説明

保護回路及びそれを含む絶縁抵抗測定装置

【課題】本発明は、保護回路及びそれを含む絶縁抵抗測定装置に関する。
【解決手段】本発明の保護回路は、印加される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、第1の定電流制御部と並列に連結され、第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含み、高電圧が印加されても、定電流制御を行って絶縁抵抗を用意に測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保護回路及びそれを含む絶縁抵抗測定装置に関し、より詳細には、被検査体の絶縁抵抗を測定する保護回路及びそれを含む絶縁抵抗測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に絶縁抵抗測定装置は、被検査体に直流電圧を一定時間印加した後、被検査体に流れる電流を測定して被検査体の絶縁抵抗を測定する。
【0003】
しかし、絶縁抵抗測定装置を利用して被検査体の絶縁抵抗を測定する場合、被検査体にショート(short)のような故障が発生すると、絶縁抵抗測定装置に過大な電流が印加され、絶縁抵抗測定装置が破壊してしまう場合がある。
【0004】
このため、従来は絶縁抵抗測定装置に複数の制限抵抗が並列に接続される電流制限回路を付加して被検査体の絶縁抵抗を測定する方式を用いた。このような従来の方式を用いることにより、被検査体にショートが発生しても、絶縁抵抗測定装置が破壊することを防止した。
【0005】
しかし、上記のような従来の絶縁抵抗測定装置は、被検査体に印加される電圧のレベルが変化すると、それに応じて制限抵抗の個数及び種類を入れ替ることが必要であり、このような入れ替え作業により、煩わしさが生じるという問題があった。
【0006】
特に、高電圧が印加される場合には、電流制限回路を付加しても絶縁抵抗測定装置が破壊する可能性が大きく、製造コストも増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−333529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高電圧が印加されても、定電流を制御することにより、絶縁抵抗を容易に測定することができる保護回路及びそれを含む絶縁抵抗測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このために、本発明による保護回路は、印加される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、前記第1の定電流制御部と並列に連結され、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含む。
ここで、前記第1の定電流制御部は、ゲートに印加される電圧に応じてドレインとソースとの間に流れる電流を調節し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流となるように電流制御を行う第1のスイッチを含む。
【0010】
また、前記第1の定電流制御部は、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第1のスイッチの電流制御を解除させる第1の解除スイッチをさらに含む。
【0011】
そして、前記第1の定電流制御部は、前記第1のスイッチのゲートに電圧を印加する第1のカプラと、前記第1のスイッチのドレイン及びソースと直列に連結され、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流に応じて電位差を発生させる第1の電圧検出素子をさらに含む。
【0012】
この際、前記第1のスイッチは、ゲートが前記第1の解除スイッチのコレクタと連結され、ソースが前記第1の解除スイッチのベースと連結される。
【0013】
一方、前記第2の定電流制御部は、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が前記第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電圧を分配する複数の分配素子を含む。
【0014】
そして、前記第2の定電流制御部は、前記複数の分配素子の間の接続点とゲートとが連結され、前記ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧以上であると、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされ、第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れるように制御し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流となるように電流制御を行う第2のスイッチをさらに含む。
【0015】
尚、前記第2の定電流制御部は、前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第2の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第2のスイッチの電流制御を解除させる第2の解除スイッチをさらに含む。
【0016】
また、前記第2の定電流制御部は、前記第2のスイッチのドレイン及びソースと直列に連結され、前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流に応じて電位差を発生させる第2の電圧検出素子をさらに含む。
【0017】
ここで、前記第2の基準電流の値は、前記第1の基準電流の値より大きいことを特徴とする。
【0018】
一方、本発明による絶縁抵抗測定装置は、被検査体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定装置であって、前記被検査体から出力される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、前記第1の定電流制御部と並列に連結され、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含む保護回路と、前記保護回路から出力される電流の印加を受けて前記被検査体の電流を測定する電流測定回路と、を含み、前記保護回路は複数個が直列に連結される。
