説明

仕分けシステム

【課題】分岐装置が分岐動作を行わない状態になった場合であっても、仕分け作業の効率の低下を抑制することのできる仕分けシステムを提供すること。
【解決手段】複数の荷物の仕分けを行う仕分けシステム10であって、制御部15と、メインコンベア20と、第一分岐コンベア21および第二分岐コンベア22と、第一分岐装置11と、第二分岐装置12と、第一分岐装置11の自動モードと非自動モードとを切り替えるモード切替部と、第二分岐装置12の自動モードと非自動モードとを切り替えるモード切替部とを備え、制御部15は、第一分岐装置11および第二分岐装置12の一方が非自動モードとなった場合、当該一方に対応する第一分岐コンベア21または第二分岐コンベア22へ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量を、当該一方が自動モードである場合よりも少なくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベアにより搬送されている荷物を分岐コンベアに送り出すことで荷物の仕分けを行う仕分けシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラコンベア等のコンベアにより搬送される複数の荷物を、それぞれの荷物の種類または宛先等に応じて仕分ける仕分けシステムが存在する。
【0003】
仕分けシステムは、例えば、メインコンベアと、メインコンベアから分岐する複数の分岐コンベアとを備える。メインコンベアにより搬送される荷物は、その宛先に対応する分岐コンベアに送り出される。仕分けシステムではこのようにして各荷物の仕分けが行われる。
【0004】
また、仕分けを自動で行う仕分けシステムでは、メインコンベア上の各分岐位置に、メインコンベア上の荷物を分岐コンベアへ送り出すための分岐装置が備えられている。なお、このような動作を行う分岐装置としては、例えば、ターンローラ式、ダイバータ式、およびプッシュ式等の様々な種類の方向転換機が採用される。
【0005】
また、仕分けを自動で行う自動仕分けラインと、仕分けを手動で行う手動仕分けラインとを有する仕分けシステムも存在する。
【0006】
従来、このような仕分けシステムにおいて、コンベアなどで上流から搬送されてくる荷物を、自動仕分けラインおよび手動仕分けラインのいずれか一方に自動で振り分けるための技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
この技術によれば、コンベアにより上流から搬送されてくる荷物のそれぞれを、各荷物のサイズおよび重量等により、自動仕分けラインおよび手動仕分けラインのいずれに投入すべきかを判別する。さらに、判別結果に従って、振り分けコンベアが、各荷物を自動仕分けラインおよび手動仕分けラインのいずれか一方に振り分ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−290511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、上述の、荷物の仕分けを自動で行う仕分けシステムにおいて、例えば、1つの分岐装置が、作業者の指示により、または、何らかの不具合により分岐コンベアに送り出す動作(分岐動作)を行わない状態となった場合、少なくとも当該分岐装置による荷物の仕分け作業は行われない。
【0010】
そのため、当該停止の時点でメインコンベア上に存在する荷物のうち、当該分岐位置において分岐コンベアに送り出すべき荷物は、例えば、いずれかの場所で回収する必要がある。
【0011】
また、当該不具合の解消および、上記の荷物の回収等の作業のために、仕分けシステムの全体を長時間停止させる場合もある。
【0012】
つまり、仕分けシステムの一部を構成する分岐装置が分岐動作を行わない状態になった場合、その影響は、当該分岐装置が行うべき仕分け作業のみならず、当該仕分けシステムが行うべき仕分け作業の全体に及ぶことになる。
【0013】
本発明は、上記従来の課題を考慮し、複数の荷物の仕分けを分岐装置により行う仕分けシステムであって、分岐装置が分岐動作を行わない状態になった場合であっても、仕分け作業の効率の低下を抑制することのできる仕分けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するため、本発明の仕分けシステムは、複数の荷物の仕分けを行う仕分けシステムであって、前記仕分けシステムの動作を制御する制御部と、前記複数の荷物を搬送するメインコンベアと、前記メインコンベアから分岐した第一分岐コンベアおよび第二分岐コンベアと、前記複数の荷物のうちの所定の荷物を前記第一分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行うことのできる第一分岐装置と、前記複数の荷物のうちの所定の荷物を前記第二分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行うことのできる第二分岐装置と、前記第一分岐装置が前記分岐動作を行う自動モードと、前記第一分岐装置が前記分岐動作を行わない非自動モードとを切り替える第一切替部と、前記第二分岐装置が前記分岐動作を行う自動モードと、前記第二分岐装置が前記分岐動作を行わない非自動モードとを切り替える第二切替部とを備え、前記制御部は、前記第一切替部および前記第二切替部の一方が非自動モードに切り替えられることで、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置の一方が非自動モードとなった場合、当該一方に対応する前記第一分岐コンベアまたは前記第二分岐コンベアへ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量を、当該一方が自動モードである場合よりも少なくする。
