説明

低温液化ガスの気化装置

【課題】気化管内に内伝熱管が設けられた気化装置であって低温液化ガスを気化するときに当該気化装置又は/及び当該気化装置に接続された配管系に振動が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、複数の気化管21と、各気化管21に低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管22と、各気化管21の内部に配置され且つ当該気化管21よりも短い複数の内伝熱管25と、を備え、気化管間分配管22は、気化管21と内伝熱管25との間に形成される外側空間S1と内伝熱管25内の内側空間S2とに低温液化ガスをそれぞれ供給し、内伝熱管25は、内側空間S2を流れる低温液化ガスの一部を当該内伝熱管25の上端に到達する前に外側空間S1を流れて気化した低温液化ガスに合流させる構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)、液体窒素(LN)等の低温液化ガスを海水等の熱媒体と熱交換させることにより気化させるための気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液化天然ガス(LNG)を海水と熱交換させて気化させる気化装置(ORV)として、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
この気化装置は、図13に示すように、複数の気化管ブロック102と、各気化管ブロック102へ液化天然ガス(低温液化ガス)を分配する分配管104と、各気化管ブロック102において気化された液化天然ガス(天然ガス)を集める集合管106と、を備える。
【0004】
各気化管ブロック102は、複数の気化管パネル108と、分配管104からの液化天然ガスを各気化管パネル108へ分配する供給側マニホールド110と、各気化管パネル108において気化された液化天然ガスを集めて集合管106に送出する送出側マニホールド112と、をそれぞれ有する。複数の気化管パネル108は、互いに平行な姿勢でパネル面と直交する方向に配置されている。各供給側マニホールド110は分配管104にそれぞれ接続され、各送出側マニホールド112は集合管106にそれぞれ接続されている。
【0005】
気化管パネル108は、互いに平行な姿勢で垂直面上に配置された複数の気化管(伝熱管)114と、供給側マニホールド110からの液化天然ガスを各気化管114に分配する供給側ヘッダー116と、各気化管114において気化された液化天然ガスを集めて送出側マニホールド112に送出する送出側ヘッダー118とを有する。供給側ヘッダー116は、1つの気化管パネル108に含まれる各気化管114の下端部と、供給側マニホールド110とに接続されている。送出側ヘッダー118は、1つの気化管パネル108に含まれる各気化管114の上端部と、送出側マニホールド112とに接続されている。
【0006】
このような気化装置100では、気化管114内を流れる液化天然ガスと、各気化管パネル108の表面を流れ落ちる海水との熱交換によって当該液化天然ガスが気化される。具体的には、分配管104に供給された液化天然ガスが当該分配管104によって各気化管ブロック102に分配され、供給側マニホールド110、供給側ヘッダー116を通じて各気化管114の下端部から気化管114内に供給される。この液化天然ガスは、気化管114内を当該気化管114の下端から上端に向って流れる。その際に、液化天然ガスは、気化管114の管壁を介してその外周面に沿って流れ落ちる海水と熱交換することにより気化される。各気化管114で気化された液化天然ガス、即ち天然ガスは、送出側ヘッダー118、送出側マニホールド112を経て集合管106に集められた後、この集合管106に接続される配管系(図示省略)を通じて消費地等に送出される。
【0007】
また、この気化装置100は、気化管114下部の外表面での着氷を抑えると共に十分な伝熱性能を確保して効率よく液化天然ガスを気化するために、気化管114の内側に内伝熱管120を設けた二重管構造を有する。具体的には、図14(A)及び図14(B)に示されるように、供給側ヘッダー116から延びる気化管114の内部に内伝熱管120が設けられている。この内伝熱管120は、気化管114に沿って延び、その長さが気化管114よりも短い。また、内伝熱管120は、気化管114との間に外側空間s1を形成すると共に、その内側に内側空間s2を形成する。供給側ヘッダー116は、外側空間s1と内側空間s2とに液化天然ガスを供給する。かかる気化装置100においては、外側空間s1を流れる液化天然ガスが内側空間s2を流れる液化天然ガスに比べて流量が小さく且つ気化管114の外部との熱交換が行われ易いためにすぐに気化し、この気化した状態の液化天然ガス(即ち、天然ガス)が外側空間s1を流れる。そのため、気化管114の表面温度が内伝熱管120の設けられていない気化管(気化前の低温液化ガスが内部を流れている状態の気化管)に比べて高くなり、これにより、表面の着氷が抑えられる。また、外側空間s1において液化天然ガスが気化するときに気化管114の内周面と内伝熱管120の外周面との温度差に起因する強制対流沸騰が強まって当該領域における熱伝達率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−29075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記の気化装置100において、各管104、106、110、112、114、116、118内の圧力、各管104、106、110、112、114、116、118内を流れる低温液化ガス(液化天然ガス)の流量、温度等の運転条件によって、気化装置100及び当該装置100に接続された配管系に振動が生じる場合がある。この振動は高い応力を生じさせ、気化装置100を構成する各部位に金属疲労等を蓄積させ、損傷や故障の原因となるおそれがある。
