説明

低温環境において起動可能な電子装置とその起動方法

【課題】低温環境で起動可能な電子装置と、低温環境における安定な動作温度を提供する電子装置起動方法とを提供する。
【解決手段】本電子装置は温度検出ユニットと、複数の電子素子と、記憶ユニットと、制御ユニットとを備える。該複数の電子素子は該温度検出ユニットに接続され、該記憶ユニットは温度監視プロセスとオペレーティングシステムとを格納する。制御ユニットは該温度検出ユニットと該複数の電子素子と該記憶ユニットとに電気的に接続されている。該制御ユニットは該各電子素子の動作温度を該温度検出ユニットを介して取得し、該温度監視プロセスを実行して該複数の電子素子を駆動し、該複数の電子素子の動作温度を上昇させ、該電子装置の使用温度が第1定格温度より高くなると、該オペレーティングシステムを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置とその制御方法、特に、低温環境において起動可能な電子装置とその起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子素子の製造プロセスの向上とともに、電子装置は軽く、薄く、短く、かつ小さくなっている。このため、ユーザは電子装置を所望の場所へ容易に運ぶことが出来る。しかし、電子装置はどんな環境温度でも動作するわけではない。
【0003】
図1Aと図1Bはそれぞれ従来技術に関する導体と半導体の様々な温度における導電率の概略を示す。これらの図において横軸は温度を表し、縦軸は抵抗値を表す。温度は異なる物質の抵抗値に異なる影響を及ぼす。室温に近い温度では、導体の抵抗値は一般的に温度に正比例する。言い換えると、温度が高くなると、抵抗値も大きくなる。
R=R0+aT (式1)
ここで、aは抵抗温度係数、Rは導体の抵抗値、Tは温度、R0は温度が0℃の時の抵抗値である。
【0004】
一方、ドープされていない半導体の抵抗は、温度が高くなると減少し、両者は幾何級数的関係にある。
R=R0a/T (式2)
ここで、aは抵抗温度係数、Rは半導体の抵抗値、Tは温度、R0は温度が0℃の時の抵抗値である。
【0005】
一方、ドープされた半導体の抵抗の変化は、より複雑である。温度が絶対零度から上昇する時、初めは半導体の抵抗は減少し、荷電粒子(電子又は正孔)の大多数がドーパント原子を離れた後、温度の上昇とともに荷電粒子の活動の低下によって抵抗は少し増加する。温度が更に上昇すると、半導体は新しい電荷担体を生成する(ドープされていない半導体と同様)ので、元の担体(ドープによって生成された)を含む担体の数が増加し、抵抗は再び減少する。
【0006】
例えば、電子装置が複数の電子素子により構成された回路ループを含む場合、電子素子が電流により駆動されると、電子素子は処理信号をする。しかし、低温環境(例えば、0度未満)では電子の活動は低下し、電流は円滑に伝導されない。従って、電子装置は正常に動作しない。例えば、電子装置上の起動スイッチが押されると、電流が回路ループのレイアウトに従って各電子素子を駆動する。電流がある電子素子を通過できない場合、回路ループの起動条件は満たされず、この電子装置は故障する。肉眼的視点では、この電子装置は全く応答せず、故障しているのと同じであるが、顕微鏡的視点では、電子装置内の電流がある電子素子を通過できないか、電子素子を通過する電流が非常に弱いので、電子素子は円滑に動作可能状態になることが出来ない。
【0007】
低温環境において電子装置を起動できないという問題を解決するための一つの方法は、電子装置にヒーター等の加熱ユニットを付けることである。ヒーターは電子装置内の温度を上昇させるので、電子装置の各電子素子が必要な起動温度に達する。付けられた加熱ユニットは電子装置の温度を急速に上昇させるが、加熱ユニットは電子装置の体積を増加させる。また、電子装置の製造業者にとって、製造コストも増加する。また、加熱ユニットの電力消費が電子素子よりずっと大きいので、電子装置の電力は加熱と同時に消費される。その結果、電子素子は動作可能な温度に達するが、電子装置の電力は消耗している可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明は、低温環境において起動でき、低温環境で自身の温度を上昇させることが出来る電子装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る低温環境で起動可能な電子装置は、温度検出ユニットと、複数の電子素子と、記憶ユニットと、制御ユニットとを備える。該記憶ユニットは温度監視プロセスとフルロードプロセスとを格納する。
