説明

係合装置

【課題】誤係合の発生を抑制できる係合装置を提供する。
【解決手段】係合装置5は、カム式係合機構6と、噛み合い式係合機構7と、カム式係合機構6の可動カム部材10と、噛み合い式係合機構7のスリーブ21とを連結するフォーク25と、カム式係合機構6が解放状態の際に噛み合い式係合機構7が係合状態となり、かつカム式係合機構6が係合状態の際に噛み合い式係合機構7が解放状態となるように、可動カム部材10及びスリーブ21を同時に動作させ得る単一のアクチュエータ8と、を有しており、スリーブ21及びこれに噛み合うハブ20にはテーパ部が設けられた歯部がそれぞれ設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一のアクチュエータで2つの係合機構を駆動する係合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と2つのモータ・ジェネレータとを備えたハイブリッド車の駆動装置として、第1モータ・ジェネレータをロックするブレーキと、第2モータ・ジェネレータを切り離すクラッチとを有し、車速が比較的高い場合に第1モータ・ジェネレータをロックするとともに第2モータ・ジェネレータを切り離して内燃機関の動力を直接的に駆動輪に伝達するモードに切り替えるものが知られている(特許文献1)。また、モータ・ジェネレータのロックを行う係合機構として、一対のカム部材の相対回転によって生じる軸方向の推力を利用して係合対象への押し付け力を高めるようにしたいわゆるカムクラッチを設けた駆動装置も存在する(特許文献2)。その他、本発明に関連する先行技術文献として特許文献3〜5が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−104072号公報
【特許文献2】特開2010−52517号公報
【特許文献3】特開2005−192284号公報
【特許文献4】特開2005−291439号公報
【特許文献5】特開2008−51142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の駆動装置のブレーキやクラッチ等の係合機構としては、各種の機構を採用することができる。例えば、第1モータ・ジェネレータのロックを特許文献2のカムクラッチで行う場合には、カムクラッチの特性として解放時に限界を超えた角加速度が入力された場合にカム部材間に相対回転が生じて意図しない係合、即ち誤係合が生じるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、誤係合の発生を抑制できる係合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の係合装置は、共通の軸線の回りを相対回転可能に組み合わされた一対のカム部材を有し、前記一対のカム部材が係合対象から離された解放状態と、前記一対のカム部材の相対回転により発生する前記軸線方向の力によって前記一対のカム部材のいずれか一方のカム部材が前記係合対象に押し付けられる係合状態とを、前記一方のカム部材を前記軸線の方向に移動させることにより切り替え可能なカム式係合機構と、一対の噛み合い部材を有し、前記一対の噛み合い部材が互いに噛み合う係合状態と、前記一対の噛み合い部材が互いに離された解放状態とを、前記一対の噛み合い部材のいずれか一方の噛み合い部材を移動させることにより切り替え可能な噛み合い式係合機構と、前記カム式係合機構の前記一方のカム部材と、前記噛み合い式係合機構の前記一方の噛み合い部材とを連結する連結部材と、前記カム式係合機構が前記解放状態の際に前記噛み合い式係合機構が前記係合状態となり、かつ前記カム式係合機構が前記係合状態の際に前記噛み合い式係合機構が前記解放状態となるように、前記連結部材で連結された前記一方のカム部材及び前記一方の噛み合い部材を同時に動作させ得る単一のアクチュエータと、前記噛み合い式係合機構が前記係合状態の場合に前記一対の噛み合い部材の噛み合いが解放され難くなるように前記一対の噛み合い部材の移動に制約を与える解放抑制機構と、を備えるものである(請求項1)。
【0007】
カム式係合機構の特性として非係合状態で限界を超えた角加速度が入力された場合に意図せずにカム部材間の相対回転が起こって誤係合が生じる場合がある。しかし、この係合装置によれば、連結部材によってカム部材と噛み合い部材とが連結され、カム式係合機構が解放状態の際に噛み合い式係合機構が係合状態に駆動され、かつ噛み合い式係合機構が係合状態の場合に解放抑制機構によって噛み合い部材の噛み合いが解放され難くされる。そのため、噛み合い式係合機構の噛み合い部材の噛み合いの解放がされ難くなる結果として、同時にカム式係合機構がカム機構の移動が制約される。つまり、解放抑制機構によって噛み合い式係合機構の解放がされ難くなると同時にカム式係合機構の誤係合の発生を抑制できる。
