説明

作業システム

【課題】地面に対する作業を行う作業機の小型化または低コスト化を図ることが可能な作業システムを提供する。
【解決手段】作業システム1は、電力により車両を駆動する駆動源に電力を供給する車載電源11を有する電気自動車10と、上記車載電源11に分離可能に接続され、上記車載電源11からの電力の供給を受けて動作する、地面に対する作業を行う作業機20とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除雪や耕運等の地面に対する作業を行う作業システムに関する。
【背景技術】
【0002】
地面に積もった雪を除去する除雪機や、地面を耕す耕運機など、地面に対する作業を行う作業機がある。
【0003】
なお、特許文献1には、電気モータを動力源とする電気自動車であって、電気モータに電力を供給する高圧バッテリと、当該高圧バッテリの直流電圧を交流電圧に変換するインバータと、当該インバータに接続されたアクセサリコンセントとを有するものが開示されている。この電気自動車では、アクセサリコンセントは、電気製品(掃除機、電子レンジ、ドライヤ等)を接続可能に構成されており、接続された電気製品へ向けてインバータからの交流電圧を印加する機能を有している。
【0004】
また、特許文献2には、荷役用移動リフトが設けられる道路走行車輌であって、荷役用移動リフトの蓄電池を充電する充電機構を有するものが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、内燃機関と電動モータとを備えた自走式農作業機であって、内燃機関の駆動で発電する発電機と、当該発電機で発電された電力を電動モータ駆動用に蓄えるバッテリと、電動モータまたは内燃機関により作動される作業用装置とを有するものが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2004−328815号公報
【特許文献2】特開平8−217394号公報
【特許文献3】特開2004−242558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記除雪機や耕運機等の地面に対する作業を行う作業機は、その作業に大きなエネルギーを要するため、一般に大型で高価である。
【0008】
そこで、本発明は、地面に対する作業を行う作業機の小型化または低コスト化を図ることが可能な作業システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る作業システムは、電力により車両を駆動する駆動源に電力を供給する車載電源を有する電気自動車と、前記車載電源に分離可能に接続され、前記車載電源からの電力の供給を受けて動作する、地面に対する作業を行う作業機と、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様では、前記作業機は、前記電気自動車に着脱可能に取り付けられ、前記電気自動車とともに移動しながら作業を行う。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記作業機は、地面上の雪を除去する除雪機能を有する。
【0012】
また、本発明の一態様では、前記作業機は、地面を耕す耕運機能を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、地面に対する作業を行う作業機の小型化または低コスト化を図ることが可能な作業システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る作業システム1の構成の一例を示す概略図である。この作業システム1は、除雪や耕運などの地面に対する作業を行うシステムである。図1に示されるように、作業システム1は、電気自動車10と作業機20とを含む。
【0016】
電気自動車10は、電力を用いて車両を駆動する駆動源(不図示)と、当該駆動源に電力を供給する車載電源11とを有する。ここで、駆動源は、例えばモータなどであり、車載電源11は、例えば、バッテリ、キャパシタ、燃料電池などである。電気自動車10としては、例えば、いわゆる電気自動車(EV: Electric Vehicle)、駆動源として内燃機関およびモータを有するハイブリッド自動車(HV: Hybrid Vehicle)、燃料電池車(FCEV: Fuel cell Electric Vehicle)などが挙げられるが、その種類は特に限定されない。
【0017】
作業機20は、電気自動車10の車載電源11に分離可能に接続され、車載電源11からの電力の供給を受けて動作する、地面に対する作業を行う装置である。ここで、地面に対する作業としては、例えば、地面上の雪を除去する除雪作業や、地面を耕す耕運作業、地面上の芝を刈る芝刈り作業などが挙げられる。すなわち、作業機20は、例えば、地面上の雪を除去する除雪機能、地面を耕す耕運機能、および地面上の芝を刈る芝刈り機能のうち、1または複数の機能を有する。