【0015】
この構成によれば、2つの分岐装置の一方が分岐動作を行わない状態になった場合であっても、当該一方に対応する分岐コンベアに対応する仕分け数量が減らされる。
【0016】
これにより、当該分岐コンベアに送り出すべき荷物を、手動で無理なく当該分岐コンベアに送り出すことができる。
【0017】
つまり、2つの分岐装置の一方が分岐動作を行わない状態になった場合であっても、当該一方の分岐位置では手動による仕分け作業を行うことができ、かつ、他方の分岐位置では仕分け能力を落とすことなく分岐装置による自動仕分けを行うことができる。つまり、仕分け作業の効率の低下が抑制される。
【0018】
従って、本発明は、仕分け作業の効率の低下を抑制することのできる仕分けシステムを提供することができる。
【0019】
なお、本発明の仕分けシステムにおいて、前記制御部は、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置の一方が非自動モードとなった場合、当該一方に対応する前記第一分岐コンベアまたは前記第二分岐コンベアへ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量のみを、当該一方が自動モードである場合よりも少なくするとしてもよい。
【0020】
また、本発明の仕分けシステムにおいて、前記制御部は、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置の一方が非自動モードとなった場合、他方に対応する前記第一分岐コンベアまたは前記第二分岐コンベアへ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量は変更しないとしてもよい。
【0021】
また、本発明の仕分けシステムはさらに、前記メインコンベアへ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する間隔調整部を備え、前記制御部は、前記間隔調整部に、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置のうちの当該一方が非自動モードである場合の荷物間隔を、当該一方が自動モードである場合よりも長くさせることで、前記仕分け数量を少なくするとしてもよい。
【0022】
また、前記制御部は、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置のうちの当該一方が非自動モードである場合の前記メインコンベアによる荷物の搬送速度を、当該一方が自動モードである場合よりも遅くすることで、前記仕分け数量を少なくするとしてもよい。
【0023】
このように、仕分け数量の制御は、荷物間隔の変更および荷物の搬送速度の調整を介して行うことができる。そのため、例えば、仕分け数量の制御のための特殊な装置を用意することなく、仕分け数量を適切に制御することができる。
【0024】
また、本発明の仕分けシステムはさらに、前記メインコンベアと前記第一分岐コンベアとの間に設けられ、前記第一分岐装置から送り出される荷物を前記第一分岐コンベアまで到達させる自動仕分用コンベアと、前記メインコンベアと前記第一分岐コンベアとの間に設けられた手動仕分用コンベアであって、前記メインコンベア上の荷物が前記手動仕分用コンベア上に移動された場合、前記荷物を前記第一分岐コンベアまで到達させる手動仕分用コンベアとを備えるとしてもよい。
【0025】
この構成により、自動仕分けが実行される場合に荷物を効率よく第一分岐コンベアに送り出すことができるとともに、手動仕分けが実行される場合にも荷物を効率よく第一分岐コンベアに送り出すことができる。
【0026】
また、例えば、第一分岐コンベアを、自動仕分けされる荷物の振り分け先、および、手動仕分けされる荷物の振り分け先の一方から他方へ切り替えて使用することができる。
【0027】
また、本発明は、本発明の仕分けシステムにおける特徴的な動作ステップを含む、荷物の仕分け方法として実現することもできる。また、それら各ステップを仕分けシステムに実行させる制御プログラムとして実現することもできる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の仕分けシステムによれば、分岐装置が分岐動作を行わない状態になった場合、当該分岐位置における仕分け数量を減らすことができる。
【0029】
