説明

伝送装置及び通信制御方法

【課題】要求回線品質に応じた通信制御を行う。
【解決手段】ルータとの間の第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベースと、第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出手段と、障害検出手段による回線障害の検出に応じて、回線障害の情報、又は回線障害情報及び要求回線品質に基づき、第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定手段とを有する。このようにすれば、回線品質の劣化が生じた場合でも通信制御を行うことができる。また、要求回線品質がルータ毎に異なる場合でも、要求回線品質に応じて、制御対象回線を特定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークにおける経路制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LAN(Local Area Network)インターフェースの高速化の要求に伴い、GbE(Gigabit Ethernet(登録商標))等の高速光インターフェースが次世代のLAN接続方式となりつつある。その一方、WAN(Wide Area Network)側の技術としてはSONET/SDH(Synchronous Optical NETwork/Synchronous Digital Hierarchy)を基本技術としたWDM(Wave Division Multiplex)ベースの大容量コアネットワークが積極的に導入されつつあり、LAN/WANともに大容量のネットワークが利用され始めている。
【0003】
それに伴い、LANシステム(例えば、IP(Internet Protocol)網)から直接SONET/SDHシステム(すなわち、SONET/SDH網)に接続し、ネットワーク全体のスループットを向上させる取り組みが始められている。今後、SONET/SDH又はWDMとLANとの接続が増えていくと考えられ、コアネットワークには、特に安定的な冗長機能が施されたネットワークが求められる。
【0004】
例えば、特開2003−134074号公報には、IP網とSONET/SDH網とが接続されたネットワークにおいて、伝送装置間の回線(以下、SONET/SDH回線と呼ぶ)で回線障害(例えば、回線断)が起こった場合に、伝送装置がIP網配下のIPルータに回線障害の識別情報を送信し、それを受けたIPルータは、自身が持つルーティングテーブルを更新することで、伝送装置側へのパケット送信を停止し、無駄なパケットを出さないようにする技術が開示されている。
【0005】
しかし、上記公報では、伝送装置とIPルータとの間の回線(以下、イーサネット(登録商標)回線と呼ぶ)で回線障害が起こった場合については記載されていない。従って、イーサネット回線で回線障害が起こると、回線障害が起こったIP網に接続される伝送装置は障害を認知したとしても、対向する伝送装置の配下のIPルータのルーティングテーブルは変更されず、無駄なパケットを送信することになる。
【0006】
また、SONET/SDH回線において、完全な切断ではなく、例えば、光ファイバーの不具合によりビットエラーが発生し、回線品質が低下する場合がある。このような場合、冗長構成を備えたSONET/SDH網であれば、冗長回線に切り替えることで安定した通信を行うことが可能である。しかし、冗長構成のないSONET/SDH網の場合は、回線の切り替えはできないため、経路情報や制御情報を含むパケットがIPルータ間で断続的に送受信されることになり、IPルータのルーティングテーブルの更新や通信経路変更が迅速に行われない場合がある。このように、伝送装置は回線品質の低下を検出しているにも関わらず、通信経路が切り替わらないので、安定性の低い通信を行うことになる。なお、通信の際に要求される最低回線品質はIPルータ毎に異なるのが一般的である。
【特許文献1】特開2003−134074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上で述べたように、SONET/SDH回線で回線品質が低下した場合に、通信経路の切り替えができず、安定した通信ができない場合がある。
【0008】
また、IP網とSONET/SDH網とが接続されるネットワーク構成において、イーサネット回線で回線障害が発生した場合、適切な通信制御が行われないため、ルータが無駄なパケットを送信する場合がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、SONET/SDH回線で回線品質の劣化が生じた場合に、要求回線品質に応じた通信制御を行うための技術を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、IP網とSONET/SDH網とが接続されるネットワークにおいて、回線障害が発生した場合に、適切な通信制御を可能にするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る伝送装置は、ルータとの間の第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベースと、第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出手段と、障害検出手段による回線障害の検出に応じて、回線障害の情報、又は回線障害情報及び要求回線品質に基づき、第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定手段とを有する。
【0012】
このようにすれば、回線品質の劣化が生じた場合でも通信制御を行うことができる。また、要求回線品質がルータ毎に異なる場合でも、要求回線品質に応じて、制御対象回線を特定することができる。
【0013】
また、宛先アドレスと当該宛先アドレスに対応する送出先ポートの識別情報とを含むレコードを生成し、ルーティングテーブルに登録する手段と、ルーティングテーブルにおいて、制御対象回線が接続される接続ポートの識別情報が送出先ポートの識別情報として登録されているレコードを無効にする手段とをさらに有するようにしてもよい。
【0014】
このようにすれば、ルーティングテーブルによりレコード毎(すなわち、接続ポート毎)に状態を管理することができ、接続ポート毎に通信制御を行うことができる。例えば、ルーティングテーブルにおいて、無効として登録されているレコードに含まれる接続ポートに接続するルータに、当該接続ポートに対するパケットの送信を停止させるような制御を行うことができる。
【0015】
さらに、制御対象回線での回線復旧を検出する復旧検出手段と、復旧検出手段による回線復旧の検出に応じて、ルーティングテーブルにおいて、回線復旧を検出した制御対象回線が接続される接続ポートの識別情報が送出先ポートの識別情報として登録されているレコードを有効にする手段とをさらに有するようにしてもよい。このようにすれば、回線復旧に応じた通信制御を行うことができる。
【0016】
また、上で述べた回線データベースが、ルータに接続する回線が制御対象回線であるか否かを識別する識別データを含むようにしてもよい。そして、制御対象回線に変更がある場合、識別データを更新する手段と、回線データベースに変更がある場合、回線データベースの少なくとも変更のある部分の情報を第2の伝送装置に出力する手段とをさらに有するようにしてもよい。さらに、第2の伝送装置から回線データベースの情報を受信した場合に、受信した回線データベースの情報に基づき、回線データベースを更新する手段をさらに有するようにしてもよい。このようにすれば、伝送装置間で回線データベースの同期を取ることができ、伝送装置を含むネットワークにおいて、適切な経路制御を行うことができる。
【0017】
また、上で述べたルーティングテーブルにおいてレコードの追加又は変更がある場合、レコードを第2の伝送装置に出力する手段をさらに有するようにしてもよい。そして、第2の伝送装置からルーティングテーブルのレコードを受信した場合に、受信したレコードに基づき、ルーティングテーブルを更新する手段をさらに有するようにしてもよい。このようにすれば、伝送装置間でルーティングテーブルの同期を取ることができ、伝送装置を含むネットワークにおいて、適切な経路制御を行うことができる。また、他の伝送装置と他の伝送装置配下のルータとの間で回線障害が発生した場合、他の伝送装置のルーティングテーブルと同期を取ることで、当該ルータに対するパケットを転送できないと判断することができ、パケットを他の伝送装置に転送せずに破棄することができる。
【0018】
本発明に係る伝送装置は、プロセッサと、当該プロセッサに実行させるためのプログラムとにより構成される場合もあり、このプログラムは、例えばフレキシブルディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、ネットワークなどを介してデジタル信号として配信される場合もある。尚、中間的な処理結果はメインメモリ等の記憶装置に一時保管される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、SONET/SDH回線で回線品質の劣化が生じた場合に、要求回線品質に応じた通信制御を行うことができる。
【0020】