【0010】
この振動を抑止するためには、気化管ブロック102や各気化管パネル108内の各部材同士の結合強度を高めて、これら気化管ブロック102や各気化管パネル108全体の剛性を高めることが有効であるが、この場合には熱応力が上昇する不具合がある。具体的に、当該気化装置100では、各管内を低温(マイナス百数十度)の液化ガスが流れているとき(運転時)と、当該液化ガスが流れておらず装置全体が常温にあるとき(停止時)とでは著しい温度差がある。そのため、この温度差による各部材の伸び縮み(熱伸縮)が激しく、各部材同士を強固に結合すると、前記熱伸縮に起因する過大な熱応力が生じて損傷や故障を促すおそれがある。
【0011】
そこで、本発明は、上記問題点に鑑み、気化管内に内伝熱管が設けられた気化装置であって低温液化ガスを気化するときに当該気化装置又は/及び当該気化装置に接続された配管系に振動が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意研究を行った結果、前記気化装置等に生じる振動は、内伝熱管120の上端近傍での気化管内における液相の低温液化ガスと気相の(気化した)低温液化ガスとの境界部(界面)の周期的な変動に起因することを発見した。詳しくは、以下に説明する。
【0013】
上記の気化装置100において、外側空間s1を流れる低温液化ガスは、気化管114の外部からの熱によって気化された状態(気相)となって上方に向かって流れ、内側空間s2を流れる低温液化ガスは、液相のままで上方に向かって流れる。これら気相の低温液化ガス(以下、単に「ガス」とも称する。)gと液相の低温液化ガス(以下、単に「液化ガス」とも称する。)lとは、内伝熱管120の上端(先端)周辺(合流領域)において合流する。この合流領域では、ガスgと液化ガスlとの界面の周期的な変動が生じる。具体的には、気化管間分配管116から外側空間s1に供給された液化ガスlが当該外側空間s1において気化することにより密度が低く且つ液化ガスlに比べて温度の高いガスgとなる。このガスgによって前記境界部bが内伝熱管120の先端よりも上方側(外側空間s1の外側)に押し上げられると、図15(A)に示されるように、ガスgと液化ガスlとの接する面(界面)bの面積が大きくなる。そうすると、ガスgが液化ガスlとの熱交換によって冷やされて凝縮が起こり、この凝縮によって界面bが気化管114と内伝熱管120との間(即ち、外側空間s1内)に引き込まれる(図15(B)参照)。その後、外側空間s1内に引き込まれた界面bがやがて上昇し始める(図15(C)参照)。このような界面bの変動が気化管114内において繰り返される。ここで、ガスgと液化ガスlとの界面bとは、合流領域において、外側空間s1を通過したガスgと内側空間s2を通過した液化ガスlとが接する境界部であり、所定値以上の密度差(所定値以上の密度勾配)が形成されている部位である。
【0014】
以上のようなガスgと液化ガスlとの境界部(界面)bの周期的な変動が気化管114内に生じると、この界面bの周期的な変動(即ち、ガスg及び液化ガスlの体積変化)に伴う圧力変動も気化管114内において生じるが、この界面bの周期的な変動と気化管114内の圧力変動との間に時間的なずれ(位相のずれ)が生じる(図16参照)。この位相のずれにより、管内の圧力の周期的な変動が増長される場合がある。このように管内の圧力の周期的な変動が増長されると、この増長された圧力変動が気化装置100を構成する各管104、106、110、112、114、116、118に伝播して、この圧力変動を加振力とする振動が生じる。
【0015】
本発明は、このような発見に基づいてなされたものであり、垂直方向に延び且つ内部に流される低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管と、前記複数の気化管の下端部にそれぞれ接続されて各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管と、各気化管の内部に配置され且つ当該気化管よりも短い複数の内伝熱管と、を備える。そして、前記気化管間分配管は、前記気化管と前記内伝熱管との間に形成される外側空間と、前記内伝熱管内の内側空間と、に前記低温液化ガスをそれぞれ供給し、前記内伝熱管は、前記内側空間を流れる低温液化ガスの一部を当該内伝熱管の上端に到達する前に前記外側空間を流れて気化した低温液化ガスに合流させる構成である。
【0016】
本発明によれば、内伝熱管の上端(先端)周辺の領域(合流領域)において合流する気相の(気化した)低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差が抑えられ、これにより、合流領域における気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの界面の周期的な変動が抑制される。
【0017】
