説明

信号処理方法および装置

信号処理装置は、第1の信号を入力として第1の擬似信号を生成する第1の適応フィルタと、第2の信号から第1の擬似信号を差し引いて第1の差信号を出力する第1の減算器と、第1の信号を入力として第2の擬似信号を生成する第2の適応フィルタと、第2の信号から第2の擬似信号を差し引いて第2の差信号を出力する第2の減算器と、第2の擬似信号と第2の差信号との相対関係に応じて、第1の適応フィルタの更新に用いられる第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、第1の信号と第2の信号との相対関係に応じて、第2の適応フィルタの更新に用いられる第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理方法および信号処理装置に関し、特に、マイクロフォン、ハンドセット、通信路等から入力した所望の信号に対して混入した他の信号を消去し、または、そのような所望の信号を強調するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロフォンやハンドセット等から入力した音声信号は、音声符号化や音声認識処理の対象となる。このような音声信号に混入した背景雑音信号は、情報圧縮度の高い狭帯域音声符号化装置や音声認識装置等において、音声符号化や音声認識を行う上で、大きな問題となる。このような音響的に重畳した雑音成分の消去を目的とした信号処理装置として、参考文献[1]〜[9]、[23]には、適応フィルタを用いた2入力型雑音消去装置が開示されている。
【0003】
2入力型雑音消去装置は、参照入力端子に入力した雑音信号が音声入力端子に到達するまでに通る経路(ノイズパス)のインパルス応答を近似する適応フィルタを用いて、音声入力端子に混入する雑音信号成分に対応した擬似雑音信号を生成し、音声入力端子に入力された受音信号からこの擬似雑音信号を差し引くことによって、雑音信号を抑圧するように動作する。受音信号とは、音声信号と雑音信号とが混在した信号のことであり、一般に、マイクロフォンやハンドセットから音声入力端子に入力する信号は受音信号である。このとき、適応フィルタのフィルタ係数は、受音信号から擬似雑音信号を差し引いた誤差信号と参照入力端子に入力された参照信号との相関をとることにより修正される。
【0004】
このような適応フィルタの係数修正アルゴリズムとしては、参考文献[23]に記載されている「LMSアルゴリズム(Least−Mean−Square Algorithm)」や参考文献[24]に記載されている「LIM(Learning Identification Method)」が知られている。
【0005】
図1は、従来の2入力型雑音消去装置の代表的な構成を示す図である。この雑音消去装置は、2つの入力端子101、102と適応フィルタ107と減算器111と出力端子113とを備えている。
【0006】
入力端子101には、話者の近傍に置かれたマイクロフォンによって音響−電気変換された信号が入力される。入力された信号X(k)は、目的とする音声信号S(k)に背景雑音信号n(k)が混入したものであり、式(1)で表される。
【0007】
(k)=S(k)+n(k) …(1)
一方、入力端子102には、入力端子101よりも話者から離れた位置に置かれたマイクロフォンによって音響−電気変換された信号が入力される。入力端子2に接続するマイクロフォンが、十分に話者から離れた位置にあり、十分に雑音源に近い場合、入力端子102に入力された信号X(k)は、入力端子101に入力される背景雑音信号N(k)に相当し、式(2)が成り立つ。
【0008】
(k)=N(k) …(2)
適応フィルタ107は、入力端子102に入力された信号X(k)を入力としてフィルタ演算を行い、演算結果として擬似雑音信号R(k)を出力する。
【0009】
減算器111は、入力端子101に入力された信号X(k)から、適応フィルタ107が出力する擬似雑音信号R(k)を減算して差信号e(k)を生成し、雑音消去装置の出力信号として出力端子113に伝達するとともに、適応フィルタ107の係数更新のための誤差信号として適応フィルタ107に供給する。差信号e(k)は、式(3)で与えられる。
【0010】
e(k)=S(k)+n(k)−R(k) …(3)
適応フィルタ107は、入力された誤差信号をもとに、係数修正アルゴリズムを用いてフィルタの係数の更新を行う。ここで、適応フィルタの係数更新アルゴリズムとして、参考文献[23]に記載のLMSアルゴリズムを仮定し、時刻kにおける適応フィルタ107のj番目の係数をw(k)とすると、適応フィルタ107が出力する擬似雑音信号R(k)は、式(4)で表される。
【0011】
【数1】

【0012】
ここで、Nは適応フィルタ107のタップ数を示す。また、係数の更新は、式(5)にしたがって行われる。
【0013】
(k+1)=w(k)+α・e(k)・X(k−j) …(5)
ここで、αは「ステップサイズ」と呼ばれる定数であり、係数の収束時間や収束後の残留誤差を決定するパラメータである。ステップサイズαが大きい場合には、係数の修正量が多くなるため、収束が早くなるが、その一方で、最適値付近での係数変動が大きくなり、最終的な残留誤差が大きくなる。反対に、ステップサイズαが小さい場合には、収束時間は増加するが、最終的な残留誤差が小さくなる。
【0014】
式(3)に示したように、誤差信号e(k)は、音声信号S(k)を含んでおり、係数更新動作はe(k)=0となるように行われるために、S(k)≠0の時、R(k)=n(k)となるような係数更新動作は行われない。このため、音声信号S(k)が、適応フィルタ107の係数更新動作にとっては、妨害信号として大きな影響を与える。音声信号S(k)の影響を軽減するためには、ステップサイズαを極めて小さな値に設定する必要がある。しかし、上述したようにステップサイズを小さくすると適応フィルタ107の収束時間が増加するという問題が生じる。
【0015】
このような問題を考慮した方式として、参考文献[10]〜[19]、[25]に、ステップサイズの制御を行う雑音消去装置が記載されている。
【0016】
図2は、参考文献[25]に記載された、ステップサイズの制御を行う従来の適応型雑音消去装置(adaptive noise canceller)の構成を示す図である。図2に示すように、この従来の装置は、2つの適応フィルタ5、7を備え、適応フィルタ5を用いて推定した入力端子1における信号対雑音比を用いて、適応フィルタ7のステップサイズを制御する。音声信号が雑音信号より大きいときには小さなステップサイズ、逆の状態では大きなステップサイズとなるように制御することによって、適応フィルタ7の収束時間を短縮し、出力端子13に伝達される雑音消去後の信号における歪を減らすことができる。この雑音除去装置には、さらに、2つの遅延回路3、4と2つの減算器9、11とステップサイズ制御回路19と信号対雑音比推定回路21とを備えている。
【0017】
適応フィルタ5の動作は、上述の図1に示した装置における適応フィルタ107の動作と等しい。したがって、信号対雑音比推定回路21には、入力端子1における雑音の影響をとり除かれた音声信号成分の推定値と、入力端子1における雑音信号成分の推定値とが供給される。これは、信号対雑音比推定回路21の入力が、入力端子1における音声成分を近似する減算器9の出力と、雑音成分を近似する適応フィルタ5の出力となっているためである。なお、信号対雑音比推定回路は、信号対雑音電力相対関係推定回路とも呼ばれる。
【0018】
信号対雑音比推定回路21では、供給される音声信号成分の推定値と雑音信号成分の推定値とを用いて、信号対雑音比の推定値を求める。信号対雑音比推定回路21で求められた信号対雑音比は、ステップサイズ制御回路19に供給され、得られたステップサイズが適応フィルタ7に供給される。
【0019】
一方、適応フィルタ7への入力信号は、図1の適応フィルタ107の場合とは異なり、入力端子2に供給された信号を遅延回路4で遅延させたものとなっている。同様に、減算器11に入力端子1から供給される信号は、図1に示した回路の減算器111と異なり、遅延回路3で遅延させたものとなっている。遅延回路3、4は、等しい時間の遅延を発生させ、適応フィルタ7による雑音消去が、入力端子1、2に供給された信号を同一の時間だけ遅延させた信号に対して実行されるように構成されている。遅延回路3が生じる遅延時間と遅延回路4が生じる遅延時間は、信号対雑音比推定回路21が推定値を算出する際に生じる遅延時間以上に設定される。減算器11は、図1に示した装置の減算器11と同様に雑音を消去し、出力を出力端子13に伝達する。
【0020】
信号対雑音比推定回路21の構成は、図3のように表すことができる。信号対雑音比推定回路21は、平均回路14、15及び演算回路16から構成されている。平均回路14は、音声信号成分の推定値が供給され、その平均値を算出して推定音声信号の平均値を出力する。同様に、平均回路15は、雑音信号成分の推定値が供給され、その平均値を算出して推定雑音信号の平均値を出力する。平均回路14、15の出力は、いずれも演算回路16に供給される。演算回路16は、平均回路14、15から供給される推定音声信号成分の平均値と推定雑音信号成分の平均値とを用いて、平均信号対雑音比の推定値を求め、これを第1の信号対雑音比として出力する。
【0021】
平均回路14、15は、時刻k−Lから時刻kまでの平均電力E(k)を計算する。入力信号をY(k)とすると、平均電力E(k)は式(6)で与えられる。
【0022】
【数2】

【0023】
また、式(6)のかわりに式(7)を用いてもよい。
【0024】
E(k)=γ・E(k−1)+(1−γ)・Y(k) …(7)
ただし、γは0<γ<1の定数である。
【0025】
ステップサイズ制御回路19は、信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比に基づいて計算したステップサイズを、適応フィルタ7に供給する。
【0026】
時刻kにおける第1の信号対雑音比をSNR1(k)とすると、ステップサイズ制御回路19は、SNR1(k)を入力として、ステップサイズα(k)を計算する。
【0027】
α(k)は、SNR1min<SNR1(k)<SNR1maxで単調減少する関数f(x)の値として求める。ここに、SNR1min、SNR1maxは、SNR1min<SNR1maxを満たす定数である。
【0028】
この関係は、式(8a)〜(8c)で表すことができる。
【0029】
α(k)=α1max
(SNR1(k)<SNR1min) …(8a)
α(k)=f(SNR1(k))
(SNR1min≦SNR1(k)≦SNR1max) …(8b)
α(k)=α1min
(SNR1(k)>SNR1max) …(8c)
ただし、α1min、α1maxは、α1min<α1maxを満たす定数である。
【0030】
単調減少関数f(x)は、例えば、式(9a)〜(9c)で表すことができる。
【0031】
(x)=−A・x+B …(9a)
ただし、
A=(α1max−α1min)/(SNR1max−SNR1min) …(9b)
B={α1max+α1min+A・(SNR1max+SNR1min)}/2 …(9c)
参考文献[25]に記載された雑音消去装置によれば、第2の適応フィルタ5を用いて音声入力端子における信号対雑音比を推定することにより、信号対雑音比が大きいときには小さなステップサイズ、逆の状態では大きなステップサイズとなるように、第1の適応フィルタ7のステップサイズを制御することができる。このため、妨害信号の影響を軽減した動作が可能となる。
【0032】
しかしながら、入力端子2に供給される信号が、十分に話者から離れた位置で収集されていない場合には、式(10)に示すように、入力端子2に入力される信号X(k)は、背景雑音信号N(k)に音声信号s(k)が混入したものとなり、音声信号s(k)と相関のある成分が適応フィルタの出力に現れることになる。このため、出力端子13に伝達される信号に歪を生じるだけでなく、信号対雑音比推定回路21に供給される音声信号成分に誤りを生じる。
【0033】
(k)=N(k)+s(k) …(10)
このような問題を考慮した雑音除去装置として、参考文献[20]、[21]、[26]には、音声信号が参照入力端子に到達するまでに通る経路のインパルス応答を近似する適応フィルタを用いた雑音消去装置が記載されている。図4は、参考文献[26]に記載された雑音消去装置の構成を示している。
【0034】
図4に示した雑音消去装置は、図2に示した雑音消去装置に対し、さらに、適応フィルタ6、8と減算器10、12とステップサイズ制御回路20と信号対雑音比推定回路22とを追加したものである。この雑音消去装置では、入力端子2に漏れこむ音声信号に対応した信号を適応フィルタ8が生成し、適応フィルタ8の出力を入力端子2に供給される信号から減算した結果を適応フィルタ7に供給することにより、入力端子2に漏れこむ音声信号の妨害を軽減している。適応フィルタ6及び信号対雑音比推定回路22は、図2に示した雑音消去装置の場合と同様の原理にしたがって、適応フィルタ8のステップサイズを制御する。図4に示す装置において適応フィルタ7への入力信号は、図2に示す装置の場合とは異なり、音声の影響をとり除かれた雑音信号成分の推定値となっている。これは、適応フィルタ7の入力が、入力端子2における雑音成分を近似する減算器12の出力となっているためである。同様に、図4に示す装置において、適応フィルタ5の入力信号は、図2に示す装置の場合と異なり、減算器10の出力となっている。
【0035】
適応フィルタ8の入力信号は、雑音の影響をとり除かれた音声信号成分の推定値となっている。これは、適応フィルタ8の入力が、入力端子1における音声成分を近似する減算器11の出力となっているためである。適応フィルタ8は、減算器11から供給された信号に対してフィルタ演算を行い、演算結果として第1の擬似音声信号を出力する。同様に、適応フィルタ6の入力信号は、減算器9の出力となっている。適応フィルタ6は、減算器9から供給された信号に対してフィルタ演算を行い、演算結果として第2の擬似音声信号を出力する。
【0036】
減算器12は、遅延回路4の出力から適応フィルタ8の出力を減算し、減算結果を出力として適応フィルタ7に供給するとともに、係数更新のための誤差信号として適応フィルタ8に伝達する。減算器10は、入力端子2に供給される信号から適応フィルタ6の出力を減算し、その減算結果を適応フィルタ5に供給するとともに、係数更新のための誤差信号として適応フィルタ6に伝達する。
【0037】
信号対雑音比推定回路22には、入力端子2における音声の影響を取り除かれた雑音信号成分の推定値と、入力端子2における音声信号成分の推定値が供給される。これは、信号対雑音比推定回路2の入力が、入力端子2における雑音成分を近似する減算器10の出力と、音声成分を近似する適応フィルタ6の出力となっているためである。信号対雑音比推定回路22の構成は、図3を用いて説明した信号対雑音比推定回路21の構成と等しい。したがって、信号対雑音比推定回路22は、供給される音声信号成分の推定値と雑音信号成分の推定値とを用いて、信号対雑音比の推定値を求め、第2の信号対雑音比として、ステップサイズ制御回路20に供給する。
【0038】
ステップサイズ制御回路20は、信号対雑音比推定回路22で求められた第2の信号対雑音比に基づいて計算したステップサイズを、適応フィルタ8に供給する。
【0039】
時刻kにおける第2の信号対雑音比の推定値をSNR2(k)とすると、ステップサイズ制御回路20は、SNR2(k)を入力として、ステップサイズα(k)を計算する。
【0040】
α(k)は、SNR2min<SNR2(k)<SNR2maxで単調増加する関数f(x)の値として求める。ここで、SNR2min、SNR2maxは、SNR2min<SNR2maxを満たす定数である。この関係は、式(11a)〜(11c)で表すことができる。
【0041】
α(k)=α2min
(SNR2(k)<SNR2min) …(11a)
α(k)=f(SNR2(k))
(SNR2min≦SNR2(k)≦SNR2max) …(11b)
α(k)=α2max
(SNR2(k)>SNR2max) …(11c)
ただし、α2min、α2maxは、α2min<α2maxを満たす定数である。
【0042】
単調増加関数f(x)は、例えば、式(12a)〜(12c)とすることができる。
【0043】
(x)=C・x+D …(12a)
C=(α2max−α2min)/(SNR2max−SNR2min) …(12b)
D={α2max+α2min−C・(SNR2max+SNR2min)}/2 …(12c)
