説明

作業機の走行駆動装置

【課題】作業機の旋回操作性の向上によって作業能率を向上させると共に旋回用の静油圧式無段変速装置の操作機構を簡素化して安価に提供できるものとする。
【解決手段】可変容量式の油圧ポンプ(1a)と固定容量式の油圧モータ(1b)とから成る走行用の静油圧式無段変速装置(1)の出力と、可変容量式の油圧ポンプ(2a)と可変容量式の油圧モータ(2b)とから成る旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の出力とを左右の遊星歯車機構(3L,3R)へ夫々入力し、該左右の遊星歯車機構(3L,3R)によって合成された出力によって左右の車軸(4L,4R)を差動させて旋回できるように構成する。旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧モータ(2b)の容量を、操向スイッチ(64L,64R)の操作又は自動方向制御用センサー(69L,69R)の検出結果に応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、コンバイン等の農作業機、バックホーやドーザー等の土木建設作業機など、各種の作業機に利用される走行駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の作業機について説明するに、例えばコンバインにおいては、旋回時に旋回内側の車軸への駆動力の伝達を断ち、旋回外側の車軸のみを駆動して旋回するように構成した走行駆動装置が主流であった。
【0003】
しかしながら、このような走行駆動装置では、例えば湿田等の軟弱地において旋回する場合、旋回内側の車軸への駆動力の伝達が絶たれるため、この内側の車軸が地面からの抵抗によって急に停止してしまう。このため、旋回外側の車軸のみ駆動して旋回せねばならないが、このように片側の走行装置だけ駆動すると、この片側の走行装置が軟弱な地表面をえぐりながら沈下してしまい、走行不能の状態に陥ってしまうことがある。
【0004】
そこで、例えば特許文献1に示すように、可変容量式の油圧ポンプと固定容量式の油圧モータとから成る走行用の静油圧式無段変速装置の出力と、可変容量式の油圧ポンプと固定容量式の油圧モータとから成る旋回用の静油圧式無段変速装置の出力とを左右の遊星歯車機構へ夫々入力し、該左右の遊星歯車機構によって合成された出力によって左右の車軸を差動駆動するように構成し、走行用の静油圧無段変速装置の油圧ポンプの容量(吐出油量)を変速用操作具の操作量に応じて変更させるように構成する一方、旋回用の静油圧式無段変速装置の油圧ポンプの容量を操向用操作具の操作量に応じて変更させるように構成した作業機の走行駆動装置が試みられている。
【0005】
なお、特許文献2に示すように、コンバインを穀稈の植付け条列に沿わせるように走行方向を自動制御可能に構成するにあたり、自動方向制御用センサからの検出結果に応じて旋回用の静油圧式無段変速装置の油圧ポンプの容量を調節して油圧モータの出力回転数を変更し、これによって左右の車軸を差動させて操向させるように構成した走行駆動装置も公知である。
【特許文献1】特許第3590365号公報
【特許文献2】特開2001−120041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたような走行駆動装置では、操向用操作具の操作によって旋回用の静油圧式無段変速装置の油圧ポンプの容量を調節して油圧モータからの出力回転数を調節する構成のため、操向用操作具とは別の経路によって該旋回用の静油圧式無段変速装置の出力回転数を調節できるように構成することが困難である。また、例えば、コンバインにおいて、穀稈の植付け条列に沿わせるように走行方向を自動制御する場合、自動方向制御用センサからの検出結果に応じて旋回用の静油圧式無段変速装置の出力回転数を微妙に調節するように構成することが困難であり、作業機にこのような自動方向制御機能を備えることができず、作業能率が低下する問題がある。
【0007】
また、上述の特許文献2に記載されたような自動方向制御機能を備える走行駆動装置では、自動方向制御用センサからの検出結果に応じて、旋回用の静油圧式無段変速装置の油圧ポンプの容量(吐出油量)を調節して油圧モータの出力回転数を制御する構成のため、操向用操作具から油圧ポンプの容量を調節するための操作機構と、自動方向制御用センサの検出結果に応じて作動する操向用アクチュエータによって油圧ポンプの容量を調節するための作動装置とを併設するため、この油圧ポンプの容量を調節する機構が複雑になり、安価に提供できなくなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上述の如き課題を解決するために、次のような技術的手段を講じる。
