説明

伝搬遅延時間測定装置及びレーダ装置

【課題】受信信号の周波数オフセットが発生している場合でも、アレーアンテナを構成することなく、高い推定精度で伝搬遅延時間及び周波数オフセットを測定することができるようにする。
【解決手段】フーリエ変換部6のフーリエ変換結果をフーリエ変換部8のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算部9を設け、2次元高分解能部10がフーリエ変換結果除算部9の除算結果である2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号(例えば、電波、音波、光)を受信し、その変調信号の伝搬遅延時間を測定する伝搬遅延時間測定装置及びレーダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電波の伝搬遅延時間を測定する伝搬遅延時間測定装置は、例えば、レーダ、GPS(Global Positioning System)受信機、携帯端末等の電波発信機の位置を推定するなど、様々な用途に用いられている。
レーダでは、受信機から送信された送信信号が電波反射源に反射されて、再び受信機で受信された受信信号の遅延時間を測定することで、目標までの距離を推定するようにしている。
また、GPS受信機では、GPS衛星から発信された送信信号とGPS受信端末で受信された受信信号との遅延時間を測定し、この遅延時間の測定を最低限4つのGPS衛星について繰り返すことで、GPS受信端末の位置を推定するようにしている。
また、携帯端末等の電波発信機では、携帯端末から発信された送信信号を複数の受信機で受信し、受信機間の遅延時間差を測定することで、携帯端末の位置を推定するようにしている。
【0003】
このような電波の伝搬遅延時間推定方式として、受信信号と参照信号、あるいは、複数の受信機で受信された受信信号同士の相互相関関数(以後、「CCF」と称する。CCF:Cross Correlation Function)により相関ピークを検出し、ピーク位置から遅延時間を推定する方式が一般的に用いられている。
【0004】
しかし、電波反射源(あるいは、送信機)と受信機とが相対運動を行っている場合、受信信号が発生したドップラー周波数分だけ周波数シフトし、上述したCCFでは、相関ピークが検出されない。
電波送信機と受信機のローカル発振周波数がずれている場合には、ローカル発振周波数のずれの分だけ周波数シフト(以後、ドップラー周波数シフトとローカル発振周波数のずれを纏めて周波数オフセットと称する)が起こる。
周波数オフセットしている受信信号と送信信号との遅延時間を推定するために、送信信号の周波数をシフトさせてCCFを計算する手法(以後、2次元CCFと称する)が存在する。
この手法では、2次元CCFのピーク位置から、遅延時間と周波数オフセットを推定することが可能である。
【0005】
ところで、上記の伝搬遅延時間測定装置では、測定精度を劣化させる大きな要因としてマルチパス波が上げられる。
送信機(あるいは、電波反射源)と受信機を直線で結ぶ伝搬経路を伝搬して、受信機で受信された受信信号の波形は直接波と呼ばれ、他の経路を伝搬して、受信機で受信された受信信号の波形はマルチパス波と呼ばれている。
例えば、GPS受信機において、直接波のみを受信している場合、受信信号と参照信号の2次元CCFのピーク位置から伝搬遅延を求めることにより、その伝搬遅延からGPS衛星とGPS受信機間の距離を正確に推定することができるが、GPS衛星から発信された信号が他の反射源に反射されて、GPS受信機で受信された場合、2次元CCFのピーク位置から求められる伝搬遅延は、GPS衛星とGPS受信機間の距離を示していない。
【0006】
マルチパス波は直接波と比較して、遅れて受信機に到達するため、直接波とマルチパス波の遅延時間差がある程度あれば、2波を分離して推定することができる。
また、直接波とマルチパス波の周波数オフセットがある程度あれば、2波を分離して推定することができる。
分離推定可能な2波間の遅延時間差は時間分解能と呼ばれ、分離推定可能な2波間の周波数オフセット差は周波数分解能と呼ばれる。
一般に、2次元CCFの時間分解能は、送信信号の帯域幅の逆数で決定され、周波数分解能は、受信信号の観測時間長の逆数で決定される。
したがって、遅延時間が信号帯域幅の逆数以下に近接し、周波数オフセットが観測時間長の逆数以下に近接しているマルチパス波は、分離推定できず、遅延時間の推定精度や、周波数オフセットの推定精度が劣化することになる。
【0007】
遅延時間の推定精度を改善する手法として、MUSIC(Multiple Signal Classification)やESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)などの高分解能アルゴリズムを応用することで、CCFより高い時間分解能を得る方式が、以下の非特許文献1,2に開示されている。
この高分解能アルゴリズムを用いる遅延時間推定方式では、受信機がPN(Pseudo Noise)符号により変調された電波を受信すると、その電波をフーリエ変換した信号を、変調された符号と同じPN符号(ここでは、参照信号と称する)をフーリエ変換した信号で除算し、その除算結果である周波数伝達関数に対して、MUSICアルゴリズムを適用することで高精度に遅延時間を推定することができる。
ただし、上記の高分解能アルゴリズムでは、受信信号の周波数オフセットが考慮されておらず、周波数オフセットが発生している場合には、推定遅延時間の精度が劣化することになる。
【0008】
また、以下の非特許文献3には、遅延時間と周波数オフセットを同時に高い分解能で求める手法が開示されている。
ただし、非特許文献3では、受信機を複数用意してアレーアンテナを構成し、そのアレーアンテナで信号を受信することを前提としており、1つの受信機で取得した受信信号の遅延時間と周波数オフセットを同時に高い分解能で推定する手法については開示していない。
【0009】
【非特許文献1】菊間信良著「アレーアンテナによる適応信号処理」科学技術出版(1998年刊)
【非特許文献2】中原、小川、菊間、稲垣、B−10、‘FFT−MUSIC法とFFT演算型相関法の多重波伝搬遅延時間分解能の比較検討’、1995年 電子情報通信学総合大会
【非特許文献3】Jakobsson, A. Lee Swindlehurst, and P. Stoica,‘Subspace-Based Estimation of Time Delays and Doppler Shifts,’IEEE Trans., vol.46, no.9, Sep 1998.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の伝搬遅延時間測定装置は以上のように構成されているので、MUSICなどの高分解能アルゴリズムを応用することで、遅延時間の推定精度を改善することができる。しかし、受信信号の周波数オフセットが発生している場合には、推定遅延時間の精度が劣化することがある課題があった。
【0011】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、受信信号の周波数オフセットが発生している場合でも、アレーアンテナを構成することなく、高い推定精度で伝搬遅延時間及び周波数オフセットを測定することができる伝搬遅延時間測定装置及びレーダ装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明に係る伝搬遅延時間測定装置は、搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号を受信し、その変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換するデジタル信号取得手段と、デジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割手段と、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、参照信号をフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段とを設け、高分解能処理手段がフーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出するようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号を受信し、その変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換するデジタル信号取得手段と、デジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割手段と、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、参照信号をフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段とを設け、高分解能処理手段がフーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出するように構成したので、受信信号の周波数オフセットが発生している場合でも、アレーアンテナを構成することなく、高い推定精度で伝搬遅延時間及び周波数オフセットを測定することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
図1の伝搬遅延時間測定装置は、レーダ装置、GPS測位装置、携帯等の無線端末に使用することが可能なものであり、この実施の形態1では、GPS測位装置に適用する例を説明する。
