作業車両のHST変速操作装置
【課題】トラニオン軸からの不快な振動を幅広い伝動範囲について緩和することができるように、トラニオン軸周りの狭い空間において、十分な弾発伝動を可能とするHST変速操作装置を提供する。
【解決手段】作業車両のHST変速操作装置(14)は、変速操作具(13)の変速操作に応じて静油圧式無段変速装置(12)のトラニオン軸(15)を回動調節するものであり、上記変速操作具(13)によって進退動作する連結ロッド(21)と、その進退動作によりトラニオン軸周りに回動動作しうるアームプレート(22)と、このアームプレート(22)を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド(21)によるモーメントを弾発伝動する防振部材(23)と、この防振部材(23)と連結してモーメントをトラニオン軸(15)に伝動する軸端プレート(24)とにより構成したものである。
【解決手段】作業車両のHST変速操作装置(14)は、変速操作具(13)の変速操作に応じて静油圧式無段変速装置(12)のトラニオン軸(15)を回動調節するものであり、上記変速操作具(13)によって進退動作する連結ロッド(21)と、その進退動作によりトラニオン軸周りに回動動作しうるアームプレート(22)と、このアームプレート(22)を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド(21)によるモーメントを弾発伝動する防振部材(23)と、この防振部材(23)と連結してモーメントをトラニオン軸(15)に伝動する軸端プレート(24)とにより構成したものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の作業車両のHST(静油圧式無段変速伝動装置)を変速レバー等の操作具によって変速操作するための作業車両のHST変速操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバイン等の作業車両の操縦室には、走行機器および作業機器の運転操作のための操縦装置としてHSTと略称する静油圧式無段変速装置の制御軸であるトラニオン軸と連結するHST変速レバーを含む各種の操作具が配置される。このHST変速レバーは、HST制御軸であるトラニオン軸との間にHST制御軸操作装置を介して連結され、トラニオン軸の回動角度位置を調節することによってエンジン動力を前後進無段変速制御する。
【0003】
また、HST変速レバーは、HSTのポンプ部に内設されている流量制御板と連結するトラニオン軸が振動トルクを発することから、この振動が伝わらないように、例えば、特許文献1(図5)の如く、筒状ゴムを内設したスリーブにロッドを挿通保持した小型の防振部材をHST制御軸操作装置に介設することにより、トラニオン軸周りの狭い空間において、トラニオン軸から操作部に伝わる不快な振動をコンパクトな構成によって緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2001―277888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記HST制御軸操作装置の防振部材は、コンパクトな構成であるが故に伝動力を大きくとれないことから、操作力が大きい場合は、筒状ゴムの弾性変形を規制するストッパを介してスリーブとロッドとが直接伝動となり、操作部に伝わる不快な振動を抑えることができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、トラニオン軸からの不快な振動を幅広い伝動範囲について緩和することができるように、トラニオン軸周りの狭い空間において、十分な弾発伝動を可能とするHST制御軸操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて静油圧式無段変速装置(12)のトラニオン軸(15)の回動角度位置を調節する作業車両のHST変速操作装置(14)であって、上記変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて進退動作する連結ロッド(21)と、この連結ロッド(21)と連結してその進退動作によりトラニオン軸(15)周りに回動動作しうるアームプレート(22)と、このアームプレート(22)を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド(21)によるモーメントを弾発伝動する防振部材(23)と、この防振部材(23)と連結してモーメントをトラニオン軸(15)に伝動する軸端プレート(24)とからなることを特徴とする。
【0008】
上記防振部材は、アームプレート(22)から受けるモーメントを軸端プレートによってトラニオン軸(15)に弾発伝動し、アームプレート(22)を動径とする回動領域の範囲内のコンパクトな構成において、トラニオン軸(15)からの距離に応じた大きさのモーメントを弾発伝動する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記防振部材(23)は、ボルト(25)を挿通可能に形成した弾性材によるスリーブ部(32)と、その一端に一体に拡径形成した弾性材による鍔部(33)と、この鍔部(33)の側からスリーブ部(32)に挿通したボルト(25)と螺合してその締結力によりスリーブ部(32)を拡径させるナット(34)とからなることを特徴とする。
【0010】
