説明

保管装置

【課題】 チャンバー11内で複数種類の試料を保管する保管装置において試料の混入による汚染を防止する。
【解決手段】 本発明に係る保管装置においては、チャンバー11の内部に、マイクロプレートを搬送するための搬送装置5が配備されると共に、該搬送装置5の両側にスタッカーユニット20、20が配備されている。各スタッカーユニット20には複数のスタッカー3が配備され、各スタッカー3には、複数のマイクロプレートを収容するための収容室が設けられ、該収容室を開閉するシャッター30が配備されており、搬送装置5の動作によってシャッター30を開閉することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の環境条件に調節されたチャンバーの内部にて容器に収容された試料を保管するインキュベータ等の保管装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
細胞や微生物などの各種の試料を培養するためにインキュベータが用いられている(特許文献1)。例えば図16に示すインキュベータ(6)は、開閉扉(61)によって開口(65)を開閉することが可能なチャンバー(60)を具え、該チャンバー(60)の内部には、その中央部に、マイクロプレート(8)を搬送するための搬送装置(7)が配備されると共に、該搬送装置(7)の両側には、それぞれ複数のスタッカー(63)を具えた2つのスタッカーユニット(64)(64)が配備され、各スタッカー(63)内には、複数のマイクロプレート(8)が収容されている。
チャンバー(60)の側壁には、マイクロプレート(8)を挿入するための挿入口(66)が開設されると共に、該挿入口(66)を開閉するための開閉機構(62)が取り付けられている。
【0003】
図17に示す如く、搬送装置(7)は、ベース(78)に4本の支柱(71)〜(71)を介して上板(72)を支持してなる枠体を具え、該枠体には駆動源となる複数のモータ(図示省略)が設置されている。
前記枠体には、マイクロプレートを搬送すべき搬送テーブル(70)を具えた搬送装置(7)が配備され、該搬送機構(7)は、搬送テーブル(70)を左右方向(X軸方向)に駆動するX軸搬送装置(73)と、搬送テーブル(70)を前後方向(Y軸方向)に駆動するY軸搬送装置(74)と、搬送テーブル(70)を上下方向(Z軸方向)に駆動するZ軸搬送装置(75)とから構成されている。これによって、搬送テーブル(70)は互いに直交する3軸方向に往復駆動される。
【0004】
図18(a)(b)は、X軸搬送装置(73)によって搬送テーブル(70)がX軸方向に往復駆動される様子を表わしている。図示の如く、X軸搬送装置(73)は、前記Z軸搬送機構によって昇降駆動される昇降板(77)と、該昇降板(77)上にスライダー(82a)を介して摺動可能に支持された中間スライド板(79)とを具え、該中間スライド板(79)上にスライダー(82b)を介して搬送テーブル(70)が摺動可能に支持されており、昇降板(77)上に枢支したピニオン(81a)と中間スライド板(79)上のラック(80b)とが互いに噛合すると共に、中間スライド板(79)上に枢支したピニオン(81b)と昇降板(77)上のラック(80a)並びに搬送テーブル(60)裏面のラック(80c)とが互いに噛合している。
【0005】
モータ(図示省略)の駆動によって垂直X軸駆動シャフト(76)が回転すると、この回転がピニオン(81a)へ伝えられ、これによって該ピニオン(81a)がラック(80b)と噛合しつつ回転し、この回転によってラック(80b)が駆動されて、中間スライド板(79)が往復移動する。
そして、中間スライド板(79)の移動に伴って、ピニオン(81b)がラック(80a)と噛合しつつ回転し、この回転によってラック(80c)が駆動されて、搬送テーブル(70)がX軸方向に移動する。
【特許文献1】特開平11−89559号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記インキュベータ(6)においては、チャンバー(60)に小さな容器挿入口(66)を開設することにより、マイクロプレート(8)の出し入れ時にチャンバー(60)内の環境条件が大きく変化することはないものの、マイクロプレート(8)を収容するスタッカー(63)が常時開放状態であるため、チャンバー(60)内で複数種類の試料を培養している場合、複数のスタッカー(63)間で試料の混入が発生して、試料が汚染する問題があった。
