説明

代理応答促進機能を有する電話制御装置

【課題】所定の内線電話機に代理応答を促し、発信元に対してなるべく適切な者に代理応答させる電話制御装置を提供する。
【解決手段】前記外線または内線と対応付けて代理応答する条件を登録する代理応答条件登録部151と、代理応答を促す着信鳴動もしくは着信表示をさせる代理応答促進処理部150と、を有し、着信があって着信先内線電話機4aが応答しない場合に、代理応答促進処理部150は代理応答条件登録部151を参照して、所定の内線電話機4bに対して代理応答を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタン電話システムの主装置や構内交換装置等の電話制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話システムの主装置や構内交換装置(以下、電話制御装置)における着信処理形態として、代理応答(コールピックアップ)機能がある。この機能は、不在者の内線電話機への着信があった際、呼出中に他の内線電話機から所定の特番ダイヤル操作を行うと、電話制御装置が前記着信をその特番ダイヤル操作を行った内線電話機に繋ぐことで、不在者に代わって、その着信に応答して通話を行うことが可能となる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2010−34975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の代理応答機能は、電話制御装置が前記着信をその特番ダイヤル操作を行った内線電話機に繋ぐだけの単純な機能であり、発信側とっては誰が代理応答してくるか分からないし、代理応答する側にしても当該着信に代理応答してよいか逡巡するという問題がある。また、不適切な者が代理応答した場合、発信者側にとって時間の無駄になる可能性があった。最悪の場合、非礼な者が不用意に代理応答して、発信元に対して失礼な対応をする恐れもあった。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、予め登録されている所定の内線電話機に代理応答を促し、発信元に対してなるべく適切な者に代理応答させる電話制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するために、第1の発明は、外線および複数の内線を収容する電話制御装置であって、前記外線または内線と対応付けて代理応答に係わる条件を登録する代理応答条件登録手段と、前記内線に接続された内線電話機に対して代理応答を促す着信鳴動もしくは着信表示をさせる代理応答促進手段と、を有し、前記代理応答促進手段は、前記内線のいずれかへの着信があった場合に、前記代理応答条件登録手段を参照し、予め登録されている代理応答条件に合致する内線に接続された内線電話機に対して、代理応答を促す着信鳴動もしくは着信表示をさせることを特徴とする。
【0007】
第2の発明は、前記第1の発明の電話制御装置であって、前記代理応答条件登録手段に登録される代理応答条件は前記代理応答促進手段の自動起動に係わる自動起動条件を含み、前記自動起動条件は、代理応答される被代理応答側の内線が自動起動を禁止していない場合で、かつ前記着信に対して着信先の内線を呼出している状態で所定の時間が経過しても当該内線からの応答を検知しない場合または当該内線電話機が留守モードに設定されていた場合または当該内線電話機の利用者が不在であることを検知した場合のいずれかであって、前記自動起動条件を満足したならば、自電話制御装置は前記代理応答促進手段を自動的に起動することを特徴とする。
【0008】
第3の発明は、前記第1または第2の発明の電話制御装置であって、前記着信の発信元に対して代理応答を要求するか否かを問う音声メッセージを送出する音声メッセージ送出手段をさらに有し、前記自動代理応答促進手段は、前記発信元から代理応答を要求する特定コマンドを受信した場合に、所定の内線に対して代理応答を促すことを特徴とする代理応答促進機能を有する電話制御装置。
【0009】
第4の発明は、前記第1からは第3のいずれかに発明の電話制御装置であって、前記代理応答促進手段が代理応答を促している内線以外の内線による代理応答を禁止する代理応答禁止手段をさらに有することを特徴とする代理応答促進機能を有する電話制御装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、発信元に対してなるべく適切な者に代理応答させる電話制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による電話制御装置の内部ブロック構成図
【図2】代理応答条件登録部へ登録する内容の一例
【図3】代理応答促進機能に係わる動作フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。
【0013】