即ち、請求項1記載の発明は、可変容量式の油圧ポンプ(1a)と固定容量式又は可変容量式の油圧モータ(1b)とから成る走行用の静油圧式無段変速装置(1)の出力と、可変容量式の油圧ポンプ(2a)と可変容量式の油圧モータ(2b)とから成る旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の出力とを左右の遊星歯車機構(3L,3R)へ夫々入力し、該左右の遊星歯車機構(3L,3R)によって合成された出力によって左右の車軸(4L,4R)を差動させて旋回できるように構成し、前記走行用の静油圧無段変速装置(1)の油圧ポンプ(1a)の容量を変速用操作具(5)の操作量に応じて変更させるように構成する一方、前記旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)の容量を操向用操作具(6)の操作量に応じて変更させるように構成すると共に、該旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧モータ(2b)の容量を前記操向用操作具(6)に設けた操向スイッチ(64L,64R)の操作に基づいて作動する操向用アクチュエータ(7)によって変更させることができるように構成したことを特徴とする作業機の走行駆動装置としたものである。
【0009】
しかして、変速用操作具5の操作によって走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aの容量を中立状態から調節して該油圧ポンプ1から作動油を吐出させると、該作動油の流入によって油圧モータ1bが駆動する。この際、操向用操作具6を中立位置とし、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの容量を中立状態として吐出油量を零又は略零とすると、該油圧モータ2bの駆動が停止する。これにより、前記走行用の静油圧式無段変速装置1の出力と旋回用の静油圧式無段変速装置2の零又は略零出力とが左右の遊星歯車機構3L,3Rへ夫々入力され、該左右の遊星歯車機構3L,3Rによって合成された出力によって左右の車軸4L,4Rが同方向へ同速度で駆動されて作業機は直進する。
【0010】
また、上述のように走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧モータ1bを駆動している状態において、操向用操作具6を操作し、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの容量を中立状態から調節して該油圧ポンプ1から作動油を吐出させると、該作動油の流入によって油圧モータ2bが駆動する。これにより、前記走行用の静油圧式無段変速装置1の出力と旋回用の静油圧式無段変速装置2の出力とが左右の遊星歯車機構3L,3Rへ夫々入力され、該左右の遊星歯車機構3L,3Rによって合成された出力によって左右の車軸4L,4Rが異なった速度で差動駆動されて作業機は旋回する。また、上述のように、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aから作動油を吐出させている状態において、油圧モータ2bの容量を、操向用操作具6に設けた操向スイッチ64L,64Rの操作に基づいて作動する操向用アクチュエータ7によって調節することにより、油圧ポンプ2aの容量を調節しなくても、油圧モータ2bの容量調節によって該油圧モータ2bの出力が調節され、作業機は差動旋回する。
【0011】
また、請求項2記載の発明は、可変容量式の油圧ポンプ(1a)と固定容量式又は可変容量式の油圧モータ(1b)とから成る走行用の静油圧式無段変速装置(1)の出力と、可変容量式の油圧ポンプ(2a)と可変容量式の油圧モータ(2b)とから成る旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の出力とを左右の遊星歯車機構(3L,3R)へ夫々入力し、該左右の遊星歯車機構(3L,3R)によって合成された出力によって左右の車軸(4L,4R)を差動させて旋回できるように構成し、前記走行用の静油圧無段変速装置(1)の油圧ポンプ(1a)の容量を変速用操作具(5)の操作量に応じて変更させるように構成する一方、前記旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)の容量を操向用操作具(6)の操作量に応じて変更させるように構成すると共に、該旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧モータ(2b)の容量を自動方向制御用センサー(69L,69R)の検出結果に基づいて作動する操向用アクチュエータ(7)によって変更させることができるように構成したことを特徴とする作業機の走行駆動装置としたものである。
【0012】
しかして、変速用操作具5の操作によって走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aの容量を中立状態から調節して該油圧ポンプ1から作動油を吐出させると、該作動油の流入によって油圧モータ1bが駆動する。この際、操向用操作具6を中立位置とし、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの容量を中立状態として吐出油量を零又は略零とすると、該油圧モータ2bの駆動が停止する。これにより、前記走行用の静油圧式無段変速装置1の出力と旋回用の静油圧式無段変速装置2の零又は略零出力とが左右の遊星歯車機構3L,3Rへ夫々入力され、該左右の遊星歯車機構3L,3Rによって合成された出力によって左右の車軸4L,4Rが同方向へ同速度で駆動されて作業機は直進する。
【0013】