また本発明の他の側面によれば、IP網とSONET/SDH網とが接続されるネットワークにおいて、回線障害が発生した場合に、適切な通信制御を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の一実施の形態に係るネットワーク概念図を図1に示す。図1において、SONET/SDH装置1間、SONET/SDH装置1と加入者系5との間は光ファイバー7で接続されており、SONET/SDH装置1とIPルータ3とは高速光インターフェース9(例えば、GbE)で接続される。また、SONET/SDH装置1と加入者系5とがSONET/SDHドメインを構成し、IPルータ3及びその配下の接続機器がIPドメインを構成する。SONET/SDH装置1には複数のIPルータ3(例えば、IPルータA、IPルータB等)が接続され、SONET/SDHドメインは複数のIPドメイン(例えば、IPドメインA、IPドメインB等)と接続される。
【0022】
図1で示したSONET/SDH装置1の機能ブロック図の一例を図2に示す。SONET/SDH装置1は、起動時に回線状態テーブルとルーティングテーブルとを生成するテーブル生成処理部11と、テーブル生成処理部11が生成した回線状態テーブルを格納する回線DB12と、テーブル生成処理部11が生成したルーティングテーブルを格納するルーティングDB13と、SONET/SDH回線又はイーサネット回線上のエラーを監視するエラー監視処理部14と、エラー監視処理部14から通知されるエラー情報と回線DB12に格納された回線状態テーブルとに基づき制御対象回線の特定などを行う回線状態制御部15と、回線DB12に格納された回線状態テーブルに基づきルーティングテーブルを更新するルーティングテーブル制御部16と、ルーティングDB13に格納されたルーティングテーブルに基づきパケットを転送するか否かを判定する転送処理部17と、パスオーバヘッドを利用して他のSONET/SDH装置1と情報交換を行うパスオーバヘッド処理部18とを有する。
【0023】
次に図3乃至図18を用いて、SONET/SDH装置1の基本的な処理について説明する。なお、以下の説明においては、図3に示すようなネットワークの具体的な構成を想定する。図3では、SONET/SDH装置Aのポート1にはルータA、ポート2にはルータB、ポート3にはルータCがそれぞれ接続されており、SONET/SDH装置Bのポート1にはルータA’、ポート2にはルータB’、ポート3にはルータC’がそれぞれ接続されている。なお、説明をわかりやすくするためにSONET/SDH装置A及びBと示しているが、いずれもSONET/SDH装置1と同様の機能を持つ。また、各ルータは汎用的なルータの機能を持つ。また、ルータAとルータA’とがグループ1、ルータBとルータB’とがグループ2、ルータCとルータC’とがグループ3をそれぞれ構成する。ルータAのIPアドレスは「130.1.0.1」、ルータBのIPアドレスは「192.1.1.1」、ルータCのIPアドレスは「192.1.2.1」、ルータA’のIPアドレスは「130.1.0.2」、ルータB’のIPアドレスは「192.1.1.2」、ルータC’のIPアドレスは「192.1.2.2」とする。さらに、各ルータはアクセス系LANと接続されており、ルータAは「131.1.*.*」ドメイン、ルータBは「193.1.1.*」ドメイン、ルータCは「193.1.2.*」ドメイン、ルータA’は「132.1.*.*」ドメイン、ルータB’は「194.1.1.*」ドメイン、ルータC’は「194.1.2.*」ドメインに接続される。
【0024】
次にSONET/SDH装置1の初期設定時におけるテーブル生成処理について図4を用いて説明する。まず、テーブル生成処理部11が回線状態テーブルを生成する(ステップS1)。図5(a)及び(b)に回線状態テーブルの一例を示す。図5(a)はSONET/SDH装置Aにおける回線状態テーブル、図5(b)はSONET/SDH装置Bにおける回線状態テーブルを示す。図5(a)及び(b)の例ではSONET/SDH装置識別情報の列と、イーサネット接続ポートの列と、許容エラーレートの列と、グループの列と、リンク有無を表すフラグの列と、回線制御状態フラグの列とを含む。SONET/SDH装置識別情報の列は、SONET/SDH装置の識別情報が格納される。例えば、SONET/SDH装置AであればA、SONET/SDH装置BであればBが格納される。イーサネット接続ポートの列には、ポートの番号が格納される。許容エラーレートの列には、そのポートにおけるエラーレートの許容範囲を示すデータが格納され、許容エラーレートは回線品質の劣化が生じた場合に制御対象回線とするか否かの判定に用いる。グループの列には、各ポートのグループ番号が格納される。リンク有無を表すフラグは、現在のリンクの状態を示すものであり、リンクが接続されている状態であれば「有」、回線障害等によりリンクが切断されている状態であれば「無」となる。回線制御状態フラグは、そのポートに接続される回線が制御対象回線か否かを示す。そして、制御対象回線でなければ「制御なし」、制御対象回線であれば「制御あり」となる。
【0025】
次にパスオーバヘッド処理部18が、生成された回線状態テーブルを他のSONET/SDH装置1に通知する(ステップS3)。従って、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとが互いに回線状態テーブルを通知し合うことで、回線状態テーブルの同期が取られる。本実施の形態では、通知手段として、SONET/SDH装置1間の通常のデータ伝送で用いられるSONET/SDHフレーム内の未使用領域を使用する。図6にSONET/SDHフレームフォーマットの一例を示す。図6の例では、オーバヘッド部とペイロードに大別される。オーバヘッド部には、SOH(Section OverHead)、LOH(Line OverHead)、POH(Path OverHead)等が含まれ、例えば、フレームの同期、データ伝送品質の監視のために用いられる。ペイロードには、ルータから受信したパケット等が含まれる。なお、SONET/SDHフレームは、ITU(International Telecommunication Union:国際電気通信連合)勧告に準拠するものであるため、詳細な説明は省略する。
【0026】
本実施の形態では、POH内の未使用領域であるF2バイトとペイロードとを使用する。例えば、F2バイトの各ビットを図7に示すように予め定義しておく。図7の例では、Bit7はルーティング情報、Bit6はIPアドレス更新、Bit5はIPアドレス一時削除、Bit4は回線状態テーブル、Bit3はIPアドレス復旧と定義され、Bit2〜0は未使用となっている。これで、SONET/SDHフレームのペイロードでどのような情報が通知されるのかを示し、通知される情報自体はペイロード内に設定される。なお、F2バイトの各Bitは、1が設定されていた場合に有効、0が設定されていた場合に無効とする。
【0027】
従って、回線状態テーブルを通知するには、F2バイトを図8のように設定する。なお、Bit2〜0は未使用であるため、任意の設定で構わない。図8では、Bit4が有効に設定されており、ペイロードに回線状態テーブルが含まれていることを示す。また、回線状態テーブルを設定する際のペイロードのフォーマットの一例を図9に示す。図9の例では、Bit23〜20にSONET/SDH装置識別情報、Bit19〜16にイーサネット接続ポート、Bit15〜12に許容エラーレート、Bit11〜8にグループ、Bit7にリンク有無、Bit6に回線制御状態が設定され、Bit5〜0は未使用となる。図9で示したペイロードのフォーマットの各ビットに設定される値は図10のような値となる。例えば、SONET/SDH装置AのSONET/SDH装置識別情報には1、SONET/SDH装置BのSONET/SDH装置識別情報には2が設定される。また、許容エラーレートについては、10-15の指数の絶対値15が設定される。図5(a)に示したSONET/SDH装置Aの回線状態テーブルが設定されたペイロードを図11に示す。なお、F2バイトの代わりに他の未使用領域を使用してもよい。SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は、図8に示したF2バイト、図11に示したペイロードを生成し、SONET/SDH装置Bに通知する。
【0028】
SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は、POHのF2バイトを解析し、ペイロードに何か情報が含まれているか判定する。回線状態テーブルが含まれている場合、受信した回線状態テーブルの情報を自身の回線状態テーブルに格納する(ステップS5)。SONET/SDH装置Bにおける回線状態テーブルは図12のように更新される。図12は、図5(a)で示したSONET/SDH装置Aの回線状態テーブルと、図5(b)で示したSONET/SDH装置Bの回線状態テーブルとが併合されたものである。なお、SONET/SDH装置Aにおいても、SONET/SDH装置Bから受信した回線状態テーブルの情報を、自身の回線状態テーブルに格納するため、結果的に回線状態テーブルは図12の内容となる。従って、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの回線状態テーブルの同期が取れたことになる。
【0029】
