説明

傾斜反転式移送方法と装置

【課題】木材を一本ずつ正確に取出すことができると共に、取出しコンベア上に送り出された木材を正確に位置決めして送ることで、フィンガージョイントの圧締時における目違いの発生をなくし、木材の移送速度を速くして処理能力の増大を図ることができる傾斜反転式移送方法を提供する。
【解決手段】送入コンベア12の側部と取出しコンベア13の間に、取出しコンベア13に向けて上り傾斜のスロープ51を設け、前記送入コンベア12から取出しコンベア13に向けて押し出される木材Aを、前記スロープ51で押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させ、傾斜した木材Aの上端を回転するブラシ37で送り出すことにより、この木材Aを前方に倒して取出しコンベア13上へ送り込むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、木材の加工工程中において、多数本がまとめて送り込まれた木材を、側方の取出しコンベアへ向けて押し出し、最先端に位置する木材を回転ブラシで前方に倒し込むことで、木材を一本ずつ正確に取出しコンベア上に送り出し、この取出しコンベアで次の加工工程へ送る木材の傾斜反転式移送方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、両端木口にフィンガージョイントが加工された木材を、フィンガージョイントで結合して長尺木材を得る方法は、木材を多数本まとめた状態で両端にフィンガージョイントを加工した後、多数本まとめた木材を定位置に支持し、この木材を横方向に押し出しながら一本ずつ取出しコンベアへ送り出し、木材をこの取出しコンベアで次の加工工程であるフィンガージョイントを結合する圧締装置に送り込むことにより長尺木材とするものであり、このため、多数本をまとめた木材を一本ずつ取出しコンベアへ送り出すための木材移送装置が用いられている。
【0003】
従来の移送装置は、図9(a)と(b)に示すように、多数をまとめた状態にした木材Aを支持し、先端部に設けたストッパーに当接することによって木材Aを定位置に停止させる送入コンベア1と、前記送入コンベア1の一方側方に平行配置された取出しコンベア2と、前記送入コンベア1の一方側方と取出しコンベア2の間に、送入コンベア1の上面と同一面に配置された水平のテーブルと、前記送入コンベア1の他方側に配置され、送入コンベア1上の定位置に停止させた木材Aを並列方向に沿って一方側に押し出すプッシャー3と、前記テーブルの先端側上部の位置に配置され、取出しコンベア2に向けて押し出されてきたテーブル上で最先端に位置する木材Aの上部を強制的に送り出し、木材Aを90°回転させた倒し込み姿勢で取出しコンベア2上へ一本ずつ送り出す回転ブラシ機構4とで構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記した各木材Aは、等しい幅を有する帯板であり、幅方向が起立する状態で多数枚が重なるようにまとめられ、その両端に前工程でフィンガージョイントが加工され、この状態で送入コンベア1上に供給されてストッパーに当接する定位置まで送られ、プッシャー3は上記姿勢の木材Aを取出しコンベア2側に向けて押し出し、回転ブラシ機構4は、テーブル上に押し出されてきた最前端木材Aの上部を強制的に前方へ倒し込み、木材を90°回転させた姿勢で取出しコンベア2上へ一本ずつ送り出すことにより、木材Aは取出しコンベア2上へ幅方向が水平になる姿勢で供給され、例えば、次のフィンガージョイント圧締工程に送られることになる。
【特許文献1】特開2007−196440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の移送装置は、プッシャー3と回転ブラシ機構4によって木材を90度回転させた姿勢で取出しコンベア2上へ一本ずつ送り出すものであるが、処理能力の増大を図るために、取出しコンベア2上へ一本ずつ送り出す速度を速くすると、落とし口となるテーブルは水平であるため、後続の木材が一緒に落とし込まれる事態が発生し、取出しコンベア2上へ一本ずつ正確に送り出すのに安定性を欠く場合がある。
【0006】
また、90度回転させて取出しコンベア2上に送り出された木材も、処理能力を大きくしただけ取出しコンベアの送りを増速する必要があり、取出しコンベアを増速することにより、木材と取出しコンベアのベルトの間にスリップが発生するため、所定の木材送り速度が得られず、処理能力を減少させる原因となる。
【0007】
