説明

作業車輌の原動部構造

【課題】外気濾過用の濾過体に付着した藁屑、塵埃等の除去効率に優れ、保守・点検作業が容易に行える手段を提供する。
【解決手段】エンジン(11)の出力軸(31A)に軸支された第1プーリ(31B)及び第2プーリ(31C)をエンジン(11)の機体外側の部位に設け、ラジエータファン(26)と排塵ファン(27)の間に、ラジエータファン(26)の回転軸(26A)に軸支された第1入力プーリ(62)と排塵ファン(27)の回転軸(27A)に軸支された第2入力プーリ(63)を設ける構成としたことにより解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジエータの外側に設置された濾過体に付着する藁屑、塵埃を除去し、エンジンのオーバヒートを防止する作業車輌の原動部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン等の作業車輌には水冷式エンジンが使用されている。エンジンにより温度上昇した冷却水は、ラジエータを循環することにより冷却された後、再びエンジンを循環する。
コンバインは、穀稈の刈取、脱穀、選別、排藁処理を行う過程で、前部の刈取装置からは、立毛穀稈の切断や搬送によって藁屑や塵埃が発生し、後部からは、脱穀処理や脱穀後の排稈切断処理によって発生した藁屑、塵埃等を排出するので、コンバインの機体周囲には多量の藁屑や塵埃が巻き上げられる。この巻き上げられた藁屑等がエンジンカバーやラジエータカバーの濾過体に付着し、これらの濾過体が目詰まった場合、濾過体の外側から内側に十分な外気を吸入することができなくなり、ラジエータの冷却効率が低下し、場合によってはエンジンがオーバヒートする恐れがある。
【0003】
上記問題を解決するため、特許文献1には、テンション操作体を移動することによりラジエータの内側に設けたファンの正転状態と逆転状態を切換え、ラジエータの冷却及びラジエータカバーの濾過体に付着した藁屑、塵埃等の除去を行なう構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001―263063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術にあっては、伝動ベルトを有するテンション操作体を回転させることにより、ラジエータ用ファンの正転状態と逆転状態とを行なっていることから、伝動ベルトの劣化が著しく保守・点検作業頻度が多いという問題があった。
また、ラジエータ用ファンの正転状態時の吸入能力に比べ、ラジエータ用ファンの逆転状態時の排気能力が低いため、ラジエータカバーの濾過体に付着した藁屑、塵埃等を十分除去することができず、除去できない藁屑、塵埃等により濾過体が目詰まりを起こし、ラジエータの冷却効率が低下し、その結果、エンジンがオーバヒートすると言う問題があった。
そこで、本発明の主たる課題は、かかる問題点を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
請求項1に係る発明は、エンジン(11)の冷却水を冷却するラジエータ(21)と、該ラジエータ(21)の外側に配置した外気濾過用の濾過体(24)と、前記ラジエータ(21)の機体内側に配置した正転駆動状態と非駆動状態とに切換可能な外気吸入用のラジエータファン(26)と、該ラジエータファン(26)の機体内側に配置した逆転駆動状態と非駆動状態とに切換可能な排気用の排塵ファン(27)とを有し、
前記エンジン(11)の出力軸(31A)に軸支された第1出力プーリ(31C)及び第2出力プーリ(31B)をエンジン(11)の機体外側の部位に設け、
前記ラジエータファン(26)と前記排塵ファン(27)の間に、前記ラジエータファン(26)の回転軸(26A)に軸支された第1入力プーリ(62)及び前記排塵ファン(27)の回転軸(27A)に軸支された第2入力プーリ(63)を設け、
前記第1出力プーリ(31C)から前記第1入力プーリ(62)へ伝動する第1ベルト(72)と前記第2出力プーリ(31B)から第2入力プーリ(63)へ伝動する第2ベルト(73)を背反的に緊張または弛緩させる駆動状態切換手段(45)を設けたことを特徴とする作業車輌の原動部構造である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記ラジエータファン(26)の回転軸(26A)と前記排塵ファン(27)の回転軸(27A)を別体に構成したことを特徴とする請求項1記載の作業車輌の原動部構造である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記ラジエータファン(26)の回転中心を機体側面視で前記ラジエータ(21)の中心部に設け、前記排塵ファン(27)の回転中心を機体側面視で前記濾過体(24C)の中心部に設け、前記ラジエータファン(26)の回転中心と前記排塵ファン(27)の回転中心とをずらして配置したことを特徴とする請求項2記載の作業車輌の原動部構造である。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記エンジン(11)とラジエータ(21)を循環する冷却水の水温が設定温度よりも高くなったことが温度センサ(83)で検出された場合に前記駆動状態切換手段(45)が切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【0010】
請求項5に係る発明は、機体に備えた穀粒排出筒(8)を駆動する穀粒排出クラッチ(111A,111B)が接続された後に前記駆動状態切換手段(45)が切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【0011】
請求項6に係る発明は、機体に備えた脱穀クラッチ(104)及び刈取クラッチ(115)等の作業クラッチが接続された後に前記駆動状態切換手段(45)が切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【0012】
請求項7に係る発明は、機体に備えた脱穀クラッチ(104)及び刈取クラッチ(115)等の作業クラッチが接続された場合に、ラジエータファン(26)を正転駆動状態から非駆動状態へ切り換えると共に排塵ファン(27)を非駆動状態から逆転駆動状態へ切り換える排塵モードを第1設定時間に亘り継続し、該第1設定時間経過後に、ラジエータファン(26)を非駆動状態から正転駆動状態へ切り換えると共に排塵ファン(27)を逆転駆動状態から非駆動状態へ切り換える冷却モードを第2設定時間に亘り継続し、以後、該排塵モードの実行と冷却モードの実行とを背反的に反復して実行するように前記駆動状態切換手段(45)を制御する制御装置(84)を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、エンジン(11)の出力軸(31A)に軸支された第1出力プーリ(31B)と第2出力プーリ(31C)をエンジン(11)の機体外側の部位に設け、ラジエータファン(26)と排塵ファン(27)の間に、ラジエータファン(26)の回転軸(26A)に軸支された第1入力プーリ(62)及び排塵ファン(27)の回転軸(27A)に軸支された第2入力プーリ(63)を設けていることから、ラジエータ(21)の近傍に、各出力プーリから各入力プーリへ伝動する第1ベルト(72)及び第2ベルト(73)を設けることができ、保守・点検作業を容易に行なうことができる。
また、この第1ベルト(72)及び第2ベルト(73)を駆動状態切換手段(45)により背反的に緊張または弛緩させ、ラジエータファン(26)と排塵ファン(27)の駆動状態の切換えを行なうため、駆動状態切換手段(45)、第1ベルト(72)及び第2ベルト(73)の耐久性に優れ、保守・点検作業の頻度を低減することができる。
