説明

側面設置型力覚提示インターフェイス

【課題】
操作空間が広く、人間の指へそれぞれ3次元の力覚及び仮想物体の重量感を提示でき、さらに、圧迫感や装置の重量感を与えることがなく、安全で、小さな仮想物体を扱うことが可能な側面設置型力覚提示インターフェイスを提供する。
【解決手段】
力覚提示インターフェイスは操作者Hの手の指の運動に追従可能な複数の触覚指21〜25を有する触覚指ベース16と、触覚指ベースの空間運動を可能とするアーム機構110と、操作者Hの手の位置及び姿勢に連動させてアーム機構110を駆動制御するとともに、指の動きに連動させて触覚指を駆動制御するコントローラを有する。力覚提示インターフェイスは触覚指ベース16を操作者Hの手の甲側において甲から離間した状態で、触覚指に対して前記操作者の指に取付けするための指フォルダ26が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、側面設置型力覚提示インターフェイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、力覚提示デバイスとして、仮想空間において、仮想物体に触れた時の抵抗感覚や重量感覚を手若しくは指先1点に提示するシリアルリンク型の力覚提示デバイス(特許文献1)や、パラレルリンク型の力覚提示デバイス(特許文献2)が提案されている。これらの力覚提示デバイスは、一箇所への力覚提示は可能であるが、人間の複数の指先への力覚提示は困難である。
【0003】
これに対し、人間の複数の指先に力覚を提示する力覚提示デバイスとして、特許文献3、非特許文献1〜4が提案されている。
非特許文献1では、2台のシリアルリンク型の力覚提示デバイスが設置されて、2本の指先に力覚を提示するように構成されている。又、非特許文献2では、3台のシリアルリンク型力覚提示デバイスが設置されることで、3本の指先に力覚の提示を可能にしている。
【0004】
しかし、これらの複数の力覚提示デバイスを設置する、複数設置型デバイスでは、作業空間が極端に狭くなる問題がある。又、装置間の干渉により3台以上の設置は難しく、5本の指先への力覚提示は困難である。このような複数設置型デバイスでは、操作空間が広く、かつ人間の5本の指先へ力覚を提示するデバイスは研究開発されていない。
【0005】
非特許文献3の力覚提示デバイスは、指先にワイヤを接続し、そのワイヤを引っ張ることで5本の指先に力覚を提示するようにしている。しかしながら、非特許文献3の力覚提示デバイスでは、提示できる力覚は、ワイヤが引っ張る1軸方向のみである。又、非特許文献4では、人間の腕にシリアルリンク型の力覚提示デバイスを2台装着し、それらを人間の2本の指先に接触することで、3次元の力覚を2本の指先へ提示可能である。
【0006】
非特許文献3及び4は、人間の手や腕に装置を装着して使用する、装着型力覚提示デバイスである。この場合、力覚を提示する装置が人間の手や腕に装着されているため、仮想物体の重量感覚を人に提示することが困難であり、さらに、圧迫感や装置の重量感を人間に与える。又、装置を手や腕に装着するため、装置の機構が何らかの原因で暴走したとき、操作者は極めて危険である。
【0007】
それに対して、特許文献3の多指力覚提示デバイスは、ロボットアームとロボットハンドを用いることで、人間の5本の指先へ3次元の力覚が提示可能となっている。この多指力覚提示デバイスは、ロボットハンドが人間と対向して設置されており、前記装着型力覚提示デバイスとは異なり、安全である。又、特許文献3の多指力覚提示デバイスは、前記ロボットアームの運動により広い操作空間を確保できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5587937号明細書
【特許文献2】特開2010−146307号公報
【特許文献3】特開2003−300188号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M. Kawai and T. Yoshikawa, "Stable Haptic Display of 1-DOF Grasping with Coupling Impedance for Internal and External Forces," Proc. 2000 IEEE/RSJ Int. Conf. Intell. Robots Syst., pp.1316-1321, 2000.
【非特許文献2】S. Wall and W. Harwin, "Design of a Multiple Contact Point Haptic Interface," Proc. EuroHaptics2001, 2001.
