説明

低雑音ダウンコンバータ

【課題】2つの局部発振回路を同時に動作させた場合に生ずるスプリアス信号のレベルをなるべく低減し、衛星からの正常な信号を妨害を受けずにダウンコンバートすることが可能な低雑音ダウンコンバータを提供する。
【解決手段】シャーシ32には、上面に配線基板34が取付けられる。配線基板34を覆うようにフレーム42が取付けられる。そして、局部発振回路12に対応する配線基板34の領域を覆うようにフレーム42が形成されている。また、シャーシ32には、下面に配線基板36が取付けられる。そして、局部発振回路18に対応する配線基板36の領域を覆うようにフレーム46が形成されている。さらに、局部発振回路12,18の配置に関して、配線基板34に設けられる局部発振回路12の真下の配線基板36に局部発振回路18が設けられないよう配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、低雑音コンバータに関し、より特定的には衛星放送受信装置の衛星通信において使用される、2種類以上の局部発振回路を同時に動作させる低雑音ダウンコンバータ(LNB)に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送用のアンテナで電波を受信し、屋内のBSチューナに信号を導くには、通常同軸ケーブルが用いられる。ところが、アンテナで受信した電波は、直接同軸ケーブルでは屋内に導くことができない。
【0003】
周波数の非常に高い衛星放送の電波を導くには、導波管という金属の管を使う必要がある。導波管を使った場合アンテナから屋内の衛星放送受信機まで信号を導くのには壁に大きな穴を開けたりする必要があり、また、減衰も多いので現実的ではない。したがって、通常は、アンテナ近辺に設置したLNBを用いて、同軸ケーブルでも導けるくらいの周波数にまで受信信号の周波数を落として屋内の衛星放送受信機に信号を伝達する。屋内の衛星放送受信機には、スクランブルデコーダが内蔵されており、これによりスクランブルが解除され、表示機に画像が表示される。
【0004】
アナログ放送、デジタル放送が混在する中で、両方の信号を受信するために広帯域のLNBが必要とされている。衛星からの受信信号を地上で受信される帯域に変換する際には局部発振回路が用いられる。しかし、1つの局部発振回路の出力帯域よりも衛星から受信信号の帯域が広い。そこで、通常は発振周波数の異なる局部発振回路を2個用いて受信を行なっている。
【0005】
たとえば、衛星からの受信信号の帯域10.7〜11.7GHzに対しては、9.75GHzの発振周波数の第1の局部発振回路でLNBの出力周波数950〜1950MHzをカバーしている。また、受信信号の帯域11.7〜12.75GHzに対しては、10.6GHzの発振周波数の第2の局部発振回路を使用し、LNBの出力周波数1100〜2150MHzをカバーしている。
【0006】
このLNBの構造において、従来は、配線基板を2つ使用し、それぞれ1つの局部発振回路を設けて局部発振回路相互の干渉を避けていた。
【0007】
具体的には、2つの配線基板の間に金属製のシャーシ(板金)をいれて、2つの配線基板を分離していたが、板金の厚みが例えば、約2mm程度である場合には、2つの配線基板の間の距離が十分離れているとはいえなかった。
【0008】
そのため、2つの局部発振回路を同時に動作させた場合に、2つの局部発振回路の局部発振周波数の差に基づく強いスプリアス信号が発生し、受信帯域内に高調波が出現する問題が生じる。この高調波の影響により、衛星からの正常な信号を屋内の衛星放送受信機などに送ることができず、テレビ画面などの映像が乱れたりするおそれが生ずるという問題があった。そこで、厚みを改善することが図られていた。
【0009】
図7は、従来の衛星放送受信装置の断面構造を示した図である。
図7を参照して、厚さd2の金属製のシャーシ232の一方の面には配線基板234が取付けられ他方の面に配線基板236が取付けられる。配線基板234、236にはそれぞれ局部発振回路212、218が搭載されている。配線基板234を覆うようにフレーム242が取付けられている。一方、配線基板236はシャーシ232によって覆われている。
【0010】
