説明

健康状態管理システム、健康状態管理方法、保険料算定システム及び消耗部材供給システム

【課題】被検体の認証情報を取得した時点で、略同時的に被検体の生体情報を取得することができ、被検体の健康状態を客観的に数値化することができる健康状態管理システム、健康状態管理方法、保険料算定システム及び消耗部材供給システムを提供する。
【解決手段】被検体の生体情報を検出し、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得し、生体情報及び認証情報を中央装置へ送信する端末装置と、該端末装置とデータ通信可能に接続されており、生体情報及び認証情報を受信する中央装置とを備える。認証情報取得手段は、検出手段による生体情報の検出時に認証情報を取得する。中央装置は、被検体の認証情報を記憶し、受信した認証情報が、記憶手段に記憶してある認証情報に含まれる場合、受信した生体情報を認証情報に対応付けて記憶手段に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置に備えた検出素子により被検体の生体情報を検出する時点で、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を略同時的に取得することができ、被検体の成りすましを予防しつつ、被検体の健康状態を数値化して管理することができる健康状態管理システム、健康状態管理方法、保険料算定システム及び消耗部材供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者の血糖値等の生体情報は、患者の日常生活により大きく変動する。したがって、病院への入院時、通院時に確認するだけでなく、家庭においても定期的に情報を収集することが必要となる。また、収集された情報は、患者等のプライバシーに係る情報であり、厳重な保護が要求されるとともに、成りすましによる収集情報の改竄を防止する必要性が高い。
【0003】
例えば病院で健康診断を行う場合、各患者はカルテを携帯し、又はリストバンドを装着して各検査室を回って検査を受けることが多い。したがって、故意または過失により、患者が他人のカルテを携帯すること、又は他人のリストバンドを装着することも考えられ、このような場合、誤った測定結果を得ることになり、健康診断結果の正当性が損なわれ、誤った薬剤の処方等により、場合によっては生命が危機にさらされるおそれもあった。
【0004】
斯かる問題を解決すべく、例えば特許文献1及び2では、患者の身体的特徴を測定して当該測定結果を示す認証情報を出力する認証センサ部と、患者の健康状態を測定して当該測定結果を示す生体情報を出力する生体センサ部とを備える生体検査システムが開示されている。特許文献1及び2の生体検査システムは、認証センサ部から出力された認証情報に基づいて患者を識別し、生体センサ部から出力された生体情報を患者の検査結果として記録することにより、測定結果の成りすましを防止するものである。
【特許文献1】特開2003−235829号公報
【特許文献2】特開2005−011187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1及び2の生体検査システムは、認証センサ部により患者の認証情報を取得した後に直ちに生体センサ部により患者の生体情報を取得する必要がある。しかし、実際には認証センサ部と生体センサ部とが物理的に別個のセンサであることから、患者の認証情報を取得した後、生体情報を取得するまでには、センサを切り換える、センサのオンオフスイッチを操作する、センサ間を移動する等の工程が介在しており、例えば複数人で成りすましを図る場合には、容易に他人に成りすますことが可能であるという問題点があった。
【0006】
また、検出される生体情報の本人認証の精度が高く維持される場合には、検出された生体情報を適切な指標値に変換することにより、患者の健康状態を正しく客観的に評価することが可能となる。
【0007】
さらに、検出される生体情報の本人認証の精度が高く維持されることを前提として、例えば保険料算定の基準として用いたり、消耗部材を用いる場合には、消耗部材の補給量、補給時期等を正確に特定することができる。
【0008】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、被検体の認証情報を取得した時点で、略同時的に被検体の生体情報を取得することができ、被検体の健康状態を客観的に数値化して管理することができる健康状態管理システム、及び健康状態管理方法を提供することを目的とする。
【0009】
