説明

代謝調節型グルタミン酸塩受容体−増強イソインドロン

式I:
【化1】


(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は明細書に定義した通りである)の化合物、かかる化合物の製造法、その製造に使用される新規な中間体、該化合物を含む薬学的組成物、及び該化合物の治療への使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルタミン酸塩(glutamate)受容体の増強剤、それらの製造法、それらを含む薬学的組成物、及び治療へのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝調節型グルタミン酸塩(glutamate)受容体(mGluR)は、グルタミン酸塩により活性化されそして中枢神経系、神経柔軟性、神経の発達及び神経変性におけるシナプス活性に重要な役割を果たすGTP-結合-タンパク質(G-タンパク質)結合受容体の一族である。
【0003】
無傷の哺乳類神経中のmGluRの活性化は、下記反応の1つ又はそれ以上を引き出す:ホスホリパーゼCの活性化;ホスホイノシチド(phosphoinositide)(PI)加水分解の増加;細胞内カルシウム放出;ホスホリパーゼDの活性化;アデニルシクラーゼの活性化又は阻害;環式アデノシンモノホスフェート(cAMP)の形成の増加又は減少;グアニリルシクラーゼの活性化;環式グアノシンモノホスフェート(cGMP)の形成の増加;ホスホリパーゼA2の活性化;アラキドン酸放出の増加;及び電圧-及びリガンド-依存性イオンチャンネルの活性の増加又は減少(非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
【0004】
8つのmGluRサブタイプが確認された。該サブタイプは、一次配列類似性、シグナル変換結合(signal transduction linkages)及び薬理学的プロフィールに基づき、3グループに分けられる。グループ-IはmGluR1及びmGluR5を含み、それらはホスホリパーゼC及び細胞内カルシウムシグナルの生成を活性化する。グループ-II(mGluR2及びmGluR3)、及びGroup-III(mGluR4、mGluR6、mGluR7、及びmGluR8)のmGluRはアデニリルシクラーゼ活性及び環式AMPレベルの阻害を媒介する。検討用に非特許文献5を参照されたい。
【0005】
mGluR族受容体の活性は、哺乳類CNSにおける多くの通常の過程に係わりをもち、そして多様の神経及び精神障害の治療用の化合物として重要な目的(targets)である。mGluRsの活性化は、海馬の長期の増強作用の誘発及び小脳の長期の抑圧の誘発に必要とされる(非特許文献6、非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9)。痛覚及び無痛覚におけるmGluR活性化の役割もまた明らかにされた(非特許文献10、非特許文献11)。更に、mGluR活性化は、シナプス伝達、神経発達、アポトーシス神経死、シナプス柔軟性、空間学習、嗅覚記憶、心臓活動の中央制御、覚醒、運動制御及び前庭動眼反射の制御を含む多様の他の通常の過程において、調節の役割を果たすことが示唆された(非特許文献12、非特許文献13、前を参照、非特許文献14)。
mGluRの神経生理学的役割の説明における最近の進歩は、これらの受容体を、急性及び慢性の神経及び精神障害、並びに慢性及び急性の疼痛障害の治療における有望な薬物対象として確立した。mGluRが生理学的及び病態生理学的に重要であるために、mGluR機能を調節することが出来る新規な薬剤及び化合物が要求されている。
【非特許文献1】Schoepp等, 1993, Trends Pharmacol. Sci., 14:13
【非特許文献2】Schoepp, 1994, Neurochem. Int., 24:439
【非特許文献3】Pin等, 1995, Neuropharmacology 34:1
【非特許文献4】Bordi & Ugolini, 1999, Prog. Neurobiol. 59:55
【非特許文献5】Pin等、1999, Eur. J. Pharmacol., 375:277-294
【非特許文献6】Bashir等, 1993, Nature, 363:347
【非特許文献7】Bortolotto等, 1994, Nature, 368:740
【非特許文献8】Aiba等, 1994, Cell, 79:365
【非特許文献9】Aiba等, 1994, Cell, 79:377
【非特許文献10】Meller等, 1993, Neuroreport, 4: 879
【非特許文献11】Bordi & Ugolini, 1999, Brain Res., 871:223
【非特許文献12】Nakanishi, 1994, Neuron, 13:1031
【非特許文献13】Pin等, 1995, Neuropharmacology
【非特許文献14】Knopfel等, 1995, J. Med. Chem., 38:1417
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、mGluR機能を調節する化合物群を確認した。かかる化合物は、式I:
【化1】

(式中、
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6及びR7は、独立してH、ハロゲン、C1-6-アルキル及びC0-6-アルキルアリールから成る群から選ばれ;
R5はC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ;ここで、化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されてもよく、そしていずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており;
AはC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール、C0-6-アルキルヘテロシクリル、C0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(SO2)R10、及びN、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環から成る群から選ばれ、ここで該5ないし7員環は、場合によっては1つ又はそれ以上のR10で置換されており;
R8及びR9は、独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル又はCNから選ばれるか、或いはR8とR9は組み合わせてC3-7-シクロアルキル基又はヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHとなることはなく;
nは1、2、3、4、5又は6であり;
XはS又はOであり、そして
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も、場合によってはハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換されている)
の化合物である。
【0007】
別の側面では、本発明者等は、式Iの化合物の薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体、又はそれらの組み合わせ;かかる化合物の製造法;式Iの化合物を薬学的に許容される担体若しくは賦形剤と共に含む薬学的組成物;治療が必要な動物におけるグルタミン酸塩機能不全に関連する神経又は精神障害の治療又は予防方法であって、動物に式Iの
化合物又はその薬学的組成物を投与する段階を含む方法を記述する。
【0008】
別の側面では、本発明者等は、式Iの化合物、又はそれらの薬学的許容塩又は溶媒和物の、本願で検討する症状のいずれかの治療のための医薬の製造への使用を記載し、そして更に治療に使用するための式Iの化合物、又はそれらの薬学的許容塩若しくは溶媒和物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明は、代謝調節型のグルタミン酸塩受容体の活性がある種の化合物によって調節できるとの発見に基づく。特に、記載の化合物はmGluR2受容体の活性を増強することが見出された。かかる化合物は、式Iの化合物であって、治療、特にグルタミン酸塩機能不全に関連した神経及び精神障害用の治療のための薬剤として有用である化合物である。
【0010】
化合物:
【化2】

