説明

交通状況判定システム、画像処理装置、コンピュータプログラム及び交通状況判定方法

【課題】 交通渋滞、交通異常、交通違反、交通事故など詳細な交通状況を判定することができる交通状況判定システム、該交通状況判定システムを構成する画像処理装置、該画像処理装置を実現するコンピュータプログラム、及び交通状況判定方法を提供する。
【解決手段】 CPUは、判定時間T1、算出時間T2の計時を開始し、フレーム画像処理を行い、算出時間T2の経過の有無を判定する。算出時間T2が経過していない場合、フレーム画像処理を続ける。算出時間T2が経過した場合、CPUは、交通渋滞判定の処理、交通異常判定の処理を行う。CPUは、交通異常の有無を判定し、交通異常が有る場合、判定時間T1の経過の有無を判定する。判定時間T1が経過していない場合、算出時間T2をリセットし、フレーム画像処理、交通渋滞判定処理、交通異常判定処理を繰り返す。判定時間T1が経過した場合、交通異常を管制センタ装置(3)へ通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路を含む領域を撮像装置で撮像して得られた撮像画像に基づいて、広範囲な交通状況を判定する交通状況判定システム、該交通状況判定システムを構成する画像処理装置、該画像処理装置を実現するコンピュータプログラム、及び交通状況判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路交通環境の改善を目的とした道路交通システムは、渋滞緩和のために車両の流入制限するもの、交通関連情報の提供や交通流を最適化するものなど、様々な分野で利用されつつあり、ビデオカメラで撮像した撮像画像を処理して、車両の通過台数、走行速度などの情報を収集するものがある。
【0003】
道路上の走行車両を検出する方法には、車両が存在しない道路のみの画像を予め作成しておき、車両が走行しているときの画像と道路のみの画像との差分を算出し、算出した情報に基づいて車両のみの情報を抽出するものがある。しかし、この方法は、日照変化、天候変化などの外部環境変化の影響により、道路上の影、路面標記などを走行車両と誤って検出する場合があった。
【0004】
これに対して、微小時間間隔の複数画像間での撮像画像の差分又は相関情報などを算出することにより移動体の動きベクトルを算出して車両を検出する方法は、外部環境変化の影響を受けにくく、動きベクトルの算出により、車両の速度、移動方向などの情報を取得することが可能である。
【0005】
例えば、ビデオカメラの光軸を路面に向けて道路の上方に配置し、ビデオカメラで撮像した画像上の各車両の動きを動きベクトルとして認識することにより、車間距離が小さい場合であっても、車両の速度、方向、台数などの交通情報を測定することができる交通情報測定装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−334395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の装置にあっては、車両の速度、方向、台数などの交通情報(交通パラメータ)を同時に測定することができるが、交通渋滞、交通違反、交通事故、又は異常走行などの交通状況を判定することはできない。円滑な交通又は事故の未然防止を効果的に実現するためには、車両の速度、方向、台数などの交通情報だけでなく、さらに詳細な交通情報を測定して、交通状況を正確に、かつ広範囲に判定することが求められていた。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、撮像時点の異なる撮像画像で特定した対応する画素ブロックの位置変化により、画素ブロックの動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックの動きベクトルを算出し、算出した連結ブロックの動きベクトル又は該動きベクトルに基づいて算出した動きベクトルの分布密度により交通状況を判定することにより、外部環境変化に影響されずに交通状況を判定することができる交通状況判定システム、該交通状況判定システムを構成する画像処理装置、該画像処理装置を実現するコンピュータプログラム、及び交通状況判定方法を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明の他の目的は、所定時間に複数回算出した動きベクトルの分布密度及び動きベクトルに基づいて、それらの平均値、最頻値、又は中央値の少なくとも一つを含む統計値を算出することにより、さらに正確に交通状況を判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルの大きさに基づいて、交通渋滞状況を判定することにより、交通渋滞の度合いを正確に判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、連結ブロックの動きベクトルの方向と交通流の方向を定める標準方向との角度差が略180度である場合、交通異常と判定することにより、車両の走行方向の異常を容易に判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、連結ブロックの動きベクトルの方向と交通流の方向を定める標準方向との角度差が第1閾値以上である場合、交通異常と判定することにより、駐車車両、事故車両、又は障害物などを避けるための回避走行が継続していることを容易に判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが第2閾値より小さく、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定することにより、隣接する車線の一方で交通異常が発生していることを判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、前記一の判定領域の動きベクトルの分布密度が第3閾値より大きい場合に、交通異常と判定することにより、さらに精度良く交通異常を判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0014】
また、本発明の他の目的は、同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域で連結ブロックが特定されず、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定することにより、さらに精度良く交通異常を判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0015】
また、本発明の他の目的は、交通規制に対応する規制領域を撮像画像に設けてあり、前記規制領域に進入した連結ブロックの動きベクトルの方向と、交通流の規制方向とが略一致する場合に、交通違反と判定することにより、進入禁止領域への進入、右折禁止での右折走行などの交通違反を判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0016】
また、本発明の他の目的は、連結ブロック同士が重複する重複領域の画素ブロック数が第4閾値以上になる第1撮像時点と、該第1撮像時点より前の第2撮像時点との間で、前記重複領域の画素が有する輝度値の差が前記第5閾値以上である場合に、交通事故と判定することにより、衝突事故の発生を容易に判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、前記第2撮像時点に前記連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の前記第1撮像時点及び第2撮像時点での差が第6閾値以上である場合に、交通事故と判定することにより、さらに精度良く衝突事故の発生を判定することができる画像処理装置を提供することにある。
【0018】
また、本発明の他の目的は、画像処理装置で算出した動きベクトルを判定装置へ送信し、該判定装置は、受信した動きベクトルに基づいて、動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルを算出して交通状況を判定することにより、遠隔地の交通状況を容易に判定することができる交通状況判定システムを提供することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、道路を含む異なる領域を撮像する撮像装置、及び該撮像装置で撮像した撮像画像を処理する画像処理装置夫々を道路に沿って3つ以上備え、一の撮像装置で撮像した撮像画像、及び前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像に基づいて、広範囲の交通渋滞状況を判定することができる交通状況判定システムを提供することにある。
【0020】
また、本発明の他の目的は、一の時点、及び該一の時点と異なる複数の他の時点における交通渋滞状況を判定することにより、誤判定を低減して、精度良く交通渋滞状況を判定することができる交通状況判定システムを提供することにある。
【0021】
また、本発明の他の目的は、複数の連続した撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況に基づいて、交通渋滞変化点を判定することができる交通状況判定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
第1発明に係る画像処理装置は、取得した撮像画像を処理して交通状況を判定する画像処理装置において、撮像時点の異なる撮像画像の対応する画素ブロックを特定する手段と、前記画素ブロックの位置変化に基づいて、前記画素ブロックの動きベクトルを算出する手段と、算出された動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0023】
第2発明に係る画像処理装置は、第1発明において、前記密度算出手段及びベクトル算出手段は、前記分布密度及び連結ブロックの動きベクトルを所定時間に複数回算出するようにしてあり、算出した複数の分布密度及び連結ブロックの動きベクトルに基づいて、それらの平均値、最頻値、又は中央値の少なくとも一つを含む統計値を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0024】
第3発明に係る画像処理装置は、第2発明において、前記判定手段は、前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルの大きさに基づいて、交通渋滞状況を判定するようにしてあることを特徴とする。
【0025】
第4発明に係る画像処理装置は、第1発明において、交通流の方向を定める標準方向を記憶する記憶手段と、前記連結ブロックの動きベクトルの方向と前記標準方向との角度差を算出する角度差算出手段とを備え、前記判定手段は、算出された角度差が略180度である場合、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0026】
第5発明に係る画像処理装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、交通流の方向を定める標準方向を記憶する記憶手段と、前記連結ブロックの動きベクトルの方向と前記標準方向との角度差を算出する角度差算出手段と、判定時間を計時する手段とを備え、前記判定手段は、前記判定時間が所定の時間以上となるまで、算出された角度差が第1閾値以上である場合、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0027】
第6発明に係る画像処理装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、前記連結ブロックの動きベクトルの大きさと第2閾値とを比較する手段と、判定時間を計時する手段とを備え、前記判定手段は、前記判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より小さく、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0028】
第7発明に係る画像処理装置は、第6発明において、前記分布密度と第3閾値とを比較する手段を備え、前記判定手段は、前記判定時間が所定の時間以上となるまで、前記一の判定領域の分布密度が前記第3閾値より大きい場合に、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0029】
第8発明に係る画像処理装置は、第1発明乃至第4発明のいずれかにおいて、同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、前記連結ブロックの動きベクトルの大きさと第2閾値とを比較する手段と、判定時間を計時する手段とを備え、前記判定手段は、前記判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域で連結ブロックが特定されず、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0030】
