説明

作業工具

【課題】高性能なトルクリミッタに関する技術を提供する。
【解決手段】トルクリミッタ210は、第2べベルギア211と、スピンドル213と、第2べベルギア211の回転力が伝達されるフランジ212と、第2べベルギア211とフランジ212の間に介在して配置される複数のボール214とを有している。ボール214は、第1の領域に位置して第2べベルギア211とボール214とフランジ212が一体となって回転することで、回転力をフランジ212に伝達する。一方で、スピンドル213に所定値以上のトルクが作用した場合には、第2べベルギア211とフランジ212に相対的な回転が生じて、相対的な回転によってボール214が転がりながら第1の領域から第2の領域に移動して第2の領域に位置することで、第2べベルギア211からフランジ212に伝達される回転力を規制し、これにより、スピンドル213に作用するトルクを規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トルクリミッタを備えた作業工具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、作業工具として、特開2007−326168号に記載されているようなトルクリミッタを備えたハンマドリルが知られている。このトルクリミッタは、駆動ギアによって回転される中間ギアと、複数のカム部が形成された被動フランジと、中間ギアの周方向に所定間隔で形成された複数の保持孔に保持されるボールと、押圧プレートと、押圧プレートを押圧する皿バネで構成されている。ハンマドリルを駆動したときに、ハンマビットに作用するトルクが所定の設定値よりも低い状態では、皿バネの付勢力により押圧プレートが中間ギアを被動フランジに押圧して一体となって回転することで、中間ギアのトルクが被動フランジに伝達される。一方、ハンマビットに設定値以上のトルクが作用したときは、皿バネの付勢力に抗して、ボールがカム部に乗り上がることで、押圧プレートが押し上げられて、中間ギアの押圧が解除され、中間ギアから被動フランジへのトルクの伝達が解除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−326168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特開2007−326168号に記載されたトルクリミッタにおいては、駆動ギアによって回転される中間ギアに形成された保持孔によって、ボールが保持されている。そして、駆動時には、中間ギアからボールに対して、横方向からボールの中心に向かってボールを押す力が働く。ハンマビットに設定値以上のトルクが作用したときには、ボールが皿バネから高い付勢力を受けているため、ボールは中間ギアに横方向から押されて被動フランジ上を滑りながら移動する。その結果、ボールと被動フランジの摩擦力によって、トルクリミッタの円滑な動作が妨げられることとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上記に鑑み、より高性能なトルクリミッタに関する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る作業工具の好ましい形態によれば、駆動側回転部材と、回転軸を有するとともに、駆動側回転部材の回転力が伝達される被駆動側回転部材と、駆動側回転部材と被駆動側回転部材の間に介在して配置される複数の転動部材とを有し、回転軸に所定値以上のトルクが作用したときに、駆動側回転部材から被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制するトルクリミッタを備えている。トルクリミッタの転動部材は、回転力を被駆動側回転部材に伝達する第1の領域と、被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制する第2の領域とを移動するように構成されている。そして、第1の領域に位置して駆動側回転部材と転動部材と被駆動側回転部材が一体となって回転することで、回転力を被駆動側回転部材に伝達する。一方で、回転軸に所定値以上のトルクが作用した場合には、駆動側回転部材と被駆動側回転部材に相対的な回転が生じて、相対的な回転によって転動部材が転がりながら第1の領域から第2の領域に移動して第2の領域に位置することで、被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制する。「被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制する」とは、転動部材が第1の領域に位置する場合に比べて、被駆動側回転部材に伝達される回転力を減少、または、遮断させる態様を好適に含む概念である。
【0007】
本発明によれば、駆動側回転部材と被駆動側回転部材の相対的な回転によって転動部材が転がりながら第1の領域から第2の領域に移動するため、転動部材が摩擦力に抗して滑りながら移動する場合に比べてエネルギ損失が少なく、トルクリミッタが円滑に動作する作業工具を提供することができる。また、転動部材の摩耗を低減でき、トルクリミッタ、すなわち、作業工具を長寿命化することができる。
【0008】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、作業工具は、駆動側回転部材と被駆動側回転部材を互いに接近する方向に付勢する付勢部材を有している。そして、駆動側回転部材は、転動部材と当接する第1の溝と第1の溝よりも深い第2の溝と回転面に対して傾斜状に設けられた駆動側傾斜面を有している。第1の溝と第2の溝は、駆動側傾斜面を介して周方向に連続かつ連接状に配置されている。さらに、被駆動側回転部材は、転動部材と当接する第1の溝に対応した第3の溝と第3の溝よりも深い第2の溝に対応した第4の溝と回転面に対して傾斜状に設けられた被駆動側傾斜面を有している。第3の溝と第4の溝は、被駆動側傾斜面を介して周方向に連続かつ連接状に配置されている。そして、駆動側傾斜面の所定の第1部分と、被駆動側傾斜面の所定の第2部分が第1の領域を構成するとともに、第1の溝、第2の溝、および駆動側傾斜面の第1部分以外の部分と、第3の溝、第4の溝、および被駆動側傾斜面の第2部分以外の部分が第2の領域を構成している。
【0009】
本形態によれば、駆動側傾斜面の所定の部分と、被駆動側傾斜面の第2部分が第1の領域を構成して、付勢部材の付勢力によって、駆動側回転部材と転動部材と被駆動側回転部材が一体となって回転することで、回転力を被駆動側回転部材に伝達できる。そして、転動部材が第2の領域に移動する場合には、駆動側傾斜面と被駆動側傾斜面を転がりながら移動することができる。したがって、駆動側回転部材に第1の溝と第2の溝と駆動側傾斜面を形成して、被駆動側回転部材に第3の溝と第4の溝と被駆動側傾斜面を形成して、付勢部材の付勢力を利用する簡単な構成で、トルクリミッタを円滑に動作させることができる。
【0010】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、付勢部材は、常時、駆動側回転部材と被駆動側回転部材を互いに接近する方向に付勢する。
【0011】
本形態によれば、転動部材が第2の領域に位置して、被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制する場合であっても、付勢部材の付勢力によって転動部材が駆動側回転部材と被駆動側回転部材に当接する。そのため、転動部材は、第2の領域に位置している場合でも確実に転がりながら移動することができる。これにより、転動部材が摩耗することを低減できる。また、付勢部材の付勢力によって、駆動側回転部材と被駆動側回転部材が傾いて回転することを抑制することができる。
【0012】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、駆動側回転部材と被駆動側回転部材の間に配置された緩衝部材を有し、緩衝部材は、転動部材が第1の溝に当接するときには、駆動側回転部材と被駆動側回転部材のいずれか一方にのみ当接し、転動部材が第2の溝に当接するときには、駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材のいずれにも当接する厚さを有する構成とされている。
【0013】