上記構成の防振部材は、アームプレート(22)と軸端プレートのいずれか一方に鍔部までスリーブ部(32)を挿通し、このスリーブ部(32)を他方に固定するよう同鍔部側からボルト(25)を挿通してナット(34)と螺合締結することにより、ナット(34)の移動量に応じてスリーブ部(32)が拡径され、この拡径部と鍔部(33)とにより弾性支持部が形成され、この弾性支持部とボルト(25)との間にその軸線の両方向について弾発伝動作用が確保される。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記防振部材(23)は、トラニオン軸(15)を含む平面について対称に作用する2つの弾性部材からなることを特徴とする。
対称配置の2つの防振部材(23)を介してアームプレート(22)のモーメントが両方向同様に伝達される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明のHST変速操作装置は、防振部材(23)により、アームプレート(22)から受けるモーメントを軸端プレートによってトラニオン軸(15)に弾発伝動し、アームプレート(22)を動径とする回動領域の範囲内のコンパクトな構成において、トラニオン軸(15)からの距離に応じたモーメントを弾発伝動することが可能となることから、トラニオン軸(15)周りの狭い空間において、トラニオン軸(15)からの不快な振動を緩和することができる。
【0013】
請求項2に係る発明のHST変速操作装置は、請求項1に係る発明の効果に加え、防振部材(23)により、アームプレート(22)と軸端プレートのいずれか一方に鍔部までスリーブ部(32)を挿通し、このスリーブ部(32)を他方に固定するよう同鍔部側からボルト(25)を挿通してナット(34)と螺合締結することにより、ナット(34)の移動量に応じてスリーブ部(32)が拡径され、この拡径部と鍔部(33)とにより弾性支持部が形成され、この弾性支持部とボルト(25)との間にその軸線の両方向について弾発伝動作用が確保されることから、スリーブ部(32)を取付け孔に差し込んでボルト(25)で固定する簡易な作業によって防振部材(23)の組付けが可能となる。
【0014】
請求項3に係る発明のHST変速操作装置は、請求項1に係る発明の効果に加え、対称配置の2つの防振部材(23)を介してアームプレート(22)のモーメントが両方向同様に伝達されることから、簡易な弾性部材によってトラニオン軸(15)の両回動方向の操作について同等に振動伝達を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの平面図
【図2】コンバインの側面図
【図3】機体フレーム前部の要部拡大側面図
【図4】図3におけるA矢視による軸線正面拡大図
【図5】HST制御軸操作装置の部分破断を伴う要部正面図
【図6】図5のHST制御軸操作装置の側面図
【図7】図5のHST制御軸操作装置の上面図
【図8】防振部材の縦断面図
【図9】別構成例のHST制御軸操作装置の軸線方向正面図
【図10】円形構成例のHST制御軸操作装置の軸線方向正面図
【図11】ラジエタオープン状態の要部平面図
【図12】整備時のラジエタオープン状態の要部平面図
【図13】シュラウドの取付け構造例の縦断面図
【図14】機体後部の要部外観斜視図
【図15】後部照明の構成例の断面図(a〜c)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、図2は、本発明の適用対象の作業車両であるコンバインの側面図および平面図である。コンバインの機体は、平面視で矩形に枠組みした機体フレーム1の下側に左右のクローラ式の走行装置2を設け、機体フレーム1の上側には、脱穀装置3と穀粒貯留装置5を左右に並べて搭載し、機体フレーム1の前側に刈取装置4を昇降自在に設け、該刈取装置4と穀粒貯留装置5の間に操縦部6を構成する。
【0017】
機体フレーム1の前部には、図3の要部拡大側面図に示すように、走行装置2の速度を調節する走行伝動装置11が配置され、この走行伝動装置11は、エンジンの回転動力を無段変速するHSTと略称される静油圧式前後進無段変速機構12を一体に備える。また、操縦部6には、中立位置を挟む前後操作幅A1,A2によって停止速を含む前後進の走行車速を調節操作するための変速レバー13を設け、この変速レバー13からHST制御軸操作装置14を介してHSTの変速制御軸であるトラニオン軸15と連結する。
【0018】
HST制御軸操作装置14は、図3におけるA矢視によるトラニオン軸正面視の拡大図を図4に示すように、変速操作具である変速レバー13と連結して略上下方向に進退動作する連結ロッド21と、この連結ロッド21と連結してその進退動作によりトラニオン軸周りのモーメントを受けるアームプレート22と、このアームプレート22を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド21によるモーメントを弾発伝動する略スリーブ状の2つの防振部材23,23と、これら防振部材23,23と連結してモーメントをトラニオン軸15に伝動する軸端プレート24とから構成される。
【0019】
詳細には、HST制御軸操作装置14の部分破断を伴う要部正面図、側面図および上面図をそれぞれ図5〜図7に示すように、連結ロッド21はその下端にボールジョイントを備え、このボールジョイントにより、変速レバー13の中立位置を含む前後の操作幅A1,A2と対応する角度範囲θについての傾斜を許容しつつアームプレート22の一端に起設したスタッド22sに連結する。
【0020】
アームプレート22は、連結ロッド21によるトラニオン軸15周りのモーメントを伝動する防振部材23,23をボルト固定するための取付部22aを他端部に起立形成し、この取付部22aにトラニオン軸15の軸心を含む平面について対称に2本のボルト25,25でそれぞれ防振部材23,23を挿通固定する。また、アームプレート22とトラニオン軸15の軸端との間は、アームプレート22の変位限度に適する距離Bに設定する。
