説明

会場案内システム

【課題】 イベント、アトラクション等趣向の違う複数の施設があるイベント会場において、自分の好みにあった施設を短時間で探すことができる会場案内システムを提供する。
【解決手段】 携帯端末1は、アクセスポイント3a〜3dからの電波を受信した時、携帯端末1の所有者のユーザ情報および位置情報をアクセスポイント3a〜3dへ送信する。アクセスポイント3a〜3dは、携帯端末1から送信されたユーザ情報および位置情報をサーバー4へ送信する。サーバー4は、アクセスポイント3a〜3dから受信したユーザ情報および位置情報に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を記憶手段から読み出し、携帯端末1へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント、アトラクション等趣向の違う複数の施設があるイベント会場等において用いられる会場案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のイベント会場の来場者がイベントやアトラクションを探す場合、会場入り口において会場案内図を入手し、この会場案内図をたよりに行ってみたいイベントやアトラクションの場所を探すのが通常であった。しかし、この会場案内図は、まず、配布している場所を探さなければならず、また、案内図を取得した後、案内図を広げて現在位置を案内図上において探す必要がある。さらに、案内図には当人にとって不要な情報も多く含まれており、これらの情報ため、目的地を探すのに時間がかかり、また、案内図と自分の進行方向との補正が必要等の問題があった。
他方、特許文献1には、GPSによって目的地を検索する携帯端末が記載されている。
【特許文献1】特開2003-194571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の技術は目的地が予め決まっている場合には好適であるが、イベント会場のように、会場に到着してから目的地を探すような場合には利用できない。
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、イベント、アトラクション等趣向の違う複数の施設があるイベント会場において、自分の好みにあった施設を短時間で探すことができる会場案内システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、イベント会場内に設置された複数のアクセスポイントと、前記携帯端末および前記アクセスポイントと通信を行うサーバーとからなる会場案内システムにおいて、前記携帯端末は、前記アクセスポイントからの電波を受信する受信手段と、前記受信手段がアクセスポイントからの電波を受信した時、前記携帯端末の所有者のユーザ情報を前記アクセスポイントへ送信する送信手段を具備し、前記アクセスポイントは、前記携帯端末から送信されたユーザ情報を前記サーバーへ送信する送信手段を具備し、前記サーバーは、前記イベント会場内の各ブースの内容およびイベント会場内の各ブースの配置図が予め記憶された記憶手段と、前記アクセスポイントからユーザ情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信されたユーザ情報および該ユーザ情報を送信したアクセスポイントの位置に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を前記記憶手段から読み出す処理手段と、前記処理手段によって読み出されたブースの内容および配置図を前記携帯端末へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする会場案内システムである。
【0005】
請求項2に記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、イベント会場内に設置された複数のアクセスポイントと、前記携帯端末および前記アクセスポイントと通信を行うサーバーとからなる会場案内システムにおいて、前記携帯端末は、前記携帯端末の位置を計測する位置計測手段と、前記アクセスポイントからの電波を受信する受信手段と、前記受信手段がアクセスポイントからの電波を受信した時、前記携帯端末の所有者のユーザ情報および前記位置計測手段から出力される位置情報を前記アクセスポイントへ送信する送信手段を具備し、前記アクセスポイントは、前記携帯端末から送信されたユーザ情報および位置情報を前記サーバーへ送信する送信手段を具備し、前記サーバーは、前記イベント会場内の各ブースの内容およびイベント会場内の各ブースの配置図が予め記憶された記憶手段と、前記アクセスポイントからユーザ情報および位置情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信されたユーザ情報および位置情報に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を前記記憶手段から読み出す処理手段と、前記処理手段によって読み出されたブースの内容および配置図を前記携帯端末へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする会場案内システムである。
