説明

信号トランスポンダ

【課題】高精度で信号の周波数範囲を変換し、遠隔信号キャラクタリゼーションに適用可能なトランスポンダを提供することである。
【解決手段】本発明は、未知の信号源からの信号の周波数変換のための信号トランスポンダであって、未知の信号源から信号を受信するための入力手段と、受信した信号をフィルタリングするための入力フィルタと、受信した信号を増幅するための入力信号増幅器と、増幅されフィルタリングされた、受信した信号の周波数を、所定の周波数に変換するためのミキサと、周波数変換のために、ミキサに供給されるクロック信号を発生させるための局部発振器と、周波数変換された信号をフィルタリングするための出力フィルタと、周波数変換された信号を増幅するための出力信号増幅器と、フィルタリングされ増幅された、周波数変換された信号を送信するための出力手段とを備える、トランスポンダを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
信号トランスポンダに関する。
【背景技術】
【0002】
信号トランスポンダは、未知の信号源のRF(無線周波数)信号(未知の信号)のような信号を受信し、受信した信号を、その未知の信号の周波数範囲とは異なる別の周波数範囲に変換し、変換した信号を再送信する。変換した信号は、次いで、当該別の周波数範囲用に設計された基準受信器によって分析または処理することができる。有益な信号情報を失わないために、かつ、信号情報を損なわないために、非常に正確な方法で周波数変換を実行すべきである。「正確な」という用語は、本明細書では2つの異なる意味で使用される。
【0003】
1つの意味は、未知の信号源、信号トランスポンダおよび基準受信器の動きによって生じるドップラーシフトに起因して、基準受信器および未知の信号源に関してシフトすることがある既知の非常に厳密な基準周波数を変換に使用することであり、ドップラーシフトの詳細はすべて、基準受信器において厳密に知られている。
【0004】
「正確な」のもう1つの意味は、周波数変換に使用される基準周波数のタイムリーな挙動を精密に知ることである。この場合もやはり、最終的に存在するドップラーシフトの詳細はすべて、基準受信器のポイントにおいて同様に厳密に知られていなければならない。
【0005】
信号トランスポンダの適用例について考慮すべき別の重要な側面は、未知の信号源からの信号の直接分析または間接分析である。直接的または間接分析について以下に説明する。
【0006】
典型的な研究室環境では、通常、未知の信号は、直接的に分析される。これらの目的のために、信号周波数が未知の信号を処理することができる測定器(基準受信器)の作動範囲内にあり、また、予測される信号帯域幅がその測定器の能力を超えていない際には、未知の信号は、未知の信号源から、その測定器(基準受信器)に直接的に供給される。そのような信号分析に使用される典型的な測定器は、たとえば、スペクトル分析器、ネットワーク分析器および電力計である。これらの測定器は、周波数変換に依拠しており、典型的には、未知の信号とともに提供された周波数を、LF(低周波数)信号処理およびA/D(アナログ/デジタル)信号変換に好適な、はるかに低い周波数に変換する。周波数変換に必要とされる基準周波数は、これらの測定器によって、それぞれについて発生される。この目的のために、そのような測定器は、外部周波数変換を1つも必要とせず、したがって、通常、ドップラーシフトのような影響をまったく考慮しなくてもよい。
【0007】
これとは対照的に、間接分析には、外部周波数変換を利用する信号置換技法が必要であり、ドップラーシフトのような影響もさらに観察しなければならないので、より複雑になることが多い。外部周波数変換は、既存の通信チャネルでは、測定器の基準受信器と未知の信号源との間の直接結合を可能にできない場合に必要とされる。そのように、信号トランスポンダは、遠隔信号キャラクタリゼーションまたは分析に関するものである場合に必要とされるツールである。「遠隔信号キャラクタリゼーション」とは、本明細書では、ワイヤード動作ならびにワイヤレス動作を指す。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、1つの周波数範囲から別の周波数範囲に信号を高い精度で変換するために使用することができ、かつ、遠隔信号キャラクタリゼーションに適用可能な多目的の信号トランスポンダアーキテクチャを提供することである。
【0009】
本目的は、独立請求項の主題によって達成される。さらなる実施形態は、従属請求項によって示される。
【0010】
本発明の一実施形態は、未知の信号源からの信号の周波数変換のための信号トランスポンダであって、
未知の信号源から信号を受信するための入力手段と、
受信した信号をフィルタリングするための入力フィルタと、
受信した信号を増幅するための入力信号増幅器と、
増幅されフィルタリングされた、受信した信号の周波数を、所定の周波数に変換するためのミキサと、
周波数変換のために、ミキサに供給されるクロック信号を発生させるための局部発振器と、
周波数変換された信号をフィルタリングするための出力フィルタと、
周波数変換された信号を増幅するための出力信号増幅器と、
フィルタリングされ増幅された、周波数変換された信号を送信するための出力手段と
を備える、トランスポンダに関する。
【0011】
本信号トランスポンダは、低コストで実装することができ、遠隔信号キャラクタリゼーションのために使用することができる。本信号トランスポンダは、未知の信号源からの信号の遠隔キャラクタリゼーションを可能にする、衛星またはUAV(無人航空機)のような航空プラットフォームに特に適している。入力手段および出力手段は、信号トランスポンダが、信号の遠隔信号キャラクタリゼーションと、未知の信号源から測定局への周波数変換されたRF信号のRF伝送とを行うように、RF通信のために適合することができる。
【0012】
局部発振器は、外部クロック信号発生手段により提供される外部クロック信号によって制御される内部発振器を備えることができる。したがって、周波数変換のためにミキサによって使用されるクロック信号を発生させるために、高価な、信号トランスポンダの局所手段を必要とすることなく、高精度の周波数変換を達成することができる。
【0013】
外部クロック信号発生手段は、基準クロック信号を受信し、受信した基準クロック信号を、外部クロック信号として内部発振器に提供するための手段、および/または
GNSS信号から基準クロック信号を導出し、導出した基準クロック信号を、外部クロック信号として内部発振器に提供するように適合されるGNSS受信器を備えることができる。たとえば、基準クロック信号は、高度に安定している基準クロックを装備し得る測定局から受信することができる。代替的には、GNSS信号は、具体的にはGNSS受信器の周波数発生ユニットを用いて、非常に高精度の基準クロック信号を発生させることができるので、GNSSチップセットを使用して基準クロック信号を導出してもよい。受信されたか、または導出された基準クロック信号を使用して、局部発振器のクロック信号発生回路を安定化させることができる。
【0014】
入力フィルタ、入力信号増幅器、ならびに/あるいは出力フィルタおよび局部発振器は、調節可能とすることができ、トランスポンダは、入力フィルタ、入力信号増幅器、ならびに/あるいは出力フィルタおよび局部発振器を対象の周波数範囲に調節するための制御ユニットをさらに備えることができる。したがって、様々な周波数範囲をもつ未知の信号源からの信号を変換することができる、信号トランスポンダのための非常にフレキシブルなプラットフォームを実装することができる。制御ユニットは、信号トランスポンダを対象の周波数に調節するようにプログラム可能であり得る。
【0015】
また、制御ユニットのそのようなプログラミングは、制御ユニットが、トランスポンダを対象の周波数範囲に調整するために、測定局から制御コマンドを受信するように適合することができる点で、測定局のような遠隔ロケーションから実行することができる。
【0016】
制御ユニットは、トランスポンダの実際の姿勢および/またはスピードデータを、測定局に送信するようにさらに適合することができる。これらのデータを用いると、測定局は、周波数変換された信号を分析するときに、信号トランスポンダの動きによって生じるドップラーシフトを考慮することができる。したがって、測定局によって実行される遠隔信号キャラクタリゼーションの精度を高めることができる。また、これらのデータは、未知の信号源のロケーションの判断に役立つ。
【0017】
制御ユニットは、フィルタリングされ増幅された、周波数変換された信号を送信するために、通信チャネルとは異なる専用の通信チャネルを介して、測定局と通信するように適合することができる。たとえば、制御ユニットは、周波数変換された信号、したがって信号キャラクタリゼーションに影響を与え得る干渉を避けるために、周波数変換された信号の周波数範囲とは異なる周波数範囲で通信することができる。
【0018】
本トランスポンダは、以下の数式にしたがって、未知の信号源の実際のスピードと、未知の信号源から受信した信号のドップラーシフトとを判断するようにさらに構成することができる。
【0019】
【数1】

