説明

人物認識システム、人物認識方法、及び人物認識プログラム

【課題】同一人物を互いに異なる複数の人物として誤認識した場合であっても、認識結果を修正して、精度の高い人物の認識結果を利用者に提供する。
【解決手段】複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識システムであって、複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識部と、複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出部と、排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識部による認識結果を修正する修正部とを備える人物認識システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物認識システム、人物認識方法、及び人物認識プログラムに関する。特に本発明は、複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識システム、人物認識方法、及び人物認識プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人物の顔画像を画像認識することにより、当該人物を認識する人物認識システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。これらの人物認識システムにおいては、人物の顔画像に対して画像処理を行うことにより、当該顔画像から特徴量を抽出すると共に、抽出した特徴量の差異に基づいて、それぞれの人物を認識している。
【特許文献1】特開2001−273496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、人物認識に用いられる顔画像は、撮像されるアングルや撮像環境、被写体である人物の表情等によって様々に変化するので、従来の人物認識システムにおいて、常に高い認識率を維持することは容易ではない。このため、同一人物を示す複数の顔画像のそれぞれが、互いに異なる人物の顔画像であるとして誤認識される場合が少なからずあり、より高い精度で人物の認識結果を得ることのできる人物認識システムが待望されていた。
【0004】
そこで本発明は、上記の課題を解決することができる人物認識システム、人物認識方法、及び人物認識プログラムを提供することを目的とする。この目的は特許請求の範囲における独立項に記載の特徴の組み合わせにより達成される。また従属項は本発明の更なる有利な具体例を規定する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識システムであって、複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識部と、複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出部と、排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識部による認識結果を修正する修正部とを備える。当該人物認識システムは、排他検出部によって検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する類似度算出部を更に備え、修正部は、更に、排他検出部によって検出された2人の人物の間における、類似度算出部によって算出された顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識部による認識結果を修正してもよい。
【0006】
修正部は、更に、排他検出部によって検出された2人の人物のうち一方の人物が含まれる第1の画像、及び当該2人の人物のうち他方の人物が含まれる第2の画像における撮像日時の差が、予め定められた基準値以下であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識部による認識結果を修正してもよい。人物認識部は、複数の人物のそれぞれについて、当該人物の顔画像の特徴量を格納している特徴量データベースと、複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる人物の画像から抽出した特徴量が、特徴量データベースに格納されている顔画像を示す特徴量に対して、予め定められた基準値以上の類似度で類似している場合に、当該人物を、当該顔画像に対応する人物であると認識する認識処理部とを有し、修正部は、排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定した場合に、更に、認識処理部によって当該2人の人物が同一人物として認識されるべく、認識処理部における類似度の基準値をより低く修正してもよい。
【0007】
また、本発明の第2の形態においては、複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識方法であって、複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識段階と、複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出段階と、排他検出段階において検出された2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識段階における認識結果を修正する修正段階とを備える。当該人物認識方法は、排他検出段階において検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する類似度算出段階を更に備え、修正段階は、更に、排他検出段階において検出された2人の人物の間における、類似度算出段階において算出された顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識段階における認識結果を修正してもよい。
【0008】
