説明

傾斜型薄膜

【課題】薄膜の物性制御が容易であり、蒸着工程数の減少による時間節減および製造コストの減少による経済的効果を有する装置を用いて組成比における傾斜型薄膜を提供する。
【解決手段】真空チャンバー内部の複数のスパッターガン12a,12bにより、異種の物質を同時に基板の上面に蒸着する装置において、前記薄膜の組成比制御を、各種の物質成分の基板への経路上に設置された蒸着領域制御板13a,13bを用いて行い、薄膜の厚さ方向に組成比が傾斜的に変わる傾斜型薄膜を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傾斜型薄膜に係り、さらに具体的には、異種の物質の同時蒸着によって、異種の物質の組成が薄膜の厚さ増加に応じて傾斜的に変わるように形成された傾斜型薄膜に関する。特に、前記傾斜型薄膜が超伝導線材の緩衝層を成す傾斜型薄膜に関する。
【背景技術】
【0002】
既存の多様な薄膜蒸着工程において、特に超伝導線材緩衝層蒸着工程は、スパッタリング(sputtering)工程、エバポレーション(evaporation)工程または電子ビーム(e-beam)工程によって行われる。このような超伝導線材緩衝層蒸着工程は、多層薄膜を蒸着するためにそれぞれの薄膜を蒸着する工程を繰り返し行わなければならないという問題点と、それによる工程に対するシステム製作費および維持費が追加され、薄膜蒸着に対する工程数の増加によって超伝導線材の製造時間の短縮および経済性の確保に障害要因として作用している。
【0003】
例えば、2世代超伝導線材として代表されるREBCO(例えば、YBCO、SmBCO、GdBCO、NdBCO)系高温超伝導線材には、必ずしも多層の緩衝薄膜(例えば、Y/YSZ/CeO、CeO/YSZ/CeOなど)を蒸着しなければならない。よって、このような多層の緩衝薄膜を蒸着するために、それぞれのスパッタリング、エバポレーション、電子ビームなどの蒸着に必要な装置を多層薄膜(Y、YSZ、CeO)の数だけ順次作動させて多層の緩衝薄膜を形成させている。
【0004】
このような多層の緩衝薄膜は、各薄膜層間の蒸着のために多数の蒸着工程とそれぞれの工程ごとに蒸着条件を制御しなければならないので、超伝導線材の製造における生産性を低下させる要因となっているうえ、コストの上昇によって経済性を低下させる要因となっている。
【0005】
また、多数の緩衝薄膜間の物性差から問題が発生するおそれがあり、超伝導線材薄膜の全体的な特性制御のための緩衝層蒸着工程制御の難しさから基板と超伝導体間の緩衝層の役割をまともに果たしていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、多様な蒸着装置を用いた異種の物質の同時蒸着によって厚さ増加に応じて異種の物質の組成が傾斜的に変化するようにして、薄膜の物性制御が容易であり、蒸着工程数の減少による時間節減および製造コストの減少による経済性が確保された、傾斜型薄膜を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、真空チャンバーの内部に多数の薄膜蒸着装置が備えられ、異種の物質を組成とする薄膜が同時に基板の上面に蒸着され、前記薄膜は、異種の物質成分が基板に到達する経路上に形成された蒸着領域制御板によって、薄膜の厚さ増加に応じて組成比が傾斜的に変わるように形成されたことを特徴とする、傾斜型薄膜を提供する。
【0008】
また、前記傾斜型薄膜は、超伝導線材の緩衝層であることが好ましい。
【0009】
また、前記緩衝層は、Yx−11−xO層(Yttrium Zirconium Oxide layer)を含み、ここで、xは薄膜の厚さ増加に応じて減少し、YとZr成分が薄膜の厚さ増加に応じて傾斜的に減少及び増加することが好ましい。また、前記緩衝層は、Y1−xO/Yで形成され、Y1−xO層とY層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてYとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層がさらに形成されたことが好ましい。また、前記緩衝層は、CeO/Y1−xO/Yで形成され、CeO層とY1−xO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeとYおよびZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成され、Y1−xO層とY層との間には、Y成分とZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成されたことが好ましい。