本形態によれば、緩衝部材を有しているため、転動部材が第1の溝から第2の溝に移動するときに、駆動側転動部材と被駆動側転動部材が移動し、停止する際に生じる衝撃力を緩衝することができる。
【0014】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、第2の溝は、複数の転動部材に対応して、周方向に等間隔に複数設けられており、緩衝部材は、複数の転動部材を等間隔に保持する間隔保持部を有する構成とされている。
【0015】
本形態によれば、緩衝部材が、複数の転動部材の間隔も保持する機能を備えており、作業工具に用いられる部品点数を少なくすることができるとともに、等間隔に保持された複数の転動部材によって、回転力を被駆動側回転部材に伝達することと、被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制することを正確に切り替えることができる。これにより、トルクリミッタを円滑に動作させることができる。
【0016】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、作業工具は、駆動側回転部材と被駆動側回転部材の間に配置され、複数の転動部材同士を回転方向に等間隔に保持する間隔保持部材を有する。
【0017】
本形態によれば、間隔保持部材が、複数の転動部材の間隔を保持できるため、等間隔に保持された複数の転動部材によって、回転力を被駆動側回転部材に伝達することと、被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制することを正確に切り替えることができる。これにより、トルクリミッタを円滑に動作させることができる。
【0018】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、作業工具は、駆動側回転部材と転動部材を互いに接近する方向に付勢する付勢部材と、付勢部材と被駆動側回転部材の間に配置されたスラストベアリングを有している。また、被駆動側回転部材は、スラストベアリングを介した付勢部材の付勢力を転動部材に伝達して、転動部材を駆動側回転部材に押圧する押圧部材と、回転軸に回転力を伝達する伝達部材とを備えている。そして、駆動側回転部材は、転動部材と当接する第1の溝と第1の溝よりも深い第2の溝と回転面に対して交差する交差面を有している。第1の溝と第2の溝は、交差面を介して周方向に連続かつ連接状に配置されている。交差面の所定の部分が第1の領域を構成するとともに、第1の溝、第2の溝、および前記交差面の前記所定の部分以外の部分が第2の領域を構成している。
【0019】
本形態によれば、被駆動側回転部材は、スラストベアリングを介した付勢部材の付勢力を転動部材に伝達して、転動部材を駆動側回転部材に押圧する押圧部材と、回転軸に回転力を伝達する伝達部材とを備えているため、回転力を伝達部材を介して回転軸に伝達する際には、駆動側回転部材と押圧部材が一体となって回転し、被駆動側回転部材に伝達する回転力を規制する際には、駆動側回転部材と押圧部材との間に相対的な回転が生じて、相対的な回転によって転動部材が転がりながら第1の領域から第2の領域に移動することができる。そのため、転動部材が摩耗することを低減でき、トルクリミッタ、すなわち、作業工具を長寿命化することができる。
【0020】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、作業工具は、被駆動側回転部材における押圧部材と伝達部材の間に配置された緩衝部材を有する構成とされている。
【0021】
本形態によれば、緩衝部材を有しているため、転動部材が第1の溝から第2の溝に移動するときに、押圧部材と伝達部材の移動し、停止する際に生じる衝撃力を緩衝することができる。
【0022】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、第2の溝は、転動部材が当接したときに、転動部材の回転方向の自由移動を規制する周方向の長さを有する構成とされている。
【0023】
作業工具の動作開始前、または、動作終了後は、転動部材は第2の溝に位置している。このとき、第2の溝において転動部材が自由移動可能であると、動作開始時、または、動作終了時に、回転軸に不要不急のトルクが付与される可能性がある。本形態によれば、第2の溝は、転動部材の回転方向の自由移動を規制する周方向の長さを有しているため、動作開始時、または、動作終了時に、回転軸に不要不急のトルクが付与されることなく、トルクリミッタを円滑に動作させることができる。
【0024】
本発明に係る作業工具の更なる形態によれば、駆動側回転部材は、回転駆動部の回転出力が伝達されるギア部を備えている。「回転駆動部」とは、典型的には、モータなどの回転力を出力する部材を好適に含む概念である。
【0025】
本形態によれば、駆動側回転部材は、回転駆動部の回転出力が伝達されるギアを兼ねることができるため、作業工具に用いられる部品点数を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、より高性能なトルクリミッタに関する技術を提供することできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係るグラインダの全体構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係るトルクリミッタを示す断面図である。
【図3】トルクリミッタの分解斜視図である。
【図4】トルクリミッタの第2べベルギアとフランジの周方向に沿った部分断面図である。
【図5】図1のV−V線の部分断面図である。
【図6】トルクリミッタの動作を示すトルクリミッタの周方向に沿った部分断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るトルクリミッタを示す断面図である。
【図8】トルクリミッタの分解斜視図である。
【図9】トルクリミッタの第2べベルギアとフランジの周方向に沿った部分断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態における図5相当の部分断面図である。
【図11】トルクリミッタの動作を示すトルクリミッタの周方向に沿った部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態につき、図面を参照しつつ、詳細に説明する。本実施の形態では、作業工具としてグラインダを例に挙げて説明する。このグラインダは、研削工具や研磨工具などの砥石や、切断工具等を回転させて、被加工材に対して研削や研磨および切断等を行う作業工具である。
【0029】
図1に示すように、グラインダ1は、メインハウジング10とギアハウジング20とホイールカバー30とリアカバー40を主体として構成されている。
【0030】
メインハウジング10は、略円筒形状のハウジングあり、モータ100を収容している。モータ100の回転軸101は、ギアハウジング20に向かって突出するように配置されている。
【0031】
ギアハウジング20は、メインハウジング10の一方側に設けられ、モータ100の回転軸101に外装された第1べベルギア200と、砥石2が取り付けられるスピンドル213を有するトルクリミッタ210と、砥石2の交換時にスピンドル213の回転を規制するロック部材270(図5参照)等を収容している。
【0032】
ホイールカバー30は、ギアハウジング20の外部に着脱可能に取り付けられた略半円形状の部品である。ホイールカバー30は、スピンドル213に取り付けられた砥石2の外側を半周覆うように構成されており、砥石2によって加工された被加工材の破片の飛散を抑制するとともに、回転する砥石2からユーザを保護する。
【0033】
リアカバー40は、メインハウジング10のギアハウジング20と反対側に設けられ、電源配線部300を収容している。電源配線部300には、外部の電源から電流を供給する電源コード301と、グラインダ1の駆動のON/OFFを切り替えるスイッチ302が設けられている。この電源配線部300は、モータ100に電気的に接続されている。
【0034】
次に、図2〜図4を参照して、トルクリミッタ210について詳細に説明する。図2に示すように、トルクリミッタ210は、第2べベルギア211、フランジ212、スピンドル213、ボール214、ボールリテーナ215、および付勢バネ216を主体として構成されている。
【0035】