また、本発明の第3の形態においては、複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識システムとしてコンピュータを機能させる人物認識プログラムであって、コンピュータを、複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識部と、複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出部と、排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識部による認識結果を修正する修正部とを備える人物認識システムとして機能させる。当該人物認識プログラムは、コンピュータを、排他検出部によって検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する類似度算出部を更に備え、修正部は、更に、排他検出部によって検出された2人の人物の間における、類似度算出部によって算出された顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、人物認識部による認識結果を修正する人物認識システムとして機能させる。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、同一人物を互いに異なる複数の人物として誤認識した場合であっても、認識結果を修正して、精度の高い人物の認識結果を利用者に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る人物認識システム10の機能構成の一例を示すブロック図である。人物認識システム10は、画像格納部100、人物認識部110、排他検出部120、類似度算出部130、及び修正部140を備える。例えば、人物認識システム10は、電子アルバムに含まれる複数の画像が画像格納部100に格納されている場合に、当該複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識すると共に、当該画像に含まれる人物のそれぞれが誰であるかを示す情報を、Exif(Exchangeable image file)フォーマット等に基づくタグ情報として、当該画像を示す画像ファイルに記録してよい。これにより、利用者は、当該複数の画像を、容易に、人物毎にカテゴリ分けされたスライドショーとして鑑賞したり、また人物毎に整理したりすることができる。なお、人物認識システム10は、例えばパーソナルコンピュータであってよく、また、デジタルスチルカメラや、デジタルスチルカメラが設けられた携帯電話端末等であってもよい。
【0013】
本発明の実施形態に係る人物認識システム10は、複数の画像に含まれる人物の中で、同一人物であるにも関わらず、互いに異なる2人の人物であるとして認識された人物を検出して、当該人物についての認識結果を修正することにより、精度の高い認識結果を利用者に提供することを目的とする。
【0014】
画像格納部100は、例えば、磁気記録媒体や半導体記録媒体等を用いた記憶装置であってよく、複数の画像を格納している。人物認識部110は、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を、公知の画像認識技術を用いることにより認識する。人物認識部110は、特徴量データベース112、及び認識処理部114を有する。特徴量データベース112は、複数の人物のそれぞれについて、当該人物の顔画像の特徴量を格納している。認識処理部114は、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる人物の画像から抽出した特徴量が、特徴量データベース112に格納されている顔画像を示す特徴量に対して、予め定められた基準値以上の類似度で類似している場合に、当該人物を、当該顔画像に対応する人物であると認識する。そして、認識処理部114は、それぞれの画像についての人物の認識結果を、排他検出部120及び修正部140に出力する。
【0015】
排他検出部120は、画像格納部100に格納されている複数の画像の少なくとも一部に含まれる人物の中で、当該複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する。そして、排他検出部120は、検出した2人の人物を示す情報を、類似度算出部130に出力する。類似度算出部130は、排他検出部120によって検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する。そして、類似度算出部130は、排他検出部120から受け取った当該2人の人物を示す情報、及び当該2人の人物について算出した顔画像の類似度を、修正部140に出力する。修正部140は、排他検出部120によって検出された2人の人物が同一人物であると判定し、認識処理部114による認識結果を修正する。ここで、修正部140は、更に、類似度算出部130によって算出された、当該2人の人物の間における顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定してよい。
【0016】
本発明の実施形態に係る人物認識システム10によれば、2人の人物が、何れの画像においても共に含まれることがなく、画像に含まれる機会が互いに排他的である場合に、当該2人の人物が実際には同一人物であるとして、人物の認識結果を修正することができる。これにより、画像認識技術を用いた人物認識処理において、1人の人物の画像を、互いに異なる2人の人物の画像として誤認識した場合であっても、当該2人の人物が同一人物であるとして認識結果を修正し、精度の高い人物認識結果を利用者に提供することができる。
【0017】
また、例えば、画像格納部100に格納されている画像の数が少ない場合になどにおいては、ある2人の人物が、実際には同一人物ではないにも関わらず、何れの画像においても共に含まれていないことにより、排他検出部120が当該2人の人物を検出する場合がある。しかし、人物認識システム10によれば、当該2人の人物の間における顔画像の類似度が基準値以上でない場合には、当該2人の人物を同一人物であると判定しない。これにより、排他検出部120によって検出された2人の人物が同一人物であるか否かを、より高い精度で判定することができる。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る画像格納部100の一例を示す。画像格納部100は、複数の画像のそれぞれについて、当該画像を識別する画像識別子と、当該画像を示す画像データとを対応付けて格納している。ここで、画像識別子とは、画像格納部100が画像を格納する場合に、それぞれの画像について一意となるべく定められた値であってよい。なお、本図において、画像識別子は数値として示されているが、これに代えて、画像識別子は、例えば画像データを示すファイルに割り当てられたファイル名等の文字列であってもよい。また、画像格納部100は、複数の画像のそれぞれを識別する画像識別子に対応付けて、更に、当該画像の撮像日時を示す情報を格納していてよい。