さらに本発明は、生体情報に基いて精度良く保険料を算定することができ、また精度良く消耗部材の補給量及び補給時期を算出することができる保険料算定システム及び消耗部材供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1発明に係る健康状態管理システムは、被検体の生体情報を検出する検出手段、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得する認証情報取得手段、並びに前記生体情報及び前記認証情報を中央装置へ送信する送信手段を有する端末装置と、該端末装置とデータ通信可能に接続されており、前記生体情報及び前記認証情報を受信する受信手段を有する中央装置とを備え、被検体の健康状態を数値化して管理する健康状態管理システムであって、前記認証情報取得手段は、前記検出手段による前記生体情報の検出時に前記認証情報を取得するようにしてあり、前記中央装置は、被検体の認証情報を記憶する記憶手段と、受信した前記認証情報が、前記記憶手段に記憶してある認証情報に含まれるか否かを判断する手段と、該手段で含まれると判断した場合、受信した前記生体情報を前記認証情報に対応付けて前記記憶手段に記憶する手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
第2発明に係る健康状態管理システムは、第1発明において、前記記憶手段に被検体ごとの生体情報を経時的に記憶しておき、一定期間内の生体情報の変動量を算出する手段を備えることを特徴とする。
【0012】
第3発明に係る健康状態管理システムは、第1又は第2発明において、前記中央装置は、記憶した生体情報に基づいて健康の度合を数値化する手段を備えることを特徴とする。
【0013】
第4発明に係る健康状態管理システムは、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、前記検出手段は、生体情報を検出する回数に応じて消耗する消耗部材を使用しており、前記中央装置は、被検体ごとの生体情報の受信回数を計数する手段と、該手段で計数した受信回数が所定値を超えたか否かを判断する手段と、該手段で所定値を超えたと判断した場合、前記消耗部材の補給量及び補給時期を算出する手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
第5発明に係る健康状態管理システムは、第1乃至第4発明のいずれか1つにおいて、前記検出手段は、被検体の血液に基づいて検出することが可能な情報を検出するようにしてあることを特徴とする。
【0015】
第6発明に係る健康状態管理方法は、被検体の生体情報を検出し、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得し、前記生体情報及び前記認証情報を集約し、被検体の健康状態を数値化して管理するコンピュータを用いる健康状態管理方法であって、前記生体情報の検出時に前記認証情報を取得し、前記コンピュータは、被検体の認証情報を記憶し、受信した前記認証情報が、記憶してある認証情報に含まれるか否かを判断し、記憶してある認証情報に含まれると判断した場合、受信した前記生体情報を前記認証情報に対応付けて記憶することを特徴とする。
【0016】
第7発明に係る保険料算定システムは、第3発明で数値化された健康の度合及び生体情報をキー情報として、健康状態の区分を算出する手段と、算出された健康状態の区分に基づいて保険料を算出する手段とを備えることを特徴とする。
【0017】
第8発明に係る消耗部材供給システムは、第4発明で用いられる消耗部材の補給量及び補給時期を算出する手段を備えることを特徴とする。
【0018】
第1発明又は第6発明では、端末装置にて被検体の生体情報を検出し、生体情報の検出時に、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得し、生体情報及び認証情報を中央装置へ送信する。中央装置は、被検体の認証情報を記憶手段へ記憶しておき、受信した認証情報に基づいて、記憶手段に記憶してある認証情報に含まれるか否かを判断する。記憶してある認証情報に含まれると判断した場合、受信した生体情報を認証情報に対応付けて記憶手段へ記憶する。これにより、被検体の認証情報を取得した時点で、略同時的に被検体の生体情報を取得することができ、取得した生体情報が正しい生体情報であることを担保することができ、例えば家庭等に設置した端末装置で検出する場合であっても、被検体の成りすましを防止することができる。また、被検体の生体情報が正しい生体情報であることを保証することができ、被検体の健康状態を記憶しておくことにより、被検体の健康状態を正確に管理することが可能となる。
【0019】