さらに、ラジエータファン(26)と排塵ファン(27)を備えるため、正転駆動状態でのラジエータファン(26)の吸入能力及び逆転状態での排塵ファン(27)の排出能力が高く、エンジン(11)のオーバヒートを効果的に防止し作業能力を高めることができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、ラジエータファン(26)の回転軸(26A)と排塵ファン(27)の回転軸(27A)を別体に構成したことから、第1ベルト(72)及び第2ベルト(73)の巻掛けを容易に行なうことができ、第1ベルト(72)及び第2ベルト(73)の保守・点検作業を更に容易に行なうことができる。また、設計自由度も高まり、原動部をコンパクトにすることもできる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、ラジエータファン(26)の回転中心を機体側面視でラジエータ(21)の中心部に設け、排塵ファン(27)の回転中心を機体側面視で濾過体(24C)の中心部に設けたことから、正転駆動状態のラジエータファン(26)により吸入された外気がラジエータ(21)の広い範囲にあたるため、ラジエータ(21)の冷却効率に優れ、エンジン(11)のオーバヒートを防止することができる。また、逆転駆動状態の排塵ファン(27)により排気される内気がラジエータカバーの下部に設けられた濾過体(24C)の広い範囲に当たるため、穀稈の刈取、脱穀、選別、排藁処理時に藁屑や塵埃が最も多く付着する濾過体(24C)の目詰まりの防止効率に優れ、エンジン(11)のオーバヒートを防止することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、エンジン(11)とラジエータ(21)を循環する冷却水の水温が設定温度よりも高くなったことが温度センサ(83)で検出された場合に駆動状態切換手段(45)が切換作動するので、外気濾過用の濾過体(24)に多量の藁屑、塵埃等が付着した場合に、駆動状態切換手段(45)が切換作動するので、この駆動状態切換手段(45)の耐久性が向上し、ラジエータファン(26)と排塵ファン(27)との駆動状態切換時に発生する駆動音も低減することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項1又は4記載の発明の効果に加えて、穀粒排出筒(8)を駆動する穀粒排出クラッチ(111A,111B)が接続された後に駆動状態切換手段(45)が切換作動するので、エンジン(11)に対する負荷が少なく逆転駆動状態の排塵ファン(27)を安定して駆動することができ、濾過体(24)の目詰まりを効果的に防止することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、脱穀クラッチ(104)及び刈取クラッチ(115)等の作業クラッチが接続された後に駆動状態切換手段(45)が切換作動するので、外気濾過用の濾過体(24)に多量の藁屑、塵埃等が付着する作業時にのみに、駆動状態切換手段(45)が切換作動することとなり、この駆動状態切換手段(45)の耐久性が向上し、ラジエータファン(26)と排塵ファン(27)との駆動状態切換時に発生する駆動音も低減することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、排塵モードの実行と冷却モードの実行とを背反的に反復して実行することで、ラジエータ(21)の冷却性能を維持しながら、作業時に濾過体(24)に付着する塵埃等を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態のコンバインの右側面図である。
【図2】第1実施形態のコンバインの左側面図である。
【図3】第1実施形態のコンバインの平面図である。
【図4】第1実施形態のコンバインの背面図である。
【図5】第1実施形態のラジエータファンと排塵ファンの要部拡大正面図である。
【図6】第1実施形態のラジエータファンと排塵ファンの動力伝達図である。
【図7】第1実施形態のラジエータファンの動作説明図である。
【図8】第1実施形態の排塵ファンの動作説明図である。
【図9】第1実施形態のコンプレッサの動作説明図である。
【図10】第1実施形態のエンジンルームの要部拡大右側面図である。
【図11】第1実施形態のエンジンルームの要部拡大平面図である。
【図12】第1実施形態のエンジンルームの要部拡大右側面図である。
【図13】第2実施形態のラジエータファンと排塵ファンの要部拡大正面図である。
【図14】第3実施形態のラジエータファンと排塵ファンの要部拡大正面図である。
【図15】第1〜第3実施形態の制御装置のブロック線図である。
【図16】第1〜第3実施形態の制御装置のフローチャートである。
【図17】第1〜第3実施形態のコンバインの動力図である。
【図18】第1〜第3実施形態のトランスミッションの要部拡大左側面図である。
【図19】図26のテンション装置の要部拡大図である。
【図20】図26のスプリング圧縮装置の要部拡大図である。
【図21】第1参考形態のラジエータカバーの要部拡大右側面図である。
【図22】第1参考形態のラジエータファンと排塵ファンの要部拡大正面図である。
【図23】第1参考形態のラジエータファンの要部拡大左側面図である。
【図24】第2参考形態のラジエータカバーの要部拡大右側面図である。
【図25】第2参考形態のラジエータファンと排塵ファンの要部拡大正面図である。
【図26】第2参考形態のラジエータファンの要部拡大左側面図である。
【図27】第1,2参考形態の制御装置のブロック線図である。
【図28】第1,2参考形態の制御装置のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の作業車輌の原動部構造の第1実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。なお、第1実施形態は、作業車輌としてコンバインを例示してあるがコンバインに限定されるものではなく、トラクター、田植機等の農業用作業車輌にも適用できるものである。
【0022】
以下の説明において、コンバイン1の機体内側を「内側」、機体外側を「外側」といい、キャビン9内の操作席(図示省略)に着座する操作者から見て右手側を「右側」、左手側を「左側」、上方側を「上方」、下方側を「下方」、コンバインの進行方向を「前側」と、後退方向を「後側」という。
【0023】
「正転駆動状態」とは機体外側から機体内側に向かい外気を吸入するファンの回転方向をいい、「逆転駆動状態」とは機体内側から機体外側に向かい内気を送風するファンの回転方向をいい、「非駆動状態」とはファンが正転および逆転していないファンの休止状態をいうものとする。
【0024】
すなわち、後述するラジエータファン26における「正転駆動状態」とは、図5、図13、図14にS1で示すように、ラジエータカバー22の目抜き鉄板などからなる濾過体24を介して機体外側からラジエータ21に向かって外気を吸入し送風するラジエータファン26の回転方向をいう。また、図15に示すように、ラジエータファン26は、制御装置84により制御される電動モータ45の駆動により正転駆動状態及び非駆動状態の切換が行なわれる。
【0025】
排塵ファン27における「逆転駆動状態」とは、図5、図13、図14にS2で示すように、ラジエータカバー22の濾過体24を介して機体内側から機体外側に向かって内気を排気し送風する排塵ファン27の回転方向をいう。また、図15に示すように、排塵ファン27は、制御装置84により制御される電動モータ45の駆動により逆転駆動状態及び非駆動状態の切換が行なわれる。