【0019】
図3は、本発明の実施形態に係る特徴量データベース112の一例を示す。特徴量データベース112は、複数の人物のそれぞれについて、当該人物を識別する人物識別子と、当該人物の顔画像の特徴量とを対応付けて格納している。ここで、人物識別子は、例えば、特徴量データベース112に人物の顔画像の特徴量が格納される場合に、それぞれの人物について一意となるべく定められた値であってよい。また、特徴量データベース112は、それぞれの人物について、複数の特徴量(例えば、A、B、・・・等)を格納してよい。ここで、人物の顔画像の特徴量とは、例えば、顔画像そのものや、当該顔画像から公知の画像処理技術を用いて抽出された、顔の輪郭形状、或いは、眼や鼻、口といった、顔における特徴的な部位の形状、それぞれの部位の顔全体における位置、またはそれぞれの部位の間の位置関係といった、多様な情報であってよい。
【0020】
図4は、本発明の実施形態に係る認識処理部114における人物の認識結果の一例を示す。認識処理部114は、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する。例えば、認識処理部114は、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについて、輪郭抽出処理や色分布分析処理等の公知の画像処理を行うことにより、当該画像に含まれる複数の被写体を検出する。そして、認識処理部114は、検出したそれぞれの被写体を示す画像から、人物の顔に固有の特徴量を検出することにより、当該被写体が人物である場合に、当該被写体を示す画像から人物の顔を示す部分画像を検出する。そして、認識処理部114は、検出した人物の顔を示す部分画像から特徴量を抽出すると共に、抽出した特徴量を、図3に示した特徴量データベース112に格納されている、複数の人物のそれぞれについての顔画像の特徴量と比較する。そして、認識処理部114は、抽出した特徴量が、特徴量データベース112に格納されている顔画像の特徴量に対して、予め定められた基準値以上の類似度で類似している場合に、画像から検出した被写体が、特徴量データベース112において当該顔画像の特徴量に対応付けられている人物であると認識し、当該人物を示す人物識別子を検出する。このようにして、認識処理部114は、図4に示すように、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物のそれぞれを認識し、当該複数の人物を示す複数の人物識別子を検出する。
【0021】
なお、特徴量データベース112は、人物毎の顔画像の特徴量を、認識処理部114から受け取って格納してよい。具体的には、認識処理部114は、画像格納部100に格納されている画像に含まれる人物を認識する場合において、当該画像に含まれる人物の顔画像から抽出した特徴量が、特徴量データベース112に格納されている何れの人物の特徴量に対しても、予め定められた基準値以上の類似度を示さない場合に、当該顔画像から抽出した特徴量を、新たな人物の顔画像の特徴量として、特徴量データベース112に格納させてよい。これにより、特徴量データベース112は、画像格納部100に格納されている複数の画像の中の、少なくとも一部の画像に含まれる人物の顔画像の特徴量を格納することができる。
【0022】
図5は、本発明の実施形態に係る人物認識システム10を用いた人物認識方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、認識処理部114は、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する(S1000)。続いて、排他検出部120は、複数の画像の少なくとも一部に含まれる人物の中で、当該複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する(S1010)。ここで、排他検出部120は、複数の画像の少なくとも一部に含まれる人物の中から、当該複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物の組み合わせを、複数検出してもよい。そして、人物認識システム10は、排他検出部120が検出した2人の人物の組み合わせ毎に、以下の処理を繰り返す(S1020)。
【0023】
まず、類似度算出部130は、当該2人の人物の間における顔画像の類似度を算出する(S1030)。例えば、類似度算出部130は、排他検出部120から受け取った、当該2人の人物のそれぞれを示す人物識別子と、認識処理部114から受け取った、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれに含まれる人物を示す人物識別子とに基づいて、当該2人の人物のそれぞれが含まれる画像を、画像格納部100から読み出す。そして、類似度算出部130は、読み出した画像のそれぞれから、当該2人の人物のそれぞれの顔画像を抽出する。そして、類似度算出部130は、抽出したそれぞれの顔画像を比較することにより、当該2人の人物の間における顔画像の類似度を算出する。ここで、類似度算出部130は、画像格納部100から読み出した画像から抽出した顔画像を比較する代わりに、特徴量データベース112に格納されている、当該2人の人物のそれぞれにおける顔画像の特徴量を比較することにより、当該2人の人物の間における顔画像の類似度を算出してもよい。
【0024】
続いて、修正部140は、当該2人の人物の間における顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であるか否かを判定する(S1040)。ここで、予め定められた基準値とは、例えば、同一人物を撮像した2枚の画像において、画像の撮像条件、または人物の表情等が異なることにより、それぞれの画像に含まれる人物の顔画像が異なる場合の、当該2枚の画像における顔画像の類似度の典型値、または当該典型値より低い値であってよく、利用者等によって予め定められてよい。