【0020】
式中、fSTは、受信した信号の周波数であり、
【0021】
【数2】

【0022】
は、未知の信号源の速度に関する信号トランスポンダの空間中の速度ベクトルであり、
【0023】
【数3】

【0024】
は、未知の信号源から信号トランスポンダへの方向を示す単位ベクトルであり、fSUTは、信号トランスポンダに向かって信号を送信するために未知の信号源が使用する周波数であり、cは、光速に近い、媒質中の信号伝播スピードを示し、cは、真空中の光速であり、トランスポンダは、信号トランスポンダに向かって信号を送信するために未知の信号源が使用する周波数fSUTを変換するように構成される。スピード判断については、本トランスポンダは、たとえば、内部GNSS受信器を使用することができる。未知の信号源からトランスポンダへのアップリンク方向における、信号トランスポンダと未知の信号源との間のドップラーシフトを除去することができ、あるいは少なくとも、その影響を大幅に低減させて、その結果、遠隔信号キャラクタリゼーションが、より正確になる。
【0025】
本発明のさらなる実施形態は、本発明による、本明細書に開示されるような1つまたは複数の信号トランスポンダから、未知の信号源の周波数変換された信号を受信し、その信号を処理するための測定局であって、この測定局が、周波数変換された信号のための受信手段と、周波数変換された信号の信号分析のための測定デバイスとを備える、測定局に関する。受信手段は、たとえば、信号トランスポンダから、周波数変換されたRF信号を受信するためのアンテナを備えることができる。また、ワイヤード通信接続または光通信接続を介して、信号トランスポンダから測定局に周波数変換された信号を送信することが可能である。
【0026】
本測定局は、以下の数式にしたがって、信号トランスポンダの実際のスピードと、信号トランスポンダから受信した周波数変換された信号のドップラーシフトとを判断するようにさらに構成することができる。
【0027】
【数4】