【0008】
本発明の係合装置の一態様において、前記一対の噛み合い部材は、互いに噛み合う歯部を有し、前記解放抑制機構は、前記一対の噛み合い部材の移動方向に対して傾いたテーパ部を前記歯部が有することによって構成されていてもよい(請求項2)。この態様によれば、歯部に設けられたテーパ部によって噛み合い部材の移動に対して制約が与えられるため、解放状態において噛み合い部材の噛み合いが解放され難くなる。
【0009】
本発明の係合装置の一態様において、前記解放抑制機構として、前記一方の噛み合い部材に形成された凹部と、前記凹部に嵌ることができるロック部材とを有し、前記噛み合い式係合機構が前記係合状態の際に、前記凹部に前記ロック部材が嵌ることにより前記一方の噛み合い部材の移動を制限するロック機構が設けられていてもよい(請求項3)。この態様によれば、ロック機構によって噛み合い部材の移動に対して制約が与えられるため、解放状態において噛み合い部材の噛み合いが解放され難くなる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明の係合装置によれば、連結部材によってカム部材と噛み合い部材とが連結され、カム式係合機構が解放状態の際に噛み合い式係合機構が係合状態に駆動され、かつ噛み合い式係合機構が係合状態の場合に解放抑制機構によって噛み合い部材の噛み合いが解放され難くされるため、解放抑制機構によって噛み合い式係合機構の解放がされ難くなると同時にカム式係合機構の誤係合の発生を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の形態に係る係合装置が適用された駆動装置の要部を概略的に示した図。
【図2】図1の矢印II方向から噛み合い式係合機構を見た状態を模式的に示した説明図。
【図3】カム式係合機構が解放状態から係合状態へ至るまでの係合装置の係合動作を示した図であって、カム式係合機構が解放状態の場合を示した図。
【図4】カム式係合機構が解放状態から係合状態へ至るまでの係合装置の係合動作を示した図であって、カム式係合機構が解放状態から係合状態に至るまでの過渡状態の場合を示した図。
【図5】カム式係合機構が解放状態から係合状態へ至るまでの係合装置の係合動作を示した図であって、カム式係合機構が係合状態の場合を示した図。
【図6】カム式係合機構が係合状態から解放状態へ至るまでの係合装置の解放動作を示した図であって、カム時期係合機構が係合状態から解放状態へ至るまでの過渡状態の場合を示した図。
【図7】カム式係合機構が係合状態から解放状態へ至るまでの係合装置の解放動作を示した図であって、カム式係合機構が解放状態の場合を示した図。
【図8】第2の形態に係る係合装置の全体構成を概略的に示した図。
【図9】図8の矢印IX方向から噛み合い式係合機構を見た状態を模式的に示した説明図。
【図10】第2の形態に係る噛み合い式係合機構が解放状態の場合を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の形態)
図1は本発明の第1の形態に係る係合装置が適用された駆動装置の要部を概略的に示している。駆動装置1はハイブリッド車両用の駆動装置として構成されており、不図示のエンジンの動力が伝達される第1伝達軸2と、第1伝達軸2の軸線Ax1に対して平行に延びる軸線Ax2上に設けられた第2伝達軸3とを備えている。第2伝達軸3は中空状に構成されており、その中空部分には出力軸4が挿入されて第2伝達軸3と同軸に配置されている。第2伝達軸3は不図示のモータ・ジェネレータの動力が伝達される。出力軸4は不図示の駆動輪に動力を伝達するために設けられている。第1伝達軸2と第2伝達軸3との間には係合装置5が設けられている。係合装置5は第1伝達軸2と同軸に設けられたカム式係合機構6と、第2伝達軸3及び出力軸4のそれぞれと同軸に設けられた噛み合い式係合機構7とを備えている。係合装置5はこれらカム式係合機構6と噛み合い式係合機構7とを駆動する単一のアクチュエータ8を更に備えている。アクチュエータ8は不図示の電磁コイルを備えた電磁式アクチュエータである。アクチュエータ8は、電磁コイルへの通電とその停止とを切り替えることにより駆動と非駆動とを切り替えることができる。