【0019】
ここで、前記第1の定電流制御部は、ゲートに印加される電圧に応じてドレインとソースとの間に流れる電流を調節し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流となるように電流制御を行う第1のスイッチと、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第1のスイッチの電流制御を解除させる第1の解除スイッチと、を含む。
【0020】
また、前記第2の定電流制御部は、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が前記第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電圧を分配する複数の分配素子を含む。
【0021】
さらに、前記第2の定電流制御部は、前記複数の分配素子の間の接続点とゲートとが連結され、前記ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧以上であると、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされ、第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れるように制御して、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流となるように電流制御を行う第2のスイッチをさらに含む。
【0022】
そして、前記第2の定電流制御部は、前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第2の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第2のスイッチの電流制御を解除させる第2の解除スイッチをさらに含む。
【0023】
一方、本発明による他の絶縁抵抗測定装置は、被検査体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定装置であって、前記被検査体から出力される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、前記第1の定電流制御部と並列に連結され、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含む保護回路と、前記保護回路から出力される電流の印加を受けて前記被検査体の電流を測定する電流測定回路と、を含み、前記保護回路は複数個が互いに対向する方向に連結される。
【0024】
ここで、前記被検査体に極性が相違する電圧を印加するために、極性が反転された複数の電源回路を含む。
【0025】
この際、前記複数の電源回路は並列に連結される。
【0026】
また、前記複数の電源回路で極性が相違する電圧を選択的に前記被検査体に印加するためにターンオンまたはターンオフ動作する電源スイッチ回路を含み、前記電源スイッチ回路は、一端が複数の電源回路のうち一つと選択的に連結される第1の電源スイッチ回路と、一端が前記第1の電源スイッチ回路の他端と接地のうち一つと選択的に連結され、他端が前記被検査体と連結される第2の電源スイッチ回路と、を含む。
【0027】
そして、前記第1の定電流制御部は、ゲートに印加される電圧に応じてドレインとソースとの間に流れる電流を調節し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流となるように電流制御を行う第1のスイッチと、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第1のスイッチの電流制御を解除させる第1の解除スイッチと、を含む。
【0028】
さらに、前記第2の定電流制御部は、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が前記第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電圧を分配する複数の分配素子を含む。
【0029】
また、前記第2の定電流制御部は、前記複数の分配素子の間の接続点とゲートとが連結され、前記ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧以上であると、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされ、第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れるように制御して、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流となるように電流制御を行う第2のスイッチをさらに含む。
【0030】
そして、前記第2の定電流制御部は、前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第2の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第2のスイッチの電流制御を解除させる第2の解除スイッチをさらに含む。
【発明の効果】
【0031】
上述したように、本発明による保護回路及びそれを含む絶縁抵抗測定装置によると、高電圧が印加されても、定電流制御を容易に行うことができる長所がある。
【0032】
即ち、低電圧から高電圧までの多様な電圧が印加されても、簡単且つ安全に定電流制御を行うことができる長所がある。
【0033】
これにより、被検査体でショートのような故障が発生しても、絶縁抵抗測定装置に過大な電流が流入されることを防止することができる長所がある。
【0034】
また、被検査体がコンデンサのような容量性負荷である場合にも、定電流を利用して充/放電できるため、充/放電時間が短縮される長所がある。
【0035】