【0006】
請求項3に記載の発明は、ユーザが所持する携帯端末と、イベント会場内に設置された複数のアクセスポイントと、前記携帯端末および前記アクセスポイントと通信を行うサーバーとからなる会場案内システムにおいて、前記携帯端末は、前記携帯端末の位置を計測する位置計測手段と、前記携帯端末の特定部位が向いている方向を検出する方位検出手段と、前記ユーザが入力手段によって送信指示を入力した時、前記位置計測手段から出力される位置情報および前記方位検出手段から出力される方位情報をを前記アクセスポイントへ送信する送信手段を具備し、前記アクセスポイントは、前記携帯端末から送信された位置情報および方位情報を前記サーバーへ送信する送信手段を具備し、前記サーバーは、前記イベント会場内の各ブースの内容およびイベント会場内の各ブースの配置図が予め記憶された記憶手段と、前記アクセスポイントから位置情報および方位情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された位置情報および方位情報に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を前記記憶手段から読み出す処理手段と、前記処理手段によって読み出されたブースの内容および配置図を前記携帯端末へ送信する送信手段とを具備することを特徴とする会場案内システムである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、イベント、アトラクション等趣向の違う複数の施設があるイベント会場において、ユーザが自分の好みにあった施設を短時間で探すことができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の一実施の形態による会場案内システムの全体構成を示す概略図である。この会場案内システムは、ユーザが所持する携帯端末1と、イベント会場2の所定箇所に設けられたアクセスポイント3a〜3dと、会場内サーバ−4とから構成されている。
【0009】
図2は携帯端末1の構成を示すブロック図である。この図において、11はマイクロプロセッサによって構成される制御手段、12は制御手段11のプログラムが記憶されたプログラムメモリ、13は制御手段11の処理においてデータが一時記憶されるデータメモリ、14はテンキーおよびファンクションキーを有して構成される入力手段、15は液晶表示器による表示手段である。16は通信装置であり、アンテナ17を介して公衆回線基地局と無線による通信を行って音声およびデータの通信を行う。18は方位センサであり、アンテナ17が向けられた方向の方位を求める。19はGPS装置であり、アンテナ20を介してGPS衛星からの電波を受信し、受信した電波に基づいて携帯端末1の現在位置を算出する。21は短距離通信装置であり、アンテナ22および無線LAN(Local Area Network)を介してアクセスポイント3a〜3dと通信を行う。
【0010】
図3は会場内サーバー4の構成を示すブロック図である。この図において、41は短距離通信装置であり、アクセスポイント3a〜3dと無線LANを介して通信を行い、アクセスポイント3a〜3dから入力したユーザ情報をバスライン42へ出力し、また、トランザクション管理手段43から出力された情報をユーザの携帯端末1へ送信する。44は通信装置であり、公衆回線を介してインターネットに接続されている。45はユーザ認証手段であり、短距離通信装置41を介して入力されるユーザ情報の認証を行う。46はデータベースであり、イベント会場2の各ブースの配置図およびイベント情報(イベントやアトラクションの内容)が記憶されていると共に、契約ユーザの情報(氏名、年齢、住所、趣味等)が記憶されている。トランザクション管理手段43は、短距離通信装置41を介してユーザ情報、ユーザの位置を示す位置情報およびユーザが指示している方向を示す方位情報を受け、データベース46から対応するデータ(詳細は後述する)を読み出し、短距離無線装置41を介してユーザの携帯端末1へ出力する。
【0011】
次に、上述した実施形態によるシステムの動作を図4を参照して説明する。
ユーザはイベント会場の近辺または自宅において携帯端末1からインターネットを介して会場内サーバー4にアクセスし、会場案内サービス情報を受信する(ステップS1)。会場案内サービス情報が受信されると、サービスメニューが表示手段15に表示される(ステップS2)。ここで、ユーザはメニュー選択を行う(ステップS3)。ユーザがメニュー選択を行うと、会場内サーバー4からユーザ情報入力画面が送信され、表示手段15に表示される。ユーザは、その画面においてユーザ情報(氏名、年齢、住所、趣味等)を入力する(ステップS4)。
【0012】