更に、取出しコンベア2を増速することにより、木材の支持状態が不安定になり、基準定規に沿って送られていた木材が、基準定規に沿って送られにくくなり、フィンガージョイントの圧締時における目違いの原因ともなり、不良品発生の原因となっていた。
【0008】
そこで、この発明の課題は、上記した問題点を解決するため、木材を一本ずつ正確に取出しコンベア上へ送り出すことができ、しかも、取出しコンベア上に送り出された木材を正確に位置決めして送ることで、フィンガージョイントの圧締時における目違いの発生をなくし、木材の移送速度を速くして処理能力の増大を図ることができる木材の傾斜反転式移送方法と装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、方法の発明は、多数本をまとめた状態にした木材を送入コンベアで送り、この送入コンベア上の定位置に停止させた木材を並列方向に沿って押し出し、最先端に位置する木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すことにより、この木材を前方に倒して姿勢を90°変換することで、側方の取出しコンベア上へ一本ずつ送り込み、取出しコンベアで次の加工工程へ送る移送方法において、前記送入コンベアの側部と取出しコンベアの間に、取出しコンベアに向けて上り傾斜のスロープを設け、前記送入コンベアから取出しコンベアに向けて押し出される木材を、前記スロープで押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させ、傾斜した木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すことにより、この木材を前方に倒して取出しコンベア上へ送り込むようにする構成を採用したものである。
【0010】
また、装置の発明は、多数本をまとめた状態にした木材を送入コンベアで送り、この送入コンベア上の定位置に停止させた木材を並列方向に沿って押し出し、最先端に位置する木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すことにより、この木材を前方に倒して姿勢を90°変換することで、側方の取出しコンベア上へ一本ずつ送り込み、取出しコンベアで次の加工工程へ送る移送装置において、前記送入コンベアの側部と取出しコンベアの間に、取出しコンベアに向けて上り傾斜となり、前記送入コンベアから取出しコンベアに向けて押し出される木材を、押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させるスロープを設け、このスロープの先端側の上部の位置に、傾斜した木材の上端を送り出すことにより、この木材を前方に倒して取出しコンベア上へ倒し込む回転ブラシ機構を配置した構成を採用したものである。
【0011】
上記取出しコンベアの上部で両側の位置に、この取出しコンベア上に送り込まれた木材を両側から挟む押圧ロールを配置し、前記押圧ロールで木材を送り出すようにした構造とすることができる。
【0012】
ここで、上記加工材料である木材は、等しい幅を有する帯板であり、幅方向が起立する状態で多数枚が重なるようにまとめられ、その両端に予めフィンガージョイントが加工されており、この状態で送入コンベア上に供給されてストッパーに先端が当接する定位置まで送られ、先端の位置が揃った状態となる。
【0013】
上記テーブルは、上面が送入コンベアと同一面となるよう水平に位置され、このテーブルの上面に設けたスロープは、テーブルの幅方向の途中から取出しコンベア上に臨む側縁の間において、送入コンベアから取出しコンベア側に向けて上り傾斜となるスロープ板を、テーブルの長さ方向に所定の間隔で複数設けることによって形成され、テーブル上を取出しコンベア側に向けて押し出される木材は、スロープ上を移動するとき、押し出し方向に対して上端が後方に位置するような傾斜姿勢となり、押し出し方向の前方に向けて自然に倒れ込むようなことがなくなり、このように木材を傾斜姿勢にすると、回転ブラシ機構で木材を前方に倒すときに、最先端の木材を強制的に引き起こすことになり、傾斜している後続の木材が同時に引き起こされることがなくなり、最先端の木材と後続木材の分離が確実に行え、回転ブラシ機構によって最先端の木材だけを正確に取出しコンベア上へ倒し込むことができる。
【0014】
また、取出しコンベアの上部で両側の位置に設けた押圧ロールは、取出しコンベア上に送り込まれた木材の一方側面を受ける定位置押圧ロールと、木材の他方側面を定位置押圧ロールに向けて押圧する可動押圧ロールとからなり、この可動押圧ロールは取出しコンベア上の木材に対してシリンダで進退動すると共に、木材の送り出し方向に回転駆動され、取出しコンベア上の木材を両側から挟み、定位置押圧ロールを基準に取出しコンベアの送り速度に合わせて送り出すようになっている。