【0028】
式中、fMSは、測定局において受信される周波数であり、
【0029】
【数5】

【0030】
は、測定局に関する信号トランスポンダの空間中の速度ベクトルであり、
【0031】
【数6】

【0032】
は、信号トランスポンダから測定局までの方向を示す単位ベクトルであり、fSTは、測定局に向かって信号を送信するために信号トランスポンダが使用する周波数であり、cは、光速に近い、媒質中の信号伝播スピードを示し、cは、真空中の光速であり、測定局が、測定局に向かって信号を送信するために信号トランスポンダが使用する周波数fSTを考慮して、周波数変換された信号を分析するように構成される。スピード判断については、本測定局は、たとえば、内部GNSS受信器を使用することができる。トランスポンダから測定局へのダウンリンク方向における、信号トランスポンダと測定局との間のドップラーシフトを除去することができ、あるいは少なくとも、その影響を大幅に低減することができ、その結果、遠隔信号キャラクタリゼーションがより正確になる。
【0033】
本測定局は、未知の信号源から1つまたは複数の信号トランスポンダが受信した信号のTDOA、FDOA、およびドップラー測定値と、信号トランスポンダおよび測定局の既知の姿勢とに基づいて、未知の信号源のロケーションを計算するようにさらに適合することができる。信号トランスポンダの姿勢をトランスポンダの内部GNSS受信器を用いて判断し、それを測定局に送信することができる。また、測定局は、トランスポンダの内部GNSS受信器を用いて、その実際の姿勢を判断することができる。
【0034】
本発明のさらなる実施形態は、未知の信号源からの信号を分析するためのシステムであって、本発明による、本明細書に開示されるような1つまたは複数の信号トランスポンダと、本発明による、本明細書に開示されるような測定局と備える、システムに関する。かかるシステムは、特に、未知の信号源の直接キャラクタリゼーションが可能ではないときに、未知の信号源を備える区域内の遠隔信号キャラクタリゼーションのために使用することができる。
【0035】
1つまたは複数の信号トランスポンダは、周波数変換された信号を測定局に送信するために、RF通信を使用する航空システムとすることができる。これにより、特に、アクセスできない区域内において、未知の信号源を遠隔で分析することができるようになる。
【0036】
本システムは、
未知の信号源が、定置しており、経時的に同じ送信周波数を使用する場合には、少なくとも1つの移動している信号トランスポンダ(14)、
未知の信号源が地上ベースであり、ゆっくりと移動している場合、空間中で未知の信号源に関して、異なる複数のスピードおよび方向で移動している、少なくとも2つの信号トランスポンダ、
未知の信号源が3次元中でゆっくりと移動している場合、空間中で未知の信号源に関して、異なる複数のスピードおよび方向で移動している、少なくとも3つの信号トランスポンダ(14)、および
未知の信号源が3次元中で高速で移動している場合、空間中で未知の信号源に関して、異なる複数のスピードおよび方向で移動している、少なくとも4つの信号トランスポンダ
のうち1つを備えることができる。
【0037】
本発明のこれらのおよび他の態様は、本明細書で後述する実施形態を参照することにより、明らかになり、解明されるであろう。
【0038】
例示的な実施形態を参照して、本発明について以下にさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの例示的な実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による信号トランスポンダの基本的な作動原理を示す図である。
【図2】本発明による移動している信号トランスポンダを使用して、未知の信号源の遠隔分析の一例を示す図である。
【図3】本発明による信号トランスポンディング回路の一実施形態の基本的な概念を示す図である
【図4】本発明による信号トランスポンダに好適な高度に安定しているクロック信号を発生させることができるGPSチップセットの詳細を示すブロック図である。
【図5】本発明によるフレキシブルな高精度信号トランスポンダの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下において、同様または同一の機能を有するエレメントは、同じ参照番号を有し得る。本発明の実施形態は、未知の信号源と信号トランスポンダとの間の、ならびに信号トランスポンダと測定局との間のRF伝送に関する。しかしながら、本発明は、RF伝送に限定されるものではなく、光伝送または超音波伝送のような他のワイヤレス技術、あるいはケーブルを介したワイヤード送信を使用することもできる。また、本発明にしたがって様々な伝送技術を組み合わせることもでき、たとえば、信号トランスポンダと測定局との間では、ワイヤード送信が使用される一方、未知の信号源と信号トランスポンダとの間では、RF伝送を使用することができる。
【0041】
本発明による高精度信号トランスポンダの基本的な作動原理を図1に示す。信号源10は、帯域幅Δf1の周波数f1上の信号12(対象信号)を発生させる。信号源10は、未知の信号源とすることができ、すなわち、信号源のパラメータは1つも分からない。周波数f1を、対象信号12を分析することが想定される測定デバイス18が直接的に使用することができないか、あるいは、輸送チャネルは、対象信号12を測定デバイス18に搬送するためには適さない。信号トランスポンダ14を使用することによって、対象信号12は、理想的には、元来の帯域幅Δf1を維持しながら、周波数f1から周波数f2に変換される(変換された対象信号16)。測定デバイス18は、今度は、提供された信号16を分析することができる。信号トランスポンダ14の周波数変換挙動がよく知られていると仮定すると、測定結果は、信号トランスポンダ14によって与えられた周波数シフトを考慮することによって数値的に修正される。そのように、信号源10から測定デバイス18までの通信チャネルまたは測定デバイス18自体は、f1信号を処理することができないが、元々のf1対象信号12の信号キャラクタリゼーションが得られる。
【0042】
