説明

保湿持続化粧用組成物

保湿を必要とする皮膚に適用したときに長時間にわたって皮膚保湿効果を提供する化粧用組成物を提供する。前記組成物は、化粧品として又は皮膚科的に許容可能な担体と組み合わせて、皮膚の保湿に十分な量の気生植物の抽出物を含む。また、長時間にわたって皮膚保湿効果を提供するための方法も提供する。前記方法は、皮膚保湿効果を必要とする皮膚に、皮膚の保湿に十分な量の気生植物の抽出物を化粧品として又は皮膚科的に許容可能な担体と組み合わせて含む組成物を適用することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/176,970号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、皮膚に局所適用するための化粧用処方物に関する。より詳細には、本発明は、スキンケア組成物に関し、特に、皮膚を絶えずコンディショニングし、水分を補給し、及び保湿することによりその製品を身につけている間1日中皮膚のモイスチャーバランスを維持するスキンケア組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ハリのある滑らかな皮膚は、若々しくて魅力的な外見に貢献する。日光によるダメージ、喫煙及び加齢により引き起こされる皮膚の皺及び小皺は、人の外見を老けさせる。脂肪、コラーゲン及びヒアルロン酸等の、注入可能な軟組織皮膚/皺充填剤(injectible soft tissue skin and wrinkle fillers)を使用して組織のボリュームを増やして小皺を減らすことにより全体的に滑らかでハリのあるように皮膚の外見を良くすることはできるが、多くの消費者は、この皮膚にハリを与えるレジメンを用いるのに伴う費用及び不快感を望まない。さらに、皮膚を加齢させない術はないため、恩恵を維持するためにはこれらの処置を繰り返し行う必要がある。
【0004】
他のスキントリートメントとしては、外用レチノイド等の薬物の使用や、皮膚切除術(dermabrasion)、マイクロクリスタルピーリング(microdermabrasion)、レーザー、ケミカルピーリング、ボトックス及びフェイスリフト等の外科的手法が挙げられる。また、多くの消費者は、一般用医薬品(nonprescription)又は化粧品の皺対策用クリームに頼っている。このようなクリームの効果は、レチノール、ヒドロキシ酸、ペプチド、抗酸化剤等の有効成分に依存している。化粧品は医療用製剤(prescription formulation)に比べてこれらの有効成分を低濃度でしか含まないので、皺の深さ及び皮膚の滑らかさにおいて見られる実際の改善は、それほど大きなものではない。
【0005】
多くの消費者は、より滑らかで若々しい外見を作り出すために皺や小皺を外見だけでも少なくしようと、例えばファンデーションやパウダーなどのメイクアップ製品にも頼っている。これらのメイクアップ製品の多くは、使い続けることにより長時間の効果が得られると主張されている成分を含む。にもかかわらず、特に化粧用粉末は、皮膚のコンディショニング及び水分補給を行い皮膚の水分量を快適なレベルに維持することは知られていなかった。実際に、粉末は、皮膚に適用されると、粉末によって皮膚が窮屈な感じがしたり、マスクをつけたような感じを与えるため、典型的には、消費者には、粉末が皮脂と共に皮膚の水分を吸着しているように感じられる。時間が経つと、皮膚は乾きがちになり、皺や小皺ができやすくなる。皮膚を持続的にコンディショニングする、例えば皮膚を保護し、水分を補給し、及び/又は保湿することにより皺が発生するのを遅らせ、そして皮膚の外見を若々しく保つファンデーションの形態等の化粧用粉末を提供することが望ましい。また、つけて直ぐに且つ時間が経っても皮膚を保護し、水分補給し及び/又は保湿する感じがするスキンコンディショニングパウダーを提供することも望ましい。さらに、つけて直ぐに且つ時間が経っても、皮膚に滑らかで、しなやかで、若返った感触を残すスキンコンディショニングパウダーを提供することが望ましい。また、つけて直ぐに且つ時間が経っても、皮膚にハリのある感触を残すがマスクのようなものではないスキンコンディショニングパウダーを提供することも望ましい。天然成分を用いてこれらの結果を達成することが望ましい。本発明は、すばやく皮膚を保湿するために、スキンコンディショニングに十分な量の、しばしば「気生植物(air plant)」と呼ばれる着生植物の抽出物を粉末組成物中に組み込むことによって、これらの望ましい結果を達成するものである。