図2、図3に示すように、第2べベルギア211は、金属製の略円盤形状であり、中央部には凹部220が形成されている。凹部220の中心部にはスピンドル213が貫通する貫通孔221が形成されている。また、凹部220の外側の周縁部にはギア歯が形成されており、第1べベルギア200と噛合するギア部222を構成している。なお、図3においては、ギア部222のギア歯の図示を省略している。
【0036】
また、図3、図4に示すように、凹部220の底面には、第1カム溝223と第2カム溝224とが、傾斜面225a,225bを介して周方向に連接して配置されて、貫通孔221周りの円を形成している。第2カム溝224は、周方向に6か所配置されている。また、第2カム溝224は、第1カム溝223よりも深く、周方向において第1カム溝223よりも短く形成されている。傾斜面225は、凹部220の底面に対して傾斜している。すなわち、傾斜面225は、第2べベルギア211の回転面に対して傾斜状に設けられている。なお、図4における矢印は、第2べベルギア211の回転方向を示している。この第2べベルギア211が本発明の「駆動側回転部材」に対応し、第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225がそれぞれ本発明の「第1の溝」、「第2の溝」、「駆動側傾斜面」に対応する実施構成例である。
【0037】
フランジ212は、金属製の円盤形状であり、中心部にスピンドル213と係合する貫通孔230が形成されている。フランジ212の第2べベルギア211と対向する面(図4における下側の面)には、第3カム溝231と第4カム溝232とが、傾斜面233a,233bを介して周方向に連接して配置されて、貫通孔230周りの円を形成している。第4カム溝232は、周方向に6か所配置されている。また、第4カム溝232は、第3カム溝231よりも深く形成されている。第3カム溝231の周方向の長さは、第1カム溝223の周方向の長さに一致し、第4カム溝232の周方向の長さは、第2カム溝224の周方向の長さに一致する。これにより、第3カム溝231と第4カム溝232と傾斜面233が形成する円の直径は、第2べベルギア221に形成された第1カム溝223と第2カム溝224および傾斜面225が形成する円の直径と一致している。また、傾斜面233は、フランジ212の表面に対して傾斜している。すなわち、傾斜面233は、フランジ212の回転面に対して傾斜状に設けられている。この傾斜面233の、フランジ212の回転面に対する角度は、第2べベルギア211の傾斜面225の、第2べベルギア211の回転面に対する角度と同じ角度を有している。この第3カム溝231、第4カム溝232、傾斜面233がそれぞれ本発明の「第3の溝」、「第4の溝」、「被駆動側傾斜面」に対応する実施構成例である。なお、図4では、説明の便宜上、第2べベルギア211とフランジ212の断面のみを図示しており、ボール214、ボールリテーナ215等については、図示を省略している。
【0038】
スピンドル213は、略円柱形状であり、貫通孔230に挿通された状態で篏合ピン234が篏合する篏合溝280を有している。篏合ピン234が篏合溝280と篏合して、スピンドル213はフランジ212と一体となっている(図5参照)。このスピンドル213が本発明の「回転軸」に対応し、スピンドル213と一体になったフランジ212が本発明の「被駆動側回転部材」に対応する実施構成例である。
【0039】
ボール214は、金属製であり、第2カム溝224に対応して6つ配置されている。ボールリテーナ215は、樹脂製の円盤形状であり、中心部にスピンドル213が貫通する貫通孔240が形成されており、貫通孔240の周囲には、ボール214を保持するボール保持孔241が周方向に6か所、等間隔に形成されている。この6つのボール保持孔241は、第2カム溝224に対応して第2カム溝224と同じ間隔で形成されている。このボール214が本発明の「転動部材」に対応し、ボールリテーナ215が「間隔保持部材」に対応し、ボール保持孔241が「間隔保持部」に対応する実施構成例である。
【0040】
付勢バネ216は、平座金251を挟んで、互いに向きを変えて配置した1組の皿バネ250を2組連接して配置した構成である。この皿バネ250の数は、必要な付勢力に応じて適宜変更することが可能である。この付勢バネ216が本発明の「付勢部材」に対応する実施構成例である。
【0041】
図2に示すように、これらの第2べベルギア211、フランジ212、スピンドル213、ボール214、ボールリテーナ215、および付勢バネ216が組み付けられて、トルクリミッタ210を構成している。第2ベベルギア211、およびボールリテーナ215は、スピンドル213に対して相対回転可能に組み付けられており、フランジ212、および付勢バネ216は、スピンドル213と一体に回転する。また、ボール214は、第2ベベルギア211の第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225に沿って移動可能であり、同様に、フランジ212の第3カム溝231、第4カム溝232、傾斜面233に沿って移動可能である。スピンドル213の端部には、ナット252が螺合しており、ナット252の位置を調整することによって、付勢バネ216の付勢力を調整することができる。この付勢力が、フランジ212と第2べベルギア211を互いに接近させる方向に付勢している。
【0042】
このトルクリミッタ210は、図1、図2に示すように、スピンドル213の一端がギアハウジング20から突出するように、2つのボールベアリング260によってギアハウジング20に保持されている。これによって、トルクリミッタ210は、スピンドル213の長軸方向とモータ100の回転軸101が直交するようにギアハウジング20内に配置されている。
【0043】
スピンドル213の先端部には、図1に示すように、インナフランジ281とアウタフランジ282が取り付けられている。アウタフランジ282は、スピンドル213と螺合し、インナフランジ281とアウタフランジ282で砥石2を挟持する構成となっている。
【0044】
以上の通り、グラインダ1は、トルクリミッタ210が配置されることで、第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225は、第2べベルギア211において、スピンドル213の長軸方向に関して砥石2が取り付けられる側の反対側に形成されている。同様に、ギア部222も第2べベルギア211において、砥石2が取り付けられる側の反対側に形成されている構成となっている。
【0045】
次に、図5を参照して、ロック部材270について説明する。ロック部材270は、ロックピン271と押圧キャップ272とコイルバネ273を主体として構成されている。ロックピン271は、スピンドル213の長軸方向と平行に、ギアハウジング20を貫通して配置されている。ロックピン271には、鍔状の抜け防止部274が設けられており、ギアハウジング20の外部に抜けることを防止している。ロックピン271の先端は、トルクリミッタ210のフランジ212に設けられた係合凹部235と係合するように構成されている。
【0046】
押圧キャップ272は、ギアハウジング20の外側でロックピン271の他端と結合している。コイルバネ273は、ギアハウジング20の外側でロックピン271に外装されており、一端が押圧キャップ272と係合し、他端がギアハウジング20の外側に設けられた凹状のコイルバネ係合部21と係合している。
【0047】
以上のロック部材270は、コイルバネ273の付勢力によって、ギアハウジング20から外側に向かう方向に付勢されており、抜け防止部274がギアハウジング20と当接してロック部材270の抜けを防止している。このとき、ロックピン271の先端は、フランジ212の係合凹部235から離れて位置している。
【0048】
ロック部材270がコイルバネ273の付勢力に抗して押されると、ロックピン271がフランジ212に近づく方向に移動し、ロックピン271先端が係合凹部235と係合する。これにより、フランジ212の周方向の移動を規制して、砥石2を交換する際に、スピンドル213が回転するのを規制する。このロック部材270が本発明の「回転規制部材」に対応する実施構成例である。
【0049】