信号トランスポンダに関する重要な使用事例は、遠隔信号分析、すなわち、信号源の信号、たとえば、未知のRF伝送器によって送信されたRF信号の間接分析である。いくつかの場合、直接分析に比べて遠隔分析がなぜ有利であるかについて、いくつかの異なる動機づけが存在する。1つの重要な理由は、未知の信号源への見通し線中に、高価で重い有人機器を設置する必要がないことである。本発明による高精度信号トランスポンダを利用する場合には、測定デバイスと未知の信号源の両方の範囲内に信号トランスポンダを有するだけで十分である。
【0043】
たとえば、信号トランスポンダは、遠隔に分析すべき未知の信号源が位置している区域全体を移動している飛行プラットフォーム上に配置することができる。そのようなシナリオについて図2に示す。このシナリオでは、高精度信号トランスポンダ14は、測定デバイス18およびトランスポンダ14からのRF伝送された変換信号を受信するためのアンテナ20を備える測定局と、未知の信号源10、たとえばRF局との間で移動している飛行機のボード上にある。
【0044】
各飛行機および各信号トランスポンダ14の姿勢およびスピードは、GNSS(全地球航法衛星システム)を用いて得ることができるが、このGNSSについては、略図を単純に保つためにGNSS衛星22によって、上側の飛行機についてのみ図示する。この情報は、信号トランスポンダ14の各トランスポンダから、周波数変換された信号16と並列に、地上の測定局に実時間でブロードキャストされる。飛行機の姿勢およびスピードを利用可能にすることにより、測定局の測定デバイス18は、この情報から、移動している信号トランスポンダ14と測定局との間の相対的な速度を簡単に計算することができるので、ダウンリンク信号(飛行機に搭載された移動している信号トランスポンダ14から測定局までの信号)のドップラー効果を取り除くことができるようになる。この後、測定データは、依然として、アップリンク信号接続(未知の信号源10から移動している信号トランスポンダ14までの信号)のドップラーシフトを含んでいる。
【0045】
この残留している不確実性は、本発明による以下の4つの概念によって取り除くことができる。
【0046】
A) 未知の信号源10は、定置しており、同じ送信周波数を経時的に使用する。この場合、信号トランスポンダ14を備える飛行機のコース(方向)変更に関係するドップラー変化を観察することによって、対象の信号源10の地上における厳密な位置を経時的に判断するためには、信号トランスポンダ14は1つだけで十分である。
【0047】
B) 未知の信号源10は、地上ベースであるが、ゆっくりと移動している。この場合、2つの信号トランスポンダ14が必要とされ、それらは、この未知の信号源に関して同じ相対スピードを有しなくてもよい(実際には、より長い期間にわたって生じることは決してない)。ダウンリンク接続の既知のドップラーシフトを取り除いた後に、2つの信号トランスポンダ14によって得られた2つの異なるドップラーシフトを分析することによって、信号自体を分析することができると同時に、地上における未知の信号源10の動きをピンポイントで特定し、追跡することができるようになる。
【0048】
C) 未知の信号源10は、3つの次元すべてにおいてゆっくりと移動している(飛行している)。この場合、第3の信号トランスポンダ14は、図2に示されるように、3つの次元すべてにおける信号源10の動きを適切にピンポイントで特定し、追跡するようにできなければならない。さらに、シナリオB)の場合のように、本質的には、3つの信号トランスポンダ14がすべて、未知の信号源10に関して同じ方向には移動していない。
【0049】
D) 未知の信号源10は、3つの次元すべてにおいて高速で移動している(飛行している)。これは、最も複雑な場合であり、アップリンク信号に関するドップラー分析を解決するためには、第4の信号トランスポンダ14が必要となる。そのように飛行機が4機ある場合、高速で移動している未知の信号源の実際の位置だけでなく、スピードも判断することが可能になり、継続的なデータも比較すると、その実際の位置は姿勢となる。
【0050】
実用上の理由のために、本明細書では、高速で移動している飛行機は、高精度信号トランスポンダのためのプラットフォームとして見なされてきた。その代わりに、ゆっくりと移動している航空プラットフォーム、または動いてさえいない航空プラットフォーム(たとえば、高度規制されたヘリコプターまたはバルーン)を使用する場合、これらのデータの分析は単純になり、シナリオD)は、3つの航空プラットフォームで網羅され得る。
【0051】
以下に、図3を参照して、本発明による高精度RF信号トランスポンダ14の一実施形態について詳細に記載するが、図3は本実施形態のブロック図を示すものである。高精度RF信号トランスポンダ14のコアエレメントは、以下の通りである。
【0052】
・所望の信号12(未知のRF信号源10からの対象信号12)を受信するための入力アンテナ24
【0053】
・入力バンドフィルタ26、または少なくとも、受信した信号12をフィルタリングするためのローパスフィルタ
【0054】
・受信した信号12を増幅するためのLNA(低ノイズ増幅器)28
【0055】
・受信した信号12の周波数を、測定器による受信した信号の分析に好適な周波数に変換するためのミキサ30
【0056】
・周波数変換のために、ミキサ30によって使用可能な、安定した高精度クロック信号を発生させるための好適な局部発振器32
【0057】
・局部発振器バンドパスフィルタ34
【0058】
・出力信号バンドパスフィルタ36、またはミラー周波数を十分に抑制するための能力を備えるローパスフィルタ
【0059】
・RF伝送のために、周波数変換された信号を増幅するための出力信号増幅器38
【0060】
・遠隔信号分析のために、周波数変換された信号16を測定局18、20に送信するための出力アンテナ40
【0061】
以下に、局部発振器、周波数変換およびドップラーシフトの考慮について、詳細に説明する。
【0062】
局部発振器
高精度RF信号トランスポンダ14の必須エレメントは、局部発振器である。高精度信号トランスポンダの場合、局部発振器32に関連付けられた特別な要件が存在する。測定器において受信される周波数シフトした信号16から、対象信号12の厳密な挙動を計算することができるようにするためには、この局部発振器32の周波数および位相エラーが決め手となる。
【0063】
測定器によって導入された測定エラーと組み合わせた局部発振器32のエラーは、予想すべき出力信号の周波数エラーよりも低くなければならないか((数式1)参照)、あるいは、実時間で判断され、適切に考慮するために測定器に通信しなければならない。
【0064】
【数7】