これにより、当該分岐位置において手動で荷物の仕分けを行うことが可能となる。結果として、当該仕分けシステムにおける仕分け作業の効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態の仕分けシステムの概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の仕分けシステムの主要な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態の仕分けシステムの動作の流れを示すフロー図である。
【図4】本発明の実施の形態における荷物間隔の調整の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における、作業者が自動モードおよび手動モードを切り替えるためのモード切替部の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態における仕分けシステム10について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
まず、実施の形態の仕分けシステム10の構成について図1および図2を用いて説明する。
【0033】
図1は、本発明の実施の形態の仕分けシステム10の概要を示す図である。
図2は、本発明の実施の形態の仕分けシステム10の主要な構成を示すブロック図である。
【0034】
本実施の形態における仕分けシステム10は、メインコンベア20により搬送される荷物のうちの所定の荷物を、第一分岐コンベア21または第二分岐コンベア22に送り出すことで、複数の荷物に対する仕分け作業を実行するシステムである。
【0035】
図1および図2に示すように、仕分けシステム10は、制御部15と、メインコンベア20と、メインコンベア20から分岐する第一分岐コンベア21および第二分岐コンベア22と、第一分岐装置11および第二分岐装置12と、ID認識部16と、フィーディングコンベア18とを備える。
【0036】
制御部15は、仕分けシステム10の動作を制御する装置である。つまり、メインコンベア20等の、仕分けシステム10の各構成要素の動作は、制御部15により制御される。
【0037】
ID認識部16は、メインコンベア20に投入される複数の荷物それぞれを認識する構成部である。具体的には荷物の識別番号等の情報をそれぞれの荷物に貼付されたバーコード等から取得することができる。
【0038】
制御部15は、ID認識部16から送信される情報に基づき、フィーディングコンベア18等の動作を制御する。
【0039】
第一分岐装置11および第二分岐装置12の各分岐装置のそれぞれは、複数の荷物のうちの所定の荷物を、それぞれの分岐コンベアへ送り出す構成部である。
【0040】
本実施の形態では、複数のローラが荷物の搬送方向を変更することにより荷物の方向転換をするターンローラ式の方向転換機が各分岐装置として採用されている。
【0041】
また、これら分岐装置は、ターンローラ式以外の方式の方向転換機、例えばダイバータ式またはプッシュ式等の方向転換機であってもよい。
【0042】
なお、各分岐装置の上流側には、それぞれセンサ(図示せず)が設けられており、制御部15との情報のやり取りおよび各センサによる荷物の検出により、どの荷物をそれぞれの分岐コンベアに送り出すべきかが判断される。
【0043】
また、メインコンベア20と第一分岐コンベア21との間に、自動仕分用コンベア21aと、手動仕分用コンベア21bとが設けられている。
【0044】
自動仕分用コンベア21aは、第一分岐装置11から送り出される荷物を第一分岐コンベア21まで到達させる構成部である。手動仕分用コンベア21bは、メインコンベア20上の荷物が手動仕分用コンベア21b上に移動された場合、当該荷物を第一分岐コンベア21まで到達させる構成部である。
【0045】
つまり、自動仕分用コンベア21aは、自動で方向転換される荷物を第一分岐コンベア21に送り出すコンベアである。また、手動仕分用コンベア21bは、手動で方向転換される荷物を、第一分岐コンベア21に送り出すコンベアである。
【0046】
また、メインコンベア20と第二分岐コンベア22との間にも、自動仕分用コンベア22aおよび手動仕分用コンベア22bが設けられている。
【0047】
本実施の形態において、メインコンベア20は、ベルトコンベアであり、第一分岐コンベア21、第二分岐コンベア22、自動仕分用コンベア21a、手動仕分用コンベア21b、自動仕分用コンベア22a、および、手動仕分用コンベア22bのぞれぞれはローラコンベアである。しかし、これらコンベアは、他の種類のコンベアであってもよい。
【0048】
なお、図1では、第一分岐装置11が分岐動作を行わない状態であり、第一分岐コンベア21に荷物を送り出す位置(以下、「第一分岐位置」という。)では、作業者による手作業で、荷物が第一分岐コンベア21に送り出されている様子を示している。この場合、第一分岐装置11は「手動モード」であるという。手動モードは、本発明の仕分けシステムにおける非自動モードの一例である。
【0049】