【0010】
該制御ユニットは該各電子素子の動作温度を該温度検出ユニットを介して取得し、該温度監視プロセスと該フルロードプロセスとを実行し、該フルロードプロセスは該複数の電子素子の電流を増加させて電子素子を駆動し、該各電子素子の現在温度がその第2定格温度より高くなる。該温度監視プロセスは該複数の電子素子の現在温度から該電子装置の使用温度を計算し、該使用温度が第1定格温度より高いか否かを判定する。
【0011】
また、本発明は低温環境において電子装置が電源オンされた後、該電子装置の温度を上昇させる低温環境における電子装置起動方法を提供する。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る低温環境における電子装置起動方法は下記のステップを含む。該電子装置が起動される。温度監視プロセスが実行される。該温度監視プロセスが複数の電子素子の温度を取得する。1つの電子素子の温度が第1定格温度より低い場合、フルロードプロセスが実行される。該フルロードプロセスは該複数の電子素子を駆動し動作電流を増加させて該電子装置の使用温度が該第1定格温度より高くなるよう該複数の電子素子の温度を上昇させる。該電子装置の該使用温度が該第1定格温度より高い時、該電子装置は電源オンプロセスを実行する。
【0013】
前記複数の電子素子を駆動することは下記のステップを含む。前記温度監視プロセスは該複数の電子素子の駆動シーケンスをロードする。該駆動シーケンスに従って、該温度監視プロセスが該各電子素子を駆動し、該各電子素子の動作温度を検出する。1つの電子素子の動作温度が第2定格温度より高い場合、該温度監視プロセスは次の電子素子を該駆動シーケンスに従って選択して該次の電子素子を駆動し、これを該複数の電子素子の全てを駆動するまで続ける。該温度監視プロセスは該複数の電子素子の動作温度を取得して前記電子装置の使用温度を計算する。
【0014】
上記の複数の電子素子を駆動する方法に加えて、低温環境において電子装置が電源オンされた後、該電子装置の温度を上昇させる低温環境における別の電子装置起動方法が提供される。この起動方法は下記のステップを含む。
【0015】
該電子装置は動作モードに入る。温度監視プロセスを実行して複数の電子素子の使用温度を取得する。該使用温度に応じて改良ロードプロセスにより該複数の電子素子を駆動することを決定して、該電子装置の使用温度が該第1定格温度より高くなるよう該複数の電子素子の温度を上昇させる。該電子装置の該使用温度が該第1定格温度より高い時、該電子装置は電源オンプロセス終了後、重み付けロードプロセスをロードする。該重み付けロードプロセスが該複数の電子素子の加熱シーケンスを決定する。
【0016】
本発明に係る温度調節・制御可能な電子装置、及びその調節・制御方法は、低温環境において電子装置がその動作温度を維持するのを可能にできるので、関係するアプリケーションは電子装置上で安定して実行されうる。
本発明は下記の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。下記の説明は例示だけのためであり、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】従来技術に関する様々な温度における導体の導電率の概略図である。
【図1B】従来技術に関する様々な温度における半導体の導電率の概略図である。
【図2】本発明に係る電子装置のハードウェアアーキテクチャーの概略図である。
【図3】本発明に係る動作プロセスの概略フローチャートである。
【図4】電子素子を駆動する実施形態を示す。
【図5】電子素子を駆動する別の実施形態を示す。
【図6】別の温度検出ユニットの実施形態の概略図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態の概略図である。
【図8】本発明に係る第4実施形態の概略図である。
【図9A】本発明に係る第5実施形態の概略フローチャートである。