また、GPS測位装置には、別途サーバーを通して、衛星の概略位置やGPS時刻等の情報を受信する構成のものがあるが(アシスト型GPS受信機)、この実施の形態1では、それらのアシストを必要としない自立型のGPS受信機に適用する例を説明する。
【0015】
図1において、デジタル信号取得手段を構成しているデジタル信号取得部1は搬送波が既知の参照信号により変調されている電波(変調信号)を受信し、その変調信号の周波数を変換することにより、その変調信号をIF(Intermediate Frequency:中間周波)信号に変換し、また、そのIF信号をA/D変換することにより、そのIF信号をデジタル信号に変換する処理を実施する。
デジタル信号取得部1の受信アンテナ2はGPS衛星から発信された電波(搬送波が既知の参照信号により変調されている電波)であるGPS信号を受信する。
デジタル信号取得部1の受信部3は受信アンテナ2により受信されたGPS信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、そのGPS信号をIF信号に変換する処理を実施する。
デジタル信号取得部1のA/D変換部4は受信部3により変換されたIF信号をデジタル信号に変換する処理を実施する。
【0016】
ブロック分割部5はデジタル信号取得部1から出力されたデジタルのIF信号をブロック毎に分割する処理を実施する。なお、ブロック分割部5はブロック分割手段を構成している。
フーリエ変換部6はブロック分割部5により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する処理を実施する。なお、フーリエ変換部6は第1のフーリエ変換手段を構成している。
【0017】
参照信号生成部7はGPS衛星が搬送波を変調する際に使用する参照信号を生成する処理を実施する。
フーリエ変換部8は参照信号生成部7により生成された参照信号をフーリエ変換する処理を実施する。
なお、参照信号生成部7及びフーリエ変換部8から第2のフーリエ変換手段が構成されている。
【0018】
フーリエ変換結果除算部9はフーリエ変換部6のフーリエ変換結果をフーリエ変換部8のフーリエ変換結果で除算し、その除算結果であるアレーデータを2次元高分解能部10に出力する処理を実施する。なお、フーリエ変換結果除算部9はフーリエ変換結果除算手段を構成している。
2次元高分解能部10はフーリエ変換結果除算部9より出力されたアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する処理を実施する。なお、2次元高分解能部10は高分解能処理手段を構成している。
【0019】
この実施の形態1で扱う参照信号は、GPS信号を生成するためのC/Aコード(Clear/Acquisition Code)と呼ばれる拡散符号が相当する。
図2はC/Aコードの構成を示す説明図である。
図2において、横軸は時刻を表しており、GPS衛星から発信される電波であるGPS信号は、搬送波周波数L1(LINK1:1575.42MHz)の信号が、BPSK変調(Binary Phase Shift Keying:二値位相変調)された信号であり、その変調の基本となるのが、C/Aコードである。
【0020】
実際のGPS信号は、搬送波周波数L1がPコード(Precision Code)で変調された後に、C/Aコードで変調された信号であるが、Pコードの説明については省略する。
C/Aコードの継続時間(周期)は1ミリ秒であり、その間に1,023ビット(1.023Mbps)を有する。
したがって、C/Aコードの1ビットは約1μsecであり、一般的にC/Aコードの1ビットは1チップと呼ばれる。
C/Aコードの20回の繰り返しが一つの単位となり、このC/Aコードの20回の繰り返し信号が、航法データの1ビットに対応し、C/Aコードの20回の繰り返し信号、または、その極性反転である信号(変調されたGPS信号でいえば、位相が180°異なる)によって、航法データが表される。したがって、航法データの1ビットは20ミリ秒である。
【0021】
次に動作について説明する。
GPS衛星は、既知の参照信号であるC/Aコードで搬送波を変調することによりGPS信号を生成し、そのGPS信号を発信する。
デジタル信号取得部1は、GPS衛星から発信された電波であるGPS信号を受信すると、そのGPS信号をIF信号に変換して、そのIF信号をデジタル信号に変換する。
以下、デジタル信号取得部1の処理内容を具体的に説明する。
【0022】
デジタル信号取得部1の受信アンテナ2は、GPS衛星から発信されたGPS信号を受信し、そのGPS信号を受信部3に出力する。
デジタル信号取得部1の受信部3は、受信アンテナ2からGPS信号を受けると、そのGPS信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、そのGPS信号をIF信号に変換する。
受信部3は、例えば、バンドパスフィルタを用いて、GPS信号から搬送波周波数L1(1575.42MHz)の前後約2〜20MHz帯域以外の信号を除去する。その後、搬送波周波数L1より低い周波数(搬送波周波数−IF周波数)の正弦波を乗じて、ローパスフィルタで高調波成分を除去することにより、中心周波数がIF周波数fIFに変換されたIF信号を取得する。
【0023】
受信部3は、位相が90度異なる2つの正弦波を用いて、GPS信号の実部と虚部を取り出すようにする。この2つの信号は、位相が90度異なるので、以下、これを実部および虚部の絶対値を持つ複素数として捉え、位相と振幅の情報を持つ1つの信号(以下、複素信号と称する)として扱う。以下の説明において、取り出した信号は複素数であるとしている。
なお、実部のみを取り出して、A/D変換部4がデジタル信号に変換した後に、位相が90度異なる2つの正弦波を用いて、実部と虚部を取り出すという構成も考えられるが、ここでは、A/D変換前に実部および虚部を取り出し、複素信号として扱う構成について説明する。
【0024】
受信部3で得られるIF信号に対して、IF周波数fIFの正弦波信号を乗算することによりベースバンド信号に変換することができるが、実際には、以下の理由により、変換されたベースバンド信号は周波数シフトしている。
GPS衛星と図1の伝搬遅延時間測定装置との相対速度に起因して、受信アンテナ2により受信されたGPS信号の搬送波周波数は、GPS衛星が送信した周波数(1575.42MHz)とは一致していない。
また、受信部3が実装している発振器の発振周波数にも誤差があるので、GPS信号に乗じる正弦波も、(1575.42MHz−fIF)とは異なる周波数である。
この周波数の差が周波数オフセットであり、この周波数オフセットの影響で、受信部3で変換した信号の位相は変化する。
即ち、変換した信号の位相は、上記周波数の差を周波数として回転する。受信部3では、このことを考慮し、後で周波数の差を補正することができるようにするため、位相と振幅の情報を持つ複素信号を出力する。
【0025】
デジタル信号取得部1のA/D変換部4は、受信部3がGPS信号をIF信号に変換すると、所定のサンプリング周波数でIF信号をサンプリングして、そのIF信号をデジタル信号に変換する。
即ち、A/D変換部4は、受信部3から出力される複素信号における実部及び虚部のそれぞれをA/D変換し、実部及び虚部のペアによって表される複素数を出力する。
なお、A/D変換部4は、C/Aコードの一周期が1.023ビットで構成されており、C/Aコードの一周期は1ミリ秒であるから、2.046MHz以上の周波数でサンプリングを行う必要がある。
【0026】
参照信号生成部7は、GPS衛星が搬送波を変調する際に使用する参照信号を生成する。
即ち、参照信号生成部7は、デジタル信号取得部1により受信されたGPS信号に含まれているGPS衛星の番号を参照して、そのGPS衛星が用いているC/Aコードと一致する拡散信号を参照信号として生成する(“1”または“−1”の二値のコード)。
このとき、A/D変換部4のサンプリング周波数と同期するように、参照信号のデータ数を調整する。例えば、サンプリング周波数が2.046MHzであれば、C/Aコードの1ビットに対してデータを2つ生成する。
【0027】
ブロック分割部5は、デジタル信号取得部1からデジタルのIF信号であるデジタル信号を受けると、そのデジタル信号に対して、IF周波数fIFの複素正弦波信号であるexp(−j2πfIFt)を乗算する。
ここで、tは時間であり、expは自然対数の底、jは虚数単位、πは円周率である。
この操作により、IF信号は周波数オフセットfDを中心周波数とする信号に変換される。
次に、ブロック分割部5は、変換したデジタル信号をブロック周期T毎に分割する。このブロック周期は、GPS信号の場合、C/Aコードの1周期である1msに相当する。
【0028】
ブロック分割部5により分割されたデジタル信号には、上述した理由により、GPS衛星と伝搬遅延時間測定装置との相対運動及び受信部3の発振周波数がもつ誤差に起因して、周波数オフセットfDが発生している。
また、参照信号生成部7により生成された参照符号の開始タイミングの差である伝搬遅延時間τだけ時間シフトしている。
実際は、τには伝搬遅延時間だけでなく、GPS衛星と伝搬遅延時間測定装置との間で生じる時刻同期誤差が含まる。
通常のGPS測位装置では、複数の衛星の遅延時間τを計測した後に、GPS測位装置の三次元座標と時刻同期誤差を未知数として、上記時刻誤差を推定するが、ここでは、τには伝搬遅延時間だけが含まれることを考える。
【0029】
ブロック分割部5により得られたp(p=1,・・・,P)番目のブロックのデジタル信号yp(n)は、式(1)で表される。
【数1】

