説明

位置判別装置及びそれが装備された移動体

【課題】被検出物の位置を的確に判別することができる位置判別装置を提供する。
【解決手段】一対の撮像手段11を、それらの光軸が互いに交差し、且つ、光軸の交点oに対して上下方向の下方側に位置し、且つ、光軸の交点oに対して車体前後方向の両側に位置する状態で分散配置して、判別手段を、光軸の交点oの上下方向の下方側及び上方側における光軸の交点oから設定距離未満である範囲を非検出範囲とし、光軸の交点oの上下方向の下方側における光軸の交点oから設定距離以上離れた範囲を検出範囲として、一対の撮像手段11にて撮像された一対の画像における被検出物6の撮像位置の差に基づいて検出範囲における基準位置に対する被検出物6の上下方向での位置を判別するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出物が位置する奥側に向けて設置されて前記被検出物を手前側から撮像する一対の撮像手段と、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置に基づいて前記被検出物の奥行き方向での位置を判別する判別手段とが設けられている位置判別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる位置判別装置は、従来では、一対の撮像手段を、それらの光軸が互いに交差し、且つ、光軸の交点に対して奥行き方向の手前側に位置し、且つ、光軸の交点に対して奥行き方向と交差する幅方向の両側に位置する状態で分散配置して、一対の撮像手段にて被検出物を手前側から撮像していた。そして、判別手段にて、光軸の交点の手前側から奥側に亘る範囲を検出範囲として、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における被検出物の撮像位置の差に基づいて、検出範囲における奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置を判別するように構成されているものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−29120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の位置判別装置では、判別手段にて被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別する検出範囲を、光軸の交点の手前側から奥側に亘る範囲としており、光軸の交点に位置する被検出物や光軸の交点の近傍に位置する被検出物の位置も判別するように構成されている。
しかしながら、被検出物が光軸の交点及びその近傍に位置する状態では、判別手段にて得られた被検出物の位置の信頼性が低く、基準位置に対する被検出物の位置の判別が不確実であることが実験結果から明らかとなった。
【0005】
当該実験について説明すると、光軸の交点の手前側30mmの位置から奥側30mmの位置に被検出物を設定量ずつ光軸の交点を通過させるように移動させて、その各位置において被検出物の位置を判別手段にて判別する実験を行った。
【0006】
この実験においては、図1に示すように、一対の撮像手段としての一対のCCDカメラC1,C2を、光軸の交点oからの距離(545mm)が等しく、且つ、奥行き方向と平行な線分に対する光軸の交差角度(51.3°)が等しくなる位置に分散配置している。また、一対のCCDカメラC1,C2を、光軸が水平で且つ被検出物Wと同一の水平面上に位置する状態で配置しており、被検出物Wを光軸の交点に位置させた状態では、図2(b)に示すように、一対のCCDカメラC1,C2にて撮像された一対の画像には被検出物W’,W''が同じ位置となるように設けられている。尚、図2(b)は、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像を重ねた図であり、W’は、右側のCCDカメラC1にて撮像された被検出物Wであり、W''は、左側のCCDカメラC2にて撮像された被検出物Wである。また、被検出物Wとして直径145mmの円柱体を用いている。
【0007】
図2(a),(c)の夫々も、一対のCCDカメラC1,C2にて撮像された一対の画像を重ねた図であり、図2(a)は、光軸の交点から110mm手前側に被検出物Wを位置させた状態において一対のCCDカメラC1,C2にて撮像された画像を示す図、図2(c)は、光軸の交点から150mm奥側に被検出物Wを位置する状態において一対のCCDカメラC1,C2にて撮像された画像を示す図である。そして、被検出物Wの撮像位置の差として、一対の画像夫々における被検出物W’,W''の中心位置の差(図2(a)及び(b)において矢印で示す)を用いている。
【0008】
その結果、光軸の交点oの手前側から光軸の交点oに向けて被検出物Wを移動させると、被検出物Wの撮像位置の差は徐々に小さくなり、光軸の交点oから奥側に向けて被検出物Wを移動させると、被検出物Wの撮像位置の差は徐々に大きくなるため、図3に示すように、実際の被検出物Wの奥行き方向での位置に対する被検出物Wの撮像位置の差の関係を示すグラフはV字状に形成されている。
そして、図4は、被検出物Wを奥行き方向の手前側から奥側に向けて設定量移動させた場合における被検出物Wの撮像位置の変化量を示したグラフであるが、図4に示すように、光軸の交点oから手前側や奥側に大きく離れている箇所で被検出物Wを移動させた場合は、実際の被検出物Wの移動に応じて被検出物Wの撮像位置の差も均等又は略均等に変化しているが、光軸の交点o及びその近傍で被検出物Wを移動させた場合では、実際の被検出物Wの移動に応じて被検出物Wの撮像位置の差が均等又は略均等に変化していない。
このような実際の被検出物Wの移動に応じて均等又は略均等に変化していない被検出物Wの撮像位置の差に基づいて被検出物Wの位置を判別した場合、判別手段にて得られた被検出物の位置の信頼性は低く、基準位置に対する被検出物の位置の判別が不確実であると考えられる。
【0009】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、被検出物の位置を的確に判別することができる位置判別装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかる位置判別装置は、被検出物が位置する奥側に向けて撮像する状態に設置されて前記被検出物を手前側から撮像する一対の撮像手段と、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置の差に基づいて前記被検出物の基準位置に対する前記手前側から前記奥側に向かう奥行き方向での位置を判別する判別手段とが設けられているものであって、その第1特徴構成は、
前記一対の撮像手段が、それらの光軸が互いに交差し、且つ、前記光軸の交点に対して前記奥行き方向の手前側に位置し、且つ、前記光軸の交点に対して前記奥行き方向と直交する幅方向の両側に位置する状態で分散配置され、前記判別手段が、前記光軸の交点の前記奥行き方向の手前側及び奥側における前記基準位置に対する前記被検出物の位置の判別が不確実となる前記光軸の交点から設定距離未満である範囲を非検出範囲とし、前記光軸の交点の前記奥行き方向の手前側又は奥側における前記光軸の交点から前記設定距離以上離れた範囲を検出範囲として、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置の差に基づいて前記基準位置に対する前記検出範囲における前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている点にある。
【0011】
すなわち、光軸の交点の奥行き方向の手前側及び奥側における光軸の交点から設定距離未満である範囲は、奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置の判別が不確実となるため、この範囲を非検出範囲とし、光軸の交点の奥行き方向の手前側又は奥側における光軸の交点から設定距離以上離れた範囲は、奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置の判別が確実又は略確実となるため、この範囲を検出範囲としている。そして、判別手段は、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における被検出物の撮像位置の差に基づいて、検出範囲における被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別するように構成されている。
