説明

保持具

【課題】ロック片のロックが解除されていても、対象物から保持具が外れることを防止可能な保持具を提供する。
【解決手段】長尺体を保持する保持部10に取付部50が配設され、保持部10は、ベース11に配設され、ベース11と共に長尺体を挟持する挟持部20と、挟持部20の自由端に形成されたロック片30を有し、ベース11には、ロック片30を受領してロックする受領部12が形成され、取付部50は、対向配置された第1の係合脚部51及び第2の係合脚部と、第3の係合脚部53を備え、第1の係合脚部51、第2の係合脚部及び第3の係合脚部53は、弾性変形することによりシャーシの係合穴に挿入され、弾性復元することにより係合爪をシャーシに係合させ、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部は、受領部12に受領されたロック片30に押圧されて係合穴を画定する縁部に当接し、前記係合をロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電気・電子機器類の基板に電線等の長尺体や様々な部品を取付けて保持するために用いる保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器類や自動車等の内部には、様々な部品や電線等の長尺体が多数配されている。これらの長尺体は、電気機器類や自動車等の製造や点検、修理の際に作業がしやすいよう、また、電気機器類の通常動作の際に、電線等の長尺体が他の部品に当たり擦れて傷ついたり、不用意に引っ張られて外れたりすることを防止する必要がある。そこで、これらの長尺体を整理して束ね、シャーシや基板等の対象物に留め付ける保持具が各種紹介されている。
【0003】
このような保持具として、例えば、ベースと、当該ベースの上面から略垂直に立設された垂直部と、ヒンジ部を介して当該垂直部から略水平に延出した挟持片と、挟持片の自由端に形成されたロック片と、前記ベースの底面に形成された複数の取付片とを備えたものがある。この保持具は、当該保持具が固定される対象物(シャーシや基板等)に形成された係合穴に、前記取付片を係合させ、前記ベース、垂直部、ヒンジ部、挟持片及びロック片を備えて構成される保持部によって画定される空間内に長尺体を配置し、前記ロック片を対象物に形成された係合穴や、ベースに形成された挿入穴に挿入して、対象物と係合させることで、前記長尺体を保持するものがある。
【0004】
具体的には、例えば、前記ベースに前記取付片が2つ配設されており、シャーシに形成された2つの係合穴に、当該取付片を各々挿入し、前記保持部によって画定される空間内に複数の長尺体を配置して前記ロック片と前記係合穴とを係合させると、前記保持部及びロック片のいずれか一方または両方が弾性変形して、前記ベースを特定方向へ押し付ける状態になるクランプが紹介されている。(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、前記ベースの底面に、シャーシに形成された係合穴の内縁部に一方向から嵌合して内縁部を挟持する取付片を各々配設すると共に、シャーシに設けられた係止穴の内縁部に係合して反対方向への移動を係止する係止体を配設し、前記係止体を係止穴との係合から解除し、ベースを反対方向にスライドすることで2つの取付片を係合穴から引き出すことで取外しが可能になる保持具も紹介されている。(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらにまた、前記ベースに挿入口を開口形成し、該挿入口には係止部と、シャーシ方向に延設して薄板状の係止脚部(取付片)が形成されており、且つ該係止脚部の自由端が鉤爪状に形成され、使用時には前記挿入口内つまり係止脚部と係止脚部との間にロック片を挿入し、前記係止部に前記ロック片を係止させ、前記ベースには薄板状の弾性押圧片がシャーシ方向へ斜めにむけて形成された保持具も紹介されている。(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−289358号公報
【特許文献2】特開2004−239325号公報
【特許文献3】特開2006−211736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された保持具は、シャーシに形成された2つの係合穴に2つの取付片を各々挿入し、前記ロック片を一方の係合穴に係合させる(ロック片をロック状態にする)ことで2つの取付片をシャーシに押しつける動作によってシャーシに固定されるため、当該ロック片が前記係合穴から抜脱されると、2つの取付片は、シャーシに押しつけられる力から解放されることになる。したがって、シャーシから保持具が外れ易くなる虞がある。
【0008】
また、特許文献2に記載された保持具は、2つの取付片と、1つの係止体を挿入する合計3つの穴を予めシャーシに形成しておく必要がある。具体的には、これらの穴のうち、2つの取付片を挿入して係止させる穴は四角形に形成し、係止体を挿入して係止させる穴は丸穴形状に形成するため、予めシャーシに2種類の穴を形成しておく必要があり、板金加工コストが高くついてしまう。
【0009】
そしてまた、特許文献3に記載された保持具は、互いに対向配置された一対の係止脚部(取付片)を、シャーシに予め形成されている穴に挿入し、使用時には、係止脚部と係止脚部との間に形成された挿入口にロック片を挿入して係止部へロック片を係止させる(ロック片をロック状態にする)ことで、一対の係止脚部をシャーシに対し押しつけて、当該シャーシに保持具を固定しているため、当該ロック片が挿入口から抜脱されると、一対の係止脚部がシャーシに押しつけられる力から解放されることになる。したがって、シャーシから保持具が外れ易くなる虞がある。
【0010】
