保護フィルム剥離装置および保護フィルム剥離方法
【課題】 板状体を非接触で押えながら板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する曲げモーメントを可及的に低減し、板状体の損傷を防止することができる保護フィルム剥離装置およびその方法を提供する
【解決手段】 表面に保護フィルムが貼着されている板状体から前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置において、前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する剥離保持手段と、前記剥離保持手段が設けられ剥離保持手段を移動させるための第1移動手段と、前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射する押え手段と、前記押え手段を前記剥離境界部の移動に伴って移動させるための第2移動手段とを備える。
【解決手段】 表面に保護フィルムが貼着されている板状体から前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置において、前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する剥離保持手段と、前記剥離保持手段が設けられ剥離保持手段を移動させるための第1移動手段と、前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射する押え手段と、前記押え手段を前記剥離境界部の移動に伴って移動させるための第2移動手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置およびその剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶パネルなどの板状体において、その板状体の表面における微細な傷および塵埃などによる品位の低下を防止する必要がある場合には、表面を保護するための保護フィルムを貼着している。しかし、保護フィルムが必要でなくなった場合には、その表面から保護フィルムを剥離する必要がある。たとえば、液晶パネルを搭載する液晶テレビでは、液晶パネルを製造する工程においてはその表面に保護フィルムを貼着しているが、製品としての液晶テレビにおいては保護フィルムが不必要である。そこで、その表面から保護フィルムを剥離する工程が必ず存在する。
【0003】
保護フィルムは、その一方の面に塗布されている粘着剤を介して板状体の表面に貼着されており、板状体から保護フィルムを剥離する際には、その粘着剤の粘着力に抗う力を作用させる必要がある。このとき、板状体が固定されていない場合には、保護フィルムの剥離の際に板状体に作用する力によって板状体が浮き上がってしまい、位置決めされている載置位置から板状体が移動してしまう場合がある。したがって、このような浮き上がりを防止するためには、板状体を押えながら保護フィルムを剥離する必要がある。
【0004】
たとえば大型液晶ディスプレイの製造において、バックライト上に載置された液晶パネルの表面から保護フィルムを剥離する場合、従来では人手によって剥離する方法が行われていた。人手による方法の場合、保護フィルムが貼着されている領域を片方の手で押えつつ他方の手で保護フィルムを剥離していく。このとき、液晶パネルの表面は非常に傷つきやすいため、保護フィルムが剥離された領域の表面に接触して押えることができない。
【0005】
このような保護フィルムを剥離する工程を自動化によって行う場合、保護フィルムが貼着されている液晶パネルの一方の表面に対し、他方の表面を真空吸着などの手段により吸着して保持した状態で、前記一方の表面から保護フィルムを剥離する方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
しかし、前述するように、バックライト上に載置された液晶パネルの表面から保護フィルムを剥離する場合には、液晶パネルの下面がバックライトによって塞がれているため、特許文献1に示されるような下面吸引方式を採用することはできない。
【0007】
また特許文献2には、搬送系で搬送されている洗浄後の基板に対し、エアー噴出によって液切りする場合に発生する浮き上がりを防止するために、前記基板の上方から流体を噴出することによって非接触で基板を押える方法が提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−70787号公報
【特許文献2】特開2003−112134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の方法を用いれば、非接触で板状体を押えることができるため、保護フィルムが剥離された領域の表面を傷つけることなく保護フィルムを板状体から剥離することができる。しかしながら、保護フィルムを板状体から剥離する場合、剥離が進むのに伴って剥離境界部が移動するため、特許文献2に示されるように、板状体を押えるための手段を固定しておくと、押え位置と剥離境界部との距離が増加することになる。板状体において、押え位置には押圧力が作用し、剥離境界部には前記押圧力とは反対方向の剥離力が作用するため、押え位置と剥離境界部との距離が増加することによって、板状体に作用する曲げモーメントが増大することになる。このような曲げモーメントの増大によって、板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体が損傷してしまうおそれがあるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、板状体を非接触で押えながら板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する曲げモーメントを可及的に低減し、板状体の損傷を防止することができる保護フィルム剥離装置およびその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表面に保護フィルムが貼着されている板状体から前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する剥離保持手段と、
前記剥離保持手段が設けられ、前記剥離保持手段を移動させるための第1移動手段と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射する押え手段と、
前記押え手段が設けられ、前記押え手段を前記剥離境界部の移動に伴って移動させるための第2移動手段とを有することを特徴とする保護フィルム剥離装置である。
【0012】
また本発明は、前記第2移動手段は、前記押え手段を前記板状体の表面に対して略平行に移動させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第2移動手段は、前記押え手段を前記剥離境界部に追随して移動させることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第1移動手段は、前記剥離保持手段を略円弧状の半円の移動経路に沿って移動させ、前記第2移動手段は、前記押え手段を略円弧状の1/4円の移動経路に沿って移動させることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記押え手段は、前記板状体の表面に平行な気体噴射面を有し、その気体噴射面には圧縮気体が噴射される複数の開口が形成されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記板状体を吸着して保持する吸着保持手段をさらに有し、前記吸着保持手段が前記第2移動手段によって移動されることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方の、前記板状体からの距離を変化させる切替え手段をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記切替え手段は、前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる機構を有することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記押え手段および前記第2移動手段をそれぞれ2式備えることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記2式の押え手段のうち、1式は前記板状体の保護フィルム剥離前の領域に圧縮気体を噴射し、もう1式は前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記2式の押え手段がいずれも前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記押え手段は、噴射する気体をイオン化させるイオン生成手段を備えることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記板状体は液晶パネルであり、液晶パネルがバックライト上に載置されている状態で保護フィルムを剥離することを特徴とする。
【0024】
また本発明は、表面に保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する方法であって、
剥離保持手段によって前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する工程と、
保護フィルムの周縁部を保持している剥離保持手段を移動させて保護フィルムを剥離する工程と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射して板状体を押える工程と、
前記剥離境界部の移動に伴って圧縮気体を噴射して板状体を押える位置を移動させる工程とを含むことを特徴とする保護フィルム剥離方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、表面に保護フィルムが貼着されている板状体から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置において、剥離保持手段が板状体から保護フィルムの周縁部を剥離して、さらにその保護フィルムの周縁部を保持する。保護フィルムの周縁部を保持している剥離保持手段は、第1移動手段によって予め定める経路に沿って移動される。このように保護フィルム剥離装置を動作させることによって、板状体から保護フィルムが剥離される。このとき、板状体の表面における保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、押え手段によって板状体の上方から圧縮気体が噴射される。
【0026】
これにより、保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する剥離力に対して、剥離力が作用する剥離境界部の近傍において、剥離力による板状体の浮き上がりを防止する方向に圧縮気体による押圧力を非接触で板状体に作用させることができる。剥離保持手段の移動に伴って剥離境界部が移動するので、この剥離境界部の移動に伴って、第2移動手段は押え手段を移動させる。剥離境界部と押圧力が作用する位置との間の距離を増大させないように押え手段を移動させることによって、板状体に作用する曲げモーメントを増大させることなく板状体から保護フィルムを剥離することができる。
【0027】
したがって、非接触で板状体を押えながら、板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する曲げモーメントを可及的に低減することができるため、保護フィルムが剥離された領域の表面を傷つけることなく、かつ板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体が損傷してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す斜視図である。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、たとえば板状体である矩形状の液晶パネル42の表面にある偏光板の損傷を防ぐために、偏光板表面を保護することを目的として貼着されている矩形状の保護フィルム41を剥離するための装置である。本実施の形態では、液晶表示装置などを製造する製造設備において、コンベア2によって搬送されているバックライトモジュール43に上載されている状態の液晶パネル42の上面から保護フィルム41を剥離するために用いられる。
【0029】
本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、保護フィルム41の周縁部を剥離して、その保護フィルム41の周縁部を保持する剥離ハンド24を備える剥離ロボットR1と、圧縮気体を噴射する押えハンド27b,27cをそれぞれ備える2台の押えロボットR2,R3と、コンベア2と、フィルム回収箱3とを含んで構成される。
【0030】
コンベア2は、パレット式の搬送機構であり、コンベア2の上部においてバックライトモジュール43が上載されたパレット4を水平に矢符A方向に搬送する。コンベア2の搬送方向A上流側には、コンベア2にバックライトモジュール43を投入するための図示しないモジュール投入装置が配置される。
【0031】
また、コンベア2の近傍には、保護フィルム41が貼着された液晶パネル42を搬送する図示しないパネル搬送装置が配置され、コンベア2の位置P1まで搬送されたバックライトモジュール43に対し、液晶パネル42がパネル搬送装置から供給される。本実施の形態では、後述するように、押えロボットR2,R3によって液晶パネル42がバックライトモジュール43に供給される。供給された液晶パネル42は、バックライトモジュール43に上載される。以下、液晶パネルが上載されたバックライトモジュールを「ワーク」と記す。
【0032】
コンベア2の位置P1近傍には、ワーク5から保護フィルム41を剥離するための剥離ロボットR1と、液晶パネル42の剥離境界部の近傍に向けて、液晶パネル42の上方から圧縮気体を噴射するための2台の押えロボットR2,R3と、剥離ロボットR1によって剥離された保護フィルム41を回収するためのフィルム回収箱3が配置される。
【0033】
本実施の形態では、フィルム回収箱3が位置P1に対し適度に間隔をあけて隣接して配置され、フィルム回収箱3よりも搬送方向A下流側にフィルム回収箱3に隣接して剥離ロボットR1が配置される。また、コンベア2を介してフィルム回収箱3および剥離ロボットR1が配置される側とは反対側に、押えロボットR2,R3が配置される。押えロボットR2は、位置P1よりも搬送方向A上流側に配置され、押えロボットR3は、位置P1よりも搬送方向A下流側に配置され、相互に干渉しないように適度の間隔をあけて離間している。
【0034】
コンベア2の位置P1において保護フィルム41が剥離されたワーク5は、搬送方向A下流側に搬送されて、コンベア2の搬送方向A下流側に配置されるモジュール搬出装置によって搬出される。コンベア2の下部では、ワーク5が搬出されて空になったパレット4が搬送方向Aとは反対方向に向かって搬送される。コンベア2は、床面に固定され、ワーク5の搬送面の床面からの高さ方向の寸法が約800mmであり、搬送面の幅寸法が約1000mmである。
【0035】
フィルム回収箱3は、一方向に開放する直方体形状の筐体であり、液晶パネル42から剥離された保護フィルム41が投入される。フィルム回収箱3は、矩形状の開口寸法が、矩形状の液晶パネル42の長辺寸法および短辺寸法よりも、いずれも約50mmだけ大きな寸法となるように形成されている。
【0036】
図2は、保護フィルム41が貼着されたワーク5の構成の一部の概略を示す断面図であり、ワーク5の長辺側から見たときの断面図の一部を示す。ワーク5は、バックライトモジュール43と、バックライトモジュール43に上載された液晶パネル42とから成る。ワーク5の寸法は、特に限定されるものではないが、たとえば平面寸法が長辺約1500mmおよび短辺約800mmであり、厚さ方向の寸法が約50mmである。
【0037】
液晶パネル42は、多数の板状部品が積層され一体化された構造であり、上面から下面に向かって、保護フィルム41、第1偏光板44、第1ガラス基板45、第2ガラス基板46、第2偏光板47の順に積層されて構成されている。保護フィルム41は、第1偏光板44の損傷を防ぐために、偏光板表面を保護することを目的として貼着されている。液晶パネル42の厚さは、約2.5mmである。
【0038】