【発明の効果】
【0015】
この発明によると、送入コンベアの側部と取出しコンベアの間に、取出しコンベアに向けて上り傾斜のスロープを設け、前記送入コンベアから取出しコンベアに向けて押し出される木材を、前記スロープで押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させ、傾斜した木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すようにしたので、スロープ上を移動する木材は、押し出し方向に対して上端が後方に位置するような傾斜姿勢となり、押し出し方向の前方に向けて自然に倒れ込むようなことがなくなり、木材を回転ブラシ機構で引き起こして前方に倒すときに、最先端の木材に対して傾斜している後続の木材が同時に引き起こされることがなくなり、最先端の木材と後続木材の分離が確実に行え、木材の送り出す速度を速くしても、回転ブラシ機構によって最先端の木材だけを一本ずつ正確に取出しコンベア上へ倒し込むことができ、生産ライン全体の生産能力の増大が図ることができる。
【0016】
また、取出しコンベア上に送り込まれた木材を両側から挟む押圧ロールを配置し、前記押圧ロールで木材を送り出すようにしたので、取出しコンベア上の木材を両側から挟み、定位置押圧ロールを基準に取出しコンベアの送り速度に合わせて送り出すことができ、取出しコンベアの送り速度を速くしても、取出しコンベアのベルトと木材のスリップ発生がなく、これによって生産ライン全体の生産能力の増大が図ることができる。
【0017】
更に、押圧ロールによって木材を位置決めして送ることができ、取出しコンベアで送り出された木材の次工程での加工が精度よく行え、不良品の発生をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図示例に基づいて説明する。
【0019】
図1と図2のように、傾斜反転式移送装置は、多数本をまとめた状態にした木材Aを支持して長さ方向に送り、先端部に設けた幅方向のストッパー11に当接することによって木材Aを定位置に停止させる送入コンベア12と、前記送入コンベアの一方側方に少し間隔をおいて平行配置され、受け取った木材を長さ方向に送る取出しコンベア13と、前記送入コンベア12と取出しコンベア13の間に配置され、送入コンベア12から押し出された木材Aを取出しコンベア13に誘導する水平のテーブル14と、前記送入コンベア12の他方側に配置され、送入コンベア12上の定位置に停止させた木材Aを並列方向に沿って一方側に押し出す下部プッシャー15と、前記送入コンベア12に対して木材Aが押し出される側の位置に昇降動するよう配置された材料ガイド板16と、前記送入コンベア12の上部に配置され、上下動と木材Aの押し出し方向に沿った前後動が付与される上部プッシャー17と、取出しコンベア13の上部で木材Aの入り側の位置に配置され、取出しコンベア13に向けて押し出されてきた木材Aの上部を強制的に送り出し、木材Aを90°回転させた姿勢で取出しコンベア13上へ一本ずつ送り出す回転ブラシ機構18とで構成されている。
【0020】
上記木材Aは、等しい幅を有する帯板であり、幅方向が起立する状態で多数枚が重なるようにまとめられ、その両端には、図7のように、フィンガージョイントxが予め加工され、この状態で送入コンベア12上に供給されてストッパー11に先端が当接する定位置まで送られ、先端の位置が揃った状態となる。
【0021】
上記下部プッシャー15は、図2と図3のように、木材Aの長さ方向に平行して長く、その断面形状がL形で両端部に転子19が枢止され、両端部の位置に後方へ突出するよう固定したラック20が、送入コンベア12のフレームに取付けた連動軸21のピニオン22で支持され、同じく送入コンベア12のフレームに取付けたシリンダ23で、送入コンベア12上を幅方向に進退動し、その垂直となる前面で上記した姿勢の木材Aを取出しコンベア13側に向けて押し出すようになっている。
【0022】
上記送入コンベア12と取出しコンベア13上で、下部プッシャー15が進退動する部分の上部に、送入コンベア12と取出しコンベア13を跨ぐ支持枠24を設け、この支持枠24の上部両側を構成し、木材Aの押し出し方向に平行するように配置した摺動台25の下部に、上部プッシャー17が上下動と木材Aの並列方向に沿う進退動をするように取付けられている。
【0023】