従来は、上述したように厚みの厚いシャーシ232で配線基板234と236とを分離することにより2つの局部発振回路の相互の影響を低減する方式が採用されていた。
【特許文献1】特開2002−246925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、厚みの厚いシャーシを用いれば当然に装置全体は大きくなるという問題がある。
【0012】
また、2つの配線基板を接続する接続ピンを介して2つの局部発振回路が互いに干渉し合う問題も避ける必要がある。
【0013】
本発明の目的は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、2つの局部発振回路を同時に動作させた場合に生ずるスプリアス信号のレベルをなるべく低減し、衛星からの正常な信号を妨害を受けずにダウンコンバートすることが可能な低雑音ダウンコンバータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る低雑音ダウンコンバータは、衛星放送を受信するための低雑音ダウンコンバータであって、対向する第1および第2の面を有する金属製のシャーシと、第1の面に取付けられる第1の配線基板と、第1の配線基板上に設けられる第1の局部発振手段と、第2の面に取付けられる第2の配線基板と、第2の配線基板上に設けられる第2の局部発振手段と、第1および第2の配線基板にそれぞれ対応して設けられ、第1および第2の配線基板を覆うための第1および第2のフレームとを備える。第1および第2のフレームの少なくとも一部は、第1および第2の配線基板の第1および第2の局部発振手段に対する領域を遮蔽するようにそれぞれ成型される。第2の局部発振手段は、金属製のシャーシによって第1の局部発振手段と分離シールドされる。第2の局部発振手段は、第1の配線基板上に設けられた第1の局部発振手段の真下に設けられないようにずれて配置される。
【0015】
好ましくは、第1の配線基板と第2の配線基板とを接続するための接続ピンをさらに備える。接続ピンは、第1の配線基板、シャーシおよび第2の配線基板を貫通して設けられる。第1および第2のフレームは、さらに接続ピンが貫通する第1および第2の配線基板の領域を遮蔽するようにそれぞれ形成される。接続ピンは、第1および第2の局部発振手段に対する領域には設けられない。
【0016】
好ましくは、第1および第2の局部発振手段は、第1および第2の配線基板の基板の辺に沿う周辺領域にそれぞれ設けられ、第1および第2の局部発振手段の間隔が最大となるようにずれて配置される。
【0017】
本発明に係る別の低雑音ダウンコンバータは、衛星放送を受信するための低雑音ダウンコンバータであって、対向する第1および第2の面を有する配線基板と、第1の面上に設けられる第1の局部発振手段と、第2の面上に設けられる第2の局部発振手段と、配線基板の第1の面に対応して設けられ、配線基板を覆うためのフレームと、配線基板の第2の面側に設けられ、配線基板を取り付けるための金属製のシャーシとを備える。フレームの少なくとも一部は、配線基板の第1の局部発振手段に対する領域を遮蔽するように成型される。金属製のシャーシは、凹み領域を有し、凹み領域により配線基板と金属製のシャーシとの間で第2の局部発振手段が遮蔽される。第2の局部発振手段は、配線基板の第1の面上に設けられた第1の局部発振手段の真下に設けられないようにずれて配置される。
【0018】
好ましくは、第1および第2の局部発振手段は、配線基板の基板の辺に沿う周辺領域にそれぞれ設けられ、第1および第2の局部発振手段の間隔が最大となるようにずれて配置される。
【0019】
本発明に係る別の低雑音ダウンコンバータは、衛星放送を受信するための低雑音ダウンコンバータであって、対向する第1および第2の面を有する配線基板と、第1の面上に設けられる第1の局部発振手段と、第2の面上に設けられる第2の局部発振手段と、配線基板の第1の面に対応して設けられ、配線基板を覆うためのフレームと、配線基板の第2の面側に設けられ、配線基板を取り付けるための金属製のシャーシと、第1および第2の局部発振手段にそれぞれ対応して独立に設けられ、対応する局部発振手段と接続されてGNDが供給される第1および第2のGND供給ラインとを備える。
【0020】