【0025】
そして、当該2人の人物の間における顔画像の類似度が基準値以上であると判定した場合(S1040:Yes)、修正部140は、更に、当該2人の人物のうち一方の人物が含まれる第1の画像と、当該2人の人物のうち他方の人物が含まれる第2の画像における撮像日時の差が、予め定められた基準値以下であるか否かを判定する(S1050)。ここで、修正部140は、当該第1の画像として、当該一方の人物が含まれる画像のうち、何れの画像を選択してもよい。また、修正部140は、当該第2の画像として、当該他方の人物が含まれる画像のうち、何れの画像を選択してもよい。なお、撮像日時の差における予め定められた基準値とは、例えば、旅行中に撮像された一連の画像や、同一のイベント中に撮像された一連の画像といった、画像の内容や撮像状況についてまとまりのある一連の画像における、それぞれの画像の、撮像日時の差の最大値であってよく、利用者等によって予め定められてよい。
【0026】
そして、撮像日時の差が基準値以下であると判定した場合(S1050:Yes)、修正部140は、当該2人の人物が同一人物であると判定し、認識処理部114による人物の認識結果を修正する(S1060)。例えば、修正部140が、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれについての、認識処理部114による人物の認識結果を示す情報、例えば当該画像に含まれる人物識別子等を、Exifフォーマット等に基づくタグ情報として、当該画像を示す画像ファイルに記録する場合を考える。この場合、修正部140は、当該2人の人物における人物識別子が同一の値となるべく修正した認識結果を示す情報を、当該2人の人物のそれぞれが含まれる画像を示す画像ファイルに記録してよい。また、例えば、修正部140は、認識処理部114による人物の認識結果を修正した後で、修正した認識結果を、例えば人物認識システム10に設けられた表示装置に表示してもよい。
【0027】
更に、修正部140は、当該2人の人物が同一人物であると判定した場合に、認識結果を修正するだけでなく、認識処理部114によって当該2人の人物が同一人物として認識されるべく、認識処理部114における顔画像の類似度の基準値をより低く修正してもよい。ここで、より低く修正された基準値とは、例えば、認識処理部114によって、当該2人の人物が同一人物として認識される基準値のうち、最大の値であってよい。そして、人物認識システム10は、以上の処理を、排他検出部120が検出した2人の人物の組み合わせ毎に繰り返す(S1070)。
【0028】
本発明の実施形態に係る人物認識システム10によれば、排他検出部120が検出した2人の人物が含まれる画像のそれぞれにおける撮像日時の差が基準値以下であることを更なる条件として、当該2人の人物が同一人物であるか否かを判定することができる。例えば、旅行中に撮像された一連の画像や、同一のイベント中に撮像された一連の画像といった、撮像日時が近接している一連の画像において、2人の人物が、何れの画像においても共に含まれることがない場合、当該2人の人物は、同一人物である可能性が高い。人物認識システム10によれば、こういった場合に、当該2人の人物を同一人物として判定することができるので、実際には同一人物でありながら、画像認識処理によって互いに異なる人物として認識された2人の人物を、より高い精度で同一人物として判定することができる。
【0029】
なお、修正部140は、排他検出部120によって検出された2人の人物のうち一方の人物が含まれる第1の画像と、当該2人の人物のうち他方の人物が含まれる第2の画像における撮像日時の差が、予め定められた基準値以下であるか否かを判定するだけでなく、当該第1の画像と当該第2の画像との撮像地点の間の距離が、予め定められた基準距離より短いか否かを更に判定してもよい。そして、修正部140は、互いの撮像地点の間の距離が基準距離より近い場合に、当該2人の人物が同一人物であると判定してもよい。この場合、画像格納部100は、複数の画像のそれぞれを識別する画像識別子に対応付けて、更に、当該画像の撮像地点を示す情報を格納していてよい。
【0030】
また、人物認識システム10によれば、認識処理部114によって互いに異なる人物として認識された2人の人物が、修正部140によって同一人物であると判定された場合に、認識処理部114における人物の認識処理に用いる顔画像の類似度の基準値を、より低く修正することができる。例えば、人物認識システム10は、認識処理部114における特徴量の類似度の基準値を、当初、利用者等によって予め定められた、画像認識処理における典型的な値に比べて、高く設定しておいてよい。この場合、認識処理部114は、画像格納部100に格納されている複数の画像のそれぞれに含まれる人物の認識において、同一人物であるにも関わらず、互いに異なる複数の人物として誤認識する場合が多くなる。しかし、人物認識システム10によれば、何れの画像においても共に含まれることがない2人の人物を同一人物であると判定した場合に、認識処理部114における類似度の基準値を低下させて、当該人物についての適正な基準値を設定することができる。これにより、その後、認識処理部114は、当該人物について、精度の高い認識処理を実行することができる。
【0031】
なお、以上の説明において、排他検出部120により検出された2人の人物の組み合わせのうち、少なくとも一部の組み合わせは、互いに同一の人物を含んでいてもよい。これにより、認識処理部114において、同一人物が、互いに異なる2人以上の数の人物として誤認識された場合であっても、認識結果を修正することができる。
【0032】