上記摺動台25の下部に、スライドレール26を介して木材Aの並列方向に移動可能となる水平可動台27と、この水平可動台27の前面側にスライドレール28を介して取付けられ、上下に移動可能となる垂直可動台29が設けられ、前記水平可動台27は支持枠24に固定したシリンダ30によって進退動が付与され、また、前記垂直可動台29は水平可動台27に固定したシリンダ31によって昇降動が付与され、前記した両側の垂直可動台29の下部に上部プッシャー17が下向きの垂直に取付けられ、この上部プッシャー17は、両シリンダ30と31の伸縮で上下動と木材Aの並列方向の進退動が付与され、その垂直の前面で木材Aを押し出すことになる。
【0024】
上記材料ガイド板16は、図2と図4のように、木材Aの長さ方向に平行して長く、長さ方向に一定間隔の配置となり上縁で開放する凹欠部32を設けた櫛歯状に形成され、送入コンベア12のフレーム等に固定した一対のシリンダ33で両端部が支持されて垂直で上下動するよう配置され、テーブル14には櫛歯に対応する配置の貫通孔34が設けられ、櫛歯の部分がテーブル14の上面から出没し、上昇状態で送入コンベア12上に送り込まれた木材Aを誘導することになる。
【0025】
なお、図示省略したが、下部プッシャー15を材料ガイド板16と同様の上縁で開放する凹欠部を設けた櫛歯状に形成し、これに対して上部プッシャー17は、下縁で開放する凹欠部を下部プッシャー15の櫛歯が通過する配置で櫛歯状に形成し、下部プッシャー15と上部プッシャー17の前後移動に干渉が生じないようになっている。
【0026】
また、図1のように、送入コンベア12上で材料ガイド板16と反対側にも、送入コンベア12上に送り込まれた木材Aを誘導するためのガイド35が設けられている。
【0027】
上記送入コンベア12の側部と取出しコンベア13の間に配置したテーブル14は、上面が送入コンベア12と同一面となるよう水平に位置され、このテーブル14の上面に、図1と図2のように、送入コンベア12から取出しコンベア13に向けて押し出される木材Aを、押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させるスロープ51が設けられている。
【0028】
このスロープ51は、テーブル14の幅方向の途中から取出しコンベア13上に臨む側縁を上向きに屈曲させて形成してもよいが、図示の場合、テーブル14の幅方向の途中から取出しコンベア13上に臨む側縁の間において、送入コンベア12から取出しコンベア13側に向けて上り傾斜となるテーパー状の板を、テーブル14の長さ方向に所定の間隔で複数設けることによって形成されている。
【0029】
また、上記取出しコンベア13の上部には、テーブル14と反対側の上面に、木材Aの送り方向に長い垂直のガイド52と、テーブル14に対して木材送り出し方向の前端で両側の位置に、この取出しコンベア13上に送り込まれた木材Aを両側から挟む一対の押圧ロール53、54が配置され、取出しコンベア13上に送り込まれた木材Aを、この押圧ロール53、54で送り出すようにしている。
【0030】
上記押圧ロール53、54は、取出しコンベア13上に送り込まれた木材Aの一方側面を受けるよう、テーブル14に対して木材送り出し方向の前端位置に配置した定位置押圧ロール53と、木材Aの他方側面を定位置押圧ロール53に向けて押圧するよう、取出しコンベア13の幅方向を挟んで定位置押圧ロール53と対向する位置に配置した可動押圧ロール54とで形成されている。
【0031】
上記定位置押圧ロール53と可動押圧ロール54は共に水平の円板状となり、図2のように、定位置押圧ロール53は、取出しコンベア13のフレーム上に回転可能に枢止され、外周の一部が取出しコンベア13上に位置する配置になっている。
【0032】
図7と図8は、上記可動押圧ロール54の取付け構造を示し、取出しコンベア13のフレーム上に設けた垂直軸55に、水平に揺動可能となるよう揺動アーム56の一端側を枢止し、この揺動アーム56の先端の軸57の下端に可動押圧ロール54を回転可能に取付け、上記フレームの固定腕58と揺動アーム56をシリンダ59で連結し、シリンダ59の伸縮作動で前記可動押圧ロール54を平面的に揺動させるようになっている。
【0033】
図1のように、上記取出しコンベア13の前方に次の加工工程となる圧締装置60が配置され、この圧締装置60における木材支持台の両側に木材Aを両側から挟んで送る一対のチエン搬送体61が設けられ、上記垂直軸55にチエン搬送体61のスプロケット62が固定され、この垂直軸55と軸57がスプロケットとチエン63で連動され、一方チエン搬送体61を駆動源として上記可動押圧ロール54が、木材送り方向に回転駆動されるようになっており、取出しコンベア13上に木材Aが送り込まれるごとに、定位置押圧ロール53と可動押圧ロール54で木材Aを両側から挟み、定位置押圧ロール53を基準に取出しコンベア13の送り速度に合わせて木材A送り出すことになる。
