説明

充電ケーブルロック構造

【課題】 本発明は、防犯効果の高い充電ケーブルロック構造を提供する。
【解決手段】 充電ケーブルロック構造90は、充電口50を内側に収容して自動車10の外側に向かって開口する凹部40を開閉すると共に第1の貫通孔64が形成される蓋部材側縦壁部61を備えた蓋部材60を有する。充電ケーブル80は、充電口50に接続されるコネクター部81とコネクター部81から延びるケーブル部82を備え、蓋部材側縦壁部61とコネクター部81を、第1の貫通孔64に挿通させたワイヤ部材100でロックして、充電口50に充電ケーブル80を接続状態にロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される電池を充電する際に充電ケーブルが盗難されることを防止する充電ケーブルロック構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電動車は、走行の駆動源としての電動機と、電動機に電力を供給する電池とを備えている。電池は、充電される必要がある。電池の充電方法としては、高速道路等に設置される急速充電機のようなものからすることもあれば、家庭用電源を用いる充電方法もある。
【0003】
一方、一般に家庭用電源で充電する場合は、電動車に車載された専用の充電ケーブルが用いられる。この充電ケーブルの一端部には電動車に設けられる充電口に接続されるコネクター部が設けられており、他端部には電源に接続されるコネクター部が設けられている。また、家庭用電源の電圧は一般に100Vから200Vであるため、駆動用バッテリが満充電となるまで、長時間を要する。この間、コネクター部に上述の専用ケーブルを装着したまま放置することとなり、専用ケーブルの盗難や、車両のコネクター部から運転者が意図せずケーブルが抜かれるなどの行為がされる可能性がある。運転者が意図せず充電ケーブルが抜かれると、電池の充電率が低くなるため、充電の対象が駆動用電池の場合、運転者は目的地まで行けなくなるという不都合が生じることとなる。
【0004】
従来、これら盗難を防止するために、電池を充電しているときにコネクター部が充電口から外れることを防止するための構造が提案されている。この種の構造は、コネクター部の先端に充電口に係止する係止爪を形成するとともに、係止爪の動作を規制する規制部材を備えている。規制部材は、充電口に取り付けられるとともに、コネクター部が充電口に接続された後に、係止爪を覆うように操作される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかし、電動車の充電口は車両の側壁部に凹部を設け、凹部は、外側に向かって開口しており、底部に配置されている。凹部の開口は、蓋部材によって開閉される。
【0006】
このため、充電口が凹部内に設けられる電動車に特許文献1に開示される規制部材を用いると、凹部内で規制部材を操作することになる。具体的には、凹部内に作業者が手を入れて操作することになる。凹部内にコネクターが挿入されている状態では、作業が困難になることが考えられる。
【0007】
また、充電口が設けられる凹部は開閉する蓋部材によって死角が生じるため、施錠部が一見して明らかに確認することができず、施錠を忘れなどの原因となり防犯効果が低くなるという問題がある。
【0008】
さらに、ドアロックの状態に応じて電子的にコネクター機構をロックするようなもの(例えば特許文献2)もあるが、これらシステムは複雑な構造となり高コストとなるし、車両外部からはロック機構の有無が確認できず十分な防犯効果を発揮できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011−113772号公報
【特許文献2】特開2009−81917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、このように充電ガンを長時間放置しても、施錠部が一見して明らかに確認できることにより、防犯効果の高い充電ケーブルロック構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明の充電ケーブルロック構造は、駆動用バッテリを搭載した電動車両に設けられ前記電動車両とは異なる充電設備から電力供給を受ける充電口に、前記電動車両と前記充電設備との間を結合する充電ケーブルを結合状態にロックする充電ケーブルロック構造おいて、前記充電口を収容する収容部から前記電動車両の外側に向かって開口する開口部を開閉すると共に第1の貫通孔が形成される蓋部材側突出部を形成した蓋部材を有し、前記充電ケーブルは、充電口に接続されるコネクター部とコネクター部から延びるケーブル部を備え、前記蓋部材側突出部とコネクター部を、前記第1の貫通孔に挿通させた挿通部材でロックして、前記充電口に前記充電ケーブルを接続状態にロックする。