又、スタッカー(63)やチャンバー(60)内壁を洗浄するために開閉扉(61)を開いた場合、チャンバー(60)内に外気が流入するため、チャンバー(60)内の環境が大きく変化して、チャンバー(60)内の試料が環境変化の影響を直接に受ける問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、チャンバー内で複数種類の試料を保管する場合においても試料の混入による汚染を防止することが出来、然もチャンバーの開閉扉を開いたときにもチャンバー内の試料が環境変化の影響を直接に受けることのない保管装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る保管装置においては、チャンバー(11)の内部に、1或いは複数の容器を収容することが可能なスタッカー(3)を設置するためのスタッカー設置部が複数箇所に設けられ、チャンバー(11)には、スタッカー(3)を出し入れする際に開閉すべき開閉扉(12)が設けられると共に、容器を出し入れする際に開閉されるべき容器搬入口(13)が開設され、試料を収容した容器は、容器搬入口(13)からスタッカー内の収容位置に至る搬送経路上を自動的に搬送される。
前記スタッカー(3)には、1或いは複数の容器を収容するための容器収容室が設けられると共に、該容器収容室を開閉するためのシャッター(30)が配備され、チャンバー(11)の内部には、各スタッカー設置部上のスタッカー(3)のシャッター(30)を開閉方向に駆動するシャッター開閉機構が配備されている。
【0009】
上記本発明の保管装置において、試料保管状態では、スタッカー(3)のシャッター(30)は閉じられている。この状態で、スタッカー(3)の内部は外界から遮断されているので、複数のスタッカー(3)間の試料の混入が防止される。
又、スタッカー(3)の洗浄などのためにチャンバー(11)の開閉扉(12)を開いたとしても、スタッカー(3)はシャッター(30)によって閉じられているので、スタッカー(3)内の試料は、開閉扉(12)を開くことによりチャンバー(11)内に流入してくる外気の影響を直接に受けることはない。
【0010】
具体的構成において、各スタッカー(3)の壁面に開設された開口部(25b)には、細菌の通過を阻止するエアフィルター(37)が取り付けられている。
該具体的構成によれば、前記エアフィルター(37)は、細菌の通過を阻止する一方、COや水蒸気の通過を許容するので、スタッカー(3)の内部をチャンバー(11)内の環境と同一の環境に保つことが出来る。
【0011】
又、具体的な構成において、チャンバー(11)の内部には、試料を収納した容器を前記搬送経路に沿って搬送するための搬送装置(5)が配備され、該搬送装置(5)は、容器を搭載するための搬送テーブル(50)を具え、該搬送テーブル(50)を互いに直交する3軸方向へ移動させることが可能であって、該搬送テーブル(50)の端部には、スタッカー(3)のシャッター(30)に係脱可能な係合部が形成され、該搬送装置(5)によって前記シャッター開閉機構が構成されている。
【0012】
該具体的構成によれば、搬送装置(5)の動作によってスタッカー(3)のシャッター(30)を開閉することが出来るので、チャンバー(11)内に特別なシャッター開閉機構を配備する必要はない。
【0013】
又、具体的な構成において、チャンバー(11)内には、前記開閉扉(12)によって開かれる開口部(10)に向かって左右の両側部にそれぞれ、スタッカー設置台(22)上に複数のスタッカー(3)を設置してなるスタッカーユニット(20)が配備されると共に、両スタッカーユニット(20)によって挟まれた中央部に前記搬送装置(5)が配備されており、前記開閉扉(12)を開くことによって、各スタッカーユニット(20)をチャンバー(11)の外部へ引き出し、スタッカーユニット(20)からスタッカー(3)を個別に取り出すことが出来る。
【0014】
該具体的構成においては、搬送装置(5)の両側に2つのスタッカーユニット(20)が配置されているので、多数のスタッカー(3)をチャンバー(11)内に収納することが出来る。
【0015】