【0065】
(数式1:高精度RF信号トランスポンダ14の周波数異常成分)
【0066】
(数式1)において、εfは、個別の周波数エラーである。総周波数エラー「εfTotal」を可能な限り小さく保つためには、局部発振器のエラー「εfLocal_Oscillator」を小さく保たなければならない。したがって、局部発振器が、周波数を精密に発生させることが望ましい。これは、以下の2つの異なる実施形態によって実現することができる。
【0067】
A) 信号トランスポンダユニット14中に十分に正確で安定したクロックを有する実施形態
【0068】
B) 内部発振器を安定化させるために、移動型信号トランスポンダ14によって利用することができる高精度外部クロック信号を提供する実施形態
【0069】
実施形態A)の場合、元来の測定器によって得ることができる精度を落とさないようにするために、少なくともOCXO(オーブン制御水晶発振器)またはより良好な原子時計ベースの発振器を局部発振器32として適用すべきである。
【0070】
実施形態B)の場合、この場合には高度に安定している基準クロック(安定化されたOCXOまたは原子時計)を装備する測定局から、外部基準「搬送周波数」を信号トランスポンダユニットに送信することができる。信号トランスポンダユニットは、この搬送周波数を受信し、PLL(位相ロックループ)回路によって、内部VCO(電圧制御発振器)を安定化させる。そのような場合、局部発振器32は、外部信号によって制御される局所クロック発生ユニットによって実装される。移動している信号トランスポンダプラットフォームの姿勢およびスピードを、搬送周波数を送信する送信アンテナの厳密な位置と一緒に利用することができる場合、PLL規制ループにおける潜在的なドップラーシフトを直接的に考慮することが可能である。
【0071】
別の概念は、PLL回路制御されたVCOを安定化させるために、GNSS受信器を使用することである。本発明による移動型信号トランスポンダに自律型GNSS受信器を加えることができる。GNSS受信器により、測定局および対象の信号源に関する、移動しているトランスポンダのドップラーシフトを考慮するために、トランスポンダの実際の姿勢およびスピードを判断することができるようになる。さらに、GPS(全地球測位システム)受信器を用いて、以下に詳細に記載するように、GNSS受信器が発生させた高度に安定しているクロック信号を、信号トランスポンダについて使用することができる。
【0072】
図4に、高度に安定しているクロック信号の発生を最終的に処理しているGPSチップセットの詳細を示す。TCXO(温度制御水晶発振器)は、基準周波数を初期信号獲得位相に提供している。このため、妥当な安定したクロックは、既に必要とされているので、弱い衛星信号は識別されず、そのような受信器は、それらにロックすることができない。最終的には、PFD(位相周波数弁別器)、CP(電荷ポンプ)、LP(ローパス)フィルタおよび分数N分周器を備えるPLL回路を用いて、VCOは、GPS衛星から受信した非常に高精度の信号に密接に結合される。典型的には、これは、L1搬送周波数である。GPS受信器を備える3D固定状態を有する場合には特に、VCO出力は、利用可能な最も高精度な時刻であるGPS衛星時刻システムに密接にロックる。この高度に安定化されたVCO周波数が、ベースバンドチップセットから供給される場合、信号トランスポンダは、周波数変換を目的として、そのVCO周波数を利用することができる。図4に示されるように、VCO周波数は、直接的にはL1搬送周波数ではなく、その倍数であることが一般的である。これは、この例のVCOは、L1の2倍の周波数を使用することを意味する。
【0073】
GNSSベースバンドチップセクションの外側では、信号トランスポンダの所望される非常に高精度の局部発振器周波数を発生させるための専用のPLLの向きを変えるために、安定化されたVCO信号を基準信号として使用することができるか、あるいは代替的には、より量子化された方法で所望の周波数を導出するために、クロック分割コンポーネントを使用することができる。
【0074】
PLL構成要素ならびにクロック分割構成要素は、通常、様々なニーズに出力を調節するようにプログラムすることができ、それにより、この場合には様々な周波数帯域に適合するようにさらなるフレキシビリティが提供される一方、信号トランスポンダと測定局との間の通信チャネルは、1つの特定の帯域にのみ制限されることがある。そのようなシナリオでは特に、得られた周波数が、基準周波数よりも高くても、低くてもよいので、PLL回路が有利である。
【0075】
そのような調節可能な局所発振器周波数を使用する場合、信号トランスポンダは、同様に、少なくとも、システムのさらなるフレキシビリティを完全に活用するために、入力ポートおよび局部発振器ポートにプログラム可能なフィルタを装備しなければならない。出力ポートは、様々なチャネル上で変換信号を測定局に提供することが必要な場合には、調節可能なフィルタしか必要としない。
【0076】
周波数変換
原則的に、周波数変換は、図3に示したように、ミキサを用いて、従来のアップ変換またはダウン変換によって実行される。
【0077】
図3は、信号トランスポンダアーキテクチャの単純化された変形形態を示すものにすぎないが、既に、主要なエレメントがすべて含まれている。図3には、測定局において利用可能でなければならない信号トランスポンダを担持するプラットフォームのスピードおよび姿勢に関する必要な情報は含まれていない。そのような情報は、(GNSS受信器を用いて)信号トランスポンダを担持するプラットフォームから、実時間で送信することができるか、あるいは代替的には、その他の手段、たとえば、レーダーによってこの情報を得てもよい。
【0078】
全体的な概念は、一般的な使用可能性を増大させるために、個別のエレメントのレベルで拡張させることができる。この拡張を、信号トランスポンダが動作している粗い環境とともに図5に示す。
【0079】
信号トランスポンダ14は、対象の周波数範囲に調整するためのフレキシビリティを有する。上述のようなGNSS受信器ユニットによって制御されるPLLによって実装された、構成可能な局部発振器33は、調節可能な入力フィルタ27と、フレキシブルであるが高精度の局部発振器33との組合せなどによって支持されており、このシステムは、周波数帯域を、広スペクトルから、関連する測定局との通信に利用可能な専用の通信チャネル16に変換することができる。調節可能な出力信号帯域フィルタ37を加えると、このシステムを、様々な通信チャネルに適合させることができるようになる。元々の機能に加えて、このシステムは、測定局との間で別の双方向通信リンク17を利用する。これによって、測定局は、実際のニーズにしたがって、信号トランスポンダ14を遠隔に構成することができ、一方で、ここではGNSS受信器ユニットを装備する信号トランスポンダ14は、測定局が得られた信号の実際のドップラーシフトを考慮することができるように、通信チャネル17を介して実際の姿勢およびスピード情報を送信することができる。本明細書の「局部発振器」の章に記載したように、GNSS受信器ユニットも、正確な局部発振器周波数を発生させるために、構成可能な局部発振器33のPLL回路が必要とする安定したクロック信号基準として機能する。
【0080】
制御ユニットと測定局との間の通信チャネルの搬送周波数を発生させるために、同様の高精度局部発振器源を利用する場合、システムを改良するための別の選択肢が提供される。そのような場合、高精度の搬送周波数信号もGNSSクロック精度に結合されるので、信号トランスポンダは、非常に高精度の搬送周波数信号を提供することになる。これにより、測定局において、この搬送周波数信号のドップラーシフトを測定することが可能である。これにより、A)計算された数値的なドップラーシフトによって、およびB)この測定結果によって、過剰決定された解が求められる。この過剰決定された解により、今度は、測定局−移動型信号トランスポンダ間の距離に関する平均信号伝播スピード(光速)を計算することができるようになる。これが分かることにより、(少なくとも測定局−信号トランスポンダ間の距離について)ドップラーシフトの詳細な影響を考慮することがさらに可能になることによって、分析された信号の精度を高めることができるようになる。
【0081】
ドップラーシフトの考慮
個別の信号トランスポンダが高速で移動しているプラットフォーム(たとえば、飛行機)に取り付けられている場合には特に、信号トランスポンダにおける未知の信号源の信号のドップラーシフトおよび信号トランスポンダによって測定局に送信された信号のドップラーシフトを考慮する場合に、信号分析の精度を高めることができる。
【0082】
測定局と信号トランスポンダとの間の周波数シフト
測定局が受信するドップラーシフトした周波数は、以下の数式の通りである。
【0083】
【数8】