また、前述した保持具では、保持部によって画定される空間内に大径の長尺体を保持させたり、多数の長尺体を保持させる場合、これら長尺体の保持スペースを確保するため、前記保持部によって画定される空間を大きくする必要がある。そこで、垂直部の長さ(高さ)を長くすることが考えられるが、この場合は、ヒンジ部の位置がシャーシ面から離れるため、ヒンジ部とロック片を挿入する係合穴や挿入口との高さ(シャーシの面に対し垂直方向の位置)が異なることになり、前記シャーシに形成された係合穴や、ベースに形成された挿入口にロック片をスムーズに挿入することが困難となる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、保持部の先端に形成されているロック片がロック状態にあり、当該保持部に長尺体が保持されている場合は勿論のこと、前記ロック片のロックが解除されている場合であっても、シャーシや基板等の対象物から保持具が外れることを防止可能な保持具を提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、保持部によって画定される空間内に大径の長尺体を保持させたり、多数の長尺体を保持させる等のため、前記保持部によって画定される空間を大きくした場合であっても、ロック片をスムーズにロック状態とすることが可能であり、長尺体を保持する作業性を向上することができる保持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的を達成するため本発明は、長尺体を保持する保持部と、当該保持部の底面に配設された取付部とを備え、当該取付部を対象物に形成された係合穴に挿入した際に、当該取付部が前記対象物に係合し、当該対象物に固定される保持具であって、前記保持部は、ベースと、当該ベースに配設され、該ベースと共に前記長尺体を挟持可能な挟持部と、当該挟持部の自由端に形成されたロック片と、を有し、前記ベースには、前記ロック片を受領して当該ロック片を着脱可能にロックする受領部が形成されてなり、前記取付部は、前記対象物に固定される際に、前記受領部から当該対象物に近づく方向に延出され且つ互いに所定の間隔をおいて対向配置された第1の係合脚部及び第2の係合脚部と、前記ベースから当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部の延出方向に延出された第3の係合脚部と、を有し、当該第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部の各々の自由端には、前記係合穴に挿入された際に、当該係合穴を画定する縁部側となる方向に突出する係合爪が形成されており、前記第3の係合脚部に形成された係合爪は、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成された係合爪とは異なった方向に突出してなり、前記第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部は、弾性変形することにより前記係合穴に挿入され、弾性復元することにより前記係合爪を前記対象物に係合させ、当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部は、前記受領部に前記ロック片を受領させた際に、当該ロック片に押圧されて前記係合穴を画定する縁部に当接し、前記係合をロックする保持具を提供するものである。
【0014】
この構成を備えた保持具は、対象物に形成された係合穴に、第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部を挿入することで、前記各々の係合脚部に形成された係合爪を当該対象物に各々係合させ、当該対象物に固定されるが、この時、前記ロック片を前記受領部に受領させる(ロック片をロック状態にする)ことで、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部が当該ロック片に押圧されて前記係合穴を画定する縁部に当接し、前記係合をロックすることができる。したがって、保持具を対象物に確実に固定することができる。ここで、第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成された各々の係合爪は、互いに反対の方向に突出しており、さらに第3の係合脚部に形成された係合爪は、当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成された係合爪とは、異なった方向に突出している(すなわち、同一線上となる方向には突出されていない)。したがって、前記受領部からロック片が抜脱された際(ロック片がロックされていない状態の際)は、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部は、前記縁部に対し積極的に押圧される力から解放されることになり、受領部にロック片が受領されていた時と比較すると、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成されている係合爪と対象物との係合力は弱くなるが、第3の係合脚部に形成された係合爪と対象物との係合は、この押圧力には殆ど影響を受けないため、保持具が対象物から落下したり外れたりすることを防止することができる。
【0015】
また、本発明は、長尺体を保持する保持部と、当該保持部の底面に配設された取付部とを備え、当該取付部を対象物に形成された係合穴に挿入した際に、当該取付部が前記対象物に係合し、当該対象物に固定される保持具であって、前記保持部は、ベースと、当該ベースに配設され、該ベースと共に前記長尺体を挟持可能な挟持部と、当該挟持部の自由端に形成されたロック片と、を有し、前記ベースには、前記ロック片を受領して当該ロック片を着脱可能にロックする受領部が形成されてなり、前記挟持部は、前記ベースから立設された立設部と、当該立設部の当該ベースから離れた端部から略垂直に屈曲した挟持片と、を有し、前記立設部は、前記ベースに設けられた第1の立設部と、前記挟持片が設けられた第2の立設部と、当該第1の立設部と第2の立設部とを接続するヒンジ部と、を備えてなり、前記取付部は、前記対象物に固定される際に、前記受領部から当該対象物に近づく方向に延出され且つ互いに所定の間隔をおいて対向配置された第1の係合脚部及び第2の係合脚部を有し、当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部の各々の自由端には、前記係合穴に挿入された際に、当該係合穴を画定する縁部側となる方向に突出する係合爪が形成されてなり、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部は、弾性変形することにより前記係合穴に挿入され、弾性復元することにより前記係合爪を前記対象物に係合させ、前記受領部に前記ロック片を受領させた際に、当該ロック片に押圧されて前記係合穴を画定する縁部に当接し、前記係合をロックする保持具を提供するものである。