好ましくは、フレームの少なくとも一部は、配線基板の第1の局部発振手段に対する領域を遮蔽するように成型され、金属製のシャーシは、凹み領域を有し、凹み領域により配線基板と金属製のシャーシとの間で第2の局部発振手段が遮蔽される。
【0021】
好ましくは、フレームは接地され、第1および第2の局部発振手段の一方とフレームとが接続され、フレームは、対応するGND供給ラインの一部を形成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る低雑音ダウンコンバータは、第1および第2のフレームの少なくとも一部は、配線基板の第1および第2の局部発振手段に対する領域を遮蔽し、金属製のシャーシによって分離し、第2の局部発振手段は、第1の配線基板上に設けられた第1の局部発振手段の真下に設けられないようにずれて配置する構成であるため、周辺回路領域に対するスプリアス信号の影響を抑制するとともに、第1および第2の局部発振手段の間隔を確保して、互いに干渉することを抑制することができるため、スプリアス信号のレベルを低減し、衛星からの正常な信号を妨害を受けずにダウンコンバートすることができる。
【0023】
本発明に係る別の低雑音ダウンコンバータは、フレームの少なくとも一部は、配線基板の第1の局部発振手段に対する領域を遮蔽し、金属製のシャーシと配線基板とにより第2の局部発振手段を遮蔽し、第2の局部発振手段は、第1の配線基板上に設けられた第1の局部発振手段の真下に設けられないようにずれて配置する構成であるため、周辺回路領域に対するスプリアス信号の影響を抑制するとともに、第1および第2の局部発振手段の間隔を確保して、互いに干渉することを抑制することができるため、スプリアス信号のレベルを低減し、衛星からの正常な信号を妨害を受けずにダウンコンバートすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。尚、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態に従うLNB1の構成を示したブロック図である。
【0026】
図1を参照して、LNB1は、電源回路20と、衛星からの信号を受ける入力部ホーン2と、入力部ホーン2の出力を増幅する低雑音アンプ(LNA:Low Noise Amplifier)4と、LNA4の出力に接続されるバンドパスフィルタ(BPF:Band Pass Filter)8と、所定の第1の局部発振周波数を出力する局部発振回路12と、バンドパスフィルタ8の出力と局部発振回路12の出力とを混合するミクサ(Mixer)10とを含む。
【0027】
LNB1は、さらに、LNA4の出力に接続されるバンドパスフィルタ14と、第2の所定の局部発振周波数を出力する局部発振回路18と、バンドパスフィルタ14の出力と局部発振回路18の出力とを混合するミクサ16と、ミクサ10,16の出力の一方を選択するセレクト回路22と、セレクト回路22の出力を増幅するIFアンプ24と、IFアンプ24の出力に一方端が接続されるコンデンサ26と、コンデンサ26の他方端に接続されるF栓コネクタ28とを含む。
【0028】
LNA4,局部発振回路12,18およびF栓コネクタ28には電源回路20から電源電位が供給されている。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態に従うLNB1の2つの局部発振回路をそれぞれ搭載する配線基板を分離する構造を概略的に示した断面図である。
【0030】
図2を参照して、シャーシ32の上面および下面にそれぞれ配線基板34、36が取付けられる。配線基板34、36にはそれぞれ図示しないが局部発振回路12,18が搭載されている。そして、シャーシ32には入力部ホーン52が取付けられ、配線基板34を覆うようにフレーム42が取付けられている。また、配線基板36を覆うようにフレーム46が取付けられている。シャーシ32には、さらに、屋内の衛星放送受信機に信号を出力するF栓コネクタ54が取付けられている。
【0031】
このように配線基板34と配線基板36とをシャーシ32による金属シールドで分離し、配線基板上の回路をフレームで覆って、外部に電波が飛び交わないようにしている。
【0032】
図3は、本発明の実施の形態1に従うLNBの構造を側面から示した図である。