第9発明に係る画像処理装置は、第1発明乃至第8発明のいずれかにおいて、交通規制に対応する規制領域を撮像画像に設けてあり、前記規制領域での交通流の規制方向を記憶するようにしてあり、連結ブロックの前記規制領域への進入を検出する手段と、前記連結ブロックの動きベクトルの方向と前記規制方向とを比較する手段とを備え、前記判定手段は、前記規制領域に進入した連結ブロックの動きベクトルの方向と前記規制方向とが略一致する場合に、交通違反と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0031】
第10発明に係る画像処理装置は、第1発明乃至第9発明のいずれかにおいて、連結ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロック同士の重複領域を特定する手段と、 前記重複領域の画素ブロック数と第4閾値とを比較する手段とを備え、前記判定手段は、前記重複領域の画素ブロック数が前記第4閾値以上になる第1撮像時点と、該第1撮像時点より前の第2撮像時点との間で、前記重複領域の画素が有する輝度値の差が前記第5閾値以上である場合に、交通事故と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0032】
第11発明に係る画像処理装置は、第10発明において、前記判定手段は、前記第2撮像時点に前記連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の前記第1撮像時点及び第2撮像時点での差が第6閾値以上である場合に、交通事故と判定するようにしてあることを特徴とする。
【0033】
第12発明に係る交通状況判定システムは、道路を含む領域を撮像装置で撮像し、撮像して得られた撮像画像を画像処理装置で処理して交通状況を判定する交通状況判定システムにおいて、前記画像処理装置は、撮像時点の異なる撮像画像の対応する画素ブロックを特定する手段と、前記画素ブロックの位置変化に基づいて、前記画素ブロックの動きベクトルを算出する手段と、算出された動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0034】
第13発明に係る交通状況判定システムは、道路を含む領域を撮像する撮像装置と、撮像して得られた撮像画像を処理する画像処理装置と、交通状況を判定する判定装置とを備える交通状況判定システムにおいて、前記画像処理装置は、撮像時点の異なる撮像画像の対応する画素ブロックを特定する手段と、前記画素ブロックの位置変化に基づいて、前記画素ブロックの動きベクトルを算出する手段と、算出した動きベクトルを前記判定装置へ送信する手段とを備え、前記判定装置は、前記画像処理装置が送信した動きベクトルを受信する手段と、受信した動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、前記分布密度又は前記連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【0035】
第14発明に係る交通状況判定システムは、第13発明において、道路を含む異なる領域を撮像する撮像装置、及び該撮像装置で撮像した撮像画像を処理する画像処理装置夫々を道路に沿って3つ以上備え、前記判定装置は、前記分布密度又は前記連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通渋滞状況を判定するようにしてあり、一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況が、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況と異なる場合に、第2の交通渋滞状況であると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0036】
第15発明に係る交通状況判定システムは、第14発明において、前記判定装置は、一の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況が、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況と異なる場合に、前記一の時点と異なる複数の他の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が、前記第2の交通渋滞状況であるときは、第2の交通渋滞状況であると判定するようにしてあることを特徴とする。
【0037】
第16発明に係る交通状況判定システムは、第14発明又は第15発明において、前記判定装置は、複数の連続した撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が同一である場合に、前記撮像装置のうち交通流の下流端の撮像装置の位置に基づいて、交通渋滞変化点を判定するようにしてあることを特徴とする。
【0038】
第17発明に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、取得した撮像画像を処理して交通状況を判定させるためのコンピュータプログラムにおいて、コンピュータを、動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段として機能させることを特徴とする。
【0039】
第18発明に係る交通状況判定方法は、道路を含む領域を撮像装置で撮像し、撮像して得られた撮像画像を処理して交通状況を判定する交通状況判定方法において、動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定し、前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出し、前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出し、前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定することを特徴とする。
【0040】
第1発明、第12発明、第17発明及び第18発明にあっては、画像処理装置は、撮像画像を所望の画素ブロック(例えば、8×8画素のブロック)に分割し、一の撮像時点の撮像画像の各画素ブロックに対応する画素ブロックを前記一の撮像時点と異なる撮像時点の撮像画像で特定する。異なる撮像時点間において、対応する画素ブロックが特定された場合、画像処理装置は、特定された画素ブロックの撮像画像での位置変化に基づき、対応する画素ブロックの中心同士を結ぶベクトルである画素ブロックの動きベクトルを算出する。これにより、異なる撮像時点間で画素ブロックの位置変化がない道路上の影、路面標記などを排除することができる。画像処理装置は、算出された各画素ブロックの動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接した画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する。これにより、道路を走行する車両を特定する。
【0041】
ベクトル算出手段は、連結ブロックを構成する各画素ブロックの動きベクトルに基づいて(例えば、各画素ブロックの動きベクトルの平均値)、連結ブロックの動きベクトルを算出する。密度算出手段は、連結ブロックの画素ブロック数に基づいて(例えば、撮像画像における画素ブロック数に対する連結ブロック(複数の連結ブロックがある場合には、すべての連結ブロック)を構成する画素ブロック数の比)、動きベクトルの分布密度を算出する。判定手段は、撮像装置で繰り返し撮像した場合、得られた撮像画像に基づいて、動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルを算出することにより、車両の時間的分布及び空間的分布に基づいた交通状況を判定する。
【0042】
第2発明にあっては、密度算出手段及びベクトル算出手段は、所定時間に亘って動きベクトルの分布密度及び連結ブロックの動きベクトルを複数回算出し、算出した複数の動きベクトルの分布密度及び連結ブロックの動きベクトルに基づいて、それらの平均値、最頻値、又は中央値の少なくとも一つを含む統計値を算出する。これにより、動きベクトルの分布密度及び連結ブロックの動きベクトルの変動が突発的に生じた場合に、その影響を排除するとともに、信頼性の高い値を算出する。
【0043】
第3発明にあっては、判定手段は、前記統計値により算出された動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルの大きさに基づいて、交通渋滞状況を判定する。例えば、動きベクトルの分布密度の大小、連結ブロックの動きベクトルの大きさの大小(又は撮像画像における動きベクトルの大きさから車両の速度に換算し、換算した速度の大小)の組合せに応じて、閑散、普通流、渋滞、大渋滞などの交通渋滞の度合いを判定する。
【0044】
第4発明にあっては、画像処理装置は、撮像画像上の道路又は車線の位置、方向などに基づいて、予め車両が走行する交通流の方向を定める標準方向を記憶しておく。角度算出手段は、連結ブロックの動きベクトルの方向と標準方向との角度差を算出し、判定手段は、算出された角度差が略180度である場合、交通異常と判定する。すなわち、前記判定手段は、車両が反対方向に逆走する交通異常と判定する。
【0045】
第5発明にあっては、画像処理装置は、撮像画像上の道路又は車線の位置、方向などに基づいて、予め車両が走行する交通流の方向を定める標準方向を記憶しておく。角度差算出手段は、算出された動きベクトルの方向と標準方向との角度差を算出する。判定手段は、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、角度差が第1閾値以上である場合、交通異常と判定する。これにより、交通事故又は道路上の障害物を避ける回避走行などの交通異常が継続して発生していると判定する。
【0046】
第6発明にあっては、予め同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域夫々を撮像画像に設けておく。判定手段は、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域(撮像画像での一の車線に対応する領域)の連結ブロックの動きベクトルの大きさが第2閾値より小さく、他の判定領域(撮像画像での他の車線に対応する領域)の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定する。
【0047】
例えば、一の判定領域に対応する車線での動きベクトルの大きさ(又は車両の速度)が前記第2閾値より小さく、渋滞の度合いが混雑又は大混雑であると判定される場合に、他の判定領域に対応する車線での動きベクトルの大きさ(又は車両の速度)が前記第2閾値より大きく、渋滞の度合いが閑散又は普通流であると判定されるときは、両方の車線で渋滞の度合いの差が大きく、一の判定領域に対応する車線で交通事故、駐車違反などの交通障害による交通異常であると判定する。また、一の判定領域に対応する車線での動きベクトルの大きさ、及び他の判定領域に対応する車線での動きベクトルの大きさ夫々が、前記第2閾値より大きい場合、又は小さい場合には、両方の車線で渋滞の度合いの差が小さく交通異常はないと判定する。
【0048】
第7発明にあっては、前記判定手段は、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、前記一の判定領域の動きベクトルの分布密度が第3閾値より大きい場合に、交通異常と判定する。例えば、一の判定領域に対応する車線での渋滞度合いが、大混雑であると判定される場合に、一の判定領域に対応する車線で交通事故、駐車違反などの交通障害による交通異常であると判定する。これにより、交通事故、駐車違反などの交通障害による交通異常をさらに精度良く判定する。
【0049】
第8発明にあっては、予め同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域夫々を撮像画像に設けておく。判定手段は、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域(撮像画像での一の車線に対応する領域)で連結ブロックが特定されず、他の判定領域(撮像画像での他の車線に対応する領域)の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定する。例えば、一の判定領域に対応する車線で車両が存在せず、他の判定領域に対応する車線での動きベクトルの大きさ(又は車両の速度)が前記第2閾値より大きく、渋滞の度合いが閑散又は普通流であると判定されるときは、一の判定領域に対応する車線で車両が走行できないような交通障害による交通異常であると判定する。これにより、交通事故、駐車違反などの交通障害による交通異常をさらに精度良く判定する。
【0050】