【0016】
この構成を備えた保持具は、ベースと共に長尺体を挟持する挟持部が、前記立設部と挟持片とを有し、前記立設部は、前記ベースに設けられた第1の立設部と、前記挟持片が設けられた第2の立設部と、当該第1の立設部と第2の立設部とを接続するヒンジ部とを備えて構成されている。このため、前記保持部によって画定される空間内に大径の長尺体を保持させたり、多数の長尺体を保持させる等の目的で、前記保持部によって画定される空間を大きくしたい場合は、前記第2の立設部の長さを長くすることにより、ヒンジ部の位置を変更することなく、当該空間を大きくすることができる。したがって、前記空間の大きさに関わらず、ヒンジ部と受領部のロック片を受領する受領口端との高さが異なることを抑制することができるため、受領部に対するロック片の方向が斜めになったりすることがなく、ロック片を最適な方向から受領部に受領させることができ、ロック片をスムーズに受領させる(挿入する)ことができる。
【0017】
また、この構成を備えた保持具では、前記取付部は、前記ベースから前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部の延出方向に延出された第3の係合脚部をさらに備え、当該第3の係合脚部の自由端には、前記係合穴に挿入された際に、当該係合穴を画定する縁部側となる方向且つ前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成された係合爪とは異なった方向に突出する係合爪が形成されてなり、前記第3の係合脚部は、弾性変形することにより前記係合穴に挿入され、弾性復元することにより当該第3の係合脚部の自由端に形成された係合爪を前記対象物に係合させる構成を備えることができる。このようにすることで、受領部にロック片をスムーズに受領させることができるという利点に加え、前記保持具は、前述したように、第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部の各々に形成された係合爪を前記対象物に係合させることで、当該対象物に固定されるため、保持具が対象物から落下したり外れたりすることを防止することができる。
【0018】
そしてまた、この構成を備えた保持具では、前記取付部は、前記ベースから前記第3の係合脚部の延出方向に延出され且つ当該第3の係合脚部の係合爪が形成されている側とは反対側に、当該第3の係合脚部と所定の間隔をおいて配設され、前記第3の係合脚部が弾性変形した際に、当該第3の係合脚部を係止可能な係止部をさらに備えることができる。このように構成することで、前記利点に加え、前記第3の係合脚部が弾性変形により係合穴に挿入される際に、当該第3の係合脚部が、前記係合穴を画定する縁部から離れる方向に倒れすぎることを防止することができる。したがって、第3の係合脚部が限界を越えて弾性変形することがないため、第3の係合脚部の弾性変形及び弾性復元の寿命を向上させることができる。
【0019】
また、本発明にかかる保持具は、前記ベースから前記ヒンジ部までの高さと、ベースから前記受領部の前記ロック片を受領する入口端までの高さを、略同一にすることがより好ましい。このように構成することで、前記保持部によって画定される空間の大きさに関わらず、受領部にロック片をより一層スムーズに受領させる(挿入する)ことができる。
【0020】
さらにまた、本発明にかかる保持具は、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部の各々に、当該第1の係合脚部と第2の係合脚部を互いに近づく方向に押圧可能な押圧操作部を形成することができる。この構成を備えた保持具は、例えば、指等で押圧操作部を軽く押すだけで、第1の係合脚部及び第2の係合脚部の各々に形成された係合爪と、対象物との係合を簡単に解除することができる。したがって、保持具を対象物から簡単に取外すことができる。
【0021】
また、本発明にかかる保持具は、前記取付部が、前記対象物に固定される際に、前記ベースから当該対象物に近づくよう傾斜して延出され且つ当該対象物の当該ベースと対向する面に当接する当接片をさらに備え、前記係合爪と当該当接片によって前記対象物を挟持するよう構成することもできる。この構成を備えた保持具は、前記係合爪と当該当接片によって前記対象物を挟持することができるため、さらに保持具を対象物に確実に固定することができる。また、当接片が弾性変形及び弾性復元する性質を有している際は、固定具が対象物に固定される際には、当該当接片が当該対象物に当接して撓み、弾性復元力により元の形状に戻ろうとする力が働くため、当該当接片は、常に対象物に圧接することになる。したがって、対象物の板厚が変化した場合であっても、当接片の前記撓みによって、保持具が対象物に対しガタツクことを防止することができる。よって、様々な板厚の対象物に対応することができ、汎用性を向上することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明にかかる保持具は、第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部の各々に形成された係合爪を対象物に係合させることで、当該対象物に固定される構成を備えているため、ロック片がロック状態にあり、保持部に長尺体が保持されている場合は勿論のこと、前記ロック片のロックが解除されている場合であっても、シャーシや基板等の対象物から保持具が落下したり外れたりすることを防止することができる。この結果、信頼性が高く、作業性が向上した保持具を提供することができる。