【0026】
クーリングファン14における「正転駆動状態」とは、図11にS3で示すように、エンジンカバー15の目抜き鉄板などからなる外気濾過用の濾過体16を介して機体外側からエンジン11に向かって外気を吸入し送風するクーリングファン14の回転方向をいい、「逆転駆動状態」とは、図11にS4で示すように、エンジンカバー15の濾過体16を介して機体内側から機体外側に向かい内気を送風するクーリングファン14の回転方向をいう。また、クーリングファン14は、図15に示すように、制御装置84により制御される電動モータ45の駆動に対応し、正転駆動状態、逆転駆動状態及び非駆動状態の切換が行なわれる。
【0027】
図1〜図4には、本発明の原動部構造を有するコンバイン1が示されている。コンバイン1の車台2の下方には土壌面を走行するための左右一対のクローラからなる走行装置3が設けられ、車台2の上方左側には脱穀および選別をする為の脱穀装置4が設けられ、脱穀装置4の前側には刈取装置6が設けられ、刈取装置6の前側には穀稈掻込用のリール5が設けられている。
【0028】
リール5で掻き込まれた刈稈は刈取装置6に備えた刈刃(図示省略)で刈り取られ脱穀装置4に送られる。脱穀装置4で脱穀および選別された穀粒は脱穀装置4の右側に設けられたグレンタンク7に貯留され、貯留された穀粒は穀粒排出筒8により外部へ排出される。
【0029】
車台2の上方右側には操作者が搭乗する操作席を備えたキャビン9が設けられ、操作席の下方後側にはエンジンルーム10が設けられている。
図10、図11に示すように、エンジンルーム10の後側にはコンバイン1の駆動源であるエンジン11設けられている。
エンジンルーム10の外側の上方にはグレンタンク7に取付けられたエアクリーナ160が設けられ、エアクリーナ160のエア排出口162とエンジン11のエア取込口165は、ターボ164を介してエアクリーナ配管163で接続されている。また、エンジンルーム10の外側の後側には燃料タンク157が配置され、燃料タンク157とエンジン11は、燃料中の不純物を除去する燃料フィルタ156とエンジン11に燃料を供給する燃料ポンプ155を介し接続されている。なお、エンジン11で燃焼された燃料は排気配管170及びマフラ171を介しコンバイン1の外側に排気される。
【0030】
エンジン11とエンジンカバー15との間には、正転駆動状態、逆転駆動状態及び非駆動状態に切換可能な外気吸入用のクーリングファン14が設けられている。クーリングファン14はクーリングファン用羽根14Bとクーリングファン用羽根14Bの基部を支持するクーリングファン用中心部14Cとにより構成され、クーリングファン用中心部14Cはクーリングファン用モータ14Aの回転軸に軸支されている。なお、クーリングファン用モータ14Aは支持部材(図示省略)により支持され、車台2に取付けられている。
【0031】
エンジン11の駆動時にあっては、エンジン11を冷却するため、クーリングファン14は正転駆動しエンジンカバー15の濾過体16を介しコンバイン1の外側から内側に外気を吸入する。一方、後述する排塵ファン27の逆転駆動状態時には、エンジンカバー15の濾過体16に付着した藁屑、塵埃等を除去するため、クーリングファン14は逆転駆動し機体内側から外側に内気を送風する。
【0032】
保守、点検作業時の安全を高めるため、クーリングファン14とエンジンカバー15との間には、クーリングファン14の外周を囲む濾過目合いの小さい保護カバー94が設けられ、保護カバー94はエンジンリアフレーム91と操作フレーム92とに脱着自在に取付けられている。また、保護カバー94の内側には、金属繊維を編体にした保護ネット97が設けられ、保護ネット97は、エンジンリアフレーム91と操作フレーム92とに両端部が固定された上部補強フレーム98と下部補強フレーム99とに脱着自在に取付けられている。さらに、保守、点検作業時の安全を高めるため、エンジン各部の潤滑用オイルの油量低下や劣化を調べるオイルレベルゲージの把持部(図示省略)を保護カバー94の上方に臨む位置に設けている。
【0033】
エンジン11の発熱部を効率的に冷却するため、エンジン11の外周部には、クーリングファン14により吸入された外気をエンジン11の外周部に導く薄板状の鋼板により成形された導風体(シュラウド)150が一定の間隔を空けて取付けられている。
導風体(シュラウド)150は、エンジン11とグレンタンク7を区画するエンジン11の上方に配置された上方導風体と、エンジン11とグレンタンク7を区画するエンジン11の後側に配置された後側導風体と、エンジン11とラジエータ21等を区画するエンジン11の前側に配置された前側導風体とにより構成され、上方導風体の前後側部に設けられたブラケット(図示省略)によりそれぞれエンジンルーム10の前後フレームに取付けられている。なお、後側導風体は、上方導風体の後側端部からクーリングファン14の中心部に対向する位置まで下方に延在し、前側導風体は、上方導風体の前側端部からクーリングファン14の中心部に対向する位置まで下方に延在している。
【0034】
クーリングファン14により吸入された外気の一部は、エンジン11の発熱部を冷却した後、エンジン11の上方に張り出したグレンタンク7と脱穀機4の隙間を通過してコンバイン1の外側に排出される。
また、クーリングファン14により吸入された外気の一部は、後側導風体の下方を通りエンジンルーム10の外側後方に向かって送風され、燃料ポンプ155、燃料フィルタ156及び燃料タンク157を冷却した後、コンバイン1の外側に放出される。その結果、エンジン11に供給される燃料の温度は低下し、エンジン11の出力の安定性を高めることができる。
さらに、クーリングファン14により吸入された外気の一部は、前側導風体の下方を通りエンジンルーム10の前側に向かって送風され、インタークーラ12、オイルクーラ57A,57B及びラジエータ21を冷却した後、機体外側に排出される。その結果、インタークーラ12、オイルクーラ57A,57B及びラジエータ21の冷却効果が高まり、エンジン11のオーバヒートを抑制することができる。
【0035】
図12に示すように、エンジンルーム10の前側には、ラジエータカバー22の機体内側に外側から内側に向かいエンジン11の燃焼用の混合気を冷却するインタークーラ12、昇降用シリンダ駆動用オイルを冷却するオイルクーラ57A、ミッション潤滑用オイルを冷却するオイルクーラ57B及びエンジン11の冷却水が循環するラジエータ21が一定の間隔を空けて設けられ、オイルクーラ57Aはオイルクーラ57Bの上方に一定の間隔を空けて設けられている。
後述するラジエータファン26の正転駆動時に、インタークーラ12の冷却効率を高めるため、インタークーラ12のインタークーラ配管13Aを上方に向かい垂直に取付けている。
【0036】
次に、本発明の作業車輌の原動部構造の第1実施形態について説明する。
【0037】
図5に示すように、第1実施形態は、ラジエータファン26と排塵ファン27が回転軸28に軸支されている。
エンジン11の出力軸31Aの回転は、機体外側に設けられたプーリ(第1出力プーリ)31C、プーリ(第1入力プーリ)62を介しベルト(第1ベルト)72によりラジエータファン26に伝動され、エンジン11の出力軸31Aの回転は、機体外側に設けられたプーリ(第2出力プーリ)31B、プーリ(第2入力プーリ)63及びギアボックス64を介しベルト(第2ベルト)73により排塵ファン27に伝動される。
【0038】