【0021】
防振部材23は、ボルト取付けが可能な弾性保持部材であり、例えば、図8の縦断面図に示すように、ボルト25を挿通可能に形成した弾性材によるスリーブ部32と、その一端に一体に拡径形成した鍔部33と、この鍔部33の側からスリーブ部32に挿通したボルト25と螺合してその締結力によりスリーブ部32を拡径させるナット34をスリーブ部32と一体モールドによって埋め込むように保持して構成する。
【0022】
上記構成の防振部材23は、アームプレート22と軸端プレート24のいずれか一方に鍔部33までスリーブ部32を挿通し、このスリーブ部32を他方に固定するよう同鍔部側からボルト25を挿通してナット34と螺合締結することにより、ナット34の移動量Cに応じてスリーブ部32が拡径され、この拡径部35と鍔部33とにより弾性支持部Dが形成され、この弾性支持部Dとボルト25との間にその軸線の両方向について弾発伝動作用が確保される。このように、スリーブ部32を取付け孔に差し込んでボルト25で固定する簡易な作業によって防振部材23を組付けすることができる。
【0023】
軸端プレート24は、トラニオン軸15の軸端部を挟み付けてボルト固定するためのスリ割式固定部26と、その側方位置に起立して防振部材23,23を取付けるための取付部24aとからなり、この取付部24aは、アームプレート22の取付部22aの近くに対向して防振部材23,23のそれぞれのスリーブ部32を挿通固定可能に構成し、さらに、この取付部24aには突部27を設けて両取付部22a,24aの間の変位限度Eを設定する。この突部27による隙間の変位限度Eおよび上記トラニオン軸15による軸端隙間の変位限度Bにより、防振部材23,23の過負荷防止が可能となる。
【0024】
上記構成のHST制御軸操作装置14は、変速レバー13の中立位置を含む前後の操作幅A1,A2と対応するアームプレート22の角度幅α,βに及ぶ回動動作につき、防振部材23,23がアームプレート22から受けるモーメントを軸端プレート24によってトラニオン軸15に弾発伝動し、アームプレート22を動径とする回動領域の範囲内のコンパクトな構成により、トラニオン軸15からの距離に応じたモーメントを弾発伝動することが可能となる。
【0025】
このように、HST制御軸操作装置14は、トラニオン軸15の軸端部に配置したアームプレート22の端部位置で軸端プレート24と弾発連結することによりトラニオン軸15から伝わる振動を緩和することができることから、従来のHST制御軸操作装置の構成では避けられない問題、すなわち、HST12の入力プーリ等の回転体と近接する位置における干渉の回避のためのレイアウトや保護カバーを用いるレイアウトによるコスト、品質面の問題、ゴム等による円筒状の弾性体により荷重方向に対し剪断方向で受ける構成の場合に、その弾性体の強度やオーバーハングによる倒れ等により品質や性能が不安定となる問題、および、従来の防振ゴムのバネ定数が比較的大きくて身体操作に不向きであったこと等の欠点を解消することができる。
【0026】
また、上記構成のHST制御軸操作装置14は、トラニオン軸15の軸端周りを塞ぐ蓋15aの外形範囲内の小さい空間内にコンパクトに構成することができることから、変速レバー13の中立位置を含む前後の操作幅A1,A2につき、蓋15aの外形よりはみ出して構成される従来の構成では、トラニオン軸を中心とする円弧範囲の干渉を回避する制約内で構成のレイアウトをする必要があったが、接続アームの取出し方向の自由度の故に、走行用変速ギヤボックスに限らない多様な機器の駆動源としてHSTの適用範囲を拡大することができる。
【0027】
また、2つの防振部材23,23は、トラニオン軸15を含む平面について対称配置に構成することにより、2つの防振部材を介してアームプレートのモーメントが両方向同様に伝達されることから、簡易な弾性部材によってもトラニオン軸の両回動方向の操作について同等に振動伝達を抑えることができる。
【0028】
(別構成例)
次に、HSTの入力軸周りの開放部分を有効利用したHST制御軸操作装置の構成例について説明する。
図9のトラニオン軸の軸線方向視による正面図に示すように、トラニオン軸の軸端近傍には、右側に入力軸であるポンプ軸41、左側にチャージポンプアダプタ組付け部42、下方に出力じくであるモータ軸43aを有するモータ軸結合部43等が配置され、HST本体のチャージポンプ、モータ軸結合部等トラニオン軸端視でトラニオン軸心より略180度左下方部は、チャージ回路の配管、モータ軸と結合するミッションケースなどの様々な部材で構成されることが多く、防振部材を小さくしたり、周辺の部材形状の複雑化を強いられる等の問題があり、ポンプロータリグループを内装しているHST本体の右側上部(入力軸側)を中心とする略180度の範囲内でのみ作動するようにHST制御軸操作装置44を構成することによって上記問題を解消することができる。
【0029】
このHST制御軸操作装置44は、右側(入力プーリ側)略90度上部に軸端プレート45及びアームプレート46をそれぞれの取付部45a、46aを介して防振部材23,23で結合し、その防振部材23,23をHSTの「中立」時に右45度の基準線Lに平行に振り分け、軸端視でHSTケース外形ラインS内に構成することにより、アームプレート46を操作する際にトラニオン軸15に働く接線方向力を防振部材23,23の軸方向と剪断方向に分力し、適切な振動吸収と急発進時のショック緩和により操作上のフィーリングを向上することができる。また、軸端プレート45とアームプレート46との結合において、複数の防振部材23,23を軸心より上方に配置することにより、高い振動吸収に対して圧倒的な小形、安価でネジの締め込み加減で適切なバネ定数を得ることができる。