更に具体的な構成において、チャンバー(11)内には、前記開閉扉(12)によって開かれる開口(10)の奥部に前記搬送装置(5)が配備されると共に、該搬送装置(5)よりも開口(10)側に、複数のスタッカー(3)が設置されたスタッカーユニット(20)が配備され、開閉扉(12)を開くことによって、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)を個別にチャンバー(11)の外部へ取り出すことが出来る。
該具体的構成においては、スタッカーユニット(20)が搬送装置(5)よりも開口(10)側に設置されているので、開閉扉(12)を開くことによって、全てのスタッカー(3)が開口(10)から露出することになる。これによって、チャンバー(11)内の任意のスタッカー(3)を迅速且つ容易に取り出すことが出来る。
【0016】
更に又、具体的な構成において、スタッカー設置台(22)には、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)を加熱するためのヒータ(4)が配備されている。
【0017】
該具体的構成においては、チャンバー(11)の開閉扉(12)を開くことによってチャンバー(11)内に外気が流入し、チャンバー(11)内の雰囲気温度が低下したとしても、ヒータ(4)がスタッカー(3)を直接に加熱しているので、スタッカー(3)内の温度に大きな変化はなく、スタッカー(3)内に収容されている試料は、所定温度による保管状態に維持される。
ここで、ヒータ(4)をスタッカー設置台(22)のスタッカー設置部毎に設けた構成を採れば、スタッカー設置台(22)上のスタッカーを個別に加熱することが出来、これによってスタッカー(3)の厳密な温度管理が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る保管装置によれば、チャンバー内で複数種類の試料を保管する場合においても試料の混入による汚染を防止することが出来、然もチャンバーの開閉扉を開いたときにもチャンバー内の試料が環境変化の影響を直接に受けることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を図16に示すインキュベータに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
第1実施例
図1に示す如く、本実施例のインキュベータ(1)は、開閉扉(12)によって開口(10)を開閉することが可能なチャンバー(11)を具え、該チャンバー(11)の内部には、インキュベータアセンブリ(2)が収容されている。該インキュベータアセンブリ(2)においては、チャンバー(11)の中央部にマイクロプレートを搬送するための搬送装置(5)が配備されると共に、該搬送装置(5)の両側には、それぞれ複数のスタッカー(3)を具えた2つのスタッカーユニット(20)(20)が配備され、各スタッカー(3)内には、複数のマイクロプレート(図示省略)が収容されている。
【0020】
チャンバー(11)の側壁には、マイクロプレートを挿入するための挿入口(14)が開設され、挿入口(14)はシャッター機構(15)によって開閉される。又、チャンバー(11)の側壁には、挿入口(14)に向けてマイクロプレート搬入台(13)が取り付けられている。
【0021】
図2に示す如く、インキュベータアセンブリ(2)は、ベース(23)上に、搬送装置(5)を設置すると共に、該搬送装置(5)の両側に2つのスタッカーユニット(20)(20)を配備して構成され、搬送装置(5)と2つのスタッカーユニット(20)(20)はベース(23)から個別に取り外すことが可能となっている。
【0022】
図1に示すチャンバー(11)の奥部には、チャンバー(11)内の温度及び湿度及びCO濃度を調節するための環境調節装置(図示省略)が配備されており、チャンバー(11)の奥方の側面には、環境調節装置から得られる環境調節のためのガスをチャンバー(11)内へ吹き出すためのファンを具えた吹き出し口(図示省略)が開設されている。ここで、チャンバー(11)内の温度調節は、チャンバー(11)の内壁面に設置された複数の平面状ヒータ(図示省略)をオン/オフ制御することによって行なわれ、チャンバー(11)内が所定の温度範囲(例えば37℃±0.5℃)に維持される。
【0023】
