左右方向の幅寸法よりも大きくなる場合もある。このため、この第二の組み込み構造では、共振周波数が高い方が好ましい場合がある。
さらに、アンテナが大きくなると、図示しないが、下面が平坦であるアンテナ筐体20と、円弧形状である庇30との左右両側における隙間が大きくなり、信号灯器1を正面から見た場合に、アンテナ筐体20が目立つおそれがある。
そこで、この第二の組み込み構造の変形例として、アンテナ筐体20全体(又は少なくとも下面)を庇30の上面30aに沿った円弧形状としてもよい。
【0051】
〔アンテナの第三の組み込み構造〕
第三の組み込み構造では、庇30は、誘電体からなり、その内部にアンテナを格納するための空間部Kが形成されている。すなわち、この実施形態の指向性アンテナ(以下、アンテナという)は、信号灯器1の内の庇30の内部に格納されている。この組み込み構造は、図2の信号灯器1の右側にある右側ユニットU3に示されている。
なお、信号灯器1の筐体3は、中央ユニットU1、左側ユニットU2及び右側ユニットU3で分離可能であってもよく、分離不能の一体ものであってもよい。
【0052】
図12は、庇30にアンテナが格納された信号灯器1の側面図であり、庇30部分を断面により示している。このアンテナも、前記各実施形態と同様のダイポールアンテナ4であり、ダイポールアンテナ4は庇30の内の上部に格納されている。この形態では、庇30の材質は樹脂製等の誘電体である。
この組み込み構造のために、庇30の上部に前記空間部Kが形成されている。庇30の上面30aは、信号灯器1の筐体3の上端よりも低く構成されている。
【0053】
庇30は、光学ユニット2のほぼ上半分の範囲を覆う正面視円弧形状の主庇部35と、主庇部35の上部に前記空間部Kを形成するための前壁31a、後壁31b、左右の側壁31c(図2参照)、上壁31dを有していて、主庇部35の一部(上部)が空間部Kを形成するための底壁となる。そして、これら壁で囲まれた範囲が、ダイポールアンテナ4を収納する前記空間部Kとなる。
【0054】
ダイポールアンテナ4の具体的な構成は、図10に示したものと同じであり、その説明を省略する。また、このダイポールアンテナ4の給電構造は、前記第一及び第二の組み込み構造におけるアンテナと同様の構成(図7参照)であるが、図12の形態では、前記コネクタ17は、前記後壁31bに設けられている。これにより、ダイポールアンテナ4は、信号灯器1の金属製の筐体3の前に配置された構成となる。この形態では、後壁31bのみ金属製とすることができ、この場合、後壁31bと、前記ストリップ線路26a及び前記コネクタ17の内導体17a(図7(a)参照)との間は、絶縁されている必要がある。
【0055】
以上の構成により、ダイポールアンテナ4は、信号灯器1の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなる。つまり、ダイポールアンテナ4の指向性と、光学ユニット2の投光方向とを略一致させることができる。
【0056】
この第三の組み込み構造では、ダイポールアンテナ4の共振周波数を前記と同様の720MHz帯や2.4GHz帯とすることができる。また、この場合においても、ダイポールアンテナ4の大きさは、前記のとおり、庇30の左右方向の幅よりも小さく、かつ、庇30の前後方向よりも小さい。したがって、前記空間部Kは、庇30の左右方向の幅よりも小さく、かつ、庇30の前後方向よりも小さい形状でよい。
また、この第三の組み込み構造によれば、ダイポールアンテナ4は庇30に格納されているので、当該ダイポールアンテナ4を見えなくすることができる。また、下から見てアンテナ4を格納する空間部Kが見えない庇30となっている。
【0057】
〔アンテナの第四の組み込み構造〕
アンテナは、光学ユニット2の投光方向と同一方向の指向性を有するように構成されているが、アンテナの種類は、前記のようなダイポールアンテナ以外に、折り返しダイポールアンテナや、パッチアンテナ等であってもよい。
特にアンテナの種類を、折り返しダイポールアンテナとした場合、不平衡電流が流れにくいことからバルンを省略して、直接的に同軸ケーブルを平衡給電線部に接続してもアンテナ性能を確保し易いという利点がある。
また、アンテナをパッチアンテナとした場合、その指向性を投光方向と同一方向とするために、図13の右側ユニットU3に示しているように、パッチアンテナ104は、信号灯器1の筐体3の前面3aに取り付けられている。この場合、偏波は水平偏波にこだわらず、垂直偏波、円偏波など色々な偏波のアンテナを実現することができる。なお、各実施形態において、庇に取り付けたアンテナを、水平偏波として説明したが、垂直偏波となるように構成してもよい。
【0058】
パッチアンテナ104は、投光方向の前方のパッチ素子11と、パッチ素子11の後方のグランド素子12とを有している。なお、信号灯器1の筐体3が金属製である場合、この筐体3の前面3aをグランド素子12として機能させることができる。
パッチアンテナ104の共振周波数を2.4GHz帯に設定した場合、パッチ素子11の大きさを(パッチ素子11を矩形とした場合)60mm程度とすることができる。
【0059】
そこで、このパッチ素子11を図13に示しているように、筐体3の前面の上半分の領域に取り付けている。この取り付け位置をさらに説明する。信号灯器1の筐体3の内の、中央ユニットU1の前面3d、左側ユニットU2の前面3e及び右側ユニットU3の前面3fそれぞれは、正面視ほぼ矩形であるのに対して、光学ユニット2は円形であり、庇30も円弧形状である。このため、代表として右側ユニットU3について説明すると、前面3fの四隅には、前方に面した正面板部37aが形成されている。この四隅の正面板部37aの内の上二つのいずれかに、パッチアンテナ104が設けられている。この場合、下方から信号灯器1を見ると、パッチ素子11は庇30によって隠れた状態となる。