【0030】
次に、円形構成のHST制御軸操作装置について説明する。
このHST制御軸操作装置51は、図10の軸線方向の正面図に示すように、軸端プレート52及びアームプレート53を円形に構成し、その3箇所にそれぞれの取付部52a、53aを介して防振部材23を等分周配置して両者間を連結するとともに、全ての防振部材23の軸線を荷重の作用方向である接線方向に略一致して構成する。このように構成したHST制御軸操作装置51は、HSTポンプの圧力変動等による回転体の振動を軸端プレート52を介して複数の防振部材23で均等に分散することにより振動抑制効果を奏する。
【0031】
(ラジエタ支持部)
次に、ラジエタ支持部について説明する。
機体側面部に片開き構成に支持した従来の支持構成のラジエタは、メンテナンスのためにオープンする際に、ラジエタの前面に位置するオイルクーラの配管により、十分な開き角度が確保できないという問題があり、その解決のために、図11のラジエタオープン状態の要部平面図に示すように、ラジエタ61の機体前側に支点62を設けて機体後側を引き出すように片開きの支持部を構成したコンバインにおいて、第2の支点63をオイルクーラ64の配管部64aより機体前側に追加し、ラジエタ61を2段階にオープン可能に構成する。
【0032】
上記構成のラジエタ支持部により、ラジエタ61およびオイルクーラ64の清掃時は、本来の支点62により必要最低限の角度でオープンでき、また、整備時には、図12のラジエタオープン状態の要部平面図に示すように、第2の支点63によりラジエタ61を大きくオープンすることができる。
【0033】
また、ラジエタとエンジンとの間のシュラウドは、従来、ラジエタ側に取付けてあり、ラジエタファン羽に被せた状態であったことから、エンジン始動時および脱穀クラッチ作動時のゴムマウント上に搭載されているエンジンが大きく振れた時にラジエタファン羽と干渉するので、シュラウドとファン羽との隙間を設ける必要があり、その隙間についても、オーバーヒートを回避するべく機種毎に寸法が異なることから生産ラインで組立時に煩雑な隙間調整作業を強いられ、また、機種よってはファン羽との干渉防止のための規制バーや規制ボルト等の取付けによりコスト増要因となっていた。
【0034】
このような問題を解決するために、図13の取付け構造例の縦断面図に示すように、エンジン71側にシュラウド72を固定し、ラジエタ61との間をゴム部材やジャバラ部材等の変形自在な接続部材73で接続することにより、エンジン始動時および脱穀クラッチ作動時等にエンジン71が大きく振れた場合でも、シュラウド72がエンジン71と同振してシュラウド72とファン羽74との干渉を防ぐことができ、生産ラインでの組立、隙間調整も容易に行うことができ、また、規制バーや規制ボルト等の廃止によるコストダウンが可能となり、さらに、生産ラインでの組立もエンジン単体で隙間調整ができ、ゴム等の接続部材73とラジエタ61との繋ぎも細かい位置合わせが不要で組立作業が容易となる。
【0035】
(後部照明)
次に、コンバインの後部照明について説明する。
従来のコンバインの後部照明は、圃場作物等との干渉を避けるために機体後部の既刈側である右下部に埋め込んで取付けられ、その結果、左方側は影になり照明が不十分であったことから、夜間作業、路上走行機体後方の安全性向上のために、機体後部の要部外観斜視図を図14に示すように、後部照明81として排ワラカバー82の内部にライト・発光液晶等の発光体を装着し、高い位置から後方を広く照明できるように構成する。また、排ワラカバー82に文字等を印刷して機械のアピールのためと広告灯の機能を兼ねることができる。
【0036】
具体的には、後部照明構成例の断面図(a〜c)を図15に示すように、背面を保護用遮光板83とし、同図(a)例は、白熱球84とレンズ兼用のカバーガード85で構成し、同図(b)の例は、有機EL照明86と透明プラスチック板87のカバーガードで構成し、また、同図(c)の例は、背面の保護用遮光板83に大型の有機EL照明88を取付けて構成する。
【符号の説明】
【0037】
6 操縦部
11 走行伝動装置
12 静油圧式前後進無段変速機構(HST)
13 変速レバー
14 制御軸操作装置
15 トラニオン軸
15a 蓋
21 連結ロッド
22 アームプレート
22a 取付部
23 防振部材
24 軸端プレート
24a 取付部
25 ボルト
32 スリーブ部
33 鍔部
34 ナット
35 拡径部
A1,A2 操作幅
C 移動量
D 弾性支持部
α,β 回動角度幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の作業車両のHST(静油圧式無段変速伝動装置)を変速レバー等の操作具によって変速操作するための作業車両のHST変速操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンバイン等の作業車両の操縦室には、走行機器および作業機器の運転操作のための操縦装置としてHSTと略称する静油圧式無段変速装置の制御軸であるトラニオン軸と連結するHST変速レバーを含む各種の操作具が配置される。このHST変速レバーは、HST制御軸であるトラニオン軸との間にHST制御軸操作装置を介して連結され、トラニオン軸の回動角度位置を調節することによってエンジン動力を前後進無段変速制御する。
【0003】