詳しくは、前記の内伝熱管によれば、当該内伝熱管の上端近傍の合流領域に到達する前に、内側空間を流れる液相の低温液化ガスの一部が外側空間を流れることにより気化した(気相の)低温液化ガスと合流する。このため、当該気相の低温液化ガスが合流領域に到達する前にその温度が低下すると共に密度が上昇する。その結果、合流領域において気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとが合流するときのこれら低温液化ガスの温度差及び密度差が抑えられ、これにより、当該合流領域における気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの界面の周期的な変動が抑制される。その結果、前記界面の周期的な変動に起因する気化装置及び当該気化装置に接続された配管系の振動を抑制することができる。
【0018】
例えば、具体的に、前記内伝熱管が、その管壁に貫通孔を有することによって、内側空間下部の前記横断面における各位置を同時に通過した低温液化ガスが当該内伝熱管の上端に到達する前に、管壁の貫通孔を通じてその一部を外側空間を流れる気相の低温液化ガスに合流させることができる。これにより、合流領域において合流するときの外側空間を通過した気相の低温液化ガスと内側空間を通過した液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差が抑えられ、その結果、界面の周期的な変動が防止され若しくは抑制される。
【0019】
この場合、前記貫通孔は、少なくとも前記内伝熱管の上部に設けられることが好ましい。このように合流領域に近い位置に貫通孔が設けられることによって、液相の低温液化ガスの一部が合流して温度が低下した気相の低温液化ガスが、外部との熱交換によって前記合流前の温度にまで上昇する前に合流領域に確実に到達できる。これにより、合流領域における前記気相の低温液化ガスと前記液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差を好適に抑えることができる。
【0020】
さらに、前記内伝熱管には複数の前記貫通孔が設けられ、これら複数の貫通孔は当該内伝熱管の上部から下方側に向かって並ぶことがより好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、気相の低温液化ガスが外側空間を流れて合流領域に到達するまでに、十分な量の液相の低温液化ガスが各貫通孔を通じて気相の低温液化ガスに合流することができる。これにより、合流領域での気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差を十分に小さくすることができ、その結果、合流領域における気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの界面の周期的な変動をより効果的に抑えることができる。
【0022】
この場合、前記上下方向に沿って並ぶ複数の貫通孔は、上下方向において前記内伝熱管の上端から当該内伝熱管の長さの20〜40%までの領域に設けられることが好ましい。これにより、合流領域における気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差を好適に抑えることができる。
【0023】
また、前記内伝熱管は、同じ高さ位置において複数の前記貫通孔を前記管壁に有し、これら同じ高さ位置の複数の貫通孔は、当該内伝熱管の周方向に沿って等間隔に配置されることが好ましい。
【0024】
かかる構成によれば、気化管(内伝熱管)の周方向における低温液化ガスの温度分布の偏りが抑えられ、気化装置において前記周方向の温度分布の偏りに起因する気化効率の低下等を抑えることができる。
【0025】
また、前記内伝熱管は、上下方向に沿って当該内伝熱管の上端面から下方側に延びる切欠きを当該内伝熱管の管壁に有してもよい。
【0026】
かかる構成によっても、内側空間下部の前記横断面における各位置を同時に通過した低温液化ガスが当該内伝熱管の上端に到達する前に、管壁の切欠きを通じてその一部を外側空間を流れる気相の低温液化ガスに合流させることができる。これにより、合流領域において合流するときの外側空間を通過した気相の低温液化ガスと内側空間を通過した液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差が抑えられ、その結果、界面の周期的な変動が防止され若しくは抑制される。
【0027】
しかも、切欠きが所定の長さを有することにより、気相の低温液化ガスが外側空間を流れて合流領域に到達するまでに十分な量の液相の低温液化ガスが切欠きを通じて気相の低温液化ガスに合流することが可能となる。これにより、合流領域での気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差を十分に小さくすることができる。
【0028】
さらに、切欠きが内伝熱管の上端面から下方側に延びていることにより、液相の低温液化ガスの一部が合流して温度が低下した気相の低温液化ガスが、外部との熱交換によって前記合流前の温度にまで上昇する前に合流領域に確実に到達できる。
【0029】
この場合、前記管壁には複数の前記切欠きが設けられ、これら複数の切欠きは当該内伝熱管の周方向に沿って等間隔に配置されることが好ましい。
【0030】
かかる構成によれば、気化管(内伝熱管)の周方向における低温液化ガスの温度分布の偏りが抑えられ、気化装置において前記周方向の温度分布の偏りに起因する気化効率の低下等を抑えることができる。
【0031】
また、前記切欠きは、上下方向において前記内伝熱管の上端から当該内伝熱管の長さの20〜40%までの領域に設けられることが好ましい。これにより、合流領域における気相の低温液化ガスと液相の低温液化ガスとの温度差及び密度差を好適に抑えることができる。