【0060】
さらに、右側ユニットU3の前面3fにおいて、上二つの正面板部37aの内の、隣の他のユニット(中央ユニットU1)が存在している側の正面板部37aに、パッチアンテナ104を設けると(図13に示している形態)、右側ユニットU3及び中央ユニットU1の庇30によって、パッチ素子11は隠れた状態となる。
【0061】
このように、第一のアンテナとして、パッチアンテナ104が信号灯器1の筐体3に取り付けられている。さらに、この信号灯器1には、前記第一の組み込み構造が採用されている。つまり、第二のアンテナとして、ダイポールアンテナ4が前記信号灯器1の庇30に取り付けられている。つまり、この形態の信号灯器1に組み込まれるアンテナは、第一と第二の二つのアンテナを備えている。
図13の形態では、パッチアンテナ104(第一アンテナ)が右側ユニットU3に組み込まれていて、ダイポールアンテナ4(第二アンテナ)が左側ユニットU2に組み込まれている。なお、第一アンテナ及び第二アンテナは、ユニットU1,U2,U3の内、異なるユニットに分かれて組み込まれていてもよいが(図13)、同一のユニットに組み込まれていてもよい(図示せず)。
【0062】
また、一つの信号灯器1に複数のアンテナを組み込み場合、当該複数のアンテナの共振周波数を、相互で異なるように構成することができる。
また、信号灯器1の筐体3の前面に取り付けるアンテナを、ダイポールアンテナ又は、折り返しダイポールアンテナとし、例えば2.4GHz等の高周波用とした場合、このアンテナを小さくする(長手方向が60mm程度とする)ことができることから、アンテナ用基板16(図7参照)を、垂直面に沿う方向として、筐体3の前面3aに取り付けることができる。この場合、このアンテナは、垂直偏波となる。
【0063】
以上、信号灯器1についての前記各実施形態によれば、道路上の支柱40に設置されている信号灯器1に、アンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
また、信号灯器1は、赤青黄いずれか一つの灯色を前方の道路上のある領域に対して投光するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。すなわち、交通用の信号灯器1は、車両の運転者による視認性を考慮して道路に設置されている。そして、このような信号灯器1にアンテナが組み込まれ、当該アンテナは、信号灯器1の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである。したがって、信号灯器1のアンテナ4と車両の車載通信装置との間で無線通信を行なう上で、見通しが良好な状態を自然と得ることができる。
これにより、信号灯器1に組み込んだアンテナを、路車通信を行なう高度道路交通システム(ITS)に活用することができ、良好な通信状態が得られる。
【0064】
さらに、アンテナが組み込まれた信号灯器(第一の信号灯器)1は、当該信号灯器1の前方に関して見晴らしが良くなるようにして設置されていることから、この信号灯器1とは別に前方に設置された路側通信装置との間で良好な通信状態が得られ、路路間通信が可能となる。なお、この路側通信装置は、本発明のように構成された信号灯器(第二の信号灯器)であってもよい。
そして、前記第一のアンテナを路路間通信用(2.4GHz帯)とし、前記第二のアンテナを路車間通信用(720MHz帯)とすることができる。
【0065】
また、アンテナが、庇30の下方からの投影面の範囲で信号灯器1に取り付けられている場合、信号灯器1を下から見た際に、アンテナは庇30に隠れ、アンテナを目立たなくすることができる。
さらに、信号灯器1の筐体3を金属製とし、アンテナをこの筐体3の前に設置した場合、この筐体3の前面が反射板としての機能を奏することが可能となり、前方への指向性を有することができる。
【0066】
以上の前記各実施形態では、情報報知手段を、車両用の信号灯器1として説明したが、本発明の交通信号設備では、情報報知手段を他のものとすることができる。例えば、歩行者用の交通信号灯器、矢印式交通信号灯器、交通信号灯器に併設された待ち時間表示装置、文字情報表示装置、歩行者用の交通信号灯器と共に設けられる音響装置、道路標識等とすることができる。
【0067】
図14に示しているように、情報報知手段を、歩行者用の交通信号灯器55(以下、歩行者用信号灯器という)とした場合を説明する。
歩行者用信号灯器55は、道路上に設けられた支柱40に設置されていて、交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色(青赤いずれか一つの灯色)を道路上の領域に対して投光し、主に道路を歩行する歩行者に対して、停止又は進行可能についての情報を報知する。
そして、この歩行者用信号灯器55にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、歩行者用信号灯器55の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。
【0068】
