説明

作業車両

【課題】移動局を前輪と後輪の間で、かつ本機の左右略中央に脱着可能に設置する構成の場合は、設置時に移動局を手で持ったままの状態で本機に搭乗しなければならず、更に本機に立設した正面視門型に構成したフレームの横架部に設置しなくてはならないため、設置し辛く、手間がかかっていた。
【解決手段】GPS103のアンテナ1の下部に棒状部材22を脱着可能に取り付け、作業車両101に該棒状部材22を脱着可能に取り付けるための取り付け部2を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(グローバル・ポジショニング・システム)と、方位センサや傾斜センサや車速センサ等の内界センサとを具備し、自律的に作業を行う作業車両の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、散布機を具備し、圃場を走行しながら農薬や肥料等の散布作業を行う作業車両の技術は公知となっている。
また、このような散布作業の省力化、高精度化、トレーサビリティの確立(農薬等の使用量や使用時期についての情報取得および記録)等を目的として、GPSや内界センサ類を具備し、自律的に走行および散布作業を行う作業車両も検討されている。
上記GPSや内界センサ類を具備して自律的に走行および散布作業を行う作業車両は、センサ類により作物を検知して車輪で踏まないように避けつつ高精度の作業を行うことができ、かつ、作業者が降車した状態でも遠隔操作により操作可能である。従って、作業者が乗車し、作物を車輪で踏まないように手動操作で避けつつ作業を行う従来の作業車両と比較して作業性に優れている。
【0003】
従来から、移動局としてのGPS装置は本機(作業車両)側に信号処理部が搭載されているため、GPSアンテナを予め本機(作業車両)側に搭載し、その状態のままで本機(作業車両)を移動させながら、初期化及び4隅計測を行い、それに基づき各種設定(経路生成)を実行し、自律走行作業を行っていた。しかしながら、本機(作業車両)を移動させながら4隅を計測するため、計測に手間がかかるという不具合があった。
そこで、本機(作業車両)と移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)を分離し、移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)のみで初期化及び4隅計測をし、計測終了後に本機(作業車両)側と連結し、演算を行い位置情報を確立する方法が考えられている。
【0004】
このように、移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)を本機(作業車両)から脱着可能にすると、初期化や4隅計測時に本機(作業車両)を移動させる必要がなくなり、手間がかからず効率良く作業できるという利点がある。
しかしながら、移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)は、前輪と後輪の間でかつ本機(作業車両)の左右略中央に脱着可能に設置するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−16160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示される如く、移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)を前輪と後輪の間で、かつ本機(作業車両)の左右略中央に脱着可能に設置する構成の場合は、設置時に移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)を手で持ったままの状態で本機(作業車両)に搭乗しなければならず、更に本機(作業車両)に立設した正面視門型に構成したフレームの横架部に設置しなくてはならないため、設置し辛く、手間がかかっていた。
また、本機(作業車両)にキャビンが設けられている場合には、該キャビンの左右略中央の上面に設置することになるが、やはり設置がし辛く、さらに、設置時のオペレータが昇降用ステップを上るとき等に、キャビンのルーフ等によって衛星電波が遮断され、再度初期化を行う必要が生じることがあり、作業効率が悪いという不具合があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、請求項1においては、GPSと、内界センサとを具備した作業車両であって、
GPSのアンテナに棒状部材を脱着可能に取り付けると共に、
作業車両に該棒状部材を脱着可能に取り付けるための取り付け部を設けたものである。
【0008】
請求項2においては、前記取り付け部を、
前記作業車両の側部の昇降用ステップの前方若しくは後方に配設したものである。
【0009】
請求項3においては、前記取り付け部を、
前記作業車両のオペレータが着座する座席よりも後方に配設したものである。
【0010】
請求項4においては、前記取り付け部の上部及び下部に前記棒状部材と係合可能な係合部を設け、
該係合部のいずれかを前記棒状部材を取り付け部に取り付ける際のガイドとし、
前記取り付け部に、前記棒状部材が取り付け部に対して揺動することを防止する揺動防止具を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)の本機(作業車両)への脱着が容易なものとなる。特に、キャビン使用の作業車両の場合には、GPSアンテナをキャビンのルーフより上に保持しながら、本機(作業車両)に取り付けることが容易となり、キャビンのルーフ等によって衛星電波が遮断されることがなくなり、再度初期化を行う必要もなくなる。また、無理な姿勢で昇降する必要もなくなり、より安全にGPSアンテナの設置が行えるようになった。
【0013】