【図9B】本発明に係る第5実施形態の概略アーキテクチャー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る電子装置は、パソコン、ラップトップ・コンピュータ、タブレット・コンピュータ、PDA(Personal Digital Assistant)、又はマルチメディアプレーヤーに適用できる。図2は本発明の一実施形態に係る電子装置のハードウェアアーキテクチャーの概略図である。図2を参照すると、電子装置200は温度検出ユニット210、複数の電子素子220、記憶ユニット230、及び制御ユニット240を備える。
【0019】
電子素子220はこれらに限定されないが、サウスブリッジチップ、ノースブリッジチップ、メモリ、表示チップ、ネットワークチップ、又はオーディオチップであってもよい。電子素子220は温度検出ユニット210に接続されており、温度検出ユニット210の数は本発明の実施形態に応じて変わる(後述する)。記憶ユニット230は消去可能プログラム可能ROM(EPROM)、フラッシュメモリ、又はハードディスクであってよい。記憶ユニット230は基本入出力システム(BIOS)231、ブートローダー232、温度監視プロセス233、オペレーティングシステム234、又はフルロードプロセス235を格納する。制御ユニット240は温度検出ユニット210、複数の電子素子220、及び記憶ユニット230に電気的に接続されている。制御ユニット240は電子素子220の動作温度を温度検出ユニット210を介して取得する。本発明の温度監視プロセス233はBIOS又はブートローダー内に設定でき、電子装置200が起動されると起動される。フルロードプロセス235は電子素子220の動作クロック又は使用電圧を上げるために使用される。計算スピードを上げるほかに、電子素子220の動作クロック又は使用電圧を上げることも熱の発生を増やす。制御ユニット240は独立体で、中央処理装置(CPU)により実現されてもよい。電子装置200が起動される時、制御ユニット240の現在温度が動作可能温度より低い場合、電流が制御ユニット240を繰り返し通過する。このようにして、制御ユニット240は電流により連続して加熱され、制御ユニット240の現在温度を動作可能温度に上昇させる。或いは、独立した加熱ユニット(ヒーター)を制御ユニット240内に配置する。このようにして、体積を大きくすることなく制御ユニット240の温度を上昇させることが出来る。
【0020】
電子装置200を電源オンすると、制御ユニット240は各電子素子220の動作温度に応じて下記の温度調節・制御を実行することで、電子装置200の使用温度を適切な使用温度に上げる。図3は本発明の一実施形態に係る動作プロセスの概略フローチャートである。図3を参照すると、このプロセスは下記のステップを含む。
ステップS310において、電子装置が起動される。
ステップS320において、温度監視プロセスが実行される。
ステップS330において、温度監視プロセスは1つの電子素子の温度を取得する。
ステップS340において、この電子素子の温度が第1定格温度より低い場合、フルロードプロセスが実行される。
ステップS350において、フルロードプロセスは複数の電子素子を駆動し、この電子素子の動作電流を増加させて、この電子素子の温度を上昇させ、該電子装置の使用温度を該第1定格温度より高くする。
ステップS360において、該電子装置の使用温度が第1定格温度より高いと、電子装置は電源オンプロセスを実行する。
【0021】
電子装置200が起動されると、電子装置200の制御ユニット240は、BIOS又はブートローダーを介して温度監視プロセスを起動し、電子装置200の現在温度を取得する。各電子素子220は使用温度を有しているので、電子装置200は低温状態で正常に動作しない可能性がある。
【0022】
このため、電子装置200内の各電子素子220は温度を調節し上昇させるために使用される。制御ユニット240は温度監視プロセスを介して複数の電子素子220を駆動して、これら電子素子220の温度を上昇させる。本実施形態では、各電子素子220を電流が繰り返し通過するので、電子素子220はその温度を低温環境において動作可能温度に上げることが出来る。本実施形態では、リセット動作を繰り返し実行するか、又はこれら電子素子220の動作電流を増加させることで、電流がこれら電子素子220を通過する。
【0023】
