説明

代謝型グルタミン酸受容体オキサジアゾールリガンドおよびそれらの増強剤としての使用

本発明は式I
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4およびQは本明細書で定義された通りである)の化合物、その薬学的に許容しうる塩、前記化合物の製造法、前記化合物を含有する医薬組成物および前記化合物の使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はグルタミン酸受容体の増強剤として機能する新規化合物、それらの製造法、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの治療における使用に関する。
【0002】
代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)はグルタミン酸により活性化され、神経可塑性、神経発達および神経変性を含む中枢神経系のシナプス活動において重要な役割を担っているGTP結合タンパク質(G−タンパク質)が結合した受容体のファミリーを構成する。
【0003】
無傷の哺乳動物神経細胞におけるmGluRの活性化は1つまたはそれ以上の次の反応を引き起こす:ホスホリパーゼCの活性化;ホスホイノシチド(PI)加水分解の増加;細胞内カルシウムの放出;ホスホリパーゼDの活性化;アデニル酸シクラーゼの活性化または阻害;環状アデノシン一リン酸(cAMP)生成の増加または減少;グアニル酸シクラーゼの活性化;環状グアノシン一リン酸(cGMP)生成の増加;ホスホリパーゼA2の活性化;アラキドン酸放出の増加;並びに電位−およびリガンド−依存性イオンチャンネルの活性の増加または減少(非特許文献1〜4)。
【0004】
8種のmGluRサブタイプが確認されており、一次配列の類似性、シグナル伝達のリンケージおよび薬理学的特性に基づいて3つのグループに分けられる。グループ−IはmGluR1およびmGluR5を含み、ホスホリパーゼCおよび細胞内カルシウムシグナルの生成を活性化する。グループ−II(mGluR2およびmGluR3)およびグループGroup−III(mGluR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8)のmGluRはアデニル酸シクラーゼ活性およびサイクリックAMPレベルの阻害に関与する。詳細については、非特許文献5を参照。
【0005】
mGluRファミリーの受容体の活性は哺乳動物のCNSにおいて幾つかの正常過程に関与し、様々な神経疾患および精神疾患を治療するための重要な標的である。mGluRの活性化は海馬長期増強および小脳長期抑圧を誘発するのに必要である(非特許文献6〜9)。痛覚および鎮痛におけるmGluR活性化の役割もまた明らかにされている(非特許文献10、11)。さらに、mGluR活性化はシナプス伝達、神経発達、アポトーシス神経細胞死、シナプス可塑性、空間学習、嗅覚記憶、心臓活動の集中管理、覚醒、運動制御および前庭動眼反射の制御を含む様々な他の正常過程において調節的役割を担うことが示唆されている(非特許文献3、12、13)。
【0006】
mGluRの神経生理学的役割の解明における最近の進歩はこれらの受容体を急性および慢性の神経疾患および精神疾患や慢性および急性の疼痛性障害の治療における有望な薬剤標的として確立させている。mGluRは生理学的かつ病態生理学的に重要であるため、mGluR機能を調節することができる新規薬剤および化合物が必要とされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】SchoeppらのTrends Pharmacol. Sci., 14, 13(1993年)
【非特許文献2】SchoeppのNeurochem. Int., 24, 439(1994年)
【非特許文献3】PinらのNeuropharmacology, 34, 1(1995年)
【非特許文献4】BordiおよびUgoliniのProg. Neurobiol., 59, 55(1999年)
【非特許文献5】PinらのEur. J. Pharmacol., 375, 277〜294(1999年)
【非特許文献6】BashirらのNature, 363, 347(1993年)
【非特許文献7】BortolottoらのNature, 368, 740(1994年)
【非特許文献8】AibaらのCell, 79, 365(1994年)
【非特許文献9】AibaらのCell, 79, 377(1994年)
【非特許文献10】MellerらのNeuroreport, 4, 879(1993年)
【非特許文献11】BordiおよびUgoliniのBrain Res., 871, 223(1999年)
【非特許文献12】NakanishiのNeuron, 13, 1031(1994年)
【非特許文献13】KnopfelらのJ. Med. Chem., 38, 1417(1995年)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らはmGluR機能を調節することができる化合物類を確認した。一見地において、本発明は式I
【化1】

[式中、R1はハロまたはC1-3ハロアルコキシルであり;
R2は水素またはC1-3アルキルであり;
R3はClまたはCH3であり;
R4は水素またはC1-3アルキルであり;
Qは
【化2】

