説明

低揺動洋上荷役システム又はこれを備えた洋上浮遊体

【課題】洋上において荷役機構の上下動に起因した吊荷等の負荷の揺動を抑制しその位置を一定に保つ揺動制御を行うにあたり、より小型で高効率の低揺動洋上荷役システムを新たに提供する。
【解決手段】揺動制御を行うための構成を備えたものにおいて、発電機5からインバータ7に向かう給電ライン11の一部に直流電力を備蓄する蓄電部13を接続して、揺動制御における回生時に電動モータ9から回生エネルギを蓄え、蓄えたエネルを力行時に電動モータ9に供給し得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンチ等の荷役機構で吊荷等の負荷を水中に安定に保持するにあたり、特に荷役機構の効率的な駆動を通じて省エネルギ化を図った低揺動洋上荷役システム又はこれを備えた洋上浮遊体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
船舶、洋上浮体構造物などに設置されたウィンチやクレーン等の荷役機構で吊荷を水中に安定に保持するためには、波やうねりなどの影響を打ち消すための揺動制御を行うことが不可欠である。
【0003】
そこで、このような荷役システムを洋上で構築する上で参考になるものとして、特許文献1に示すものが挙げられる。
【0004】
このものは、フローティングクレーンのブームより垂下させたワイヤロープに物品を吊下げて作業を行うときに、フローティングクレーンが上下に揺動することによってブームに作用する上下方向の加速度を検知し、該加速度からブームの上下方向の変位量を求め、前記変位量を相殺するように電動モータを制御することによってワイヤロープを繰り出しあるいは巻き取ることによりフローティングクレーンの上下揺動による物品変位すなわち物品の揺動を抑制するようにしたものである。かかる物品を水中の吊荷に置き換えれば、洋上で当該吊荷を安定に保持することが期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−191296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、波やうねりに応じ電動モータを頻繁に駆動してワイヤロープの繰り出しや巻き取りを行う揺動制御時には、大きなエネルギの力行と回生が繰り返し発生する。かかる揺動制御時に負荷(吊荷)自体の平均高さすなわち位置エネルギには変化がないので、力行時に消費するエネルギと回生されるエネルギは等しくなり、電動モータそれ自体から見ればその収支は0となる。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1のものは、揺動制御時には回生エネルギを吸収抵抗などによって熱として放散し、力行時に制御に必要なエネルギ分の発電を行い、電動モータに供給している。このため、ピークエネルギ量を見込んだ大容量の発電機が必要となり、エネルギ損失も多く効率の悪いものになっている。
【0008】
本発明は、このような課題に着目し、洋上において荷役機構の上下動に起因した吊荷等の負荷の揺動を抑制しその位置を一定に保つ揺動制御を行うにあたり、より小型で高効率の低揺動洋上荷役システム又はこれを備えた洋上浮遊体を新たに提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0010】
すなわち、本発明の低揺動洋上荷役システムは、エンジンを動力源とする発電機と、この発電機が発生する電力を直流に変換する整流部と、この整流部が発生する直流電力を交流電力に変換するインバータと、このインバータからの出力により駆動される電動モータと、この電動モータの動力で吊索の繰り出し又は巻き取りを行うウィンチ等の荷役機構と、洋上での揺動に伴う荷役機構若しくは荷役機構が設置された部位の上下方向の変位に応じて前記インバータを通じ前記荷役機構による吊索の昇降を制御することで当該吊索に懸下された水中の吊荷等の負荷の位置を略一定に保つ制御を行う揺動制御部とを具備するとともに、前記発電機から前記インバータに向かう給電ラインの一部に直流電力を備蓄する蓄電部を接続して、前記揺動制御部による回生時に前記電動モータから回生エネルギを蓄え、蓄えたエネルギを力行時に前記電動モータに供給し得るようにしたことを特徴とする。
【0011】
このように構成すれば、揺動制御時に発生する回生エネルギを蓄電部に蓄え、蓄えたエネルギを力行時に利用することができるため、発電機の負荷が軽減して小型化が図れ、またエネルギ効率が向上して省エネルギ化を果たすことも可能となる。