次にテーブル生成処理部11が、ルーティング情報を収集し、ルーティングテーブルを生成する(ステップS7)。本実施の形態における各ルータのルーティングテーブルを図13(a)乃至(c)及び図14(a)乃至(c)に示す。図13(a)はルータA、図13(b)はルータB、図13(c)はルータC、図14(a)はルータA’、図14(b)はルータB’、図14(c)はルータC’のルーティングテーブルであり、それぞれのルーティングテーブルの内容は図3に示したネットワーク構成に基づいている。ルータ間では、ルーティングプロトコル(例えば、OSPF(Open Shortest Path First)、RIP(Routing Information Protocol)、BGP(Border Gateway Protocol))を用いてこれらのルーティングテーブル等のルーティング情報のやりとりがされる。テーブル生成処理部11は、ルーティングプロトコルでやりとりされるルーティング情報を収集し、ルーティングテーブルを生成する。図15(a)及び(b)にルーティングテーブルの一例を示す。図15(a)はSONET/SDH装置Aにおけるルーティングテーブルであり、図15(b)はSONET/SDH装置Bにおけるルーティングテーブルを示す。図15(a)及び(b)の例では宛先IPアドレスの列と、送出先の列と、状態の列とを含む。なお、送出先の列には、IPアドレスではなく、送出先のルータが接続するイーサネット接続ポート、送出先のSONET/SDH装置1が接続するSONET/SDH装置識別情報が格納される。
【0030】
次にパスオーバヘッド処理部18が生成されたルーティングテーブルを他のSONET/SDH装置1に通知する(ステップS9)。通知手段は、基本的に回線状態テーブルを通知する場合と同様である。図7に示したF2バイトの定義では、Bit7がルーティング情報となっているので、図16のようにBit7を1としてF2バイトを生成する。また、ルーティングテーブルを設定する際のペイロードのフォーマットの一例を図17に示す。宛先IPアドレスと送出先との組み合わせがレコードの数だけ設定される。SONET/SDH装置Aは図15(a)で示したルーティングテーブルをSONET/SDH装置Bに通知する。
【0031】
SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は、POHのF2バイトを解析し、ペイロードにどのような情報が含まれているか判定する。ルーティングテーブルが含まれている場合、受信したルーティングテーブルの情報を自身のルーティングテーブルに格納する(ステップS11)。SONET/SDH装置Bにおけるルーティングテーブルは図18のように更新される。図18は、図15(a)で示したSONET/SDH装置Aのルーティングテーブルと、図15(b)で示したSONET/SDH装置Bのルーティングテーブルとが併合されたものである。これにより、例えば、図15(b)では、宛先IPアドレス「131.1.*.*」に対応する送出先がSONET/SDH装置Aとなっていたが、図18ではSONET/SDH装置Aのポート1となり、ポートまで認識可能になる。なお、SONET/SDH装置Aにおいても、SONET/SDH装置Bからルーティングテーブルを受信するため、結果的にルーティングテーブルは図18の内容となる。従って、ルーティングテーブルについてもSONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間で同期が取れたことになる。
【0032】
なお、ネットワークの形態に変更があり、回線状態テーブル又はルーティングテーブルに変更があった場合には、上で述べたような方法でSONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間で情報交換が行われ、回線状態テーブル及びルーティングテーブルは常に同期が取られる。
【0033】
次に図19乃至図28を用いて、図3に示したネットワーク構成において、ルータAとSONET/SDH装置Aとの間で回線障害が発生した場合の処理について説明する。図19に、ネットワーク全体における処理フローを示す。まず、ルータAとルータA’とは、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとを介してデータ通信中である(ステップS13及びS15)。同様に、ルータBとルータB’、ルータCとルータC’がデータ通信中である(ステップS17乃至S20)。このとき、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bの転送処理部17は、各ルータにデータを転送する(ステップS21及びS23)。データの転送については従来技術であるため、説明は省略する。
【0034】
本実施の形態では、ルータAとSONET/SDH装置Aとの間で、エラーレートが10-7レベルの回線品質の劣化が発生したものとする(ステップS25)。SONET/SDH装置Aのエラー監視処理部14は、所定の条件を満たすエラーを検出する(ステップS27)。エラー監視処理部14は、回線状態制御部15にエラー情報を通知する。エラー情報には、例えば、リンク状態を示すリンク情報、エラーレート、回線障害を検出した障害ポート番号等が含まれる。エラー情報を受信した回線状態制御部15は、回線状態制御処理を実施する(ステップS29)。
【0035】
回線状態制御処理については図20を用いて説明する。まず、回線障害を検出したか否かを判定する(ステップS47)。回線状態制御処理を実施する契機が、回線障害の検出及び回線復旧の検出であるため、いずれを検出したか判定する。なお、回線復旧を検出した場合の処理については後で説明するが、この場合、回線復旧を検出した復旧ポート番号等を含む復旧情報を受信するものとする。回線障害ではなく、回線復旧を検出した場合(ステップS47:Noルート)、回線状態テーブルにおいて、回線復旧を検出した回線(すなわち、復旧ポート番号がイーサネット接続ポートとして格納されている回線)の回線制御状態フラグが「制御あり」に設定されているか否か判定する(ステップS49)。もし、回線復旧を検出した回線の回線制御状態フラグが「制御あり」に設定されている場合(ステップS49:Yesルート)、回線状態テーブルの当該回線について、回線制御状態フラグを「制御なし」、リンク有無を表すフラグを「リンク有」と設定する(ステップS51)。当該回線のリンク有無を表すフラグが「リンク有」である場合にはそのままの設定とする。一方、回線復旧を検出した回線の回線制御状態フラグが「制御なし」に設定されている場合、回線状態制御処理を終了して元の処理に戻る(ステップS49:Noルート)。
【0036】
一方、回線障害を検出した場合(ステップS47:Yesルート)、リンク情報からリンク断か否か判定する(ステップS53)。もし、リンク断の場合(ステップS53:Yesルート)、回線状態テーブルにおいて、回線障害を検出した回線(すなわち、障害ポート番号がイーサネット接続ポートとして格納されている回線)の回線制御状態フラグを「制御あり」、リンク有無を表すフラグを「リンク無」と設定する(ステップS55)。一方、リンク断ではなく、回線品質の劣化の場合(ステップS53:Noルート)、回線障害を検出した回線の許容エラーレートを回線状態テーブルから取得する(ステップS57)。そして、エラー情報に含まれるエラーレートと許容エラーレートを比較する(ステップS59)。もし、エラーレートが許容エラーレートの許容範囲内であれば、制御の必要はないと判断し、回線状態制御処理を終了して元の処理に戻る(ステップS59:Yesルート)。一方、エラーレートが許容エラーレートの許容範囲を超えた場合(ステップS59:Noルート)、回線状態テーブルの当該回線について、回線制御状態フラグを「制御あり」、リンク有無を表すフラグを「リンク有」と設定する(ステップS61)。そして、回線状態テーブルに変更がある場合には、接続するSONET/SDH装置1に回線状態テーブルを通知し(ステップS63)、元の処理に戻る。なお、ステップS63の処理において、回線状態テーブル内の変更した部分だけを通知するようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態では、図12で示した回線状態テーブルにおいて、SONET/SDH装置Aのポート1の許容エラーレートは10-8であるが、エラーレートが10-7レベルのエラーが発生しているため、許容範囲を超えており、ポート1に接続する回線は制御対象回線と判断され、図21で示すように回線状態テーブルのポート1の回線制御状態フラグに「制御あり」が設定される。このとき、SONET/SDH装置Aのポート1はグループ1であり、SONET/SDH装置B側のグループ1であるポート1の回線制御状態フラグについても「制御あり」を設定する。そして、SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は、図21に示した回線状態テーブルをSONET/SDH装置Bに通知する。このとき、SONET/SDHフレームには、図8に示したF2バイトと図22に示すペイロードが設定される。
【0038】
図19の説明に戻って、SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は回線状態テーブルを受信し、受信した回線状態テーブルの情報に基づき、自身の回線状態テーブルを更新する(ステップS31)。すなわち、SONET/SDH装置Bにおける回線状態テーブルも図21で示した内容となる。