第2発明では、記憶手段に被検体ごとの生体情報を経時的に記憶しておき、一定期間内の生体情報の変動量を算出する。これにより、被検体の健康状態が改善されているのか悪化されているのかを、変動量に基づいて判断することが可能となる。
【0020】
第3発明では、中央装置は、記憶した生体情報に基づいて健康の度合を数値化する手段を備えている。これにより、被検体の健康状態を示す指標値を容易に算出することができ、客観的評価に利用することが可能となる。
【0021】
第4発明では、端末装置にて、生体情報を検出する回数に応じて消耗する消耗部材を使用している。そして中央装置は、被検体ごとの生体情報の受信回数を計数し、計数した受信回数が所定値を超えた場合、消耗部材の補給量及び補給時期を算出する。これにより、生体情報を検出する素材に消耗部材を用いている場合であっても、効果的に消耗部材を交換することができ、消耗部材の消耗により生体情報を検出することができない事態の発生を未然に防止することが可能となる。
【0022】
第5発明では、生体情報として、血液に基づいて検出することが可能な情報を用いている。これにより、血液を採取する時点で取得することが可能な認証情報を用いることができ、被検体の成りすましを防止することが可能となる。
【0023】
第7発明では、数値化された健康の度合及び生体情報をキー情報として、健康状態の区分を算出し、算出された健康状態の区分に基づいて保険料を算出する。また、第8発明では、消耗部材の補給量及び補給時期を算出する。これにより、健康状態を数値により客観的に判断し、該判断結果に基づいて適正な保険料を算出することができ、消耗部材の在庫切れ等を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
第1発明又は第6発明によれば、被検体の認証情報を取得した時点で、略同時的に被検体の生体情報を取得することができ、取得した生体情報が正しい生体情報であることを担保することができ、例えば家庭等に設置した端末装置で検出する場合であっても、被検体の成りすましを防止することができる。また、被検体の生体情報が正しい生体情報であることを保証することができ、被検体の健康状態を記憶しておくことにより、被検体の健康状態を正確に管理することが可能となる。
【0025】
第2発明によれば、被検体の健康状態が改善されているのか悪化されているのかを、変動量に基づいて判断することが可能となる。
【0026】
第3発明によれば、被検体の健康状態を示す指標値を容易に算出することができ、客観的評価に利用することが可能となる。
【0027】
第4発明によれば、生体情報を検出する素材に消耗部材を用いている場合であっても、効果的に消耗部材を交換することができ、消耗部材の消耗により生体情報を検出することができない事態の発生を未然に防止することが可能となる。
【0028】
第5発明によれば、血液を採取する時点で取得することが可能な認証情報を用いることができ、被検体の成りすましを防止することが可能となる。
【0029】
第7発明又は第8発明によれば、健康状態を数値により客観的に判断し、該判断結果に基づいて適正な保険料を算出することができ、消耗部材の在庫切れ等を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る健康状態数値化システムの構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る健康状態数値化システムは、一般家庭で日常生活を営む患者(被検体)が使用する端末装置1と、端末装置1との間でデータ送受信可能な中央装置2とで構成されている。端末装置1は、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得する認証情報取得部(認証情報取得手段)11、被検体の生体情報を検出する生体情報検出部(検出手段)12、及び中央装置2とのデータ通信を行う通信部13を備えている。
【0031】
認証情報取得部11は、被検体の身体的特徴を測定し、測定結果を認証情報として出力する。認証情報は、いわゆるバイオメトリクス認証に用いられる情報を意味しており、例えば被検体の指紋パターン、掌紋パターン、静脈パターン、虹彩パターン、網膜パターン等の情報である。生体情報検出部12は、被検体の生体情報に基づいて所定の物理量を測定し、測定結果を生体情報として出力する。
【0032】
認証情報取得部11及び生体情報検出部12は、被検体の同一部位を測定することが好ましい。例えば、認証情報取得部11にて被検体の指紋を画像データとして取得し、生体情報検出部12にて被検体の該指から血液を採取して血液の血糖値を取得する等、略同時的に認証情報の取得と生体情報の検出とを行うことにより、被検体の成りすましを防止することができる。
【0033】