【非特許文献3】CyberGlove Systems社製 CyberGrasp http://www.cyberglovesystems.com/products/cybergrasp/overview
【非特許文献4】A. Frisoli, F. Simoncini, M. Bergamasco, and F. Salsedo, "Kinematic design of a Two Contact Points Haptic Interface for the Thumb and Index Fingers of the Hand," ASME J. Mech. Des., vol.129, pp.520-529, 2007.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献3の多指力覚提示デバイスは、小さな仮想物体の把持、或いは操りを行おうとした場合、多指力覚提示デバイスを構成している機構の干渉が起こるため、小さな仮想物体を扱うことが困難な問題がある。
【0011】
この発明は、操作空間が広く、人間の指へそれぞれ3次元の力覚及び仮想物体の重量感を提示でき、さらに、圧迫感や装置の重量感を与えることがなく、安全で、小さな仮想物体を扱うことが可能な側面設置型力覚提示インターフェイスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、操作者の指の運動に追従可能な5本以下の触覚指を有する触覚指ベースと、前記触覚指ベースの空間運動を可能とするアーム機構と、前記操作者の手の位置及び姿勢に連動させて前記アーム機構を駆動制御するとともに、前記操作者の指の動きに連動させて前記触覚指を駆動制御する制御手段を有する側面設置型力覚提示インターフェイスにおいて、前記触覚指と触覚指ベースを前記操作者の手の甲側において前記甲から離間した状態で、前記触覚指に対して前記操作者の指に取付けするための指取付手段が設けられていることを特徴とする側面設置型力覚提示インターフェイスを要旨としている。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記操作者の手首の位置姿勢を検出するための第1検出手段と、前記アーム機構の手首の位置姿勢を検出するための第2検出手段とを備え、前記制御手段は、前記第1検出手段の検出結果と、前記第2検出手段の検出結果に基づいて、前記指取付手段を除いて、前記アーム機構の手首と、前記操作者の手首の干渉回避のための評価関数を演算し、前記評価関数の演算結果に基づいて、前記アーム機構の制御を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項2において、前記制御手段は、前記評価関数が最大となる前記アーム機構の制御を行うことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記指取付手段には、前記操作者の指の腹の部分が接触する部位を備え、前記指の腹の部分が接触する部位には、前記指の腹の部分に集中して力が作用するように凸部が形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記指取付手段には、前記触覚指の先端側に転動自在に設けた関節球と、同関節球に連結されるとともに操作者の指先を連結する指フォルダを含むことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5において、前記触覚指には前記関節球を吸着保持する吸着手段が設けられていることを特徴とする。
請求項7の発明は、請求項6において、前記吸着手段が、前記関節球を磁力により吸着保持する磁力発生手段であることを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項の側面設置型力覚提示インターフェイスが、操作者の左手に取付られる触覚指を有する側面設置型力覚提示インターフェイスと、前記操作者の右手に取り付けられる触覚指を有する側面設置型力覚提示インターフェイスとを含み、両側面設置型力覚提示インターフェイスが組み合わせてなることを特徴とすることを要旨としている。
【発明の効果】
【0018】
請求項1の発明によれば、触覚指と触覚指ベースが操作者の手の甲から離間した状態で、触覚指に縦操作者の指に取付けできるとともに、アームの運動により操作空間が広くできる。又、人間の多指へそれぞれ3次元の力覚及び仮想物体の重量感を提示でき、さらに、圧迫感や装置の重量感を与えることがなく、安全で、小さな仮想物体を扱うことが可能となる。又、操作者と力覚提示インターフェイスとの接続は、指先のみで行われるため、操作者に拘束感或いはインターフェイスの重量感を感じることはない。
【0019】
請求項2の発明によれば、制御手段が、第1検出手段の検出結果と、第2検出手段の検出結果に基づいて、指取付手段を除いて、アーム機構と、操作者の手の干渉回避のための評価関数を演算することにより、算出された評価関数の結果に基づいて、アーム機構と操作者の手の干渉を回避できる。
【0020】
請求項3の発明によれば、評価関数が最大となるアーム機構の制御を行うことにより、アーム機構と操作者の手の干渉を回避できる。
請求項4の発明によれば、操作者の指の腹の部分に、指取付手段に設けられた凸部が当接して、指の腹の部分に集中して力が作用することにより、操作者の指の腹の部分に対して明確な3次元の力覚提示を行うことができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、関節球により、同じ指先位置でその姿勢を変えることができ、各触覚指と操作者Hの連結が円滑となる。