(式中、
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6及びR7は独立してH、ハロゲン、C1-6-アルキル及びC0-6-アルキルアリールから成る群から選ばれ;
R5はC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ;ここで、化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されていてもよく、そしていずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており;
AはC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール、C0-6-アルキルヘテロシクリル、C0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(SO2)R10、及びN、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環から成る群から選ばれ、ここで該5ないし7員環は場合によっては1つ又はそれ以上のR10で置換されており;
R8及びR9は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル又はCNから選ばれるか、或いはR8とR9は組み合わせてC3-7-シクロアルキル基又はヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHであることはなく;
nは1、2、3、4、5又は6であり;
XはS又はOであり、そして
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も、場合によってはハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換されている)、
若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせ。
【0011】
特定の化合物は、式Iの化合物であって、式中:
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6はH、ハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R7はハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5は、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環であり、ここで化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されていてもよく;
AはC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール、C0-6-アルキルヘテロシクリル、C0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(SO2)R10、及びN、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環から成る群から選ばれ、ここで、該5ないし7員環は場合によっては1つ又はそれ以上のR10で置換されており;
R8及びR9は、独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル又はCNから選ばれるか、或いはR8とR9は組み合わせて、C3-7-シクロアルキル基又はヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHであることはなく;
nは1、2又は3であり;
XはS又はOであり;
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換されている
化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせである。
【0012】
式Iの他の特定の化合物は、式中:
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6はH、ハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R7はハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5はN、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環であり、ここで化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されていてもよく、そしていずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており;
AはC0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2又はC0-6-アルキルNR10(SO2)R10であり;
R8及びR9は、独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル又はCNから選ばれるか、或いはR8とR9は組み合わせて、C3-7-シクロアルキル基又はヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHとなることはなく;
nは1、2又は3であり;
XはS又はOであり;そして
R10はそれぞれ、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキル
ヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換されている
化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせである。
【0013】
式Iの更に他の特定の化合物は、式中:
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6はH、ハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R7はハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5はフェニル又はピリジルであり;
AはC0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2又はC0-6-アルキルNR10(SO2)R10であり;
R8及びR9は、独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル又はCNから選ばれるか、或いはR8とR9は組み合わせてC3-7-シクロアルキル基又はヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHではなく;
nは1、2又は3であり;
XはS又はOであり;そして
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換されている
化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせである。
【0014】
式Iの更に特定の化合物は、本願の実施例で述べる化合物である。
当業者は、式Iの化合物が1又はそれ以上のキラル中心を持つ場合、かかる化合物はエナンチオマー又はジアステレオマー形態として、又はラセミ混合物として存在し得そして単離され得、そして本願明細書の範囲内に含まれることを理解するであろう。かかる光学活性形態の化合物は、例えば、ラセミ体のキラルクロマトグラフィー分離により、光学活性出発材料からの合成により、又は以下に記載する手順に基づく非対称合成により調製し得る。
【0015】
当業者はまた、式Iの特定の化合物が幾何学的異性体、例えば本願明細書に包含されるアルケンのE及びZ異性体、として存在し得ることを理解するであろう。更に、式Iの特定の化合物は互変異性体として存在し得ることが理解されるであろう。
【0016】
当業者はまた、式Iの特定の化合物が溶媒和形態、例えば水和形態、並びに非溶媒和形態で存在し得ること、そして式Iの化合物のかかる全ての溶媒和形態が本願明細書の範囲内にあることを理解するであろう。
【0017】
式Iの化合物の塩は本願明細書の範囲内である。一般に、式Iの化合物の薬学的許容塩は、当業界で周知の標準的手順、例えば、充分に塩基性の化合物、例えばアルキルアミン、を適当な酸、例えばHCl又は酢酸、と反応させて生理学的に許容されるアニオンを得るこ
とにより得られる。対応するアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム、又はリチウム)又はアルカリ土類金属(例えばカルシウム)の塩は、カルボン酸又はフェノールのような適当に酸性のプロトンを有する式Iの化合物を、1等量のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水酸化物若しくはアルコキシド(例えばエトキシド又はメトキシド)、又は適当に塩基性の有機アミン(例えばコリン又はメグルミン)で水性媒体中で処理し、次いで慣用の精製技術により製造することも可能である。
【0018】
一態様では、式Iの化合物はその薬学的許容塩又は溶媒和物、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩のような酸付加塩に変換し得る。他の態様は、本願に記載の化合物、その薬学的許容塩、水和物、溶媒和物及びそれらの光学異性体を含む。
【0019】
薬学的組成物:
式Iの化合物は、かかる化合物又はその薬学的許容塩若しくは溶媒和物を、薬学的に許容される担体又は賦形剤と合わせて含む慣用の薬学的組成物に製剤化し得る。かかる薬学的に許容される担体は固体又は液体のいずれかであることができる。固体剤形製剤には粉剤、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤、及び座薬が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
固体担体は1種又はそれ以上の物質であることができ、該物質は希釈剤、風味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、又は錠剤崩壊剤としても作用し得る。固体担体はまた封入材料であることもできる。
【0021】
粉剤において、担体は微粉砕固体であり、それは微粉砕化合物、即ち有効成分、と混合されている。錠剤において、有効成分は必要な結合性を有する担体と適当な割合で混合され、そして所望の形状及び大きさにコンパクト化される。
【0022】
座薬組成物を製造するには、脂肪酸グリセリドとココアバターとの混合物のような低融点ワックスをまず溶融し、そして有効成分を、例えば撹拌によりその中に分散させる。溶融均質混合物を次に便利な大きさの型に注ぎ、そして放冷しそして固化する。
【0023】
適した担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ラクトース、砂糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、ココアバター等が含まれるが、これらに限定されない。
【0024】
用語、組成物は、カプセルを与える有効成分と担体としての封入材料との配合物を含むことも意図され、該カプセルにおいて、有効成分(他の担体と共に又は他の担体なしで)は担体に囲まれ、従って該担体は有効成分と一体化している。同様に、カシェ剤が含まれる。
錠剤、粉剤、カシェ剤、及びカプセルは経口投与に適した固体投与形態として使用することができる。
液体形態組成物には、溶液、懸濁液、及び乳濁液が含まれる。例えば、有効化合物の減菌水又は水プロピレングリコール溶液は非経口投与に適した液体製剤であり得る。液体組成物もまた水性ポリエチレングリコール溶液中に溶解して製剤化することができる。
【0025】
経口投与用の水性溶液は、有効成分を水に溶解し、そして適当な着色剤、風味料、安定剤、及び増粘剤を所望により加えることにより調製できる。経口使用のための水性懸濁液は、微粉砕有効成分を水に、例えば天然合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び薬学製剤業界で知られた他の懸濁剤のような粘性材料と共に分散させることにより製造できる。経口使用のためにに意図された例示的組成物は1つ又はそれ以上の着色剤、甘味料、風味料及び/又は保存剤を含み得る。
投与方法に依存して、薬学的組成物は有効成分を約0.05%w(質量%)〜約99%w、更に特定すると約0.10%w〜50%w含むであろう。全ての質量%は組成物の全質量を基準とする。
式Iの化合物の治療有効量は、年齢、体重及び個々の患者の反応を含む公知の基準を用いて当業者が決定することができ、そして治療される又は予防される疾病の枠の中で解釈することができる。
【0026】
医療用途:
本発明者らは、記載の化合物が代謝調節型グルタミン酸塩受容体の調節剤として作用することを観察し、そしてかかる化合物は薬剤として活性を示すであろうと考える。更に特定的には、記載の化合物はmGluR2受容体の増強剤としての活性を示し、そして治療、特に動物におけるグルタミン酸塩機能不全に関連した神経及び精神障害の治療、に有用であろう。
【0027】