一方、第二分岐コンベア22に荷物を送り出す位置(以下、「第二分岐位置」という。)では、第二分岐装置12により、自動的に荷物が第二分岐コンベア22に送り出されている。この場合、第二分岐装置12は「自動モード」であるという。
【0050】
なお、手動モードでは、作業者は、例えば第一分岐装置11に接続された表示灯の点灯を目視で確認し、その直後に第一分岐位置に到達した荷物を、第一分岐コンベア21方向に押し出す。
【0051】
これにより、当該荷物は、手動仕分用コンベア21bを介して第一分岐コンベア21に送り出される。
【0052】
なお、この表示灯は、例えば、上述のセンサが第一分岐コンベア21に送り出すべき荷物を検出した場合に点灯するよう設定されている。
【0053】
また、作業者は、メインコンベア20に対し第一分岐コンベア21と同じ側に位置し、第一分岐位置に到達した荷物を、第一分岐コンベア21方向に引き込んでもよい。
【0054】
フィーディングコンベア18は、メインコンベア20へ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する構成部である。
【0055】
本実施の形態において、フィーディングコンベア18は、本発明の仕分けシステムにおける間隔調整部の一例であり、メインコンベア20とは独立して搬送速度の変化が可能なコンベアである。
【0056】
フィーディングコンベア18は、制御部15からの制御信号に従い、上流(図1において左)から搬送されてきた荷物をメインコンベア20に送り出した後に搬送速度を変えて次の荷物をメインコンベア20に送り出す。これによりこれら荷物間の間隔を従前よりも長くまたは短くすることができる。
【0057】
また、フィーディングコンベア18がこのように荷物間隔を変更することで、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれが、対応する分岐コンベアに送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量を変更することが可能となる。
【0058】
なお、フィーディングコンベア18は、他の方法で荷物間隔の調整を行ってもよい。例えば、メインコンベア20上に開閉可能なバーを設け、バーにより荷物の移動を止めることにより、当該荷物とその前方にある荷物との間隔を調整してもよい。
【0059】
フィーディングコンベア18による荷物間隔の調整の具体例については、図4を用いて後述する。
【0060】
また、本実施の形態における制御部15は、例えば、CPU、メモリ等の記憶媒体、ネットワークインターフェース等を備えるパーソナルコンピュータにより実現される。
【0061】
例えば、当該パーソナルコンピュータのCPUは、記憶媒体から所定のプログラムを読み込んで実行する。また、当該パーソナルコンピュータは、ネットワークインターフェースを介して、プログラムの実行結果およびプログラムの実行に必要な変数等の情報を、メインコンベア20等の各構成要素とやり取りする。これにより、仕分けシステム10の動作が制御される。
【0062】
次に、本実施の形態の仕分けシステム10の動作の概要を、図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態の仕分けシステム10の動作の流れを示すフロー図である。
【0063】
制御部15は、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれが手動モードであるか否かを監視する(S10)。
【0064】
具体的には、制御部15は、例えば第一分岐装置11および第二分岐装置12と通信することで、それぞれが分岐動作を行っているか否かを確認する。
【0065】
例えば、制御部15は、第一分岐装置11から分岐動作を行わない状態であることを示す信号を受信した場合、第一分岐装置11は手動モードであると判断する(S10でYes)。
【0066】
なお、第一分岐装置11が分岐動作を行わない状態とは、例えば、第一分岐装置11に不具合が発生し、荷物の方向転換を行えなくなった状態である。
【0067】
制御部15は、第一分岐装置11が手動モードであると判断した場合(S10でYes)、第一分岐コンベア21へ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量を減らす制御を実行する(S11)。
【0068】
具体的には、制御部15は、上述のようにフィーディングコンベア18を制御し、第一分岐コンベア21へ送り出すべき荷物の前後の荷物間隔を、第一分岐装置11が自動モードである場合よりも長くする。
【0069】
なお、制御部15は、フィーディングコンベア18の搬送速度を変更することで荷物間隔を変更し、これにより、仕分け数量の制御を行うのではなく、他の手法で仕分け数量の制御を行ってもよい。
【0070】
例えば、制御部15は、メインコンベア20の搬送速度を変更することで、仕分け数量の制御を行ってもよい。
【0071】
例えば、第一分岐コンベア21に送り出すべき荷物が、メインコンベア20に投入され、第一分岐コンベア21から所定の距離まで近づくと、第一分岐装置11の上流に設けられたセンサにより当該荷物が検知される。
【0072】