搬送装置(5)は、図17及び図18(a)(b)に示す従来のインキュベータの搬送装置(7)と同様に、X軸搬送装置(73)、Y軸搬送装置(74)及びZ軸搬送装置(75)を具え、図8及び図9に示す搬送テーブル(50)を互いに直交する3軸方向に往復駆動するものである。
【0024】
図3及び図4に示す如く、スタッカーユニット(20)は、スタッカー設置台(22)と、該スタッカー設置台(22)上に上下2段、左右3列に設置された6個のスタッカー(3)とから構成されている。
尚、スタッカーユニット(20)は、チャンバー(11)内の高温度、高湿度の環境にも耐え得る部品から構成されている。
【0025】
スタッカー設置台(22)の背面には、図4に示す如く、上下2段に窓部(24)(24)が開設されると共に、各スタッカー(3)の背面に突設された凸部(35)が係合すべき凹部(36)が、各スタッカー(6)に対応させて6箇所に形成されている。
【0026】
図5及び図6に示す如く、スタッカー(3)は直方体状を呈し、前面側と背面側に開口部(25a)(25b)を有し、前面側の開口部(25a)は、スタッカー(3)の内部全体を開放することが可能であって、該開口部(25a)には、開口部(25a)の形状に対応する長方形のシャッター(30)が開閉可能に配備されている。
一方、スタッカー(3)の背面側の開口部(25b)は、HEPAフィルターからなるエアフィルター(37)によって塞がれており、該エアフィルター(37)によって、細菌の通過が阻止される一方、COや水蒸気の通過が許容される。
図4の如くスタッカー設置台(22)上にスタッカー(3)を設置した状態で、該スタッカー(3)のエアフィルター(37)は、スタッカー設置台(22)の窓部(24)(24)かから露出することになる。
【0027】
図7に示す如く、スタッカー(3)の内壁には、1枚のマイクロプレートを受け止めるための4つの受止片(33)〜(33)が、一定の間隔で複数段に突設されており、スタッカー(3)の内部に複数枚のマイクロプレートを複数段に収容することが可能となっている。
【0028】
図3の如くスタッカー設置台(22)の下段部に設置されるスタッカー(3)においては、図5及び図6に示す如く、スタッカー(3)の左右両側面の後部にそれぞれピン(391)が突設され、該ピン(391)にはアーム片(34)の基端部が枢支されている。一方、シャッター(30)の左右両端面の下端部にはそれぞれピン(392)が突設され、該ピン(392)に前記アーム片(34)の先端部が枢支されている。斯くしてシャッター(30)は両アーム(34)(34)の回動に伴って上方へ開くことになる。
【0029】
又、図3の如くスタッカー設置台(22)の上段部に設置されているスタッカー(3)においては、図7に示す如く、スタッカー(3)の左右両側面の後部にそれぞれピン(391)が突設され、該ピン(391)にはアーム片(34)の基端部が枢支されている。一方、シャッター(30)の左右両端面の上端部にはそれぞれピン(393)が突設され、該ピン(393)に前記アーム片(34)の先端部が枢支されている。斯くしてシャッター(30)は両アーム(34)(34)の回動に伴って下方へ開くことになる。
【0030】
図7に示す如く、スタッカー(3)の開口端面とシャッター(30)の外周縁には、互いに吸引力を発揮する一対の環状のマグネットパッキン(32)(32)が配備され、マグネットパッキン(32)(32)が互いに吸着することによってシャッター(30)が閉じ状態に保持されると共に、スタッカー(3)の内部が密閉状態に保持される。
【0031】
図8及び図9に示す如く、搬送装置(5)に配備された搬送テーブル(50)の先端部には、T字突片(51)が配備される一方、シャッター(30)の前面には、該T字突片(51)と係脱可能なU字突片(31)が配備されている。
【0032】
スタッカー設置台(22)の上段部に設置されているスタッカー(3)のシャッター(30)を開く際には、コンピュータ制御された搬送装置(5)の動作により、搬送テーブル(50)をシャッター(30)の近傍位置まで移動させ、T字突片(51)をU字突片(31)に係合せしめる。そして、搬送テーブル(50)を手前に膨らむ円弧線に沿って斜め下方に移動させることにより、シャッター(30)を開く。
続いて、搬送テーブル(50)のT字突片(51)をシャッター(30)のU字突片(31)から離脱させ、搬送テーブル(50)をスタッカー(3)内に移動させて、スタッカー(3)からマイクロプレートを取り出し、搬送装置(5)によってマイクロプレートの搬送を行なう。