また、HST変速レバーは、HSTのポンプ部に内設されている流量制御板と連結するトラニオン軸が振動トルクを発することから、この振動が伝わらないように、例えば、特許文献1(図5)の如く、筒状ゴムを内設したスリーブにロッドを挿通保持した小型の防振部材をHST制御軸操作装置に介設することにより、トラニオン軸周りの狭い空間において、トラニオン軸から操作部に伝わる不快な振動をコンパクトな構成によって緩和することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2001―277888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記HST制御軸操作装置の防振部材は、コンパクトな構成であるが故に伝動力を大きくとれないことから、操作力が大きい場合は、筒状ゴムの弾性変形を規制するストッパを介してスリーブとロッドとが直接伝動となり、操作部に伝わる不快な振動を抑えることができないという問題があった。
【0006】
本発明の目的は、トラニオン軸からの不快な振動を幅広い伝動範囲について緩和することができるように、トラニオン軸周りの狭い空間において、十分な弾発伝動を可能とするHST制御軸操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて静油圧式無段変速装置(12)のトラニオン軸(15)の回動角度位置を調節する作業車両のHST変速操作装置(14)であって、上記変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて進退動作する連結ロッド(21)と、この連結ロッド(21)と連結してその進退動作によりトラニオン軸(15)周りに回動動作しうるアームプレート(22)と、このアームプレート(22)を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド(21)によるモーメントを弾発伝動する防振部材(23)と、この防振部材(23)と連結してモーメントをトラニオン軸(15)に伝動する軸端プレート(24)とからなることを特徴とする。
【0008】
上記防振部材は、アームプレート(22)から受けるモーメントを軸端プレートによってトラニオン軸(15)に弾発伝動し、アームプレート(22)を動径とする回動領域の範囲内のコンパクトな構成において、トラニオン軸(15)からの距離に応じた大きさのモーメントを弾発伝動する。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1の構成において、前記防振部材(23)は、ボルト(25)を挿通可能に形成した弾性材によるスリーブ部(32)と、その一端に一体に拡径形成した弾性材による鍔部(33)と、この鍔部(33)の側からスリーブ部(32)に挿通したボルト(25)と螺合してその締結力によりスリーブ部(32)を拡径させるナット(34)とからなることを特徴とする。
【0010】
上記構成の防振部材は、アームプレート(22)と軸端プレートのいずれか一方に鍔部までスリーブ部(32)を挿通し、このスリーブ部(32)を他方に固定するよう同鍔部側からボルト(25)を挿通してナット(34)と螺合締結することにより、ナット(34)の移動量に応じてスリーブ部(32)が拡径され、この拡径部と鍔部(33)とにより弾性支持部が形成され、この弾性支持部とボルト(25)との間にその軸線の両方向について弾発伝動作用が確保される。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1の構成において、前記防振部材(23)は、トラニオン軸(15)を含む平面について対称に作用する2つの弾性部材からなることを特徴とする。
対称配置の2つの防振部材(23)を介してアームプレート(22)のモーメントが両方向同様に伝達される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明のHST変速操作装置は、防振部材(23)により、アームプレート(22)から受けるモーメントを軸端プレートによってトラニオン軸(15)に弾発伝動し、アームプレート(22)を動径とする回動領域の範囲内のコンパクトな構成において、トラニオン軸(15)からの距離に応じたモーメントを弾発伝動することが可能となることから、トラニオン軸(15)周りの狭い空間において、トラニオン軸(15)からの不快な振動を緩和することができる。
【0013】
請求項2に係る発明のHST変速操作装置は、請求項1に係る発明の効果に加え、防振部材(23)により、アームプレート(22)と軸端プレートのいずれか一方に鍔部までスリーブ部(32)を挿通し、このスリーブ部(32)を他方に固定するよう同鍔部側からボルト(25)を挿通してナット(34)と螺合締結することにより、ナット(34)の移動量に応じてスリーブ部(32)が拡径され、この拡径部と鍔部(33)とにより弾性支持部が形成され、この弾性支持部とボルト(25)との間にその軸線の両方向について弾発伝動作用が確保されることから、スリーブ部(32)を取付け孔に差し込んでボルト(25)で固定する簡易な作業によって防振部材(23)の組付けが可能となる。
【0014】
請求項3に係る発明のHST変速操作装置は、請求項1に係る発明の効果に加え、対称配置の2つの防振部材(23)を介してアームプレート(22)のモーメントが両方向同様に伝達されることから、簡易な弾性部材によってトラニオン軸(15)の両回動方向の操作について同等に振動伝達を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コンバインの平面図
【図2】コンバインの側面図
【図3】機体フレーム前部の要部拡大側面図
【図4】図3におけるA矢視による軸線正面拡大図