電子装置200の内部構成に依っては、これら電子素子220は同じ領域内に配置されないので、これら電子素子220の温度は電子装置200の全体温度と異なる。言い換えると、電子装置200の検出された温度は、これら電子素子220の実際の温度より低い可能性がある。全ての電子素子220がそれらの動作温度にあることを保証するために、これら電子素子220の中で最低使用温度を、電子装置200の動作基準温度としての第1定格温度と設定する。例えば、第1、第2、第3、及び第4電子素子を備えると仮定する。第1電子素子の最低使用温度が−10度、第2電子素子の最低使用温度が−15度、第3電子素子の最低使用温度が0度、第4電子素子の最低使用温度が5度であるとすると、第1定格温度は第2電子素子の最低使用温度である。これら電子素子220の最低動作温度を規定するために、各電子素子220の最低動作温度を第2定格温度と規定する。
【0024】
電子装置200の各電子素子220が正常な使用温度にあることを保証するために、電子素子220を駆動する下記の実施形態により本発明を例示する。図4は電子素子を駆動する実施形態を示す。図4を参照すると、この実施形態は下記のステップを含む。
ステップS410において、温度監視プロセスがこれら電子素子の駆動シーケンスをロードする。
ステップS420において、該駆動シーケンスに従って、温度監視プロセスが電子素子を駆動しこの電子素子の動作温度を検出する。
ステップS430において、この電子素子の動作温度が第2定格温度より高い場合は、温度監視プロセスは該駆動シーケンスに従って、次の電子素子を選択しこの電子素子を駆動する。全ての電子素子が駆動されるまで続ける。
ステップS440において、温度監視プロセスはこれら電子素子の動作温度を取得し、電子装置の使用温度を計算する。
【0025】
温度監視プロセスは先ず、これら電子素子220の駆動シーケンスをロードする。電子装置200はこれら電子素子220の動作シーケンスに基づいてのみ正常に動作できる。例えば、起動後、制御ユニット240はメモリから処理対象のデータを取得し、計算データをメモリ内に保持する。制御ユニット240はサウスブリッジチップ又はノースブリッジチップを介して関係する周辺装置に要求を送信し、周辺装置からデータを取得し、メモリに一時的に格納する。各電子素子220が円滑に動作できることを保証するために、本実施形態では、電子装置200が起動される時、これら電子素子220の駆動シーケンスが加熱シーケンスとして使用される。上記の例では、電子装置200内の電子素子220の起動シーケンスは、制御ユニット→メモリ→サウスブリッジチップ→ノースブリッジチップ→表示チップ→ネットワークチップ→オーディオチップであり、このシーケンスは電子素子220を加熱するための駆動シーケンスとして設定される。また、対応する温度検出ユニット210は各電子素子220に配置される。
【0026】
本実施形態の加熱は電子素子220を電流で駆動することで実行される。電子素子220は電流によって熱を生成する。生成された熱は電子素子220が動作可能温度にすぐ達するのを可能にしないかも知れないので、温度監視プロセスは、電子素子220の使用温度が第2定格温度に達するまで電流を連続的に送り電子素子220を駆動する。
【0027】
現在駆動中の電子素子220の使用温度が第2定格温度より高くなった後、温度監視プロセスはこれら電子素子220の駆動シーケンスに従って次の電子素子220を次の駆動対象として選択する。これを全ての電子素子220の加熱を達成するまで続ける。
【0028】
温度監視プロセスは電子素子220の動作温度を取得し電子装置200の使用温度を計算して第1定格温度に達したか否かを判定する。全ての電子素子220の第2定格温度の平均、全ての電子素子220の使用温度の平均、又は電子装置200内で検出された温度等を第1定格温度を計算するために使用できる。
【0029】
図5は電子素子220を駆動する別の実施形態の電子素子220の駆動方法だけを示す。図5を参照すると、この実施形態は下記のステップを含む。
ステップS510において、温度監視プロセスが全ての電子素子を同時に駆動し、各電子素子の動作温度を検出する。
ステップS520において、電子装置の使用温度を全ての電子素子の動作温度から計算する。
【0030】