バックライトモジュール43は、複数の部品を組み立てた構造であり、中間フレーム48、スペーサ49、背面フレーム50、冷陰極管51、および光学シート52で構成されている。背面フレーム50は、一方向に開放する直方体形状の筐体であり、背面フレーム50内において、冷陰極管51および光学シート52がスペーサ49によって位置決めされて設置されており、さらに背面フレーム50の上部には中間フレーム48が取付けられている。冷陰極管51は、直径約4mmの円柱状の蛍光灯である。冷陰極管51の両端は、スペーサ49によって固定されており、スペーサ49の内部で配線接続されている。
【0039】
スペーサ49は、内部に電極が配置された樹脂製の部品である。スペーサ49は、断面形状が台形であり、背面フレーム50の内壁面に沿って配置されている。光学シート52は、光透過性のある樹脂製の板状部材であり、平面寸法は背面フレーム50の内寸よりも数mmほど小さく、厚さ方向の寸法は約5mmである。中間フレーム48は、背面フレーム50を覆うように配置された樹脂製のフレームである。中間フレーム48は、液晶パネル42を載置するためのつば部48aと、液晶パネル42を位置決めするためのつば部48aに対し垂直に立上る壁部48bとを有する。壁部48bの高さ方向の寸法は、約3mmである。
【0040】
液晶パネル42がバックライトモジュール43に上載された図2に示す状態では、液晶パネル42に対して液晶パネル42の表面に沿う方向に力を加えても、壁部48bによって移動が制限されているために液晶パネル42は移動することができない。しかし、液晶パネル42に対し、液晶パネル42の厚さ方向であって液晶パネル42を上方に持ち上げる方向に作用する力が加わると、液晶パネル42が壁部48bを乗り越えて中間フレーム48から外れ、位置ずれを起こしてしまうおそれがある。
【0041】
本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、保護フィルム41を剥離する際に発生する液晶パネル42を上方に持ち上げる方向に作用する剥離力に対し、後述する圧縮空気による押圧力を液晶パネル42に作用させることによって、液晶パネル42が位置ずれを起こすことを防止する。
【0042】
図3は、図1に示す剥離ロボットR1の構成を概略的に示す斜視図である。剥離ロボットR1は、鉛直軸線J1a,J2a,J3aまわりの3つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に、鉛直軸線J3a方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。
【0043】
剥離ロボットR1は、水平な床面上の所定位置に配置される台11aに固定して設けられる基部12a、4つのリンク14a〜17a、および4つの関節18a〜21aを有するアーム部13aと、アーム部13aの先端に連結部22aを介して固定される所定のエンドエフェクタとを有する。剥離ロボットR1では、所定のエンドエフェクタとして、剥離ハンド24が装着される。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、剥離ロボットR1のアーム部13aの各関節18a〜21aを駆動させることによって、剥離保持手段である剥離ハンド24を移動させることができる。
【0044】
剥離ハンド24を移動させるアーム部13aについて説明する。アーム部13aは、鉛直軸線J1aまわりに旋回可能な第1関節18aを介して基部12aに連結される第1リンク14aと、鉛直軸線J2aまわりに旋回可能な第2関節19aを介して第1リンク14aに連結される第2リンク15aと、鉛直軸線J3aまわりに旋回可能な第3関節20aを介して第2リンク15aに連結される第3リンク16aと、鉛直軸線J3aに沿う上下方向の直動機構(以下、上下駆動機構と称する場合がある)を備える第4関節21aを介して第3リンク16aに連結される第4リンク17aとを有する。
【0045】
第1リンク14aは、基部12aに固定される図示しない第1モータによって、旋回駆動される。第2リンク15aは、第1リンク14aに固定される図示しない第2モータによって、旋回駆動される。第3リンク16aは、第2リンク15aに固定される図示しない第3モータによって、旋回駆動される。第1、第2、および第3モータは、たとえばサーボモータによって実現される。
【0046】
第4リンク17aは、第2リンク15aに固定される昇降駆動部23aによって、昇降駆動される。昇降駆動部23aは、第4モータと、鉛直なボールねじシャフト部と、ボールねじシャフト部に噛合するボールねじナット部とを備え、第4モータの回転に連動してボールねじシャフト部が回転することによって、ボールねじナット部が昇降動作することで第4リンク17aを昇降駆動させることができる。
【0047】
剥離ロボットR1は、たとえば第1リンク長(第1関節18aと第2関節19aとの間の寸法)が約600mm、第2リンク長(第2関節19aと第3関節20aとの間の寸法)が約600mmある。また、第4関節21aは、第3関節20aの関節軸を通るように配置されており、第4リンク17aの上下方向の移動範囲は約100mmである。
【0048】
保護フィルム41の周縁部を剥離して、その保護フィルムの周縁部を保持する剥離ハンド24について説明する。剥離ハンド24は、保護フィルム41の周縁部を粘着力によって剥離する剥離部25と、剥離部25によって剥離された保護フィルム41の周縁部を挟持する挟持部26とを有し、連結部22aを介して第4リンク17aに連結される。
【0049】
本実施の形態の剥離ハンド24は、液晶パネル42に貼着されている保護フィルム41の周縁部を粘着力によって剥離して、その保護フィルム41の周縁部を挟持するように構成されているが、たとえば保護フィルム41の周縁部を粘着力によって剥離し、粘着した状態の保護フィルム41の周縁部をその粘着力によって保持するようにしても良い。
【0050】
本実施の形態では、保護フィルム41の周縁部とは保護フィルム41の一角部であるが、特に限定されることはなく、保護フィルム41の形状および寸法に応じて、たとえば2つの角部の間の領域であっても良い。
【0051】
図4は、剥離ハンド24の一部を拡大して示す側面図である。剥離部25は、水平に延びる回転軸線J4まわりに回転自在に設けられる短尺の円柱状のローラ37を備え、ローラ37の外周面38には、保護フィルム41を剥離するために粘着力を有する粘着層を設けることによって構成されている。前記粘着層の粘着力としては、液晶パネル42と保護フィルム41との粘着力よりも強いものであれば良く、たとえば粘着性を有するブチルゴムをローラ37に取り付けることによって実現される。
【0052】
また、ローラ37は、ローラ37の下端が後述する挟持部26の固定部35の下端よりも下方に位置するように設けられている。このように構成されることで、剥離ハンド24を下降させることによって、容易にローラ37と保護フィルム41とを粘着させることができる。
【0053】
また、挟持部26は、前記回転軸線J4を含む水平な仮想一平面において回転軸線J4に垂直な略水平軸線J5に沿って変位駆動される可動部34と、可動部34の変位方向前方に剥離ハンド24のフレーム36に固定して設けられる固定部35とを有する。可動部34および固定部35は、ローラ37に対し回転軸線J4方向の一方側と他方側にそれぞれ設けられる。すなわち、ローラ37を挟むようにして可動部34および固定部35が2組設けられる。
【0054】
可動部34および固定部35において互いを臨む面には、ローラ37の外周面38に沿うような湾曲面が形成される。詳細には、可動部34側が凸面に形成され、固定部35側には凸面が形成された可動部34嵌合するような凹面が形成される。したがって、可動部34を固定部35に向かって変位駆動させることによって、可動部34と固定部35との間に介在する保護フィルム41を挟持することができる。可動部34の変位駆動は、たとえば空気圧シリンダによって実現されても良い。
【0055】
このように可動部34と固定部35による開閉動作によって保護フィルム41を挟持するように挟持部26が構成されているので、簡単な構成で保護フィルム41を確実に保持することができ、また、後述するように剥離した保護フィルム41をフィルム回収箱3に確実に投入することができる。
【0056】
図5は、図1に示す押えロボットR2の構成を概略的に示す斜視図である。図6は、押えロボットR2に備えられる押えハンド27bの構成を簡略化して示す側面図である。
【0057】
押えロボットR2は、鉛直軸線J1b,J2b,J3bまわりの3つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に、鉛直軸線J3b方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。なお、押えロボットR2は、エンドエフェクタを除き、剥離ロボットR1と同様に構成されるため、対応する部分には同一の数字に添字bを付し、重複を避けて説明は省略する。押えロボットR2では、エンドエフェクタとして、押えハンド27bが装着される。また、押えロボットR3は、押えロボットR2と同様に構成されるため、対応する部分には同一の数字に添字cを付し、重複を避けて説明は省略する。
【0058】
本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、押えロボットR2,R3の各アーム部13b,13cの各関節18b〜21b,18c〜21cを駆動させることによって、押え手段である各押えハンド27b,27cを移動させることができる。
【0059】
また、第1〜第3関節18b〜20b,18c〜20cが、鉛直軸線まわりに各第1〜第3リンク14b〜16b,14c〜16cを旋回駆動させるように構成されているので、それぞれの押えハンド27b,27cを、液晶パネル42の表面に対して略平行に移動させることができる。これによって、後述する気体噴射部28b,28cと液晶パネル42との間の距離を一定に保つことができ、一定の押圧力で安定して液晶パネル42を押えることができる。
【0060】
押えハンド27bは、気体噴射部28bと、複数(本実施の形態では4)の吸盤30bを有する吸着部29bと、気体噴射部28bに固定して設けられ、吸着部29bを鉛直軸線J6bに沿って上下方向に変位駆動させる切替部33bとを有し、気体噴射部28bの上面が連結部22bを介して第4リンク17bに連結して固定される。
【0061】
液晶パネル42の表面における剥離境界部の近傍に向けて、液晶パネル42の上方から圧縮気体を噴射する押え手段である押えハンド27bの気体噴射部28bについて説明する。気体噴射部28bは、直方体形状であり、液晶パネル42の表面に平行な下面に複数の開口が平面上にマトリクス状に配列して形成されている。このように形成される開口を通して、圧縮気体が液晶パネル42に向けて噴射されるので、液晶パネル42に局所的な負荷を作用させずに、液晶パネル42に均一な押圧力を作用させることができる。
【0062】
前記複数の開口には、それぞれに連なるように気体噴射部28bの内部に向かって鉛直方向に延びる図示しない連通管が設けられている。気体噴射部28bの内部における連通管は、図示しない電磁弁V1を介して図示しない外部の空圧源に接続されている。たとえば、電磁弁V1を開放することによって圧縮気体が複数の開口から鉛直方向下向きに噴射され、電磁弁V1を閉鎖することによって圧縮気体の噴射を停止することができる。このような電磁弁V1の開閉駆動は、外部からの駆動指令によって制御することができる。
【0063】
本実施の形態では、圧縮気体として、たとえば圧縮空気が用いられても良い。また、空圧源としては、たとえば電動コンプレッサが用いられても良い。
【0064】
さらに、気体噴射部28bの内部には、イオン生成手段である図示しない静電気除去器が備えられる。静電気除去器は、たとえば針状の電極を備え、その電極の先端に高電圧を印加することによって、コロナ放電を起こさせてイオンを発生させることができる装置である。
【0065】
したがって、気体噴射部28bの開口から噴射される圧縮気体の一部を、気体噴射部28bの内部において静電気除去器を用いてイオン化することによって、開口から噴射される圧縮気体にイオンを含有させることができる。通常、液晶パネル42から保護フィルム41を剥離する際には剥離帯電によって静電気が発生するので、このような静電気除去器を用いることによって、電気的に一方の極性に偏っている保護フィルム41および液晶パネル42に対し、反対極性の電荷を補うことで電気的に中和させることができる。
【0066】
これによって、保護フィルム41の剥離時の帯電量を低減することができ、液晶パネル42に備えられる電子部品などが剥離帯電によって静電破壊することを防止することができる。また、このような静電気除去器を、剥離境界部の移動に伴って移動する押えハンド27bに備えることによって、効果的に剥離境界部に対してイオンを放出することができるので、固定式の除電ブロアを利用する場合と比較して、除電効果を向上させることができる。さらに、固定式の除電ブロアを用いて大形の液晶パネル42の剥離境界部に向けてイオンを放出する場合と比較して、所望の位置に向けて効果的にイオンを放出することができる。
【0067】
本実施の形態では、気体噴射部28bの下面の寸法は、たとえば長辺寸法が約500mmであり、短辺寸法が約150mmである。また、気体噴射部28bの下面に形成される開口は、たとえば直径約2mmの円形の開口であり、マトリクス状に相互に20mmの間隔をあけて形成されている。
【0068】
液晶パネル42を吸着して保持することのできる吸着部29bについて説明する。吸着部29bは、4つの吸盤30bと、4つの吸盤基部31bと、フレーム32bとを有し、後述する切替部を介して、気体噴射部28bに取り付けられる。したがって、気体噴射部28bを移動させる押えロボットR2のアーム部13bによって、吸着部29bも移動させることができる。
【0069】
吸盤30bは、取付部材を介してフレーム32bに取り付けられ、さらに吸盤30bの上方にはフレーム32bを介して吸盤基部31bが設けられる。吸盤30bには開口が形成され、開口に連なるように図示しない連通管が設けられる。その連通管は、図示しない電磁弁V2を介して図示しない外部のエジェクタおよび空圧源に接続されている。たとえば、電磁弁V2を開放することによってエジェクタで負圧を発生させ、吸盤30bによって物体を吸着することができるように構成されている。このような構成によって、押えハンド27bは、吸着部29bによって液晶パネル42を吸着保持することができる。
【0070】
また、吸盤基部31bには、ばね部材が内蔵されており、吸盤30bを取り付ける取付部材を吸盤基部31bの内部に押し込むことが可能となっている。吸着基部31bがこのように構成されているので、吸盤31bを液晶パネル42に押し付ける際の衝撃を和らげることができ、液晶パネル42が損傷することを防止することができる。
【0071】
本実施の形態では、保護フィルム41が貼着されている液晶パネル42をバックライトモジュール43に上載する工程が必要であるので、押えロボットR2,R3に吸着部29b,29cを備えさせることによって、別の搬送装置を新たに設けることなく、押えロボットR2,R3によって液晶パネル42をパネル搬送装置からコンベア2の位置P1に載置されているバックライトモジュール43上に移載することができ、保護フィルム剥離装置1のコストを抑えることができる。
【0072】
切替部33bは、気体噴射部28bに固定して設けられ、吸着部29bを鉛直軸線J6bに沿って上下方向に変位駆動させる。これによって、気体噴射部28bの下面と吸着部29bの吸盤30bの下部との上下方向の位置関係を入れ替えることができる。
【0073】
このような切替部33bを設けることによって、気体噴射部28bと吸着部29bとを有する押えロボットR2において、ある工程で一方の手段を使用する場合に他方の手段が一方の手段の使用の妨げとならないようにすることができる。たとえば、気体噴射部28bによる液晶パネル42を押える工程において、吸着部29bが気体噴射部28bによって液晶パネル42に押圧力を作用させる際の妨げとならないように位置を入れ替えることができる。また、切替部33bが、吸着部29bを上下方向に移動させるので、僅かな移動量で妨げとならないような位置関係に入れ替えることができる。本実施の形態では、切替部33bは、空圧アクチュエータによって吸着部29bのフレーム32bを上下方向に変位駆動させる。
【0074】
図7を用いて、保護フィルム剥離装置1の制御装置60の構成を説明する。制御部61は、剥離ロボット制御部62、押えロボット制御部63、およびコンベア制御部64と通信線で電気的に接続されている。制御部61は、一般的なプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)である。制御部61は、予め記憶されている制御プログラムに従って、剥離ロボット制御部62、押えロボット制御部63、およびコンベア制御部64と通信を行い、後述する保護フィルム剥離装置1の駆動および停止を制御する。