ラジエータファン26は、ラジエータ用羽根26Bとラジエータ用羽根26Bの基部を支持するラジエータ用中心部26Cとにより構成されている。ラジエータ用中心部26Cの内側にはプーリ62が取付けられており、後述する排塵ファン27の排塵用中心部27Cに取付けられたプーリ63と対向し配置されている。また、プーリ62は一対のベアリング61を介して回転軸28の先端部(ラジエータ用回転軸26A)に軸支されており、回転軸28の末端部(排塵用回転軸27A)は支持部材27Dにより支持されている。
【0039】
排塵ファン27は、排塵用羽根27Bと排塵用羽根27Bの基部を支持する排塵用中心部27Cとにより構成されている。排塵用中心部27Cの外側にはプーリ63が取付けられ、プーリ63は一対のベアリング61を介して回転軸28の中間部に軸支されている。
なお、排塵ファン27の有効外径は、ラジエータファン26の有効外径と同一径としているが、図12に示すように、排塵ファン27の有効外径をラジエータファン26の有効外径よりも小径にすることもできる。
【0040】
ラジエータファン26による外気の吸入効率を高めるため、ラジエータファン26のラジエータ用羽根26Bの外周部位はラジエータ21の内側面に取付けられた第1シュラウド81により囲まれている。
第1シュラウドの形状は、ラジエータファン26の外周に沿わせて円形状あるいは多角形状に成形し、排塵ファン27による内気の送風の抵抗を小さくするため、第1シュラウドは薄板状の鋼板により成形されている。
【0041】
また、排塵ファン27による機体内側から外側への送風効率を高めるため、排塵ファン27の排塵用羽根27Bの外周部位を支持部材27Dに取付けられた第2シュラウド(図示省略)により囲むことができる。
第2シュラウドの形状は、排塵ファン27の外周に沿わせて円形状あるいは多角形状に成形し、ラジエータファン26による外気の吸入の抵抗を小さくするため、第2シュラウドは薄板状の鋼板により成形するのが望ましい。
【0042】
図6に示すように、エンジン11の出力軸31Aの回転をラジエータファン26に伝動するため、エンジン11の出力軸31Aに軸支され出力軸31Aと一体となって回転するプーリ31Cと、プーリ31Cに対向する位置に設けられたラジエータ用回転軸26Aに軸支されラジエータ用回転軸26Aと一体となって回転するプーリ62にはベルト72が巻掛けされている。なお、図15に示すように、クラッチ部材38は、制御装置84により制御される電動モータ(駆動状態切換手段)45と同期して作動状態の切換が行なわれる。
【0043】
エンジン11の出力軸31Aの回転を排塵ファン27に伝動するため、エンジン11の出力軸31Aに軸支され出力軸31Aと一体となって回転するプーリ31Bと、プーリ31Bに対向する位置に設けられたギアボックス64の中間軸65Aに軸支され中間軸65Aと一体となって回転するプーリ64Aと、ギアボックス64の中間軸65Bに軸支され中間軸65Bと一体となって回転するプーリ64Bに対向する位置に設けられた排塵用回転軸27Aに軸支され排塵用回転軸27Aと一体となって回転するプーリ63には、それぞれベルト71,73が巻掛けされている。
ギアボックス64は、入力側の中間軸65Aに軸支されたギア64Cと出力側の中間軸65Bに軸支されたギア64Dとが噛合い、例えば、入力側のプーリ64Aが時計方向に回転する場合、出力側のプーリ64Bは反時計方向に回転する。
なお、ギア64Cと中間軸65A及びギア64Dと中間軸65Bは一体に形成することもできる。また、排塵ファン27に換え、反対方向に傾斜した排塵羽根27Bを有する排塵ファン27を用いた場合、ギアボックス64を介在させる必要はなく部品点数を削減することができる。
【0044】
エンジン11の出力軸31Aの回転をコンプレッサ66に伝動するため、エンジン11の出力軸31Aに軸支され出力軸31Aと一体となって回転するプーリ31Bと、プーリ31Bに対向する位置に設けられた入力軸66Aに軸支され入力軸65Aと一体となって回転するプーリ67にはベルト71が巻掛けされている。
【0045】
図7に示すように、ラジエータファン26を正転駆動状態にし、排塵ファン27を非駆動状態にする場合、回転軸41に軸支され回転軸41を中心に回転するアーム42を時計方向に回転させ、アーム42の先端部に設けられたテンションローラ37をプーリ31Cとプーリ62に巻掛けされたベルト72に押圧してベルト72を緊張させ、エンジン11の出力軸31Aの回転をプーリ62が軸支された回転軸26Aに伝動する。
一方、回転軸41Aに軸支され回転軸41Aを中心に回転するアーム42Aを時計方向に回転させ、アーム42Aの先端部に設けられたテンションローラ37Aをプーリ64Bとプーリ63に巻掛けされたベルト73から離間させベルト73のテンションを弛緩させ、エンジン11の出力軸31Aの回転をプーリ63が軸支された回転軸27Aに伝動することなく遮断する。
【0046】
アーム42は、電動モータ45で回動される円板46により直動される圧縮スプリングを有する連動リンク74により時計方向または反時計方向に回転され、アーム42Aは、アーム42を回転させる同一の電動モータ45で回動される円板46により直動される圧縮スプリングを有する連動リンク74Aにより時計方向または反時計方向に回転される。
なお、図15に示すように、電動モータ45は、制御装置84により制御されており、ラジエータ21とエンジン11の間に取付けられた温度センサ83、穀粒排出筒8を起動する作業クラッチ(穀粒排出クラッチ)111A,111B、脱穀装置4を起動する作業クラッチ(脱穀クラッチ)104または刈取装置6を起動する作業クラッチ(刈取クラッチ)115が入力されていない場合、操作者が誤って電動モータ45の駆動入力操作をしても電動モータ45は作動しない。また、ラジエータファン26の慣性による正転、排塵ファン27の慣性による逆転を強制的に停止するため、アーム42,42Aにそれぞれブレーキ板(図示省略)を設けることができる。
【0047】
図8に示すように、ラジエータファン26の非駆動状態にし、排塵ファン27を正転駆動状態にする場合、回転軸41に軸支され回転軸41を中心に回転するアーム42を反時計方向に回転させ、アーム42の先端部に設けられたテンションローラ37をプーリ33Cとプーリ62に巻掛けされたベルト72から離間させベルト72のテンションを弛緩させ、エンジン11の出力軸31Aの回転をプーリ62が軸支された回転軸26Aに伝動することなく遮断する。
一方、回転軸41Aに軸支され回転軸41Aを中心に回転するアーム42Aを反時計方向に回転させ、アーム42Aの先端部に設けられたテンションローラ37Aをプーリ64Bとプーリ63に巻掛けされたベルト73に押圧しベルト73緊張させ、エンジン11の出力軸31Aの回転をプーリ63が軸支された回転軸27Aに伝動する。
【0048】
エンジン11の出力軸31Aに軸支されたプーリ62,63を機体外側(機体右側)に設け、回転軸28に軸支されたラジエータファン26に取付けられたプーリ62と排塵ファン27に取付けられたプーリ63を対向して設けていることから、プーリ33Cとプーリ62に巻掛けされたベルト72の近傍にプーリ33Bとプーリ63に巻掛けされたベルト73を配置することができ、ベルト72,73の保守、点検作業を容易に行なうことができる。
ラジエータファン26の駆動状態の切換えをラジエータファン26に取付けられたプーリ62とエンジン11の出力軸31Aに軸支されたプーリ31Cとに巻掛けされているベルト72のテンションを電動モータ45により緊張または弛緩させて行なうことから、ベルト72の耐久性に優れ保守、点検作業の頻度が低減でき、ラジエータファン26の駆動状態の切換えも短時間で行なうことができる。