制御部15は、この検知信号を受信すると、メインコンベア20の搬送速度を例えば通常の半分程度に減速させる。また、制御部15は、例えば、当該荷物が第一分岐コンベア21に送り出されたことを別のセンサ等で検知すると、メインコンベア20の搬送速度を通常の速度に戻す。また、第一分岐装置11に送り出すべき荷物が連続する場合は、通常の半分程度に維持された搬送速度は維持される。
【0073】
制御部15は、第一分岐装置11が手動モードである期間、以上のメインコンベア20の搬送速度に対する制御を、第一分岐装置11に送り出すべき荷物ごとに実行する。
【0074】
これにより、作業者は、無理なく当該荷物を第一分岐コンベア21に送り出すことができる。また、仕分けシステム10全体の仕分け作業の効率の低下は最小限に抑えられる。
【0075】
また、制御部15は、第一分岐装置11または第二分岐装置12が分岐動作を停止した場合、分岐動作を突然再開しないように制御してもよい。つまり、制御部15は、一旦手動モードとなった第一分岐装置11または第二分岐装置12を、一連の仕分け作業が終了するまで、手動モードのままに維持するように第一分岐装置11または第二分岐装置12を制御してもよい。
【0076】
また、例えば作業者の意図により、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれを、自動モードおよび手動モードの一方から他方へと切り替えられてもよい。
【0077】
つまり、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれは、人間の意図に従って分岐動作を行わない状態となる場合もあれば、人間の意図に基づかない不具合等によって分岐動作を行わない状態となる場合もある。
【0078】
第一分岐装置11および第二分岐装置12のモード切替については、図5を用いて後述する。
【0079】
なお、制御部15は、第二分岐装置12が手動モードであると判断した場合も(S10でYes)、同様に、第二分岐コンベア22へ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量を減らす制御を実行する(S11)。
【0080】
また、制御部15は、第一分岐装置11または第二分岐装置12が手動モードになった後に、第一分岐装置11または第二分岐装置12から、例えば分岐動作を行う状態であることを示す信号を受信すると、いったん減らした仕分け数量を元に戻す制御を行う。
【0081】
図4は、本発明の実施の形態における荷物間隔の調整の一例を示す図である。
図4において、メインコンベア20上の各荷物のうち、[1]が付された荷物は、第一分岐コンベア21に送り出すべき荷物(以下、荷物[1]という。)である。また、[2]が付された荷物は、第二分岐コンベア22に送り出すべき荷物(以下、荷物[2]という。)である。
【0082】
例えば、第一分岐装置11が手動モードである場合、制御部15は、荷物[1]の前後の荷物間隔であるL1およびL2を、第一分岐装置11が自動モードである場合よりも長くする。
【0083】
例えば、第一分岐装置11が自動モードである場合、L1およびL2は300mmであり、第一分岐装置11が手動モードである場合、L1およびL2は900mmである。
【0084】
このようなL1およびL2の変更は、例えば以下の処理により実現される。
制御部15は、ID認識部16から受信した識別情報が、荷物[1]であることを示す場合、その荷物[1]がフィーディングコンベア18に投入されると、フィーディングコンベア18の搬送速度を所定の搬送速度まで遅くする。これにより、その直前にフィーディングコンベア18からメインコンベア20に投入された荷物との間隔(L1)を所定の距離(例えば900mm)にすることができる。
【0085】
また、制御部15は、フィーディングコンベア18が当該所定の搬送速度で稼働している状態を維持する。これにより、当該荷物[1]と、その直後の荷物の間隔(L2)も所定の距離(例えば900mm)となる。
【0086】
その後、制御部15は、その次にID認識部16を通過する荷物が荷物[1]である場合は、フィーディングコンベア18が当該所定の搬送速度で稼働している状態を維持する。また、その次にID認識部16を通過する荷物が荷物[1]でない場合、フィーディングコンベア18の搬送速度を通常に戻す。
【0087】
このように、荷物[1]の前後の荷物間隔(L1およびL2)を長くすることで、第一分岐位置に到達する単位時間当たりの荷物[1]の個数は減少する。つまり、当該分岐位置における仕分け数量は減少する。
【0088】
これにより、第一分岐位置で仕分け作業を行う作業者は、第一分岐装置11の表示灯の点灯を確認しつつ、無理なく仕分け作業(荷物[1]を第一分岐コンベア21に送り出す作業)を行うことができる。
【0089】
つまり、第一分岐装置11が分岐動作を行わない状態であっても、このように、手作業で仕分けを可能としていることにより、仕分けシステム10全体の稼働を停止させない運用が可能となる。
【0090】