第9発明にあっては、画像処理装置は、道路における交通規制(例えば、停止線前方の進入禁止、交差点の右折禁止など)に対応する規制領域を撮像画像に設けてあり、前記規制領域での交通流の規制方向を(例えば、走行禁止方向を示す)を記憶してある。画像処理装置は、連結ブロックの前記規制領域への進入を検出した場合、前記連結ブロックの動きベクトルと前記規制領域の規制方向とを比較する。判定手段は、前記規制領域に進入した連結ブロックの動きベクトルの方向と前記規制方向とが略一致する場合に、交通違反と判定する。
【0051】
例えば、前記判定手段は、連結ブロックの動きベクトルの方向と前記規制方向とが略一致する場合は、前記判定手段は、車両が禁止されている方向に走行したとして、進入禁止領域への進入、右折禁止での右折走行などの交通違反と判定する。
【0052】
第10発明にあっては、画像処理装置は、連結ブロック同士が重複する重複領域を特定した場合、該重複領域の画素ブロック数と第4閾値とを比較する。すなわち、重複領域の画素ブロック数が前記第4閾値以上である場合は、連結ブロックに対応する車両同士の衝突の可能性が高く、重複領域の画素ブロック数が前記第4閾値以下である場合は、連結ブロックに対応する車両同士の衝突の可能性が低い。判定手段は、前記重複領域の画素ブロック数が前記第4閾値以上になる第1撮像時点(すなわち、衝突推定時点)と、該第1撮像時点より前の第2撮像時点(すなわち、衝突前の時点)との間で、前記重複領域の画素が有する輝度値の差が第5閾値以上である場合に、交通事故と判定する。
【0053】
すなわち、前記判定手段は、第2撮像時点(衝突前の時点)と第1撮像時点(衝突推定時点)との間で、前記重複領域が有する輝度値の差が前記第5閾値以上である場合は、第2撮像時点から第1撮像時点までの間に、前記重複領域に車両が移動しているため、衝突したものとして交通事故の発生と判定する。一方、前記判定手段は、第2撮像時点(衝突前の時点)と第1撮像時点(衝突推定時点)との間で、前記重複領域が有する輝度値の差が第5閾値以下である場合は、第2撮像時点から第1撮像時点までの間に、前記重複領域に車両が移動していないため、衝突は回避され、交通事故はないと判定する。
【0054】
第11発明にあっては、前記判定手段は、前記第2撮像時点(衝突前の時点)に前記連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の前記第1撮像時点(衝突推定時点)及び第2撮像時点での差が第6閾値以上である場合に、交通事故と判定する。すなわち、前記判定手段は、前記第1撮像時点及び第2撮像時点において、第2撮像時点に連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の差が前記第6閾値以上である場合は、第2撮像時点から第1撮像時点までの間に、連結ブロックに対応する車両は停止せずに移動しているため、衝突したものとして交通事故の発生と判定する。一方、前記判定手段は、前記第1撮像時点及び第2撮像時点において、第2撮像時点に連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の差が前記第6閾値以下である場合は、第2撮像時点から第1撮像時点までの間に、連結ブロックに対応する車両は停止しているため、衝突は回避され、交通事故はないと判定する。
【0055】
第13発明にあっては、画像処理装置は、撮像画像を所望の画素ブロック(例えば、8×8画素のブロック)に分割し、一の撮像時点の撮像画像の各画素ブロックに対応する画素ブロックを前記一の撮像時点と異なる撮像時点の撮像画像で特定する。異なる撮像時点間において、対応する画素ブロックが特定された場合、特定された画素ブロックの撮像画像での位置変化に基づき、対応する画素ブロックの中心同士を結ぶベクトルである画素ブロックの動きベクトルを算出する。これにより、異なる撮像時点間で画素ブロックの位置変化がない道路上の影、路面標記などを排除することができる。画像処理装置は、算出した動きベクトルを判定装置へ送信する。
【0056】
前記判定装置は、前記動きベクトルを受信し、受信した動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接した画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する。これにより、道路を走行する車両を特定する。ベクトル算出手段は、連結ブロックを構成する各画素ブロックの動きベクトルに基づいて(例えば、各画素ブロックの動きベクトルの平均値)、連結ブロックの動きベクトルを算出する。密度算出手段は、撮像画像における画素ブロック数に対する連結ブロック(複数の連結ブロックがある場合には、すべての連結ブロック)を構成する画素ブロック数の比を動きベクトルの分布密度として算出する。前記判定装置は、算出した動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて交通状況を判定する。
【0057】
第14発明にあっては、道路を含む異なる領域を撮像する3つ以上の撮像装置で撮像した撮像画像を画像処理装置で処理し、前記判定装置は、前記画像処理装置夫々が送信した動きベクトルに基づいて、動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルを算出し、各撮像装置における交通渋滞状況を判定する。道路に沿って位置した3つ以上の撮像装置のうち、一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況が、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況と異なる場合に、第2の交通渋滞状況であると判定する。
【0058】
例えば、一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が普通流であり、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が混雑である場合に、前記判定装置は、渋滞度合いの粗密波が存在すると判定し、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況も、混雑であると判定することにより、道路の広範囲に対して同一の交通渋滞状況を判定する。
【0059】
第15発明にあっては、前記判定装置は、一の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により第1の交通渋滞状況を判定し、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により第2の交通渋滞状況を判定する。前記第1の交通渋滞状況及び第2の交通渋滞状況が異なる場合に、前記判定装置は、前記一の時点と異なる複数の他の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が、前記第2の交通渋滞状況であるときは、前記一の時点で判定した第1の交通渋滞状況は誤判定であるとして、第2の交通渋滞状況であると判定する。
【0060】
例えば、一の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が混雑であり、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が混雑ではなく閑散である場合に、前記一の時点と異なる複数の他の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が閑散であるときは、前記一の時点で混雑と判定した判定結果は誤りであるとして、閑散であると判定する。
【0061】
第16発明にあっては、前記判定装置は、複数の連続した撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が同一である場合に、前記撮像装置のうち交通流の下流端の撮像装置の位置に基づいて、交通渋滞変化点を判定する。例えば、複数の連続した撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が混雑である場合、前記撮像装置のうち交通流の下流端の撮像装置(すなわち、混雑であると判定された領域を撮像する連続した複数の撮像装置のうちで、交通流の最も下流の撮像装置)の位置を交通渋滞の変化点(例えば、混雑のボトルネック)として判定する。
【発明の効果】
【0062】
第1発明、第12発明、第17発明及び第18発明にあっては、撮像時点の異なる撮像画像で特定した対応する画素ブロックの位置変化により、隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックの動きベクトルを算出し、算出した動きベクトル又は該動きベクトルに基づいて算出した動きベクトルの分布密度により交通状況を判定することにより、外部環境変化に影響されずに車両の時間的分布及び空間的分布に基づいた交通状況を判定することができる。
【0063】
第2発明にあっては、所定時間に複数回算出した動きベクトルの分布密度及び動きベクトルに基づいて、それらの平均値、最頻値、又は中央値の少なくとも一つを含む統計値を算出することにより、さらに正確に交通状況を判定することができる。
【0064】
第3発明にあっては、動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルの大きさに基づいて、交通渋滞状況を判定することにより、閑散、普通流、渋滞、大渋滞などの交通渋滞の度合いを正確に判定することができる。
【0065】
第4発明にあっては、連結ブロックの動きベクトルの方向と交通流の方向を定める標準方向との角度差が略180度である場合、交通異常と判定することにより、車両が反対方向に逆走する異常を容易に判定することができる。
【0066】
第5発明にあっては、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、連結ブロックの動きベクトルの方向と交通流の方向を定める標準方向との角度差が第1閾値以上である場合、交通異常と判定することにより、駐車車両、事故車両、又は障害物などを避けるための回避走行が継続していることを容易に判定することができる。
【0067】
第6発明にあっては、同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが第2閾値より小さく、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定することにより、両方の車線で渋滞の度合いに応じて、同一走行車線の一つで交通障害が発生していることを判定することができる。
【0068】
第7発明にあっては、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、前記一の判定領域の動きベクトルの分布密度が第3閾値より大きい場合に、交通異常と判定することにより、さらに精度良く交通異常を判定することができる。
【0069】
第8発明にあっては、計時された判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域で連結ブロックが特定されず、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定することにより、さらに精度良く交通異常を判定することができる。
【0070】
第9発明にあっては、交通規制に対応する規制領域を撮像画像に設けてあり、前記規制領域に進入した連結ブロックの動きベクトルの方向と、交通流の規制方向とが略一致する場合に、交通違反と判定することにより、進入禁止領域への進入、右折禁止での右折走行などの交通違反を判定することができる。
【0071】
第10発明にあっては、連結ブロック同士が重複する重複領域の画素ブロック数が第4閾値以上になる第1撮像時点と、該第1撮像時点より前の第2撮像時点との間で、前記重複領域の画素が有する輝度値の差が前記第5閾値以上である場合に、交通事故と判定することにより、衝突事故の発生を容易に判定することができる。
【0072】
第11発明にあっては、前記第1撮像時点及び第2撮像時点の間で、該第2撮像時点に連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の差が第6閾値以上である場合は、交通事故と判定することにより、さらに精度良く衝突事故の発生を判定することができる。
【0073】
第13発明にあっては、画像処理装置で算出した動きベクトルを判定装置へ送信し、該判定装置は、受信した動きベクトルに基づいて、動きベクトルの分布密度及び連結ブロックの動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルの分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定することにより、遠隔地の交通状況を容易に判定することができるとともに、画像処理装置の負荷を減らし、簡略化することにより、システム全体のコストを低減することができる。
【0074】