中央装置2は、少なくともCPU21、ROM22、RAM23、通信部24、記憶部(記憶手段)25を備えている。なお、1基の中央装置2に対して複数個又は複数種類の端末装置1を接続しても良い。端末装置1の通信部13と中央装置2の通信部24とは、相互間で情報を送受信することができ、無線通信により情報を送受信することがより好ましい。
【0034】
CPU21は、内部バス26を介して本実施の形態に係る健康状態数値化システムの中央装置2の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部を制御するとともに、ROM22又は記憶手段25に記録されている処理プログラム、例えば認証情報を受け付け、登録されている認証情報と一致するか判断するプログラム、生体情報を受け付け、認証情報が正しいと判断した場合に認証情報と対応付けて記憶するプログラム、生体情報に基づいて健康の度合を数値化するプログラム等に従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。
【0035】
ROM22は、SRAM、DRAM等で構成され、上述したソフトウェア的機能を実行するプログラムを記憶する。RAM23は、DRAM、フラッシュメモリ等で構成され、上述したソフトウェアの実行時に発生する一時的なデータを記録する。
【0036】
記憶部25は、内蔵される固定型記録装置(ハードディスク)等で構成され、通信部24を介した外部のコンピュータ、又はDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体(図示せず)から取得した、中央装置2として機能させるために必要な処理プログラムを記録している。また、記憶部25は、受信した認証情報と照合すべき認証情報、例えば被検体である患者を識別する情報に対応付けて指紋情報を記憶してある認証情報記憶部251、及び受信した生体情報を認証情報又は被検体を識別する情報と対応付けて記憶する生体情報記憶部252とを備えている。
【0037】
本実施の形態に係る健康状態数値化システムの動作、又は本実施の形態に係る健康状態数値化方法は以下のとおりである。以下、本実施の形態では、被検体を一般家庭で日常生活を営む患者とし、端末装置1の認証情報取得部11が、患者の指紋を画像データとして取得する指紋センサであり、生体情報検出部12が、患者の血液中の血糖値を検出する血糖値センサである場合を想定して説明する。中央装置2は病院に設置されていても、コンピュータセンタに設置されていても良く、端末装置1と中央装置2とは、例えばインターネットのようなネットワーク網で接続されていても良いし、無線でデータ通信可能となっていても良い。
【0038】
被検体である患者は、測定部位である指を端末装置1の所定位置に置く。端末装置1の認証情報取得部11は、該患者の指紋の画像データを撮像する。認証情報所得部11で取得された画像データは、通信部13を介して中央装置2へ送信される。
【0039】
図2は、本発明の実施の形態に係る健康状態数値化システムの端末装置1の構成を示すブロック図である。図2に示す端末装置1は、認証情報取得部11として、患者の指紋を検出するスィープ( Sweep)型指紋センサ111を備え、生態情報検出部12として、穿刺針121、駆動部122、血糖値センサ用チップ123及び電流計測部124を備えている。
【0040】
端末装置1は、血液中の血糖値を測定する種々の方式の中でも、穿刺針121を患者の指先に突き刺すことにより患者の指先から採取する微量の血液を血糖値センサ用チップ123で受け、血糖値を測定する。具体的には、血糖値センサ用チップ123において酵素によるグルコース酸化反応が発生し、酸化還元により生じる電流値を測定することにより、患者の血糖値を測定する。
【0041】
患者が指を端末装置1の挿入孔101に挿入した場合、挿入途中に設けられた指紋センサ111により、患者の指紋が読み取られる(図2(a)参照)。指紋センサ111は、光学式のセンサであっても良いし、静電容量式のセンサであっても良く、また2次元検出が可能な面タイプのセンサ、スィープ(Sweep)タイプのセンサであっても良い。スィープタイプの指紋センサは、小型であり広い面積の指紋の画像データを取得することができることから好適である。また、指紋センサ111と穿刺針121との前後位置を近接させることにより、認証情報である指紋の画像データと、生体情報である血糖値とを、略同時的に取得することも可能であり、より第三者による成りすましを防止することができる。
【0042】