ただし、s(n)は参照信号であるC/Aコードをサンプリング周期Δtでサンプリングした信号である。
n(n=0,・・・,N−1)はブロック毎にデジタル信号を分割したときのサンプル番号であり、Nは1msに含まれるサンプル数である。また、ブロック周期T=NΔt=1msである。
また、a1は直接波の振幅や位相を表す複素定数、τ1は直接波の伝搬遅延時間、fD1は直接波の参照信号との周波数オフセットである。
【0030】
フーリエ変換部6は、ブロック分割部5がデジタル信号をブロック毎に分割すると、その分割されたデジタル信号をブロック毎に離散フーリエ変換(DFT:Discrete Fourier Transform)する。
下記の式(2)は、式(1)のデジタル信号yp(n)がDFTされた周波数スペクトルYp(k)を示している。ただし、kは周波数スペクトルのインデックスである。
【数2】

【0031】
フーリエ変換部8は、参照信号生成部7が参照信号を生成すると、その参照信号の離散信号s(n)のDFTを実施し、以下の式(3)に示すような参照信号の周波数スペクトルS(k)を得る。
【数3】

【0032】
ここで、式(2)で表される周波数スペクトルYp(k)は、参照信号の周波数スペクトルS(k)とフーリエ変換の性質を用いて、下記の式(4)のように記述することができる。
【数4】

ただし、a~1はa1に遅延時間τ1と周波数オフセットfD1に伴う位相回転exp(j2πτ1D1)が乗算された複素定数を表している。
また、Δfは周波数ステップであり、1/Tである。
【0033】
上式(4)の変形においては、フーリエ変換の時間・周波数推移則を用いている。
即ち、a1s(t−τ)exp(j2πfDt)のフーリエ変換は、a~1S(f−fD)exp(−j2πτf)であることを用いている。
ここで、S(f)はs(t)の周波数スペクトルである。
しかし、実際には、上記の式(4)は、式(2)(3)に示すように、有限の時間サンプルN(区間T)を用いた離散フーリエ変換で計算される。
したがって、式(4)のスペクトルに対して、区間Tの時間窓w(t)のスペクトルW(f)が畳み込まれることになる。W(f)のスペクトルのメインローブ幅は窓形状にもよるが、おおよそ1/T=Δfである。
したがって、窓の離散周波数スペクトルW(k)のメインローブ幅は、おおよそ1となり、W(k)が畳み込まれることにより、1より小さい幅の変化はつぶされてしまうことになる。よって、fD1/Δf<<1であれば、式(4)は、下記の式(5)のように近似することができる。
【数5】

【0034】
フーリエ変換結果除算部9は、フーリエ変換部6が周波数スペクトルYp(k)を算出し、フーリエ変換部8が周波数スペクトルS(k)を算出すると、その周波数スペクトルYp(k)を周波数スペクトルS(k)で除算し、その除算結果である2次元アレーデータを2次元高分解能部10に出力する。
式(5)の近似式を用いると、フーリエ変換結果除算部9から出力される2次元アレーデータx(k,p)は、下記の式(6)のように記述することができる。
【数6】

【0035】
ただし、除算を行う周波数スペクトルのインデックスの範囲は信号成分が存在する範囲である。
例えば、受信部3におけるバンドパスフィルタの帯域幅が1MHzである場合、KΔf=1MHzとなるように、周波数スペクトルのインデックスの総数Kを定める。
また、信号受信時の信号対雑音電力比(SNR:Signal to Noise Ratio)によっては、Kを増加あるいは減少させる構成としてもよい。
【0036】
2次元高分解能部10は、フーリエ変換結果除算部9から2次元アレーデータを受けると、2次元アレーデータに対して、MUSIC法やESPRIT法等の高分解能法を適用することにより、2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。
2次元高分解能法については、上記の非特許文献1で詳細に記述されているので、ここでは、MUSIC法を適用する場合の概略について記述する。ただし、ESPRIT法や最尤推定法、MODE(Method Of Direction Estimation)法等の他の高分解能アルゴリズムを適用することも可能である。
【0037】
直接波と複数のマルチパス波(合計L波)が到来し、受信機雑音が含まれる場合の2次元アレーデータは、下記の式(7)のように記述することができる。
【数7】

ただし、NはK×Pの雑音行列であり、a~lは第l波(l=1が直接波、それ以外がマルチパス波)の複素係数、τlは第l波の遅延時間、fDlは第l波の周波数オフセットである。
また、vk(τl)vp(fD1Tはモードベクトル行列と呼ばれるK×Pの行列であり、Tは行列及びベクトルの転置を表している。
【0038】
次に、行列の列ベクトルを行方向に並べて、行列を列ベクトル化する演算子vec(・)を用いて、式(9)を変形すると、以下のようになる。
【数8】

【0039】
次に、式(10)の相関行列Rxxを以下のように計算する。
【数9】

ただし、E[・]は期待値演算であり、雑音は周波数インデックス間及びブロック間で無相関であり、信号と雑音も互いに無相関であると仮定している。
A=E[aHa]とおき、σ2は雑音電力を表している。
【0040】
式(14)はアレーアンテナにおける高分解能処理に適用する相関行列と同型であり、複素定数a~lが互いに無相関であれば、式(14)を固有値展開したときの雑音固有ベクトルを並べた行列ENとモードベクトル行列をベクトル化したd(τ,f)に直交性が成立する。
よって、MUSIC法を用いた推定では、以下の評価関数がピークとなるL個の遅延時間τ及び周波数オフセットfDを求めることで、直接波及びマルチパス波の遅延時間τ及び周波数オフセットfDを高い分解能で推定することができる。
【数10】