【0012】
請求項2に記載に充電ケーブルロック構造は、請求項1の発明において前記コネクター部は、第2の貫通孔が形成される充電ケーブル側突出部を形成される。さらに、前記充電ケーブルロック構造は、前記挿通部材が前記第1及び2の貫通孔を挿通している状態において前記挿通部材は前記蓋部材側突出部と前記ケーブル側突出部とを挟んで一端側と他端側とが連結固定される固定部を具備する。
【0013】
請求項3に記載の充電ケーブルロック構造では、請求項1または2の記載において、前記蓋部材側突出部と前記ケーブル側突出部とは、前記蓋部材が開いておりかつ前記コネクター部が前記充電口に接続されている状態において、前記充電口から前記コネクター部を取り外す方向に沿って重なるとともに、前記蓋部材側突出部は前記ケーブル側突出部よりも外側に配置される。
【0014】
請求項4に記載の充電ケーブルロック構造では、請求項1〜3のうちのいずれか1項の記載において、前記蓋部材が前記開口部を塞ぐ閉位置にあるときに、蓋部材保持装置の挿通部が前記第1の貫通孔を通ることによって前記蓋部材が前記閉位置に保持される。
【発明の効果】
【0015】
本願発明によれば、蓋部材とコネクター部が蓋部材突出部の貫通孔を挿通する挿通部材によりロックされるので、当該作業を行いやすく、コネクター部が充電口から外れることを防止することができる。このため、当該作業に効率を向上することができるともに、構造が複雑化せず安価である。
【0016】
さらに、本願発明によれば蓋部材突出部の貫通孔に挿通部材を挿通させることによって充電ケーブルをロックするので、充電ケーブルをロックする部位のうち蓋部材の死角となる範囲が狭く、車両外部から充電ケーブルがロックされているか否かが確認しやすい。つまり、抜け防止と盗難防止とを兼ね備えた防犯効果がより高い充電ケーブルロック構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を備える自動車を示す斜視図。
【図2】本実施形態の充電ケーブルロック構造を示す斜視図。
【図3】図2に示されるF3−F3線に沿って示す充電ケーブルロック構造の断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を図3と同様に切断して示す断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を示す斜視図。
【図6】図5に示されたコネクター部が充電口に接続された状態を、コネクター部の充電口への接続方向に沿って見た状態を示す側面図。
【図7】図5に示されたコネクター部と充電口とが接続された状態を、図3と同様に切断して示す断面図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を、図3と同様に切断して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を、図1〜3を用いて説明する。図1は、本実施形態の充電ケーブルロック構造を備える自動車10を示している。自動車10は、充電ケーブルロック構造を備える電動車両の一例である。自動車10は、走行するための駆動源として電動機5と、電動機5に電力を供給する駆動用バッテリ20とを備える電気自動車である。駆動用バッテリ20は、充電可能な蓄電池である。なお、電動車の他の例としては、走行するため駆動源として、電動機5に加えて、内燃機関を備える車両であってもよい。
【0019】
図1に示すように、自動車10は、側壁部11に充電口部30が形成されている。図2は、充電口部30を拡大して示す斜視図である。図3は、図2に示されるF3−F3線に沿って示す断面図である。
【0020】
図2,3に示すように、充電口部30は、外側に向かって開口する開口41を有する凹部40と、凹部40内に設けられる充電口50と、蓋部材60と、蓋部材保持装置70とを備える。凹部40は、充電口を収容する収容部の一例である。
【0021】
充電口50は、凹部40の底壁部42に設けられている。充電口50は、駆動用バッテリ20に電気的に接続される端子を備えている。蓋部材60は、一例として、車体前後方向に開閉する。蓋部材保持装置70については、後で説明する。