【0023】
また、本発明にかかる保持具は、前記保持部によって画定される空間内に大径の長尺体を保持させたり、多数の長尺体を保持させる等の目的で、前記保持部によって画定される空間を大きくした場合であっても、ヒンジ部の位置を変更することなく、当該空間を大きくすることができる。したがって、前記空間の大きさに関わらず、ロック片を受領部に最適な方向から受領させることができ、ロック片をスムーズに受領させることができる。この結果、信頼性が高く、作業性が向上した保持具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の好適な実施の形態にかかる保持具について図面を参照して説明する。なお、以下に記載される実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施の形態にのみ限定するものではない。したがって、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【0025】
図1は、本発明の実施の形態にかかる保持具の斜視図であって、ロック片が受領部に受領されていない状態(非ロック状態)を示す図、図2は、図1に示す保持具の正面図、図3は、図2に示す保持具の右側面図、図4は、図2に示す保持具の左側面図、図5は、図2に示す保持具の平面図、図6は、図2に示す保持具の底面図、図7は、図1に示す保持具の正面図であって、ロック片が受領部に受領されている状態(ロック状態)を示す図、図8は、図1に示す保持具を対象物であるシャーシに固定する途中の状態を一部断面として示す正面図、図9は、図1に示す保持具をシャーシに固定した状態を一部断面として示す正面図、図10は、図8及び図9に示すシャーシに形成された係合穴の平面図、図11は、図9に示すXI−XI線に沿った断面図、図12は、図9に示す保持具のロック片を受領部に受領させた状態(ロック状態)を示す図、図13は、図12に示すXIII−XIIIに沿った断面図、図14は、図12に示す保持具の左側面図、図15は、図12に示す保持具に長尺体を保持させた状態を示す図である。
【0026】
なお、前記各図では、説明を判り易くするため、各部材の厚さやサイズ、拡大・縮小率等は、実際のものとは一致させずに記載した。また、本実施の形態では、保持具を対象物としてのシャーシに固定する際に、シャーシに向かう方向を「下」、シャーシから離れる方向を「上」として説明する。
【0027】
図1〜図15に示すように、本実施の形態にかかる保持具1は、全体が樹脂から形成されており、例えば、電線や細長い部品等の長尺体100(図15参照)を保持する保持部10と、保持部10の底面に配設され、保持部10を対象物としてのシャーシ200に形成された係合穴201(図8〜図15参照)に挿脱可能に挿入され、保持部10をシャーシ200に着脱可能に固定する取付部50とを備えて構成されている。
【0028】
保持部10は、ベース11と、ベース11の一端に連続して形成され、ベース11と共に長尺体100を挟持する挟持部20と、挟持部20の自由端に形成されたロック片30とを備えている。
【0029】
ベース11は、保持具1がシャーシ200に取付けられた際に、シャーシ200の表面とほぼ平行となる面を有し、挟持部20が形成されている端部とは反対側の端部(以下、こちら側をベースの「先端」という)には、ロック片30を受領して着脱可能にロックする受領部12が形成されている。この受領部12には、特に図5に示すように、平面視で略四角形を備え、ロック片30を抜脱可能に挿入する挿入穴13が下方に向けて貫通形成されている。この挿入穴13を画定する壁部のうち、ベース11の先端側に位置する壁部の上端部には、後に詳述するロック片30に形成された略鉤型状のロック爪31が係止される係止部15が形成されている。
【0030】
挟持部20は、ベース11に上方に向けて立設された立設部21と、立設部21の上端(ベース11から離れた端部)から略垂直に屈曲された挟持片22とを備えている。立設部21は、ベース11の一端に連続的に形成された第1の立設部23と、第1の立設部23の上端に連続的に形成されたヒンジ部24と、ヒンジ部24の上端に連続的に形成された第2の立設部25とを備えている。ヒンジ部24は、第1の立設部23及び第2の立設部25よりも肉薄に形成されており、第2の立設部25は、ヒンジ部24を介して第1の立設部23に対し回動可能となる。
【0031】
挟持片22は、図2、図7〜図9等に示すように、正面視で略L字状を有し、略L字状を画定する屈曲部を挟んで第2の立設部25側となる第1の挟持片27と、前記屈曲部を挟んでロック片30側となる第2の挟持片28から構成されている。第1の挟持片27は、ロック片30を受領部12に受領してロックした際に、ベース11に対向配置され、第2の挟持片28は、ロック片30を受領部12に受領してロックした際に、立設部21に対向配置される。
【0032】
なお、本実施の形態では、ヒンジ部24の位置(高さ)が、受領部12に形成された挿入穴13の上縁端の位置(高さ)とほぼ一致するように構成した。また、後に詳述するが、保持部10によって画定される長尺体100を保持するための空間のサイズは、第2の立設部25の長さと、第2の挟持片28の長さを変更することで任意に決定することができる。したがって、ヒンジ部24の位置を変更することなく、前記空間のサイズを変更することができるため、当該空間のサイズに応じて、ヒンジ部24と挿入穴13の上縁端とが異なった高さになることがない。このため、挿入穴13にロック片30を挿入する際に、ロック片30の方向が斜めになったりすることがなく、ロック片30を最適な方向から受領部12に受領させることができ、ロック片30をスムーズに受領させる(挿入する)ことができる。