そして、保護回路全体がフローティング状態にあるため、被検査体の絶縁抵抗のような微小な信号を測定する場合においても、絶縁不良による漏洩電流の影響によって誤差が発生する問題点を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態による保護回路の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による絶縁抵抗測定装置の構成図である。
【図3】本発明の他の実施形態による絶縁抵抗測定装置の構成図である。。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則にしたがって本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【0038】
従って、本明細書に記載された実施形態と図面に図示された構成は、本発明のもっとも好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想の全部を代弁しているわけではないため、本出願時点においてこれらを代替することができる多様な均等物と変形例があり得ることを理解するべきである。
【0039】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0040】
図1は本発明の一実施形態による保護回路の構成図を、図2は本発明の一実施形態による絶縁抵抗測定装置の構成図を示す。
【0041】
図1及び図2に図示したように、保護回路10は、被検査体5と被検査体5の電流を測定する電流測定回路55との間に位置し、電流測定回路55に印加される電流を一定に制御する手段である。
【0042】
これにより、保護回路10の入力(In)は被検査体5と直列に連結され、保護回路10の出力(Out)は電流測定回路55と直列に連結される。
【0043】
このような保護回路10の構成要素について説明すると、保護回路10は、第1の定電流制御部10aと第2の定電流制御部10bとを含んで構成される。
【0044】
第1の定電流制御部10aは、入力(In)から印加される電流が予め定められた第1の基準電流Iref1となるように電流制御を行う手段であり、第1のカプラ12aと、第1のスイッチ14aと、第1の電圧検出素子16aと、第1の解除スイッチ18aと、を含む。
【0045】
このうち第1のカプラ12aは、電源供給源11から出力される電圧V1を第1のスイッチ14aのゲート(gate)に印加する手段であり、1次側に電流が印加されると発光素子が光を発生し、発生された光によって電圧を発生させるフォトカプラ(photo coupler;PC)のような半導体素子で構成されることができる。
【0046】
また、第1のカプラ12aは1次側と2次側とが絶縁された直流/直流コンバータ(DC/DC converter)で構成されることができる。
【0047】
上記のように保護回路10に第1のカプラ12aを備える理由は、1次側と2次側とを絶縁させるためである。即ち、図2に示すように、複数の保護回路10〜10nを直列に連結する場合、1次側の接地と2次側の接地が絶縁されていないと、2次側の電流が1次側に漏れて、電流測定回路55で電流を正確に測定することができないためである。
【0048】
第1のスイッチ14a、FET1は、ゲートに印加される電圧に応じてドレイン(drain)とソース(source)との間に流れる電流を調節し、ドレインとソースとの間に流れる電流が第1の基準電流Iref1となるように電流制御を行う。
【0049】
より具体的に説明すると、第1のスイッチ14aは、ゲートに印加される電圧が第1のスイッチ14aの設定電圧以上であると、ターンオン(turn on)動作してドレインとソースとの間に電流が流れるようにする。その後、第1のスイッチ14aのゲートに印加される電圧が零電圧(0v)に近くなると、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れる電流は次第に減って、ドレインとソースとの間には電流が流れなくなる。第1のスイッチ14aは、前記動作を繰り返すことにより、ドレインとソースとの間に流れる電流が第1の基準電流Iref1となるように電流制御を行う。
【0050】
このような第1のスイッチ14aは、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されることができ、その他に、BJT(Bipolar Junction Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成されることもできる。
【0051】
第1の電圧検出素子16aは、第1のスイッチ14aのドレイン及びソースと直列に連結され、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れる電流に応じて電位差を発生させる手段であり、抵抗R11で構成される。抵抗R11は、一端が第1のスイッチ14aのソースと第1の解除スイッチ18aのベース(base)との接続点と連結され、他端は接地と連結される。
【0052】
このような第1の電圧検出素子16aは、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れる電流が第1の基準電流Iref1を超過すると、電位差が上昇し、下記で説明する第1の解除スイッチ18aをターンオン動作させる。
【0053】
第1の解除スイッチ18a、TR1は、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れる電流が第1の基準電流Iref1を超過すると、ターンオン動作して第1のスイッチ14aの電流制御を解除させる役割を遂行する。
【0054】
より詳細に説明すると、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れる電流が第1の基準電流Iref1を超過すると、第1の電圧検出素子16aの電位差は上昇し、第1の解除スイッチ18aのベースに印加される。そして、第1の解除スイッチ18aのベースに印加される電圧が第1の解除スイッチ18aの設定電圧以上であると、第1の解除スイッチ18aはターンオン動作し、第1のスイッチ14aのゲートに印加される電圧は零電圧(0v)に近く減少される。このような動作により、第1の解除スイッチ18aは第1のスイッチ14aの電流制御を解除させる。