図1は、本発明による電話制御装置(以下、本装置と略すこともある)1の内部ブロック構成図であって、外線対応部101、交換処理部102、内線対応部103、着信検知部104、発信検知部105、呼制御部110、着信応答検知部120、代理応答検知部130、不在検知部140、プレゼンス管理部141、代理応答促進処理部150、代理応答条件登録部151、メッセージ送出部152から構成される。
【0014】
電話網2を経由した発信元電話機3から内線電話機4aへの着信を、外線対応部101を介して着信検知部104が検知すると、呼制御部110は交換処理部102,内線対応部103を介してその着信の到来を着信先である内線電話機4aへ通知して着信鳴動および着信表示させ、内線電話機4aの利用者を呼出す。また、発信検知部105が内線対応部103を介して内線電話機4からの発信を検知すると、呼制御部110は当該発信の着信先である外線または内線への発信処理を実行する。そして、着信側が応答すると、呼制御部110は交換処理部102を制御して発信側と着信先の回線(外線または内線)を接続する。このような一般的な発着信に係わる処理は、通常のボタン電話や構内交換装置(PBX)が実行する交換処理と同じである。
【0015】
着信応答検知部120は、着信先の内線電話機4aからの着信応答を検知する手段であって、着信鳴動および着信表示による呼出しに対する利用者からの応答(オフフック)を検知する。着信先の内線電話機4aが着信に自動応答して相手音声を録音する等の留守モードに設定されていた場合、着信応答検知部120は、留守モードに応じて内線電話機4aが着信に自動応答したことを検知する。
【0016】
代理応答検知部130は、着信先内線電話機4a以外の内線電話機(例えば内線電話機4b)からの代理応答を検知する手段であって、代理応答する内線電話機の利用者は、着信先内線電話機4aが呼出状態(着信鳴動,着信表示)の最中に、特定操作をする(例えば、当該着信中を表示している外線ボタンを押下する)。
【0017】
不在検知部140は着信先の内線電話機の利用者が不在であるか否かを検知する手段であって、例えば、一定時間以上の呼出しに利用者からの応答(オフフック)が無い場合に不在と判定する。また、利用者の外出予定等がプレゼンス管理部141に登録されている場合は、プレゼンス管理部141の登録内容を参照して在または不在を判定する。なお、この利用者が不在であるか否かを検知する手段は、利用者が身に付けている無線タグを読み取る無線タグリーダにより利用者の在または不在を直接的に検知するようにしてもよい(図示せず)。
【0018】
代理応答促進処理部150は、特定の内線電話機(例えば内線電話機4b)に代理応答を促す手段であって、代理応答を促すべき内線番号は、着信先の内線番号および外線着信の発信元電話番号と対応付けられて代理応答条件登録部151に登録されている。
【0019】
メッセージ送出部152は、予め登録されている音声メッセージを所定の宛先へ送出する手段である。本発明において、発信元に対しては、着信先が不在の場合に、例えば。「お掛けになった者はただ今不在ですが、別の者に応答させましょうか?」のような音声メッセージを発信元へ送出する。
【0020】
図2は、代理応答条件登録部151に登録されている内容の一例であって、列200は代理応答促進機能が起動中か否かの状態識別情報が記憶されている。そして、列201には着信先内線の電話番号、列202には外線着信の発信元の電話番号、列203には代理応答を促進する内線の電話番号、列204には他内線電話機による代理応答の可否、列204にはこの代理応答促進機能の自動起動の可否が予め登録されている。
【0021】
各内線電話機4の利用者は、予め、代理応答を依頼する内線の利用者と調整の上、各内線電話機4を特定操作して(例えば、“#”+“特定コード”)、列201〜列205に記憶させるデータを登録しておく。例えば、内線a(A課長)の場合、発信元が重要顧客Xからの着信に対しては内線b(B係長)が代理応答促進内線として登録されており、その起動条件は、自動起動禁止(列205)で、代理応答を許可する内線も内線bに限定でそれ以外の他内線による代理応答は禁止である(列203,列204)。
【0022】
そして、外出時や離席時に、その都度、代理応答促進機能の起動を要求する特定操作が為された場合(例えば、“#”+“起動コード”)、または、不在検知した場合等の予め登録されている自動起動条件が満足した場合に、この代理応答促進機能は起動する。なお、この代理応答促進機能の起動や列201〜列205の登録内容の変更は、当該内線電話機4の利用者が、予め設定している暗証番号を用いて、出先の携帯電話機や公衆電話から本装置1にアクセスし、遠隔で操作できるようにしてもよい。
【0023】
図3は、本装置1の代理応答促進機能に係わる動作フローチャートである。以下、図1,図2を併用して、本装置1の動作フローを説明する。
【0024】