【0018】
一つの態様では、作業機20は、図1に示されるように、電気自動車10から離して接続され、電気自動車10から離れて作業を行う。すなわち、作業機20は、電気自動車10から離して使用される。
【0019】
当該一つの態様では、作業機20は、例えば電源ケーブル30を介して車載電源11に接続される。また、作業機20は、例えば、当該作業機20に設けられたモータ等の駆動源の駆動力、または手押し等の人力により移動させられる。作業機20に設けられた駆動源により移動させられる態様では、作業機20の移動は、作業機20の操作部に対する利用者の操作に基づいて制御されてもよいし、有線式または無線式の遠隔操作部(リモートコントローラ)に対する利用者の操作に基づいて遠隔(リモート)で制御されてもよい。ここで、遠隔操作部としては、電気自動車10に設けられた、電気自動車10を操作するための操作部(例えばヘッドライトやワイパー等のスイッチ)が利用されてもよい。
【0020】
上記の電源ケーブル30は、伸縮可能であることが好ましい。例えば、電源ケーブル30は、電気自動車10と作業機20との距離に応じて伸びたり縮んだりすることが好ましい。
【0021】
また、別の一つの態様では、作業機20は、図2や図3に示されるように、電気自動車10に着脱可能に取り付けられ、電気自動車10とともに移動しながら作業を行う。すなわち、作業機20は、電気自動車10と一体化して使用される。図2では、作業機20は、電気自動車10の前方に取り付けられている。この取り付け方式は、作業機20を除雪機として使用する場合に適している。図3では、作業機20は、電気自動車10の後方に取り付けられている。この取り付け方式は、作業機20を耕運機として使用する場合に適している。好適な一態様では、作業機20は、電気自動車10の前方および後方のどちらでも取り付け可能である。
【0022】
当該一つの態様では、作業機20は、例えば、有線式または無線式の遠隔操作部(リモートコントローラ)に対する利用者の操作に基づいて遠隔(リモート)で制御される。ここで、遠隔操作部は、例えば、電気自動車10の車内に設けられる。この場合、遠隔操作部としては、電気自動車10を操作するための操作部(例えばヘッドライトやワイパー等のスイッチ)が利用されてもよい。
【0023】
また、当該一つの態様では、作業機20は、電気自動車10の移動またはシフト操作に連動して動作するように制御されることが好ましい。
【0024】
なお、図1〜3に示される例では、作業機20は、ケース21と、当該ケース21に設けられた取っ手22と、ケース21に収容され、車載電源11からの電力の供給を受けて駆動力を発生させるモータ(不図示)と、当該モータの駆動力により駆動されて地面に対する作業を行う作業部23とを有している。ただし、作業機20の具体的な構成は、上記に限定されない。
【0025】
また、上記第1および第2の態様において、作業機20と車載電源11とは、例えば電源ケーブルやコネクタなどを用いて、適宜の方式で電気的に接続されればよい。また、上記第2の態様において、作業機20と電気自動車10とは、適宜の取り付け機構で機械的に取り付けられればよい。
【0026】
また、作業機20は、適宜の場所に置かれればよい。一つの態様では、作業機20は、電気自動車10に積まれる。また、別の一つの態様では、作業機20は、電気自動車10には積まれず、雪道や畑などの所定の場所に常設される。
【0027】
また、好適な一態様では、作業機20は、上記第1および第2の態様の両方で使用可能に構成され、いずれの態様で使用するかが利用者に選択される。
【0028】
図4は、電気自動車10の構成の一例を示す概略ブロック図である。図4に示される例では、電気自動車10は、駆動源として内燃機関およびモータを有するハイブリッド自動車である。以下、図4を参照して、電気自動車10の具体的な構成の一例を説明する。
【0029】
図4において、電気自動車10は、左右一対の駆動輪である前輪40L,40Rと、左右一対の非駆動輪である後輪42L,42Rとを備えている。
【0030】
電気自動車10は、燃料により動力を出力する内燃機関であるエンジン44と、当該エンジン44に接続された動力分割機構46と、当該動力分割機構46に接続されたモータMG1,MG2とを備えている。
【0031】
動力分割機構46は、外歯歯車のサンギアと、このサンギアと同心円上に配置された内歯歯車のリングギアと、サンギアに噛合すると共にリングギアに噛合する複数のピニオンギアと、複数のピニオンギアを自転かつ公転自在に保持するキャリアとを備え、サンギアとリングギアとキャリアとを回転要素として差動作用を行う遊星歯車機構として構成されている。キャリアにはエンジン44のクランクシャフトが、サンギアにはモータMG1が、リングギアにはリングギア軸を介してモータMG2がそれぞれ連結されている。動力分割機構46のリングギアは、フロントディファレンシャル装置48を介して前輪40L,40Rに接続されている。また、モータMG1,MG2には、インバータ50を介して車載電源である高圧バッテリ52が接続されている。