更に詳しくは、神経及び精神医学的障害には、心臓バイパス手術及び移植の後の脳欠損、卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心不全、低血糖神経細胞損傷、痴呆(AIDS誘発痴呆を含む)、アルツハイマー病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性及び薬物誘発パーキンソン病、筋肉痙攣のような障害、及び震えを含む筋硬直に伴う障害、てんかん、けいれん、長期のてんかん状態に続発する脳欠損、偏頭痛(片頭痛を含む)、尿失禁、物質耐性、物質禁断症状(アヘン、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、睡眠剤等のような物質を含む)、精神病、統合失調症、不安(全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖、強迫神経症、及び外傷後ストレス障害(PTSD)を含む)、気分障害(うつ病、躁病、躁うつ病を含む)、24時間周期リズム障害(時差ぼけ及びシフトワークを含む)、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性症、嘔吐、脳水腫、疼痛(急性及び慢性疼痛状態、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、及び外傷後疼痛を含む)、遅発性ジスキネジー、睡眠障害(発作性睡眠を含む)、注意力欠陥/過活動障害、及び行為障害が含まれるが、これらに限定されない。
【0028】
従って、本発明者らは式Iの化合物、又はその薬学的許容塩若しくは溶媒和物のいずれかの使用、上に論じた症状のいずれかの治療用の医薬の製造のための使用を提供する。
式Iの化合物、又はその薬学的許容塩、溶媒和物若しくは生体内加水分解性エステル、又は式Iの化合物を含む薬学的組成物若しくは配合物は、下記から選ばれる別の薬学的有効化合物と共に、同時に、順次に又は別々に投与し得る:
【0029】
(i) 抗欝剤、例えばアミトリプチリン(amitriptyline)、アモキサピン(amoxapine)、ブプロピオン(bupropion)、シタロプラム(citalopram)、クロミプラミン(clomipramine)、デシプラミン(desipramine)、ドキセピン(doxepin)、デュロキセチン(duloxetine)、エルザソナン(elzasonan)、エシタロプラム(escitalopram)、フルボキサミン(fluvoxamine)、フルオキセチン(fluoxetine)、ゲピロン(gepirone)、イミプラミン(imipramine)、イプサピロン(ipsapirone)、マプロチリン(maprotiline)、ノルトリプチリン(nortriptyline)、ネファゾドン(nefazodone)、パロキセチン(paroxetine)、フェネルジン(phenelzine)、プロトリプチリン(protriptyline)、レボキセチン(reboxetine)、ロバルゾタン(robalzotan)、セルトラリン(sertraline)、シブトラミン(sibutramine)、チオニソキセチン(thionisoxetine)、トラニルシプロマイン(tranylcypromaine)、トラゾドン(trazodone)、トリミプラミン(trimipramine)、ベンラファキシン(venlafaxine)並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物。
【0030】
(ii) 非定型の抗精神病薬、例えばクエチアピン(quetiapine)及びその薬学的活性異性体及び代謝産物、アミスルプリド(amisulpride)、アリピプラゾール(aripiprazole)、アセナピン(asenapine)、ベンジスオキシジル(benzisoxidil)、ビフェプルノックス(bifeprunox)、カルバマゼピン(carbamazepine)、クロザピン(clozapine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、デベンザピン(debenzapine)、ジバルプロエックス(divalproex)、デュロキセチン(duloxetine)、エスゾピクロン(eszopiclone)、ハロペリドール(haloperidol)、イロペリドン(iloperidone)、ラモトリジン(lamotrigine)、リチウム(lithium)、ロキサピン(loxapine)、メソリダジン(mesoridazine)、オランザピン(olanzapine)、パリペリドン(paliperidone)、ペルラピン(perlapine)、ペルフェナジン(perphenazine)、フェノチアジン(phenothiazine)、フェニルブチルピペリジン、ピモジド(pimozide)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、リスペリドン(risperidone)、クエチアピン(quetiapine)、セルチンドール(sertindole)、スルピリド(sulpiride)、スプロクロン(suproclone)、スリクロン(suriclone)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、トリメトジン(trimetozine)、バルプロ酸塩(valproate)、バルプロ酸、ゾピクロン(zopiclone)、ゾテピン(zotepine)、ジプラシドン(ziprasidone)及びそれらの同等物を含む。
【0031】
(iii) 抗精神病薬、例えばアミスルプリド(amisulpride)、アリピプラゾール(aripiprazole)、アセナピン(asenapine)、ベンジスオキシジル(benzisoxidil)、ビフェプルノックス(bifeprunox)、カルバマゼピン(carbamazepine)、クロザピン(clozapine)、クロルプロマジン(chlorpromazine)、デベンザピン(debenzapine)、ジバルプロエックス(divalproex)、ヅロキセチン(duloxetine)、エスゾピクロン(eszopiclone)、ハロペリドール(haloperidol)、イロペリドン(iloperidone)、ラモトリジン(lamotrigine)、ロキサピン(loxapine)、メソリダジン(mesoridazine)、オランザピン(olanzapine)、パリペリドン(paliperidone)、ペルラピン(perlapine)、ペルフェナジン(perphenazine)、フェノチアジン(phenothiazine)、フェニルブチルピペリジン、ピモジド(pimozide)、プロクロルペラジン(prochlorperazine)、リスペリドン(risperidone)、セルチンドール(sertindole)、スルピリド(sulpiride)、スプロクロン(suproclone)、スリクロン(suriclone)、チオリダジン(thioridazine)、トリフルオペラジン(trifluoperazine)、トリメトジン(trimetozine)、バルプロ酸塩、バルプロ酸、ゾピクロン(zopiclone)、ゾテピン(zotepine)、ジプラシドン(ziprasidone)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0032】
(iv) 抗不安薬、例えばアルネスピロン(alnespirone)、アザピロン(azapirones)、ベンゾジアゼピン類、バルビツール酸塩類、例えばアジナゾラム(adinazolam)、アルプラゾラム(alprazolam)、バレゼパム(balezepam)、ベンタゼパム(bentazepam)、ブロマゼパム(bromazepam)、ブロチゾラム(brotizolam)、ブスピロン(buspirone)、クロナゼパム(clonazepam)、クロラゼペート(clorazepate)、クロルジアゼポキシド(chlordiazepoxide)、シプラゼパム(cyprazepam)、ジアゼパム(diazepam)、ジフェンヒドラミン(diphenhydramine)、エスタゾラム(estazolam)、フェノバム(fenobam)、フルニトラゼパム(flunitrazepam)、フルラゼパム(flurazepam)、フォサゼパム(fosazepam)、ロラゼパム(lorazepam)、ロルメタゼパム(lormetazepam)、メプロバメート(meprobamate)、ミダゾラム(midazolam)、ニトラゼパム(nitrazepam)、オキサゼパム(oxazepam)、プラゼパム(prazepam)、クアゼパム(quazepam)、レクラゼパム(reclazepam)、トラカゾレート(tracazolate)、トレピパム(trepipam)、テマゼパム(temazepam)、トリアゾラム(triazolam)、ウルダゼパム(uldazepam)、ゾラゼパム(zolazepam)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0033】
(v) 抗けいれん剤、例えばカルバマゼピン(carbamazepine)、バルプロ酸塩(valproate)、ラモトロジン(lamotrogine)、ガバペンチン(gabapentin)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0034】
(vi) アルツハイマー治療薬、例えばドネペジル(donepezil)、メマンチン(memantine)、タクリン(tacrine)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0035】
(vii) パーキンソン病治療薬、例えばデプレニル(deprenyl)、L-ドーパ(L-dopa)、レクイップ(Requip)、ミラペックス(Mirapex)、MAOB阻害剤、例えばセレジン(selegine)及びラサジリン(rasagiline)、comP阻害剤、例えばタスマー(Tasmar)、A-2阻害剤、ドーパミン再摂取阻害剤、NMDA拮抗薬、ニコチン作動薬、ドーパミン作動薬、及びニューロン酸化窒素シンターゼの阻害剤、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0036】
(viii) 偏頭痛治療薬、例えばアルモトリプタン(almotriptan)、アマンタジン(amantadine)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ブタルビタール(butalbital)、カベルゴリン(cabergoline)、ジクロラールフェナゾン(dichloralphenazone)、エレトリプタン(eletriptan)、フロバトリプタン(frovatriptan)、リスリド(lisuride)、ナラトリプタン(naratriptan)、ペルゴリド(pergolide)、プラミペキソル(pramipexole)、リザトリプタン(rizatriptan)、ロピニロール(ropinirole)、スマトリプタン(sumatriptan)、ゾルミトリプタン(zolmitriptan)、ゾミトリプタン(zomitriptan)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0037】
(ix) 発作治療薬、例えば、アブシキシマブ(abciximab)、アクチバゼ(activase)、NXY-059、シチコリン(citicoline)、クロベネチン(crobenetine)、デスモテプラーゼ(desmoteplase)、レピノタン(repinotan)、トラキソプロジル(traxoprodil)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0038】
(x) 過活動膀胱尿失禁治療薬、例えばダラフェナシン(darafenacin)、ファルボキセート(falvoxate)、オキシブチニン(oxybutynin)、プロピベリン(propiverine)、ロバルゾタン(robalzotan)、ソリフェナシン(solifenacin)、トルテロジン(tolterodine)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0039】
(xi) 神経因性疼痛治療薬、例えばガバペンチン(gabapentin)、リドデルム(lidoderm)、プレガブリン(pregablin)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0040】
(xii) 侵害受容性疼痛治療薬、例えばセレコキシブ(celecoxib)、エトリコキシブ(etoricoxib)、ルミラコキシブ(lumiracoxib)、ロフェコキシブ(rofecoxib)、バルデコキシブ(valdecoxib)、ジクロフェナック(diclofenac)、ロキソプロフェン(loxoprofen)、ナプロキセン(naproxen)、パラセタモル(paracetamol)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0041】
(xiii) 不眠治療薬、例えばアロバルビタール(allobarbital)、アロニミド(alonimid)、アモバルビタール(amobarbital)、ベンゾクタミン(benzoctamine)、ブタバルビタール(butabarbital)、カプリド(capuride)、クロラール(chloral)、クロペリドン(cloperidone)、クロレセート(clorethate)、デクスクラモール(dexclamol)、エトクロルビノール(ethchlorvynol)、エトミデート(etomidate)、グルテチミド(glutethimide)、ハラゼパン(halazepam)、ヒドロキシジン(hydroxyzine)、メクロクアロ
