説明

低侵襲性脊柱椎間板安定器および挿入ツール

本発明は、隣接する脊椎骨を安定化して生理学的運動を可能にするために2個の脊椎骨間に挿入されるための脊柱用インプラントに関する。本発明は、脊椎骨を支持する移植可能装置(200)と、椎間腔内に装置を挿入して展開するための低侵襲的な方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大別して、脊柱用インプラントの分野に関し、より詳細には、隣接する脊椎骨を支持かつ安定化すると共に生理学的運動を許容するために椎間腔内に配置されるように構成されたインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎動物の脊柱は骨格の軸心であり、該軸心上には身体の重量の相当部分が支持される。人間の場合、正常な脊柱は7個の頸椎、12個の胸椎、および、5個の腰椎の各セグメントを有する。腰椎は仙骨上に着座し、仙骨は次に骨盤に結合し股関節および下肢骨により支持されている。脊柱の骨太の椎体は椎間板により分離され、該椎間板は関節として機能し、既知の度合いの屈曲、伸展、横曲げおよび軸回転を許容する。
【0003】
典型的な脊椎骨は、椎体と呼称される厚い前部骨組織塊状体を有し、椎体の後部表面から立ち上がる神経(椎)弓を備えている。隣接する脊椎骨間の空間は、椎間板により支持される。各神経弓は椎体の後部表面と結合し、椎孔を囲繞している。隣接する脊椎骨の脊椎形態は脊椎管を形成するように整列され、脊椎管の中を脊柱嚢、脊髄および神経根糸が通っている。後方側に延び脊髄の後部側を保護するように機能する神経弓の部分は、薄膜として知られている。神経弓の後部領域からは、棘状突起が突出している。
【0004】
椎間板は、主として、軸心方向骨格の脊椎骨セグメント間の運動を制御することを可能とさせる機械的緩衝体の役割を果たす。通常の椎間板は独特な混合構造であり、髄核(“核”)、線維輪(“環”)、および、2個の脊椎端板の3種の構成組織から成る。上記の2個の脊椎端板は、硬質で皮質性の薄層に重なる薄い軟骨から構成されており、これが椎体のスポンジ状の血管豊富な海綿骨に結合している。すなわち、端板は、隣接する脊椎骨を椎間板に対して結合するように機能する。換言すると、骨太の脊椎骨と展性を有した椎間板との間の遷移区域は、端板によって形成されている。
【0005】
椎間板の環は、隣接する脊椎骨同士を相互に結合する強靱で線維性の外側リングである。上記線維性部分は、層状の自動車用タイヤと酷似しており、高さが約10〜15ミリメートルであり且つ厚みが約15〜20ミリメートルである。上記環の線維は重なり合う15〜20の層から成り、両方向において上側および下側の椎体内へと約40°の角度で挿入される。角度付けされた線維の約半分は、脊椎骨がいずれかの方向に回転するときに、互いに対して締め付けられるため、この形態は捩れに対して特に耐性を有する。積み重ねられた各層は、互いに対してそれほど堅固には結合されていない。
【0006】
環内には、核が位置している。健全な核は、高い含水量を有する殆どゲル状の物質であり、タイヤ内の空気のように、環を緊密でありながらも撓曲可能に維持する役割を果たす。核のゲルは、曲げ、揚動および他の動作の間において隣接する脊椎骨に対して力が及ぼされたときに、環内で僅かに移動する。
【0007】
脊柱椎間板は、長期にわたる外傷、疾患、退行変性欠陥または摩耗に起因して偏移したり損傷したりすることがある。線維輪が脆弱化しまたは裂断されると共に核の内側組織が永続的に、その正常時の内部環の範囲から膨出、拡延または押出されると、椎間板ヘルニアが生ずる。ヘルニアとされ又は“滑動”した核組織の塊は、脊髄神経を圧迫し、脚部の痛覚、筋肉制御の喪失、又は、麻痺にさえ帰着し得る。あるいはまた、椎間板の退行変性では、核はその水締め能力を喪失し、タイヤの空気が抜けたように収縮する。これに続いて、核の高さが減少し、環は、積重なり層が無拘束的に結合される領域にて座屈する。環の重なり合うこれらの積重なり層が座屈および分離を開始するにつれ、周方向または径方向の環の裂断が生じ、持続的な又は身体に障害を引き起こす背痛を助長し得る。隣接する付随的な脊柱の柱面関節もまた乗り上げ位置へと押しやられ、付加的な背痛を生じさせ得る。
【0008】
上述の損傷を受けた又は偏移した椎間板に関連する背痛は非常に一般的な健康問題であり、人生のある時点において多くの人々に影響を与える。座骨神経痛の無い背痛に対する現在の処置は、保存的な治療である。しかし、これが不首尾の場合には、脊柱セグメントの融合が最も一般的な実用的手法である。椎間板が除去され、各脊椎骨が、隣接する脊椎骨の融合を促進する種々のインプラントの設置により支持される。この処理によれば痛覚は軽減されるが、融合されたセグメントにおいては全ての椎間板運動が失われる。各椎間板は動作の欠如を補償するので、最終的に、この処置は融合したセグメントに隣接する椎間板に対して大きな応力を課し、おそらくは、これら隣接する椎間板の尚早な退行変性に繋がるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
脊柱セグメントの生理学的運動を維持することが好ましいであろうことが、脊柱外科医によって認識されている。したがって、脊椎骨融合に対する代替策として、運動を維持する人工椎間板として機能するように設計された多数のインプラントがある。初期のインプラントもしくは人工椎間板は、ボール・ベアリング、ばね、金属スパイクおよび他の着想の補助器具の如き多様な着想を具現するものである。これらの人工器具は全て、椎間板空間全体を置換するように作成されており、大寸で堅固である。移植の際には、装置の疑わしい適用可能性を超えて、本来的な困難性に直面する。これらの装置のサイズおよび非柔軟性のため、後方または後部側方からの移植の際に薄膜により呈される障壁、更に重要な点としては、脊髄および神経根糸により呈される障壁は回避することが困難であるので、これら装置は前方移植アプローチを必要とする。
【0010】
しかしながら、前方移植は、手術の際に多数のリスクを伴い得る。損傷した椎間板領域に対して患者の前方から医師がアクセスをしようとするときに、種々の器官が物理的な障害を呈する。患者の腹部内への切開の後で医師は、干渉し合う器官の回りで索行を行うと共に、脊柱へのアクセス路を得るために、それらの器官を慎重に側方移動させることを強いられる。前方アプローチに起因する患者のリスクの一つは、処置の間にこれらの器官が偶発的に損傷され得ることである。現時点では、利用可能なインプラントの制限並びに現在の装置の外科的な移植に関する困難性および複雑さの結果として、前方アプローチの使用は限られている。
【0011】
対照的に、椎間板の移植に対する後方アプローチによれば、身体器官を損傷するリスクは回避される。この利点にかかわらず、後方アプローチもまた、その使用を妨げる他の困難性を引き起こす。たとえば、後方アプローチは、脊髄を損傷するリスクを引き起こし得る。さらに、椎体の幾何学形状は、椎間板に対して限られたアクセスのみを許容する。よって、好首尾な後方または後部側方からの移植に対する重要事項は、脊髄および神経に対する接触を回避すること、ならびに、脊椎骨の骨組織の形状に起因して制限を受ける領域を通してインプラントを設置し得ることである。前方アプローチは後方アプローチの場合に生じる空間の制限を呈さないので、現在の人工椎間板の設計は後方アプローチで安全に使用するには嵩高すぎる。したがって、椎間腔内へ移植され得る低い断面輪郭(プロファイル)の人工脊柱椎間板、および、脊髄および神経に対して最小限の接触で且つ周囲の柔軟組織に対して最小限の損傷しか与えずに後方アプローチにより上記低い断面輪郭の人工脊柱椎間板を椎間腔内に外科的に移植する方法に対しては、相当な要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
人工椎間板に対しては2つの一般的なアプローチがあり、一方は関節全体の完全な置換であり、この場合、関節結合された補綴装置が隣接する各脊椎骨に堅固に取り付けられる。第2のアプローチは、椎間板の中央の“核”のみを、椎間板空間の中央において弾性的支持を提供するが線維輪及び支持靱帯の生来の支持を保持するインプラントで置換することである。本発明は両方の方策の利点を採用し、椎間板の中央には低侵襲性の支持装置を設ける一方、軸方向負荷は脊椎骨の周縁の堅牢な皮質骨に分散する。また、挿入には小さい入口しか必要としないので、該装置は環の大部分を維持する。該装置は、さらに、各椎体間における生理学的運動を可能にさせる。
【0013】
一つの態様において、本発明は、少なくとも2個の細長要素を有する上側組立体と、少なくとも2個の細長要素を有する下側組立体とを備える椎間インプラントに関する。あるいはまた、上側組立体又は上記下側組立体のいずれかが、単一の細長要素又はプレートを有してもよい。上側組立体は、下側組立体に対して関節運動するように構成される。
【0014】
他の態様において、本発明は、少なくとも一つの細長要素を有する上側組立体と、上側組立体と互いに係合する少なくとも一つの細長要素を有する下側組立体とを含む椎間インプラントに関する。上側組立体は、互いに係合された細長要素同士の間において例えば回転動作などの限定された範囲の運動を可能にするように構成され得る。
【0015】
上述の態様の種々の実施形態において、上側組立体及び下側組立体の少なくとも一方の少なくとも2個の細長要素は互いと係合して、例えばA、H、I、K、M、N、T、V、W、YおよびZのような種々の形状を形成する。細長要素のうちの少なくとも一個の細長要素は屈曲部を含み得る。一実施形態において、互いに係合された細長要素は、互いに係合した配置において、該細長要素間において制限された範囲の運動を可能にするために、間隙を該細長要素間に規定し得る。上側組立体及び下側組立体の少なくとも一方の少なくとも2個の細長要素は、閉じた位置と開いた位置との間で展開され得る。展開は、手動により、または、例えば形状記憶材料、ばね及び/又は他の機械的手段により自動的に、行われ得る。一実施形態において、少なくとも2個の細長要素は、閉じた位置において、I字形状、または、他の低いプロファイルの形状を形成する。幾つかの実施形態において、少なくとも2個の細長要素は、開いた位置において、上述の形状のうちの任意の形状を形成する。
【0016】
さらに、少なくとも2個の細長要素は、閉じた位置と開いた位置との間において予め定められた角度範囲にわたり位置決めされ得る。種々の実施形態において、予め定められた角度範囲は、約0°より大きく且つ約180°より小さい値から成る。少なくとも2個の細長要素は、例えば旋回部又は同様の継手(ジョイント)により接続又は固着され得る。種々の実施形態において、椎間インプラントは、細長要素間の相対運動を防止するためのロック機構をさらに含む。ロック機構は、手動により、または、例えば形状記憶材料、ばね、ネジ、ピン、リンク機構、及び/又は、他の機械的手段により自動的に、作動され得る。
【0017】
種々の実施形態において、椎間インプラント又はその構成要素は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、タンタル、金、チタン、セラミック、クロム、コバルト、ニチノール、金属−セラミック・マトリクス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、熱可塑性ポリエーテル・ブロック・アミド、熱可塑性ポリエステル・エラストマ、ナイロン、シリコーン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、および、それらの組み合わせのような任意の生体適合材料から製造され得る。
【0018】
さらに、上側組立体及び下側組立体の少なくとも一方は、隣接する脊椎骨表面に係合するように構成され得る。例えば、上記組立体は、骨組織に係合するための突出部、または、骨組織の内方成長を可能にするための開口を含み得る。さらに、椎間インプラントは、例えば生物学的作用物質又は治療作用物質で被覆又は処理され得る。幾つかの実施形態において、椎間インプラントは、上側組立体及び下側組立体の各々に設けられた関節部領域を含む。関節部領域は、上側組立体及び下側組立体の一方の組立体に設けられた隆起部と、他方の組立体に設けられた嵌合凹部とを含み、隆起部及び凹部は少なくとも部分的に接触し得る。関節部領域は、例えば、ボール−ソケット形態、雄‐雌形態、互いに嵌合する弧状表面、又は対応するサドルとされ得る。一実施形態において、細長要素のうちの少なくとも一つの細長要素は長さ方向にテーパ付けされる。椎間インプラントは、上側組立体と下側組立体との間に配設されたスペーサを含み得る。さらに、関節部領域は、上側組立体と下側組立体との間の支承表面全体を増加させるように拡開可能とされ得る。
【0019】
別の態様において、本発明は、第1の表面及び対向する第2の表面を有する第1の細長要素と、第1の表面及び対向する第2の表面を有する第2の細長要素とを含む椎間インプラントに関する。第1の表面は、実質的に平面状である。各第2の表面は、第1の細長要素及び第2の細長要素の相対運動を可能とさせるための相補的な嵌合関節部領域を含む。一実施形態において、各関節部領域は、各第2の表面上の中点の近傍に設けられる。
【0020】
種々の実施形態において、第1の細長要素は、第2の細長要素と概略平行に配向される。第1の細長要素及び第2の細長要素の少なくとも一方の第1の表面は、隣接する脊椎骨表面に係合するように構成される。椎間インプラントの関節部領域は、細長要素の一方に設けられた隆起部と、他方の細長要素に設けられた嵌合凹部とを備え、隆起部及び凹部は少なくとも部分的に接触するようになっている。相補的な嵌合関節部領域は、例えば、ボール−ソケット形態、雄−雌形態、互いに嵌合する弧状表面、又は対応するサドルとされ得る。椎間インプラントは、第1の細長要素及び第2の細長要素の第2の表面同士の間に配設されたスペーサであって関節部領域を模するスペーサを含み得る。第1の細長要素及び第2の細長要素の第2の表面は、長さ方向にテーパ付けされ得る。椎間インプラントは、骨組織の内方成長を可能とさせるための少なくとも一個の開口又は孔を含み得る。