温度監視プロセスは全ての電子素子220に電流を直接送り駆動することで、全ての電子素子220が同時に加熱される。温度監視プロセスは各電子素子220の動作温度がその第2定格温度に達したか否かをリアルタイムに検出する。これら電子素子220の一部が第2定格温度に達した場合、温度監視プロセスはこれらの電子素子220が動作温度を維持するよう一定の頻度で電流を送ることが出来る。温度監視プロセスは第2定格温度に達していない他の電子素子220に連続して電流を送り、これらの電子素子220を連続的に加熱する。
【0031】
本実施形態では、対応する温度検出ユニット210が各電子素子220に割り当てられてもよい。或いは電子装置200は複数の検出領域に分けられてもよい。各領域に1つの温度検出ユニット210が割り当てられ、図6に示すように各領域の全電子素子220を対応する温度検出ユニット210が監視する。制御ユニット240は温度検出ユニット210が検出した温度を比較することで、温度監視プロセスを継続するか否かを決定する。例えば、図6において、6つの検出領域(611、612、613、614、615、及び616)が電子装置200内に規定されている。6つの検出領域は第1検出領域611、第2検出領域612、第3検出領域613、第4検出領域614、第5検出領域615、及び第6検出領域616である(しかし、本発明において検出領域の数は限定されない)。各検出領域において電子素子220の配線が異なるので、電子素子220の配置は異なり、各検出領域における温度検出ユニット210の位置も異なる。
【0032】
図7は本発明に係る第3実施形態の概略図である。図7を参照すると、熱出力参照テーブル710が設けられている。記憶ユニット230は熱出力参照テーブル710を記憶する。熱出力参照テーブル710は動作中に各電子素子220が生成した熱の出力値を記録するために使用される。図6の電子装置200を例にとると、各検出領域内の電子素子220の数は同じでなく、また各電子素子220の加熱効率が異なるので、各検出領域の熱出力値は全電子素子220の熱出力値から計算され熱出力参照テーブル710に記録されてよい。制御ユニット240はこれら検出領域の熱出力値からこれら検出領域の駆動シーケンスを決定できる。例えば、ノースブリッジチップの熱出力値が全ての電子素子220のなかで最も高い場合、ノースブリッジチップを有する検出領域内の電子素子220群が先ず駆動される。制御ユニット240が全ての電子素子220の熱出力値から最短の加熱時間を計算することが出来る。このようにして、ノースブリッジチップが生成した熱は、同じ検出領域内の他の電子素子220に影響を与える。
【0033】
電子装置200の使用温度が第1定格温度より高いことは、電子装置200が正常に動作できることを示す。従って、電子装置200は電源オンに関する処理の実行を開始できる。
【0034】
電子装置200の電源オン手順内で加熱を実行すると共に、本発明は電源オン後、オペレーティングシステム234(又は対応する実行プロセス)を介して加熱を行うことも出来る。図8は本発明に係る第4実施形態の概略図である。図8を参照すると、この実施形態は下記のステップを含む。
ステップS810において、電子装置と複数の電子素子が起動される。
ステップS820において、温度監視プロセスが実行され、これら電子素子の使用温度を取得する。
ステップS830において、温度監視プロセスはこれら電子素子を駆動して、電子素子の温度を上昇させ、電子装置の使用温度を第1定格温度より高くする。
ステップS840において、電子装置の使用温度が第1定格温度より高い時、電子装置は電源オンプロセス終了後、重み付けロードプロセスをロードする。
ステップS850において、重み付けロードプロセスはこれら電子素子の加熱シーケンスを決定する。
【0035】
本実施形態のステップS810〜S830は上記実施形態の電源オン手順のステップと同じであり、重複する説明を省略する。電子装置200が電源オン手順において第1定格温度に達した後、電子装置200は対応する重み付けロードプロセス910を実行する。パソコンを例にとると、パソコンが電源オン手順の加熱を実行した後、パソコンはオペレーティングシステム234の実行を開始する。また、マルチメディアプレーヤーを例にとると、電源オン手順の加熱を実行した後、マルチメディアプレーヤーは再生と表示に関するプロセス(再生インターフェイス、再生プログラム等)を実行する。
【0036】