であり;
R5は水素またはC1-3アルキルであり;
nは1または2であり;そして
nが2である場合、R5部分は共に同じ炭素原子に結合することができる]
の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、水和物、溶媒和物、光学異性体または混合物を提供する。
【0009】
本発明はまた、式Iの化合物の製造法を提供する。
【0010】
本発明はさらに式Iの化合物を薬学的に許容しうる担体または賦形剤と一緒に含有する医薬組成物を提供する;他の見地において、本発明はそのような治療が必要な動物のグルタミン酸機能障害と関係がある神経疾患および精神疾患を治療または予防する方法を提供する。本法はそのような量を含有する治療的に有効な量の式Iの化合物または医薬組成物を動物に投与する段階を包含する。
【0011】
本発明はまた、本明細書で挙げた症状を治療するための薬剤の製造における式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物の使用を提供する。
【0012】
さらに、本発明は治療に使用される式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物を提供する。
【0013】
本明細書で開示される化合物は代謝型グルタミン酸受容体の調節物質として活性を示し、特にmGluR2受容体の増強剤として活性を示す。本化合物は特にグルタミン酸機能障害と関係がある神経疾患および精神疾患を治療するための薬剤として治療において有用であると考えられる。
【0014】
定義
本明細書において、特に断りがなければ、本明細書で使用される命名は一般に「Nomenclature of Organic Chemistry、Section A、B、C、D、E、F and H」, Pergamon出版社, オックスフォード(1979年)に記載の例および規則に従い、それは化学構造式の名称および化学構造式を命名する際の規則に関して参照により本明細書に加入される。場合により、化合物名は化学命名プログラム:ACD/ChemSketch, バージョン5.09/2001年9月, Advanced Chemistry Development社(カナダ国トロント)を使用して名付けることができる。
【0015】
本明細書で使用される「C1-3アルキル」なる用語は1〜3個の炭素原子を有する直鎖状、分枝鎖状または環状の炭化水素基を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルおよびシクロプロピルを包含する。
【0016】
本明細書で使用される「C1-3ハロアルコキシル」なる用語は1〜3個の炭素原子および少なくとも1個のハロ置換基を有する直鎖状または分枝鎖状のアルコキシ基を意味し、フルオロメトキシル、トリフルオロメトキシル、フルオロエトキシル、トリフルオロプロピルオキシル、フルオロイソプロピルオキシなどを包含する。
【0017】
本明細書で使用される「ハロ」なる用語はハロゲンを意味し、放射性および非放射性形態のフルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードを包含する。
【0018】
本明細書で使用される記号Δは加熱または熱の印加を意味する。
【0019】
「薬学的に許容しうる塩」なる用語は患者への投与が可能である酸付加塩または塩基付加塩を意味する。
【0020】
「薬学的に許容しうる酸付加塩」は式Iにより示される化合物の非毒性の有機または無機酸付加塩である。適当な塩を生成する典型的な無機酸には塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸があり、さらにオルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウムのような酸金属塩がある。適当な塩を生成する典型的な有機酸にはモノ−、ジ−およびトリカルボン酸がある。そのような酸の典型例は例えば酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、p−トルエンスルホン酸および他のスルホン酸、例えばメタンスルホン酸および2−ヒドロキシエタンスルホン酸である。化学的に許容される場合、モノ−またはジ−酸塩を生成することができ、そのような塩は水和物、溶媒和物または実質的に無水の形態で存在することができる。一般に、これらの化合物の酸付加塩はそれらの遊離塩基形態と比較して水および種々の親水性有機溶媒により可溶性であり、一般により高い沸点を示す。他の薬学的に許容されない塩、例えばシュウ酸塩を例えば実験で使用するために、またはその後薬学的に許容しうる酸付加塩に変換するために式Iの化合物の単離において使用することができる。
【0021】
「溶媒和物」は適当な溶媒の分子が結晶格子に組込まれる式Iの化合物または式Iの化合物の薬学的に許容しうる塩を意味する。適当な溶媒は溶媒和物として投与される投与量で生理学的に許容される。適当な溶媒の例はエタノール、水などである。水が溶媒である場合、その分子は水和物と呼ばれる。
【0022】
「立体異性体」なる用語はそれらの原子の空間配置だけが異なる個々の分子のすべての異性体に関する一般用語である。それは鏡像異性体(エナンチオマー)、幾何(シス/トランス)異性体および互いに鏡像ではない1個またはそれ以上のキラル中心を有する化合物の異性体(ジアステレオマー)を包含する。
【0023】
「治療する」または「治療」なる用語は症状を軽減すること、症状の原因を一時的または永続的に取り除くこと、あるいは指定された疾患または障害の症状の出現を予防すること、またはそれを遅らせることを意味する。
【0024】
「治療的に有効な量」なる用語は指定された疾患または障害を治療するのに有効な化合物の量を意味する。
【0025】
「薬学的に許容しうる担体」なる用語は非毒性の溶剤、分散剤、賦形剤、補助剤、または医薬組成物、すなわち患者に投与することができる投与形態の製造を可能にするために活性成分と混合される他の物質を意味する。そのような担体の一例は典型的に非経口投与で使用される薬学的に許容しうる油である。
【0026】
化合物
開示される化合物は一般に式I
【化3】