参考文献[26]に記載の雑音消去装置によれば、適応フィルタ8を用いて参照入力端子に漏れこむ音声信号を推定し、この推定値を減算器で差し引くことにより、入力端子2に漏れこむ音声信号による妨害を軽減することができる。また、適応フィルタ6を用いて参照入力端子における信号対雑音比を推定することにより、信号対雑音比が大きいときには大きなステップサイズ、逆の状態では小さなステップサイズとなるように、適応フィルタ8のステップサイズを制御することができ、妨害信号の影響を軽減した動作が可能となる。
【0044】
以下、本明細書で引用した参考文献を列挙する。
【特許文献1】[1]特開平9−36763号公報
【特許文献2】[2]特開平8−56180号公報
【特許文献3】[3]特開平6−284491号公報
【特許文献4】[4]特開平6−90493号公報
【特許文献5】[5]特開平9−181653号公報
【特許文献6】[6]特開平5−75391号公報
【特許文献7】[7]特開平5−158494号公報
【特許文献8】[8]特開平5−22788号公報
【特許文献9】[9]特開昭61−194914号公報
【特許文献10】[10]特開2000−4494号公報
【特許文献11】[11]特開2000−172299号公報
【特許文献12】[12]特開平11−27099号公報
【特許文献13】[13]特開平11−345000号公報
【特許文献14】[14]特開平10−3298号公報
【特許文献15】[15]特開平10−215193号公報
【特許文献16】[16]特開平9−18291号公報
【特許文献17】[17]特開平8−241086号公報
【特許文献18】[18]特開昭62−135019号公報
【特許文献19】[19]特開昭61−194913号公報
【特許文献20】[20]特開平10−215194号公報
【特許文献21】[21]特開平8−110794号公報
【特許文献22】[22]特表平11−502324号公報
【非特許文献1】[23]Bernard Widrow et.al,″Adaptive Noise Cancelling:Principles and Applications,″PROCEEDINGS OF IEEE,VOL.63,NO.12,1975,pp.1692−1716
【非特許文献2】[24]Jin−ichi Nagumo and Atsuhiko Noda,″A Learning Method for System Identification,″IEEE Transactions on Automatic Control,VOL.12,NO.3,1967,pp.282−287
【非特許文献3】[25]Shigeji Ikeda and Akihiko Sugiyama,″An Adaptive Noise Canceller with Low Signal Distortion for Speech Codec,″IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING,VOL.47,NO.3,1999,pp.665−674
【非特許文献4】[26]Shigeji Ikeda and Akihiko Sugiyama,″An Adaptive Noise Canceller with Low Signal Distortion in the Presence of Crosstalk,″IEICE TRANSACTIONS ON FUNDAMENTALS,VOL.E82−A,NO.8,1999,pp.1517−1525
【非特許文献5】[27]David G.Messerschmitt,″Echo Cancellation in Speech and Data Transmission,″IEEE Journal on Selected Are as in Communications,VOL.SAC−2,NO.2,1984,pp.283−297
【非特許文献6】[28]John J.Shynk,″Frequency−Domain and Multirate Adaptive Filtering,″IEEE Signal Processing Magazine,VOL.9,NO.1,pp.14−37,1992
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0045】
ところで、雑音消去装置が用いられる環境、及び、音声入力端子や参照入力端子の配置によって、音声入力端子や参照入力端子における信号対雑音比は広範囲に変化する。例えば図4を参照して説明した従来の装置では、適応フィルタ5、6の係数更新のステップサイズが固定値であるために、音声入力端子や参照入力端子における信号対雑音比の値によっては、収束時間が増加し、または、減算器9、10の出力信号における歪が増加する。これらは、信号対雑音比推定回路21、22に供給される音声成分と雑音成分との推定値の精度の劣化を引き起こし、適応フィルタ7、8の収束時間の増加、あるいは出力端子13に出力される出力音声における歪増加を生じる。
【0046】
したがって、本発明の目的は、音声入力端子や参照入力端子における広範囲な信号対雑音比の入力信号に対して、収束時間が短く、出力音声における歪の少ない雑音消去を実現する信号処理方法を提供することにある。
【0047】
本発明の別の目的は、音声入力端子や参照入力端子における広範囲な信号対雑音比の入力信号に対して、収束時間が短く、出力音声における歪の少ない雑音消去を実現する信号処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0048】
本発明の1つのアスペクトに係る信号処理方法は、第1の信号と、所望の信号を含む第2の信号とを用いて所望の信号を取り出す方法であって、第1の信号と第2の信号の関係を用いて、第1の信号と第2の信号を入力として動作する第1の信号処理を制御する段階と、第1の信号処理の結果を用いて、第1の信号と第2の信号を入力として動作する第2の信号処理を制御する段階と、を有する。
【0049】
本発明の他のアスペクトに係る信号処理方法は、第1の信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成する段階と、第2の信号から第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する段階と、第1の差信号を用いて第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、第1の信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成する段階と、第2の信号から第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する段階と、第2の差信号を用いて第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、第2の擬似信号と第2の差信号との相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて第1の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、第1の信号と第2の信号との相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて第2の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、第1の差信号を出力する段階と、を有する。
【0050】
第2の擬似信号と第2の差信号との相対関係や第1の信号と第2の信号との相対関係は、典型的には、信号対雑音比で表される。
【0051】
本発明のさらに別のアスペクトに係る信号処理方法は、第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理方法であって、第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、第2の信号から第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、第1の差信号を用いて第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、第2の信号から第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、第2の差信号を用いて第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、第1の信号から第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、第3の差信号を第1の中間信号として第1の適応フィルタに入力し、第3の差信号を用いて第3の適応フィルタの係数を更新する段階と、第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、第1の信号から第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、第4の差信号を第2の中間信号として第2の適応フィルタに入力し、第4の差信号を用いて第4の適応フィルタの係数を更新する段階と、信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて第4の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、第1の差信号を出力する段階と、を有する。
【0052】
本発明において、信号間の相対関係は一例として信号対雑音比で表されるが、相対関係として、信号対雑音比以外の指標も用いてもよい。
【0053】
信号間の相対関係の一例として、第1のステップサイズは第2の擬似信号と第2の差信号との相対関係に応じて制御され、第2のステップサイズは第1の信号と第2の信号との相対関係に応じて制御され、第3のステップサイズは第4の擬似信号と第4の差信号との相対関係に応じて制御され、第4のステップサイズは第1の信号と第2の信号との相対関係に応じて制御される。また別の例では、第1のステップサイズは第2の擬似信号と第2の差信号との相対関係に応じて制御され、第2のステップサイズは第1の信号と第2の信号との相対関係に応じて制御され、第3のステップサイズは、第4の擬似信号と第4の差信号との相対関係に応じて制御され、第4のステップサイズは、第4の擬似信号と第4の差信号との相対関係に応じて制御される。これらの例の他にも、各ステップサイズを求めるために用いられる相対関係を構成する信号の組合せは、多数、存在する。
【0054】
本発明のさらに他のアスペクトにかかる信号処理装置は、第1の信号と、所望の信号を含む第2の信号とを入力し、所望の信号を取り出す信号処理装置であって、第1の信号と第2の信号の関係を計算する計算回路と、第1の信号と第2の信号を入力とする第1の信号処理手段と、第1の信号と第2の信号を入力とする第2の信号処理手段と、を備え、計算回路の出力を用いて第1の信号処理手段の動作が制御され、第1の信号処理手段の出力を用いて第2の信号処理手段の動作が制御される。
【0055】
本発明のさらに他のアスペクトにかかる信号処理装置は、第1の信号を入力として第1の擬似信号を生成する第1の適応フィルタと、第2の信号から第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する第1の減算器と、第1の信号を入力として第2の擬似信号を生成する第2の適応フィルタと、第2の信号から第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する第2の減算器と、第2の擬似信号と第2の差信号の相対関係に応じて第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御手段と、第1の信号と第2の信号の相対関係に応じて第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御手段と、を有し、第1の差信号と第1のステップサイズを用いて第1の適応フィルタの係数が更新され、第2の差信号と第2のステップサイズを用いて第2の適応フィルタの係数が更新され、第1の差信号が出力される。
【0056】
本発明のさらに他のアスペクトにかかる信号処理装置は、第1の信号と第2の信号と入力する信号処理装置であって、第1の中間信号を入力として第1の擬似信号を生成する第1の適応フィルタと、第2の信号から第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する第1の減算器と、第2の中間信号を入力として第2の擬似信号を生成する第2の適応フィルタと、第2の信号から第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する第2の減算器と、第1の差信号を入力として第3の擬似信号を生成する第3の適応フィルタと、第1の信号から第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、第3の差信号を第1の中間信号として第1の適応フィルタに供給する第3の減算器と、第2の差信号を入力として第4の擬似信号を生成する第4の適応フィルタと、第1の信号から第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、第4の差信号を第2の中間信号として第2の適応フィルタに供給する第4の減算器と、信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズ、第2のステップサイズ、第3のステップサイズ及び第4のステップサイズを生成するステップサイズ制御手段と、を有し、第1の差信号と第1のステップサイズを用いて第1の適応フィルタの係数が更新され、第2の差信号と第2のステップサイズを用いて第2の適応フィルタの係数が更新され、第3の差信号と第3のステップサイズを用いて第3の適応フィルタの係数が更新され、第4の差信号と第4のステップサイズを用いて第4の適応フィルタの係数が更新され、第1の差信号が出力される。
【0057】
本発明によれば、信号対雑音比を推定し、信号対雑音比推定値を用いて適切に制御されたステップサイズを有する適応フィルタを動作させ、適応フィルタの出力信号に基づいて推定された信号対雑音比を用いて他の適応フィルタのステップサイズを決定することにより、音声入力端子や参照入力端子における、広範囲な信号対雑音比の入力信号に対して、収束時間が短く、かつ、出力音声における歪の少ない信号処理を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】従来の信号処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】従来の信号処理装置の構成の別の例を示すブロック図である。
【図3】図2に示した信号処理装置に用いられる信号対雑音比推定回路の構成を示すブロック図である。
【図4】従来の信号処理装置の構成のさらに別の例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第4の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第5の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第6の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第7の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第8の実施形態の信号処理装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の信号処理装置を用いる音声認識装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】本発明の信号処理装置を用いるロボット装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下では、本発明に基づく信号処理装置を、音声信号を処理する装置として実現化した形態、特に、雑音消去装置として実現した例を挙げて説明する。しかしながら、以下の各実施形態の信号処理装置は、その構成を変更することなく、雑音消去装置以外の各種の信号処理装置として用いることができることは、いうまでもない。
【0060】
図5に示した本発明の第1の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、備える。第1の減算器11からの第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として、出力端子13にも出力されている。
【0061】
