説明

保持シール材、及び、排ガス浄化装置

【課題】高い耐風蝕性を発揮することができるとともに、保持特性が高く、安価な保持シール材を提供すること。
【解決手段】マット状の保持シール材10であって、主にアルミナを含む第一の無機繊維11aと、主にシリカを含む第二の無機繊維11bとが混在してなり、保持シール材の全体に占める第一の無機繊維の混合割合が、25〜75重量%であり、第一主面の表面領域には、第二の表面領域に比べて、重量比で、第一の無機繊維がより多く存在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持シール材、及び、排ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、パティキュレートマター(以下、PMともいう)が含まれており、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、CO、HC又はNOx等の有害なガス成分が含まれており、この有害なガス成分が環境や人体に害を及ぼすことについても問題となっている。
【0003】
そこで、内燃機関と連結されることにより排ガス中のPMを捕集したり、排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の有害なガス成分を浄化したりする排ガス浄化装置として、コージェライトや炭化ケイ素等の多孔質セラミックからなる排気ガス処理体と、排気ガス処理体が内部に配設されるケーシングと、排気ガス処理体とケーシングとの間に配設される保持シール材とからなる排ガス浄化装置が種々提案されている。
これらの保持シール材は、主に無機繊維からなり、該無機繊維の有する弾性によって排気ガス処理体を保持することにより、排ガスの圧力による排気ガス処理体の脱落を防止する。
【0004】
ここで、近年、内燃機関については、燃費の向上を目的として理論空燃比に近い条件で運転するため、排ガスの温度が高温化する傾向にある。特に、内燃機関を高回転域で作動させた場合には、内燃機関から排出された直後の排ガスの温度が1000℃程度の高温になることがある。そのため、排ガス浄化装置に到達した高温の排ガスにより、排ガス浄化装置も高温になることがある。
従って、上述した排ガス浄化装置を構成する保持シール材としては、1000℃程度の高温条件下であっても溶損等によって破損しないことが求められる。
【0005】
これまでに、高温条件下での使用を目的とした保持シール材としては、主にアルミナを含む無機繊維(以下、単にアルミナ繊維ともいう)を用いた保持シール材が提案されている。
一般的に、アルミナ繊維は、無機繊維の中でも比較的耐熱性が高く、耐風蝕性が高いものの、弾性が低い。そのため、アルミナ繊維のみからなる保持シール材は、排気ガス処理体を保持する特性(以下、単に保持特性ともいう)が低い。従って、アルミナ繊維のみからなる保持シール材に高い保持特性を付与するには、多量のアルミナ繊維を用いる必要がある。
ここで、アルミナ繊維は、無機繊維の中でも比較的高価である。そのため、多量のアルミナ繊維を用いる保持シール材では、保持シール材自体が高価になり、ひいてはこれを用いた排ガス浄化装置が高価になるという問題がある。
【0006】
このような問題に対しては、例えば、熱処理した主にシリカを含む無機繊維(以下、単にシリカ繊維ともいう)からなる保持シール材が提案されている(特許文献1)。
また、アルミナ繊維からなる層と、主にアルミナとシリカとを含む無機繊維(以下、単にセラミック繊維ともいう)からなる層との二層の無機繊維層からなる保持シール材が提案されている(特許文献2)。
【0007】
【特許文献1】特表2006−501402号公報
【特許文献2】特開2004−204819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の保持シール材は、無機繊維の中では比較的安価なシリカ繊維を熱処理することによって弾性を高めたシリカ繊維からなる。そのため、保持シール材を構成するシリカ繊維が少量でも高い保持特性を発揮することができるとされている。また、安価な保持シール材及び排ガス浄化装置とすることができるとされている。
しかしながら、特許文献1に記載の保持シール材を排ガス浄化装置として用いた場合には、保持特性が高いとされているにもかかわらず、排気ガス処理体が脱落することがあった。
【0009】
本発明者らが特許文献1に記載の保持シール材について検討した結果、シリカ繊維は、無機繊維の中では比較的弾性が高いものの、耐風蝕性が低いことが分かった。
そのため、シリカ繊維のみからなる特許文献1に記載の保持シール材では、排ガスの流動に伴って保持シール材に風蝕が発生しやすく、保持特性が低下してしまうと考えられた。そして、このことが、特許文献1に記載の保持シール材を排ガス浄化装置に用いた場合に、排気ガス処理体が脱落する原因であると考えられた。
【0010】
特許文献2に記載の保持シール材は、アルミナ繊維からなる層と、セラミック繊維からなる層との二層の無機繊維層から形成されており、アルミナ繊維のみからなる保持シール材と同様に耐風蝕性を有するとされている。
しかしながら、本発明者らが特許文献2に記載の保持シール材について検討した結果、セラミック繊維はシリカ繊維等と比べて比較的弾性が低く、保持シール材の保持特性が充分に高いとはいえないことが分かった。そのため、特許文献2に記載の保持シール材に高い保持特性を付与するには、アルミナ繊維のみからなる保持シール材と同様、多量のアルミナ繊維及びセラミック繊維を用いる必要があり、保持シール材及び排ガス浄化装置が高価になると考えられた。
即ち、特許文献2に記載の保持シール材については、従来の保持シール材と同様、高い保持特性を発揮しつつ、安価な保持シール材とするという面において充分であるとはいえなかった。
【0011】
本発明は、上記検討結果を踏まえてなされたものであり、高い耐風蝕性を発揮することができるとともに、保持特性が高く、安価な保持シール材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための請求項1に記載の保持シール材は、マット状の保持シール材であって、上記保持シール材は、主にアルミナを含む第一の無機繊維と、主にシリカを含む第二の無機繊維とが混在してなることを特徴とする。
なお、本明細書において、主にアルミナを含む第一の無機繊維とは、アルミナを60重量%以上、好ましくは、70重量%以上含む無機繊維のことをいうこととする。また、主にシリカを含む第二の無機繊維とは、シリカを67重量%以上、好ましくは、90重量%以上含む無機繊維のことをいうこととする。
なお、第一の無機繊維及び第二の無機繊維には、アルミナ又はシリカ以外に、例えば、MgO、CaO等のアルカリ土類金属酸化物、ZrO、Cr等の金属酸化物等が含まれていてもよい。
【0013】
このような構成を有する請求項1に記載の保持シール材では、従来の保持シール材で達成し得ない高い耐風蝕性を発揮することができるとともに、保持特性が高く、安価な保持シール材とすることができる。
【0014】
これについて、図面を用いて以下に説明する。
図1は、請求項1に記載の保持シール材を厚さ方向に沿って切断したときの断面を模式的に示す一部断面斜視図である。
【0015】