以上の通り構成されたグラインダ1は、スイッチ302が操作されることによって、外部の電源から電気配線部300を介して、モータ100に電力が供給される。これにより、モータ100が回転駆動し、回転軸101に取り付けられた第1べベルギア200が回転する。第1べベルギア200と第2べベルギア211が螺合して回転することで、モータ100の回転出力をスピンドル213周りの回転力に変換して、スピンドル213に装着された砥石2を回転させる。回転する砥石2を被加工材に押し当てることで被加工材を加工することができる。
【0050】
次に図6を参照して、トルクリミッタ210の動作について説明する。なお、図6では、説明の便宜上、トルクリミッタ210の第2べベルギア211、フランジ212、ボール214、ボールリテーナ215のみを図示しており、付勢バネ216等については、図示を省略している。また、1つのボール214のみについて説明するが、他のボール214の動きも同様である。また、図6(b)〜図6(f)における矢印Aは、第2べベルギア211の回転方向を示しており、図6(c)〜図6(f)における矢印Bは、ボール214が移動するときの回転を示している。
【0051】
図6(a)は、グラインダ1が駆動していないときのトルクリミッタ210の状態を示している。このとき、ボール214は、第2カム溝224aに当接し、ボールリテーナ215は、第2べベルギア211とフランジ212のいずれにも当接している。すなわち、ボールリテーナ215は、非駆動時にボール214が第2カム溝224に当接するときには、第2べベルギア211とフランジ212のいずれにも当接する厚さを有するように構成されている。これにより、ボール214が第2カム溝224に当接するときは、ボール214の上部は第4カム溝232aには当接していない。なお、第2カム溝224は、グラインダ1が駆動していないときにボール214が第2カム溝224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっている。
【0052】
図6(b)は、モータ100の回転出力をスピンドル213に伝達している状態を示している。モータ100の回転出力は、第2べベルギア211に伝達されて、第2べベルギア211は矢印Aの方向に回転する。第2べベルギア211の回転によって、ボール214は、平行に配置されている第2べベルギア211の傾斜面225aとフランジ212の傾斜面233aにそれぞれ当接する位置に移動する。このとき、付勢バネ216の付勢力によって、第2べベルギア211とボール214とフランジ212が一体となって回転し、これにより、第2べベルギア211の回転力がスピンドル213に伝達される。そして、スピンドル213に取り付けられた砥石2を回転させて、被加工材を加工する。このとき、傾斜面225a、233aにおけるボール214が当接する部分がそれぞれ、本発明の「第1の領域」に対応している。
【0053】
図6(c)は、グラインダ1の駆動中に、スピンドル213に所定値以上のトルクが作用した際に、第2べベルギア211からフランジ212に伝達される回転力を規制している状態を示している。例えば、図6(b)において、被加工材を加工中に砥石2が被加工材に噛み込むと、砥石2の回転が妨げられる。これに伴って、砥石2が取り付けられているスピンドル213、およびスピンドル213と篏合しているフランジ212も回転を停止する。一方、モータ100は駆動し続けているため、モータ100の回転出力は、第2べベルギア211に伝達される。第2べベルギア211の回転力がフランジ212に伝達されると、回転が妨げられた砥石2とフランジ212の間のスピンドル213に所定値以上のトルクが作用してしまうことがある。
【0054】
そこで本実施形態においては、フランジ212は回転を停止するが、第2べベルギア211は回転を継続することによって、第2べベルギア211とフランジ212の間に相対的な回転を生じさせている。この相対的な回転によって、第2べベルギア211とフランジ212に上下から挟まれたボール214に、転がろうとする力が発生する。6つのボール214における転がろうとする力のスピンドル213と平行な方向の力成分の総和が、付勢バネ216の付勢力よりも上回ると、傾斜面225a,233aに接していたボール214は、フランジ212を押し上げながら転がり、第1カム溝223と第3カム溝231に当接する位置に移動する。このように、ボール214が回転面と平行な第1カム溝223に位置することによって、第2べベルギア211からフランジ212に伝達される回転力を規制しており、これにより、スピンドル213に作用するトルクを規制している。なお、ボール214が第1カム溝223と第3カム溝231に当接する位置に移動することによって、フランジ212とボールリテーナ215の間には、隙間tが生じている。
【0055】
図6(d)および図6(e)は、図6(c)において、ボール214が第1カム溝223と第3カム溝231に当接する位置に移動した後の挙動を示している。第2べベルギア211とフランジ212の相対的な回転によって、ボール214は、第2カム溝224aから、周方向において第2カム溝224aと隣接する第2カム溝224bに向かって転がりながら移動する。このとき、フランジ212上では、ボール214は、第4カム溝232aから、周方向において第4カム溝232aと隣接する第4カム溝232bに向かって移動する。図6(c)〜図6(e)のいずれにおいても、付勢バネ216の付勢力は、フランジ212からボール214を介して第2べベルギア211に伝達されている。すなわち、付勢バネ216は、常時、第2べベルギア211とフランジ212を互いに接近する方向に付勢している。
【0056】
図6(f)は、ボール214が、第1カム溝223から第2カム溝224b、および第3カム溝231から第4カム溝232bに移動する際に、傾斜面225b,233bに当接している状態を示している。ボール214が第2カム溝224b、第4カム溝232bに移動する途中で、付勢バネ216から付勢力を受けているフランジ212は、隙間tが小さくなるように第2ベベルギア211に接近し、再度ボールリテーナ215と当接する。その後、ボール214は、第2カム溝224bを経て、傾斜面225a,233aに当接して図6(b)の状態に戻り、同様の動きを繰り返す。
【0057】
図6(c)〜図6(f)においては、いずれも第2べベルギア211の回転力は、フランジ212に伝達されていない。この状態において、ボール214が当接する第2べベルギア221の第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225b、およびフランジ211の第3カム溝231、第4カム溝232、傾斜面233bが、本発明の「第2の領域」に対応している。
【0058】
以上の第1実施形態によれば、第2べベルギア211とフランジ212の相対的な回転によって、ボール214が転がりながら移動するため、ボール214が円滑に移動することができる。これにより、トルクリミッタ210を円滑に動作させることができる。また、ボール214が摩擦力に抗して滑りながら移動する場合に比べて、摩擦によるボール214の摩耗や、発熱を低減させることができる。
【0059】
また、第1実施形態によれば、ボール214が傾斜面225a,233aに当接して、付勢バネ216から付勢力を受けることで、第2べベルギア211とフランジ212とボール214が一体で回転することができる。したがって、第2べベルギア211とフランジ212に溝を形成するだけの簡単な構成で、トルクリミッタ210を円滑に動作させることができる。
【0060】
また、第1実施形態によれば、付勢バネ216が常時、第2べベルギア211とフランジ212を互いに近接する方向に付勢している。そのため、フランジ212に第2べベルギア211の回転を伝達していないときであっても、第2べベルギア211がスピンドル213に対して傾いて回転することを抑制することができる。
【0061】
また、第1実施形態によれば、ボールリテーナ215は、ボール214を保持するボール保持孔241が形成されているため、ボール214を第2カム溝224、第4カム溝232の間隔と同じ間隔に保持することができる。すなわち、ボールリテーナ215はボール214の間隔を保持する間隔保持する機能を有する。
【0062】