【0006】
着生植物は、生きている植物もしくは宿主の上で成長する又はこれらに付着している生物である。着生植物(epiphytes or epiphatic plants)は、土に根をおろさないので、全ての植物の中でも最も面白いものの中の1つである。これらの生物は、その宿主から物理的なサポートを得るだけであって栄養は奪わない。着生植物は、エネルギーを得るために光合成を行い、非水生形態のものは、その宿主の表面上で、空気中から水分(即ち雨や雲の水分からの湿気)を得る。根は主に宿主にくっつくために発達し、カップやスケール等のようなその特殊な構造は、水分を集めたり保持するために用いられる。栄養は、毛状突起(trichome)と呼ばれる構造によってその根や葉の中に捕らえられる雨水の養分や腐敗物(decomposing matter)(主に葉や虫の死骸)から得る。更に、稲妻によって空気中に生じた窒素を着生植物が吸収する。最もよく知られている着生植物としては、蘚類、ラン、及び(チランジア(Tillandsia)属の)スパニッシュモス等のアナナス類が挙げられる。チランジアの一般名としては、気生植物、ボールモス(ball moss)(T.レクルバータ(T. recurvata))、及びスパニッシュモスが挙げられ、後者は特にT.ウスネオイデス(T. usneoides)と呼ばれる。気生植物の抽出物を取り込んだ本発明のスキンケア組成物が、皮膚にほぼ即時且つ継続的にコンディショニングを送達し、ファンデーションをつけている間1日中皮膚のモイスチャーバランスを維持することが分かった。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、皮膚に適用したときにスキンコンディショニング効果を提供する化粧用組成物を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、皮膚に適用したときに長時間にわたりスキンコンディショニング効果を提供するスキンコンディショニング化粧用組成物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、皮膚に適用したときに長時間にわたりスキンコンディショニング効果を提供するスキンコンディショニング化粧用粉末組成物を提供することである。
【0010】
本発明の更に他の目的は、より長時間にわたり皮膚のコンディショニングを行うための方法であって、長時間にわたりスキンコンディショニングを必要とする皮膚に、スキンコンディショニング化粧用粉末組成物を適用することを含む上記方法を提供することである。
【0011】
これらの目的、及び以下の詳細な説明において明らかにされる他の目的は、本発明によって、化粧品としてもしくは皮膚科的に許容可能な担体の中に、スキンコンディショニングに十分な量の気生植物の抽出物を含む、スキンコンディショニング組成物を提供することにより、達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】乾いたナイロンスポンジを用いて組成物の各々を皮膚に適用した場合の、本発明のパウダーファンデーション組成物を用いて皮膚で得られた保湿レベルを、市販製品と比較して表すグラフを示す図である。
【図2】水で湿らせたナイロンスポンジを用いて組成物の各々を皮膚に適用した場合の、本発明のパウダーファンデーション組成物を皮膚に適用した後の皮膚で得られた保湿レベルを、市販製品と比較して表すグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。
【0014】