請求項6の発明によれば、触覚指には前記関節球を吸着保持する吸着手段が設けられている。この結果、吸着手段により、関節球が吸着されて保持され、操作者の指に過度の引っ張り力が作用すると、自動的に関節球は触覚指から離脱し、操作者の指に引っ張り力が生じない。このため、触覚指と指取付手段との接続が解除できるため安全であり、操作者は安心して力覚提示インターフェイスを扱うことができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、吸着手段として、関節球を磁力により吸着保持する磁力発生手段とした。この結果、関節球を磁力により、請求項6の作用効果を実現できる。
請求項8の発明によれば、操作者の両側面から、側面設置型力覚提示インターフェイスを2台設置することで、両手指に3次元の力覚提示ができる。又、これにより、遠隔操作や仮想環境において、両手指を使った繊細・精巧・巧みな作業を行える力覚提示デバイスを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】力覚提示インターフェイスの概略図。
【図2】アーム機構の概略の原理図。
【図3】力覚提示システムの説明図。
【図4】インターフェイスハンドの概略説明図。
【図5】触覚指の原理図。
【図6】指フォルダの断面図。
【図7】指フォルダを指に取付けした状態の説明図。
【図8】力覚提示システムの電気ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を具体化した側面設置型力覚提示インターフェイス(以下、単に力覚提示インターフェイスという)を用いた力覚提示システムの一実施形態を、図1〜8に従って説明する。
【0025】
図1、図3に示すように、力覚提示システムは操作者Hの両手の5本の指の腹部分に3次元の力覚を提示する一対のインターフェイス100A,100Bと、各インターフェイス100A,100Bの駆動モータ(図示しない)をそれぞれ制御するコントローラ200A,200Bから構成されている。前記システムは、各コントローラ200A,200Bと電気的に接続された仮想環境システムまたはスレーブロボット等からなる操作対象部300と通信が可能に電気的に接続されている。コントローラ200A,200Bは、制御手段に相当する。
【0026】
力覚提示システムは、前記操作対象部300が仮想環境システムの場合、仮想環境システム内にある仮想物体に触れた時の抵抗感覚や重量感覚を、各インターフェイス100A,100Bが操作者に対して提示するものである。又、操作対象部300がスレーブロボットを含む場合、前記インターフェイス100A,100Bによって操作者がスレーブロボットを遠隔操作でき、かつスレーブロボットが物体等に触れた場合の力覚をインターフェイス100A,100Bによって操作者に提示するものである。
【0027】
本実施形態では、操作対象部300を、図示しないスレーブロボットと前記スレーブロボットを制御する図示しないスレーブロボットコントローラで構成されているものとする。
【0028】
<インターフェイス100A,100B>
図1に示すように、インターフェイス100A,100Bは、インターフェイスハンド120の構成が、若干異なるだけであるため、以下では、右手用のインターフェイス100Aを図1〜7を参照して具体的に説明する。左手用のインターフェイス100Bの構成については、インターフェイス100Aの構成と同一構成又は相当する構成に同一符号を付する。
【0029】
図1及び図3に示すように、インターフェイス100Aは、ベース10上に設けられたアーム機構110と、アーム機構110の先端に設けられたインターフェイスハンド120から構成されている。
【0030】
図2に示すように、アーム機構110は、複数のアーム11〜15が関節にて連結されることにより構成されている。
本実施形態ではアーム機構110は、ベース10に接続された第1アーム11に対し、第1関節17を介して第2アーム12が接続されている。第1関節17は、第1アーム11と同軸の軸a1の周りで能動回転する。なお、図1は概略図であるため、アーム機構110はいくつかのアームが省略されて、簡略化されて図示されている。
【0031】
第2アーム12には、第3アーム13が第2関節18を介して接続されている。第2関節18は、第2アーム12と同軸の軸a2の周りで能動回転する。第3アーム13には第4アーム14が、第3関節19を介して接続されている。第3関節19は、第3アーム13の軸心と直交する軸a3の周りで能動回転する。第4アーム14は、前記軸a3と直交するように配置されている。
【0032】
第4アーム14には、第5アーム15が関節部20を介して接続されている。関節部20は第4関節20A、第5関節20B及び第6関節20Cからなっている。関節部20はアーム機構110、すなわち、インターフェイス(インターフェイスハンド120)の手首に相当する。第4〜第6関節は、それぞれ互いに直交する軸a4、a5、a6の周りで能動回転する。なお、軸a4は、第4アーム14と同軸に配置されている。第5アーム15の先端には、図4に示すインターフェイスハンド120の触覚指ベース16が接続されている。
【0033】
第1関節17〜第6関節20Cは、個々に図示しない駆動モータとギヤ減速機により駆動される。そして、第1関節17〜第6関節20Cは、各駆動モータが制御されることにより、前述した軸a1〜a6の周りで回転する。
【0034】
このように本実施形態のアーム機構110は、第1関節〜第6関節を有することにより6自由度を有する。
また、第1関節17〜第6関節20Cの駆動モータ(図示しない)には、回転角度を検出する第2検出手段としての後述するロータリエンコーダARE1〜ロータリエンコーダARE6が設けられている。これらのロータリエンコーダARE1〜ロータリエンコーダARE6により、前記各軸a1〜a6の周りの回転角度が検出される。
【0035】
<インターフェイスハンド120>