【0033】
ロック片30は、第2の挟持片28の先端に連続的に形成されており、挟持片22よりも肉薄に形成されている。このロック片30は、図2、図7〜図9等に示すように、正面視で弾性屈曲部32を頂点とした略V字状に形成され、その先端には、弾性屈曲部32を支点として屈曲角度が小さくなる方向にロック片30を屈曲させるための操作部33が形成されている。また、ロック片30の、弾性屈曲部32と操作部33との略中間位置には、受領部12に形成された係止部15に係止されるロック爪31が形成されている。そして、ロック片30は、受領部12に形成された挿入穴13に挿入されて受領部12に受領されると、後に詳述する取付部50の構成要素である第1の係合脚部51と第2の係合脚部52との間に位置することになる。(図13参照)。
【0034】
取付部50は、ベース11に形成された受領部12の側壁のうち、受領部12に形成された係止部15の長手方向両側となる側壁から下方に向けて延出された第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52と、ベース11の底面から下方に向けて延出され且つ第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52よりも第1の立設部23側に位置する第3の係合脚部53と、ベース11の底面から下方に向けて延出され且つ第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52と、第3の係合脚部53との間に位置する係止部55と、ベース11の底面から斜め下方に向けて延出され且つ第1の係合脚部51第2の係合脚部52よりも先端側に位置する当接片56と、ベース11の底面から斜め下方に向けて延出され且つ第3の係合脚部53よりも第1の立設部23側に位置する当接片57とを備えている。
【0035】
第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52は、互いに所定の間隔をおいて対向配置されており、互いに近づく方向に傾斜するように弾性変形可能な薄板状を備えている。第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52の各々の自由端(下端)には、略鉤型状の係合爪61及び62が各々外側に向けて形成されている。したがって、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52が、シャーシ200に形成された係合穴201に挿入された際、係合爪61及び62は、係合穴201を画定する縁部に向けられることになる。これらの係合爪61及び62の前記縁部に対向した面は、下端から上端に向けて徐々に当該縁部に近づくテーパ面となっている。
【0036】
なお、第1の係合脚部51の第2の係合脚部52が配設される側とは反対側の面51Aから、第2の係合脚部52の第1の係合脚部51が配設される側とは反対側の面52Aまでの距離は、係合穴201の幅W(図10及び図11参照)よりも若干長く設計されており、第1の係合脚部51と第2の係合脚部52が係合穴201に挿入される際は、第1の係合脚部51と第2の係合脚部52が互いに近づく方向に向けて弾性変形し、挿入された後は、弾性復元して面51A及び面52Aが、係合穴201を画定する縁部を各々押圧すると共に、係合爪61及び62がシャーシ200に係合するようになっている。また、前記係合を解除して、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52を係合穴201から取外す場合は、面52A及び52Bを指等で摘んで軽く押すことで、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52を互いに近づく方向に向けて弾性変形させればよい。したがって、面52A及び52Bは、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52を互いに近づく方向に向けて弾性変形させるための押圧操作部を構成することになる。
【0037】
また、第1の係合脚部51の面51Aとは反対側の面51Bと、第2の係合脚部52の面52Aとは反対側の面52Bとの距離は、ロック片30が、受領部12に形成された挿入穴13に挿入された際に、ロック片30が面51B及び52Bの両方に当接し、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52を互いに離れる方向に押圧可能な距離に設定されている。したがって、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52がシャーシ200に形成された係合穴201に挿入されており、且つロック片30が受領部12に受領されている際は、第1の係合脚部51の面51Bと第2の係合脚部52の面52Bが、係合穴201を画定する縁部を押圧し、係合爪61及び62とシャーシ200との係合を確実に維持することができる。
【0038】
第3の係合脚部53は、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52に向けて傾斜するように弾性変形可能な薄板状を備えている。第3の係合脚部53の自由端(下端)には、略鉤型状の係合爪63が外側(第1の係合脚部51の第2の係合脚部52から離れる方向)に向けて形成されている。したがって、第3の係合脚部53が、シャーシ200に形成された係合穴201に挿入された際、係合爪63は、係合穴201を画定する縁部に向けられることになる。
【0039】