指紋センサ111により読み取られた指紋の画像データ、又は画像の特徴点情報は、認証情報として中央装置2へ送信される。中央装置2で管理対象者であると認証された場合、中央装置2から患者ごとの測定条件に関する情報を受信する。なお、認証に成功した旨は、端末装置1のLEDランプ等の点灯により表示されることが好ましい。端末装置1は、受信した患者ごとの測定条件に関する情報に基づいて生体情報検出部12が動作する。
【0043】
患者ごとの測定条件に関する情報を受信した生体情報検出部12は、酵素が塗布された血糖値センサ用チップ123が、端末装置1の挿入孔101の内部であって患者の指の下方に設置される。その後、下方から血糖値センサ用チップ123の貫通孔を通って導入された穿刺針121が上昇することにより、患者の指へ突き刺さり、微量の血液が採取される(図2(b)参照)。
【0044】
採取された血液は、血糖値センサ用チップ123のキャビティの内部に格納され、電流計測部124により電圧が加えられて電流が測定される。測定された電流値により血糖値を推定することができる。なお、穿刺針121及び血糖値センサ用チップ123は、感染症への感染防止等の患者の安全の観点から、1回測定する都度廃棄することが望ましい。
【0045】
穿刺針121は、穿刺深度を調整することが可能となっている。すなわち、中央装置2から受信した測定条件に関する情報に基づいて、駆動部122の動作が制御され、穿刺針121の穿刺深度を調整する。これにより、採取血液量が適正になるよう制御することができ、患者に適切な測定条件で血糖値を測定することが可能となる。測定結果である血糖値データ(生体情報)は、中央装置2へ送信され、患者の識別情報及び認証情報と対応付けられて、記憶部25の生体情報記憶部252へ記憶される。
【0046】
図3は、本発明の実施の形態に係る健康状態数値化システムの中央装置2のCPU21の処理手順を示すフローチャートである。中央装置2のCPU21は、通信部24を介して指紋の画像データを受信する(ステップS301)。CPU21は、受信した指紋の画像データを、記憶部25の認証情報記憶部251に事前に記憶してある指紋の画像データと照合する。CPU21は、受信した指紋の画像データと合致する画像データが認証情報記憶部251に記憶されているか否かを判断する(ステップS302)。
【0047】
合致する画像データの有無を判定する方法は、特に限定されるものではない。例えば、記憶してある指紋の画像データすべてについて、受信した指紋の画像データとのパターンマッチング処理を行い、相関値を算出し、算出した相関値が所定値より大きい画像データが有るか否かに応じて合致する画像データの有無を判断すれば良い。
【0048】
CPU21が、受信した指紋の画像データと合致する画像データが認証情報記憶部251に記憶されていないと判断した場合(ステップS302:NO)、CPU21は、指を端末装置1の所定位置においた患者は、中央装置2で管理する対象の患者ではないと判断し、所定の処理、例えば該画像データの送信元である端末装置1を使用不可にする等の処理を行った後、処理を終了する。CPU21が、受信した指紋の画像データと合致する画像データが認証情報記憶部251に記憶されていると判断した場合(ステップS302:YES)、CPU21は、指を端末装置1の所定位置においた患者は、中央装置2で管理する対象の患者本人であると判断し、端末装置1に対して測定条件に関する情報を生体情報の送信要求とともに送信する(ステップS303)。
【0049】
中央装置2から生体情報の送信要求を受信した端末装置1は、同時に受信した測定条件に関する情報から、穿刺針121の上昇指示を抽出し、駆動部122の動作を制御する。穿刺針121が上昇することにより、患者の指へ突き刺さり、微量の血液が採取される。
【0050】
採取された血液は、血糖値センサ用チップ123のキャビティの内部に格納され、電流計測部124により電圧が加えられて電流が測定される。測定された電流値が生体情報として中央装置2へ送信される。
【0051】
CPU21は、電流値を生体情報として受信し(ステップS304)、認証情報である指紋の画像データ、及び合致した画像データに対応する患者の識別情報とともに、記憶部25の生体情報記憶部252へ記憶される(ステップS305)。CPU21は、記憶されている電流値に基づいて、健康状態を示す指標値を算出する(ステップS306)。
【0052】
図4は、生体情報記憶部252へ記憶されるデータ構成の例示図である。図4に示すように、受信した画像データと合致していると判断された画像データに対応する患者の患者ID、受信した指紋の画像データのファイル名、及び生体情報として受信した電流値が記憶される。
【0053】
以下、生命保険等の業務における保険料算出処理を例に挙げて、健康状態を示す指標値の活用例について説明する。まず、電流値と血糖値との対応関係を示すテーブルを記憶部25に記憶しておき、CPU21は、記憶された電流値から対応する血糖値Pを算出する。