皮膚は、幾つもの組織層からなる器官であって、その一番外側の層は角質層である。角質層の下には基底層があり、基底層の下には真皮がある。皮膚は体を保護し、水分リザーバ(moisture reservoir)として機能する。角質化した細胞、多糖類、及び脂質からなる角質層は、水分バリアとして機能し、皮膚の中に水分を保持している。水分は、皮膚の適切なコンディション及び外観を保つのに重要である。皮膚の中の水分量は、その皮膚が水分を拘束する(bind)能力、皮膚の内部層から水分が供給される速度、及び水分が蒸発により失われる速度に依存する。スキンコンディショニング剤を含む、種々の化粧品として許容可能な基剤(base)の中に水分を組み込むことによって、その化粧用組成物が皮膚に適用されたとき、皮膚への水分供給能力及び皮膚による水分の取り込み能力が改善される。スキンコンディショニング剤としては、皮膚の表面を滑らかにして皮膚が柔らかくてすべすべに見えるようにする皮膚軟化剤(emollient)、有害なもしくは不快な(annoying)刺激から傷ついた又はむき出しの皮膚を一時的に保護してこのような皮膚の痛みを軽減するような皮膚保護剤(skin protectant)、皮膚の表面にバリアを形成することによって皮膚から水分が失われる速度を遅らせる閉塞剤(occlusive)、周囲の空気から水分を引き寄せることによって皮膚の最上層の水分含量を高めて皮膚の中に水分を維持する保湿剤(humectant)、ならびにフレーキングを低減したり順応性を回復させたりすることによって乾燥した皮膚やダメージを受けた皮膚の外見をよくするその他様々なスキンコンディショニング剤が挙げられる。
【0015】
典型的には、化粧品中のスキンコンディショニング成分は、適用される製品の量に直接関連して機能する。しかし、皮膚の保湿に十分な量の気生植物の抽出物を含む本発明の化粧品は、皮膚に無限且つ継続的に水分補給を送達して、製品をつけている限り1日中、皮膚のモイスチャーバランスを維持することができる。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、気生植物の抽出物は、製品をつけている間は1日中、皮膚を滑らかにし、保護し、皮膚の外見をよくし、及び/又は皮膚に水分を引き寄せて皮膚の中に水分を維持するために、従来のスキンコンディショニング物質、すなわち皮膚軟化剤、皮膚保護剤、保湿剤等の特性の1以上を持ち合わせた天然のスキンコンディショニング剤として機能すると考えられる。
【0016】
例示目的のためだけであるが、本発明を、粉末化粧品、例えば顔の皮膚に局所適用するためのパウダーファンデーション、プレストパウダーもしくはルースパウダー、チーク(blush)もしくはアイシャドー等の無水もしくはほぼ無水タイプの粉末組成物の形態で説明する。「無水」もしくは「ほぼ無水」とは、このような粉末が、組成物全体の重量に対して最大で約1.0%の水分(0〜1.0%の間のあらゆる水分量を含む)を含み得ることを意味する。組成物中に水分が含まれる場合、好ましくは約0.01〜約0.8%の量で、より好ましくは約0.1〜0.5%(例えば約0.4%)の水分が存在する。本発明の好適な実施形態において、組成物は、粉末媒体(powder vehicle)の中にスキンコンディショニングに十分な量の気生植物の抽出物を含むパウダーファンデーションである。
【0017】
本発明の組成物中で有用な気生植物の抽出物の量は、粉末タイプであっても他のタイプの処方物であっても、組成物全体の重量に対して一般には約0.001〜約10%(この範囲内のあらゆる量を含む)の範囲内である。好ましくは気生植物の抽出物は、組成物全体の重量に対して0.01〜約5%の範囲内の量で組成物中に存存する。より好ましくは、この量は、組成物全体の重量に対して約0.2〜約2%の範囲内(例えば組成物全体の重量に対して約0.2〜約1%の範囲内、例えば約0.4%)である。好ましくは、気生植物の抽出物は、チランジア・ウスネオイデス(T. usneoides)から得られる。
【0018】
粉末成分は、組成物全体の重量に対して約80〜約99%の範囲の量(この範囲内のあらゆる量を含む)で、より好ましくは組成物全体の重量に対して約85〜約95%の範囲内で(例えば組成物全体の重量に対して約85%の量で)組成物中に存在する。本発明の組成物中で使用するのに適した粉末としては、マイカ及び二酸化チタンが挙げられる。マイカ粒子の層は、光を反射して、より滑らかで、より柔らかく、より輝いた皮膚に見えるような錯覚を作り出す。はっきりした皺が目立たなくなり、皮膚のきめがより均一に見える。またマイカは、自然な光沢を持った透き通るように透明感のあるものであり、使用者の自然な皮膚のトーンが透き通るようにする。二酸化チタンは、物理的サンスクリーン剤としても機能する天然の顔料である。
【0019】