また、上述のように走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧モータ1bを駆動している状態において、操向用操作具6を操作し、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの容量を中立状態から調節して該油圧ポンプ1から作動油を吐出させると、該作動油の流入によって油圧モータ2bが駆動する。これにより、前記走行用の静油圧式無段変速装置1の出力と旋回用の静油圧式無段変速装置2の出力とが左右の遊星歯車機構3L,3Rへ夫々入力され、該左右の遊星歯車機構3L,3Rによって合成された出力によって左右の車軸4L,4Rが異なった速度で差動駆動されて作業機は旋回する。また、上述のように、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aから作動油を吐出させている状態において、油圧モータ2bの容量を自動方向制御用センサー69L,69Rの検出結果に基づいて作動する操向用アクチュエータ7によって調節することにより、油圧ポンプ2aの容量を調節しなくても、油圧モータ2bの容量調節によって該油圧モータ2bの出力が調節され、作業機は自動的に差動操向する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によると、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの容量を、操向用操作具6に設けた操向スイッチ64L,64Rの操作に基づいて作動する操向用アクチュエータ7によって調節できるため、例えば、コンバインにおいて、走行方向を穀稈の植付け条列に合わせる微妙な操向をこの操向スイッチ64L,64Rの操作によって容易に行え、操作性の向上によって作業能率を向上させることができると共に旋回用の静油圧式無段変速装置2の操作機構を簡素化して安価に提供することができる。
【0015】
また、請求項2記載の発明によると、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの容量を、自動方向制御用センサー(69L,69R)の検出結果に基づいて作動する操向用アクチュエータ7によって自動的に調節できるため、例えば、コンバインにおいて、穀稈の植付け条列を検出する自動方向制御用センサー(69L,69R)からの検出結果に応じて旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの容量を自動的に調節して自動方向制御を行うことができ、作業能率を向上させることができると共に旋回用の静油圧式無段変速装置2の操作機構を簡素化して安価に提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明における作業機の走行駆動装置の実施の形態を、農作業機としての自脱型のコンバインを例示して説明する。
図1及び図2に示すように、このコンバインは、走行部8と該走行部8上に搭載した脱穀部9、穀粒貯留部10、操縦部11と、これらの前側において昇降自在に設けた刈取部12とから構成する。
【0017】
前記刈取部12は、植立穀稈を分草する複数の分草体13と、該分草体13の後側に斜設して分草後の穀稈を引起す引起装置14と、該引起装置14によって引起された穀稈の株元部を掻き込む掻込装置、該掻込装置によって掻き込まれる穀稈の株元部を切断する刈刃、刈り取られた穀稈の株元部を挟持搬送する株元搬送装置および刈り取られた穀稈の穂先部を搬送する穂先搬送装置から構成し、前照灯15aを内蔵した防塵カバー15によって上側を覆われた引継ぎ搬送装置を介して刈取穀稈を脱穀部9へ供給するように構成する。
【0018】
前記脱穀部9は、刈取部12側の引継ぎ搬送装置から刈取穀稈を引き継いで後方へ搬送するフィードチェンと、該フィードチェンによって搬送される穀稈の穂先側に扱胴の扱歯を作用させて脱穀する上側の扱室16、及び、該扱室16から漏下する処理物を選別する下側の選別室より構成する。
【0019】
前記穀粒貯留部10は、脱穀部9の選別室によって風選別されて回収された穀粒を、一番揚穀筒17を介して貯留する容器であり、該穀粒貯留部10の後側には、この貯留された穀粒を適宜外部へ排出する排出オーガ18を旋回、起伏、伸縮自在に設ける。
【0020】
前記操縦部11は、エンジン19を覆うように設けたエンジンカバー20の上側に座席21を設け、該座席21の前方に前部操作パネル22を配置すると共に、座席21の機体内側側方には側部操作パネル23を配置する。前記前部操作パネル22の外側寄り位置には、レバー形状の左右傾動操作式の操向用操作具6を配置し、また、該前部操作パネル22の左端隅部には液晶表示部を有するメータパネル24を配置する。また、前記側部操作パネル23には、アクセルレバー、主変速レバーとしての変速用操作具5、副変速レバー28、刈取クラッチレバー、脱穀クラッチレバーを配置する。また、前記座席21の後側には、エアクリーナやコントローラを内蔵した吸気カバー25を配置する。26は前記エアクリーナに連通したプレクリーナである。
【0021】
前記走行部8は、左右のクローラ27L,27Rを有し、該左右のクローラ27L,27Rを走行ミッションケース29から駆動して走行する構成である。