[式中、R1はハロまたはC1-3ハロアルコキシルであり;
R2は水素またはC1-3アルキルであり;
R3はClまたはCH3であり;
R4は水素またはC1-3アルキルであり;
Qは
【化4】

であり;
R5は水素またはC1-3アルキルであり;
nは1または2であり;そして
nが2である場合、R5部分は共に同じ炭素原子に結合することができる]
の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、水和物、溶媒和物、光学異性体または混合物を示す。
【0027】
特定の態様において、R1はクロロまたはトリフルオロメトキシルである。
【0028】
他の態様において、R1はクロロである。
【0029】
さらに他の態様において、Qは
【化5】

である。
【0030】
さらに他の態様において、Qは
【化6】

であり、ここでR5はそれぞれHである。
【0031】
別の態様において、R1はクロロまたはトリフルオロメトキシルであり、Qは
【化7】

である。
【0032】
さらに別の態様において、R1はクロロであり、Qは
【化8】

である。
【0033】
さらに別の態様において、R1はクロロまたはトリフルオロメトキシルであり、Qは
【化9】

であり、ここでR5はそれぞれHである。
【0034】
他の態様において、Qは
【化10】

であり、R5は水素またはC1-3アルキルである。
【0035】
言及された各態様の薬学的に許容しうる塩、水和物、溶媒和物、光学異性体または混合物は本発明の範囲内であると考えられる。
【0036】
本発明の化合物が1個またはそれ以上のキラル中心を含有する場合、本発明の化合物はエナンチオマーまたはジアステレオマー形態、あるいはラセミ混合物として存在し、単離することができることは当業者により理解されよう。本発明は式Iの化合物の可能なエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体またはその混合物を包含する。本発明の化合物の光学的に活性な形態は例えばラセミ体のキラルなクロマトグラフィー分離により、光学的に活性な出発物質からの合成により、または下記の手順に基づく不斉合成により製造することができる。
【0037】
また、本発明の特定の化合物は非溶媒和物としてだけでなく溶媒和物、例えば水和物としても存在することができることは当業者により理解されよう。さらに、本発明はそのような式Iの化合物の溶媒和物をすべて包含することは理解されよう。
【0038】
式Iの化合物の塩もまた本発明の範囲内である。一般に、本発明の化合物の薬学的に許容しうる塩は当該技術分野でよく知られている標準法を使用して得られる。
【0039】
本発明の一態様において、式Iの化合物はその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩またはp−トルエンスルホン酸塩のような酸付加塩に変換することができる。
【0040】
製造法
式Iの化合物は本明細書で例示されたような様々な合成法により製造することができる。したがって、特定の構造特性および/または置換基の選択は、他の方法に優先して一つの方法を選ぶ際に影響を与える。
【0041】
これらの一般的なガイドラインに従って、本明細書に記載の方法を使用して一部の典型的な本発明の化合物を製造することができる。特に断りがなければ、記載したスキームおよび工程の変数は上記式Iと同じ定義を有する。
【0042】
したがって、当業者ならば本明細書で開示される1種またはそれ以上の方法に適合する変化および追加は他の式Iの化合物の合成を可能にすることは理解されよう。
【0043】
さらに本発明の幾つかの態様を記載する次の実施例により本発明を詳しく説明する。実施例1、5および12の合成スキームおよび合成手順は実例として示され、本発明を制限するものと解釈してはならない。他の例示化合物が記載した方法と同様にして容易に製造することができることは当業者に明らかであろう。
【0044】
合成スキーム:
【化11】