【0055】
上記のような第1の解除スイッチ18aは、BJT(Bipolar Junction Transistor)で構成されることができ、その他に、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成されることもできる。
【0056】
第2の定電流制御部10bは、第1の定電流制御部10aと並列に連結され、第1の定電流制御部10aに印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、第1の定電流制御部10aに印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う手段であり、分配素子12bと、第2のスイッチ14bと、第2の電圧検出素子16bと、第2の解除スイッチ18bと、を含んで構成される。
【0057】
このうち分配素子12bは、第1の定電流制御部10aに印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、第1の定電流制御部10aに印加される電圧を分配する手段であり、複数の抵抗R21、R22で構成される。
【0058】
より詳細に説明すると、分配素子12bは、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間の電圧が第1の基準電圧以上であると(即ち、第1のスイッチ14aの定格電圧(略1500V)を超過する電圧が加えられると)、複数の抵抗R21、R22が印加される電圧を分配する。
【0059】
ここで、過度な電流が保護回路10に印加されると、第1及び第2のスイッチ14a、14bの電流制御機能が損傷されるため、複数の抵抗R21、R22は保護回路10に低い電流(略0.1%未満の電流)が流れるように大きい抵抗値を有する。
【0060】
この際、複数の抵抗R21、R22値は、分配電圧(Vm)=第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間の電圧*R22/(R21+R22)で設定されることができる。
【0061】
第2のスイッチ14b、FET2は、ゲートが複数の抵抗R21、R22の接続点と連結され、ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧(第2のスイッチ14bの設定電圧)以上であると、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされて、第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れるように制御する。
【0062】
また、第2のスイッチ14bは、ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流Iref2となるように電流制御を行う。
【0063】
より詳細に説明すると、第2のスイッチ14bのゲートに印加される電圧は複数の分配素子12bで分配された電圧であり、分配された電圧が第2の基準電圧以上であると、第2のスイッチ14bのゲートに印加される電圧も大きくなる。この際、第2のスイッチ14bのゲートに印加される電圧が第2の基準電圧以上になると、第2のスイッチ14bはターンオン動作し、第1のスイッチ14aのドレインとソースとの間に流れていた電流が第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れるようになる。この際、第2の基準電流Iref2は第1の基準電流Iref1より大きいため、第1のスイッチ14aには電流が流れなくなる。
【0064】
もし、第2のスイッチ14bのゲートに印加される電圧が零電圧(0V)に近くなると、第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れる電流は次第に減って、ドレインとソースとの間には電流が流れなくなる。前記動作を繰り返すことにより、第2のスイッチ14bは、ドレインとソースとの間に流れる電流が第2の基準電流Iref2となるように電流制御を行う。
【0065】
上記のような第2のスイッチ14bは、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)で構成されることができ、その他に、BJT(Bipolar Junction Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成されることもできる。
【0066】
第2の電圧検出素子16bは、第2のスイッチ14bのドレイン及びソースと直列に連結され、第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れる電流に応じて電位差を発生させる手段であり、抵抗R23で構成される。
【0067】
抵抗R23は、一端が第2のスイッチ14bのソースと第2の解除スイッチ18bのベースとの接続点と連結され、他端は接地と連結される。
【0068】
このような第2の電圧検出素子16bは、第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れる電流が第2の基準電流Iref2を超過すると、電位差が上昇し、下記で説明する第2の解除スイッチ18bをターンオン動作させる。
【0069】
第2の解除スイッチ18b、TR2は、第2のスイッチ14bに流れる電流が第2の基準電流Iref2を超過すると、ターンオン動作して第2のスイッチ14bの電流制御を解除させる。
【0070】
より詳細に説明すると、第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れる電流が第2の基準電流Iref2を超過すると、第2の電圧検出素子16bの電位差が上昇し、第2の解除スイッチ18bのベースに印加される。そして、第2の解除スイッチ18bのベースに印加される電圧が第2の解除スイッチ18bの設定電圧以上であると、第2の解除スイッチ18bはターンオン動作して、第2のスイッチ14bのゲートに印加される電圧を零電圧(0V)に近く減少させる。このような動作により、第2の解除スイッチ18bは第2のスイッチ14bの電流制御を解除させる。