また粉末成分は、例えば酸化鉄等の顔料などの1以上の着色料も含み得る。着色料が存在する場合、組成物全体の重量に対して約0.01〜約30%の範囲内の量(この範囲内のあらゆる量を含む)、好ましくは約0.1〜約20%の量で、及びより好ましくは約1〜約10%の範囲内の量(例えば約1.5〜約5%の範囲内の量、例えば約2%)で、組成物中に存在する。
【0020】
また本発明のパウダーファンデーション組成物は、ナイロン-12、オキシ塩化ビスマス、メチコン、ジメチコン等のソフトフォーカスパウダー、ミリスチン酸亜鉛、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル(caprylic/capric triglyceride)、ジメチコン/ビニルジメチコン・クロスポリマー等の滑り改善剤(slip modifier)、水酸化アルミニウム等の乳白剤、シリカ等の不透明化剤(mattifying agent)、セスキイソステアリン酸ソルビタン等の界面活性剤や乳化剤も含み得る。
【0021】
粉末処方物であっても他の形態であっても、本発明の組成物は更に、皮膚軟化剤、皮膚保護剤、閉塞剤、その他様々なスキンコンディショニング剤、及び保湿剤等を含む、1以上の追加的なスキンコンディショニング剤を含み得る。保湿、皮膚軟化又はスキンコンディショニング剤の例としては、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、フルオロ(C9-15)アルコールリン酸(C9-15 fluoroalcohol phosphate)、イソノナン酸イソトリデシル、ヒアルロン酸、グリセリン、尿素、トレハロース等が挙げられるがこれらに限定されない。本発明の組成物中で使用できる保湿剤の非限定的な例としては、グリセリン、エチルヘキシルグリセリン、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素、乳酸等が挙げられる。本発明の好適な実施形態において、グリセリンは、グリセリンが粉末処方物全体に行き渡るように、カプセル化された形態で提供される。本発明の特に好適な実施形態において、カプセルは、シルクプロテイン及びシリコーンオイル含有カプセル(例えばシルクプロテイン成分がトリメチルシリル加水分解シルクPG-プロピルメチルシランジオール・クロスポリマーであるようなもの)である。カプセル化されたグリセリンを含む粉末組成物が皮膚に適用されると、カプセルが破れて、組成物全体にシルクペプチド及びグリセリンが均質に分散される。本発明の粉末組成物中で使用される場合、カプセル化された保湿剤は、約0.06〜約15%の範囲内の量(この範囲内のあらゆる量、例えば約0.06%〜約7.5%等も含む)で存在する。本発明の1つの実施形態において、カプセル化された保湿剤(即ちカプセル物質と保湿剤を合わせた合計重量)は、組成物全体の重量に対して約1.3%の量で存在する。本発明の他の実施形態において、カプセル化された保湿剤は、組成物全体の重量に対して約6.5%の量で存在する。
【0022】
本発明の粉末処方物において、追加的なスキンコンディショニング剤は、組成物全体の重量に対して約0.0001〜約15重量%の範囲内の量(この範囲内のあらゆる量、例えば約0.01〜約10重量%、例えば約0.1〜約5重量%等を含む)で存在し得る。組成物がローション、クリーム、クレンジング剤等の形態である場合、追加的なスキンコンディショニング剤は、本発明の組成物中において、組成物全体の重量に対して約0.001〜約60%の量(この範囲内のあらゆる量、例えば約0.5〜約50%、例えば約10〜約40%等を含む)で存在し得る。
【0023】
シリコーン等のオイル及びオイル関連成分は、本組成物中に、約1〜90%の範囲内の量(この範囲内のあらゆる量、例えば約65〜約80%の範囲内の量等を含む)で存在し得る。本発明の粉末処方物中において、オイル及びオイル関連成分の量は、組成物全体の重量に対して約1〜約20重量%の範囲内(この範囲内のあらゆる量、例えば約3〜約15重量%の範囲、例えば約6重量%等を含む)であってよい。
【0024】