なお、式(14)では、a~lが互いに無相関であると仮定しているが、そうでない場合にも、2次元アレーデータの移動平均処理を施すことにより推定が可能になる。移動平均処理の詳細は、上記の非特許文献1に記載されている。
【0041】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、デジタル信号取得部1より出力されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割部5と、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換するフーリエ変換部6と、参照信号をフーリエ変換するフーリエ変換部8と、フーリエ変換部6のフーリエ変換結果をフーリエ変換部8のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算部9とを設け、2次元高分解能部10がフーリエ変換結果除算部9の除算結果である2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出するように構成したので、受信信号の周波数オフセットが発生している場合でも、アレーアンテナを構成することなく、高い推定精度で直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を測定することができる効果を奏する。
【0042】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、ブロック周期Tの逆数に対して、推定すべき周波数オフセットfDが小さいという仮定を行っており、周波数オフセットfDがブロック周期Tに対して大きい場合には推定精度が劣化する。
また、参照信号s(n)の周波数スペクトルが拡散変調符号のように周波数軸上で激しく変動している場合、式(6)の除算操作により、低SNR時に雑音成分が増幅されて精度が劣化する。
さらに、参照信号s(n)のブロック周期T内に含まれるサンプル数Nが大きい場合、式(14)の相関行列の次元が大きくなり、演算量が膨大になる問題がある。
そこで、この実施の形態2では、直接波とマルチパス波の遅延時間及び周波数オフセットが近接しているという状況下において、上記の問題を解決する構成について記述する。
【0043】
受信部3から出力されるA/D変換前のアナログIF信号を用いて説明する。
アナログのIF信号に対して中間周波数fIFの正弦波信号を乗算した後に、ブロック周期T毎に分割したyp(t)を用いて、この実施の形態2の効果について説明する。
直接波及びマルチパス波における概略の遅延時間及び周波数オフセットを得るために、受信信号yp(t)の周波数オフセットを補償して、以下のように2次元CCFを算出する。
【数11】

ただし、mは周波数補償インデックスであり、Δfcは周波数補償ステップである。また、*は複素共役を表している。
上記の式(16)をτ方向にフーリエ変換を行うことで、次の式(17)を得る。
【0044】
【数12】

【0045】
ここで、周波数補償ステップΔfc=1/(PT)とすると、式(18)はp方向の正弦波信号に対して、DFTを行うことと等価である。
したがって、yp(t)をA/D変換した離散受信信号yp(n)から式(16)を計算して、fD1−mΔfc<<1/Tとすると、式(17)をm方向に逆離散フーリエ変換(IDFT:Inverse DFT)したものを参照信号のパワースペクトル(S(k)の絶対値の二乗)で除算することにより、式(5)と同様の2次元アレーデータを得ることができる。
【0046】
なお、式(17)におけるτ方向のフーリエ変換は、下記の非特許文献4及び特許文献1に開示されている手法を応用し、2次元CCFのピーク周辺に所望の遅延時間とドップラー周波数が含まれるとして、ピーク近傍に窓関数を乗算した後にフーリエ変換することに置き換えられる。
これにより、演算量の低減と低SNR環境下の精度向上が可能である。また、ピーク周辺に時間窓を乗算してDFTを行うことで、DFT後の周波数分解能はほぼ1/Twとなり、上記実施の形態1で述べたように、fD1−mΔfcの影響を軽減することができることが考えられる。ここでTwは、ピーク周辺に乗算する時間窓長である。
・非特許文献4
大島、岡村、千葉、‘エンハンスト周波数領域MUSIC法を用いた高精度遅延時間推定’、信学技法、SANE2006−130、2007年
・特許文献1
特開2007−298503号公報
【0047】
図3はこの発明の実施の形態2による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
2次元相互相関関数算出部11は参照信号生成部7により生成された参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する処理を実施する。
ピーク近傍抽出部12は2次元相互相関関数算出部11により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出する処理を実施する。
2次元フーリエ変換部13はピーク近傍抽出部12により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、その2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する処理を実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部11、ピーク近傍抽出部12及び2次元フーリエ変換部13から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
【0048】
自己相関関数算出部14は参照信号生成部7により生成された参照信号の自己相関関数を算出する処理を実施する。
ピーク近傍抽出部15は自己相関関数算出部14により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出する処理を実施する。
フーリエ変換部16はピーク近傍抽出部15により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換する処理を実施する。
なお、自己相関関数算出部14、ピーク近傍抽出部15及びフーリエ変換部16から第2のフーリエ変換手段が構成されている。
【0049】
次に動作について説明する。
2次元相互相関関数算出部11は、上記実施の形態1と同様にして、ブロック分割部5がデジタル信号をブロック毎に分割すると、参照信号生成部7により生成された参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する。
即ち、2次元相互相関関数算出部11は、参照信号の周波数オフセットを周波数ステップΔfで変化させて、2次元相互相関関数である2次元CCFを以下のように計算する。
【0050】
なお、式(16)では、受信信号を連続信号として記述しているが、t→nΔtとすることで、A/D変換部4の出力信号であるデジタル信号を模擬することができる。また、それに伴って、式(16)において、τ→iΔtと変換する。
【数13】

ただし、iはCCFの相関ラグである。
m(=1,・・・,M)は周波数補償のインデックスであり、Δfcは観測時間長1/(PT)以下とするのが望ましい。直接波と近接波の遅延時間τ、周波数オフセットfDがともに近接している場合、式(20)の2次元CCFのピーク近傍に直接波及びマルチパス波が含まれる。
【0051】
ピーク近傍抽出部12は、2次元相互相関関数算出部11が2次元相互相関関数である2次元CCFを算出すると、2次元CCFのピーク近傍に2次元窓関数w(i,m)を乗算することにより、2次元CCFのピーク近傍を抽出する。
w(i,m)はip、mpがピークであり、それらに対して対称な窓関数とする。ただし、i方向とm方向の形状が異なっても構わない。
また、w(i,m)がピークとなるip、mpはCys(i、m)の絶対値が最大となるi、mとしてもよいし、Cys(i、m)の絶対値に対して、ある閾値(2次元相互相関関数から計算される雑音レベルで定まる閾値)を設けて、その閾値を超えたインデックスi、mにCys(i、m)の絶対値の重みを乗算して重み平均を計算することで、ip、mpを推定してもよい。
【0052】
2次元フーリエ変換部13は、ピーク近傍抽出部12が2次元CCFのピーク近傍を抽出すると、2次元CCFのピーク近傍を相関ラグ方向にDFTし、その2次元CCFのピーク近傍を周波数補償のインデックス方向にIDFTする。
【数14】

ただし、mpはピーク近傍抽出部12により推定された2次元CCFピーク近傍の周波数インデックスのサンプル、2Mwは周波数補償インデックス方向の抽出サンプル数、2Iwはピーク近傍抽出部12により推定された2次元CCFピーク近傍の相関ラグ方向の抽出サンプル数である。hはブロックインデックスに相当する。
仮に、Δf=1/(PT)、かつ、2次元窓関数w(i,m)のm方向の抽出サンプル数2Mw=P、つまり、ブロック数に等しい場合、hとブロックインデックスpは完全に一致する。
【0053】
自己相関関数算出部14は、参照信号生成部7が参照信号を生成すると、その参照信号の自己相関関数(ACF:Auto Correlation Function)を算出する。
【数15】