ン(mecloqualone)、メラトニン(melatonin)、メフォバルビタール(mephobarbital)、メタクアロン(methaqualone)、ミダフルル(midaflur)、ニソバメート(nisobamate)、ペントバルビタール(pentobarbital)、フェノバルビタール(phenobarbital)、プロポフォル(propofol)、ロレタミド(roletamide)、トリクロフォス(triclofos)、セコバルビタール(secobarbital)、ザレプロン(zaleplon)、ゾルピデム(zolpidem)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0042】
(xiv) 気分安定剤、例えばカルバマゼピン(carbamazepine)、ジバルプロエクス(divalproex)、ガバペンチン(gabapentin)、ラモトリジン(lamotrigine)、リチウム(lithium)、オランザピン(olanzapine)、クエチアピン(quetiapine)、バルプロ酸塩(valproate)、バルプロ酸、ベラパミル(verapamil)、並びにそれらの同等物、薬学的活性異性体及び代謝産物を含む。
【0043】
かかる組み合わせ製品は、本発明の化合物を本願記載の投与量範囲内で、及び他の薬学的活性化合物を承認された投与量及び/又は刊行物参考資料に記載された投与量の範囲内で使用する。
【0044】
加えて、本発明者らは本願で論じる症状のいずれかを患う対象の治療方法を提供し、それにより、式Iの化合物、又はその薬学的許容塩若しくは溶媒和物の有効量を、かかる治療が必要な患者に投与する。従って、本発明者らは、治療に使用するための前に定義した式Iの化合物、又はその薬学的許容塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0045】
本願明細書の文脈で、用語“治療”とは、他に特定の指示がない限り、“予防”をも含む。用語“治療的”及び“治療的に”はそれに従って解釈すべきである。本願の文脈で用語“治療”は更に、式Iの化合物の有効量を投与して、急性又は慢性の前から存在する病気の状態を軽くするか、又は再発症状を軽くすることを包含する。この定義はまた、再発症状の予防のための予防的治療、及び慢性障害の継続的治療をも包含する。
【0046】
ヒトのような温血動物における治療のための使用において、式Iの化合物は慣用の薬学的組成物の形態で、経口、筋肉内、皮下、局所的、鼻孔内、腹膜内、胸内、静脈内、硬膜外、外皮内、脳室内を含むいずれかの経路により、及び関節への注射により投与し得る。特定の態様において、投与経路は経口、静脈内又は筋肉内であろう。
投与量は、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、及び臨床医者が通常考える他の要因に依存するであろう。臨床医者は、特定の患者に個々の投薬計画及び投薬量を決定する。
【0047】
前に述べたように、式Iの化合物は経口使用に適した形態、例えば錠剤、ロゼンジ、硬質及び軟質カプセル、水溶液、油性溶液、乳濁液、及び懸濁液で提供又は供給し得る。或いは、かかる化合物は局所投与物に、例えばクリーム、軟膏、ゲル、スプレー、又は水溶液、油性溶液、乳濁液若しくは懸濁液として、調合し得る。式Iの化合物はまた、鼻内投与に適した形態で、例えば鼻孔内スプレー、鼻孔内点鼻薬、又は乾燥粉末として、提供し得る。該化合物は座薬の形態で膣内又は直腸に投与することができる。式Iの化合物はまた、非経口的に、例えば静脈内、膀胱内、皮下又は筋肉内注射又は注入(infusion)により投与し得る。該化合物は吸入により(例えば微粉砕粉末として)投与することができる。該化合物はまた経皮又は舌下に投与し得る。
【0048】
治療用医薬におけるそれらの使用に加えて、式Iの化合物又はその塩は、新規な治療剤の探求の一部として、実験動物におけるmGluR関連活性の阻害剤の効果を評価するための生体内及び生体外テストシステムの開発及び規格化において、薬理学的手段として有用である。かかる動物には、例えば猫、犬、うさぎ、猿、ラット及びマウスが含まれる。
【0049】
定義:
この明細書内で他に特定されない限り、この明細書で使用される命名は一般にNomenclature of Organic Chemistry, Section A, B, C, D, E, F及びH, Pergamon Press, Oxford, 1979に述べられた例及び規則に従う。それを、その例示的化学構造名及び化学構造の命名における規則について本願に参考用に含める。場合によっては、化合物の命名は化学命名プログラム:ACD/ChemSketch, Version 5.09/September 2001, Advanced Chemistry Development, Inc., Toronto, Canada.を使用して行ってもよい。
【0050】
本願で使用される用語“アルキル”とは、直鎖若しくは分岐鎖の、例えば1ないし6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル等を含む。
【0051】
本願で使用される用語“アルコキシ”とは、直鎖若しくは分岐鎖の、例えば1ないし6個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、t-ブトキシ等を含む。
【0052】
本願で使用される用語“ハロ”とはハロゲンを意味し、放射活性形態及び非放射活性形態の両方のフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を含む。
【0053】
本願で使用される用語“ハロアルキル”とは、少なくとも1個のH原子がハロ原子で置換されているアルキル基を意味し、CF3、CH2Br等のような基を含む。
【0054】
本願で使用される用語“アルキレン”とは、2価の分岐若しくは非分岐の、例えば1ないし6個の炭素原子を有する飽和炭化水素を意味し、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン等を含む。
【0055】
本願で使用される用語“アリール”とは、5ないし12個の原子を有する芳香族基を意味し、フェニル、ナフチル等を含む。
【0056】
用語“ヘテロアリール”とは、N、S及びOから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族基を意味し、ピリジル、インドリル、フリル、ベンゾフリル、チエニル、ベンゾチエニル、キノリル、オキサゾリル等を含む。
【0057】
用語“ヘテロシクリル”とは、N、S及びOから成る群から選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子を含む飽和若しくは部分飽和基を意味し、モルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ピロリジニル等のような基を含む。
【0058】
用語“5ないし7員環”はアリール環、ヘテロシクリル又はヘテロアリール環を含む。
ACNとはアセトニトリル;RTとは室温;DMEとはジメトキシエタン;DMSOとはジメチルスルホキシド;EtAcとは酢酸エチル;TFAとはトリフルオロ酢酸;EtOHとはエタノール;そしてGMFとはガラスミクロファイバーを意味する。
【0059】
用語“薬学的許容塩”とは、患者の治療に適合する酸付加塩又は塩基付加塩を意味する。
【0060】
“薬学的に許容される酸付加塩”は式Iで表される塩基化合物のあらゆる非毒性の有機若しくは無機酸付加塩、又はそのいずれかの中間体である。適切な塩を形成する例示的無機酸には、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸、並びにオルトリン酸一水素ナトリウム及び硫酸水素カリウムのような酸金属塩が含まれる。適切な塩を形成する例示的有機酸には、モノ−、ジ−及びトリ−カルボン酸が含まれる。かかる酸の例は、例えば、酢酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、並びにメタンスルホン酸及び2-ヒドロキシエタンスルホン酸のような他のスルホン酸である。一若しくは二酸塩を形成することができ、かかる塩は水和、溶媒和若しくは実質的に無水の形態で存在することができる。一般に、これらの化合物の酸付加塩は、それらの遊離塩基形態と比べて水及び種々の親水性有機溶媒により可溶性であり、そして一般により高い融点を示す。適当な塩についての選択基準は当業者に知られているであろう。他の非薬学的許容塩、例えば蓚酸塩は、例えば実験室使用のための式Iの化合物の単離に、又は引き続く薬学的に許容される酸付加塩への変換に使用し得る。
【0061】
“薬学的に許容される塩基付加塩”とは、式Iで表される酸化合物のいずれかの非毒性有機若しくは無機塩基付加塩、又はその中間体である。適当な塩を形成する例示的無機塩基には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム又は水酸化バリウムが含まれる。適当な塩基を形成する例示的有機塩基には、脂肪族、脂環式若しくは芳香族有機アミン、例えばメチルアミン、トリメチルアミン、及びピコリン又はアンモニアが含まれる。エステル官能基がもし分子のどこかに存在するなら加水分解されないために適切な塩の選択が重要であろう。適切な塩の選択基準は当業者に知られているであろう。
【0062】
“溶媒和物”とは、式Iの化合物又は式Iの化合物の薬学的許容塩であって、適当な溶媒の分子が結晶格子に組み込まれたものを意味する。適当な溶媒は、溶媒和物として投与された投与量で生理学的に許容される。適当な溶媒の例はエタノール、水等である。水が溶媒である場合、分子は水和物と云われる。
【0063】
用語“立体異性体”は、原子の空間的配向のみが異なる個々の分子の全ての異性体についての一般的用語である。それには鏡像異性体(エナンチマー)、幾何(シス/トランス)異性体、及び互いに鏡像でないキラル中心を1つより多く有する化合物の異性体(ジアステレオマー)が含まれる。
【0064】
用語“治療する”又は”治療”とは、症状を緩和するか、一時的若しくは恒久的基準で症状の原因を除去するか、又は指名された障害若しくは状態の症状の発現を防止若しくは遅延させることを意味する。
【0065】
用語“治療的有効量”とは、指名された障害若しくは状態を治療するのに有効な、式Iの化合物の量を意味する。
【0066】
用語“薬学的に許容される担体”とは、薬学的組成物の形成、即ち、患者に投与するのに適した投与形態、を可能にするために、有効成分と混合される非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、補助剤又は他の材料を意味する。かかる担体の一例は、典型的に非経口投与用に使用される薬学的に許容される油である。
【0067】
例示的方法:
精製
方法A:順相クロマトグラフィー
選択した化合物及び中間体の精製方法として使用されるフラッシュクロマトグラフィー。Isco CombiFlash Sq 16x又は対の(Companion)機器:予め包装された使い捨てRediSep
SiO2固定相カラム(4,12,40,120グラムの大きさ)、選択した二溶媒混合物を5〜125mL/minで勾配溶出、UV検出(190〜760nm範囲)又は時限の収集、フロー・セル路程0.1mm。
【0068】
方法B:分取逆相HPLC
逆相高圧液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)を選択した化合物の精製方法として使用した。ギルソン(Gilson)機器(215インジェクター、333ポンプ及び155UV/Vis検出器):バリアン(Varian)C8逆相カラム(60オングストローム不規則負荷、粒径8μm、21mmID×25cm)。化合物をジメチルスルホキシド:メタノール(〜1:1)に溶解した。勾配溶出を、0.1%水性トリフルオロ酢酸/ACN(典型的には25〜75%ACNを30分にわたって、95%ACNを7分にわたって)を用いて、流速22mL/minで、UV収集を254nmで行った。保持時間(tR)=分。
【0069】
マイクロウエーブ加熱器具類:
パーソナルケミストリースミスシンセサイザー(Personal Chemistry Smith Synthesizer)又はオプチマイザーマイクロウエーブ装置(Optimizer microwave units)(モノモダル(monomodal), 2.45GHz, 300Wmax)を反応のマイクロウエーブ加熱に使用した。
【0070】
LC-MS HPLC条件:
カラム:Agilent Zorbax SB-C8, 5μm, 2.1mmID × 50mm ,流速:1.4mL/min。
勾配:3分にわたって95%Aから90%Bにし、1分保持し、1分にわたって95%Aに減少させ、そして1分保持する。ここで、A = 0.1%蟻酸を含む水中の2%ACN、そしてB = 0.1%蟻酸を含むACN中の2%水。UV-DAD 210-400nm。
【0071】
製造工程:
所定の化合物を製造するための特定の方法の選択は当業者の活動の範囲内である。従って、特定の構造的特徴及び/又は置換基の選択は、1つの方法を他の方法に対して選択するのに影響を及ぼし得る。これらの一般的指針内で、本願に記載した方法を式Iの化合物の製造に使用することができる。他に指示がない限り、下記のスキーム及び方法に記載した変数は、本願で式Iに与えた定義と同じ定義を有する。
【0072】
合成方法:
実施例1: 2-シクロプロピル-7-メチル-5-ピリジン-3-イル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン
2-シクロプロピル-7-メチル-5-ピリジン-3-イル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(B)をスキーム1に示したようにして製造した。
スキーム 1:
【化3】

