説明

位置決め制御システム

【課題】従来のビルの清掃作業手法に比べ、清掃用ゴンドラを上下駆動できる装置を簡単に設置することができ、しかも、作業が終了すれば簡単に撤去することができ、さらに、清掃用作業員が効率的に清掃作業を行うことができ、そして、安全で、安価に提供できる位置決め制御システムを提供することを目的としている。
【解決手段】位置決め制御システムは、夫々モータ3で回転駆動される複数のプーリー6と、該各プーリー6に夫々巻回されてなる索体7と、該各プーリー6に巻回されてなる少なくとも2本の索体7を使用して上方向に支持されてなる作業装置12と、前記各モータ3の回転駆動を夫々制御するモータ制御装置2と、前記各モータ制御装置2に前記モータ3の回転駆動量を指令する制御装置1とからなるものとしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルの清掃等で用いられる作業装置の位置決め制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルの清掃手法としては、ビルの施工時にビル屋上部分に清掃用に用いられる作業装置、つまり、清掃用ゴンドラの上下駆動用のウインチを備えており、前記ウインチの上げ下げ駆動操作によって、吊り下げられた清掃用ゴンドラを上下させて、窓清掃等を行う清掃手法が知られている。そして、また、前記ウインチを設けていない建物の窓清掃を行う場合には、清掃用作業員に命綱をつけてビルの窓清掃を実施する手法が知られている。
【0003】
しかし、上述のようなビルの清掃手法では、ビルの施工後に清掃用ゴンドラの上下駆動用のウインチを設置することができないため、必ずビルの施工前に、ビル屋上部分に清掃用ゴンドラの上下駆動用のウインチを設置しなければならず、しかも設置費用が莫大であるにも関わらず窓清掃以外にはほとんど使用されていないという問題が生じていた。そして、また、清掃用作業員に命綱をつけてビルの窓清掃を行う清掃手法では、横移動が困難であるため、清掃用作業員の横方向に位置する窓を清掃するには、清掃用作業員は、一度地上に降りてから、ビル内に設置されている階段やエレベータ等を利用して屋上に上った後、清掃したい窓が位置する方向に移動して、再度、清掃用作業員は、屋上から命綱をつけてビルの屋上に最も近い窓から順に清掃していくという作業を行っていたため、作業効率が非常に悪く、しかも、命綱をつけているだけであるから、清掃用作業員の生命の危険を伴うという問題が生じていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の点に鑑み、ビルの施工後であっても、清掃用ゴンドラを上下駆動できる装置を簡単に設置することができ、しかも、作業が終了すれば簡単に撤去することができ、さらに、清掃用作業員が効率的に清掃作業を行うことができ、そして、安全で、安価に提供できるシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための手段を図面の参照符号を付して示せば、請求項1の発明に係る位置決め制御システムによれば、夫々モータ3で回転駆動される複数のプーリー6と、該各プーリー6に夫々巻回されてなる索体7と、該各プーリー6に巻回されてなる少なくとも2本の索体7を使用して上方向に支持されてなる作業装置12と、前記各モータ3の回転駆動を夫々制御するモータ制御装置2と、前記各モータ制御装置2に前記モータ3の回転駆動量を指令する制御装置1とからなるものとしている。
【0006】
請求項2の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1の位置決め制御システムにおいて、前記各モータ3は、水平方向に配置されてなるものとしている。
【0007】
請求項3の発明に係る位置決め制御システムによれば、夫々モータ3で回転駆動される複数のプーリー6と、該各プーリー6に夫々巻回されてなる索体7と、該各プーリー6に巻回されてなる少なくとも4本の索体7を使用して上下方向に支持されてなる作業装置12と、前記各モータ3の回転駆動を夫々制御するモータ制御装置2と、前記各モータ制御装置2に前記モータ3の回転駆動量を指令する制御装置1とからなるものとしている。
【0008】
請求項4の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項3の位置決め制御システムにおいて、前記各モータ3は、正面視四角状の線状に夫々配置されてなるものとしている。
【0009】
請求項5の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1乃至4のいずれかに記載の位置決め制御システムにおいて、前記各モータ3には、該各モータ3の回転駆動を夫々減速させる減速機5が連結されてなるものとしている。
【0010】
請求項6の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1乃至5のいずれかに記載の位置決め制御システムにおいて、前記各モータ3は、夫々エンコーダ3aとサーボモータ3bからなるものとしている。
【0011】
請求項7の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1乃至6のいずれかに記載の位置決め制御システムにおいて、前記各索体7は、夫々ワイヤーロープからなるものとしている。
【0012】
請求項8の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1乃至7のいずれかに記載の位置決め制御システムにおいて、前記制御装置1には、前記作業装置12の移動目標地点を設定することで、前記各モータ3で回転駆動する各プーリー6に夫々巻回されてなる策体7がモータ3の回転駆動により各プーリー6から夫々繰り出される量を算出する索体繰り出し量算出手段103cと、前記各索体7繰り出し量を任意に設定した値を保持する手動索体繰り出し量保持手段103dと、前記索体繰り出し量算出手段103dによって算出された各索体7繰り出し量と前記手動索体繰り出し量保持手段103dによって保持された各索体7繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択するセレクト手段103eと、前記セレクト手段103eによって選択された前記各索体7繰り出し量から前記各モータ3の回転駆動量の指令データを生成する移動量解析手段104と、を備えてなるものとしている。
【0013】