なお、式(22)は、フーリエ変換と畳み込み積分の性質を用いて、周波数スペクトルS(k)の絶対値の二乗を計算した後に、IDFTを行って求めてもよい。
【0054】
ピーク近傍抽出部15は、自己相関関数算出部14が自己相関関数ACFを算出すると、ピーク近傍抽出部12が使用している2次元窓関数w(i,m)を自己相関関数ACFのピーク近傍に乗算することにより、自己相関関数ACFのピーク近傍を抽出する。
ただし、w(i,m)の周波数インデックス方向のピークにおける1次元窓関数w(i,mp)を乗算する必要がある。
【0055】
フーリエ変換部16は、ピーク近傍抽出部15が自己相関関数ACFのピーク近傍を抽出すると、下記の式(23)に示すように、自己相関関数ACFに1次元窓関数w(i,mp)を乗算した後にDFTする。
【数16】

【0056】
フーリエ変換結果除算部9は、2次元フーリエ変換部13における式(21)のフーリエ変換結果をフーリエ変換部16における式(23)のフーリエ変換結果で除算し、その除算結果である2次元アレーデータを2次元高分解能部10に出力する。
2次元高分解能部10は、フーリエ変換結果除算部9から2次元アレーデータを受けると、上記実施の形態1と同様に、式(15)の評価関数のL個のピークを検出することで、2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。
ただし、この実施の形態2では、式(15)の評価関数を探索するτとfDの範囲を、それぞれ−Tw/2+τ~≦τ≦+Tw/2+τ~、−MwΔfc+fD~≦fD≦+MwΔfc+fD~、とすればよい。なぜなら、式(21)の窓関数を乗算することにより観測する時間範囲がτ~を中心とするTw内に、周波数範囲がfD~を中心とする2MwΔfc内に限られているためである。
【0057】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、参照信号の周波数オフセットを変化させて2次元CCFを算出することで、直接波とマルチパス波の大まかな遅延時間及び周波数オフセットを推定し、その遅延時間及び周波数オフセットの近傍を窓関数で抽出してDFTを行うようにしているので、2次元高分解能部10で算出する相関行列の次元数を減少させることができる効果を奏する。
また、時間窓を乗算して相関ラグ方向にDFTを行うことで、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNRの劣化を防ぐことができると効果を奏する。
【0058】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、周波数補償方向(m方向)のIDFTの際に周波数補償が十分に実施されていないスペクトルが加算されることにより、性能の劣化が懸念される。
具体的には、式(17)における周波数スペクトルS(f−fD1+mΔfc)がmに依存するために、IDFTの際にそれらが加算される。
そこで、この実施の形態3では、2次元相互相関関数算出部11で得られた直接波、マルチパス波の遅延時間及び周波数オフセットの概略値を用いて、受信信号を補償することで上記の問題を解決するようにする。
【0059】
受信信号をブロック毎に分割した連続信号yp(t)を用いて、この実施の形態3の効果について説明する。
2次元相互相関関数算出部11で得られたピーク周辺から遅延時間及び周波数オフセットの概略値であるτ~及びfD~を推定する。推定した周波数オフセットfD~を用いて、次の式(24)のように受信信号を補償して、ブロック毎の相互相関関数を計算する。
【数17】

【0060】
次に、式(24)を遅延方向にフーリエ変換することで、次の式(25)を得る。
【数18】

【0061】
したがって、fD1−fD~<<1/Tであれば、式(25)を参照信号のパワースペクトルS(f)の絶対値の二乗で除算することにより、式(5)と同様の2次元アレーデータを得ることができる。また、式(24)のフーリエ変換は、上記実施の形態2と同様に、遅延時間τ~の周辺に時間窓を乗算した後にフーリエ変換することに置き換えられる。
よって、乗算した時間窓長Twに応じて、中間周波数fD1に対する制約がfD1−fD~<<1/Twとなり、条件を緩和することができることが考えられる。
【0062】
図4はこの発明の実施の形態3による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図1及び図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
相互相関関数算出部51は2次元相互相関関数算出部11により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、その2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間τ~及び周波数オフセットfD~を推定するとともに、その周波数オフセットfD~を用いて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の1次元相互相関関数を算出する処理を実施する。
【0063】
ピーク近傍抽出部52は相互相関関数算出部51により算出されたブロック毎の1次元相互相関関数から遅延時間τ~の周辺部分の1次元相互相関関数を抽出する処理を実施する。
遅延方向フーリエ変換部53はピーク近傍抽出部52により抽出された1次元相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する処理を実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部11、相互相関関数算出部51、ピーク近傍抽出部52及び遅延方向フーリエ変換部53から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
【0064】
次に動作について説明する。
相互相関関数算出部51は、2次元相互相関関数算出部11が式(20)の2次元相互相関関数を算出すると、その2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、その2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間τ~及び周波数オフセットfD~を推定する。
ここで、遅延時間τ~及び周波数オフセットfD~は、図3のピーク近傍抽出部12と同様に、Cys(i、m)の絶対値が最大となるi、mから求めてもよい。
また、Cys(i、m)の絶対値に対して、ある閾値(2次元相互相関関数から計算される雑音レベルで定まる閾値)を設けて、その閾値を超えたインデックスi、mにCys(i、m)の絶対値の重みを乗算して重み平均を計算することで、ip、mpを推定してもよい。
上記により推定されたip、mpから、τ~=ipΔt、fD~=mpΔfcとして、遅延時間及び周波数オフセットの概略値が推定される。
【0065】
相互相関関数算出部51は、上記のようにして、周波数オフセットfD~を推定すると、その周波数オフセットfD~を用いて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、式(24)にしたがって、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の1次元相互相関関数を算出する。
なお、式(24)では、受信信号を連続信号として記述しているが、t→nΔtとすることで離散信号に変換することができる。また、それに伴って、τ→iΔtと変換する。
【数19】