【0084】
(数式2:信号トランスポンダと測定局との間のドップラーシフト)
【0085】
数式2において、fMS測定局で受信される周波数であり、
【0086】
【数9】

【0087】
は、測定局の速度に関する信号トランスポンダの空間中の速度ベクトルであり、
【0088】
【数10】

【0089】
は、信号トランスポンダから測定システムまでの方向を示す単位ベクトルであり、fSTは、測定局に向かって信号を送信するために信号トランスポンダが使用する周波数である。最後に、cは、光速に近い、媒質中の信号伝播スピードを示し、cは、(真空中の)光速である。
【0090】
数式2は、測定局および信号トランスポンダが動いているものを含む、一般的なシナリオを網羅している。
【0091】
測定局は、測定局に向かって信号を送信するために信号トランスポンダが使用する周波数fを考慮して、周波数変換された信号を分析するように構成することができる。したがって、ドップラーシフト効果を低減させる、あるいは除去することさえでき、測定局によって、より正確に信号分析を行うことができる。
【0092】
信号トランスポンダと未知の信号源との間の周波数シフト
同様に、未知の信号のドップラーシフトは、以下のように表すことができる。
【0093】
【数11】

【0094】
(数式3:未知の信号エミッタと信号トランスポンダとの間のドップラーシフト)
【0095】
数式3において、fSTは、信号トランスポンダにおいて受信される周波数であり、
【0096】
【数12】