本装置1は電源が投入された状態でスタートし(S300)、内線電話機4から代理応答条件に係わるデータを受信したか否か(S301)、内線電話機4から代理応答促進機能の起動または停止を要求する信号を受信したか否か、起動した代理応答促進機能の停止を要求する信号を受信したか否か(S303)、いずれかの内線に着信した否か(S310)の判定を繰り返す。
【0025】
内線電話機4から代理応答条件に係わるデータを受信した場合(S301,YES)、代理応答促進処理部150は、受信した代理応答条件データを代理応答条件登録部151に新規データとして登録する、または登録済データを修正/削除し(S302)、S301に戻る。
【0026】
内線電話機4のいずれかから代理応答促進機能の起動または停止を要求する信号を受信した場合(S303,YES)、代理応答促進処理部150は、当該内線への着信に対する代理応答促進機能を起動または停止し(S304)、S301に戻る。
【0027】
そして、いずれかの内線に着信した場合(S310,YES)、当該内線に接続された内線電話機を着信鳴動/表示させると共に、タイマー(T1〜T4)をスタートする(S311)。なお、いずれの内線にも着信していない場合(S310,NO)、S301に戻る。
【0028】
着信先内線から応答が有った場合(S312,YES)、通常の通話処理を実行し(S313)、S301に戻る。なお、着信先内線から応答が有った場合とは、着信先内線に接続された着信鳴動/表示中の内線電話機がオフフックされた場合、または留守録音等の留守モードが起動した場合である。
【0029】
着信先内線から応答が無いままタイムアウト(T1)した場合(S312,NO)、着信先内線が代理応答促進対象の内線か否かを判定する(S320)。なお、着信先内線が代理応答促進対象の内線か否かは、代理応答条件登録部151を参照する。図2の場合、着信先内線(列201)の起動状態(列200)が起動中か否かを判定し、例えば、着信先内線が内線aの場合、代理応答促進対象である。
【0030】
着信先内線が代理応答促進対象の内線であった場合(S320,YES)、S330へ進む。着信先内線が代理応答促進対象の内線でなかった場合(S320,NO)、着信鳴動/表示を継続したまま代理応答促進機能を起動するか否か判定し(S322)、NOなら、S301に戻る。なお、代理応答促進機能を起動するか否かの判定は、代理応答条件登録部151に登録された自動起動条件を参照する。図2の場合、自動起動可否(列205)が禁止の行(行211,行213)以外の行が自動起動の対象である。代理応答促進機能を起動すると判定した場合(S322,YES)、代理応答促進機能を自動的に起動して(S323)、S330へ進む。
【0031】
S330では、前記着信の発信元へ代理応答の可否を確認すべきか否かを、代理応答条件登録部151を参照して判定し、NOならS332へ進む。図2の場合、他内線による代理応答可否(列204)に発信元に確認しOKならば可と登録された行(行214)が、発信元へ代理応答の可否を確認すべき対象である。発信元へ代理応答の可否を確認すべきと判定された場合(S330,YES)、呼制御部110はメッセージ送出部152を制御して、発信元へ確認用音声メッセージ(例えば、“お掛けになった相手は不在または電話に出られない状況と思われます。他の内線に代理応答させましょうか?代理応答させる場合は、#1を押してください。”)を送出する(S331)。そして、T2タイムアウト(例えば、10秒程度)以内に発信元から起動要求コマンド(例えば、“#1”)を受信した場合、S332へ進む。起動要求コマンドを受信しない場合はS352へ進む。
【0032】
S332において、代理応答促進処理部150は、前記代理応答を促す内線電話機に対して、通常とは異なるパターンの着信音もしくは着信メロディを鳴動させる、または当該着信の発信元あるいは着信先に係わる情報と共に代理応答を促す文字情報(例えば、“××様から○○宛ての電話が着信中ですので、どなたか代理応答して下さい”)を、前記内線電話機が備える表示部に表示させて代理応答を促す。
【0033】
代理応答促進対象の内線電話機から応答(オフフック)があった場合(S340,YES)、呼制御部110は代理応答した内線と発信元を接続して通話させる通話処理を行い(S351)、通話が終了したらS301に戻る。代理応答促進対象の内線電話機から応答が無いままタイムアウト(T3)した場合(S340,NO)は、S341へ進む。
【0034】
S341において、代理応答促進処理部150は、代理応答条件登録部151を参照して、他内線による代理応答の可否を判定し、他の内線電話機による代理応答禁止が登録されていれば(S341,YES)、S352へ進む。図2の場合、他内線による代理応答可否(列204)に禁止と登録された行(行211,行213)が対象である。
【0035】
他内線による代理応答が禁止でなかった場合(S341,NO)、S342に進む。図2の場合、他内線による代理応答可否(列204)に内線○○が不応答ならば可と登録された行(行212)が対象である。
【0036】