【0039】
続いてSONET/SDH装置Aのルーティングテーブル制御部16は、ルーティング制御処理を実施する(ステップS33)。ルーティング制御処理については図23を用いて説明する。まず、回線状態テーブルのリンク有無を表すフラグに「リンク無」、回線制御状態フラグに「制御あり」が設定されている回線があるか判定する(ステップS65)。当該回線がない場合(ステップS65:Noルート)、後で説明するステップS69の処理に移行する。一方、当該回線がある場合(ステップS65:Yesルート)、ルーティングテーブル内の当該回線に対応するレコードを無効に設定する(ステップS67)。次に、回線状態テーブルのリンク有無を表すフラグに「リンク有」、回線制御状態フラグに「制御あり」が設定されている回線があるか判定する(ステップS69)。当該回線がない場合(ステップS69:Noルート)、後で説明するステップS73の処理に移行する。一方、当該回線がある場合(ステップS69:Yesルート)、ルーティングテーブル内の当該回線に対応するレコードを無効に設定する(ステップS71)。次に、回線状態テーブルのリンク有無を表すフラグに「リンク有」、回線制御状態フラグに「制御なし」が設定される回線に対応するレコードのうち無効に設定されているレコードがあるかを判定する(ステップS73)。当該レコードがない場合(ステップS73:Noルート)、後で説明するステップS77の処理に移行する。一方、当該レコードがある場合(ステップS73:Yesルート)、ルーティングテーブル内の当該レコードを有効に設定する(ステップS75)。そして、ルーティングテーブルに変更があるか判定し(ステップS77)、変更がある場合は(ステップS77:Yesルート)、接続するSONET/SDH装置1にルーティングテーブルを通知する(ステップS79)。また、関連するルータにルーティングアップデートのためのパケットを送信する(ステップS81)。一方、ルーティングテーブルに変更がない場合はルーティング制御処理を終了して元の処理に戻る(ステップS77:Noルート)。
【0040】
本実施の形態では、図21に示した回線状態テーブルでは、SONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1が「制御あり」であるため、ルーティングテーブルは図24のように更新される。SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は、図24に示したルーティングテーブルに基づき、一時削除IPアドレスをSONET/SDH装置Bに通知する。このとき、F2バイトは図25のようにBit7(すなわち、ルーティング情報)とBit5(すなわち、IPアドレス一時削除)とが1に設定される。また、一時削除IPアドレスを通知する際のペイロードのフォーマットの一例を図26に示す。図26の例では、一時削除IPアドレスと送出先との組み合わせが、無効となったレコードの数だけ設定される。図24に示したルーティングテーブルでは、SONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1の2つのレコードが無効となっており、ペイロードは図27のように設定される。そして、SONET/SDH装置Aのルーティングテーブル制御部16はルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータAに送信する。
【0041】
図19の説明に戻って、SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は一時削除IPアドレスを受信し(ステップS35)、ルーティングテーブル更新処理を実施する(ステップS37)。ルーティングテーブル更新処理については図28を用いて説明する。パスオーバヘッド処理部18は、受信したF2バイトを解析する。ペイロードにルーティング情報が含まれる場合(ステップS83:Yesルート)、ルーティング情報をルーティングテーブルに追加し(ステップS85)、元の処理に戻る。一方、ルーティング情報が含まれない場合(ステップS83:Noルート)、更新IPアドレスが含まれるか否か判定する(ステップS87)。更新IPアドレスが含まれる場合(ステップS87:Yesルート)、ルーティングテーブル内の該当するIPアドレスを更新し(ステップS89)、元の処理に戻る。一方、更新IPアドレスが含まれない場合(ステップS87:Noルート)、一時削除IPアドレスが含まれるか否か判定する(ステップS91)。一時削除IPアドレスが含まれる場合(ステップS91:Yesルート)、ルーティングテーブル内の該当するIPアドレスを含むレコードを無効に設定する(ステップS93)。一方、一時削除IPアドレスが含まれない場合(ステップS91:Noルート)、復旧IPアドレスが含まれるか否か判定する(ステップS95)。復旧IPアドレスが含まれる場合(ステップS95:Yesルート)、ルーティングテーブル内の該当するIPアドレスを含むレコードを有効に設定する(ステップS97)。一方、復旧IPアドレスが含まれない場合、ルーティングテーブル更新処理を終了して元の処理に戻る(ステップS95:Noルート)。また、一時削除IPアドレス又は復旧IPアドレスを受信した場合、ルーティングテーブル制御部16は、ルーティングテーブルに基づき、関連するルータにルーティングアップデートのためのパケットを送信し(ステップS99)、元の処理に戻る。
【0042】
本実施の形態では、SONET/SDH装置Bは一時削除IPアドレスを受信し、ルーティングテーブルを更新する。すなわち、SONET/SDH装置Bにおけるルーティングテーブルも図24で示した内容となる。また、SONET/SDH装置Bのルーティングテーブル制御部16はルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータA’に送信する。
【0043】
図19の説明に戻って、ルーティングアップデートのためのパケットを送信したSONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bは、ルータから送信されるルーティングプロトコルを含むパケットの破棄を開始する(ステップS39及びS41)。SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bの転送処理部17は、ルーティングテーブルを参照し、無効に設定されるレコードのポートから送信されるルーティングプロトコルを含むパケットを破棄する。
【0044】
ルーティングアップデートのためのパケットを受信した後、ルータAはSONET/SDH装置Aへのパケット送信を停止し、ルータA’はSONET/SDH装置Bへのパケット送信を停止する。また、ルータA及びルータA’は、他の伝送経路がある場合は経路変更を実施する(ステップS43及びS45)。なお、ルータBとB’、ルータCとC’のデータ通信は継続して行われる。
【0045】
このようにすれば、各SONET/SDH装置において、制御対象回線を把握することができ、制御対象回線を伝送経路としているルータに対して、他の伝送経路(例えば、IP網経由)への切り替えを促すような制御を行うことができる。
【0046】
次に図29乃至図32を用いて、図3に示したネットワーク構成において、ルータAとSONET/SDH装置Aとの間の回線障害が復旧した場合の処理について説明する。図29に、ネットワーク全体における処理フローを示す。なお、図29の処理フローは、図19の処理フローの続きとする。まず、ルータBとルータB’、ルータCとルータC’は、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bを介してデータ通信中である(ステップS101、S103、S105及びS107)。このとき、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bの転送処理部17は、各ルータにデータを転送する(ステップS109及びS111)。なお、ルータAとルータA’は他の伝送経路にてデータ通信中とする。
【0047】
そして、ルータAとSONET/SDH装置Aとの間の回線障害が復旧したものとする(ステップS113)。SONET/SDH装置Aのエラー監視処理部14は、所定の条件を満たすことにより回線復旧を検出する(ステップS115)。エラー監視処理部14は、回線状態制御部15に復旧情報を通知する。復旧情報には、上で述べたように、例えば、回線復旧を検出した検出ポート番号等が含まれる。復旧情報を受信した回線状態制御部15は、回線状態制御処理を実施する(ステップS117)。回線状態制御処理の処理フローについては、上で説明した図20と同様であるため、ここでは説明を省略する。回線状態制御部15は、回線状態テーブルのSONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1の回線制御状態フラグを「制御なし」に設定する。SONET/SDH装置Aにおける回線状態テーブルは、図12で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は、回線状態テーブルをSONET/SDH装置Bに通知する。このとき、F2バイトは図8のように設定され、ペイロードは図30のように設定される。
【0048】
SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は回線状態テーブルを受信し、受信した回線状態テーブルの情報に基づき、自身の回線状態テーブルを更新する(ステップS119)。SONET/SDH装置Bにおける回線状態テーブルも図12で示した内容となる。
【0049】
続いてSONET/SDH装置Aのルーティングテーブル制御部16は、ルーティング制御処理を実施する(ステップS121)。ルーティング制御処理の処理フローについては、上で説明した図23と同様であるため、ここでは説明を省略する。ルーティングテーブル制御部16は、回線状態テーブルに基づき、SONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1を含むレコードを有効に設定する。SONET/SDH装置Aにおけるルーティングテーブルは、図18で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は、ルーティングテーブルに基づき、復旧IPアドレスをSONET/SDH装置Bに通知する。このとき、F2バイトは図31のようにBit7(すなわち、ルーティング情報)とBit3(すなわち、IPアドレス復旧)とが1に設定される。また、復旧IPアドレスを通知する際のペイロードのフォーマットの一例を図32に示す。図32の例では、復旧IPアドレスと送出先との組み合わせが、有効となったレコードの数だけ設定される。従って、SONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1を含む2つのレコードが有効となったので、ペイロードは図27のように設定される。そして、SONET/SDH装置Aのルーティングテーブル制御部16はルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータAに送信する。
【0050】
SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は復旧IPアドレスを受信し(ステップS123)、ルーティングテーブル更新処理を実施する(ステップS125)。ルーティングテーブル更新処理の処理フローについては、上で説明した図28と同様であるため、ここでは説明を省略する。パスオーバヘッド処理部18は、受信した復旧IPアドレスに基づき、ルーティングテーブルを更新する。SONET/SDH装置Bにおけるルーティングテーブルも図18で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Bのルーティングテーブル制御部16はルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータA’に送信する。
【0051】
ルーティングアップデートのためのパケットを送信したSONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bは、ルータから送信されるルーティングプロトコルを含むパケットの破棄を終了する(ステップS127及びS129)。
【0052】
ルーティングアップデートのためのパケットを受信したルータA及びルータA’は経路変更を実施し、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bを経由する伝送経路を選択する(ステップS131及びS133)。これにより、ルータAとルータA’とのデータ通信において(ステップS135及びS137)、データ転送がSONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bにより行われるようになる(ステップS139及びS141)。なお、ルータA及びルータA’が他の伝送経路で通信している場合、必ずしも経路変更が行われるとは限らない。
【0053】
このようにすれば、各SONET/SDH装置において、制御対象回線を把握することができ、制御対象回線に接続するルータに対して、SONET/SDH装置を経由する伝送経路への切り替えを促すような制御を行うことができる。
【0054】
次に図33乃至図38を用いて、図3に示したネットワーク構成において、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間で回線障害が発生した場合の処理について説明する。図33に、ネットワーク全体における処理フローを示す。まず、ルータAとルータA’、ルータBとルータB’、ルータCとルータC’がSONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとを介してデータ通信中である(ステップS143、S145、S147、S149、S151及びS153)。このとき、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bの転送処理部17は、各ルータにデータを転送する(ステップS155及びS157)。
【0055】
本実施の形態では、SONET/SDH装置AからSONET/SDH装置Bへの回線で、例えば、光ファイバーの不具合により、エラーレートが10-10レベルの回線品質の劣化が発生したものとする(ステップS159)。SONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、SONET/SDHフレーム内のK1バイト、K2バイトからエラーを検出する(ステップS161)。まず、SONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、SONET/SDHフレーム内のK1バイト、K2バイトを用いてSONET/SDH装置Aにエラー検出を通知する(ステップS163)。SONET/SDH装置Aのエラー監視処理部14は、SONET/SDH装置Bからのエラー検出通知を受信する(ステップS165)。
【0056】
次にSONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、回線状態制御部15にエラー情報を通知する。このとき、回線障害を検出したのがSONET/SDH装置間であることを示す情報をエラー情報に含める。エラー情報を受信した回線状態制御部15は、回線状態制御処理を実施する(ステップS167)。
【0057】
SONET/SDH装置間でのエラー検出時の回線状態制御処理について図34を用いて説明する。まず、回線障害を検出したか否かを判定する(ステップS189)。回線障害ではなく、回線復旧を検出した場合(ステップS189:Noルート)、回線状態テーブル内に回線制御状態フラグが「制御あり」と設定されている回線があるか否か判定する(ステップS191)。もし、回線制御状態フラグが「制御あり」と設定されている回線がある場合(ステップS191:Yesルート)、当該回線について、回線制御状態フラグを「制御なし」、リンク有無を表すフラグを「リンク有」と設定する(ステップS193)。そして、後で説明するステップS207の処理に移行する。なお、当該回線のリンク有無を表すフラグが「リンク有」である場合にはそのままの設定とする。一方、回線制御状態フラグが「制御あり」に設定されている回線がない場合、回線状態制御処理を終了して元の処理に戻る(ステップS191:Noルート)。
【0058】
一方、回線障害を検出した場合(ステップS189:Yesルート)、リンク情報からリンク断か否か判定する(ステップS195)。もし、リンク断の場合(ステップS195:Yesルート)、回線状態テーブル内の全回線について、回線制御状態フラグを「制御あり」、リンク有無を表すフラグを「リンク無」と設定する(ステップS197)。そして、後で説明するステップS207の処理に移行する。一方、リンク断ではなく、回線品質の劣化の場合(ステップS195:Noルート)、回線状態テーブルから未処理の回線の許容エラーレートを回線状態テーブルから取得する(ステップS199)。そして、エラー情報に含まれるエラーレートと許容エラーレートを比較する(ステップS201)。もし、エラーレートが許容エラーレートの許容範囲内の場合(ステップS201:Yesルート)、後で説明するステップS205の処理に移行する。一方、エラーレートが許容エラーレートの許容範囲を超えた場合(ステップS201:Noルート)、回線状態テーブル内の当該回線について、回線制御状態フラグを「制御あり」、リンク有無を表すフラグを「リンク有」と設定する(ステップS203)。次に、回線状態テーブル内の全ての回線について処理したか判定する(ステップS205)。未処理の回線がある場合(ステップS205:Noルート)、ステップS199の処理に戻る。一方、回線状態テーブル内の全ての回線について処理した場合(ステップS205:Yesルート)、回線状態テーブルに変更があるか否か判定する(ステップS207)。回線状態テーブルに変更がない場合、回線状態制御処理を終了して元の処理に戻る(ステップS207:Noルート)。一方、回線状態テーブルに変更がある場合(ステップS207:Yesルート)、接続するSONET/SDH装置1に回線状態テーブルを通知し(ステップS209)、元の処理に戻る。
【0059】