【0054】
図5は、電流値−血糖値テーブルの例示図である。受信した電流値を変換する血糖値がサンプリング間隔で記憶されており、CPU21は、サンプリング電流値間を線形補間することにより、任意の電流値に対する血糖値を算出している。
【0055】
CPU21は、血糖値Pの高さに応じて安全度Sを算出する。すなわち安全度S=f(P)で求めることになる。算出関数fは、安全度の評価対象によって定まる関数であり、心臓病、糖尿病、等の疾病の相違により異なる。
【0056】
CPU21は、算出した安全度Sを時系列的に記憶部25に記憶し、所定の条件を具備しているか否かを判断する。所定の条件とは、時系列的に記憶してある安全度Sの単位時間当たりの劣化度合が所定値より大きいか否か、安全度Sが所定の限界値より下がったか否か等である。
【0057】
前者の条件の場合、安全度Sについて判断しても良いし、受信した電流値を生体情報記憶部252に時系列的に記憶しておき、電流値の単位時間当たりの変動量に応じて判断しても良い。すなわち生体情報自体を時系列的に記憶しておき、単位時間当たりの生体情報の変動量を用いて健康の度合を評価しても良い。
【0058】
CPU21が、算出した安全度Sが、所定の条件を具備していると判断した場合には、現状の日常生活を維持すれば良いものと判断することができ、健康状態が良好であることを示すメッセージを端末装置1へ送信する。端末装置1では、例えば健康状態が良好であることを示すメッセージを液晶画面に表示する、緑色のLEDを点灯させる等を行うことにより、患者が自らの健康状態を視覚的に把握することができる。また、条件によっては、健康状態が大きく改善されたものと判断することもでき、例えば翌月からの保険料を割り引いて算出する等のサービスを提供することも可能となる。
【0059】
CPU21が、算出した安全度Sが、所定の条件を具備していないと判断した場合には、現状の日常生活を改善する必要があるものと判断することができ、健康状態が劣化していることを示すメッセージを端末装置1へ送信する。端末装置1では、例えば健康状態が劣化していることを示すメッセージを液晶画面に表示する、赤色のLEDを点灯させる等を行うことにより、患者が自らの健康状態の悪化を視覚的に把握することができる。また、条件によっては、健康状態が大きく悪化したものと判断することもでき、例えば翌月からの保険料を割り増して算出する等により保険会社の保険料収支の適正化を図ることも可能となる。
【0060】
上述の保険料算定システムとして、例えば上述した健康状態管理システムで数値化された健康状態及び生体情報をキー情報として、健康状態の区分をAからEランクまで段階的に算出するランクテーブルを記憶手段25に記憶しておき、健康状態の区分に応じて保険料を算出しても良い。これにより健康状態が数値化されることにより客観的な評価をすることができ、より適正な保険料を算出することが可能となる。
【0061】
なお、上述した実施の形態では、認証情報として患者の指紋の画像データを用い、生体情報として血糖値を用いる場合について説明しているが、認証情報及び生体情報の組み合わせはこれらに限定されるものではない。例えばスコープを覗き込んだ時点で、認証情報として虹彩パターンを、生体情報として網膜間距離等を取得する等、認証情報と生体情報とを略同時的に取得することが可能な組み合わせであれば何でも良い。
【0062】
また、被検体として人間の患者を想定した場合について説明しているが、生体情報を検出することができれば足りることから、犬、猫等の動物についても適用可能であることは言うまでも無い。
【0063】
さらに、上述した血糖値を検出する生体情報検出部12のように、生体情報検出部12は、1回使用したら廃棄する消耗部材(穿刺針121及び血糖値センサ用チップ123)を用いることに限定されるものではなく、消耗部材を用いなくても良い。また、消耗部材を用いる場合であっても、1回の使用で廃棄するもの(使い捨て)に限定されるものではなく、所定の回数だけ使用するものであっても良い。
【0064】