請求項9の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1乃至8のいずれかに記載の位置決め制御システムにおいて、前記制御装置1には、前記作業装置12の移動目標地点を設定することで、前記各モータ3で回転駆動する各プーリー6に巻回されてなる策体7がモータ3の回転駆動により各プーリー6から夫々繰り出される量を算出させる処理と、前記各索体7繰り出し量を任意に設定した値を保持させる処理と、前記算出させた各索体7繰り出し量と前記保持させた各索体7繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択させる処理と、該選択させた前記各索体7繰り出し量から前記各モータ3の回転駆動量の指令データを生成させる処理と、を実行させるためのプログラムを格納してなる記憶部101を備えてなるものとしている。
【0014】
請求項10の発明に係る位置決め制御システムによれば、上記請求項1乃至9のいずれかに記載の位置決め制御システムにおいて、前記制御装置1には、無線操作機器15からの命令を受信することができる受信部105を備えてなるものとしている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明に係る位置決め制御システムによれば、制御装置1から各モータ制御装置2に前記各モータ3の回転駆動量が指令されると、その指令に応じて各モータ制御装置2が各モータ3の回転駆動を制御する。そして、その制御された各モータ3の回転駆動によって各プーリー6が夫々回転することで、該各プーリー6に巻回されてなる各索体7が各プーリー6より夫々繰り出されたり、巻き取られたりすることとなるから、少なくとも2本の索体7で上方向に支持されてなる制御装置12を様々な位置に移動させることができるため、清掃用作業員が効率的に清掃作業を行うことができる。
【0016】
そして、少なくとも2本の索体7を使用して上方向に作業装置12を支持しているため、作業装置12の重力と索体7の張力とが釣り合い状態となり作業装置12の安定性を保つことができるため作業員の安全を確保することができる。さらに、少なくとも2本の索体7で作業装置12を上方向に支持するためには、各索体7が夫々巻回されてなる各プーリー6を回転駆動するモータ3を上方向に配置するだけでよく、モータ制御装置2や制御装置1は延長ケーブル等を使用して任意の位置に配置するこができるため、ビル施工後であっても、簡単に設置することができ、しかも作業が終了すれば簡単に撤去することができる。そのため、ビルの施工時にビル屋上部分に清掃用ゴンドラの上下駆動用のウインチを備えておかなくてもよいため、ビルの清掃コストを非常に低く抑えることができる。
【0017】
請求項2の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記各モータ3は、水平方向に配置されてなるものとしているから、作業装置12を支持する各索体7が巻回されてなる各プーリー6を夫々回転駆動している各モータ3を水平方向に配置すれば、作業装置12の重力と各索体7の張力を釣り合わせるのが容易となり、作業装置12をより安定した状態に保つことができるため、安全性がさらに向上する。
【0018】
請求項3の発明に係る位置決め制御システムによれば、請求項1の発明と同様の効果が得られると共に、さらに、少なくとも4本の索体7を使用して上下方向に作業装置12を支持しているから、例え、少なくとも4本の索体7のうち一本の索体7が事故によって断線されたとしても、少なくとも3本の索体7で作業装置12を支持することとなるため、安全性がさらに向上する。
【0019】
請求項4の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記各モータ3は、正面視四角状の線状に夫々配置されてなるものとしているから、作業装置12を支持する各索体7が巻回されてなる各プーリー6を、夫々回転駆動している各モータ3を正面視四角状の線状に配置すれば、作業装置12の重力と各索体7の張力を釣り合わせるのが容易となり、作業装置12をより安定した状態に保つことができるため、安全性がさらに向上する。
【0020】
請求項5の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記各モータ3には、該各モータ3の回転駆動を夫々減速させる減速機5が連結されてなるものとしているから、回転速度が速いモータ3を使用する場合には、減速機5を使用し回転速度を遅くすることで、急速な回転により各索体7の断線等の事故が起こりにくくなるため、安全性がさらに向上する。
【0021】
請求項6の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記各モータ3は、夫々エンコーダ3aとサーボモータ3bからなるものとしているから、各索体7の繰り出し量を制御する各モータ3の回転数を安定させることができるため、さらに安全性が向上する。
【0022】
請求項7の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記各索体7は、夫々ワイヤーロープからなるものとしているから、ワイヤーロープは取り扱いが容易で引張強度があるため、本発明のシステムの取り扱い性と安全性がさらに向上する。
【0023】
請求項8の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記制御装置1には、前記作業装置12の移動目標地点を設定することで、前記各モータ3で回転駆動する各プーリー6に夫々巻回されてなる策体7がモータ3の回転駆動により各プーリー6から夫々繰り出される量を算出する索体繰り出し量算出手段103cと、前記各索体7繰り出し量を任意に設定した値を保持する手動索体繰り出し量保持手段103dと、前記索体繰り出し量算出手段103dによって算出された各索体7繰り出し量と前記手動索体繰り出し量保持手段103dによって保持された各索体7繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択するセレクト手段103eと、前記セレクト手段103eによって選択された前記各索体7繰り出し量から前記各モータ3の回転駆動量の指令データを生成する移動量解析手段104と、を備えてなるものとしているから、本発明のシステムの使用者は、各索体7の繰り出し量を自由に設定することができ、さらに、各索体7の繰り出し量を自動で算出させたい場合には、作業装置12の移動目標地点を設定するだけで、本発明のシステムを使用することができるから、本発明のシステムの取り扱い性が容易となる。
【0024】