本発明の組成物は、粉末処方物中であってもその他の処方形態であっても、その他の化粧品成分、例えばビタミン類、コラーゲン合成もしくは血流促進剤、抗酸化剤、ふっくら成分(plumping agents)、抗皺成分もしくは皮膚にハリを与える成分、サンスクリーン剤、アンチエージング剤、皮膚の美白もしくは脱色素(depigmentation)剤、抗炎症剤、抗にきび剤、DNA修復剤、及び毛穴を小さくする成分等も含み得る。ビタミン類の例としては、ビタミンC及びビタミンEが挙げられる。コラーゲン合成もしくは血流促進剤の例としては、アルギニン、ノルウェイ産ケルブ(Ascophyllum nodosum)エキス、紅藻(Asparagopsis Armata)エキス、及びカフェイン等が挙げられるがこれらに限定されない。抗酸化剤の例としては、ノルジヒドログアイアレチン酸(nordihydroguaiaretic acid)、グレープシードエキス、及び緑茶葉エキス等が挙げられるがこれらに限定されない。ふっくら成分の例としては、サッカロミセス/キシリヌム(Saccharomyces/xylinum)/紅茶培養物、ハナスゲ(Anemarrhena asphodeloides)の根のエキス、及びヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられるがこれらに限定されない。抗皺剤の例としては、アセチルヘキサペプチド-8、パルミトイルオリゴペプチド、ジペプチドジアミノブチロイル、及びベンジルアミドジアセテート等が挙げられるがこれらに限定されない。皮膚にハリを与える成分の例としては、緑藻エキス(algae extract)、プルラン、スイートアーモンド種子エキス(sweet almond seed extract)、カルボマー、パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルテトラペプチド-7、及びコルクガシ(Quercus suber)エキス等が挙げられるがこれらに限定されない。サンスクリーン剤の例としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが挙げられる。アンチエージング剤の例としては、テプレノン、レスベラトロール三リン酸3Na、虎杖根(Polygonum cuspidatum root)エキス、及びホエイタンパク質等が挙げられるがこれらに限定されない。皮膚の美白剤又は脱色素剤の例としては、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルアミノプロピル、ソウハクヒエキス、オウゴンエキス、ブドウエキス、フェルラ酸、及びヒノキチオール等が挙げられるがこれらに限定されない。抗炎症剤の例としては、イワヒバ(spike moss)エキス、シールホイップ(seal whip)エキス、及び虎杖根エキス等が挙げられるがこれらに限定されない。抗にきび剤の例としては、サリチル酸、グリコール酸、及びラクトビオン酸等が挙げられるがこれらに限定されない。DNA修復剤の例としては、テトラヒドロキシシクロヘキサン酸アルキル(C1-C8)、ミクロコッカス溶解液、及びビフィズス菌発酵エキス等が挙げられるがこれらに限定されない。
【0025】
当業者であれば、本明細書の開示内容を、粉末以外の他の化粧品、例えば皮膚(顔の皮膚を含む)、まつげ、まゆげ及び毛髪等のケラチン性部位(keratinous material)に適用するためのローション、クリーム、クレンジングオイル、又はエッセンスもしくはセーラム(serum)等の可溶化ローション、エマルジョン、あるいは可溶化エマルジョン等で使用するために応用することができることは自明であろう。
【0026】
本発明は、粉末化粧品に関して記載されるが、当業者であれば、本発明がリップ製品、スキンケア製品、ヘアケア製品、及びクレンジング製品においても実施できることが理解できよう。
【0027】
本発明を、好適な実施形態に沿って説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく様々な変更及び改変を行うことが可能であることが分かるであろう。
【0028】
本発明を、以下の非限定的な例を参照しながらさらに説明していく。
【実施例1】
【0029】
パウダーファンデーション(BPK WT-17)
本発明のパウダーファンデーション組成物を、表1に記載した処方に従って調製する。
【表1】

【0030】
手法:第I相の成分をブレンドする。次に、第I相の成分に第II相の成分を別々に、かき混ぜながら徐々に加える。混合物が均質になったら、クラッシュして小さな粒子にする。