請求項2においては、作業車両を移動させる場合等において、オペレータの乗降性を損なうことがなくなる。
【0014】
請求項3においては、本機(作業車両)に移動局(GPSアンテナ、信号処理部、信号記憶部)を配設したままで本機(作業車両)を移動させる際にも、オペレータの視線を遮ることがなく良好な環境で運転が可能となる。
【0015】
請求項4においては、前記ガイドによって、GPSアンテナ及び棒状部材を取り付け部に取り付ける作業が容易なものとなる。また、前記取り付け部に揺動防止具を設けたことにより、棒状部材が振動等によって外れることが防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の乗用管理機101の一実施例を示す側面図、図2は同じく正面図、図3は本実施例で利用するGPSユニット102の構成を示す模式図、図4はGPSアンテナ1と取り付けポール22を取り付け部2に取り付けた状態を示す側面断面図、図5は上取り付け部27の平面図と側面図、図6は下取り付け部28の平面図と側面図、図7は取り付け部2を乗用管理機101に固設する上ステー13と下ステー34の平面図、図8は基準局設置台60を示す正面図、図9は図8におけるA−A矢視断面図、図10は本実施例における自律走行による作業手順を示すフローチャート、図11は基準局ユニット104及び4隅計測を行う圃場を示す概略図である。
【0017】
以下では、図1および図2を用いて、本発明の作業車両の実施の一形態である乗用管理機101の全体構成について説明する。なお、進行方向を前方とし、図1における左側を前方として説明する。
そして、本発明は本実施例の乗用管理機101に限定されるものではなく、圃場を走行しつつ作業を行う作業車両に広く適用可能である。
【0018】
本実施例の乗用管理機101は圃場に農薬や肥料を散布したりするものであり、薬液タンク24がキャビン45の後下方に配設され、キャビン45の後方にはエンジン9から動力を得て薬液タンク24内の薬液を圧送する噴霧ポンプ4および該噴霧ポンプ4から吐出される薬液の制御に関わる散布量制御装置3等よりなるポンプ部36が配設されている。そして、乗用管理機101の前方には図示しない噴霧管が配設されており、前記ポンプ部36から圧送されてくる薬液等を散布できる構成となっている。
乗用管理機101の機体前端より後方へ向けて、左右一対の機体フレーム6L・6Rが水平方向に延設されている。該機体フレーム6L・6Rの前部下方には前車輪7・7が支承され、後部下方に後車輪8・8が支承されている。
【0019】
また、乗用管理機101の前部において、機体フレーム6L・6R上にはエンジン9を被覆するボンネット10が配設されている。該ボンネット10後方のカバー上には操作パネル11が設けられ、該操作パネル11の上方には運転ハンドル12が設けられる。操作パネル11および運転ハンドル12等で乗用管理機101の操縦部を構成している。前記操作パネル11下方より後方に向けて、機体フレーム6L・6R上にはステップ33が設けられる。また機体フレーム6L・6R後部上には薬液タンク24が配設されており、該薬液タンク24の前部中央には座席14が形成されて、該薬液タンク24によって側部と後部を取り囲まれるように載置されている。
また、乗用管理機101のフレームの各構成部材である機体フレーム6L・6R、サブフレーム52L・52Rはそれぞれ中空の四角または丸型のパイプまたはL型やH型等の鋼材が用いられ、軽量かつ高剛性に構成される。
【0020】
本実施例においては、乗用管理機101に、操作パネル11や運転ハンドル12等からなる操縦部、および座席14を覆うキャビン45が設けられる。
キャビン45は直射日光や風雨等に加えて、乗用管理機101により圃場に散布される薬剤から作業者を保護するものである。
キャビン45はボンネット10の後端部左右に立設された一対の前フレーム46・46、薬液タンク24の上面に立設された左右一対の後フレーム47・47、前フレーム46・46および後フレーム47・47に支持されてキャビン45の上面を形成するルーフ48、透明な強化プラスチックや強化ガラスからなりキャビン45の前面を形成するフロントガラス49、透明な可撓性の樹脂製シートからなりキャビン45の左右側面を形成する側部被覆体50・50、透明な可撓性の樹脂製シートからなりキャビン45の後面を形成する後部被覆体(図示せず)等で構成される。
【0021】
ルーフ48には外気をキャビン45の内部に送り込むためのファン51が設けられる。また、ファン51の外気吸引口には開放時に前方を遮蔽する蓋51aが設けられるとともに、薬剤や塵埃等を除去するフィルタ53が設けられる。さらに、前記側部被覆体50・50はキャビン45の左右側面を全面に渡って被覆するのではなく、作業者の足元部を常に開放している。また、後フレーム47若しくはルーフ48若しくは前フレーム46には後述する取り付け部2を支持する上ステー13が固設され、薬液タンク24の上面には、同じく取り付け部2を支持する下ステー34が固設される。
外気は、薬剤が到達することが少ない圃場表面より高い位置からフィルタ53により薬剤等を除去された後、ファン51によりキャビン45内部に送り込まれ、下向きの気流を形成しつつ下方に移動し、キャビン45の左右側面の足元部より外部に排出される。このように構成することにより、キャビン45の内部への散布薬剤の侵入を防止し、作業者を保護している。
【0022】
ポンプ部36は、乗用管理機101の後部に延設したサブフレーム52L・52R上に支持部材を介して噴霧ポンプ4のクランク軸が機体前後方向に位置するよう配設されている。ポンプ部36は主に噴霧ポンプ4および散布量制御装置3からなり、該噴霧ポンプ4のクランクケースの上部には図示せぬエアチャンバや安全弁等が設けられている。そして、散布量制御装置3は図示せぬ流量制御弁及び該流量制御弁の開閉に係るモータ等より構成される。
【0023】