本実施の形態では、図12で示したようにSONET/SDH装置Bのポート1の許容エラーレートは10-8、ポート2の許容エラーレートは10-15、ポート3の許容エラーレートは10-11である。そして、エラーレートが10-10レベルのエラーが発生しているため、ポート2及びポート3については許容範囲を超えており、ポート2及びポート3に接続する回線は制御対象回線と判断される。回線状態テーブルは、図35に示すようにポート2及びポート3の回線状態制御フラグに「制御あり」が設定される。このとき、SONET/SDH装置Bのポート2はグループ2、ポート3はグループ3であり、SONET/SDH装置A側のグループ2であるポート2、グループ3であるポート3の回線制御状態フラグについても「制御あり」を設定する。そして、SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は、図35に示した回線状態テーブルをSONET/SDH装置Aに通知する。このとき、SONET/SDHフレームには、図8に示したF2バイトと図36に示すペイロードとが設定される。
【0060】
図33の説明に戻って、SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は回線状態テーブルを受信し、受信した回線状態テーブルの情報に基づき、自身の回線状態テーブルを更新する(ステップS169)。すなわち、SONET/SDH装置Aにおける回線状態テーブルも図35で示した内容となる。
【0061】
続いてSONET/SDH装置Bのルーティングテーブル制御部16は、ルーティング制御処理を実施する(ステップS171)。ルーティング制御処理の処理フローについては、上で説明した図23と同様であるため、ここでは説明を省略する。ルーティングテーブル制御部16は、回線状態テーブルに基づき、SONET/SDH装置Aのポート2及びポート3、並びにSONET/SDH装置Bのポート2及びポート3を含むレコードを無効に設定する。SONET/SDH装置Bにおけるルーティングテーブルは、図37のように更新される。そして、SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は、図37に示したルーティングテーブルに基づき、一時削除IPアドレスをSONET/SDH装置Aに通知する。このとき、SONET/SDHフレームには、図25に示したF2バイトと図38に示すペイロードとが設定される。図38では、SONET/SDH装置Aのポート2及びポート3、並びにSONET/SDH装置Bのポート2及びポート3の4つが設定される。そして、SONET/SDH装置Bのルーティングテーブル制御部16はルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータB’とルータC’とに送信する。
【0062】
SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は一時削除IPアドレスを受信し(ステップS173)、ルーティングテーブル更新処理を実施する(ステップS175)。ルーティングテーブル更新処理の処理フローについては、上で説明した図28と同様であるため、ここでは説明を省略する。パスオーバヘッド処理部18は、受信した一時削除IPアドレスに基づき、ルーティングテーブルを更新する。SONET/SDH装置Aにおけるルーティングテーブルも図37で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Aのルーティングテーブル制御部16はルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータBとルータCとに送信する。
【0063】
ルーティングアップデートのためのパケットを送信したSONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bは、ルータから送信されるルーティングプロトコルを含むパケットの破棄を開始する(ステップS177及びS179)。SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bの転送処理部17は、ルーティングテーブルを参照し、無効に設定されるレコードのポートから送信されるルーティングプロトコルを含むパケットを破棄する。
【0064】
ルーティングアップデートのためのパケットを受信した後、ルータB及びルータCはSONET/SDH装置Aへのパケット送信を停止し、ルータB’及びルータC’はSONET/SDH装置Bへのパケット送信を停止する。また、ルータB、ルータB’、ルータC及びルータC’は、他の伝送経路がある場合は経路変更を実施する(ステップS181、S183、S185及びS187)。なお、ルータAとA’のデータ通信は継続して行われる。
【0065】
このようにすれば、SONET/SDH装置と接続する全ての回線の中から、要求回線品質(例えば、許容エラーレート)に応じて制御対象回線を特定することができ、回線品質に影響があるルータに対してのみ制御を行うことができる。
【0066】
次に図39を用いて、図3に示したネットワーク構成において、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間の回線障害が復旧した場合の処理について説明する。図39はネットワーク全体における処理フローを示す。なお、図39の処理フローは、図33の処理フローの続きとする。まず、ルータAとルータA’は、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bを介してデータ通信中である(ステップS211及びS213)。このとき、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bの転送処理部17は、各ルータにデータを転送する(ステップS215及びS217)。なお、ルータBとルータB’、ルータCとルータC’は他の伝送経路にてデータ通信中とする。
【0067】
そして、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間の回線障害が復旧したものとする(ステップS219)。SONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、SONET/SDHフレーム内のK1バイト、K2バイトから回線復旧を検出する(ステップS221)。まず、SONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、SONET/SDHフレーム内のK1バイト、K2バイトを用いてSONET/SDH装置Aに回線復旧の検出を通知する(ステップS223)。SONET/SDH装置Aのエラー監視処理部14は、SONET/SDH装置Bからの回線復旧の検出通知を受信する(ステップS225)。
【0068】
次にSONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、回線状態制御部15に復旧情報を通知する。このとき、回線復旧を検出したのがSONET/SDH装置間であることを示す情報を復旧情報に含める。復旧情報を受信した回線状態制御部15は、回線状態制御処理を実施する(ステップS227)。回線状態制御処理の処理フローについては、上で説明した図34と同様であるため、ここでは説明を省略する。回線状態制御部15は、回線状態テーブルのSONET/SDH装置Aのポート2及びポート3、並びにSONET/SDH装置Bのポート2及びポート3の回線制御状態フラグを「制御なし」に設定する。SONET/SDH装置Bにおける回線状態テーブルは、図12で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は、回線状態テーブルをSONET/SDH装置Aに通知する。このとき、F2バイトは図8のように設定され、ペイロードは図30のように設定される。
【0069】
SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は回線状態テーブルを受信し、受信した回線状態テーブルの情報に基づき、自身の回線状態テーブルを更新する(ステップS229)。SONET/SDH装置Aにおける回線状態テーブルも図12で示した内容となる。
【0070】
続いてSONET/SDH装置Bのルーティングテーブル制御部16は、ルーティング制御処理を実施する(ステップS231)。ルーティング制御処理の処理フローについては、上で説明した図23と同様であるため、ここでは説明を省略する。ルーティングテーブル制御部16は、回線状態テーブルに基づき、SONET/SDH装置Aのポート2及びポート3、並びにSONET/SDH装置Bのポート2及びポート3を含むレコードを有効に設定する。SONET/SDH装置Bにおけるルーティングテーブルは、図18で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Bのパスオーバヘッド処理部18は、ルーティングテーブルに基づき、復旧IPアドレスをSONET/SDH装置Aに通知する。このとき、SONET/SDHフレームには、図31に示したF2バイトと図38に示したペイロードとが設定される。そして、SONET/SDH装置Bのルーティングテーブル制御部16は、ルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータB’とルータC’とに送信する。
【0071】