【0021】
さらに、椎間インプラントは、第1の実質的に平面状の表面と、ノッチを規定する対向する第2の表面とを含む第3の細長要素を含むことができ、ノッチは第1の細長要素の第1の表面と係合するようになっている。一実施形態において、ノッチは第3の細長要素を二等分する。第3の細長要素は、第1の細長要素の上方に、該第1の細長要素に対して実質的に直交して設けられ得る。さらに、椎間インプラントは、実質的に平面状の第1の表面と、ノッチを規定する対向する第2の表面とを含む第4の細長要素を含むことができ、第4の細長要素のノッチは第2の細長要素に係合するようになっている。一実施形態において、第4の細長要素により規定されたノッチは該第4の細長要素を二等分する。第4の要素は、第2の細長要素の下方に、該第2の細長要素に対して実質的に直交して設けられ得る。一実施形態において、第1の細長要素及び第2の細長要素は各々、それらの第1の表面に設けられたノッチを規定する。第1の細長要素のノッチは第3の細長要素のノッチと嵌合し、第2の細長要素のノッチは第4の細長要素のノッチと嵌合する。第1の細長要素及び第3の細長要素、並びに、第2の細長要素及び第4の細長要素の一方の組の夫々の第1の表面は、実質的に共面的である。各ノッチは、各細長要素間の相対的回転運動のために該細長要素間に間隙を提供するための弧状の且つ/又はテーパ付けされた側壁を含み得る。
【0022】
別の態様において、本発明は、少なくとも2個の接触領域において近傍の脊椎骨表面に接触するように構成された弾性本体を有する第1の細長要素と、少なくとも2個の接触領域において近傍の脊椎骨表面に接触するように構成された弾性本体を有する第2の細長要素とを含む椎間インプラントに関する。第1の細長要素及び第2の細長要素は、各接触領域間において各細長要素の夫々の弾性本体に沿って設けられた関節部領域を含む。第1の細長要素及び第2の細長要素は、各関節部領域を介して嵌合され得る。
【0023】
上述の態様の種々の実施形態において、弾性本体の少なくとも一方は弧状形状を含む。第1の細長要素は、第2の細長要素に略直交して配向され得る。一実施形態において、各関節部領域は、第1の細長要素及び第2の細長要素に形成されたノッチ内に設けられる。
【0024】
別の態様において、本発明は、第1の細長要素及び第2の細長要素を含む椎間インプラントに関する。第1の細長要素は、近傍の脊椎骨表面に係合するための第1のベースプレートと、第1のベースプレートに連結された第1の弾性プレートとを含む。第2の細長要素は、近傍の脊椎骨表面に係合するための第2のベースプレートと、第2のベースプレートに連結された第2の弾性プレートとを含む。第1の弾性プレート及び第2の弾性プレートは第1の細長要素と第2の細長要素との間の相対運動を許容するように互いに嵌合するように構成され得る。
【0025】
一実施形態において、各弾性プレートは非平坦である。各プレートは、各々が長寸形状を有し得る。第1の弾性プレートはその両端部において第1のベースプレートに連結され、第2の弾性プレートはその両端部において第2のベースプレートに連結される。第1の弾性プレート及び第2の弾性プレートは、それらの外側表面に互いに係合するためのスロットを規定し得る。
【0026】
別の態様において、本発明は、第1の要素及び第2の要素を含む椎間インプラントに関する。第1の要素は近位部分と遠位部分とを含み、各々の部分が第1要素の中央部分から延びている。近位部分及び遠位部分は逆方向に延び、第1の要素の長手方向軸線に対してオフセットされる。第2の要素は近位部分と遠位部分とを含み、各々の部分が第2要素の中央部分から延びている。近位部分及び遠位部分は逆方向に延び、第2の要素の長手方向軸線に対してオフセットされる。第1の要素は該第1要素の中央部分の第1の表面に設けられた第1の関節部領域を含み、第2の要素は該第2要素の中央部分の第1の表面に設けられ第1の関節部領域と嵌合するように構成された第2の関節部領域を含む。第1の関節部領域及び第2の関節部領域は、第1の要素と第2の要素との間の相対運動を可能にするように、少なくとも部分的に接触している。
【0027】
種々の実施形態において、各長手方向軸線は第1の要素及び第2の要素の夫々の中央部分を二等分し、対応する近位部分及び遠位部分は、それらの夫々の長手方向軸線に関して均一に離間される。椎間インプラントは、さらに、近位部分と遠位部分とを含む第3の要素を含むことができ、各々の部分が当該第3要素の中央部分から延びている。近位部分及び遠位部分は逆方向に延び、第3の要素の長手方向軸線に対してオフセットされている。第3の要素の近位部分及び遠位部分は、第1の要素の近位部分及び遠位部分に対して相補的に配向される。第3の要素は、第1の要素の対向する第2の表面と嵌合する。第1の要素及び第3の要素の夫々の中央部分は、嵌合されたときに第3の要素の第1の表面が第1の要素の第2の表面と略共面的となるように、第1の要素及び第3の要素の近位部分及び遠位部分に対して減少した厚さを有している。
【0028】
さらに、椎間インプラントは、近位部分と遠位部分とを含む第4の要素をさらに含むことができ、各々の部分が該第4要素の中央部分から延びている。近位部分及び遠位部分は逆方向に延び、第4の要素の長手方向軸線に対してオフセットされる。第4の要素の近位部分及び遠位部分は、第2の要素の近位部分及び遠位部分に対して相補的に配向される。第4の要素は、第2の要素の対向する第2の表面と嵌合する。第2の要素及び第4の要素の夫々の中央部分は、嵌合されたときに第4の要素の第1の表面が第2の要素の第2の表面と略共面的となるように、第2の要素及び第4の要素の近位部分及び遠位部分に対して減少した厚みを有している。
【0029】
さらに、旋回継手により、第3の要素は第1の要素に対して旋回可能に接続され得ると共に、第4の要素は第2の要素に対して旋回可能に接続され得る。第3の要素及び第4の要素の夫々の第1の表面の少なくとも一部分は、脊椎骨表面と嵌合するように構成され得る。椎間インプラントは、第1の要素と第2の要素との間の相対運動を防止するためのロック機構を含み得る。第1の要素及び第2の要素は相対的回転運動を行うことができ、ロック機構は第1の要素を第2の要素に対して所定の回転角度でロックすることができる。上記角度は、約0°〜約90°とされ得る。
【0030】
別の態様において、本発明は、椎間インプラントを展開するためのツールに関する。該ツールは、椎間インプラントの第1の部分に連結されるように構成された第1の本体と、椎間インプラントの第2の部分に連結されるように構成された第2の本体とを含む。第2の本体は、第1の本体に対して摺動可能に連結される。第1の本体及び第2の本体は、舌部−溝式継手を介して摺動可能に連結され得る。第2の本体は、楔形状近位端部を含み得る。ツールは、第1の本体から延びるハンドルを含み得る。
【0031】
種々の実施形態において、椎間インプラントが位置決めされたときに第2の本体の遠位端部が椎間インプラントに連結される。第2の本体は、椎間インプラントを展開するために近位端部を椎間インプラントに接触させるように配向させるために、第1の本体から結合解除されるように構成されている。椎間インプラントの展開は、第1の部分と第2の部分との間の楔形状近位端部を移動させ、第2の部分を椎間インプラントの第1の部分から離間移動させることを含み得る。椎間インプラントの第1の部分に対する第2の部分の相対的回転運動を可能にするために、椎間インプラントの第1の部分及び椎間インプラントの第2の部分は旋回可能に連結され得る。
【0032】
別の態様において、本発明は、椎間インプラントを展開するためのツールに関する。該ツールは、インプラントの一部分に対して連結されるように構成された長寸本体と、該長寸本体から延びるハンドルとを含む。長寸本体は、該長寸本体の遠位部分から延びる楔形状突出部を有する。上記ツールの遠位部分は、椎間インプラントと嵌合し得る。上記ツールは、該ツールの回転時に、椎間インプラントの第1の部分を該椎間インプラントの第2の部分に対して変位させる。
【0033】
別の態様において、本発明は、椎間インプラントを設置するための方法に関する。該方法は、椎間インプラントを準備する段階と、該椎間インプラントをツールに連結する段階と、椎間インプラントを2個の隣接する脊椎骨に対して身体内に移植する段階とを含む。椎間インプラントは相対運動し得る2個の部分を有し、上記ツールは、椎間インプラントの第1の部分に連結されるように構成された第1の本体と、椎間インプラントの第2の部分に連結されるように構成された第2の本体とを有する。第2の本体は、第1の本体に対して摺動可能に連結されており、楔形状近位端部を有する。上記方法は、さらに、第2の本体を上記ツールから結合解除する段階と、楔形状近位端部が椎間インプラントの少なくとも一部分に接触するように第2の本体を再配向して上記ツールに対して再連結する段階と、第2の本体を椎間インプラントに向けて移動させて第1の部分を第2の部分から離間させる段階とを含む。あるいはまた、上記方法はカニューレを用いて実施可能であり、この場合には、椎間腔内へのインプラントの挿入を容易にするために、椎間インプラントがツールに連結され、椎間インプラント及びツールの両者がカニューレを通して身体内に挿入される。カニューレに沿って、楔状部分を備えた長寸ツール、または、楔状又は他の適切な形状のツールが通され、椎間インプラントの第1の部分を椎間インプラントの第2の部分から離間させることができる。
【0034】
種々の実施形態において、上記方法は、上記ツールを椎間インプラントから結合解除する段階をさらに含む。一実施形態において、上記移植する段階は、側方アプローチ、後側方アプローチ、および、前側方アプローチのうちの少なくとも一つで実施される。椎間インプラントの第1の部分は、相対的回転運動を可能とするために、椎間インプラントの第2の部分に対して旋回可能に連結され得る。上記方法は、さらに、椎間インプラントの第1の部分を椎間インプラントの第2の部分に対して所定角度でロックする段階を含み得る。
【0035】
別の態様において、本発明は、第1の脊椎骨接触表面を規定する上側組立体と、第2の脊椎骨接触表面を規定すると共に上側組立体に対して関節運動するように構成された下側組立体とを含む椎間インプラントに関する。第1の脊椎骨接触表面及び第2の脊椎骨接触表面の少なくとも一方は、拡大可能な表面積を備える。
【0036】
別の態様において、本発明は、上側組立体と、該上側組立体を支持すると共に該上側組立体に対して関節運動するように構成された下側組立体とを含む椎間インプラントに関する。上側組立体及び下側組立体の少なくとも一方は、拡張可能な脊椎骨接触表面積を含むように構成される。
【0037】
別の態様において、本発明は、少なくとも2個の要素を有する上側組立体と、少なくとも2個の要素を備え上側組立体を支持する下側組立体とを備え、上側組立体の少なくとも2個の要素が上側組立体の脊椎骨接触表面領域のサイズを変更するように構成可能であり、下側組立体の少なくとも2個の要素が下側組立体の脊椎骨接触表面のサイズを変更するように構成可能になっている椎間インプラントに関する。
【0038】
別の態様において、本発明は、上側組立体と、上側組立体に嵌合関節部領域を介して連結された下側組立体とを含む椎間インプラントに関する。関節部領域は、拡開可能な支承表面から成る。
【0039】
これらの及び他の目的は、本明細書に開示された本発明の利点及び特徴と共に、以下の説明、添付図面及び各請求項を参照することで明らかとなろう。さらに、本明細書に記載された種々の実施形態の特徴は相互に排他的では無く種々の組み合わせおよび順序で存在し得ることを理解すべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
図中、異なる図面を通して、同様の参照符号は、概ね、同一の部材を表している。同様に、各図面は必ずしも縮尺通りでなく、代わりに、発明の原理を例示する際には概略的に強調されている。以下の記載において、本発明の種々の実施形態は添付図面を参照して説明されている。
【0041】
本発明は、椎間板を置換し又は椎間板に対する応力を軽減するために脊柱の2個の脊椎骨間に移植するための装置を提供する。該装置は、少なくとも一つの上側組立体と一つの下側組立体とを備え、これら組立体は、上側組立体と下側組立体との間の機械的接続部周りに関節運動することで、当該少なくとも二つの組立体の制御された相対運動を許容し得るようになっている。結果として、2個の脊椎骨間に配置されてそれらに取り付けられ、または、それらに当接して着座したときに、上記インプラントは、置換された又は支持(または補助)を受ける椎間板により提供されるのと同様に、軸方向骨格の脊椎骨セグメント間の制御された動作を許容する。
【0042】
本発明は、また、上記装置を椎間腔内に移植する方法および装置を提供する。上記方法は、上記インプラントの周りにおける柔軟組織の損傷を最少化する低侵襲的アプローチ、すなわち、開放側方アプローチ、前側方アプローチまたは後側方アプローチを採用する。インプラントを挿入するための装置は、インプラントを挿入する目的と共に椎間腔内での動作形態へインプラントを展開させる目的の両方で、使用され得る。
【0043】
図1は、2個の平行な細長要素を備えた椎間インプラントの略斜視図である。インプラント10は、上側細長要素12と下側細長要素14とを含み、これら要素は、概ね当該各要素の中央領域の周りに配置された嵌合関節部領域を通して互いと接触している。この形態において、嵌合関節部領域は上側細長要素12および下側細長要素14上の相補的部分を含み、上側細長要素12上の凸状すなわち雄型の嵌合関節部領域18が下側細長要素14上の凹状すなわち雌型の嵌合関節部領域20と嵌合するようになっている。
【0044】