生体情報検出部12が、所定の回数だけ使用可能な消耗部材を用いている場合、中央装置2で消耗部材の交換量及び交換時期を端末装置1へ通知するようにした消耗部材供給システムとして機能させることも可能である。例えば中央装置2のCPU21は、被検体ごとの生体情報の受信回数を計数しておき、計数した受信回数が所定の回数を超えたか否かを判断する。CPU21が、受信回数が所定の回数を超えたと判断した場合、CPU21は、消耗部材の交換量及び交換時期を算出する。もちろん、補充することが可能な消耗部材である場合には、消耗部材の補給量及び補給時期を算出しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態に係る健康状態数値化システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る健康状態数値化システムの端末装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る健康状態数値化システムの中央装置のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】生体情報記憶部へ記憶されるデータ構成の例示図である。
【図5】電流値−血糖値テーブルの例示図である。
【符号の説明】
【0066】
1 端末装置
2 中央装置
11 認証情報取得部
12 生体情報検出部
13、24 通信部
21 CPU
22 ROM
23 RAM
25 記憶部
251 認証情報記憶部
252 生体情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の生体情報を検出する検出手段、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得する認証情報取得手段、並びに前記生体情報及び前記認証情報を中央装置へ送信する送信手段を有する端末装置と、
該端末装置とデータ通信可能に接続されており、前記生体情報及び前記認証情報を受信する受信手段を有する中央装置と
を備え、被検体の健康状態を数値化して管理する健康状態管理システムであって、
前記認証情報取得手段は、前記検出手段による前記生体情報の検出時に前記認証情報を取得するようにしてあり、
前記中央装置は、
被検体の認証情報を記憶する記憶手段と、
受信した前記認証情報が、前記記憶手段に記憶してある認証情報に含まれるか否かを判断する手段と、
該手段で含まれると判断した場合、受信した前記生体情報を前記認証情報に対応付けて前記記憶手段に記憶する手段と
を備えることを特徴とする被検体の健康状態管理システム。
【請求項2】
前記記憶手段に被検体ごとの生体情報を経時的に記憶しておき、
一定期間内の生体情報の変動量を算出する手段を備えることを特徴とする請求項1記載の健康状態管理システム。
【請求項3】
前記中央装置は、
記憶した生体情報に基づいて健康の度合を数値化する手段
を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の健康状態管理システム。
【請求項4】
前記検出手段は、生体情報を検出する回数に応じて消耗する消耗部材を使用しており、
前記中央装置は、
被検体ごとの生体情報の受信回数を計数する手段と、
該手段で計数した受信回数が所定値を超えたか否かを判断する手段と、
該手段で所定値を超えたと判断した場合、前記消耗部材の補給量及び補給時期を算出する手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の健康状態管理システム。
【請求項5】
前記検出手段は、被検体の血液に基づいて検出することが可能な情報を検出するようにしてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の健康状態管理システム。
【請求項6】
被検体の生体情報を検出し、被検体の身体的特徴に基づく認証情報を取得し、前記生体情報及び前記認証情報を集約し、被検体の健康状態を数値化して管理するコンピュータを用いる健康状態管理方法であって、
前記生体情報の検出時に前記認証情報を取得し、
前記コンピュータは、
被検体の認証情報を記憶し、
受信した前記認証情報が、記憶してある認証情報に含まれるか否かを判断し、
記憶してある認証情報に含まれると判断した場合、受信した前記生体情報を前記認証情報に対応付けて記憶することを特徴とする被検体の健康状態管理方法。
【請求項7】
請求項3記載の健康状態管理システムで数値化された健康の度合及び生体情報をキー情報として、健康状態の区分を算出する手段と、
算出された健康状態の区分に基づいて保険料を算出する手段と
を備えることを特徴とする保険料算定システム。
【請求項8】
請求項4記載の健康状態管理システムで用いられる消耗部材の補給量及び補給時期を算出する手段を備えることを特徴とする消耗部材供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−193447(P2007−193447A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9117(P2006−9117)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】