図3を参照して、シャーシ32には、上面に配線基板34が取付けられる。配線基板34を覆うようにフレーム42が取付けられるとともに、配線基板34上に設けられる局部発振回路12が示されている。そして、局部発振回路12に対応する配線基板34の領域を覆うようにフレーム42が形成されている。具体的には、側壁部42C,42Dにより局部発振回路12は、遮蔽された状態となっている。
【0033】
また、シャーシ32には、下面に配線基板36が取付けられている。配線基板36を覆うようにフレーム46が取付けられるとともに、配線基板36上に設けられる局部発振回路18が示されている。そして、局部発振回路18に対応する配線基板36の領域を覆うようにフレーム46が形成されている。具体的には、側壁部46A,46Bにより局部発振回路18は、遮蔽された状態となっている。
【0034】
また、ここでは、配線基板34および36との間を接続する接続ピン5が設けられている場合が示されている。具体的には、接続ピン5は、配線基板34、シャーシ32および配線基板36を貫通して設けられている。そして、この接続ピン5が貫通する配線基板34,36の領域を遮蔽するようにフレーム42および46が設けられている。具体的には、配線基板34側においては、側壁部42B,42Cにより遮蔽された状態となっており、この信号ピン5は、局部発振回路12が遮蔽される領域とは異なる領域に設けられることとする。
【0035】
また、配線基板36側においては、側壁部46B,46Cにより遮蔽された状態となっており、この信号ピン5は、局部発振回路18が遮蔽される領域とは異なる領域に設けられることとする。
【0036】
このように局部発振回路12および18をシャーシ32による金属シールドで分離するとともに、配線基板34と配線基板36とにおいて、配線基板上の各回路をフレームで覆って区分し、特に局部発振回路12および18に対応する領域をフレームで遮蔽することにより局部発振回路の回路領域以外の回路部分にスプリアス信号である電波が飛び交わないようにすることが可能となる。また、信号ピン5に関しても、局部発振回路に対応する領域と異なる領域に信号ピンを設けて、フレームで遮蔽することにより、局部発振回路12,18の電波が接続ピン5に飛び乗りにくくすることが可能となるため2つの局部発振回路が互いに干渉し合うことを抑制することができる。
【0037】
そして、さらに、局部発振回路12,18の配置に関して、配線基板34に設けられる局部発振回路12の真下の配線基板36に局部発振回路18が設けられないよう配置する。すなわち、互いの位置関係が配線基板34および36に対して垂直線上にならないようにずれて配置する。
【0038】
当該構成により、厚みの厚いシャーシ32を設けることなく局部発振回路12と、局部発振回路18との間隔d1を十分に確保することができる。なお、局部発振回路12および18は距離を確保すればするほどスプリアス信号のレベルを低減して、スプリアス信号の影響を抑制することが可能であるため、配線基板34および36の端部の周辺領域に局部発振回路12および18を設けて、局部発振回路12および18の間隔が最大となるように配置することが望ましい。
【0039】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1においては、2つの配線基板34,36を設けてそれぞれの配線基板に対して局部発振回路12,18を設ける構成について説明したが、1つの配線基板に2つの局部発振回路を設ける構成について説明する。
【0040】
図4は、本発明の実施の形態2に従うLNBの構造を側面から示した図である。
図4を参照して、配線基板35を取り付けるためのシャーシ32が設けられる。シャーシ32は、配線基板35の下面側と接着して取り付けられる。また、配線基板35の上面に局部発振回路12が設けられ、下面に局部発振回路18が設けられる。また、配線基板35の上面を覆うためのフレーム42#が設けられる。
【0041】
そして、本実施の形態2に従う構成においては、シャーシ32において、凹み領域が成型され、そして、局部発振回路18がその凹み領域に収納されるように成型されている。この局部発振回路18が凹み領域に収納されることによりシャーシ32と配線基板35との間で局部発振回路18が遮蔽状態となる。
【0042】