【0022】
自動車10は、駆動用バッテリ20を充電するための充電ケーブル80を備えている。充電ケーブル80は、自動車10の外部にある充電設備200と充電口50とを電気的に結合することによって、この電源から駆動用バッテリ20に電力を伝達する。充電ケーブル80は、充電口50に接続されるコネクター部81と、ケーブル部82とを備えている。
【0023】
コネクター部81は、一例として、筒形状である。コネクター部81の一端には、充電口50の端子に電気的に接続される端子が設けられている。コネクター部81が充電口50に接続されると、充電口50の端子とコネクター部81の端子とが電気的に接続される。このことによって、外部の充電設備200と駆動用バッテリ20とが電気的に結合される。
【0024】
ケーブル部82は、コネクター部81の他端に連結されている。ケーブル部82は、コネクター部81よりも細い。コネクター部81の他端部83は、次第に縮径する形状である。
【0025】
自動車10は、駆動用バッテリ20の充電中に充電ケーブル80が抜けることを防ぐための、充電ケーブルロック構造90を備えている。なお、充電ケーブル80が抜けるとは、コネクター部81が充電口50から外れることによってコネクター部81の端子と充電口50の端子との電気的接続が解除されることである。
【0026】
充電ケーブルロック構造90は、上記説明された、充電ケーブル80と、凹部40と、蓋部材60と、さらに、ワイヤ部材100と、係合装置110と、蓋部材60に設けられる蓋部材側縦壁部61とを備えている。
【0027】
蓋部材側縦壁部61は、例えば蓋部材60において回動軸62とは反対側の端部に設けられており、内面63を横切る方向に突出している。蓋部材側縦壁部61には、第1の貫通孔64が形成されている。第1の貫通孔64の縁65は、一周連続する環状である。
【0028】
係合装置110は、蓋部材60の内面63に固定されている。このため、係合装置110は、蓋部材60が開いた状態では、凹部40の外側に露出するとともに充電作業者に対して作業を行いやすい位置に配置されることになる。
【0029】
係合装置110には、第1,2の係合部111,112が形成されている。ワイヤ部材100の一端部101は、第1の係合部111に挿入されるとともに取り外し可能に固定される。ワイヤ部材100の他端部102は、第2の係合部112に挿入されるとともに取り外し可能に固定される。
【0030】
係合装置110は、ハウジング113と、ハウジング113内に収容される係合機構114とを備えている。図中、係合機構114は点線で示されている。第1の係合部111にワイヤ部材100の一端部101が挿入されると、一端部101は、係合機構114によって固定される。つまり、ワイヤ部材100の一端部101を第1の係合部111から取り外せない状態になる。第2の係合部112にワイヤ部材100の他端部102が挿入されると、他端部102は、係合機構114によって固定される。つまり、ワイヤ部材100の他端部102を第2の係合部112から取り外せない状態になる。
【0031】
係合機構114は、図2に示される鍵115によって、一端部101の第1の係合部111への固定と他端部102の第2の係合部112とへの固定とを解除できる。具体的には、ハウジング113には、鍵穴116が形成されている。係合機構114には、鍵が挿入される鍵穴が形成されている。この鍵穴と鍵穴116とは互いに向かい合っている。鍵115を鍵穴116に挿入すると、鍵115は、係合機構114に形成される鍵穴に挿入される。
【0032】
係合機構114の鍵穴に鍵115が挿入された状態で鍵115を挿入方向に対する周方向に回すと、係合機構114による、ワイヤ部材100の一端部101と他端部102との第1,2の係合部111,112への固定状態が解除される。このことによって、一端部101と他端部102とを第1,2の係合部111,112から取り外すことができる。
【0033】
ワイヤ部材100は、コネクター部81が充電口50に接続された状態で、第1の貫通孔64を挿通する。そして、一端部101が第1の係合部111に固定され、他端部102が第2の係合部112に固定される。このとき、ワイヤ部材100は、コネクター部81の他端部83に回しかけられている。
【0034】
図3は、ワイヤ部材100がコネクター部81の他端部83に回しかけられるとともに、ワイヤ部材100の一端部101と他端部102とが第1,2の係合部111,112に固定された状態を示している。図3に示すように、コネクター部81の他端部83と係合装置110との位置関係は、係合装置110が他端部83よりもコネクター部81を充電口50から取り外す方向Aに対して反対方向、つまり、コネクター部81を充電口50に接続する方向Bに進んだ側に配置されている。