【0075】
剥離ロボット制御部62および押えロボット制御部63は、ロボット専用コントローラである。剥離ロボット制御部62は、剥離ロボットR1のアーム部13aの各関節18a〜21aおよび剥離ハンド24の可動部34の駆動および停止を制御する。剥離ロボット制御部62には、内蔵メモリが備えられ、剥離ハンド24を予め定める経路に沿って移動させるように、予め制御プログラムが内蔵メモリに記憶されている。剥離ロボット制御部62は、内蔵メモリ上に、剥離ロボットR1による剥離動作の開始が可能な状態であるか否かを示す剥離待機フラグF11と、剥離ロボットR1による剥離動作が完了したか否かを示す剥離完了フラグF12とを有する。
【0076】
押えロボット制御部63は、押えロボットR2,R3のアーム部13b,13cの各関節18b〜21b,18c〜21cの駆動および停止ならびに押えハンド27b,27cの動作を制御する。押えロボット制御部63には、内蔵メモリが備えられ、押えハンド27b,27cをそれぞれ予め定める経路に沿って移動させるように、予め制御プログラムが内蔵メモリに記憶されている。押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cを、その相対位置を一定に保ちながら同期して移動させる、協調制御機能を有している。相対位置を一定に保つ演算処理のために必要な基部12b,12cの設置位置および各リンクの長さなどの情報は、予め押えロボット制御部63の内蔵メモリに記憶されている。押えロボット制御部63は、内蔵メモリ上に、液晶パネル42をバックライトモジュール43に移載可能な状態であるか否かを示す移載待機フラグF21と、液晶パネル42の移載が完了したか否かを示す移載完了フラグF22と、次の液晶パネル42がパネル搬送装置から移載可能な状態であるか否かを示す次パネル有フラグF23とを有する。
【0077】
コンベア制御部64は、コンベア2に対するコントローラである。コンベア制御部64は、メモリを内蔵しており、位置P1にあるワーク5が保護フィルム41の剥離が完了済みであるか否かを示す作業済みフラグF31、位置P1にパレット4があるか否かを示す現パレット有フラグF32、外部のモジュール投入装置に次のバックライトモジュール43を乗せたパレットがあるか否かを示す次モジュール有フラグF33、および外部のモジュール搬出装置へワーク5を搬出することが可能な状態であるか否かを示す搬出空きフラグF34をメモリ内に有する。コンベア制御部64は、フラグF31〜F34の状態と、制御部61からの指令とに基づいてコンベア2の駆動および停止を制御する。
【0078】
各制御部62〜64によって実行される制御プログラムによる各ロボットR1〜R3およびコンベア2の動作について説明する。図8は、剥離ロボット制御部62による処理手順を示すフローチャートである。図9は、押えロボット制御部63による処理手順を示すフローチャートである。図10は、コンベア制御部64による処理手順を示すフローチャートである。図11は、制御部61による処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
図12は、剥離ハンド24による保護フィルム41の剥離動作を説明する図であり、図12(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図12(b)は挟持部26によって保護フィルム41の一角部を挟持して保護フィルム41を剥離している状態を示している。図13は、押えハンド28bによる動作を説明する図であり、図13(a)は吸着部29bによって液晶パネル42の吸着している状態を示し、図13(b)は気体噴射部28bによって液晶パネル42を押えている状態を示している。
【0080】
図14は、剥離ロボットR1および押えロボットR2,R3によって保護フィルム41を剥離する過程を説明する図であり、図14(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図14(b)は剥離ハンド24が保護フィルム41の一角部を保持しながらある程度移動をした状態を示し、図14(c)は図14(b)の状態よりもさらに移動を進めた状態を示し、図14(d)は保護フィルム41の剥離が完了する直前の状態を示している。
【0081】
剥離ロボット制御部62は、内部に記憶された制御プログラムに従って、図8に示すフローを実行する。図8および図12を参照して、剥離ロボット制御部62による制御、ならびにアーム部13aおよび剥離ハンド24の動作を説明する。
【0082】
初期状態では、挟持部26の可動部34は、固定部35に離間して停止している。また、剥離ハンド24は、第4リンク17aの上下駆動機構によって上昇位置に停止している。アーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aの初期状態は、予め定める待機用の角度になっている。本実施の形態では、待機用の角度は、アーム部13aを基部12aから搬送方向A上流側に向かって真っ直ぐに延ばした状態の角度である。このようなアーム部13aおよび剥離ハンド24の初期状態は、予め剥離ロボット制御部62の内蔵メモリ内に記憶されている。
【0083】
ステップS71にて、剥離ロボット制御部62は、制御部61から剥離指示を受けたか否かを調べる。剥離ロボット制御部62は、制御部61から剥離指示を受けたと判断すると、剥離完了フラグF12をオフに書き換え、さらに剥離待機フラグF11をオフに書き換えたのち、ステップS72の処理に進む。剥離ロボット制御部62は、制御部61から剥離指示を受けたと判断するまでステップS71の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS72にて、剥離ロボット制御部62は、以下に説明する一連の初期剥離動作を実行する。まず剥離ロボット制御部62は、剥離ハンド24を所定の剥離開始位置まで移動させる。ここで剥離開始位置とは、搬送方向A下流側であって、押えロボットR2,R3が配置される側の保護フィルム41の一角部の上空である。続いて、剥離ロボット制御部62は、第4リンク17aの上下駆動機構を駆動させて剥離ハンド24を所定の剥離開始高さまで下降させる。ここで剥離開始高さとは、ローラ37の下端が液晶パネル42に貼着されている保護フィルム41に接触する高さである。
【0085】
続いて、剥離ロボット制御部62は、アーム部13aの各関節を駆動させることによって、図12(a)に示すように、剥離ハンド24を所定の距離だけ移動方向Bに沿って移動させる。ローラ37は回転軸線J4まわりに回転自在に構成されており、さらにローラ37の外周面38には液晶パネル42と保護フィルム41との粘着力よりも強い粘着力を有する粘着層が設けられているので、保護フィルム41の一角部にローラ37を接触させて移動方向Bに沿って移動させることによって、保護フィルム41の一角部を剥離することができる。この所定の移動距離は約50mmである。
【0086】
続いて、剥離ロボット制御部62は、挟持部26の可動部34を軸線J5に沿って変位駆動させ、可動部34と固定部35とによって保護フィルム41を挟持させる。続いて、剥離ロボット制御部62は、第4リンク17aの上下駆動機構を駆動させて剥離ハンド24を所定の剥離高さに上昇させる。ここで剥離高さとは、前記剥離開始高さから約30mm上昇した高さである。
【0087】
続いてステップS73にて、剥離ロボット制御部62は、以下に説明する剥離動作を実行する。まず剥離ロボット制御部62は、アーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aを駆動させて、図12(b)に示すように液晶パネル42の表面に平行に移動経路Bに沿って、また図14に示すように略円弧状の半円の移動経路Kに沿って、剥離ハンド24を移動させる。剥離動作が進行すると、図14(d)に示すように、保護フィルム41の大部分が剥離される。続いて剥離ロボット制御部62は、アーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aを駆動させて、コンベア2から離間する方向へ約200mm剥離ハンド24を移動させる。これにより保護フィルム41が完全に剥離される。続いて剥離ロボット制御部62は、剥離完了フラグF12をオンに書き換える。
【0088】
続いてステップS74にて、剥離ロボット制御部62は、挟持部26の可動部34を軸線J5に沿って変位駆動させ、可動部34と固定部35とを離間させる。これにより保護フィルム41は自重で落下し、下方に配置されるフィルム回収箱3に投入されて廃棄される。剥離ロボット制御部62は、可動部34と固定部35とを離間させたのち、保護フィルム41が自重で落下するのを待つために、剥離ロボットR1の動作を約1秒間停止する。
【0089】
続いてステップS75にて、剥離ロボット制御部62は、以下に説明する剥離完了処理を実行する。剥離ロボット制御部62は、第4リンク17aの上下駆動機構を駆動させて剥離ハンド24を上昇させ、さらにアーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aが前述の待機用の角度となるように、第1〜第3関節18a〜20aを駆動させる。続いて剥離ロボット制御部62は、剥離待機フラグF21をオンに書き換える。続いて剥離ロボット制御部62は、ステップS71の処理に戻る。
【0090】
押えロボット制御部63は、内部に記憶された制御プログラムに従って、図9に示すフローを実行する。図9および図13を参照して、押えロボット制御部63による制御、ならびにアーム部13b,13cおよび押えハンド27b,27cの動作を説明する。
【0091】
初期状態では、アーム部13b,13cおよび押えハンド27b,27cは、ワーク5の処理を終えた状態にある。具体的には、アーム部13b,13cは、後述する剥離終了位置にある。また、押えハンド27b,27cは、後述する押えモードになっている。
【0092】
ステップS81にて、押えロボット制御部63は、以下に説明するパネル受取り準備処理を実行する。まず押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cをそれぞれ押えモードから吸着モードに切替える。具体的には、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cの電磁弁V1を閉じて圧縮空気の噴射を停止させた後、第4リンク17b,17cの上下駆動機構によって押えハンド27b,27cを上昇位置に停止させる。このとき、押えハンド27b,27cは、約100mm上昇した位置にある。
【0093】
続いて押えロボット制御部63は、切替部33b,33cを駆動して吸着部29b,29cを下降させる。続いて押えロボット制御部63は、アーム部13b,13cの各関節を駆動させて、押えハンド27b,27cを液晶パネル受取り位置まで移動させる。液晶パネル受取り位置とは、パネル搬送装置の供給位置に載置されている液晶パネル42の各長辺の中心を結ぶ仮想線を含み液晶パネル42に垂直な仮想一平面に対して、押えハンド27b,27cが面対称となる位置であって、液晶パネル42の各短辺からそれぞれ長辺の約1/4の距離だけ離間した位置に吸着部29b,29cの吸盤30b,30cが並ぶ位置である。
【0094】
続いてステップS82にて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42を受取り可能か否かを調べる。具体的には、次パネル有フラグF23がオンであった場合、押えロボット制御部63は、受取り可能と判断してステップS83の処理に進む。次パネル有フラグF23がオフの場合、押えロボット制御部63は、ステップS82の処理を繰り返す。次パネル有フラグF23は、外部のパネル搬送装置によって書き換えられる。液晶パネル42がパネル搬送装置に投入され供給位置まで搬送されると、パネル搬送装置からの通信によって次パネル有フラグF23がオンに書き換えられる。
【0095】
続いてステップS83にて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42を受け取る。具体的には、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cの電磁弁V2を操作して、図13(a)に示すように、吸着部29b,29cを吸着可能な状態にする。その後、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、押えハンド27b,27cを所定の吸着高さまで下降させる。ここで所定の吸着高さとは、吸着部29b,29cが液晶パネル42に貼着されている保護フィルム41に接触し、吸盤30b,30cの取付部材が吸着基部31b,31c内に5mm程度押し込まれる高さである。
【0096】
続いて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42が吸着されるのを待つために、押えロボットR2,R3の動作を約1秒間停止する。続いて、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、液晶パネル42を吸着保持している押えハンド27b,27cを所定の移動高さまで上昇させる。ここで所定の移動高さとは、前記所定の吸着高さから約100mm上昇した高さである。液晶パネル42が吸着されて持ち上げられると、パネル投入装置からの通信によって次パネル有フラグF23はオフに書き換えられる。続いて、押えロボット制御部63は、移載待機フラグF21をオンにする。
【0097】
続いてステップS84にて、押えロボット制御部63は、制御部61からの移載指示を待つ。移載指示を受けると、押えロボット制御部63は、移載待機フラグF21をオフに書き換えて、ステップS85の処理に進む。移載指示を受けていない場合、押えロボット制御部63は、移載指示を受けるまで待機状態を継続する。
【0098】
続いてステップS85にて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42の移載を行う。具体的にはまず、押えロボット制御部63は、協調制御によって押えハンド27b,27cの相対的な位置関係を維持しながら、アーム部13b,13cの各関節を駆動させて、液晶パネル42を所定の移載位置まで移動させる。上記所定の移載位置は、コンベア2上のバックライトモジュール43の所定位置P1の上空である。続いて、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、押えハンド27b,27cを所定の移載高さまで下降させる。前記所定の移載高さとは、押えハンド27b,27cによって吸着保持されている液晶パネル42の下面がコンベア2に上載されるバックライトモジュール43のパネル搭載面と当接する高さである。
【0099】
ここで、パネル搬送装置の供給位置における液晶パネル42の載置位置およびコンベア2の位置P1におけるバックライトモジュール43の載置位置は、それぞれ十分に精度良く(いずれも繰返し誤差が0.1mm未満)位置決めされており、押えハンド27b,27cを所定の経路に沿って移動させることによって、バックライトモジュール43を構成する中間フレーム48の壁部48b内に液晶パネル42を移載することができる。続いて押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cの電磁弁V2をオフにして液晶パネル42の吸着を解除する。
【0100】
続いてステップS86にて、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cを吸着モードから押えモードに切替える。具体的には、まず押えロボット制御部63は、切替部33b,33cを駆動して、吸着部29b,29cを上昇させる。続いて、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、押えハンド27b,27cを所定の押え高さまで下降させる。前記所定の押え高さとは、押えハンド27b,27cの気体噴射部28b,28cの下面が液晶パネル42の上面に対して2mm距離をあけて上空にある高さである。続いて、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cに備えられる静電気除去器の電極に高電圧を印加するとともに電磁弁V1を開放して、複数の開口からイオンを含む圧縮空気の噴射を開始させる。
【0101】