S342において、代理応答促進処理部150は、その着信に対する代理応答促進対象の内線電話機以外の他内線電話機に対しても、通常とは異なるパターンの着信音もしくは着信メロディを鳴動させる、または当該着信の発信元あるいは着信先に係わる情報と共に代理応答を促す文字情報(例えば、“××様から○○宛ての電話が着信中ですが、代理応答者も不在ですので、どなたか代理応答して下さい”)を、前記内線電話機が備える表示部に表示させて代理応答を促す。そして、他内線電話機から応答(オフフック)があった場合(S350,YES)、呼制御部110は代理応答した内線と発信元を接続して通話させる通話処理を行い(S351)、通話が終了したらS301に戻る。
【0037】
他内線電話機から応答が無いままT4タイムアウト(例えば、10秒程度)した場合(S350,NO)、留守モード応答処理(例えば、“お掛けになった相手は不在または電話に出られない状況と思われます。ご用件がありましたら、ご用件を30秒以内でお話し下さい”と音声ガイダンスを流して留守録音を行う)、または不在応答処理(例えば、“お掛けになった相手は不在または電話に出られない状況と思われますので、後ほどお掛け直し下さい”と音声ガイダンスを流した後切断する)を行い(S352)、処理が終了するとS301に戻る。
【0038】
なお、上記実施例の説明にあたって、電話制御装置における留守モード応答処理や不在応答処理に係るハードウエアや動作フローの図示、および動作説明は省略した。
【0039】
また、図2において、代理応答促進内線(列203)は、各行(行211〜行215)に対して、一つの内線を登録しているが、これは説明を簡単化するためであって、各行に対して代理応答促進内線を複数設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1・・・本発明による電話制御装置
2・・・電話網
3・・・発信元電話機
4・・・内線電話機
101・・・外線対応部
102・・・交換処理部
103・・・内線対応部
104・・・着信検知部
105・・・発信検知部
110・・・呼制御部
120・・・着信応答検知部
130・・・代理応答検知部
140・・・不在検知部
141・・・プレゼンス管理部
150・・・代理応答促進処理部
151・・・代理応答条件登録部
152・・・メッセージ送出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外線および複数の内線を収容する電話制御装置であって、
前記外線または内線と対応付けて代理応答に係わる条件を登録する代理応答条件登録手段と、前記内線に接続された内線電話機に対して代理応答を促す着信鳴動もしくは着信表示をさせる代理応答促進手段と、を有し、
前記代理応答促進手段は、前記内線のいずれかへの着信があった場合に、前記代理応答条件登録手段を参照し、予め登録されている代理応答条件に合致する内線に接続された内線電話機に対して、代理応答を促す着信鳴動もしくは着信表示をさせることを特徴とする代理応答促進機能を有する電話制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話制御装置であって、
前記代理応答条件登録手段に登録される代理応答条件は前記代理応答促進手段の自動起動に係わる自動起動条件を含み、
前記自動起動条件は、代理応答される被代理応答側の内線が自動起動を禁止していない場合で、かつ前記着信に対して着信先の内線を呼出している状態で所定の時間が経過しても当該内線からの応答を検知しない場合または当該内線電話機が留守モードに設定されていた場合または当該内線電話機の利用者が不在であることを検知した場合のいずれかであって、
前記自動起動条件を満足したならば、自電話制御装置は前記代理応答促進手段を自動的に起動することを特徴とする代理応答促進機能を有する電話制御装置。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載の電話制御装置であって、
前記着信の発信元に対して代理応答を要求するか否かを問う音声メッセージを送出する音声メッセージ送出手段をさらに有し、
前記自動代理応答促進手段は、前記発信元から代理応答を要求する特定コマンドを受信した場合に、所定の内線に対して代理応答を促すことを特徴とする代理応答促進機能を有する電話制御装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の電話制御装置であって、
前記代理応答促進手段が代理応答を促している内線以外の内線による代理応答を禁止する代理応答禁止手段をさらに有することを特徴とする代理応答促進機能を有する電話制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−99922(P2012−99922A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244135(P2010−244135)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】