【発明の効果】
【0032】
以上より、本発明によれば、気化管内に内伝熱管が設けられた気化装置であって低温液化ガスを気化するときに当該気化装置又は/及び当該気化装置に接続された配管系に振動が生じ難い低温液化ガスの気化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る低温液化ガスの気化装置の概略構成斜視図である。
【図2】前記気化装置の配管の状態を示す模式図(正面図)である。
【図3】前記気化装置の配管の状態を示す模式図(側面図)である。
【図4】前記気化装置における気化管の下部の拡大横断面図である。
【図5】(A)は、前記気化管内に配置される内伝熱管を説明するための図であり、(B)は、他実施形態に係る内伝熱管を説明するための図である。
【図6】各気化管と対応する位置に複数の穴がそれぞれ設けられたヘッダー内管を説明するための模式図である。
【図7】各気化管と対応する位置に複数の穴がそれぞれ設けられたヘッダー内管を説明するための拡大断面図である。
【図8】(A)は、前記気化装置の海水供給部を説明するための側面図であり、(B)は、前記気化装置の海水供給部を説明するための正面図である。
【図9】(A)は、貫通孔のない内伝熱管を備えた気化装置の気化管におけるNG及びLNGの温度の変化を示す図であり、(B)は当該気化管におけるNG及びLNGの密度の変化を示す図である。
【図10】(A)は、本実施形態に係る気化装置の気化管におけるNG及びLNGの温度の変化を示す図であり、(B)は当該気化管におけるNG及びLNGの密度の変化を示す図である。
【図11】他実施形態に係る内伝熱管の構成を説明するための図である。
【図12】他実施形態に係る内伝熱管の構成を説明するための図である。
【図13】従来の低温液化ガスの気化装置の概略構成斜視図である。
【図14】(A)は従来の低温液化ガスの気化装置における気化管及び内伝熱管を説明するための縦断面図であり、(B)は前記気化管及び内伝熱管における図11のXI−XI位置における断面図である。
【図15】NGとLNGとの合流部(合流領域)における界面の周期的な変動の原理を説明するための図である。
【図16】気化管内に生じる前記界面の変位と圧力の変位を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0035】
本実施形態に係る低温液化ガスの気化装置(以下、単に「気化装置」とも称する。)は、供給された低温液化ガスを外部の熱交換用液体と熱交換させることにより、当該低温液化ガスを気化させるいわゆるオープンラック型の気化装置(ORV)である。本実施形態の気化装置では液化天然ガス(LNG)を気化する。また、本実施形態では、熱交換用液体として海水が用いられる。
【0036】
具体的に、気化装置は、図1〜図5(B)、図8(A)、図8(B)に示されるように、複数(本実施形態では2個)の気化管ブロック11と、各気化管ブロック11へLNGを分配する分配管12と、各気化管ブロック11において気化されたLNGである天然ガス(NG)を集める集合管14と、各気化管パネル16の表面を伝って流れ落ちるように気化管パネル16の上部に海水を供給する海水供給部(液体供給部)30と、を備える。尚、気化装置10に設けられる気化管ブロック11の数は、複数に限定されず、1つでもよい。
【0037】
各気化管ブロック11は、複数(本実施形態では5枚)の気化管パネル16と、分配管12からのLNGを各気化管パネル16へ分配する供給側マニホールド17と、各気化管パネル16において気化したLNG(即ち、NG)を集めて集合管14に送出する送出側マニホールド19と、をそれぞれ有する。尚、1つの気化管ブロック11に含まれる気化管パネル16の数は5枚に限定されず、他の枚数であってもよい。
【0038】
各気化管パネル16は、垂直面上に互いに平行な姿勢で並べられた複数(本実施形態では90本)の気化管(伝熱管)21と、各気化管21の内部にそれぞれ配置される複数の内伝熱管25と、供給側マニホールド17からのLNGを各気化管21に分配する供給側ヘッダー22と、各気化管21において気化されたLNGを集めて送出側マニホールド19に送出する送出側ヘッダー24と、をそれぞれ有する。尚、1枚の気化管パネル16に含まれる気化管の数は90本に限定されず、他の本数であってもよい。
【0039】
各気化管21は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料により形成され、上下方向に延びる管である。本実施形態の気化管21は、内部を流れるLNGとの接触面積を大きくするために、径方向の凹凸が周方向に繰り返される内周面21aを有する(図4参照)。また、気化管21は、当該気化管21に沿って流れ落ちる海水との接触面積を大きくするために、外周面21bに複数のフィンが形成されている。
【0040】
尚、気化管21の内周面及び外周面の具体的構成は、上記の構成に限定されず、断面が円形若しくは略円形等であってもよい。
【0041】
内伝熱管25は、気化管21下部の外表面での着氷を抑えると共に十分な伝熱性能を確保して効率よくLNGを気化するための部材であり、各気化管21の内部に配置され且つ当該気化管21よりも短い管である。内伝熱管25は、気化管21と同様に、アルミニウム又はアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料により形成される。この内伝熱管25は、気化管21との間に外側空間S1を規定すると共に当該内伝熱管25内に内側空間S2を規定する。具体的に、本実施形態の内伝熱管25は、円柱面状の外周面25bと、この外周面25bよりも内側に位置する円柱面状の内周面25aと、管軸(垂直方向)に垂直な上端面25cとを有する。尚、上端面は、管軸に垂直な面に限定される必要は無く、管軸に対して傾斜していてもよい(例えば、図12(B)参照)。