【0032】
上記構成において、エンジン44の動力は、動力分割機構46によってモータMG1と前輪40L,40Rとに分配され、モータMG1での発電と前輪40L,40Rの駆動とに用いられる。モータMG1で発電された電力は、インバータ50により交流から直流に変換され、高圧バッテリ52またはモータMG2に供給され、高圧バッテリ52の充電またはモータMG2の駆動に用いられる。
【0033】
また、モータMG2は、高圧バッテリ52またはモータMG1からインバータ50を介して電力の供給を受けて動力を発生させ、当該動力は、動力分割機構46のリングギアおよびフロントディファレンシャル装置48を介して前輪40L,40Rに伝達される。
【0034】
なお、高圧バッテリ52とインバータ50との間には、高圧バッテリ52の電圧を昇圧する昇圧コンバータが設けられてもよい。この昇圧コンバータは、高圧バッテリ52の電圧(例えば200〜300V程度)を昇圧し、昇圧後の電圧(例えば500〜600V程度)をインバータ50に供給するものである。
【0035】
図5は、作業機20の構成の一例を示す概略斜視図である。以下、図5を参照して、作業機20の具体的な構成を説明する。
【0036】
図5において、作業機20は、不図示の作業用モータを内蔵する本体部60を有する。この本体部60の前部には、地面に対する作業を行う作業部としてのオーガ62が設けられている。このオーガ62は、作業用モータから駆動力を受けて動作(具体的には回転)する。また、本体部60には、オーガ62により集められた雪やオーガ62により刈られた芝を排出するためのシューター64と、左右一対の車輪66と、利用者の操作を受け付ける操作盤68と、作業機20を持つための取っ手70と、作業機20と電気自動車10とを接続するための電源ケーブル72とが設けられている。電源ケーブル72は、作業機20と電気自動車10との間の制御信号を伝達する制御線を含んでいてもよい。また、作業機20は、当該作業機20の動作を制御する不図示の制御装置をさらに備えている。
【0037】
操作盤68は、図6に示されるように、作業機20の運転のON/OFFを切り替えるための運転切替レバー68aと、オーガ62の動作スピードを切り替えるためのスピード切替レバー68bと、作業機20の動作モードを切り替えるためのモード切替レバー68cとを有する。
【0038】
上記操作盤68において、運転切替レバー68aが操作されると、制御装置は、当該操作に応じて、作業機20の運転のON/OFFを切り替える。具体的には、制御装置は、運転切替レバー68aが「ON」の位置に操作されると、作業用モータによるオーガ62の駆動を開始させ、運転切替レバー68aが「OFF」の位置に操作されると、作業用モータによるオーガ62の駆動を停止させる。
【0039】
また、スピード切替レバー68bが操作されると、制御装置は、当該操作に応じてオーガ62の動作スピードを切り替える。具体的には、制御装置は、スピード切替レバー68bの操作位置に応じて、作業用モータの回転スピードやギアを制御して、オーガ62の動作スピードを切り替える。
【0040】
また、モード切替レバー68cが操作されると、制御装置は、当該操作に応じて作業機20の動作モードを切り替える。具体的には、制御装置は、モード切替レバー68cが「除雪」の位置に操作されると、作業機20が除雪機として動作するように制御する。この場合、地面上の雪はオーガ62により集められ、本体部60の内部に収集され、シューター64を通して捨てられる。また、制御装置は、モード切替レバー68cが「耕運」の位置に操作されると、作業機20が耕運機として動作するように制御する。この場合、作業機20は、オーガ62により土を掘りかえして地面を耕す。また、制御装置は、モード切替レバー68cが「芝刈」の位置に操作されると、作業機20が芝刈り機として動作するように制御する。この場合、地面上の芝はオーガ62により刈られて、本体部60の内部に収集され、シューター64を通して捨てられる。なお、この場合、シューター64に収集袋が装着され、刈られた芝が収集袋内に収集されてもよい。
【0041】
図7は、作業機20の駆動機構の第1の構成例を示す概略ブロック図である。図7に示される第1の構成例では、作業機20は、作業用モータとして直流(DC)モータ80を有する。この構成では、DCモータ80は、電気自動車10の高圧バッテリ52から直流電力の供給を受けて駆動力を発生させ、当該駆動力によりオーガ62を駆動する。なお、DCモータ80は、電気自動車10の昇圧コンバータから昇圧後の直流電力の供給を受けてもよい。
【0042】