図1に示す請求項1に記載の保持シール材10の形状は、平面視略矩形で所定の厚さを有する平板状である。マット材10のその他の構成に関しては、後述する第一実施形態の記載で説明することとして、以下、請求項1のマット材10の内部の構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、請求項1に記載のマット材10は、主に第一の無機繊維(アルミナ繊維)11aと第二の無機繊維(シリカ繊維)11bとから構成されている。そして、マット材10全体に渡って、第一の無機繊維11aと第二の無機繊維11bとが複雑に絡み合っている。
このように、請求項1に記載の保持シール材10は、第一の無機繊維11aと第二の無機繊維11bとが混在してなる保持シール材である。
【0017】
ここで、一般的に、アルミナ繊維は、シリカ繊維に比べて耐風蝕性が高いものの、弾性が低い。また、シリカ繊維は、アルミナ繊維に比べて弾性が高いものの、耐風蝕性が低い。
そのため、保持シール材を単にアルミナ繊維のみからなる層とシリカ繊維のみからなる層とから形成したとしても、アルミナ繊維のみからなる層の弾性が低く、また、シリカ繊維のみからなる層の耐風蝕性が低いため、保持シール材全体の耐風蝕性及び保持特性が低くなると考えられる。
【0018】
しかしながら、請求項1に記載の保持シール材10は、上述したように第一の無機繊維11aと第二の無機繊維11bとが混在してなる保持シール材である。
そのため、第二の無機繊維11bのみでは耐風蝕性が低下するところを耐風蝕性の高い第一の無機繊維11aが混在して耐風蝕性を補完することにより、保持シール材10全体の耐風蝕性が高くなっている。
従って、請求項1に記載の保持シール材では、高い耐風蝕性を発揮することができる。
【0019】
また、第一の無機繊維11aのみでは弾性が低下するところを弾性の高い第二の無機繊維11bが混在して弾性を補完している。そのため、従来の保持シール材では、保持シール材に高い保持特性を付与するために多量の無機繊維が必要とされるのに比べて、請求項1に記載の保持シール材10では、第一の無機繊維11a及び第二の無機繊維11bを多量に用いずとも高い保持特性を発揮することができる。さらには、保持シール材10に高い保持特性を付与するために第一の無機繊維11a及び第二の無機繊維11bを多量に用いる必要がないので、安価な保持シール材10とすることができる。
【0020】
請求項2に記載の保持シール材は、請求項1に記載の保持シール材において、上記第一の無機繊維の上記第一の無機繊維及び上記第二の無機繊維の合計に対する割合が、25〜75重量%である。
【0021】
請求項2に記載の保持シール材によると、上記第一の無機繊維の上記第一の無機繊維及び上記第二の無機繊維の合計に対する割合が上記範囲となっているので、本発明の効果を享受するのに特に適している。
これに対して、上記第一の無機繊維の割合が75重量%を超える場合には、上記範囲を満たす保持シール材に比べて、耐風蝕性の高い上記第一の無機繊維が多くなるので、上記保持シール材全体の耐風蝕性を確保することができるものの、弾性の高い上記第二の無機繊維が少なくなるので、保持シール材全体の保持特性が低くなることがある。
一方、上記第一の無機繊維の割合が25重量%未満である場合には、上記範囲を満たす保持シール材に比べて、弾性の高い上記第二の無機繊維が多くなるので、上記保持シール材全体の弾性を確保することができるものの、耐風蝕性の高い上記第一の無機繊維が少なくなるので、保持シール材全体の耐風蝕性が低くなることがある。
【0022】
請求項3に記載の保持シール材は、請求項1又は2に記載の保持シール材において、第一主面の表面領域には、第二主面の表面領域に比べて、重量比で、上記第一の無機繊維がより多く存在している。
なお、本明細書において、表面領域とは、保持シール材の第一主面(第二主面)から保持シール材の厚さの50%までの領域をいうこととする。
【0023】
請求項3に記載の保持シール材は、第二主面の表面領域に比べて上記第一の無機繊維(アルミナ繊維)がより多く含まれた第一主面の表面領域を有している。
このような請求項3に記載の保持シール材においては、概してアルミナ繊維の耐熱温度がシリカ繊維よりも高いため、第一主面の表面領域が第二主面の表面領域に比べて耐熱性に優れている。
従って、請求項3に記載の保持シール材を排ガス浄化装置に用いる場合には、第一主面を排ガスの流入によって高温になる排気ガス処理体側に配設することで、保持シール材の溶損等の破損を防止することができる。
【0024】
請求項4に記載の排ガス浄化装置は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状の排気ガス処理体と、上記排気ガス処理体を収容するケーシングと、上記排気ガス処理体と上記ケーシングとの間に配設され、上記排気ガス処理体を保持する保持シール材とからなる排ガス浄化装置であって、上記保持シール材は、請求項1〜3のいずれかに記載の保持シール材であることを特徴とする。
【0025】
請求項4に記載の排ガス浄化装置では、高い耐風蝕性を発揮することができるとともに、従来の保持シール材に比べて、上記第一の無機繊維及び上記第二の無機繊維を多量に用いずとも高い保持特性を発揮することができる保持シール材が上記排気ガス処理体と上記ケーシングとの間に配設されている。
そのため、請求項4に記載の排ガス浄化装置では、上記保持シール材に風蝕が発生しにくい。
従って、請求項4に記載の排ガス浄化装置では、上記排気ガス処理体の脱落を防止することができる。また、上記第一の無機繊維及び上記第二の無機繊維を多量に用いずとも高い保持特性を発揮することができる保持シール材が配設されているので、安価な排ガス浄化装置とすることができる。
【0026】
請求項5に記載の排ガス浄化装置は、請求項4に記載の排ガス浄化装置において、上記保持シール材が請求項3に記載の保持シール材であり、上記第一主面が上記排気ガス処理体側に配設されている。
【0027】
請求項5に記載の排ガス浄化装置では、上記第二主面の表面領域に比べて耐熱性に優れた上記第一主面の表面領域を有する請求項3に記載の保持シール材が上記排気ガス処理体と上記ケーシングとの間に配設されており、上記保持シール材の上記第一主面が排ガスの流入によって高温になる上記排気ガス処理体側に配設されている。
従って、請求項5に記載の排ガス浄化装置では、上記保持シール材の溶損等の破損を防止することができる。
【0028】
請求項6に記載の排ガス浄化装置は、請求項4又は5に記載の排ガス浄化装置において、上記排気ガス処理体が、上記排気ガス処理体の各々のセルにおける端部のいずれか一方が目封じされたハニカムフィルタである。
請求項6に記載の排ガス浄化装置では、排ガス流入側が開口したセルに流入した排ガスがセル壁を通過することによりPMが捕集された後に、排ガス流出側が開口した別のセルから流出することになる。
従って、請求項6に記載の排ガス浄化装置では、排ガス中のPMを除去することができる。
【0029】
請求項7に記載の排ガス浄化装置は、請求項4〜6のいずれかに記載の排ガス浄化装置において、上記排気ガス処理体に触媒が担持されている。
請求項7に記載の排ガス浄化装置では、上記触媒と排ガスに含まれるCO、HC又はNOx等の有害なガス成分とを接触させることによって、排ガスに含まれる有害なガス成分を浄化することができる。
また、上記排気ガス処理体が請求項6に記載のハニカムフィルタである場合には、上記ハニカムフィルタに捕集されたPMと上記触媒とを接触させることによって、PMの燃焼に必要な活性化エネルギーを低下させることができる。そのため、捕集されたPMをより低温で燃焼させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第一実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0031】