排塵ファン27の駆動状態の切換えを排塵ファン27に取付けられたプーリ63とエンジン11の出力軸31Aに軸支されたプーリ31Bとに巻掛けされているベルト73のテンションを電動モータ45により緊張または弛緩させて行なうことから、ベルト73の耐久性に優れ保守、点検作業の頻度が低減でき、排塵ファン27の駆動状態の切換えも短時間で行なうことができる。
また、ラジエータファン26の駆動状態を切換えるアーム42および排塵ファン27の駆動状態の切換えるアーム42Aを一つの電動モータ45により駆動していることから、切換え構造が簡易になり信頼性が高まる。
【0049】
図9に示すように、コンプレッサ66の入力軸66Aには、エンジン11の出力軸31Aの回転がプーリ31B,64A,67に巻掛けされているベルト71により伝動され、コンプレッサ66は常時駆動している。
すなわち、回転軸41Bに軸支され回転軸41Bを中心に回転するアーム42Bを時計方向に回転させ、アーム42Bの先端部に設けられたテンションローラ37Bをプーリ31Bとプーリ67に巻掛けされたベルト71に押圧しベルト71のテンションを常時緊張させている。
【0050】
次に、本発明の作業車輌の原動部構造の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0051】
図13に示すように、第2実施形態は、ラジエータファン26を軸支するラジエータ用回転軸26Aと排塵ファン27を軸支する排塵用回転軸27Aが、それぞれ別体とされ、同一軸上に設けられている。
エンジン11の出力軸31Aの回転は、機体外側に設けられたプーリ(第1出力プーリ)31C、プーリ(第1入力プーリ)62を介しベルト(第1ベルト)72によりラジエータファン26に伝動され、エンジン11の出力軸31Aの回転は、機体外側に設けられたプーリ(第2出力プーリ)31B、プーリ(第2入力プーリ)63及びギアボックス64を介しベルト(第2ベルト)73により排塵ファン27に伝動される。
【0052】
ラジエータファン26は、ラジエータ用羽根26Bとラジエータ用羽根26Bの基部を支持するラジエータ用中心部26Cとにより構成されている。ラジエータ用中心部26Cの内側にはプーリ62が取付けられており、後述する排塵ファン27の排塵用中心部27Cに取付けられたプーリ63と対向し配置されている。また、プーリ62は一対のベアリング61を介してラジエータ用回転軸26Aの末端部に軸支され、ラジエータ用回転軸26Aの先端部はラジエータ21の内側面に取付けられた第1シュラウド81により支持されている。
【0053】
排塵ファン27は、排塵用羽根27Bと排塵用羽根27Bの基部を支持する排塵用中心部27Cとにより構成されている。排塵用中心部27Cの外側にはプーリ63が取付けられ、プーリ63は一対のベアリング61を介して排塵用回転軸27Aの先端部に軸支され、排塵用回転軸27Aの末端部は支持部材27Dにより支持されている。
【0054】
エンジン11の出力軸31Aに軸支されるプーリ31B,31Cを機体外側に設け、ラジエータ用回転軸26Aの末端部に軸支されたラジエータファン26のプーリ62と排塵用回転軸27Aの先端部に軸支された排塵ファン27のプーリ63を対向して設けていることから、プーリ33Cとプーリ62に巻掛けされたベルト72の近傍にプーリ33Bとプーリ63に巻掛けされたベルト73を配置することができ、ベルト72,73の保守、点検作業を容易に行なうことができる。
また、ラジエータ用回転軸26Aと排塵用回転軸27Aが別体に形成していることから、ベルト72をプーリ33Cとプーリ62に、ベルト73をプーリ33Bとプーリ63に容易に巻掛けすることができ、ベルト72,73の交換作業を容易に行なうことができる。
【0055】
次に、本発明の作業車輌の原動部構造の第3実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0056】
図14に示すように、第3実施形態は、ラジエータファン26を軸支するラジエータ用回転軸26Aと排塵ファン27を軸支する排塵用回転軸27Aが、それぞれ別体とされ、ラジエータ用回転軸26Aと排塵用回転軸27Aとが非同一軸上に設けられている。
エンジン11の出力軸31Aの回転は、機体外側に設けられたプーリ(第1出力プーリ)31C、プーリ(第1入力プーリ)62を介しベルト(第1ベルト)72によりラジエータファン26に伝動され、エンジン11の出力軸31Aの回転は、機体外側に設けられたプーリ(第2出力プーリ)31B、プーリ(第2入力プーリ)63及びギアボックス64を介しベルト(第2ベルト)73により排塵ファン27に伝動される。
【0057】
ラジエータファン26の中心部は、正面視でラジエータ21の中心部に配置されている。また、ラジエータファン26は、ラジエータ用羽根26Bとラジエータ用羽根26Bの基部を支持するラジエータ用中心部26Cとにより構成され、ラジエータ用中心部26Cの内側にはプーリ62が取付けられており、後述する排塵ファン27の排塵用中心部27Cに取付けられたプーリ63と対向し配置されている。さらに、プーリ62は一対のベアリング61を介してラジエータ用回転軸26Aの末端部に軸支され、ラジエータ用回転軸26Aの先端部はラジエータ21の内側面に取付けられた第1シュラウド81により支持されている。
【0058】
排塵ファン27の中心部は、正面視でラジエータカバー22に設けられた濾過体24Cの中心部に配置されている。なお、排塵ファン27の中心部の配置位置は濾過体24Cの中心部に限定されることはなく、正面視で濾過体24Bと濾過体24Cの間の補強リブ23の中心部に配置することもできる。また、ラジエータカバー22の濾過体24A、24B、24C、24Dの空隙を同一にすることもできるが、排塵ファン27が設けられていない濾過体24A,24Dの目合いを大きくし、濾過体24B、24Cの目合いを小さくするのが好ましい。
【0059】
排塵ファン27は、排塵用羽根27Bと排塵用羽根27Bの基部を支持する排塵用中心部27Cとにより構成されている。排塵用中心部27Cの外側にはプーリ63が取付けられ、プーリ63は一対のベアリング61を介して排塵用回転軸27Aの先端部に軸支され、排塵用回転軸27Aの末端部は支持部材27Dにより支持されている。
【0060】
エンジン11の出力軸31Aに軸支されるプーリ31B,31Cを機体外側に設け、ラジエータ用回転軸26Aの末端部に軸支されたラジエータファン26に取付けられたプーリ62と排塵用回転軸27Aの先端部に軸支された排塵ファン27に取付けられたプーリ63を対向して設けていることから、プーリ33Cとプーリ62に巻掛けされたベルト72の近傍にプーリ33Bとプーリ63に巻掛けされたベルト73を配置することができ、ベルト72,73の保守、点検作業を容易に行なうことができる。
また、ラジエータ用回転軸26Aと排塵用回転軸27Aが別体に形成されていることから、ベルト72をプーリ33Cとプーリ62に、ベルト73をプーリ33Bとプーリ63に容易に巻掛けすることができ、ベルト72,73の交換が容易に行なうことができる。
【0061】
ラジエータ21の中心部にラジエータファン26を配置していることから、ラジエータファン26により吸入された外気がラジエータ21の広い範囲にあたり、ラジエータ21の冷却効果を高めることができ、エンジン11のオーバヒートを効率的に防止することができる。
また、ラジエータカバー22の濾過体24Cの中心部に排塵ファン27を配置していることから、排塵ファン27により排気された内気が最も多くの藁屑、塵埃等が付着するラジエータカバー22の濾過体24Cの広い範囲にあたり、藁屑、塵埃等の除去効果を高めることができ、エンジン11のオーバヒートを効率的に防止することができる。
【0062】
次に、第1〜第3実施形態の制御装置について説明する。
【0063】