請求項9の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記制御装置1には、前記作業装置12の移動目標地点を設定することで、前記各モータ3で回転駆動する各プーリー6に巻回されてなる策体7がモータ3の回転駆動により各プーリー6から夫々繰り出される量を算出させる処理と、前記各索体7繰り出し量を任意に設定した値を保持させる処理と、前記算出させた各索体7繰り出し量と前記保持させた各索体7繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択させる処理と、該選択させた前記各索体7繰り出し量から前記各モータ3の回転駆動量の指令データを生成させる処理と、を実行させるためのプログラムを格納してなる記憶部101を備えてなるものとしているから、本発明のシステムの使用者は、そのプログラムに応じて、パソコン等を使用して、各索体7の繰り出し量を設定したり、作業装置12の移動目標地点を設定したりするだけで、本発明のシステムを使用することができるため、本発明のシステムの取り扱い性がさらに容易となる。
【0025】
請求項10の発明に係る位置決め制御システムによれば、前記制御装置12には、無線操作機器15からの命令を受信することができる受信部105を備えてなるものとしているから、作業装置12に作業員が乗り込んでビルの清掃等の作業を行っていた場合に、作業員が一人で本発明を使用することができ、さらに、作業員に緊急の事態が発生した場合に直ちにモータ3の制御を停止させる処理を行うことができるため、取り扱い性と安全性がさらに向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明すると、図1及び図2(a)は本発明の一実施形態を表す斜視図であり、図2(b)は図2(a)のイ部分の拡大図である。図において、位置決め制御システムは、制御装置1と、4つのモータ制御装置2と、エンコーダ3aとサーボモータ3bとで構成される4つのモータ3と、4つのカップリング4と、4つの減速機6と、4つのプーリー6と、先端部にフック7aを設けている4つの索体7と、ノート型パソコン8と、作業装置12を有している。
【0027】
制御装置1は、幅220mm、高さ130mm、奥行110mmからなるもので、ケーブル9を介してノート型パソコン8と接続されている。そして、モータ制御装置2は、幅45mm、高さ130mm、奥行110mmからなるもので、ケーブル10を介して制御装置1と接続されている。
【0028】
モータ3は、エンコーダ3aとサーボモータ3bとからなるもので、ケーブル11を介してモータ制御装置2と接続されている。エンコーダ3aはサーボモータ3bの回転速度と位置を検出し、その検出情報をモータ制御装置2にフィードバックする。そしてサーボモータ3bは、最大で一秒間に1000回転程度できるものである。なお、モータとしては、ステッピングモータ等であってもよいが、停止精度が高いエンコーダ付きのサーボモータが好ましい。
【0029】
カップリング4は、減速機5とモータ3を連結するための部材である。減速機5は前記カップリング4によって、モータ3と連結され、該モータ3に備えられているサーボモータ3bの回転速度をおよそ1/10程度減速させるものである。このような減速機5を用いて、回転速度を減速させることで、高トルクを得ることができる。
【0030】
プーリー6は、前記減速機5に軸方向に回転可能に取り付けられ、索体7が巻回されている。これがために、前記サーボモータ3bが軸方向に回転するとそれに応じて減速機5も軸方向に回転し、さらにプーリー6も軸方向に回転するから、プーリー6に巻回されてなる策体7がプーリー6から繰り出されたり、巻きついたりすることとなる。なお、索体7としては、取り扱いが容易で引張強度が高いワイヤーロープが好ましい。
【0031】
作業装置12は、ステンレス製等からなるもので、前記索体7の先端部に設けられているフック7aが作業装置12の両側面に嵌合係止され、索体7によって両側面から支持されている。これがために、プーリー6から繰り出される索体7の繰り出し量によって、作業装置12は、上下左右方向に移動することができる。
【0032】
さらに詳しく、図3〜図5を用いて、本発明の一実施形態の制御方法を説明すると、図3は本発明の一実施形態を表すブロック図、図4は本発明に係る位置制御指令部のブロック図、図5は本発明に係るモータ制御装置のブロック図である。位置制御装置1は、CPU100、記憶部101、I/F(インターフェース)102、位置制御指令部103、移動量解析部104からなるもので、CPU100によって記憶部101内のROM(リードオンリメモリ)101aに格納されている各モータ3制御用のプログラムが実行され、そのプログラム内容が、I/F(インターフェース)102を介してノート型パソコン8に出力され、ノート型パソコン8のモニターに表示される。そして、該モニターに表示されたプログラム内容に応じて、ノート型パソコン8を用いて、例えば作業員が、各モータ3の制御処理を実行すると、該各モータ3の制御情報がI/F(インターフェース)を介して記憶部101内のRAM(ランダムアクセスメモリ)101bに格納される。そして、CPU100がRAM(ランダムアクセスメモリ)101bに格納されている各モータ3の制御情報を読み出し、その制御情報を解析したうえで、各モータ3の制御を手動で設定するか否かのデータ103aとモータ制御指令データ103bを、各位置制御指令部103に出力する。
【0033】
位置制御指令部103は、索体繰り出し量算出部103c、手動索体繰り出し量保持部103d、セレクト部103eからなるもので、索体繰り出し量算出部103cはCPU100から出力されたモータ制御指令データ103bから、プーリー6に巻回されてなる策体7の繰り出し量を算出し、その繰り出し量を、セレクト部103eに出力する。
【0034】
手動索体繰り出し量保持部103dは、モータ制御指令データ103bを保持し、セレクト部103eに出力する。そして、セレクト部103eでは、モータ3の制御を手動で設定するか否かのデータ103aによって、索体繰り出し量算出部103cで算出されて出力されたデータか、手動索体繰り出し量保持部103dから出力されたデータか否かを選択し、移動量解析部104に出力する。
【0035】
移動量解析部104は、前記各位置制御指令部103から出力されたデータをもとに各モータ3の制御量を算出し、その各モータ3の制御量を各モータ3の制御データとして、各モータ制御装置2に出力する。そして、直線補間等の補間処理が必要な場合は、直線補間するように各モータ3の制御を調整する制御データを、モータ制御装置2に出力する。また、移動量解析部104に、非常停止信号104aが、ノート型パソコン8からI/F(インターフェース)102を介してCPU100から送られた場合には、モータ3の移動データをモータ制御装置2に送出するのを停止する。それがために、モータ3の駆動が停止することとなり、プーリー6に巻回されてなる策体7が繰り出されなくなるから作業装置12が停止することとなる。
【0036】
モータ制御装置2は、図5に示すように、位置偏差カウンタ200、位置制御部201、加減算器202、速度制御部203、加減速器204、電流制御部205、アンプ206とを有している。位置偏差カウンタ200は、前記移動量解析部104から出力されたモータ3の制御データを加算すると共に、エンコーダ3aからフィードバックされるサーボモータ3bの位置情報である位置フィードバック量を減算して位置偏差を求め、位置制御部201に出力する。