上側細長要素12および下側細長要素14は両者ともに、実質的に直線状の90°縁辺を備えた実質的に矩形状のプロファイル(断面輪郭)を有する。代替実施形態において、上記細長要素は長楕円形、楕円形、または、他の適切な形状のプロファイルを形成してもよい一方、該細長要素の縁辺は、丸み付けされ、湾曲され、面取りされ、または椎間腔内への更に容易な挿入および更に良好で更に安全な使用を可能にする他の形状にすることができる。
【0045】
上記嵌合関節部領域は、上側細長要素12と下側細長要素14との間の相対運動を許容し、上側細長要素12および下側細長要素14の誤整列なしでこれらの要素が嵌合関節部の中心周りに関節運動、旋回、ピッチ運動または回転するように、設計される。インプラント装置の上側要素と下側要素と間のこの関節運動は、屈曲、伸展、側方曲げおよび/または生理学的並進運動のような脊柱の生理学的運動を許容し得る。
【0046】
幾つかの実施形態において、嵌合関節部の上側部分および下側部分は、無拘束的な接続を以て互いに嵌合し、2つの関節部間に一定量の遊びを許容するようにすることができる。結果として、上側細長要素12および下側細長要素14は、嵌合関節部の中心周りで自由に関節運動しまたは旋回し得る。特定の代替的形態においては、嵌合関節部の上側部分および下側部分は互いに対して緊密に嵌合して、インプラント10の上記2個の要素を相互に堅固な位置で接続するか、または、該2個の要素間で可能な関節運動を所定量に制限することができる。嵌合関節部は、限定的なものとしてで無く、ボール−ソケットタイプ接続、隆起部およびサドル、または、他の適切な相補的関節接続を含み得る。適切な嵌合関節部を選択すると、各要素は、たとえば該各細長要素の長さ方向軸線に沿う唯一の方向において相互に関して旋回するか、または、該嵌合関節部の中心軸線周りにおける任意の方向に旋回することが許容され得る。
【0047】
上側細長要素12および下側細長要素14は両者ともに、インプラント10の外側部分を規定し上側および下側の脊椎骨に対して夫々が接触する脊椎骨表面26と、インプラント10の内側部分内の関節表面28とを含む。各要素の脊椎骨表面26は実質的に平坦である一方、各要素の関節表面28は、各要素がその端部にて薄くなり且つ中央領域に向かい厚くなるように傾斜して斜面状に形成される。各要素の関節表面28のこの斜面形成もしくはテーパ付けは、上側細長要素12および下側細長要素14が嵌合関節部周りに互いに対して関節運動または旋回するときに、より大きな範囲の運動を可能とさせる。したがって、各関節表面28上の傾斜角度を変えると、インプラント10に対して可能な運動範囲が変更され得る。
【0048】
本発明の代替実施形態において、関節表面28は、限定的なものとしてでは無く、インプラント10の必要な関節運動に依存して、平坦なまたは湾曲した表面のような異なる形状とされ得る。一定の実施形態においては、上側細長要素12および下側細長要素14の夫々の関節表面28の形状は異なり得る一方、他の実施形態においては、一つの要素の各側における関節表面28の形状も異なり得る。本発明の幾つかの実施形態においては、インプラント10の一方若しくは両方の要素の脊椎骨表面26もまた、該インプラントの特定要件に依存して、斜面形成され且つ/又は湾曲された部分を含み得る。
【0049】
突出部16は、インプラント10の一方又は両方の要素の脊椎骨表面26上に取付けられ若しくは形成され、インプラント10の直上および直下の脊椎骨に対して脊椎骨表面26が更に良好に接触または固定することを可能にさせることができる。突出部16は、脊椎骨と確実に相互作用を及ぼすように種々の形態を有し得る。これらの形態としては、限定的なものとしてでは無いが、単一又は複数のスパイク、フック、または、脊椎骨内へ確実に着床する他の隆起要素が挙げられる。代替実施形態においては、突出部16は、脊椎骨表面の刻み付き領域、溝付き領域、リブ付き領域、または、織り目加工された領域を含むことで、インプラント10の上下の脊椎骨との更に確実な接触を提供し得る。別の代替実施形態において、突出部16は、限定的なものとしてでは無いが、生物学的接着剤のような接着物質であって、一個以上の細長要素の脊椎骨表面26の所定領域及び/又は一つ以上の側に配置されて脊椎骨とインプラント10との間の接触を改善させ得る接着物質により、置き換えられ又は支援され得る。
【0050】
インプラントの上側要素および下側要素は、突出部16及び/又は上述の接着剤と組み合わせて又はそれに代えて、インプラント10の各要素の脊椎骨表面26および両側に沿い、限定的なものとしてでは無いが、孔、間隙又は他の表面特性のような単一又は複数の凹部22を含み得る。これらの凹部は、骨組織がインプラント内へ成長して該インプラントを脊椎骨に対して融合させることを促進し得る。
【0051】
本発明の代替実施形態において、突出部16、接着剤及び/又は凹部22は、インプラント10の上側要素12および下側要素14の一方上にのみ配置され得る。一定の実施形態において、凹部22は、例えば各細長要素の脊椎骨表面26上のみのように、各要素の一定の表面上にのみ配置され得る。インプラント10と脊椎骨との間の接触を改善する上記方法の任意の組み合せは、外側表面(すなわち各要素12、14の脊椎骨表面26と側部と端部)の内の任意の面上に配置され得ると共に、任意の2つの側面を同一組み合わせとする必要はないことに留意すべきである。このように、インプラント10の特定要件と患者の脊柱の特定の幾何学的形状および生理機能とに依存して、異なる形態の接触改善方法が異なる表面上で採用され得る。別の代替実施形態においては、インプラント10の上下の脊椎骨からの圧力により該インプラント10を所定位置に保持することで、細長要素の一方又は両方は、一切の突出部16、凹部22及び/又は接着剤なしとすることができる。別の代替実施形態においては、椎間腔内で別体のロック要素を展開させてインプラント10を脊椎骨に留めることができる。
【0052】
さらに、たとえば骨成長を促進し又は感染症に対処するために、インプラント10を生物学的又は治療的な作用物質で被覆若しくは処理することができる。別の代替実施形態において、内部又は外部の貯留リザーバから生物学的又は治療的作用物質を脊柱に供給するために、インプラントは、限定的なものとしてでは無いが、カニューレ及びマイクロポンプのような機構を含むことができる。
【0053】
図2は、2つの平行な細長要素を備えた代替的な椎間インプラント10の略側面図であり、インプラント10の上側細長要素12および下側細長要素14上の凹状すなわち雌型の嵌合関節部領域34、36の間に別体のスペーサ要素24が配置されている。ここでも、インプラント10の各要素は、実質的に平坦な脊椎骨表面26および傾斜した関節部表面28を含んでいる。上述したように、各要素の脊椎骨表面26および関節部表面28の形状は、本発明の代替実施形態においては、所定インプラント10の特定の要件に合うように変更され得る。一定の実施形態においては、上側細長要素12および下側細長要素14もまた、該要素を周囲の脊椎骨に対して更に良好に接続するために、その脊椎骨表面26及び/又は側面上に突出部16、凹部22及び/又は接着物質を含み得る。代替実施形態において、嵌合関節部領域34、36は、少なくとも一つ、有力な候補としては二つの凸状隆起部を含み、対応するスペーサ24が、上側要素12および下側要素14の関節部領域34、36と嵌合するように適合した凹状側面を含み得る。
【0054】
スペーサ要素24は、2個の要素が上述されたように互いに対して関節運動又は旋回することを可能とさせる。スペーサ24は関節部領域を再現することができ、楕円面、または、嵌合関節部領域34、36に適した他の相補的形状、例えば、限定的なものとしてでは無いが、ボール形状、両凸形状又は両凹形状とすることができる。スペーサ24は、インプラント10の細長要素と同一の材料から構成することもでき、周囲の細長要素とは異なる材料から構成することもできる。スペーサ24に異なる材料を使用することで、たとえば、インプラント10の寿命を改善させたり、関節部領域の摩擦特性を変えて2個の細長要素の相対運動を容易とさせ又は可能性として妨げたりすることが可能となる。
【0055】
図3は、2個の脊椎骨間に挿入された図1の椎間インプラントの概略図である。各脊椎骨30は椎間板32を介して接続される。インプラント10は、2個の脊椎骨30の間の椎間板32を置換又は補助的に支持するために使用され得る。図3に示されているように、上側細長要素12および下側細長要素14の脊椎骨表面26は、周囲の脊椎骨30の表面に当接して着座する。インプラント10は、上側細長要素12および下側細長要素14が嵌合関節部領域を通して互いに対して関節運動することを許容して、健康な椎間板32により許容される運動と同様にして脊柱が運動および屈曲することを可能とさせる。
【0056】
インプラント10は、限定的なものとしてでは無いが、インプラント周りの柔軟組織の損傷を最少化させる低侵襲的アプローチ、すなわち、開放側方アプローチ、前側方アプローチ又は後側方アプローチを含む多数の様式で、椎間腔内へ挿入され得る。図4A及び図5は、インプラント10を2個の脊椎骨の間に挿入する可能な2つの方法を示している。
【0057】
図4Aは、後側方アプローチにより椎間腔内に挿入されつつある図1の椎間インプラント10の略平面図である。この方法では、インプラント10の端部のプロファイルが小さいため、インプラントは患者の背部における小さい切開部を通して椎間腔内に挿入され得る。切開部は背部において脊柱の側面に、たとえば脊柱の前後方向軸線に対して45°の角度にて作成され得る。代替実施形態において、この角度は、患者の生理機能、体格および体型、および、挿入時におけるインプラント10の要件に依存して、増減され得る。
【0058】
椎間腔内へのインプラントの挿入を容易にさせるために、患者の背部に形成された切開部内にカニューレ38又は他の適切な中空管を挿入することができる。次に、インプラント10は、介在組織などに強制的に貫通させる必要なしに、中空カニューレ38を通して椎間腔内へ挿入され得る。インプラント10の挿入は、挿入ツールを使用して、インプラント10を適切な箇所に位置決めし、位置決めされたインプラント10を有効な設定に展開することを含み得る。たとえば、インプラント10は、内蔵のロック機構又は別体のロック要素を用いて非関節運動形態でロックされ得る。インプラントの挿入時には、このロック機構は、挿入ツールにより解除され、上側細長要素12および下側細長要素14の相対関節運動を可能とさせることができる。代替実施形態においては、カニューレ及び/又はロック機構と共に、または、その必要性なしに、インプラント10を椎間腔内へ挿入するために、標準的な手術器具が使用され得る。
【0059】
カニューレ38は、インプラント10に対する経路を提供するために切開部を通して患者の体内へ挿入され得る堅固な又は撓曲可能な管とすることができる。一定の実施形態において、この管はその最終形態で身体内へ挿入され得るが、他の実施形態では、この管は、挿入時における管のプロファイルを最小化するために折り潰され又は部分的に折り潰された形態で身体内へと挿入され、挿入後に管の最終形態へ拡開され得る。カニューレ38は、円筒形、正方形、矩形又は他の適切な形状の管とすることができ、また、インプラント10のプロファイルと相補的な形状にすることもできる。カニューレは、本発明の幾つかの実施形態において、完全に閉鎖された断面を有し得るが、他の実施形態では、一方の側にて少なくとも部分的に開放され名目的に“C”字形状の断面を形成する挿入ハウジング39により置き換えられ得る。幾つかの実施形態において、挿入ハウジング39の開放部分は軌道を提供することができ、この軌道は、挿入の際にインプラントを安定化させるために、または、インプラント10を挿入するときに身体物質がチャネルから抜け出るのを許容するために、使用され得る。図4Bには、例示の挿入ハウジング39の端面図が示されており、名目的に“C”字形状断面のハウジング39が、インプラント10の通過のための中空中央チャネル41と、インプラント10のための軌道並びに該ハウジング39内の任意の物質のための流出手段(脱出手段)を提供する間隙43とを提供する。さらに、カニューレ38又はハウジング39は、隣接する脊椎骨同士を離間拡開させるために又はインプラントの挿入を容易にするために、身体内における近位端部に楔形状のような幾何学的形状を含み得る。
【0060】
図5は、側方アプローチにより椎間腔内へ挿入されつつある図1の椎間インプラント10の略平面図である。この方法においては、脊柱の前後方向軸線に対して90°の角度にてインプラント10が挿入される結果となる箇所にて患者の側部に切開部が形成される。次に、インプラント10は、図4Aの後側方アプローチについて記載されたのと同一の方法および装置のうちの何れかの方法および装置を用いて椎間腔内へ挿入され得る。
【0061】
図6Aは、十字形状の椎間インプラントの2個の外側セグメントの略斜視図である。この形態において、インプラント40は、中央の嵌合関節部領域にて相互作用する上側十字形状要素および下側十字形状要素として構成されるインプラント40を生成するように組み合わされる4個の細長要素から成る。図6Aは、インプラント40の2個の外側セグメントを示している。ここで、上側副要素42および下側副要素44は、互いに対して平行に位置決めされる。副要素42、44の脊椎骨表面は、インプラント40を当接脊椎骨に更に確実に接続するために使用され得る突出部50を含む。これら突出部50は、図1から図5の各実施形態について記載された形態のうちの任意の形態を取り得る。副要素42、44は、また、ここでも図1から図5の実施形態について記載されたような凹部及び/又は接着剤部分を含み得る。
【0062】
副要素42、44の各々の関節表面の中央部は、それぞれ、ノッチ46、48を含み、副要素42、44がインプラント40の十字要素上の任意選択の相補的ノッチと互いにロックすることを可能にさせている。これらの十字要素は、図6Bに示されている。ここで、上側主要素60および下側主要素62は、上側副要素42および下側副要素44に対して90°となるように、互いと平行に位置決めされる。上側主要素60および下側主要素62は、それぞれ、任意選択のノッチ64、66を含み、主要素60、62が図6Aに示されている副要素42、44に対して90°で互いにロックすることを可能にさせている。