【0012】
このように、判別手段にて被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別する検出範囲を、光軸の交点から手前側又は奥側に設定距離以上離れた範囲とすることで、判別手段にて奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置を確実又は略確実に判別することができる。
ちなみに、上記した実験の如く一対の撮像手段を設置した場合では、図3及び図4に示すように、光軸の交点から10mm以上離れた箇所では実際の被検出物の移動に応じて被検出物の撮像位置の差も均等又は略均等に変化するので、設定距離として10mmを設定することにより、奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置の判別を確実又は略確実に行うことができる。
従って、被検出物の位置を的確に判別することができる位置判別装置を提供することができるに至った。
【0013】
本発明にかかる位置判別装置の第2特徴構成は、位置判別装置の第1特徴構成において、前記検出範囲で且つ前記幅方向における前記一対の撮像手段の間の第1検出箇所に位置する学習用被検出物を前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記学習用被検出物の撮像位置の差と、前記検出範囲で且つ前記幅方向における前記一対の撮像手段の間の第1検出箇所から前記奥行き方向にずらした第2検出箇所に位置する学習用被検出物を前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記学習用被検出物の撮像位置の差と、前記第1検出箇所及び前記第2検出箇所の前記奥行き方向の位置とに基づいて、前記学習用被検出物の奥行き方向の位置に対応する前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記学習用被検出物の撮像位置の差の対応関係を学習する学習手段が備えられ、前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置の差と前記学習手段にて学習された前記対応関係とに基づいて、前記検出範囲における前記基準位置に対する前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている点にある。
【0014】
すなわち、まず、学習手段により、学習用被検出物の奥行き方向に対応する一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における学習用被検出物の撮像位置の差の対応関係を学習する。
この学習は、第1検出箇所に位置する学習用被検出物を一対の撮像手段にて撮像したときの一方の撮像手段にて撮像された画像における学習用被検出物の位置と他方の撮像位置にて撮像された画像における学習用被検出物の位置との差を第1検出箇所についての視差として求める。同様に、第2検出箇所に位置する学習用被検出物を一対の撮像手段にて撮像したときの一方の撮像手段にて撮像された画像における学習用被検出物の位置と他方の撮像位置にて撮像された画像における学習用被検出物の位置との差を第2検出箇所についての視差として求める。
そして、第1撮像箇所についての視差と第1検出箇所の奥行き方向での位置、及び、第2撮像箇所についての視差と第2検出箇所の奥行き方向での位置に基づいて、学習用被検出物の奥行き方向の位置と一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における学習用被検出物の撮像位置の差との対応関係を学習する。
【0015】
この学習について説明を加えると、上記した実験では、光軸の交点から手前側や奥側に大きく離れている箇所で被検出物を移動させた場合は、実際の被検出物の移動量が同じであれば被検出物の撮像位置の差も同量又は略同量だけ変化している。また、上記した実験の条件から、撮像手段の光軸の交点oからの距離や、光軸の交差角度等が変わったとしても、例えば図13に示すように、光軸の交点から手前側や奥側に大きく離れている箇所で被検出物を移動させた場合は、実際の被検出物の移動量が同じであれば被検出物の撮像位置の差も同量又は略同量だけ変化している。よって、例えば図15に示すように、第1検出箇所及び第2検出箇所とのように複数個所の夫々についての一対の画像における学習用被検出物の位置の差と奥行き方向の位置とに基づいて、学習用被検出物の奥行き方向の位置と一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における学習用被検出物の撮像位置の差との対応関係を学習することができる。
【0016】
そして、このように学習手段にて例えば図15に示すような対応関係を学習することで、判別手段は、被検出物を一対の撮像手段にて撮像し、一方の撮像手段にて撮像された画像における被検出物の位置と他方の撮像手段にて撮像された画像における被検出物の位置との差に基づいて、基準位置に対する被検出物の奥行き方向の位置を判別することができる。
【0017】
従って、三角測量にて被検出物の位置を判別する場合では、一対の撮像手段を設置する設置位置の情報や設置角度の情報等を判別手段に与え、この与えた設置位置や設置角度になるように一対の撮像手段を精度良く設置する必要があるため、撮像手段の設置に手間取るものである。しかし、第2特徴構成によれば、学習用被検出物の奥行き方向の位置と一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における学習用被検出物の撮像位置の差との関係を学習することで、撮像手段の取付精度がある程度低くても、学習により得られた関係から被検出物の位置を判別することができるため、撮像手段を設置させ易いものとなる。
【0018】
本発明にかかる位置判別装置の第3特徴構成は、位置判別装置の第1又は第2特徴構成において、前記判別手段が、前記光軸の交点から前記奥行き方向の奥側に前記設定距離以上離れた範囲を非検出範囲とし、前記光軸の交点から前記奥行き方向の手前側に前記設定距離以上離れた範囲を検出範囲として、前記一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて前記検出範囲における前記基準位置に対する前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている点にある。
【0019】
すなわち、上記した実験の如く一対の撮像手段を設置した場合では、図3及び図4に示すように、光軸の交点から10mm以上離れた箇所において、光軸の交点の奥側よりも手前側の方が実際の被検出物の移動に応じて被検出物の撮像位置の差が均等に変化している。よって、判別手段にて被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別する検出範囲を、光軸の交点から手前側に設定距離以上離れた範囲とすることで、判別手段にて奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置をより的確に判別することができる。
【0020】
本発明にかかる位置判別装置の第4特徴構成は、位置判別装置の第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記一対の撮像手段が、前記光軸の交点からの距離が等しく、且つ、前記奥行き方向と平行な線分に対する前記光軸の交差角度が等しくなる位置に分散配置されている点にある。
【0021】
すなわち、一対の撮像手段を、光軸の支点からの距離が等しく、且つ、奥行き方向と平行な線分に対する交差角度が等しくなる位置に分散配置して、一対の撮像手段における光軸の支点からの距離や線分に対する交差角度の設置条件を等しくすることにより、判別手段による被検出物の位置を判別する処理を簡素化することができる。
【0022】