次に、右手用のインターフェイスハンド120について説明する。
図4に示すように、インターフェイスハンド120の触覚指ベース16は、人の右手の甲を覆う大きさに形成されている。触覚指ベース16には、触覚指ベース16を人の右手に対して甲側から配置したとき、前記右手の第1指(親指)に対応する側部からは、延出部16aが形成されている。延出部16aの先端には、第1触覚指21が連結されている。又、触覚指ベース16の先端には、4本の第2触覚指22〜第5触覚指25が連結されている。前記第1触覚指21〜第5触覚指25は、それぞれ人の右手の第1指〜第5指に対して甲側から取付け可能に、触覚指ベース16に対して配置されている。
【0036】
なお、左手用のインターフェイスハンド120は、触覚指ベース16を人の左手に対して甲側から配置したとき、左手の第1指(親指)に対応する側部からは、延出部16aが形成されていること、及び第1触覚指〜第5触覚指の配置順序が逆方向となっていることが右手用のインターフェイスハンド120とは異なっている。
【0037】
従って、インターフェイス100A,100Bは、操作者の各手の甲側にインターフェイスハンド120が配置される。
第1触覚指21〜第5触覚指25は全て同一構成であるため、第1触覚指21について説明する。
【0038】
図5に示すように、第1触覚指21は、複数のリンク31〜33が複数の関節部を介して互いに連結されることにより構成されている。具体的には、第1リンク31は触覚指ベース16に対して関節部34を介して接続されている。関節部34は軸a7を有する第1の関節34Aと、軸a8を有する第2の関節34Bを有する。第1リンク31は、それぞれ互いに直交する軸a7、a8の周りで能動回転する。第2リンク32は、第3の関節35を介して第1リンク31に接続されている。第3の関節35は、軸a9の周りで能動回転する。すなわち、第1〜第3の関節は、それぞれ駆動モータによりギヤ減速機を介して駆動される。そして、第1〜第3の関節の各駆動モータが制御されることにより、第1リンク31及び第2リンク32は、前述した軸a7〜a9の周りで回転する。
【0039】
第3リンク33は、第4の関節36を介して第2リンク32に接続されている。第4の関節36は、軸a10の周りで受動回転する。すなわち、第4の関節36は第3の関節35に対し、連動して動くように連係されている。又、この連係により、第4の関節36の回転角度は、第3の関節35の回転角度と等しくなるようにされている。
【0040】
又、第1の関節34A,第2の関節34B及び第3の関節35の各駆動モータには回転角度、すなわち、関節角度を検出する回転角度検出手段としてのロータリエンコーダURE1〜URE3が設けられている。これらのロータリエンコーダにより、前記各軸の周りの回転角度、すなわち、関節角度が検出される。
【0041】
図5に示すように第3リンク33には、3軸力覚センサ28が装着されており、この3軸力覚センサ28によって触覚指の先端にかかる互いに直交する3軸方向の並進力を検出可能である。又、第3リンク33の先端部29には、半球状に凹設された凹部30が形成されている。図7に示すように凹部30の内には吸着手段及び磁力発生手段としての永久磁石29aが配置されている。
【0042】
図7に示すように各触覚指の第3リンク33には、指フォルダ26が取付け可能となっている。図6に示すように指フォルダ26は、操作者Hの指Yaが挿入され、その保持を行う有蓋筒状のフォルダ部26aを備えている。フォルダ部26aは、開口側から、複数の切り込み26bが形成されることにより、複数の弾性片26cを有する。指フォルダ26の材質は限定されるものではなく合成樹脂、或いはステンレス等の金属であってもよい。
【0043】
図7に示すように指フォルダ26は、操作者Hの手の指Yaに対して、指フォルダ26を差し込みした状態で、弾性片26cの外面から締付けバンド27により締め付けすることにより、指Yaに固定される。
【0044】
フォルダ部26aの先端部の上部には、鉄等の強磁性体からなる関節球26dが固定されている。関節球26dは、第3リンク33の凹部30内に転動自在に嵌合され、その関節球26dを介して回動自在に触覚指21〜25の先端に連結されるようになっている。関節球26dと凹部30との嵌合により受動関節を構成する。本実施形態では、指フォルダ26及び関節球26dにより、触覚指を指に取付するための指取付手段が構成されている。
【0045】
又、関節球26dは強磁性体であるため、凹部30内の永久磁石29aの磁力の範囲で第3リンク33との連結が可能である。しかし、関節球26dに、前記磁力を超える引っ張り力が加わった際には、関節球26dは、凹部30から離脱可能である。このように関節球26dは、凹部30に対して着脱自在に、かつ360度のいずれの範囲においても回転自在に嵌合される。
【0046】
このようにして、操作者の両手の指Yに付けられ各指フォルダ26は、インターフェイス100A,100Bにおけるインターフェイスハンド120に5本の触覚指21〜25のそれぞれに連結される。
【0047】
又、図6に示すように、各指フォルダ26の内頂部において、指Yaの腹の部分Ybとの接触部位には凸部26eが形成されている。凸部26eにより、指フォルダ26に力が作用した際に、操作者Hの指Yaの腹の部分Ybに集中して力が作用するようにしている。
【0048】
本実施形態では、図1に示すように、操作者Hがインターフェイス100A,100Bに接続される。この場合、操作者Hの指と、インターフェイスハンド120の触覚指の配置関係は、図7に示すようになる。ここで、仮に、触覚指が3関節3自由度の機構の場合、操作者Hが指を曲げた時、触覚指と指との干渉が生じやすい虞がある。このため、本実施形態の触覚指は、前述したように関節数を増やして、図5、図7に示すように軸a8〜a10を有する4関節にすることにより、触覚指が屈曲する時の、手の指に対する干渉を大幅に低減させている。又、本実施形態では、冗長な自由度をもつ機構にする必要がない4関節3自由度の機構としている。