【0045】
典型的な手順で使用される試薬:(a) 8−ヒドロキシキノロン、NH2OH・HCl、Na2CO3、EtOH、H2O、Δ;(b) 塩化クロロアセチル、K2CO3、MeCN、次にDMF、Δ;(c) QH、K2CO3、MeCN、Δ。
【0046】
(a) 典型的な手順において、7−置換−1−オキソ−2−(置換−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボニトリル(3.33ミリモル)をEtOH(8mL)中で懸濁した。8−ヒドロキシキノリン(8.32ミリモル)を加え、その後水(4mL)中におけるNH2OH・HCl(7ミリモル)の溶液を滴加し、次に水(4mL)中におけるNa2CO3(5.33ミリモル)の溶液を加えた。混合物を2時間加熱還流し、次に冷却し、濃縮した。シリカ上のカラムクロマトグラフィー(MeOH/40%EtOAc/ヘキサン中の4% 2M NH3〜MeOH/80%EtOAc/ヘキサン中の4% 2M NH3)により7−置換−N−ヒドロキシ−1−オキソ−2−(置換−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−カルボキサミジン(1.26g)を得た。
(b) カルボキサミジン(3.15ミリモル)をMeCNに溶解した。K2CO3(6.30ミリモル)を加え、次に塩化クロロアセチル(3.78ミリモル)を滴加した。この混合物を一晩攪拌し、次に水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮した。得られた油状物をDMF(10mL)に溶解し、120℃まで90分間加熱した。反応混合物を冷却し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮した。
(c) MeCN中における2−(置換−ベンジル)−5−(3−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−7−置換−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(100ミリモル)の溶液にK2CO3(200〜300ミリモル)および適当なアミン(QH、150〜200ミリモル)を加えた。混合物を加熱して所望のイソインドロンを得、それをシリカ上のカラムクロマトグラフィー(20〜50%のEtOAc/ヘキサン)により精製し、その後ヘキサンで摩砕した。
【実施例】
【0047】
〔実施例1〕7−クロロ−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【化12】

MeCN(2mL)中における7−クロロ−5−(5−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(60mg、0.131ミリモル)の溶液にN−Boc−ピペラジン(49mg、0.262ミリモル)およびK2CO3(54mg、0.393ミリモル)を加えた。3日後、反応混合物を濃縮した。シリカ上のカラムクロマトグラフィー(EtOAc〜MeOH/EtOAc中の10% 2M NH3)により処理してBoc−保護中間体(70mg)をオフホワイト色の固体として得た。
Boc−保護中間体を1:1のTFA/CH2Cl2(2mL)中で1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、NaHCO3でpHを約9〜10まで塩基性にした。生成物をCH2Cl2で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮した。MeOH/CH2Cl2中の5% 2M NH3で溶離しながらシリカ固体−相抽出管で精製して7−クロロ−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(40mg)を黄色のゴム状物として得た。1H NMR (300MHz、CDCl3)δ8.18 (s, 1H), 8.02 (s, 1H), 7.38 (d, 2H), 7.20 (d, 2H), 4.80 (s, 2H), 4.32 (s, 2H), 3.92 (s, 2H), 2.95 (dd, 4H), 2.63 (dd, 4H)。
【0048】
〔実施例5〕5−[5−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン
【化13】

MeCN(4mL)中における5−(5−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(100mg、0.228ミリモル)の溶液にK2CO3(95mg、0.684ミリモル)および(1s,4s)−2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−カルボン酸t−ブチルエステル(90mg、0.451ミリモル)を加えた。48時間後、混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮して黄色の油状物を得た。この残留物を1:1のTFA/CH2Cl2(6mL)に30分間溶解し、次に反応混合物を濃縮し、NaHCO3でpHを約9〜10まで塩基性にした。生成物をCH2Cl2で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカ上のカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2中の2〜8% 2M NH3)により精製して5−[5−(2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オンを薄黄色の固体(83mg)として得た。1H NMR (300MHz, CDCl3)δ7.95 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.34 (d, 2H), 7.18 (d, 2H), 4.77 (s, 2H), 4.28 (s, 2H), 4.05 (dd, 2H), 3.57 (d, 2H), 3.20 (d, 1H), 3.13 (dd, 1H), 2.88 (dd, 1H), 2.79 (s, 3H), 2.61 (d, 1H), 1.86 (d, 1H), 1.64 (d, 1H)。
【0049】
〔実施例12〕2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
【化14】