【0037】
位置制御部201は、算出した位置偏差に位置ループゲインを乗じて速度指令を求め加減算器202に出力する。そして、加減算器202は、前記速度指令からエンコーダ3aからフィードバックされるサーボモータ3bの回転速度情報である速度フィードバック量を減じて速度偏差を求め、速度制御部203に出力する。
【0038】
速度制御部203は、算出した速度偏差を用いてPID制御(比例積分微分制御)等の速度ループ制御を行い、トルク指令(電流指令)を求め、加減速器204に出力する。そして、加減速器204は、前記トルク指令を加算すると共に、アンプ206に設けられた電流検出器からフィードバックされてくる電流フィードバック量を減じて電流偏差を求め、電流制御部205で電流ループ制御を行い、アンプ206を介してサーボモータ3bを駆動制御する。
【0039】
サーボモータ3bは、上記のような制御により安定した回転駆動を行うことができ、そして、サーボモータ3bにはカップリング4を介して減速機5が連結され、さらに、減速機5にはプーリー6が軸方向に回転可能に取り付けられているから、サーボモータ3bが回転すると、減速機5とプーリー6がともに回転し、プーリー6に巻回されてなる策体7がその回転に応じて作業装置12に繰り出されたり、また、プーリー6に巻きついたりすることとなる。
【0040】
さらに、図6を用いて本発明に係るモータ3の制御プログラムについて説明すると、図6は本発明に係るモータ3の制御プログラムについて概略的に示したフローチャートである。ステップS1では、モータ3の制御を非常停止するための非常停止信号が設定されたか否かの処理を実行し、非常停止信号が設定された場合は処理を終了させ、非常停止信号が設定されなかった場合は、ステップS2へ進む処理を実行する。この非常停止信号がCPU100から非常停止信号104aとして出力され移動量解析部104に入力され、各モータ3の制御を非常停止することとなる。
【0041】
ステップS2では、各モータ3の制御が手動設定か否かの処理を実行し、手動操作で設定する場合には、ステップS6に進む処理を実行し、そうでない場合にはステップS3に進む処理を実行する。この信号が、CPU100から各モータ3の制御を手動で設定するか否かのデータ103aとして出力され、各位置制御指令部103に入力される。
【0042】
ステップS3では、各モータ3の制御を自動で設定するため、先ず、作業装置12を移動させるための移動地点等の初期値が設定されたか否かの処理を実行し、初期値が設定されていなければ、ステップS4に進む処理を実行し、初期値が設定されていれば、ステップS5に進む処理を実行する。ステップS4では、作業装置12を移動させるための移動地点等の初期値を設定し、初期値の設定が終了すると、ステップS3に戻る処理を実行する。この初期値の値が、I/F(インターフェース)を介して記憶部101内のRAM(ランダムアクセスメモリ)101bに格納される。
【0043】
ステップS5では、作業装置12が現在いる地点から、移動させたい目標地点を指定させる処理を実行し、ステップS7に進む処理を実行する。つまり、ステップS5の処理を具体的に説明すると、作業装置12の移動地点は上下左右方向、すなわち、2次元の移動しか行わないことから、横方向をX軸、縦方向をY軸とすると、移動地点はすべてX軸、Y軸の座標位置で表せることとなる。そのため、移動させたい目標地点を指定させる処理を実行するとは、作業装置12の移動目標地点におけるX軸、Y軸の座標位置を、作業員にノート型パソコン8を使用させて、移動させたい目標地点の座標位置を入力させる処理を実行することである。このノート型パソコン8を使用して入力された座標位置のデータと、あらかじめ記憶部101内のRAM(ランダムアクセスメモリ)101bに格納された初期値データが、CPU100からモータ制御指令データ103bとして各位置制御指令部103に入力され、索体繰り出し量算出部103cでそのデータをもとに、索体7の繰り出し量を算出し、セレクト部103eを介して移動量解析部104に出力され、各モータ3の制御が実行される。なお、モータ制御指令データ103bは、手動索体繰り出し量保持部103dにも入力されているが、セレクト部103eで、移動量解析部104に出力されるデータが選択されるため、何ら問題はない。
【0044】
ステップS6では、各モータ3の制御を手動で設定するため、ノート型パソコン8を使用して、作業装置12の両側面を支持している各索体7の繰り出し量を入力させる処理を実行し、ステップS7に進む処理を実行する。このノート型パソコン8を使用して入力された各索体7の繰り出し量データが、CPU100からモータ制御指令データ103bとして各位置制御指令部103内の手動索体繰り出し量保持部103dに入力され、セレクト部103eを介して移動量解析部104に出力され、各モータ3の制御が実行される。なお、座標位置のデータと各索体7の繰り出し量データとは異なるデータであるが、索体繰り出し量算出部103cにも同様のデータが入力されている。なぜならば、セレクト部103eで移動量解析部104に出力されるデータが選択されているためであり、座標位置のデータと異なるデータが入力された場合は、索体繰り出し量算出部103cで、例えば、索体繰り出し量を算出する処理を停止させ、不定値(‘0‘でも‘1‘でもないデータ)を避けるため、例えば「0」データをセレクト部103eに出力させておく処理をすればよいため、何ら問題はない。
【0045】
ステップS7では、プログラムの処理を終了するか否かの処理を実行し、プログラムの処理を終了する場合は処理を終了させ、処理を終了させない場合は、ステップS1に戻って再び処理を実行する。
【0046】
次に、図7を用いて、本発明の一使用例について説明すると、図7は本発明の位置決め制御システムをビルの窓清掃に使用した場合の説明図である。まず、本発明を使用するための準備として、図7(a)に示す配置状態とする。具体的には、図7(a)に示すように、ビル13の正面視四角状のコーナー部に夫々モータ制御装置2と、該各モータ制御装置2に夫々接続されたモータ3が載置され、該各モータ3には図1に示したように、夫々カップリング4を介して減速機5が連結されている。そして、さらに、減速機5にはプーリー6が軸方向に回転可能に取り付けられ、プーリー6には索体7が巻回されている。そして、地上にはノート型パソコン8とケーブル9を介して接続されている制御装置1が載置され、該制御装置1は、ケーブル10を介してビル13の正面視四角状のコーナー部に
夫々載置されたモータ制御装置2と接続されている。なお、制御装置1、各モータ制御装置2、各モータ3は、強風や振動によって横転しないように図示はしないが固定金具等で固定されている。