また、仮に、ボールリテーナ215がないとすると、ボール214が第1カム溝223、および第3カム溝231から第2カム溝224、および第4カム溝232に移動する際に、第2べベルギア211とフランジ212が近接する方向に移動すると、第2べベルギア211とフランジ212が共にボール214に衝突する。これら金属製部材同士の衝突によって、トルクリミッタ1の動作時に異音や、金属疲労が発生してしまう。しかしながら、本実施形態においては、ボール214が第2カム溝224に位置するときに、第2べベルギア211とフランジ212のいずれにも当接する厚さのボールリテーナ215が配置されているため、ボール214が第1カム溝223、および第3カム溝231から第2カム溝224、および第4カム溝232に移動する際に、第2べベルギア211とフランジ212がボール214と衝突することを防止できる。また、フランジ212の外縁部において、第2べベルギア211とフランジ212が直接衝突することも防止している。また、ボールリテーナ215は樹脂製であるため、金属製の第2べベルギア211とフランジ212がボールリテーナ215に衝突する衝撃力を緩衝することができる。すなわち、ボールリテーナ215は、緩衝部材としての機能も有する。
【0063】
また、第1実施形態によれば、第2カム溝224の周方向の長さは、グラインダ1が駆動していないときにボール214が第2カム溝224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっている。仮に、ボール214が第2カム溝224の回転方向における自由移動が規制されていないとすると、グラインダ1の駆動回転時、あるいは駆動停止時に、ボール214の移動によって、第2べベルギア211とフランジ212に回転差が生じてしまう。この回転差によって、グラインダ1の駆動開始時、あるいは駆動停止時にスピンドル213に不要不急のトルクが付与されたり、トルクリミッタ1に動作不良が生じたりするおそれがある。本実施形態においては、グラインダ1が駆動していないときにボール214が第2カム溝224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっているため、スピンドル213に不要不急のトルクが付与されたり、トルクリミッタ1に動作不良が生じたりするおそれがない。
【0064】
また、第1実施形態によれば、第2べベルギア211において、スピンドル213の長軸方向に関して砥石2が取り付けられる側の反対側に第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225が形成されている。そのため、第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225と同じ側に配置されるフランジ212、ボール214、ボールリテーナ215などの部品を、凹部220内に配置することにより、第2ベベルギア211に対して砥石2と反対側に配置することができる。これにより、スピンドル213の第2べベルギア211から砥石2が取り付けられる方向に突出する部分の長さを短くすることができ、グラインダ1を小型化することができる。さらに、第2べベルギア211の周縁部にギア歯が形成されることにより、第2べベルギア211の中央部に凹部220が形成されている。この凹部220にフランジ212、ボール214、ボールリテーナ215などの部品を配置することにより、各部品を合理的に配置することでトルクリミッタ210を小型化できる。これにより、グラインダ1を小型化することができる。
【0065】
また、第1実施形態によれば、第2ベベルギア211において、ギア部222は、スピンドル213の長軸方向に関して砥石2が取り付けられる側の反対側に形成されている。そのため、スピンドル213の第2ベベルギア211から突出する部分の長さを短くすることができ、グラインダ1を小型化することができる。さらに、ギア部222と、第1カム溝223、第2カム溝224、傾斜面225を共に第2ベベルギア211において、砥石2が取り付けられる側の反対側に形成することで、トルクリミッタ210を構成する部品を合理的に配置することができる。これにより、さらに、グラインダ1を小型化することができる。
【0066】
また、第1実施形態においては、ボールリテーナ215にボール214の間隔を保持するボール保持孔241が形成されており、ボールリテーナ215が間隔保持部材と緩衝材を兼ねていたが、ボールリテーナ215は間隔保持部材として機能し、ボールリテーナ215とは別に緩衝材が設けられていてもよい。
【0067】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。ただし、第1実施形態と同じ構成を有するものについては同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0068】
図7に第2実施形態に係るトルクリミッタ1210を示す。トルクリミッタ1210以外のグラインダ1の構成は、第1実施形態と同様である。トルクリミッタ1210は、第2べベルギア1211、回転伝達部材1212a、押圧力伝達部材1212b、スピンドル1213、ボール1214、緩衝体1215、付勢バネ1216、支持ボール1217、およびスラストベアリング1218を主体として構成されている。
【0069】
図7,図8に示すように、第2べベルギア1211は、第1実施形態の第2べベルギア211と同様に、凹部1220の底面に貫通孔1221、第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225が円周状に形成されており、その円周の外側に、さらに、支持ボール1217が移動する支持溝1226が形成されている。凹部1220の外側に、ギア歯が形成されたギア部1222が形成されている。なお、図8においては、ギア歯の図示を省略している。
【0070】
図9に示すように、第1カム溝1223と第2カム溝1224は、傾斜面1225を介して周方向に連接して配置されている。なお、図9における矢印は、第2べベルギア1211の回転方向を示している。また、図9では、説明の便宜上、第2べベルギア1211と押圧力伝達部材1212bの断面のみを図示しており、回転伝達部材1212a、ボール1214等については、図示を省略している。この第2べベルギア1211が本発明の「駆動側回転部材」に対応し、第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225がそれぞれ本発明の「第1の溝」、「第2の溝」、「交差面」に対応する実施構成例である。
【0071】
図7、図8に示すように、回転伝達部材1212a、押圧力伝達部材1212bは、金属製の円盤形状であり、中心部にスピンドル1213が貫通する貫通孔1230a,1230bが形成されている。緩衝体1215は、樹脂製の円盤形状であり、中心部にスピンドル1213が貫通する貫通孔1240が形成されている。この緩衝体1215が本発明の「緩衝部材」に対応する実施構成例である。
【0072】
回転伝達部材1212aには、貫通孔1230aの周囲に緩衝材保持部1236が形成されている。また、外周部には、ロックピン271(図10参照)と係合する係合凹部1235が3か所形成されている。緩衝材保持部1236には、ボール1214に対応する大きさのボール保持孔1241が6か所形成されている。押圧力伝達部材1212bには、第2べベルギア1211と対向する面(図9における下側の面)に第3カム溝1231が周方向に形成されている。第2実施形態においては、第3カム溝1231のみ設けられており、傾斜面は設けられていない。なお、回転伝達部材1211aが本発明の「伝達部材」に対応し、押圧力伝達部材1212bが「押圧部材」に対応する実施構成例である。
【0073】
スピンドル1213は、略円柱形状であり、貫通孔1230a,1240,1230bに挿通された状態で貫通孔1230aの篏合凸部1237と篏合する篏合溝1280が形成されている。このスピンドル1213が本発明の「回転軸」に対応し、スピンドル1213と一体になった回転伝達部材1212aと、押圧力伝達部材1212bとが本発明の「被駆動側回転部材」に対応する実施構成例である。
【0074】
ボール1214は、金属製であり、第2カム溝1224に対応して6つ配置されている。また、支持ボール1217は、金属製であり、支持溝1226に4つ配置されている。このボール1214が本発明の「転動部材」に対応する実施構成例である。
【0075】
付勢バネ1216は、平座金1251を挟んで、互いに向きを変えて配置した1組の皿バネ1250が配置された構成である。第1実施形態においては、皿バネ250は2組設けられていたが、第2実施形態においては、皿バネ1250は1組であり、必要とされる付勢力に応じて皿バネの数は適宜変更することが可能である。この付勢バネ1216が本発明の「付勢部材」に対応する実施構成例である。