また、フレーム42#については、局部発振回路18に対応する領域を覆うように、側壁部42#Aおよび42#Bが設けられ、局部発振回路18を遮蔽状態としている。
【0043】
このように局部発振回路12をフレーム42#で覆って区分し遮蔽するとともに、シャーシ32と配線基板35との間で局部発振回路18を遮蔽することにより局部発振回路の回路領域以外の回路部分にスプリアス信号である電波が飛び交わないようにすることが可能となるため2つの局部発振回路が互いに干渉し合うことを抑制することができる。
【0044】
そして、さらに、局部発振回路12,18の配置に関して、配線基板35の上面側に設けられる局部発振回路12に対して裏面側に局部発振回路18が設けられないように配置する。すなわち、互いの位置関係が配線基板35に対して垂直線上にならないようにずれて配置する。
【0045】
当該構成により、局部発振回路12と、局部発振回路18との間隔d1を十分に確保することができる。なお、局部発振回路12および18は距離を確保すればするほどスプリアス信号のレベルを低減して、スプリアス信号の影響を抑制することが可能であるため、配線基板35の端部の周辺領域に局部発振回路12および18を設けて、局部発振回路12および18の間隔が最大となるように配置することが望ましい。
【0046】
また、当該構成は、実施の形態1で説明したような2つの配線基板ではなく、1つの配線基板を用いた構成であるため装置全体の大きさを縮小することができるとともに、信号ピン等も必要ではなく、部品点数も削減されてコストを低減することが可能なLNBを実現することができる。
【0047】
(実施の形態3)
上記の実施の形態においては、局部発振回路12および18の距離を確保することによりスプリアス信号のレベルを低減できる方式について説明したが、本実施の形態3においては、別の方式でスプリアス信号の影響を抑制する方式について説明する。
【0048】
本実施の形態3においては、実施の形態2の図4で説明したように一枚の回路基板35において、二つの局部発振回路12,18を回路基板35の上面および下面にそれぞれ配置し、局部発振回路12,18のGNDを互いに分離する。
【0049】
図5は、本発明の実施の形態3に従うLNBの構造を側面から示した図である。
図5を参照して、図4で説明した構成と比較して、上面と下面とを電気的に結合するスルーホールCH1,CH2,CH3が回路基板35にさらに設けられた構成が示されている。具体的には、配線基板35の上面に設けられた局部発振回路12はスルーホールCH2を介して下面に設けられた後述するGNDパターンと接続される。また、後述するがフレーム42の側壁部42#Bと後述する下面に設けられたGNDパターンとがスルーホールCH3を介して接続される。また、配線基板35の下面に設けられた局部発振回路18は、スルーホールCH1を介して上面に設けられたフレーム42#と接続されるものとする。フレーム42#は接地されておりフレーム42#およびスルーホールCH1を介して局部発振回路18にGNDが供給される。なお、図示しないが、電源を供給する電源供給ラインおよび信号を伝達する信号伝達ラインは回路基板35の上面に設けられるものとする。
【0050】
図6は、本発明の実施の形態3に従う回路基板35の下面および上面を説明する図である。
【0051】
図6(a)を参照して、ここでは、回路基板35の下面のGNDパターン等のレイアウトが示されている。
【0052】
具体的には、回路基板35の大部分の領域はGNDパターン62として設けられている。このGNDパターン62は、接地されたシャーシ32と接触しており、シャーシ32を介してGNDがGNDパターン62に供給されることになる。このGNDパターン62は、局部発振回路12,18以外の回路素子に対してGNDを供給するために設けられたものであり。また、GNDパターン62とは別に回路基板35の下面側に設けられる局部発振回路18を設けるための領域60が示されており、当該領域60に局部発振回路18が設けられる。そして、当外領域60には、局部発振回路18にGNDを供給するために設けられたスルーホールCH1が設けられている場合が示されている。
【0053】
一方、回路基板35の下面にはGNDパターン62とは別のGNDパターン64が設けられる。本例においては、GNDパターン62とGNDパターン64との間が短絡しないようにGNDパターン64とGNDパターン62との間には、所定の間隔が設けられている。また、2つのスルーホールCH2,CH3が設けられている。