以下では、図3を用いて本実施例のGPSについて説明する。
GPS(グローバル・ポジショニング・システム)とは、元来航空機・船舶等の航法支援用として開発されたシステムであって、上空約二万キロメートルを周回する二十四個のGPS衛星(六軌道面に四個ずつ配置)、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局、測位を行うための利用者の受信機で構成される。
GPSを用いた測量方法としては、単独測位、相対測位、DGPS(ディファレンシャルGPS)測位、RTK−GPS(リアルタイムキネマティック−GPS)測位など種々の方法が挙げられるが、本実施例では測定精度の高いRTK−GPS測位方式が採用されている。
【0024】
RTK−GPS(リアルタイムキネマティック−GPS)測位は、位置が判っている基準局(基準局ユニット104)と、位置を求めようとする観測点(移動局ユニット103)とで同時にGPS観測を行い、基準局で観測したデータを無線等の方法で観測点にリアルタイムで送信し、基準局の位置成果に基づいて観測点の位置をリアルタイムに求める方法である。
詳しくは、基準局と観測点の両点で位相の測定(相対測位)を行い、基準局で観測した位相データを観測点に送信する。観測点のGPS受信機では、受信データと基準局から送信されたデータとをリアルタイムで解析することにより、観測点の位置を決定する。
なお、本発明に適用されるGPSについては前記の他の方法を用いてもよく、限定されるものではない。
【0025】
図3に示す如く、本発明のGPSの実施の一形態であるGPSユニット102は、主に、乗用管理機101本体に搭載される移動局ユニット103と、水田などの圃場の近くに設置される基準局ユニット104からなる。該基準局ユニット104は地面に固定された基準局の役割を果たし、移動局ユニット103は位置を求めようとする移動局(観測点)として機能する。
【0026】
移動局ユニット103は、アンテナ108を具備したGPSアンテナ1の他、信号処理部109や、信号記憶部106や、該信号処理部109及び該信号記憶部106を収納する操作筐体128等から構成される。
本実施例では、操作筐体128上の図示しないボタン等を操作することより、GPSアンテナ1のアンテナ108で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号が、有線若しくは無線によって信号処理部109(本実施例では操作筐体128に収納されている。)を経て、信号記憶部106(本実施例では操作筐体128に収納されている。)に記憶される。そして、後述するように、GPSアンテナ1と取り付けポール22を乗用管理機101に取り付ける際に、該信号記憶部106に記憶された情報をRTK演算部に送信する。RTK演算部では、後述する基準局ユニット104から送信されてくる情報を記憶している作業車両記憶部105の情報と、該信号記憶部106から送信されてくる情報とを演算し、計測した4隅の位置を認識する。
【0027】
一方、基準局ユニット104は、図3に示す如く、GPSアンテナ114、GPS信号処理部115、処理部116、操作部117、表示部118、無線部119などで構成されている。
そして、GPSアンテナ114で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号を、信号処理部115にて解析し、処理部116を介して無線データに変換する等して、無線部119から乗用管理機101側の無線部113に該無線データを送信する。
このようにして、乗用管理機101側の無線部113に送られてきた情報は、前述のように作業車両記憶部105に記憶され、4隅計測後において、GPSアンテナ1と取り付けポール22を乗用管理機101に取り付ける際に、RTK演算部が、前記信号記憶部106から送信されてくる情報と、作業車両記憶部105に記憶されている情報とをもとに4隅の位置を演算する。
【0028】
そして、乗用管理機101が移動を始めたときは、乗用管理機101側部に配設されたアンテナ108で受信されたGPS衛星125・125・・・からの電波信号が、有線若しくは無線によって信号処理部109等を経て、RTK演算部に送信され、RTK演算部では、基準局ユニット104から送信されてくる情報を記憶している作業車両記憶部105の情報と、該信号処理部109から随時送信されてくる情報とを演算し、乗用管理機101の現在位置を認識するのである。
【0029】
操作部111は後述する自律走行の設定などを行うためのインターフェースであり、処理部110にケーブル接続されている。表示部112は処理部110にケーブル接続されており、処理部110におけるデータ処理の状況や、操作部111により入力された各種設定を表示する。
本実施例の場合、操作部111の機能と表示部112の機能とを兼ねるタッチパネル54がキャビン45の内部に配置される。
【0030】
処理部110はCPUやRAMやROM等を備える制御手段であり、その内部に自律走行プログラム121aやナビゲーションプログラム121bを格納し、GPSユニット102により得られた位置情報や、後述する内界センサ122や株倣いセンサ123からの信号に基づいて、当該圃場における自律走行経路を生成するとともに自律走行手段124に指令を出して乗用管理機101に自律走行をさせたり、ナビゲーション走行の経路を生成するものである。
自律走行プログラム121aは、乗用管理機101に自律走行による散布作業を行わせるためのプログラムである。自律走行プログラム121aに基づく自律走行の詳細については後述する。
ナビゲーションプログラム121bは、乗用管理機101にナビゲーション走行による散布作業を行わせるためのプログラムである。
【0031】