まず、本実施形態の保持シール材の構成について説明する。
図2は、本実施形態の保持シール材を模式的に示す斜視図である。
【0032】
本実施形態の保持シール材は、主にアルミナを含む第一の無機繊維と主にシリカを含む第二の無機繊維からなり、図2に示すように、その形状は、所定の長さ(図2中、矢印Lで示す)、幅(図2中、矢印Wで示す)及び厚さ(図2中、矢印Tで示す)を有する平面視略矩形の平板状である。
また、保持シール材10の幅方向に平行な端面13a、13bのうち、一方の端面13aには、凸部14aが形成されており、他方の端面13bには、保持シール材10を丸めて端面13aと端面13bとを当接させた際に凸部14aと嵌合する形状の凹部14bが形成されている。
【0033】
このような構成を有する本実施形態の保持シール材10の内部では、請求項1に記載の保持シール材と同様に、第一の無機繊維と第二の無機繊維とが複雑に絡み合っている。
即ち、本実施形態の保持シール材10は、第一の無機繊維と第二の無機繊維とが混在してなるものである。
なお、第一の無機繊維と第二の無機繊維とは、有機バインダ及び無機バインダを介して互いに固着されており、保持シール材10の形状が保持されている。保持シール材10が排ガス浄化装置として用いられた際には、揮発したり、燃焼したりすることにより有機バインダが外部に排出されることになるものの、無機バインダが第一の無機繊維と第二の無機繊維とを固着することにより、保持シール材の形状が保持されることになる。
【0034】
次に、本実施形態の保持シール材を用いた本実施形態の排ガス浄化装置の構成について図3(a)及び図3(b)を用いて説明する。
図3(a)は、本実施形態の排ガス浄化装置を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示した排ガス浄化装置のA−A線断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、排ガス浄化装置20は、多数のセル31がセル壁32を隔てて長手方向に並設された柱状の排気ガス処理体30と、排気ガス処理体30を収容するケーシング40と、排気ガス処理体30とケーシング40との間に配設され、排気ガス処理体30を保持する保持シール材10とから構成されている。
ケーシング40の端部には、必要に応じて、内燃機関から排出された排ガスを導入する導入管と排ガス浄化装置を通過した排ガスが外部に排出される排出管とが接続されることになる。
なお、本実施形態の排ガス浄化装置20では、図3(b)に示すように、排気ガス処理体30として、各々のセルにおけるいずれか一方が封止材33によって目封じされたハニカムフィルタを用いている。
【0035】
上述した構成を有する排ガス浄化装置40を排ガスが通過する場合について図3(b)を用いて以下に説明する。
図3(b)に示したように、内燃機関から排出され、排ガス浄化装置20に流入した排ガス(図3(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、ハニカムフィルタ30の排ガス流入側端面30aに開口した一のセル31に流入し、セル31を隔てるセル壁32を通過する。この際、排ガス中のPMがセル壁32で捕集され、排ガスが浄化されることとなる。浄化された排ガスは、排ガス流出側端面30bに開口した他のセル31から流出し、外部に排出される。
【0036】
次に、排ガス浄化装置20を構成するハニカムフィルタ及びケーシングについて図4(a)、図4(b)を用いて説明する。
なお、保持シール材の構成については、既に述べているので省略する。
図4(a)は、第一実施形態の排ガス浄化装置を構成するハニカムフィルタを模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、第一実施形態の排ガス浄化装置を構成するケーシングを模式的に示す斜視図である。
【0037】
図4(a)に示すように、ハニカムフィルタ30は、主に多孔質セラミックからなり、その形状は円柱状である。また、ハニカムフィルタ30の外周には、ハニカムフィルタ30の外周部を補強したり、形状を整えたり、ハニカムフィルタ30の断熱性を向上させたりする目的で、シール材層34が設けられている。
このようなハニカムフィルタ30の内部の構成については、上述した本実施形態の排ガス浄化装置の説明で既に述べたとおりである(図3(b)参照)。
なお、ハニカムフィルタ30としては、コージェライト等からなり、図4(a)に示したように一体的に形成されたものであってもよい。また、炭化ケイ素等からなり、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状のハニカム焼成体を主にセラミックを含む接着材層を介して複数個結束してなるものであってもよい。
【0038】
ケーシング40について説明する。図4(b)に示すケーシング40は、主にステンレス等の金属からなり、その形状は、円筒状である。また、その内径は、ハニカムフィルタ30の端面の直径とハニカムフィルタ30に巻付けられた状態の保持シール材10の厚さとを合わせた長さより若干短くなっており、その長さは、ハニカムフィルタ30の長手方向における長さと略同一となっている。
【0039】
以下、本実施形態の保持シール材及び排ガス浄化装置を製造する方法について説明する。
まず、保持シール材の製造方法について説明する。
【0040】
1.保持シール材の製造
以下の手順により保持シール材を製造する。
(1−1)混合液調製工程
アルミナ繊維と、シリカ繊維と、有機バインダと、無機バインダと、水とを原料液中の無機繊維(アルミナ繊維及びシリカ繊維)の含有量が所定の値となるように混合し、攪拌機で攪拌することで混合液を調製する。
【0041】
(1−2)抄造工程
次に、底面にろ過用のメッシュが形成された成形槽に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水をメッシュを介して脱水することによりマット前駆体を作製する。
【0042】
(1−3)加熱圧縮工程
マット前駆体を所定の条件で加熱圧縮して所定の嵩密度を有するマット体を作製する。この工程を経ることにより、アルミナ繊維及びシリカ繊維が、有機バインダ及び無機バインダを介して互いに固着され、マット体の形状が保持されることになる。
なお、本明細書において、嵩密度とは、マット体を600℃で1時間強熱し、有機バインダを除去した後のマット体の重量を体積で除して得られる値を示すものとする。
【0043】
(1−4)切断工程
マット体を切断して所定の大きさを有する保持シール材を製造する。この際、保持シール材の端面のうち、一方の端面の一部に凸部が形成され、他方の端面の一部に凸部と嵌合する形状の凹部が形成されるようにして切断する。
【0044】
2.排ガス浄化装置の製造
以下に排ガス浄化装置を製造する手順について、図面を用いて説明する。
図5は、本実施形態の排ガス浄化装置を構成する保持シール材、排気ガス処理体及びケーシングを用いて排ガス浄化装置を製造する様子を模式的に説明する斜視図である。
【0045】
(2−1)圧入工程
従来公知の方法により作製した円柱形状のハニカムフィルタ30の外周に上記工程(1−4)で得られた保持シール材10を凸部14aと凹部14bとが嵌合するようにして巻き付ける。そして、図5に示したように、保持シール材10を巻き付けたハニカムフィルタ30を所定の大きさを有する円筒状であって、主に金属等からなるケーシング40に圧入することで排ガス浄化装置を製造する。