第14発明にあっては、道路に沿って位置した3つ以上の撮像装置のうち、一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況が、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況と異なる場合に、第2の交通渋滞状況であると判定することにより、渋滞度合いの粗密波を判定して、遠隔地の複数地点の交通渋滞状況を広範囲に判定することができる。
【0075】
第15発明にあっては、一の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況と、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況とが異なる場合に、前記一の時点と異なる複数の他の時点において、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により交通渋滞状況を判定することにより、誤判定を低減することができる。
【0076】
第16発明にあっては、前記判定装置は、複数の連続した撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が同一である場合に、前記撮像装置のうち交通流の下流端の撮像装置の位置に基づいて、交通渋滞変化点を判定することにより、交通渋滞(例えば、混雑)のボトルネック地点を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0077】
実施の形態1
以下、本発明を実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。図において、1は道路を含む領域を撮像するビデオカメラである。ビデオカメラ1は、例えば、交差点付近の路上10m程度の位置に、光軸を道路方向に沿って配置してあり、片側4車線の道路5の数十mの撮像範囲6の交通状況を撮像する。
【0078】
ビデオカメラ1には、画像処理装置2を接続してあり、画像処理装置2は、ビデオカメラ1で撮像して得られた撮像画像を処理して交通状況の判定を行う。画像処理装置2は、インターネットなどの通信回線4に接続され、通信回線4には、管制センタ装置3を接続してある。画像処理装置2で判定された交通状況は、通信回線4を介して管制センタ装置3へ送信され、管制センタ装置3は、画像処理装置2から送信された交通状況を受信し、受信した交通状況を表示、集計し、管制センタの操作員が所要の交通管制を行う。画像処理装置2は、判定した交通状況に応じて、信号機(不図示)の信号表示を制御し、また、交通表示板(不図示)などに所要の交通情報を表示させて、円滑な交通又は事故の未然防止を行う。
【0079】
図2は画像処理装置2及び管制センタ装置3の構成を示すブロック図である。図において、1はビデオカメラである。ビデオカメラ1は撮像して得られた撮像画像を映像信号(アナログ信号)として画像入力部21へ出力する。画像入力部21は、取得した映像信号をA/D変換部22へ出力し、A/D変換部22は、入力された映像信号をデジタル信号に変換し、CPU28の制御のもと、変換されたデジタル信号を画像データとして画像メモリ23へ記憶する。CPU28は、画像入力部21を介してビデオカメラ1から入力された撮像画像を画像データとして、ビデオカメラ1のフレームレート(撮像時点の間隔、例えば、1秒間に30フレーム)と同期して、1フレーム単位(例えば、640×480画素)で画像メモリ23に記憶する。
【0080】
補助記憶部26は、本発明のコンピュータプログラムPGを記録したCD−ROM29が挿入されることにより、CD−ROM29に記録されたコンピュータプログラムPGをRAM24に記憶する。CPU28は、RAM24に記憶されたコンピュータプログラムPGを実行する。画像処理装置2は、CD−ROM29に記録したコンピュータプログラムPGがRAM24に読み込まれ、読み込まれたコンピュータプログラムPGをCPU28で実行することにより、後述するフレーム画像処理、交通渋滞判定処理、交通異常判定処理などの交通状況を判定するための処理を実現する。
【0081】
画像メモリ23は、画像入力部21を介して取得された撮像画像を画像データとして、フレーム毎に記憶するとともに、CPU28の処理に伴って、算出された算出結果を各フレームに対応して記憶する。
【0082】
記憶部27は、コンピュータプログラムPGをCPU28で実行することにより、得られた交通状況の判定結果を記憶している。また、記憶部27は、交通渋滞の度合いを判定するための交通渋滞判定テーブル271、車両の走行方向を判定するための標準方向を記憶している。標準方向は、道路を走行する車両の交通流の方向を定めるものであり、道路の形態、ビデオカメラ1の設置場所などに応じて、撮像画像上での交通流の方向は異なるため、ビデオカメラ1の設置場所などに応じて、所要の方向を定めた標準方向を記憶しておくことができる。なお、標準方向は、撮像画像におけるx座標に対するy座標の関係を示す数値テーブルで記憶しておくことができる。
【0083】
通信部25は、画像処理装置2で判定された交通状況の判定結果を、通信回線4を介して管制センタ装置3へ送信する。また、通信部25は、判定結果に基づいた制御信号をCPU28の制御のもと、信号機、交通表示板(いずれも不図示)などに送信して、信号機の表示制御、交通情報の表示制御などを行うこともできる。
【0084】
管制センタ装置3の通信部31は、画像処理装置2から送信された交通状況の判定結果を受信し、受信した判定結果をCPU36の制御のもと、液晶ディスプレイを備えた表示部33に表示させるとともに、記憶部34に記憶する。
【0085】
CPU36は、RAM32に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、交通状況の判定結果の表示、集計などの処理を行う。
【0086】
操作部35は、キーボード、マウスなどを備え、管制センタ装置3に対する入力操作を行うことができ、管制センタの操作員の操作を受付けることにより、管制センタ装置3は、交通状況の判定結果の表示処理、集計処理などを行う。
【0087】
次に、本発明に係る交通状況判定システムの処理手順について説明する。図3は交通状況判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU28は、内蔵するタイマをセットすることにより、判定時間T1の計時を開始し(S1)、算出時間T2(T2<T1)の計時を開始する(S2)。
【0088】
CPU28は、フレーム画像処理を行い(S3)、算出時間T2が経過したか否かを判定する(S4)。算出時間T2が経過していない場合(S4でNO)、CPU28は、ステップS3のフレーム画像処理を繰り返し続ける。
【0089】
一方、算出時間T2が経過した場合(S4でYES)、CPU28は、交通渋滞判定の処理を行い(S5)、交通異常判定の処理を行う(S6)。CPU28は、交通異常の有無を判定し(S7)、交通異常が有ると判定した場合(S7でYES)、判定時間T1が経過したか否かを判定する(S8)。
【0090】
判定時間T1が経過していない場合(S8でNO)、CPU28は、算出時間T2をゼロにすることにより算出時間T2をリセットし(S9)、ステップS2以降の処理を続け、フレーム画像処理、交通渋滞判定処理、交通異常判定処理を繰り返す。
【0091】
判定時間T1が経過した場合(S8でYES)、CPU28は、通信部25を介して交通異常を管制センタ装置3へ通知する(S10)。CPU28は、管制センタ装置3からの終了指令の有無を判定し(S11)、終了指令が無い場合(S11でNO)、判定時間T1、算出時間T2をゼロにすることにより、判定時間T1、算出時間T2をリセットし(S12)、ステップS1以降の処理を続ける。
【0092】
一方、交通異常が無いと判定した場合(S7でNO)、CPU28はステップS11以降の処理を続ける。CPU28は、終了指令が有る場合(S11でYES)、処理を終了する。
【0093】
これにより、画像処理装置2は、算出時間T2の間フレーム画像処理を繰り返し行い、算出時間T2が経過した時点で、交通渋滞判定処理、交通異常判定処理を行う。すなわち、算出時間T2の間繰り返し算出された結果に基づいて、算出時間T2の経過の都度交通渋滞判定処理、交通異常判定処理を行う。算出時間T2の経過時点で交通異常が有ると判定された場合は、算出時間T2よりも長い判定時間T1の間、交通異常が継続して発生しているかを判定し、判定時間T1の間継続して交通異常が有る場合に、交通異常の通知を行う。
【0094】
図4はフレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。CPU28は、撮像時点の異なる2つの撮像画像(例えば、撮像時点tkのフレームfk、撮像時点tk+1 のフレームfk+1)を画像メモリ23から取得する(S301)。
【0095】
CPU28は、取得した一方の撮像画像の画素ブロック(例えば、8×8画素)毎に、画素ブロック内画素が有する輝度値(又は階調値など)に基づいて、他方の撮像画像を走査し一致する画素ブロックを特定する(S302)。2つの撮像画像間で一致する画素ブロックを特定する場合、画素ブロック内画素の輝度平均値、標準偏差値、差分輝度値の絶対値などの一致度を示すパラメータを用いることができる。
【0096】
CPU28は、2つの撮像画像で一致する画素ブロックの撮像画像における座標(位置)変化に基づいて、各画素ブロックの動きベクトルを算出する(S303)。この場合、画素ブロックの座標は、画素ブロックの中心の座標である。なお、画素ブロックの左上角の座標を用いてもよい。撮像時点tkの撮像画像における画素ブロックPjの座標が(xk、yk)、撮像時点tk+1の撮像画像における画素ブロックPjの座標が(xk+1、yk+1)である場合、動きベクトルPVjは、(xk+1-xk、yk+1-yk)となる。なお、座標変化が無い場合は、動きベクトルはゼロになり、かかる画素ブロックは、ステップS303以降の処理において除外される。また、算出した動きベクトルの大きさが、予め定めた閾値より小さい場合には、その画素ブロックの動きベクトルはゼロであるとして、除外してもよい。
【0097】
CPU28は、算出された動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接する画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する(S304)。これにより、連結ブロックは走行車両に対応する。なお、連結ブロックを特定する場合に、連結ブロックを構成する画素ブロックの数が、予め定めた閾値(例えば、3)より小さい場合は、ノイズとして除去することもできる。
【0098】
CPU28は、特定された連結ブロックが有るか否かを判定し(S305)、連結ブロックが有る場合(S305でYES)、連結ブロックを構成する各画素ブロックの動きベクトルの平均値を連結ブロックの動きベクトルとして算出する(S306)。CPU28は、記憶部27から標準方向を読み出し、連結ブロックの動きベクトルの方向と標準方向との角度差を算出する(S307)。
【0099】
CPU28は、算出された角度差が略180°に等しいか否かを判定し(S308)、角度差が略180°に等しい場合(S308でYES)、逆走行が有ることを管制センタ装置3へ通知する(S309)。角度差が略180°に等しくない場合(S308でNO)、CPU28は、1フレーム分の撮像画像が有する画素ブロック数に対する前記撮像画像で特定された連結ブロックを構成する画素ブロック数の比を動きベクトルの分布密度として算出する(S310)。
【0100】
CPU28は、連結ブロックの動きベクトルの大きさを、予め定められた変換式により連結ブロックに対応する車両の速度に変換して、車両の速度を算出し(S311)、算出した動きベクトルの分布密度、速度、連結ブロック数を記録し(S312)、フレーム画像処理を終了する。一方、連結ブロックが無い場合(S305でNO)、CPU28は、連結ブロック無しの記録をし(S313)、フレーム画像処理を終了する。なお、連結ブロックの動きベクトルの大きさと、連結ブロックに対応する車両の速度は、一義的に決定されるので、等価なものとすることができる。
【0101】
図5は画素ブロックの動きベクトルを示す説明図である。図に示すように、撮像時点tkの撮像画像における画素ブロックPjの座標が(xk、yk)、撮像時点tk+1の撮像画像における画素ブロックPjの座標が(xk+1、yk+1)である場合、動きベクトルPVjは、(xk+1-xk、yk+1-yk)となる。
【0102】
図6は連結ブロックの例を示す説明図である。図に示すように、撮像画像を所定の画素ブロックで分割し、各画素ブロックの動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接する画素ブロックのみを連結することにより、連結ブロックを特定する。動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであっても、離隔している画素ブロックはノイズとして除去する。また、連結された画素ブロックの数が所定の閾値(例えば、3)以下の場合も、ノイズとして除去することにより、連結ブロックにより走行車両を精度良く特定することができる。
