説明

供給装置

【課題】供給装置に関し、特に、穀物や豆類などの粒物を製粉する製粉機に粒物を供給するために使用するものである。
【解決手段】中空に形成されて粒物を内部に収容するハウジング1の前面に設けられた供給口10と、上記ハウジング1内に横架されて前後方向に回転可能に軸支され外周に起立した複数の棘部20を有する掻出部材2とを有してなり、この掻出部材2を回転することにより、上記棘部20で粒物を上記供給口10から掻き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に、製粉機に穀物や豆類などの粒物を供給する供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、供給装置は、製粉機に穀物や豆類などの粒物(以下「粒物」とする)を製粉する製粉機に粒物を供給するために使用され、単位時間当たりの供給量が一定になるよう設定されている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されるように、従来の供給装置は、相対向して回転する歯付ローラーからなる製粉機の上方に配置され、上方に形成された投入口から下方に形成された供給口にかけて縮径されたロート状のものが知られている。
【0004】
即ち、上記供給口が縮径されてなることにより、粒物の排出量が規制され、単位時間当たりの粒物の供給量を略一定にすることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−273253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的には、上述のように、製粉機の処理速度に合わせて供給装置の供給量が一定となることが好ましい。
【0007】
しかしながら、粒物を粗挽きするような製粉機に従来の供給装置を使用すると、以下のような問題点がある。
【0008】
この粗挽き用の製粉機は、従来の製粉機と同様に相対向して回転する一対の歯付ローラーを備えているが、定量的に粒物が供給されると、粒物に含まれる水分量や製粉条件などにより、粒物が砕かれてなる粉体同士が圧着されてペースト状となり、粉状とならない問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、上記のような製粉機においても、良好な製粉を実現することが可能な供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための手段は、中空に形成されて粒物を内部に収容するハウジングの前面に設けられた供給口と、上記ハウジング内に横架されて前後方向に回転可能に軸支され外周に起立した複数の棘部を有する掻出部材とを有してなり、この掻出部材を回転することにより、上記棘部で粒物を上記供給口から掻き出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、掻出部材を回転すると、掻出部材に設けられた棘部によりハウジング内に収容された粒物が供給口から掻き出され、粒物を散発的に製粉機に供給することができ、これにより、粒物が砕かれてなる粉体同士が圧着されてペースト状となる不具合の発生を防ぎ、良好な製粉を実現することを可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態における供給装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における供給装置の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における供給装置及び製粉機の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を示す供給装置について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態を示す供給装置Aは、中空に形成されて粒物を内部に収容するハウジング1の前面に設けられた供給口10と、上記ハウジング1内に横架されて前後方向に回転可能に軸支され外周に起立した複数の棘部20を有する掻出部材2とを有してなり、この掻出部材2を回転することにより、上記棘部20で粒物を上記供給口10から掻き出す。
【0015】
即ち、ハウジング1内に収容された粒物が棘部20によって掻き出されるため、粒物G(図3)が散発的に排出された状態で製粉機に供給することが可能となり、これにより、粒物Gが砕かれてなる粉体G2(図3)同士が圧着されてペースト状となる不具合の発生を防ぎ、良好な製粉を実現することが可能となる。
【0016】