【0049】
<電気的構成の説明>
次にインターフェイス100Aに関する装置の電気的構成を、図8を参照して説明する。
【0050】
図8に示す3次元位置姿勢計測装置41は、インターフェイス100Aを扱う操作者Hの左右の手首Rにそれぞれ装着された3次元位置姿勢センサ42と無線で通信可能にされている。なお、本実施形態では、3次元位置姿勢センサ42を手首Rに取付けしたが、操作者Hのインターフェイスハンド120の掌に対して、操作者の手の位置・姿勢を計測する3次元位置姿勢センサ42を取り付けしてもよい。3次元位置姿勢センサ42は第1検出手段に相当する。
【0051】
図1では、1つの3次元位置姿勢センサ42のみが図示されている。3次元位置姿勢センサ42は、操作者Hの手Haの位置(3次元的な空間位置)、及びその姿勢を検出し、その検出信号を3次元位置姿勢計測装置41に無線で通信する。
【0052】
3次元位置姿勢計測装置41は、各3次元位置姿勢センサ42から送信された検出信号を受信すると、その信号をそれぞれの手Haの位置及びその姿勢に関する位置データ及び姿勢データとして信号処理し、コントローラ200Aに出力する。
【0053】
次に、コントローラ200Aについて説明する。
コントローラ200Aは、コンピュータにより構成され、CPU40a(中央処理装置)、ROM40b、RAM40cを備えている。ROM40bには、インターフェイス100Aを制御するための制御プログラムを始め各種制御プログラムが格納されている。RAM40cは、CPU40aが演算処理する際の作業用メモリとなり、各種制御プログラムを実行したときの、各種演算結果や、検出値を格納する。
【0054】
第1触覚指モータドライバ45は、コントローラ200Aと通信が可能に電気的に接続され、コントローラ200Aからの第1触覚指のモータ動作指令値に基づいて、各関節の駆動モータ、すなわち、第1触覚指21の関節34A、関節34Bを備えた関節部34、及び軸a10を備えた関節35を駆動する。
【0055】
第2触覚指22〜第5触覚指25においても、第1触覚指21と同様に駆動装置を備えており、コントローラ200Aからの第2〜第5触覚指制御信号に基づいてそれぞれの関節部34、関節35を同様に駆動する。なお、図8では、説明の便宜上、第1触覚指21の第1触覚指モータドライバ45等についてのみ図示し、他の触覚指に関する、駆動装置、関節部34,関節35については省略している。
【0056】
図8に示すように、アームモータドライバ46はコントローラ200Aと通信が可能に電気的に接続され、コントローラ200Aからのアーム用のモータ動作指令値に基づいて、アーム機構110の各関節の駆動モータ、すなわち、第1関節17〜第6関節20Cを駆動する。
【0057】
上記のようにして、本実施形態のインターフェイス100Aは、アーム機構110に6個の駆動モータ及びロータリエンコーダ、各触覚指に3個の駆動モータ及びロータリエンコーダ、インターフェイスハンド120全体では15個の駆動モータ及びロータリエンコーダを備える。又、本実施形態のインターフェイス100Aは、各触覚指先端に1個の3軸力覚センサ28、インターフェイスハンド120全体では5個の3軸力覚センサ28が搭載されている。なお、図8では、第1触覚指21〜第5触覚指25の3軸力覚センサ28に対してそれぞれK1〜K5の符号を付している。
【0058】
前記ロータリエンコーダからの検出信号、及び3軸力覚センサ28の検出信号は図示しない信号増幅器を介して、各コントローラ200Aに取りこまれる。これにより、コントローラ200Aではアーム機構110の各関節、及び各触覚指の各関節の角度及び各触覚指先端での力を取得する。
【0059】
又、コントローラ200Aは、前記各種のモータ動作指令値を第1触覚指等のモータドライバ45、並びにアームモータドライバ46へ出力することにより、各駆動モータが駆動制御される。これにより、各コントローラ200Aにて力覚提示インターフェイスの運動を制御することができる。
【0060】
<インターフェイス100B>
インターフェイス100Bに関するコントローラ200Bは、コントローラ200Aと同一構成であるため説明を省略する。従って、コントローラ200Bは、コントローラ200Aと同様に、インターフェイス100Aと同一の構成を有するインターフェイス100Bを制御可能である。
【0061】
<操作対象部300>
次に、操作対象部300について説明する。操作対象部300は、人間型ハンドをもつスレーブロボットおよびそのスレーブロボットコントローラ(以後、ロボット制御器と呼ぶ)からなる。このスレーブロボットには駆動モータ等の駆動源、ロータリエンコーダ等の関節角度センサ、フィンガー先端には3軸力覚センサが取り付けられている。
【0062】
前記各種センサは図示しない信号増幅器を介して、前記ロボット制御器に接続されている。またモータドライバを介して前記駆動源と前記ロボット制御器も接続されている。このロボット制御器とコントローラ200A,200BはLANまたは無線LANにより接続されており、コントローラ200A,200Bからロボット制御器へは、目標指令値が送られ、この目標指令値に従って、人間型ハンドをもつスレーブロボットは運動制御される。他方、前記ロボット制御器からコントローラ200A,200Bへは、前記人間型ハンドをもつスレーブロボットの位置情報や力情報が送られる。
【0063】
(作用)
次に、本実施形態の力覚提示インターフェイスの作用を説明する。
なお、下記の説明中、数式において、太文字で表した変数はベクトルあるいは行列であり、説明の中では通常の文字(太文字ででない文字)で引用して説明する。また、上付や下付の添え字については、適宜()で引用して記載する。さらに、式の表記において、変数上の1ドットは、1階の時間微分を表す。