【0047】
次に、上述した図7(a)に示す配置状態としたのち、図7(b)に示すような配置状態とする。具体的には、図7(b)に示すように、制御装置1に最も近いビル13のコーナー部に作業装置12が載置され、該作業装置12の両側面には、図2(a)に示すように、各索体7の先端部に夫々設けられたフック7aが嵌合係止されている。そして、該各フック7aが作業装置12の両側面に嵌合係止しやすいように、各モータ3の回転駆動により、各プーリー6より夫々索体7が適当量繰り出されている。なお、各モータ3の回転駆動は、ノート型パソコン8を用いて、各モータ3の制御を手動設定にし、各プーリー6に巻回されてなる各索体7の繰り出し量を適当量入力すればよい。また、ノート型パソコン8を用いずとも、もちろん作業員が手で各プーリー6に巻回されてなる各索体7を繰り出してもよい。
【0048】
そして、次に、図7(b)に示すような配置状態としたのち、図7(c)に示すような状態とする。具体的には、図7(c)に示すように、作業装置12を両側面から支持している各索体7を各モータ3の回転駆動により巻張する。なお、各モータ3の回転駆動は、ノート型パソコン8を用いて、各モータ3の制御を手動設定にし、各プーリー6に巻回されてなる各索体7の繰り出し量を設定することで、各索体7を巻張すればよい。
【0049】
そして、次に、図7(c)の状態とした後、図7(d)の状態とし、両側面を各索体7に支持された作業装置12にビルの清掃用作業員14が乗り込み、ビルの清掃を行う。具体的には、図7(c)の状態とした後、図示はしないがビルの清掃用作業員14が作業装置12に乗り込み、ノート型パソコン8を操作する作業員(図示せず)が、作業装置12を窓W00に移動させるために、ノート型パソコン8のモニターに表示された各モータ3の制御プログラム内容に応じて処理内容を入力する。すると、その制御内容に応じて、各索体7の繰り出し量が索体繰り出し量算出部103cで算出される各索体7の繰り出し量か、又は、手動索体繰り出し量保持部103dによる各索体7の繰り出し量かを決定する。そして、その繰り出し量に応じて移動量解析部104及び各モータ制御装置2で夫々モータ3を制御し、その各モータ3の制御により、各プーリー6に巻回されてなる各索体7が繰り出されたり、巻き取られたりしながら、作業装置12が窓W00に移動することとなり図7(d)の状態となる。その後の使用は、ノート型パソコン8を操作する作業員(図示せず)がノート型パソコン8のモニターに表示されたモータ3の制御プログラム内容に応じて処理内容を入力すれば、作業装置12は、窓W00〜窓W23の窓に自由に移動させることができ、どの窓でもビルの清掃用作業員14は自由に窓を清掃することができる。
【0050】
さらに詳しく、索体7の繰り出し量を算出する索体繰り出し量算出部103cの算出方法と、各モータ3の制御プログラムを実行して、作業装置12を窓W00〜窓W23に移動させるための方法について説明すると、図8は本発明に係わる索体繰り出し量算出部の説明図であり、図9は、作業装置12を目的地に移動させるためのフローチャートである。
【0051】
図8に示すように、横軸をX軸、縦軸をY軸とし、作業装置12が窓W00にいる地点を原点位置とし、その原点位置より左側に位置するモータ3までの距離をW1とし、原点位置より下側に位置するモータ3までの距離をH1とし、原点位置より左側に位置するモータ3から原点位置より右側に位置するモータ3までの距離をWとし、原点位置より下側に位置するモータ3から原点位置より上側に位置するモータ3までの距離をHとしている。また、窓W21の座標位置として、X座標をX1,Y座標をY1としている。
【0052】
上述のような関係から、原点位置における各索体7の繰り出し量をLA,LB,LC,LDとすると、ピタゴラスの定理より以下のように算出することができる。









【0053】
【数1】

【0054】
さらに、窓W21の位置における各索体7の繰り出し量LA,LB,LC,LDもピタゴラスの定理より算出することができる。
【0055】
【数2】

【0056】
数式1、数式2を使用して、作業装置12を原点位置から、窓W21まで移動させる方法を述べると、数式1より原点位置での各索体7の繰り出し量LA,LB,LC,LDが算出され、数式2より窓W21での各索体7の繰り出し量LA,LB,LC,LDが算出される。すると、原点位置から窓W21まで作業装置12を移動させようとした場合、数式1で算出した各索体7の繰り出し量と数式2で算出した各索体7の繰り出し量の差分をとれば、各索体7の繰り出し量が算出されることとなる。しかして、数式1、数式2より算出された各索体7の繰り出し量が移動量解析部104に出力される。そして、図8より明らかなように原点位置から窓W21までの作業装置12の移動は直線移動であるから、直線補間が必要であるため、移動量解析部104で、直線補間するように各モータ3の制御を調整する制御データを作成し、モータ制御装置2に出力させることで、作業装置12が原点位置から窓W21まで移動することとなる。尚、数式1、2より算出された各索体7の繰り出し量LA,LB,LC,LDは、図8より、明らかなように、正確な値ではないものの、作業装置12を寸分の狂いのない位置に移動させるような場所で使用するのではなく、ビルの清掃用など、多少の誤差があっても問題のないところで使用するため、正確な値でなくとも特段問題はない。また、W,W1,H,H1の値についてはビル清掃であれば、ビルの設計図面をみれば簡単に分かるため、その値を設定すればよい。そして、X1,Y1の値については、原点位置を設定した後、ビルの設計図面を参照して設定すればよい。
【0057】
上記説明では、原点位置を、窓W00に設定したが、どの位置を原点位置と設定してもよい。ただし、作業装置12に乗り込むビルの清掃用作業員14の身長が常に一定ではないことから、窓W00〜W23をビルの清掃用作業員14が清掃しやすい位置に、作業装置12の位置を調整するためにも、原点位置は、最初の清掃作業位置である窓W00に設定するのが好ましい。最初の清掃作業位置である窓W00を原点とすれば、ビルの清掃用作業員14が清掃しやすい、窓W01〜W23の座標位置をビルの設計図面を参照しながら設定することができるため、より正確な位置に作業装置12を移動させることができるからである。また、各索体7の繰り出し量LA,LB,LC,LDの算出方法として、上記説明では、ピタゴラスの定理により算出したが、算出方法はピタゴラスの定理に限らず、各索体7の繰り出し量が算出できる方法であればどのような算出方法であってもよい。
【0058】