【0066】
ピーク近傍抽出部52は、相互相関関数算出部51がブロック毎の1次元相互相関関数を算出すると、その1次元相互相関関数における遅延時間τ~(相関ラグはip)の周辺部分に対して時間窓w(i)を乗算することにより、その遅延時間τ~の周辺部分の1次元相互相関関数を抽出する。
ここで、w(i)はipにて最大値を取り、ipに対して対称な窓とする。
ブロック毎に受信信号SNRが変化しないのであれば、時間窓w(i)として、ブロック方向に一定な窓を乗算する。ブロック毎に受信信号SNRが変動するようであれば、それに応じてブロック毎に重みを変化させてw(i)を乗算する構成としてもよい。
【0067】
遅延方向フーリエ変換部53は、ピーク近傍抽出部52が1次元相互相関関数を抽出すると、その1次元相互相関関数を相関ラグ方向(i方向)にDFTを行う。
なお、この動作は、フーリエ変換部16と同様の動作であるので、詳細な記述は省略する。
【0068】
フーリエ変換結果除算部9は、遅延方向フーリエ変換部53におけるDFT結果をフーリエ変換部16における式(23)のDFT結果で除算し、その除算結果である2次元アレーデータを2次元高分解能部10に出力する。
2次元高分解能部10は、フーリエ変換結果除算部9から2次元アレーデータを受けると、上記実施の形態1,2と同様にして、式(15)の評価関数のL個のピークを検出することで、2次元アレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を算出する。
ただし、式(15)の評価関数を探索するτとfDの範囲は、それぞれ、−Tw/2+τ~≦τ≦+Tw/2+τ~、−MwΔfc≦fD≦+MwΔfc、とすればよい。遅延時間範囲はTw、周波数範囲は2MwΔfc以内に限定され、かつ、受信信号はfD~で補償されているためである。
【0069】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、2次元CCFで推定された直接波とマルチパス波の大まかな遅延時間及び周波数オフセットを推定し、その周波数オフセットを用いて受信信号を補償して相互相関関数を算出することで、精度良く補償された周波数スペクトルを得て、フーリエ変換結果除算部9で算出する2次元アレーデータを高精度に得ることが可能となる効果を奏する。
また、時間窓を乗算して相関ラグ方向にDFTを行うことで、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNRの劣化を防ぐことができる効果を奏する。
【0070】
実施の形態4.
上記実施の形態3では、ブロック数が多くなるにしたがって2次元高分解能部10に入力される相関行列の次元が増大することになり、演算量が増加する問題がある。
そこで、この実施の形態4では、周波数補償を行った後のブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換し、ピーク周辺を2次元窓関数により抽出することで上記の問題を解決するようにする。
【0071】
図5はこの発明の実施の形態4による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図1、図3及び図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
ブロック方向フーリエ変換部54は相互相関関数算出部51により算出されたブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にDFTを実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部11、相互相関関数算出部51、ブロック方向フーリエ変換部54、ピーク近傍抽出部12及び2次元フーリエ変換部13から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
【0072】
次に動作について説明する。
ブロック方向フーリエ変換部54は、上記実施の形態3と同様にして、相互相関関数算出部51がブロック毎の1次元相互相関関数を算出すると、ブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にDFTを行う。
ピーク近傍抽出部12は、ブロック方向フーリエ変換部54がブロック毎の1次元相互相関関数をブロック方向にDFTを行うと、ブロック方向にDFTされた1次元相互相関関数のピーク近傍を抽出する。
2次元フーリエ変換部13は、ピーク近傍抽出部12が1次元相互相関関数のピーク近傍を抽出すると、上記実施の形態2と同様に、そのピーク近傍を相関ラグ方向にDFTし、そのピーク近傍を周波数補償のインデックス方向にIDFTする。
【0073】
この実施の形態4によれば、ピーク近傍抽出部12において、ブロック方向にDFTされた1次元相互相関関数のピーク周辺を2次元窓関数で抽出することにより、2次元高分解能部10に入力される2次元アレーデータの次元を削減して、演算量を減少させることができる効果を奏する。
【0074】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、伝搬遅延時間測定装置をGPS測位装置に適用する例を示したが、以降の実施の形態5〜8では、携帯電話等の無線端末の位置測定に適用する例について説明する。
なお、携帯電話等の無線端末だけではなく、電波を放射する電波放射源の位置測定にも適用することができる。
【0075】
図6はこの発明の実施の形態5による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
ただし、この発明の実施の形態5では、デジタル信号取得部1は第1のデジタル信号取得手段を構成し、ブロック分割部5は第1のブロック分割手段を構成している。
【0076】
デジタル信号取得部21は電波放射源から発信された電波(変調信号)を受信し、その電波をIF信号に変換して、そのIF信号をデジタル信号に変換する処理を実施する。なお、デジタル信号取得部21は第2のデジタル信号取得手段を構成している。
デジタル信号取得部21の受信アンテナ22は電波放射源から発信された電波(搬送波が未知の参照信号により変調されている電波)である変調信号を受信する。
デジタル信号取得部21の受信部23は受信アンテナ22により受信された変調信号に対する増幅処理や周波数変換処理等を実施して、その変調信号をIF信号に変換する処理を実施する。
デジタル信号取得部21のA/D変換部24は受信部23により変換されたIF信号をデジタル信号に変換する処理を実施する。
【0077】
ブロック分割部25はデジタル信号取得部21から出力されたデジタル信号をブロック毎に分割する処理を実施する。なお、ブロック分割部25は第2のブロック分割手段を構成している。
フーリエ変換部26はブロック分割部25により分割されたデジタル信号をブロック毎にDFTする処理を実施する。なお、フーリエ変換部26は第2のフーリエ変換手段を構成している。
【0078】
次に動作について説明する。
この実施の形態5では、携帯電話等の電波放射源から送信された電波は搬送波に対して未知のデジタル信号で変調されていることを想定する。
電波放射源から放射された電波は、受信アンテナ2及び受信アンテナ22で受信される。
なお、受信アンテナ22は電波放射源からの見通しが比較的良い場所に設置することを想定して、受信アンテナ22には電波放射源からの直接波のみが到来し、受信アンテナ2には電波放射源からの直接波とマルチパス波が到来することを想定する。
【0079】
デジタル信号取得部1は、上記実施の形態1と同様に、電波放射源から発信された電波である変調信号を受信すると、その変調信号をIF信号に変換して、そのIF信号をデジタル信号に変換する。
ブロック分割部5は、デジタル信号取得部1からデジタル信号を受けると、上記実施の形態1と同様に、そのデジタル信号に対して中間周波数fIFの正弦波を乗算した後に、ブロック周期T毎に分割する。
【0080】
デジタル信号取得部21は、デジタル信号取得部1と同様に、電波放射源から発信された電波である変調信号を受信すると、その変調信号をIF信号に変換して、そのIF信号をデジタル信号に変換する。
ブロック分割部25は、デジタル信号取得部21からデジタル信号を受けると、そのデジタル信号をブロック周期T毎に分割する。
ブロック分割部25により得られたp(p=1,・・・,P)番目のブロックのデジタル信号をvp(n)とする。
【0081】
ここで、受信アンテナ22では電波放射源からの直接波のみが受信され、受信アンテナ2では直接波と複数のマルチパス波が混入して受信されることを想定し、デジタル信号取得部21で得られた離散信号をvp(n)として、雑音の影響を無視すると、ブロック分割部25で得られる離散信号yp(n)は、下記の式(28)のように記述することができる。
【数20】