その後、搬送装置(5)の動作によって搬送テーブル(50)のT字突片(51)をシャッター(30)のU字突片(31)に係合させ、搬送テーブル(50)を手前に膨らむ円弧線に沿って斜め上方に移動させることにより、シャッター(30)を閉じることが出来る。
【0033】
スタッカー設置台(22)の下段部に設置されているスタッカー(3)のシャッター(30)を開く際には、コンピュータ制御された搬送装置(5)の動作により、搬送テーブル(50)をシャッター(30)の近傍位置まで移動させ、T字突片(51)をU字突片(31)に係合せしめる。そして、搬送テーブル(50)を手前に膨らむ円弧線に沿って斜め上方に移動させることにより、シャッター(30)を開く。
続いて、搬送テーブル(50)のT字突片(51)をシャッター(30)のU字突片(31)から離脱させ、搬送テーブル(50)をスタッカー(3)内に移動させて、スタッカー(3)からマイクロプレートを取り出し、搬送装置(5)によってマイクロプレートの搬送を行なう。
その後、搬送装置(5)の動作によって搬送テーブル(50)のT字突片(51)をシャッター(30)のU字突片(31)に係合させ、搬送テーブル(50)を手前に膨らむ円弧線に沿って斜め下方に移動させることにより、シャッター(30)を閉じることが出来る。
【0034】
この様に、コンピュータ制御された搬送装置(5)の動作によって、スタッカー(3)のシャッター(30)を開閉することが出来るので、チャンバー(11)内に特別なシャッター開閉機構を配備する必要はない。
【0035】
本実施例のインキュベータ(1)によれば、チャンバー(11)の開閉扉(12)を閉じてチャンバー(11)内で試料の培養を行なっている状態では、シャッター(30)は閉じられており、スタッカー(3)内部は外界から遮断されている。
従って、各インキュベータユニット(20)の複数のスタッカー(3)に複数種類の試料を収容して培養を行なう場合においても、複数のスタッカー(3)間で試料の混入が生じることはなく、これによって試料の汚染が防止される。
又、スタッカー(3)の洗浄などのためにチャンバー(11)の開閉扉(12)を開いたとしても、スタッカー(3)はシャッター(30)によって閉じられているので、スタッカー(3)内の試料は、開閉扉(12)を開くことによりチャンバー(11)内に流入してくる外気の影響を直接に受けることはない。
【0036】
然も、本実施例のインキュベータ(1)においては、搬送装置(5)の両側に2つのスタッカーユニット(20)が配置されているので、多数のスタッカー(3)をチャンバー(11)内に収納することが出来る。
【0037】
第2実施例
本実施例は、チャンバー(11)内のスタッカー(3)の配置が第1実施例と異なっており、以下、異なる構成を中心に本実施例を説明する。
図10及び図11に示す如く、インキュベータアセンブリ(2)を構成する搬送装置(5)は、チャンバー(11)の開口(10)の奥部に設置され、該搬送装置(5)よりも開口(10)側に、複数のスタッカー(3)を収容したスタッカーユニット(20)が設置されている。
【0038】
図12に示す如く、スタッカーユニット(20)は、スタッカー設置台(22)と、スタッカー設置台(22)上に上下2段、左右4列に設置された8個のスタッカー(3)とから構成されている。
【0039】
図13に示す如く、スタッカー(3)の裏面には、X軸方向に伸びる2条のスライド部(38)(38)が突設される一方、スタッカー設置台(22)の表面には、スタッカー設置部毎に、前記スライド部(38)(38)がスライド可能に係合する2本のスライドレール(21)(21)が凹設されており、スタッカー設置台(22)上でのスタッカー(3)のスライド移動が案内されている。
【0040】
又、図14に示す如く、スタッカー(3)の上面には、背面側の端部に、半円状の凸部(35)が形成される一方、スタッカー設置台(22)には、前記凸部(35)が係合可能な凹部(36)が形成されており、これによって、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)の位置決めが行なわれる。
【0041】
尚、図12に示す如く各スタッカー(3)には前記搬送装置(5)によって開かれるシャッター(30)が開閉可能に配備されている構成は、第1実施例と同様である。