【0034】
上記回転ブラシ機構18は、図2のように、支持枠24に水平状態でブラシ37を取付け、このブラシ37が、木材Aの送り出し方向の前方で取出しコンベア13の上部に位置し、テーブル14に設けたスロープ51の先端部直上に外周の一部が臨むように配置されている。
【0035】
上記ブラシ37は、ハンドル40により高さ位置が調整可能となり、このブラシ37がモータ38の駆動で図2の矢印で示す反時計方向に回転することにより、押し出されてきた最前端に位置する木材Aの上部を強制的に送り出して倒し、木材Aを90°回転させた姿勢で取出しコンベア13上へ一本ずつ送り出すようになっており、木材Aは取出しコンベア13上へ幅方向が水平になる姿勢で供給され、次の加工工程に送られることになる。
【0036】
この回転ブラシ機構18には、送り出されてきた最前端の木材Aを上から押えるロール製のコレクト39が、ブラシ37の木材入り側の位置に組合せ配置され、このコレクト39はブラシ37と一体に高さ位置が調整可能となっている。
【0037】
上記した移送装置の各所には、図1と図2のように、上記した下部プッシャー15、材料ガイド板16、上部プッシャー17等の各部の動きを制御するためのセンサーやスイッチが配置されている。
【0038】
図1と図2は、移送方法におけるセンサーやスイッチの配置を示しており、上記送入コンベア12上におけるストッパー11の近くでガイド35側の位置に、前記送入コンベア12上のストッパー11に先端が当接した木材Aを検出し、この検出によって材料ガイド板16を下降動させると共に下部プッシャー15を前進動させて木材Aを押し出すようにする光電管のような材料検知センサーaが設けられている。
【0039】
また、上記下部プッシャー用シリンダ23が前進し下部プッシャー15のセンサー検出板41が上部プッシャー17の上昇後退待機位置のセンサーcを通過するとこれを検出し、上部プッシャー用シリンダ31を作動させ、上昇後退位置に待機する上部プッシャー17を下降限まで下降させ、下降限にセットされているリードスイッチが働くと上部プッシャー17は高速で前進することとなる。
【0040】
センサーcは上部プッシャー17と一体移動するよう上部プッシャー17に取付けられ、プッシャー17が下降し高速前進中に下部プッシャー15のセンサー検出板41を検出すると、上部プッシャー17の前進動を低速前進動に切り換え、下部プッシャー15を後退位置に戻すこととなる。
【0041】
更に、上部プッシャー17が低速前進し、材料ガイド板16を超えた所定の前進位置にてセンサーbにて検出されると、前記材料ガイド板用シリンダ33により材料ガイド板16を上昇させることとなり、このとき材料ガイド板16用シリンダ33は前進限まで押出され、前進限にセットされたリードスイッチが働き、待機している次の木材を送入コンペア12へ送入するようにし、前記上部プッシャー用シリンダ30が前進限位置に達すると、上部プッシャー用シリンダ30の前進限にセットされたリードスイッチが働き、上部プッシャー用シリンダ30と31を作動させることにより、上昇後退動を与え、元の上昇後退動位置へ戻すことになり、また、取出しコンベア13の上に供給された木材Aを検出する光電管のようなセンサーfが設けられ、この木材Aを検出するセンサーfが、取出しコンベア13上の木材Aを検出している間は、前記下部プッシャー15及び上部プッシャー17の前進動を一時的に停止させるようになっている。
【0042】
この発明の傾斜反転式移送装置は、上記のような構成であり、移送方法を図1と図5、図6を用いて説明する。
【0043】
図5(a)のように、材料ガイド板16が上昇する状態で、多数本がまとめられた木材Aを送入コンベア12上に供給し、この送入コンベア12で送られる木材Aの先端がストッパー11に当接して停止し、この木材Aをセンサーaが検出すると、材料ガイド板16が下降し、続いて下部プッシャー15が前進し、図5(b)のように、送入コンベア12上の木材Aをテーブル14上から取出しコンベア13に向けて押し出しを開始する。
【0044】
図5(b)のように、上記下部プッシャー15が前進し、待機位置にある上部プッシャー17と一体移動するように取付けられたセンサーcにて図5(b)のように下部プッシャー15のセンサー検出板41の通過を検出すると、図6(a)のように、待機位置にある上部プッシャー17が下降した後高速で前進し、センサーcが下部プッシャー15に接近し、下部プッシャー15のセンサー検出板41を検出すると、上部プッシャー17の前進が低速に切り替わり、下部プッシャー15が後退位置に戻り、木材Aの押し出しが下部プッシャー15から上部プッシャー17に引き渡される。