【0073】
a)5-ブロモ-2-シクロプロピル-7-メチル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン
【化4】

ACN5mL中の4-ブロモ-2-ブロモメチル-6-メチル-安息香酸メチルエステル(400mg, 1.24mmol)の攪拌溶液にシクロプロピルアミン(356μL, 3.74mmol)、K2CO3(515mg, 3.74mmol)及びボロン酸(15 mg,0.248 mmol)を加えた。反応物を80℃に 1.5時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、次に珪藻土パッドを通してろ過し、次に真空濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2−12 g;勾配溶出:30分にわたって25mL/min にて5-30%酢酸エチル/ヘキサン)に付して、5-ブロモ-2-シクロプロピル-7-メチル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オンを濃縮により白色固体として得た(179mg, 54%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.36 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 4.23 (s, 2H), 2.88 (sept, 1H), 2.68 (s, 3H), 0.802-0.939 (m, 4H); m/z (AP+) M+1 = 268.1; HPLC tR = 2.33min。
【0074】
b)2-シクロプロピル-7-メチル-5-ピリジン-3-イル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン
【化5】

厚壁ガラス瓶に攪拌棒、5-ブロモ-2-シクロプロピル-7-メチル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン(65mg, 0.244mmol)、ピリジン-3-ボロン酸(30mg, 0.244mmol)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)-パラジウム(II)(1.7mg, 0.0024mmol)、Cs2CO3 (95mg, 0.293mmol)及びDME/H2O/EtOH (7:3:2−1.0 mL)を充填した。反応瓶を密閉し、そして150℃で160秒間、固定した保持時間、マイクロ波照射に付した。得られた黒いスラリーを酢酸エチル(3×3 mL)で抽出し、ケイ酸マグネシウムパッドを通してろ過し、Na2SO4で乾燥し、綿の栓を通してろ過し、そして真空濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2−4g;勾配溶出:15mL/minにて30分にわたって0-50% EtOAc/塩化メチレン)に付して、2-シクロプロピル-7-メチル-5-ピリジン-3-イル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オンを濃縮により白色固体として得た(47mg, 64%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.85 (s, 1H), 8.65 (d, 1H), 7.91 (dd, 1H), 7.38-7.40 (m, 3H), 4.33 (s, 2H), 2.91-2.98 (m, 1H), 2.79 (s, 3H), 0.866-0.939 (m, 4H); m/z (AP+) M+1 = 265.3; HPLC tR = 1.64
min。
【0075】
実施例2: N-(3-(7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタン-スルホンアミド
N-(3-(7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミドをスキーム2に示したようにして製造した。
スキーム2:
【化6】