【0013】
カム式係合機構6は、共通の軸線Ax1の回りを相対回転可能に組み合わされた一対のカム部材10、11を有している。一方のカム部材である可動カム部材10と他方のカム部材である固定カム部材11との間には介在部材としてのカムボール12が介在している。各カム部材10、11には、互いに対向する位置にカムボール12を保持するためのV字溝13、14が形成されている。各V字溝13、14はカム部材10、11の回転方向(図の上下方向)に関して軸線Ax1方向の深さが徐々に浅くなるように形成されている。可動カム部材10は軸線Ax1の方向へ移動可能に設けられており、図1の解放状態では可動カム部材10が固定カム部材11に近づく方向に付勢手段であるリターンスプリング16によって付勢されている。カム式係合機構6は、可動カム部材10に対向するようにして固定部材であるケース17に取り付けられた摩擦部材18を更に有している。係合対象である摩擦部材18から可動カム部材10が離された図1の解放状態から、可動カム部材10が軸線Ax1方向に移動して摩擦部材18に接触すると、カム部材10、11間の相対回転が許容された状態となる。そして、その相対回転によってカムボール12がV字溝13、14の浅い位置に移動する。これにより、可動カム部材10に軸線Ax1方向の推力が発生して可動カム部材10が摩擦部材18に押し付けられた係合状態に移行する。
【0014】
噛み合い式係合機構7は、第2伝達軸3と出力軸4との間の動力伝達を断続するため、第2伝達軸3と出力軸4との間に介在している。噛み合い式係合機構7は第2伝達軸3に設けられたハブ20と、出力軸4と一体回転可能な状態で軸線Ax2方向に移動可能なスリーブ21とを有している。スリーブ21は出力軸4と一体回転するフランジ24の外周にスプライン結合されることにより出力軸4と一体回転可能かつ軸線Ax2方向に移動可能となっている。これらハブ20及びスリーブ21は一対の噛み合い部材に相当する。図2は図1の矢印II方向から噛み合い式係合機構7を見た状態を模式的に示した説明図である。図2に示したように、ハブ20の外周面及びスリーブ21の内周面のそれぞれには全体として軸線Ax2方向に延びている歯部22、23が設けられている。各歯部22、23は互いに噛み合うことができるように周方向に等間隔で複数個形成されている。これら歯部22、23が噛み合うことにより、第2伝達軸3と出力軸4とが結合されてこれらの間の動力伝達が可能な係合状態となる。そして、一方の噛み合い部材であるスリーブ21が軸線Ax2方向に移動することにより、歯部22、23の噛み合いが解放されてスリーブ21とハブ20とが互いに離された解放状態に移行する。図2に示したように、各歯部22、23には、スリーブ21の移動方向である軸線Ax2方向に対して傾いたテーパ部22a、23aが設けられている。従って、各歯部22、23が噛み合っている際に、テーパ部22a、23aによってスリーブ21の移動が制約を受ける。これにより各歯部22、23の噛み合いが解放され難く、換言すればスリーブ21とハブ20との噛み合いが解放され難くなる。従って、これらテーパ部22a、23aは本発明に係る解放抑制機構として機能する。
【0015】
図1に示したように、係合装置5は、カム式係合機構6の可動カム部材10と、噛み合い式係合機構7のスリーブ21とをアクチュエータ8によって同時に駆動するため、可動カム部材10とスリーブ21とを連結する連結部材としてのフォーク25を更に備えている。アクチュエータ8の駆動力はフォーク25を通じて可動カム部材10及びスリーブ21のそれぞれに伝達されるようになっている。
【0016】
図3〜図7は係合装置5の動作を説明する説明図である。図3〜図5はカム式係合機構が解放状態から係合状態へ至るまでの係合装置の係合動作を示しており、図3はカム式係合機構が解放状態の場合を、図4はカム式係合機構が係合状態に至るまでの過渡状態の場合を、図5はカム式係合機構が係合状態の場合をそれぞれ示している。
【0017】