【0045】
上部プッシャー17は木材Aを押しながら前進し、材料ガイド板16を超えた所定の前進位置にて上部プッシャー17をセンサーbが検出すると、図6(b)のように前記材料ガイド板用シリンダ33により材料ガイド板16が上昇し、材料ガイド板用シリンダ33の上昇限リードスイッチの働きにより、図6(b)の一点鎖線で示すように、送入コンペア12上に次の木材Aの供給を行い、木材Aの先端のストッパー11への当接をセンサーaが検出すると送入コンベア12は停止し、上部プッシャー17がさらに前進し、上部プッシャー用シリンダ30が前進限に達して、これを前進限リードスイッチが検出すると、図6(b)の矢印で示したように上部プッシャー17はシリンダ31の収縮で上昇し、このシリンダ31の上昇限リードスイッチにて上昇を検出すると、上部プッシャー用シリンダ30が収縮して上部プッシャー17は元の待機位置に後退し、この時上部プッシャー用シリンダ30は後退限迄後退するため、前記シリンダ30の後退限リードスイッチがこれを検出すると、図6(a)のように材料ガイド板16が下降し、続いて下部プッシャー15が前進し、送入コンベア12上の木材Aをテーブル14から取出しコンベア13に向けて押出しを開始する。
【0046】
上記下部プッシャー15及び上部プッシャー17の前進によって押し出された木材Aは、テーブル14上を取出しコンベア13に向けて移動し、木材Aはこのテーブル14上に設けたスロープ51上に押し上げられていく。
【0047】
スロープ51上を移動する木材Aは、スロープ51で押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜し、テーブル14の水平部分にある後続の木材Aで支持され、押し出し方向前方への自然な倒れ込みが発生しない姿勢になる。
【0048】
上記テーブル14におけるスロープ51の先端部に達した最前部の木材Aは、図5(b)や図6(b)のように、回転するブラシ37で上部が強制的に前方へ送り出され、スロープ51の先端部に位置する下縁を支点にして90°回転させられ、幅方向が水平になる姿勢で取出しコンベア13上へ送り出される。
【0049】
上記のように、スロープ51の先端部に達した最前部の木材Aが、ブラシ37で強制的に前方へ倒されるとき、最前端の木材Aに対して後方に傾斜している後続の木材Aが同時に引き起こされることがなくなり、最先端の木材Aと後続木材Aの分離が確実に行え、回転ブラシ37によって最先端の木材Aだけを一本ずつ正確に取出しコンベア13上へ倒し込むことができ、これによって、木材Aの送り出す速度を速くすることが可能になる。
【0050】
なお、取出しコンベア13の上に供給された木材Aを検出するセンサーfが取出しコンベア13上の木材Aを検出している間は、上記下部プッシャー15及び上部プッシャー17の前進動を一時的に停止させるようになっているので、木材Aは一本ずつが取出しコンベア13上へ供給され、この取出しコンベア13で次の加工工程に送られることになる。
【0051】
上記取出しコンベア13の上部両側には、一対の押圧ロール53、54が配置され、木材Aの供給前は可動押圧ロール54が後退位置に待機し、上記センサーfが取出しコンベア13上の木材Aを検出するとシリンダ59が伸長し、回転駆動されている可動押圧ロール54が前進動し、木材Aの他方側面を定位置押圧ロール53に向けて押圧することで、定位置押圧ロール53を基準にして、定位置押圧ロール53と可動押圧ロール54で木材Aを挟み、取出しコンベア13とで木材Aを前方に送り出すことになる。
【0052】
このように、取出しコンベア13上へ供給された木材Aを定位置押圧ロール53と可動押圧ロール54で両側から挟んで前方に送り出すようにすると、取出しコンベア13のベルトと木材Aの間のスリップ発生を防ぐことができ、これによって、取出しコンベア13の送り速度を高速化することができる。
【0053】
また、取出しコンベア13上の木材Aは、定位置押圧ロール53を基準に幅方向が位置決めされて送られるので、フィンガージョイントxを圧締する次の加工工程において、目違いの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】木材が送り込まれて定位置に停止する状態を示す傾斜反転式移送装置の全体構造の平面図
【図2】送り込まれた木材を取出しコンベアに押し出している状態を示す傾斜反転式移送装置の側面図
【図3】(a)は傾斜反転式移送装置における下部プッシャーの平面図、(b)は下部プッシャーの側面図