無線部113は基準局ユニット104およびオペレータが携帯する無線操作手段133と、移動局ユニット103とが無線交信するためのものである。また、無線操作手段133からの制御信号を受信し、該無線操作手段133からの作動確認信号が途絶えたときは乗用管理機101の自律走行を停止させるための受信部107が設けられている。
なお、本実施例においては後述するように、GPSアンテナ1をキャビン45の側面に配置し、処理部110やRTK演算部等をタッチパネル54内に配置しているが、例えば操作部111や表示部112以外のタッチパネル54内の部材はボンネット10やダッシュボード等に収納しても良い。
また、操作部111はキーボードやスイッチ、レバー、押しボタン、ダイアルなどオペレータが操作可能であればよく、その形式はタッチパネルの形式に限定されない。さらに、処理部110、操作部111および表示部112として、既存のパソコン等を使用してもよい。
【0032】
次に、本実施例の移動局ユニット103のアンテナ108を乗用管理機101に取り付けるための方法について説明する。
アンテナ108は、平面視において円形の形状を持ち、図4及び図8に示すように、上面がテーパ状に形成されているアンテナ上部108bと、下方に行くにつれて径が小さくなる逆スカート形状のアンテナ下部108cから構成されている。
アンテナ下部108cには、下方から径の異なる上部15bと下部15cから構成される段付き円柱15が嵌入されて固設されている。段付き円柱15には上部15bの上方に該上部15bの径より径が小さな嵌入部15dが具備され、アンテナ下部108cには、下面に該嵌入部15dが嵌入される穴108dが形成されている。
【0033】
このように、アンテナ108は前記段付き円柱15と固設されて一体化されており、作業者は、このアンテナ108と段付き円柱15が一体化されたGPSアンテナ1だけを持ち運んで、基準局設置台60や圃場の4隅にて計測を行う。詳しくは、基準局設置台60にてGPSの初期化を行う際や、乗用管理機101に設置して作業を行う際は、前記GPSアンテナ1をそれぞれ基準局設置台60や乗用管理機101の所定の位置に設置し、圃場の4隅計測を行う際は、後述の棒状部材である取り付けポール22にGPSアンテナ1を取り付けた状態で前記GPSアンテナ1を高い位置で保持しながら4隅の場所を記憶させていっても良いし、作業者が前記GPSアンテナ1のみを保持しながら移動して4隅の場所を記憶させていっても良い。
【0034】
GPSアンテナ1に脱着可能な取り付けポール22は、異なる径の上ポール22bと下ポール22cから構成されている。例えば上ポール22bの径を下ポール22cの径より小さく形成し、上ポール22bが下ポール22cの内周に沿って摺動させて伸縮可能な構成としている。そのため、作業者の好みに応じて、前記取り付けポールの全長を変更させることが可能となっている。ここで、上ポール22bの径を下ポール22cの径よりも大きくして、上ポール22bの内周に沿って下ポール22cを摺動可能に構成しても良い。
そして、上ポール22bの上面には、上ポール22bの径より径が小さなポール嵌入部22dが形成されており、前記段付き円柱15の下面には、該ポール嵌入部22dを嵌入するための、穴15fが形成されている。該ポール嵌入部22dと該穴15fは固設されるものではなく、作業者が自由に脱着することが可能である。例えば、該ポール嵌入部22dを雄ねじ形状に形成し、該穴15fを雌ねじ形状に形成したり、挿入後にピンで固定するなどして、脱着可能で且つ容易に外れにくい構成とすると好適である。
【0035】
本実施例では、4隅計測を行う際に、作業者がGPSアンテナ1に取り付けポール22を取り付けた状態で動き回る場合を想定しているため、4隅に到達したときに該4隅の場所を記憶する信号記憶部106を収納した操作筐体128を、取り付け片128bを介して、下ポール22cに着脱自在に取り付けている。作業者は、4隅のうちのいずれかの地点に到達すると、操作筐体128表面のボタン(図示しない)を押す等して、該地点を信号処理部109を介して信号記憶部106に記憶させる。
【0036】
前記取り付け片128bは、図4に示す如く、操作筐体128の下ポール22c側に形成されており、該取り付け片128bには正面視において、略L字状の切りかき128cが形成されている。一方下ポール22cには、乗用管理機101と反対側の側面に、乗用管理機101の進行方向にボルト23等が突出している。このような構成となっているため、作業者は、前記取り付け片128bの切りかき128cを、前記ボルト23に引っ掛けるようにして、前記信号処理部109及び前記信号記憶部106等を収納した操作筐体128を下ポール22cに取り付けることが可能となる。
そして、乗用管理機101に処理部110や作業車両記憶部105を備えている場合は、4隅計測の後に、信号記憶部106に記憶された4隅に関する情報を、RTK演算部や処理部110を介す等して該作業車両記憶部105に記憶させ、処理部110等において自律走行プログラム121aやナビゲーションプログラム121bと共に使用する。
【0037】
次に、図4乃至図6を参照しながら、乗用管理機101側に固設される取り付け部2の構成について説明する。
取り付け部2は、上下方向に長い棒状の固設部材6と、該固設部材6の上部に水平に取り付けられる板状の上取り付け部27と該固設部材6の下部に水平に取り付けられる板状の下取り付け部28等から構成される。
【0038】
前記上取り付け部27は、図5に示す如く、前記取り付けポール22に取り付けられているGPSアンテナ1を保持できるように、一端にアンテナ保持部27bが形成されている。そして、アンテナ保持部27bは一側(外側)を平面視「C」状または「U」状に側方を開放して、内周の径が上部と下部で異なるように、段差部27cが設けられており、該段差部27cに前記GPSアンテナ1の下部を形成する段付き円柱15を引っ掛けるようにして、該アンテナ保持部27bにGPSアンテナ1を嵌入する。つまり、アンテナ保持部27bの内径を、下部15cを嵌入できる外径に合わせて構成し、前記段差部27cに段付き円柱15の上部15bの下面が当接して、GPSアンテナ1が下方に落下しないようにしている。