また、以上の説明において、人物認識システム10は、何れの画像においても共に含まれることがない2人の人物を検出した後で、当該2人の人物における顔画像の類似度に基づいて、当該2人の人物が同一人物であるか否かを判定している。しかし、人物認識システム10は、以上の説明における順序とは異なる順序で、互いに異なる人物として認識された2人の人物が同一人物であるか否かを判定してよい。具体的には、まず、類似度算出部130が、画像格納部100に格納されている複数の画像の少なくとも一部に含まれる、互いに異なる人物として認識された複数の人物のうち、顔画像の類似度が予め定められた基準値以上である2人の人物を検出する。続いて、排他検出部120は、類似度算出部130により検出された2人の人物が、複数の画像の何れにおいても共に含まれることがないか否かを判定する。そして、修正部140は、当該2人の人物が、何れの画像においても共に含まれることがない場合に、当該2人の人物が同一人物であると判定し、認識処理部114による人物の認識結果を修正する。何れの順序で処理を行う場合であっても、人物認識システム10によれば、同一人物であるにも関わらず、互いに異なる2人の人物として誤認識された人物についての認識結果を修正して、精度の高い認識結果を利用者に提供することができる。
【0033】
図6は、本発明の実施形態に係るコンピュータ1500のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。本発明の実施形態に係るコンピュータ1500は、ホストコントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィックコントローラ1575、及び表示装置1580を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1584によりホストコントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、及びCD−ROMドライブ1560を有する入出力部と、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスクドライブ1550、及び入出力チップ1570を有するレガシー入出力部とを備える。
【0034】
ホストコントローラ1582は、RAM1520と、高い転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505及びグラフィックコントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510及びRAM1520に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィックコントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレームバッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置1580上に表示させる。これに代えて、グラフィックコントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレームバッファを、内部に含んでもよい。
【0035】
入出力コントローラ1584は、ホストコントローラ1582と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、CD−ROMドライブ1560を接続する。通信インターフェイス1530は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ1540は、コンピュータ1500内のCPU1505が使用するプログラム及びデータを格納する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラム又はデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540に提供する。
【0036】
また、入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスクドライブ1550、及び入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、コンピュータ1500が起動時に実行するブートプログラムや、コンピュータ1500のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスクドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラム又はデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスクドライブ1550や、例えばパラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0037】
RAM1520を介してハードディスクドライブ1540に提供される人物認識プログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、又はICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。人物認識プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM1520を介してコンピュータ1500内のハードディスクドライブ1540にインストールされ、CPU1505において実行される。コンピュータ1500にインストールされて実行される人物認識プログラムは、CPU1505等に働きかけて、コンピュータ1500を、図1から図5にかけて説明した人物認識システムとして機能させる。
【0038】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595の他に、DVDやPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク又はRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1500に提供してもよい。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態に係る人物認識システム10の機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る画像格納部100の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る特徴量データベース112の一例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る認識処理部114における人物の認識結果の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る人物認識システム10を用いた人物認識方法における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態に係るコンピュータ1500のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