【図4】(a)は傾斜反転式移送装置における材料ガイド板の正面図、(b)は同側面図
【図5】(a)は傾斜反転式移送装置による移送方法において、送入コンベア上に木材が供給された状態を示す説明図、(b)は下部プッシャーで木材を押し出している状態の説明図
【図6】(a)は上部プッシャーで木材を押し出している途中の状態の説明図、(b)は上部プッシャーで木材を押し出している途中に送入コンベア上に次の木材が供給された状態を示す説明図
【図7】傾斜反転式移送装置における取出しコンベアに設けた押圧ロールの取付け構造を示す拡大した平面図
【図8】傾斜反転式移送装置における取出しコンベアに設けた押圧ロールの取付け構造を示す拡大した正面図
【図9】(a)は従来の移送装置において、送入コンベア上に次の木材が供給された状態を示す説明図、(b)はプッシャーで木材を押し出している状態の説明図
【符号の説明】
【0055】
11 ストッパー
12 送入コンベア
13 取出しコンベア
14 テーブル
15 下部プッシャー
16 材料ガイド板
17 上部プッシャー
18 回転ブラシ機構
19 転子
20 ラック
21 連動軸
22 ピニオン
23 シリンダ
24 支持枠
25 摺動台
26 スライドレール
27 水平可動台
28 スライドレール
29 垂直可動台
30 シリンダ
31 シリンダ
32 凹欠部
33 シリンダ
34 貫通孔
35 ガイド
36 シリンダ
37 ブラシ
38 モータ
39 コレクト
40 ハンドル
41 センサー検出板
51 スロープ
52 ガイド
53 定位置押圧ロール
54 可動押圧ロール
55 垂直軸
56 揺動アーム
57 軸
58 固定腕
59 シリンダ
60 圧締装置
61 チエン搬送体
62 スプロケット
63 スプロケットとチエン
A 木材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数本をまとめた状態にした木材を送入コンベアで送り、この送入コンベア上の定位置に停止させた木材を並列方向に沿って押し出し、最先端に位置する木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すことにより、この木材を前方に倒して姿勢を90°変換することで、側方の取出しコンベア上へ一本ずつ送り込み、取出しコンベアで次の加工工程へ送る傾斜反転式移送方法において、
前記送入コンベアの側部と取出しコンベアの間に、取出しコンベアに向けて上り傾斜のスロープを設け、前記送入コンベアから取出しコンベアに向けて押し出される木材を、前記スロープで押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させ、傾斜した木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すことにより、この木材を前方に倒して取出しコンベア上へ送り込むようにすることを特徴とする傾斜反転式移送方法。
【請求項2】
多数本をまとめた状態にした木材を送入コンベアで送り、この送入コンベア上の定位置に停止させた木材を並列方向に沿って押し出し、最先端に位置する木材の上端を回転ブラシ機構で送り出すことにより、この木材を前方に倒して姿勢を90°変換することで、側方の取出しコンベア上へ一本ずつ送り込み、取出しコンベアで次の加工工程へ送る傾斜反転式移送装置において、
前記送入コンベアの側部と取出しコンベアの間に、取出しコンベアに向けて上り傾斜となり、前記送入コンベアから取出しコンベアに向けて押し出される木材を、押し出し方向に対して上端が後方に位置するように傾斜させるスロープを設け、このスロープの先端側の上部の位置に、傾斜した木材の上端を送り出すことにより、この木材を前方に倒して取出しコンベア上へ倒し込む回転ブラシ機構を配置したことを特徴とする傾斜反転式移送装置。
【請求項3】
上記取出しコンベアの上部で両側の位置に、この取出しコンベア上に送り込まれた木材を両側から挟む押圧ロールを配置し、前記押圧ロールで木材を送り出すようにしたことを特徴とする請求項2に記載の傾斜反転式移送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−62159(P2009−62159A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−232406(P2007−232406)
【出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000148818)株式会社太平製作所 (37)
【Fターム(参考)】