さらに、図5に示した信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し、第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比回路21と、第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する第2の信号対雑音比回路22と、第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比回路23と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、同じく第3の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を備えている。
【0062】
上述の信号処理装置において、信号対雑音比推定回路21〜23としては、図3を用いて説明した信号対雑音比推定回路を使用することができる。したがって、上述したものでは、信号対雑音相対関係として、信号対雑音比が用いられることになる。
【0063】
図4と図5とを比較すれば分かるように、図5に示した信号処理装置は、図4に示した従来の信号処理装置に対し、さらに第3の信号対雑音比推定回路23と第3のステップサイズ制御回路17と第4のステップサイズ制御回路18を追加した構成のものである。図5において、図4に示した要素と同一または同等の要素には、同一の参照符号が付されている。そこで、以下では、図4におけるものと同一の要素についての説明は重複をさけるために省略し、信号対雑音比推定回路23、ステップサイズ制御回路17及びステップサイズ制御回路18を中心にして、図5に示した信号処理装置を説明する。
【0064】
音声入力端子1に入力された第1の受音信号と参照入力端子2に入力された第2の受音信号とが供給される信号対雑音比推定回路23は、第1の受音信号を音声信号成分の推定値とし、第2の受音信号を雑音信号成分の推定値として、信号対雑音比の推定値を求め、これを第3の信号対雑音相対関係である第3の信号対雑音比として出力する。信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比は、ステップサイズ制御回路17及びステップサイズ制御回路18に供給され、得られたステップサイズが、それぞれ、適応フィルタ5及び適応フィルタ6に供給される。
【0065】
ステップサイズ制御回路17は、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ5に供給する。時刻kにおける第3の信号対雑音比の推定値をSNR3(k)とすると、ステップサイズ制御回路17は、SNR3(k)を入力としてステップサイズα(k)を計算する。
【0066】
α(k)は、SNR3min<SNR3(k)<SNR3maxで単調減少する関数f(x)の値として求める。ここに、SNR3min、SNR3maxは、SNR3min<SNR3maxを満たす定数である。この関係は、式(13a)〜(13c)で表わすことができる。
【0067】
α(k)=α3max
(SNR3(k)<SNR3min) …(13a)
α(k)=f(SNR3(k))
(SNR3min≦SNR3(k)≦SNR3max) …(13b)
α(k)=α3min
(SNR3(k)>SNR3max) …(13c)
ただし、α3min、α3maxは、α3min<α3maxを満たす定数である。
【0068】
単調減少関数f(x)は、式(9a)〜(9c)のα1max、α1min、SNR1max、SNR1minの代わりに、α3max、α3min、SNR3max、SNR3minを用いて、f(x)と同様に決定できる。
【0069】
ステップサイズ制御回路18は、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比SNR3(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ6に供給する。
【0070】
α(k)は、SNR4min<SNR4(k)<SNR4maxで単調増加する関数f(x)の値として求める。ここでSNR4min、SNR4maxは、SNR4min<SNR4maxを満たす定数である。この関係は、式(14a)〜(14c)で表わすことができる。
【0071】
α(k)=α4min
(SNR3(k)<SNR4min) …(14a)
α(k)=f(SNR3(k))
(SNR4min≦SNR3(k)≦SNR4max) …(14b)
α(k)=α4max
(SNR3(k)>SNR4max) …(14c)
ただし、α4min、α4maxは、α4min<α4maxを満たす定数である。
【0072】
単調増加関数f(x)は、上式(12a)〜(12c)のα2max、α2min、SNR2max、SNR2minの代わりに、α4max、α4min、SNR4max、SNR4minを用いて、f(x)と同様に決定できる。
【0073】
次に、図5に示した信号処理装置すなわち雑音消去装置の動作原理について説明する。
【0074】
この信号処理装置は、音声入力端子1から入力される第1の受音信号に混入する雑音信号を消去するために、第1の受音信号に含まれる雑音信号を推定する第1の適応フィルタ7と、参照入力端子2に入力される第2の受音信号に混入する音声信号を消去するために第2の受音信号に含まれる音声信号を推定する第2の適応フィルタ8と、第1の受音信号及び第2の受音信号における信号対雑音相対関係(すなわち信号対雑音比)を推定するために、音声入力端子1から入力される第1の受音信号に含まれる雑音信号を推定する第3の適応フィルタ5と、参照入力端子2に入力される第2の受音信号に含まれる音声信号を推定する第4の適応フィルタ6とを備えている。そして、第1のステップサイズ制御回路19は、第1の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が多いと判断したときは、第1の適応フィルタ7に対して大きなステップサイズを供給し、収束を速める。逆に、第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が少ないと判断したときは、第1のステップサイズ制御回路19は、第1の適応フィルタ7に小さなステップサイズを供給し、誤った収束へ向かうことを防止する。同様に、第2のステップサイズ制御回路20は、第2の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、第2の受音信号において雑音信号に比べ音声信号が多いと判断したときは、第2の適応フィルタ8に大きなステップサイズを供給し、収束を速める。逆に、雑音信号に比べ音声信号が少ないと判断したときは、第2のステップサイズ制御回路20は、第2の適応フィルタ8に小さなステップサイズを供給し、誤った収束へ向かうことを防止する。
【0075】
さらに、第1の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、第3のステップサイズ制御回路17は、第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が多いと判断したときは、第3の適応フィルタ5に大きなステップサイズを供給し、収束を速める。逆に、第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が少ないと判断したときは、第3のステップサイズ制御回路17は、第3の適応フィルタ5に小さなステップサイズを供給し、誤った収束へ向かうことを防止する。同様に、第4のステップサイズ制御回路18は、第2の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、第2の受音信号において雑音信号に比べ音声信号が多いと判断したときは、第4の適応フィルタ6に大きなステップサイズを供給し、収束を速める。逆に、雑音信号に比べ音声信号が少ないと判断したときは、第4のステップサイズ制御回路18は、第4の適応フィルタ6に小さなステップサイズを供給し、誤った収束へ向かうことを防止する。
【0076】
以上説明したように、本発明の第1の実施形態による信号処理装置は、音声入力端子1と参照入力端子2に入力される信号を用いて推定した信号対雑音比を用いて適応フィルタ5の係数更新動作にとって妨害となる信号の大きさを推定し、適応フィルタ5のステップサイズを、信号対雑音比が大きいときには小さなステップサイズとして係数更新動作への妨害信号の影響を軽減し、逆の状態では大きなステップサイズとして係数更新動作の収束時間を短縮するように制御する。同様に、この信号処理装置は、適応フィルタ6のステップサイズを、信号対雑音比が大きいときには大きなステップサイズ、逆の状態では小さなステップサイズとなるように制御する。したがって、音声入力端子1や参照入力端子2における信号対雑音比の値に依存せず、収束時間が短縮し、または、減算器9及び10の出力信号における歪が減少する。これらは、信号対雑音比推定回路21及び22に供給する音声成分と雑音成分の推定値精度の向上につながり、適応フィルタ7及び8の収束時間の短縮、あるいは出力端子13に出力される出力音声における歪削減を達成する。すなわち、音声入力端子1や参照入力端子2における広範囲な信号対雑音比の入力信号に対して、適応フィルタ7及び8の収束時間が短く、出力音声における歪の少ない雑音消去装置として用いられることの信号処理装置が得られたことになる。
【0077】
上述した第1の実施形態での処理手順は、具体的には、以下の、
(a1)受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1及び第2の遅延受音信号を生成する段階、
(a2)第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する段階、
(a3)第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する段階、
(a4)第2の誤差信号を第1の適応フィルタ7に入力して第1の擬似雑音信号を生成する段階、
(a5)第1の誤差信号が最小となるように第1の適応フィルタ7の係数を更新する段階、
(a6)第1の誤差信号を第2の適応フィルタ8に入力して第1の擬似音声信号を生成する段階、
(a7)第2の誤差信号が最小となるように第2の適応フィルタ8の係数を更新する段階、
(a8)第1の誤差信号を雑音が消去された音声信号として出力端子に出力するする段階、
(a9)第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する段階、
(a10)第2の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第4の誤差信号を生成する段階、
(a11)第4の誤差信号を第1の適応フィルタと同様の構成の第3の適応フィルタ5に入力して第2の擬似雑音信号を生成する段階、
(a12)第3の誤差信号が最小となるように第3の適応フィルタ5の係数を更新する段階、
(a13)第3の誤差信号を第2の適応フィルタと同様の構成の第4の適応フィルタ6に入力して第2の擬似音声信号を生成する段階、
(a14)第4の誤差信号が最小となるように第4の適応フィルタ6の係数を更新する段階、
(a15)第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a16)第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a17)第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a18)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a19)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a20)第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3及び第4の適応フィルタ5、6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力するする段階、
とを有する。
【0078】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態の信号処理装置を示す図6において、図5に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0079】
図6に示した第2の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0080】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する第2の信号対雑音比推定回路22と、第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比推定回路23と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を有する。
【0081】
すなわち、図6に示した第2の実施形態の信号処理装置は、図5に示した第1の実施形態の信号処理装置とは、ステップサイズ制御回路18が相違しており、他の要素は同一構成とされている。したがって、以下、ステップサイズ制御回路18について説明する。
【0082】
ステップサイズ制御回路18への入力信号は、第3の信号対雑音比推定回路23からの第3の信号対雑音比ではなく、第2の信号対雑音比推定回路22で求められた第2の信号対雑音比となっている。ステップサイズ制御回路18は、第2の信号対雑音比SNR2(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、第4の適応フィルタ6に供給する。
【0083】
α(k)は、式(14a)〜(14c)のSNR3(k)、SNR4max、SNR4min、α4max、α4minの代わりに、SNR2(k)、SNR5max、SNR5min、α5max、α5minを用いて同様に決定することができる。ここで、SNR5min、SNR5maxは、SNR5min<SNR5maxを満たす定数、α5min、α5maxは、α5min<α5maxを満たす定数である。このように、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比の代わりに、信号対雑音比推定回路22で求められた第2の信号対雑音比を用いることにより、図6に示した信号処理装置は、第1の実施形態の信号処理装置と同様に動作することが可能となる。
【0084】
同様に、本実施形態の信号処理装置において、ステップサイズ制御回路18の入力信号を、信号対雑音比推定回路23で求められた信号対雑音比とし、ステップサイズ制御回路17の入力信号を、信号対雑音比推定回路21で求められた信号対雑音比とした構成としてもよい。これは、回路構成の対称性からも明らかである。
【0085】
図6に示した第2の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第2の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a19)を含み、さらに、
(a20a)第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a21a)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
を備えている。
【0086】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本発明の第3の実施形態の信号処理装置を示す図7において、図6に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0087】
図7に示した第3の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0088】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する第2の信号対雑音比推定回路22と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を有する。
【0089】
すなわち、図7に示した第3の実施形態の信号処理装置は、図6に示した第2の実施形態の信号処理装置から第3の信号対雑音比推定回路23を取り除いたものであり、それにともなって、ステップサイズ制御回路17が図6の装置とは相違している。これ以外の構成については図6に示す装置と同様であり、図7に示した第3の実施形態の信号処理装置においてステップサイズ制御回路17を除く要素の動作は、図6に示したものと同様であるため、以下では、ステップサイズ制御回路17について説明する。