【0046】
以下に、本実施形態の保持シール材及び排ガス浄化装置の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態の保持シール材は、第一の無機繊維と第二の無機繊維とが混在してなる。
そのため、第二の無機繊維のみでは耐風蝕性が低下するところを耐風蝕性の高い第一の無機繊維が混在して耐風蝕性を補完することにより、保持シール材全体の耐風蝕性が高くなっている。
また、第一の無機繊維のみでは弾性が低下するところを弾性の高い第二の無機繊維が混在して弾性を補完している。そのため、従来の保持シール材と比べて、第一の無機繊維及び第二の無機繊維を多量に用いずとも高い保持特性を発揮することができる。さらには、保持シール材に高い保持特性を付与するために第一の無機繊維及び第二の無機繊維を多量に用いる必要がないので、安価な保持シール材とすることができる。
このように、本実施形態の保持シール材では、高い耐風蝕性を発揮することができるとともに、保持特性が高く、安価な保持シール材とすることができる。
【0047】
(2)また、本実施形態の保持シール材は、第一の無機繊維と第二の無機繊維とが混在して形成されているのであれば、第一の無機繊維と第二の無機繊維との割合は、特に限定されないが、第一の無機繊維の第一の無機繊維及び第二の無機繊維の合計に対する割合が25〜75重量%であると、上述した(1)の効果を好適に享受することができる。
これは、第一の無機繊維の割合が75重量%を超えると、弾性の高い第二の無機繊維が少なくなり、保持特性が低くなることがあるためである。また、第一の無機繊維の割合が25重量%未満であると、耐風蝕性の高い第一の無機繊維が少なくなり、保持シール材の耐風蝕性が低くなることがあるためである。
【0048】
(3)本実施形態の排ガス浄化装置では、耐風蝕性が高いとともに、従来の保持シール材と比べて、上記第一の無機繊維及び上記第二の無機繊維を多量に用いずとも高い保持特性を発揮することができる本実施形態の保持シール材が排気ガス処理体とケーシングとの間に配設されている。
そのため、本実施形態の排ガス浄化装置では、保持シール材に風蝕が発生しにくい。従って、本実施形態の排ガス浄化装置では、排気ガス処理体の脱落を防止することができる。
また、安価な排ガス浄化装置とすることができる。
【0049】
(4)本実施形態の排ガス浄化装置では、排ガス浄化装置を構成する排気ガス処理体が、排気ガス処理体の各々のセルにおける端部のいずれか一方が目封じされたハニカムフィルタである。
従って、本実施形態の排ガス浄化装置では、排ガス中のPMを除去することができる。
【0050】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0051】
(実施例1)
保持シール材の製造
以下の手順により保持シール材を製造した。
(1)混合液調製工程
アルミナ:シリカ=72:28(重量比)の組成を有するアルミナ繊維(三菱化学産資(株)製 マフテック)を297gと、アルミナ:シリカ=5:95(重量比)の組成を有する熱処理したシリカ繊維を297gと、アクリル系ラテックスを36gと、アルミナゾルを4.8gと、水とを原料液中の無機繊維(アルミナ繊維及びシリカ繊維)の含有量が0.5wt%となるように混合し、攪拌機で60秒間攪拌することで混合液を調製した。
【0052】
(2)抄造工程
次に、底面にろ過用のメッシュが形成された成形槽(長さ930mm×幅515mm×深さ400mm)に混合液を流し込んだ後に、混合液中の水をメッシュを介して脱水することによりマット前駆体を作製した。
【0053】
(3)加熱圧縮工程
さらに、マット前駆体を120℃、30分間加熱圧縮して、嵩密度0.19g/cmのマット体を作製した。
【0054】
(4)切断工程
マット体を切断して、長さ310mm×幅110mm×厚さ6.5mmであって、端面のうち、一方の端面の一部に凸部が形成されており、他方の端面の一部に凸部と嵌合する形状の凹部が形成された保持シール材を製造した。
得られた保持シール材は、アルミナ繊維とシリカ繊維とが混在することにより形成されていた。また、アルミナ繊維のアルミナ繊維及びシリカ繊維の合計に対する割合が、50重量%となっていた。
【0055】
(耐風蝕性試験)
耐風蝕性試験に用いた風蝕性測定装置について説明する。
風蝕性測定装置は、上下方向から耐風蝕性試験用サンプルを挟み込むことにより、サンプルを所定の圧縮密度で保持することのできる上板部材及び下板部材と、外部から供給される空気を連続的に所定の風圧でサンプルの側面に吹きつけるように調整可能なエアノズルとから構成されている。なお、本明細書において、圧縮密度とは、圧縮後のサンプルの嵩密度を圧縮前のサンプルの嵩密度を用いて算出した計算値を示すものとする。例えば、見かけの体積が半分となるようにサンプルを圧縮すると、圧縮密度は、圧縮前のサンプルの嵩密度の二倍となる。
【0056】
耐風蝕性試験は、以下の手順で行った。
まず、実施例1で製造した保持シール材を25mm角に切断して耐風蝕性試験サンプルとした。
次に、サンプルの両表面が上板部材及び下板部材に接するようにして、上板部材と下板部材とでサンプルを挟み込んで保持した。この時、サンプルの圧縮密度が0.3g/cmとなるように調整した。さらに、サンプルの側面からエアノズルの先端までの距離が3.6mmとなるようにエアノズルの位置を調整した。この状態で、空気を風圧135kPaの条件で連続して3時間吹きつけることによりサンプルを風蝕させた。なお、この操作は、700℃の温度条件下で行った。
風蝕されたサンプルの側面に形成された孔について、サンプルの表面から孔の底までの距離を測定し、風蝕量(mm)とした。
その結果、実施例1で製造した保持シール材の風蝕量は、3mmであった。
【0057】
(面圧試験)
面圧試験に用いた面圧測定装置について説明する。
面圧測定装置は、上下方向から面圧試験用サンプルを挟み込む温度可変な金属製の下板部材及び上板部材と、上板部材の上面と接続され、上下方向に移動可能なピストンと、上板部材に加えられる圧力(以下、面圧ともいう)を測定可能なセンサーとから構成されている。
このような構成を有する面圧測定装置を用いて面圧が測定される原理について説明する。
まず、サンプルを上板部材と下板部材とで挟み込む。次に、ピストンを下方向に移動させると、上板部材が下方向に移動し、サンプルが所定の圧縮密度になるまで圧縮される。この際、サンプルが弾性により圧縮された状態から元の状態に戻ろうとするため、上板部材にサンプルの弾性による圧力が加えられる。この圧力をセンサーで測定し、圧縮時の面圧を測定することができる。
次に、ピストンを上方向に移動させることにより、上板部材を上方向に移動させる。なお、この場合には、ピストンを初期位置まで戻さないこととする。すると、サンプルの圧縮状態が若干解放された状態となる。この状態では、サンプルが完全に元の状態に戻っているわけではないので、上板部材にサンプルの弾性による圧力が加えられることになる。この圧力をセンサーで測定し、復元時の面圧を測定することができる。
【0058】
面圧試験は、以下の手順で行った。
まず、実施例1で製造した保持シール材を直径1インチの円柱状に打ち抜き、面圧試験用サンプルとした。このサンプルを面圧測定装置の下板部材と上板部材との間に設置した。この際、マット材の両表面が下板部材及び上板部材に当接するよう設置した。