【0076】
図7に示すように、これらの第2べベルギア1211、回転伝達部材1212a、押圧力伝達部材1212b、スピンドル1213、ボール1214、緩衝体1215、付勢バネ1216、支持ボール1217、およびスラストベアリング1218が組み付けられて、トルクリミッタ1210を構成している。第2ベベルギア1211、押圧力伝達部材1212b、緩衝体1215、付勢バネ1216、およびスラストベアリング1218は、スピンドル1213に対して相対回転可能に組み付けられており、回転伝達部材1212aは、スピンドル1213と一体に回転する。また、ボール1214は、第2ベベルギア1211の第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225に沿って移動可能である。また、支持ボール1217は、第2ベベルギア1211の支持溝1226に沿って移動可能である。
【0077】
スピンドル1213の端部には、ナット1252が取り付けられており、ナット1252の位置を調整することによって、付勢バネ1216による付勢力を調整することができる。この付勢力はスラストベアリング1218を介して押圧力伝達部材1212bに伝達され、押圧力伝達部材1212bと第2べベルギア1211を互いに接近させる方向に付勢している。
【0078】
このとき、支持ボール1217が回転伝達部材1212aの外周を支持することで、回転伝達部材1212aと第2べベルギア1211の間に所定の隙間を保持するとともに、回転伝達部材1212aがスピンドル1213に対して傾くことを抑制している。この支持ボール1217は本実施形態では4つ配置されているが、平面を構成する3つ以上配置されていればよい。
【0079】
次に、ロック部材270について説明する。図10に示すように、ロックピン271の先端は、回転伝達部材1212aの係合凹部1235から離れて配置されている。ロック部材270がコイルバネ273の付勢力に抗して押されると、ロックピン271が回転伝達部材1212aに近づく方向に移動し、先端が係合凹部1235と係合する。これにより、回転伝達部材1212aの周方向の移動を規制して、砥石2を交換する際に、スピンドル1213が回転するのを規制する。このロック部材270が本発明の「回転規制部材」対応する実施構成例である。
【0080】
次に図11を参照して、トルクリミッタ1210の動作について説明する。なお、図11では、説明の便宜上、トルクリミッタ1210の第2べベルギア1211、回転伝達部材1212a、押圧力伝達部材1212b、ボール1214のみを図示しており、付勢バネ1216等については、図示を省略している。また、1つのボール1214のみについて説明するが、他のボール1214の動きも同様である。また、図11(b)〜図11(f)における矢印は、第2べベルギア1211の回転方向を示しており、図11(c)〜図11(f)における矢印Bは、ボール1214が移動するときの回転を示している。
【0081】
図11(a)は、グラインダ1が駆動していないときのトルクリミッタ1210の状態を示している。このとき、ボール1214は、第2カム溝1224aに位置しており、ボール1214の上部は押圧力伝達部材1212bの第3カム溝1231には、当接していない。このとき、図7に示すように、付勢バネ1216は、スラストベアリング1218を介して押圧部材1212bを押圧して、押圧力伝達部材1212bと緩衝体1215の上面が当接するとともに、緩衝体1215の下面と回転伝達部材1212aが当接している。また、回転伝達部材1212aは、支持ボール1217に支持されており、第2べベルギア1211とは当接していない。なお、第2カム溝1224は、グラインダ1が駆動していないときにボール1214が第2カム溝1224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっている。
【0082】
図11(b)は、モータ100の回転出力をスピンドル1213に伝達している状態を示している。モータ100の回転出力は、第2べベルギア1211に伝達されて、第2べベルギア1211は矢印の方向に回転する。第2べベルギア1211の回転によって、ボール1214は、第2べベルギア1211の傾斜面1225aに移動し、押圧力伝達部材1212bの第3カム溝1231に当接するとともに、回転伝達部材1212aのボール保持孔1241における壁面1241aに当接する。このとき、付勢バネ1216の付勢力が、押圧力伝達部材1212bを介してボール1214に伝達することで、ボール1214は、傾斜面1225aと壁面1241aとに挟持されて、第2べベルギア1211の回転力を回転伝達部材1212aに伝達する。すなわち、第2べベルギア1211とボール1214と回転伝達部材1212aが一体となって回転する。これにより、第2べベルギア1211の回転力がスピンドル1213に伝達される。そして、スピンドル1213に取り付けられた砥石2を回転させて、被加工材を加工する。このとき、傾斜面1225aにおけるボール1214が当接する部分が、本発明の「第1の領域」に対応している。
【0083】
図11(c)は、グラインダ1の駆動中に、スピンドル1213に所定値以上のトルクが作用した際に、第2べベルギア1211からスピンドル1213に伝達される回転力を規制している状態を示している。スピンドル1213に所定値以上のトルクが作用した場合、本実施形態では、第2べベルギア1211は回転を継続しているが、回転伝達部材1212aは回転を停止する。これにより、ボール1214には、回転伝達部材1212aからボール1214を押す力が作用する。この押す力が作用することにより、ボール1214は、傾斜面1225aから反力を受ける。6つのボール1214における反力のスピンドル1213に平行な方向の力成分の総和が、付勢バネ1216の付勢力よりも上回ると、傾斜面1225aに接していたボール1214は、押圧力伝達部材1212を押し上げながら第1カム溝1223に移動する。このとき、押圧力伝達部材1212bはスラストベアリング1218を介して付勢されており回転方向に固定されておらず自由に回転することができるため、ボール1212は転がりながら第1カム溝1223に移動することができる。すなわち、第2べベルギア1211と押圧力伝達部材1212bの間に相対的な回転が生じることによって、ボール1214は転がりながら、傾斜面1225aから第1カム溝1223に移動する。このように、ボール1214が回転面と平行な第1カム溝1223に位置することによって、第2べベルギア1211から回転伝達部材1212aに伝達される回転力を規制しており、これにより、スピンドル1213に作用するトルクを規制している。なお、押圧力伝達部材1212bは、ボール1214により押し上げられることによって、緩衝体1215の上面との間に隙間が生じている。
【0084】
図11(d)および図11(e)は、図11(c)において、ボール1214が第1カム溝1223と第3カム溝1231に当接する位置に移動した後の挙動を示している。第2べベルギア1211の回転によって、ボール1214は、第2カム溝1224aから、周方向において第2カム溝1224aと隣接する第2カム溝1224bに向かって転がりながら移動する。図11(c)〜図11(e)のいずれにおいても、付勢バネ1216の付勢力は、押圧部材1212bからボール1214を介して第2べベルギア1211に伝達されている。すなわち、付勢バネ1216は、常時、第2べベルギア1211と押圧部材1212bを互いに接近する方向に付勢している。
【0085】
図11(f)は、ボール1214が、第1カム溝1223から第2カム溝1224bに移動する際に、傾斜面1225bに当接している状態を示している。ボール1214が第2カム溝1224bに移動する途中で、付勢バネ1216から付勢力を受けている押圧力伝達部材1212bは、再度緩衝体1215と当接する。その後、ボール1214は、第2カム溝1224bを経て、傾斜面1225aに当接して図11(b)の状態に戻り、同様の動きを繰り返す。
【0086】
図11(c)〜図11(f)においては、いずれも第2べベルギア1211の回転力は、回転伝達部材1212aに伝達されていない。この状態において、ボール1214が当接する第2べベルギア1211の第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225b、および図11(b)においてボール1214が当接する押圧力伝達部材1212bの第3カム溝1231以外の第3カム溝1231の部分が本発明の「第2の領域」に対応している。