【0103】
図7は撮像画像の例を示す説明図である。上述の通り、ビデオカメラ1は、片側4車線の道路を含む領域を撮像するように配置してある。撮像画像において、車線ごとに交通状況を判定するための判定領域30a、30b、30c、30dを設定してある。すなわち、判定領域30a、30b、30c、30d夫々は、片側4車線の各車線を示す。道路を走行する車両は、動きベクトルにより特定される。上述のフレーム画像処理は、判定領域毎に処理される。
【0104】
図8はフレーム画像処理で算出される算出情報を示す説明図である。図8(a)に示すように、1フレームの撮像画像は、例えば、8×8画素から構成される画素ブロックP1、P2、…Pnに分割される。図8(b)に示すように、画素ブロック毎に算出された動きベクトルPV1、PV2、…PVnが記録される。動きが検出されなかった画素ブロックの動きベクトルはゼロである。図8(c)に示すように、1フレームの撮像画像毎に、連結ブロック数、特定された連結ブロック毎に、連結ブロックの動きベクトルCB1…、連結ブロックに対応する車両の速度Cv、…、動きベクトルの分布密度Dなどの算出情報が算出され、記録される。
【0105】
連結ブロックの動きベクトルから、連結ブロックに対応する車両の速度への変換は、例えば、数1で表される式に基づいて行うことができる。
【0106】
【数1】

【0107】
ここで、実空間での座標系を(X、Y、Z)、撮像画像上での座標系を(x、y)とする。実空間では、垂直方向をZ、道路の延びる方向をY、道路を横断する方向をXにとる。撮像画像面上でのx軸方向を実空間でのX方向に平行とし、撮像画像面上でのy軸方向を実空間でのY方向とし、ビデオカメラ俯角(ビデオカメラの光軸とY軸方向とがなす角度)をαとなるように設置する。また、ビデオカメラレンズの焦点距離をF、ビデオカメラの設置高さをH、撮像画像面のy軸方向の大きさ(寸法)をQy、撮像面のy軸方向の画素数をNyとする。走行車両の路面からの検出点などの経験値から、例えば、車両の平均高さ50cmを数1式に代入してYを算出し、Y座標の移動距離及び移動時間により車両の速度を算出することができる。なお、動きベクトルの大きさから速度の算出は、変換テーブルのようなものを用いてもよく、また、変換式に基づいて演算処理して求めてもよい。
【0108】
図9は交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU28は、算出時間T2の間に亘って複数回算出された速度、動きベクトルの分布密度から速度の平均値を算出し(S501)、動きベクトルの分布密度の平均値を算出する(S502)。CPU28は、記憶部27から交通渋滞判定テーブル271を読み出し、速度が10km以下であるか否かを判定する(S503)。
【0109】
速度が10km以下である場合(S503でYES)、CPU28は、動きベクトルの分布密度が75%以下であるか否かを判定する(S504)。分布密度が75%以下である場合(S504でYES)、CPU28は混雑であると判定し(S505)、判定結果を管制センタ装置3へ通知し(S510)、処理を終了する。分布密度が75%以上である場合(S504でNO)、CPU28は、大混雑であると判定し(S506)、判定結果を管制センタ装置3へ通知し(S510)、処理を終了する。
【0110】
一方、速度が10km以上である場合(S503でNO)、CPU28は、動きベクトルの分布密度が50%以下であるか否かを判定する(S507)。分布密度が50%以下である場合(S507でYES)、CPU28は閑散であると判定し(S508)、判定結果を管制センタ装置3へ通知し(S510)、処理をする。分布密度が50%以上である場合(S507でNO)、CPU28は普通流であると判定し(S509)、判定結果を管制センタ装置3へ通知し(S510)、処理を終了する。なお、交通渋滞判定処理は、上述の判定領域毎(例えば、判定領域30a、30b)に行われる。
【0111】
これにより、算出時間T2の間に亘って、複数回算出された動きベクトル、動きベクトルの分布密度夫々の平均値に基づいて、交通渋滞の度合いを判定することができる。
【0112】
図10は交通渋滞判定テーブルのレコードレイアウトである。図に示すように、速度及び動きベクトルの分布密度の組み合わせに応じて、交通渋滞の渋滞度合いを、閑散、普通流、混雑、大混雑に区分して判定できるようにしてある。なお、速度に代えて、動きベクトルの大きさを組み合わせてもよい。
【0113】
図11は交通異常判定の処理手順を示すフローチャートである。図において、一の領域(交通異常の有無を判定する領域)と、他の領域(前記一の領域以外の他の領域、例えば、片側4車の道路であれば、他の3つの車線のいずれか)は、車両の進行方向が同一である。CPU28は、他の領域の渋滞度合いが普通流又は閑散(第2閾値)であるか否かを判定する(S601)。普通流又は閑散である場合(S601でYES)、CPU28は、一の領域の渋滞度合いが大混雑(第3閾値)であるか否かを判定する(S602)。
【0114】
一の領域が大混雑である場合(S602でYES)、CPU28は、同方向車線で渋滞度合いが大きく異なるため、交通異常有りと記録し(S603)、処理を終了する。一の領域が大混雑でない場合(S602でNO)、CPU28は、一の領域に連結ブロックが無いか否かを判定する(S604)。
【0115】
一の領域に連結ブロックが無い場合(S604でYES)、CPU28は、同方向車線で渋滞度合いが大きく異なるため、交通異常有りと記録し(S603)、処理を終了する。一の領域に連結ブロックが有る場合(S604でNO)、CPU28は、動きベクトルの方向と記憶部27から読み出した標準ベクトルの方向との角度差を算出する(S605)。
【0116】
CPU28は、算出した角度差が閾値角度(第1閾値)より大きいか否かを判定し(S606)、角度差が閾値角度より大きい場合(S606でYES)、車両の走行方向が異常であるとして、交通異常有りと記録し(S603)、処理を終了する。角度差が閾値角度より小さい場合(S606でNO)、CPU28は、交通異常無しであると記録し(S607)、処理を終了する。
【0117】
これにより、算出時間T2の間に亘って、複数回算出された動きベクトル、動きベクトルの分布密度夫々の平均値に基づいて、同一走行車線の間で交通渋滞の度合いの差を判定して交通異常(例えば、交通事故、駐車違反車両、障害物などによる交通異常)を記録し、交通異常の状態が判定時間T1の間継続している場合は、交通異常と判定することができる。また、動きベクトルの平均値に基づいて、車両の通常の走行方向を示す標準方向との角度差を判定して交通異常を記録し、交通異常の状態が判定時間T1の間継続している場合は、交通異常と判定することができる。
【0118】
図12は交通異常判定の例を示すタイムチャートである。図に示すように、画像処理装置2は、隣接する車線に対応する判定領域30a、30bにおいて、算出時間T2経過の都度、交通渋滞の度合いを判定する。判定領域30aでは閑散であると判定され、判定領域30bでは普通流であると判定されている。次の判定サイクルで、判定領域30aでは閑散であると判定され、判定領域30bは大混雑であると判定された場合、両判定領域での渋滞度合いの差が大きいため、交通異常が記録され、判定時間T1の計時が開始される。これ以降、画像処理装置2は、判定領域30aでは閑散であると判定し、判定領域30bでは大混雑であると判定し続けた場合、判定時間T1が経過した時点で交通異常と判定する。
【0119】
なお、上述の例では、判定領域30a、及び判定領域30bに対応する2車線について、交通異常の判定を行っているが、交通異常の判定は、2車線の比較に限定されるものではない。例えば、片側4車線のうちの1車線(例えば、判定領域30b)の交通異常を判定する場合、判定領域30bと判定領域30a及び判定領域30cとの比較、判定領域30bと判定領域30a、判定領域30c及び判定領域30dとの比較、又は判定領域30bと判定領域30c及び判定領域30dとの比較などを行ってもよい。これにより、2車線に限らず、3車線以上でも交通異常を判定することが可能になる。
【0120】
実施の形態2
実施の形態1では、交差点の流入路又は流出路の数十mの範囲を撮像する構成であったが、交差点内の交通状況を判定することもできる。図13は実施の形態2に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。図に示すように、ビデオカメラ1の設置場所が実施の形態1と相違する。ビデオカメラ1は、例えば、交差点角の路上10m程度の位置に、光軸を一の道路方向に沿って配置してあり、交差点7内を含む交差点付近の各道路を含む撮像範囲6の交通状況を撮像する。なお、画像処理装置2、管制センタ装置3は、実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
【0121】
次に、実施の形態2に係る交通状況判定システムの処理手順について説明する。図14は交通状況判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU28は、動きベクトルを算出するためのフレーム画像処理を行い(S20)、交通違反の有無を判定するための交通違反判定の処理を行い(S21)、交通事故の有無を判定するための交通事故判定の処理を行う(S22)。CPU28は、例えば、管制センタ装置3からの終了指令が有るか否かを判定し(S23)、終了指令がない場合(S23でNO)、ステップS20以降の処理を続け、終了指令が有る場合(S23でYES)、処理を終了する。
【0122】
図15はフレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。なお、実施の形態1のフレーム画像処理と同様の部分は、説明を簡略化する。CPU28は、撮像時点の異なる2つの撮像画像(例えば、撮像時点tkのフレームfk、撮像時点tk+1のフレームfk+1を画像メモリ23から取得する(S201)。
【0123】
CPU28は、取得した2つの撮像画像間で一致する画素ブロックを特定し(S202)、一致する画素ブロックの撮像画像における座標(位置)変化に基づいて、各画素ブロックの動きベクトルを算出する(S203)。CPU28は、算出された動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接する画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する(S204)。
【0124】
CPU28は、連結ブロックが有るか否かを判定し(S205)、連結ブロックが有る場合(S205でYES)、連結ブロックを構成する各画素ブロックの動きベクトルの平均値を連結ブロックの動きベクトルとして算出する(S206)。連結ブロックがない場合(S205でNO)、CPU28は、ステップS201以降の処理を続ける。CPU28は、連結ブロックの座標(例えば、連結ブロックの4隅近傍の撮像画像での座標)を記録し(S207)、処理を終了する。
【0125】
図16は交通違反判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU28は、道路上の交通規制に対応する規制領域が予め設定された撮像画像において、記録された連結ブロックの座標に基づいて、連結ブロックが規制領域内に有るか否かを判定する(S211)。
【0126】
連結ブロックが規制領域内に有る場合(S211でYES)、CPU28は、規制領域に関連する規制情報(例えば、規制領域での走行禁止方向のように交通流の規制方向、又は、該規制方向と、制限速度に対応する大きさとに基づいて定められる規制ベクトルなどを含む)を記憶部27から読み出し(S212)、連結ブロックの動きベクトルの方向と規制方向とを比較する(S213)。
【0127】
CPU28は、連結ブロックの動きベクトルの方向と規制方向とが略一致するか否かを判定し(S214)、略一致する場合(S214でYES)、交通違反と判定し(S215)、判定結果を管制センタ装置3へ通知する。CPU28は、他の規制領域が有るか否かを判定し(S216)、他の規制領域が有る場合(S216でYES)、ステップS211以降の処理を続ける。一方、略一致しない場合(S214でNO)、CPU28は、ステップS216以降の処理を続ける。
【0128】
図17は撮像画像の規制領域の例を示す説明図である。交差点の角部であって、交差点手前の停止線夫々の前方に規制領域50a、50b、50c、50dを設定し、交差点中央部に規制領域50eを設定している。規制領域50a、50b、50c、50d、50eは、交差点の信号表示に応じて走行禁止方向を規制し、規制領域50eは、時間に応じて右折禁止などの走行禁止方向を規制する。また、規制領域50a、50b、50c、50dは、制限速度を規制する。これらの走行禁止方向、制限速度などの規制情報は、規制領域に対応付けた規制情報テーブル272を記憶部27に記憶している。
【0129】
図18は規制情報テーブルのレコードレイアウトである。規制領域毎に、撮像画像上でのy軸方向(上下方向)の道路に対する信号表示、走行禁止方向を示す規制ベクトルの方向(規制方向)、規制領域を時間帯別に規制する場合の規制時間、該規制時間帯での走行禁止方向を示す規制ベクトルの方向、制限速度を示す規制ベクトルの大きさなどの欄により構成してある。