次に、ユーザが、イベント会場2の入口に設置されたアクセスポイント3aに接近すると、短距離通信装置21がアクセスポイント3aから発信されている電波を受け、制御手段11へ電波受信を示すデータを出力する。制御手段11はそのデータを受け、氏名等のユーザ情報を短距離通信装置21へ出力し、次いで、方位検出および位置情報検出の指示を各々方位センサー18およびGPS装置19へ出力する。この指示を受け、方位センサー18が携帯端末1のアンテナ17が向いている方向の方位情報を検出し(ステップS5)、また、GPS装置19が携帯端末1の位置情報検出を行う(ステップS6)。検出された方位情報および位置情報は短距離通信装置21へ出力される。短距離通信装置21はそれらの情報およびユーザ情報を入口近傍のアクセスポイント3aへ送信する(ステップS7)。アクセスポイント3aは、それらの情報を無線LANを介して会場内サーバー4へ送信する(ステップS8)。
【0013】
会場内サーバー4は、アクセスポイント3aからユーザ情報、携帯端末1の方位情報および位置情報を受け、ユーザ認証手段45によってユーザ情報の認証を行った後、トランザクション管理手段43において情報解析を行う(ステップS9)。そして、その解析の結果に従ってデータベース46のトランザクションを開始する(ステップS10)。具体的には、データベース46から、方位情報が示す方向にあるイベントブースおよびアトラクションブースを検出し、また、位置情報の周囲にあるイベントブースおよびアトラクションブースを検出し、さらに、検出されたブースの中からユーザ情報に適合するブース、すなわち、ユーザの趣味に適合するブース、ユーザの年齢、性別に適合するブースを検出する。そして、検出したブースの内容および位置を示す配置図をデータベース46から読み出し、読み出した情報を短距離通信装置41から携帯端末1へ送信し、トランザクションを終了する(ステップS11)。
【0014】
携帯端末1は会場内サーバー4からイベントブースおよびアトラクションブースについての情報を受信し(ステップS12)、表示手段15に受信した情報を表示する(ステップS13)。
【0015】
以上が、ユーザがイベント会場の入力ゲート近傍に到達した時のシステムの動作である。次に、ユーザがイベント会場2内を移動し、例えば、アクセスポイント3bの近傍に到達すると、携帯端末1の短距離通信装置21がアクセスポイント3bからの電波を受け、制御手段11へ電波受信を示すデータを出力する。以後、上述した場合と同様に、携帯端末1からユーザ情報、方位情報および位置情報がアクセスポイント3bを介して会場内サーバー4へ送信され、会場内サーバー4からイベントブースおよびアトラクションブースの情報が携帯端末1へ送信される。
【0016】
また、ユーザがイベント会場内を移動している途中において、携帯端末1のアンテナ17を望みの方向へ向け、入力手段14において所定の操作を行うと、制御手段11がその操作を検出し、ユーザ情報を短距離通信装置21へ出力すると共に、方位検出および位置情報検出の指示を各々方位センサー18およびGPS装置19へ出力する。以後、前述した場合と同様に、携帯端末1からユーザ情報、方位情報、位置情報が近くのアクセスポイントを経由して会場内サーバー4へ送られ、サーバー4から、アンテナ17の方向にあってユーザの趣味等に適合したブースの情報および配置図が携帯端末1へ送信される。そして、送信された情報が表示手段15に表示される。
【0017】
上述した実施形態によれば、次の効果を得ることができる。
(1)イベント会場の入口において案内図を探す必要がない。
(2)携帯端末に情報が表示されるので、余分なものを持つ必要がない。
(3)進行方向にあるユーザに合った情報のみを表示することができる。
(4)目的ブースが明確でない場合でもユーザに合ったブースの情報が表示されるので、ユーザが簡単に好みのブースを見つけることができる。
(5)イベント会場内においてユーザが携帯端末を望みの方向へ向けると、その方向にありユーザの趣味等に適合するブースが表示されので、ユーザの好みのブースを短時間で探すことができる。
【0018】
なお、上記実施形態においては、ユーザがアクセスポイント3a〜3dの近傍を通過するだけで、会場内サーバー4から会場内のブースの情報が得られるようになっているが、これに代えて、非接触ICカードのように、ユーザのアクションを必要とする構成としてもよい。
また、上記実施形態においては、会場内サーバー4とアクセスポイント3a〜3dが無線LANによって接続されているが、これは、有線LANによって接続してもよい。
また、上記実施形態においては携帯端末1がユーザ情報、位置情報および方位情報をアクセスポイントへ送信するようになっているが、携帯端末1がユーザ情報のみを送信するようにしてもよい。この場合、会場内サーバー4はアクセスポイントの位置をユーザの位置として、その位置の周辺のブースでユーザ情報に適合したブースを検索し、携帯端末1へ送信する。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明は、国際見本市等のイベント会場において用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施形態による会場案内システムの各部材の配置を示す配置図である。
【図2】図1における携帯端末1の構成を示すブロック図である。
【図3】図1における会場内サーバー4の構成を示すブロック図である。
【図4】同実施形態によるシステムの動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0021】