【0076】
a)5-ブロモ-2-(1,2-ジメチル-プロピル)-7-メチル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン
【化7】

ACN25mL中の4-ブロモ-2-ブロモメチル-6-メチル-安息香酸メチルエステル(400mg, 1.24mmol)の攪拌溶液に、1,2-ジメチルプロピルアミン(156μL, 1.36mmol)を加え、K2CO3(343mg, 2.48mmol)の添加前に約5分間攪拌した。反応容器を密閉し、そして80℃に16時間加熱した。RTに冷却し、混合物を次に0.45μm GMFフィルターを通してろ過し、そして真空濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2−12 g;勾配溶出:1分にわたって1% EtOAc/ヘキサン、次に10分にわたって40mL/minにて1-8.5% EtOAc/ヘキサン)に付して、5-ブロモ-2-(1,2-ジメチル-プロピル)-7-メチル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オンを濃縮により白色固体として得た(238mg, 65%)。m/z (ES+) M+ = 296.06; HPLC tR = 2.65 min。
【0077】
b)N-(3-(7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド
【化8】

N-(3-(7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)-メタンスルホンアミドをスキーム2に記載した方法と類似の方法で、(3-メチル-スルホニルアミノフェニル)ボロン酸を使用して合成した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2−4g;勾配溶出:1分にわたって25% EtOAc/ヘキサン、次に10分にわたって20mL/minにて25-80% EtOAc/ヘキサン)に付して、標題化合物を白色泡状物として得た(94mg, 62%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.79 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.31 - 7.44 (m, 5H), 4.30 (ほぼdd, J = 28.7, 17.3 Hz, 2H), 4.09 - 4.18 (m, 1H), 3.06 (s, 3H), 2.76 (s, 3H), 1.83 (d4重項, J = 9.5, 6.6 Hz, 1H), 1.27 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.01 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 0.86 (d, J = 6.6 Hz, 3H). m/z (ES+) M+1 = 387.1; HPLC tR = 2.20 min。
【0078】
実施例3: 2-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-7-メチル-5-ピリジン-3-イルイソインドリン-1-オン
2-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-7-メチル-5-ピリジン-3-イルイソインドリン-1-オンを、スキーム3に示したようにして製造した。
スキーム3:
【化9】

【0079】
a)ジ-tert-ブチル(2-エトキシ-1-メチルエチル)イミドジカルボネート
【化10】

1-エトキシプロパン-2-オール(4.00g, 38.41mmol)、トリフェニルホスフィン(10.07g, 38.41mmol)及びジ-tert-ブチルイミドジカルボネート(8.34g, 38.41mmol)を無水THF50 mL中で合わせ、次いでアゾジカルボン酸ジイソプロピル(7.61mL, 38.41mmol)を20分にわたって滴下した。反応物を室温に温めながら一晩攪拌した。揮発物を減圧下で除去し、そして残留物をシリカゲルの栓を通してろ過し、それを無水エチルエーテルで洗った。揮発性物質を減圧下で除去し、残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2 330 g;溶出:1時間にわたって100mL/minにて0-20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、標題化合物を粘性油状物として得た(5.28g, 45%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.40 (m,1H), 3.69 (m, 1 H) 3.42 (m, 3H), 1.46 (s, 18H), 1.22 (d, 3H), 1.12 (t, 3H)。m/z (AP+) M+1 = 304.3; HPLC tR = 2.85 min。
【0080】
b) (2-エトキシ-1-メチルエチル)アミントリフルオロ酢酸塩
【化11】

ジ-tert-ブチル(2-エトキシ-1-メチルエチル)イミドジカルボネート(5.28g, 17.40mmol)を無水DCM 150 mLに溶解し、次いでTFA 15 mLを加え、そして反応物を室温で攪拌した。1時間後、出発材料が消費され、そして揮発性物質を減圧下で除去して、標題化合物を粘性TFA塩として得た(3.74g, 99%)。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ7.87 (bs, 3H), 5.20 (m, 1H), 3.49 (m, 2H), 3.36 (m, 2H), 1.16 (m, 6H)。
【0081】
c) 5-ブロモ-2-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-7-メチルイソインドリン-1-オン
【化12】

4-ブロモ-2-(ブロモメチル)-6-メチル安息香酸メチル(0.5g, 1.55mmol)、炭酸カリウム(1.28g, 9.31mmol)、ホウ酸(0.096g, 1.55mmol)及び(2-エトキシ-1-メチルエチル)アミントリフルオロ酢酸塩(0.674g, 3.10mmol)を無水ACN 100 mL中で合わせ、そして一晩加熱還流した。溶液をシリカゲルのパッドを通してろ過し、そしてEtOAcで濯いだ。揮発性物質を減圧下で除去し、そして残留物をフラッシュ クロマトグラフィー(SiO2 40 g;溶出:0-20% 酢酸エチル/ヘキサンで40 mL/minにて30分)で精製した。標題生成物を油状物として単離し、それは徐々に固化した(0.350 g, 72%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ7.41 (s,
1H), 7.35 (s, 1H), 4.63 (m, 1H), 4.38 (dd, 2H), 3.59-3.45 (m, 4H), 2.72 (s, 3H), 1.32 (d, 3H), 1.17 (t, 3H)。m/z (AP+) M+1 = 313.1; HPLC tR = 2.41 min。
【0082】
d) 2-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-7-メチル-5-ピリジン-3-イルイソインドリン-1-オン
【化13】

5-ブロモ-2-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-7-メチルイソインドリン-1-オン(0.175g, 0.56mmol)、ピリジン-3-イルボロン酸(0.103g, 0.84mmol)、炭酸セシウム(0.219g, 0.672mmol)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド(0.004g, 0.0056mmol)をDME/H2O/EtOH(7:3:2-4 mL)に溶解し、反応ガラス瓶を密閉し、そしてマイクロ波照射に5分間150℃、固定した保持時間、付した。反応混合物を分液ロートに入れ、EtOAc200mLで希釈し、そしてブライン50mLで2回洗った。有機物をNa2SO4で乾燥し、ろ過し、そして揮発性物質を減圧下で除去した。有機物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO2 12g;溶出:0-65% EtOAc/ヘキサンで30分にわたって25mL/minにて)で精製した。標題生成物を半固体物質として単離した(147.2mg, 84%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ8.87 (s, 1H), 8.64 (m, 1H), 7.89 (m, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.38 (m, 2H), 4.68 (m, 1H), 4.47 (dd, 2H), 3.64-3.45 (m, 4H), 2.82 (s, 3H), 1.34 (d, 3H), 1.18 (t, 3H)。m/z (AP+) M+1 = 311.2; HPLC tR = 1.69 min。
表1に示す実施例5ないし55の化合物を、本願に記載した方法と同様の方法を用いて合成した。
【0083】
【表1】