【0042】
この内伝熱管25は、気化管21と同軸となるように当該気化管21の内部に配置される。外周面25bは、気化管21の内側に内伝熱管25が配置されたときに、当該外周面25bが気化管21の内周面21aにおける内側に突出する部位の各先端とそれぞれ当接するような外径を有する。このような気化管21の内周面21aと内伝熱管25の外周面25bとにより、内伝熱管25と気化管21との間に軸方向に連続し且つ周方向に断続な外側空間S1が形成される。尚、内伝熱管25の外周面25bと気化管21の内周面21aとの形状は、本実施形態のように周方向に断続な外側空間S1を形成するような形状に限定されず、周方向に連続な外側空間が形成されるような形状であってもよい。即ち、気化管の内周面と内伝熱管の外周面とがいずれも円柱面状であってもよい。
【0043】
この内伝熱管25は、内側空間S2の下部における一横断面i(図5(A)参照)における各位置を同時に通過したLNGの一部を当該内伝熱管25の上端(本実施形態においては、上端面25c)に到達する前に外側空間S1を流れるNGに合流させる。尚、横断面iの具体的な位置は、本実施形態の位置に限定されない。即ち、横断面iは、管軸と垂直であれば、上端面25cと内伝熱管25の下端との間であって貫通孔26や後述する切欠き26A,26B(図11(A)及び図11(B)参照)よりも下側のいずれの位置の断面でもよい。
【0044】
具体的には、本実施形態の内伝熱管25は、その管壁に複数の貫通孔26を有する。
【0045】
詳しくは、内伝熱管25の上部から供給側ヘッダー22に向かって並ぶ複数(図5(A)に示す例では3個)の貫通孔26を一組とし、この組が内伝熱管25の周方向に等間隔に配置されている。図5(A)に示す例では、貫通孔51の前記組は、周方向に4組配置されている。この貫通孔26の前記組は、内伝熱管25の先端(上端)から供給側ヘッダー22に向かって当該内伝熱管25の長さの20〜40%までの領域に設けられるのが好ましい。このような領域に設けられることにより、内伝熱管25の上端において合流する気相のLNG(即ちNG)と液相のLNGとの温度差及び密度差を好適に抑えることができる。ここで、上端とは、上端面25cが管軸と垂直である場合には当該上端面の位置であり、上端面が管軸に対して傾斜している場合には、当該上端面の最も高い位置である。
【0046】
尚、前記各組における貫通孔26の並び方向は、本実施形態のように垂直方向に真っ直ぐに並んでいてもよく(図5(A)参照)、垂直方向に対して所定の角度となるように並んでいてもよい(図5(B)参照)。また、本実施形態の外側空間S1が周方向に断続であるため、各貫通孔26は、内伝熱管25の周方向において外側空間S1と対応する位置にそれぞれ設けられる。また、各組の貫通孔51の径は、一定でなくてもよい。例えば、上側に位置する穴51ほど、直径が大きくてもよく、また、小さくてもよい。
【0047】
供給側ヘッダー22は、気化管21が並ぶ前記垂直面に沿って水平方向に延びる管である。供給側ヘッダー22は、1つの気化管パネル16に含まれる各気化管21にそれぞれ接続される。この供給側ヘッダー22は、外側空間S1と内側空間S2とにLNGをそれぞれ供給する。また、供給側ヘッダー22は、その内部に配置されたヘッダー内管50を介して供給側マニホールド17からLNGが供給されるように、その一端が供給側マニホールド17と接続される。
【0048】
ヘッダー内管50は、供給側ヘッダー22に沿って延びる管状部材であり、供給側ヘッダー22と同軸となるように当該供給側ヘッダー22の内部に配置される(図3参照)。このヘッダー内管50は、その外径が供給側ヘッダー22の内径よりも小さく、これにより、供給側ヘッダー22の内部に配置されたときに当該ヘッダー内管50の外周面と供給側ヘッダー22の内周面との間に所定の空間が形成される。そして、ヘッダー内管50は、その内部にLNGが供給されるように供給側マニホールド17に接続され、当該ヘッダー内管50の軸方向において管壁(周壁)の各気化管21と対応する位置にそれぞれ穴51を有する。この軸方向の各気化管21に対応する位置には、それぞれ複数の(本実施形態では2つの穴)が設けられる。具体的に、これら複数の穴51は、前記軸方向における各気化管21と対応する位置(本実施形態では、各気化管21の下方側の位置)において、ヘッダー内管50の周方向に並んでいる。本実施形態では、2つの穴51が水平方向に対向する位置に設けられている。尚、各気化管21と対応する位置に3つ以上(図6及び図7の例では4つ)の穴51が設けられる場合には、前記各気化管21と対応する位置において、各穴51は、その中心がヘッダー内管50の下半分に位置するようにヘッダー内管50の周方向に並ぶように配置されることが好ましい。
【0049】
このように、供給側ヘッダー22の内部にヘッダー内管50を設けて二重管構造とし、ヘッダー内管50の各気化管21に対応する位置に複数の穴51をそれぞれ設けることにより、各気化管21に分配されるLNGの流量が均等になる。
【0050】