【0042】
従って、本実施例のインキュベータ(1)によれば、第1実施例と同様に、スタッカー(3)間の試料の混入による汚染を防止することが出来る。
又、本実施例では、スタッカーユニット(20)が搬送装置(5)よりも開口(10)側に設置されているので、開閉扉(12)を開くことによって全てのスタッカー(3)が開口(10)から露出し、これによって、チャンバー(11)内の任意のスタッカー(3)を個別に且つ迅速に取り出すことが出来る。
この結果、取り出しの対象とならない他のスタッカー(3)の試料に対する環境変化の影響を最小限に抑えることが出来る。
【0043】
第3実施例
本実施例は、第2実施例とスタッカー設置台(22)の構成が異なっており、以下、異なる構成を中心に本実施例を説明する。
図15に示す如く、スタッカー設置台(22)には、スタッカー設置部毎に、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)を加熱するための板状のヒータ(4)が配備されている。
各ヒータ(4)は、スタッカー(3)の底面と略同じ大きさを有し、常時オンの状態でスタッカー(3)を直接に加熱し、スタッカー(3)内の試料を所定温度に保っている。
尚、各スタッカー(3)にシャッター(30)が開閉可能に配備され、前記搬送装置(5)によって該シャッター(30)を開くことが出来る構成は、第1実施例と同様である。
【0044】
従って、本実施例のインキュベータ(1)によれば、第1実施例と同様に、スタッカー間の試料の混入による汚染を防止することが出来る。
又、本実施例のインキュベータ(1)によれば、スタッカー(3)の洗浄などのためにチャンバー(11)の開閉扉(12)を開くことによりチャンバー(11)内に外気が流入し、チャンバー(11)内の雰囲気温度が低下したとしても、各ヒータ(4)が各スタッカー(3)を直接に加熱しているので、スタッカー(3)内の温度に大きな変化はなく、スタッカー(3)内に収容されている試料は、所定温度による培養状態が維持される。
ここで、ヒータ(4)はチャンバー(11)の開閉扉(12)を開いたときにオンとする構成を採用することも可能である。又、ヒータ(4)をスタッカー(3)毎に個別にオン/オフ制御すれば、厳密な温度管理を実現することが出来る。
【0045】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記の第3実施例では、ヒータ(4)はスタッカー(3)毎に配置されているが、図15に示すスタッカー設置台(22)を構成する上下2段の棚板(22a)(22b)と同等の大きさを有する帯板状のヒータを各棚板(22a)(22b)に内蔵して、各棚板上の複数のスタッカー(3)を同時に加熱する構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施例に係るインキュベータの外観を示す斜視図である。
【図2】インキュベータアセンブリの斜視図である。
【図3】スタッカーユニットを前面側から見た斜視図である。
【図4】該スタッカーユニットを背面側から見た斜視図である。
【図5】スタッカーの斜視図である。
【図6】該スタッカーを図5とは異なる方向から見た斜視図である。
【図7】スタッカーのシャッターが開いた状態を示す斜視図である。
【図8】搬送テーブルによってシャッターが開かれている状態を示す斜視図である。
【図9】図8の要部を拡大して示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施例に係るインキュベータの外観を示す斜視図である。
【図11】第2実施例のインキュベータアセンブリの斜視図である。
【図12】第2実施例のスタッカーユニットの斜視図である。
【図13】図12の要部を拡大して示す斜視図である。
【図14】該スタッカーユニットの他の要部を拡大して示す斜視図である。
【図15】第3実施例のスタッカー設置台の斜視図である。
【図16】従来のインキュベータの一例を示す斜視図である。
【図17】搬送装置の斜視図である。
【図18】X軸搬送装置の動作を表わす斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
(1) インキュベータ
(10) 開口
(11) チャンバー