本発明にかかる位置判別装置の第5特徴構成は、位置判別装置の第1〜第4特徴構成のいずれか1つにおいて、前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像の夫々における前記奥行き方向に対応する方向での前記被検出物の両端の位置を検出し、この被検出物の両端の位置から前記一対の画像の夫々における前記奥行き方向に対応する方向での前記被検出物の中心位置を求め、前記一対の画像の夫々における前記被検出物の中心位置の差に基づいて、前記検出範囲における前記基準位置に対する前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている点にある。
【0023】
すなわち、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像の夫々における奥行き方向に対応する方向での被検出物の両端の位置を検出し、この被検出物の両端の位置から一対の画像の夫々における横方向に対応する方向での被検出物の中心位置を求め、一対の画像の夫々における被検出物の中心位置の差に基づいて、被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別するため、被検出物の位置を誤差が少ないように判別することができる。
つまり、例えば、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像の夫々における奥行き方向に対応する方向での被検出物の一端の位置を検出して、この一対の画像の夫々における被検出物の一端位置の差に基づいて、被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別することも考えられるが、このように被検出物の位置を判別した場合は、画像の被検出物の一端からずれた位置を被検出物の一端として誤検出すると、判別する被検出物の位置も同様にずれて判別してしまうが、上述の如く、一対の画像の夫々における被検出物の中心位置の差に基づいて被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別することにより、被検出物の一端に対してずれた位置を被検出物の一端として誤検出したとしても、誤検出した被検出物の一端と正確に検出した被検出物の他端との中心位置を被検出物の位置と判別することにより被検出物の検出位置の誤差を半減させることができるため、被検出物の位置を誤差が少ないように判別することができる。
【0024】
本発明にかかる位置判別装置の第6特徴構成は、位置判別装置の第1〜第5特徴構成のいずれか1つにおいて、前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて、前記奥行き方向に加えて、前記幅方向、又は、前記奥行き方向及び前記幅方向と直交する方向での前記被検出物の前記基準位置に対する位置を判別するように構成されている点にある。
【0025】
すなわち、判別手段が、奥行き方向と幅方向との二方向での位置、又は、奥行き方向と奥行き方向及び幅方向と直交する方向との二方向での位置から、基準位置に対する被検出物の二次元での位置を判別することができる。また、判別手段が、奥行き方向と幅方向と奥行き方向及び幅方向と直交する方向との三方向での位置から、基準位置に対する被検出物の三次元での位置を判別することができる。
【0026】
本発明にかかる移動体の第1特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれか1つの位置判別装置が移動体本体に装着された移動体であって、
前記被検出物が、前記移動体本体が配設される設備の固定側に設置され、前記一対の撮像手段が、前記検出範囲に位置する前記被検出物を撮像するべく前記移動体本体に備えられ、前記判別手段にて判別された前記基準位置に対する前記被検出物の位置に基づいて前記移動体の作動を制御する作動制御手段が備えられている点にある。
【0027】
すなわち、一対の撮像手段にて検出範囲に位置する被検出物を撮像し、一対の撮像手段により撮像された撮像情報に基づいて判別手段にて移動体本体に対する被検出物の位置を判別し、移動体本体に対する被検出物の位置に基づいて、例えば、移動体に備えた挾持装置にて被検出物を挾持するべく移動体における挾持装置の作動を制御する等、作動制御手段にて移動体の作動を制御するように構成されている。
そして、奥行き方向での基準位置に対する被検出物の位置を判別手段にて的確に判別することができるため、作動制御手段にて、移動体を適確に作動させることができる。
【0028】
本発明にかかる移動体の第2特徴構成は、移動体の第1特徴構成において、互いに接近及び離間自在な一対の装置側支持体を互いに接近させた状態で、ロール体の中心に位置するコアの両端部を前記一対の装置側支持体にて支持するように構成されている受け取り装置に対して受け渡し可能な状態でロール体を前記移動体本体としての搬送台車の上方で支持する搬送車側支持体と、その搬送車側支持体に支持されたロール体の前記コアを前記搬送台車に対して移動させる移動操作手段と、ロール体を前記受け取り装置に受け渡す受け渡し箇所に前記搬送台車を停止させた状態において、前記コアの両端部を前記一対の装置側支持体にて支持可能な適正位置に前記コアを位置させるべく前記移動操作手段の作動を制御する前記作動制御手段とが前記搬送台車に備えられ、前記一対の撮像手段が、前記受け渡し箇所に前記搬送台車を停止させた状態において、前記装置側支持体が前記検出範囲に位置して前記装置側支持体を前記被検出物として撮像するべく前記搬送台車に備えられ、前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて前記搬送台車に対する前記装置側支持体の位置を判別し、前記作動制御手段が、前記判別手段にて判別された前記装置側支持体の位置に基づいて前記コアを前記適正位置に位置させるべく前記移動操作手段の作動を制御するように構成されている点にある。
【0029】
すなわち、搬送台車を受け渡し箇所に停止させた状態において一対の撮像手段にて装置側支持体を撮像し、判別手段にて、一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて搬送台車に対する装置側支持体の位置を判別し、作動制御手段にて、この搬送台車に対する装置側支持体の位置に基づいて移動操作手段の作動を制御することにより、コアを適正位置に位置させることができるため、受け取り装置にコアを受け渡す際にコアを適正位置に位置させて一対の装置側支持体にてコアの両端部を適確に支持させることができる。
そして、奥行き方向での基準位置に対する装置側支持体の位置を判別手段にて的確に判別することができるため、作動制御手段にてコアを適正位置に正確に位置させることができ、受け取り装置にロール体を円滑に受け渡すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実験における一対の撮像手段と被検出物とを示す平面図
【図2】実験における一対の撮像手段にて撮像された画像を示す図
【図3】実験における撮像位置の差を示す図
【図4】実験における撮像位置の変化量を示す図
【図5】搬送台車の斜視図
【図6】搬送台車の側面図
【図7】搬送台車の正面図
【図8】ロール体と一対の装置側支持体とを示す図
【図9】第1実施形態における第1画像を示す図
【図10】第1実施形態における第2画像を示す図
【図11】第1実施形態における一方の支持ピンとコアの一端部とを示す図
【図12】第1実施形態における制御ブロック図
【図13】実験における撮像位置の差を示す図
【図14】実験における第1検出箇所と第2検出箇所とを示す図
【図15】第2実施形態における学習した対応関係を示す図
【図16】第2実施形態における第1画像を示す図
【図17】第2実施形態における第2画像を示す図
【図18】第2実施形態における制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0031】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る位置判別装置が移動体本体に装着された移動体の第1実施形態について図面に基づいて説明する。