【0012】
この場合、前記荷役機構、前記電動モータ及び前記インバータからなる駆動ユニットを複数ユニット備え、各駆動ユニットを、前記エンジン、前記発電機、前記整流部及び前記蓄電部からなる共通の電源ユニットの給電ラインに並列的に接続すれば、各荷役機構を駆動する電動モータがエネルギを補完し合い、また電流の位相が逆相となる各荷役機構を駆動する電動モータの電流成分が給電ライン上で打ち消し合って蓄電部への電流の出入りが減少する。このため、荷役機構毎に蓄電部を接続する場合に比べて、蓄電部の容量を小さくすることができる。
【0013】
特に、船舶、洋上浮体構造物等の洋上浮遊体の重心位置またはローリングの中心位置を挟んで進行方向と直交する左右方向両側の略対称な位置に駆動ユニットを対をなして配置し、あるいは、船舶、洋上浮体構造物等の洋上浮遊体の重心位置またはピッチングの中心位置を挟んで進行方向両側の略対称な位置に駆動ユニットを対をなして配置すると、ローリングやピッチング時に左右方向あるいは前後方向に対をなす駆動ユニットの一方で生じる回生電流と他方で必要とされる力行電流とがほぼ同じ大きさになるため、特に効率的となる。
【0014】
さらに、電動モータで発生する回生エネルギの余剰分を放散する吸収抵抗を前記給電ラインに更に設ければ、コンデンサ容量を超えてエネルギが回生される場合に、パワー吸収抵抗により熱としてエネルギが放散されるので、蓄電部をコンパクトにしつつ、有効に活用することができる。また、船舶などに設置する場合には、船体の省スペース化を促進することもできるようになる。
【0015】
特に、前記蓄電部は電気二重層キャパシタであることが効果的である。
【0016】
そして、以上の低揺動洋上荷役システムを船舶、洋上浮体構造物その他の洋上浮遊体に備えることによって、洋上で効率の良い荷役作業を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明したように、モータ駆動用のインバータに蓄電部を接続して、揺動制御時に発生するエネルギの力行と回生に対して、回生時にエネルギを蓄電部に吸収し、力行時に蓄電部に蓄えたエネルギを制御用に供給することができる。このように回生エネルギを有効利用することで、発電機容量を抑えることによる小型化やコストダウンを図ることができ、また、エネルギ効率が高くエコロジーにも資する低揺動洋上荷役システム又はこれを備えた洋上浮遊体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る低揺動船上荷役システムの模式的な構成図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る低揺動船上荷役システムの模式的な構成図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る低揺動船上荷役システムの模式的な構成図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る低揺動船上荷役システムの模式的な構成図。
【図5】本発明の第4実施形態に係る低揺動船上荷役システムの模式的な構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の幾つかの実施形態を、図面を参照して説明する。
<第1実施形態>
【0020】
図1は、本実施形態の低揺動洋上荷役システムたる低揺動船上ウィンチシステムWS1のシステム構成を模式的に示す図である。このウィンチシステムWS1は、洋上浮遊体である船舶の船体1に設置した荷役機構すなわちウィンチ2から、吊索であるワイヤ3を垂下させて水中に負荷である吊荷4を懸下し、ウィンチ2をインバータ7を通じて制御することで波やうねりなどの影響を排して吊荷4を水中のほぼ定位置に保持するものである。
【0021】
そのためにこのシステムは、発電機5の電力を整流部6を通してインバータ7に供給し、インバータ7はウィンチ2の取付場所の上下方向の変位に応じて揺動制御部8からかかる変位に起因したワイヤ3への影響を打ち消す制御信号を入力されて、電動モータ9を駆動しワイヤ3の張力を一定に保つようにウィンチ2を回転させてワイヤ3の昇降すなわち繰り出し又は巻き取りを行う。
【0022】