次に、上板部材を下方向に移動させ、サンプルを圧縮密度が0.33g/cmになるまで圧縮した。圧縮後、上板部材を上方向に移動させ、サンプルを圧縮密度が0.30g/cmになるまで復元した。このようなサンプルの圧縮及び復元を1回の往復運動として、この往復運動を1000回繰り返した。なお、この往復運動は、下板部材と当接するサンプルの下側表面近傍の温度が500℃になり、上板部材と当接するサンプルの上側表面近傍の温度が900℃になるまで下板部材及び上板部材を昇温させながら行った。
そして、サンプルの下側表面の温度が170℃、上側表面の温度が300℃となった時点の復元時(圧縮密度0.30g/cm)の面圧(以下、低温時面圧ともいう)を測定した。
また、1000回目の往復運動を行い、サンプルの下側表面の温度が500℃、上側表面の温度が900℃になった時点の復元時(圧縮密度0.30g/cm)の面圧(以下、高温時面圧ともいう)を測定した。
その結果、実施例1で製造した保持シール材の低温時面圧は、122.2kPa、高温時面圧は、42.8kPaであった。
【0059】
なお、低温時面圧の測定温度を上記温度にしたのは、下記の理由による。
内燃機関として、例えば、ディーゼルエンジン等を用いた場合には、排ガスの温度が比較的低いので、ケーシングが170℃程度になり、排気ガス処理体が300℃程度になる。そのため、低温時面圧の測定温度を上記温度に設定することにより、下板部材をケーシングとして近似し、上板部材を排気ガス処理体として近似することができる。従って、保持シール材が、例えば、ディーゼルエンジン等の排ガス浄化装置として用いられた場合に、高い保持特性を発揮することができるか否かについて評価することができると考えられる。
また、高温時面圧の測定温度を上記温度にしたのは、下記の理由による。
内燃機関として、例えば、ガソリンエンジン等を用いた場合には、排ガスの温度が比較的高いので、ケーシングが500℃程度になり、排気ガス処理体が900℃程度になる。そのため、高温時面圧の測定温度を上記温度に設定することにより、保持シール材が、例えば、ガソリンエンジン等の排ガス浄化装置として用いられた場合に、高い保持特性を発揮することができるか否かについて評価することができると考えられる。
【0060】
(実施例2、3)
実施例1の工程(1)で、無機繊維(アルミナ繊維及びシリカ繊維)の合計量を500gとし、アルミナ繊維とシリカ繊維との重量比が表1に示した値となるように無機繊維を配合したこと以外は、実施例1と同様にして保持シール材を製造した。
得られた保持シール材は、いずれもアルミナ繊維とシリカ繊維とが混在することにより形成されており、実施例1と同様の形状及び嵩密度を有していた。
また、実施例2、3で製造した保持シール材では、アルミナ繊維のアルミナ繊維及びシリカ繊維の合計に対する割合が、それぞれ、順に、25重量%、75重量%となっていた。
【0061】
(比較例1)
実施例1の工程(1)で、無機繊維として、熱処理したシリカ繊維を594g用いたこと以外は、実施例1と同様にして保持シール材を製造した。
得られた保持シール材は、シリカ繊維のみからなり、実施例1と同様の形状及び嵩密度を有していた。
【0062】
(比較例2)
アルミナ繊維を297gと、アクリル系ラテックスを18gと、アルミナゾルを2.4gと、水とを原料液中のアルミナ繊維の含有量が0.5wt%となるように混合し、攪拌機で60秒間攪拌することで混合液を調製した。
得られた混合液を用いて実施例1の工程(2)と同様にして、アルミナ繊維のみからなるマット前駆体を作製した。
次に、熱処理したシリカ繊維を297gと、アクリル系ラテックスを18gと、アルミナゾルを2.4gと、水とを原料液中のシリカ繊維の含有量が0.5wt%となるように混合し、攪拌機で60秒間攪拌することで混合液を調製した。
得られた混合液を用いて実施例1の工程(2)と同様にして、シリカ繊維のみからなるマット前駆体を作製した。
アルミナ繊維のみからなるマット前駆体上にシリカ繊維のみからなるマット前駆体を積層し、実施例1の工程(3)、(4)と同様にして保持シール材を製造した。
得られた保持シール材は、アルミナ繊維のみからなる層とシリカ繊維のみからなる層との二層の無機繊維層からなり、実施例1と同様の形状及び嵩密度を有していた。
なお、比較例1、2の保持シール材は、実施例1〜3の保持シール材の耐風蝕性を評価するための比較対象として製造した。
【0063】
(比較例3)
実施例1の工程(1)で、無機繊維として、アルミナ繊維を594g用いたこと以外は、実施例1と同様にしてマット材を製造した。
得られた保持シール材は、アルミナ繊維のみからなり、実施例1と同様の形状及び嵩密度を有していた。
【0064】
(比較例4)
比較例2と同様にして、アルミナ繊維のみからなるマット前駆体を作製した。
次に、アルミナ:シリカ=52:48(重量比)の組成を有するセラミック繊維(イビデン(株)製 イビウール)を297gと、アクリル系ラテックスを18gと、アルミナゾルを2.4gと、水とを原料液中のセラミック繊維の含有量が0.5wt%となるように混合し、攪拌機で60秒間攪拌することで混合液を調製した。
得られた混合液を用いて実施例1の工程(2)と同様にして、セラミック繊維のみからなるマット前駆体を作製した。
アルミナ繊維のみからなるマット前駆体上にセラミック繊維のみからなるマット前駆体を積層し、実施例1の工程(3)、(4)と同様にして保持シール材を製造した。
得られた保持シール材は、アルミナ繊維のみからなる層とセラミック繊維のみからなる層との二層の無機繊維層からなり、実施例1と同様の形状及び嵩密度を有していた。
なお、比較例3、4の保持シール材は、実施例1〜3の保持シール材の低温時面圧及び高温時面圧を評価するための比較対象として製造した。
【0065】
実施例3、4、及び、比較例1〜4で製造した保持シール材について、実施例1と同様にして耐風蝕性試験及び面圧試験を行い、風蝕量、低温時面圧及び高温時面圧について評価した。各実施例及び各比較例における結果については、実施例1の結果と合わせて表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
その結果、実施例1〜3で製造した保持シール材では、いずれも耐風蝕性を比較例1及び2で製造した保持シール材より高くすることができた。そのため、実施例1〜3に記載の保持シール材を排ガス浄化装置に用いる場合には、保持シール材に風蝕が発生しにくく、排気ガス処理体の脱落を防止することができると考えられる。
また、実施例1〜3で製造した保持シール材では、いずれも低温時面圧及び高温時面圧を比較例3及び4で製造した保持シール材より高くすることができた。そのため、実施例1〜3で製造した保持シール材を排ガス浄化装置に用いる場合には、保持特性が高く、安価な保持シール材とすることができると考えられる。
なお、実施例1〜3で製造した保持シール材では、低温時面圧及び高温時面圧がともに高かったことにより、排ガス浄化装置が連結される内燃機関の種類によらず、保持特性が高く、安価な保持シール材とすることができると考えられる。
【0068】
一方、比較例1で製造した保持シール材は、低温時面圧及び高温時面圧は高いものの、耐風蝕性が無機繊維の中でも比較的低いシリカ繊維のみからなるため、耐風蝕性が低かった。同様に、比較例2で製造した保持シール材は、シリカ繊維のみからなる層を有しているので、低温時面圧及び高温時面圧は高いものの、耐風蝕性が低かった。
【0069】
また、比較例3で製造した保持シール材は、アルミナ繊維のみからなるため、耐風蝕性は高いものの、低温時面圧及び高温時面圧がともに低かった。同様に、比較例4で製造した保持シール材は、アルミナ繊維のみからなる層及びセラミック繊維のみからなる層を有しているので、耐風蝕性は高いものの、低温時面圧及び高温時面圧がともに低かった。