図3に示すように、ポートブロック30の上部一側に走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aを取り付ける一方、該ポートブロック30の上部他側に旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aを取り付け、該ポートブロック30の下部他側に走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧モータ1bを取り付けて、該ポートブロック30の下部一側を走行ミッションケース29の上部一側に取り付ける。前記走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aと旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aとは、前記走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aへ駆動力を入力する入力プーリ31から同軸によって駆動されるように構成する。また、前記旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aから送返油管31,31を介して油圧モータ2bを接続し、該旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bを走行ミッションケース29の下部又は前部に取り付ける。
【0022】
前記走行ミッションケース29の上部には入力軸32を軸架し、該入力軸32の一端側に前記走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧モータ1bの出力軸をスプライン嵌合によって連結する。前記入力軸32に対して相対回転不能且つ軸方向摺動自在に設けた変速出力歯車群33と、該入力軸32の下手側に軸架した中間軸34に固設した変速入力歯車群35とを択一的に噛み合うように構成して高速位置と低速位置とに切り換えられる副変速装置36を構成する。そして、前記中間軸34に固設した出力歯車37を、該中間軸34の下手側に軸架した中央軸38の中央部に固設した中央歯車39に噛み合わせる。中央歯車39の左右両側には、左右の遊星歯車機構3L,3Rを配置する。即ち、前記中央軸38上における中央歯車39の左右両側に左右の太陽歯車40L,40Rを固設し、該中央軸38の左右両側において該中央軸38とは独立して回転する軸であって該中央軸38と同一軸芯上に設けた左右の差動軸41L,41Rに左右のキャリア42L,42Rを固設し、該キャリア42L,42Rに軸支された左右の遊星歯車43L,43Rを前記左右の太陽歯車40L,40Rに噛み合わせる。そして、該左右の太陽歯車40L,40Rよりも外周側において環状を呈する内歯型の左右の環状歯車44L,44Rに対して、前記左右の太陽歯車40L,40Rを噛み合わせる。更に、前記左右の環状歯車44L,44Rと一体的に設けた左右の大径歯車45L,45Rに逆転伝動歯車機構46を噛み合わせて、左の大径歯車45Lと右の大径歯車45Rとに互いに逆方向の回転動力を入力させられるように構成する。そして、前記旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの出力軸に固設した旋回駆動出力歯車47を、前記逆転伝動歯車機構46に噛み合わせる。更に、前記左右の差動軸41L,41Rの中間部に固設した左右の差動出力歯車48L,48Rを左右の車軸4L,4Rの内端部に固設した左右の車軸歯車49L,49Rに噛み合わせる。50L,50Rは、前記左右の車軸4L,4Rの外端部に固設して前記左右のクローラ27L,27Rを駆動する左右の駆動スプロケットである。
【0023】
また、前記走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aの斜盤角度を変更することによって該油圧ポンプ1aの容量を変更する斜盤角度調節アーム51の自由端側と、前記主変速レバーとしての変速用操作具5とを、連動ロッド52を介して連結する。
【0024】
また、前記入力軸32に設けた変速出力歯車群33を軸方向へ摺動させるシフトアーム53と前記副変速レバー28とを、連動ロッド54を介して連結する。
そして、前記旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの斜盤角度を変更することによって該油圧ポンプ2aの容量を変更する斜盤角度調節アーム55の自由端側と、前記操向用操作具6とを、連動ロッド56を介して連結する。
【0025】
更に、前記旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度を変更することによって該油圧モータ2bの容量を変更する斜盤角度調節アーム57の自由端側と電動モータからなる操向用アクチュエータ7とを、連動ロッド58を介して連結する。
【0026】
また、前記主変速レバーとしての変速用操作具5の回動基部に該変速用操作具5の前後回動角度を検出する主変速位置検出センサー59を設け、また、前記副変速レバー28の回動基部にも該副変速レバー28の回動位置を検出する副変速位置検出センサー60を設ける。そして、前記旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度調節アーム57の自由端側と操向用アクチュエータ7とを連結する連動ロッド58との間に、該斜盤角度調節アーム57の回動角度を検出するポテンショメータ61を設ける。
【0027】