図5〜図7に示すように、移動体としてのロール体用自動搬送車1は、印刷原紙や各種フィルム原反の表面に印刷や塗布を行う生産機等に設けられた受け取り装置としてのチャッキング装置2にロール体Aを受け渡すべく生産設備に配備されており、床面に敷設された誘導ラインに沿って受け渡し箇所まで自動走行し、受け渡し箇所においてロール体Aをチャッキング装置2に受け渡すように構成されている。
ちなみに、ロール体用自動搬送車1の受け渡し箇所への走行は、図5(a)に示すように矢印方向からの前進により移動し、図5(b)に示すように受け渡し箇所に停止する。また、ロール体Aは、被検出物としてのコアaと、そのコアaに巻回された紙やフィルム等のシート材bとで構成されており、そのロール体Aの中心に位置するコアaはシート材bから軸心方向両側に突出している。
【0032】
ロール体用自動搬送車1について説明する前に、まず、生産設備のチャッキング装置2について説明する。
生産設備のチャッキング装置2は、長手方向の中心に位置する回転軸心周りに回転自在な一対の回転アーム4と、ロール体Aを支持して回転アーム4と一体的に回転移動する支持具5とを備えて構成されている。支持具5は、一対の回転アーム4の夫々に支持された被検出物及び装置側支持体としての一対の支持ピン6を備えて構成され、これら一対の支持ピン6にてコアaの両端部を各別に支持することによりロール体Aを支持するように構成されている。また、支持具5(一対の支持ピン6)は、一対の回転アーム4を回転位相が一致した状態で回転及び停止されることにより、受け取り位置(図6における回転アーム4の回転軸心の左下の位置)と処理位置(図6における回転アーム4の回転軸心の右上の位置)とに位置切り換えされる。支持具5を受け取り位置に位置させた状態ではロール体用自動搬送車1からロール体Aを受け取り、支持具5を処理位置に位置させた状態では支持しているロール体Aからシート材bが繰り出されてそのシート材bに対して生産機にて印刷や塗布等の処理が行われる。
そして、回転アーム4における長手方向の両端部夫々に支持ピン6が設けられており、支持具5は、一方の支持具5が受け取り位置に位置している状態では他方の支持具5が処理位置に位置するように一対設けられている。
【0033】
図8に示すように、一対の支持ピン6は、図外の電動モータの作動により互いに近接及び離間自在に回転アーム4に支持されている。そして、コアaの両端部を一対の支持ピン6にて支持可能な適正位置にコアaを位置させ且つ支持具5を受け取り位置に位置させた状態で、離間させた状態(図8(a)参照)の支持ピン6を近接させた状態(図8(b))とすることにより、一対の支持ピン6にてコアaの両端部が支持され、近接させた状態の支持ピン6を離間させた状態とすることにより、一対の支持ピン6によるコアaの両端部に対する支持は解除される。
支持ピン6の夫々の先端部は、その外形がコアaの内径より小径な円柱形状に形成されており、一対の支持ピン6を互いに近接させた状態とすることにより支持ピン6の先端部がコアa内に挿入される。また、支持ピン6の先端部は、小径な円柱形状から大径化するように構成されており、先端部がコアa内に挿入させた状態で支持ピン6の先端部を大径化させることにより支持ピン6にてコアaの端部が支持される。
ちなみに、一対の支持ピン6の近接及び離間方向及び回転アーム4の回転軸心の方向は、適正位置に位置するコアaの軸心(ロール体Aの軸心)が沿う方向と同じ方向である。また、コアaの適正位置は、具体的には、受け取り位置に位置する一対の支持ピン6の軸心が直線上に並ぶ状態では、それら一対の支持ピン6の軸心とコアaの軸心とが軸心方向に直線状に並ぶ位置である。
【0034】
次に、ロール体用自動搬送車1について説明する。
図5〜図7に示すように、ロール体用自動搬送車1は、ロール体Aを搬送台車8の上方で支持する載置台9と、その載置台9に支持されたロール体Aのコアaを搬送台車8に対して移動させる移動操作手段10と、チャッキング装置2の支持ピン6を撮像するためのCCDカメラにて構成された撮像手段11と、撮像手段11にて撮像された撮像情報に基づいて移動操作手段10の作動を制御する制御装置Hと、走行用車輪13を備えた台車本体12とを搬送台車8に備えて構成されている。
ちなみに、搬送台車8は、台車本体12に載置台9、移動操作手段10、撮像手段11及び制御装置Hを備えて構成されている。また、撮像手段11と制御装置Hとで位置判別装置が構成されている。また、搬送台車8が移動体本体として設けられており、載置台9が搬送車側支持体として設けられている。
【0035】
載置台9は、コアaにおけるシート材bから突出した両端部を各別に支持するように車体左右方向に一対並べて設けられている。一対の載置台9の夫々は、その上端部が車体左右方向視でV字状に形成されており、そのV字状の上端部にコアaの端部を載置支持することにより、ロール体Aを載置台9に対して位置固定状態で載置支持するように構成されている。
そして、載置台9は、上述のようにコアaの端部を載置支持するように構成されているため、載置台9に支持されたコアa内に横側方から支持ピン6の先端部を挿入可能であり、チャッキング装置2に対して受け渡し可能な状態でロール体Aを支持している。
【0036】
移動操作手段10は、台車本体12に対して車体左右方向及び車体前後方向にスライド移動自在なスライドテーブル14と、このスライドテーブル14に固定状態で立設され且つ上端部に載置台9を上下方向に移動自在に支持する昇降支持アーム15とを備えて構成されている。昇降支持アーム15は、一対の載置台9を各別に昇降自在に支持するべく車体左右方向に一対並べて設けられており、スライドテーブル14は、一対の昇降支持アーム15を各別に支持するように車体左右方向に一対並べて設けられている。
つまり、移動操作手段10は、一対のスライドテーブル14を各別に車体左右方向及び車体前後方向にスライド移動させることにより、一対の昇降支持アーム15ひいては一対の載置台9を各別に車体左右方向及び車体前後方向に移動させることができ、一対の昇降支持アーム15にて一対の載置台9を各別に上下方向に移動させることができるように構成されている。
このように、移動操作手段10は、一対の載置台9を移動させることにより、コアaを移動させるように構成されている。具体的には、一対の載置台9を一体的に移動させることにより、コアaの姿勢を維持した状態でコアaの両端部を台車本体12に対して上下方向、車体左右方向及び車体前後方向に移動させるように構成されている。また、移動操作手段10は、一対の載置台9を各別に上下方向、車体左右方向及び車体前後方向に各別に移動させることにより、コアaの両端部を台車本体12に対して各別に上下方向、車体左右方向及び車体前後方向に移動させて、コアaの姿勢を変更させるように構成されている。
【0037】
撮像手段11として、搬送台車8を受け渡し箇所に停止させた状態において一対の支持ピン6の一方とコアaの一端部とを撮像する第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bの一対の撮像手段11と、搬送台車8を受け渡し箇所に停止させた状態において一対の支持ピン6の他方とコアaの他端部とを撮像する第3撮像手段11c及び第4撮像手段11dの一対の撮像手段11とが設けられており、台車本体12には、一対の撮像手段11が2組、計4台の撮像手段11が備えられている。
そして、4台の撮像手段11の夫々は、搬送台車8を受け渡し箇所に停止させた状態において、支持ピン6とコアaとを同時に一つの撮像範囲内に収めて撮像するように台車本体12に備えられている。
また、4台の撮像手段11の夫々は、台車本体12に固定状態に立設された支持棒16の上端部に高さ調節並びに向き調節可能に支持されている。
【0038】
図6に示すように、第1撮像手段11a及び第3撮像手段11cは、移動操作手段10にて移動操作されるコアaの移動範囲よりも下方側で且つ後方側に位置して上方側に向けて斜め前方を撮像する状態で台車本体12に設置されている。また、第2撮像手段11b及び第4撮像手段11dは、移動操作手段10にて移動操作されるコアaの移動範囲よりも下方側で且つ前方側に位置して、支持ピン6及びコアaが位置する上方側に向けて斜め後方を撮像する状態に台車本体12に設置されている。
【0039】
そして、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bの一対の撮像手段11は、光軸が互いに交差し、且つ、この光軸の交点oに対して下方側に位置し、且つ、光軸の交点oに対して車体前後方向の両側に位置する状態で分散配置されている。