より具体的に、図9を用いて、作業装置12を目的地に移動させるための説明をすると、ステップS10では、作業装置12を原点位置まで移動させる処理を行い、ステップS11に進む。原点位置を窓W00とした場合、まず、図7(c)の状態とした後、ビルの清掃用作業員14が作業装置12に乗り込み、ノート型パソコン8を操作する作業員(図示せず)が、作業装置12を窓W00に移動させるために、各モータ3の制御を手動設定にするように設定し、その後、各索体7の繰り出し量を入力して、作業装置12を窓W00に移動させる。そして、清掃用作業員14が窓W00を清掃しやすい位置まで移動し終わったら、各索体7の繰り出し量を入力するのを停止し、この位置を原点とする。
【0059】
ステップS11では、ノート型パソコン8を操作する作業員(図示せず)が、各モータ3の制御を自動設定するように設定し、原点位置を設定した後、その原点位置からの各窓W01〜W23の座標位置、そして、W,W1,H,H1の値を設定すれば、ステップS12に進む。WとHの値は、Wはビルの幅、Hはビルの高さであるから、ビルの設計図面を参照してその値を入力する。そして、W1とH1は、作業装置12を窓W00まで移動させたときの各索体7の繰り出し量LA,LB,LC,LDは、手動で設定しているため明らかであるから、その値を数式1に代入して逆算すれば容易に求めることができる。もちろん、算出した値と実際のビルの設計図面を参照して間違いがないか確認するのが好ましい。そして、W1とH1の値とビルの設計図面を参照し、窓W01〜W23の座標位置を例えば、W01=(10,0),W02=(20,0),W03=(30,0),・・
・・・・・,W23=(20,30)というように入力する。
【0060】
ステップS12では、目標位置が設定されたか否かを確認し、目標位置が設定されれば
ステップS13に進み、設定されていなければステップS14へ進む。具体的には、まず目標位置として、例えば窓W00から窓W03まで作業装置12を移動させたい場合には
、あらかじめ設定しておいたW03=(30,0)の値を、ノート型パソコン8を操作する作業員(図示せず)が入力すれば、図8で詳述した算出手段により各索体7の繰り出し量が算出される。もちろん、ステップS11において初期値を入力しているため、入力方法として、W03=(30,0)と入力するのではなく、例えばW03とだけ入力しておくか、もしくは移動したい窓W00〜W23をノート型パソコン8のモニターに一覧表示させ、選択できるようにしておけば効率的に入力することができる。
【0061】
ステップS13では、目標位置、例えばW03に作業装置12が移動すれば、ステップS12に戻って再度処理を行う。そして、ステップS14では、目標位置が設定されてないため、現在位置、例えば窓W00に作業装置12が停止した状態で、次のステップS15に進む。
【0062】
ステップS15では、ビル13の窓W00〜W23を清掃する一連の作業が終了したか否か、つまり、処理を終了するか否かを確認し、処理を終了しなければステップS12に戻って再度処理を行い、処理を終了する場合はステップS16に進む。
【0063】
ステップS16では、処理を終了させ、ビルの清掃用作業員14を乗せた作業装置12を地上に降ろすための処理を行い、作業装置12を目的地に移動させるための処理を終了する。具体的には、ノート型パソコン8を操作する作業員(図示せず)が、作業装置12を地上に移動させるために、各モータ3の制御を手動設定するように設定し、その後、各索体7の繰り出し量を入力して、作業装置12を地上に移動させる。そして、地上に作業装置12が移動すれば、ビルの清掃用作業員14は作業装置12より降り、後は図7(a
)〜図7(c)とは逆の手順をふめば、本発明の位置決め制御システムを構成する装置をビル13より撤収することができる。なお、ステップS16の処理は、各モータ3の制御を手動設定しなくとも、あらかじめ、作業装置12を地上に降ろすポイントの座標位置を入力しておけば、自動設定で作業装置12を地上に降ろすことも可能である。
【0064】
以上説明した本発明の一実施形態によれば、制御装置1から各モータ制御装置2に前記各モータ3の回転駆動量が指令されると、その指令に応じて各モータ制御装置2が各モータ3の回転駆動を制御する。そして、その制御された各モータ3の回転駆動によって各プーリー6が夫々回転することで、該各プーリー6に巻回されてなる各索体7が各プーリー6より夫々繰り出されたり、巻き取られたりすることとなるから、索体7で支持されている制御装置12を様々な位置に移動させることができるため、清掃用作業員が効率的に清掃作業を行うことができる。
【0065】
そして、4本の索体7を使用して上下方向に作業装置12を支持しているため、作業装置12の安定性を保つことができるから作業員の安全を確保することができる。また、本発明の一実施形態では、作業装置12の位置決めを行うにあたって、索体7を4本使用して説明したが、2本で行ってもよい。その際、ビル13の屋上に載置されたプーリー6に巻回されてなる策体7を使用するのが好ましい。その場合、2本の索体7を使用して上方向に作業装置12を支持しているため、作業装置12の重力と索体7の張力とが釣り合い状態となり作業装置12の安定性を保つことができるため作業員の安全を確保することができる。なお、上方向に作業装置12を支持する索体7として、2本に限定されず複数本の索体7を使用すればより作業装置12の安定性を保つことができる。
【0066】
また、4本の索体7を使用して上下方向に作業装置12を支持するのとは別の実施形態を図10に示すと、図10は、8本の索体7を使用して上下方向に作業装置12を支持した場合の作業装置12の斜視図である。図10のように8本の索体7を使用して、上下方向に作業装置12を支持すれば、突風が吹く高層ビルでの作業であっても作業装置12が突風によって横に傾くようなことがない。そして、さらに、8本の索体7のうち一本の索体7が事故等によって断線されたとしても、7本の索体7で作業装置12を支持することとなるため、安全性がさらに向上する。それがために、作業装置12の安定性を保つことができるため作業員の安全を確保することができる。なお、索体7を使用し上下方向に作業装置12を支持する索体7の本数は、4本又は8本に限定されず、複数本索体7を使用してもよい。
【0067】
また、4本の索体7で作業装置12を上下方向に支持するためには、各索体7が夫々巻回されてなる各プーリー6を回転駆動するモータ3を上下方向に配置するだけでよく、モータ制御装置2や制御装置1は延長ケーブル等を使用して任意の位置に配置するこができるため、ビル施工後であっても、簡単に設置することができ、しかも作業が終了すれば簡単に撤去することができる。そのため、ビルの施工時にビル屋上部分に清掃用ゴンドラの上下駆動用のウインチを備えておかなくてもよいため、ビルの清掃コストを非常に低く抑えることができる。なお、索体7の数量は4本に限定されず、複数本の索体7を使用してもよい。そのため、その数量に応じたプーリー6、モータ3、モータ制御装置2が必要である。
【0068】