【0097】
は、未知の信号源の速度に関する信号トランスポンダの空間中の速度ベクトルであり、
【0098】
【数13】

【0099】
は、未知の信号源から信号トランスポンダまでの方向を示す単位ベクトルであり、fSUTは、信号トランスポンダに向かって信号を送信するために未知の信号源が使用する周波数である。最後に、cは、光速に近い、媒質中の信号伝播スピードを示し、cは、(真空中の)光速である。
【0100】
数式3は、測定局および信号トランスポンダが動いているものを含む、一般的なシナリオを網羅している。
【0101】
未知の信号エミッタと信号トランスポンダとの間のドップラーシフトを低減させる、または除去するために、当該トランスポンダは、信号トランスポンダに向かって信号を送信するために未知の信号源が使用する周波数fSUTを変換するように構成される。したがって、信号トランスポンダから測定局に送信される、周波数変換された信号は、ドップラーシフト判断および修正を行わない場合よりも正確になる。
【0102】
本発明のさらなる実施形態では、測定局は、未知の信号源のロケーションを計算するように適合することができる。これには、測定局の姿勢と、測定局が未知の信号源からの周波数変換された信号をそこから受信する各信号トランスポンダの姿勢とが分からなければならない。さらに、周波数変換は、信号トランスポンダにおける非常に正確なIF周波数に基づいて行わなければならない。次いで、TDOA、FDOAおよびドップラー情報に基づいて、測定局は、未知の信号源のロケーションを計算することができ、信号源のロケーション判断のためにTDOAおよびFDOAならびにドップラー情報を適用することは、当業者には一般に知られており、したがって、本明細書ではさらに説明しない。
【0103】
本発明は、遠隔信号分析に適用可能であり、高精度の信号分析を可能にする信号トランスポンダのためのフレキシブルなアーキテクチャを提案する。
【符号の説明】
【0104】
10 ・・・(未知の)信号源
12 ・・・帯域幅Δf1の周波数f1上の信号(対象信号)
14 ・・・高精度の信号トランスポンダ
16 ・・・帯域幅Δf1の周波数f2上の信号(変換された対象信号)
17 ・・・信号トランスポンダと測定器との間の制御通信
18 ・・・測定デバイス
20 ・・・測定局のアンテナ
22 ・・・GNSS衛星
24 ・・・対象信号を受信するための入力アンテナ
26 ・・・入力バンドフィルタ
27 ・・・調節可能な入力バンドフィルタ
28 ・・・受信した対象信号を増幅するためのLNA
29 ・・・調節可能なLNA
30 ・・・周波数変換のためのミキサ
32 ・・・局部発振器
33 ・・・GNSS受信器ユニットによって制御されるPLL
34 ・・・局部発振器バンドパスフィルタ
35 ・・・制御ユニット
36 ・・・ミラー周波数を十分に抑制するための能力を備える出力信号バンドパスフィルタ
37 ・・・調節可能な出力信号バンドパスフィルタ
38 ・・・出力信号増幅器
40 ・・・変換された対象信号を送信するための出力アンテナ
41 ・・・測定器との信号通信のためのアンテナ
A/D ・・・ ・・・アナログ/デジタル
CP ・・・ ・・・電荷ポンプ
FDOA ・・・ ・・・到来周波数差
GNSS ・・・ ・・・全地球航法衛星システム
GPS ・・・ ・・・全地球測位システム
LF ・・・ ・・・低周波数
LNA ・・・ ・・・低ノイズ増幅器
LP ・・・ ・・・ローパス
OCXO ・・・ ・・・オーブン制御水晶発振器
PFD ・・・ ・・・位相周波数弁別器
PLL ・・・ ・・・位相ロックループ
RF ・・・ ・・・無線周波数
TCXO ・・・ ・・・温度制御水晶発振器
TDOA ・・・ ・・・到来時刻差
UAV ・・・ ・・・無人航空機
VCO ・・・ ・・・電圧制御発振器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未知の信号源(10)からの信号(12)の周波数変換のための信号トランスポンダ(14)であって、
未知の信号源(10)から信号(12)を受信するための入力手段(24)と、
前記受信した信号(12)をフィルタリングするための入力フィルタ(26、27)と、
前記受信した信号(12)を増幅するための入力信号増幅器(28、29)と、
前記増幅されフィルタリングされた、受信した信号(12)の周波数を、所定の周波数に変換するためのミキサ(30)と、
周波数変換のために、前記ミキサ(30)に供給されるクロック信号を発生させるための局部発振器(32、33)と、
前記周波数変換された信号をフィルタリングするための出力フィルタ(36、37)と、
前記周波数変換された信号を増幅するための出力信号増幅器(38)と、
前記フィルタリングされ増幅された、周波数変換された信号を送信するための出力手段(40)と
を備える、トランスポンダ。
【請求項2】
前記局部発振器(32)が、外部クロック信号発生手段により提供される外部クロック信号によって制御される内部発振器を備える、請求項1に記載のトランスポンダ。
【請求項3】
前記外部クロック信号発生手段が、
基準クロック信号を受信し、前記受信した基準クロック信号を、外部クロック信号として前記内部発振器に提供するための手段、および/または
GNSS信号から基準クロック信号を導出し、前記導出した基準クロック信号を、外部クロック信号として前記内部発振器に提供するように適合されるGNSS受信器
を備える、請求項2に記載のトランスポンダ。
【請求項4】
前記入力フィルタ(27)、前記入力信号増幅器(29)、ならびに/あるいは前記出力フィルタ(37)および前記局部発振器(33)が調節可能であり、前記トランスポンダ(14)が、前記入力フィルタ(27)、前記入力信号増幅器(29)、ならびに/あるいは前記出力フィルタ(37)および前記局部発振器(33)を対象の周波数範囲に調節するための制御ユニット(35)をさらに備える、請求項1、2または3のいずれかの項に記載のトランスポンダ。
【請求項5】
前記制御ユニット(35)が、前記トランスポンダ(14)を対象の周波数範囲に調整するために、測定局(18、20)から制御コマンドを受信するようにさらに適合される、請求項4に記載のトランスポンダ。
【請求項6】
前記制御ユニット(35)が、前記トランスポンダ(14)の実際の姿勢および/またはスピードデータを、測定局(18、20)に送信するようにさらに適合される、請求項4または5に記載のトランスポンダ。
【請求項7】
前記制御ユニット(35)が、前記フィルタリングされ増幅された、周波数変換された信号を送信するために、前記通信チャネル(16)とは異なる専用の通信チャネル(17)を介して、前記測定局(18、20)と通信するように適合される、請求項5または6に記載のトランスポンダ。
【請求項8】
以下の数式にしたがって、前記未知の信号源(10)の実際のスピードと、前記未知の信号源(10)から受信した前記信号(12)のドップラーシフトとを判断するようにさらに構成され、
【数1】