【0063】
主要素60、62は、また、関節運動又は旋回するように上側要素60が下側要素62に接続されることを可能とさせる嵌合関節部領域を含む。示されている実施形態において、上側要素60に取り付けられた上側関節部要素は凸状すなわち雄状の隆起部68から成る一方、下側要素62に取り付けられた下側関節部要素は対応する凹状すなわち雌状の受容部70から成る。図1から図5の実施形態について上述したように、嵌合関節部領域は、限定的なものとしてでは無いが、相補的な雄状関節部および雌状関節部、あるいは、相補的スペーサを備えた2個の雌状関節部、若しくは、1個の雌状関節部および1個の雄状関節部、若しくは、2個の雄状関節部、ボール−ソケット関節部、一対のサドル、または、他の任意の適切な嵌合要素のような多数の可能的な配置機構を含み得る。図1から図5の実施形態の場合と同様に、嵌合関節部は、一定の実施形態においては一つの長手方向軸線のみに沿い関節運動又は旋回することを許容し、または、他の実施形態においては嵌合関節部の中心軸線周りの任意の方向へのインプラント40の旋回を許容し得る。
【0064】
細長要素42、44、60、62は全てが関節表面上でテーパ状にすることで、インプラント40を旋回又は関節運動させるときに大きな範囲の運動を可能にさせる。一定の実施形態において、テーパは各細長要素上で等しくして、インプラント40が各方向に等しく旋回することを可能とさせることができる。他の実施形態において、各細長要素は、異なるテーパ又は形状を有し、インプラント40が一定方向において旋回し得る角度を増減させることができる。たとえば、患者の脊柱の運動の範囲は全方向において必ずしも等しくはないことから、各細長要素の形状およびテーパを慎重に選択することにより2個の脊椎骨の互いに対する運動の範囲は全方向において適合され得る。
【0065】
各要素上のノッチの箇所にて上側主要素60および副要素42を相互に且つ下側主要素62および副要素44を相互に係合(ロック)すると、図7に示された組立後のインプラント40になる。十次形状を形成するインプラントを構築することで、インプラントの安定性を高めることができると共に、上側要素および下側要素が全方向において更に良好に旋回することが可能になる。十次形状の構成は、また、各要素の脊椎骨表面が脊椎骨に接触する表面積を増大させる。このことは、インプラントおよびこれと対応付けられた脊椎骨との間の負荷を分散させる手助けとなり、したがって、インプラントが経時的に脊椎骨内へ沈降若しくは着床して可能性として脊椎骨を損傷さ得るという根付きを回避させる助けとなり得る。
【0066】
図8及び図9においては、身体内に挿入された十字形状インプラントの例が示されている。図8は、当該箇所にて損傷された椎間板を置換し又は補助的に支持し得るように、2個の脊椎骨30の間において脊柱内に挿入された椎間インプラント40の側面図を示している。図9は、2個の脊椎骨30の間に配置された十字形状インプラント40の平面図を示している。本発明の一定の実施形態において、インプラントの十字要素は互いに対して90°とされ得る一方、図9のインプラントのような他の実施形態においては、十字要素間の角度は90°より小さくされ得る。補助的に支持される脊椎骨の幾何学的形状およびサイズ、並びに、患者の生理機能のような要因に依存して、異なる交差角度を有するインプラントが使用され得る。
【0067】
十字形状インプラント40のプロファイルは更に大きいことから、椎間腔内にインプラント40を挿入するためには、患者に対して、より大きい切開部が必要とされ得る。しかしながら、これは、自身の断面プロファイルを最小化するために折り畳まれ又は折り潰された形態で身体内に挿入され得るインプラントを使用することで低減させることができ、このようなインプラントは、挿入後に、椎間腔内で十字形状形態へ展開される。あるいはまた、副セグメント42、44は、脊柱の一方側から後側方アプローチで挿入され得る一方、主セグメント60、62は脊柱の他方側から後側方アプローチで挿入される。次に、主要素及び副要素は、椎間腔内の所定位置とされながら相互にロック又は係合される。たとえば、一実施形態において、組み立て済みの副要素のノッチは横坑を形成し、この横坑を通して、組み立て済みの2個の主要素が逆側から挿入され得る。この方法は、形成される必要があるのは、一つの大きな切開部ではなく、2個の小さい切開部のみであることを意味する。
【0068】
本発明の別の実施形態において、十字形状インプラント100は、中央の嵌合関節部領域にて交差する2個の単一の細長要素102、104から形成され得る。図10から図15には、インプラント100の種々の実施形態が示されている。各細長要素は上述されたような特性を備える脊椎骨表面を有しており、示されている実施形態においては、細長要素は突出部106を含んでいる。一定の代替実施形態において、突出部106は、凹部及び/又は接着要素により置き換えることができ、また、それらと組み合わせて機能することもできる。ここでも、インプラント100の特定の要件に依存して、各要素は可変角度でテーパ付けされ得るか又は各要素の断面プロファイルが変更され得る。
【0069】
図10は、隣接する脊椎骨30の間の椎間腔内に挿入されたインプラント100の平面図を示している。2個の要素は90°未満の角度で交差しているが、代替実施形態においては、この角度は90°まで増大されることもでき、0°に向けて減少せることもできる。図11に示されているように、上側細長要素102および下側細長要素104は、嵌合関節部組立体にて、各要素の関節表面の実質的に中央において互いと接触する。嵌合関節部は、上側要素106上のサドル形状表面108と、下側要素104上の対応するサドル形状表面110とを含む。
【0070】
サドル形状表面108、110は、上側細長要素102および下側細長要素104が互いに対して関節運動し、旋回し、枢動し、旋回し、または、回転し得る。図10に示されているように、サドル形状表面108、110は対応要素の幅を僅かに超えて延びており、これにより、2個の要素が互いに対して旋回することと共に、2個の要素間の角度を増減させることを可能にさせている。このことは、運動の間に脊柱が旋回するのを許容する上で利点となり得る。代替実施形態において、サドル形状表面108、110は互いに対して更に緊密に嵌合することで、2個の要素102、104の間の旋回を制限又は停止させ得る。
【0071】
インプラント100の代替実施形態において、サドル型の嵌合関節部は、限定的なものとしてでは無いが、相補的な雄状および雌状の関節部、2個の雌状又は雄状の関節部および相補的スペーサ、ボール−ソケット関節部、ピン式接続、又は、他の任意の適切な嵌合要素のような他の適切な嵌合関節部により置き換えられ得る。上述したように、インプラント100は、後側方アプローチにより、患者の背部にて脊柱の両側に一つずつ設けられた2個の小さな切開部を通して椎間腔内に挿入され得る。
【0072】
上記又は下記にて言及される本発明の各実施形態のうちの任意の実施形態において、細長要素は、図12のばね細長要素120又は図13に示されている弧状細長要素130のようなばね要素により置き換えられ得る。
【0073】
図12は、弧状の又は湾曲したバー124と、直線状又は平坦なバー126と、2個のバーをそれらの外側端部にて互いに保持するコネクタ128とから成るばね型細長要素120を示している。この形態は、“リーフスプリング(板ばね)”効果を提供する要素120に帰着し得る。要素120は、別の細長要素120と嵌合するノッチ122も含んでいる。ばね型細長要素120の使用は、インプラントに対して可撓性を付加する上で利点となり得ると共に、一定の実施形態においては、上側要素および下側要素を代替的に互いに固定形態で接続することにより、上側要素と下側要素との間の関節接続の必要性が除去され得る。この形態において、インプラントの必要とされる運動範囲は、細長要素自体のばね動作により提供され得る。
【0074】
代替実施形態において、ノッチ122は、上述の他の嵌合関節部のうちの任意の嵌合関節部により置き換えられ得る。本発明の幾つかの実施形態においては、所定のインプラントの唯一の又は幾つかの細長要素がばね型細長要素120とされ得る一方、他の実施形態においては、インプラントにおける全ての細長要素がばね型細長要素120とされ得る。
【0075】
図13は、弧状部を支持する2個の端部組立体134から成る弧状細長要素130を示しており、孤状部上にサドル型嵌合関節部132が設けられている。代替実施形態において、サドル132は、上述の他の嵌合関節部又は接続部のうちの任意のものにより置き換えられ得る。上述のばね型細長要素120の場合と同様に、弧状細長要素130は、インプラントの可撓性を高める上で、または、インプラントの上側要素と下側要素との間の嵌合関節部を置き換える上で利点となり得る“リーフスプリング(板ばね)”効果を提供し得る。
【0076】
上記又は下記において言及される本発明の実施形態のうちの任意の実施形態において、細長要素の幾つか又は全ては、その関節表面上にスロット形成部分を含み得る。これは、使用中にインプラントの安定性を提供する上で、且つ/又は、椎間腔内への設置の際に各要素を整列させる手段を提供する上で利点となり得る。スロットの側部は、幾つかの実施形態においては、テーパ付け又は丸み付けされることで、インプラントの上側要素と下側要素との間における軸回転又は旋回運動のための間隙を許容し得る。図10に描かれた角度付きノッチ105により示されているように、たとえばノッチが形成された又はサドル状に形成された嵌合関節部の各側部は、角度付け又は丸み付けされることで、間隙を提供すると共に、各要素が互いに対して水平方向に旋回することを可能とさせ得る。
【0077】
図14においては、サドル型嵌合関節部132を備えた弧状細長要素130を用いたインプラントの一実施形態が示されている。ここで、インプラントは、細長要素102、104を一対の弧状要素130で置き換えて、図9および図10の2要素十字インプラント100と同様の形状に形成される。弧状細長要素130の端部134は、インプラントを所定位置に固定するために、当接する脊椎骨内へ確実に着床される。弧状要素の端部のこの着床は、挿入の時点で外科的に達成されるか、または、インプラントに対して脊柱により及ぼされる圧力により引き起こされる沈降によって経時的に自然に生じ得る。図15には、弧状細長要素130による十字型インプラントの平面図が示されている。
【0078】
図16においては、相補的な雄状関節部142および雌状関節部144を備えた弧状細長要素130を用いたインプラント140の実施形態が示されている。この形態においては、図1から図5の実施形態の細長要素12、14を2個の平行な弧状細長要素130で置き換えている。平行形態を用いることで、単一の切開部を用いてインプラントを椎間腔内へ挿入することを可能とさせている。
【0079】
本発明の別の実施形態は、ピン型の接続により相互に接続された2個の細長要素による鋏型の設計態様を採用し得る。この実施形態において、インプラントの各要素は挿入の際におけるインプラントの断面プロファイルを最小化するために挿入の際には平行に配置されるが、挿入後には開かれて交差型形態を形成する。この実施形態は、二要素交差形態および四要素交差形態の両方に対して採用され得る。鋏型形態は、単一のインプラントが、該インプラントの別個の細長要素間の角度が約0°〜約180°の任意の所望の角度となるように展開され得る。鋏型インプラントは、また、上述されたように脊柱の両側に二つの切開部を要するのではなく患者の背部に設けられた単一の切開部を通して十字インプラントを挿入することを可能とさせる点においても有利である。一定の実施形態において、ピン形式接続は、弾性ピン、または、別の適切で柔軟な材料からなる取付具を含み、ピン止めされた接続の屈曲が許容されると共に、接続箇所周りにおける上側要素および下側要素の相対関節運動が許容され得る。
【0080】
図17A及び図17Bは、それぞれ、挿入形態および展開形態における二要素鋏型インプラント150を示している。インプラント150は、上側細長要素154および下側細長要素156を含んでいる。これらの2個の要素154、156は、各要素の中央を貫通するピン152により接続される。インプラント150は図17Aに示されているような閉じた形態又は挿入形態で椎間腔内へ挿入可能であり、この形態では、インプラントは小さい断面プロファイルを有することから挿入の際における柔軟組織に対する損傷を最小化し得る。椎間腔内への設置時に、インプラント150は図17Bに示されているような開いた形態へ展開され得る。本発明の一定の実施形態においては、インプラント150を挿入して展開するために特別に設計された挿入ツールが使用され得る一方、代替的形態においては、インプラント150を挿入して展開するために標準的な手術用具が使用され得る。インプラント150の各要素は、図1から図11の実施形態について記載されたように、2個のテーパ付き要素から作成され得る一方、代替実施形態においては、弧状細長要素が使用され得る。
【0081】
代替的形態において、ピン152は、限定的なものでは無いが、相補的な雄状および雌状の関節部、相補的なスペーサを備えた2個の雌状又は雄状の関節部、ボール−ソケット関節部、一対のサドル、若しくは、他の任意で適切な嵌合要素のような前述の嵌合関節部のうちの任意のもので置き換えられ得る。単一切開部を通して挿入するためにこれらの嵌合関節部のうちの一つを備えた鋏型インプラントに対しては、挿入の際に各ピースを一体的に保持する挿入ツールが必要となり得る。
【0082】