MeCN(4mL)中における2−(4−クロロベンジル)−5−(5−クロロメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−7−メチル−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(37mg、0.0952ミリモル)の溶液にK2CO3(39mg、0.286ミリモル)および(3R)−3−メチルピペラジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(38mg、0.190ミリモル)を加えた。混合物を70℃で一晩加熱し、次に水で希釈し、EtOAcで抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮して黄色の油状物を得た。この残留物を1:1のTFA/CH2Cl2に30分間溶解し、次に反応混合物を濃縮し、NaHCO3でpHを約9〜10まで塩基性にした。生成物をCH2Cl2で抽出した。有機相をブラインで洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、ろ過し、濃縮した。残留物をシリカ上のカラムクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2の1% 2M NH3)により精製して2−(4−クロロベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチルピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オンを黄色の油状物(17mg)として得た。1H NMR (300MHz, CDCl3)δ7.97 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.33 (d, 2H), 7.26 (d, 2H), 4.77 (s, 2H), 4.29 (s, 2H), 4.17 (d, 1H), 4.06 (d, 1H), 2.83−3.04 (m, 4H), 2.83 (s, 3H), 2.50−2.61 (m, 3H), 1.19 (d, 3H)。
【0050】
次の表に示される化合物は本発明の例示である:
【0051】
【表1】