【0064】
図1、図7に示すように、インターフェイス100A,100Bのインターフェイスハンド120を、操作者Hの左右の手に対して、前記手の甲側に位置するように装着する。
両手に各インターフェイスハンド120を装着後、操作者Hが自由に両手を動かすと、操作対象部300はその手Haの位置・姿勢に対応した動作を行うよう、コントローラ200A,200Bで制御される。
【0065】
このとき、力覚提示インターフェイスは、操作者Hが自由に手を動かせるように、コントローラ200A,200Bにより運動制御される。
以下、具体的に説明する。
【0066】
<コントローラ200A,200Bの制御>
コントローラ200A,200Bは、触覚指の制御とアーム機構110の制御を所定制御周期で行う。すなわち、コントローラ200A,200Bは、各ロータリエンコーダと、3軸力覚センサ28の検出信号等に基づいて、触覚指に搭載されている駆動モータのモータ動作指令値と、アーム機構110に搭載されている駆動モータのモータ動作指令値を計算し、算出したモータ動作指令値を各モータドライバ45,46に出力し、モータドライバ45,46は、この指令値に従って対応する駆動モータを駆動する。ここで、触覚指は、前記モータ動作指令値により、インターフェイスにより指の腹の部分に印加される指先力が目標力となるように制御されるとともに、アーム機構110の各アームは、前記モータ動作指令値により評価関数PIが最大となるように制御される。評価関数PIに関しては、後述する。
【0067】
<触覚指の制御>
コントローラ200A,200Bは、下記の触覚指の制御則に従って、触覚指を、所定制御周期で制御する。
【0068】
【数1】

式(1)において、右辺第1項と第2項は力の比例積分制御項である。第3項は安定性を与えるための粘性項である。第4項が重力の影響を打ち消す補償項である。第5項は目標力のフィードフォワード項である。コントローラ200A,200Bがこの制御則に従うことにより、触覚指はF→Fとなるように運動する。ここでFd=0とすれば、3軸力覚センサ28の値をゼロとするために必要な触覚指の駆動モータの動作指令値が演算される。
【0069】
<アーム機構の制御>
又、コントローラ200A,200Bは、下記のアーム機構の制御則に従って、前記触覚指の制御とともに所定制御周期でアーム機構110を制御する。
【0070】
【数2】

式(2)において、右辺第1項と第2項はアームの関節角度のP(比例)D(微分)制御項である。第3項は重力の影響を打ち消す補償項である。第4項は触覚指の指先で受ける外力の補償項である。
【0071】
コントローラ200A,200Bは、この制御則に従うことにより、アーム機構110の各アームは、アームの関節角度が、q→qAdとなるように運動する。ここで、qAdは評価関数PIが最大となるように選択される。
【0072】
これによりアームの位置姿勢は、各触覚指の関節が可動範囲内でハンドの可操作性を高め、アームの関節角度の変化が少なく、かつインターフェイス間の干渉が回避されるように運動する。
【0073】
<評価関数PI>
次に、評価関数PIについて説明する。
インターフェイス100A,100Bと操作者Hの干渉(または衝突)を避けるため、コントローラ200A,200Bは干渉回避制御法により、インターフェイス100A,100Bを制御する。ここで干渉回避制御法として、アームを位置制御し、位置・姿勢の目標値をインターフェイスハンドの可操作性と干渉のペナルティ関数の総和である評価関数PIを最大とするように逐次設定する。
【0074】
なお、干渉の評価関数PIは、操作者Hの手首位置、及びインターフェイス100A,100Bの手首位置(すなわち、インターフェイスハンド120の手首位置)の差から構成する。例えば、評価関数PIとして、以下のものが挙げられる。
【0075】
【数3】

ここで、 α及びβは第i指の重み係数であり、Wは第i指の可操作性を表し、その運動学ヤコビ行列をJとすると、
【0076】
【数4】

で与えられる。このWが大きければ、触覚指の操作性(動きやすさ)が良くなる。Pは、指関節が可動範囲に収まるようにするために与える第i指のペナルティ関数で、
【0077】
【数5】

で与えられる。この式中、aijとbijは第i指の第jの関節の左右回転の可動限界である。又、kは第i指の重み係数、lは指数関数の形状を調整する係数である。
【0078】
【数6】

で与える。この式では、計算初期のアーム関節角度ベクトルである。Γは、重み行列である。アームをハンド可操作性が最大となるように位置制御すると、操作者の少しの指の動きに対し、アームが大きく動くことがあり操作者に不安感をあたえることがある。この問題を解決することを目的とするため、上記式(3)の第2項を導入している。
【0079】
はインターフェイスと操作者Hの干渉(または衝突)を回避するためのペナルティ関数で、
【0080】
【数7】

で与えられる。ここでσ、γ 、ηは重み係数である。xは操作者Hの手首位置およびインターフェイスハンド120の手首位置、すなわち、アーム機構の手首位置の間の距離である。上記のようにして、干渉のペナルティ関数Dは、操作者Hの手首位置及びインターフェイスハンド120の手首位置の差から構成する。
【0081】
以上の式(3)中の各評価項目により、アームの位置姿勢は、各指の関節が可動範囲内でインターフェイスハンド120の可操作性を高め、アームの関節角度の変化が少なく、かつインターフェイス間の干渉が回避されるような目標が求められる。これにより、操作者Hの少しの指の動きでアームの位置・姿勢が大きく変化することがなく、安心感を与え、かつ干渉回避をしながらハンドの操作性能がよい状態になるので、高精度な力覚提示が実現できる。