また、該アンテナ保持部27bの内周上端は、テーパ形状に形成してあり、該GPSアンテナ1の下部を形成する段付き円柱15をアンテナ保持部27bに挿入しやすくしている。
【0039】
そして、前記上取り付け部27の他端側には、ボルト孔若しくはねじ孔27f・27fが、左右方向略中央にも同じくボルト孔若しくはねじ孔27g・27gが形成されている。そして、外側のボルト孔若しくはねじ孔27f・27fにボルト若しくはねじを貫通させて、該上取り付け部27を固設部材6の上部作業機側に取り付けるためのステー29と締め付ける。ステー29は図4に示すように、板状部材が側面視において直角に折り曲げられたものであり、上面が該上取り付け部27と締め付けられ、側面がボルト若しくはねじによって該固設部材6に固設される。
上取り付け部27の左右方向略中央のボルト孔若しくはねじ孔27g・27gにもボルト若しくはねじを貫通させて、上方から該ボルト若しくはねじが前記固設部材6にまで到達するように構成する。
このように、ステー29等を用いて上取り付け部27を固設部材6に強固に固設する。
【0040】
前記下取り付け部28は、図6に示す如く、前記取り付けポール22の下ポール22cの位置をガイドできるように、一端にガイド部28bが形成されている。該ガイド部28bは一側(外側)を平面視「C」状または「U」状に側方を開放して、内周の径が下ポール22cの外径に合わせて嵌合できる大きさとしている。そして、GPSアンテナ1を保持した取り付けポール22は、下ポール22cを該ガイド部28bに挟んだ状態で、上ポール22b中途部をアンテナ保持部27bに係合させ、その後下方へスライドさせ、アンテナ保持部27bの段差部27cに段付き円柱15の下部15cを嵌合させる。
このようにして、GPSアンテナ1及び取り付けポール22を、側方から乗用管理機101の側部へ脱着可能な構成としている。
【0041】
そして、前記下取り付け部28の他端側には、ボルト孔若しくはねじ孔28f・28fが、左右方向略中央にも同じくボルト孔若しくはねじ孔28g・28gが形成されている。そして、外側のボルト孔若しくはねじ孔28f・28fにボルト若しくはねじを貫通させて、該下取り付け部28を固設部材6の下部作業機側に取り付けられるステー30と締め付ける。ステー30は図4に示すように、板状部材が側面視において直角に折り曲げられたものであり、下面が該下取り付け部28と締め付けられ、側面がボルト若しくはねじによって該固設部材6に固設される。
下取り付け部28の左右方向略中央のボルト孔若しくはねじ孔28g・28gにもボルト若しくはねじを貫通させて、下方から前記固設部材6にまで到達するように構成する。
このようにして、ステー30等を用いて下取り付け部28を固設部材6に強固に固設する。
【0042】
また、図4に示すように、固設部材6の下部に面ファスナーや紐状部材等の、弾性を有し締め付けまたは接着または縛りつけ可能な部材から構成される揺動防止具20を取り付けておき、該取り付けポール22を取り付け部2に取り付けた際に、該揺動防止具20で下ポール22cの下部を固設部材6の下部に締め付け固定しても良い。このように、固設部材6に取り付けた揺動防止具20によって、取り付けポール22を固設部材6に締め付けることによって、乗用管理機101が移動する際等に取り付けポール22がぐらぐら揺れることがないように振動を防止でき、かつ、GPSアンテナ1の前記段付き円柱15がアンテナ保持部27bから外れたりしてしまうことを防止できる。
【0043】
次に、図4及び図7を参照しながら、前記取り付け部2を乗用管理機101に固設する構成について説明する。
図4に示すように、固設部材6には、上部及び下部の乗用管理機101側にボルト等でステー41・42の側面が固設されている。ステー41・42は、共に側面視において直角に折り曲げられており、水平部と側面部が形成されており、該ステー41・42の側面部がともに固設部材6の乗用管理機101側に取り付けられている。
【0044】
そして、ステー41の上面には、板状の形状を持った上ステー13がボルト等で固設されている。上ステー13は、図7(a)に示すように、平面視において略直角三角形に形成された板状部材であり、上ステー13の固設部材6側に形成されたボルト孔若しくはねじ孔13b・13bにボルト若しくはねじを貫通させて、前記ステー41に締め付け固定する。そして上ステー13の、乗用管理機101側に形成されたボルト孔若しくはねじ孔13c・13cにボルト若しくはねじを貫通させて、乗用管理機101のルーフ48や後フレーム47に該ボルト若しくはねじを到達させることで、該上ステー13を乗用管理機101に固設する。
また、上ステー13の乗用管理機101側に切りかき部13dを設けておき、ボルト孔若しくはねじ孔13c・13cにボルト若しくはねじを貫通させて、乗用管理機101のルーフ48までねじを到達させて該上ステー13を乗用管理機101に固設しながら、後フレーム47をルーフ48より上方に延長させて、該後フレーム47の上端を該切りかき部13dに貫通若しくは当接させる構成としても良い。
このように、ステー41と上ステー13によって、固設部材6を乗用管理機101のルーフ48若しくは後フレーム47の上部に対して固定する。
【0045】
一方、ステー42の下面には、板状の形状を持った下ステー34がボルト等で固設されている。下ステー34は、図7(b)に示すように、平面視において略長方形に形成された板状部材であり、固設部材6側に形成されたボルト孔若しくはねじ孔34b・34bにボルト若しくはねじを貫通させて、下ステー34を前記ステー42に締め付け固定する。