【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
医薬組成物
本明細書で開示される化合物は一般に式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物を薬学的に許容しうる担体または賦形剤と一緒に含有する医薬組成物に製剤化することができる。薬学的に許容しうる担体は固体または液体である。固体形態の製剤には粉末、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤および坐剤があるが、それらに限定されない。
【0055】
固体担体は希釈剤、芳香剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁化剤、結合剤または錠剤崩壊剤としても作用する1種またはそれ以上の物質であってよい。固体担体は封入材料であってもよい。
【0056】
粉末では、担体は微細な固体であり、それは微細な化合物または活性成分と混合される。錠剤では、活性成分は必要な結合性を有する担体と適当な比率で混合され、所望の形お
よび大きさに圧縮される。
【0057】
坐剤組成物を製造する場合、脂肪酸グリセリドおよびカカオ脂の混合物のような低融点ワックスを最初に溶かし、その中に活性成分を例えば撹拌により分散させる。次に、溶融した均一な混合物を都合の良い大きさの型に注ぎ、冷却させ、固化する。
【0058】
適当な担体には炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、糖、ペクチン、デキストリン、スターチ、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂などがあるが、それらに限定されない。
【0059】
「組成物」なる用語はまた、活性成分が(場合により他の担体と一緒に)担体により囲まれ、したがってそれと共にカプセル剤を与える担体としての封入材料を用いた活性成分の製剤を包含する。同様に、カシェ剤が含まれる。
【0060】
錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセル剤は経口投与に適した固体投与形態として製造することができる。
【0061】
液体組成物には液剤、懸濁剤および乳剤がある。例えば、活性化合物の滅菌水またはプロピレングリコール水溶液は非経口投与に適した液体製剤である。液体組成物はまた、ポリエチレングリコール水溶液で液剤として製剤化することができる。
【0062】
経口投与用の水性液剤は活性成分を水に溶解し、必要に応じて適当な着色剤、芳香剤、安定剤および増粘剤を加えることにより製造することができる。経口的に使用される水性懸濁剤は微細な活性成分を天然および合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのような粘性物質や製薬技術分野で知られている他の懸濁化剤と一緒に水中で分散させることにより製造することができる。経口使用向けの典型的な組成物は1種またはそれ以上の着色剤、甘味剤、芳香剤および/または保存剤を含有することができる。
【0063】
投与法に応じて、医薬組成物は約0.05w%〜約99w%(質量パーセント)、特に約0.10w%〜50w%の本発明の化合物を含有し、すべての質量パーセントは組成物の全重量に基づいている。
【0064】
本発明を実施するための治療的に有効な量は個々の患者の年齢、体重および反応を含む知られている判断基準を使用して当業者により決定され、そして治療または予防する疾患と関連して解釈される。
【0065】
医学的用途
本明細書で開示される化合物は代謝型グルタミン酸受容体の調節物質として活性を示し、特にmGluR2受容体の増強剤として活性を示す。本化合物は特に動物、とりわけヒトのグルタミン酸機能障害と関係がある神経疾患および精神疾患を治療するための薬剤として治療において有用であると考えられる。
【0066】
さらに詳しくは、神経疾患および精神疾患には心臓バイパス手術および移植後の脳傷害、卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症(AIDSによる認知症を含む)、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬剤性パーキンソン病、筋肉けいれん、振戦を含む筋痙直と関係がある疾患、てんかん、けいれん、長期てんかん重積症後の脳傷害、偏頭痛(片頭痛を含む)、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱(アヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、睡眠薬などのような薬物を含む)、精神病、統合失調症、不安症(全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖症、強迫性障害および外傷後ストレス障害(PTSD)を含む)、気分障害(鬱病、躁病、双極性障害を含む)、概日リズム障害(時差ぼけおよび交代勤務睡眠障害を含む)、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性症、脳浮腫、疼痛(急性および慢性の疼痛状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛および外傷後疼痛を含む)、遅発性ジスキネジー、睡眠障害(ナルコレプシーを含む)、注意欠陥/多動性障害および行為障害のような疾患があるが、それらに限定されない。
【0067】
したがって、本発明は上記症状の何れかを治療するための薬剤の製造における式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物の使用を提供する。
【0068】
さらに、本発明はそのような治療が必要な患者に有効量の式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物を投与することからなる上記症状の何れかにかかっている患者の治療法を提供する。本発明はまた、治療に使用される前記で定義されたような式Iの化合物またはその薬学的に許容しうる塩または溶媒和物を提供する。
【0069】
本明細書において、「治療」なる用語は特に断りがなければ「予防」もまた包含する。「治療的な」および「治療的に」なる用語はそれ相応に解釈されるべきである。本発明の「治療」なる用語はさらに有効量の本発明の化合物を前から存在する急性または慢性の疾患状態、あるいは再発性症状を緩和するために投与することを包含する。この定義はまた、再発性症状を予防するための予防的治療および慢性疾患の持続的な治療を包含する。
【0070】
ヒトのような温血動物を治療するための使用において、本発明の化合物は経口、筋肉内、皮下、局所、鼻内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、髄腔内、脳室内を含む何れかの経路により、また関節への注入により慣用の医薬組成物の形態で投与することができる。本発明の好ましい態様において、投与経路は経口、静脈内または筋肉内である。
【0071】
投与量は投与経路、疾患の重症度、患者の年齢および体重、並びに特定の患者について個々の治療法および投与量を決める主治医により通常考慮される他の要因に依存する。
【0072】