【図5】HST制御軸操作装置の部分破断を伴う要部正面図
【図6】図5のHST制御軸操作装置の側面図
【図7】図5のHST制御軸操作装置の上面図
【図8】防振部材の縦断面図
【図9】別構成例のHST制御軸操作装置の軸線方向正面図
【図10】円形構成例のHST制御軸操作装置の軸線方向正面図
【図11】ラジエタオープン状態の要部平面図
【図12】整備時のラジエタオープン状態の要部平面図
【図13】シュラウドの取付け構造例の縦断面図
【図14】機体後部の要部外観斜視図
【図15】後部照明の構成例の断面図(a〜c)
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1、図2は、本発明の適用対象の作業車両であるコンバインの側面図および平面図である。コンバインの機体は、平面視で矩形に枠組みした機体フレーム1の下側に左右のクローラ式の走行装置2を設け、機体フレーム1の上側には、脱穀装置3と穀粒貯留装置5を左右に並べて搭載し、機体フレーム1の前側に刈取装置4を昇降自在に設け、該刈取装置4と穀粒貯留装置5の間に操縦部6を構成する。
【0017】
機体フレーム1の前部には、図3の要部拡大側面図に示すように、走行装置2の速度を調節する走行伝動装置11が配置され、この走行伝動装置11は、エンジンの回転動力を無段変速するHSTと略称される静油圧式前後進無段変速機構12を一体に備える。また、操縦部6には、中立位置を挟む前後操作幅A1,A2によって停止速を含む前後進の走行車速を調節操作するための変速レバー13を設け、この変速レバー13からHST制御軸操作装置14を介してHSTの変速制御軸であるトラニオン軸15と連結する。
【0018】
HST制御軸操作装置14は、図3におけるA矢視によるトラニオン軸正面視の拡大図を図4に示すように、変速操作具である変速レバー13と連結して略上下方向に進退動作する連結ロッド21と、この連結ロッド21と連結してその進退動作によりトラニオン軸周りのモーメントを受けるアームプレート22と、このアームプレート22を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド21によるモーメントを弾発伝動する略スリーブ状の2つの防振部材23,23と、これら防振部材23,23と連結してモーメントをトラニオン軸15に伝動する軸端プレート24とから構成される。
【0019】
詳細には、HST制御軸操作装置14の部分破断を伴う要部正面図、側面図および上面図をそれぞれ図5〜図7に示すように、連結ロッド21はその下端にボールジョイントを備え、このボールジョイントにより、変速レバー13の中立位置を含む前後の操作幅A1,A2と対応する角度範囲θについての傾斜を許容しつつアームプレート22の一端に起設したスタッド22sに連結する。
【0020】
アームプレート22は、連結ロッド21によるトラニオン軸15周りのモーメントを伝動する防振部材23,23をボルト固定するための取付部22aを他端部に起立形成し、この取付部22aにトラニオン軸15の軸心を含む平面について対称に2本のボルト25,25でそれぞれ防振部材23,23を挿通固定する。また、アームプレート22とトラニオン軸15の軸端との間は、アームプレート22の変位限度に適する距離Bに設定する。
【0021】
防振部材23は、ボルト取付けが可能な弾性保持部材であり、例えば、図8の縦断面図に示すように、ボルト25を挿通可能に形成した弾性材によるスリーブ部32と、その一端に一体に拡径形成した鍔部33と、この鍔部33の側からスリーブ部32に挿通したボルト25と螺合してその締結力によりスリーブ部32を拡径させるナット34をスリーブ部32と一体モールドによって埋め込むように保持して構成する。
【0022】
上記構成の防振部材23は、アームプレート22と軸端プレート24のいずれか一方に鍔部33までスリーブ部32を挿通し、このスリーブ部32を他方に固定するよう同鍔部側からボルト25を挿通してナット34と螺合締結することにより、ナット34の移動量Cに応じてスリーブ部32が拡径され、この拡径部35と鍔部33とにより弾性支持部Dが形成され、この弾性支持部Dとボルト25との間にその軸線の両方向について弾発伝動作用が確保される。このように、スリーブ部32を取付け孔に差し込んでボルト25で固定する簡易な作業によって防振部材23を組付けすることができる。
【0023】
軸端プレート24は、トラニオン軸15の軸端部を挟み付けてボルト固定するためのスリ割式固定部26と、その側方位置に起立して防振部材23,23を取付けるための取付部24aとからなり、この取付部24aは、アームプレート22の取付部22aの近くに対向して防振部材23,23のそれぞれのスリーブ部32を挿通固定可能に構成し、さらに、この取付部24aには突部27を設けて両取付部22a,24aの間の変位限度Eを設定する。この突部27による隙間の変位限度Eおよび上記トラニオン軸15による軸端隙間の変位限度Bにより、防振部材23,23の過負荷防止が可能となる。
【0024】
上記構成のHST制御軸操作装置14は、変速レバー13の中立位置を含む前後の操作幅A1,A2と対応するアームプレート22の角度幅α,βに及ぶ回動動作につき、防振部材23,23がアームプレート22から受けるモーメントを軸端プレート24によってトラニオン軸15に弾発伝動し、アームプレート22を動径とする回動領域の範囲内のコンパクトな構成により、トラニオン軸15からの距離に応じたモーメントを弾発伝動することが可能となる。
【0025】