また、2本の索体7で作業装置12を上方向に支持するためには、各索体7が夫々巻回されてなる各プーリー6を回転駆動するモータ3を上方向に配置するだけでよく、モータ制御装置2や制御装置1は延長ケーブル等を使用して任意の位置に配置するこができるため、ビル施工後であっても、簡単に設置することができ、しかも作業が終了すれば簡単に撤去することができる。そのため、ビルの施工時にビル屋上部分に清掃用ゴンドラの上下駆動用のウインチを備えておかなくてもよいため、ビルの清掃コストを非常に低く抑えることができる。なお、索体7の数量は2本に限定されず、複数本の索体7を使用してもよい。そのため、その数量に応じたプーリー6、モータ3、モータ制御装置2が必要である。
【0069】
また、作業装置12を支持する各索体7が巻回されてなる各プーリー6を夫々回転駆動する各モータ3を正面視四角状のコーナー部に配置しているため、作業装置12の重力と各索体7の張力を釣り合わせるのが容易となり、作業装置12をより安定した状態に保つことができるため、安全性がさらに向上する。なお、複数本の索体7を使用する場合は、前記各モータ3を正面視四角状の線状に配置すればよい。また、2本の索体7を使用して作業装置12を支持する場合は、各モータ3を水平方向に配置すれば、作業装置12の重力と各索体7の張力を釣り合わせるのが容易となり、作業装置12をより安定した状態に保つことができるため、安全性がさらに向上する。
【0070】
また、前記各モータ3には、該各モータ3の回転駆動を夫々減速させる減速機5が連結されてなるものとしているから、回転速度が速いモータ3を使用する場合には、減速機5を使用し回転速度を遅くすることで、急速な回転により各索体7の断線等の事故が起こりにくくなるため、安全性がさらに向上する。
【0071】
また、前記各モータ3は、夫々エンコーダ3aとサーボモータ3bからなるものとしているから、各索体7の繰り出し量を制御する各モータ3の回転数を安定させることができるため、さらに安全性が向上する。
【0072】
また、前記各索体7は、ワイヤーロープからなるものとしているから、ワイヤーロープは取り扱いが容易で引張強度があるため、本発明のシステムの取り扱い性と安全性がさらに向上する。
【0073】
また、制御装置1には、前記作業装置12の移動目標地点を設定することで、前記各モータ3で回転駆動する各プーリー6に夫々巻回されてなる策体7がモータ3の回転駆動により各プーリー6から夫々繰り出される量を算出する索体繰り出し量算出手段103cと、前記各索体7繰り出し量を任意に設定した値を保持する手動索体繰り出し量保持手段103dと、前記索体繰り出し量算出手段103dによって算出された各索体7繰り出し量と前記手動索体繰り出し量保持手段103dによって保持された各索体7繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択するセレクト手段103eと、前記セレクト手段103eによって選択された前記各索体7繰り出し量から前記各モータ3の回転駆動量の指令データを生成する移動量解析手段104と、を備えてなるものとしているから、本発明のシステムの使用者は、各索体7の繰り出し量を自由に設定することができ、さらに、各索体7の繰り出し量を自動で算出させたい場合には、作業装置12の移動目標地点を設定するだけで、本発明のシステムを使用することができるから、本発明のシステムの取り扱い性が容易となる。
【0074】
また、前記制御装置1には、前記作業装置12の移動目標地点を設定することで、前記各モータ3で回転駆動する各プーリー6に巻回されてなる策体7がモータ3の回転駆動により各プーリー6から夫々繰り出される量を算出させる処理と、前記各索体7繰り出し量を任意に設定した値を保持させる処理と、前記算出させた各索体7繰り出し量と前記保持させた各索体7繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択させる処理と、該選択させた前記各索体7繰り出し量から前記各モータ3の回転駆動量の指令データを生成させる処理と、を実行させるためのプログラムを格納してなる記憶部101を備えてなるものとしているから、本発明のシステムの使用者は、そのプログラムに応じて、ノート型パソコン8を使用して、各索体7の繰り出し量を設定したり、作業装置12の移動目標地点を設定したりするだけで、本発明のシステムを使用することができるため、本発明のシステムの取り扱い性がさらに容易となる。なお、上記一実施形態では、ノート型パソコン8を使用してプログラムを実行させたが、制御装置1に操作盤と、該操作盤の操作情報を表示させるモニターを嵌めこんだものを使用してもよい。
【0075】
また、本発明の一実施形態の一使用例として、作業装置12を支持する各索体7が巻回されてなる各プーリー6を、夫々回転駆動している各モータ3を正面視四角状のコーナー部に配置してなる例を示したが、正面視四角状のコーナー部に配置せずともよい。つまり、作業装置12を上方向に各索体7が支持している場合は、各モータ3を上方向に配置すればよいから、作業装置12の上方向の様々な位置に配置することが可能である。さらに、作業装置12を上下方向に各索体7が支持している場合は、各モータ3を上下方向に配置すればよいから、作業装置12の上下方向の様々な位置に配置することが可能である。なお、モータ3等を配置することが可能であれば、索体7を使用して作業装置12を左右から支持してもよい。
【0076】
次に、本発明の他の実施形態について、図11及び図12を用いて説明すると、図11は本発明の他の実施形態に係るブロック図であり、図12は、本発明の他の実施形態の使用例を表すビルの清掃に使用した場合の正面図である。
【0077】
図11と、図3を比べると、異なる点は、受信部105を設けた点である。この受信部105を設けることにより、ノート型パソコン8を使用せずとも、ビルの清掃用作業員14が図12に示す無線操作機器15を使用することにより上述した制御をすることができる。このような構成とすることにより、ビルの清掃用作業員14が一人で制御を行え、また、ビルの清掃用作業員14に緊急の事態が発生した場合に直ちにモータ3の制御を停止させる処理を行うことができる。また、ノート型パソコン8の操作と無線操作機器15の操作が同時に行われた場合は、無線操作機器15の操作内容を受信した受信部105の信号が各位置制御指令部103に入力されるように、CPU100側で処理を行う。後の処理は同様であるため説明は省略する。
【0078】
なお、本発明の実施形態では、ビル13の窓W00〜W23の清掃用として本発明に係る位置決め制御システムを使用した場合の実施形態について説明したが、他の使用例として、外壁清掃やメンテナンス、物資運搬用、ビル火災の避難用等としても使用が可能である。また、エレベータが存在しないビルに対しては、ビルの施工後エレベータの設置が困難であるため、例えば各階のベランダ部に本発明を設置しておけば、エレベータの代用としての使用も可能である。さらに、ビルの建設や再塗装などの改修工事において足場を組み、その足場を利用して改修工事を行い、改修工事後その足場をばらす手間が必要であるため、本発明に係る位置決め制御システムは、このような足場の代用としての使用も可能である。