(12) 開閉扉
(2) インキュベータアセンブリ
(20) スタッカーユニット
(21) スライドレール
(22) スタッカー設置台
(3) スタッカー
(30) シャッター
(31) U字突片
(32) マグネットパッキン
(33) アーム片
(34) 容器受止片
(35) 係合部
(36) 係合受部
(37) エアフィルター
(4) ヒータ
(5) 搬送装置
(50) 搬送テーブル
(51) T字突片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の環境条件に調整されたチャンバー(11)の内部にて、容器に収容された試料を保管する保管装置であって、チャンバー(11)の内部には、1或いは複数の容器を収容することが可能なスタッカー(3)を設置するためのスタッカー設置部が複数箇所に設けられ、チャンバー(11)には、スタッカー(3)を出し入れする際に開閉すべき開閉扉(12)が設けられると共に、容器を出し入れする際に開閉されるべき容器搬入口(13)が開設され、試料を収容した容器は、容器搬入口(13)からスタッカー(3)内の収容位置に至る搬送経路上を自動的に搬送される保管装置において、
前記スタッカー(3)には、1或いは複数の容器を収容するための容器収容室が設けられると共に、該容器収容室を開閉するためのシャッター(30)が配備され、チャンバー(11)の内部には、各スタッカー設置部上のスタッカー(3)のシャッター(30)を開閉方向に駆動するシャッター開閉機構が配備されていることを特徴とする保管装置。
【請求項2】
各スタッカー(3)の壁面に開設された開口部(25b)には、細菌の通過を阻止するエアフィルター(37)が取り付けられている請求項1に記載の保管装置。
【請求項3】
チャンバー(11)の内部には、試料を収納した容器を前記搬送経路に沿って搬送するための搬送装置(5)が配備され、該搬送装置(5)は、容器を搭載するための搬送テーブル(50)を具えて、該搬送テーブル(50)を互いに直交する3軸方向へ移動させることが可能であって、該搬送テーブル(50)の端部には、スタッカー(3)のシャッター(30)に係脱可能な係合部が形成され、該搬送装置(5)によって前記シャッター開閉機構が構成されている請求項1又は請求項2に記載の保管装置。
【請求項4】
チャンバー(11)内には、前記開閉扉(12)によって開かれる開口部(10)に向かって左右の両側部にそれぞれ、スタッカー設置台(22)上に複数のスタッカー(3)を設置してなるスタッカーユニット(20)が配備され、両スタッカーユニット(20)によって挟まれた中央部に前記搬送装置(5)が配備されると共に、前記開閉扉(12)を開くことによって、各スタッカーユニット(20)をチャンバー(11)の外部へ引き出し、スタッカーユニット(20)からスタッカー(3)を個別に取り出すことが可能となる請求項3に記載の保管装置。
【請求項5】
チャンバー(11)内には、前記開閉扉(12)によって開かれる開口(10)の奥部に前記搬送装置(5)が配備されると共に、該搬送装置(5)よりも開口(10)側に、複数のスタッカー(3)が設置されたスタッカーユニット(20)が配備され、開閉扉(12)を開くことによって、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)を個別にチャンバー(11)の外部へ取り出すことが可能となる請求項3に記載の保管装置。
【請求項6】
前記スタッカー設置台(22)には、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)を加熱するためのヒータ(4)が配備されている請求項4又は請求項5に記載の保管装置。
【請求項7】
前記ヒータ(4)は、スタッカー設置台(22)のスタッカー設置部毎に設けられて、スタッカー設置台(22)上のスタッカー(3)を個別に加熱することが可能である請求項6に記載の保管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−282332(P2006−282332A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103986(P2005−103986)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】