【0054】
図6(b)を参照して、ここでは、回路基板35の上面のGNDパターン等のレイアウトが示されている。
【0055】
具体的には、接地されたフレーム42#と接触しているGNDパターン70が設けられている。そして、上述したように局部発振回路18は、スルーホールCH1を介してこのGNDパターン70と接続されGNDが供給される。
【0056】
また、接地されたフレーム42#の側壁部42#Aと接触しているGNDパターン70が設けられ、回路基板35の上面の図示しない回路に必要なGNDが供給される。そして、スルーホールCH3を介してフレーム42の側壁部42#Bと接続される。そして、スルーホールCH2を介して上述したGNDパターン64と回路基板35の上面の局部発振回路12とが接続されGNDが供給される。
【0057】
すなわち、局部発振回路12と局部発振回路18とは、回路基板35のGNDパターンに関して互いに独立しており、それぞれ異なるGND供給ラインを有することになる。
【0058】
当該構成により、GNDを分離することでGND供給ラインに伝達される局部発振信号の漏洩に基づく相互干渉を抑制することが可能となり、これら二つの局部発振回路の局部発振周波数の差やそれらの高調波との差から発生する、スプリアス信号のレベルを低減できることができる。
【0059】
なお、本例においては、スルーホールCH2,CH3およびGNDパターン64を用いて局部発振回路12にGNDを供給する方式について説明したが、このようなスルーホールを設けることなく、接地されたフレーム42の側壁部42#Bから局部発振回路12に対してGNDが供給されるようにGNDパターンを形成することも可能であるが、回路基板35の下面側にGNDパターンを主に設けて、上面側に設けるGNDパターンの領域を縮小することにより上面側に電源ラインあるいは信号ライン等のパターンをレイアウトすることが容易となり、信号ライン等のレイアウト効率を向上させることも可能である。
【0060】
ここでは、GNDを分離することについて説明したが、実施の形態1および2で説明した方式と組み合わせることも当然に可能である。また、GNDを分離する場合について説明したが例えば電源の供給を分離することによりスプリアス信号のレベルを低減することも可能である。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等な意味および範囲内でのすべての変更点が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態に従うLNB1の構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に従うLNB1の2つの局部発振回路をそれぞれ搭載する配線基板を分離する構造を概略的に示した断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従うLNBの構造を側面から示した図である。
【図4】本発明の実施の形態2に従うLNBの構造を側面から示した図である。
【図5】本発明の実施の形態3に従うLNBの構造を側面から示した図である。
【図6】本発明の実施の形態3に従う回路基板35の下面および上面を説明する図である。
【図7】従来の衛星放送受信装置の断面構造を示した図である。
【符号の説明】
【0063】
1 LNB、2 入力部ホーン、5 接続ピン、8,14 バンドパスフィルタ、20 電源回路、22 セレクト回路、24 アンプ、26 コンデンサ、10,16 ミクサ、28,54 F栓コネクタ、12,18 局部発振回路、32 シャーシ、42,42#,46 フレーム、52 入力部ホーン、34,35,36 配線基板、62,64,70,71 GNDパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星放送を受信するための低雑音ダウンコンバータであって、
対向する第1および第2の面を有する金属製のシャーシと、
前記第1の面に取付けられる第1の配線基板と、
前記第1の配線基板上に設けられる第1の局部発振手段と、
前記第2の面に取付けられる第2の配線基板と、