図15に示すように、制御装置84には、エンジン11とラジエータ21を循環する冷却水の水温を検出する温度センサ83と、穀粒排出筒8の作業クラッチ(穀粒排出筒張出クラッチ)111Aの接続状態を検出する穀粒排出筒張出クラッチセンサ111a又は作業クラッチ(穀粒排出筒収納クラッチ)111Bの接続状態を検出する穀粒排出筒収納クラッチセンサ111bと、作業クラッチ(脱穀クラッチ)104の接続状態を検出する脱穀クラッチセンサ104a,104bと、作業クラッチ(刈取クラッチ)115の接続状態を検出する刈取クラッチセンサ115aを入力する。制御装置84の出力側には電動モータ45を接続している。
【0064】
温度センサ83は、エンジン11とラジエータ21を循環する冷却水の水温状態を判断し、水温が設定温度以上になった場合にONするように構成している。なお、コンバイン1のキャビン9内には排塵ファン27の逆転駆動状態の時間を設定するタイマースイッチが設けられている。
穀粒排出筒張出クラッチセンサ111aは、穀粒排出筒張出クラッチ111Aが接続状態になった場合にONするように構成し、穀粒排出筒収納クラッチセンサ111bは、穀粒排出筒収納クラッチ111Bが接続状態になった場合にONするように構成している。
脱穀クラッチ104は扱胴106等の脱穀部のクラッチ104Aと唐箕123等の選別部のクラッチ104Bとからなり、脱穀クラッチセンサ104a,104bは脱穀クラッチ104A,104Bが接続状態となることで夫々ONするように構成している。
刈取クラッチセンサ115aは刈取クラッチ115が接続状態となることでONするように構成している。
【0065】
図16に示すように、温度センサ83の入力状態を判断し、温度センサ83がON状態である場合には、穀粒排出筒張出クラッチセンサ111a又は穀粒排出筒収納クラッチセンサ111bの入力状態を判断する。一方、温度センサ83がOFF状態である場合には、電動モータ45を正転側に駆動しラジエータファン26を正転駆動状態に、排塵ファン27を非駆動状態にする。
【0066】
穀粒排出筒張出クラッチセンサ111a、穀粒排出筒収納クラッチセンサ111bの入力状態を判断し、穀粒排出筒張出クラッチセンサ111a又は穀粒排出筒収納クラッチセンサ111bがON状態である場合には、脱穀クラッチセンサ104a,104bの入力状態を判断する。一方、穀粒排出筒張出クラッチセンサ111a又は穀粒排出筒収納クラッチセンサ111bがいずれもOFF状態である場合には、電動モータ45を正転側に駆動しラジエータファン26を正転駆動状態に、排塵ファン27を非駆動状態にする。
【0067】
脱穀クラッチセンサ104a,104bの入力状態を判断し、脱穀クラッチセンサ104a,104bが共にON状態である場合には、刈取クラッチセンサ115aの入力状態を判断する。一方、脱穀クラッチセンサ104a,104bのいずれか一方または両方がOFF状態である場合には、電動モータ45を正転側に駆動しラジエータファン26を正転駆動状態にし、排塵ファン27を非駆動状態にする。
【0068】
刈取クラッチセンサ115aの入力状態を判断し、刈取クラッチセンサ115aがON状態である場合には、排塵モードと冷却モードを反復して実行する反復モードを開始する。一方、脱穀クラッチセンサ104a,104bと刈取クラッチセンサ115aがいずれもOFF状態である場合には、電動モータ45を正転側に駆動しラジエータファン26を正転駆動状態にし、排塵ファン27を非駆動状態にする。
なお、排塵モード及び冷却モードの設定時間は、コンバインの使用環境等により任意に設定でき、また、キャビン9内に設けられた表示器にはエンジンコントロールユニット(ECU)の負荷が表示され、エンジン11の最大許容負荷を超過する恐れがある場合には警報器が鳴り操作者に知らせる。
【0069】
次に、第1〜第3実施形態の動力系について説明する。
【0070】
図17に示すように、エンジン11の動力はプーリ31C,プーリ62を介しラジエータファン26に伝動されラジエータファン26を駆動させ、プーリ31B,プーリ67を介しコンプレッサ66に伝動されコンプレッサ66を稼働させ、プーリ31B,ギアボックス64,プーリ63を介し排塵ファン27に伝動され排塵ファン27を駆動する。
【0071】
エンジン11の動力はプーリ31D,プーリ103を介し作業クラッチ104A、ギアボックス105、扱胴106に伝動され扱胴106を回転させる。また、ベルト109を介し作業クラッチ111A,111B、コンベア111に伝動され穀粒排出筒4の内部に取付けられたコンベア111を回動させ、オプションであるスプレッタ110またはセカンドモア112に伝動される。なお、スプレッタ110とセカンドモア112とはいずれか一方を選択し使用する。
【0072】
プーリ33に伝動された動力は、中間軸107、プーリ33D、ベルト108、プーリ101Aを介しトランスミッション101、HST102に伝動され、さらに、中間軸107、プーリ113を介しギアボックス114に伝動される。
【0073】
ギアボックス114に伝動された動力は、作業クラッチ115を介しフィーダチェン116、オーガドラム117、刈刃118、リール119に伝動され、オーガドラム117、刈刃118、リール119を回転させる。また、ギアボックス114に伝動された動力は、該ギアボックス114に内蔵されたクラッチ104Bを介し、ギアボックス114に軸支された選別駆動別の軸121によってプレファン122、塵埃ファン123、1番コンベア124、2番コンベア125、セカンドファン126に伝動され、1番コンベア124、2番コンベア125を稼働させる。
【0074】
1番コンベア124に伝動された動力は、パケット下軸131を介しレベリング軸132に伝動され、2番コンベア125に伝動された動力は、2番コンベア軸127を介し2番縦コンベア128、2番上コンベア129に伝動され、2番縦コンベア128、2番上コンベア129を稼働させる。
【0075】
次に、第1〜第3実施形態のトランスミッション101の動力系について説明する。
【0076】
図18に示すように、エンジン11の機体内側に設けられ出力軸31Aに軸支されたプーリ31Dと、中間軸107に軸支されたプーリ33Dと、トランスミッション101の入力軸に軸支されたプーリ101Aにはベルト108が巻掛けされており、エンジン11の回転は、プーリ31A、プーリ33D、プーリ101Aを介しトランスミッション101に伝動されている。
【0077】
エンジン11の回転を確実にトランスミッション101に伝動するため、カウンタ180に支持された第1テンション装置181のローラ186をプーリ31Dとプーリ33Dの間のベルト108に押圧し、トランスミッション101の上部に設けられた圧縮装置185に支持された第2テンション装置183のローラ187をプーリ33Dとプーリ101Aの間のベルト108に押圧している。
【0078】
図19に示すように、第1テンション装置181は、略二等辺三角形状をしたプレート195の頂点部に先端軸190A、底辺部の上側に末端軸190Bが溶接されている。先端軸190Aには、一対のベアリング198を介しローラ197が取付けられている。また、ローラ197の外側には、ベルト108の脱落を防止するため、下方に臨むツバ196が設けられている。
末端軸190Bは、一対のベアリング191を介しカウンタ180に回転自在に取付けられ、末端軸190Bの取付けスペースを小さくするため、一対のベアリング191は、末端軸190Bに嵌挿されたカラー193と末端軸190Bの溶接部を迂回する段付きカラー194により位置決めされている。
【0079】