そして、図4に示すように、コントローラ62に対して、その入力側に、前記主変速位置検出センサー59と、副変速位置検出センサー60と、操向用操作具6が直進状態位置にあることを検出する直進検出センサー63と、前記操向用操作具6の把持部の上面に夫々設けた左右の方向修正スイッチ(操向スイッチ)64L,64Rと、感度調節ダイヤル65と、操作部反転検出センサー66と、車速センサー67と、旋回力調節ダイヤル68と、自動方向制御用の左右の穀稈センサー69L,69Rとを接続する一方、該コントローラ62の出力側に、前記操向用アクチュエータ7を接続する。
【0028】
以上の構成により、エンジン19を駆動して走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1a及び旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aを駆動し、変速用操作具5を前進増速側に回動操作すると、連動ロッド52を介して前記走行用の静油圧式無段変速装置1の油圧ポンプ1aの斜盤角度調節アーム51が回動操作されて該油圧ポンプ1aの容量が変速用操作具5の操作量に応じて変更され、該油圧ポンプ1aからの吐出油量が変更される。これにより、油圧モータ1bの出力回転が変速され、該油圧モータ1bの出力回転によって走行ミッションケース29上部の入力軸32が駆動し、該入力軸32上の変速出力歯車群33から、中間軸34に固設された変速入力歯車群35が連動される。そして、該中間軸34に固設された出力歯車37から、中央軸38に固設された中央歯車39が駆動され、該中央軸38に固設された左右の太陽歯車40L,40Rが駆動される。一方、操向用操作具6を直立姿勢の直進状態に維持している場合には、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの斜盤角度は、吐出油量が少量(0を含む)になるように保持されており、このときの油圧モータ2bの斜盤角度の初期設定により、この少量の吐出油量では油圧モータ2bの出力回転は停止状態に維持される。従って、逆転伝動歯車機構46は停止状態となり、左右の大径歯車45L,45Rは停止状態に維持される。これにより、前記左右の太陽歯車40L,40Rの回転と左右の環状歯車44L,44Rの停止状態とによって左右の遊星歯車43L,43Rが自転しながら公転し、該左右の遊星歯車43L,43Rを軸支する左右のキャリア42L,42Rが駆動されて、該左右のキャリア42L,42Rを固設した左右の差動軸41L,41Rから、左右の差動出力歯車48L,48Rを介して左右の車軸歯車49L,49Rが駆動され、該左右の車軸歯車49L,49Rを固設した左右の車軸49L,49Rを介して左右の駆動スプロケット50L,50Rが駆動されて、左右のクローラ27L,27Rが同方向に同速度で駆動されて、コンバインは直進走行する。
【0029】
一方、このような直進走行状態において、操向用操作具6を左右一側へ傾動操作すると、連動ロッド56を介して旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの斜盤角度が変更されて該油圧ポンプ2aの容量が変更され、該油圧ポンプ2aからの吐出油量が操向用操作具6の傾動操作量に応じて増加する。これによって、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bからの出力回転によって、逆転伝動歯車機構46を介して前記左右の大径歯車45L,45Rが互いに逆方向に駆動される。これによって、左右の太陽歯車40L,40Rの同方向への同速度での回転と、左右の環状歯車44L,44Rの互いに逆方向への回転とによって左右の遊星歯車43L,43Rの公転速度が左右で異なったものとなり、これによって、左右のキャリア42L,42Rが左右で異なった速度で駆動されて、該左右のキャリア42L,42Rを固設した左右の差動軸41L,41Rから、左右の差動出力歯車48L,48Rを介して左右の車軸歯車49L,49Rが左右で異なった速度で駆動され、該左右の車軸歯車49L,49Rを固設した左右の車軸49L,49Rを介して左右の駆動スプロケット50L,50Rが左右で異なった速度で駆動されて、左右のクローラ27L,27Rが同方向に左右で異なった速度で駆動されて、コンバインは旋回する。
【0030】
また、前記操向用操作具6を直立姿勢の直進状態に維持した状態において、該操向用操作具6の把持部の上面に設けた左右の方向修正スイッチ64L,64Rのいずれか一方を押し操作すると、コントローラ62から操向用アクチュエータ7へ出力がなされ、該操向用アクチュエータ7が駆動して、連動ロッド58を介して斜盤角度調節アーム57が回動操作され、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度が設定角度だけ一方側へ変更されて、該油圧モータ2bが一方側へ出力回転し、前述の差動伝動によってコンバインはこの方向修正スイッチ64L,64Rの押し操作側へ自動的に操向される。尚、前記斜盤角度調節アーム57の回動角度を検出するポテンショメータ61による検出結果がコントローラ62へフィードバックされ、この検出結果がコントローラ62の設定値と一致するように自動制御される構成である。
【0031】