【0010】
また、前記緩衝層は、C1−xO層(Cerium Zirconium Oxide layer)を含み、ここで、xは薄膜の厚さ増加に応じて減少し、CeとZr成分が薄膜の厚さ増加に応じて傾斜的に減少及び増加することが好ましい。また、前記緩衝層は、C1−xO/CeOで形成され、C1−xO層とCeO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成されたことが好ましい。また、前記緩衝層は、CeO/C1−xO/CeOで形成され、CeO層とC1−xO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeおよびZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成され、C1−xO層とCeO層との間には、CeとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、多様な蒸着装置を用いた異種の物質の同時蒸着によって薄膜の厚さ増加に応じて異種の物質の組成が傾斜的に変化するようにして、薄膜の物性制御が容易であり、蒸着工程数の減少による時間節減および製造コストの減少による経済性が確保された、傾斜型薄膜を提供することができるという効果がある。
【0012】
また、前記傾斜型薄膜を超伝導線材の緩衝層で形成させた場合には、超伝導線材蒸着工程が全体的に簡単になり、異種の物質からなる緩衝層の組成が厚さ増加に応じて傾斜的に減少及び増加する単一緩衝層を提供することにより、超伝導線材の物性制御が容易であり、高品質のより経済性に優れた超伝導線材の緩衝層を提供することができるという効果がある。
【0013】
また、前記単一緩衝層が形成された超伝導線材緩衝層として、Y1−xO層(Yttrium Zirconium Oxide layer)またはC1−xO層(Cerium Zirconium Oxide layer)などを含む超伝導線材単一緩衝層を提供し、これは従来のYSZ(Yittrium Stabilized Zirconium)とは完全に異なる新物質であって、単一蒸着工程によって工程時間および費用を画期的に減少させると同時に超伝導線材緩衝層として十分な役割を果たすことが可能な、新しい概念の単一緩衝層を提供するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明に係る傾斜型薄膜は、基板の上側に形成された薄膜の組成が厚さ増加に応じて減少及び増加することをいい、特に薄膜を成す成分が異種の物質からなる場合、厚さ増加に応じていずれか一つの薄膜の組成が増加または減少するように形成されたものである。
【0015】
特に、このような傾斜型薄膜は、超伝導線材の緩衝層を成す場合にその作用および効果が優れる。これは、一般に超伝導線材の緩衝層が異種の物質からなり、それぞれの物質からなる緩衝層を形成させるためには多様な工程を行う。このように形成された緩衝層は、多層を成すので、各緩衝層同士の界面間および緩衝層と基板との間には物性差異が生じて超伝導線材の特性制御が難しく、これにより超伝導線材の物性が低下する。
【0016】
すなわち、本発明に係る傾斜型薄膜が超伝導線材の緩衝層を成す場合には、このような多層の緩衝層を成す物質の組成が全体的且つ傾斜的に変化し、まるで単一の緩衝層を成す形態をもつ。これにより、超伝導線材の特性制御が容易であり、超伝導線材の物性が向上する。
【0017】
このような薄膜の厚さ増加に応じて単一の傾斜型組成分布を成す緩衝層は、物理的蒸気蒸着装置(physical vapor deposition system)を用いて蒸着されたものである。一般に、物理的蒸気蒸着装置は、スパッタリング装置、エバポレーション装置、または電子ビーム装置が使用される。
【0018】
前記蒸着装置の真空チャンバーの内部では、異種の物質の蒸着のために、多数の蒸着物質が各スパッタリングガンに取り付けられ、前記エバポレーション装置および電子ビーム装置の真空チャンバーの内部では、異種のターゲットが各エバポレーション坩堝の内部に挿入されることにより、スパッタリングガン、エバポレーション坩堝または電子ビームホルダーの作動によって異種の蒸着成分が対向位置の基板に蒸着される。
【0019】
この場合、前記スパッタリングガン、エバポレーション坩堝または電子ビームホルダーは、前記異種のターゲット数だけ設けられ、全てのスパッタリングガン、エバポレーション坩堝または電子ビームホルダーの同時作動によって異種の蒸着成分が同時に基板に蒸着されるようにする。