図18から図22においては、四本アーム式鋏型インプラント200を含む本発明の実施形態が示されている。この実施形態において、上側鋏組立体202は、嵌合関節部206を通して下側鋏組立体204と嵌合する。上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204は両者ともに、旋回部、ピン又は他の適切な接続部を介して接続され得る2個の別体の細長要素であって各要素の中心周りに互いに対して回転し得る単一の鋏組立体を形成し得る細長要素を含む。嵌合関節部206は、ボール−ソケット関節部を含んでいる。本発明の代替実施形態においては、ボール−ソケット206の代わりに、上述のような他の嵌合関節部が採用され得る。
【0083】
一定の実施形態において、インプラント200は、限定的なものでは無いが、脊椎骨表面上の突出部、凹部、接着区画、可変的にテーパ付けされた又は湾曲された細長要素、平坦な細長要素、および、弧状要素又はばね要素など、前述の本発明の各実施形態において論じられた任意の特徴又は一群の特徴を含み得る。
【0084】
図18は、閉じた形態又は挿入形態になっているインプラント200の側面図を示している。図19においては、上側鋏組立体202を見下ろした閉じた形態の対応する平面図が示されている。図20及び図21においては、開いた形態又は展開形態のインプラント200の側面図及び平面図がそれぞれ示されている。
【0085】
上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204の各々は、当該細長要素の中央領域周りで旋回可能に接続された2個の細長要素を含んでいる。各要素の中央領域から外方に延びる該要素の部分は該要素の中央長手方向軸線からオフセットされており、各組立体の一方の要素のオフセットはその組立体の他方の要素のオフセットの鏡映である。結果として各組立体の2個の要素は、図18及び図19に示されているように、単一の平坦表面を形成するように、閉じた形態へ相互に旋回し得る。これにより、上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204の両方に対し、実質的に平坦な脊椎骨表面を生成させる。インプラントの展開時に、図20及び図21に示されているように、各組立体に対する実質的に平坦な脊椎骨表面を維持しながら、各組立体の各要素の延長部分はその組立体の中央領域の旋回可能接続部周りで回転する。
【0086】
本発明の代替実施形態において、各組立体の鋏要素は、一方の要素の延長部分はその組立体の他方の要素の延長部分の下方で旋回するように構成され、これによって、挿入されるときにインプラントの断面プロファイルを減少させることができる。この実施形態において、各鋏要素はノッチ又は他の凹部を含み、展開されるときに内側要素の上側表面のノッチが上側要素の下側表面上のノッチと合致して脊椎骨表面が一つの平坦表面として構成されることを可能にするようにし得る。別の代替実施形態において、このノッチは含まれなくても良い。
【0087】
図22は、自身の中央の嵌合関節部206周りで関節運動するインプラント200の側面図を示している。上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204の相補的な関節表面は、上側組立体202及び下側組立体204が生理学的運動で互いに対して移動することを可能にさせる。脊柱動作に関して、関節部は、回転、屈曲、伸展、側方曲げ、および、幾つかの実施形態においては、生理学的並進移動を許容する。関節表面の形状に依存して、一つ以上の方向において並進移動に対しては一定程度の拘束が可能とされ得る。たとえば細長要素のテーパ付けを少なくすると、その要素に対する回転運動範囲が制限される。矢印208は、上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204の相対運動の一例を示している。上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204は別体ピースであるので、幾つかの実施形態においては、上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204が単一組立体として一体的に挿入されることを可能とさせるために、挿入ツール又は移植ツールが必要とされ得る。
【0088】
図23から図26は、それぞれ、一実施形態の挿入ツール220に対して取り付けられたインプラント200の平面図、左側面図、右側面図及び端面図を示している。挿入ツールは、第1本体すなわち主本体222及び第2本体すなわち“ダミー”支持本体224を含む。2つの本体222、224は舌部/溝インタフェース226により接続され、ダミー支持本体224が主本体222の長さ方向に摺動することを可能とさせている。代替実施形態においては、主本体222及びダミー支持本体224を摺動可能に接続する軌道又は他の適切な手段が、舌部/溝インタフェース226に成り代わり得る。
【0089】
挿入ツール220は、該挿入ツール220の2個の本体222、224のネジ孔234の間隙を通して挿入される一群の4本のネジ228であってインプラント200の4個の細長要素の遠位端部のネジ孔内に螺合されるネジ228により、インプラント200に対して解除可能に固定され得る。ネジ228は、六角穴つきドライバ、平坦ヘッド又は十字ヘッドネジ回し、または他の適切な手段により旋回され得る。代替実施形態において、挿入ツール220とインプラント200との間のネジ取り付けは、限定するものではないが、ラッチ、キーロック、または、磁石接続のような他の適切な解除可能な接続により置き換えられ得る。
【0090】
主本体222及びダミー支持本体224の遠位端部は、上側鋏要素202及び下側鋏要素204の関節表面のテーパ付けにより、インプラント200の側部間の間隙と嵌合する楔形状突出部230を有する。本発明の代替実施形態において、主本体222及びダミー支持本体224の遠位端部は平坦な端部を有し、挿入ツール220の端部とインプラント200の内側部分との間に間隙を残すようにすることができる。
【0091】
主本体222及びダミー支持本体224は両者とも、2個のネジ孔234を有する。したがって、主本体222はこれら2個のネジ孔234を通して、インプラント200の上側鋏組立体202及び下側鋏組立体204の両者の細長要素の一方の遠位端部に接続される。このようにして、インプラント200の2個の半体は、挿入ツール220の主本体222のみを用いて一体的に保持され得る。インプラント200の細長要素の他方の2個の遠位端部は挿入ツール220のダミー支持本体224に対して固定され得るので、インプラント200を更に支持すると共に、インプラント200の各鋏組立体が開くことを防止することができる。このように、挿入ツール220及びインプラント200は、挿入に先立ちインプラント200を保管するため並びにインプラント200を椎間腔内へ挿入して展開するために使用され得る単一組立体を形成する。
【0092】
挿入ツール220の主本体222には、インプラント200の挿入を手助けするために、ハンドル232が取り付けられている。このハンドル222は、挿入ツール220に対して永続的に取り付けられていてもよく、挿入ツールに対して着脱自在に取り付けられていてもよい。代替実施形態において、ハンドル222は、使用されないときには主本体222内に折り畳めるようにしてもよい。ハンドル222は、限定するものではないが、円筒状、矩形状、または、他の多角形状のような単純な形状で形成され得る。代替実施形態において、ハンドル222は、たとえばハンドル222に対するユーザの保持を助力するために、孔又は取手を備えた更に人間工学的に設計された形状から形成されてもよい。
【0093】
インプラント200は、患者の背部又は側部に形成された単一切開部を通して、前述の後側方アプローチ又は側方アプローチを用いて椎間腔内へ挿入され得る。身体内へのインプラント200の挿入を容易にするために、チャネル形状の挿入ハウジング又はカニューレが採用され得るが、幾つかの実施形態において、挿入ハウジングは必要とされないこともある。椎間腔内に一旦正しく位置決めさると、挿入ツール220は、インプラント200を解放して取り出される前に、インプラント200をその動作形態へ展開するために使用され得る。
【0094】
図27から図34は、挿入ツール220による椎間腔内への挿入後におけるインプラント200の展開の各段階を示している。図27は、完全に接続された挿入形態になっているインプラント200及び挿入ツール220の平面図を示している。ここで、全ての4個のネジ228は、所定位置にあり、主本体222及びダミー支持本体224の両者をインプラント200に接続している。一旦正しく挿入されると、ダミー支持本体224内の2個のネジ228は図28に示されているように、除去される。次に、ダミー支持本体224は、該ダミー支持本体224を主本体222に連結している舌部/溝式摺動接続部に沿って外方へ該本体224を摺動させることにより、図29に示されているように取り外され得る。
【0095】
次に、図30に示されているように、主本体222上の摺動接続部に沿って、拡開用楔238が所定位置へ摺動され得る。この楔形状本体238は、インプラント200が展開されるべき必要角度に依存する所定角度に設定された楔形状の遠位端部を有した別体ピースとされ得る。その遠位端部に異なる角度の楔を備えた拡開用楔238を選択することで、インプラント200を異なる角度で展開することができる。一定の実施形態において、拡開用楔238は可変の遠位端部を有し、単一ピースを使用して任意の必要な角度でインプラント200を展開することを可能とさせることができる。代替実施形態においては、ダミー支持本体224が楔形状の遠位端部を有し、該ダミー支持本体が拡開用楔238として機能することを可能とさせることにより、インプラント200を展開するために別体ピースを使用する必要性を排除させることができる。たとえばダミー支持本体224は、挿入の全体にわたりインプラント200から最も遠い端部に楔形状を有し得る。次に、ダミー支持本体224は、図27から図29に記載されているように、取り外され、転回され、楔状端部をインプラント200に向けて再挿入され得る。
【0096】
次に、拡開用楔238は摺動機構に沿って前進させられ、図31に示されているように鋏状インプラント200の各細長要素と係合し得る。拡開用楔238は進み得る限り前進させられ、該楔の角度及びサイズにより予め定められた角度にインプラント200の鋏型細長要素の展開角度を設定した後、拡開用楔238は図32に示されているように取り外され得る。一定の実施形態において、拡開用楔238はインプラント200の上側鋏組立体及び下側鋏組立体の両方を同一の展開角度に設定するように構成され得る一方、代替的形態において、拡開用楔238は上側鋏組立体及び下側鋏組立体の各々に接触する該拡開用楔238の部分を異なる幾何学形状とすることにより各鋏組立体を異なる展開角度に設定するように構成され得る。
【0097】
インプラント200の展開は、限定するものではないが、機械的手段、ばね、電気的手段、または、他の適切な手段のような他の手段により行われ得る。一定の実施形態において、インプラントは、熱依存性ポリマのような形状記憶材料から構成され得る。インプラントはその展開形態で鋳造された後、温度が一定の間はポリマが折り潰された形態を維持するように、折り潰し状態に形成されて冷却される。次に、インプラントは折り潰し状態で椎間腔内へ挿入され、その時点で身体の熱がインプラントを加熱し、ポリマがその元の展開形態へ戻り拡開することを可能とさせる。熱依存性ポリマは、また、インプラント200が挿入に適した折り潰し形態で構成されるが一旦挿入されたならば身体の熱の結果として一方又は両方の組立体の各細長要素間に挿入されたポリマ要素が拡開するように、インプラント200の一部のみに挿入されてばねとして機能させることも可能である。このポリマ要素は、次に、インプラントの細長要素を展開させて所定位置にロックさせることができる。
【0098】
別の例においては、たとえば挿入ツールの主本体222を貫通するワイヤ又は他の接続部材によりラッチ又はピンが解除されると同時にばねが各鋏要素を必要角度へ強制的に開かせるように、ばね及びラッチ構造がインプラントに含まれ得る。これらの実施形態においては、拡開用楔238、更にはダミー支持本体224さえも一切必要とされない。一定の実施形態においては、インプラント200を展開するために、ピストン形式要素も使用され得る。
【0099】
次に、インプラント200は、使用中にインプラントが移動することを防止するために、展開形態にロックされ得る。これは、一実施形態においては、図33に示されているように、主本体222をインプラント200に接続しているネジ228をロック孔236内に螺合させて、インプラント200の上側鋏要素及び下側鋏要素の両方に挿通されることにより達成され得る。これらのロック孔236は、必要な展開角度が設定されたときにインプラント200の各細長要素内のネジ孔と嵌合するように、インプラント200内に配置されたネジ孔又は非ネジ孔とされ得る。本発明の一定の実施形態において、インプラント200は、限定するものではないが、ピン、ラッチ、または、キーロック機構のような別のロック機構を用いてインプラントの展開位置にロックされ得る。別の実施形態においては、インプラント200用のロック機構は無く、周囲の脊椎骨により、または、突出部、凹部及び/又は接着剤を使用することで、インプラント200を所定位置に保持するに十分な力がインプラント200に及ぼされ得る。
【0100】
ネジ228がインプラント200内に一旦挿入され、もはやインプラント200を挿入ツール220の主本体222に接続しないなら、主本体222は取り外され、図34に示されているように、インプラント200を椎間腔内の所定位置に残置し得る。挿入チャネル又はカニューレを含む実施形態においては、それもまたこの時点にて取り外され得る。
【0101】