【0082】
<操作対象部300から干渉力が入力される場合>
操作対象部300を遠隔操作して何らかの対象物を操作するときは、操作対象部300にある図示しない3軸力覚センサにより、コントローラ200A,200Bは、操作対象部300から対象物の間に生じる干渉力(すなわち、力情報)を取得できる。
【0083】
この干渉力は力覚提示インターフェイスの操作者Hに提示される。すなわち、両手に装着した各インターフェイスハンド120の各触覚指が干渉力方向に力感覚を提示するためモータ動作指令値が、コントローラ200A,200Bで計算される。そして、算出されたモータ動作指令値が、コントローラ200A,200Bから、各モータドライバ45、アームモータドライバ46を介して、それぞれのインターフェイス100A,100Bの各駆動モータへ出力される。
【0084】
このときにおいても、コントローラ200A,200Bは、インターフェイス100A,100Bと操作者Hとの干渉を避けるため、前記の干渉回避制御法が行われる。
以上により、操作者Hは、力覚提示インターフェイスを用いて操作対象部300の遠隔操作を実現する。
【0085】
本実施形態によると、次のような作用効果を奏する。
(1) 本実施形態の力覚提示インターフェイスは、操作者Hの手の指の運動に追従可能な複数の触覚指21〜25を有する触覚指ベース16と、触覚指ベース16の空間運動を可能とするアーム機構110と、操作者Hの手の位置及び姿勢に連動させてアーム機構110を駆動制御するとともに、前記指先の動きに連動させて第1触覚指21〜25を駆動制御するコントローラ(制御手段)200A,200Bを有する。
【0086】
そして、力覚提示インターフェイスは、触覚指21〜25と触覚指ベース16を操作者Hの手の甲側において前記甲から離間した状態で、触覚指21〜25に対して前記操作者の指に取付けするための指フォルダ26と関節球26dが設けられている。
【0087】
この結果、本実施形態によれば、触覚指21〜25と触覚指ベースが操作者Hの手の甲から離間した状態で、触覚指21〜25に縦操作者の指に取り付けでき、アームの運動により操作空間を広くできる。又、本実施形態によれば、人間の多指へそれぞれ3次元の力覚及び仮想物体の重量感を提示でき、さらに、圧迫感や装置の重量感を与えることがなく、安全で、小さな仮想物体を扱うことが可能となる。例えば、本実施形態によれば、触覚指を、指フォルダ26を介して取り付けした状態で、小物の摘み動作を行うことができる。
【0088】
又、本実施形態は、装着型デバイスとは異なり、地面にインターフェイスを設置するため、仮想物体の重量感を提示可能である。
(2) 本実施形態の力覚提示インターフェイスのコントローラ200A,200B(制御手段)は、3次元位置姿勢センサ42(第1検出手段)の検出結果と、アーム機構110の各アームの関節角度に基づいて、指フォルダ26(指取付手段)を除いて、アーム機構110の手首と、操作者Hの手首の干渉回避のための評価関数PIを演算し、評価関数PIの演算結果に基づいて、アーム機構110の制御を行う。この結果、算出された評価関数PIの結果に基づいて、アーム機構110と操作者Hの手Haの干渉を回避できる。すなわち、アーム機構110の手首と、操作者Hの手首の干渉回避のための評価関数PIを演算することにより、アーム機構110の手首と、操作者Hの手首の干渉が回避され、この結果、アーム機構と操作者の腕の干渉回避ばかりか、インターフェイス(アーム機構とハンドを含む)と操作者(手と腕を含む)の干渉回避を実現できる。
【0089】
(3) 本実施形態の力覚提示インターフェイスによれば、評価関数が最大となるアーム機構の制御を行うことにより、アーム機構と操作者の手の干渉を回避できる。
(4) 本実施形態の力覚提示インターフェイスによれば、操作者Hの指Yaの腹の部分Ybに、指フォルダ26に設けられた凸部26eが当接して、指Yaの腹の部分Ybに集中して力が作用する。このことにより、操作者Hの指Yaの腹の部分Ybに対して明確な3次元の力覚提示を行うことができ、指Yaの腹の部分Ybへの力覚がよりリアリティのあるものとなる。
【0090】
(5) 本実施形態では、指取付手段として、触覚指の先端側に転動自在に設けた関節球26dと、関節球26dに連結されるとともに操作者Hの指先を連結するフォルダ部26aを含むように構成されている。この結果、関節球26dにより、同じ指先位置でその姿勢を変えることができ、各触覚指と操作者Hの連結が円滑となる。
【0091】
(6) 本実施形態では、触覚指に関節球26dを吸着保持する永久磁石29a(吸着手段)を備える。この結果、永久磁石29aにより、関節球26dが吸着(吸引)されて保持され、操作者Hの指先に過度の引っ張り力が作用すると、自動的に関節球26dが触覚指から離脱し、操作者Hの指先に引っ張り力が生じない。このため、触覚指と指フォルダ26との接続が解除できるため安全であり、操作者は安心して力覚提示インターフェイスを扱うことができる。
【0092】
(7) 本実施形態では、永久磁石29aは、吸着手段として、関節球26dを磁力により吸着保持する磁力発生手段とした。この結果、関節球26dを磁力により、上記(6)の作用効果を実現できる。
【0093】
(8) 本実施形態では、操作者の両側面から、側面設置型多指力覚提示インターフェイスを2台設置することで、両手指に3次元の力覚提示ができる。又、これにより、遠隔操作や仮想環境において、両手指を使った繊細・精巧・巧みな作業を行える力覚提示デバイスを提供できる。
【0094】
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態では、力覚提示システムを、一対のインターフェイス100A,100B及び一対のコントローラ200A,200Bを含むようにしたが、いずれか一方のインターフェイスとコントローラにより力覚提示システムを構成してもよい。この場合は、人の右手用、又は左手用の力覚提示システムとなるが、これでもよい。