さらに、荷物間隔が通常よりも長くされるのは、荷物[1]の前後のみであり、第二分岐装置12が第二分岐コンベア22に送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数、つまり、第二分岐位置に対応する仕分け数量の減少は、最小限に抑えられる。
【0091】
なお、図4を用いて、第一分岐装置11が分岐動作を行わない状態となった場合、つまり、第一分岐装置11が手動モードである場合について説明したが、第二分岐装置12が手動モードである場合も同様の制御が実行される。
【0092】
すなわち、荷物[2]の前後の荷物間隔が、自動モードである場合の荷物間隔よりも長くされる。その結果、第二分岐位置における仕分け数量は減少する。
【0093】
このように、本実施の形態の仕分けシステム10では、第一分岐装置11および第二分岐装置12の一方が分岐動作を行わない状態であり、他方が分岐動作を行う状態である場合、当該一方に対応する仕分け数量を、当該一方が分岐動作を行う状態である場合の仕分け数量よりも少なくする。
【0094】
これにより、自動で仕分け作業が行われない分岐位置における、手動による仕分け作業が現実的に可能となり、かつ、自動で仕分け作業が行われる分岐位置における仕分け効率の低下は抑制される。
【0095】
すなわち、仕分けシステム10の一部を構成する分岐装置が、何らかの要因により分岐動作を行わない状態になった場合であっても、仕分けシステム10全体としては仕分け作業の継続が可能であり、仕分け作業の効率の低下は抑制される。
【0096】
なお、以上の説明においては、第一分岐装置11または第二分岐装置12が、不具合の発生により分岐動作を行わない状態になった場合の仕分け数量の制御について説明を行った。
【0097】
しかしながら、仕分けシステム10は、第一分岐装置11または第二分岐装置12が、作業者による明示の指示により分岐動作を行わない状態になった場合も、同様に仕分け数量の制御を行うことができる。
【0098】
図5は、作業者が自動モードおよび手動モードを切り替えるためのモード切替部の一例を示す図である。
【0099】
具体的には、図5は、第一分岐装置11に備えられたモード切替部19の正面図を示している。
【0100】
モード切替部19は、図5に示すように、自動モードと手動モードとを切り替えるスイッチを備えている。
【0101】
作業者によるモード切替部19の操作により、自動モードから手動モードに切り替えられた場合、第一分岐装置11は、荷物を第一分岐コンベア21へ送り出す動作は行わず、荷物の上流から下流への搬送のみを行う。
【0102】
また、この場合、第一分岐装置11が手動モードであることを示す信号が、第一分岐装置11から制御部15に送信される。制御部15はこの信号を受け取ることで、第一分岐装置11が手動モードであると判断する(図3のS10でYes)。
【0103】
制御部15はさらに、第一分岐装置11に対応する仕分け数量を少なくする制御を行う(図3のS11)。
【0104】
これにより、作業者は、第一分岐装置11の表示灯の点灯を確認しつつ、無理なく仕分け作業を行うことができる。
【0105】
その後、作業者によるモード切替部19の操作により、手動モードから自動モードに切り替えられた場合、第一分岐装置11は、第一分岐コンベア21へ送り出すべき荷物が到着すると、当該荷物を第一分岐コンベア21へ送り出す動作を実行する。
【0106】
その後、自動モードであることを示す信号が第一分岐装置11から制御部15に送信されると、制御部15は、第一分岐装置11に対応する仕分け数量を元に戻す制御を行う。
【0107】
このように、自動モードおよび手動モードの一方から他方への切り替えが自在である場合、例えば、第一分岐装置11が不具合等の要因により分岐動作を停止する可能性がある場合、予め手動モードにしておくことができる。これにより、一連の仕分け作業全体の計画を予め策定しておくことができ、仕分け作業の効率の向上を図ることができる。
【0108】
また、例えば、仕分け対象の複数の荷物に、損傷し易い等の理由により手動で仕分けるべき荷物が含まれる場合、第一分岐装置11を手動モードにしておくことで、手動により仕分けるべき荷物を安全に仕分けることができ、かつ、第二分岐装置12で、それ以外の荷物を効率よく自動仕分けすることができる。
【0109】
また、第一分岐装置11が自動モードで動作中に、不具合により分岐動作を行わない状態となった場合、モード切替部19のスイッチを手動モードに切り替えることで、例えば、第一分岐装置11が突然、分岐動作を再開することが防止される。これにより、例えば、手動による仕分け作業を安全に行うことができる。
【0110】
また、図5では、第一分岐装置11がモード切替部19を有していることが示されている。しかし、第二分岐装置12が同様にモード切替部19を有し、自動モードおよび手動モードの切り替えが可能であってもよい。
【0111】
また、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれの自動モードおよび手動モードの切り替えは、個別のモード切替部19からの操作によって行われなくてもよい。
【0112】