このように、HST制御軸操作装置14は、トラニオン軸15の軸端部に配置したアームプレート22の端部位置で軸端プレート24と弾発連結することによりトラニオン軸15から伝わる振動を緩和することができることから、従来のHST制御軸操作装置の構成では避けられない問題、すなわち、HST12の入力プーリ等の回転体と近接する位置における干渉の回避のためのレイアウトや保護カバーを用いるレイアウトによるコスト、品質面の問題、ゴム等による円筒状の弾性体により荷重方向に対し剪断方向で受ける構成の場合に、その弾性体の強度やオーバーハングによる倒れ等により品質や性能が不安定となる問題、および、従来の防振ゴムのバネ定数が比較的大きくて身体操作に不向きであったこと等の欠点を解消することができる。
【0026】
また、上記構成のHST制御軸操作装置14は、トラニオン軸15の軸端周りを塞ぐ蓋15aの外形範囲内の小さい空間内にコンパクトに構成することができることから、変速レバー13の中立位置を含む前後の操作幅A1,A2につき、蓋15aの外形よりはみ出して構成される従来の構成では、トラニオン軸を中心とする円弧範囲の干渉を回避する制約内で構成のレイアウトをする必要があったが、接続アームの取出し方向の自由度の故に、走行用変速ギヤボックスに限らない多様な機器の駆動源としてHSTの適用範囲を拡大することができる。
【0027】
また、2つの防振部材23,23は、トラニオン軸15を含む平面について対称配置に構成することにより、2つの防振部材を介してアームプレートのモーメントが両方向同様に伝達されることから、簡易な弾性部材によってもトラニオン軸の両回動方向の操作について同等に振動伝達を抑えることができる。
【0028】
(別構成例)
次に、HSTの入力軸周りの開放部分を有効利用したHST制御軸操作装置の構成例について説明する。
図9のトラニオン軸の軸線方向視による正面図に示すように、トラニオン軸の軸端近傍には、右側に入力軸であるポンプ軸41、左側にチャージポンプアダプタ組付け部42、下方に出力じくであるモータ軸43aを有するモータ軸結合部43等が配置され、HST本体のチャージポンプ、モータ軸結合部等トラニオン軸端視でトラニオン軸心より略180度左下方部は、チャージ回路の配管、モータ軸と結合するミッションケースなどの様々な部材で構成されることが多く、防振部材を小さくしたり、周辺の部材形状の複雑化を強いられる等の問題があり、ポンプロータリグループを内装しているHST本体の右側上部(入力軸側)を中心とする略180度の範囲内でのみ作動するようにHST制御軸操作装置44を構成することによって上記問題を解消することができる。
【0029】
このHST制御軸操作装置44は、右側(入力プーリ側)略90度上部に軸端プレート45及びアームプレート46をそれぞれの取付部45a、46aを介して防振部材23,23で結合し、その防振部材23,23をHSTの「中立」時に右45度の基準線Lに平行に振り分け、軸端視でHSTケース外形ラインS内に構成することにより、アームプレート46を操作する際にトラニオン軸15に働く接線方向力を防振部材23,23の軸方向と剪断方向に分力し、適切な振動吸収と急発進時のショック緩和により操作上のフィーリングを向上することができる。また、軸端プレート45とアームプレート46との結合において、複数の防振部材23,23を軸心より上方に配置することにより、高い振動吸収に対して圧倒的な小形、安価でネジの締め込み加減で適切なバネ定数を得ることができる。
【0030】
次に、円形構成のHST制御軸操作装置について説明する。
このHST制御軸操作装置51は、図10の軸線方向の正面図に示すように、軸端プレート52及びアームプレート53を円形に構成し、その3箇所にそれぞれの取付部52a、53aを介して防振部材23を等分周配置して両者間を連結するとともに、全ての防振部材23の軸線を荷重の作用方向である接線方向に略一致して構成する。このように構成したHST制御軸操作装置51は、HSTポンプの圧力変動等による回転体の振動を軸端プレート52を介して複数の防振部材23で均等に分散することにより振動抑制効果を奏する。
【0031】
(ラジエタ支持部)
次に、ラジエタ支持部について説明する。
機体側面部に片開き構成に支持した従来の支持構成のラジエタは、メンテナンスのためにオープンする際に、ラジエタの前面に位置するオイルクーラの配管により、十分な開き角度が確保できないという問題があり、その解決のために、図11のラジエタオープン状態の要部平面図に示すように、ラジエタ61の機体前側に支点62を設けて機体後側を引き出すように片開きの支持部を構成したコンバインにおいて、第2の支点63をオイルクーラ64の配管部64aより機体前側に追加し、ラジエタ61を2段階にオープン可能に構成する。
【0032】
上記構成のラジエタ支持部により、ラジエタ61およびオイルクーラ64の清掃時は、本来の支点62により必要最低限の角度でオープンでき、また、整備時には、図12のラジエタオープン状態の要部平面図に示すように、第2の支点63によりラジエタ61を大きくオープンすることができる。
【0033】
また、ラジエタとエンジンとの間のシュラウドは、従来、ラジエタ側に取付けてあり、ラジエタファン羽に被せた状態であったことから、エンジン始動時および脱穀クラッチ作動時のゴムマウント上に搭載されているエンジンが大きく振れた時にラジエタファン羽と干渉するので、シュラウドとファン羽との隙間を設ける必要があり、その隙間についても、オーバーヒートを回避するべく機種毎に寸法が異なることから生産ラインで組立時に煩雑な隙間調整作業を強いられ、また、機種よってはファン羽との干渉防止のための規制バーや規制ボルト等の取付けによりコスト増要因となっていた。
【0034】