【0071】
上記のような第2のスイッチ14bは、BJT(Bipolar Junction Transistor)で構成されることができ、その他に、MOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field Effect Transistor)及びIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などで構成されることもできる。
【0072】
そして、第2の基準電流Iref2の大きさは第1の基準電流Iref1の大きさより大きく設定され、第1のスイッチ14aに高電圧(第1のスイッチ14aの定格電圧を超過する電圧)が印加されると、第1のスイッチ14aはターンオフ動作され、第2のスイッチ14bはターンオン動作されて、第2のスイッチ14bに電流が流れるようにすることにより、保護回路10の損傷を防止する。
【0073】
図2は本発明の一実施形態による絶縁抵抗測定装置の構成図を示す。
【0074】
図2に図示したように、絶縁抵抗測定装置1は、複数の保護回路10〜10nと電流測定回路55とを含んで構成される。
【0075】
以下、機能が同一の構成については、図1に図示した保護回路にて説明したため省略する。
【0076】
複数の保護回路10〜10nは直列に連結され、保護回路10に第1のスイッチ14aの定格電圧(Vmax)を超過する高電圧(Vmeas)が印加された場合、高電圧(Vmeas)≧第1のスイッチ14aの定格電圧(Vmax)×保護回路の個数(n)となるように連結する。
【0077】
もし、2個の保護回路を直列に連結した場合を例として説明すると、同一に設定された定電流制御部であるとしても、抵抗、スイッチなどの部品特性の差によって定電流値が少し異なる。
【0078】
この際、高電圧が印加される場合、定電流値が小さい保護回路で電流制御を行うようになり、保護回路の入力と出力との間には高電圧が印加される。そして、第2の定電流制御部10bが第1のスイッチ14aの定格電圧を超過しないように動作して、第2のスイッチ14bのドレインとソースとの間に流れていた電流は定電流値が大きい他の保護回路に印加されて高電圧を分担するようにすることにより、電圧バランスを合わせるのである。
【0079】
従って、上記のように複数の保護回路10〜10nが直列に接続された場合には、高電圧が分散されてスイッチの定格電圧以下に制御される。
【0080】
図3は本発明の他の実施形態による絶縁抵抗測定装置の構成図を示す。
【0081】
図3に図示したように、絶縁抵抗測定装置は、複数の保護回路10〜10nと、電流測定回路55と、電源回路75と、電源スイッチ回路85と、を含んで構成される。
【0082】
複数の保護回路10〜10nは互いに対向する方向に連結される。例えば、4個の保護回路が並んで直列に連結された場合、第1の保護回路10の入力は被検査体5と連結され、第1の保護回路10の出力(Out)は第2の保護回路20の入力(In)と連結され、第2の保護回路20の出力(Out)は第3の保護回路30の出力(Out)と連結される。また、第3の保護回路30の入力(In)は第4の保護回路40の出力(Out)と連結され、第4の保護回路40の入力(In)は電流測定回路55と連結される。
【0083】
このように、複数の保護回路10〜10nを互いに対向する方向に連結することにより、充/放電のように正方向及び逆方向の両方向電流が印加されたり、交流電圧が印加される場合にも、電流制御を行うことができるようになる。
【0084】
より詳細に説明すると、図2における複数の保護回路10〜10nは、入力から出力への方向にのみ電流制御を行う。その理由は、第1及び第2のスイッチ14a、14bのドレインとソースとの間に並列に接続された寄生ダイオードを利用して、出力から入力への反対方向には電流を無制限に流してしまうためである。これにより、直流電圧の極性を変える場合、交流電圧のように極性が互いに変わる場合や被検査体5がコンデンサである場合には、充/放電によって電流の方向が変わる場合にも電流制御を行うために、複数の保護回路10〜10nを互いに対向する方向に連結するのである。
【0085】
上述したように、P方向に電流が流れる場合には第1及び第2の保護回路10、20が動作して電流制御を行い、Q方向に電流が流れる場合には第3及び第4の保護回路30、40が動作して電流制御を行うようになる。
【0086】
そして、絶縁抵抗測定装置1は、被検査体5に極性が相違する電圧を印加するために、極性が反転された複数の電源回路75をさらに含んで構成されるが、このような複数の電源回路75は並列に連結される。
【0087】
図3に示すように、複数の電源回路75は第1及び第2の電源回路Ps_N、Ps_Pを含むが、第1及び第2の電源回路Ps_N、Ps_Pは極性が互いに反転された状態である。例えば、第1の電源回路Ps_Nは被検査体5に(−)電圧が印加されるように連結され、第2の電源回路Ps_Pは被検査体5に(+)電圧が印加されるように連結されるため、複数の電源回路Ps_N、Ps_Pを利用して被検査体5に(−)電圧及び(+)電圧を容易に交互に印加することができる。
【0088】
電源スイッチ回路85は、複数の電源回路75から極性が相違する電圧を選択的に被検査体5に印加するためにターンオンまたはターンオフ動作する第1及び第2の電源スイッチ回路85a、85bで構成される。
【0089】
第1の電源スイッチ回路85aは、一端が複数の電源回路Ps_N、Ps_Pの一つと選択的に連結される。即ち、第1の電源スイッチ回路85aは、一端が第1の電源回路Ps_Nと連結されてもよく、第2の電源回路Ps_Pと連結されてもよい。
【0090】
第2の電源スイッチ回路85bは、一端が第1の電源スイッチ回路85aの他端と接地のうち一つと選択的に連結され、他端が被検査体5と連結される。
【0091】
上記のような電源スイッチ回路85の動作について具体的に説明すると、第1の電源スイッチ回路85aは、第1の電源回路Ps_Nの(−)電圧を被検査体5に印加するためには、第1の電源回路Ps_Nの方向にターンオン動作し、第2の電源スイッチ回路85bは第1の電源スイッチ回路85aの方向にターンオン動作する。