図3の状態では、アクチュエータ8への通電が停止されているため、カム式係合機構6は各カム部材10、11が第1伝達軸2と矢印方向に一体回転する。一方、噛み合い式係合機構7はスリーブ21とハブ20とが噛み合った係合状態となっている。噛み合い式係合機構7は図2に示したように歯部22、23に形成されたテーパ部22a、23aによって噛み合いが解放され難い状態に保持されていて、これによってリターンスプリング16の作用を補っている。従って、カム式係合機構6の誤係合の発生が抑制された状態に保持される。図4の状態では、アクチュエータ8への通電が開始され、可動カム部材10が軸線Ax1方向に移動して摩擦部材18に接触する。そのため、カム部材10、11間の軸線Ax1方向の間隔が広がって相対回転が許容された状態、即ち回転方向へのガタが生じた状態となる。一方、噛み合い式係合機構7はアクチュエータ8によってスリーブ21が移動して噛み合いが解放されて解放状態となる。そして、図5の状態では、カム部材10、11間の相対回転によって可動カム部材10を摩擦部材18に押し付ける推力が発生し、アクチュエータ8への通電によって可動カム部材10と摩擦部材18との間に生じる摩擦力を補うことができる。また、アクチュエータ8へ通電する電力量を調整することで、いわゆるトルク容量を可変にすることができる。トルク容量次第で第1伝達軸2の回転数が低減する。もっとも、カム式係合機構6をセルフロック式としてトルク容量不変にすることもできる。
【0018】
図6及び図7はカム式係合機構が係合状態から解放状態へ至るまでの係合装置の解放動作を示しており、図6はカム式係合機構が係合状態から解放状態へ至るまでの過渡状態の場合を、図7はカム式係合機構が解放状態の場合をそれぞれ示している。図6の状態では、アクチュエータ8への通電の停止が開始されてトルク容量が減少し、そのトルク容量次第で第1伝達軸2の回転数が上昇する。一方、噛み合い式係合機構7は解放状態に維持されている。そして、図7の状態ではアクチュエータ8への通電が停止されることで、リターンスプリング16の弾性力によって可動カム部材10が摩擦部材18から離されて解放状態に移行する。同時に、噛み合い式係合機構7はスリーブ21がハブ20に接近するように移動して、スリーブ21とハブ20とが噛み合って係合状態に移行する。
【0019】
このように、係合装置5は、単一のアクチュエータ8によって2つの係合機構であるカム式係合機構6及び噛み合い式係合機構7を動作させることができる。そして、カム式係合機構6が解放状態の際に噛み合い式係合機構7が係合状態で、かつ噛み合いが解放し難くなっているため、カム式係合機構6の誤係合の発生が抑制される。
【0020】
(第2の形態)
次に、図8及び図9を参照しながら本発明の第2の形態を説明する。図8は第2の形態に係る係合装置の全体構成を概略的に示している。係合装置30は第1の形態と同様に駆動装置1に適用される。係合装置30はカム式係合機構31、噛み合い式係合機構32、及びこれらの係合機構31、32を駆動するための電磁式のアクチュエータ33を備えている。カム式係合機構31の基本的な構成は第1の形態に係るカム式係合機構6と同様であるが、各部材の配置等が若干異なっている。カム式係合機構31はリターンスプリング34が可動カム部材35の内周側に、つまり軸線Ax1に近い側に配置され、アクチュエータ33が可動カム部材35の外周側に、つまり軸線Ax1から遠い側に配置されている。一対のカム部材である可動カム部材35と固定カム部材36との間にはカムボール37が介在しており、各カム部材35、36にはカムボール37を保持するV字溝39、40が形成されている。固定カム部材36の外径は可動カム部材35の外径よりも小さい。係合対象である摩擦部材38はアクチュエータ33のハウジングを兼ねており、可動カム部材35に対向するようにしてケース17に固定されている。
【0021】
噛み合い式係合機構32は、軸線Ax2の方向に移動可能かつ出力軸4と一体回転可能な第1噛み合い部材41と、第2伝達軸3と一体回転可能な第2噛み合い部材42とを有している。図9は図8の矢印IX方向から噛み合い式係合機構32を見た状態を模式的に示した説明図である。図8及び図9から明らかなように、第1噛み合い部材41の外周面及び第2噛み合い部材42の内周面のそれぞれには歯部43、44が形成されている。これらの歯部43、44は第1の形態と同様にテーパ部43a、44aを有している。なお、第2の形態においては、テーパ部を持たない形態、即ち歯部43、44を側面を傾けずに軸線Ax2と平行にした形態へ変更することも可能である。
【0022】
図9に示したように、噛み合い式係合機構32には、係合状態の際に第1噛み合い部材41と第2噛み合い部材42との噛み合いが解放され難くするため、ロック機構45が設けられている。ロック機構45は、第1噛み合い部材41に形成された凹部46と、スプリング47を介してフランジ24(図1参照)に取り付けられるとともに凹部46に嵌ることができるロック部材としてのロックボール48とを有している。図10は噛み合い式係合機構32が解放状態の場合を示した図である。図9及び図10から明らかなように、ロック機構45によって第1噛み合い部材41の移動が制約されるのは係合状態の場合に限られている。係合状態の場合に加えて解放状態の場合にも第1噛み合い部材41の移動を制約すると、カム式係合機構31の操作例えばトルク容量制御等に悪影響を及ぼす可能性があるためである。