具体的に説明すると、発電機5は重油をエネルギ源としたディーゼルエンジン10の動力によって稼動し、交流電力を発生する。整流部6は、発電機の交流出力を直流出力へ変換する変換器、および電圧・電流の調整器、および直流リアクトルなどで構成されており、当該三相交流電圧を直流電圧に変換して給電ライン11に印加する。
【0023】
インバータ7は、トランジスタ、サイリスタ、IGBTなどのスイッチング素子と平滑用コンデンサなどから構成され、揺動制御部8からのPWM制御信号に基づき、所要電圧、所要周波数の三相交流電圧に変換する。
【0024】
電動モータ9は三相交流モータであり、前記インバータ7によって所要方向に所要速度で駆動される。
【0025】
揺動制御部8は、ウィンチ2又は当該ウィンチ2の設置場所に設けた加速度センサ12から入力される加速度信号を積分してウィンチ2が上下変位する際の速度情報を取得し、この速度を打ち消す速度をワイヤ3に与えるべく、前記インバータ7を通じて電動モータ9の回転方向と回転速度を決定する。
【0026】
かかる揺動制御により、船体1の揺れによって水中の吊荷4に対してワイヤ3の引っ張り又は弛みが生じないように、ウィンチ2が上昇すればワイヤ3を繰り出し、ウィンチ2が降下すればワイヤ3を巻き取って、水中の吊荷4が力を受けないように制御する。万一ワイヤ3にテンションが発生したときのために、ウィンチ2に不図示のトルクセンサを設け、このトルクセンサが張力を検知した場合にウィンチ2を繰り出す2段階の制御を行うようにしてもよい。
【0027】
このような構成に加えて、本実施形態は、前記発電機5から前記インバータ7に至る給電ライン11上、具体的には整流部6と前記インバータ7の間に、前記平滑用コンデンサとは別に、更に直流電力を備蓄するバッテリやコンデンサ、電気二重層キャパシタ等からなる蓄電部13を設けている。そして、前記揺動制御部8による制御時に、電動モータ9からの駆動によるウィンチ2のワイヤ繰り出し速度を越えて吊荷4側からワイヤ3が引っ張られた際に電動モータ9で発生する回生エネルギを前記蓄電部13に蓄え、この蓄電部13に蓄えたエネルギを、電動モータ13によるワイヤ3の巻き取り時すなわち力行時に前記キャパシタ蓄電部13から電動モータ13に供給することでウィンチ2に対する駆動電力の一部をまかなうようにしている。
【0028】
加えて本実施形態は、前記キャパシタ蓄電部13と並列にパワー吸収抵抗14を設け、このパワー吸収抵抗14を切替スイッチ15を介してグランド部位に選択的に導通させるようにしている。前記揺動制御部8は、回生電圧がキャパシタ容量を超える電圧となったことを適宜の手段により検知して切替スイッチ15をONにし、電動モータ9で発生する回生エネルギの余剰分を熱エネルギとして放散する制御を併せて行うようにしている。
【0029】
このような回生電力の構成を船上ウィンチシステムWSに付加すると、揺動制御時に発生するエネルギの力行と回生に対して、回生時にはエネルギをキャパシタ蓄電部13に吸収する一方、力行時にはキャパシタ蓄電部13に蓄えたエネルギを制御用に供給することができ、回生エネルギを有効利用してシステムWSの省エネルギ化を図ることができるとともに、発電機5の負荷も軽減して、発電機5の小型化を図ることが可能となる。
【0030】
また、揺動量は気象条件によって変わるほか、まれに大きな波が発生し、瞬間的に大きな振動となる場合がある。このような想定される揺動量の最大値から回生エネルギを見積もってキャパシタ蓄熱部13を設置すると、使用時間の大部分は設置容量の極一部しか使用しない状態となり、キャパシタ蓄熱部13が無駄になるばかりか、設置スペースも大きくなってしまう。これに対し本実施形態は、上記のパワー吸収抵抗14を設け、キャパシタ蓄熱部13の容量を超えてエネルギが回生される場合には、パワー吸収抵抗14により、熱としてエネルギを放散するようにしているので、蓄電部13をコンパクトにしつつ、必要なときには有効利用できるようにして、船舶上での省スペース化も果たすことが可能となる。
【0031】
特に、前記蓄電部13に電気二重層キャパシタを採用しているため、小型にして極めて高効率なものになる。
【0032】
そして、以上の低揺動船上ウィンチシステムWSを船舶の船体1に備えることによって、洋上で効率の良い荷役作業を行うことが可能となる。
<第2実施形態>
【0033】
図2に示す低揺動洋上荷役システムたるウィンチシステムW2は、船舶の船体1に設置した複数のウィンチ2a〜2dからそれぞれワイヤ3a〜3dを垂下させて各々のワイヤ3a〜3dで水中に負荷である吊荷(台)4a〜4dを懸下し、各ウィンチ2a〜2dをそれぞれインバータ7a〜7dを通じて制御することで波やうねりなどの影響を排して吊荷4a〜4dを低揺動で水中に保持するものである。図1と共通する部分には同一符号を付している。