また、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bの一対の撮像手段11は、光軸の交点oからの距離が等しく、且つ、鉛直方向と平行な線分に対する光軸の交差角度が等しくなるように、支持ピン6と同一の鉛直面上に位置して光軸が当該鉛直面上に位置する状態で、且つ、台車本体12に対する高さが同高さで、且つ、光軸の交点oからの車体前後方向での距離が等しくなる状態で分散配置されている。
ちなみに、本実施形態では、上下方向が本願発明の奥行き方向に相当し、下方側が本願発明の奥行き方向の手前側に相当し、上方側が本願発明の奥行き方向の奥側に相当する。また、車体前後方向が本願発明の幅方向に相当し、車体左右方向が奥行き方向及び幅方向と直交する方向に相当する。光軸は、撮像手段11のレンズの曲率中心を結ぶ直線である。
【0040】
図6に示すように、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bの一対の撮像手段11は、搬送台車8を受け渡し箇所に停止させた状態において、支持ピン6やコアaが存在する位置よりも上方に光軸の交点oが位置するように分散配置されている。
つまり、コアaは、移動操作手段10にて上下方向及び車体前後方向に移動するが、このコアaの移動範囲より上方側に光軸の交点oが位置する。また、支持ピン6は、支持ピン6が受け取り位置からずれて停止している又は搬送台車8が受け渡し箇所からずれて停止している等により、搬送台車8に対して支持ピン6が上下方向や車体前後方向にずれて位置する場合があるが、このずれを考慮して支持ピン6が存在すると想定される範囲より上方側に光軸の交点oが位置する。
【0041】
また、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bの一対の撮像手段11は、コアaの移動範囲や支持ピン6が存在すると想定される範囲より設定距離以上上方側に光軸の交点oが位置するように分散配置されている。
このように光軸の交点oを位置させることによって、光軸の交点oの上下方向の下方側における光軸の交点oから設定距離以上離れた検出範囲に支持ピン6やコアaが位置するようにしている。そして、光軸の交点oの上下方向の下方側及び上方側における光軸の交点oから設定距離未満の範囲を非検出範囲として、この非検出範囲に支持ピン6やコアaが位置しないようにしている。また、光軸の交点oの上下方向の上方側における光軸の交点oから設定距離以上の範囲も非検出範囲として、この非検出範囲に支持ピン6やコアaが位置しないようにしている。
【0042】
尚、第3撮像手段11c及び第4撮像手段11dの一対の撮像手段11は、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bの一対の撮像手段11と同様に分散配置されているので、第3撮像手段11c及び第4撮像手段11dの一対の撮像手段11の配置については説明を省略する。
【0043】
次に、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bによる支持ピン6の撮像について説明する。
図9及び図10に仮想線で示すように、一方側の支持ピン6が受け取り位置に位置し、且つ、搬送台車8が受け渡し箇所に停止しているとき撮像することにより、第1撮像手段11aにて撮像された画像(以下、第1画像と称する)や、第2撮像手段11bにて撮像された画像(以下、第2画像と称する)において、一方側の支持ピン6の先端部が適正な位置に撮像される。
そして、図9及び図10に実線で示すように、一方側の支持ピン6が受け取り位置からずれて位置している又は搬送台車8が受け渡し箇所からずれて停止する等により、一方側の支持ピン6と搬送台車8とが相対的にずれているときは、第1画像及び第2画像の両方又は一方において一方側の支持ピン6の先端部が適正な位置からずれて撮像される。
【0044】
また、コアaの一端部の撮像も一方側の支持ピン6の撮像と同様に、搬送中の振動によってコアaが載置台9にて適正な支持位置からずれて支持されている等により、コアaの一端部と搬送台車8とが相対的にずれているときは、第1画像及び第2画像の両方又は一方においてコアaの一端部が適正な位置からずれて撮像される。
【0045】
ちなみに、図9は、第1撮像手段11aにて撮像された第1画像であり、図10は、第2撮像手段11bにて撮像された第2画像であり、これら第1画像と第2画像とが、一対の撮像手段11にて撮像された一対の画像に相当する。尚、仮に支持ピン6の軸心を光軸の交点oに位置させた状態では、一対の支持ピン6は一対の画像の同じ位置に撮像される。
【0046】
制御装置Hは、一対の撮像手段11にて撮像された撮像情報に基づいて、上下方向、車体前後方向及び車体左右方向での支持ピン6及びコアaの搬送台車8に対する位置(詳しくは、搬送台車8に対して予め設定されている光軸の交点oに対する位置であり、光軸の交点oは本願発明における基準位置に相当する)に対する位置を判別する判別手段h1と、この判別手段h1にて判別された支持ピン6及びコアaの基準位置に対する位置に基づいて適正位置にコアaを位置させるべく移動操作手段10の作動を制御する作動制御手段h2とを備えて構成されている。
また、作動制御手段h2は、搬送台車8を誘導ラインに沿って走行させて受け渡し箇所まで自動走行させるべく台車本体12の作動を制御し、搬送台車8を受け渡し箇所に停止させた状態において、4台の撮像手段11を同時に作動させてその4台の撮像手段11の夫々にて支持ピン6とコアaとを一つの撮像範囲内に収まる状態で撮像させるべく撮像手段11の作動を制御するようにも構成されている。
ちなみに、図8はロール体用自動搬送車の制御ブロック図である。
【0047】
次に、判別手段h1による支持ピン6及びコアaの位置の判別について説明する。
第1撮像手段11aにて撮像された画像情報に基づいて、第1画像における支持ピン6の上辺及び下辺の両端の位置を検出し、この支持ピン6の上辺と下辺との両端の位置から第1画像における支持ピン6の軸心P1の画像上下方向での位置が求められる。また、第2撮像手段11bにて撮像された画像情報に基づいて、第2画像における支持ピン6の上辺及び下辺の両端の位置を検出し、この支持ピン6の上辺と下辺との両端の位置から第2画像における支持ピン6の軸心P1の画像上下方向での位置が求められる。そして、第1画像における画像上下方向での支持ピン6の軸心P1の位置、第2画像における画像上下方向での支持ピン6の軸心P1の位置、予め設定された第1撮像手段11aと第2撮像手段11bとの交差角情報、及び、予め設定された第1撮像手段11aと第2撮像手段11bとの夫々の位置情報に基づいて、ステレオカメラによる周知の位置計測技術を用いて、一方の支持ピン6の軸心の搬送台車8に対する上下方向及び車体前後方向の位置が光軸の交点oを基準とした座標として判別される。尚、軸心P1が支持ピン6の中心位置に相当する。
【0048】
また、第1撮像手段11aにて撮像された画像情報に基づいて、第1画像におけるコアaの上辺及び下辺の両端の位置を検出し、このコアaの上辺と下辺との両端の位置から第1画像におけるコアaの軸心位置P2の画像上下方向での位置が求められ、第2撮像手段11bにて撮像された画像情報に基づいて、第2画像におけるコアaの上辺及び下辺の位置を検出し、このコアaの上辺と下辺との両端の位置から第2画像におけるコアaの軸心位置P2の画像上下方向での位置が求められる。そして、第1画像における画像上下方向でのコアaの軸心位置P2の位置、第2画像における画像上下方向でのコアaの軸心位置P2の位置、予め設定された第1撮像手段11aと第2撮像手段11bとの交差角情報、及び、予め設定された第1撮像手段11aと第2撮像手段11bとの夫々の位置情報に基づいて、ステレオカメラによる周知の位置計測技術を用いて、コアaの一端部の軸心の搬送台車8に対する上下方向及び車体前後方向の位置が光軸の交点oを基準とした座標として判別される。
【0049】
そして、上述のように求められた一方の支持ピン6の軸心の座標とコアaの一端部の軸心の座標とに基づいて、一方の支持ピン6に対するコアaの一端部の上下方向のずれ量y及び車体前後方向のずれ量x、つまりは、コアaの一端部についての一端側基準位置a’からの上下方向のずれ量y及び車体前後方向のずれ量x(図11(a)参照)が求められる。