また、前記刈取部12における分草体13の後側に設けた左右の穀稈センサー(自動方向制御用センサー)69L,69Rのうちのいずれか一方が植立穀稈に当接してONすると、コントローラ62から操向用アクチュエータ7へ出力がなされ、該操向用アクチュエータ7が駆動して、連動ロッド58を介して斜盤角度調節アーム57が回動操作され、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度が設定角度だけ一方側へ変更されて、該油圧モータ2bが一方側へ出力回転し、前述の差動伝動によってコンバインはこの穀稈センサー69L又は69Rが植立穀稈から離れてOFFする側へ自動的に操向される。尚、前記斜盤角度調節アーム57の回動角度を検出するポテンショメータ61による検出結果がコントローラ62へフィードバックされ、この検出結果がコントローラ62の設定値と一致するように自動制御される構成である。
【0032】
また、上述のように、操向操作具6の把持部の上面に設けた左右の方向修正スイッチ64L,64Rの操作による操向、又は、左右の穀稈センサー69L,69Rによる自動方向制御において、前記旋回力調節ダイヤル68を回転操作すると、前記コントローラ62から操向用アクチュエータ7への出力時間または出力パルスのデューティ比が、この旋回力調節ダイヤル68の回転操作位置に応じて設定した値に変更される。これにより、前述のように操向用操作具6に設けた左右の方向修正スイッチ64L,64RのON操作による操向感度、又は、左右の穀稈センサー69L,69Rによる自動方向制御の操向感度を変更設定することができる。即ち、圃場面の軟弱度や植立穀稈の植付け間隔の相違など、圃場の条件に応じて操向感度を調節することができ、コンバイン作業を能率よく行うことができるものである。
【0033】
また、上述のように、旋回力調節ダイヤル68を回転操作することにより、コントローラ62から操向用アクチュエータ7への出力によって、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度が、この旋回力調節ダイヤル68の回転操作位置に応じて設定した角度に初期設定され、この状態で操向用操作具6を傾動操作した場合における操向感度を変更することもできる。これにより、圃場面の軟弱度や植立穀稈の植付け間隔の相違など、圃場の条件に応じて操向操作感度を調節することができ、コンバイン作業を能率よく行うことができるものである。
【0034】
また、前記操向用操作具6を直立姿勢の直進状態に維持している場合には、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧ポンプ2aの斜盤角度は、吐出油量が少量になるように保持されているが、このときの油圧モータ2bの斜盤角度を中立状態に保持することにより、この少量の吐出油量では油圧モータ2bの出力回転は停止状態に維持される。従って、操向用操作具6を直進状態に維持している場合には、コンバインは基本的に直進状態を維持するものでありながら、操向用操作具6の把持部の上面に設けた左右の方向修正スイッチ64L,64Rの操作、又は左右の穀稈センサー69L,69Rによる穀稈の検出に応じて、左右に機敏に操向することができ、コンバイン作業の能率を向上させることができる。
【0035】
また、前記変速用操作具5を前進側へ回動操作して車速を増速すると、この変速用操作具5の回動角度を検出する主変速位置検出センサー59によって検出し、又は、車速センサー67によって実際の走行速度を検出して、この変速用操作具5の前進側への回動角度(増速操作角度)又は実際の走行速度が大きくなるほど旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度が小さくなって該油圧モータ2bの容量が小さくなるように、コントローラ62から操向用アクチュエータ7へ出力がなされるように構成する。これにより、変速用操作具5の増速側へ操作、又は実際の走行速度の上昇に応じて旋回用の静油圧式無段変速装置2の出力回転数を制御して、操向用操作具6が同じ傾動操作角度にある状態において、車速が変化しても旋回半径を一定に保つことができる。
【0036】
また、上述の構成に対して、変速用操作具5の前進側への回動角度(増速操作角度)又は実際の走行速度が大きくなるほど旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度が大きくなって該油圧モータ2bの容量が大きくなるように、コントローラ62から操向用アクチュエータ7へ出力がなされるように構成してもよい。これにより、変速用操作具5の増速側へ操作されるほど、又は実際の走行速度が上昇するほど、旋回用の静油圧式無段変速装置2の出力回転数が低下して、同じ操向用操作具6の傾動操作位置において旋回半径を大きくし、高速走行時の急旋回を防止することができる。
【0037】
また、前記副変速レバー28の基部に設ける副変速位置検出センサー60によって副変速が高速位置にあるか低速位置にあるかを検出し、この副変速が高速位置にある場合には、この副変速が低速位置にある場合に比較して、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤角度が大きくなって該油圧モータ2bの容量が大きくなるように、コントローラ62から操向用アクチュエータ7へ出力がなされるように構成してもよい。これにより、副変速レバー28を高速位置に切り替えて変速用操作具5を増速操作した際の高速走行時において、副変速レバー28を低速位置に切り替えた状態に比較して、旋回用の静油圧式無段変速装置2の出力回転数が低下して、同じ操向用操作具6の傾動操作位置において旋回半径を大きくし、より高速での走行時における急旋回を防止することができる。