続いてステップS87にて、押えロボット制御部63は、気体噴射部28b,28cによる押え準備を行う。具体的には図14(a)に示すように、保護フィルム41の一角部に隣接する押えロボットR3の押えハンド27cを液晶パネル42の上空から外方へ退避させ、他方の押えロボットR2の押えハンド27bを液晶パネル42の中央付近まで移動させる。続いて、押えロボット制御部63は、移載完了フラグF22をオンにする。
【0102】
続いてステップS88にて、押えロボット制御部63は、制御部61からの押え指示を待つ。制御部61からの押え指示を受けると、押えロボット制御部63は、移載完了フラグF22をオフにした後、ステップS89の処理に進む。
【0103】
続いてステップS89にて、押えロボット制御部63は、図14に示すように押えハンド27b,27cの移動を実行する。押えハンド27cの移動経路は、剥離ハンド24による剥離動作に伴って移動する保護フィルム41の剥離境界部から水平方向に約10mm離間させて、剥離境界部の移動に追随するように、予め調整された固定の経路である。このように押えロボットR3のアーム部13cが押えハンド27cを剥離境界部に追随して移動させるので、剥離ロボットR1による剥離動作を妨げることなく、液晶パネル42を押えることができる。
【0104】
押えハンド27cは、剥離境界部の移動に追随して、略円弧状の1/4円の移動経路に沿って約90度移動し、最後は液晶パネル42の剥離ロボットR1側の長辺まで移動したところで停止する。このように剥離ハンド24が略円弧状の半円の移動経路Kに沿って移動するのに対し、押えハンド27cを略円弧状の1/4円の移動経路に沿って移動させることによって、装置全体を大型化することなく、空間効率の良い保護フィルム剥離装置1を実現することができる。
【0105】
また、押えハンド27bは、保護フィルム41の剥離が開始されてから一定の期間は、図14(b)に示すように、保護フィルム41が剥離される前の液晶パネル42を押える。その後、一度液晶パネル42の上空から外方へ移動し、図14(c)に示すように、保護フィルム41が剥離された後の液晶パネル42側に回りこんで、剥離境界部を追随して液晶パネル42の剥離ロボットR1側の長辺まで移動したところで停止する。このように2つの押えハンド27b,27cを用いて剥離境界部の近傍を押えることによって、剥離が進行するに連れて剥離境界部の長さが変化しても、確実に液晶パネル42を押えることができる。以上で押えロボットR2,R3による一連の移載動作および押え動作が完了し、押えロボット制御部63は、再度ステップS81の処理に戻る。
【0106】
コンベア制御部64は、内部に記憶された制御プログラムによって内部フラグの値および前後機器の状態を元に、図10に示すフローを実行する。
【0107】
ステップS91にて、コンベア制御部64は、以下の搬出条件が成立しているかどうかを判断する。作業済みフラグF31がオン、かつ現パレット有フラグF32がオン、かつ搬出空きフラグF34がオンの場合、コンベア制御部64は、搬出条件が成立したと判定し、ステップS92の処理を行う。上記条件が成立しなかった場合、コンベア制御部64は、ステップS93の処理に進む。
【0108】
ステップS92にて、コンベア制御部64は、以下の搬出開始処理を実行する。コンベア制御部64は、コンベア2を駆動させてパレット4を搬出する。続いてコンベア制御部64は、作業済みフラグF31および現パレット有フラグF32をオフに書き換える。
【0109】
続いてステップS93にて、コンベア制御部64は、以下の搬入条件が成立しているかどうかを判断する。次モジュール有フラグF33がオン、かつ現パレット有フラグF32がオフである場合、コンベア制御部64は、搬入条件が成立したと判断し、ステップS94の処理に進む。上記条件が成立しなかった場合、コンベア制御部64は、ステップS91の処理に進む。
【0110】
ステップS94にて、コンベア制御部64は、以下の搬入処理を実行する。コンベア制御部64は、コンベア2を駆動して次のパレット4を搬入する。パレット4の搬入が終わると、コンベア制御部64は、現パレット有フラグF32をオンに書き換える。続いてコンベア制御部64は、ステップS91の処理に進む。
【0111】
制御部61は、剥離ロボット制御部62、押えロボット制御部63、およびコンベア制御部64内の各フラグの値を元に、内部に記憶された制御プログラムに従って、図11に示すフローを実行する。
【0112】
ステップS101にて、制御部61は、移載開始条件が成立しているかどうかを判断する。具体的には、押えロボット制御部63内の移載待機フラグF21がオン、かつコンベア制御部64内の作業済みフラグF31がオフ、かつ現パレット有フラグF32がオンであった場合、制御部61は、移載開始条件が成立したと判断し、ステップS102の処理に進む。上記移載開始条件が成立しなかった場合、制御部61は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0113】
ステップS102にて、制御部61は、押えロボット制御部63に対して移載実行を指示する。続いて制御部61は、ステップS103の処理に進む。
【0114】
ステップS103にて、制御部61は、剥離開始条件が成立しているかどうかを判断する。具体的には、押えロボット制御部63内の移載完了フラグF22がオン、かつ剥離ロボット制御部62内の剥離待機フラグF21がオンであった場合、制御部61は、剥離開始条件が成立していると判断し、ステップS104の処理に進む。上記剥離開始条件が成立しなかった場合、制御部61は、ステップS103の処理を繰り返す。
【0115】
ステップS104にて、制御部61は、剥離ロボット制御部62に対して剥離動作を指示するとともに、押えロボット制御部63に対して押え動作を指示する。続いて制御部61は、ステップS105の処理に進む。
【0116】
ステップS105にて、制御部61は、剥離完了条件が成立しているかどうかを判断する。具体的には、剥離ロボット制御部62内の剥離完了フラグF12がオンであった場合、制御部61は、剥離完了条件が成立していると判断し、ステップS106の処理に進む。上記剥離開始条件が成立しなかった場合、制御部61は、ステップS105の処理を繰り返す。
【0117】
ステップS106にて、制御部61は、コンベア制御部64の作業済みフラグF31をオンに書き換える。続いて制御部61は、ステップS101の処理に進む。
【0118】
以上の装置をあわせた保護フィルム剥離装置1の一連の動作を説明する。まず、押えロボット制御部63は、ステップS81〜S84に従って外部のパネル搬送装置から液晶パネル42を受け取り、制御部61からの移載指示を待つ。これと並行して、コンベア制御部64は、ステップS93〜S94に従ってバックライトモジュール43が上載されたパレット4を搬送する。その間剥離ロボット制御部62は、ステップS71に従って剥離指示を待って停止している。制御部61は、ステップS101にて移載条件成立を待っている押えロボット制御部63がステップS83を終え、さらにコンベア制御部64がステップS94を終えると、制御部61はステップS101の移載条件が成立したと判定し、押えロボット制御部63に移載指示を出す。
【0119】
押えロボット制御部63は移載指示を受けて、ステップS85〜S87の移載および押え準備を行う。押えロボット制御部63がステップS83を終え、さらに剥離ロボット制御部62がステップS71の剥離待機状態にあると、制御部61はステップS103にて剥離開始条件が成立したと判断し、剥離ロボット制御部62に対して剥離指示を出すと共に、押えロボット制御部63に対して押え指示を出す。剥離ロボット制御部62は、剥離指示を受けてステップS72〜73に示す剥離動作を行う。それと並行して、押えロボット制御部63は、押え指示をうけてステップS89の押え動作を行う。
【0120】
これにより、図14(a)〜(d)に示されるように、保護フィルム41が液晶パネル42から剥離される。押えハンド27b,27cから噴射されるイオン化された圧縮空気が保護フィルム41の剥離境界部に当たるため剥離帯電の帯電量が低減され、電子部品損傷のリスクが低減される。制御部61は、剥離ロボット制御部62が剥離動作を終えて剥離完了フラグF12をオンにした時点でステップS105にて剥離完了条件が成立したと判定し、ステップS106にてコンベア制御部64の作業済みフラグF31をオンにする。作業済みフラグF31がオンされると、コンベア制御部64は、ステップS91にて外部のモジュール搬出装置の空き状況と合わせて搬出条件が成立したか判断し、搬出条件が成立した場合はパレット4の搬出処理を行う。
【0121】
これと並行して、剥離ロボット制御部62は、続いてステップS74の保護フィルム廃棄動作を行った後、ステップS75にて待機位置に戻る。これと並行して、押えロボット制御部63は、押え動作が終わるとステップS81に戻り、次のパネル受取り準備を行う。以上のように本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、液晶パネル42がバックライトモジュール43上に移載された後、液晶パネル42の上面に貼着されている保護フィルム41が剥離される。
【0122】
以上のように、本実施の形態の保護フィルム剥離装置1を用いることによって、バックライトモジュール43に上載された液晶パネル42に対して、非接触でワーク5を汚さずに浮き上がりを防止し、保護フィルム41を剥離する作業の失敗をなくすことができる。押えハンド27b,27cによる押え位置が剥離境界部の直近であり曲げモーメントが低減されるので、浮き上がり防止の効果が高く、曲げモーメントの作用による液晶パネル42の損傷を防止することができる。また、押えハンド27b,27cに、液晶パネル42を移載するための手段である吸着部29b,29cを押えロボットR2,R3に気体噴射部28b,28cとともに備えることで、装置全体のコストを低減することができる。また、気体噴射部28b,28cから噴射される圧縮空気をイオン化することで、剥離帯電による帯電量を低減し、液晶パネル42内の電子部品の静電破壊を防止することができる。また、押えハンド27b,27cを2式備えることによって、幅広い寸法の液晶パネル42に対して移載および保護フィルム41の剥離が可能である。
【0123】
本発明の保護フィルム剥離装置は、他の実施形態として、保護フィルムが貼着されている上面に対し、下面が塞がれていない板状体についても用いることができる。したがって、板状体の下面が塞がれている場合と塞がれていない場合とを問わずに、保護フィルムが剥離された領域の表面を傷つけることなく、板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体が損傷してしまうことを防止して、保護フィルムを剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す斜視図である。
【図2】保護フィルム41が貼着されたワーク5の構成の一部の概略を示す断面図である。
【図3】図1に示す剥離ロボットR1の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】剥離ロボットR1に備えられる剥離ハンド24の一部を拡大して示す側面図である。
【図5】図1に示す押えロボットR2の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】押えロボットR2に備えられる押えハンド27bの構成を簡略化して示す側面図である。
【図7】保護フィルム剥離装置1の制御装置60の構成を説明するための図である。
【図8】剥離ロボット制御部62による処理手順を示すフローチャートである。
【図9】押えロボット制御部63による処理手順を示すフローチャートである。
【図10】コンベア制御部64による処理手順を示すフローチャートである。
【図11】制御部61による処理手順を示すフローチャートである。
【図12】剥離ハンド24による保護フィルム41の剥離動作を説明する図であり、図12(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図12(b)は挟持部26によって保護フィルム41の一角部を挟持して保護フィルム41を剥離している状態を示している。
【図13】押えハンド28bによる動作を説明する図であり、図13(a)は吸着部29bによって液晶パネル42の吸着している状態を示し、図13(b)は気体噴射部28bによって液晶パネル42を押えている状態を示している。
【図14】剥離ロボットR1および押えロボットR2,R3によって保護フィルム41を剥離する過程を説明する図であり、図14(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図14(b)は剥離ハンド24が保護フィルム41の一角部を保持しながらある程度移動をした状態を示し、図14(c)は図14(b)の状態よりもさらに移動を進めた状態を示し、図14(d)は保護フィルム41の剥離が完了する直前の状態を示している。
【符号の説明】
【0125】
1 保護フィルム剥離装置
2 コンベア
3 フィルム回収箱
24 剥離ハンド
27b,27c 押えハンド
41 保護フィルム
42 液晶パネル
43 バックライトモジュール
R1 剥離ロボット
R2,R3 押えロボット
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置およびその剥離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶パネルなどの板状体において、その板状体の表面における微細な傷および塵埃などによる品位の低下を防止する必要がある場合には、表面を保護するための保護フィルムを貼着している。しかし、保護フィルムが必要でなくなった場合には、その表面から保護フィルムを剥離する必要がある。たとえば、液晶パネルを搭載する液晶テレビでは、液晶パネルを製造する工程においてはその表面に保護フィルムを貼着しているが、製品としての液晶テレビにおいては保護フィルムが不必要である。そこで、その表面から保護フィルムを剥離する工程が必ず存在する。
【0003】
保護フィルムは、その一方の面に塗布されている粘着剤を介して板状体の表面に貼着されており、板状体から保護フィルムを剥離する際には、その粘着剤の粘着力に抗う力を作用させる必要がある。このとき、板状体が固定されていない場合には、保護フィルムの剥離の際に板状体に作用する力によって板状体が浮き上がってしまい、位置決めされている載置位置から板状体が移動してしまう場合がある。したがって、このような浮き上がりを防止するためには、板状体を押えながら保護フィルムを剥離する必要がある。
【0004】
たとえば大型液晶ディスプレイの製造において、バックライト上に載置された液晶パネルの表面から保護フィルムを剥離する場合、従来では人手によって剥離する方法が行われていた。人手による方法の場合、保護フィルムが貼着されている領域を片方の手で押えつつ他方の手で保護フィルムを剥離していく。このとき、液晶パネルの表面は非常に傷つきやすいため、保護フィルムが剥離された領域の表面に接触して押えることができない。
【0005】
このような保護フィルムを剥離する工程を自動化によって行う場合、保護フィルムが貼着されている液晶パネルの一方の表面に対し、他方の表面を真空吸着などの手段により吸着して保持した状態で、前記一方の表面から保護フィルムを剥離する方法が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【0006】
しかし、前述するように、バックライト上に載置された液晶パネルの表面から保護フィルムを剥離する場合には、液晶パネルの下面がバックライトによって塞がれているため、特許文献1に示されるような下面吸引方式を採用することはできない。
【0007】
また特許文献2には、搬送系で搬送されている洗浄後の基板に対し、エアー噴出によって液切りする場合に発生する浮き上がりを防止するために、前記基板の上方から流体を噴出することによって非接触で基板を押える方法が提案されている。
【0008】
【特許文献1】特開昭61−70787号公報
【特許文献2】特開2003−112134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2の方法を用いれば、非接触で板状体を押えることができるため、保護フィルムが剥離された領域の表面を傷つけることなく保護フィルムを板状体から剥離することができる。しかしながら、保護フィルムを板状体から剥離する場合、剥離が進むのに伴って剥離境界部が移動するため、特許文献2に示されるように、板状体を押えるための手段を固定しておくと、押え位置と剥離境界部との距離が増加することになる。板状体において、押え位置には押圧力が作用し、剥離境界部には前記押圧力とは反対方向の剥離力が作用するため、押え位置と剥離境界部との距離が増加することによって、板状体に作用する曲げモーメントが増大することになる。このような曲げモーメントの増大によって、板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体が損傷してしまうおそれがあるという問題がある。