そして、下ステー34の、乗用管理機101側に形成されたボルト孔若しくはねじ孔34c・34cにボルト若しくはねじを貫通させて、乗用管理機101の薬液タンク24の上面に該ボルト若しくはねじを到達させることで、該下ステー34を乗用管理機101に固設する。
このように、ステー42と下ステー34によって、固設部材6を乗用管理機101の薬液タンク24の上面に対して固定する。
【0046】
このように、GPS103と、内界センサ122とを具備した作業車両であって、
GPS103のアンテナ1に棒状部材22を脱着可能に取り付けると共に、
作業車両101に該棒状部材22を脱着可能に取り付けるための取り付け部2を設けたので、
移動局(GPSアンテナ1、信号処理部109、信号記憶部106)の本機(作業車両101)への脱着が容易なものとなる。特に、キャビン45使用の作業車両101の場合には、GPSアンテナ1をキャビン45のルーフ48より上に保持しながら、本機(作業車両101)に取り付けることが容易となり、キャビン45のルーフ48等によって衛星電波が遮断されることがなくなり、再度初期化を行う必要もなくなる。また、無理な姿勢で昇降する必要もなくなり、より安全にGPSアンテナ1の設置が行えるようになった。
【0047】
また、前記取り付け部2の上部及び下部に前記棒状部材22と係合可能な係合部27・28を設け、
該係合部27・28のいずれかを前記棒状部材22を取り付け部2に取り付ける際のガイドとし、
前記取り付け部2に、前記棒状部材22が取り付け部2に対して揺動することを防止する揺動防止具20を設けたので、
前記ガイド27・28によって、GPSアンテナ1及び棒状部材22を取り付け部2に取り付ける作業が容易なものとなる。また、棒状部材22に揺動防止具20等(例えば面ファスナー)を設けたことにより、棒状部材22が振動等によって外れることが防止できる。
【0048】
上ステー13及び下ステー34の取り付け箇所について説明する。
図1に示すように、乗用管理機101の前後方向において、取り付け部2の固設位置が、昇降用ステップ59の前方若しくは後方になるように、上ステー13及び下ステー34を乗用管理機101に固設する構成とする。
具体的には、取り付け部2を昇降用ステップ59の前方に取り付ける場合は、ルーフ48の前部若しくは前フレーム46の上部に上ステー13を固設し、前フレーム46の下部若しくはボンネット10の上面に下ステー34を固設する構成とする。
また、取り付け部2を昇降用ステップ59の後方に取り付ける場合は、ルーフ48の後部若しくは後フレーム47の上部に上ステー13を固設し、後フレーム47の下部若しくは薬液タンク24の上面に下ステー34を固設する構成とする。
【0049】
このように、前記取り付け部2を、
前記作業車両101の側部の昇降用ステップ59の前方若しくは後方に配設したので、
作業以外で作業車両101を移動させる場合、オペレータの乗降性を損なうことがなくなる。
【0050】
また、前記取り付け部2を、
前記作業車両101のオペレータが着座する座席14よりも後方に配設したので、
本機(作業車両101)に移動局(GPSアンテナ1、信号処理部109、信号記憶部106)を配設したままで本機(作業車両101)を移動させる際にも、オペレータの視線を遮ることがなく良好な環境で運転が可能となる。
【0051】
図3、図8、図9及び図11に示す如く、基準局ユニット104は、GPSアンテナ114、GPS信号処理部115、処理部116、操作部117、表示部118、無線部119などで構成される。
そして、GPSアンテナ114は基準局設置台60により地面に立設される。
基準局設置台60は地面に対して静置される基部61と、基部アーム62と、回転軸63と、回転アーム64と、GPSアンテナ保持部65・66で構成されている。そして、基部アーム62の中央部には回転軸63が回動自在に支持されており、回転アーム64の左右端部に固設されたGPSアンテナ保持部65・66にGPSアンテナ1・114を取付可能としている。ここでは、回転軸63を基部アーム62に固設して、回転アーム64の中央部を該回転軸63に枢支するような構成としても良い。
【0052】
詳しくは、GPSアンテナ保持部65・66の上端部に前記上取り付け部27と略同じ形状のアンテナ取り付け部67・67を固設し、前記GPSアンテナ114と前記GPSアンテナ1とを脱着可能に構成している。
GPSアンテナ1を該基準局設置台60に設置するときは、前記操作筐体128も共に設置できるようにしておけば、より好適である。すなわち、前記GPSアンテナ保持部66に、前記下ポール22cに配設されたボルト23等と同じ突起を設け、該突起等に操作筐体128の前記L字状の切りかき128cを引っ掛ける構成とするのである。
該信号記憶部106は移動局側だけに設置するものではない。すなわち、図8及び図11に示すように、基準局側にも基準局操作筐体127を配設して、該基準局操作筐体127に筐体120等の機能の一部を具備しておき、基準局側のGPSアンテナ保持部65や、基準局側のGPSアンテナ114の下部に取り付けられているポール等に、前述の下ポール22cやGPSアンテナ保持部66と同様にボルト23等のような突起を設けて、該突起に基準局操作筐体127に形成した略L字状の切りかき部を引っ掛けるのである。
【0053】
そして、平面視において基部アーム62と回転アーム64が重なった状態においては、回転アーム64を基部アーム62に対して容易に相対回転しない構成としている。詳しくは、図8及び図9に示すように、回転アーム64にピン孔64bを形成し、基部アーム62にピン孔62b・62bを形成し、回転抑止ピン68を回転アーム64のピン孔64bに貫通させて基部アーム62のピン孔62bまで到達させられる構成にしている。
そして、基部アーム62は図9に示す側面断面視において、回転抑止ピン68が挿入される部分(ピン孔62bが開口される部分)が頂点となるように、上面62cがテーパ形状をしている。そして、回転抑止ピン68は下端68bが尖った形状をしている。