【実施例2】
【0031】
臨床試験
実施例1のパウダーファンデーションの保湿効果を、市販の乾きにくい(non-drying)パウダーファンデーション製品である、クリニークのダーマホワイトパウダー(DW)(その処方を以下表2に記載する)の効果と比較して評価するために、カスタマースタディーを行った。
【表2】

【0032】
25才〜39才の3名の女性パネリストが試験に参加する。
【0033】
試験のパートIでは、各パネリストに、本発明のパウダーファンデーション0.1gを顔の左側半分に、そして従来のファンデーション0.1gを顔の右側半分に、別々のナイロンスポンジを使って自分でつけてもらう。処方物は、湿らせたり下地を塗ったりしていない清潔な皮膚に直接つけてもらう。モイスチャーチェッカー(型番MY-707S、スカラ株式会社、日本製)を用いて、1時間毎に計8時間、頬骨のあたりの皮膚で皮膚の水分量のテストを行う。この器具は、皮膚の静電容量に比例する出力をパーセンテージで表示する。皮膚の保湿度は、増加した皮膚表面の水分含量の関数として測定される。皮膚の水分含量が高いほど、静電容量が高くそしてより皮膚が保湿されている。パートIの結果を図1に示す。図に示すように、本発明の組成物を水なし(dry)で適用した場合、従来のパウダーファンデーションと比較して8時間にわたり皮膚の保湿効果がより高いという結果が得られている。
【0034】
試験のパートIIは、パートIが完了した翌日に行った。水で湿らせた別々のスポンジを使ったこと以外はパートIと同じようにして、同じパネリストにファンデーションをつけてもらった。各スポンジに水を浸み込ませてからよく絞り、スポンジの中に約0.66gの水が残るように湿らせる。パートIIの結果(図2に示す)は、パートIの結果よりも更に劇的なものである。湿らせたスポンジを用いて本発明の組成物を適用した場合、従来のパウダーファンデーションと比較して8時間にわたり皮膚の保湿効果が高いという結果が得られただけでなく、乾いたスポンジを用いて本発明のパウダーファンデーションを適用した場合に見られた保湿レベルと比較して10%超も保湿効果を高める。
【実施例3】
【0035】
ローション
【表3】

【実施例4】
【0036】
エッセンス(セーラム)
【表4】

【実施例5】
【0037】
クリーム
【表5】

【実施例6】
【0038】
クレンジングオイル
【表6】

【0039】
これまでの記載及び実施例は、本発明の選ばれた実施形態を示すものである。当業者であれば、上記記載を参照して様々なバリエーションや修正を考えられ、それらは全て本発明の精神及び範囲内にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキンコンディショニングを必要とする皮膚に適用したときに長時間にわたってスキンコンディショニング効果を提供する化粧用組成物であって、スキンコンディショニングに十分な量の気生植物(air plant)の抽出物を化粧品として又は皮膚科的に許容可能な担体と組み合わせて含むことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
抽出物が、チランジア(Tillandsia)属由来のものであることを特徴とする、請求項1記載の化粧用組成物。
【請求項3】
抽出物が、チランジア・ウスネオイデス(T. usneoides)又はチランジア・レクルバータ(T. recurvata)由来のものであることを特徴とする、請求項2記載の化粧用組成物。
【請求項4】
組成物全体の重量に対して気生植物抽出物を約0.001〜約10重量%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項1記載の化粧用組成物。
【請求項5】
組成物全体の重量に対して気生植物抽出物を約0.01〜約5重量%の範囲内で含むことを特徴とする、請求項4記載の化粧用組成物。
【請求項6】
スキンコンディショニング効果が、皮膚軟化効果、皮膚保護効果、又は保湿効果のうちの1以上であることを特徴とする、請求項1記載の化粧用組成物。
【請求項7】
組成物が、粉末、ローション、クリーム、又はクレンジングオイルの形態であることを特徴とする、請求項1記載の化粧用組成物。
【請求項8】
粉末組成物が無水粉末組成物であることを特徴とする、請求項7記載の化粧用組成物。
【請求項9】