また、ヘッダー内管50の各気化管21に対応する位置に複数の穴51をそれぞれ設け、これら複数の穴51が当該ヘッダー内管50の下半分に配置(詳しくは、各穴51の中心が前記下半分に位置するように配置)されることにより、各気化管21に流入するLNGの流れが均一となる。即ち、各気化管21に対応する位置の複数の穴51から流れ出たLNGが供給側ヘッダー22とヘッダー内管50との間を気化管21に向かって供給側ヘッダー22の周方向上側に向かって流れてから気化管21内に流入することにより、ヘッダー内管の上部(例えば、気化管21の下端と対向する位置等)に設けられた穴から流れ出て直ぐに気化管21内にLNGが流入する場合に比べてLNGの流れが均一となる。
【0051】
送出側ヘッダー24は、供給側ヘッダー22と平行に延びる管である。この送出側ヘッダー24は、1つの気化管パネル16に含まれる各気化管21の上端部と、送出側マニホールド19と、に接続される。
【0052】
以上のように構成される複数の気化管パネル16は、互いに平行な姿勢でパネル面(気化管21が並ぶ前記垂直面)と直交する方向(図2において左右方向)に配置されている。
【0053】
供給側マニホールド17は、供給側ヘッダー22と交差する方向(本実施形態では、略直交する方向:図3における紙面と直交する方向)に延びる管であり、1つの気化管ブロック11に含まれる各供給側ヘッダー22と、分配管12と、に接続される。
【0054】
送出側マニホールド19は、送出側ヘッダー24と交差する方向(本実施形態では、略直交する方向:図3において紙面と直交する方向)に延びる管であり、1つの気化管ブロック11に含まれる各送出側ヘッダー24と、集合管14と、に接続される。
【0055】
分配管12は、供給側マニホールド17と略平行に延びる管であり、各供給側マニホールド17に接続される。また、分配管12には、外部から当該気化装置10にLNGを供給するための配管P1を接続する供給側接続部12aが設けられている。
【0056】
集合管14は、送出側マニホールド19と略平行に延びる管であり、各送出側マニホールド19に接続される。また、集合管14には、消費地等の外部へNGを送出するための配管P2を接続する送出側接続部14aが設けられている。
【0057】
海水供給部30は、各気化管パネル16の上端部近傍に配置されるトラフ31と、各トラフ31に海水を供給する海水ヘッダー32と、各海水ヘッダー32に海水を分配する海水マニホールド33と、を備える(図8(A)、図8(B)参照)。トラフ31は、気化管パネル16(詳しくは、当該気化管パネル16を構成する各気化管21)の表面に沿って海水が流れ落ちるように各気化管パネル16の上端部に海水を供給する。このトラフ31から供給されて気化管パネル16の表面を流れ落ちる海水と、各気化管21内を流れるLNGとが、気化管21の管壁を介して熱交換することにより、LNGが気化してNGとなる。
【0058】
以上のように構成される気化装置10は、以下のようにしてLNGを気化する。
【0059】
トラフ31から各気化管パネル16の表面に海水が供給されると共に、供給側接続部12aに接続された配管P1を通じて供給ポンプ等からLNGが分配管12に供給される。分配管12は、供給ポンプ等によって供給されたLNGを当該分配管12に接続された各供給側マニホールド17に分配し、各供給側マニホールド17は、分配管12からのLNGを当該供給側マニホールド17に接続された各供給側ヘッダー22にそれぞれ分配する。各供給側ヘッダー22は、供給されたLNGを当該供給側ヘッダー22に接続された各気化管21に分配する。詳しくは、供給側ヘッダー22は、各気化管21の内部に形成されている外側空間S1と内側空間S2とにそれぞれLNGを供給する。
【0060】
各気化管21では、供給側ヘッダー22から供給されたLNGがその内部を当該気化管21の下端から上端に向けて流れる。このとき、外側空間S1に供給されたLNGは、気化管21の外部からの熱(詳しくは、気化管21に沿って流れ落ちる海水の有する熱)によって気化された状態(気相)となって上方に向かって流れ、内側空間S2に供給されたLNGは、液相のままで上方に向かって流れる。詳しくは、気化管21の下部(内伝熱管25が位置する領域)において、外側空間S1を流れるLNGが内側空間S2を流れるLNGに比べて流量が小さく且つ気化管21の外部との熱交換が行われ易いためにすぐに気化し、この気化した状態のLNG(即ち、NG)が外側空間S1を流れる。そのため、気化管21の表面温度が内伝熱管25の設けられていない気化管(気化前のLNGが内部を流れている状態の気化管)に比べて高くなり、これにより、表面の着氷が抑えられる。また、外側空間S1においてLNGが気化するときに気化管21の内周面21aと内伝熱管25の外周面25bとの温度差に起因する強制対流沸騰が強まって当該領域における熱伝達率が高くなっている。
【0061】
これら外側空間S1を流れる気相のLNG、即ち、NGと、内側空間S2を流れる液相のLNGと、が内伝熱管25の上端(先端)周辺において合流する前に、その一部が貫通孔26を通じて合流する。具体的に、内側空間S2下部の前記横断面iにおける各位置を同時に通過したLNGが内伝熱管25の上部に設けられた貫通孔26の位置に到達すると、その一部が貫通孔26を通じて外側空間S1に流入して当該外側空間S1を流れているNGに合流する。即ち、内伝熱管25の中間位置(下端と上端との間)において内側空間S2を流れるLNGの一部が外側空間S1を流れるNGに合流して当該NGの温度を下げると共に密度を上昇させる。これにより、内伝熱管に貫通孔が設けられていない場合に比べて、内伝熱管25の上端の周辺(合流領域)において外側空間S1を流れるNGと内側空間S2を流れるLNGとが合流したときのこれらNGとLNGとの温度差及び密度差がそれぞれ抑えられる。