【0010】
本発明の目的は、板状体を非接触で押えながら板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する曲げモーメントを可及的に低減し、板状体の損傷を防止することができる保護フィルム剥離装置およびその方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表面に保護フィルムが貼着されている板状体から前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する剥離保持手段と、
前記剥離保持手段が設けられ、前記剥離保持手段を移動させるための第1移動手段と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射する押え手段と、
前記押え手段が設けられ、前記押え手段を前記剥離境界部の移動に伴って移動させるための第2移動手段とを有することを特徴とする保護フィルム剥離装置である。
【0012】
また本発明は、前記第2移動手段は、前記押え手段を前記板状体の表面に対して略平行に移動させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第2移動手段は、前記押え手段を前記剥離境界部に追随して移動させることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第1移動手段は、前記剥離保持手段を略円弧状の半円の移動経路に沿って移動させ、前記第2移動手段は、前記押え手段を略円弧状の1/4円の移動経路に沿って移動させることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記押え手段は、前記板状体の表面に平行な気体噴射面を有し、その気体噴射面には圧縮気体が噴射される複数の開口が形成されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記板状体を吸着して保持する吸着保持手段をさらに有し、前記吸着保持手段が前記第2移動手段によって移動されることを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方の、前記板状体からの距離を変化させる切替え手段をさらに有することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記切替え手段は、前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる機構を有することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記押え手段および前記第2移動手段をそれぞれ2式備えることを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記2式の押え手段のうち、1式は前記板状体の保護フィルム剥離前の領域に圧縮気体を噴射し、もう1式は前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記2式の押え手段がいずれも前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記押え手段は、噴射する気体をイオン化させるイオン生成手段を備えることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記板状体は液晶パネルであり、液晶パネルがバックライト上に載置されている状態で保護フィルムを剥離することを特徴とする。
【0024】
また本発明は、表面に保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する方法であって、
剥離保持手段によって前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する工程と、
保護フィルムの周縁部を保持している剥離保持手段を移動させて保護フィルムを剥離する工程と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射して板状体を押える工程と、
前記剥離境界部の移動に伴って圧縮気体を噴射して板状体を押える位置を移動させる工程とを含むことを特徴とする保護フィルム剥離方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、表面に保護フィルムが貼着されている板状体から保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置において、剥離保持手段が板状体から保護フィルムの周縁部を剥離して、さらにその保護フィルムの周縁部を保持する。保護フィルムの周縁部を保持している剥離保持手段は、第1移動手段によって予め定める経路に沿って移動される。このように保護フィルム剥離装置を動作させることによって、板状体から保護フィルムが剥離される。このとき、板状体の表面における保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、押え手段によって板状体の上方から圧縮気体が噴射される。
【0026】
これにより、保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する剥離力に対して、剥離力が作用する剥離境界部の近傍において、剥離力による板状体の浮き上がりを防止する方向に圧縮気体による押圧力を非接触で板状体に作用させることができる。剥離保持手段の移動に伴って剥離境界部が移動するので、この剥離境界部の移動に伴って、第2移動手段は押え手段を移動させる。剥離境界部と押圧力が作用する位置との間の距離を増大させないように押え手段を移動させることによって、板状体に作用する曲げモーメントを増大させることなく板状体から保護フィルムを剥離することができる。
【0027】
したがって、非接触で板状体を押えながら、板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体に作用する曲げモーメントを可及的に低減することができるため、保護フィルムが剥離された領域の表面を傷つけることなく、かつ板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体が損傷してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す斜視図である。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、たとえば板状体である矩形状の液晶パネル42の表面にある偏光板の損傷を防ぐために、偏光板表面を保護することを目的として貼着されている矩形状の保護フィルム41を剥離するための装置である。本実施の形態では、液晶表示装置などを製造する製造設備において、コンベア2によって搬送されているバックライトモジュール43に上載されている状態の液晶パネル42の上面から保護フィルム41を剥離するために用いられる。
【0029】
本実施の形態の保護フィルム剥離装置1は、保護フィルム41の周縁部を剥離して、その保護フィルム41の周縁部を保持する剥離ハンド24を備える剥離ロボットR1と、圧縮気体を噴射する押えハンド27b,27cをそれぞれ備える2台の押えロボットR2,R3と、コンベア2と、フィルム回収箱3とを含んで構成される。
【0030】
コンベア2は、パレット式の搬送機構であり、コンベア2の上部においてバックライトモジュール43が上載されたパレット4を水平に矢符A方向に搬送する。コンベア2の搬送方向A上流側には、コンベア2にバックライトモジュール43を投入するための図示しないモジュール投入装置が配置される。
【0031】
また、コンベア2の近傍には、保護フィルム41が貼着された液晶パネル42を搬送する図示しないパネル搬送装置が配置され、コンベア2の位置P1まで搬送されたバックライトモジュール43に対し、液晶パネル42がパネル搬送装置から供給される。本実施の形態では、後述するように、押えロボットR2,R3によって液晶パネル42がバックライトモジュール43に供給される。供給された液晶パネル42は、バックライトモジュール43に上載される。以下、液晶パネルが上載されたバックライトモジュールを「ワーク」と記す。
【0032】
コンベア2の位置P1近傍には、ワーク5から保護フィルム41を剥離するための剥離ロボットR1と、液晶パネル42の剥離境界部の近傍に向けて、液晶パネル42の上方から圧縮気体を噴射するための2台の押えロボットR2,R3と、剥離ロボットR1によって剥離された保護フィルム41を回収するためのフィルム回収箱3が配置される。
【0033】
本実施の形態では、フィルム回収箱3が位置P1に対し適度に間隔をあけて隣接して配置され、フィルム回収箱3よりも搬送方向A下流側にフィルム回収箱3に隣接して剥離ロボットR1が配置される。また、コンベア2を介してフィルム回収箱3および剥離ロボットR1が配置される側とは反対側に、押えロボットR2,R3が配置される。押えロボットR2は、位置P1よりも搬送方向A上流側に配置され、押えロボットR3は、位置P1よりも搬送方向A下流側に配置され、相互に干渉しないように適度の間隔をあけて離間している。
【0034】
コンベア2の位置P1において保護フィルム41が剥離されたワーク5は、搬送方向A下流側に搬送されて、コンベア2の搬送方向A下流側に配置されるモジュール搬出装置によって搬出される。コンベア2の下部では、ワーク5が搬出されて空になったパレット4が搬送方向Aとは反対方向に向かって搬送される。コンベア2は、床面に固定され、ワーク5の搬送面の床面からの高さ方向の寸法が約800mmであり、搬送面の幅寸法が約1000mmである。
【0035】
フィルム回収箱3は、一方向に開放する直方体形状の筐体であり、液晶パネル42から剥離された保護フィルム41が投入される。フィルム回収箱3は、矩形状の開口寸法が、矩形状の液晶パネル42の長辺寸法および短辺寸法よりも、いずれも約50mmだけ大きな寸法となるように形成されている。
【0036】
図2は、保護フィルム41が貼着されたワーク5の構成の一部の概略を示す断面図であり、ワーク5の長辺側から見たときの断面図の一部を示す。ワーク5は、バックライトモジュール43と、バックライトモジュール43に上載された液晶パネル42とから成る。ワーク5の寸法は、特に限定されるものではないが、たとえば平面寸法が長辺約1500mmおよび短辺約800mmであり、厚さ方向の寸法が約50mmである。
【0037】
液晶パネル42は、多数の板状部品が積層され一体化された構造であり、上面から下面に向かって、保護フィルム41、第1偏光板44、第1ガラス基板45、第2ガラス基板46、第2偏光板47の順に積層されて構成されている。保護フィルム41は、第1偏光板44の損傷を防ぐために、偏光板表面を保護することを目的として貼着されている。液晶パネル42の厚さは、約2.5mmである。
【0038】
バックライトモジュール43は、複数の部品を組み立てた構造であり、中間フレーム48、スペーサ49、背面フレーム50、冷陰極管51、および光学シート52で構成されている。背面フレーム50は、一方向に開放する直方体形状の筐体であり、背面フレーム50内において、冷陰極管51および光学シート52がスペーサ49によって位置決めされて設置されており、さらに背面フレーム50の上部には中間フレーム48が取付けられている。冷陰極管51は、直径約4mmの円柱状の蛍光灯である。冷陰極管51の両端は、スペーサ49によって固定されており、スペーサ49の内部で配線接続されている。
【0039】
スペーサ49は、内部に電極が配置された樹脂製の部品である。スペーサ49は、断面形状が台形であり、背面フレーム50の内壁面に沿って配置されている。光学シート52は、光透過性のある樹脂製の板状部材であり、平面寸法は背面フレーム50の内寸よりも数mmほど小さく、厚さ方向の寸法は約5mmである。中間フレーム48は、背面フレーム50を覆うように配置された樹脂製のフレームである。中間フレーム48は、液晶パネル42を載置するためのつば部48aと、液晶パネル42を位置決めするためのつば部48aに対し垂直に立上る壁部48bとを有する。壁部48bの高さ方向の寸法は、約3mmである。
【0040】
液晶パネル42がバックライトモジュール43に上載された図2に示す状態では、液晶パネル42に対して液晶パネル42の表面に沿う方向に力を加えても、壁部48bによって移動が制限されているために液晶パネル42は移動することができない。しかし、液晶パネル42に対し、液晶パネル42の厚さ方向であって液晶パネル42を上方に持ち上げる方向に作用する力が加わると、液晶パネル42が壁部48bを乗り越えて中間フレーム48から外れ、位置ずれを起こしてしまうおそれがある。
【0041】
本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、保護フィルム41を剥離する際に発生する液晶パネル42を上方に持ち上げる方向に作用する剥離力に対し、後述する圧縮空気による押圧力を液晶パネル42に作用させることによって、液晶パネル42が位置ずれを起こすことを防止する。
【0042】
図3は、図1に示す剥離ロボットR1の構成を概略的に示す斜視図である。剥離ロボットR1は、鉛直軸線J1a,J2a,J3aまわりの3つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に、鉛直軸線J3a方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。
【0043】
剥離ロボットR1は、水平な床面上の所定位置に配置される台11aに固定して設けられる基部12a、4つのリンク14a〜17a、および4つの関節18a〜21aを有するアーム部13aと、アーム部13aの先端に連結部22aを介して固定される所定のエンドエフェクタとを有する。剥離ロボットR1では、所定のエンドエフェクタとして、剥離ハンド24が装着される。本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、剥離ロボットR1のアーム部13aの各関節18a〜21aを駆動させることによって、剥離保持手段である剥離ハンド24を移動させることができる。
【0044】
剥離ハンド24を移動させるアーム部13aについて説明する。アーム部13aは、鉛直軸線J1aまわりに旋回可能な第1関節18aを介して基部12aに連結される第1リンク14aと、鉛直軸線J2aまわりに旋回可能な第2関節19aを介して第1リンク14aに連結される第2リンク15aと、鉛直軸線J3aまわりに旋回可能な第3関節20aを介して第2リンク15aに連結される第3リンク16aと、鉛直軸線J3aに沿う上下方向の直動機構(以下、上下駆動機構と称する場合がある)を備える第4関節21aを介して第3リンク16aに連結される第4リンク17aとを有する。
【0045】
第1リンク14aは、基部12aに固定される図示しない第1モータによって、旋回駆動される。第2リンク15aは、第1リンク14aに固定される図示しない第2モータによって、旋回駆動される。第3リンク16aは、第2リンク15aに固定される図示しない第3モータによって、旋回駆動される。第1、第2、および第3モータは、たとえばサーボモータによって実現される。
【0046】
第4リンク17aは、第2リンク15aに固定される昇降駆動部23aによって、昇降駆動される。昇降駆動部23aは、第4モータと、鉛直なボールねじシャフト部と、ボールねじシャフト部に噛合するボールねじナット部とを備え、第4モータの回転に連動してボールねじシャフト部が回転することによって、ボールねじナット部が昇降動作することで第4リンク17aを昇降駆動させることができる。
【0047】
剥離ロボットR1は、たとえば第1リンク長(第1関節18aと第2関節19aとの間の寸法)が約600mm、第2リンク長(第2関節19aと第3関節20aとの間の寸法)が約600mmある。また、第4関節21aは、第3関節20aの関節軸を通るように配置されており、第4リンク17aの上下方向の移動範囲は約100mmである。
【0048】
保護フィルム41の周縁部を剥離して、その保護フィルムの周縁部を保持する剥離ハンド24について説明する。剥離ハンド24は、保護フィルム41の周縁部を粘着力によって剥離する剥離部25と、剥離部25によって剥離された保護フィルム41の周縁部を挟持する挟持部26とを有し、連結部22aを介して第4リンク17aに連結される。