ただし、l=1が直接波、l=2,・・・Lがマルチパス波を表している。
Δτlはブロック周期T内におけるvp(n)に対する遅延時間である。即ち、電波放射源から受信アンテナ2までの伝搬遅延から、電波放射源から受信アンテナ22までの伝搬遅延を引いた遅延時間差(TDOA:Time Difference Of Arrival)である。
また、ΔfDlはvp(n)に対する周波数シフトである。即ち、電波放射源と受信アンテナ2との相対運動に起因して発生するドップラー周波数から、電波放射源と受信アンテナ22との相対運動に起因して発生するドップラー周波数を引いたドップラー周波数差(FDOA:Frequency Of difference Of Arrival)である。したがって、ブロック周期TはΔτlより大きく取る必要がある。
【0082】
上記実施の形態1と相違している点は、参照信号の離散信号s(n)に代わってデジタル信号vp(n)、遅延時間τlに代わって遅延時間差Δτl、周波数オフセットfDlに代わってドップラー周波数差ΔfDlとなっているだけであり、フーリエ変換部6,26、フーリエ変換結果除算部9及び2次元高分解能部10の動作は、上記実施の形態1と同様である。
【0083】
この実施の形態5では、2つの受信アンテナ2,22で受信した信号をブロック毎に分割して、上記実施の形態1と同様の2次元高分解能処理を施すことで、1つの受信アンテナに混入した直接波とマルチパス波を分離して、高精度に遅延時間差Δτl及びドップラー周波数差ΔfDlを測定することができる。
【0084】
実施の形態6.
上記実施の形態5では、ブロック周期Tの逆数に対して、推定すべきドップラー周波数差ΔfDlが小さいという仮定を行っており、ドップラー周波数差ΔfDlがブロック周期Tに対して大きい場合には推定精度が劣化する。
また、v(n)の周波数スペクトルが拡散変調符号のように周波数軸上で激しく変動している場合、フーリエ変換結果除算部9の除算操作により、低SNR時に雑音成分が増幅されて精度が劣化する。さらに、v(n)のブロック周期T内に含まれるサンプル数Nが大きい場合、2次元高分解能部10の相関行列の次元が大きくなり、演算量が膨大になる問題がある。
そこで、この実施の形態6では、直接波とマルチパス波の遅延時間差及びドップラー周波数差が近接しているという状況下において、上記の問題を解決する構成について記述する。
【0085】
図7はこの発明の実施の形態6による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図3及び図6と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
2次元相互相関関数算出部31はブロック分割部25により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割部5により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する処理を実施する。
なお、2次元相互相関関数算出部31、ピーク近傍抽出部12及び2次元フーリエ変換部13から第1のフーリエ変換手段が構成されている。
【0086】
自己相関関数算出部32はブロック分割部25により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する処理を実施する。
なお、自己相関関数算出部32、ピーク近傍抽出部15及びフーリエ変換部16から第2のフーリエ変換手段が構成されている。
【0087】
この実施の形態6によれば、ブロック分割部25により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、2次元CCFを算出することで、直接波とマルチパス波の大まかな遅延時間及びドップラー周波数差を推定し、その遅延時間差及びドップラー周波数差の近傍を窓関数で抽出してDFTを行うようにしているので、2次元高分解能部10で算出する相関行列の次元数を減少させることができる効果を奏する。
また、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNRの劣化を防ぐことができると効果を奏する。
【0088】
実施の形態7.
上記実施の形態6では、2次元フーリエ変換部13における周波数補償インデックス方向のIDFTの際に、周波数補償が十分でないスペクトルが含まれることによる性能劣化が懸念される。
そこで、この実施の形態7では、上記の問題を解決するようにしている。
図8はこの発明の実施の形態7による伝播遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図4及び図7と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
【0089】
この実施の形態7によれば、2次元相互相関関数算出部31で推定された直接波とマルチパス波の大まかな遅延時間及び周波数オフセットを推定し、その周波数オフセットを用いて、受信信号を補償して相互相関関数を算出することで、精度良く補償された周波数スペクトルを得て、フーリエ変換結果除算部9で算出する2次元アレーデータを高精度に得ることが可能となる効果を奏する。
また、時間窓を乗算して相関ラグ方向にDFTを行うことで、周波数スペクトルの平滑化が行われているので、フーリエ変換結果除算部9における除算操作のSNR劣化を防ぐことができる効果を奏する。
【0090】
実施の形態8.
上記実施の形態7では、ブロック数が多くなるにしたがって2次元高分解能部10に入力される2次元アレーデータの次元が増大することになり、演算量が増加する問題がある。
そこで、この実施の形態8では、周波数補償を行った後のブロック毎の相互相関関数をブロック方向にDFTし、ピーク周辺を2次元窓関数により抽出することで、上記の問題を解決するようにしている。
図9はこの発明の実施の形態8による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図であり、図において、図5及び図8と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
【0091】
この実施の形態8では、ピーク近傍抽出部12において、ブロック方向にDFTを行われた相互相関関数のピーク周辺を2次元窓関数により抽出することで、2次元高分解能部10に入力される2次元アレーデータの次元を削減して、演算量を減少させることができる効果を奏する。
【0092】
実施の形態9.
図10はこの発明の実施の形態9によるレーダ装置を示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
参照信号生成部41は無変調パルス信号や周波数変調パルス、あるいは、擬似雑音符号パルスを参照信号として生成する処理を実施する。なお、参照信号生成部41は参照信号生成手段を構成している。
結合器42は参照信号生成部41により生成された参照信号を送受信部44に出力する処理を実施する。
【0093】
送受信アンテナ43は送受信部44から出力された変調信号を目標に向けて送信する一方、目標に反射された上記変調信号を受信して、その変調信号を送受信部44に出力する。
送受信部44は結合器42から出力された参照信号により搬送波を変調して変調信号を送受信アンテナ43に出力する一方、送受信アンテナ43より出力された変調信号をIF信号に変換する処理を実施する。
なお、送受信アンテナ43、送受信部44及びA/D変換部4からデジタル信号抽出手段が構成されている。
【0094】
次に動作について説明する。
上記実施の形態1では、GPS衛星から発信された電波を受信して、その電波の伝搬遅延時間を測定する伝搬遅延時間測定装置について示したが、電波を目標に向けて送信し、目標に反射された受信して、その電波の伝搬遅延時間を測定するようにしてもよい。
【0095】
参照信号生成部41は、無変調パルス信号や周波数変調パルス、あるいは、擬似雑音符号パルスを参照信号として生成する。
結合器42は、参照信号生成部41が参照信号を生成すると、その参照信号を送受信部44に出力する。
【0096】
送受信部44は、結合器42から参照信号を受けると、その参照信号により搬送波を変調して、その変調信号を電力増幅し、電力増幅後の変調信号を送受切替器(図示せず)を介して送受信アンテナ43に出力する。
送受信アンテナ43は、送受信部44から出力された変調信号を電波にして、その電波を空間に放射する。
また、送受信アンテナ43は、目標に反射されて戻ってきた電波を受信し、その電波を電気信号である変調信号に変換し、その変調信号を送受切替器(図示せず)を介して送受信部44に出力する。
送受信部44は、送受信アンテナ43から変調信号を受けると、図1の送受信部3と同様にして、その変調信号をIF信号に変換して、そのIF信号をA/D変換部4に出力する。
以降は、上記実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
【0097】
以上で明らかなように、この実施の形態9によれば、高い推定精度で直接波の遅延時間τ1及び周波数オフセットfD1を測定することができるレーダ装置を構築することができる効果を奏する。
【0098】
なお、この実施の形態9では、上記実施の形態1の構成をレーダ装置に適用するものについて示したが、図11に示すように、上記実施の形態2の構成をレーダ装置に適用するようにしてもよく、この場合、上記実施の形態2と同様の効果を奏することができる。
また、図12に示すように、上記実施の形態3の構成をレーダ装置に適用するようにしてもよく、この場合、上記実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
さらに、図13に示すように、上記実施の形態4の構成をレーダ装置に適用するようにしてもよく、この場合、上記実施の形態4と同様の効果を奏することができる。
【0099】
実施の形態1〜9では、電波を受信するものについて示したが、電波の代わりに光を受信するようにしてもよく、この場合には、同様の効果を有する光波レーダを得ることができる。
また、電波の代わりに音波を受信するようにしてもよく、この場合には、同様の効果を有するソナーを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】この発明の実施の形態1による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図2】C/Aコードの構成を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図6】この発明の実施の形態5による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態6による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図8】この発明の実施の形態7による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図9】この発明の実施の形態8による伝搬遅延時間測定装置を示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態9によるレーダ装置を示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態9によるレーダ装置を示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態9によるレーダ装置を示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態9によるレーダ装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0101】