SONET/SDH装置Aのパスオーバヘッド処理部18は復旧IPアドレスを受信し(ステップS233)、ルーティングテーブル更新処理を実施する(ステップS235)。ルーティングテーブル更新処理の処理フローについては、上で説明した図28と同様であるため、ここでは説明を省略する。パスオーバヘッド処理部18は、受信した復旧IPアドレスに基づき、ルーティングテーブルを更新する。SONET/SDH装置Aにおけるルーティングテーブルも図18で示した内容となる。そして、SONET/SDH装置Aのルーティングテーブル制御部16は、ルーティングテーブルに基づき、ルーティングアップデートのためのパケットをルータBとルータCとに送信する。
【0072】
ルーティングアップデートのためのパケットを送信したSONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bは、ルータから送信されるルーティングプロトコルを含むパケットの破棄を終了する(ステップS237及びS239)。
【0073】
ルーティングアップデートのためのパケットを受信したルータB、ルータB’、ルータC及びルータC’は経路変更を実施し、SONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bを経由する伝送経路を選択する(ステップS241、S243、S245及びS247)。これにより、ルータBとルータB’、ルータCとルータC’のデータ通信において(ステップS249、S251、S253及びS255)、データ転送がSONET/SDH装置A及びSONET/SDH装置Bにより行われるようになる(ステップS257及びS259)。なお、ルータBとルータB’、ルータCとルータC’が他の伝送経路で通信している場合、必ずしも経路変更が行われるとは限らない。
【0074】
このようにすれば、各SONET/SDH装置において、制御対象回線を把握することができ、制御対象回線に接続するルータに対して、SONET/SDH装置を経由する伝送経路への切り替えを促すような制御を行うことができる。
【0075】
また、図39で回線障害が復旧した場合の処理について説明したが、完全な回線復旧ではなく、徐々に回線品質が回復する場合について説明する。例えば、図39の処理フローのステップS219において、エラーレートが10-10から10-13まで回復したものとする。SONET/SDH装置Bのエラー監視処理部14は、エラーレートの回復を検出し、このエラーレート(すなわち、10-13)を含む復旧情報を回線状態制御部15に通知する。そして、回線状態制御部15は図34に示した回線状態制御処理を実施するが、この場合は、ステップS193の処理前に、回線制御状態フラグが「制御あり」に設定されるポートの許容エラーレートと復旧情報に含まれるエラーレートとの比較を行う。エラーレートが許容エラーレートの許容範囲内まで回復していれば、ステップS193の処理に移行する。一方、エラーレートが許容エラーレートの許容範囲を超えたままであれば、ステップS193の処理は行わない。従って、上で述べた例では、ポート2の許容エラーレートは10-15、ポート3の許容エラーレートは10-11であるため、ポート2の回線制御状態フラグは「制御あり」のまま、ポート3の回線制御状態フラグは「制御なし」に設定される。以降の処理については、図39で説明した処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0076】
また、SONET/SDH回線とイーサネット回線との両回線で回線障害が生じている状態で、例えば、SONET/SDH回線で回線復旧を検出した場合について説明する。この場合、図示していないが、回線状態テーブルの回線制御状態フラグは2つ用意され、1つはイーサネット回線用の回線制御状態フラグ(以降、イーサネットフラグと呼ぶ)、もう1つはSONET/SDH回線用の回線制御状態フラグ(以降、SONET/SDHフラグと呼ぶ)とする。なお、回線状態テーブルの他の部分については、図12で示した回線状態テーブルと同様とする。ここでは、図3で示したネットワーク構成において、ルータAとSONET/SDH装置Aとの間で、エラーレートが10-7レベルの回線品質の劣化、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間で、エラーレートが10-10レベルの回線品質の劣化が発生しているものとする。このときの回線状態テーブルは、SONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1のイーサネットフラグに「制御あり」、SONET/SDH装置Aのポート2及びポート3、並びにSONET/SDH装置Bのポート2及びポート3のSONET/SDHフラグに「制御あり」、他は「制御なし」が設定される。そして、SONET/SDH回線で回線復旧を検出したとする。回線復旧を検出した場合の処理は、基本的には図39と同様となる。ただし、回線状態テーブルに回線制御状態フラグが2つあるため、ここではSONET/SDHフラグについてのみ処理される。従って、SONET/SDH装置Aのポート1及びSONET/SDH装置Bのポート1のイーサネットフラグは「制御あり」のままであり、SONET/SDH装置Aのポート2及びポート3、並びにSONET/SDH装置Bのポート2及びポート3のSONET/SDHフラグは「制御なし」に更新される。よって、ルータB、ルータC、ルータB’、ルータC’にルーティングアップデートのためのパケットが送信される。
【0077】
以上述べたように、本実施の形態によれば、SONET/SDH回線で回線品質が低下した場合に、要求回線品質に応じて、他の伝送経路への切り替えが可能になり、安定したネットワーク運用が可能になる。また、イーサネット回線で回線障害が発生した場合でも、各SONET/SDH装置が同期の取れたルーティングテーブルを持つことで、接続するルータ毎に通信制御を行うことができる。
【0078】
以上本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、SONET/SDHシステムに限らず、WDM(Wavelength Division Multiplexing)システムの場合についても適用可能である。また、図2に示した機能ブロック図は、一例であって、必ずしも実際の構成と合致しない場合もある。
【0079】
また、本実施の形態では、図3のような冗長構成のないSONET/SDH網であったが、図40のような冗長構成を備えたSONET/SDH網であってもよい。図40では、WORKが通常回線、Protectが冗長回線となっている。例えば、通常回線及び冗長回線の両回線において回線障害が発生した場合に、上で述べたような処理を行うことで適切な通信制御を行うことができる。
【0080】
また、図41のようなリング構成であってもよい。図41では、SONET/SDH装置A、SONET/SDH装置B、SONET/SDH装置C及びSONET/SDH装置DからSONET/SDH網が構成される。例えば、SONET/SDH装置AとSONET/SDH装置Bとの間で回線障害が発生した場合、SONET/SDH装置D及びSONET/SDH装置Cを経由してデータ通信を継続することも可能であるが、上で述べたような処理を行うことでIP網を経由する伝送経路を選択させることも可能である。
【0081】
また、回線の品質に関わらず、回線障害を検出する場合もある。この場合は、要求回線品質と比較することなく、制御対象回線を特定する。
【0082】
(付記1)
ルータとの間の第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベースと、
前記第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出手段と、
前記障害検出手段による前記回線障害の検出に応じて、前記回線障害の情報、又は前記回線障害情報及び前記要求回線品質に基づき、前記第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定手段と、
を有する伝送装置。
【0083】
(付記2)
宛先アドレスと当該宛先アドレスに対応する送出先ポートの識別情報とを含むレコードを生成し、ルーティングテーブルに登録する手段と、
前記ルーティングテーブルにおいて、前記制御対象回線が接続される接続ポートの識別情報が前記送出先ポートの識別情報として登録されている前記レコードを無効にする手段と、
をさらに有する付記1記載の伝送装置。
【0084】
(付記3)
前記制御対象回線での回線復旧を検出する復旧検出手段と、
前記復旧検出手段による前記回線復旧の検出に応じて、前記ルーティングテーブルにおいて、前記回線復旧を検出した前記制御対象回線が接続される前記接続ポートの識別情報が前記送出先ポートの識別情報として登録されている前記レコードを有効にする手段と、
をさらに有する付記2記載の伝送装置。
【0085】
(付記4)
前記回線データベースが、
前記第1の回線が前記制御対象回線であるか否かを識別する識別データ
をさらに含み、
前記制御対象回線に変更がある場合、前記識別データを更新する手段と、
前記回線データベースに変更がある場合、前記回線データベースの少なくとも変更のある部分の情報を第2の伝送装置に出力する手段と
をさらに有する付記1記載の伝送装置。
【0086】
(付記5)
第2の伝送装置から前記回線データベースの情報を受信した場合に、受信した前記回線データベースの情報に基づき、前記回線データベースを更新する手段
をさらに有する付記1記載の伝送装置。
【0087】
(付記6)