歩行者用信号灯器55も、車両用と同様に、内部に発光体(LED)等を有している光学ユニット55aと、この光学ユニット55aを組み込んでいる筐体55bと、光学ユニット55aに対する太陽光の入射を制限する庇55cとを有していて、アンテナ4を、庇55cに取り付けることができる。さらに、アンテナ4を、庇55cの下方からの投影面の範囲で当該庇55cに取り付けることができる。
この場合、アンテナ4を用いた無線通信の相手は、車両に搭載された車載用通信装置以外に、歩行者が携帯している携帯無線通信端末であってもよい。
【0069】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、矢印式交通信号灯器51とした場合を説明する。この信号灯器51は、道路上に設けられた支柱40にアーム41を介して設置されていて、交通に関する情報として進行可能について示す灯光(矢印の灯光)を、道路の交差点手前の領域に対して投光し、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、進行可能についての情報を報知する。
そして、この信号灯器51にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、信号灯器51の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。
【0070】
この信号灯器51は、赤、黄、青の灯光色を有する光学ユニット2以外に、車両等の進行可能を意味する矢印を点灯させる光学ユニット52、この光学ユニット52を組み込んでいる筐体52b及びこの光学ユニット52のための庇52aを更に備えている。光学ユニット52も、赤、黄、青の光学ユニット2と同様に、内部に発光体(LED)等を有している。そして、この信号灯器51の庇52a又は筐体52bに、アンテナ4を取り付けることができる。
【0071】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、交通信号灯器に併設された待ち時間表示装置54とした場合を説明する。待ち時間表示装置54は、併設された信号灯器が赤の時間帯に、次に青の灯色に変わるまでの残り時間を表示する光学ユニット54a及びこの光学ユニット54aを組み込んでいる筐体54bを有している。さらに、光学ユニット54aのための庇54cを備えていてもよい。
この光学ユニット54aは、信号灯器の光学ユニットと同様に、内部に複数のLEDを有していて、これらLEDは数字を表示することができるように配置されている。そして、発光させるLEDの組み合わせを制御装置5aが制御することで、信号灯器が次に青の灯色に変わるまでの残り時間を車両等に対して表示することができる。
【0072】
この待ち時間表示装置54は、道路上に設けられた支柱40にアーム41を介して設置されていて、交通に関する情報として、光学ユニット2が次に青の灯色に変わるまでの残り時間について示す灯光を、道路の交差点手前の領域に対して投光し、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、前記残り時間についての情報を報知する。
そして、この待ち時間表示装置54に、アンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、待ち時間表示装置54の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。そして、アンテナ4を、筐体54b又は庇54cに取り付けることができる。
【0073】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、文字情報表示装置53とした場合を説明する。文字情報表示装置53は信号灯器に併設されていて、信号灯器の光学ユニット2と同様に、内部に多数のLED等を有している光学ユニット53a、この光学ユニット53aを組み込んでいる筐体53b、及び、庇53cを備えていて、発光させるLEDの組み合わせを制御装置5aが制御することで、様々な文字情報を車両に対して表示することができる。
【0074】
この信号灯器の文字情報表示装置53は、道路上に設けられた支柱40にアーム41を介して設置されていて、交通に関する情報として、例えば道路前方の交通状況について示す文字情報を、道路の交差点手前の領域に対して前記LEDにより投光し、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、文字情報を報知する。
そして、この文字情報表示装置53にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、文字情報表示装置53の投光方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。そして、アンテナ4を、筐体53b又は庇53cに取り付けることができる。
【0075】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、交通信号灯器と共に設けられる音響装置56とした場合を説明する。この音響装置56は、特に歩行者に対して音声で歩行者用信号灯器55の光学ユニット55aの灯色に関する情報を伝えることができ、音を発することのできるスピーカ56aを備えている。音響装置56は、制御装置5aの制御によって、光学ユニット55aの灯色と連動するように機能し、例えば視覚障害者のために、灯色が青の際に誘導音を発することができる。
【0076】