【0130】
動きベクトルの方向と規制方向を比較する場合に、交差点の信号表示を検知し、信号表示に応じた規制方向と比較することも可能である。また、動きベクトルの方向と規制方向とを比較する場合に、現在時刻を検知し、現在時刻が規制時間帯にあるか否かを判定して、所定の規制方向と比較することも可能である。さらに、動きベクトルの大きさが、制限速度を規定する規制ベクトルの大きさよりも大きいか否かを判定して、規制ベクトルの大きさよりも大きい場合に、速度違反と判定することも可能である。
【0131】
図19は交通事故判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU28は、撮像画像において連結ブロックが複数有るか否かを判定する(S221)。連結ブロックが複数(例えば、連結ブロックA、B)有る場合(S221でYES)、CPU28は、撮像時点tを記録する(S222)。撮像時点tの連結ブロックA、Bが存在した領域をAt、Btとする。CPU28は、動きベクトルに基づいて、撮像時点t+1での連結ブロックA、Bの移動先の領域を予想する(S223)。撮像時点t+1に連結ブロックA、Bが存在する領域をAt+1、Bt+1とする。連結ブロックが複数ない場合(S221でNO)、CPU28は、処理を終了する。
【0132】
CPU28は、領域At+1、Bt+1の重複領域Ct+1が有るか否かを判定し(S224)、重複領域Ct+1が有る場合(S224でYES)、重複領域Ct+1を構成する画素ブロック数が所定の閾値(第4閾値)より大きいか否かを判定する(S225)。重複領域Ct+1がない場合(S224でNO)、CPU28は、処理を終了する。
【0133】
画素ブロック数が閾値より大きい場合(S225でYES)、CPU28は、撮像時点t、t+1での重複領域Ct+1の輝度差を算出する(S226)。この場合、領域At+1、Bt+1に対応する車両同士が、撮像時点t+1で衝突する可能性が高いと判断される。画素ブロック数が閾値より小さい場合(S225でNO)、CPU28は、処理を終了する。
【0134】
CPU28は、算出した輝度差が閾値(第5閾値)より大きいか否かを判定する(S227)。重複領域Ct+1の輝度差が閾値より大きい場合(S227でYES)、CPU28は、撮像時点t、t+1での領域Atの輝度差、及び撮像時点t、t+1での領域Btの輝度差を算出する(S228)。重複領域Ct+1の輝度差が閾値より小さい場合(S227でNO)、CPU28は、処理を終了する。この場合には、この場合には、連結ブロックA、Bに対応する車両のいずれか、又は両方が停止したと判断される。CPU28は、撮像時点t、t+1での領域Atの輝度差、及び撮像時点t、t+1での領域Btの輝度差が閾値(第6閾値)より大きいか否かを判定する(S229)。
【0135】
領域At、Bt夫々の輝度差が閾値より大きい場合(S229でYES)、CPU28は、事故有りと判定し(S230)、判定結果を管制センタ装置3へ通知して処理を終了する。領域At、Btいずれかの輝度差が閾値より小さい場合(S229でNO)、CPU28は、処理を終了する。領域At、Bt夫々の輝度差が閾値より大きい場合は、連結ブロックA、Bに対応する各車両が重複領域に対応する道路上の衝突可能性領域に進入したものと判断され、交通事故の発生の有無の判定をさらに正確に行うことができる。なお、ステップS229での判定を行わずに、ステップS227での判定結果のみに基づいて、事故の有無を判定することも可能である。この場合は、処理に要する労力を低減することが可能になる。
【0136】
図20は撮像画像の重複領域の例を示す説明図である。図に示すように、撮像画像上で互いに交差する道路上を交差点に向かって走行する車両に対応する連結ブロックA、Bを特定した場合、連結ブロックAが時刻t及びt+1に存在した領域を、夫々At、At+1とし、同様に連結ブロックBが時刻t及びt+1に存在した領域を、夫々Bt、Bt+1とする。時刻t+1で、連結ブロックAt、Btが重なると予想される重複領域Ct+1は、領域At+1及びBt+1が重なる部分である。
【0137】
実施の形態3
上述の実施の形態では、交差点付近に設置されたビデオカメラで撮像した撮像画像を画像処理装置で処理して交通状況を判定する構成であったが、管制センタ装置3で交通状況を判定することもできる。
【0138】
図21は実施の形態3に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。図に示すように、ビデオカメラ1、1、…、画像処理装置2、2、…は、夫々交差点7付近に設置され、交差点7又は交差点近傍の道路5を撮像するようにしてあり、画像処理装置2、2、…は通信回線4を介して管制センタ装置3に接続してある。
【0139】
画像処理装置2の画像入力部21は、ビデオカメラ1で撮像して得られた画像データをNTSC信号として取得し、A/D変換部22は、取得したアナログ信号をデジタル信号に変換し、CPU28は、変換したデジタル信号を画像データとして画像メモリ23に記憶する。CPU28は、画像メモリ23に記憶した画像データを所定の方式(例えば、MPEG、MPEG2、MPEG4、H.264など)に基づいて符号化処理し、符号化処理後のデータを通信部25から管制センタ装置3へ送信する。CPU28は、符号化処理を行う際に画像データに基づいて動きベクトルを算出し、算出した動きベクトルを符号化処理する。
【0140】
管制センタ装置3は、画像処理装置2、2、…から送信された符号化処理後のデータを通信部31で受信し、受信したデータを記憶部34に記憶する。CPU36は、記憶部34から符号化処理後のデータを読み出し、読み出したデータから元の画像データを復元するとともに、動きベクトルなどを抽出する。管制センタ装置3は、所定のコンピュータプログラムがRAM32に読み込まれ、読み込まれたコンピュータプログラムをCPU36で実行することにより、実施の形態1、2において画像処理装置2が行う交通状況を判定するための同様の処理を実現する。
【0141】
CPU36で実現される交通状況判定の処理は、図3、図9、図11、図14、図16、図19で示した処理手順と同様であるが、フレーム画像処理S3、S20が相違する。以下、本実施の形態における交通渋滞判定、交通異常判定を行う場合のフレーム画像処理を説明する。
【0142】
図22はフレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。CPU36は、画像処理装置2から送信された符号化画像データを受信する(S331)。CPU36は、受信した符号化画像データから動きベクトルを抽出する(S332)。
【0143】
CPU36は、抽出された動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接する画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する(S333)。CPU36は、特定された連結ブロックが有るか否かを判定し(S334)、連結ブロックが有る場合(S334でYES)、連結ブロックを構成する各画素ブロックの動きベクトルの平均値を連結ブロックの動きベクトルとして算出する(S335)。CPU36は、記憶部34から標準方向を読み出し、連結ブロックの動きベクトルの方向と標準方向との角度差を算出する(S336)。
【0144】
CPU36は、算出された角度差が略180°に等しいか否かを判定し(S337)、角度差が略180°に等しい場合(S337でYES)、逆走行が有ることを通知する(S338)。角度差が略180°に等しくない場合(S337でNO)、CPU36は、1フレーム分の撮像画像が有する画素ブロック数に対する前記撮像画像で特定された連結ブロックを構成する画素ブロック数の比を動きベクトルの分布密度として算出する(S339)。
【0145】
CPU36は、連結ブロックの動きベクトルの大きさを、予め定められた変換式により連結ブロックに対応する車両の速度に変換して、車両の速度を算出し(S340)、算出した動きベクトルの分布密度、速度、連結ブロック数を記録し(S341)、フレーム画像処理を終了する。一方、連結ブロックが無い場合(S334でNO)、CPU36は、連結ブロック無しの記録をし(S342)、フレーム画像処理を終了する。なお、画像処理装置2が複数設置してある場合、各画像処理装置2からの符号化画像データを受信し、同様の処理を繰り返す。
【0146】
次に、交通違反判定、交通事故判定を行う場合のフレーム画像処理を説明する。図23はフレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。CPU36は、画像処理装置2から送信された符号化画像データを受信する(S231)。CPU36は、受信した符号化画像データから動きベクトルを抽出する(S232)。
【0147】
CPU36は、抽出された動きベクトルの方向が略一致する画素ブロックであって、隣接する画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する(S233)。CPU36は、連結ブロックが有るか否かを判定し(S234)、連結ブロックが有る場合(S234でYES)、連結ブロックを構成する各画素ブロックの動きベクトルの平均値を連結ブロックの動きベクトルとして算出する(S235)。連結ブロックがない場合(S234でNO)、CPU36は、ステップS231以降の処理を続ける。CPU36は、連結ブロックの座標(例えば、連結ブロックの4隅近傍の撮像画像での座標)を記録し(S236)、処理を終了する。なお、画像処理装置2が複数設置してある場合、各画像処理装置2からの符号化画像データを受信し、同様の処理を繰り返す。
【0148】
これにより、管制センタ装置3は、多地点の交通状況を広範囲に、かつ同時に判定することが可能になる。また、管制センタ装置3は、多地点に配置された信号機、交通情報表示板などに判定結果に基づいて管制情報を送信し、信号機の制御、交通情報の表示などを行うことができる。
【0149】
実施の形態4
道路に沿って、複数のビデオカメラ、画像処理装置を配置することにより、交通渋滞状況を広範囲に亘ってさらに詳細に判定することも可能である。図24は実施の形態4に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。図に示すように、ビデオカメラ1、1、…、画像処理装置2、2、…夫々は、適長の離隔距離(例えば、数百m、数kmなど)を有して道路に沿って配置している。便宜上、図中では5つのビデオカメラ及び画像処理装置を示してあり、以下の説明を簡単にするため、交通流の上流から下流に向かって、ビデオカメラ1の符号をC1、C2、C3、C4、及びC5とする。
【0150】
管制センタ装置3は、ビデオカメラC1、…、C5夫々で撮像した撮像画像に基づいて、ビデオカメラC1、…、C5夫々で撮像される領域の交通渋滞状況を判定する。まず、交通流の渋滞度合いの粗密波を検出して広範囲で精度良く渋滞状況を判定する処理について説明する。
【0151】
図25は交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU36は、ビデオカメラ1の符号を示すための指標nを1にする(S521)。CPU36は、ビデオカメラCnで撮像した撮像画像に基づいて交通渋滞を判定し(S522)、ビデオカメラCnの隣に離隔して設置されたビデオカメラCn+1で撮像した撮像画像に基づいて、同じ時点の交通渋滞を判定する(S523)。
【0152】
CPU36は、ビデオカメラCnにより判定した渋滞度合いとビデオカメラCn+1により判定した渋滞度合いとが同じであるか否かを判定し(S524)、同じ渋滞度合いでないと判定された場合(S524でNO)、CPU36は、ビデオカメラCn+1の隣に離隔して設置されたビデオカメラCn+2で撮像した撮像画像に基づいて、同じ時点の交通渋滞を判定する(S525)。
【0153】
CPU36は、ビデオカメラCn+2により判定した渋滞度合いとビデオカメラCnにより判定した渋滞度合いとが同じであるか否かを判定し(S526)、同じ渋滞度合いであると判定された場合(S526でYES)、ビデオカメラCn+1により判定した渋滞度合いを、ビデオカメラCnにより判定した渋滞度合いに修正する(S527)。
【0154】
CPU36は、すべてのビデオカメラで撮像した撮像画像に基づいて交通渋滞判定を終了したか否かを判定し(S528)、すべてのビデオカメラで撮像した撮像画像に基づいて交通渋滞判定を終了していない場合(S528でNO)、nをn+1に置き換え(S529)、ステップS523以降の処理を続ける。
【0155】
すべてのビデオカメラで撮像した撮像画像に基づいて交通渋滞判定を終了した場合(S528でYES)、CPU36は、判定した交通渋滞を記録する(S530)。ステップS526で、同じ渋滞度合いでないと判定された場合(S526でNO)、CPU36は、ステップS528以降の処理を続ける。一方、ステップS524で、ビデオカメラCnにより判定した渋滞度合いとビデオカメラCn+1により判定した渋滞度合いとが同じであると判定された場合(S524でYES)、CPU36は、ステップS528以降の処理を続ける。