【0035】
そして、ワイヤ部材100は、一端部101と他端部102とが第1,2の係合部111,112に固定されたときに、コネクター部81の他端部83に接触することによってコネクター部81が充電口50に対して取り外す方向Aに移動することを防止できる長さを有している。
【0036】
コネクター部81の他端部83は、上記したように、次第に狭まる形状である。このため、ワイヤ部材100がたわむことなく他端部83に接触することによって、ワイヤ部材100によってコネクター部81が拘束されるので、コネクター部81が充電口50から外れることを防止できる。
【0037】
本実施形態では、ワイヤ部材100と、蓋部材60に形成される蓋部材側縦壁部61と、蓋部材60に固定される係合装置110とが、充電ケーブル80が抜けることを防止するロック機構150の一例を構成している。このように、ロック機構150は、蓋部材60に設けられている。
【0038】
つぎに、蓋部材保持装置70について説明する。蓋部材保持装置70は、開口41の縁部43に設けられている。蓋部材保持装置70は、蓋部材60が閉じたときに、第1の貫通孔64と対向する位置に配置されている。蓋部材保持装置70は、進退可能な挿通部71を有している。挿通部71は、蓋部材60が閉位置P1にあるときに、第1の貫通孔64を通る長さを有している。挿通部71の進退は、外部から操作可能であり、操作部は、例えば運転席の近傍に設けられている。
【0039】
蓋部材60が開口41を閉じる閉位置P1にあるときは、挿通部71が第1の貫通孔64を通ることによって、蓋部材60の開動作が規制され、それゆえ、蓋部材60は閉位置P1にある状態が維持される。つまり、閉位置P1に保持される。図3では、閉位置P1にある蓋部材60が2点鎖線で示されている。
【0040】
このように構成される充電ケーブルロック構造90では、係合装置110が蓋部材60の内面63に設けられることによって、係合装置110は、作業者にとって作業を行いやすい位置に配置されることになる。このため、ワイヤ部材100の一端部101と他端部102とを係合装置110の第1,2の係合部111,112に固定する作業の効率を向上することができる。さらに、蓋部材60に第1の貫通孔64が形成されることによって、ワイヤ部材100を第1の貫通孔64を挿通させやすくなるので、ワイヤ部材100を第1の貫通孔64を挿通する作業の効率を向上することができる。このように、ロック機構150が蓋部材60に形成されることによって、充電ケーブル80が抜けないようにロックする作業効率を向上できる。
【0041】
また、充電ケーブルロック構造90は、蓋部材側縦壁部61を用いる構造であるので、充電ケーブル80をロックするために用いられる各部品のうち蓋部材60の死角になる範囲が狭くすることができ、それゆえ、充電ケーブル80がロックされているか否かを車両外部から確認しやすい。このため、充電ケーブル80の抜け防止と盗難防止とを兼ね備えた防犯効果を高めることができる。さらに、充電ケーブルロック構造90は、蓋部材側縦壁部61を用いる構造であるので、構造を複雑にすることなく、簡素にすることができる。このため、充電ケーブルロック構造90を安価に作成することができる。
【0042】
また、ワイヤ部材100は、第1,2の貫通孔64,85を挿通した状態において、両端部101,102が第1,2の係合部111,112に固定される構造であるので、充電ケーブル80の抜け防止効果と盗難防止効果とをより一高めることができる。
【0043】
また、係合装置110が蓋部材60の内面63に固定されることによって、駆動用バッテリ20の充電作業時以外ではワイヤ部材100の一端部101と他端部102とを第1,2の係合部111,112に係合して凹部40内に収容することによって、ワイヤ部材100を凹部40内に固定できる。
【0044】
また、第1の貫通孔64は、蓋部材60を閉位置P1に固定する際の蓋部材保持装置70の挿通部71が通る孔としても用いられる。言い換えると、蓋部材側縦壁部61は、蓋部材60を閉位置P1にロックする機構の一部としても機能するので、充電口部30の構造を簡素にすることができる。
【0045】