図20に示すように、第2テンション装置183の押圧力の調整を行なう圧縮装置185は、ロッド203と、一対のブッシュ204と、ブッシュ204に両端部が押圧されるスプリング205と、ロッド203の前側部に挿通され外周部に雄ネジが加工された調整ボルト206から構成されている。なお、ロッド203の外周径とスプリング205の内周径は略同一寸法に形成しスプリング205の座屈を防止している。
圧縮装置185のロッド203の後側部は、ブラケット201の下方部に設けられたフォークエンド202に挿嵌され固定され、圧縮装置185の調整ボルト206は、受台184に設けられたブラケット207の取付け孔に挿通されている。また、ブラケット207の取付け孔には雌ネジが施されている。
機体前側から調整ボルト206を時計方向に回転させた場合、スプリング205が圧縮し、第2テンション装置183を上方(反時計方向)に移動させベルト108に対するローラ187の押圧を小さくする。一方、調整ボルト206を反時計方向に回転させた場合、スプリング205が伸縮し、第2テンション装置183を下方(時計方向)に移動させベルト108に対するローラ187の押圧を高めることができる。また、調整ボルト206の緩みを防止するため、ロックナット208により調整ボルト206は固定されている。
【0080】
次に、作業車輌の原動部構造の第1参考形態について説明する。なお、第1実施形態と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0081】
以下の説明において、「正転駆動状態」とは機体外側から機体内側に向かい外気を吸入するファンの回転方向をいい、「逆転駆動状態」とは機体内側から機体外側に向かい内気を送風するファンの回転方向をいい、「非駆動状態」とはファンが正転および逆転していないファンの休止状態をいうものとする。
【0082】
すなわち、後述するラジエータファン53〜56における「正転駆動状態」とは、図22、図25にS5で示すように、ラジエータカバー22の目抜き鉄板などからなる濾過体24を介して機体外側からラジエータ21に向かって外気を吸入し送風するラジエータファン53〜56の回転方向をいう。また、図27に示すように、ラジエータファン53〜56は、制御装置84により制御されるラジエータモータ53A〜56Aの回動により正転駆動状態及び非駆動状態の切換が行なわれる。
【0083】
排塵ファン51における「逆転駆動状態」とは、図22、図25にS6で示すように、ラジエータカバー22の濾過体24を介して機体内側から機体外側に向かって内気を排気し送風する排塵ファン51の回転方向をいう。また、図27に示すように、排塵ファン51は、制御装置84により制御される排塵モータ51Aの回動により正転駆動状態、逆転駆動状態及び非駆動状態の切換が行なわれる。
【0084】
図21〜図23に示すように、第1参考実施形態は、ラジエータ21の機体内側にラジエータモータ53A〜56Aにより駆動する4個のラジエータファン53〜56を設け、ラジエータカバー22の濾過体24とラジエータ21の間に排塵モータ51Aにより駆動する排塵ファン51を設けている。
【0085】
ラジエータファン53〜56の中心部は、ラジエータ21の機体内側に側面視で略正方形の四角にそれぞれ配置されている。ラジエータファン53〜56は、ラジエータ用羽根53B〜56Bとラジエータ用羽根53B〜56Bの基部を支持するラジエータ用中心部53C〜56Cにより構成され、ラジエータ用中心部53C〜56Cは、ラジエータモータ53A〜56Aの回転軸に軸支されている。また、ラジエータモータ53A〜56Aは、末端部が第1シュラウド81Aの外周部に取付けられたブラケット58に支持されている。
【0086】
ラジエータファン53〜56による外気の吸入効率を高めるため、ラジエータファン53〜56のラジエータ用羽根53B〜56Bの外周部はラジエータ21の内側面に取付けられた第1シュラウド81Aにより囲まれている。
第1シュラウドの形状は、ラジエータファン53〜56の外周に沿わせて略正方形に成形しているが、ラジエータファン53〜56の配置位置に応じ、任意の形状に変更することができる。
【0087】
排塵ファン51の中心部は、側面視でラジエータカバー22の濾過体24Bと濾過体24Cの間の補強リブ23の中心部に配置されている。排塵ファン51は、排塵用羽根51Bと排塵用羽根51Bの基部を支持する排塵用中心部27Cにより構成され、排塵用中心部27Cは、排塵モータ51Aの回転軸に軸支されている。また、排塵モータ51Aは、下端部がラジエータカバー22に取付けられたブラケット52に支持されている。
なお、ラジエータカバー22の濾過体24A、24B、24C、24Dの空隙を同一にすることもできるが、排塵ファン51が設けられていない濾過体24A,24Dの目合いを大きくし、濾過体24B、24Cの目合いを小さくするのが好ましい。
【0088】
ラジエータファン53〜56の中心部を側面視で略正方形の四角に配置していることから、ラジエータファン53〜56により吸入された外気がラジエータ21の広い範囲にあたり、ラジエータ21の冷却効果を高めることができ、エンジン11のオーバヒートを効率的に防止することができる。
また、排塵ファン51をラジエータカバー22とラジエータ21の間に設け、排塵ファン51の中心部を側面視でラジエータカバー22の濾過体24Bと濾過体24Cの間の補強リブ23の中心部に配置していることから、排塵ファン51による排気能力が高く、排塵ファン51により排気された内気が多くの藁屑、塵埃等が付着するラジエータカバー22の濾過体24B,24Cの広い範囲にあたり、藁屑、塵埃等の除去効果が高く、エンジン11のオーバヒートを効率的に防止することができる。
【0089】
次に、作業車輌の原動部構造の第2参考形態について説明する。なお、第1参考実施形態と同一部材には同一符号を付し重複した説明は省略する。
【0090】
図24〜図26に示すように、第2参考実施形態は、ラジエータ21の機体内側にラジエータモータ53A〜56Aにより駆動する4個のラジエータファン53〜56を設け、ラジエータカバー22とラジエータ21の間に排塵モータ51Aにより駆動する排塵ファン51が設け、排塵ファン51の中心部を、側面視でラジエータカバー22の濾過体24Cの中心部に配置している。
【0091】
ラジエータファン53〜56の中心部は、ラジエータ21の機体内側に側面視で略正方形の四角にそれぞれ配置されている。ラジエータファン53〜56は、ラジエータ用羽根53B〜56Bとラジエータ用羽根53B〜56Bの基部を支持するラジエータ用中心部53C〜56Cにより構成され、ラジエータ用中心部53C〜56Cは、ラジエータモータ53A〜56Aの回転軸に軸支されている。また、ラジエータモータ53A〜56Aは、末端部が第1シュラウド81Aの外周部に取付けられたブラケット58に支持されている。
【0092】
ラジエータファン53〜56による外気の吸入効率を高めるため、ラジエータファン53〜56のラジエータ用羽根53B〜56Bの外周部はラジエータ21の内側面に取付けられた第1シュラウド81Aにより囲まれている。
【0093】
排塵ファン51の中心部は、側面視でラジエータカバー22の濾過体24Cの中心部に配置されている。排塵ファン51は、排塵用羽根51Bと排塵用羽根51Bの基部を支持する排塵用中心部27Cにより構成され、排塵用中心部27Cは、排塵モータ51Aの回転軸に軸支されている。また、排塵モータ51Aは、下端部がラジエータカバー22に取付けられたブラケット52に支持されている。
【0094】
ラジエータファン53〜56の中心部を側面視で略正方形の四角に配置していることから、ラジエータファン53〜56により吸入された外気がラジエータ21の広い範囲にあたり、ラジエータ21の冷却効果を高めることができ、エンジン11のオーバヒートを効率的に防止することができる。