【0156】
ステップS531で、CPU36は、処理終了の指示の有無を判定し(S531)、処理終了の指示がない場合(S531でNO)、ステップS521以降の処理を続ける。処理終了の指示がある場合(S531でYES)、CPU36は、処理を終了する。
【0157】
例えば、ある時刻tにおいて、ビデオカメラC1、C2、…、C5により判定した渋滞状況が、混雑(C1)、混雑(C2)、普通流(C3)、混雑(C4)、混雑(C5)である場合、渋滞度合いの粗密波であると判定し、ビデオカメラC3により判定した普通流を混雑に修正する。これにより、道路の広範囲に亘って、渋滞度合いの粗密波を検出し、ビデオカメラC3単独で渋滞状況を判定した場合に比べて、より精度良く渋滞状況を判定することができる。
【0158】
上述の処理手順は、一例であって、道路状況に応じて、判定に使用するビデオカメラ1の台数は、適宜設定することができる。また、判定に使用するビデオカメラ1の台数を増加する場合は、両隣に設置された2つのビデオカメラに限定せず、両隣に連続して設置された複数のビデオカメラにより判定した渋滞度合いを用いることもできる。これにより、さらに広範囲に亘って、精度良く渋滞度合いを判定することができる。
【0159】
次に、ある時刻でビデオカメラC1、C2、…、C5により判定した交通渋滞の状況を、他の複数の時刻で同様に判定した交通渋滞の状況と比較することにより、交通渋滞の誤判定を低減する処理について説明する。
【0160】
図26は交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。なお、ある時刻tでビデオカメラC1、C2、…、C5により判定した交通渋滞をStとする。例えば、交通渋滞Stは、ビデオカメラC1、C2、…、C5に対応して、St=(閑散、閑散、普通流、閑散、閑散)のように表すことができる。
【0161】
CPU36は、時刻tの交通渋滞Stを判定し(S541)、時刻tと適長の離隔間隔を有する時刻t+1の交通渋滞St+1を判定する(S542)。CPU36は、交通渋滞StとSt+1とが同じであるか否かを判定する(S543)。交通渋滞StとSt+1とが同じでない場合(S543でNO)、CPU36は、時刻tと適長の離隔間隔を有する時刻t−1の交通渋滞St−1を判定する(S544)。
【0162】
CPU36は、交通渋滞St+1とSt−1が同じであるか否かを判定する(S545)。交通渋滞St+1とSt−1が同じである場合(S545でYES)、CPU36は、時刻t+2の交通渋滞St+2を判定する(S546)。CPU36は、交通渋滞St+1とSt+2が同じであるか否かを判定する(S547)。
【0163】
交通渋滞St+1とSt+2が同じである場合(S547でYES)、CPU36は、時刻t−2の交通渋滞St−2を判定する(S548)。CPU36は、交通渋滞St−1とSt−2が同じであるか否かを判定する(S549)。交通渋滞St−1とSt−2が同じである場合(S549でYES)、CPU36は、時刻tにおける交通渋滞Stは、誤判定であるとして、時刻t+1の交通渋滞St+1に修正する(S550)。
【0164】
CPU36は、処理終了の指示の有無を判定し(S551)、処理終了の指示がない場合(S551でNO)、時刻tを時刻t+1に置き換え(S552)、ステップS542以降の処理を続ける。処理終了の指示がある場合(S551でYES)、CPU36は、処理を終了する。
【0165】
一方、ステップS543で、交通渋滞StとSt+1とが同じである場合(S543でYES)、CPU36は、ステップS551以降の処理を続ける。ステップS545で、交通渋滞St+1とSt−1が同じでない場合(S545でNO)、CPU36は、ステップS551以降の処理を続ける。
【0166】
一方、交通渋滞St+1とSt+2が同じでない場合(S547でNO)、CPU36はステップS551以降の処理を続ける。また、交通渋滞St−1とSt−2が同じでない場合(S549でNO)、CPU36はステップS551以降の処理を続ける。
【0167】
例えば、時刻tにおける交通渋滞Stが、St=(閑散、閑散、混雑、閑散、閑散)であり、時刻t+1、t+2、t−1、t−2における交通渋滞St+1、St+2、St−1、St−2がすべて、(閑散、閑散、閑散、閑散、閑散)である場合、時刻tの交通渋滞St(ビデオカメラC3により判定した混雑)が誤判定であるとして、Stを(閑散、閑散、閑散、閑散、閑散)に修正する。これにより、誤判定を低減して交通渋滞の判定を精度良く行うことができる。
【0168】
上述の処理手順は、一例であって、道路状況に応じて、交通渋滞を判定する時刻の数を増減することが可能である。また、時刻の離隔間隔は、適宜設定することが可能である。
【0169】
次に、交通渋滞が発生した場合に、道路のどの地点が渋滞発生のボルトネックであるか、渋滞発生の位置(例えば、混雑の先頭位置)を判定する処理について説明する。
【0170】
図27は交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。CPU36は、カウント数Kをゼロにセットし(S561)、ビデオカメラ1の符号を示すための指標nを1にする(S562)。CPU36は、ビデオカメラCnで撮像した撮像画像に基づいて交通渋滞を判定し(S563)、渋滞度合いが混雑か否かを判定する(S564)。
【0171】
混雑であると判定した場合(S564でYES)、CPU36は、カウンタ数Kに1を加算し(S565)、カウント数Kが閾値以上であるか否かを判定する(S566)。カウント数Kが閾値以上である場合(S566でYES)、CPU36は、ビデオカメラCnの位置を混雑の先頭位置とする(S567)。
【0172】
CPU36は、すべてのビデオカメラで撮像した撮像画像に基づいて交通渋滞判定を終了したか否かを判定し(S568)、交通渋滞判定を終了していない場合(S568でNO)、CPU36は、nをn+1に置き換え(S569)、ステップS563以降の処理を続ける。交通渋滞判定を終了した場合(S568でYES)、処理終了の指示の有無を判定する(S570)。
【0173】
処理終了の指示がない場合(S570でNO)、CPU36は、ステップS561以降の処理を続ける。処理終了の指示がある場合(S570でYES)、CPU36は、処理を終了する。一方、混雑でないと判定した場合(S564でNO)、CPU36は、ステップS568以降の処理を続ける。また、カウント数Kが閾値より小さい場合(S566でNO)、CPU36は、ステップS568以降の処理を続ける。
【0174】
例えば、閾値を2に設定した場合、連続して設置された3つのビデオカメラにより混雑を判定したときは、3つのビデオカメラのうち、交通流の下流端にあるビデオカメラ付近が、交通渋滞のボトルネック、すなわち、混雑の先頭位置であると判定することができる。道路状況に応じて、道路に沿って設置するビデオカメラの台数を変更した場合、閾値も適宜変更することが可能である。
【0175】
上述の処理は、一例であって、混雑の有無を判定する代わりに、大混雑の有無を判定してもよい。また、最終的に計数されたカウント数の大小に応じて、混雑、又は大混雑を判定した連続するビデオカメラの数が判るため、混雑(又は大混雑)の先頭位置及び混雑(又は大混雑)の後尾位置を求めることもできる。さらに、各ビデオカメラの離隔距離に基づいて、混雑(又は大混雑)が、どの程度の範囲(距離)に亘って発生しているかも判定することができる。
【0176】
混雑範囲は、突如発生すること、又は解消することはないため、適当な時間の間における複数の時点での混雑範囲を平滑化し、より精度を高めることが可能である。平滑化の方法としては、例えば、時刻tの前後数時刻における混雑先頭位置の平均値、最頻値、又は中央値となる位置を時刻tにおける混雑の先頭位置とすることができ、同様に混雑の後尾位置も求めることができる。
【0177】
以上説明したように、本発明にあっては、撮像時点の異なる撮像画像で特定した一致する画素ブロックの位置変化により、隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックの動きベクトルを算出し、算出した動きベクトル又は該動きベクトルに基づいて算出した動きベクトルの分布密度により、単に走行する車両の台数、速度、方向などの交通情報だけではなく、交通渋滞の渋滞度合いの判定、交通事故、駐車車両、又は障害物などの交通障害による交通異常の判定、道路上の場所に応じた交通規制に対する交通違反の判定、交通事故の発生の判定など、車両の時間的分布及び空間的分布に基づいて、詳細な交通状況を同時、かつ広範囲に判定することができる。
【0178】
上述の実施の形態においては、ビデオカメラ1と画像処理装置2とは、別個の装置で構成されていたが、ビデオカメラ1と画像処理装置2とを統合して、ひとつの装置として構成してもよい。
【0179】
上述の実施の形態においては、ビデオカメラ1を交差点付近に配置する構成であったが、ビデオカメラ1、又は画像処理装置2の配置場所は、これに限定されるものではなく、交通状況を判定するために必要な場所であれば、いずれの場所に配置してもよいことはいうまでもない。
【0180】
上述の実施の形態においては、動きベクトルの分布密度を、1フレーム分の撮像画像が有する画素ブロック数に対する前記撮像画像で特定された連結ブロックを構成する画素ブロック数の比により算出するものであったが、動きベクトルの分布密度は、これに限定されるものではなく、撮像画像に占める連結ブロックの空間的分布を評価できる指標であれば、いずれのものを用いてもよい。
【0181】
上述の実施の形態においては、算出時間T2の都度算出された動きベクトル(速度)の平均値、動きベクトルの分布密度の平均値に基づいて交通渋滞を判定する構成であったが、交通渋滞の判定は、これに限定されるものではない。例えば、算出時間を、時間帯で変化させることもでき、また、判定結果に応じて変更するものでもよい。算出時間は、道路状況に応じて適宜所望の時間を用いることはいうまでもない。
【0182】
上述の実施の形態においては、算出時間T2の都度算出された動きベクトル(速度)の平均値、動きベクトルの分布密度の平均値に基づいて、判定時間T1の間交通異常が継続しているか否かにより交通異常を判定する構成であったが、これに限定されるものではなく、所要の時間継続して交通異常が続いていることを確認できるものであれば、いずれの方法を用いてもよい。
【0183】
上述の実施の形態においては、連結ブロックの動きベクトル、動きベクトルの分布密度の平均値を算出するものであったが、これに限定されず、最頻値、中央値など、交通状況に対応して所望の統計値を用いるものであってもよい。
【0184】
上述の実施の形態において、交通渋滞判定テーブル、規制情報テーブルは、一例であって、これに限定されるものではない。速度又は分布密度の閾値は適宜変更することが可能であり、また他の情報を追加することも可能である。また、管制センタ装置3から、交通状況に応じて、画像処理装置2、2、…に対して、夫々異なる所望の交通渋滞判定テーブル、規制情報テーブルに更新することもできる。また、規制ベクトルの方向は、走行禁止方向を特定するものであったが、走行許容方向を用いることも可能である。
【0185】
上述の実施の形態において、異なる撮像時点の撮像画像を取得する場合、撮像時点の時間間隔は、道路の交通状況に応じて、適宜設定することができる。車両が比較的高速で走行する道路の場合は、時間間隔を短くし、低速走行車両が多い道路では、時間間隔を長くすることができる。
【0186】
上述の実施の形態においては、ビデオカメラで撮像して得られた撮像画像から各画素ブロックの動きベクトルを算出する構成であったが、ビデオカメラで撮像してMPEG、MPEG2、MPEG4、H.264等の符号化映像の形式に変換された映像データに含まれる各画素ブロックの動きベクトル情報を用いてもよい。ここで、MPEG、MPEG2、MPEG4、H.264等の符号化映像とは、画像の中の動く部分だけを検出し保存するなどして映像データを圧縮しているものであって、この形式に変換する際に、画素ブロックの特定及び各画素ブロックの動きベクトルの算出が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0187】
【図1】本発明の実施の形態に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。
【図2】画像処理装置及び管制センタ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】交通状況判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】フレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】画素ブロックの動きベクトルを示す説明図である。
【図6】連結ブロックの例を示す説明図である。
【図7】撮像画像の例を示す説明図である。