前記ルーティングテーブルにおいて前記レコードの追加又は変更がある場合、前記レコードを第2の伝送装置に出力する手段
をさらに有する付記2記載の伝送装置。
【0088】
(付記7)
第2の伝送装置から前記ルーティングテーブルの前記レコードを受信した場合に、受信した前記レコードに基づき、前記ルーティングテーブルを更新する手段
をさらに有する付記2記載の伝送装置。
【0089】
(付記8)
前記ルーティングテーブルに変更がある場合、前記ルーティングテーブルの変更を反映させる制御パケットを生成し、前記制御対象回線に接続する前記ルータに出力する手段
をさらに有する付記2記載の伝送装置。
【0090】
(付記9)
宛先アドレスと当該宛先アドレスに対応する送出先ポートの識別情報とを含むレコードを生成し、ルーティングテーブルに登録する手段と、
ルータとの間の第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出手段と、
前記障害検出手段による前記回線障害の検出に応じて、前記回線障害の情報に基づき、前記第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定手段と、
前記ルーティングテーブルにおいて、前記制御対象回線が接続される接続ポートの識別情報が前記送出先ポートの識別情報として登録されている前記レコードを無効にする手段と、
を有する伝送装置。
【0091】
(付記10)
前記第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベース
をさらに有し、
前記制御対象特定手段が、
前記障害検出手段による前記第2の回線における前記回線障害の検出に応じて、前記回線障害の情報及び前記要求回線品質に基づき、前記第1の回線の中から前記制御対象回線を特定する手段
を有する付記9記載の伝送装置。
【0092】
(付記11)
ルータとの間の第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出ステップと、
前記障害検出ステップによる前記回線障害の検出に応じて、前記回線障害の情報、又は前記回線障害情報及び前記第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベースに格納された要求回線品質に基づき、前記第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定ステップと、
を有する通信制御方法。
【0093】
(付記12)
付記11記載の通信制御方法をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態に係るネットワークの概要を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るネットワーク構成の一例を示す図である。
【図4】テーブル生成処理の処理フローを示す図である。
【図5】(a)及び(b)は、回線状態テーブルの一例を示す図である。
【図6】SONET/SDHフレームフォーマットの一例を示す図である。
【図7】F2バイトのフォーマットの一例を示す図である。
【図8】F2バイトの設定例を示す図である。
【図9】ペイロードのフォーマットの一例を示す図である。
【図10】ペイロードに設定される値の定義を示す図である。
【図11】回線状態テーブルが設定されたペイロードの一例を示す図である。
【図12】回線状態テーブルの一例を示す図である。
【図13】(a)乃至(c)は、ルータにおけるルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図14】(a)乃至(c)は、ルータにおけるルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は、SONET/SDH装置におけるルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図16】F2バイトの設定例を示す図である。
【図17】ペイロードのフォーマットの一例を示す図である。
【図18】SONET/SDH装置におけるルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図19】本発明の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【図20】回線状態制御処理の処理フローを示す図である。
【図21】回線状態テーブルの一例を示す図である。
【図22】回線状態テーブルが設定されたペイロードの一例を示す図である。
【図23】ルーティング制御処理の処理フローを示す図である。
【図24】SONET/SDH装置におけるルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図25】F2バイトの設定例を示す図である。
【図26】ペイロードのフォーマットの一例を示す図である。
【図27】IPアドレス及び送出先が設定されたペイロードの一例を示す図である。
【図28】ルーティングテーブル更新処理の処理フローを示す図である。
【図29】本発明の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【図30】回線状態テーブルが設定されたペイロードの一例を示す図である。
【図31】F2バイトの設定例を示す図である。
【図32】ペイロードのフォーマットの一例を示す図である。
【図33】本発明の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【図34】回線状態制御処理の処理フローを示す図である。
【図35】回線状態テーブルの一例を示す図である。
【図36】回線状態テーブルが設定されたペイロードの一例を示す図である。
【図37】SONET/SDH装置におけるルーティングテーブルの一例を示す図である。
【図38】IPアドレス及び送出先が設定されたペイロードの一例を示す図である。
【図39】本発明の実施の形態に係る処理フローを示す図である。
【図40】本発明の実施の形態に係るネットワーク構成の一例を示す図である。
【図41】本発明の実施の形態に係るネットワーク構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0095】
1 SONET/SDH装置 3 IPルータ
5 加入者系 7 光ファイバー
9 高速光インターフェース 11 テーブル生成処理部
12 回線DB 13 ルーティングDB
14 エラー監視処理部 15 回線状態制御部
16 ルーティングテーブル制御部 17 転送処理部
18 パスオーバヘッド処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルータとの間の第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベースと、
前記第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出手段と、
前記障害検出手段による前記回線障害の検出に応じて、前記回線障害の情報、又は前記回線障害情報及び前記要求回線品質に基づき、前記第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定手段と、
を有する伝送装置。
【請求項2】
宛先アドレスと当該宛先アドレスに対応する送出先ポートの識別情報とを含むレコードを生成し、ルーティングテーブルに登録する手段と、
前記ルーティングテーブルにおいて、前記制御対象回線が接続される接続ポートの識別情報が前記送出先ポートの識別情報として登録されている前記レコードを無効にする手段と、
をさらに有する請求項1記載の伝送装置。
【請求項3】
前記制御対象回線での回線復旧を検出する復旧検出手段と、
前記復旧検出手段による前記回線復旧の検出に応じて、前記ルーティングテーブルにおいて、前記回線復旧を検出した前記制御対象回線が接続される前記接続ポートの識別情報が前記送出先ポートの識別情報として登録されている前記レコードを有効にする手段と、
をさらに有する請求項2記載の伝送装置。
【請求項4】
前記回線データベースが、
前記第1の回線が前記制御対象回線であるか否かを識別する識別データ
をさらに含み、
前記制御対象回線に変更がある場合、前記識別データを更新する手段と、
前記回線データベースに変更がある場合、前記回線データベースの少なくとも変更のある部分の情報を第2の伝送装置に出力する手段と
をさらに有する請求項1記載の伝送装置。
【請求項5】
ルータとの間の第1の回線又は伝送装置間を接続する第2の回線での回線障害を検出する障害検出ステップと、
前記障害検出ステップによる前記回線障害の検出に応じて、前記回線障害の情報、又は前記回線障害情報及び前記第1の回線毎の要求回線品質を格納する回線データベースに格納された要求回線品質に基づき、前記第1の回線の中から制御対象回線を特定する制御対象特定ステップと、
を有する通信制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2007−235628(P2007−235628A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55457(P2006−55457)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】