【0038】
また、このコンバインを、走行部8に対して、その上側の脱穀部9、穀粒貯留部10、操縦部11及び刈取部12から成る機体を、縦軸回りに180度旋回自在に構成してもよい。この場合、走行部8に対する機体の旋回角度を前記操作部反転検出センサー66によって検出し、該操作部反転検出センサー66によって機体が180度旋回したことを検出した場合に、コントローラ62から操向用アクチュエータ7への出力を上述のものと逆にするように構成する。即ち、前記左右の方向修正スイッチ64L,64Rの操作に応じて操向用アクチュエータ7を作動させる方向、又は左右の穀稈センサー69L,69Rの検出結果に応じて操向用アクチュエータ7を作動させる方向を逆向きに切り換え、走行部8に対して機体が反転した状態でも、左右の方向修正スイッチ64L,64Rによる操作感覚、及び左右の穀稈センサー69L,69Rによる自動方向制御方向を適正なものとすることができる。
【0039】
また、前記主変速位置検出センサー59又は車速センサー67によって、コンバインが前進状態にあるか後進状態にあるかを検出し、このコンバインが前進状態にある場合に対して、後進状態にある場合のコントローラ62から操向用アクチュエータ7への出力が逆になるように設定するとよい。即ち、前記左右の方向修正スイッチ64L,64Rの操作に応じて操向用アクチュエータ7を作動させる方向、又は左右の穀稈センサー69L,69Rの検出結果に応じて操向用アクチュエータ7を作動させる方向を、前進状態と後進状態とで逆向きに切り換え、前進状態と後進状態とのいずれの走行状態においても、左右の方向修正スイッチ64L,64Rによる操作感覚、及び左右の穀稈センサー69L,69Rによる自動方向制御方向を適正なものとすることができる。
【0040】
また、図5、図6に示すように、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤2cの回動軸2dの外側延長部に、左右両側に係合爪部2eを有するシフタ2fを回動軸2dの長手方向に摺動自在で且つ回動軸2dに対して一体回転するように設ける。そして、該シフタ2fの左右一側において、該シフタ2fの係合爪部2eに係合可能な係合爪部2gを有する駆動アーム2hを前記回動軸2dに対して回転自在に設け、該駆動アーム2hを前記操向用アクチュエータ7によって回動させることができるように構成する。また、前記シフタ2fの左右他側において、該シフタ2fの係合爪部2eに係合可能な係合爪部2iを有する操作アーム2jを前記回動軸2dに対して回転自在に設け、該操作アーム2jを前記連動ロッド55を介して操向用操作具6に連動連結する。そして、前記シフタ2fを回動軸2dの長手方向に摺動させる切換用アクチュエータ2kを設け、該切換用アクチュエータ2kの作動によってシフタ2fを摺動させて、該シフタ2fの係合爪部2eが前記駆動アーム2h側の係合爪部2gに係合させると、操向用アクチュエータ7の駆動力によって油圧モータ2bの斜盤2cの角度を変更することができるように構成する。一方、前記切換用アクチュエータ2kの作動によってシフタ2fを摺動させて、該シフタ2fの係合爪部2eが前記操作アーム2j側の係合爪部2iに係合させると、操向用操作具6の操作によって油圧モータ2bの斜盤2cの角度を変更することができるようになる。このように構成することにより、操向用操作具6と操向用アクチュエータ7とのいずれからでも旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤2cの角度を容易に変更させることができ、例えば操向用アクチュエータ7が故障して動かなくなっても、シフタ2fの切り換えによって、操向用アクチュエータ7の操作抵抗にかかわらずに操向用操作具6を傾動操作して旋回することができる。また、図6に示すように、前記操向用アクチュエータ7は、左右のプッシュシリンダ2l,2rによって構成する。尚、2uは、前記斜盤2cに摺接する状態で公転するプランジャピストンである。
【0041】
また、上記図5、図6の構成において、操向用操作具6の把持部の上面に設けた左右の方向修正スイッチ64L,64RのON操作に基づいて前記切換用アクチュエータ2kが作動して、シフタ2fの係合爪部2eが駆動アーム2h側の係合爪部2gに係合してから、操向用アクチュエータ7(左右のプッシュシリンダ2l,2r)が作動して旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤2cの角度を変更させるように構成するとよい。
【0042】
図7は、上記図5、図6における切換用アクチュエータ2k及び操向用アクチュエータ7(左右のプッシュシリンダ2l,2r)を作動させるための油圧回路図である。即ち、油圧ポンプ2mの吐出側に2位置切換弁2nを設け、該2位置切換弁2nの下手側に切換用アクチュエータ2kと3位置切換弁2oを介する左右のプッシュシリンダ2l,2rとを並列に接続する構成である。前記2位置切換弁2nの左右の作動ソレノイド2p,2q及び前記3位置切換弁2oの左右の作動ソレノイド2s,2tは、前記左右の方向修正スイッチ64L,64RのON操作に基づいて、コントローラ62から通電される構成である。
【0043】