前記第2の配線基板上に設けられる第2の局部発振手段と、
前記第1および第2の配線基板にそれぞれ対応して設けられ、前記第1および第2の配線基板を覆うための第1および第2のフレームとを備え、
前記第1および第2のフレームの少なくとも一部は、前記第1および第2の配線基板の前記第1および第2の局部発振手段に対する領域を遮蔽するようにそれぞれ成型され、
前記第2の局部発振手段は、前記金属製のシャーシによって前記第1の局部発振手段と分離シールドされ、
前記第2の局部発振手段は、前記第1の配線基板上に設けられた第1の局部発振手段の真下に設けられないようにずれて配置される、低雑音ダウンコンバータ。
【請求項2】
前記第1の配線基板と前記第2の配線基板とを接続するための接続ピンをさらに備え、
前記接続ピンは、前記第1の配線基板、前記シャーシおよび前記第2の配線基板を貫通して設けられ、
前記第1および第2のフレームは、さらに前記接続ピンが貫通する前記第1および第2の配線基板の領域を遮蔽するようにそれぞれ形成され、
前記接続ピンは、前記第1および第2の局部発振手段に対する領域には設けられない、請求項1記載の低雑音ダウンコンバータ。
【請求項3】
前記第1および第2の局部発振手段は、前記第1および第2の配線基板の基板の辺に沿う周辺領域にそれぞれ設けられ、前記第1および第2の局部発振手段の間隔が最大となるようにずれて配置される、請求項1記載の低雑音ダウンコンバータ。
【請求項4】
衛星放送を受信するための低雑音ダウンコンバータであって、
対向する第1および第2の面を有する配線基板と、
前記第1の面上に設けられる第1の局部発振手段と、
前記第2の面上に設けられる第2の局部発振手段と、
前記配線基板の第1の面に対応して設けられ、前記配線基板を覆うためのフレームと、
前記配線基板の第2の面側に設けられ、前記配線基板を取り付けるための金属製のシャーシとを備え、
前記フレームの少なくとも一部は、前記配線基板の前記第1の局部発振手段に対する領域を遮蔽するように成型され、
前記金属製のシャーシは、凹み領域を有し、前記凹み領域により前記配線基板と前記金属製のシャーシとの間で前記第2の局部発振手段が遮蔽され、
前記第2の局部発振手段は、前記配線基板の第1の面上に設けられた第1の局部発振手段の真下に設けられないようにずれて配置される、低雑音ダウンコンバータ。
【請求項5】
前記第1および第2の局部発振手段は、前記配線基板の基板の辺に沿う周辺領域にそれぞれ設けられ、前記第1および第2の局部発振手段の間隔が最大となるようにずれて配置される、請求項4記載の低雑音ダウンコンバータ。
【請求項6】
衛星放送を受信するための低雑音ダウンコンバータであって、
対向する第1および第2の面を有する配線基板と、
前記第1の面上に設けられる第1の局部発振手段と、
前記第2の面上に設けられる第2の局部発振手段と、
前記配線基板の第1の面に対応して設けられ、前記配線基板を覆うためのフレームと、
前記配線基板の第2の面側に設けられ、前記配線基板を取り付けるための金属製のシャーシと、
前記第1および第2の局部発振手段にそれぞれ対応して独立に設けられ、対応する局部発振手段と接続されてGNDが供給される第1および第2のGND供給ラインとを備える、低雑音ダウンコンバータ。
【請求項7】
前記フレームの少なくとも一部は、前記配線基板の前記第1の局部発振手段に対する領域を遮蔽するように成型され、
前記金属製のシャーシは、凹み領域を有し、前記凹み領域により前記配線基板と前記金属製のシャーシとの間で前記第2の局部発振手段が遮蔽される、請求項6記載の低雑音ダウンコンバータ。
【請求項8】
前記フレームは接地され、
前記第1および第2の局部発振手段の一方と前記フレームとが接続され、
前記フレームは、対応するGND供給ラインの一部を形成する、請求項6記載の低雑音ダウンコンバータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−318718(P2007−318718A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−332276(P2006−332276)
【出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】