【0070】
(第二実施形態)
次に、本発明の一実施形態である第二実施形態について図面を用いて説明する。
図6は、第二実施形態の保持シール材を厚さ方向に沿って切断したときの断面を模式的に示す一部断面斜視図である。
本実施形態の保持シール材100は、第一実施形態の保持シール材と同様に、平面視略矩形の平板状であり、第一の無機繊維110aと第二の無機繊維110bとが混在してなるものである。より詳細には、保持シール材100は、厚さが互いに略同じである第一の保持シール材層120aと第二の保持シール材層120bとから構成されており、第一の保持シール材層120aには、第二の保持シール材層120bに比べて、重量比で、第一の無機繊維110aがより多く存在している。
そのため、保持シール材100の表面の中で、最も面積の大きい二つの主面130a、130bのうち、第一の保持シール材層120a側の主面(以下、第一主面ともいう)130aを含む表面領域(図6中、両矢印Xで示す)には、第二の保持シール材層120b側の主面(以下、第二主面ともいう)130bを含む表面領域(図6中、両矢印Yで示す)に比べて、重量比で、第一の無機繊維110aがより多く存在している。
本実施形態の保持シール材のその他の構成については、第一実施形態の保持シール材と同様である。
【0071】
本実施形態の排ガス浄化装置については、本実施形態の保持シール材を用いたものであり、保持シール材の第一主面が排気ガス処理体側に配設されていること以外、第一実施形態の排ガス浄化装置と同様の構成を有している。
【0072】
以下、本実施形態の保持シール材の製造方法について説明する。
(1)まず、第一実施形態の工程(1−1)と同様にして混合液を調製し、この混合液を用いて、第一実施形態の工程(1−2)と同様にして、第一実施形態で作製したマット前駆体の略半分の厚さを有する第一のマット前駆体を作製する。第一のマット前駆体は、後の工程を経て製造される保持シール材において第一の保持シール材層となる。
【0073】
(2)次に、マット前駆体とした場合に、該マット前駆体に含まれるアルミナ繊維が、重量比で、第一のマット前駆体に含まれるアルミナ繊維に比べて少なくなるようにアルミナ繊維とシリカ繊維とを配合すること以外は、第一実施形態の工程(1−1)と同様にして混合液を調製する。この混合液を用いて、第一実施形態の工程(1−2)と同様にして、第一実施形態で作製したマット前駆体の略半分の厚さを有する第二のマット前駆体を作製する。第二のマット前駆体は、後の工程を経て製造される保持シール材において第二の保持シール材層となる。
【0074】
(3)第二のマット前駆体の上に第一のマット前駆体を積層し、得られた積層マット前駆体を所定の条件で加熱圧縮して積層マット体を作製する。
【0075】
(4)最後に、積層マット体を所定の大きさに切断して保持シール材を製造する。
このようにして製造する保持シール材では、第二の保持シール材層の上に、第一の保持シール材層が積層された保持シール材となる。
さらに、第一主面の表面領域には、第二主面の表面領域に比べて、重量比で、アルミナ繊維がより多く存在することになる。
【0076】
次に、本実施形態の排ガス浄化装置の製造方法について説明する。
本実施形態の排ガス浄化装置の製造方法では、本実施形態の保持シール材の表面のうち、第一主面がハニカムフィルタと当接するようにして、保持シール材をハニカムフィルタの外周に巻付けること以外は、第一実施形態の排ガス浄化装置と同様にして本実施形態の排ガス浄化装置を製造する。
【0077】
上述した第二実施形態においても、第一実施形態で説明した効果(1)〜(4)を発揮することができる。
また、さらに、以下の効果を発揮することができる。
【0078】
(5)本実施形態の保持シール材は、第二主面の表面領域に比べてアルミナ繊維がより多く含まれた第一主面の表面領域を有しており、第一主面の表面領域が第二主面の表面領域に比べて耐熱性に優れている。
従って、本実施形態の保持シール材の第一主面を排ガスの流入によって高温になるハニカムフィルタ側に配設した本実施形態の排ガス浄化装置では、保持シール材の溶損等の破損を防止することができる。
【0079】
以下、本発明の第二実施形態をより具体的に開示した実施例を示すが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0080】
(実施例4)
(1)アルミナ繊維を222.7gと、熱処理したシリカ繊維を74.3gと、アクリル系ラテックスを18gと、アルミナゾルを2.4gと、水とを原料液中のアルミナ繊維及びシリカ繊維の含有量が0.5wt%となるように混合し、攪拌機で60秒間攪拌することで混合液を調製した。
【0081】
(2)得られた混合液を用いて実施例1の工程(2)と同様にして抄造工程を行うことにより、アルミナ繊維とシリカ繊維とが混在してなり、重量比で、アルミナ繊維がシリカ繊維よりも多く含まれた第一のマット前駆体を作製した。
【0082】
(3)次に、アルミナ繊維を74.3gと、熱処理したシリカ繊維を222.7gと、有機バインダを18gと、無機バインダを2.4gと、水とを原料液中のアルミナ繊維の含有量が0.5wt%となるように混合し、攪拌機で60秒間攪拌することで混合液を調製した。
【0083】
(4)得られた混合液を用いて実施例1の工程(2)と同様にして抄造工程を行うことにより、アルミナ繊維とシリカ繊維とが混在してなり、重量比で、シリカ繊維がアルミナ繊維よりも多く含まれた第二のマット前駆体を作製した。
【0084】
(5)第二のマット前駆体の上に第一のマット前駆体を積層し、得られた積層マット前駆体を120℃、30分間加熱圧縮して積層マット体を作製した。
【0085】
(6)最後に、積層マット体に対して実施例1の工程(4)と同様にして切断工程を行うことにより保持シール材を製造した。
得られた保持シール材は、アルミナ繊維とシリカ繊維とが混在してなり、第二の保持シール材層の上に、第一の保持シール材層が積層されているとともに、実施例1と同様の形状及び嵩密度を有していた。また、保持シール材全体では、アルミナ繊維のアルミナ繊維及びシリカ繊維の合計に対する割合が、50重量%となっていた。さらに、保持シール材の表面のうち、第一主面の表面領域には、第二主面の表面領域に比べて、重量比で、アルミナ繊維がより多く存在していた。
【0086】
実施例4で製造した保持シール材について、実施例1と同様にして耐風蝕性試験及び面圧試験を行い、風蝕量、低温時面圧及び高温時面圧について評価した。
その結果、第一主面を風蝕させた場合の風蝕量については、2mmであり、第二主面を風蝕させた場合の風蝕量については、9mmであった。
また、低温時面圧及び高温時面圧は、それぞれ122.7kPa、48.1kPaであった。なお、低温時面圧及び高温時面圧を測定する場合には、第一主面が上板部材に当接し、第二主面が下板部材に当接するようにしてサンプルを設置した。
【0087】
これらの結果より、実施例4で製造した保持シール材では、アルミナ繊維が混在することにより、耐風蝕性を比較例1及び2で製造した保持シール材より高くすることができた。そのため、実施例4に記載の保持シール材を排ガス浄化装置に用いる場合には、保持シール材に風蝕が発生しにくく、排気ガス処理体の脱落を防止することができると考えられる。
また、実施例4で製造した保持シール材では、シリカ繊維が混在することにより、低温時面圧及び高温時面圧を比較例3及び4で製造した保持シール材より高くすることができた。そのため、実施例4で製造した保持シール材を排ガス浄化装置に用いる場合には、保持特性が高く、安価な保持シール材とすることができると考えられる。