1 デジタル信号取得部(第1のデジタル信号取得手段)、2,22 受信アンテナ、3,23 受信部、4,24 A/D変換部、5 ブロック分割部(ブロック分割手段、第1のブロック分割手段)、6 フーリエ変換部(第1のフーリエ変換手段)、7 参照信号生成部(第2のフーリエ変換手段)、8,16,26 フーリエ変換部(第2のフーリエ変換手段)、9 フーリエ変換結果除算部(フーリエ変換結果除算手段)、10 2次元高分解能部(高分解能処理手段)、11,31 2次元相互相関関数算出部(第1のフーリエ変換手段)、12 ピーク近傍抽出部(第1のフーリエ変換手段)、13 2次元フーリエ変換部(第1のフーリエ変換手段)、14,32 自己相関関数算出部(第2のフーリエ変換手段)、15 ピーク近傍抽出部(第2のフーリエ変換手段)、21 デジタル信号取得部(第2のデジタル信号抽出手段)、25 ブロック分割部(第2のブロック分割手段)、41 参照信号生成部(参照信号生成手段)、42 結合器、43 送受信アンテナ(デジタル信号抽出手段)、44 送受信部(デジタル信号抽出手段)、51 相互相関関数算出部(第1のフーリエ変換手段)、52 ピーク近傍抽出部(第1のフーリエ変換手段)、53 遅延方向フーリエ変換部(第1のフーリエ変換手段)、54 ブロック方向フーリエ変換部(第1のフーリエ変換手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換するデジタル信号取得手段と、上記デジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割手段と、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、上記参照信号をフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を上記第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段と、上記フーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する高分解能処理手段とを備えた伝搬遅延時間測定装置。
【請求項2】
参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項3】
参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数から上記遅延時間の周辺部分の相互相関関数を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する遅延方向フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項4】
参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換するブロック方向フーリエ変換部と、上記ブロック方向フーリエ変換部によりフーリエ変換された相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項1記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項5】
搬送波が既知の参照信号により変調されている変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換する第1のデジタル信号取得手段と、上記第1のデジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割する第1のブロック分割手段と、上記第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、上記変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換する第2のデジタル信号取得手段と、上記第2のデジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割する第2のブロック分割手段と、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を上記第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段と、上記フーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する高分解能処理手段とを備えた伝搬遅延時間測定装置。
【請求項6】
第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項5記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項7】
第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数から上記遅延時間の周辺部分の相互相関関数を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する遅延方向フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項5記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項8】
第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数オフセットを変化させて、第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記第1のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換するブロック方向フーリエ変換部と、上記ブロック方向フーリエ変換部によりフーリエ変換された相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記第2のブロック分割手段により分割されたデジタル信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項5記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項9】
第1のフーリエ変換手段のピーク近傍抽出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍として、上記2次元相互相関関数の絶対値が最大となる遅延時間及び周波数オフセットを中心とする対称な範囲を抽出することを特徴とする請求項2または請求項6記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項10】
第1のフーリエ変換手段のピーク近傍抽出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍として、上記2次元相互相関関数の絶対値のうち、雑音レベルで定まる閾値を超える絶対値となる遅延時間及び周波数オフセットであって、上記2次元相互相関関数の絶対値で重み付け平均された遅延時間及び周波数オフセットを中心とする対称な範囲を抽出することを特徴とする請求項2または請求項6記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項11】
相互相関関数算出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数の絶対値が最大となる周波数オフセットを用いて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償することを特徴とする請求項3、請求項4、請求項7または請求項8記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項12】
相互相関関数算出部は、2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数の絶対値のうち、雑音レベルで定まる閾値を超える絶対値となる周波数オフセットであって、上記2次元相互相関関数の絶対値で重み付け平均された周波数オフセットを用いて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償することを特徴とする請求項3、請求項4、請求項7または請求項8記載の伝搬遅延時間測定装置。
【請求項13】
参照信号を生成する参照信号生成手段と、上記参照信号生成手段により生成された参照信号により搬送波を変調して変調信号を送信する一方、目標に反射された上記変調信号を受信し、上記変調信号の周波数を変換して、周波数変換後の変調信号をデジタル信号に変換するデジタル信号取得手段と、上記デジタル信号取得手段により変換されたデジタル信号をブロック毎に分割するブロック分割手段と、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号をブロック毎にフーリエ変換する第1のフーリエ変換手段と、上記参照信号をフーリエ変換する第2のフーリエ変換手段と、上記第1のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果を上記第2のフーリエ変換手段のフーリエ変換結果で除算するフーリエ変換結果除算手段と、上記フーリエ変換結果除算手段の除算結果であるアレーデータから所望の直接波に近接しているマルチパス波を分離して、所望の直接波の遅延時間及び周波数オフセットを算出する高分解能処理手段とを備えたレーダ装置。
【請求項14】
参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された2次元相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記2次元相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項13記載のレーダ装置。
【請求項15】
参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数から上記遅延時間の周辺部分の相互相関関数を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数を遅延時間方向にフーリエ変換する遅延方向フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項13記載のレーダ装置。
【請求項16】
参照信号の周波数オフセットを変化させて、ブロック分割手段により分割されたデジタル信号との2次元相互相関関数を算出する2次元相互相関関数算出部と、上記2次元相互相関関数算出部により算出された2次元相互相関関数のピーク近傍を抽出して、上記2次元相互相関関数のピーク近傍から遅延時間及び周波数オフセットを推定するとともに、上記周波数オフセットを用いて、上記ブロック分割手段により分割されたデジタル信号の周波数を補償し、周波数補償後のデジタル信号と参照信号におけるブロック毎の相互相関関数を算出する相互相関関数算出部と、上記相互相関関数算出部により算出されたブロック毎の相互相関関数をブロック方向にフーリエ変換するブロック方向フーリエ変換部と、上記ブロック方向フーリエ変換部によりフーリエ変換された相互相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された相互相関関数のピーク近傍を時間方向にフーリエ変換するとともに、上記相互相関関数のピーク近傍を周波数方向に逆フーリエ変換する2次元フーリエ変換部とから第1のフーリエ変換手段を構成し、上記参照信号の自己相関関数を算出する自己相関関数算出部と、上記自己相関関数算出部により算出された自己相関関数のピーク近傍を抽出するピーク近傍抽出部と、上記ピーク近傍抽出部により抽出された自己相関関数のピーク近傍をフーリエ変換するフーリエ変換部とから第2のフーリエ変換手段を構成することを特徴とする請求項13記載のレーダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−192516(P2009−192516A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91259(P2008−91259)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】