【0087】
以上の第2実施形態によれば、スラストベアリング1218を設けることで、付勢バネ1216から付勢力を受ける押圧力伝達部材1212bを回転自由にして、第2べベルギア1211と押圧力伝達部材1212bの相対的な回転を生じさせることができる。
【0088】
また、第2実施形態によれば、第2べベルギア1211と押圧力伝達部材1212bの相対的な回転によって、ボール1214が転がりながら移動するため、ボール1214が円滑に移動することができる。これにより、トルクリミッタ1210を円滑に動作させることができる。また、ボール1214が摩擦力に抗して滑りながら移動する場合に比べて、摩擦によるボール1214の摩耗や、発熱を低減させることができる。
【0089】
また、第2実施形態によれば、付勢バネ1216が、常時、第2べベルギア1211と押圧力伝達部材1212bを互いに近接する方向に付勢している。そのため、回転伝達部材1212aに第2べベルギア1211の回転を伝達していないときであっても、第2べベルギア1211がスピンドル1213に対して傾いて回転することを抑制することができる。
【0090】
また、第2実施形態によれば、第2カム溝1224の周方向の長さは、グラインダ1が駆動していないときにボール1214が第2カム溝1224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっている。仮に、ボール1214が第2カム溝1224の回転方向における自由移動が規制されていないとすると、グラインダ1の駆動回転時、あるいは駆動停止時に、ボール1214の移動によって、第2べベルギア1211とフランジ1212に回転差が生じてしまう。この回転差によって、グラインダ1の駆動開始時、あるいは駆動停止時にスピンドル1213に不要不急のトルクが付与されたり、トルクリミッタ1に動作不良が生じたりするおそれがある。本実施形態においては、グラインダ1が駆動していないときにボール1214が第2カム溝1224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっているため、スピンドル1213に不要不急のトルクが付与されたり、トルクリミッタ1に動作不良が生じたりするおそれがない。
【0091】
また、第2実施形態によれば、回転伝達部材1212aにボール1214を保持するボール保持孔1241が設けられているため、回転伝達部材1212aは、第2べベルギア1211の回転力をスピンドル1213に伝達する機能を有するとともに、ボール1214の間隔を保持する機能を有する。これにより、ボール1214を保持するための、間隔保持部材を特別に設ける必要がなく、トルクリミッタ1210の部品を少なくすることができる。
【0092】
また、第2実施形態によれば、緩衝体1215は、樹脂製であるため、回転伝達部材1212aと押圧力伝達部材1212bが緩衝体1215に衝突する衝撃力を緩衝することができる。また、ボール1214が第2カム溝1224bに位置するとき、ボール1214は、第3カム溝1231が設けられた押圧力伝達部材1212bと当接していないため、押圧力伝達部材1212bからボール1214を介して第2べベルギア1211に衝撃力が伝達されるのを抑制することができる。
【0093】
また、第2実施形態によれば、第2べベルギア1211において、スピンドル1213の長軸方向に関して砥石2が取り付けられる側の反対側に第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225が形成されている。そのため、第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225と同じ側に配置される回転伝達部材1212a、押圧力伝達部材1212b、ボール1214、緩衝体1215などの部品を、第2ベベルギア1211に対して砥石2と反対側に配置することができる。これにより、スピンドル1213の第2ベベルギア1211から砥石2が取り付けられる方向に突出する部分の長さを短くすることができ、グラインダ1を小型化することができる。さらに、第2べベルギア1211の周縁部にギア歯が形成されることにより、第2べベルギア1211の中央部に凹部1220が形成されている。この凹部1220に回転伝達部材1212a、押圧力伝達部材1212b、ボール1214、緩衝体1215などの部品を配置することにより、各部品を合理的に配置することでトルクリミッタ1210を小型化できる。これにより、グラインダ1を小型化することができる。
【0094】
また、第2実施形態によれば、第2ベベルギア1211において、ギア部1222は、スピンドル1213の長軸方向に関して砥石2が取り付けられる側の反対側に形成されている。そのため、スピンドル1213の第2ベベルギア1211から突出する部分の長さを短くすることができ、グラインダ1を小型化することができる。さらに、ギア部1222と、第1カム溝1223、第2カム溝1224、傾斜面1225を共に第2ベベルギア1211において、砥石2が取り付けられる側の反対側に形成することで、トルクリミッタ1210を構成する部品を合理的に配置することができる。これにより、さらに、グラインダ1を小型化することができる。
【0095】
以上の第2実施形態においては、第2べベルギア1211に第2べベルギア1211の回転面に対して傾斜する傾斜面1225が形成されていたが、これには限られない。例えば、第1カム溝1223と第2カム溝1224の深さの差が、ボール1214よりも半径よりも短い場合には、傾斜面1225は回転面に対して直交する交差面であってもよい。
【0096】
以上の実施形態においては、付勢バネ216,1216が、常時、フランジ212または押圧力伝達部材1212bを付勢していたが、少なくともフランジ212または押圧力伝達部材1212bに第2べベルギア211,1211の回転力を伝達するときに、付勢力が付与されていればよい。
【0097】
また、以上の実施形態においては、第2べベルギア211,1211が第1べベルギア200と噛合して、モータ100の回転力が伝達されていたが、「駆動側回転部材」として第2べベルギア以外の回転部材が設けられており、その回転部材に、第2べベルギアの回転力が伝達されるよう構成されていてもよい。
【0098】
また、以上の実施形態においては、第2カム溝224,1224の周方向の長さは、グラインダ1が駆動していないときにボール214,1214が第2カム溝224,1224の回転方向における自由移動を規制する長さとなっていたが、ボール214,1214自由移動を規制する長さに限られるものではない。
【0099】
また、以上の実施形態においては、傾斜面225,1225,233は、第2べベルギア211,1211、フランジ212の回転面に対して傾斜する傾斜面であるが、この傾斜面は、回転面に対して一定の角度で形成される傾斜面に限られるものではなく、円弧状に形成された円弧面であってもよい。また、回転面に対して互いに異なる角度を有する複数の傾斜面が連接して構成されていてもよい。
【0100】
また、以上の実施形態においては、それぞれ6つのボール214,1214を有するトルクリミッタ210,1210について説明したが、ボールの数は、6つに限られず、平面を形成することが可能な3つ以上であればよい。また、転動部材としてボールには限られず、円柱形状、円錐形状、円錐台形状等のローラのような部材であってもよい。
【0101】
また、以上の実施形態においては、説明の便宜上、スピンドル213,1213の長軸方向を重力方向に合わせて、第2べベルギア211,1211が重力方向下方に位置する態様において説明したが、グラインダ1を使用する態様に合わせて、ボール214,1214の位置は異なる場合がある。例えば、スピンドル213,1213の上下方向を逆転させてグラインダ1を使用する態様においては、グラインダ1が駆動していないときには、ボール214,1214は、第2べベルギア211,1211には当接しない。すなわち、重力方向とグラインダ1の使用態様に応じて、ボール214,1214と他の部材の当接関係や、ボールリテーナ215、緩衝体1215と他の部材の当接関係が、以上の実施形態における説明と変わることがあり得る。.