さらには、実施例4で製造した保持シール材の表面のうち、第一主面の表面領域には、第二主面の表面領域に比べて、重量比で、アルミナ繊維がより多く存在しており、第一主面の表面領域の耐熱性が高くなっている。そのため、実施例4の保持シール材を排ガス浄化装置に用いる場合には、第一主面を排ガスの流入によって高温になるハニカムフィルタ側に配設することで、溶損等の破損が少ない保持シール材とすることができると考えられる。
【0088】
(第三実施形態)
次に、本発明の一実施形態である第三実施形態について説明する。
本実施形態では、第一実施形態の排ガス浄化装置に係るハニカムフィルタに白金等の触媒が担持された構成となっていること以外は、第一実施形態の保持シール材及び排ガス浄化装置と同様の構成となっている。
【0089】
本実施形態の排ガス浄化装置の製造方法において、ハニカムフィルタに触媒を担持させる方法としては、例えば、ジニトロジアンミン白金硝酸([Pt(NH(NO]HNO)溶液等をハニカムフィルタに含浸させた後にハニカムフィルタを加熱する方法等が挙げられる。
【0090】
本実施形態においても、第一実施形態において説明した効果(1)〜(4)を発揮することができる。
また、以下の効果を発揮することができる。
【0091】
(6)本実施形態の排ガス浄化装置では、ケーシング内に、触媒が担持されたハニカムフィルタが配設されている。
そのため、ハニカムフィルタに捕集されたPMと触媒とを接触させることによって、捕集されたPMをより低温で燃焼させることができる。従って、第三実施形態の排ガス浄化装置では、排ガス中のPMを効率よく除去することができる。
【0092】
(第四実施形態)
次に、本発明の一実施形態である第四実施形態について説明する。
第四実施形態では、排気ガス処理体が、第一実施形態の排ガス浄化装置におけるハニカムフィルタの各々のセルにおける端部のいずれか一方が目封じされていない排気ガス処理体となっており、該排気ガス処理体に触媒が担持されていること以外は、第一実施形態の保持シール材及び排ガス浄化装置と同様の構成となっている。
【0093】
本実施形態の排ガス浄化装置の製造方法において、排気ガス処理体に触媒を担持させる方法としては、第三実施形態の排ガス浄化装置に係るハニカムフィルタに触媒を担持させる方法と同様にすればよい。また、本実施形態で用いる触媒については、第三実施形態で説明した触媒と同様の触媒を用いることができる。
【0094】
本実施形態においても、第一実施形態において説明した効果(1)〜(3)を発揮することができる。
また、以下の効果を発揮することができる。
【0095】
(7)本実施形態の排ガス浄化装置では、排気ガス処理体に触媒が担持されている。
従って、触媒と排ガスに含まれる有害なガス成分とを接触させることによって、排ガス中の有害なガス成分を浄化することができる。
【0096】
(その他の実施形態)
本発明の保持シール材の端面に形成された凹部及び凸部の形状は、凹部と凸部とが嵌合することができる形状であれば特に限定されない。また、保持シール材の端面には、図2に示したように一組の凹部及び凸部が形成されていてもよいし、互いに嵌合する複数組の凹部及び凸部が形成されていてもよい。なお、凹部及び凸部は形成されていなくてもよい。
【0097】
本発明の保持シール材において、第一の無機繊維の平均繊維長は、0.2〜20mmであることが望ましく、1〜10mmであることがより望ましい。
一方、第二の無機繊維の平均繊維長は、1〜20mmであることが望ましく、3〜10mmであることがより望ましい。
【0098】
本発明の保持シール材において、第一の無機繊維の平均繊維径は、1〜15μmであることが望ましく、3〜10μmであることがより望ましい。
一方、第二の無機繊維の平均繊維径は、3〜20μmであることが望ましく、5〜12μmであることがより望ましい。
【0099】
本発明の保持シール材に含まれる有機バインダの量は、0.5〜12.0重量%であることが望ましく、0.5〜6.0重量%であることがより望ましい。有機バインダの量が0.5重量%未満であると、無機繊維同士が接着されにくくなるので、保持シール材を構成する無機繊維の脱落が発生しやすくなる。一方、有機バインダの量が12.0重量%を超えると排ガス浄化装置として用いた場合に、排出される排ガス中の有機成分の量が増加することになるので、環境に負荷がかかることになる。
【0100】
本発明の保持シール材の目付量は、特に限定されないが、800〜3200g/mであることが望ましく、1000〜3000g/mであることがより望ましい。また、嵩密度についても、特に限定されないが、0.15〜0.30g/cmであることが望ましい。
【0101】
本発明の保持シール材の厚さは、特に限定されないが、6〜20mmであることが望ましい。
【0102】
本発明の保持シール材の製造に用いられる有機バインダとしては、上述したアクリル系樹脂に限られず、例えば、アクリルゴム等のゴム、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルアルコール等の水溶性有機重合体、スチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等であってもよい。これらの中では、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に好ましい。
【0103】
上記有機バインダ溶液には、上述した有機バインダが複数種類含まれていてもよい。
また、上記有機バインダ溶液としては、上述した有機バインダを水に分散させたラテックスの他に、上述した有機バインダを水又は有機溶媒に溶解させた溶液等であってもよい。
【0104】
本発明の保持シール材が第一の保持シール材層と第二の保持シール材層とから構成されている場合には、第一の保持シール材層と第二の保持シール材層との厚さについては、上述したように、互いに略同じであってもよいし、第一の保持シール材層と第二の保持シール材層との厚さの比が、5:95〜95:5であってもよい。
第一の保持シール材層の厚さが上記下限値より小さく、第二の保持シール材層の厚さが上記上限値より大きくなると、第一主面の表面領域に含まれる第一の無機繊維が少なくなり、第一主面の表面領域の耐熱性が低くなることがある。
一方、第一の保持シール材層の厚さが上記上限値より大きく、第二の保持シール材層の厚さが上記下限値より小さくなると、保持シール材全体に含まれる第一の無機繊維が多くなり、保持シール材の弾性が低くなることがある。
【0105】
第二主面の表面領域に比べて第一主面の表面領域に、重量比で、第一の無機繊維がより多く存在している本発明の保持シール材としては、上述した第一の保持シール材層と第二の保持シール材層とから構成される保持シール材のように、二層の保持シール材層から構成された保持シール材に限られず、複数の保持シール材層から構成された保持シール材であってもよい。
また、複数の保持シール材層から構成されるのではなく、第二主面側から第一主面側に向かって、第一の無機繊維がより多く存在するように第一の無機繊維と第二の無機繊維との割合が段階的に変化する構成であってもよい。
【0106】
本発明の保持シール材の製造に用いられる無機バインダとしては、上述したアルミナゾルに限られず、例えば、シリカゾル等であってもよい。
【0107】
本発明の保持シール材の製造方法において、含水マット材を加熱圧縮する場合には、