図35は、4セグメント式“鋏”型の椎間インプラント200のうちの2個のセグメントと代替的な挿入ツール220の主本体222との略斜視図である。図25は、上側鋏要素202及び下側鋏要素204の関節表面のテーパ付けによりインプラント200における間隙と嵌合する主本体222の楔形状端部230を示している。また、挿入ツール220の主本体222におけるネジ孔234を通りインプラント200の各細長要素の遠位端部におけるネジ孔内へと延びるネジ228の整列経路も示されている。
【0102】
本発明の代替実施形態において、インプラント200の展開は、挿入ツール220の取り外しに先立ち挿入ツールの少なくとも一部分を旋回することにより達成又は助力され得る。たとえば主本体222の楔形状端部230は、挿入ツール220の取り外しに先立ち上側組立体及び下側組立体を展開させるために、旋回され得る。このことは、下側組立体の遠位端部が上側組立体の遠位端部の直下には位置しないように上側組立体及び下側組立体の細長要素の遠位端部が脊椎骨上で異なる角度にて展開されるべきであるという構成において利点となり得る。挿入ツール220の旋回動作は、インプラント200内におけるばね機構のような展開機構をトリガするためにも使用され得る。
【0103】
図36及び図37は、脊柱の椎間腔内への挿入のための4セグメント式“鋏”型の椎間インプラントの代替実施形態を示している。このインプラント300は図18から図22について上述されたインプラントと同様であり、上側鋏組立体314及び下側鋏組立体316は、各々がそれらの中央箇所周りで旋回する2個の細長要素を含むと共に、挿入ツール310から一旦解除されると、中央の嵌合関節部周りで自由に関節運動する。インプラント300は、ネジ312により、挿入ツール310に着脱自在に接続される。挿入ツールは図23から図35について記載されたのと同様に作用するが、この場合には、挿入の際にインプラントにダミー支持本体を取り付ける必要はない。
【0104】
身体内へ挿入されるときのインプラント300の前側遠位端部302すなわちインプラント300の前縁部は、身体内への更に容易な挿入を可能にするために湾曲される。一定の実施形態において、前縁部302の形状及びインプラント300の完全な断面プロファイルの形状は、柔軟組織の損傷を制限するために、身体内への更に容易な挿入を可能にするように設定され得る。幾何学形状に対するこれらの変更は、前縁部及び側縁部の更なる曲率、前縁部における鋭角的な箇所、または、インプラントに対する弾丸形状の前縁部の形成を含み得る。
【0105】
インプラント300の細長要素のうちの2個の細長要素の後縁部304は、面取りされる。これは、拡開用楔が誤整列することなしに各細長要素に接触して展開させることを可能にする上で利点となり得る。代替実施形態において、インプラント300の後縁部は、拡開用楔の特定形、必要とされる展開の角度及び形態に依存し、限定するものではないが、正方形、丸形、尖頭形または楔形など様々な形状を形成するように設計され得る。
【0106】
図37に示されているように、挿入ツール310は、インプラント300の上側鋏組立体314及び下側鋏組立体316に対する取り付けのためのT形状遠位端部318を含む。代替実施形態において、この遠位端部318は、限定するものではないが、中実ブロック、V形状、U形状又はN形状のような他の形態を取り得る。
【0107】
図38は、挿入ツール310に取り付けられたインプラント300の平面図を示している。挿入の際にユーザが挿入ツール310及びインプラント300を案内且つ操作することを手助けするために、挿入ツール310は人間工学的ハンドル320に取り付けられている。一定の実施形態において、ハンドル320は、挿入ツールを通してラッチ及びばね又は他の適切な機構に接続され得るトリガ又は他の機構を収容しており、拡開用楔を必要とせずにインプラント300を展開し得る。
【0108】
図39は、挿入ハウジング330内に挿入されつつあるインプラント300及び挿入ツール310を示している。挿入ハウジング330は長寸で中空の本体を含み、この本体は、インプラント300及び挿入ツール310が内部を貫通することを許容するような寸法を有している。ハウジング330は、3つの側にて閉じられており且つ第4の側にて少なくとも部分的に開放された実質的な“C”字形状の外殻を有し得る。部分的に開放された第4の側における間隙は、挿入ハウジング330に沿って挿入ツール310及び/又はインプラント300を案内し且つ/又は挿入の際にハウジング330に進入し得る身体物質を逃がすことを許容するための軌道として使用され得る。
【0109】
挿入ハウジング330は、さらに、その遠位端部に、スペーサ332及び楔形状前縁部334を含んでいる。スペーサ332は、挿入ハウジング330の遠位端部における実質的に湾曲した又は尖頭形とされた延長部であり、この延長部は、脊椎骨同士を拡開させ且つインプラント300の挿入を容易化するために使用され得る。楔形状前縁部334は、身体内への挿入ハウジング330の挿入を容易化するために、鋭角的な縁部、または、湾曲された縁部、若しくは、尖頭形の縁部を含み得る。スペーサ332は、また、身体内へのハウジング330の挿入の容易化も助力し得る。挿入ハウジング330は、インプラント300及びこれに取り付けられた挿入ツール310がハウジング330内に挿入されるに先立ち身体内に挿入されることができ、また、代替実施形態においては、インプラント300及びこれに取り付けられた挿入ツール310が先ずハウジング330内に挿入されてから全体的な装置が身体内に挿入される。先行実施形態に対するのと同様に、インプラント300は、後側方アプローチ、前側方アプローチ又は側方アプローチにより挿入され得る。図40は、挿入ハウジング330内に挿入されたインプラント300及び挿入ツール310を示している。ハウジング330及び挿入ツール310は、挿入ツール310のハンドル320が常に身体の外側に留まるように、ハウジングの端部が患者の皮膚を越えて外方に延びるのを許容するに十分なほど長寸とされるべきである。
【0110】
インプラント300をその最終的な伸展形態へ展開するために、挿入ツール310及び挿入ハウジング330に沿って拡開用楔336が通され、インプラント300の面取り端部304に接触させることができる。拡開用楔336は、次に、図41に示されているように、拡開用楔336の端部のサイズ及び幾何学的形状により決定される角度へ鋏要素を拡開させ得る。次に、拡開用楔336が取り外されて、その後、ネジ312が六角穴つきドライバ又はネジ回しを用いてインプラントから取り外され得ると共に、挿入ツール310が取り外され得る。最後に、ハウジング330が身体から取り外されることで、脊椎骨が所定位置に整定されることが許容され且つインプラントは所定位置に残置される。
【0111】
図42A及び図42Bには、本発明の更なる実施形態が示されている。この実施形態において、インプラント350は、鋏形態で2個の細長要素を含んでいる。上側細長要素352及び下側細長要素354は、嵌合関節部356及び/又は頑丈若しくは柔軟なピン式継手により接続され得る。図42Aは、移植形態におけるインプラント350の平面図を示している。この形態において、細長要素352、354は、挿入の際にインプラント350の前縁部が可能な最小のプロファイルを形成するように旋回される。本発明の代替実施形態において、各前縁部は、該前縁部の断面プロファイルを更に減少することによりインプラント350の挿入を容易化するために、湾曲され、尖頭形とされ、または、別様に形状化され得る。
【0112】
更なる代替実施形態において、細長要素の各延長アームは、インプラント350の挿入の際、該アーム同士が一体的に折畳まれ且つ挿入後においてのみ展開形態へ拡開且つロックされるように、枢着され得る。枢着されたこれらアームは、インプラントの挿入を容易化するために、先に言及された各実施形態のうちの任意の実施形態に適用され得る。
【0113】
図43A及び図43Bには、本発明の付加的実施形態が示されている。この実施形態において、装置357は、2つの平行な細長要素を有するインプラント358と、挿入ツール359とを含む。インプラント358は、鋏型形態を含め、本明細書に記載された任意の設計態様又は形態を有し得る。挿入ツール359は、インプラント358の上側細長要素及び下側細長要素の端部が互いに対して上下動することを可能にさせるスロット状接続部361を含む。結果として、インプラント358は、該インプラント358の上側細長要素及び下側細長要素の前縁部が互いに対して着座することにより該前縁部において減少された断面を備えた実質的に楔形状のプロファイルを形成して挿入を容易化するように、旋回され得る。インプラント357を挿入ツール359に結合するネジ、ピン又は他の接続要素をスロット状接続部361と共に摺動させることにより、インプラント357は、開いた形態へ展開されるに先立ち、その中立若しくは平行形態へ復帰され得る。あるいはまた、インプラント357は、挿入ツール359による解除に先立ち、患者の体内へ挿入されている間に該インプラントの平行形態へ復帰し得る。たとえば各細長要素の前縁部は、インプラントの挿入のために楔形状のプロファイルへ手動で位置決めされ、挿入の際に各細長要素に作用する組織及び/又は脊椎骨の力により平行形態へ自動的に復帰され得る。一実施形態において、挿入ツール359上のスロット状接続部361は、各細長要素が比較的に自由に垂直方向に移動することを許容する一方、インプラント358が開いた形態へ展開することを防止する。
【0114】
図43Bは、代替的な挿入ツール363に接続されたインプラント358を示している。この形態においては、挿入ツール363の上側要素及び下側要素は軸365周りに旋回することができ、枢動挿入ツール363の端部を同時に挟持することでインプラント358を挿入形態にさせて該インプラント358の上側細長要素及び下側細長要素の前縁部が互いに対して着座させ、該前縁部において減少された断面積を有する実質的に楔形状のプロファイルを形成して挿入を容易化させるようになっている。挿入時に又は挿入の間に、インプラント358は、挿入ツール363の上側要素及び下側要素を平行形態へ戻すように旋回させることにより、中立形態へ旋回され得る。あるいはまた、挿入ツール363は、インプラントの拡開により、挟持力の除去時に平行形態へ付勢され得る。さらに、挿入ツール359、363は、前述の挿入ツールと同様の構造を含み且つ同様に動作し得る。また、図42及び図43について記載されたインプラントの種々の特徴は、インプラントの前縁部の断面積の垂直寸法及び水平寸法の両方を減少すべく組み合わされ得る。
【0115】
代替実施形態において、挿入ツールは、インプラントが楔形状挿入形態及び展開形態の両方に位置決めされることを可能にする多数の代替的機構を含み得る。これら機構としては、限定するものではないが、ネジ、ワイヤ、テレスコープ、ばね(スプリング)、ポンプ、ジャッキ、または、別の適切な機構が挙げられる。幾つかの実施形態において、この機構はインプラント358を手動で移動させ得る一方、他の実施形態においては、ユーザのトリガ入力時に自動的にインプラント358を移動する装置が採用され得る。一定の実施形態において、挿入ツールはインプラントを中立形態すなわち開いた形態へ能動的に付勢する必要はなく、例えば、インプラント358は、該インプラント358が挿入されるときに又は挿入ツールが取り外された後、上側及び下側の脊椎骨の力のみにより挿入形態から中立形態へ移動され得るようになっていてもよい。
【0116】
上述のインプラントは、上述の形状以外の多数の異なる形状も取り得る。たとえば、インプラントは、限定するものではないが、A、H、I、K、M、N、T、W、YおよびZのような形態で形状化された上側組立体及び/又は下側組立体を含み得る。これら組立体は、固定されていてもよく、挿入の際に折り畳まれ、椎間腔内へ挿入された後に最終形状へ展開されるようになっていてもよい。
【0117】
図44Aから図44Fには、多数の異なる形状を取入れた本発明の代替実施形態が示されている。図44Aは“Z”形状組立体360を示し、図44Bは“H”形状組立体370を示し、図44Cは“T”形状組立体380を示し、図44Dは“Y”形状組立体390を示し、図44Eは“A”形状組立体400を示し、且つ、図44Fは“W”形状組立体410を示している。
【0118】
これらの実施形態の各々は、組立体の中央部分に又はその近傍に嵌合関節点362を含むインプラントの平面図を示している。嵌合関節部362は、先に言及された例示的な実施形態において記載されたインプラントの上側組立体及び下側組立体を嵌合させる任意の方法を包含し得る。また、これら組立体は、挿入の際にインプラントの長寸アームを折り畳んで最小限の断面プロファイルにさせることを可能にさせるために、枢着又はピン止め接続364若しくは他の適切な接続機構を含む。これらアームは、その後、先に言及された実施形態において記載されたような動作形態(作業形態)へ展開され得る。
【0119】
図44Eの“A”形状組立体400のような一定の実施形態においては、各細長要素が挿入に適した最小限の断面プロファイルへ折り畳まれることを容易にするために、スロット402又は他の適切なチャネル若しくは関節運動部材が含まれ得る。
【0120】
本発明の別の実施形態において、インプラントの上側組立体及び下側組立体は、それらが最小限の断面プロファイルを有した挿入形態で身体内へ挿入されてから動作形態へ展開され、展開時には脊椎骨接触表面の面積が増大され得るように、構成され得る。これにより、インプラントと脊椎骨との間の接触点は拡大及び/又は再配分され得る。
【0121】
図45A及び図45Bは、嵌合関節部領域から細長いアームが延び且つ各フィンガ間にウェブを備える複数の旋回可能フィンガを備えたインプラントの一実施形態を示している。図45Aに示されているような挿入形態において、インプラント420は、一体的に折り畳まれた複数のフィンガであって嵌合関節箇所424にて接続されたフィンガ424を含む。インプラント420の展開時に、フィンガ422は外方に旋回し、各フィンガ422の間に緊密な又は強靱な表面を形成して脊椎骨に接触する表面積を拡大させるウェブ材料426を拡開する。ウェブ426は、限定するものではないが、弾性材料、繊維性材料、または、強靱な波形材料のような材料で作成され得る。