【0102】
また、以上の実施形態においては、スピンドル213の長軸方向とモータ100の回転軸101が直交するグラインダについて説明したが、これらの軸が直交して配置される態様に限定されるものではない。
【0103】
以上の実施形態においては、トルクリミッタを有するグラインダについて説明したが、グラインダ以外の回転駆動を行う作業工具、例えば、ハンマドリルや、丸ノコなどに本発明のトルクリミッタを適用することも可能である。
【符号の説明】
【0104】
1 グラインダ
2 砥石
10 メインハウジング
20 ギアハウジング
21 コイルバネ係合部
30 ホイールカバー
40 リアカバー
100 モータ
101 回転軸
200 第1べベルギア
210 トルクリミッタ
211 第2べベルギア(駆動側回転部材)
212 フランジ(被駆動側回転部材)
213 スピンドル(被駆動側回転部材、回転軸)
214 ボール(転動部材)
215 ボールリテーナ(緩衝部材、間隔保持部材)
216 付勢バネ(付勢部材)
220 凹部
221 貫通孔
222 ギア部
223 第1カム溝(第1の溝)
224 第2カム溝(第2の溝)
225 傾斜面(駆動側傾斜面)
230 貫通孔
231 第3カム溝(第3の溝)
232 第4カム溝(第4の溝)
233 傾斜面(被駆動側傾斜面)
234 篏合ピン
235 係合凹部
240 貫通孔
241 ボール保持孔(間隔保持部)
250 皿バネ
251 平座金
252 ナット
260 ボールベアリング
270 ロック部材(回転規制部材)
280 篏合溝
281 インナフランジ
282 アウタフランジ
300 電気配線部
1210 トルクリミッタ
1211 第2べベルギア(駆動側回転部材)
1212a 回転伝達部材(被駆動側回転部材、伝達部材)
1212b 押圧力伝達部材(被駆動側回転部材、押圧部材)
1213 スピンドル(被駆動側回転部材、回転軸)
1214 ボール(転動部材)
1215 緩衝体(緩衝部材)
1216 付勢バネ(付勢部材)
1217 支持ボール
1218 スラストベアリング
1223 第1カム溝(第1の溝)
1224 第2カム溝(第2の溝)
1225 傾斜面(交差面)
1226 支持溝
1231 第3カム溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動側回転部材と、
回転軸を有するとともに、前記駆動側回転部材の回転力が伝達される被駆動側回転部材と、
前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材の間に介在して配置される複数の転動部材とを有し、
前記回転軸に所定値以上のトルクが作用したときに、前記駆動側回転部材から前記被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制するトルクリミッタを備えた作業工具であって、
前記転動部材は、前記回転力を前記被駆動側回転部材に伝達する第1の領域と、前記被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制する第2の領域とを移動するよう構成されており、
前記転動部材は、前記第1の領域に位置して前記駆動側回転部材と前記転動部材と前記被駆動側回転部材が一体となって回転することで、前記回転力を前記被駆動側回転部材に伝達する構成とされ、
前記回転軸に前記所定値以上のトルクが作用した場合には、前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材に相対的な回転が生じて、前記相対的な回転によって前記転動部材が転がりながら前記第1の領域から前記第2の領域に移動して前記第2の領域に位置することで、前記被駆動側回転部材に伝達される回転力を規制する構成とされていることを特徴とする作業工具。
【請求項2】
請求項1に記載の作業工具であって、
前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材を互いに接近する方向に付勢する付勢部材を有し、
前記駆動側回転部材は、前記転動部材と当接する第1の溝と前記第1の溝よりも深い第2の溝と回転面に対して傾斜状に設けられた駆動側傾斜面を有し、前記第1の溝と前記第2の溝は、前記駆動側傾斜面を介して周方向に連続かつ連接状に配置されており、
前記被駆動側回転部材は、前記転動部材と当接する前記第1の溝に対応した第3の溝と前記第3の溝よりも深い前記第2の溝に対応した第4の溝と回転面に対して傾斜状に設けられた被駆動側傾斜面を有し、前記第3の溝と前記第4の溝は、前記被駆動側傾斜面を介して周方向に連続かつ連接状に配置されており、
前記駆動側傾斜面の所定の第1部分と、前記被駆動側傾斜面の所定の第2部分が前記第1の領域を構成するとともに、前記第1の溝、前記第2の溝、および前記駆動側傾斜面の前記第1部分以外の部分と、前記第3の溝、前記第4の溝、および前記被駆動側傾斜面の前記第2部分以外の部分が前記第2の領域を構成することを特徴とする作業工具。
【請求項3】
請求項2に記載の作業工具であって、
前記付勢部材は、常時、前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材を互いに接近する方向に付勢することを特徴とする作業工具。
【請求項4】
請求項2または3に記載の作業工具であって、
前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材の間に配置された緩衝部材を有し、
前記緩衝部材は、
前記転動部材が前記第1の溝に当接するときには、前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材のいずれか一方にのみ当接し、
前記転動部材が前記第2の溝に当接するときには、前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材のいずれにも当接する厚さを有することを特徴とする作業工具。
【請求項5】
請求項4に記載の作業工具であって、
前記第2の溝は、前記複数の転動部材に対応して、前記周方向に等間隔に複数設けられており、
前記緩衝部材は、複数の前記転動部材を前記等間隔に保持する間隔保持部を有していることを特徴とする作業工具。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業工具であって、
前記駆動側回転部材と前記被駆動側回転部材の間に配置され、複数の前記転動部材同士を回転方向に等間隔に保持する間隔保持部材を有することを特徴とする作業工具。
【請求項7】
請求項1に記載の作業工具であって、
前記駆動側回転部材と前記転動部材を互いに接近する方向に付勢する付勢部材と、
前記付勢部材と前記被駆動側回転部材の間に配置されたスラストベアリングを有し、
前記被駆動側回転部材は、前記スラストベアリングを介した前記付勢部材の付勢力を前記転動部材に伝達して、前記転動部材を前記駆動側回転部材に押圧する押圧部材と、前記回転軸に回転力を伝達する伝達部材とを備えており、
前記駆動側回転部材は、前記転動部材と当接する第1の溝と前記第1の溝よりも深い第2の溝と回転面に対して交差する交差面を有し、前記第1の溝と前記第2の溝は、前記交差面を介して周方向に連続かつ連接状に配置されており、
前記交差面の所定の部分が前記第1の領域を構成するとともに、前記第1の溝、前記第2の溝、および前記交差面の前記所定の部分以外の部分が前記第2の領域を構成することを特徴とする作業工具。
【請求項8】
請求項7に記載の作業工具であって、
前記被駆動側回転部材における前記押圧部材と前記伝達部材の間に配置された緩衝部材を有することを特徴とする作業工具。
【請求項9】
請求項2〜8のいずれか1項に記載の作業工具であって、
前記第2の溝は、前記転動部材が当接したときに、前記転動部材の前記回転方向の自由移動を規制する周方向の長さであることを特徴とする作業工具。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の作業工具であって、
前記駆動側回転部材は、回転駆動部の回転出力が伝達されるギア部を備えていることを特徴とする作業工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−43263(P2013−43263A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184189(P2011−184189)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】