また、前述のように、操向用操作具6の把持部の上面に設けた左右の方向修正スイッチ64L,64RのON操作に基づいて操向用アクチュエータ7を作動させて旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤2cの角度を変更させる場合、左右の方向修正スイッチ64L,64Rのいずれか一方がON操作された時点で、操向用アクチュエータ7への通電出力を、設定時間の間だけパルス出力するように構成してもよい。これにより、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤2cの角度変更が円滑に又は緩やかに行われ、衝撃の少ない滑らかな旋回を行うことができる。また、この構成において、前記感度調節ダイヤル65の回転操作量に応じて、操向用アクチュエータ7へのパルス出力時間を長短に無段階に変更できるように構成してもよい。これにより、走行面の状態に応じて旋回感度を調節して円滑な旋回を行うことができる。
【0044】
また、前記感度調節ダイヤル65の回転操作量に応じて、旋回用の静油圧式無段変速装置2の油圧モータ2bの斜盤2cの変更目標角度、即ち油圧モータ2bの変更目標容量自体を変更できるように構成してもよい。これにより、走行面の状態に応じて旋回感度を調節して円滑な旋回を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】作業機として例示するコンバインの正面図である。
【図2】作業機として例示するコンバインの平面図である。
【図3】走行駆動装置の要部の説明図である。
【図4】制御用のブロック回路図である。
【図5】要部の説明用正面図である。
【図6】要部の説明用側面図である。
【図7】油圧回路図である。
【符号の説明】
【0046】
1 走行用の静油圧式無段変速装置
1a 油圧ポンプ
1b 油圧モータ
2 旋回用の静油圧式無段変速装置
2a 油圧ポンプ
2b 油圧モータ
3L 左の遊星歯車機構
3R 右の遊星歯車機構
4L 左の車軸
4R 右の車軸
5 変速用操作具
6 操向用操作具
7 操向用アクチュエータ
64L 左の方向修正スイッチ(左の操向スイッチ)
64R 右の方向修正スイッチ(右の操向スイッチ)
69L 左の穀稈センサー(左の自動方向制御用センサー)
69R 右の穀稈センサー(右の自動方向制御用センサー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変容量式の油圧ポンプ(1a)と固定容量式又は可変容量式の油圧モータ(1b)とから成る走行用の静油圧式無段変速装置(1)の出力と、可変容量式の油圧ポンプ(2a)と可変容量式の油圧モータ(2b)とから成る旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の出力とを左右の遊星歯車機構(3L,3R)へ夫々入力し、該左右の遊星歯車機構(3L,3R)によって合成された出力によって左右の車軸(4L,4R)を差動させて旋回できるように構成し、前記走行用の静油圧無段変速装置(1)の油圧ポンプ(1a)の容量を変速用操作具(5)の操作量に応じて変更させるように構成する一方、前記旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)の容量を操向用操作具(6)の操作量に応じて変更させるように構成すると共に、該旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧モータ(2b)の容量を前記操向用操作具(6)に設けた操向スイッチ(64L,64R)の操作に基づいて作動する操向用アクチュエータ(7)によって変更させることができるように構成したことを特徴とする作業機の走行駆動装置。
【請求項2】
可変容量式の油圧ポンプ(1a)と固定容量式又は可変容量式の油圧モータ(1b)とから成る走行用の静油圧式無段変速装置(1)の出力と、可変容量式の油圧ポンプ(2a)と可変容量式の油圧モータ(2b)とから成る旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の出力とを左右の遊星歯車機構(3L,3R)へ夫々入力し、該左右の遊星歯車機構(3L,3R)によって合成された出力によって左右の車軸(4L,4R)を差動させて旋回できるように構成し、前記走行用の静油圧無段変速装置(1)の油圧ポンプ(1a)の容量を変速用操作具(5)の操作量に応じて変更させるように構成する一方、前記旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧ポンプ(2a)の容量を操向用操作具(6)の操作量に応じて変更させるように構成すると共に、該旋回用の静油圧式無段変速装置(2)の油圧モータ(2b)の容量を自動方向制御用センサー(69L,69R)の検出結果に基づいて作動する操向用アクチュエータ(7)によって変更させることができるように構成したことを特徴とする作業機の走行駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−62544(P2007−62544A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−250785(P2005−250785)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】