【0020】
この際、前記蒸着成分が基板に到達する経路上で蒸着領域を制御するために、蒸着装置に対する柔軟性がある材質の蒸着領域制御板を用いて、蒸着領域に対する制御と共に、蒸着成分に対する原子または分子速度の制御を行い、基板上の所定の領域に、新しい成分およびこれらの組合せからなる組成の緩衝蒸着物質を形成することができる多様な蒸着領域を設定することができる。
【0021】
通常、超伝導線材蒸着の際にリールツーリール(reel-to-reel)式の基板供給方式によって基板が一側から他側に供給されながら巻かれるが、基板の進行方向に対して、基板からの薄膜の蒸着距離を制御し、蒸着しようとする緩衝層の成分が組み合わされる領域を形成させることにより、基板が移動するにつれて、均一で多様な物質の緩衝層が形成された超伝導線材を製造することができる。
【0022】
すなわち、スパッタリングガン、エバポレーション坩堝または電子ビームホルダーの同時作動および蒸着領域制御によって基板の上側に多様な成分の緩衝層を形成させる。このような緩衝層は、隣接する各緩衝層を成す成分が連続的または傾斜的に変わる傾斜層を形成させる。
【0023】
したがって、前記傾斜層は、異種の成分を持つ緩衝層間に各成分が不連続的に変わるのではなく、連続的または傾斜益に増加または減少する形態を成すようにするものである。このような意味で、一般に界面間の特性差異が大きい従来の多層緩衝層とは異なり、厚さ増加に応じて組成が連続的に変わるようにして、緩衝層がまるで単一薄膜の役割を果たすようにする。これにより、超伝導線材の特性制御が容易になる。
【0024】
本発明の好適な実施例として、傾斜層が形成された超伝導単一緩衝層であって、Y1−xO層(Yttrium Zirconium Oxide layer)またはC1−xO層(Cerium Zirconium Oxide layer)を含む超伝導単一緩衝層に関する。ここで、各蒸着装置の蒸着領域の制御によって、xは定数ではなく、薄膜の厚さ増加に応じて減少する値である。これにより、YとZr成分またはCeとZr成分が薄膜の厚さ増加に応じて傾斜的に変わる。
【0025】
これは、従来の緩衝層薄膜物質として使用されるY、YSZ(Yittrium Stabilized Zirconium)、CeOとは完全に異なる物質であって、組成が傾斜的に形成されて異種物質間の界面が殆どないか、或いは界面間の特性差異が最小化され、いわゆる単一緩衝層を成しながら超伝導線材特性を改善させることができる。
【0026】
前記Y1−xO層(YSZとは異なる物質である)、C1−xO層(CSZとは異なる物質である)を含む超伝導線材単一緩衝層は、基板が供給される方向に対してYターゲット、ZrターゲットまたはCeターゲットなどを形成させ、蒸着領域制御板を所定の位置に位置させることにより、基板が進行しながら、ZrまたはYまたはCe成分などを含む緩衝層をY1−xO層、C1−xO層の生成と同時に生成させることができ、各緩衝層の間には各成分が傾斜的に増加または減少する傾斜層が形成される。
【0027】
ここで、蒸着領域の適切な制御によって緩衝層全体の物質組成が傾斜的に変わるようにして界面のない単一の緩衝層を形成させるか、或いは上下側にZrまたはYまたはCe成分から形成し、それらの間にはY1−xOまたはC1−xOなどの傾斜層を形成させることができる。これにより、既存の多層の緩衝層の間で発生しうる物性差異を最小化させるか、或いは界面のない薄膜の全厚に対して単一の緩衝層を形成させ、結果として超伝導線材の特性制御が容易であり、これにより高品質の超伝導線材を得ることができる。
【0028】
このようなY1−xO層を含む単一緩衝層として、Y1−xO/Yの構成が好ましく、前記Y1−xO層とY層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてY層から上側に行くほどY成分が傾斜的に減少(Zr成分は傾斜的に増加)し、Y1−xO層から下側に行くほどZr成分が傾斜的に減少(Y成分は傾斜的に増加)する傾斜層が形成される。このような傾斜層は、必要に応じて、蒸着領域の制御から適切な厚さに選択して蒸着することができる。
【0029】
また、Y1−xO層を含む単一緩衝層として、CeO/Y1−xO/Yの構成が好ましく、前記CeO層とY1−xO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてY1−xO層から上側に行くほどCe成分が傾斜的に増加(YとZr成分は傾斜的に減少)し、CeO層から下側に行くほどCe成分が傾斜的に減少(YとZr成分は傾斜的に増加)する傾斜層が形成され、そして、Y1−xO層とY層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてY層から上側に行くほどY成分が傾斜的に減少(Zr成分は傾斜的に増加)し、Y1−xO層から下側に行くほどZr成分が傾斜的に減少(Y成分は傾斜的に増加)する傾斜層が形成される。