【0090】
ステップサイズ制御回路17の入力信号は、第1の信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比となっている。ステップサイズ制御回路17は、この信号対雑音比SNR1(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ5に供給する。
【0091】
α(k)は、式(13a)〜(13c)のSNR3(k)、SNR3max、SNR3min、α3max、α3minの代わりに、SNR1(k)、SNR6max、SNR6min、α6max、α6minを用いて同様に決定できる。
【0092】
ここで、SNR6min、SNR6maxは、SNR6min<SNR6maxを満たす定数であり、α6min、α6maxは、α6min<α6maxを満たす定数である。
【0093】
このように、第3の信号対雑音比推定回路を設けて第3の信号対雑音比を用いる代わりに、第1の信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比を用いることにより、第3の信号対雑音比推定回路を設ける必要がなくなり、その第3の第3の信号対雑音比推定回路に相当する演算量を削減することができる。
【0094】
図7に示した第3の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第3の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a16)を含み、さらに、
(a17b)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a18b)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a19b)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a20b)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階
を有している。
【0095】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本発明の第4の実施形態の信号処理装置を示す図8において、図5に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0096】
図8に示した第4の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0097】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ7と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する第2の信号対雑音比推定回路22と、第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比推定回路23と、第1の信号対雑音相対関係と第3の信号対雑音相対関係の相対関係を入力として、これらの信号対雑音相対関係の相対関係が予め定められた範囲内であるか否かにより一方を選択して第4の信号対雑音相対関係として出力する第1の制御回路32と、第2の信号対雑音相対関係と第3の信号対雑音相対関係の相対関係を入力として、これらの信号対雑音相対関係の相対関係が予め定められた範囲内であるか否かにより一方を選択して第5の信号対雑音相対関係として出力する第2の制御回路33と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第4の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、第5の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を備えている。
【0098】
すなわち、図8に示した第4の実施形態の信号処理装置は、図5に示した信号処理装置に対して制御回路32、33を追加し、制御回路32、33を介して信号対雑音比がそれぞれステップサイズ制御回路17、18に入力するようにしたものである。図8に示した信号処理装置において、ステップサイズ制御回路17、18以外の要素の動作は図5に示す装置と同様であるため、以下では、制御回路32、33及びステップサイズ制御回路17、18について説明する。
【0099】
制御回路32には、第3の信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比と、第1の信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比が供給される。そして制御回路32は、信号対雑音比推定回路23、21から供給される信号対雑音比SNR3(k)、SNR1(k)の一方を選択して第4の信号対雑音比SNR4(k)とし、ステップサイズ制御回路17に供給する。この関係は、式(15a)、(15b)、(16)で表すことができる。
【0100】
SNR4(k)=SNR1(k) (r(k)≧r1th) …(15a)
SNR4(k)=SNR3(k) (r(k)<r1th) …(15b)
(k)=SNR3(k)/SNR1(k) …(16)
ただし、r1thは正の定数である。
【0101】
式(15a)、(15b)の代わりに、式(17a)、(17b)を用いてもよい。
【0102】
SNR4(k)=SNR3(k) (R(k)≧R1th) …(17a)
SNR4(k)=SNR1(k) (R(k)<R1th) …(17b)
ただし、R1thは正の定数、R(k)は、r(k)の変化を時刻k−m+1からkまで平均したものであり、式(18)で与えられる。
【0103】
【数3】

【0104】
ステップサイズ制御回路17の入力信号は、図5に示した装置とは異なり、制御回路32で求められた第4の信号対雑音比SNR4(k)となっている。ステップサイズ制御回路17は、この第4の信号対雑音比SNR4(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ5に供給する。
【0105】
α(k)は、式(13a)〜(13c)のSNR3(k)、SNR3max、SNR3min、α3max、α3minの代わりに、SNR4(k)、SNR7max、SNR7min、α7max、α7minを用いて同様に決定できる。ここで、SNR7min、SNR7maxは、SNR7min<SNR7maxを満たす定数、α7min、α7maxは、α7min<α7maxを満たす定数である。
【0106】
制御回路33には、第3の信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比と、第2の信号対雑音比推定回路22で求められた第2の信号対雑音比が供給される。制御回路33は、信号対雑音比推定回路23、22から供給される信号対雑音比SNR3(k)、SNR2(k)の一方を選択して第5の信号対雑音比SNR5(k)とし、ステップサイズ制御回路18に供給する。この関係は、式(19a)、(19b)、(20)で表すことができる。
【0107】
SNR5(k)=SNR2(k) (r(k)≧r2th) …(19a)
SNR5(k)=SNR3(k) (r(k)<r2th) …(19b)
(k)=SNR3(k)/SNR2(k) …(20)
ただし、r2thは正の定数である。式(19a)、(19b)の代わりに、式(21a)、(21b)を用いてもよい。
【0108】
SNR5(k)=SNR3(k) (R(k)≧R2th) …(21a)
SNR5(k)=SNR2(k) (R(k)<R2th) …(21b)
ただし、R2thは正の定数、R(k)は、r(k)の変化を時刻k−m+1からkまで平均したものであり、式(22)で与えられる。
【0109】
【数4】

【0110】
ステップサイズ制御回路18の入力信号は、図5に示した装置とは異なり、制御回路33で求められた第5の信号対雑音比SNR5(k)となっている。ステップサイズ制御回路18は、この信号対雑音比SNR5(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ6に供給する。
【0111】
α(k)は、式(14a)〜(14c)のSNR3(k)、SNR4max、SNR4min、α4max、α4minの代わりに、SNR5(k)、SNR8max、SNR8min、α8max、α8minを用いて同様に決定できる。ここで、SNR8min、SNR8maxは、SNR8min<SNR8maxを満たす定数、α8min、α8maxは、α8min<α8maxを満たす定数である。
【0112】
このように、本実施形態によれば、信号対雑音比推定回路21及び23で求められた第1及び第3の信号対雑音比から適切な値を選択してステップサイズ制御回路17に供給し、同様に、信号対雑音比推定回路22及び23で求められた第2及び第3の信号対雑音比から適切な値を選択してステップサイズ制御回路18に供給することにより、いずれか一方の信号対雑音比を、ステップサイズ制御回路17及び18に供給した場合よりも、最適なステップサイズを算出することが可能となる。これは、信号対雑音比推定回路23における推定値が、入力端子1に漏れ込む雑音信号成分と入力端子2に漏れ込む音声信号成分の影響を受け、十分に正確ではないためである。
【0113】
一方、信号対雑音比推定回路21及び22は、これらの漏れ込み成分の影響を適応フィルタ5及び6で除去された信号を用いて推定動作を行うために、高精度の推定値を得ることができる。しかし、適応フィルタ5及び6の収束の影響を受け、これらの適応フィルタが収束するまでは、推定値の精度が十分ではない。そこで、制御回路32及び33によって、適切な信号対雑音比を選択してステップサイズ制御回路17及び18に供給することにより、最適なステップサイズの算出を可能とする。
【0114】
図8に示した第4の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第4の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a17)を含み、さらに、
(a18c)第1の信号対雑音相対関係と第2の信号対雑音相対関係の相対関係が予め定められた範囲内であるか否かにより一方を選択して第4の信号対雑音相対関係として出力する段階、
(a19c)第1の信号対雑音相対関係と第2の信号対雑音相対関係の相対関係が予め定められた範囲内であるか否かにより一方を選択して第5の信号対雑音相対関係として出力する段階、
(a20c)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a21c)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a22c)第4の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a23c)第5の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
とを有する。
【0115】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本発明の第5の実施形態の信号処理装置を示す図9において、図5に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0116】
図9に示した第5の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0117】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号における予め定められた周波数以上の成分を抑圧して出力する第1の低域通過フィルタ24と、第2の受音信号における第1の低域通過フィルタ24におけるものと同じ予め定められた周波数以上の成分を抑圧して出力する第2の低域通過フィルタ25と、第1の低域通過フィルタ24より供給される信号から予め定められた間引き率で信号を間引いて第1の間引き受音信号を生成する第1の間引き回路26と、第2の低域通過フィルタより供給される信号から第1の間引き回路26と同じ間引き率で信号を間引いて第2の間引き受音信号を生成する第2の間引き回路27と、第1の間引き受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の間引き受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する第2の信号対雑音比推定回路22と、第1の間引き受音信号と第2の間引き受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比推定回路23と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、同じく第3の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を有する。
【0118】
すなわち、図9に示した第5の実施形態の信号処理装置は、図1に示した信号処理装置に対し、低域通過フィルタ24、25、及び間引き回路26、27を付加したものである。以下では、低域通過フィルタ24、25、及び間引き回路26、27について説明する。
【0119】
間引き回路26は、音声入力端子1から低域通過フィルタ24を経て供給されたサンプリング周波数fの信号を間引くことにより、サンプリング周波数をfに変換して出力する。すなわち、間引き率はf/fとなる。低域通過フィルタ24は、間引き回路26における間引き処理によって生じる折り返し歪(aliasing distortion)を防ぐために、周波数f以上の入力信号成分を抑圧し、間引き回路26に供給する。ただし、2f<f<fである。同様に間引き回路27は、参照入力端子2から低域通過フィルタ25を経て供給されたサンプリング周波数fの信号を間引くことにより、サンプリング周波数をfに変換して出力する。低域通過フィルタ25は、低域通過フィルタ24と同様の動作をする。
【0120】
このように本実施形態では、間引きによってサンプリング周波数がfに変更された信号が信号対雑音比推定回路21、22、23、及び適応フィルタ5、6に供給されるために、これらの回路の演算量を低減することができる。
【0121】
図9に示した第5の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第6の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a8)を含み、さらに、
(a9d)第1及び第2の受音信号を第1及び第2の低域通過フィルタ24、25に入力して予め定められた周波数以上の成分を抑圧した信号を生成する段階、
(a10d)1及び第2の低域通過フィルタ24、25から供給される信号から予め定められた間引き率の信号を間引いて第1及び第2の間引き受音信号を生成する段階、
(a11d)第1の間引き受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する段階
(a12d)第2の間引き受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第4の誤差信号を生成する段階、
(a13d)第4の誤差信号を第1の適応フィルタと同様の構成の第3の適応フィルタ5に入力して第2の擬似雑音信号を生成する段階、
(a14d)第3の誤差信号が最小となるように第3の適応フィルタ5の係数を更新する段階、
(a15d)第3の誤差信号を第2の適応フィルタと同様の構成の第4の適応フィルタ6に入力して第2の擬似音声信号を生成する段階、
(a16d)第4の誤差信号が最小となるように第4の適応フィルタ6の係数を更新する段階、
(a17d)第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a18d)第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a19d)第1の間引き受音信号と第2の間引き受音信号とから、第3の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a20d)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a21d)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a22d)第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3及び第4の適応フィルタ7、8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