本発明に係る供給装置Aは、図3に示すように、製粉機Dの上方に配置され、投入口11から供給装置A内に投入された粒物Gを散発的に供給口10から排出し、製粉機Dに供給する。
【0017】
上記製粉機Dは、外周に軸心線に沿う刃(符示せず)が形成される一対の歯付ローラーR1、R2が平行に設けられ、各ローラーR1、R2が相対向して逆方向に回転し、各ローラーR1、R2の対向面の上方から供給された粒物Gを各ローラーR1、R2で挟み込み押し砕いて粉状にし、各ローラーR1、R2の回転により粉状となった粒物G(粉体G2)を下方に落下させる。
【0018】
そして、上記構成を備えることにより、粉体G2には、粒物Gが各ローラーR1、R2の歯によって押し砕かれて、粒径の小さい部分と粒径の大きい部分とを生じ、多様な粒径を有する粉体G2を得ることが可能となり、粒物Gを粗挽きすることができる。
【0019】
尚、製粉機Dの構成はこの限りではなく、いかなる装置に本発明に係る供給装置Aを設置するとしても良い。
【0020】
次に、本発明に係る供給装置Aについて説明する。
【0021】
供給装置Aの外郭をなすハウジング1は、図1、2に示すように、円筒形状に形成されると共に、前面に設けられた供給口10と、天面に設けられた粒物投入用の投入口11と、当該投入口11外周にロート状部材を起立させて形成した投入用ホッパ12とを有してなる。
【0022】
そして、上記ハウジング1内には、ハウジング1の内周に外周を摺接させた円筒形状の内筒3が設けられ、当該内筒3は内部に掻出部材2及び粒物G(図3)を収容すると共に、上記内筒3の円弧面に、上記供給口10と重なる供給側開口30と、上記ハウジング1の投入口11に常に重なる投入側開口31とを有してなる。
【0023】
これにより、内筒3が供給口10の開口量を変更する変更手段の役割を担い、内筒3を回転してハウジング1の供給口10と内筒3の供給側開口30とが重なるラップ量を変更し、粒物G(図3)の排出量を調整する。
【0024】
当該構成を備えることにより、単純且つ安価に粒物の排出量の調整が可能となるが、内筒3をハウジング1の外周に摺接させて設けたり、ハウジング1の供給口10に開度を調節するシャッターを設けたりするなど、別の方法により排出量の調整を行うとしても良い。
【0025】
尚、上記内筒3を回転させるための回動手段は、図示しないが、内筒3の側面部にレバーを取り付けたり、供給側開口30の近傍に取っ手を取り付けたりする等、適宜選択することが可能であり、モータ等によって回転するとしても良い。
【0026】
次に、上記内筒3内に収容される掻出部材2は、ハウジング1内に回転自在に横架された駆動軸4外周に装着される挿通孔2aを軸心部に有する筒状の軸部21と、この軸部21の外周に起立した棘状の複数の棘部20とからなる。
【0027】
この場合、当該各棘部20の横の間隔を粒物Gの粒径よりも大きい巾とすることにより、粒物Gがまとまって排出されることがなく、棘部20と棘部20の間を粒物Gがすり抜けるため、粒物Gを散発的に排出することが可能となる。
【0028】
この排出状態は、各棘部20の横の間隔以外にも、棘部20の密度、径、長さ、材質等により変化するため、排出する粒物Gの粒径や性質に合わせて適宜選択するべきである。
【0029】
そして、図1、3に示すように、駆動軸4と軸部21とが相対回転しないよう、駆動軸4の外周と軸部21の外周にはキー(符示せず)とキー溝(符示せず)を備えている。
【0030】
尚、上記キーとキー溝を設けることにより、相対回転を防ぐと共に着脱が容易であるという利点があるが、この限りではなく、スプライン結合等やその他の方法によって相対回転を防止し、着脱自在とするとしても良い。
【0031】
上記構成を有することにより、上記棘部20の形状や材質、本数等の異なる多様な掻出部材2を予め用意し、掻出部材2を交換して使用することが可能となり、これにより、製粉機Dに供給する粒物Gの種類に適した掻出部材2を使用し、所望の散発的な排出状態を得ることが可能となる。
【0032】
この排出状態は、上記内筒3によって調整される供給口10の開口量や、掻出部材2の回転速度や、掻出部材2の種類、即ち棘部20の本数や材質等によって決定され、上記構成においては多様な供給状態とすることが可能である。
【0033】
尚、上記駆動軸4を回転するための回動手段は、図示しないが、駆動軸4の側部にレバーを取り付けて手動回転したり、モータにより回転したりするなど、適宜手段を選択することが可能である。
【0034】
また、上記実施の形態においては、駆動軸4外周に掻出部材2を装着するとしているがこの限りではなく、駆動軸4を設けずに掻出部材2を直接回転するとしても良い。
【0035】