【0095】
・ 前記実施形態では、触覚指ベースには、5本の触覚指を設けたが、本数は限定されるものではなく、1本〜4本のいずれかの本数であってもよい。
・ 前記実施形態では、触覚指は4関節3自由度としたが、限定されるものではなく、4自由度以上となるように構成してもよい。
【0096】
・ 前記実施形態では、吸着手段として永久磁石29aとしたが、電磁石としてもよい。又、凹部30に単数又は複数の吸引孔を設け、同吸引孔を介して空気を吸引して、関節球26dを吸着するようにしてもよい。この場合、吸着手段は、凹部30に設けた吸引孔、及び空気を吸引するための装置、例えば、真空引き装置等が相当する。
【0097】
・ 前記実施形態では、アーム機構110は6自由度としたが、6自由度に限定するものではなく、7自由度以上であってもよい。
【符号の説明】
【0098】
10…ベース、11…第1リンク、12…第2リンク、13…第3リンク、
14…第4アーム、15…第5アーム、16…触覚指ベース、16a…延出部、
17…第1関節、18…第2関節18、19…第3関節、
20…関節部、20A…第4関節、20B…第5関節、20C…第6関節、
21…第1触覚指、22…第2触覚指、23…第3触覚指、24…第4触覚指、
25…第5触覚指、26…指フォルダ(指取付手段)、
26a…フォルダ部、26d…関節球、26e…凸部、
27…締付けバンド、28…3軸力覚センサ、
29…第3リンクの先端部、
30…凹部、31…第1リンク、32…第2リンク、
33…第3リンク、34…関節部、インターフェイス
34A…第1の関節、34B…第2の関節、
35…第3の関節、36…第4の関節、
40a…CPU、42…3次元位置姿勢センサ(第1検出手段)、
45…第1触覚指駆動装置
100A,100B…インターフェイス、
120…インターフェイスハンド、
200a,200B…コントローラ(制御手段)、
300…操作対象部
ARE1〜6…ロータリエンコーダ(第2検出手段)、
URE1〜3…ロータリエンコーダ(検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の指の運動に追従可能な5本以下の触覚指を有する触覚指ベースと、前記触覚指ベースの空間運動を可能とするアーム機構と、前記操作者の手の位置及び姿勢に連動させて前記アーム機構を駆動制御するとともに、前記操作者の指の動きに連動させて前記触覚指を駆動制御する制御手段を有する側面設置型力覚提示インターフェイスにおいて、
前記触覚指と触覚指ベースを前記操作者の手の甲側において前記甲から離間した状態で、前記触覚指に対して前記操作者の指に取付けするための指取付手段が設けられていることを特徴とする側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項2】
前記操作者の手首の位置姿勢を検出するための第1検出手段と、
前記アーム機構の手首の位置姿勢を検出するための第2検出手段とを備え、
前記制御手段は、前記第1検出手段の検出結果と、前記第2検出手段の検出結果に基づいて、前記指取付手段を除いて、前記アーム機構の手首と、前記操作者の手首の干渉回避のための評価関数を演算し、前記評価関数の演算結果に基づいて、前記アーム機構の制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項3】
前記制御手段は、前記評価関数が最大となる前記アーム機構の制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項4】
前記指取付手段には、前記操作者の指の腹の部分が接触する部位を備え、前記指の腹の部分が接触する部位には、前記指の腹の部分に集中して力が作用するように凸部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項5】
前記指取付手段は、前記触覚指の先端側に転動自在に設けた関節球と、同関節球に連結されるとともに操作者の指先を連結する指フォルダを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項6】
前記触覚指には前記関節球を吸着保持する吸着手段が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項7】
前記吸着手段が、前記関節球を磁力により吸着保持する磁力発生手段であることを特徴とする請求項6に記載の側面設置型力覚提示インターフェイス。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項の側面設置型力覚提示インターフェイスが、操作者の左手に取り付けられる触覚指を有する側面設置型力覚提示インターフェイスと、前記操作者の右手に取り付けられる触覚指を有する側面設置型力覚提示インターフェイスとを含み、両側面設置型力覚提示インターフェイスが組み合わせてなることを特徴とする側面設置型力覚提示インターフェイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−128795(P2012−128795A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281856(P2010−281856)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、総務省、戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(304019399)国立大学法人岐阜大学 (289)
【Fターム(参考)】