1…携帯端末、2…イベント会場、3a〜3d…アクセスポイント、4…会場内サーバー、11…制御手段、12…プログラムメモリ、13…データメモリ、14…入力手段、15…表示手段、16…通信手段、18…方位センサー、19…GPS装置、21…短距離通信装置、41…短距離通信装置、43…トランザクション管理手段、44…通信装置、45…ユーザ認証手段、46…データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが所持する携帯端末と、イベント会場内に設置された複数のアクセスポイントと、前記携帯端末および前記アクセスポイントと通信を行うサーバーとからなる会場案内システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記アクセスポイントからの電波を受信する受信手段と、
前記受信手段がアクセスポイントからの電波を受信した時、前記携帯端末の所有者のユーザ情報を前記アクセスポイントへ送信する送信手段を具備し、
前記アクセスポイントは、前記携帯端末から送信されたユーザ情報を前記サーバーへ送信する送信手段を具備し、
前記サーバーは、
前記イベント会場内の各ブースの内容およびイベント会場内の各ブースの配置図が予め記憶された記憶手段と、
前記アクセスポイントからユーザ情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたユーザ情報および該ユーザ情報を送信したアクセスポイントの位置に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を前記記憶手段から読み出す処理手段と、
前記処理手段によって読み出されたブースの内容および配置図を前記携帯端末へ送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする会場案内システム。
【請求項2】
ユーザが所持する携帯端末と、イベント会場内に設置された複数のアクセスポイントと、前記携帯端末および前記アクセスポイントと通信を行うサーバーとからなる会場案内システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の位置を計測する位置計測手段と、
前記アクセスポイントからの電波を受信する受信手段と、
前記受信手段がアクセスポイントからの電波を受信した時、前記携帯端末の所有者のユーザ情報および前記位置計測手段から出力される位置情報を前記アクセスポイントへ送信する送信手段を具備し、
前記アクセスポイントは、前記携帯端末から送信されたユーザ情報および位置情報を前記サーバーへ送信する送信手段を具備し、
前記サーバーは、
前記イベント会場内の各ブースの内容およびイベント会場内の各ブースの配置図が予め記憶された記憶手段と、
前記アクセスポイントからユーザ情報および位置情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信されたユーザ情報および位置情報に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を前記記憶手段から読み出す処理手段と、
前記処理手段によって読み出されたブースの内容および配置図を前記携帯端末へ送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする会場案内システム。
【請求項3】
ユーザが所持する携帯端末と、イベント会場内に設置された複数のアクセスポイントと、前記携帯端末および前記アクセスポイントと通信を行うサーバーとからなる会場案内システムにおいて、
前記携帯端末は、
前記携帯端末の位置を計測する位置計測手段と、
前記携帯端末の特定部位が向いている方向を検出する方位検出手段と、
前記ユーザが入力手段によって送信指示を入力した時、前記位置計測手段から出力される位置情報および前記方位検出手段から出力される方位情報をを前記アクセスポイントへ送信する送信手段を具備し、
前記アクセスポイントは、前記携帯端末から送信された位置情報および方位情報を前記サーバーへ送信する送信手段を具備し、
前記サーバーは、
前記イベント会場内の各ブースの内容およびイベント会場内の各ブースの配置図が予め記憶された記憶手段と、
前記アクセスポイントから位置情報および方位情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された位置情報および方位情報に対応するブースを選択し、選択されたブースの内容および配置図を前記記憶手段から読み出す処理手段と、
前記処理手段によって読み出されたブースの内容および配置図を前記携帯端末へ送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする会場案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−235691(P2006−235691A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45298(P2005−45298)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】