また、排塵ファン51をラジエータカバー22とラジエータ21の間に設け、排塵ファン51の中心部を側面視でラジエータカバー22の濾過体24Cの中心部に配置していることから、排塵ファン51による排気能力が高く、排塵ファン51により排気された内気が最も多くの藁屑、塵埃等が付着するラジエータカバー22の濾過体24Cの広い範囲にあたり、藁屑、塵埃等の除去効果が高く、エンジン11のオーバヒートを効率的に防止することができる。
【0095】
次に、第1、第2参考形態の制御装置について説明する。
【0096】
図27に示すように、制御装置84の入力側には、エンジン11とラジエータ21を循環する冷却水の水温を検出する温度センサ83を入力する。制御装置84の出力側には、ラジエータファン53〜56を駆動するラジエータモータ53A〜56Aと排塵ファン51を駆動する排塵モータ51Aを接続している。
【0097】
温度センサ83は、エンジン11とラジエータ21を循環する冷却水の水温状態を判断し、冷却水の温度に応じて電圧1〜5Vを出力するように構成している。なお、コンバイン1のキャビン9内には排塵ファン51の逆転駆動状態の時間を設定するタイマースイッチが設けられている。
また、ラジエータモータ53A〜56Aは正転駆動状態と非駆動状態に切換えられ、排塵モータ51Aは正転駆動状態、逆転駆動状態及び非駆動状態に切換えられる。
【0098】
図28に示すように、温度センサ83の入力状態を判断し、冷却水の水温がT1より高い場合、ラジエータモータ53A〜56Aを正転させラジエータファン53〜56を正転駆動状態にする。一方、冷却水の水温がT1より低い場合、ラジエータモータ55A,56Aを正転させラジエータファン55,56を正転駆動状態にし、ラジエータモータ53A,54Aを停止させラジエータファン53,54を非駆動状態にする。
【0099】
一定時間経過後に温度センサ83の入力状態を判断し、冷却水の水温がT2より高い場合、ラジエータモータ53A〜56Aを停止させラジエータファン53〜56を非駆動状態にし、排塵モータ51Aを逆転させ排塵ファン51を逆転駆動状態にする。一方、冷却水の水温がT2より低い場合、ラジエータモータ53A〜56Aを正転させラジエータファン53〜56を正転駆動状態にする。
【0100】
一定時間経過後に温度センサ83の入力状態を判断し、冷却水の水温がT3より高い場合、ラジエータモータ53A〜56Aを正転させラジエータファン53〜56を正転駆動状態にし、排塵モータ51Aを正転させ排塵ファン51を正転駆動状態にする。一方、冷却水の水温がT3より低い場合、ラジエータモータ53A〜56Aを正転させラジエータファン53〜56を正転駆動状態にする。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、農業用作業車輌に適用できるものである。
【符号の説明】
【0102】
1 コンバイン
8 穀粒排出筒
10 エンジンルーム
11 エンジン
14 クーリングファン
15 エンジンカバー
21 ラジエータ
22 ラジエータカバー
24C 濾過体
26 ラジエータファン
26A ラジエータ用回転軸
27 排塵ファン
27A 排塵用回転軸
28 回転軸
31A 出力軸
31B プーリ(第2出力プーリ)
31C プーリ(第1出力プーリ)
45 電動モータ(駆動状態切換手段)
62 プーリ(第1入力プーリ)
63 プーリ(第2入力プーリ)
72 ベルト(第1ベルト)
73 ベルト(第2ベルト)
83 温度センサ
84 制御装置
104 作業クラッチ(脱穀クラッチ)
111A 作業クラッチ(穀粒排出筒張出クラッチ)
111B 作業クラッチ(穀粒排出筒収納クラッチ)
115 作業クラッチ(刈取クラッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(11)の冷却水を冷却するラジエータ(21)と、該ラジエータ(21)の外側に配置した外気濾過用の濾過体(24)と、前記ラジエータ(21)の機体内側に配置した正転駆動状態と非駆動状態とに切換可能な外気吸入用のラジエータファン(26)と、該ラジエータファン(26)の機体内側に配置した逆転駆動状態と非駆動状態とに切換可能な排気用の排塵ファン(27)とを有し、
前記エンジン(11)の出力軸(31A)に軸支された第1出力プーリ(31C)及び第2出力プーリ(31B)をエンジン(11)の機体外側の部位に設け、
前記ラジエータファン(26)と前記排塵ファン(27)の間に、前記ラジエータファン(26)の回転軸(26A)に軸支された第1入力プーリ(62)及び前記排塵ファン(27)の回転軸(27A)に軸支された第2入力プーリ(63)を設け、
前記第1出力プーリ(31C)から前記第1入力プーリ(62)へ伝動する第1ベルト(72)と前記第2出力プーリ(31B)から第2入力プーリ(63)へ伝動する第2ベルト(73)を背反的に緊張または弛緩させる駆動状態切換手段(45)を設けたことを特徴とする作業車輌の原動部構造。
【請求項2】
前記ラジエータファン(26)の回転軸(26A)と前記排塵ファン(27)の回転軸(27A)を別体に構成したことを特徴とする請求項1記載の作業車輌の原動部構造。
【請求項3】
前記ラジエータファン(26)の回転中心を機体側面視で前記ラジエータ(21)の中心部に設け、前記排塵ファン(27)の回転中心を機体側面視で前記濾過体(24C)の中心部に設け、前記ラジエータファン(26)の回転中心と前記排塵ファン(27)の回転中心とをずらして配置したことを特徴とする請求項2記載の作業車輌の原動部構造。
【請求項4】
前記エンジン(11)とラジエータ(21)を循環する冷却水の水温が設定温度よりも高くなったことが温度センサ(83)で検出された場合に前記駆動状態切換手段(45)が切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造。
【請求項5】
機体に備えた穀粒排出筒(8)を駆動する穀粒排出クラッチ(111A,111B)が接続された後に前記駆動状態切換手段(45)が切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造。
【請求項6】
機体に備えた脱穀クラッチ(104)及び刈取クラッチ(115)等の作業クラッチが接続された後に前記駆動状態切換手段(45)が切換作動する構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造。
【請求項7】
機体に備えた脱穀クラッチ(104)及び刈取クラッチ(115)等の作業クラッチが接続された場合に、ラジエータファン(26)を正転駆動状態から非駆動状態へ切り換えると共に排塵ファン(27)を非駆動状態から逆転駆動状態へ切り換える排塵モードを第1設定時間に亘り継続し、該第1設定時間経過後に、ラジエータファン(26)を非駆動状態から正転駆動状態へ切り換えると共に排塵ファン(27)を逆転駆動状態から非駆動状態へ切り換える冷却モードを第2設定時間に亘り継続し、以後、該排塵モードの実行と冷却モードの実行とを背反的に反復して実行するように前記駆動状態切換手段(45)を制御する制御装置(84)を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の作業車輌の原動部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−111468(P2012−111468A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264671(P2010−264671)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】