とを有する。
【0122】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本発明の第6の実施形態の信号処理装置を示す図10において、図5に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0123】
図10に示した第6の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0124】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比推定回路23と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタのフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、同じく第3の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を有する。
【0125】
すなわち、図10に示した第6の実施形態の信号処理装置は、図5に示した信号処理装置から、第2の信号対雑音比推定回路22を取り除いたものである。そのため、ステップサイズ制御回路20には、第1の信号対雑音比推定回路21から第1の信号対雑音比が送られている。これ以外の点については図10に示す信号処理装置は図5に示す装置と同様であるから、以下では、ステップサイズ制御回路20について説明する。
【0126】
ステップサイズ制御回路20の入力信号は、信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比SNR1(k)となっており、ステップサイズ制御回路10は、SNR1(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ8に供給する。
【0127】
α(k)は、式(11a)〜(12c)のSNR2(k)、SNR2max、SNR2min、α2min、α2maxの代わりに、SNR1(k)、SNR9max、SNR9min、α9min、α9maxを用いて同様に決定できる。ここで、SNR9min、SNR9maxは、SNR9min<SNR9maxを満たす定数、α9min、α9maxは、α9min<α9maxを満たす定数である。
【0128】
このように、第2の信号対雑音比推定回路22を設けて第2の信号対雑音比を用いる代わりに、信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比を用いることにより、第2の信号対雑音比推定回路22を削減することができ、第2の信号対雑音比推定回路に相当する演算量を削減することができる。
【0129】
もちろん、回路構成の対称性に基づき、本実施形態において、図5に示した信号処理装置における第2の信号対雑音比推定回路22の代わりに第1の信号対雑音比推定回路21を除去し、ステップサイズ制御回路19の入力信号を、信号対雑音比推定回路22で求められた第2の信号対雑音比としてもよい。
【0130】
図10に示した第6の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第6の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a15)を含み、さらに、
(a16e)第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a17e)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1及び第2の適応フィルタ7、8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a18e)第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3及び第4の適応フィルタ5、6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
とを有する。
【0131】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。本発明の第7の実施形態の信号処理装置を示す図11において、図5に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0132】
図11に示した第7の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0133】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第1の信号対雑音相対関係から予め定められた値を乗算して第6の信号対雑音相対関係を生成する乗算回路28と、第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比推定回路23と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第6の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路17と、同じく第3の信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路18と、を有する。
【0134】
すなわち、図11に示した第7の実施形態の信号処理装置は、図5に示した第1の実施形態の信号処理装置から、第2の信号対雑音比推定回路22を取り除き、その代わりに乗算回路28を設けたものである。これ以外の点については図11に示す信号処理装置は図5に示す装置と同様であるから、以下では、乗算回路28について説明する。
【0135】
乗算回路28は、信号対雑音比推定回路21から供給された第1の信号対雑音比に、予め定められた値を乗算することにより、第2の信号対雑音比推定回路の出力する第2の信号対雑音比の近似値を求める。乗算回路28は、この近似値を、第6の信号対雑音比として、ステップサイズ制御回路20に供給する。このように、信号対雑音比推定回路21で求められた第1の信号対雑音比から第2の信号対雑音比の近似値を求めることにより、第2の信号対雑音比推定回路を設ける必要がなくなり、第2の信号対雑音比推定回路に対応する演算量を削減することができる。
【0136】
もちろん、回路構成の対称性に基づき、本実施形態において、図5に示した信号処理装置における第2の信号対雑音比推定回路22の代わりに第1の信号対雑音比推定回路21を除去し、第2の信号対雑音比推定回路が出力する第2の信号対雑音比から第1の信号対雑音比の近似値を求め、この近似値をステップサイズ制御回路19の入力信号とするようにしてもよい。
【0137】
図11に示した第7の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第7の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a15)を含み、さらに、
(a16f)第1の信号対雑音相対関係から予め定められた値を乗算して第6の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a17f)第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a18f)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a19f)第6の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a20f)第3の信号対雑音相対関係に基づいて第3及び第4の適応フィルタ5、6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
とを有する。
【0138】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。本発明の第8の実施形態の信号処理装置を示す図12において、図5に示した要素と同一又は同等の要素には、同一の参照符号が付されている。
【0139】
図12に示した第8の実施形態の信号処理装置は、音声入力端子1と、参照入力端子2と、出力端子13と、音声入力端子1から入力される第1の受音信号X(k)を受けて第1の受音信号に予め定められた遅延時間を与えて第1の遅延受音信号を生成する第1の遅延回路3と、参照入力端子2から入力される第2の受音信号X(k)を受けて第2の受音信号に第1の遅延回路3と同じ遅延時間を与えて第2の遅延受音信号を生成する第2の遅延回路4と、第1の遅延受音信号から第1の擬似雑音信号を減算して第1の誤差信号を生成する第1の減算器11と、第2の遅延受音信号から第1の擬似音声信号を減算して第2の誤差信号を生成する第2の減算器12と、第2の減算器12からの第2の誤差信号を入力として第1の擬似雑音信号を生成して第1の誤差信号が最小となるように係数を更新する第1の適応フィルタ7と、第1の減算器11からの第1の誤差信号を入力として第1の擬似音声信号を生成し第2の誤差信号が最小となるように係数を更新する第2の適応フィルタ8と、を備えており、第1の誤差信号は、雑音が消去された音声信号として出力端子13にも供給されている。
【0140】
さらにこの信号処理装置は、第1の受音信号から第2の擬似雑音信号を減算して第3の誤差信号を生成する第3の減算器9と、第2の受音信号から第2の擬似音声信号を減算して第4の誤差信号を生成する第4の減算器10と、第4の誤差信号を入力として第2の擬似雑音信号を生成し第3の誤差信号が最小となるように係数を更新する第3の適応フィルタ5と、第3の誤差信号を入力として第2の擬似音声信号を生成し第4の誤差信号が最小となるように係数を更新する第4の適応フィルタ6と、第3の誤差信号と第2の擬似雑音信号とから第1の信号対雑音相対関係を生成する第1の信号対雑音比推定回路21と、第2の擬似音声信号と第4の誤差信号とから第2の信号対雑音相対関係を生成する第2の信号対雑音比推定回路22と、第1の受音信号と第2の受音信号とから第3の信号対雑音相対関係を生成する第3の信号対雑音比推定回路23と、第3の信号対雑音相対関係に予め定められた遅延時間を与えて遅延信号対雑音相対関係を生成する第3の遅延回路30と、第3の信号対雑音相対関係と遅延信号対雑音相対関係を比較して値の大きい方を拡張信号対雑音相対関係として出力する比較回路29、34と、第3の信号対雑音相対関係を時間平均して平均信号対雑音相対関係を生成する平均回路31と、第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第1のステップサイズ制御回路19と、第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第2のステップサイズ制御回路20と、拡張信号対雑音相対関係及び平均信号対雑音相対関係に基づいて第3の適応フィルタ5のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第3のステップサイズ制御回路35と、同じく拡張信号対雑音相対関係及び平均信号対雑音相対関係に基づいて第4の適応フィルタ6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する第4のステップサイズ制御回路36と、を有する。
【0141】
すなわち図12に示す第8の実施形態の信号処理装置は、図5に示す第1の実施形態の信号処理装置に、比較回路29、34、遅延回路30及び平均回路31を付加し、さらに、ステップサイズ制御回路17、18に代えて、ステップサイズ制御回路35、36を設けたものである。それ以外の点では、図12に示す装置は、図5に示す装置と同様の構成を有する。以下では、比較回路29、34、遅延回路30、平均回路31及びステップサイズ制御回路35、36について説明する。
【0142】
遅延回路30は、信号対雑音比推定回路23で求められた信号対雑音比を一定時間遅延させた後、遅延信号対雑音相対関係すなわち第7の信号対雑音比として、比較回路29と比較回路29、34に供給する。
【0143】
比較回路29は、信号対雑音比推定回路23から供給される第3の信号対雑音比と、遅延回路30から供給される第7の信号対雑音比とを比較して、値が大きい方を選択し、拡張信号対雑音相対関係すなわち第8の信号対雑音比として、ステップサイズ制御回路35に供給する。比較回路29の出力は、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比と比べて、信号対雑音比の高い区間が遅延回路30の与える遅延時間に対応して正の時間方向に拡張された形となっている。このため、比較回路29の出力を信号対雑音比として選択することによって、小さなステップサイズの得られる区間も正の時間方向に拡張され、このため音声区間終了間際により正確な適応フィルタの制御を行うことができる。
【0144】
比較回路34は、信号対雑音比推定回路23から供給される第3の信号対雑音比と、遅延回路30から供給される第7の信号対雑音比とを比較して値が小さい方を選択し、第2の拡張信号対雑音相対関係すなわち第10の信号対雑音比として、ステップサイズ制御回路36に供給する。すなわち、比較回路34の出力は、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比と比べて、信号対雑音比の低い区間が遅延回路30の与える遅延時間に対応して正の時間方向に拡張された形となっている。このため、比較回路34の出力を信号対雑音比として選択することによって、小さなステップサイズの得られる区間も正の時間方向に拡張され、音声区間終了間際に、より正確な適応フィルタの制御を行うことができる。この説明から明らかなように、比較回路34の動作は、比較回路29の動作において第3の信号対雑音比と第7の信号対雑音比の大きい方を選択する代わりに、小さい方を選択して、第10の信号対雑音比としている。したがって、比較回路34を省略し、比較回路29として、第3の信号対雑音比と第7の信号対雑音比の大きい方を第8の信号対雑音比とし、小さい方を第10の信号対雑音比とする機能を有する回路を用いることによっても、上記と同等の効果を得ることができる。
【0145】
平均回路31には、信号対雑音比推定回路23から供給される第3の信号対雑音比SNR3(k)の平均を時刻k−M+1からkまで計算した結果を、第9の信号対雑音比SNR9(k)としてステップサイズ制御回路35、36に供給する。この関係は、式(23)で表すことができる。
【0146】
【数5】

【0147】
ステップサイズ制御回路35は、比較回路29で求められた第8の信号対雑音比SNR8(k)と平均回路31で求められた第9の信号対雑音比SNR9(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ5に供給する。
【0148】
時刻kにおいて、ステップサイズ制御回路35は、SNR8(k)、SNR9(k)を入力としてステップサイズα(k)を計算する。この関係は、式(24a)〜(24c)及び(25)で表すことができる。
【0149】
α(k)=α10max(g(k)<SNR10min) …(24a)
α(k)=g(k)
(SNR10min≦g(k)≦SNR10max) …(24b)
α(k)=α10min
(g(k)>SNR10max) …(24c)
(k)=−A(SNR9(k))・SNR8(k)+B(SNR9(k)) …(25)
ここで、SNR10min、SNR10maxは、SNR10min<SNR10maxを満たす定数、α10min、α10maxは、α10min<α10maxを満たす定数、A(SNR9(k))、B(SNR9(k))はSNR9(k)によって決定されるパラメータである。
【0150】
A(SNR9(k))、B(SNR9(k))は、例えば、次式(26a)〜(26c)、(27a)〜(27c)とすることができる。
【0151】
A(SNR9(k))=A
(SNR9(k)>SNR11max) …(26a)
A(SNR9(k))=A
(SNR11min≦SNR9(k)≦SNR11max) …(26b)
A(SNR9(k))=A
(SNR9(k)<SNR11min) …(26c)
B(SNR9(k))=B
(SNR9(k)>SNR11max) …(27a)
B(SNR9(k))=B
(SNR11min≦SNR9(k)≦SNR11max) …(27b)
B(SNR9(k))=B