【0062】
その後、合流したNGとLNGとは、気化管21を上流に向かって流れつつ気化管21の管壁を介して当該気化管21に沿って流れ落ちる海水とさらに熱交換を続けることにより完全に気化される。
【0063】
各気化管21内において気化されたLNG、即ち、NGは、送出側ヘッダー24によって集められ、送出側マニホールド19に送出される。送出側マニホールド19に送られたNGは、集合管14を経て、送出側接続部14aに接続された配管P2を通じて消費地等に送出される。
【0064】
以上の気化装置10によれば、内伝熱管25の上端周辺の領域(合流領域)において合流するNG(気相のLNG)とLNG(液相のLNG)との温度差及び密度差が抑えられ、これにより、合流領域におけるNGとLNGとの界面の周期的な変動が抑制される。
【0065】
詳しくは、本実施形態の内伝熱管25によれば、当該内伝熱管25の上端近傍の合流領域に到達する前に、内側空間S2を流れるLNGの一部が外側空間S1を流れるNGと合流する。このため、当該NGが合流領域に到達する前にその温度が低下すると共に密度が上昇する。その結果、合流領域においてNGとLNGとが合流するときのこれらNGとLNGとの温度差及び密度差が抑えられ、これにより、当該合流領域におけるNGとLNGとの界面の周期的な変動が抑制される。その結果、前記界面の周期的な変動に起因する気化装置10及び当該気化装置10に接続された配管系の振動を抑制することができる。
【0066】
本実施形態では、貫通孔26が内伝熱管25の上部、即ち、合流領域に近い位置に設けられているため、LNGの一部が合流して温度が低下したNGが、外部との熱交換によって前記合流前の温度にまで上昇する前に合流領域に確実に到達できる。これにより、合流領域におけるNGとLNGとの温度差及び密度差を好適に抑えることができる。
【0067】
また、内伝熱管25の管壁において、複数の貫通孔26、26、…が上下方向に並ぶことにより、NGが外側空間S1を流れて合流領域に到達するまでに、十分な量のLNGが各貫通孔26を通じてNGに合流することができる。これにより、合流領域でのNGとLNGとの温度差及び密度差を十分に小さくすることができ、その結果、合流領域におけるNGとLNGとの界面の周期的な変動をより効果的に抑えることができる。
【0068】
また、本実施形態では、内伝熱管25の同じ高さ位置の複数の貫通孔26、26、…が内伝熱管25の周方向に沿って等間隔に配置されているため、気化管21(内伝熱管25)の周方向におけるLNGの温度分布の偏りが抑えられ、気化装置10において前記周方向の温度分布の偏りに起因する気化効率の低下等を抑えることができる。
【実施例1】
【0069】
内伝熱管に設けられた貫通孔の効果を確認するために、上記実施形態の気化装置10と、貫通孔が設けられていない内伝熱管を除いて上記実施形態の気化装置10と同じ構成の気化装置とを用い、外側空間を流れるNGと内側空間を流れるLNGとが合流したときのこれらNGとLNGとの温度差及び密度差をそれぞれ調べた。
【0070】
具体的には、各気化装置において、気化管の長さを6m、内伝熱管の長さを2.5mとし、これら気化装置に64barの圧力で−165℃程度のLNGを供給した。その結果を図9(A)〜図10(B)に示す。図9(A)及び図9(B)は、貫通孔のない内伝熱管を備えた気化装置における気化管でのNG及びLNGの温度変化と密度変化とを示す。図10(A)及び図10(B)は、上記実施形態の気化装置10の気化管21におけるNG及びLNGの温度変化と密度変化とを示す。
【0071】
図9(A)及び図9(B)から、貫通孔のない内伝熱管を備える気化装置では、外側空間を流れてきたNGと内側空間を流れてきたLNGとの合流領域(気化管の下端から2.5mの位置)における温度差が10℃以上であり、密度差が30%以上であることが分かる。これに対し、図10(A)及び図10(B)から、上記の気化装置10では、外側空間を流れてきたNGと内側空間を流れてきたLNGとの合流領域(2.5mの位置)における温度差が3℃まで抑えられると共に、密度差が数%に抑えられていることが分かる。
【0072】
以上より、内伝熱管に貫通孔を設けることにより、合流領域におけるNGとLNGとの温度差及び密度差が効果的に抑えられることが確認できた。
【0073】
尚、本発明の低温液化ガスの気化装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0074】
内伝熱管25の具体的構成は限定されない。例えば、上記実施形態の内伝熱管25では管壁に複数の貫通孔26を設けることによって、内側空間S2の前記横断面における各位置を同時に通過したLNGが当該内伝熱管25の上端に到達する前にその一部を外側空間S1を流れるNGに合流させる構成としているがこれに限定されない。図11(A)及び図11(B)に示されるように、内伝熱管25A、25Bは、上下方向に沿って当該内伝熱管25A、25Bの上端面25cから下方側に延びる切欠き26A、26Bをその管壁に有していてもよい。この切欠き26A、26Bは、垂直方向に真っ直ぐ延びてもよく、垂直方向に対して傾斜していてもよい。
【0075】
また、切欠きの具体的形状も限定されない。例えば、図11(A)に示されるような垂直方向の各位置において幅が一定の矩形状の切欠き26Aでもよく、垂直方向において幅が一定でない形状の切欠き(図11(B)に示される例では上側ほど幅が広くなる形状の切欠き26B)等であってもよい。