本発明の第2の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を、図4を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、係合装置110にかえて、南京錠160が用いられる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる構造について具体的に説明する。
【0046】
図4は、本実施形態の充電ケーブルロック構造90を、図3と同様に示す断面図である。図4に示すように、南京錠160は、係合機構161を内側に備える本体部162と、U字状部163とを備えている。係合機構161は、図中点線で示している。U字状部163の一端部164は、本体部162に回動可能に固定されている。U字状部163の他端部165は、係合機構161に着脱可能に固定される。他端部165の係合機構161への固定の解除は、鍵167によって行われる。鍵167を本体部162に形成される鍵穴166に挿入した後、鍵167を挿入方向の周方向に回転することによって、他端部165の係合機構161への固定が解除される。
【0047】
また、一端部164は、係合機構161に対して離れる方向に所定長さ移動することができる。他端部165の係合機構161への固定が解除された状態でU字状部163を係合機構161から離れる方向に移動した後に、U字状部163を一端部164回りに係合機構161に対して回転すると、他端部165が開放される。
【0048】
本実施形態では、上記のように開放された他端部165側からU字状部163を第1の貫通孔64を挿通させる。U字状部163が第1の貫通孔64を通るとともにケーブル部82がU字状部163の内側を通った状態で、U字状部163の他端部165が係合機構161に固定される。U字状部163の大きさは、図4に示されるように、南京錠160がコネクター部81の他端部83に接触することによってコネクター部81が充電口50から取り外す方向Aへの移動を阻止できる大きさを有している。
【0049】
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、南京錠160は、外部から視認されやすいので、充電ケーブル80が抜けないようにロックされている状態を外部から確認しやすくなる。充電ケーブル80のロック状態を外部から確認しやすくなることによって、充電ケーブル80を引き抜こうとするいたずらの発生を抑制することができ、充電ケーブル80の盗難防止効果をより一層高めることができる。
【0050】
本実施形態では、第1の貫通孔64と、南京錠160とが、充電ケーブル80の抜け防止用のロック機構150の一例となる。このように、本実施形態であっても、ロック機構150は、蓋部材60に設けられている。
【0051】
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を、図5〜7を用いて説明する。本実施形態において第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、充電ケーブル80にケーブル側縦壁部84が設けられる点が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる構造について、具体的に説明する。
【0052】
図5は、本実施形態の充電ケーブルロック構造90を示す斜視図である。図5に示すように、充電ケーブル80のコネクター部81には、ケーブル側縦壁部84が形成されている。ケーブル側縦壁部84には、第2の貫通孔85が形成されている。第2の貫通孔85の縁は、一周連続する環状に形成されている。
【0053】
図6は、コネクター部81が充電口50に接続された状態を、コネクター部81の充電口50への取り付け方向Bに沿って見た状態を示している。図7は、コネクター部81が充電口50に接続された状態を、図3と同様に示す断面図である。図6,7に示すように、コネクター部81が充電口50に接続された状態では、蓋部材側縦壁部61は、ケーブル側縦壁部84より外側に位置している。また、ケーブル側縦壁部84と蓋部材側縦壁部61とは、コネクター部81を充電口50から取り外す方向Aに沿って並んでいる。なお、蓋部材60を最大開き位置まで開くことによって、コネクター部81を充電口50に接続するときにケーブル側縦壁部84が蓋部材側縦壁部61に接触することはない。
【0054】