【0049】
本実施の形態の剥離ハンド24は、液晶パネル42に貼着されている保護フィルム41の周縁部を粘着力によって剥離して、その保護フィルム41の周縁部を挟持するように構成されているが、たとえば保護フィルム41の周縁部を粘着力によって剥離し、粘着した状態の保護フィルム41の周縁部をその粘着力によって保持するようにしても良い。
【0050】
本実施の形態では、保護フィルム41の周縁部とは保護フィルム41の一角部であるが、特に限定されることはなく、保護フィルム41の形状および寸法に応じて、たとえば2つの角部の間の領域であっても良い。
【0051】
図4は、剥離ハンド24の一部を拡大して示す側面図である。剥離部25は、水平に延びる回転軸線J4まわりに回転自在に設けられる短尺の円柱状のローラ37を備え、ローラ37の外周面38には、保護フィルム41を剥離するために粘着力を有する粘着層を設けることによって構成されている。前記粘着層の粘着力としては、液晶パネル42と保護フィルム41との粘着力よりも強いものであれば良く、たとえば粘着性を有するブチルゴムをローラ37に取り付けることによって実現される。
【0052】
また、ローラ37は、ローラ37の下端が後述する挟持部26の固定部35の下端よりも下方に位置するように設けられている。このように構成されることで、剥離ハンド24を下降させることによって、容易にローラ37と保護フィルム41とを粘着させることができる。
【0053】
また、挟持部26は、前記回転軸線J4を含む水平な仮想一平面において回転軸線J4に垂直な略水平軸線J5に沿って変位駆動される可動部34と、可動部34の変位方向前方に剥離ハンド24のフレーム36に固定して設けられる固定部35とを有する。可動部34および固定部35は、ローラ37に対し回転軸線J4方向の一方側と他方側にそれぞれ設けられる。すなわち、ローラ37を挟むようにして可動部34および固定部35が2組設けられる。
【0054】
可動部34および固定部35において互いを臨む面には、ローラ37の外周面38に沿うような湾曲面が形成される。詳細には、可動部34側が凸面に形成され、固定部35側には凸面が形成された可動部34嵌合するような凹面が形成される。したがって、可動部34を固定部35に向かって変位駆動させることによって、可動部34と固定部35との間に介在する保護フィルム41を挟持することができる。可動部34の変位駆動は、たとえば空気圧シリンダによって実現されても良い。
【0055】
このように可動部34と固定部35による開閉動作によって保護フィルム41を挟持するように挟持部26が構成されているので、簡単な構成で保護フィルム41を確実に保持することができ、また、後述するように剥離した保護フィルム41をフィルム回収箱3に確実に投入することができる。
【0056】
図5は、図1に示す押えロボットR2の構成を概略的に示す斜視図である。図6は、押えロボットR2に備えられる押えハンド27bの構成を簡略化して示す側面図である。
【0057】
押えロボットR2は、鉛直軸線J1b,J2b,J3bまわりの3つの旋回自由度を有するアーム結合の先端に、鉛直軸線J3b方向の1つの伸縮自由度を持たせた4自由度の水平多関節ロボットとして構成されている。なお、押えロボットR2は、エンドエフェクタを除き、剥離ロボットR1と同様に構成されるため、対応する部分には同一の数字に添字bを付し、重複を避けて説明は省略する。押えロボットR2では、エンドエフェクタとして、押えハンド27bが装着される。また、押えロボットR3は、押えロボットR2と同様に構成されるため、対応する部分には同一の数字に添字cを付し、重複を避けて説明は省略する。
【0058】
本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、押えロボットR2,R3の各アーム部13b,13cの各関節18b〜21b,18c〜21cを駆動させることによって、押え手段である各押えハンド27b,27cを移動させることができる。
【0059】
また、第1〜第3関節18b〜20b,18c〜20cが、鉛直軸線まわりに各第1〜第3リンク14b〜16b,14c〜16cを旋回駆動させるように構成されているので、それぞれの押えハンド27b,27cを、液晶パネル42の表面に対して略平行に移動させることができる。これによって、後述する気体噴射部28b,28cと液晶パネル42との間の距離を一定に保つことができ、一定の押圧力で安定して液晶パネル42を押えることができる。
【0060】
押えハンド27bは、気体噴射部28bと、複数(本実施の形態では4)の吸盤30bを有する吸着部29bと、気体噴射部28bに固定して設けられ、吸着部29bを鉛直軸線J6bに沿って上下方向に変位駆動させる切替部33bとを有し、気体噴射部28bの上面が連結部22bを介して第4リンク17bに連結して固定される。
【0061】
液晶パネル42の表面における剥離境界部の近傍に向けて、液晶パネル42の上方から圧縮気体を噴射する押え手段である押えハンド27bの気体噴射部28bについて説明する。気体噴射部28bは、直方体形状であり、液晶パネル42の表面に平行な下面に複数の開口が平面上にマトリクス状に配列して形成されている。このように形成される開口を通して、圧縮気体が液晶パネル42に向けて噴射されるので、液晶パネル42に局所的な負荷を作用させずに、液晶パネル42に均一な押圧力を作用させることができる。
【0062】
前記複数の開口には、それぞれに連なるように気体噴射部28bの内部に向かって鉛直方向に延びる図示しない連通管が設けられている。気体噴射部28bの内部における連通管は、図示しない電磁弁V1を介して図示しない外部の空圧源に接続されている。たとえば、電磁弁V1を開放することによって圧縮気体が複数の開口から鉛直方向下向きに噴射され、電磁弁V1を閉鎖することによって圧縮気体の噴射を停止することができる。このような電磁弁V1の開閉駆動は、外部からの駆動指令によって制御することができる。
【0063】
本実施の形態では、圧縮気体として、たとえば圧縮空気が用いられても良い。また、空圧源としては、たとえば電動コンプレッサが用いられても良い。
【0064】
さらに、気体噴射部28bの内部には、イオン生成手段である図示しない静電気除去器が備えられる。静電気除去器は、たとえば針状の電極を備え、その電極の先端に高電圧を印加することによって、コロナ放電を起こさせてイオンを発生させることができる装置である。
【0065】
したがって、気体噴射部28bの開口から噴射される圧縮気体の一部を、気体噴射部28bの内部において静電気除去器を用いてイオン化することによって、開口から噴射される圧縮気体にイオンを含有させることができる。通常、液晶パネル42から保護フィルム41を剥離する際には剥離帯電によって静電気が発生するので、このような静電気除去器を用いることによって、電気的に一方の極性に偏っている保護フィルム41および液晶パネル42に対し、反対極性の電荷を補うことで電気的に中和させることができる。
【0066】
これによって、保護フィルム41の剥離時の帯電量を低減することができ、液晶パネル42に備えられる電子部品などが剥離帯電によって静電破壊することを防止することができる。また、このような静電気除去器を、剥離境界部の移動に伴って移動する押えハンド27bに備えることによって、効果的に剥離境界部に対してイオンを放出することができるので、固定式の除電ブロアを利用する場合と比較して、除電効果を向上させることができる。さらに、固定式の除電ブロアを用いて大形の液晶パネル42の剥離境界部に向けてイオンを放出する場合と比較して、所望の位置に向けて効果的にイオンを放出することができる。
【0067】
本実施の形態では、気体噴射部28bの下面の寸法は、たとえば長辺寸法が約500mmであり、短辺寸法が約150mmである。また、気体噴射部28bの下面に形成される開口は、たとえば直径約2mmの円形の開口であり、マトリクス状に相互に20mmの間隔をあけて形成されている。
【0068】
液晶パネル42を吸着して保持することのできる吸着部29bについて説明する。吸着部29bは、4つの吸盤30bと、4つの吸盤基部31bと、フレーム32bとを有し、後述する切替部を介して、気体噴射部28bに取り付けられる。したがって、気体噴射部28bを移動させる押えロボットR2のアーム部13bによって、吸着部29bも移動させることができる。
【0069】
吸盤30bは、取付部材を介してフレーム32bに取り付けられ、さらに吸盤30bの上方にはフレーム32bを介して吸盤基部31bが設けられる。吸盤30bには開口が形成され、開口に連なるように図示しない連通管が設けられる。その連通管は、図示しない電磁弁V2を介して図示しない外部のエジェクタおよび空圧源に接続されている。たとえば、電磁弁V2を開放することによってエジェクタで負圧を発生させ、吸盤30bによって物体を吸着することができるように構成されている。このような構成によって、押えハンド27bは、吸着部29bによって液晶パネル42を吸着保持することができる。
【0070】
また、吸盤基部31bには、ばね部材が内蔵されており、吸盤30bを取り付ける取付部材を吸盤基部31bの内部に押し込むことが可能となっている。吸着基部31bがこのように構成されているので、吸盤31bを液晶パネル42に押し付ける際の衝撃を和らげることができ、液晶パネル42が損傷することを防止することができる。
【0071】
本実施の形態では、保護フィルム41が貼着されている液晶パネル42をバックライトモジュール43に上載する工程が必要であるので、押えロボットR2,R3に吸着部29b,29cを備えさせることによって、別の搬送装置を新たに設けることなく、押えロボットR2,R3によって液晶パネル42をパネル搬送装置からコンベア2の位置P1に載置されているバックライトモジュール43上に移載することができ、保護フィルム剥離装置1のコストを抑えることができる。
【0072】
切替部33bは、気体噴射部28bに固定して設けられ、吸着部29bを鉛直軸線J6bに沿って上下方向に変位駆動させる。これによって、気体噴射部28bの下面と吸着部29bの吸盤30bの下部との上下方向の位置関係を入れ替えることができる。
【0073】
このような切替部33bを設けることによって、気体噴射部28bと吸着部29bとを有する押えロボットR2において、ある工程で一方の手段を使用する場合に他方の手段が一方の手段の使用の妨げとならないようにすることができる。たとえば、気体噴射部28bによる液晶パネル42を押える工程において、吸着部29bが気体噴射部28bによって液晶パネル42に押圧力を作用させる際の妨げとならないように位置を入れ替えることができる。また、切替部33bが、吸着部29bを上下方向に移動させるので、僅かな移動量で妨げとならないような位置関係に入れ替えることができる。本実施の形態では、切替部33bは、空圧アクチュエータによって吸着部29bのフレーム32bを上下方向に変位駆動させる。
【0074】
図7を用いて、保護フィルム剥離装置1の制御装置60の構成を説明する。制御部61は、剥離ロボット制御部62、押えロボット制御部63、およびコンベア制御部64と通信線で電気的に接続されている。制御部61は、一般的なプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)である。制御部61は、予め記憶されている制御プログラムに従って、剥離ロボット制御部62、押えロボット制御部63、およびコンベア制御部64と通信を行い、後述する保護フィルム剥離装置1の駆動および停止を制御する。
【0075】
剥離ロボット制御部62および押えロボット制御部63は、ロボット専用コントローラである。剥離ロボット制御部62は、剥離ロボットR1のアーム部13aの各関節18a〜21aおよび剥離ハンド24の可動部34の駆動および停止を制御する。剥離ロボット制御部62には、内蔵メモリが備えられ、剥離ハンド24を予め定める経路に沿って移動させるように、予め制御プログラムが内蔵メモリに記憶されている。剥離ロボット制御部62は、内蔵メモリ上に、剥離ロボットR1による剥離動作の開始が可能な状態であるか否かを示す剥離待機フラグF11と、剥離ロボットR1による剥離動作が完了したか否かを示す剥離完了フラグF12とを有する。
【0076】
押えロボット制御部63は、押えロボットR2,R3のアーム部13b,13cの各関節18b〜21b,18c〜21cの駆動および停止ならびに押えハンド27b,27cの動作を制御する。押えロボット制御部63には、内蔵メモリが備えられ、押えハンド27b,27cをそれぞれ予め定める経路に沿って移動させるように、予め制御プログラムが内蔵メモリに記憶されている。押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cを、その相対位置を一定に保ちながら同期して移動させる、協調制御機能を有している。相対位置を一定に保つ演算処理のために必要な基部12b,12cの設置位置および各リンクの長さなどの情報は、予め押えロボット制御部63の内蔵メモリに記憶されている。押えロボット制御部63は、内蔵メモリ上に、液晶パネル42をバックライトモジュール43に移載可能な状態であるか否かを示す移載待機フラグF21と、液晶パネル42の移載が完了したか否かを示す移載完了フラグF22と、次の液晶パネル42がパネル搬送装置から移載可能な状態であるか否かを示す次パネル有フラグF23とを有する。
【0077】
コンベア制御部64は、コンベア2に対するコントローラである。コンベア制御部64は、メモリを内蔵しており、位置P1にあるワーク5が保護フィルム41の剥離が完了済みであるか否かを示す作業済みフラグF31、位置P1にパレット4があるか否かを示す現パレット有フラグF32、外部のモジュール投入装置に次のバックライトモジュール43を乗せたパレットがあるか否かを示す次モジュール有フラグF33、および外部のモジュール搬出装置へワーク5を搬出することが可能な状態であるか否かを示す搬出空きフラグF34をメモリ内に有する。コンベア制御部64は、フラグF31〜F34の状態と、制御部61からの指令とに基づいてコンベア2の駆動および停止を制御する。
【0078】
各制御部62〜64によって実行される制御プログラムによる各ロボットR1〜R3およびコンベア2の動作について説明する。図8は、剥離ロボット制御部62による処理手順を示すフローチャートである。図9は、押えロボット制御部63による処理手順を示すフローチャートである。図10は、コンベア制御部64による処理手順を示すフローチャートである。図11は、制御部61による処理手順を示すフローチャートである。
【0079】
図12は、剥離ハンド24による保護フィルム41の剥離動作を説明する図であり、図12(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図12(b)は挟持部26によって保護フィルム41の一角部を挟持して保護フィルム41を剥離している状態を示している。図13は、押えハンド28bによる動作を説明する図であり、図13(a)は吸着部29bによって液晶パネル42の吸着している状態を示し、図13(b)は気体噴射部28bによって液晶パネル42を押えている状態を示している。
【0080】
図14は、剥離ロボットR1および押えロボットR2,R3によって保護フィルム41を剥離する過程を説明する図であり、図14(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図14(b)は剥離ハンド24が保護フィルム41の一角部を保持しながらある程度移動をした状態を示し、図14(c)は図14(b)の状態よりもさらに移動を進めた状態を示し、図14(d)は保護フィルム41の剥離が完了する直前の状態を示している。
【0081】
剥離ロボット制御部62は、内部に記憶された制御プログラムに従って、図8に示すフローを実行する。図8および図12を参照して、剥離ロボット制御部62による制御、ならびにアーム部13aおよび剥離ハンド24の動作を説明する。
【0082】
初期状態では、挟持部26の可動部34は、固定部35に離間して停止している。また、剥離ハンド24は、第4リンク17aの上下駆動機構によって上昇位置に停止している。アーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aの初期状態は、予め定める待機用の角度になっている。本実施の形態では、待機用の角度は、アーム部13aを基部12aから搬送方向A上流側に向かって真っ直ぐに延ばした状態の角度である。このようなアーム部13aおよび剥離ハンド24の初期状態は、予め剥離ロボット制御部62の内蔵メモリ内に記憶されている。
【0083】