なお、第3の係合脚部53の第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52が配設される側とは反対側の面53Aから、第1の係合脚部51の先端面(あるいは第2の係合脚部52の先端面)までの距離は、係合穴201の長さL(図10及び図11参照)よりも若干長く設計されており、第3の係合脚部53が係合穴201に挿入される際は、第3の係合脚部53が、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52に近づく方向に向けて弾性変形し、挿入された後は、弾性復元して面53Aが、係合穴201を画定する縁部を押圧すると共に、係合爪63がシャーシ200に係合するようになっている。
【0040】
なお、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53のサイズや配設位置等は、保持具1が固定されるシャーシ200に予め形成されている穴(係合穴201)の形状やサイズによって決定することができる。したがって、シャーシ200に予め穴が形成されている場合には、その穴を係合穴201として使用することもでき、この場合は、シャーシ200に保持具1を固定するための係合穴201を積極的に形成する必要がない。
【0041】
係止部55は、第3の係合脚部53が第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52に向けて傾斜するように弾性変形した際に、第3の係合脚部53に当接し、第3の係合脚部53がこれ以上傾斜すること(弾性変形すること)を阻止するデッドストップの役割を果たすものである。
【0042】
当接片56及び57は、ベース11に連続形成される基点よりも下端(先端)が外側に位置するように且つ若干外側に湾曲して斜め下方に向けて延出されている。これらの当接片56及び57は、保持具1がシャーシ200に固定された際に、先端がシャーシ200の上面に当接し、これによって応力を受けて撓む(弾性変形する)サイズを有している。したがって、保持具1がシャーシ200に固定された際には、弾性復元力により元の形状に戻ろうとする力が、当接片56及び57に働くため、当接片56及び57は、常にシャーシ200に圧接することになる。
【0043】
次に、本実施の形態にかかる保持具1の具体的動作について説明する。なお、保持具1が固定されるシャーシ200には、保持具1を固定するための係合穴201が貫通形成されている。
【0044】
保持具1をシャーシ200に固定するには、先ず、図8に示すように、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53の各々の先端に形成されている係合爪61〜63を、係合穴201を画定している縁部に合わせて、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53を係合穴201内に押し込む。この時、係合爪61〜63のテーパ面が、当該縁部に沿って滑り、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53が押圧され、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52が互いに近づく方向に傾斜するように弾性変形し、第3の係合脚部53が、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52に近づく方向に傾斜するように弾性変形するため、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53を係合穴201内に簡単に挿入することができる。
【0045】
この挿入時に、第3の係合脚部53が係止部55に当接した場合は、第3の係合脚部53は係止部55に係止されて、これ以上傾斜すること(弾性変形すること)が阻止される。したがって、第3の係合脚部53が限界を越えて弾性変形することがないため、第3の係合脚部53の弾性変形及び弾性復元の寿命を向上させることができる。また、第1の係合脚部51と第2の係合脚部52が当接した場合は、お互いが係止し合い、これ以上傾斜すること(弾性変形すること)が阻止される。したがって、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52が限界を越えて弾性変形することがないため、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52の弾性変形及び弾性復元の寿命を向上させることができる。
【0046】
なお、この挿入時には、第1の係合脚部51の面51Aと第2の係合脚部52の面52Aを指等で摘んで軽く押し、第1の係合脚部51及び第2の係合脚部52を互いに近づく方向に向けて弾性変形させてもよい。
【0047】
次に、係合爪61〜63が係合穴201を貫通すると、図9に示すように、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53が弾性復元して、面51A〜53Aの各々が係合穴201を画定する縁部に当接して押圧すると共に、係合爪61〜63の各々がシャーシ200の底面に係合する。この時、係合穴201を画定する縁部は、面51A、面52A、面53Aの3点で当接され、且つ、シャーシ200は、係合爪61、係合爪62と、これらの係合爪61及び62とは約90度ずれた方向に突出した係合爪63の3点で係合されるため、保持具1は、安定した状態でシャーシ200に固定される。また、同時に、当接片56及び57がシャーシ200の上面に当接して撓み、その弾性復元力により元の形状に戻ろうとする力が働くため、当接片56及び57は、常にシャーシ200に圧接するため、保持具1は、より安定した状態でシャーシ200に確実に固定される。
【0048】
次に、図9に示す状態の保持部10に複数の長尺体を載置し、ヒンジ部24を支点として、第2の立設部25からロック片30までを構成する部分を、保持部10が閉じる方向に回動させ、図15に示すようにロック片30を、受領部12に形成された挿入穴13に挿入する。挿入穴13に挿入されたロック片30は、ロック爪31が係止部15に係止されて挿入穴13から抜けないようにロックされる。この時、ヒンジ部24の高さと、挿入穴13の上縁端の高さが略同一であるため、挿入穴13にロック片30を挿入する際に、ロック片30の方向が斜めになったりすることがなく、ロック片30を挿入穴13に最適な方向から挿入することができる。したがって、ロック作業をスムーズに行うことができる。