【0034】
そのために、ウインチ2a、前記電動モータ9a及びインバータ8aによって駆動ユニットUaが構成され、他のウィンチ2b〜2d、電動モータ9b〜9d、インバータ7b〜7dによっても駆動ユニットUb、Uc、Udが構成される。そして、各駆動ユニットUa〜Udを、前記エンジン10、前記発電機5、前記整流部6及び前記蓄電部13からなる共通の電源ユニットUzの給電ライン11に並列的に接続している。揺動制御部8は各々のウィンチ2a〜2d若しくはウィンチ設置場所の加速度信号から速度を取得して対応するインバータ7a〜7dに制御信号を入力し、各電動モータ9a〜9dを駆動するように構成される。各々のウィンチ2b〜2dが船体1の浮き沈みを打ち消すようにワイヤ3a〜3dの繰り出し又は巻き取りを行う結果、各ワイヤ3a〜3dが引っ張られ又は弛んだ状態になることが防止されて、吊荷4a〜4dをそれぞれ波の影響を受けずに水中に安定的に保持する。
【0035】
このように、前記ウインチ2a〜2d、前記電動モータ9a〜9d及び前記インバータ7a〜7dからなる複数の駆動ユニットUa、Ub、Uc、Udを備え、各駆動ユニットUa、Ub、Uc、Udを、前記エンジン10、前記発電機5、前記整流部及び前記蓄電部13からなる共通の電源ユニットUzの給電ライン11に並列的に接続しているので、例えば駆動ユニットUa、Ub、Uc、Udごとに蓄電部13を設けた場合に比べて、揺動制御時に発生する供給と吸収といったエネルギの脈動を平滑化することができ、必要電力を有効に低減することが可能になる。揺動制御時には、複数の駆動ユニットUa、Ub、Uc、Udを給電ライン11上の共通の蓄電部13に接続することで、各ウインチ2a〜2dを駆動する電動モータ9a〜9dがエネルギを補完し合い、また電流の位相が逆相となる各ウインチ2a〜2dを駆動する電動モータ9a〜9dの電流成分が給電ライン11上で打ち消し合って蓄電部13への電流の出入りが減少する。このため、それぞれのウインチ2a〜2dを駆動する電動モータ9a〜9dのピークに合った容量の蓄電部13を用意する必要がなく、ウィンチ2a〜2dの駆動にあたってトータルで生じる損失分のみを供給できる程度の容量にまで発電機5を小型化することが可能になる。
<第3実施形態>
【0036】
図3に示す低揺動洋上荷役システムたる低揺動船上ウィンチシステムWS3は、吊荷4eの揺動を抑えつつ水中に吊荷4eを一定の姿勢に保つために、複数のウィンチ2e〜2gを船体1に配置し、各々のウィンチ2e〜2gからそれぞれワイヤ3e〜3gを垂下させて、これらのワイヤ3e〜3gにより、水中の共通の吊荷4の複数個所を協働して支持するものである。図2と共通する部分には同一符号を付している。
【0037】
各駆動ユニットUe、Uf、Ug,Uhは、船上の4箇所に配置されている。駆動ユニットUe、Ugと駆動ユニットUf,Uhとは、船体1の重心位置O1またはローリングの中心位置Orを挟んで進行方向と直交する左右方向両側に略対称な位置関係に配置され、また、駆動ユニットUe、Ufと駆動ユニットUg,Uhとは、船体1の重心位置Ogまたはピッチングの中心位置Opを挟んで進行方向両側に略対称な位置関係に配置されている。
【0038】
このため、船体1が左右に揺れるローリング時には、駆動ユニットUe、Ugと駆動ユニットUf、Ugとは、何れか一方が回生となるときには他方が力行となって、回生電流と力行電流が同期して表れ大きさもほぼ釣り合うので、キャパシタ蓄電部13や発電機5の効率的な負荷軽減が図られ、また、船体1が前後に揺れるピッチング時には、駆動ユニットUe、Ufと駆動ユニットUg、Uhとは、何れか一方が回生となるときには他方が力行となって、回生電流と力行電流が同期して表れ大きさもほぼ釣り合うので、この場合にもキャパシタ蓄電部13や発電機5の効率的な負荷軽減が図られることとなる。
<第4実施形態>
【0039】
図4に示す低揺動洋上荷役システムたる低揺動船上ウィンチシステムWS4は、4つの駆動ユニットUa〜Udを有している点で第2実施形態と同様であるが、キャパシタ蓄電部13´を含む電源ユニットUz´の構成を異にしている。
【0040】