この音響装置56は、道路上に設けられた支柱40に設置されていて、交通に関する情報として、光学ユニット55aの灯色に関する情報を音として報知する。
そして、この音響装置56にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、スピーカ56aが音を発す方向(つまり、前方)と同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。そして、アンテナ4を、音響装置56が有している筐体56b(筐体56bの内部)に取り付けることができる。
【0077】
このように、図14に示した歩行者用信号灯器55、矢印式信号灯器51、文字情報表示装置53、待ち時間表示装置54は、これらが設置されている道路を走行する車両に対して、つまり、前方に対して見通しが良い位置に設置されていて、アンテナ4の指向性を、交通に関する情報を報知する前方と同一方向とすることにより、例えば前記車両に搭載した車載通信装置(図示せず)との間で、良好な通信状態が得られる。
【0078】
また、図14に示しているように、情報報知手段を、道路標識57とした場合を説明する。この道路標識57は、道路上に設けられた支柱40に設置されていて、信号灯器51が設置されている場所(交差点)の地名を表示している案内標識である。そして、この案内標識にアンテナ4が組み込まれている。
道路標識57は、交通に関する情報として、前記のとおり信号灯器51が設置されている場所(交差点)の地名についての情報を、道路の交差点手前の領域に対して表示することを目的として設置されていて、主に交差点に進入しようとしている車両の運転者に対して、地名についての情報を視覚情報として報知する。このような道路標識57は、例えば当該道路標識57が設置されている交差点に向かって走行してくる車両に対向するように表示面57aが設置されている。
そして、この道路標識57にアンテナ4が組み込まれていて、このアンテナ4は、道路標識57の表示面57aによって情報を表示させる当該表示面57aの前方と、同一方向に電波を放射する指向性アンテナとなっている。
【0079】
この道路標識57の前記表示面57aは、文字(や図等)を表示していて、この表示面57aに例えばパッチアンテナ4が貼り付けられている。すなわち、パッチアンテナ4の上に、文字(や図等)の表示が形成されている。
この場合においても、道路標識57は、当該道路標識57が設置されている道路を走行する車両に対して、見通しが良い位置に設置されていて、アンテナ4の指向性を前方(標識を表示している道路へ向かう方向)とすることにより、車両に搭載した車載通信装置(図示せず)等との間で、良好な通信状態が得られる。
【0080】
以上の各実施形態によれば、情報報知手段が道路上に設けられた支柱や歩道橋等の構造物に設置され、当該情報報知手段にアンテナが組み込まれていることから、アンテナ設置用の専用の支柱を不要とできる。
また、前記のような各情報報知手段は、交通に関する情報を道路上のある領域に対して報知するという機能を発揮させるために、当該領域に存在している例えば車両(運転者)に対して、見通しが良い位置に設置されている。したがって、このような情報報知手段にアンテナが組み込まれ、そして、当該アンテナは、当該情報報知手段が道路上のある領域に対して交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に、電波を放射する指向性アンテナであるため、このアンテナにより、例えば前記車両に搭載された車載通信装置との間で良好な通信状態が得られる。
【0081】
また、本発明に関して、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。例えば、信号灯器が有する発光体はLED以外に電球等であってもよい。
また、アンテナを信号灯器1の筐体3に組み込む場合、前記実施形態では、筐体3の外(前面3aの前方)にアンテナを取り付ける場合を説明したが、筐体3の内部(前面3aの後方)にアンテナを格納してもよい。この場合、アンテナの性能を発揮させるために、筐体3の全体又は一部(アンテナに対応する部分)を樹脂により作製する必要がある。
【符号の説明】
【0082】
1 交通信号灯器(情報報知手段)
2 光学ユニット
3 筐体
4 アンテナ
7 発光ダイオード(発光体)
30 庇
40 支柱(構造物)
51 矢印式交通信号灯器(情報報知手段)
53 文字情報表示装置(情報報知手段)
54 待ち時間表示装置(情報報知手段)
55 歩行者用の交通信号灯器(情報報知手段)
56 音響装置(情報報知手段)
57 道路標識(情報報知手段)
K 空間部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路上に設けられた構造物に設置され交通に関する情報を当該道路上の領域に対して報知する情報報知手段と、
前記情報報知手段に組み込まれたアンテナと、を備えていることを特徴とする交通信号設備。
【請求項2】
前記アンテナは、前記情報報知手段が前記領域に対して前記交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである請求項1に記載の交通信号設備。
【請求項3】
前記情報報知手段は、前記交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を投光する交通信号灯器からなり、
前記アンテナは、前記交通信号灯器の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである請求項2に記載の交通信号設備。