【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
【表6】

【0089】
【表7】

【0090】
【表8】

【0091】
【表9】

【0092】
表1に示した例示的化合物は以下のものである:
実施例4:2-(ヘキサン-2-イル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例5:7-メチル-2-(3-(メチルチオ)プロピル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例6:2-(3-イソプロポキシプロピル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例7:2-イソプロピル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例8:7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)イソインドリン-1-オン;
実施例9:2-イソブチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例10:2-sec-ブチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
【0093】
実施例11:7-メチル-2-(ペンタン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;実施例12:3-(7-メチル-1-オキソ-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-2-イル)プロパンニトリル;
実施例13:7-メチル-2-(5-メチルヘキサン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例14:7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例15:7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例16:7-メチル-2-(4-メチルペンタン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例17:2-(2-エチルブチル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例18:7-メチル-2-(ペンタン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例19:2-イソペンチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例20:2-(1-メトキシプロパン-2-イル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
【0094】
実施例21:2-(2-メトキシプロピル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例22:2-(2-メトキシエチル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例23:2-(3-メトキシプロピル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例24:7-メチル-2-(1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例25:7-メチル-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例26:2-シクロブチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例27:2-シクロペンチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例28:2-シクロヘキシル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
実施例29:7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)-2-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イソインドリン-1-オン;
実施例30:N-(3-(7-メチル-2-(4-メチルペンタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
【0095】
実施例31:N-(3-(7-メチル-2-(4-メチルペンタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
実施例32:N-(3-(2-((2,2-ジメチルシクロプロピル)メチル)-7-メチル-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド;
実施例33:N-{3-[2-((S)-1,3-ジメチル-ブチル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}メタンスルホンアミド;
実施例34:N-{3-[2-(1-エチル-プロピル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例35:N-{3-[7-メチル-2-(3-メチル-ブチル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例36:N-{3-[2-(3-イソプロポキシ-プロピル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例37:N-{3-[2-(2-エトキシ-1-メチル-エチル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例38:N-{3-[7-メチル-2-(1-メチル-ブチル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例39:N-{3-(2-sec-ブチル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例40:N-{3-(2-イソブチル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル}-メタンスルホンアミド;
【0096】
実施例41:N-{3-[2-(2-メトキシ-1-メチル-エチル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例42:N-{3-[2-(2-メトキシ-プロピル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例43:N-{3-[7-メチル-1-オキソ-2-(2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-エチル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例44:N-{3-(2-イソプロピル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例45:N-メチル-N-{3-[7-メチル-2-(3-メチル-ブチル)-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例46:N-[3-(2-イソブチル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル]-N-メチル-メタンスルホンアミド;
実施例47:N-{3-[2-(2-メトキシ-プロピル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-N-メチル-メタンスルホンアミド;
実施例48:N-{3-[2-(3-イソプロポキシ-プロピル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-N-メチル-メタンスルホンアミド;
実施例49:N-{3-[2-((S)-1,2-ジメチル-プロピル)-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例50:N-[3-(2-シクロブチル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル]-メタンスルホンアミド;
【0097】
実施例51:N-{3-[7-メチル-1-オキソ-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-エチル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド;
実施例52:N-[3-(7-クロロ-2-イソプロピル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル]-メタンスルホンアミド;
実施例53:N-[3-(2-シクロヘキシル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル]-メタンスルホンアミド;
実施例54:N-[3-(2-シクロペンチル-7-メチル-1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル)-フェニル]-メタンスルホンアミド、及び
実施例55:N-{3-[7-クロロ-1-オキソ-2-((S)-2,2,2-トリフルオロ-1-メチル-エチル)-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-5-イル]-フェニル}-メタンスルホンアミド。
【0098】
式Iの化合物の薬理学的性質は、機能活性についての標準的検定を用いて評価できる。グルタミン酸塩受容体検定の例は、例えばAramori等, 1992, Neuron, 8:757;Tanabe等, 1992, Neuron, 8:169;Miller等, 1995, J. Neuroscience, 15:6103;Balazs等, 1997, J. Neurochemistry, 69:151に記載されたように、当業界でよく知られている。好都合なことに、化合物は、細胞内カルシウム、細胞内のmGluR2を発現する[Ca2+]i、の可動化を測定する検定により研究できる。一般に、記載した化合物は本願に記載した検定で、10μM未満の濃度(又はEC50値)で活性である。
【0099】
蛍光画像プレートリーダー(FLIPR)分析を、カルシウム動員によるmGluR2のアロステリック活性剤を検出するのに使用できる。ヒトmGluR2の細胞外且つ膜貫通型ドメイン、及びヒトカルシウム受容体の細胞内ドメインを含み、混乱した(promiscuous)キメラタンパク質Gαqi5に縮合したキメラmGluR2/CaR構築物を発現するクローンHEK 293細胞系を使用した。この構築物の作動薬又はアロステリック活性剤による活性化は、PLC経路の刺激、及び引き続き、FLIPR分析で測定したその後の細胞内Ca2+ 動員を生じる結果となった。分析の24時間前、細胞をトリプシン処理し、そして側部が黒、透明底のコラーゲンI被覆96穴プレート内のDMEMに100,000細胞/穴でプレートした(plated)。該プレートを5% CO2で37℃にて一晩インキュベートした。細胞に6μMフルオ-3アセトキシメチルエステル(分子プローブ(Molecular Probes)、ユーゲン オレゴン(Eugene Oregon))を室温で60分間負荷した。全ての検定は、126mM NaCl、5mM KCl、1mM MgCl2、1mM CaCl2、20mM Hepes、0.06μM DCG-IV(グループII mGluR選択的作動薬)を含み、D-グルコース1.0mg/ml及びBSAフラクションIV(pH7.4) 1.0mg/mlを補充したバッファ内で行った。
【0100】
FLIPR実験は、0.8W及び0.4秒CCDカメラシャッター速度の設定のレーザーを使用して行った。細胞外フルオ-3を洗い落とし、そして細胞をバッファ160μL中に維持しそしてFLIPR中に置いた。試験化合物の添加(0.01μMから30μM、2回)を、ベースライン蛍光読み取りがFLIPRに記録されてから10秒後に行った。蛍光シグナルを次に追加の75秒間記録し、その時点で2回目のDCG-IVの添加(0.2μM)を行い、そして蛍光シグナルを追加の65秒間記録した。蛍光シグナルをサンプル期間内の反応のピーク高さとして測定した。データを、アッセーエクスプローラ(Assay Explorer)を用いて分析し、そしてEC50値及びEmax値(最大DCG-IV効果に対する)を、4パラメータロジスティック方程式を用いて計算した。
【0101】
A [35S]-GTPγS結合検定を、mGluR2受容体活性化を機能的に検定するために使用した。ヒトmGluR2受容体における化合物のアロステリック活性剤活性を、ヒトmGluR2を安定に発現するCHO細胞から調製した膜を用いた[35S]-GTPγS結合検定を使用して測定した。該検定は、作用薬はG-タンパク質結合受容体に結合して該G-タンパク質におけるGDP-GTP交換を刺激する、という原理に基づく。[35S]-GTPγSは非加水分解性GTP類似体であるので、GDP-GTP交換の指数、従って受容体活性化の指数を与えるのに使用できる。従って、GTPγS結合検定は受容体活性化の量的尺度を与える。
【0102】
膜は、ヒトmGluR2を安定にトランスフェクトしたCHO細胞から調製した。膜(タンパク質30μg)を、試験化合物(3nM〜300μM)を用いて15分間室温でインキュベートし、その後、グルタミン酸塩1μMを添加し、そして30分間、30℃にてGDP30μM及び[35S]-GTPγS(1250Ci/mmol)0.1nMを含む検定バッファ500μL(20mM HEPES, 100mM NaCl, 10mM MgCl2)の中でインキュベートした。反応を2mLポリプロピレン96-穴プレート中で3回実施した。パッカード(Packard)96-穴収穫機とユニフィルター(Unifilter)-96、GF/Bフィルターマイクロプレートを用いた真空ろ過により反応を停止させた。該フィルタープレートを氷冷洗浄バッファ(10mMリン酸ナトリウムバッファ, pH7.4)を用いて4×1.5mL(1.5mLで4回)洗浄した。該フィルタープレートを乾燥し、シンチレーション流体(Microscint 20)35μLを各穴に添加した。放射活性結合の量を、パッカード トップカウント(Packard TopCount)の計数プレートにより決定した。データをグラフパッド プリズム(GraphPad Prism)を用いて分析し、そしてEC50値及びEmax値(最大グルタミン酸塩効果に対する)を、非線形回帰(non-linear regression)を用いて計算した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