【0030】
また、C1−xO層を含む単一緩衝層においては、基板が供給される方向に対してZrターゲットとCeターゲットなどを垂直または水平に形成させ、蒸着領域制御板を所定の位置に位置させることにより、基板が進行しながら、ZrまたはCe成分などを含む緩衝層をC1−xO層の生成と同時に生成させることができ、各緩衝層の間には各成分が傾斜的に増加または減少する傾斜層が形成される。このような傾斜層は、必要に応じて、蒸着領域の制御から適切な厚さに選択して蒸着することができる。
【0031】
このようなC1−xOを含む単一緩衝層として、C1−xO/CeOの構成が好ましく、前記C1−xO層とCeO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeO層から上側に行くほどZr成分が傾斜的に増加し、C1−xO層から下側に行くほどZr成分が傾斜的に減少する傾斜層が形成される。
【0032】
このようなC1−xOを含む単一緩衝層として、CeO/C1−xO/CeOの構成が好ましく、前記上側CeO層とC1−xO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じて上側CeO層から下側に行くほどZr成分が傾斜的に増加し、C1−xO層から上側に行くほどZr成分が傾斜的に減少する傾斜層が形成され、そして、C1−xO層と下側CeO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeO層から上側に行くほどZr成分が傾斜的に増加し、C1−xO層から下側に行くほどZr成分が傾斜的に減少する傾斜層が形成される。
【0033】
以下では、本発明の好適な実施例として、Y1−xOからなる単一緩衝層に対する物性および前記単一緩衝層が形成された超伝導線材の特性について考察しようとする。前記Y1−xOからなる単一緩衝層は、表1の蒸着条件で蒸着された。
【0034】
【表1】

【0035】
まず、単一緩衝層が含まれた、YBCO/Y1−xO/NiWからなる超伝導線材薄膜を蒸着するために、図1のようなリールツーリール装置を構成した。これは、真空チャンバーの内部に、超伝導基板を成す線材14を供給し巻き取るリール11b、11aが両側に設けられ、これに対向する位置に少なくとも2つの蒸着装置、ここではスパッタリング装置としてのスパッタリングガンが設けられているので、異種の物質の同時蒸着が行われる。
【0036】
図1に示されているように、12bをY用スパッターガンとし、12aをZr用スパッターガンとすると、蒸着領域制御板13b、13aをYまたはZr成分が基板に到達する経路上に適切に配置して蒸着領域および傾斜層の厚さを制御するようにする。基板を成す線材14が左から右に進むほどZrの組成比が高い状態で蒸着され、その結果、厚さが厚くなりながらZrの成分は増加しYの成分は減少する形態で緩衝層が形成される。
【0037】
図2は単一緩衝層が含まれた、YBCO/Y1−xO/NiWからなる超伝導線材薄膜のHR−XRD−RSM(High-Resolution Triple Axis X-Ray Diffraction-RSM、X線回折装置)による分析データであって、既存のYSZ薄膜とは全く異なるXRDパターンから新しい物質の薄膜が形成されたことが分かった。また、Y1−xO層はエピタキシ成長を行ったことが分かる。これは、Y1−xO層がCube Textureを維持しながら成長したことを意味する。また、厚さ増加に応じて格子定数が連続的に変わることを示すと共に、Y1−xOの組成比、すなわちx値によって格子定数が変わることを暗示する。
【0038】
図3は本発明の実施例に係る、Y1−xO単一緩衝層を構成した薄膜のSIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry、二次イオン質量分析器)による分析データであって、Y1−xO層が超伝導線材緩衝層であって蒸着基板の構成元素の拡散に対する障壁として十分な役割を果たしていることが分かった。図3に示すように、Y1−xO層の右はNiW基板とY1−xO層との境界面に該当し、境界面から遠くなるほどYおよびZrの相対的な比が連続的(傾斜的)に変わることが分かった。
【0039】