【0050】
そして、第1撮像手段11aにて撮像された画像情報に基づいて、第1画像における支持ピン6の先端位置から第1画像における画像左右方向での支持ピン6の位置が求められ、第1撮像手段11aにて撮像された画像情報に基づいて、第1画像におけるコアaの先端位置から第1画像における画像左右方向でのコアaの位置が求められる。これら第1画像における画像左右方向での支持ピン6の位置、及び、第1画像における画像左右方向でのコアaの位置に基づいて、一方の支持ピン6に対するコアaの一端部の車体左右方向でのずれ量が求められ、これからコアaの一端部についての一端側基準位置a’からの車体左右方向のずれ量z(図11(b)参照)が求められる。
【0051】
尚、コアaの他端部における他端側適正位置に対する上下方向、車体左右方向及び車体前後方向のずれ量は、コアaの一端部における一端側適正位置に対する上下方向、車体左右方向及び車体前後方向のずれ量x,y,zと同様に求められるため、説明は省略する。
【0052】
そして、移動制御手段h2は、判別手段h1にて判別された走行台車に対する支持ピン6及びコアaの位置から求められたずれ量x,y,zに基づいて、コアaを適正位置に位置させるべく移動操作手段10の作動を制御して、コアaを適正位置に位置させた後、図外の通信手段にて受け渡し準備完了の信号をチャッキング装置2に送信する。チャッキング装置2は、受け渡し準備完了の信号を受信すると、受け取り位置に位置する一対の支持ピン6を近接させ、その後、一対の支持ピン6の先端部の夫々をエアー封入等により大径化させてロール体Aの両端部を支持する。
【0053】
要するに、光軸の交点o及びその近傍では、判別手段h1による基準位置に対する支持ピン6の位置の判別が不確実になるので、この判別手段h1による判別が不確実となる光軸の交点o及びその近傍を非検出範囲とするべく設定距離を設定し、光軸の交点oの上下方向の下方側における光軸の交点oから設定距離以上を離れた範囲を検出範囲としている。そして、この検出範囲に位置する支持ピン6を一対の撮像手段11にて撮像し、その一対の撮像手段11にて撮像された一対の画像における支持ピン6の撮像位置の差に基づいて、基準位置からの支持ピン6の位置を判別するように構成されており、判別手段h1による基準位置に対する支持ピン6の位置の判別が的確にできるようになっている。
【0054】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る位置判別装置が移動体本体に装着された移動体の第2実施形態について図面に基づいて説明する。
尚、第2実施形態は、撮像手段11の交差角情報や位置情報を予め設定するのに代えて上下方向に対応する一対の画像における撮像位置の差の対応関係等を学習手段h3にて学習する点や判別手段h1による支持ピン6及びコアaの位置の判別が異なる点以外は第1実施形態と同様に構成されているため、第1実施形態と同様の構成については同じ符号をつけて説明は省略し、主に第1実施形態と異なる構成を説明する。尚、第2実施形態では、基準位置は、一対の撮像手段11(例えば、第1撮像手段11a及び第2撮像手段11b)が正確に設置されていると仮定した場合の交点oの位置に相当する。
【0055】
図18に示すように、制御装置Hには、判別手段h1や作動制御手段h2に加えて、被検出物の上下方向に対応する一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における被検出物の撮像位置の差の対応関係を学習する学習手段h3が備えられている。
【0056】
この学習手段h3は、図14に示すように、第1検出箇所に位置する学習用被検出物a’(図14に実線で示す)を一対の撮像手段11にて撮像された一対の画像における学習用被検出物の撮像位置の差(視差)と、第2検出箇所に位置する学習用被検出物a’を一対の撮像手段11にて撮像された一対の画像における学習用被検出物a’(図14に仮想線で示す)の撮像位置の差(視差)と、第1検出箇所及び第2検出箇所の上下方向の位置とに基づいて、学習用被検出物a’の上下方向に対応する一対の撮像手段11にて撮像された一対の画像における学習用被検出物a’の撮像位置の差(ずれ量)の対応関係を学習するようになっている。
【0057】
第1検出箇所は、検出範囲で且つ車体前後方向における一対の撮像手段11の間に設定され、第2検出箇所は、検出範囲で且つ車体前後方向における一対の撮像手段11の間の第1検出箇所から上下方向の下方側にずらして設定されている。また、今回の学習では、第1検出箇所と第2検出箇所とを結ぶ線分が、一対の撮像手段11が正確に取り付けられたときの交点oを通過するように設定されており、第1検出箇所が交点oより10mm下方の箇所、第2検出箇所が交点oより20mm下方の箇所に設定されている。また、学習用被検出物a’として、コアaと同形状に形成されているダミーが用いられている。尚、学習用被検出物a’として、被検出物であるロール体Aを用いてもよい。
【0058】
この対応関係の学習では、まず、第1撮像手段11aにて撮像された第1画像上における学習用被検出物a’における上辺及び下辺の長手方向端部のエッジからこれらエッジの中間位置(第1画像上の座標(Xa,Ya))を求める。また、同様に、第2撮像手段にて撮像された学習用被検出物における上辺及び下辺の長手方向端部のエッジからこれらエッジの中間位置(第2画像上の座標(Xb,Yb))を求める。
そして、次に、第1画像上の学習用被検出物a’の中間位置と第2画像上の学習用被検出物a’の中間位置とのずれ量を、三平方の定理に基づく式:√((Xa−Xb)2+(Ya−Yb)2)により算出するようになっている。
【0059】
また、学習手段h3は、一方の昇降支持アーム15の上下方向に昇降移動させて、学習用被検出物a’を第1検出箇所と第2検出箇所とに昇降移動させるに伴って、昇降支持アーム15の昇降量と、第1画像と第2画像とのずれ量の変化との関係となる上下移動関係を学習する。
【0060】
また、学習手段h3は、学習用被検出物a’の車両前後方向の移動量とこのように学習用被検出物a’を移動させたときの第1画像上での学習用被検出物a’の移動量とに比例関係があることを利用して、一方のスライドテーブル14を車両前後方向に移動させて、学習用被検出物a’を車両前後方向に設定量移動させることにより、スライドテーブル14の車両前後方向のスライド量と第1画像における学習用被検出物a’の移動量との関係となる前後移動関係を学習している。
【0061】
また、学習手段h3は、学習用被検出物a’の車両横幅方向の移動量とこのように学習用被検出物a’を移動させたときの第1画像上での学習用被検出物aの移動量とに比例関係があることを利用して、一方のスライドテーブル14を車両横幅方向に移動させて、学習用被検出物a’を車両横幅方向の設定量移動させることにより、スライドテーブル14の車両横幅方向のスライド量と第1画像における学習用被検出物a’の移動量との関係となる横幅移動関係を学習している。
【0062】
ちなみに、同様に、第3撮像手段11c、第4撮像手段11d、他方の昇降支持アーム15、他方のスライドテーブル14により、学習用被検出物a’の他端側についても対応関係、上下移動関係、前後移動関係及び横幅移動関係が学習される。
【0063】
このように、学習手段h3は、ロール体用自動搬送車1をロール体用搬送設備に配備する前又は配備した後に、載置台9にコアaと同形状の学習用被検出物a’を載置支持させた状態で、学習用被検出物a’を昇降移動させて一対の撮像手段11にて複数箇所で撮像し、その夫々の箇所についての一対の画像における学習用被検出物a’の視差、及び、夫々の箇所の学習用被検出物a’の上下方向の位置とに基づいて、一対の撮像手段11にて撮像された画像上の学習用被検出物a’(コアa)の差と学習用被検出物a’(コアa)の上下方向の位置との対応関係を学習するようになっている。また、学習手段h3は、移動操作手段10による学習用被検出物a’(コアa)の移動量と第1撮像手段11aにて撮像された第1画像上の移動量との関係(上下移動関係、前後移動関係、横幅移動関係)を学習するようになっている。
【0064】
次に、判別手段h1による支持ピン6とコアaの位置の判別について説明する。