電子装置200上でオペレーティングシステム234(又は再生プログラム)の実行が開始された後、電子装置200は重み付けロードプロセス910をロードする。重み付けロードプロセス910は電子素子群の予め設定された加熱シーケンスを記録すること、電子素子群の加熱シーケンスを電子装置200の現在温度に応じて決定することが出来る。本実施形態では、複数の電子素子の加熱シーケンスの設定に加えて、加熱を領域単位で行ってもよい。複数の領域の加熱シーケンスを決定するための手順を例示するために、第3実施形態の複数の検出領域を第5実施形態として例示し、図9A及び図9Bに示す。
ステップS910において、電子装置は動作モードに入る。
ステップS920において、温度監視プロセスが実行され、複数の電子素子の使用温度を取得する。
ステップS930において、これらの使用温度に応じて改良ロードプロセスによりこれら電子素子を駆動することを決定し、電子素子の温度を上昇させ、電子装置の使用温度を第1定格温度より高くする。
ステップS940において、電子装置の使用温度が第1定格温度より高い時、電子装置は電源オンプロセス終了後、重み付けロードプロセスをロードする。
ステップS950において、重み付けロードプロセスはこれら電子素子の加熱シーケンスを決定する。
【0037】
電子装置200が電源オン加熱プロセスを終了後、電子装置200上でオペレーティングシステム234(又はアプリケーション)の実行が開始される。電子装置200は引き続く加熱プロセスを実行する。先ず、図9Bに示すように電子装置200は複数の検出領域に分けられる。温度監視ユニットは各検出領域内に配置され検出領域内の複数の電子素子を監視する。電子装置200の電源オン手順中、温度監視プロセスが実行され各検出領域(611、612、613、614、615、及び616)の領域温度を取得する。これらの使用温度に応じて改良ロードプロセスによりこれら電子素子を駆動することを決定し、電子素子の温度を上昇させ、電子装置の使用温度を第1定格温度より高くする。重み付けロードプロセス910は検出領域の1つを選択し計算命令を選択した検出領域内の全ての電子素子に送信して、該選択した検出領域に隣接する検出領域群の領域温度を上昇させる。言い換えると、重み付けロードプロセス910は隣接する検出領域群に対して対応するプロセスを各検出領域の温度に応じて実行して、各検出領域内の電子素子を駆動する。隣接する検出領域群を加熱することで、選択された検出領域の温度が上昇する。重み付けロードプロセスはクリックライズ(click rise)命令を全ての電子素子220へ連続して送信する。重み付けロードプロセスは、電子素子220がフルロードをある時間内に達成し電子素子220の温度を上昇させるために、クリックライズ命令をある周波数に対応する時間間隔で全ての電子素子220へ送信するよう設定されてもよい。
【0038】
本発明に係る温度調節・制御可能な電子装置200、及びその調節・制御方法は、低温環境において電子装置200の動作温度を維持できるので、関係するアプリケーションは電子装置上で安定して実行されうる。
【符号の説明】
【0039】
200 電子装置
210 温度検出ユニット
220 電子素子
230 記憶ユニット
233 温度監視プロセス
235 フルロードプロセス
240 制御ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温環境において電源オン手順を実行する時、複数の電子素子の動作により温度が上昇することにより低温環境で起動可能な電子装置であって、
該複数の電子素子に接続された1つ以上の温度検出ユニットと、
温度監視プロセスとフルロードプロセスとを格納するための記憶ユニットと、
該温度検出ユニットと該複数の電子素子と該記憶ユニットとに電気的に接続された制御ユニットと
を備え、
該制御ユニットは該各電子素子の動作温度を該温度検出ユニットを介して取得し、該温度監視プロセスと該フルロードプロセスとを実行し、該フルロードプロセスは該電子装置を繰り返しリセットし、リセット毎に該複数の電子素子を電流により駆動することで該各電子素子の現在温度がその第2定格温度より高くなり、該温度監視プロセスは該複数の電子素子の現在温度から該電子装置の使用温度を計算し、該使用温度が第1定格温度より高いか否かを判定する、電子装置。
【請求項2】
前記記憶ユニットは熱出力参照テーブルを記憶し、該熱出力参照テーブルは前記複数の電子素子のそれぞれが動作時に生成した熱の出力値を記録し、前記制御ユニットは該複数の電子素子の該熱出力値から該電子装置の前記使用温度を計算する請求項1に記載の低温環境で起動可能な電子装置。