【0092】
また、第1の電源スイッチ回路85aは、第2の電源回路Ps_Pの(+)電圧を被検査体5に印加するためには、第2の電源回路Ps_Pの方向にターンオン動作し、第2の電源スイッチ回路85bは第1の電源スイッチ回路85aの方向にターンオン動作する。
【0093】
このような動作により、被検査体5の(+)電圧及び(−)電圧を交互に印加することができるため、直流電圧の極性を変える場合、交流電圧のように極性が互いに変わる場合や被検査体5がコンデンサである場合には、充/放電によって電流の方向が変わる場合にも電流制御を容易に行うことができる。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態を図示及び説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の思想を外れない範囲内で、当該発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により多様な変更及び修正が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 絶縁抵抗測定装置
5 被検査体
10 保護回路
10a、10b 第1及び第2の定電流制御部
12a 第1のカプラ
12b 分配素子
14a、14b 第1及び第2のスイッチ
16a、16b 第1及び第2の電圧検出素子
18a、18b 第1及び第2の解除スイッチ
55 電流測定回路
75 電源回路
85 電源スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印加される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、
前記第1の定電流制御部と並列に連結され、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含む保護回路。
【請求項2】
前記第1の定電流制御部は、
ゲートに印加される電圧に応じてドレインとソースとの間に流れる電流を調節し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流となるように電流制御を行う第1のスイッチを含む請求項1に記載の保護回路。
【請求項3】
前記第1の定電流制御部は、
前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第1のスイッチの電流制御を解除させる第1の解除スイッチをさらに含む請求項2に記載の保護回路。
【請求項4】
前記第1の定電流制御部は、
前記第1のスイッチのゲートに電圧を印加する第1のカプラと、
前記第1のスイッチのドレイン及びソースと直列に連結され、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流に応じて電位差を発生させる第1の電圧検出素子をさらに含む請求項3に記載の保護回路。
【請求項5】
前記第1のスイッチは、
ゲートが前記第1の解除スイッチのコレクタと連結され、
ソースが前記第1の解除スイッチのベースと連結される請求項3に記載の保護回路。
【請求項6】
前記第2の定電流制御部は、
前記第1の定電流制御部に印加される電圧が前記第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電圧を分配する複数の分配素子を含む請求項2に記載の保護回路。
【請求項7】
前記第2の定電流制御部は、
前記複数の分配素子の間の接続点とゲートとが連結され、前記ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧以上であると、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされ、第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れるように制御し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流となるように電流制御を行う第2のスイッチをさらに含む請求項6に記載の保護回路。
【請求項8】
前記第2の定電流制御部は、
前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第2の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第2のスイッチの電流制御を解除させる第2の解除スイッチをさらに含む請求項7に記載の保護回路。
【請求項9】
前記第2の定電流制御部は、
前記第2のスイッチのドレイン及びソースと直列に連結され、前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流に応じて電位差を発生させる第2の電圧検出素子をさらに含む請求項7に記載の保護回路。
【請求項10】
前記第2の基準電流の値は、
前記第1の基準電流の値より大きい請求項7に記載の保護回路。
【請求項11】
被検査体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定装置であって、
前記被検査体から出力される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、前記第1の定電流制御部と並列に連結され、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含む保護回路と、
前記保護回路から出力される電流の印加を受けて前記被検査体の電流を測定する電流測定回路と、を含み、
前記保護回路は複数個が直列に連結される絶縁抵抗測定装置。
【請求項12】
前記第1の定電流制御部は、
ゲートに印加される電圧に応じてドレインとソースとの間に流れる電流を調節し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流となるように電流制御を行う第1のスイッチと、