【0122】
図46A及び図46Bは、展開時に増大され得る表面積を有するインプラントの別実施形態を示している。この構成において、インプラント430は第1の実質的に半円形の要素432を含み、この半円形要素は、その径方向中央に嵌合関節部434を備える。第2の実質的に半円形の要素436は、該要素が第1半円形要素432の下側で旋回し又は外方に旋回して第1の半円形要素432と共に実質的に円形の表面を形成し得るように、第1の半円形要素432に対して旋回可能に連結される。一実施形態において、第2の半円形要素は、実質的に平坦で円形の接触表面が形成されるように、展開時に第1の半円形要素と実質的に面一に構成され得る。図46Aは、椎間腔内への移植のための最小化形態になっているインプラント430を示している。図46Bは、インプラント430の表面積を最大化するように展開された第2の実質的に半円形の要素436を示している。
【0123】
図45A、図45B、図46A、及び図46Bの実施形態は、脊椎骨の最大面積にわたり負荷を分散することで、インプラントの存在により引き起こされる応力による脊椎骨に対する損傷の最小化を助力する上で有利となり得る。展開時におけるこの表面積の増大は本発明の他の実施形態においても達成可能であり、その場合、一定の鋏型の実施形態におけるように、挿入の際には一方の表面が他方の表面の下側に位置される。代替実施形態においては、インプラントの表面積の増大を促進するために、一定温度にて膨張する熱依存性ポリマが使用され得る。
【0124】
本発明の代替実施形態において、嵌合関節部領域は、挿入形態から展開形態への変換時に変化され得る。嵌合関節部領域に対するこの変化としては、該嵌合領域の表面積の増大、および/または、展開形態における嵌合関節部の位置の変更が挙げられる。嵌合関節部のサイズ及び/又は位置のこれらの変化は、挿入の際におけるインプラントのプロファイルを制限することにより挿入の際における周囲組織への損傷を制限する上で有利となり得る。展開時における嵌合関節部領域のサイズの増大は、また、インプラントの上側組立体と下側組立体との間に負荷を分散させる上で有利となり得ると共に、特定インプラントの要件に依存して嵌合関節部の多様なサイズ及び形状も許容し得る。展開のための嵌合関節部の位置の変更は、また、特に展開済みインプラントの重心が該インプラントの任意の細長要素の中心と一致しない形態において、各細長要素が拡開された後において嵌合関節部を展開済みインプラントの重心へ移動することを可能にする上で有利となり得る。本発明の一定の実施形態において、嵌合関節部は、限定するものではないが、ピン止め、スロット式、螺着、磁気式、または他の適切な接続機構などの接続を介して上側組立体又は下側組立体の少なくとも一つの細長要素に対して取り付けられ得る一個以上の別個で別体的な要素を含み得る。この接続機構によれば、嵌合関節部はインプラント上の位置を挿入箇所から展開箇所へ変更し得る。
【0125】
図47Aから図47C、図48A、及び図48Bにおいては、拡開可能及び/又は移動可能な嵌合関節部を備えたインプラントの例が示されている。図47Aから図47Cは、第1の嵌合関節要素454と第2の嵌合関節要素456とを含む嵌合関節部を備えたインプラント450を示している。この嵌合関節部は、スロット状接続部458を介してインプラント450の細長要素452に接続される。図47Aにおいて、第2の嵌合関節要素456は、椎間腔内への挿入のためにインプラント450の断面プロファイルを最小化するために、第1の嵌合関節要素454内に位置されている。椎間腔内の適切な位置へと一旦挿入されると、インプラント450は展開され得る。これは、図47Bに示されているように、第2の嵌合関節要素456を第1の嵌合関節要素454から外方に回転又は移動させることにより嵌合関節部を開くことを含み得る。一定の実施形態においては、嵌合関節部を拡開した後、または、可能性として、拡開する前に、嵌合関節部の中心が新たな展開箇所へ移動され得るように、嵌合関節部を細長要素452に対して取り付けるために、スロット状接続部458が使用され得る。図47Cにおいては、嵌合関節部の最終的な展開位置への位置決めが示されている。関節表面を拡開する他の手段としては、図45A及び図45Bについて記載された手段が挙げられる。
【0126】
図48A及び図48Bはインプラント460の実施形態を示しており、ここでは、嵌合関節部466は、該インプラント460の挿入のための一つの位置から、該インプラント460の展開のための第2位置へ移動され得る。図48Aは、インプラント460をその挿入形態で示しており、インプラント460の断面プロファイルは椎間腔内への挿入を容易化するために最小化されている。インプラント460は、展開形態において嵌合関節部466の位置で互いと接触する上側組立体462及び下側組立体464を含む。挿入形態では、嵌合構造部がインプラント460の重心から離間移動されて該インプラント460のプロファイルを低くする。この移動は、スロット式軌道468又は他の適切な手段により容易にされ得る。代替実施形態においては、嵌合関節部を一つの形態から別の形態へ移動させるために、旋回機構が使用され得る。
【0127】
椎間腔内へ一旦挿入されると、インプラント460はその展開形態に設定される。これは、嵌合関節部466をそのスロット式軌道468に沿ってインプラント460の重心へ移動させることを含む。本発明の一定の実施形態において、重心は必ずしも特定細長要素の中心にある必要は無く、細長要素の遠位縁部又は側縁部若しくはそれらの近傍にあってもよい。一定の実施形態において、嵌合関節部466の展開形態への設定は、挿入ツール又は適切な手術用具により可能とされ得る。代替実施形態においては、展開時に嵌合関節部が自動的にその展開位置及び/又は形態へ付勢されるように、嵌合関節部を展開位置へ付勢するばね又は他の適切な機構が含まれ得る。他の実施形態において、嵌合関節部は、嵌合関節部のサイズの増大を容易にするように又は挿入形態から展開形態への嵌合関節部の移動を助力するように挿入後に拡開し得る熱依存性ポリマのような形状記憶材料を含み得る。たとえば、図48A及び図48Bに示されているインプラント460のスロット468内には、挿入後に体温まで加熱されたときに拡開して交合関節部466を展開形態へ押圧する材料が配置され得る。
【0128】
本発明の種々の実施形態において(例えば、図18及び図19を参照)、インプラントは以下のような全体寸法を有し得る。インプラントHの高さは、約4ミリメートル(mm)〜約20mm、好ましくは約7mm〜約18mm、さらに好ましくは約9mm〜約16mmとされ得る。インプラントWの幅は、約5mm〜約20mm、好ましくは約6mm〜約16mm、さらに好ましくは約8mm〜約12mmとされ得る。インプラントの長さは、約15mm〜約60mm、好ましくは約24mm〜約45mm、さらに好ましくは約28mm〜約38mmとされ得る。
【0129】
本発明の一実施形態において、インプラントは、約12mmの高さ、約10mmの幅、及び、約43mmの長さ、又は、記載された範囲内における他の任意の寸法を有し得る。これらの寸法は、椎間腔内にインプラントが配置される箇所、患者のサイズ、形状及び生理機能、並びに、挿入されるべきインプラントの機械的要件に依存して変更され得る。
【0130】
上記の各実施形態のうちの任意の実施形態において、椎間インプラント、関節要素及び/又は挿入ツールは、限定するものではないが、ステンレス鋼、アルミニウム、タンタル、金、チタン、セラミック、クロム、コバルト、ニチノール、金属/セラミック・マトリクス、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、熱可塑性ポリウレタン(TPU);エチレン酢酸ビニル(EVA);熱可塑性ポリエーテル・ブロック・アミド;熱可塑性ポリエステル・エラストマ、ナイロン、シリコーン;ポリエチレン;ポリアミド;および、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの単一又は複数の材料から作成され得る。インプラント、関節要素及び挿入ツールは、任意の適切な様式で加工、鋳造、型成形、押出し成形又は製造され得る。一定の実施形態において、各要素は同一材料から構成され得るが、他の実施形態においては、本発明の種々の要素に対して異なる材料が使用可能であり、装置を構築するために複数の材料が使用され得る。
【0131】
本発明は、その精神又は本質的特徴から逸脱せずに他の特定形態で具現化され得る。したがって、上記の実施形態は、全ての面において、本明細書に記載された発明を制限するものではなく例示的なものであると考えられるべきである。よって、本発明の有効範囲は、上記記載によってではなく、添付の各請求項により表され、各請求項の均等物の意味及び範囲内に収まる全ての変更は有効範囲内に包含されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の一実施形態による2個の平行な細長要素を備えた椎間インプラントの略斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態による別体のスペーサ要素を有する2個の平行な細長要素を備えた代替的な椎間インプラントの略側面図である。
【図3】本発明の一実施形態による2個の脊椎骨間に挿入された図1の椎間インプラントの略側面図である。
【図4A】本発明の一実施形態による後側方アプローチにより椎間腔内へ挿入されている図1の椎間インプラントの概平面図である。
【図4B】本発明の一実施形態による図4Aに示されている挿入ツールの略端面図である。
【図5】本発明の一実施形態による側方アプローチにより椎間腔内へ挿入されている図1の椎間インプラントの略平面図である。
【図6A】本発明の一実施形態による十字形状の椎間インプラントの2個の外側セグメントの略斜視図である。
【図6B】本発明の一実施形態による十字形状の椎間インプラントの2個の内側セグメントの略斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態による組立後の十字形状の椎間インプラントの略斜視図である。
【図8】2個の脊椎骨間に挿入された図7の椎間インプラントの略側面図である。
【図9】椎間腔内へ挿入された図7の椎間インプラントの略平面図である。
【図10】本発明の一実施形態による椎間腔内へ挿入された2個の交差要素から成る代替的な椎間インプラントの略平面図である。
【図11】図10の椎間インプラントの略斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態による椎間インプラントの“リーフ・スプリング(板バネ)”の略側面図である。
【図13】本発明の一実施形態による椎間インプラントの弧状要素の略斜視図である。
【図14】2個の脊椎骨間に交差形態で挿入された2個の弧状要素の略側面図である。
【図15】図14の形態の略平面図である。
【図16】本発明の一実施形態による2個の平行な弧状要素から成る椎間インプラントの略側面図である。
【図17A】本発明の一実施形態による閉じた形態になっている椎間インプラントの2要素“鋏”型要素の略平面図である。
【図17B】開いた形態になっている図17Aの“鋏”型要素の略平面図である。
【図18】本発明の一実施形態による閉じた形態になっている4セグメント“鋏”型椎間インプラントの略側面図である。
【図19】閉じられた図18の4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略平面図である。
【図20】本発明の一実施形態による開いた形態になっている4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略側面図である。
【図21】開かれた図20の4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略平面図である。
【図22】本発明の一実施形態による自身の中心軸線周りに関節運動する4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略側面図である。
【図23】本発明の一実施形態による挿入ツール上に取付けられた4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略平面図である。
【図24】図23の椎間インプラントおよび挿入ツールの略左側面図である。
【図25】図23の椎間インプラントおよび挿入ツールの略右側面図である。
【図26】図23の挿入ツールの略端面図である。
【図27】本発明の一実施形態による全ての取付ネジが所定位置にある状態で挿入ツール上に取り付けられた4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略平面図である。
【図28】右側の取付ネジが椎間インプラントから取り外された状態の図27の椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図29】挿入ツールの右側部を取り外した状態の図27の椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図30】挿入ツールの右側が展開形態で取り付けられた状態の図27の椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図31】椎間インプラントの各セグメントを展開するべく挿入ツールの右側を前進させた状態の図27の椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図32】挿入ツールの右側部が取り外され且つ椎間インプラントが開いた形態となっている状態の図27の椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図33】取付ネジが挿入ツールから取り外された状態の図27の開いた椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図34】挿入ツールを取り外した状態で開かれてロックされた位置の図27の椎間インプラントの略平面図である。