上記したように、本明細書で開示される化合物は経口使用に適した形態で、例えば錠剤、トローチ剤、硬質および軟質カプセル剤、水性液剤、油性液剤、乳剤および懸濁剤として提供または投与することができる。別法として、本化合物は局所投与形態に、例えばクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、スプレー剤、あるいは水性液剤、油性液剤、乳剤または懸濁剤として製剤化することができる。本明細書で開示される化合物はまた、鼻内投与に適した形態で、例えば鼻腔用スプレー剤、点鼻剤または乾燥粉末として提供することができる。本化合物は坐剤の形態で膣または直腸に投与することができる。本明細書で開示される化合物はまた、非経口的に、例えば静脈内、膀胱内、皮下または筋肉内注射または注入により投与することができる。本化合物は(例えば微細粉末として)吸入により投与することができる。本化合物はまた、経皮的または舌下的に投与することができる。
【0073】
それらの治療薬としての使用の他に、式Iの化合物またはその塩は新規治療剤の模索の一環として実験動物でmGluR関連活性の阻害剤の効果を評価するための試験管内および生体内試験システムの開発および標準化の薬理学的ツールとして有用である。そのような動物には例えばネコ、イヌ、ウサギ、サル、ラットおよびマウスが含まれる。
【0074】
一般法
出発物質は商業的に入手できるか、または文献に記載されている。
【0075】
1Hおよび13C NMRスペクトルは1H NMR についてそれぞれ300、400および400MHzで作動するBruker 300、Bruker DPX400またはVarian +400分光計において特に断りがなければ重水素化クロロホルムを溶媒として、TMSまたは残留溶媒シグナルを基準物質として使用して測定した。すべての化学シフトをデルタ尺度のppmで表し、スペクトルに現れるシグナルの微細分裂を示した(s:一重線、br s:幅広い一重線、d:二重線、t:三重線、q:四重線、m:多重線)。
【0076】
液体クロマトグラフィーによる分離とその後の質量スペクトル検出からなるインライン分析はAlliance 2795(LC)およびZQシングル四重極質量分析計で構成されるWaters LCMSにおいて行なった。質量分析計は陽イオンおよび/または陰イオンモードで操作するエレクトロスプレーイオン源を備えている。イオンスプレーの電圧は±3kVであり、質量分析計は0.8秒のスキャン時間でm/z 100〜700をスキャンした。カラム(X−Terra MS、Waters、C8、2.1×50mm、3.5mm)に10mM酢酸アンモニウム(水性)または0.1%TFA(水性)中の5%〜100%アセトニトリルの直線グラジエントを適用した。
【0077】
分取用逆相クロマトグラフィーはカラムとしてXTerra MS C8、19×300mm、7mmを使用してダイオードアレイ検出器を備えたGilson自動分取HPLCにおいて行なった。
【0078】
Chromatotronによる精製はTC Research 7924T Chromatotronを使用して被覆層が1、2または4mmの回転するシリカゲル/石膏(Merck、硫酸カルシウムを含む60 PF−254)被覆ガラスシートにおいて行なった。
【0079】
生成物の精製はまた、Chem Elut抽出カラム(Varian社、カタログ番号1219−8002)、Mega BE−SI (Bond Elut Silica) SPEカラム(Varian社、カタログ番号12256018;12256026;12256034)を使用して、またはシリカを充填したガラスカラムでのフラッシュクロマトグラフィーにより行なった。
【0080】
マイクロ波加熱は2450MHzで連続照射するSmith Synthesizerシングルモードマイクロ波キャビティ(Personal Chemistry AB、スウェーデン、ウプサラ)において行なった。
【0081】
本発明の化合物の薬理学的特性は機能活性の標準アッセイを使用して分析することができる。グルタミン酸受容体アッセイの例は当該技術分野でよく知られており、例えばAramoriらのNeuron, 8, 757(1992年);TanabeらのNeuron, 8, 169(1992年);MillerらのJ. Neuroscience, 15, 6103(1995年);BalazsらのJ. Neurochemistry, 69, 151(1997年)に記載されている。これらの刊行物に記載の方法は参照により本明細書に加入される。好都合には、本発明の化合物は細胞内カルシウムの動態化、すなわちmGluR2を発現する細胞中の[Ca2+]iを測定するアッセイにより試験することができる。
【0082】
hERG活性はBridgland−Taylor M.H.らのJ. Pharm. Tox. Methods, 54, 189〜199(2006年)に記載の方法を使用して評価した。
【0083】
溶解度はpH7.4のリン酸緩衝液中、25℃で24時間平衡させた後に測定し、HPLC−UVおよびLC−MSMSを使用して定量した。
【0084】
[35S]−GTPγS結合アッセイを使用してmGluR2受容体の活性化を分析した。ヒトmGluR2を安定に発現するCHO細胞から調製した膜を使用して[35S]−GTPγS結合アッセイによりヒトmGluR2受容体における化合物のアロステリック活性化因子活性を測定した。アッセイはG−タンパク質でGDP−GTP交換を刺激するG−タンパク質結合受容体とアゴニストが結合するという原理に基づいている。[35S]−GTPγSは非加水分解性GTP類似体であるため、それを使用してGDP−GTP交換、すなわち受容体活性化の指標を与えることができる。したがって、GTPγS結合アッセイは受容体活性化の定量的尺度になる。
【0085】
膜はヒトmGluR2を安定にトランスフェクションしたCHO細胞から調製した。膜(30μgのタンパク質)を試験化合物(3nM〜300μM)と一緒に室温で15分間インキュベートしてから1μMのグルタミン酸を加え、そして30μMのGDPおよび0.1nMの[35S]−GTPγS(1250Ci/ミリモル)を含有する500μlのアッセイ緩衝液(20mMのHEPES、100mMのNaCl、10mMのMgCl2)中、30℃で30分間インキュベートした。反応を2mlのポリプロピレン96−ウェルプレートにおいて3回行なった。Packard 96−ウェルハーベスターおよびユニフィルター−96、GF/Bろ過マイクロプレートを使用して真空ろ過により反応を停止した。ろ過プレートを1.5mlの氷冷洗浄緩衝液(10mMのリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)で4回洗浄した。ろ過プレートを乾燥し、35μlのシンチレーション液(Microscint 20)を各ウェルに加えた。結合した放射能の量をPackard TopCountでプレートをカウントすることにより測定した。GraphPad Prismを使用してデータを分析し、非線形回帰法を使用してEC50およびEmax値(最大グルタミン酸効果に対する相対値)を計算した。
【0086】
下表を見てわかるように、本明細書で開示される化合物は一般に好ましい溶解度を有し、hERGイオンチャンネルを活性化する能力が低く、さらにmGluR2調節物質の活性について本明細書に記載したアッセイで高い活性を示し、表示されたEC50値を有する。
【0087】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、R1はハロまたはC1-3ハロアルコキシルであり;
R2は水素またはC1-3アルキルであり;
R3はClまたはCH3であり;
R4は水素またはC1-3アルキルであり;
Qは
【化2】