このような問題を解決するために、図13の取付け構造例の縦断面図に示すように、エンジン71側にシュラウド72を固定し、ラジエタ61との間をゴム部材やジャバラ部材等の変形自在な接続部材73で接続することにより、エンジン始動時および脱穀クラッチ作動時等にエンジン71が大きく振れた場合でも、シュラウド72がエンジン71と同振してシュラウド72とファン羽74との干渉を防ぐことができ、生産ラインでの組立、隙間調整も容易に行うことができ、また、規制バーや規制ボルト等の廃止によるコストダウンが可能となり、さらに、生産ラインでの組立もエンジン単体で隙間調整ができ、ゴム等の接続部材73とラジエタ61との繋ぎも細かい位置合わせが不要で組立作業が容易となる。
【0035】
(後部照明)
次に、コンバインの後部照明について説明する。
従来のコンバインの後部照明は、圃場作物等との干渉を避けるために機体後部の既刈側である右下部に埋め込んで取付けられ、その結果、左方側は影になり照明が不十分であったことから、夜間作業、路上走行機体後方の安全性向上のために、機体後部の要部外観斜視図を図14に示すように、後部照明81として排ワラカバー82の内部にライト・発光液晶等の発光体を装着し、高い位置から後方を広く照明できるように構成する。また、排ワラカバー82に文字等を印刷して機械のアピールのためと広告灯の機能を兼ねることができる。
【0036】
具体的には、後部照明構成例の断面図(a〜c)を図15に示すように、背面を保護用遮光板83とし、同図(a)例は、白熱球84とレンズ兼用のカバーガード85で構成し、同図(b)の例は、有機EL照明86と透明プラスチック板87のカバーガードで構成し、また、同図(c)の例は、背面の保護用遮光板83に大型の有機EL照明88を取付けて構成する。
【符号の説明】
【0037】
6 操縦部
11 走行伝動装置
12 静油圧式前後進無段変速機構(HST)
13 変速レバー
14 制御軸操作装置
15 トラニオン軸
15a 蓋
21 連結ロッド
22 アームプレート
22a 取付部
23 防振部材
24 軸端プレート
24a 取付部
25 ボルト
32 スリーブ部
33 鍔部
34 ナット
35 拡径部
A1,A2 操作幅
C 移動量
D 弾性支持部
α,β 回動角度幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて静油圧式無段変速装置(12)のトラニオン軸(15)の回動角度位置を調節する作業車両のHST変速操作装置(14)であって、
上記変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて進退動作する連結ロッド(21)と、この連結ロッド(21)と連結してその進退動作によりトラニオン軸(15)周りに回動動作しうるアームプレート(22)と、このアームプレート(22)を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド(21)によるモーメントを弾発伝動する防振部材(23)と、この防振部材(23)と連結してモーメントをトラニオン軸(15)に伝動する軸端プレート(24)とからなることを特徴とする作業車両のHST変速操作装置。
【請求項2】
前記防振部材(23)は、ボルト(25)を挿通可能に形成した弾性材によるスリーブ部(32)と、その一端に一体に拡径形成した弾性材による鍔部(33)と、この鍔部(33)の側からスリーブ部(32)に挿通したボルト(25)と螺合してその締結力によりスリーブ部(32)を拡径させるナット(34)とからなることを特徴とする請求項1記載の作業車両のHST変速操作装置。
【請求項3】
前記防振部材(23)は、トラニオン軸(15)を含む平面について対称に作用する2つの弾性部材からなることを特徴とする請求項1記載の作業車両のHST変速操作装置。
【請求項1】
変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて静油圧式無段変速装置(12)のトラニオン軸(15)の回動角度位置を調節する作業車両のHST変速操作装置(14)であって、
上記変速操作具(13)と連結してその変速操作に応じて進退動作する連結ロッド(21)と、この連結ロッド(21)と連結してその進退動作によりトラニオン軸(15)周りに回動動作しうるアームプレート(22)と、このアームプレート(22)を動径とする回転領域の範囲内で連結ロッド(21)によるモーメントを弾発伝動する防振部材(23)と、この防振部材(23)と連結してモーメントをトラニオン軸(15)に伝動する軸端プレート(24)とからなることを特徴とする作業車両のHST変速操作装置。
【請求項2】
前記防振部材(23)は、ボルト(25)を挿通可能に形成した弾性材によるスリーブ部(32)と、その一端に一体に拡径形成した弾性材による鍔部(33)と、この鍔部(33)の側からスリーブ部(32)に挿通したボルト(25)と螺合してその締結力によりスリーブ部(32)を拡径させるナット(34)とからなることを特徴とする請求項1記載の作業車両のHST変速操作装置。
【請求項3】
前記防振部材(23)は、トラニオン軸(15)を含む平面について対称に作用する2つの弾性部材からなることを特徴とする請求項1記載の作業車両のHST変速操作装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−69470(P2011−69470A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222810(P2009−222810)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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