ワイヤ部材100は、第1,2の貫通孔64,85を挿通して、一端部101と他端部102とが第1,2の係合部111,112に固定される。ワイヤ部材100は、第1,2の貫通孔64,85を通った後に一端部101と他端部102とが第1,2の係合部111,112に固定されたときにたるまない長さを有している。また、ワイヤ部材100の両端部101,102が第1,2の係合部111,112に固定された状態では、ケーブル側縦壁部84は、蓋部材側縦壁部61に当接する。
【0055】
本実施形態は、第1の実施形態と同様の効果が得られる。また、充電ケーブル80が取り外す方向Bに移動しようしても、ケーブル側縦壁部84が蓋部材側縦壁部61に当接していることによって、充電ケーブル80の移動が規制されるので、コネクター部81が充電口50から外れることが抑制される。さらに、ワイヤ部材100がたるまないことによって、蓋部材60の回動も規制されるので、コネクター部81が充電口50から外れることがより一層抑制される。
【0056】
なお、本実施形態では、ワイヤ部材100が第1,2の貫通孔64,85を挿通して両端部101,102が第1,2の係合部111,112に固定されている状態において、ケーブル側縦壁部84が蓋部材側縦壁部61に当接している。そして、図6に示すように、第1,2の貫通孔64,85は、互いに対向している。他の例としては、ケーブル側縦壁部84は蓋部材側縦壁部61に当接していなくてもよい。この場合、充電ケーブル80を引き抜こうとするときにケーブル側縦壁部84が蓋部材側縦壁部61に当接することによってコネクター部81が充電口50から外れなければよい。
【0057】
本実施形態では、ロック機構150は、さらに、ケーブル側縦壁部84と第2の貫通孔85とを備える。
【0058】
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る充電ケーブルロック構造を、図8を用いて説明する。なお、第2,3の実施形態と同様の機能を有する構成は、第4の実施形態と同一の符号を付して説明する。
【0059】
本実施形態では、第3の実施形態において、係合装置110とワイヤ部材100とのかわりに、第2の実施形態で用いられた南京錠160が用いられる点が第3の実施形態と異なる。他の構造は、第4の実施形態と同じである。上記異なる点について、具体的に説明する。
【0060】
図8は、本実施形態の充電ケーブルロック構造を、図3と同様に示す断面図である。本実施形態では、上記のように、係合装置110とワイヤ部材100にかえて、南京錠160が用いられる。本実施形態では、南京錠160のU字状部163は、他端部165側から第1,2の貫通孔64,85を挿通する。
【0061】
本実施形態では、U字状部163が第1,2の貫通孔64,85を挿通して他端部165が係合機構161に固定されたときに、ケーブル側縦壁部84は、蓋部材側縦壁部61に当接する。また、蓋部材側縦壁部61とケーブル側縦壁部84とが南京錠160によってロックされたときに、蓋部材60の回動が規制されるように設定されている。具体的には、第1,2の貫通孔64,85の大きさとU字状部163の太さなどが、蓋部材60が回動できないように、設定されている。その一例として、第1,2の貫通孔64,85は、同じ形状大きさであって、かつ、周縁の全域が互いに対向するように並ぶとともに、第1,2の貫通孔64,85の周縁とU字状部163との間には、第1,2の貫通孔64,85内にU字状部163を抜き差しするのに必要な程度の隙間が形成されている。
【0062】
本実施形態では、第2,3の実施形態と同様の効果が得られる。なお、蓋部材側縦壁部61とケーブル側縦壁部84とは、U字状部163が第1,2の貫通孔64,85を挿通して他端部165が係合機構161に固定された状態において、当接していなくてもよい。この場合、充電ケーブル80を引き抜こうしたときに、ケーブル側縦壁部84が蓋部材側縦壁部61に当接することによって、コネクター部81が充電口50から外れなければよい。
【0063】
なお、第1〜4の実施形態では、蓋部材に設けられて外側に突出する蓋部材側突出部の一例として、蓋部材側縦壁部61が用いられた。蓋部材側突出部は、例えば縦壁形状以外の形状であってもよく、第1の貫通孔が形成される形状であればよい。また、第1の貫通孔64は、周縁が一周連続する形状である。他の例としては、一周連続する形状ではなく、途中に外側に連通する溝が形成されてもよい。この場合、溝の大きさは、第1の貫通孔を通る挿通部材がこの溝から抜け出ることがない大きさである。
【0064】