ステップS71にて、剥離ロボット制御部62は、制御部61から剥離指示を受けたか否かを調べる。剥離ロボット制御部62は、制御部61から剥離指示を受けたと判断すると、剥離完了フラグF12をオフに書き換え、さらに剥離待機フラグF11をオフに書き換えたのち、ステップS72の処理に進む。剥離ロボット制御部62は、制御部61から剥離指示を受けたと判断するまでステップS71の処理を繰り返す。
【0084】
ステップS72にて、剥離ロボット制御部62は、以下に説明する一連の初期剥離動作を実行する。まず剥離ロボット制御部62は、剥離ハンド24を所定の剥離開始位置まで移動させる。ここで剥離開始位置とは、搬送方向A下流側であって、押えロボットR2,R3が配置される側の保護フィルム41の一角部の上空である。続いて、剥離ロボット制御部62は、第4リンク17aの上下駆動機構を駆動させて剥離ハンド24を所定の剥離開始高さまで下降させる。ここで剥離開始高さとは、ローラ37の下端が液晶パネル42に貼着されている保護フィルム41に接触する高さである。
【0085】
続いて、剥離ロボット制御部62は、アーム部13aの各関節を駆動させることによって、図12(a)に示すように、剥離ハンド24を所定の距離だけ移動方向Bに沿って移動させる。ローラ37は回転軸線J4まわりに回転自在に構成されており、さらにローラ37の外周面38には液晶パネル42と保護フィルム41との粘着力よりも強い粘着力を有する粘着層が設けられているので、保護フィルム41の一角部にローラ37を接触させて移動方向Bに沿って移動させることによって、保護フィルム41の一角部を剥離することができる。この所定の移動距離は約50mmである。
【0086】
続いて、剥離ロボット制御部62は、挟持部26の可動部34を軸線J5に沿って変位駆動させ、可動部34と固定部35とによって保護フィルム41を挟持させる。続いて、剥離ロボット制御部62は、第4リンク17aの上下駆動機構を駆動させて剥離ハンド24を所定の剥離高さに上昇させる。ここで剥離高さとは、前記剥離開始高さから約30mm上昇した高さである。
【0087】
続いてステップS73にて、剥離ロボット制御部62は、以下に説明する剥離動作を実行する。まず剥離ロボット制御部62は、アーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aを駆動させて、図12(b)に示すように液晶パネル42の表面に平行に移動経路Bに沿って、また図14に示すように略円弧状の半円の移動経路Kに沿って、剥離ハンド24を移動させる。剥離動作が進行すると、図14(d)に示すように、保護フィルム41の大部分が剥離される。続いて剥離ロボット制御部62は、アーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aを駆動させて、コンベア2から離間する方向へ約200mm剥離ハンド24を移動させる。これにより保護フィルム41が完全に剥離される。続いて剥離ロボット制御部62は、剥離完了フラグF12をオンに書き換える。
【0088】
続いてステップS74にて、剥離ロボット制御部62は、挟持部26の可動部34を軸線J5に沿って変位駆動させ、可動部34と固定部35とを離間させる。これにより保護フィルム41は自重で落下し、下方に配置されるフィルム回収箱3に投入されて廃棄される。剥離ロボット制御部62は、可動部34と固定部35とを離間させたのち、保護フィルム41が自重で落下するのを待つために、剥離ロボットR1の動作を約1秒間停止する。
【0089】
続いてステップS75にて、剥離ロボット制御部62は、以下に説明する剥離完了処理を実行する。剥離ロボット制御部62は、第4リンク17aの上下駆動機構を駆動させて剥離ハンド24を上昇させ、さらにアーム部13aの第1〜第3関節18a〜20aが前述の待機用の角度となるように、第1〜第3関節18a〜20aを駆動させる。続いて剥離ロボット制御部62は、剥離待機フラグF21をオンに書き換える。続いて剥離ロボット制御部62は、ステップS71の処理に戻る。
【0090】
押えロボット制御部63は、内部に記憶された制御プログラムに従って、図9に示すフローを実行する。図9および図13を参照して、押えロボット制御部63による制御、ならびにアーム部13b,13cおよび押えハンド27b,27cの動作を説明する。
【0091】
初期状態では、アーム部13b,13cおよび押えハンド27b,27cは、ワーク5の処理を終えた状態にある。具体的には、アーム部13b,13cは、後述する剥離終了位置にある。また、押えハンド27b,27cは、後述する押えモードになっている。
【0092】
ステップS81にて、押えロボット制御部63は、以下に説明するパネル受取り準備処理を実行する。まず押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cをそれぞれ押えモードから吸着モードに切替える。具体的には、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cの電磁弁V1を閉じて圧縮空気の噴射を停止させた後、第4リンク17b,17cの上下駆動機構によって押えハンド27b,27cを上昇位置に停止させる。このとき、押えハンド27b,27cは、約100mm上昇した位置にある。
【0093】
続いて押えロボット制御部63は、切替部33b,33cを駆動して吸着部29b,29cを下降させる。続いて押えロボット制御部63は、アーム部13b,13cの各関節を駆動させて、押えハンド27b,27cを液晶パネル受取り位置まで移動させる。液晶パネル受取り位置とは、パネル搬送装置の供給位置に載置されている液晶パネル42の各長辺の中心を結ぶ仮想線を含み液晶パネル42に垂直な仮想一平面に対して、押えハンド27b,27cが面対称となる位置であって、液晶パネル42の各短辺からそれぞれ長辺の約1/4の距離だけ離間した位置に吸着部29b,29cの吸盤30b,30cが並ぶ位置である。
【0094】
続いてステップS82にて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42を受取り可能か否かを調べる。具体的には、次パネル有フラグF23がオンであった場合、押えロボット制御部63は、受取り可能と判断してステップS83の処理に進む。次パネル有フラグF23がオフの場合、押えロボット制御部63は、ステップS82の処理を繰り返す。次パネル有フラグF23は、外部のパネル搬送装置によって書き換えられる。液晶パネル42がパネル搬送装置に投入され供給位置まで搬送されると、パネル搬送装置からの通信によって次パネル有フラグF23がオンに書き換えられる。
【0095】
続いてステップS83にて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42を受け取る。具体的には、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cの電磁弁V2を操作して、図13(a)に示すように、吸着部29b,29cを吸着可能な状態にする。その後、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、押えハンド27b,27cを所定の吸着高さまで下降させる。ここで所定の吸着高さとは、吸着部29b,29cが液晶パネル42に貼着されている保護フィルム41に接触し、吸盤30b,30cの取付部材が吸着基部31b,31c内に5mm程度押し込まれる高さである。
【0096】
続いて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42が吸着されるのを待つために、押えロボットR2,R3の動作を約1秒間停止する。続いて、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、液晶パネル42を吸着保持している押えハンド27b,27cを所定の移動高さまで上昇させる。ここで所定の移動高さとは、前記所定の吸着高さから約100mm上昇した高さである。液晶パネル42が吸着されて持ち上げられると、パネル投入装置からの通信によって次パネル有フラグF23はオフに書き換えられる。続いて、押えロボット制御部63は、移載待機フラグF21をオンにする。
【0097】
続いてステップS84にて、押えロボット制御部63は、制御部61からの移載指示を待つ。移載指示を受けると、押えロボット制御部63は、移載待機フラグF21をオフに書き換えて、ステップS85の処理に進む。移載指示を受けていない場合、押えロボット制御部63は、移載指示を受けるまで待機状態を継続する。
【0098】
続いてステップS85にて、押えロボット制御部63は、液晶パネル42の移載を行う。具体的にはまず、押えロボット制御部63は、協調制御によって押えハンド27b,27cの相対的な位置関係を維持しながら、アーム部13b,13cの各関節を駆動させて、液晶パネル42を所定の移載位置まで移動させる。上記所定の移載位置は、コンベア2上のバックライトモジュール43の所定位置P1の上空である。続いて、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、押えハンド27b,27cを所定の移載高さまで下降させる。前記所定の移載高さとは、押えハンド27b,27cによって吸着保持されている液晶パネル42の下面がコンベア2に上載されるバックライトモジュール43のパネル搭載面と当接する高さである。
【0099】
ここで、パネル搬送装置の供給位置における液晶パネル42の載置位置およびコンベア2の位置P1におけるバックライトモジュール43の載置位置は、それぞれ十分に精度良く(いずれも繰返し誤差が0.1mm未満)位置決めされており、押えハンド27b,27cを所定の経路に沿って移動させることによって、バックライトモジュール43を構成する中間フレーム48の壁部48b内に液晶パネル42を移載することができる。続いて押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cの電磁弁V2をオフにして液晶パネル42の吸着を解除する。
【0100】
続いてステップS86にて、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cを吸着モードから押えモードに切替える。具体的には、まず押えロボット制御部63は、切替部33b,33cを駆動して、吸着部29b,29cを上昇させる。続いて、押えロボット制御部63は、第4リンク17b,17cの上下駆動機構を駆動して、押えハンド27b,27cを所定の押え高さまで下降させる。前記所定の押え高さとは、押えハンド27b,27cの気体噴射部28b,28cの下面が液晶パネル42の上面に対して2mm距離をあけて上空にある高さである。続いて、押えロボット制御部63は、押えハンド27b,27cに備えられる静電気除去器の電極に高電圧を印加するとともに電磁弁V1を開放して、複数の開口からイオンを含む圧縮空気の噴射を開始させる。
【0101】
続いてステップS87にて、押えロボット制御部63は、気体噴射部28b,28cによる押え準備を行う。具体的には図14(a)に示すように、保護フィルム41の一角部に隣接する押えロボットR3の押えハンド27cを液晶パネル42の上空から外方へ退避させ、他方の押えロボットR2の押えハンド27bを液晶パネル42の中央付近まで移動させる。続いて、押えロボット制御部63は、移載完了フラグF22をオンにする。
【0102】
続いてステップS88にて、押えロボット制御部63は、制御部61からの押え指示を待つ。制御部61からの押え指示を受けると、押えロボット制御部63は、移載完了フラグF22をオフにした後、ステップS89の処理に進む。
【0103】
続いてステップS89にて、押えロボット制御部63は、図14に示すように押えハンド27b,27cの移動を実行する。押えハンド27cの移動経路は、剥離ハンド24による剥離動作に伴って移動する保護フィルム41の剥離境界部から水平方向に約10mm離間させて、剥離境界部の移動に追随するように、予め調整された固定の経路である。このように押えロボットR3のアーム部13cが押えハンド27cを剥離境界部に追随して移動させるので、剥離ロボットR1による剥離動作を妨げることなく、液晶パネル42を押えることができる。
【0104】
押えハンド27cは、剥離境界部の移動に追随して、略円弧状の1/4円の移動経路に沿って約90度移動し、最後は液晶パネル42の剥離ロボットR1側の長辺まで移動したところで停止する。このように剥離ハンド24が略円弧状の半円の移動経路Kに沿って移動するのに対し、押えハンド27cを略円弧状の1/4円の移動経路に沿って移動させることによって、装置全体を大型化することなく、空間効率の良い保護フィルム剥離装置1を実現することができる。
【0105】
また、押えハンド27bは、保護フィルム41の剥離が開始されてから一定の期間は、図14(b)に示すように、保護フィルム41が剥離される前の液晶パネル42を押える。その後、一度液晶パネル42の上空から外方へ移動し、図14(c)に示すように、保護フィルム41が剥離された後の液晶パネル42側に回りこんで、剥離境界部を追随して液晶パネル42の剥離ロボットR1側の長辺まで移動したところで停止する。このように2つの押えハンド27b,27cを用いて剥離境界部の近傍を押えることによって、剥離が進行するに連れて剥離境界部の長さが変化しても、確実に液晶パネル42を押えることができる。以上で押えロボットR2,R3による一連の移載動作および押え動作が完了し、押えロボット制御部63は、再度ステップS81の処理に戻る。
【0106】
コンベア制御部64は、内部に記憶された制御プログラムによって内部フラグの値および前後機器の状態を元に、図10に示すフローを実行する。
【0107】
ステップS91にて、コンベア制御部64は、以下の搬出条件が成立しているかどうかを判断する。作業済みフラグF31がオン、かつ現パレット有フラグF32がオン、かつ搬出空きフラグF34がオンの場合、コンベア制御部64は、搬出条件が成立したと判定し、ステップS92の処理を行う。上記条件が成立しなかった場合、コンベア制御部64は、ステップS93の処理に進む。
【0108】
ステップS92にて、コンベア制御部64は、以下の搬出開始処理を実行する。コンベア制御部64は、コンベア2を駆動させてパレット4を搬出する。続いてコンベア制御部64は、作業済みフラグF31および現パレット有フラグF32をオフに書き換える。
【0109】
続いてステップS93にて、コンベア制御部64は、以下の搬入条件が成立しているかどうかを判断する。次モジュール有フラグF33がオン、かつ現パレット有フラグF32がオフである場合、コンベア制御部64は、搬入条件が成立したと判断し、ステップS94の処理に進む。上記条件が成立しなかった場合、コンベア制御部64は、ステップS91の処理に進む。
【0110】
ステップS94にて、コンベア制御部64は、以下の搬入処理を実行する。コンベア制御部64は、コンベア2を駆動して次のパレット4を搬入する。パレット4の搬入が終わると、コンベア制御部64は、現パレット有フラグF32をオンに書き換える。続いてコンベア制御部64は、ステップS91の処理に進む。
【0111】
制御部61は、剥離ロボット制御部62、押えロボット制御部63、およびコンベア制御部64内の各フラグの値を元に、内部に記憶された制御プログラムに従って、図11に示すフローを実行する。
【0112】
ステップS101にて、制御部61は、移載開始条件が成立しているかどうかを判断する。具体的には、押えロボット制御部63内の移載待機フラグF21がオン、かつコンベア制御部64内の作業済みフラグF31がオフ、かつ現パレット有フラグF32がオンであった場合、制御部61は、移載開始条件が成立したと判断し、ステップS102の処理に進む。上記移載開始条件が成立しなかった場合、制御部61は、ステップS101の処理を繰り返す。
【0113】
ステップS102にて、制御部61は、押えロボット制御部63に対して移載実行を指示する。続いて制御部61は、ステップS103の処理に進む。
【0114】
ステップS103にて、制御部61は、剥離開始条件が成立しているかどうかを判断する。具体的には、押えロボット制御部63内の移載完了フラグF22がオン、かつ剥離ロボット制御部62内の剥離待機フラグF21がオンであった場合、制御部61は、剥離開始条件が成立していると判断し、ステップS104の処理に進む。上記剥離開始条件が成立しなかった場合、制御部61は、ステップS103の処理を繰り返す。
【0115】
ステップS104にて、制御部61は、剥離ロボット制御部62に対して剥離動作を指示するとともに、押えロボット制御部63に対して押え動作を指示する。続いて制御部61は、ステップS105の処理に進む。
【0116】