第1撮像手段11aにて撮像された画像情報に基づいて、第1画像におけるコアaの上辺及び下辺の長手方向端部のエッジからこれらエッジの中間位置(図16参照、第1画像上のコアaの座標(X1,Y1))の画像上下方向及び画像横幅方向での位置が求められる。また、第1撮像手段11aにて撮像された画像情報に基づいて、第1画像における支持ピン6の上辺及び下辺の長手方向端部のエッジからこれらエッジの中間位置(図16参照、第1画像上の支持ピン6の座標(X2,Y2))の画像上下方向及び画像横幅方向での位置が求められる。
【0065】
そして、第2撮像手段11bにて撮像された画像情報に基づいて、第2画像におけるコアaの上辺及び下辺の長手方向端部のエッジからこれらエッジの中間位置(図17参照、第2画像上のコアaの座標(X4,Y4))の画像上下方向及び画像横幅方向での位置が求められる。また、第2撮像手段11bにて撮像された画像情報に基づいて、第2画像における支持ピン6の上辺及び下辺の長手方向端部のエッジからこれらエッジの中間位置(図17参照、第2画像上の支持ピン6の座標(X3,Y3))の画像上下方向及び画像横幅方向での位置が求められる。
【0066】
そして、第1画像と第2画像との一対の画像におけるコアaの中間位置(撮像位置)の差(視差)Gcと学習手段h3にて学習された対応関係とに基づいて、検出範囲における基準位置(第1撮像手段11a及び第2撮像手段11bが正確に設置されていると仮定した場合の交点oの位置)に対するコアaの上下方向での位置(Pc)を判別する。また、第1画像と第2画像との一対の画像における支持ピン6の中間位置(撮像位置)の差(視差)Gpと学習手段h3にて学習された対応関係とに基づいて、検出範囲における基準位置に対する支持ピン6の上下方向での位置(Pp)を判別する。
【0067】
支持ピン6とコアaとの上下方向でのずれ量は、基準位置に対する両者の位置の差(Pc−Pp)として求めることができる。そこで、支持ピン6とコアaとの上下方向でのずれ量を無くして、両者の上下方向での位置を一致させるべく、基準位置に対する両者の位置の差(Pc−Pp)と上下移動関係とに基づいて、コアaを上下方向に移動させるべく移動制御手段h2にて昇降支持アーム15の作動が制御される。
【0068】
その後、第1画像上のコアaと第1画像上の支持ピン6との画像上下方向のずれ量(X1−X2)を無くすべく、このずれ量と前後移動関係とに基づいてコアaを車両前後方向に移動させるべく移動制御手段h2にてスライドテーブル14の作動が制御される。
また、第1画像上のコアaと第1画像上の支持ピン6との画像横幅方向のずれ量(Y1−Y2)を所定のずれ量とすべく、このずれ量と横幅移動関係とに基づいてコアaを車両横幅方向に移動させるべく移動制御手段h2にてスライドテーブル14の作動が制御される。
【0069】
要するに、第1実施形態では、一対の撮像手段を設置する設置位置の情報や設置角度の情報等を判別手段に与え、この与えた設置位置や設置角度になるように一対の撮像手段を精度良く設置する必要があるため、撮像手段の設置に手間取るものであるが、第2実施形態では、学習用被検出物の奥行き方向の位置と一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における学習用被検出物の撮像位置の差との関係を学習することで、撮像手段の取付精度がある程度低くても、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における被検出物の撮像位置の差と、学習により得られた関係とから被検出物の位置を判別することができるため、撮像手段を設置させ易い。
【0070】
〔別実施形態〕
(1)上記第1及び第2実施形態では、一対の撮像手段11を、光軸の交点oからの距離が等しく、且つ、奥行き方向と平行な線分に対する光軸の交差角度が等しくなる位置に分散配置したが、一対の撮像手段11を、光軸の交点oからの距離が異なる位置に分散配置してもよく、また、奥行き方向と平行な線分に対する光軸の交差角度が異なる位置に分散配置してもよい。
ちなみに、この場合でも、検出範囲は、光軸の交点oから奥行き方向の手前側(又は奥側)における光軸の交点から設定距離以上離れた範囲である。
【0071】
(2) 上記第1実施形態では、判別手段を、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像の夫々における奥行き方向に対応する方向での被検出物の両端の位置を検出し、この被検出物の両端の位置から一対の画像の夫々における奥行き方向に対応する方向での被検出物の中心位置を求め、この一対の画像の夫々における被検出物の中心位置の差に基づいて、基準位置に対する被検出物の奥行き方向での位置を判別するように構成したが、判別手段を、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像の夫々における奥行き方向に対応する方向での被検出物の一端の位置を検出し、この一対の画像の夫々における被検出物の一端の位置に基づいて、被検出物の奥行き方向での基準位置に対する位置を判別するように構成してもよい。
【0072】
(3) 上記第1及び第2実施形態では、判別手段にて、奥行き方向に、幅方向、並びに、奥行き方向及び幅方向と直交する方向を加えた三方向での被検出物の基準位置に対する位置を判別するように構成したが、判別手段にて、奥行き方向のみの一方向での被検出物の基準位置に対する位置を判別するように構成してもよく、また、判別手段にて、奥行き方向に、幅方向、又は、奥行き方向及び幅方向と直交する方向を加えた二方向での被検出物の基準位置に対する位置を判別するように構成してもよい。
【0073】
つまり、例えば、判別手段にて、奥行き方向のみの一方向での被検出物の基準位置に対する位置を判別するように構成する場合では、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における被検出物の撮像位置に基づいて、光軸の交点を通過する奥行き方向と平行な線分上における被検出物の位置を判別するようにして、奥行き方向のみの一方向での被検出物の基準位置に対する位置を判別するように構成してもよい。
【0074】
(4) 上記第1実施形態では、奥行き方向及び幅方向の双方と直交する方向での被検出物の基準位置に対する位置を、1つの撮像手段にて撮像された1つの画像における被検出物の撮像位置に基づいて判別したが、奥行き方向及び幅方向の双方と直交する方向での被検出物の基準位置に対する位置を、一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における被検出物の撮像位置に基づいて判別してもよい。
【0075】
(5) 上記第1及び第2実施形態では、移動体を、ロール体用移動搬送車1として、判別手段h1にて、装置側支持体が撮像された撮像情報に基づいて搬送台車8に対する装置側支持体の位置を判別し、作動制御手段h2にて、判別された装置側支持体の位置に基づいてコアaを適正位置に位置させるべく移動操作手段10の作動を制御するように構成したが、移動体を、コンベア等の搬送手段を備えた搬送車として、判別手段h1にて、装置側の搬送物が撮像された撮像情報に基づいて搬送台車8に対する搬送物の位置を判別し、作動制御手段h2にて、判別された搬送物の位置に基づいて搬送物を受け取り可能な適正位置に搬送手段を位置させるべく、搬送手段を移動操作する移動操作手段10の作動を制御するように構成する等、一対の撮像手段11にて撮像する被検出物や移動操作手段10にて移動操作される対象は適宜変更してもよい。
また、一対の撮像手段11を、搬送台車8が配設される設備の固定側に配設し、被検出物6を移動体本体に設けてもよく、一対の撮像手段11を移動体に設けなくてもよい。
この場合、基準位置は搬送台車8が配設される設備の固定側に設定される。
【0076】
(6) 上記第1又は第2実施形態では、上下方向を奥行き方向とするべく一対の撮像手段を設置したが、車体前後方向又は車体左右方向を奥行き方向とするべく一対の撮像手段を設置してもよい。
【0077】
(7) 上記第1実施形態では、コアaと装置側支持体6との両方を被検出物としたが、装置側支持体6のみを位置判別装置についての被検出物としてもよい。この場合、コアaの基準位置に対する上下方向、車両前後方向及び車両横幅方向での位置を判別するコア位置判別装置としてのセンサ等をロール体用自動搬送車に設けることにより、コアaの基準位置に対する位置を判別すればよい。