(SNR9(k)<SNR11min) …(27c)
ここで、SNR11min、SNR11maxはSNR11min<SNR11maxを満たす定数、A、A、A、B、B、Bは正の定数である。
【0152】
すなわち、式(9a)のf(x)におけるA及びBの値を、SNR3(k)の値に基づいて適切な値に設定する。
【0153】
ステップサイズ制御回路36は、比較回路34で求められた第10の信号対雑音比SNR10(k)と平均回路31で求められた第9の信号対雑音比SNR9(k)に基づいて計算したステップサイズα(k)を、適応フィルタ6に供給する。この関係は、式(28a)〜(28c)、(29)で表すことができる。
【0154】
α(k)=α11min
(g(k)<SNR12min) …(28a)
α(k)=g(k)
(SNR12min≦g(k)≦SNR12max) …(28b)
α(k)=α11max
(g(k)>SNR12max) …(28c)
(k)=C(SNR9(k))・SNR10(k)+D(SNR9(k)) …(29)
ここで、SNR12min、SNR12maxは、SNR12min<SNR12maxを満たす定数、C(SNR9(k))、D(SNR9(k))はSNR9(k)によって決定されるパラメータである。
【0155】
C(SNR9(k))、D(SNR9(k))は、式(26a)〜(27c)のA、A、A、B、B、B、SNR11min、SNR11maxの代わりに、C、C、C、D、D、D、NR13min、SNR13maxを用いて、A(SNR9(k))、B(SNR9(k))と同様に決定できる。ここで、SNR13min、SNR13maxは、SNR13min<SNR13maxを満たす定数、C、C、C、D、D、Dは正の定数である。
【0156】
すなわち、上式(12a)のf(x)における、C及びDの値を、SNR3(k)の値に基づいて適切な値に設定する。
【0157】
以上説明したように、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比の代わりに、信号対雑音比推定回路23で求められた第3の信号対雑音比の拡張値と平均値をステップサイズ制御回路35、36に供給してステップサイズを算出することにより、信号対雑音比が広範囲の値をとる場合でも、最適なステップサイズを算出することが可能となる。
【0158】
また、上記の信号処理装置において、平均回路31を省略し、A(SNR9(k))、B(SNR9(k))、C(SNR9(k))、D(SNR9(k))を定数に置き換えた構成としてもよい。
【0159】
さらに、上記の信号処理装置において、信号対雑音比推定回路21及び信号対雑音比推定回路22の出力に対しても、信号対雑音比の高い区間または低い区間を正の時間方向に拡張した値と平均値をステップサイズ制御回路19及び20に供給し、ステップサイズを算出する構成としてもよい。この場合も、同様に平均回路を省略することが可能である。
【0160】
図12に示した第8の実施形態の信号処理装置の動作原理は、上述した第1の実施形態の信号処理装置と同様のものである。第8の実施形態での処理手順は、具体的には、第1の実施形態での段階(a1)〜(a17)を含み、さらに、
(a18g)第3の信号対雑音相対関係に予め定められた遅延時間を与えて遅延信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a19g)第3の信号対雑音相対関係と遅延信号対雑音相対関係を比較して値の大きい方を拡張信号対雑音相対関係として出力する段階、
(a20g)第3の信号対雑音相対関係を時間平均して平均信号対雑音相対関係を生成する段階、
(a21g)第1の信号対雑音相対関係に基づいて第1の適応フィルタ7のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a22g)第2の信号対雑音相対関係に基づいて第2の適応フィルタ8のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
(a23g)拡張信号対雑音相対関係及び平均信号対雑音相対関係に基づいて第3及び第4の適応フィルタ5、6のフィルタ係数の修正量を決定するステップサイズを出力する段階、
とを有する。
【0161】
以上説明した第1乃至第8の実施形態では、信号対雑音比推定回路21、22、23は、供給される信号成分と雑音成分の電力比を求めるように動作している。しかしながら、信号対雑音比推定回路21、22、23において、電力比に代えて、信号の絶対振幅比を求めるように動作させるようにしてもよいことは、当然のことである。さらに、信号対雑音比推定回路21、22、23において、推定された信号対雑音比の値を補正するために、雑音成分の電力(または絶対振幅)に定数を加算するように構成するようにしてもよい。この補正は、雑音成分の電力(または絶対振幅)が極めてゼロに近い値をとる際に、ゼロによる除算を避け、安定な動作を達成するために有効である。同様に、信号対雑音比推定回路21、22、23において、電力比または絶対振幅比について、分子である信号成分に定数を加算するようにしてもよい。この考え方を拡張して、信号対雑音比を構成すべき分母及び分子に対してそれぞれ特定の演算を施した後に、比をとる構成としてもよい。言い換えれば、信号対雑音比推定回路21、22、23において求めるものは、厳密な意味での信号と雑音の電力または絶対振幅の比である必要はなく、両者の相対関係を表す概念に相当するものであればよい。
【0162】
上述の各実施形態では、本発明の基づく信号処理として、入力音声信号に含まれる雑音消去を例に挙げて説明してきた。しかしながら、参考文献[27]に示されるように、入力端子2に参照信号を、入力端子1に反響信号を供給することにより、上述した各装置は、反響消去にも利用できる。
【0163】
図13は、上述した信号処理装置を用いて音声認識装置を実現した例を示すブロック図である。音声認識装置50は、上述した各実施形態の信号処理装置からなる信号処理回路37と、信号処理回路37の出力信号に対して音声認識を行い、認識結果を出力端子39に出力する音声認識回路38と、を備えている。音声認識回路38の前段に、本発明に基づく信号処理回路37を設けることで、認識対象の音声信号から雑音が除去されるので、より正確な音声認識を行うことができる音声認識装置を実現することができる。
【0164】
さらに、図14に示すように、図13に示す構成において。音声認識回路38の出力を受けて動作制御信号を出力する動作制御回路40と、動作制御信号を入力として所定部材に動作を行わせる駆動部41と、を設けることで、ロボット装置60を実現することが可能である。
【0165】
上記の実施形態によれば、信号対雑音比推定回路により、信号間の相対関係の指標である信号対雑音比を推定し、この推定値を用いて適切に制御されたステップサイズを有する適応フィルタを動作させ、その出力信号に基づいて推定された信号対雑音比を用いて他の適応フィルタのステップサイズを決定することにより、音声入力端子や参照入力端子における広範囲な信号対雑音比の入力信号に対して、収束時間が短く、出力音声における歪の少ない信号処理を実現することができる。
【0166】
本発明の各実施形態においては、信号対雑音比推定回路は、図3に示したように、音声信号の推定値を入力としてその平均値を算出して推定音声信号の平均値を出力する第1の平均回路14と、雑音信号の推定値を入力としてその平均値を算出して推定雑音信号の平均値を出力する第2の平均回路15と、推定音声信号の平均値と推定雑音信号の平均値の比を算出し信号対雑音比を出力する演算回路16と、を有する構成を用いることができる。
【0167】
本発明はさらに別の変形実施形態が可能である。
【0168】
本発明の一実施形態において、第1のステップサイズ制御回路19は、信号対雑音比推定回路21が出力する信号対雑音比を入力として受け、信号対雑音比が大きいときには信号対雑音比が小さい時と比較して小さな値のステップサイズを出力する構成としてもよい。
【0169】
本発明の一実施形態において、第2のステップサイズ制御回路20は、信号対雑音比推定回路22が出力する信号対雑音比を入力として受け、信号対雑音比が小さいときには信号対雑音比が大きい時と比較して小さな値のステップサイズを出力する構成としてもよい。
【0170】
本発明の一実施形態において、第3のステップサイズ制御回路17は、信号対雑音比推定回路23が出力する信号対雑音比を入力として受け、信号対雑音比が大きいときには信号対雑音比が小さい時と比較して小さな値のステップサイズを出力する構成としてもよい。
【0171】
本発明の一実施形態において、第4のステップサイズ制御回路18は、信号対雑音比推定回路23が出力する信号対雑音比を入力として受け、信号対雑音比が小さいときには信号対雑音比が大きい時と比較して小さな値のステップサイズを出力する構成としてもよい。
【0172】
本発明の一実施形態において、第3のステップサイズ制御回路17は、拡張信号対雑音比と平均信号対雑音比を入力として受け、拡張信号対雑音比に対して平均信号対雑音比によって決定される係数を乗じた乗算値に、平均信号対雑音比によって決定される定数を加算した加算値が、予め定められた最大値と最小値の範囲内である時は加算値をステップサイズとして出力し、加算値が最大値よりも大きいときは予め定められた最小ステップサイズをステップサイズとして出力し、加算値が最小値よりも小さいときは予め定められた最大ステップサイズをステップサイズとして出力する構成としてもよい。
【0173】
本発明の一実施形態において、第4のステップサイズ制御回路18は、拡張信号対雑音比と平均信号対雑音比を入力として受け、拡張信号対雑音比に対して平均信号対雑音比によって決定される係数を乗じた乗算値に、平均信号対雑音比によって決定される定数を加算した加算値が、予め定められた最大値と最小値の範囲内である時は加算値をステップサイズとして出力し、加算値が最大値よりも大きいときは予め定められた最大ステップサイズをステップサイズとして出力し、加算値が最小値よりも小さいときは予め定められた最小ステップサイズをステップサイズとして出力する構成としてもよい。
【0174】
以上説明した本発明に基づく信号処理装置は、ソフトウェアによって実現することもできる。すなわち、上述した各実施形態の信号処理装置における各回路の処理動作をソフトウェアにおけるステップまたは手続きとして構成することで、信号処理に用いられるプログラムを構成することができる。そのようなプログラムは、信号処理装置あるいは雑音消去装置を構成するDSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサで実行される。
【0175】
さらには、そのようなプログラムからなるプログラムプロダクトあるいはそのようなプログラムを格納した記憶媒体も、本発明の範疇に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理方法であって、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する段階と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項2】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理方法であって、
前記第1の信号及び前記第2の信号を遅延することによってそれそれ第1の遅延信号及び第2の遅延信号を生成する段階と、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の遅延信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の遅延信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する段階と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項3】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理方法であって、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成し、前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する段階と、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の間引き信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する段階と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項4】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理方法であって、
前記第1の信号及び前記第2の信号を遅延することによってそれそれ第1の遅延信号及び第2の遅延信号を生成する段階と、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成し、前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する段階と、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の遅延信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の遅延信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の間引き信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する段階と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項5】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項6】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項7】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項8】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の信号処理方法。
【請求項9】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係又は前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係のいずれか一方に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係又は前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係のいずれか一方に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項10】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項11】
前記第1のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項12】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係を補正して得られた値に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項13】
前記第1のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係を補正して得られた値に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項14】
前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係を遅延することによって、遅延相対関係信号を生成する段階と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係を平均することによって平均信号を生成する段階と、をさらに有し、