【請求項4】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記交通信号灯器に取り付けられている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項5】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記アンテナは、前記庇に取り付けられている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項6】
前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で当該庇に取り付けられている請求項5に記載の交通信号設備。
【請求項7】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、を有し、
前記アンテナは、前記筐体に組み込まれている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項8】
前記交通信号灯器は、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇を有し、
前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記筐体に取り付けられている請求項7に記載の交通信号設備。
【請求項9】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記庇は、誘電体からなり、内部に前記アンテナを格納するための空間部が形成されている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項10】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記アンテナは、前記筐体に取り付けられている第一アンテナと、前記庇に取り付けられている第二アンテナと、を有している請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項1】
道路上に設けられた構造物に設置され交通に関する情報を当該道路上の領域に対して報知する情報報知手段と、
前記情報報知手段に組み込まれたアンテナと、を備えていることを特徴とする交通信号設備。
【請求項2】
前記アンテナは、前記情報報知手段が前記領域に対して前記交通に関する情報を報知することを意図する方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである請求項1に記載の交通信号設備。
【請求項3】
前記情報報知手段は、前記交通に関する情報として停止又は進行可能について示す灯色を投光する交通信号灯器からなり、
前記アンテナは、前記交通信号灯器の投光方向と同一方向に電波を放射する指向性アンテナである請求項2に記載の交通信号設備。
【請求項4】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記交通信号灯器に取り付けられている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項5】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記アンテナは、前記庇に取り付けられている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項6】
前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で当該庇に取り付けられている請求項5に記載の交通信号設備。
【請求項7】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、を有し、
前記アンテナは、前記筐体に組み込まれている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項8】
前記交通信号灯器は、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇を有し、
前記アンテナは、前記庇の下方からの投影面の範囲で前記筐体に取り付けられている請求項7に記載の交通信号設備。
【請求項9】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記庇は、誘電体からなり、内部に前記アンテナを格納するための空間部が形成されている請求項3に記載の交通信号設備。
【請求項10】
前記交通信号灯器は、内部に発光体を有している光学ユニットと、前記光学ユニットを組み込んでいる筐体と、前記光学ユニットに対する太陽光の入射を制限する庇と、を有し、
前記アンテナは、前記筐体に取り付けられている第一アンテナと、前記庇に取り付けられている第二アンテナと、を有している請求項3に記載の交通信号設備。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−163749(P2010−163749A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4712(P2009−4712)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]