組成物全体の重量に対して約0.01〜約5重量%の範囲内の気生植物抽出物、及び約80〜約99重量%の粉末成分を含むことを特徴とする、請求項8記載の化粧用組成物。
【請求項10】
組成物全体の重量に対して追加的なスキンコンディショニング剤を約0.001〜約60重量%の範囲内の量で含むことを特徴とする、請求項1記載の化粧用組成物。
【請求項11】
組成物全体の重量に対して追加的なスキンコンディショニング剤を約0.01〜約15重量%の範囲内の量で含むことを特徴とする、請求項9記載の化粧用組成物。
【請求項12】
追加的なスキンコンディショニング剤が、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、フルオロ(C9-15)アルコールリン酸、イソノナン酸イソトリデシル、ヒアルロン酸、グリセリン、エチルヘキシルグリセリン、尿素、トレハロース、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素、及び乳酸のうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項10記載の化粧用組成物。
【請求項13】
追加的なスキンコンディショニング剤が、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、フルオロ(C9-15)アルコールリン酸、イソノナン酸イソトリデシル、ヒアルロン酸、グリセリン、エチルヘキシルグリセリン、尿素、トレハロース、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素、及び乳酸のうちの1以上を含むことを特徴とする、請求項11記載の化粧用組成物。
【請求項14】
長時間にわたって皮膚にスキンコンディショニング効果を提供するための方法であって、スキンコンディショニングを必要とする皮膚に、スキンコンディショニングに十分な量の気生植物の抽出物を化粧品として又は皮膚科的に許容可能な担体と組み合わせて含む組成物を適用することを含む、前記方法。
【請求項15】
気生植物の抽出物が、組成物全体の重量に対して約0.001〜約10重量%の範囲内の量で組成物中に存在することを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項16】
抽出物が、チランジア・ウスネオイデス又はチランジア・レクルバータ由来のものであることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項17】
組成物が粉末、ローション、クリーム又はクレンジングオイルの形態であることを特徴とする、請求項14記載の方法。
【請求項18】
粉末が無水の粉末であり、効果が皮膚保湿効果であることを特徴とする、請求項17記載の方法。
【請求項19】
無水粉末組成物が、組成物全体の重量に対して約0.001〜約10重量%の範囲内の気生植物抽出物、及び約80〜約99重量%の範囲内の粉末成分を含むことを特徴とする、請求項18記載の方法。
【請求項20】
粉末組成物が、組成物全体の重量に対して約0.001〜約15重量%の範囲内の量の追加的なスキンコンディショニング剤を含み、追加的なスキンコンディショニング剤が、トリ(カプリル酸・カプリン酸)グリセリル、フルオロ(C9-15)アルコールリン酸、イソノナン酸イソトリデシル、ヒアルロン酸、グリセリン、エチルヘキシルグリセリン、尿素、トレハロース、ペンチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、ヒアルロン酸、尿素、及び乳酸からなる群より選択されることを特徴とする、請求項19記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−526814(P2012−526814A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510839(P2012−510839)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032660
【国際公開番号】WO2010/132202
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】