【0079】
また、ビルの清掃用作業員14が乗らずに、清掃用ロボットを乗せることも可能である。その場合、ノート型パソコン8で作業装置12の位置決めを行えばよい。
【0080】
さらに、設置場所としては、ビル13等の屋外に限らず、本発明のシステムで使用される装置自体が小型であるため、屋内でも、内壁清掃、物資運搬用、アミューズメント等として使用することも可能である。
【0081】
以上のように、本発明は、他方面での使用が可能であるため、当該作業装置12は、ビルの窓清掃用の清掃用ゴンドラに限定されず、それら他方面で使用される装置すべてを含めた概念である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態の位置決め制御システムの一部を表す斜視図である。
【図2】(a)本発明の一実施形態の位置決め制御システムの一部を表す斜視図である。(b)図2(a)のイ部分の拡大図である。
【図3】本発明に係る位置決め制御システムのブロック図である。
【図4】図3に示す位置制御指令部のブロック図である。
【図5】図3に示すモータ制御装置のブロック図である。
【図6】本発明に係るモータの制御プログラムについて概略的に示したフローチャートである。
【図7】(a)〜(d)は本発明の位置決め制御システムの使用例を説明した説明図である。
【図8】本発明に係る索体繰り出し量算出部の説明図である。
【図9】本発明の位置決め制御システムの使用例を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施形態に係る位置決め制御システムの一部を表す斜視図である。
【図11】本発明の他の実施形態に係る位置決め制御システムのブロック図である。
【図12】本発明の他の実施形態の使用例を表す正面図である。
【符号の説明】
【0083】
1 制御装置
2 モータ制御装置
3 モータ
3a エンコーダ
3b サーボモータ
5 減速機
6 プーリー
7 索体
12 作業装置
15 無線操作機器
103c 索体繰り出し量算出部
103d 手動索体繰り出し量保持部
103e セレクト部
104 移動量解析部
105 受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
夫々モータで回転駆動される複数のプーリーと、該各プーリーに夫々巻回されてなる索体と、該各プーリーに巻回されてなる少なくとも2本の索体を使用して上方向に支持されてなる作業装置と、前記各モータの回転駆動を夫々制御するモータ制御装置と、前記各モータ制御装置に前記モータの回転駆動量を指令する制御装置とからなることを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項2】
前記各モータは、水平方向に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載の位置決め制御システム。
【請求項3】
夫々モータで回転駆動される複数のプーリーと、該各プーリーに夫々巻回されてなる索体と、該各プーリーに巻回されてなる少なくとも4本の索体を使用して上下方向に支持されてなる作業装置と、前記各モータの回転駆動を夫々制御するモータ制御装置と、前記各モータ制御装置に前記モータの回転駆動量を指令する制御装置とからなることを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項4】
前記各モータは、正面視四角状の線状に夫々配置されてなることを特徴とする請求項3に記載の位置決め制御システム。
【請求項5】
前記各モータには、該各モータの回転駆動を夫々減速させる減速機が連結されてなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【請求項6】
前記各モータは、夫々エンコーダとサーボモータからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【請求項7】
前記各索体は、夫々ワイヤーロープからなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【請求項8】
前記制御装置には、前記作業装置の移動目標地点を設定することで、前記各モータで回転駆動する各プーリーに夫々巻回されてなる策体がモータの回転駆動により各プーリーから夫々繰り出される量を算出する索体繰り出し量算出手段と、前記各索体繰り出し量を任意に設定した値を保持する手動索体繰り出し量保持手段と、前記索体繰り出し量算出手段によって算出された各索体繰り出し量と前記手動索体繰り出し量保持手段によって保持された各索体繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択するセレクト手段と、前記セレクト手段によって選択された前記各索体繰り出し量から前記各モータの回転駆動量の指令データを生成する移動量解析手段と、を備えてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【請求項9】
前記制御装置には、前記作業装置の移動目標地点を設定することで、前記各モータで回転駆動する各プーリーに巻回されてなる策体がモータの回転駆動により各プーリーから夫々繰り出される量を算出させる処理と、前記各索体繰り出し量を任意に設定した値を保持させる処理と、前記算出させた各索体繰り出し量と前記保持させた各索体繰り出し量のいずれの繰り出し量を使用するかを選択させる処理と、該選択させた前記各索体繰り出し量から前記各モータの回転駆動量の指令データを生成させる処理と、を実行させるためのプログラムを格納してなる記憶部を備えてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【請求項10】
前記制御装置には、無線操作機器からの命令を受信することができる受信部を備えてなることを特徴とする請求項1乃至9に記載いずれかに記載の位置決め制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−237967(P2009−237967A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84135(P2008−84135)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(504303458)イオンディライト株式会社 (5)
【Fターム(参考)】