の化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体、又はそれらの組み合わせ。
式中、
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6及びR7は独立してH、ハロゲン、及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5はC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ;ここで、化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されてもよく、そしていずれの環式基も場合によっては、独立してN、O及びSから成る群から選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており;
AはC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール、C0-6-アルキルヘテロシクリル、C0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(SO2)R10、及びN、O及びSから成る群から独立して選ばれた1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環から成る群から選ばれ、ここで該5ないし7員環は、場合によっては1つ又はそれ以上のR10で置換されており;
R8及びR9は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル若しくはCNから選ばれるか、又はR8とR9は組み合わせてC3-7-シクロアルキル基若しくはヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHとなることはなく;
nは1、2、3、4、5又は6であり;
XはS又はOであり、そして
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換される。
【請求項2】
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6はH、ハロゲン、及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R7はハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5はN、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環であり、ここで、化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されてもよく;
AはC1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール、C0-6-アルキルヘテロシクリル、C0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-
アルキル(SO2)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(SO2)R10及びN、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環から成る群から選ばれ、ここで該5ないし7員環は場合によっては1つ又はそれ以上のR10で置換されており;
R8及びR9は独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル若しくはCNから選ばれるか、又はR8とR9は組み合わせてC3-7-シクロアルキル基若しくはヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHとなることはなく;
nは1、2又は3であり;
XはS又はOであり、そして
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換される、
請求項1の化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせ。
【請求項3】
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6はH、ハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R7はハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5はN、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環であり、ここで化学的に実現可能な場合は、R5は1つ又はそれ以上のAで置換されていてもよく、そしていずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており;
AはC0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2又はC0-6-アルキルNR10(SO2)R10であり;
R8及びR9は、独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル若しくはCNから選ばれるか、又はR8とR9は組み合せて、C3-7-シクロアルキル基若しくはヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHであることはなく;
nは1、2又は3であり;
XはS又はOであり;そして
R10はそれぞれ、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換される、
請求項1の化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせ。
【請求項4】
R1は-CHR8R9であり;
R2、R3及びR4はHであり;
R6はH、ハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R7はハロゲン及びC1-6-アルキルから成る群から選ばれ;
R5はフェニル又はピリジルであり;
AはC0-6-アルキル(CO)N(R10)2、C0-6-アルキルNR10(CO)R10、C0-6-アルキル(SO2)N(R10)2又はC0-6-アルキルNR10(SO2)R10であり;
R8及びR9は、独立してH、C1-6アルキル、C1-6アルコキシC1-6アルキル-、-(CH2)n-X-R10、C1-6-フルオロアルキル、C1-6-パーフルオロアルキル又はCNから選ばれるか、又はR8とR9は組み合わせてC3-7-シクロアルキル基若しくはヘテロシクリル基を形成し、但し、R8及びR9は両方がHとなることはなく;
nは1、2又は3であり;
XはS又はOであり;そして
R10はそれぞれが、独立してH、C1-6-アルキル、C0-6-アルキルアリール、C0-6-アルキルヘテロアリール及びC0-6-アルキルヘテロシクリルから成る群から選ばれ、ここで、いずれの環式基も場合によっては、N、O及びSから成る群から独立して選ばれる1つ又はそれ以上のヘテロ原子を有してもよい5ないし7員環に縮合しており、そしていずれの環式基も場合によっては、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル及びハロアルコキシから選ばれる置換基で置換される、
請求項1の化合物、若しくはその薬学的許容塩、水和物、溶媒和物、光学異性体又はそれらの組み合わせ。
【請求項5】
下記から選ばれる化合物:
2-シクロプロピル-7-メチル-5-ピリジン-3-イル-2,3-ジヒドロ-イソインドール-1-オン;
N-(3-(7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタン-スルホンアミド;
2-(2-エトキシ-1-メチルエチル)-7-メチル-5-ピリジン-3-イルイソインドリン-1-オン;
2-(ヘキサン-2-イル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-2-(3-(メチルチオ)プロピル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-(3-イソプロポキシプロピル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-イソプロピル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)-2-(2,2,2-トリフルオロエチル)イソインドリン-1-オン;
2-イソブチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-sec-ブチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-2-(ペンタン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
3-(7-メチル-1-オキソ-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-2-イル)プロパンニトリル;
7-メチル-2-(5-メチルヘキサン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)-2-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-2-(3-メチルブタン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
7-メチル-2-(4-メチルペンタン-2-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
2-(2-エチルブチル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
7-メチル-2-(ペンタン-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
2-イソペンチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
2-(1-メトキシプロパン-2-イル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-(2-メトキシプロピル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-(2-メトキシエチル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-(3-メトキシプロピル)-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-2-(1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
7-メチル-2-(1-メチル-1H-ピラゾール-3-イル)-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン;
2-シクロブチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
2-シクロペンチル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
2-シクロヘキシル-7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)イソインドリン-1-オン 2-ヒドロキシプロパン-1,2,3-トリカルボキシレート;
7-メチル-5-(ピリジン-3-イル)-2-(1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル)イソインドリン-1-オン;及び
N-(3-(7-メチル-2-(4-メチルペンタン-2-イル)-1-オキソイソインドリン-5-イル)フェニル)メタンスルホンアミド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項記載の化合物、及び薬学的に許容される担体又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項7】
医薬として使用するための請求項1ないし5のいずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
グルタミン酸塩機能不全に関連した神経及び精神障害の治療用医薬の製造における請求項1ないし5のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項9】
神経及び精神障害が、心臓バイパス手術及び移植の後の脳欠損、卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心不全、低血糖神経細胞損傷、痴呆、AIDS誘発痴呆、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性及び薬物誘発パーキンソン病、筋肉痙攣、及び震えを含む筋硬直に関連する障害、てんかん、けいれん、長期のてんかん状態に続発する脳欠損、偏頭痛、偏頭痛性頭痛、尿失禁、物質耐性、物質禁断症状、精神病、統合失調症、不安、全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖、強迫神経症、及び外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、うつ病、躁病、躁うつ病、24時間周期リズム障害、時差ぼけ、シフトワーク、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性症、嘔吐、脳水腫、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、及び外傷後疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、発作性睡眠、注意力欠陥/過活動障害、及び行為障害から選ばれる、請求項8記載の使用。
【請求項10】
グルタミン酸塩機能不全に関連した神経及び精神障害の治療又は予防方法であって、その治療が必要な動物に請求項1ないし5のいずれか1項記載の化合物の治療有効量を投与することを含む上記方法。
【請求項11】
グルタミン酸塩機能不全に関連した神経及び精神障害の治療又は予防方法であって、その治療が必要な動物に請求項10記載の医薬組成物の治療有効量を投与することを含む上記方法。
【請求項12】
神経及び精神障害が、心臓バイパス手術及び移植の後の脳欠損、卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周産期低酸素症、心不全、低血糖神経細胞損傷、痴呆、AIDS誘発痴呆、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性及び薬物誘発パーキンソン病、筋肉痙攣、及び震えを含む筋硬直に関連する障害、てんかん、けいれん、長期のてんかん状態に続発する脳欠損、偏頭痛、偏頭痛性頭痛、尿失禁、物質耐性、物質禁断症状、精神病、統合失調症、不安、全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖、強迫神経症、及び外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、うつ病、躁病、躁うつ病、24時間周期リズム障害、時差ぼけ、シフトワーク、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性症、嘔吐、脳水腫、疼痛、急性疼痛、慢性疼痛、激痛、難治性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、及び外傷後疼痛、遅発性ジスキネジー、睡眠障害、発作性睡眠、注意力欠陥/過活動障害、及び行為障害から選ばれる、請求項10又は11記載の方法。
【請求項13】
神経及び精神障害が、アルツハイマー病、長期のてんかん状態に続発する脳欠損、物質耐性、物質禁断症状、精神病、統合失調症、不安、全般性不安障害、パニック障害、対人恐怖、強迫神経症、及び外傷後ストレス障害(PTSD)、気分障害、うつ病、躁病、及び躁うつ病から選ばれる、請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2009−526847(P2009−526847A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555275(P2008−555275)
【出願日】平成19年2月6日(2007.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/003233
【国際公開番号】WO2007/095024
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】