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係と前記第1の遅延信号のうち値の大きい方と前記平均信号とに応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係と前記遅延相対関係信号のうち値の小さい方と前記平均信号とに応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項15】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項16】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項17】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項18】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係又は前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係のいずれか一方に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係又は前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係のいずれか一方に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項19】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項20】
前記第1のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項21】
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係を補正して得られた値に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係に応じて制御される、請求項1または2に記載の信号処理方法。
【請求項22】
前記第1のステップサイズは、前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係を補正して得られた値に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記間引き第2の信号との相対関係に応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項23】
前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係を遅延することによって、遅延相対関係信号を生成する段階と、
前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係を平均することによって平均信号を生成する段階と、をさらに有し、
前記第1のステップサイズは前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第2のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係と前記第1の遅延信号のうち値の大きい方と前記平均信号とに応じて制御され、前記第3のステップサイズは前記第4の擬似信号と前記第4の差信号との相対関係に応じて制御され、前記第4のステップサイズは前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係と前記遅延相対関係信号のうち値の小さい方と前記平均信号とに応じて制御される、請求項3または4に記載の信号処理方法。
【請求項24】
第1の信号と、所望の信号を含む第2の信号とを用いて、前記第1の信号と前記第2の信号との関係を示す第1の指標を計算する段階と、
前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第1の指標とを用いて、前記所望の信号と前記所望の信号以外の信号の関係を示す第2の指標を計算する段階と、
前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第2の指標とを用いて、前記所望の信号を取り出す段階と、
を有する信号処理方法。
【請求項25】
第1の信号と、所望の信号を含む第2の信号とを用いて所望の信号を取り出す方法であって、
前記第1の信号と前記第2の信号の関係を用いて、前記第1の信号と前記第2の信号を入力として動作する第1の信号処理を制御する段階と、
前記第1の信号処理の結果を用いて、前記第1の信号と前記第2の信号を入力として動作する第2の信号処理を制御する段階と、
を有する信号処理方法。
【請求項26】
第1の信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成する段階と、
第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する段階と、
前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成する段階と、
前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する段階と、
前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項27】
第1の信号及び第2の信号を遅延させてそれぞれ第1の遅延信号及び第2の遅延信号を生成する段階と、
前記第1の遅延信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成する段階と、
前記第2の遅延信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する段階と、
前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成する段階と、
前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する段階と、
前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の信号と前記第2の信号との相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項28】
第1の信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成する段階と、
第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する段階と、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成する段階と、
前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する段階と、
前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の間引き信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成する段階と、
前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する段階と、
前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項29】
第1の信号及び第2の信号を遅延させてそれぞれ第1の遅延信号及び第2の遅延信号を生成する段階と、
前記第1の遅延信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成する段階と、
前記第2の遅延信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する段階と、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成する段階と、
前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する段階と、
前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第1の間引き信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成する段階と、
前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する段階と、
前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する段階と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号との相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号との相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御する段階と、
前記第1の差信号を出力する段階と、
を有する、信号処理方法。
【請求項30】
第1の信号と、所望の信号を含む第2の信号とを入力し、前記第1の信号と前記第2の信号の関係を示す第1の指標を計算する第1の計算回路と、
前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第1の指標とを入力し、前記所望の信号と、所望信号以外の信号との関係を示す第2の指標を計算する第2の計算回路と、
前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記第2の指標とを入力し、前記所望の信号を取り出す信号処理回路と、
を有する、信号処理装置。
【請求項31】
第1の信号と、所望の信号を含む第2の信号とを入力し、所望の信号を取り出す信号処理装置であって、
前記第1の信号と前記第2の信号の関係を計算する計算回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号を入力とする第1の信号処理手段と、
前記第1の信号と前記第2の信号を入力とする第2の信号処理手段と、
を備え、
前記計算回路の出力を用いて前記第1の信号処理手段の動作が制御され、前記第1の信号処理手段の出力を用いて前記第2の信号処理手段の動作が制御される、信号処理装置。
【請求項32】
第1の信号を入力として第1の擬似信号を生成する第1の適応フィルタと、
第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する第1の減算器と、
前記第1の信号を入力として第2の擬似信号を生成する第2の適応フィルタと、
前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する第2の減算器と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御手段と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御手段と、
を有し、
前記第1の差信号と前記第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数が更新され、前記第2の差信号と前記第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数が更新され、前記第1の差信号が出力される、信号処理装置。
【請求項33】
第1の信号を入力として第1の擬似信号を生成する第1の適応フィルタと、
第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する第1の減算器と、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成する第1の間引き手段と、
前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する第2の間引き手段と、
前記第1の間引き信号を入力として第2の擬似信号を生成する第2の適応フィルタと、
前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する第2の減算器と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御手段と、
前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係に応じて第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御手段と、
を有し、
前記第1の差信号と前記第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数が更新され、前記第2の差信号と前記第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数が更新され、前記第1の差信号が出力される、信号処理装置。
【請求項34】
前記第1の適応フィルタに入力する前記第1の信号に遅延を与える第1の遅延手段と、
前記第1の減算器に入力する前記第2の信号に遅延を与える第2の遅延手段と、
をさらに有する、請求項32または33に記載の信号処理装置。
【請求項35】
第1の信号と第2の信号と入力する信号処理装置であって、
第1の中間信号を入力として第1の擬似信号を生成する第1の適応フィルタと、
前記第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成する第1の減算器と、
第2の中間信号を入力として第2の擬似信号を生成する第2の適応フィルタと、
前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成する第2の減算器と、
前記第1の差信号を入力として第3の擬似信号を生成する第3の適応フィルタと、
前記第1の信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに供給する第3の減算器と、
前記第2の差信号を入力として第4の擬似信号を生成する第4の適応フィルタと、
前記第1の信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに供給する第4の減算器と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズ、第2のステップサイズ、第3のステップサイズ及び第4のステップサイズを生成するステップサイズ制御手段と、
を有し、
前記第1の差信号と前記第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数が更新され、前記第2の差信号と前記第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数が更新され、前記第3の差信号と前記第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数が更新され、前記第4の差信号と前記第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数が更新され、前記第1の差信号が出力される、信号処理装置。
【請求項36】
前記第3の減算器に入力する前記第1の信号に遅延を与える第1の遅延回路と、
前記第1の減算器に入力する前記第2の信号に遅延を与える第2の遅延回路と、
をさらに有する、請求項35に記載の信号処理装置。
【請求項37】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項38】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項39】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項40】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項41】
前記ステップサイズ制御回路は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記オ第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係又は前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係のいずれか一方に応じて、前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係又は前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係のいずれか一方に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項42】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項43】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項44】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係を補正して得られた値に応じて第3のステップサイズを生成する前記第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項45】