【0023】
アクチュエータ33に操作によって切り替えられるカム式係合機構31及び噛み合い式係合機構32の各状態は第1の形態と同じである。即ち、係合装置30は、カム式係合機構31が解放状態の際に噛み合い式係合機構32が係合状態とされ、かつ噛み合い式係合機構31が係合状態の際に噛み合い式係合機構32が解放状態とされるように状態が切り替えられる。噛み合い式係合機構32が係合状態の場合にロック機構45によって第1噛み合い部材41の移動が制約されると同時に、それによってカム式係合機構31が解放状態に保持されるためカム式係合機構31の誤係合の発生を抑制できる。従って、ロック機構45は本発明に係る解放抑制機構として機能する。
【0024】
本発明は以上の各形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内において種々の形態にて実施できる。本発明の係合装置の適用対象はハイブリッド車両用の駆動装置に限らず、動力伝達経路を切り替えるポイントが2つ以上ある装置に本発明の係合装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
5、30 係合装置
6、31 カム式係合機構
7、32 噛み合い式係合機構
10、35 可動カム部材(カム部材)
11、36 固定カム部材(カム部材)
18、38 摩擦部材(係合対象)
20 ハブ(噛み合い部材)
21 スリーブ(噛み合い部材)
22、23 歯部
22a、23a テーパ部
41 第1噛み合い部材
42 第2噛み合い部材
43、44 歯部
43a、44a テーパ部
45 ロック機構
46 凹部
48 ロックボール(ロック部材)
Ax1、Ax2 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通の軸線の回りを相対回転可能に組み合わされた一対のカム部材を有し、前記一対のカム部材が係合対象から離された解放状態と、前記一対のカム部材の相対回転により発生する前記軸線方向の力によって前記一対のカム部材のいずれか一方のカム部材が前記係合対象に押し付けられる係合状態とを、前記一方のカム部材を前記軸線の方向に移動させることにより切り替え可能なカム式係合機構と、
一対の噛み合い部材を有し、前記一対の噛み合い部材が互いに噛み合う係合状態と、前記一対の噛み合い部材が互いに離された解放状態とを、前記一対の噛み合い部材のいずれか一方の噛み合い部材を移動させることにより切り替え可能な噛み合い式係合機構と、
前記カム式係合機構の前記一方のカム部材と、前記噛み合い式係合機構の前記一方の噛み合い部材とを連結する連結部材と、
前記カム式係合機構が前記解放状態の際に前記噛み合い式係合機構が前記係合状態となり、かつ前記カム式係合機構が前記係合状態の際に前記噛み合い式係合機構が前記解放状態となるように、前記連結部材で連結された前記一方のカム部材及び前記一方の噛み合い部材を同時に動作させ得る単一のアクチュエータと、
前記噛み合い式係合機構が前記係合状態の場合に前記一対の噛み合い部材の噛み合いが解放され難くなるように前記一対の噛み合い部材の移動に制約を与える解放抑制機構と、
を備える係合装置。
【請求項2】
前記一対の噛み合い部材は、互いに噛み合う歯部を有し、
前記解放抑制機構は、前記一対の噛み合い部材の移動方向に対して傾いたテーパ部を前記歯部が有することによって構成されている請求項1に記載の係合装置。
【請求項3】
前記解放抑制機構として、前記一方の噛み合い部材に形成された凹部と、前記凹部に嵌ることができるロック部材とを有し、前記噛み合い式係合機構が前記係合状態の際に、前記凹部に前記ロック部材が嵌ることにより前記一方の噛み合い部材の移動を制限するロック機構が設けられている請求項1に記載の係合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−112500(P2012−112500A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263997(P2010−263997)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】