【0049】
また、このようにして受領部12に受領されたロック片30は、図13に示すように、第1の係合脚部51と第2の係合脚部52との間に挿入され、面51B及び52Bの両方に当接し、第1の係合脚部51と第2の係合脚部52を互いに離れる方向に押圧(すなわち、係合穴201を画定する縁部に押圧)し、且つ、係合爪61及び62とシャーシ200との係合を確実に維持することになる。
【0050】
次に、ロック片30を受領部12から抜脱する際は、操作部33を指等で摘んで弾性屈曲部32を支点として屈曲角度が小さくなる方向にロック片30を屈曲させれば、係合爪31と係止部15との係合が解除され、ロック片30を受領部12から簡単に抜取ることができる。なお、ロック片30が受領部12に受領されていない(ロック状態でない)場合であっても、保持具1は、前述したように、面51A、面52A、面53Aが係合穴201を画定する縁部に当接し、係合爪61〜63がシャーシ200の底面に係合すると共に、当接片56及び57がシャーシ200の上面に当接しているため、保持具1がシャーシ200から不意に外れることが防止される。
【0051】
また、シャーシ200から保持具1を取外す際は、第1の係合脚部51の面51Aと第2の係合脚部52の面52Aを指等で摘んで第1の係合脚部51と第2の係合脚部52を互いに近づく方向に傾くように弾性変形させれば、第1の係合脚部51と第2の係合脚部52を係合穴201から簡単に取外すことができる。
【0052】
なお、保持具1は、さらに多数の長尺体や大きな径の長尺体を保持部10に保持させるため、保持部10が画定する内部空間を大きくする場合は、図16及び図17に示すように、第2の立設部25の長さと、第2の挟持片28の長さを長くすればよい。したがって、図16及び図17に示す保持具1であっても、ヒンジ部24と、受領部12に形成された挿入穴13の上縁端の高さは、図1〜図15に示す保持具1と同じにしておくことができる。このため、保持部10が画定する内部空間を大きくした場合であっても、ロック片30を挿入穴13にスムーズに挿入させることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、図2、図7〜図9等に示すように、第1の挟持片27をベース11に対し略垂直にした際に、ヒンジ部24が斜めに配設される構成としたが、これに限らず、本発明にかかる保持具1は、例えば、図18に示すように、ヒンジ部24を第1の立設部23と同じ角度(図18の場合は、ベース11に対して略垂直)で配設してもよい。この場合も、図18及び図19に示すように、ヒンジ部24と受領部12に形成された挿入穴13の上縁端の高さをほぼ同一にすることができ、ロック片30を挿入穴13にスムーズに挿入させることができる。
【0054】
そしてまた、本実施の形態では、図10に示すように、シャーシ200に形成される係合穴201が平面視で略長方形の場合について説明したが、これに限らず、本発明にかかる保持具1は、第1の係合脚部51、第2の係合脚部52及び第3の係合脚部53のサイズや配設位置等を、係合穴201の形状やサイズによって決定することができるため、係合穴201の形状は、例えば、図20に示すように、平面視で略T字状であってもよい。また、係合穴201は、所望により他の形状であってもよい。
【0055】
さらにまた、本発明にかかる保持具は、取付部50を他の形状の保持部に取付けた構成を有していてもよく、保持部10に他の形状の取付部を取付けた構成を有していてもよいことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の実施の形態にかかる保持具の斜視図であって、ロック片が受領部に受領されていない状態(非ロック状態)を示す図である。
【図2】図1に示す保持具の正面図である。
【図3】図2に示す保持具の右側面図である。
【図4】図2に示す保持具の左側面図である。
【図5】図2に示す保持具の平面図である。
【図6】図2に示す保持具の底面図である。
【図7】図1に示す保持具の正面図であって、ロック片が受領部に受領されている状態(ロック状態)を示す図である。
【図8】図1に示す保持具を対象物であるシャーシに固定する途中の状態を一部断面として示す正面図である。
【図9】図1に示す保持具をシャーシに固定した状態を一部断面として示す正面図である。
【図10】図8及び図9に示すシャーシに形成された係合穴の平面図である。
【図11】図9に示すXI−XI線に沿った断面図である。
【図12】図9に示す保持具のロック片を受領部に受領させた状態(ロック状態)を示す図である。
【図13】図12に示すXIII−XIIIに沿った断面図である。
【図14】図12に示す保持具の左側面図である。
【図15】図12に示す保持具に長尺体を保持させた状態を示す図である。
【図16】本発明の他の実施の形態にかかる保持具の、ロック片が受領部に受領されていない状態(非ロック状態)を示す正面図である。
【図17】図16に示す保持具に長尺体を保持させ、ロック片を受領部に受領させた状態(ロック状態)を示す図である。
【図18】本発明の他の実施の形態にかかる保持具の、ロック片が受領部に受領されていない状態(非ロック状態)を示す正面図である。
【図19】図18に示す保持具のロック片を受領部に受領させた状態(ロック状態)を示す図である。
【図20】本発明の他の実施の形態にかかるシャーシに形成された係合穴の平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 保持具
10 保持部
11 ベース
12 受領部
13 挿入穴
20 挟持部
21 立設部
22 挟持片
30 ロック片
50 取付部
51 第1の係合脚部
52 第2の係合脚部
53 第3の係合脚部
55 係止部
56、57 当接片