【0054】
そのような構成としたので、回転アーム64を回転させて、平面視において基部アーム62と回転アーム64が重なっていないときは、回転抑止ピン68は、回転アーム64のピン孔64b開口部に引っかかった(ぶら下がった)状態となっているが、平面視において基部アーム62と回転アーム64が重なるまで回転アーム64を回転させてくると、回転抑止ピン68の下端が基部アーム62の上面62cに当接し、上面62cのテーパ形状に沿って回転抑止ピン68が下から上に持ち上げられてくる。
そして、回転抑止ピン68が基部アーム62のピン孔62bの略上方に位置するまで、回転アーム64が回転してくると、回転抑止ピン68は自重若しくはバネによってピン孔62bに降下する。
【0055】
そして、回転アーム64をさらに回転させると、回転抑止ピン68下端の尖った形状に沿って、回転抑止ピン68が持ち上がっていき、回転抑止ピン68がピン孔62b上から離れると、回転抑止ピン68は再び基部アーム62の上面62cのテーパ形状に沿って下降していく。回転抑止ピン68の下端68bの傾きは、基部アーム62の上面62cのテーパ形状の傾きに比べてより急なものに形成しているため、回転アーム64を両アーム62・64が重なる位置に向かって回転させるときの方が、両アーム62・64が重なった位置から回転アーム64をずらし始めるときより、回転力は小さくて良い。
このように構成したことにより、回転アーム64を基部アーム62に対して回転していくだけで、基部アーム62の上面62cに沿って自動で回転抑止ピン68が昇降するので、作業者が回転アーム64を回転させるときに、わざわざ回転抑止ピン68を持ち上げて保持せずとも、平面視において回転アーム64と基部アーム62とが重なった位置に、容易に回転アーム64を保持することができる。
【0056】
そして、図3における基準局ユニット104を構成するGPSアンテナ114以外の部材は筐体120に収納可能に構成されるものとする。
なお、基準局ユニット104は本発明の乗用管理機101を使用する圃場の近傍に常設してもよく、あるいは使用後撤去可能な構成としても良い。
【0057】
以下では、図3を用いて本実施例の内界センサ122について説明する。
内界センサ122は、乗用管理機101に設けられ、速度、姿勢、エンジン回転数、ステアリングの操舵角など、乗用管理機101を自律走行させる上で必要な情報を検知するためのセンサ類を指す。
内界センサ122の具体例としては、エンジン回転数センサ、車速センサ、操舵角センサ、地磁気方位センサ、ロール傾斜センサ、ピッチ傾斜センサなどが挙げられる。これら内界センサ122からの検知信号は、処理部110に送信される。
【0058】
以下では、図3を用いて本実施例の株倣いセンサ123について説明する。
株倣いセンサ123は、乗用管理機101の機体前部下面に配設される。株倣いセンサ123は乗用管理機101が作物を車輪で踏んだりしないように、圃場に所定の間隔を空けて植わっている作物を検知し、該乗用管理機101の走行方向を制御するために用いられる。株倣いセンサ123からの検知信号も処理部110に送信される。
【0059】
以下では、図3を用いて本実施例の自律走行手段124及び無線操作手段133について説明する。
自律走行手段124は処理部110からの信号に基づいて作動するアクチュエータ群であり、具体的には、ステアリング駆動アクチュエータやステアリング駆動電磁弁(図示せず)、アクセルアクチュエータ、主クラッチ用アクチュエータ等が挙げられる。
一方、無線操作手段133は作業者が携帯し、乗用管理機101から離れた位置で各種の操作を行うためのものである。より具体的には、後で詳述する乗用管理機101の自律走行の開始・停止、エンジンの停止、などを該無線操作手段133で操作可能に構成される。
【0060】
以下では、図3及び図10を用いて本実施例における自律走行による薬液散布作業手順を説明する。
まず、ステップS101において、基準局設置台60を圃場56の外部に設営(固定)し、該基準局設置台60の回転アーム64の一端に基準局ユニット104のGPSアンテナ114を取り付ける。そして、基準局ユニット104の電源をオンにし、ステップS102に移行する。
【0061】
ステップS102において、基準局設置台60の回転アーム64の他端(基準局ユニット104側のGPSアンテナ114が取り付けられていない方の端部)に移動局ユニット103側のGPSアンテナ1を取り付ける。
GPSアンテナ1の回転アーム64の他端への取り付け方法は前述の如く、回転アーム64の端部に取り付けられたGPSアンテナ保持部66の上端に固設されたアンテナ取り付け部67の端部に、GPSアンテナ1を脱着可能に取り付けるものである。
【0062】
そして、基準局設置台60のアンテナ取り付け部67・67の端部にそれぞれGPSアンテナ1・114を取り付けた状態とし、この状態と、回転軸63を中心として回転アーム64を180度旋回させた(すなわち、GPSアンテナ1とGPSアンテナ114とをスワップした)状態とでGPSユニット102の初期化を行う。初期化が完了した時点でステップS103に移行する。
なお、GPSユニット102の初期化時にGPSアンテナ1およびGPSアンテナ114のスワップを行うことにより、初期化に要する時間を短縮することが可能である。
【0063】
ステップS103において、移動局ユニット103側のGPSアンテナ1を基準局設置台60のアンテナ取り付け部67から取り外し、圃場56の外部に設けられた不動設置点57に取り付け、不動設置点57の測位を行う。不動設置点57の測位は、後日同一の圃場56で作業を行う際の基準点として用いるものである。不動設置点57に取り付けたGPSアンテナ1の測位が完了した時点でステップS104に移行する。
【0064】