【請求項3】
低温環境において電子装置が電源オンされた時、該電子装置の温度を上昇させる低温環境における電子装置起動方法であって、
該電子装置を起動することと、
温度監視プロセスを実行することと、
該温度監視プロセスにより複数の電子素子の温度を取得することと、
1つの電子素子の温度が第1定格温度より低い場合、フルロードプロセスを実行することと、
該フルロードプロセスが該電子装置を繰り返しリセットし、リセット毎に該複数の電子素子を動作電流で駆動することで、該電子装置の使用温度が該第1定格温度より高くなるよう該複数の電子素子の温度を上昇させることと、
該電子装置の該使用温度が該第1定格温度より高い時、該電子装置は電源オンプロセスを実行することと
を含む電子装置起動方法。
【請求項4】
基本入出力システム(BIOS)又はブートローダーが前記温度監視プロセスを実行する請求項3に記載の低温環境における電子装置起動方法。
【請求項5】
前記複数の電子素子を駆動することは、
前記温度監視プロセスにより該複数の電子素子の駆動シーケンスをロードすることと、
該駆動シーケンスに従って、前記フルロードプロセスが該各電子素子の動作電流を増加させ、該温度監視プロセスが該各電子素子の動作温度を検出することと、
1つの電子素子の動作温度が第2定格温度より高い場合、該フルロードプロセスは次の電子素子を該駆動シーケンスに従って選択して該次の電子素子を駆動し、これを該複数の電子素子の全てを駆動するまで続けることと、
該温度監視プロセスにより該複数の電子素子の動作温度を取得して前記電子装置の使用温度を計算することと
を含む請求項3に記載の低温環境における電子装置起動方法。
【請求項6】
前記複数の電子素子を駆動することは、
前記フルロードプロセスが該複数の電子素子を同時に駆動し、該各電子素子の動作温度を検出することと、
該複数の電子素子の動作温度から前記電子装置の使用温度を計算することと
を含む請求項3に記載の低温環境における電子装置起動方法。
【請求項7】
低温環境において電子装置が電源オンされた後、該電子装置の温度を上昇させる低温環境における電子装置起動方法であって、
該電子装置は動作モードに入ることと、
温度監視プロセスを実行して複数の電子素子の使用温度を取得することと、
該使用温度に応じて改良ロードプロセスにより該複数の電子素子を駆動することを決定して、該電子装置の使用温度が該第1定格温度より高くなるよう該複数の電子素子の温度を上昇させることと、
該電子装置の該使用温度が該第1定格温度より高い時、該電子装置は電源オンプロセス終了後、重み付けロードプロセスをロードすることと、
該重み付けロードプロセスが該複数の電子素子の加熱シーケンスを決定することと
を含む電子装置起動方法。
【請求項8】
前記重み付けロードプロセスはクリックライズ(click rise)命令を前記複数の電子素子に連続して送信する請求項7に記載の低温環境における電子装置起動方法。
【請求項9】
前記動作モードに入った後、
前記電子装置を複数の電子素子をそれぞれ含む複数の検出領域に分けることと、
前記温度監視プロセスを実行して該複数の検出領域の領域温度を取得することと
を更に含む請求項7に記載の低温環境における電子装置起動方法。
【請求項10】
前記重み付けロードプロセスによる前記複数の電子素子の加熱シーケンスは、
該重み付けロードプロセスが前記検出領域の1つを選択し、選択された検出領域内の全ての電子素子へ計算命令を送信し、該選択された検出領域に隣接する検出領域の領域温度を上昇させることと、
該重み付けロードプロセスが該複数の電子素子の熱出力値に基づいて、該複数の電子素子から最大の熱出力値を有する電子素子を選択することと、
該選択された電子素子を有する検出領域内の全ての電子素子を電流で駆動し加熱することと、
を含む請求項9に記載の低温環境における電子装置起動方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2012−14682(P2012−14682A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18662(P2011−18662)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(502263178)微星科技股▲分▼有限公司 (14)
【Fターム(参考)】