【図35】本発明の一実施形態による挿入ツールのハンドル側および4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの2個のセグメントの略斜視図である。
【図36】本発明の一実施形態による4セグメント“鋏”型の椎間インプラントの一例の略平面図である。
【図37】本発明の一実施形態による代替的な挿入ツールに取り付けられた図36の椎間インプラントの略側面図である。
【図38】図36の椎間インプラントおよび図37の挿入ツールの略平面図である。
【図39】挿入ハウジングの中に挿入されつつある図37の椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図40】図39の挿入ハウジング内に挿入された椎間インプラントおよび挿入ツールの略平面図である。
【図41】拡開用楔がインプラントを展開させた状態の図40の形態の略平面図である。
【図42A】本発明の一実施形態による挿入に適した最小断面プロファイルとなるように構成された2セグメント“鋏”型の椎間インプラントの略平面図である。
【図42B】図42Aの椎間インプラントの略側面図である。
【図43A】本発明の一実施形態による2セグメント式の椎間インプラントおよび挿入時に前縁部にて最小断面プロファイルを備えるようになっているスロット付き挿入ツールの略斜視図である。
【図43B】旋回可能な挿入ツールを備えた図43Aの椎間インプラントの略側面図である。
【図44A】本発明の種々の実施形態による代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図44B】本発明の種々の実施形態による代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図44C】本発明の種々の実施形態による代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図44D】本発明の種々の実施形態による代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図44E】本発明の種々の実施形態による代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図44F】本発明の種々の実施形態による代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図45A】本発明の一実施形態による拡開可能な接触表面を含む代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図45B】本発明の一実施形態による拡開可能な接触表面を含む代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図46A】本発明の一実施形態による拡開可能な接触表面を含む別の代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図46B】本発明の一実施形態による拡開可能な接触表面を含む別の代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図47A】本発明の一実施形態による拡開可能で移動可能な嵌合関節部を含む代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図47B】本発明の一実施形態による拡開可能で移動可能な嵌合関節部を含む代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図47C】本発明の一実施形態による拡開可能で移動可能な嵌合関節部を含む代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図48A】本発明の一実施形態による移動可能な嵌合関節部を含む別の代替的なインプラント組立体の略平面図である。
【図48B】本発明の一実施形態に係る移動可能な嵌合関節部を含む別の代替的なインプラント組立体の略平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の細長要素を備える上側組立体と、
少なくとも2個の細長要素を備える下側組立体と、
を備え、前記上側組立体が前記下側組立体に対して関節運動するように構成されていることを特徴とする椎間インプラント。
【請求項2】
前記上側組立体及び前記下側組立体の少なくとも一方の少なくとも2個の細長要素が互いと係合してX字形状を形成する、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項3】
前記上側組立体及び前記下側組立体の少なくとも一方の少なくとも2個の細長要素が互いと係合して、A、H、I、K、M、N、T、V、W、YおよびZから成る群から選択される形状を形成する、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項4】
前記細長要素のうちの少なくとも一個の細長要素が屈曲部を備える、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項5】
前記椎間インプラントは、ステンレス鋼、アルミニウム、タンタル、金、チタン、セラミック、クロム、コバルト、ニチノール、金属−セラミック・マトリクス、ポリテトラフルオロエチレン、熱可塑性ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル、熱可塑性ポリエーテル・ブロック・アミド、熱可塑性ポリエステル・エラストマ、ナイロン、シリコーン、ポリエチレン、ポリアミド、及びポリエーテルエーテルケトンから成る群から選択された材料から成る、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項6】
前記細長要素は、互いに係合した配置において、該細長要素間において制限された範囲内での運動を可能にするために、間隙を該細長要素間に規定する、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項7】
前記上側組立体及び前記下側組立体の少なくとも一方の少なくとも2個の細長要素が閉じた位置と開いた位置との間で展開可能になっている、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項8】
展開は形状記憶材料により行われる、請求項7に記載の椎間インプラント。
【請求項9】
前記少なくとも2個の細長要素は、前記閉じた位置において、I字形状を構成する、請求項7に記載の椎間インプラント。
【請求項10】
前記少なくとも2個の細長要素は、前記開いた位置において、X字形状及びY字形状の少なくとも一方を構成する、請求項7に記載の椎間インプラント。
【請求項11】
前記少なくとも2個の細長要素は、前記閉じた位置と前記開いた位置との間において予め定められた角度範囲にわたり位置決め可能である、請求項7に記載の椎間インプラント。
【請求項12】
前記予め定められた角度範囲は、0°より大きく且つ180°より小さい値から成る、請求項11に記載の椎間インプラント。
【請求項13】
前記少なくとも2個の細長要素は旋回部により接続される、請求項7に記載の椎間インプラント。
【請求項14】
前記細長要素間の相対運動を防止するためのロック機構をさらに備える、請求項7に記載の椎間インプラント。
【請求項15】
前記ロック機構は形状記憶材料から成る、請求項14に記載の椎間インプラント。
【請求項16】
前記上側組立体及び前記下側組立体の少なくとも一方が隣接する脊椎骨表面に係合するように構成されている、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項17】
前記上側組立体及び前記下側組立体の各々に設けられた関節部領域をさらに備える、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項18】
前記関節部領域は、前記上側組立体及び前記下側組立体の一方の組立体に設けられた隆起部と、他方の組立体に設けられた嵌合凹部とを含み、前記隆起部及び前記凹部は少なくとも部分的に接触する、請求項17に記載の椎間インプラント。
【請求項19】
前記関節部領域は、ボール−ソケット形態、雄−雌形態、互いに嵌合する弧状表面、及び、対応するサドルから成る群から選択される、請求項17に記載の椎間インプラント。
【請求項20】
前記細長要素のうちの少なくとも一つの細長要素は長さ方向にテーパ付けされる、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項21】
前記細長要素のうちの少なくとも一つの細長要素は骨組織の内方成長を可能とするために少なくとも一個の孔を規定している、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項22】
前記椎間インプラントは前記上側組立体と前記下側組立体との間に配設されたスペーサを備える、請求項1に記載の椎間インプラント。
【請求項23】
少なくとも一つの細長要素を備える上側組立体と、
前記上側組立体と互いに係合される少なくとも一つの細長要素を備える下側組立体と、
を備え、前記上側組立体が前記互いに係合される細長要素同士の間において限定された範囲の運動を可能とするように構成されていることを特徴とする椎間インプラント。
【請求項24】
少なくとも2個の要素を備える上側組立体と、
少なくとも2個の要素を備え、前記上側組立体を支持する下側組立体と、
を備え、前記上側組立体の前記少なくとも2個の要素が、前記上側組立体の脊椎骨接触表領域のサイズを変更するように構成可能であり、前記下側組立体の前記少なくとも2個の要素が、前記下側組立体の脊椎骨接触表面のサイズを変更するように構成可能であることを特徴とする椎間インプラント。
【請求項25】
前記関節部領域は前記上側組立体と前記下側組立体との間の支承接触表面を増加させるように拡開可能である、請求項17に記載の椎間インプラント。
【請求項26】
上側組立体と、
嵌合関節部領域を介して前記上側組立体に連結された下側組立体と、
を備え、前記関節部領域が拡開可能な支承表面から成ることを特徴とする椎間インプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42A】
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【図42B】
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【図43A】
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【図43B】
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【図44A】
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【図44B】
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【図44C】
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【図44D】
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【図44E】
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【図44F】
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【図45A】
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【図45B】
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【図46A】
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【図46B】
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【図47A】
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【図47B】
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【図47C】
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【図48A】
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【図48B】
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【公表番号】特表2008−520400(P2008−520400A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543564(P2007−543564)
【出願日】平成17年11月23日(2005.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/042892
【国際公開番号】WO2006/058281
【国際公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(507165420)
【出願人】(507165453)
【Fターム(参考)】