第3、4の実施形態では、充電ケーブルに設けられるケーブル側突出部の一例として、ケーブル側縦壁部84が用いられた。ケーブル側突出部としては、例えば縦壁形状以外であってもよく、第2の貫通孔が形成される形状であればよい。また、第2の貫通孔85は、一例として、周縁が一周連続する形状である。他の例としては、一周連続する形状ではなく、途中に外側に連通する溝が形成されてもよい。この場合、溝の大きさは、第2の貫通孔を通る挿通部材がこの溝から出る抜け出ることがない大きさである。
【0065】
また、第1,3の実施形態で説明されたワイヤ部材100は、第1,2の貫通孔を挿通する挿通部材の一例である。そして、係合装置110は、挿通部材が第1,2の貫通孔を挿通している状態において挿通部材の前記蓋部材側突出部と前記ケーブル側突出部とを挟んで一端側と他端側とが固定される固定部の一例である。ワイヤ部材100の両端部101,102は、上記一端側と他端側の一例であり、第1,3の実施形態では、一端側と両端側とが固定部に対する固定を解除可能となる。
【0066】
第2,4の実施形態で説明された南京錠160のU字状部163は、第1,2の貫通孔を挿通する挿通部材の一例である。そして、本体部162は、挿通部材が第1,2の貫通孔を挿通している状態において挿通部材の前記蓋部材側突出部と前記ケーブル側突出部とを挟んで一端側と他端側とが固定される固定部の一例である。一端部164と他端部165とが一端側と他端側の一例であり、第2,4の実施形態では、他端側のみ固定部に対する固定が解除可能となる。
【0067】
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。
【符号の説明】
【0068】
40…凹部(収容部)、41…開口、50…充電口、60…蓋部材、61…蓋部材側縦壁部(蓋部材側突出部)、70…蓋部材保持装置、71…係合部(挿通部)、80…充電ケーブル、84…ケーブル側縦壁部(ケーブル側突出部)、90…充電ケーブルロック構造、100…ワイヤ部材(挿通部材)、110…係合装置(固定部)、162…本体部(固定部)、163…U字状部(挿通部材)、P1…閉位置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動用バッテリを搭載した電動車両に設けられ前記電動車両とは異なる充電設備から電力供給を受ける充電口に、前記電動車両と前記充電設備との間を結合する充電ケーブルを結合状態にロックする充電ケーブルロック構造において、
前記充電口を収容する収容部から前記電動車両の外側に向かって開口する開口部を開閉すると共に第1の貫通孔が形成される蓋部材側突出部を形成した蓋部材を有し、
前記充電ケーブルは、充電口に接続されるコネクター部とコネクター部から延びるケーブル部を備え、前記蓋部材側突出部と前記コネクター部を、前記第1の貫通孔に挿通させた挿通部材でロックして、前記充電口に前記充電ケーブルを接続状態にロックする
ことを特徴とする充電ケーブルロック構造。
【請求項2】
前記コネクター部には、第2の貫通孔が形成される充電ケーブル側突出部が形成され、
前記挿通部材が前記第1及び2の貫通孔を挿通している状態において前記挿通部材は前記蓋部材側突出部と前記ケーブル側突出部とを挟んで一端側と他端側とが連結固定される固定部を具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の充電ケーブルロック構造。
【請求項3】
前記蓋部材側突出部と前記ケーブル側突出部とは、前記蓋部材が開いておりかつ前記コネクター部が前記充電口に接続されている状態において、前記充電口から前記コネクター部を取り外す方向に沿って重なるとともに、前記蓋部材側突出部は前記ケーブル側突出部よりも外側に配置される
ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電ケーブルロック構造。
【請求項4】
前記蓋部材が前記開口部を塞ぐ閉位置にあるときに、蓋部材保持装置の挿通部が前記第1の貫通孔を通ることによって前記蓋部材が前記閉位置に保持される
ことを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の充電ケーブルロック構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−84524(P2013−84524A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225249(P2011−225249)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】