次に、本発明に係る供給装置の作動について説明する。
【0036】
まず、内筒3を前後方向に回転してハウジング1の供給口10の開口量を調整し、投入用ホッパ12から粒物Gを投入する。
【0037】
この投入された粒物Gは、図3に示すように、ハウジング1の投入口11、及びこの投入口11と重なり合う内筒3の投入側開口31を介して内筒3内に収容される。
【0038】
そして、掻出部材2を前方から後方に向けて(図3中時計回り)回転する。
【0039】
これにより、ハウジング1の供給口10と内筒3の供給側開口30とが重なり合う開口から、掻出部材2の各棘部20で粒物Gを掻き出して散発的に排出する。
【0040】
即ち、内筒3の供給側開口30の下端が、上方に位置すればするほど棘部20によって粒物Gが保持されながら移動する距離が長くなり、内筒3内に零れ落ちる粒物Gの量が増え、結果的に排出量が少なくなる。
【0041】
上記散発的に排出された粒物Gは、製粉機Dの対をなして回転するローラーR1、R2の相対向する位置に落下し、対をなすローラーR1、R2に押し砕かれて粉体G2となる。
【0042】
つまり、粒物Gが散発的に供給されるため、対をなすローラーR1、R2に押し砕かれる際に粒物G同士が重なり合わずに個別に粉砕され、粉体G2が圧着されてペースト状とならず、良好な製粉状態とすることが可能となる。
【0043】
尚、粒物Gの種類によって、良好な製粉状態を実現する排出状態が異なるため、供給口10の開口量や掻出部材2の回転速度及び種類を適宜選択し粒物Gの排出量を調整して、粒物Gの種類に応じた排出状態とすることができる。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態を説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0045】
例えば、上記供給装置Aを用いて、必ずしも散発的に粒物Gを排出する必要はなく、横方向に並ぶ棘部20の間隔を粒物Gの粒径よりも狭くして粒物Gをまとめて排出するとしても良い。
【符号の説明】
【0046】
A 供給装置
D 製粉機
G 粒物
1 ハウジング
2 掻出部材
3 内筒
4 駆動軸
10 供給口
11 投入口
12 投入用ホッパ
20 棘部
30 供給側開口
31 投入側開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空に形成されて粒物を内部に収容するハウジングの前面に設けられた供給口と、上記ハウジング内に横架されて前後方向に回転可能に軸支され外周に起立した複数の棘部を有する掻出部材とを有してなり、この掻出部材を回転することにより、上記棘部で粒物を上記供給口から掻き出すことを特徴とする供給装置。
【請求項2】
上記ハウジング内に横架され回転可能な駆動軸を設け、当該駆動軸外周に上記掻出部材を着脱自在に装着し、上記駆動軸の回転に伴い上記掻出部材が回転することを特徴とする請求項1に記載の供給装置。
【請求項3】
上記ハウジングの天面若しくは背面に粒物投入用の投入口を設け、当該投入口外周に投入用ホッパを形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の供給装置。
【請求項4】
上記供給口の開口量を変更する変更手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の供給装置。
【請求項5】
上記変更手段が、円筒形状の上記ハウジング内周に外周を摺接させた同じく円筒形状の内筒からなり、当該内筒は内部に上記掻出部材及び粒物を収容すると共に、上記内筒の円弧面に上記供給口と重なる供給側開口を有してなり、上記内筒を回転することにより上記供給口と上記供給側開口とが重なるラップ量を変更して粒物の排出量を調整することを特徴とする請求項4に記載の供給装置。
【請求項6】
外周に軸心線に沿う刃が形成される一対の歯付ローラーが平行に設けられ、各ローラーが相対向して逆方向に回転し、各ローラーの対向面の上方から供給された粒物を各ローラーで押し砕いて粉状にし、各ローラーの回転により粉状となった粒物を下方に落下させる製粉機の上方に配置され、上記各ローラーの対向面に向けて粒物を排出することにより上記製粉機に粒物を供給することを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−20800(P2011−20800A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167646(P2009−167646)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】