すなわち、この電源ユニットUz´は、発電機5からの交流出力が整流部6によって整流されるまでの間の給電ライン11上に整流部6´を介してキャパシタ蓄電部13´を接続し、また、給電ライン11上、発電機5のすぐ出口にパワー吸収抵抗14´を配置したものである。符号20で示すものはACインバータである。このように、各要素部品の配置は上記各実施形態においても種々に変形が可能である。
<第5実施形態>
【0041】
図5に示す低揺動洋上荷役システムたる低揺動船上ウィンチシステムWS5は、船体11の船底から吊索であるウィンチ2a´〜2d´のワイヤ3a´〜3d´を水中に垂下させた点で、船体の側壁の外側にウィンチの繰り出し端を持ち出してそこからワイヤを水中に垂下させた上記各実施形態とは構成が異なるものである。このように、吊索の水中への垂れ下げ方も、種々の変形実施が可能である。
【0042】
以上、本発明の幾つかの実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0043】
例えば、本発明を低揺動船上クレーンシステムとして構成してもよいし、船体以外にも洋上の種々の浮遊物に対して本発明を適用することもできる。
【0044】
また、荷役機構はウィンチに限らず、クレーンの昇降であってもよい。
【0045】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…船体
2、2a〜2d、2e〜2h…荷役機構(ウィンチ)
3、3a〜3d、3e〜3h…ワイヤ
5…発電機
6…整流部
7、7a〜7d、7e〜7h…インバータ
8…揺動制御部
9…電動モータ
10…エンジン
11…給電ライン
13…蓄電部
14…吸収抵抗
Og…重心位置
Or…ローリングの中心位置
Op…ピッチングの中心位置
Ua〜Ud…駆動ユニット
Ue〜Uh…駆動ユニット
Uz…電源ユニット
WS1〜WS4…低揺動洋上荷役システム(低揺動船上ウィンチシステム)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを動力源とする発電機と、この発電機が発生する電力を直流に変換する整流部と、この整流部が発生する直流電力を交流電力に変換するインバータと、このインバータからの出力により駆動される電動モータと、この電動モータの動力で吊索の繰り出し又は巻き取りを行うウィンチ等の荷役機構と、洋上での揺動に伴う荷役機構若しくは荷役機構が設置された部位の上下方向の変位に応じて前記インバータを通じ前記荷役機構による吊索の昇降を制御することで当該吊索に懸下された水中の吊荷等の負荷の位置を略一定に保つ制御を行う揺動制御部とを具備するとともに、前記発電機から前記インバータに向かう給電ラインの一部に直流電力を備蓄する蓄電部を接続して、前記揺動制御部による回生時に前記電動モータから回生エネルギを蓄え、蓄えたエネルギを力行時に前記電動モータに供給し得るようにしたことを特徴とする低揺動洋上荷役システム。
【請求項2】
前記荷役機構、前記電動モータ及び前記インバータからなる駆動ユニットを複数ユニット備え、各駆動ユニットを、前記エンジン、前記発電機、前記整流部及び前記蓄電部からなる共通の電源ユニットの給電ラインに並列的に接続している請求項1記載の低揺動洋上荷役システム。
【請求項3】
船舶、洋上浮体構造物等の洋上浮遊体の重心位置またはローリングの中心位置を挟んで進行方向と直交する左右方向両側の略対称な位置に駆動ユニットを対をなして配置している請求項2記載の低揺動洋上荷役システム。
【請求項4】
船舶、洋上浮体構造物等の洋上浮遊体の重心位置またはピッチングの中心位置を挟んで進行方向両側の略対称な位置に駆動ユニットを対をなして配置している請求項2又は3何れかに記載の低揺動洋上荷役システム。
【請求項5】
電動モータで発生する回生エネルギの余剰分を放散する吸収抵抗を前記給電ラインに更に設けている請求項1〜4何れかに記載の低揺動洋上荷役システム。
【請求項6】
前記蓄電部は電気二重層キャパシタである請求項1〜5何れかに記載の低揺動洋上荷役システム。
【請求項7】
請求項1〜6何れかに記載の低揺動洋上荷役システムを備えた船舶、洋上浮体構造物その他の洋上浮遊体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−56747(P2012−56747A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203715(P2010−203715)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】