10 人物認識システム、100 画像格納部、110 人物認識部、112 特徴量データベース、114 認識処理部、120 排他検出部、130 類似度算出部、140 修正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識システムであって、
前記複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識部と、
前記複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、前記複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出部と、
前記排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識部による認識結果を修正する修正部と
を備える人物認識システム。
【請求項2】
前記排他検出部によって検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する類似度算出部
を更に備え、
前記修正部は、更に、前記排他検出部によって検出された2人の人物の間における、前記類似度算出部によって算出された顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識部による認識結果を修正する
請求項1に記載の人物認識システム。
【請求項3】
前記修正部は、更に、前記排他検出部によって検出された2人の人物のうち一方の人物が含まれる第1の画像、及び当該2人の人物のうち他方の人物が含まれる第2の画像における撮像日時の差が、予め定められた基準値以下であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識部による認識結果を修正する請求項2に記載の人物認識システム。
【請求項4】
前記人物認識部は、
複数の人物のそれぞれについて、当該人物の顔画像の特徴量を格納している特徴量データベースと、
前記複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる人物の画像から抽出した特徴量が、前記特徴量データベースに格納されている前記顔画像を示す特徴量に対して、予め定められた基準値以上の類似度で類似している場合に、当該人物を、当該顔画像に対応する人物であると認識する認識処理部と
を有し、
前記修正部は、前記排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定した場合に、更に、前記認識処理部によって当該2人の人物が同一人物として認識されるべく、前記認識処理部における類似度の基準値をより低く修正する
請求項3に記載の人物認識システム。
【請求項5】
複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識方法であって、
前記複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識段階と、
前記複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、前記複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出段階と、
前記排他検出段階において検出された2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識段階における認識結果を修正する修正段階と
を備える人物認識方法。
【請求項6】
前記排他検出段階において検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する類似度算出段階
を更に備え、
前記修正段階は、更に、前記排他検出段階において検出された2人の人物の間における、前記類似度算出段階において算出された顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識段階における認識結果を修正する
請求項5に記載の人物認識方法。
【請求項7】
複数の画像のそれぞれに含まれる人物を認識する人物認識システムとしてコンピュータを機能させる人物認識プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記複数の画像のそれぞれについて、当該画像に含まれる複数の人物を認識する人物認識部と、
前記複数の画像の少なくとも一部に含まれる複数の人物の中で、前記複数の画像の何れにおいても共に含まれることがない2人の人物を検出する排他検出部と、
前記排他検出部によって検出された2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識部による認識結果を修正する修正部と
を備える人物認識システムとして機能させる人物認識プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータを、
前記排他検出部によって検出された2人の人物の間における、顔画像の類似度を算出する類似度算出部
を更に備え、
前記修正部は、更に、前記排他検出部によって検出された2人の人物の間における、前記類似度算出部によって算出された顔画像の類似度が、予め定められた基準値以上であることを条件として、当該2人の人物が同一人物であると判定し、前記人物認識部による認識結果を修正する
人物認識システムとして機能させる請求項7に記載の人物認識プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−236217(P2006−236217A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53062(P2005−53062)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】