例えば、制御部15が、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれを制御することで、それぞれを自動モードおよび手動モードの一方から他方へ切り替えてもよい。
【0113】
いずれの場合であっても、制御部15は、第一分岐装置11および第二分岐装置12のそれぞれが手動モードであるか否かに応じて、それぞれに対応する仕分け数量を制御することができる。
【0114】
また、本実施の形態では、第一分岐位置において、自動仕分用コンベア21aと、手動仕分用コンベア21bとが設けられている。しかしながら、これらコンベアは1つのコンベアにより実現されてもよい。
【0115】
つまり、自動仕分けされる荷物を第一分岐コンベア21に到達させるコンベアと、手動仕分けされる荷物を第一分岐コンベア21に到達させるコンベアとが兼用されてもよい。
【0116】
このことは、自動仕分用コンベア22aと、手動仕分用コンベア22bとについても同様であり、これらの機能を1つのコンベアにより実現してもよい。
【0117】
こうすることで、例えば、仕分けシステム10のメンテナンスが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明の仕分けシステムは、様々な種類の荷物を仕分けるシステムであって、システムの一部の装置が仕分け作業(分岐動作)を行わない状態であっても、効率のよい仕分け作業が実行可能である。そのため、多種多様な荷物を仕分けることが要求される物流の現場における仕分けシステム等として有用である。
【符号の説明】
【0119】
10 仕分けシステム
11 第一分岐装置
12 第二分岐装置
15 制御部
16 ID認識部
18 フィーディングコンベア
19 モード切替部
20 メインコンベア
21 第一分岐コンベア
21a、22a 自動仕分用コンベア
21b、22b 手動仕分用コンベア
22 第二分岐コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷物の仕分けを行う仕分けシステムであって、
前記仕分けシステムの動作を制御する制御部と、
前記複数の荷物を搬送するメインコンベアと、
前記メインコンベアから分岐した第一分岐コンベアおよび第二分岐コンベアと、
前記複数の荷物のうちの所定の荷物を前記第一分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行うことのできる第一分岐装置と、
前記複数の荷物のうちの所定の荷物を前記第二分岐コンベアへ送り出す分岐動作を行うことのできる第二分岐装置と、
前記第一分岐装置が前記分岐動作を行う自動モードと、前記第一分岐装置が前記分岐動作を行わない非自動モードとを切り替える第一切替部と、
前記第二分岐装置が前記分岐動作を行う自動モードと、前記第二分岐装置が前記分岐動作を行わない非自動モードとを切り替える第二切替部とを備え、
前記制御部は、前記第一切替部および前記第二切替部の一方が非自動モードに切り替えられることで、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置の一方が非自動モードとなった場合、当該一方に対応する前記第一分岐コンベアまたは前記第二分岐コンベアへ送り出すべき単位時間あたりの荷物の個数である仕分け数量を、当該一方が自動モードである場合よりも少なくする
仕分けシステム。
【請求項2】
さらに、前記メインコンベアへ連続して送り出される2つの荷物の間の距離である荷物間隔を調整する間隔調整部を備え、
前記制御部は、前記間隔調整部に、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置のうちの当該一方が非自動モードである場合の荷物間隔を、当該一方が自動モードである場合よりも長くさせることで、前記仕分け数量を少なくする
請求項1記載の仕分けシステム。
【請求項3】
前記制御部は、前記第一分岐装置および前記第二分岐装置のうちの当該一方が非自動モードである場合の前記メインコンベアによる荷物の搬送速度を、当該一方が自動モードである場合よりも遅くすることで、前記仕分け数量を少なくする
請求項1記載の仕分けシステム。
【請求項4】
さらに、
前記メインコンベアと前記第一分岐コンベアとの間に設けられ、前記第一分岐装置から送り出される荷物を前記第一分岐コンベアまで到達させる自動仕分用コンベアと、
前記メインコンベアと前記第一分岐コンベアとの間に設けられた手動仕分用コンベアであって、前記メインコンベア上の荷物が前記手動仕分用コンベア上に移動された場合、前記荷物を前記第一分岐コンベアまで到達させる手動仕分用コンベアと
を備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の仕分けシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−26050(P2011−26050A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172195(P2009−172195)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】