ステップS105にて、制御部61は、剥離完了条件が成立しているかどうかを判断する。具体的には、剥離ロボット制御部62内の剥離完了フラグF12がオンであった場合、制御部61は、剥離完了条件が成立していると判断し、ステップS106の処理に進む。上記剥離開始条件が成立しなかった場合、制御部61は、ステップS105の処理を繰り返す。
【0117】
ステップS106にて、制御部61は、コンベア制御部64の作業済みフラグF31をオンに書き換える。続いて制御部61は、ステップS101の処理に進む。
【0118】
以上の装置をあわせた保護フィルム剥離装置1の一連の動作を説明する。まず、押えロボット制御部63は、ステップS81〜S84に従って外部のパネル搬送装置から液晶パネル42を受け取り、制御部61からの移載指示を待つ。これと並行して、コンベア制御部64は、ステップS93〜S94に従ってバックライトモジュール43が上載されたパレット4を搬送する。その間剥離ロボット制御部62は、ステップS71に従って剥離指示を待って停止している。制御部61は、ステップS101にて移載条件成立を待っている押えロボット制御部63がステップS83を終え、さらにコンベア制御部64がステップS94を終えると、制御部61はステップS101の移載条件が成立したと判定し、押えロボット制御部63に移載指示を出す。
【0119】
押えロボット制御部63は移載指示を受けて、ステップS85〜S87の移載および押え準備を行う。押えロボット制御部63がステップS83を終え、さらに剥離ロボット制御部62がステップS71の剥離待機状態にあると、制御部61はステップS103にて剥離開始条件が成立したと判断し、剥離ロボット制御部62に対して剥離指示を出すと共に、押えロボット制御部63に対して押え指示を出す。剥離ロボット制御部62は、剥離指示を受けてステップS72〜73に示す剥離動作を行う。それと並行して、押えロボット制御部63は、押え指示をうけてステップS89の押え動作を行う。
【0120】
これにより、図14(a)〜(d)に示されるように、保護フィルム41が液晶パネル42から剥離される。押えハンド27b,27cから噴射されるイオン化された圧縮空気が保護フィルム41の剥離境界部に当たるため剥離帯電の帯電量が低減され、電子部品損傷のリスクが低減される。制御部61は、剥離ロボット制御部62が剥離動作を終えて剥離完了フラグF12をオンにした時点でステップS105にて剥離完了条件が成立したと判定し、ステップS106にてコンベア制御部64の作業済みフラグF31をオンにする。作業済みフラグF31がオンされると、コンベア制御部64は、ステップS91にて外部のモジュール搬出装置の空き状況と合わせて搬出条件が成立したか判断し、搬出条件が成立した場合はパレット4の搬出処理を行う。
【0121】
これと並行して、剥離ロボット制御部62は、続いてステップS74の保護フィルム廃棄動作を行った後、ステップS75にて待機位置に戻る。これと並行して、押えロボット制御部63は、押え動作が終わるとステップS81に戻り、次のパネル受取り準備を行う。以上のように本実施の形態の保護フィルム剥離装置1では、液晶パネル42がバックライトモジュール43上に移載された後、液晶パネル42の上面に貼着されている保護フィルム41が剥離される。
【0122】
以上のように、本実施の形態の保護フィルム剥離装置1を用いることによって、バックライトモジュール43に上載された液晶パネル42に対して、非接触でワーク5を汚さずに浮き上がりを防止し、保護フィルム41を剥離する作業の失敗をなくすことができる。押えハンド27b,27cによる押え位置が剥離境界部の直近であり曲げモーメントが低減されるので、浮き上がり防止の効果が高く、曲げモーメントの作用による液晶パネル42の損傷を防止することができる。また、押えハンド27b,27cに、液晶パネル42を移載するための手段である吸着部29b,29cを押えロボットR2,R3に気体噴射部28b,28cとともに備えることで、装置全体のコストを低減することができる。また、気体噴射部28b,28cから噴射される圧縮空気をイオン化することで、剥離帯電による帯電量を低減し、液晶パネル42内の電子部品の静電破壊を防止することができる。また、押えハンド27b,27cを2式備えることによって、幅広い寸法の液晶パネル42に対して移載および保護フィルム41の剥離が可能である。
【0123】
本発明の保護フィルム剥離装置は、他の実施形態として、保護フィルムが貼着されている上面に対し、下面が塞がれていない板状体についても用いることができる。したがって、板状体の下面が塞がれている場合と塞がれていない場合とを問わずに、保護フィルムが剥離された領域の表面を傷つけることなく、板状体から保護フィルムを剥離する際に板状体が損傷してしまうことを防止して、保護フィルムを剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明の実施の形態の保護フィルム剥離装置1を概略的に示す斜視図である。
【図2】保護フィルム41が貼着されたワーク5の構成の一部の概略を示す断面図である。
【図3】図1に示す剥離ロボットR1の構成を概略的に示す斜視図である。
【図4】剥離ロボットR1に備えられる剥離ハンド24の一部を拡大して示す側面図である。
【図5】図1に示す押えロボットR2の構成を概略的に示す斜視図である。
【図6】押えロボットR2に備えられる押えハンド27bの構成を簡略化して示す側面図である。
【図7】保護フィルム剥離装置1の制御装置60の構成を説明するための図である。
【図8】剥離ロボット制御部62による処理手順を示すフローチャートである。
【図9】押えロボット制御部63による処理手順を示すフローチャートである。
【図10】コンベア制御部64による処理手順を示すフローチャートである。
【図11】制御部61による処理手順を示すフローチャートである。
【図12】剥離ハンド24による保護フィルム41の剥離動作を説明する図であり、図12(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図12(b)は挟持部26によって保護フィルム41の一角部を挟持して保護フィルム41を剥離している状態を示している。
【図13】押えハンド28bによる動作を説明する図であり、図13(a)は吸着部29bによって液晶パネル42の吸着している状態を示し、図13(b)は気体噴射部28bによって液晶パネル42を押えている状態を示している。
【図14】剥離ロボットR1および押えロボットR2,R3によって保護フィルム41を剥離する過程を説明する図であり、図14(a)は剥離部25によって保護フィルム41の一角部を剥離している状態を示し、図14(b)は剥離ハンド24が保護フィルム41の一角部を保持しながらある程度移動をした状態を示し、図14(c)は図14(b)の状態よりもさらに移動を進めた状態を示し、図14(d)は保護フィルム41の剥離が完了する直前の状態を示している。
【符号の説明】
【0125】
1 保護フィルム剥離装置
2 コンベア
3 フィルム回収箱
24 剥離ハンド
27b,27c 押えハンド
41 保護フィルム
42 液晶パネル
43 バックライトモジュール
R1 剥離ロボット
R2,R3 押えロボット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に保護フィルムが貼着されている板状体から前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する剥離保持手段と、
前記剥離保持手段が設けられ、前記剥離保持手段を移動させるための第1移動手段と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射する押え手段と、
前記押え手段が設けられ、前記押え手段を前記剥離境界部の移動に伴って移動させるための第2移動手段とを有することを特徴とする保護フィルム剥離装置。
【請求項2】
前記第2移動手段は、前記押え手段を前記板状体の表面に対して略平行に移動させることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項3】
前記第2移動手段は、前記押え手段を前記剥離境界部に追随して移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項4】
前記第1移動手段は、前記剥離保持手段を略円弧状の半円の移動経路に沿って移動させ、前記第2移動手段は、前記押え手段を略円弧状の1/4円の移動経路に沿って移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項5】
前記押え手段は、前記板状体の表面に平行な気体噴射面を有し、その気体噴射面には圧縮気体が噴射される複数の開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項6】
前記板状体を吸着して保持する吸着保持手段をさらに有し、前記吸着保持手段が前記第2移動手段によって移動されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項7】
前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方の、前記板状体からの距離を変化させる切替え手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項8】
前記切替え手段は、前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる機構を有することを特徴とする請求項7に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項9】
前記押え手段および前記第2移動手段をそれぞれ2式備えることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項10】
前記2式の押え手段のうち、1式は前記板状体の保護フィルム剥離前の領域に圧縮気体を噴射し、もう1式は前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする請求項9に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項11】
前記2式の押え手段がいずれも前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする請求項9に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項12】
前記押え手段は、噴射する気体をイオン化させるイオン生成手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項13】
前記板状体は液晶パネルであり、液晶パネルがバックライト上に載置されている状態で保護フィルムを剥離することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項14】
表面に保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する方法であって、
剥離保持手段によって前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する工程と、
保護フィルムの周縁部を保持している剥離保持手段を移動させて保護フィルムを剥離する工程と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射して板状体を押える工程と、
前記剥離境界部の移動に伴って圧縮気体を噴射して板状体を押える位置を移動させる工程とを含むことを特徴とする保護フィルム剥離方法。
【請求項1】
表面に保護フィルムが貼着されている板状体から前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離装置であって、
前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する剥離保持手段と、
前記剥離保持手段が設けられ、前記剥離保持手段を移動させるための第1移動手段と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射する押え手段と、
前記押え手段が設けられ、前記押え手段を前記剥離境界部の移動に伴って移動させるための第2移動手段とを有することを特徴とする保護フィルム剥離装置。
【請求項2】
前記第2移動手段は、前記押え手段を前記板状体の表面に対して略平行に移動させることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項3】
前記第2移動手段は、前記押え手段を前記剥離境界部に追随して移動させることを特徴とする請求項1または2に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項4】
前記第1移動手段は、前記剥離保持手段を略円弧状の半円の移動経路に沿って移動させ、前記第2移動手段は、前記押え手段を略円弧状の1/4円の移動経路に沿って移動させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項5】
前記押え手段は、前記板状体の表面に平行な気体噴射面を有し、その気体噴射面には圧縮気体が噴射される複数の開口が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項6】
前記板状体を吸着して保持する吸着保持手段をさらに有し、前記吸着保持手段が前記第2移動手段によって移動されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項7】
前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方の、前記板状体からの距離を変化させる切替え手段をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項8】
前記切替え手段は、前記押え手段および前記吸着保持手段のうち少なくとも一方を上下方向に移動させる機構を有することを特徴とする請求項7に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項9】
前記押え手段および前記第2移動手段をそれぞれ2式備えることを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項10】
前記2式の押え手段のうち、1式は前記板状体の保護フィルム剥離前の領域に圧縮気体を噴射し、もう1式は前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする請求項9に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項11】
前記2式の押え手段がいずれも前記板状体の保護フィルム剥離後の領域に圧縮気体を噴射することを特徴とする請求項9に記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項12】
前記押え手段は、噴射する気体をイオン化させるイオン生成手段を備えることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項13】
前記板状体は液晶パネルであり、液晶パネルがバックライト上に載置されている状態で保護フィルムを剥離することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の保護フィルム剥離装置。
【請求項14】
表面に保護フィルムが貼着された板状体から保護フィルムを剥離する方法であって、
剥離保持手段によって前記板状体から前記保護フィルムの周縁部を剥離して、その周縁部を保持する工程と、
保護フィルムの周縁部を保持している剥離保持手段を移動させて保護フィルムを剥離する工程と、
前記板状体の表面における前記保護フィルムの剥離された部分と剥離されていない部分との境界部分である剥離境界部の近傍に向けて、板状体の上方から圧縮気体を噴射して板状体を押える工程と、
前記剥離境界部の移動に伴って圧縮気体を噴射して板状体を押える位置を移動させる工程とを含むことを特徴とする保護フィルム剥離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−233988(P2009−233988A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82240(P2008−82240)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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