図8は、作業機20の駆動機構の第2の構成例を示す概略ブロック図である。図8に示される第2の構成例では、作業機20は、作業用モータとして交流(AC)モータ82を有する。この構成では、ACモータ82は、電気自動車10のインバータ50から交流電力の供給を受けて駆動力を発生させ、当該駆動力によりオーガ62を駆動する。
【0043】
図9は、作業機20の駆動機構の第3の構成例を示す概略ブロック図である。図9に示される第3の構成例では、作業機20は、作業用モータとしての交流(AC)モータ82と、当該ACモータ82に接続されたインバータ84とを有する。この構成では、作業機20のインバータ84は、電気自動車10の高圧バッテリ52から供給される直流電力を交流電力に変換してACモータ82に供給し、ACモータ82は、インバータ84から交流電力の供給を受けて駆動力を発生させ、当該駆動力によりオーガ62を駆動する。なお、インバータ84は、電気自動車10の昇圧コンバータから昇圧後の直流電力の供給を受けてもよい。
【0044】
以上のとおり、本実施の形態に係る作業システムは、電力により車両を駆動する駆動源に電力を供給する車載電源を有する電気自動車と、上記車載電源に分離可能に接続され、上記車載電源からの電力の供給を受けて動作する、地面に対する作業を行う作業機と、を含む。このため、本実施の形態によれば、地面に対する作業を行う作業機の小型化または低コスト化を図ることが可能な作業システムが提供される。
【0045】
また、本実施の形態では、作業機が電動式であるので、作業機が内燃機関により動作する場合と比較して、環境汚染が少ない。
【0046】
また、本実施の形態の一態様では、作業機は、電気自動車に着脱可能に取り付けられ、電気自動車とともに移動しながら作業を行う。この態様によれば、作業機を容易に移動させることができる。また、例えば、広い範囲について除雪や耕運等を容易に行うことが可能となる。
【0047】
また、作業機が地面上の雪を除去する除雪機能を有する態様によれば、小型または低コストの除雪機を実現することが可能となる。
【0048】
また、作業機が地面を耕す耕運機能を有する態様によれば、小型または低コストの耕運機を実現することが可能となる。
【0049】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施の形態に係る作業システムの構成の一例を示す概略図である。
【図2】実施の形態に係る作業システムの構成の一例を示す概略図である。
【図3】実施の形態に係る作業システムの構成の一例を示す概略図である。
【図4】電気自動車の構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図5】作業機の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図6】作業機の操作盤の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図7】作業機の駆動機構の第1の構成例を示す概略ブロック図である。
【図8】作業機の駆動機構の第2の構成例を示す概略ブロック図である。
【図9】作業機の駆動機構の第3の構成例を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0051】
1 作業システム、10 電気自動車、11 車載電源、20 作業機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力により車両を駆動する駆動源に電力を供給する車載電源を有する電気自動車と、
前記車載電源に分離可能に接続され、前記車載電源からの電力の供給を受けて動作する、地面に対する作業を行う作業機と、
を含むことを特徴とする作業システム。
【請求項2】
請求項1に記載の作業システムであって、
前記作業機は、前記電気自動車に着脱可能に取り付けられ、前記電気自動車とともに移動しながら作業を行うことを特徴とする作業システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の作業システムであって、
前記作業機は、地面上の雪を除去する除雪機能を有することを特徴とする作業システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の作業システムであって、
前記作業機は、地面を耕す耕運機能を有することを特徴とする作業システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−196153(P2008−196153A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−30751(P2007−30751)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】