61、62、63 係合爪
100 長尺体
200 シャーシ
201 係合穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺体を保持する保持部と、当該保持部の底面に配設された取付部とを備え、当該取付部を対象物に形成された係合穴に挿入した際に、当該取付部が前記対象物に係合し、当該対象物に固定される保持具であって、
前記保持部は、ベースと、当該ベースに配設され、該ベースと共に前記長尺体を挟持可能な挟持部と、当該挟持部の自由端に形成されたロック片と、を有し、前記ベースには、前記ロック片を受領して当該ロック片を着脱可能にロックする受領部が形成されてなり、
前記取付部は、前記対象物に固定される際に、前記受領部から当該対象物に近づく方向に延出され且つ互いに所定の間隔をおいて対向配置された第1の係合脚部及び第2の係合脚部と、前記ベースから当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部の延出方向に延出された第3の係合脚部と、を有し、当該第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部の各々の自由端には、前記係合穴に挿入された際に、当該係合穴を画定する縁部側となる方向に突出する係合爪が形成されており、前記第3の係合脚部に形成された係合爪は、前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成された係合爪とは異なった方向に突出してなり、
前記第1の係合脚部、第2の係合脚部及び第3の係合脚部は、弾性変形することにより前記係合穴に挿入され、弾性復元することにより前記係合爪を前記対象物に係合させ、当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部は、前記受領部に前記ロック片を受領させた際に、当該ロック片に押圧されて前記係合穴を画定する縁部に当接し、前記係合をロックする保持具。
【請求項2】
長尺体を保持する保持部と、当該保持部の底面に配設された取付部とを備え、当該取付部を対象物に形成された係合穴に挿入した際に、当該取付部が前記対象物に係合し、当該対象物に固定される保持具であって、
前記保持部は、ベースと、当該ベースに配設され、該ベースと共に前記長尺体を挟持可能な挟持部と、当該挟持部の自由端に形成されたロック片と、を有し、前記ベースには、前記ロック片を受領して当該ロック片を着脱可能にロックする受領部が形成されてなり、
前記挟持部は、前記ベースから立設された立設部と、当該立設部の当該ベースから離れた端部から略垂直に屈曲して形成された挟持片と、を有し、前記立設部は、前記ベースに設けられた第1の立設部と、前記挟持片が設けられた第2の立設部と、当該第1の立設部と第2の立設部とを接続するヒンジ部と、を備えてなり、
前記取付部は、前記対象物に固定される際に、前記受領部から当該対象物に近づく方向に延出され且つ互いに所定の間隔をおいて対向配置された第1の係合脚部及び第2の係合脚部を有し、当該第1の係合脚部及び第2の係合脚部の各々の自由端には、前記係合穴に挿入された際に、当該係合穴を画定する縁部側となる方向に突出する係合爪が形成されてなり、
前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部は、弾性変形することにより前記係合穴に挿入され、弾性復元することにより前記係合爪を前記対象物に係合させ、前記受領部に前記ロック片を受領させた際に、当該ロック片に押圧されて前記係合穴を画定する縁部に当接し、前記係合をロックする保持具。
【請求項3】
前記取付部は、前記ベースから前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部の延出方向に延出された第3の係合脚部をさらに備え、当該第3の係合脚部の自由端には、前記係合穴に挿入された際に、当該係合穴を画定する縁部側となる方向且つ前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部に形成された係合爪とは異なった方向に突出する係合爪が形成されてなり、
前記第3の係合脚部は、弾性変形することにより前記係合穴に挿入され、弾性復元することにより当該第3の係合脚部の自由端に形成された係合爪を前記対象物に係合させる請求項2記載の保持具。
【請求項4】
前記取付部は、前記ベースから前記第3の係合脚部の延出方向に延出され且つ当該第3の係合脚部の係合爪が形成されている側とは反対側に、当該第3の係合脚部と所定の間隔をおいて配設され、前記第3の係合脚部が弾性変形した際に、当該第3の係合脚部を係止可能な係止部をさらに備えた請求項1または請求項3記載の保持具。
【請求項5】
前記ベースから前記ヒンジ部までの高さと、ベースから前記受領部の前記ロック片を受領する入口端までの高さが、略同一である請求項2または請求項3記載の保持具。
【請求項6】
前記第1の係合脚部及び第2の係合脚部の各々に、当該第1の係合脚部と第2の係合脚部を互いに近づく方向に押圧可能な押圧操作部を形成してなる請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の保持具。
【請求項7】
前記取付部は、前記対象物に固定される際に、前記ベースから当該対象物に近づくよう傾斜して延出され且つ当該対象物の当該ベースと対向する面に当接する当接片をさらに備え、前記係合爪と当該当接片によって前記対象物を挟持する請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−68562(P2009−68562A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−235864(P2007−235864)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(000226507)株式会社ニックス (96)
【Fターム(参考)】