【図8】フレーム画像処理で算出される算出情報を示す説明図である。
【図9】交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】交通渋滞判定テーブルのレコードレイアウトである。
【図11】交通異常判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】交通異常判定の例を示すタイムチャートである。
【図13】実施の形態2に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。
【図14】交通状況判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】フレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】交通違反判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】撮像画像の規制領域の例を示す説明図である。
【図18】規制情報テーブルのレコードレイアウトである。
【図19】交通事故判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図20】撮像画像の重複領域の例を示す説明図である。
【図21】実施の形態3に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。
【図22】フレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図23】フレーム画像処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図24】実施の形態4に係る交通状況判定システムの概要を示す模式図である。
【図25】交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図26】交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。
【図27】交通渋滞判定の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0188】
1 ビデオカメラ
2 画像処理装置
3 管制センタ装置
4 通信回線
5 道路
6 撮像範囲
7 交差点
21 画像入力部
22 A/D変換部
23 画像メモリ
24 RAM
25 通信部
26 補助記憶部
27 記憶部
28 CPU
29 CD−ROM
31 通信部
32 RAM
33 表示部
34 記憶部
35 操作部
36 CPU
37 補助記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した撮像画像を処理して交通状況を判定する画像処理装置において、
撮像時点の異なる撮像画像の対応する画素ブロックを特定する手段と、
前記画素ブロックの位置変化に基づいて、前記画素ブロックの動きベクトルを算出する手段と、
算出された動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、
前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、
前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記密度算出手段及びベクトル算出手段は、
前記分布密度及び連結ブロックの動きベクトルを所定時間に複数回算出するようにしてあり、
算出した複数の分布密度及び連結ブロックの動きベクトルに基づいて、それらの平均値、最頻値、又は中央値の少なくとも一つを含む統計値を算出するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記判定手段は、
前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルの大きさに基づいて、交通渋滞状況を判定するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
交通流の方向を定める標準方向を記憶する記憶手段と、
前記連結ブロックの動きベクトルの方向と前記標準方向との角度差を算出する角度差算出手段と
を備え、
前記判定手段は、
算出された角度差が略180度である場合、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
交通流の方向を定める標準方向を記憶する記憶手段と、
前記連結ブロックの動きベクトルの方向と前記標準方向との角度差を算出する角度差算出手段と、
判定時間を計時する手段と
を備え、
前記判定手段は、
前記判定時間が所定の時間以上となるまで、算出された角度差が第1閾値以上である場合、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、
前記連結ブロックの動きベクトルの大きさと第2閾値とを比較する手段と、
判定時間を計時する手段と
を備え、
前記判定手段は、
前記判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より小さく、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記分布密度と第3閾値とを比較する手段を備え、
前記判定手段は、
前記判定時間が所定の時間以上となるまで、前記一の判定領域の分布密度が前記第3閾値より大きい場合に、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
同一進行方向の複数の車線に対応した判定領域を撮像画像に設けてあり、
前記連結ブロックの動きベクトルの大きさと第2閾値とを比較する手段と、
判定時間を計時する手段と
を備え、
前記判定手段は、
前記判定時間が所定の時間以上となるまで、一の判定領域で連結ブロックが特定されず、他の判定領域の連結ブロックの動きベクトルの大きさが前記第2閾値より大きい場合に、交通異常と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
交通規制に対応する規制領域を撮像画像に設けてあり、
前記規制領域での交通流の規制方向を記憶するようにしてあり、
連結ブロックの前記規制領域への進入を検出する手段と、
前記連結ブロックの動きベクトルの方向と前記規制方向とを比較する手段と
を備え、
前記判定手段は、
前記規制領域に進入した連結ブロックの動きベクトルの方向と前記規制方向とが略一致する場合に、交通違反と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項10】
連結ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロック同士の重複領域を特定する手段と、
前記重複領域の画素ブロック数と第4閾値とを比較する手段と
を備え、
前記判定手段は、
前記重複領域の画素ブロック数が前記第4閾値以上になる第1撮像時点と、該第1撮像時点より前の第2撮像時点との間で、前記重複領域の画素が有する輝度値の差が前記第5閾値以上である場合に、交通事故と判定するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記判定手段は、
前記第2撮像時点に前記連結ブロックが存在した領域夫々の画素が有する輝度値の前記第1撮像時点及び第2撮像時点での差が第6閾値以上である場合に、交通事故と判定するようにしてあることを特徴とする請求項10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
道路を含む領域を撮像装置で撮像し、撮像して得られた撮像画像を画像処理装置で処理して交通状況を判定する交通状況判定システムにおいて、
前記画像処理装置は、
撮像時点の異なる撮像画像の対応する画素ブロックを特定する手段と、
前記画素ブロックの位置変化に基づいて、前記画素ブロックの動きベクトルを算出する手段と、
算出された動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、
前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、
前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする交通状況判定システム。
【請求項13】
道路を含む領域を撮像する撮像装置と、撮像して得られた撮像画像を処理する画像処理装置と、交通状況を判定する判定装置とを備える交通状況判定システムにおいて、
前記画像処理装置は、
撮像時点の異なる撮像画像の対応する画素ブロックを特定する手段と、
前記画素ブロックの位置変化に基づいて、前記画素ブロックの動きベクトルを算出する手段と、
算出した動きベクトルを前記判定装置へ送信する手段と
を備え、
前記判定装置は、
前記画像処理装置が送信した動きベクトルを受信する手段と、
受信した動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、
前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、
前記分布密度又は前記連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段と
を備えることを特徴とする交通状況判定システム。
【請求項14】
道路を含む異なる領域を撮像する撮像装置、及び該撮像装置で撮像した撮像画像を処理する画像処理装置夫々を道路に沿って3つ以上備え、
前記判定装置は、
前記分布密度又は前記連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通渋滞状況を判定するようにしてあり、
一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況が、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況と異なる場合に、第2の交通渋滞状況であると判定するようにしてあることを特徴とする請求項13に記載の交通状況判定システム。
【請求項15】
前記判定装置は、
一の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した第1の交通渋滞状況が、前記一の撮像装置を間にして設置された直近の2つの撮像装置夫々で撮像した撮像画像により判定した第2の交通渋滞状況と異なる場合に、前記一の時点と異なる複数の他の時点で、前記一の撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が、前記第2の交通渋滞状況であるときは、第2の交通渋滞状況であると判定するようにしてあることを特徴とする請求項14に記載の交通状況判定システム。
【請求項16】
前記判定装置は、
複数の連続した撮像装置で撮像した撮像画像により判定した交通渋滞状況が同一である場合に、前記撮像装置のうち交通流の下流端の撮像装置の位置に基づいて、交通渋滞変化点を判定するようにしてあることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の交通状況判定システム。
【請求項17】
コンピュータに、取得した撮像画像を処理して交通状況を判定させるためのコンピュータプログラムにおいて、
コンピュータを、
動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定する手段と、
前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出するベクトル算出手段と、
前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出する密度算出手段と、
前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定する判定手段と
して機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
道路を含む領域を撮像装置で撮像し、撮像して得られた撮像画像を処理して交通状況を判定する交通状況判定方法において、
動きベクトルの方向が略一致する隣接の画素ブロックを連結した連結ブロックを特定し、
前記連結ブロックの各画素ブロックの動きベクトルに基づいて、前記連結ブロックの動きベクトルを算出し、
前記連結ブロックの画素ブロック数に基づいて動きベクトルの分布密度を算出し、
前記分布密度又は連結ブロックの動きベクトルに基づいて、交通状況を判定することを特徴とする交通状況判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2006−330942(P2006−330942A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−151618(P2005−151618)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】