【0076】
気化管21の周方向におけるLNGの温度分布の偏りを抑えて、前記周方向の温度分布の偏りに起因する気化効率の低下等を抑えるために、これら切欠き26A、26Bは、内伝熱管25A、25Bの周方向において等間隔となるように複数設けられることが好ましいが、等間隔でなくてもよい。
【0077】
また、切欠き同様に、周方向における貫通孔同士の各間隔がそれぞれ異なるように、複数の貫通孔が内伝熱管の管壁に配置されてもよい。
【0078】
また、内伝熱管の周方向において、貫通孔又は切欠きが1つだけ設けられた構成であってもよい。
【0079】
また、図11(C)に示されるように、内伝熱管25Cは、貫通孔26と切欠き26Bとの両方を管壁に有していてもよい。
【0080】
図12(A)に示されるように、周方向に複数の切欠き26Cが連続して設けられてもよい。この場合も、各切欠き26Cは、内伝熱管25Dの先端面(図12(A)において点線で示す面)25cから下方側に延びている。
【0081】
また、図12(B)に示されるように、内伝熱管25Eは、当該内伝熱管25Eの直径における一端から他端に向けて、管壁の上端面が連続的に低くなるように形成されてもよい。この場合も、内側空間S2下部の前記横断面における各位置を同時に通過したLNGが当該内伝熱管25Eの上端(前記直径の一端側の管壁上端)に到達する前にその一部を外側空間S1を流れるNGに合流させることができる。これにより、内伝熱管25Eの前記上端周辺の合流領域において合流するNGとLNGとの温度差及び密度差が抑えられる。
【0082】
また、図12(C)に示されるように、多数の貫通孔26Dが、内伝熱管25Eの上部に設けられてもよい。かかる構成によっても、内側空間S2の前記横断面における各位置を同時に通過したLNGが当該内伝熱管25Eの上端に到達する前にその一部を外側空間S1を流れることで気化したLNGに合流させることができる。
【符号の説明】
【0083】
10 気化装置
11 気化管ブロック
12 分配管
14 集合管
16 気化管パネル
17 供給側マニホールド
19 送出側マニホールド
21 気化管
22 供給側ヘッダー(気化管間分配管)
24 送出側ヘッダー
25 内伝熱管
26 貫通孔
30 海水供給部
b 境界部
g 気相の低温液化ガス
l 液相の低温液化ガス
S1 外側空間
S2 内側空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直方向に延び且つ内部に流される低温液化ガスを外部との熱交換によって気化させるための複数の気化管と、
前記複数の気化管の下端部にそれぞれ接続されて各気化管に前記低温液化ガスをそれぞれ分配する気化管間分配管と、
各気化管の内部に配置され且つ当該気化管よりも短い複数の内伝熱管と、を備え、
前記気化管間分配管は、前記気化管と前記内伝熱管との間に形成される外側空間と、前記内伝熱管内の内側空間と、に前記低温液化ガスをそれぞれ供給し、
前記内伝熱管は、前記内側空間を流れる低温液化ガスの一部を当該内伝熱管の上端に到達する前に前記外側空間を流れて気化した低温液化ガスに合流させる構成である低温液化ガスの気化装置。
【請求項2】
前記内伝熱管は、その管壁に貫通孔を有する請求項1に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項3】
前記貫通孔は、少なくとも前記内伝熱管の上部に設けられる請求項1又は2に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項4】
前記内伝熱管には複数の前記貫通孔が設けられ、これら複数の貫通孔は当該内伝熱管の上部から下方側に向かって並ぶ請求項2又は3に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項5】
前記上下方向に沿って並ぶ複数の貫通孔は、上下方向において前記内伝熱管の上端から当該内伝熱管の長さの20〜40%までの領域に設けられる請求項4に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項6】
前記内伝熱管は、同じ高さ位置において複数の前記貫通孔を前記管壁に有し、これら同じ高さ位置の複数の貫通孔は、当該内伝熱管の周方向に沿って等間隔に配置される請求項2乃至5のいずれか1項に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項7】
前記内伝熱管は、上下方向に沿って当該内伝熱管の上端面から下方側に延びる切欠きを当該内伝熱管の管壁に有する請求項1乃至6のいずれか1項に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項8】
前記管壁には複数の前記切欠きが設けられ、これら複数の切欠きは当該内伝熱管の周方向に沿って等間隔に配置される請求項7に記載の低温液化ガスの気化装置。
【請求項9】
前記切欠きは、上下方向において前記内伝熱管の上端から当該内伝熱管の長さの20〜40%までの領域に設けられる請求項7又は8に記載の低温液化ガスの気化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−189256(P2012−189256A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53051(P2011−53051)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】