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係を補正して得られた値に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて前記第4のステップサイズを生成する第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項46】
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係を遅延することによって遅延信号を生成する遅延手段と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係を平均することによって平均信号を生成する平均手段と、
をさらに有し、
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係と前記遅延信号のうち値の大きい方と、前記平均信号とに応じて、前記第2のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係と前記遅延信号のうち値の小さい方と前記平均信号に応じて第4のステップサイズを生成する前記第4のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項47】
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係を遅延することによって遅延信号を生成する第1の遅延手段と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係を平均することによって平均信号を生成する平均手段と、
をさらに有し、
前記ステップサイズ制御手段は、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて前記第1のステップサイズを生成する第1のステップサイズ制御回路と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係と前記遅延信号のうち値の大きい方と前記平均信号に応じて前記第2のステップサイズを生成し、前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係と前記遅延信号のうち値の小さい方と前記平均信号に応じて第4のステップサイズを生成する第2のステップサイズ制御回路と、
前記第4の擬似信号と前記第4の差信号の相対関係に応じて前記第3のステップサイズを生成する第3のステップサイズ制御回路と、
を有する、請求項35または36に記載の信号処理装置。
【請求項48】
前記第4の減算器に入力する前記第1の信号を間引く第1の間引き手段と、
前記第2の減算器に入力する前記第2の信号を間引く第2の間引き手段と、
をさらに有する、請求項35、36、40のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項49】
前記第4の減算器に入力する前記第1の信号を間引く第1の間引き手段と、
前記第2の減算器に入力する前記第2の信号を間引く第2の間引き手段と、
をさらに有し、前記第1の信号と前記第2の信号の前記相対関係として、間引かれた後の前記第1の信号と間引かれた後の前記第2の信号との相対関係を用いる、請求項37、38、39、41、42、43、44、45、46、47のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項50】
前記第1の信号が音声入力端子から入力された第1の受音信号であり、
前記第2の信号が参照入力端子から入力された第2の受音信号であり、
前記第1の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、前記第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が多いと判断したときは、前記第1のステップサイズ制御手段は、前記第1の適応フィルタには大きなステップサイズを供給して収束を速め、前記第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が少ないと判断したときは、前記第1の適応フィルタには小さなステップサイズを供給し、
前記第2の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、前記第2の受音信号において雑音信号に比べ音声信号が多いと判断したときは、前記第2のステップサイズ制御手段は、前記第2の適応フィルタには大きなステップサイズを供給して収束を速め、雑音信号に比べ音声信号が少ないと判断したときは、前記第2の適応フィルタには小さなステップサイズを供給し、雑音の消去を行う、請求項32乃至34のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項51】
前記第1の信号が音声入力端子から入力された第1の受音信号であり、
前記第2の信号が参照入力端子から入力された第2の受音信号であり、
前記第1の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、前記第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が多いと判断したときは、前記第1のステップサイズ制御回路は、前記第1の適応フィルタには大きなステップサイズを供給して収束を速め、前記第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が少ないと判断したときは、前記第1の適応フィルタには小さなステップサイズを供給し、
前記第2の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、前記第2の受音信号において雑音信号に比べ音声信号が多いと判断したときは、前記第2のステップサイズ制御回路は、前記第2の適応フィルタには大きなステップサイズを供給して収束を速め、雑音信号に比べ音声信号が少ないと判断したときは、前記第2の適応フィルタには小さなステップサイズを供給し、
前記第1の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、前記第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が多いと判断したときは、前記第3のステップサイズ制御回路は、前記第3の適応フィルタには大きなステップサイズを供給して収束を速め、前記第1の受音信号において音声信号に比べ雑音信号が少ないと判断したときは、前記第3の適応フィルタには小さなステップサイズを供給し、
前記第2の受音信号における信号対雑音相対関係に基づき、前記第2の受音信号において雑音信号に比べ音声信号が多いと判断したときは、前記第4のステップサイズ制御回路は、前記第4の適応フィルタには大きなステップサイズを供給して収束を速め、雑音信号に比べ音声信号が少ないと判断したときは、前記第4の適応フィルタには小さなステップサイズを供給し、雑音の消去を行う、
請求項35乃至49のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項52】
前記第1の信号が第1の入力端子から入力された反響信号であり、
前記第2の信号が第2の入力端子から入力された参照信号であり、
反響を消去した信号が出力される、請求項32乃至49のいずれか1項に記載の信号処理装置。
【請求項53】
信号処理装置を構成するコンピュータに、
第1の信号と所望の信号を含む第2の信号を用いて前記第1の信号と前記第2の信号の関係を示す第1の指標を計算する処理と、
前記第1の信号と前記第2の信号と前記第1の指標を用いて前記所望の信号と所望信号以外の信号の関係を示す第2の指標を計算する処理と、
前記第1の信号と前記第2の信号と前記第2の指標を用いて前記所望の信号を取り出す処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項54】
第1の信号と所望の信号を含む第2の信号を用いて所望の信号を取り出す信号処理装置を構成するコンピュータに、
前記第1の信号と前記第2の信号の関係を用いて、前記第1の信号と前記第2の信号を入力として動作する第1の信号処理を制御する処理と、
前記第1の信号処理結果を用いて、前記第1の信号と前記第2の信号を入力として動作する第2の信号処理を制御する処理と
を実行させるプログラム。
【請求項55】
信号処理装置を構成するコンピュータに、
第1の信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第1の信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の信号と前記第2の信号の相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の差信号を出力する処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項56】
信号処理装置を構成するコンピュータに、
第1の信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成する処理と、
前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する処理と、
前記第1の間引き信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第2の擬似信号と前記第2の差信号の相対関係に応じて制御される第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の間引き信号と前記第2の間引き信号の相対関係に応じて制御される第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の差信号を出力する処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項57】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理装置を構成するコンピュータに、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する処理と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する処理と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の差信号を出力する処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項58】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理装置を構成するコンピュータに、
前記第1の信号及び前記第2の信号を遅延することによってそれそれ第1の遅延信号及び第2の遅延信号を生成する処理と、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の遅延信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する処理と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の遅延信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する処理と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の差信号を出力する処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項59】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理装置を構成するコンピュータに、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成し、前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する処理と、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する処理と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の間引き信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する処理と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の差信号を出力する処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項60】
第1の信号と第2の信号とを入力とする信号処理装置を構成するコンピュータに、
前記第1の信号及び前記第2の信号を遅延することによってそれそれ第1の遅延信号及び第2の遅延信号を生成する処理と、
前記第1の信号を間引くことによって第1の間引き信号を生成し、前記第2の信号を間引くことによって第2の間引き信号を生成する処理と、
第1の中間信号を入力とする第1の適応フィルタによって第1の擬似信号を生成し、前記第2の遅延信号から前記第1の擬似信号を差し引くことによって第1の差信号を生成し、前記第1の差信号を用いて前記第1の適応フィルタの係数を更新する処理と、
第2の中間信号を入力とする第2の適応フィルタによって第2の擬似信号を生成し、前記第2の間引き信号から前記第2の擬似信号を差し引くことによって第2の差信号を生成し、前記第2の差信号を用いて前記第2の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第1の差信号を入力とする第3の適応フィルタによって第3の擬似信号を生成し、前記第1の遅延信号から前記第3の擬似信号を差し引くことによって第3の差信号を生成し、前記第3の差信号を前記第1の中間信号として前記第1の適応フィルタに入力し、前記第3の差信号を用いて前記第3の適応フィルタの係数を更新する処理と、
前記第2の差信号を入力とする第4の適応フィルタによって第4の擬似信号を生成し、前記第1の間引き信号から前記第4の擬似信号を差し引くことによって第4の差信号を生成し、前記第4の差信号を前記第2の中間信号として前記第2の適応フィルタに入力し、前記第4の差信号を用いて前記第4の適応フィルタの係数を更新する処理と、
信号間の相対関係に基づいて、第1のステップサイズを用いて前記第1の適応フィルタの係数更新を制御し、第2のステップサイズを用いて前記第2の適応フィルタの係数更新を制御し、第3のステップサイズを用いて前記第3の適応フィルタの係数更新を制御し、第4のステップサイズを用いて前記第4の適応フィルタの係数更新を制御する処理と、
前記第1の差信号を出力する処理と、
を実行させる、プログラム。
【請求項61】
請求項32乃至49のいずれか1項に記載の信号処理装置と、
前記信号処理装置から出力される信号の音声認識を行い、音声認識結果を出力する音声認識手段と、
を有する音声認識装置。
【請求項62】
ロボットの所定部材の動作を行う駆動手段と、
前記駆動手段を制御する動作制御手段と、
請求項61記載の音声認識装置と、
を備え、
前記動作制御手段は、前記音声認識装置からの音声認識結果を入力とし、前記音声認識結果に基づき、前記駆動手段を制御する、ロボット装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【国際公開番号】WO2005/024787
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【発行日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−513634(P2005−513634)
【国際出願番号】PCT/JP2004/012543
【国際出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】