式中、fSTは、前記受信した信号(12)の周波数であり、
【数2】

は、前記未知の信号源(10)の速度に関する前記信号トランスポンダ(14)の空間中の速度ベクトルであり、
【数3】

は、前記未知の信号源(10)から前記信号トランスポンダ(14)への方向を示す単位ベクトルであり、fSUTは、前記信号トランスポンダ(14)に向かって前記信号を送信するために前記未知の信号源(10)が使用する周波数であり、cは、光速に近い、媒質中の信号伝播スピードを示し、cは、真空中の光速であり、
前記トランスポンダ(14)が、前記信号トランスポンダ(14)に向かって前記信号を送信するために前記未知の信号源(10)が使用する前記周波数fSUTを変換するように構成される、
請求項1から7のいずれかの項に記載のトランスポンダ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかの項に記載の1つまたは複数の信号トランスポンダ(14)から、未知の信号源(10)の周波数変換された信号(16)を受信し、当該信号を処理するための測定局(18、20)であって、前記測定局(18、20)が、
前記周波数変換された信号(16)のための受信手段(20)と、
前記周波数変換された信号(16)の信号分析のための測定デバイス(18)と
を備える、測定局。
【請求項10】
以下の数式にしたがって、信号トランスポンダ(14)の実際のスピードと、信号トランスポンダ(14)から受信した前記周波数変換された信号(16)のドップラーシフトとを判断するようにさらに構成され、
【数4】

式中、fMSは、前記測定局(18、20)において受信される周波数であり、
【数5】

は、前記測定局(18、20)に関する前記信号トランスポンダ(14)の空間中の速度ベクトルであり、
【数6】

は、前記信号トランスポンダ(14)から前記測定局(18、20)までの方向を示す単位ベクトルであり、fSTは、前記測定局(18、20)に向かって信号を送信するために前記信号トランスポンダ(14)が使用する周波数であり、cは、光速に近い、媒質中の信号伝播スピードを示し、cは、真空中の光速であり、
前記測定局(18、20)が、前記測定局(18、20)に向かって前記信号を送信するために前記信号トランスポンダ(14)が使用する前記周波数fSTを考慮して、前記周波数変換された信号(16)を分析するように構成される、
請求項9に記載の測定局。
【請求項11】
前記未知の信号源(10)から前記信号トランスポンダ(14)が受信したTDOA、FDOA、およびドップラー測定値と、前記信号トランスポンダおよび前記測定局の既知の姿勢とに基づいて、前記未知の信号源のロケーションを計算するようにさらに適合される、請求項9または10に記載の測定局。
【請求項12】
未知の信号源(10)からの信号(12)を分析するためのシステムであって、
請求項1から8のいずれかの項に記載の1つまたは複数の信号トランスポンダ(14)と、
請求項9から11のいずれかの項に記載の測定局(18、20)と
を備える、システム。
【請求項13】
前記1つまたは複数の信号トランスポンダ(14)が、周波数変換された信号を前記測定局(18、20)に送信するために、RF通信を使用する航空システムである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
未知の信号源(10)が、定置しており、経時的に同じ送信周波数を使用する場合には、少なくとも1つの移動している信号トランスポンダ(14)、
未知の信号源(10)が地上ベースであり、ゆっくりと移動している場合、空間中で前記未知の信号源に関して、異なる複数のスピードおよび方向で移動している、少なくとも2つの信号トランスポンダ(14)、
未知の信号源(10)が3次元中でゆっくりと移動している場合、空間中で前記未知の信号源に関して、異なる複数のスピードおよび方向で移動している、少なくとも3つの信号トランスポンダ(14)、および
未知の信号源(10)が3次元中で高速で移動している場合、空間中で前記未知の信号源に関して、異なる複数のスピードおよび方向で移動している、少なくとも4つの信号トランスポンダ(14)
のうち1つを備える、請求項13に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−24876(P2013−24876A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−160307(P2012−160307)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【出願人】(500466717)アストリウム・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (34)
【Fターム(参考)】