100〜220℃の温度で乾燥を行うことが望ましい。上記温度が100℃未満では、乾燥時間が長くなり、生産効率が低下する。また、上記温度が220℃を超えると、有機バインダが分解し、保持シール材を構成する無機繊維同士を接着しにくくなり、無機繊維の脱落が発生することがある。
【0108】
本発明の排ガス浄化装置を構成するケーシングの材質は、耐熱性を有する金属であれば特に限定されず、具体的には、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属類が挙げられる。
また、上記ケーシングとしては、円筒状のケーシングを長手方向に沿って複数のケーシング片に分割したケーシング(即ちクラムシェル)、長手方向に沿って延びるスリット(開口部)を1箇所にのみ有する断面C字状又はU字状の円筒状のケーシング、排気ガス処理体に巻き付けられた保持シール材の外周に巻き締められることにより円筒状のケーシングとなる金属板等であってもよい。
【0109】
クラムシェル形状のケーシングを用いて排ガス浄化装置を製造する場合には、一のケーシング片に排気ガス処理体を設置した後に、残りのケーシング片を組み合わせ、この状態で、各ケーシング片を溶接等によって結合することで排ガス浄化装置を製造することができる。
【0110】
また、ケーシングとなる金属板を用いて排ガス浄化装置を製造する場合には、排気ガス処理体に巻き付けられた保持シール材の外周に金属板をワイヤーロープ等を用いて巻き締めた後に、金属板の端部同士を溶接等によって結合して円筒状のケーシングとする所謂巻き締め方式で排ガス浄化装置を製造することができる。
【0111】
円筒状のケーシングを用いて排ガス浄化装置を製造する場合には、上述した圧入工程を行う方法の他に、排気ガス処理体の端面の直径と排気ガス処理体に巻付けられた状態の保持シール材の厚さを合わせた長さより大きい内径を有するケーシングの内部に保持シール材が巻付けられた排気ガス処理体を挿入した後、プレス機等により、ケーシングを外周側から圧縮する所謂サイジング方式で排ガス浄化装置を製造することができる。
【0112】
本発明の排ガス浄化装置を構成する排気ガス処理体に担持させる触媒としては、上述した白金に限られず、例えば、パラジウム、ロジウム等の貴金属、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属、又は、金属酸化物等が挙げられる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0113】
また、上記金属酸化物としては、PMの燃焼温度を低下させることができるものであれば特に限定されず、例えば、CeO、ZrO、FeO、Fe、CuO、CuO、Mn、MnO、組成式A1−nCO(式中、AはLa、Nd、Sm、Eu、Gd、Ce、Pr、Pm又はYを示し、Bはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を示し、CはMn、Co、Fe又はNiを示し、0≦n≦1である)で表される複合酸化物等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよいが、少なくともCeOを含むものであることが望ましい。
このような金属酸化物を担持させることにより、PMの燃焼温度を低下させることができる。
【0114】
上記排気ガス処理体に触媒を担持させる方法としては、上述したように、触媒が含まれた溶液を排気ガス処理体に含浸させた後に加熱する方法の他に、排気ガス処理体の表面にアルミナ膜からなる触媒担持層を形成し、このアルミナ膜に触媒を担持させる方法等が挙げられる。
アルミナ膜を形成する方法としては、例えば、Al(NO等のアルミニウムを含有する金属化合物溶液を排気ガス処理体に含浸させて加熱する方法、アルミナ粉末を含有する溶液を排気ガス処理体に含浸させて加熱する方法等が挙げられる。
また、アルミナ膜に触媒を担持させる方法としては、例えば、貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は、金属酸化物を含む溶液等をアルミナ膜が形成された排気ガス処理体に含浸させて加熱する方法等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の保持シール材を厚さ方向に沿って切断したときの断面を模式的に示す一部断面斜視図である。
【図2】本発明の保持シール材を模式的に示す斜視図である。
【図3】図3(a)は、本発明の排ガス浄化装置を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示した排ガス浄化装置のA−A線断面図である。
【図4】図4(a)は、本発明の排ガス浄化装置を構成するハニカムフィルタを模式的に示す斜視図であり、図4(b)は、本発明の排ガス浄化装置を構成するケーシングを模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の排ガス浄化装置を構成する保持シール材、排気ガス処理体及びケーシングを用いて排ガス浄化装置を製造する様子を模式的に説明する斜視図である。
【図6】本発明の保持シール材の別の一例を厚さ方向に沿って切断したときの断面を模式的に示す一部断面斜視図である。
【符号の説明】
【0116】
10、100 保持シール材
11a、110a 第一の無機繊維
11b、110b 第二の無機繊維
20 排ガス浄化装置
30 排気ガス処理体
31 セル
32 セル壁
40 ケーシング
130a 第一主面
130b 第二主面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マット状の保持シール材であって、
前記保持シール材は、主にアルミナを含む第一の無機繊維と、主にシリカを含む第二の無機繊維とが混在してなることを特徴とする保持シール材。
【請求項2】
前記第一の無機繊維の前記第一の無機繊維及び前記第二の無機繊維の合計に対する割合が、25〜75重量%である請求項1に記載の保持シール材。
【請求項3】
第一主面の表面領域には、第二主面の表面領域に比べて、重量比で、前記第一の無機繊維がより多く存在している請求項1又は2に記載の保持シール材。
【請求項4】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設された柱状の排気ガス処理体と、
前記排気ガス処理体を収容するケーシングと、
前記排気ガス処理体と前記ケーシングとの間に配設され、前記排気ガス処理体を保持する保持シール材とからなる排ガス浄化装置であって、
前記保持シール材は、請求項1〜3のいずれかに記載の保持シール材であることを特徴とする排ガス浄化装置。
【請求項5】
前記保持シール材は、請求項3に記載の保持シール材であり、
前記第一主面が前記排気ガス処理体側に配設されている請求項4に記載の排ガス浄化装置。
【請求項6】
前記排気ガス処理体は、前記排気ガス処理体の各々のセルにおける端部のいずれか一方が目封じされたハニカムフィルタである請求項4又は5に記載の排ガス浄化装置。
【請求項7】
前記排気ガス処理体には、触媒が担持されている請求項4〜6のいずれかに記載の排ガス浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−257422(P2009−257422A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−105834(P2008−105834)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】