ステップS104において、移動局ユニット103側のGPSアンテナ1を圃場56の4隅に立設したポール58a・58b・58c・58dに順次取り付け、圃場56の4隅の測位を行う。ただし、GPSアンテナ1を取り付けポール22に固設したままで、取り付けポール22ごとGPSアンテナ1を保持しながら、圃場56の4隅の測位を行っても良い。圃場56の4隅の測位が完了した時点でステップS105に移行する。
なお、圃場56の4隅の測位については、同一圃場で後日作業を行う際には前回の測位結果を用いても良く、省略することが可能である。
また、本実施例では圃場56の平面視形状が四角形であったが、圃場の平面視形状がその他の多角形でも良く、その場合には当該角部(隅)を測位する。
【0065】
ステップS105において、移動局ユニット103側のGPSアンテナ1を取り付けポール22と一体化した状態で乗用管理機101の側面に固設された取り付け部2に取り付ける。GPSアンテナ1の乗用管理機101への取り付け方法は、前述のごとく、取り付けポール22上部をGPSアンテナ1に嵌入して固定した状態のまま、下ポール22cを下取り付け部28に挟んでガイドとしながら、上ポール22b中途部をアンテナ保持部27bに係合させ、その後下方へスライドさせ、アンテナ保持部27bの段差部27cに段付き円柱15の下部15cを嵌合させる。乗用管理機101へのGPSアンテナ1の取付が完了した時点でステップS106に移行する。
【0066】
ステップS106において、自律走行を行うための各種設定を行う。ここで、「各種設定」とは、タッチパネル54を用いて移動局ユニット103の処理部110に乗用管理機101で使用する薬液の種類、散布薬液の量、濃度(散布薬液を作製するのに使用した薬液の原液の量および水の量)、圃場の単位面積あたりの散布量、等を入力するとともに、GPSユニット102により得られた前記測位データに基づいて、乗用管理機101の自律走行経路を自動生成することを指す。各種設定が完了した時点でステップS107に移行する。
【0067】
ステップS107において、無線操作手段133の自律走行開始ボタンを押し、自律走行(および散布作業)を開始する。
なお、本実施例における自律走行は、作業者がタッチパネル54により入力した情報、内界センサ122により検出される信号、GPSユニット102により得られる測位データ、等を処理部110が取得し、該処理部110が自律走行プログラム121aに基づいて自律走行経路を生成し、該自律走行経路に沿って乗用管理機101が走行しつつ作業(散布作業)を行うように自律走行手段124に指令信号を送信することにより行われる。
また、本実施例の乗用管理機101においては、作業者が携帯する無線操作手段133に自律走行停止ボタンを設け、作業者が、自律走行中に乗用管理機101の進行方向に障害物を発見したときに当該自律走行停止ボタンを操作する(押す)ことにより、乗用管理機101を停止させることが可能に構成している。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は本発明の乗用管理機101の一実施例を示す側面図。
【図2】同じく正面図。
【図3】本実施例で利用するGPSユニット102の構成を示す模式図。
【図4】GPSアンテナ1と取り付けポール22を取り付け部2に取り付けた状態を示す側面断面図。
【図5】上取り付け部27の平面図と側面図。
【図6】下取り付け部28の平面図と側面図。
【図7】取り付け部2を乗用管理機101に固設する上ステー13と下ステー34の平面図。
【図8】基準局設置台60を示す正面図。
【図9】図8におけるA−A矢視断面図。
【図10】本実施例における自律走行による作業手順を示すフローチャート。
【図11】基準局ユニット104及び4隅計測を行う圃場を示す概略図。
【符号の説明】
【0069】
1 GPSアンテナ(移動局側)
2 取り付け部
6 固設部材
13 上ステー
20 揺動防止具(面ファスナー)
22 棒状部材(取り付けポール)
27 上取り付け部
28 下取り付け部
34 下ステー
45 キャビン
59 昇降用ステップ
62 基部アーム
62b ピン孔
62c 基部アーム62の上面
64 回転アーム
64b ピン孔
68 回転抑止ピン
101 作業車両(乗用管理機)
114 GPSアンテナ(基準局側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPSと、内界センサとを具備した作業車両であって、
GPSのアンテナに棒状部材を脱着可能に取り付けると共に、
作業車両に該棒状部材を脱着可能に取り付けるための取り付け部を設けた
ことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記取り付け部を、
前記作業車両の側部の昇降用ステップの前方若しくは後方に配設した
ことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記取り付け部を、
前記作業車両のオペレータが着座する座席よりも後方に配設した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記取り付け部の上部及び下部に前記棒状部材と係合可能な係合部を設け、
該係合部のいずれかを前記棒状部材を取り付け部に取り付ける際のガイドとし、
前記取り付け部に、前記棒状部材が取り付け部に対して揺動することを防止する揺動防止具を設けた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−56280(P2006−56280A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−237290(P2004−237290)
【出願日】平成16年8月17日(2004.8.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】