前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第1のスイッチの電流制御を解除させる第1の解除スイッチと、を含む請求項11に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項13】
前記第2の定電流制御部は、
前記第1の定電流制御部に印加される電圧が前記第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電圧を分配する複数の分配素子を含む請求項11に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項14】
前記第2の定電流制御部は、
前記複数の分配素子の間の接続点とゲートとが連結され、前記ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧以上であると、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされ、第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れるように制御して、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流となるように電流制御を行う第2のスイッチをさらに含む請求項13に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項15】
前記第2の定電流制御部は、
前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第2の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第2のスイッチの電流制御を解除させる第2の解除スイッチをさらに含む請求項14に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項16】
被検査体の絶縁抵抗を測定する絶縁抵抗測定装置であって、
前記被検査体から出力される電流が予め定められた第1の基準電流となるように電流制御を行う第1の定電流制御部と、前記第1の定電流制御部と並列に連結され、前記第1の定電流制御部に印加される電圧が予め定められた第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電流がバイパスされるように制御して電流制御を行う第2の定電流制御部と、を含む保護回路と、
前記保護回路から出力される電流の印加を受けて前記被検査体の電流を測定する電流測定回路と、を含み、
前記保護回路は複数個が互いに対向する方向に連結される絶縁抵抗測定装置。
【請求項17】
前記被検査体に極性が相違する電圧を印加するために、極性が反転された複数の電源回路を含む請求項16に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項18】
前記複数の電源回路は並列に連結される請求項17に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項19】
前記複数の電源回路で極性が相違する電圧を選択的に前記被検査体に印加するためにターンオンまたはターンオフ動作する電源スイッチ回路を含む請求項17に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項20】
前記電源スイッチ回路は、
一端が複数の電源回路のうち一つと選択的に連結される第1の電源スイッチ回路と、
一端が前記第1の電源スイッチ回路の他端と接地のうち一つと選択的に連結され、他端が前記被検査体と連結される第2の電源スイッチ回路と、を含む請求項19に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項21】
前記第1の定電流制御部は、
ゲートに印加される電圧に応じてドレインとソースとの間に流れる電流を調節し、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流となるように電流制御を行う第1のスイッチと、
前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第1の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第1のスイッチの電流制御を解除させる第1の解除スイッチと、を含む請求項16に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項22】
前記第2の定電流制御部は、
前記第1の定電流制御部に印加される電圧が前記第1の基準電圧以上であると、前記第1の定電流制御部に印加される電圧を分配する複数の分配素子を含む請求項16に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項23】
前記第2の定電流制御部は、
前記複数の分配素子の間の接続点とゲートとが連結され、前記ゲートに印加される電圧が予め定められた第2の基準電圧以上であると、前記第1のスイッチのドレインとソースとの間に流れていた電流がバイパスされ、第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れるように制御して、前記ドレインとソースとの間に流れる電流が予め定められた第2の基準電流となるように電流制御を行う第2のスイッチをさらに含む請求項22に記載の絶縁抵抗測定装置。
【請求項24】
前記第2の定電流制御部は、
前記第2のスイッチのドレインとソースとの間に流れる電流が前記第2の基準電流を超過すると、ターンオン動作して前記第2のスイッチの電流制御を解除させる第2の解除スイッチをさらに含む請求項23に記載の絶縁抵抗測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−255784(P2012−255784A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−130466(P2012−130466)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】