であり;
R5は水素またはC1-3アルキルであり;
nは1または2であり;そして
nが2である場合、R5部分は共に同じ炭素原子に結合することができる]
の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、水和物、溶媒和物、光学異性体または混合物。
【請求項2】
R1はクロロまたはトリフルオロメトキシルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1はクロロである請求項2記載の化合物。
【請求項4】
Qは
【化3】

である請求項1記載の化合物。
【請求項5】
Qは
【化4】

であり、そしてR5はそれぞれHである請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R1はクロロまたはトリフルオロメトキシルであり、そしてQは
【化5】

である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R1はクロロであり、そしてQは
【化6】

である請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1はクロロまたはトリフルオロメトキシルであり、Qは
【化7】

であり、そしてR5はそれぞれHである請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Qは
【化8】

であり、そしてR5は水素またはC1-3アルキルである請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、水和物、溶媒和物、光学異性体または混合物。
【請求項10】
7−クロロ−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−2−(4−クロロベンジル)−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロベンジル)−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
5−[5−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−7−メチル−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−(5−ピペラジン−1−イルメチル−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−5−{5−[(1S,4S)−1−(2,5−ジアザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−イル)メチル]−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル}−7−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(2−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(3−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−クロロ−5−[5−(3,3−ジメチルピペラジン−1−イルメチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシベンジル)−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン;
7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン;
2−(4−クロロ−ベンジル)−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オンまたは
2−[(S)−1−(4−クロロ−フェニル)−エチル]−7−メチル−5−[5−(1−ピペラジン−1−イル−エチル)−[1,2,4]オキサジアゾール−3−イル]−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
から選択される請求項1記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩、水和物または溶媒和物。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか一項に記載の化合物および薬学的に許容しうる担体または賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項12】
薬剤として使用される請求項1〜10の何れか一項に記載の化合物。
【請求項13】
グルタミン酸機能障害と関係がある神経疾患および精神疾患を治療するための薬剤の製造における請求項1〜10の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
神経疾患および精神疾患は心臓バイパス手術および移植後の脳傷害、卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症、AIDSによる認知症、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬剤性パーキンソン病、筋肉けいれん、振戦を含む筋痙直と関係がある疾患、てんかん、けいれん、長期てんかん重積症後の脳傷害、偏頭痛、片頭痛、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱、精神病、統合失調症、不安症、全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、鬱病、躁病、双極性障害、概日リズム障害、時差ぼけ、交代勤務睡眠障害、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性症、脳浮腫、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、外傷後疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害および行為障害から選択される請求項13記載の使用。
【請求項15】
そのような治療が必要な動物に治療的に有効な量の請求項1〜10の何れか一項に記載の化合物を投与する段階を含む前記動物のグルタミン酸機能障害と関係がある神経疾患および精神疾患を治療または予防する方法。
【請求項16】
そのような治療が必要な動物に治療的に有効な量の請求項11記載の医薬組成物を投与する段階を含む前記動物のグルタミン酸機能障害と関係がある神経疾患および精神疾患を治療または予防する方法。
【請求項17】
神経疾患および精神疾患は心臓バイパス手術および移植後の脳傷害、卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症、AIDSによる認知症、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬剤性パーキンソン病、筋肉けいれん、振戦を含む筋痙直と関係がある疾患、てんかん、けいれん、長期てんかん重積症後の脳傷害、偏頭痛、片頭痛、尿失禁、薬物耐性、薬物離脱、精神病、統合失調症、不安症、全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、鬱病、躁病、双極性障害、概日リズム障害、時差ぼけ、交代勤務睡眠障害、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性症、脳浮腫、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、外傷後疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、ナルコレプシー、注意欠陥/多動性障害および行為障害から選択される請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
神経疾患および精神疾患はアルツハイマー病、長期てんかん重積症後の脳傷害、薬物耐性、薬物離脱、精神病、統合失調症、不安症、全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、鬱病、躁病および双極性障害から選択される請求項17記載の方法。

【公表番号】特表2010−529117(P2010−529117A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511146(P2010−511146)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際出願番号】PCT/SE2008/050665
【国際公開番号】WO2008/150232
【国際公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】