【0078】
(8) 上記第2実施形態では、第1画像と第2画像との一対の画像におけるコアaの視差Gcから対応関係に基づいて基準位置に対するコアaの上下方向での位置(Pc)を判別し、第1画像と第2画像との一対の画像における支持ピン6の視差Gpから対応関係に基づいて基準位置に対する支持ピン6の上下方向での位置(Pp)を判別して、両者の位置の差(Pc−Pp)から、支持ピン6とコアaとの上下方向でのずれ量を求めるものを例示したが、これに代えて、第1画像と第2画像との一対の画像における、コアaの視差Gcと支持ピン6の視差Gpとの差から、線形な関係である対応関係に基づいて、支持ピン6とコアaとの上下方向でのずれ量を直接求めてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 移動体
2 受け取り装置
6 被検出物,装置側支持体
8 移動体本体,搬送台車
9 搬送車側支持体
10 移動操作手段
11 撮像手段
A ロール体
a 被検出物,コア
a’ 学習用被検出物
h1 判別手段
h2 作動制御手段
h3 学習手段
o 光軸の交点,基準位置
P1 中心位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物が位置する奥側に向けて撮像する状態に設置されて前記被検出物を手前側から撮像する一対の撮像手段と、
前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置の差に基づいて基準位置に対する前記被検出物の前記手前側から前記奥側に向かう奥行き方向での位置を判別する判別手段とが設けられている位置判別装置であって、
前記一対の撮像手段が、それらの光軸が互いに交差し、且つ、前記光軸の交点に対して前記奥行き方向の手前側に位置し、且つ、前記光軸の交点に対して前記奥行き方向と直交する幅方向の両側に位置する状態で分散配置され、
前記判別手段が、前記光軸の交点の前記奥行き方向の手前側及び奥側における前記基準位置に対する前記被検出物の位置の判別が不確実となる前記光軸の交点から設定距離未満である範囲を非検出範囲とし、前記光軸の交点の前記奥行き方向の手前側又は奥側における前記光軸の交点から前記設定距離以上離れた範囲を検出範囲として、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置の差に基づいて前記基準位置に対する前記検出範囲における前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている位置判別装置。
【請求項2】
前記検出範囲で且つ前記幅方向における前記一対の撮像手段の間の第1検出箇所に位置する学習用被検出物を前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記学習用被検出物の撮像位置の差と、
前記検出範囲で且つ前記幅方向における前記一対の撮像手段の間の第1検出箇所から前記奥行き方向にずらした第2検出箇所に位置する学習用被検出物を前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記学習用被検出物の撮像位置の差と、
前記第1検出箇所及び前記第2検出箇所の前記奥行き方向の位置とに基づいて、
前記学習用被検出物の奥行き方向の位置に対応する前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記学習用被検出物の撮像位置の差の対応関係を学習する学習手段が備えられ、
前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像における前記被検出物の撮像位置の差と前記学習手段にて学習された前記対応関係とに基づいて、前記検出範囲における前記基準位置に対する前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている請求項1記載の位置判別装置。
【請求項3】
前記判別手段が、前記光軸の交点から前記奥行き方向の奥側に前記設定距離以上離れた範囲を非検出範囲とし、前記光軸の交点から前記奥行き方向の手前側に前記設定距離以上離れた範囲を検出範囲として、前記一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて前記検出範囲における前記基準位置に対する前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている請求項1又は2記載の位置判別装置。
【請求項4】
前記一対の撮像手段が、前記光軸の交点からの距離が等しく、且つ、前記奥行き方向と平行な線分に対する前記光軸の交差角度が等しくなる位置に分散配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の位置判別装置。
【請求項5】
前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された一対の画像の夫々における前記奥行き方向に対応する方向での前記被検出物の両端の位置を検出し、この被検出物の両端の位置から前記一対の画像の夫々における前記奥行き方向に対応する方向での前記被検出物の中心位置を求め、前記一対の画像の夫々における前記被検出物の中心位置の差に基づいて前記検出範囲における前記基準位置に対する前記被検出物の前記奥行き方向での位置を判別するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置判別装置。
【請求項6】
前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて、前記奥行き方向に加えて、前記幅方向、又は、前記奥行き方向及び前記幅方向と直交する方向での前記被検出物の前記基準位置に対する位置を判別するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の位置判別装置。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の位置判別装置が移動体本体に装着された移動体であって、
前記被検出物が、前記移動体本体が配設される設備の固定側に設置され、
前記一対の撮像手段が、前記検出範囲に位置する前記被検出物を撮像するべく前記移動体本体に備えられ、
前記判別手段にて判別された前記基準位置に対する前記被検出物の位置に基づいて前記移動体の作動を制御する作動制御手段が備えられている移動体。
【請求項8】
互いに接近及び離間自在な一対の装置側支持体を互いに接近させた状態で、ロール体の中心に位置するコアの両端部を前記一対の装置側支持体にて支持するように構成されている受け取り装置に対して受け渡し可能な状態でロール体を前記移動体本体としての搬送台車の上方で支持する搬送車側支持体と、その搬送車側支持体に支持されたロール体の前記コアを前記搬送台車に対して移動させる移動操作手段と、ロール体を前記受け取り装置に受け渡す受け渡し箇所に前記搬送台車を停止させた状態において、前記コアの両端部を前記一対の装置側支持体にて支持可能な適正位置に前記コアを位置させるべく前記移動操作手段の作動を制御する前記作動制御手段とが前記搬送台車に備えられ、
前記一対の撮像手段が、前記受け渡し箇所に前記搬送台車を停止させた状態において、前記装置側支持体が前記検出範囲に位置して前記装置側支持体を前記被検出物として撮像するべく前記搬送台車に備えられ、
前記判別手段が、前記一対の撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて前記搬送台車に対する前記装置側支持体の位置を判別し、
前記作動制御手段が、前記判別手段にて判別された前記装置側支持体の位置に基づいて前記コアを前記適正位置に位置させるべく前記移動操作手段の作動を制御するように構成されている請求項7記載の移動体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−95246(P2011−95246A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154900(P2010−154900)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】