図4はこのように蒸着された単一緩衝層にそれぞれの超伝導線材薄膜を蒸着して超伝導臨界電流特性を示す。図4より、十分に緩衝層薄膜として機能することが分かる。ここで、小さい値を示すのは線材薄膜の蒸着厚さが薄いためであると判断される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る傾斜型薄膜を蒸着するための蒸着装置を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例に係るYBCO/Y1−xO/NiWからなる超伝導線材のHR−XRD−RSMデータを示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係るY1−xO単一緩衝層を構成した薄膜のSIMSデータを示す図である。
【図4】本発明の一実施例に係るYBCO/Y1−xO/NiWからなる超伝導線材の臨界電流特性を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
11a、11b リール
12a Zr用スパッターガン
12b Y用スパッターガン
13a、13b 蒸着領域制御板
14 線材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チャンバーの内部に多数の薄膜蒸着装置が備えられ、異種の物質を組成とする薄膜が同時に基板の上面に蒸着され、前記薄膜は、異種の物質成分が基板に到達する経路上に形成された蒸着領域制御板によって、薄膜の厚さ増加に応じて前記成分組成比が傾斜的に変わるように形成されたことを特徴とする、傾斜型薄膜。
【請求項2】
前記傾斜型薄膜は、超伝導線材の緩衝層であることを特徴とする、請求項1に記載の傾斜型薄膜。
【請求項3】
前記緩衝層は、Y1−xO層(Yttrium Zirconium Oxide layer)を含み、ここで、xは薄膜の厚さ増加に応じて減少し、YとZr成分が薄膜の厚さ増加に応じて傾斜的に減少及び増加することを特徴とする、請求項2に記載の傾斜型薄膜。
【請求項4】
前記緩衝層は、Y1−xO/Yで形成され、Y1−xO層とY層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてYとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層がさらに形成されたことを特徴とする、請求項3に記載の傾斜型薄膜。
【請求項5】
前記緩衝層は、CeO/Y1−xO/Yで形成され、CeO層とY1−xO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeとYおよびZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成され、Y1−xO層とY層との間には、YとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成されたことを特徴とする、請求項3に記載の傾斜型薄膜。
【請求項6】
前記緩衝層は、C1−xO層(Cerium Zirconium Oxide layer)を含み、ここで、xは薄膜の厚さ増加に応じて減少し、CeとZr成分が薄膜の厚さ増加に応じて傾斜的に減少及び増加することを特徴とする、請求項2に記載の傾斜型薄膜。
【請求項7】
前記緩衝層は、C1−xO/CeOで形成され、C1−xO層とCeO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成されたことを特徴とする、請求項6に記載の傾斜型薄膜。
【請求項8】
前記緩衝層は、CeO/C1−xO/CeOで形成され、CeO層とC1−xO層との間には、薄膜の厚さ増加に応じてCeとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成され、C1−xO層とCeO層との間には、CeとZr成分が傾斜的に減少及び増加する傾斜層が形成されたことを特徴とする、請求項6に記載の傾斜型薄膜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−108404(P2009−108404A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196052(P2008−196052)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(507296791)コリア エレクトロテクノロジー リサーチ インスティテュート (24)
【Fターム(参考)】