説明

充電装置

【課題】電池の劣化を考慮して正確な充電時間を算出することを目的とする。
【解決手段】最大充電電流で充電した場合の充電時間を充電特性から算出し(102)、実際の充電電流を決定すると共に補正係数を読み出して、決定した充電電流値及び補正係数を用いて充電時間を予測して表示する(104、106)。そして、充電完了した時点で実際の充電時間と、予測して充電時間とに基づいて、補正係数の補正を行うことにより新たに補正係数を求めて記憶された補正係数を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電装置にかかり、特に、蓄電池を備えて住宅に電力を供給する装置から電気自動車等の蓄電池を充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池は充電するために時間を要するため、充電が完了するまでの時間を予測する種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、バッテリの充電電流を測定することにより、充電器によるバッテリへの充電が満了したことを検出する電流検出回路と、バッテリの環境温度を測定する温度検出回路と、バッテリにおける充電の予測時間を計算する充電予測時間算出手段と、環境温度に応じて充電予測時間算出計算を温度補正する温度補正手段と、を備えて、環境温度に応じたバッテリの充電予測時間を算出することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−287378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、電池は劣化すると充電するために必要な時間が変化してしまうが、特許文献1に記載の技術では、電池の劣化は考慮していないので、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、電池の劣化を考慮して正確な充電時間を算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、蓄電池を充電する充電手段と、蓄電池の電圧を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性に基づいて、前記充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間を算出する算出手段と、前記充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて前記算出手段によって算出された前記充電時間を補正する補正手段と、前記充電手段による蓄電池の実際の充電時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測結果及び前記補正手段によって補正された前記充電時間に基づいて、新たな前記補正係数を求めることにより、前記補正係数を更新する更新手段と、を備え、前記補正手段が、次回の充電時間の補正を行う際に、前記更新手段によって更新された補正係数を前記予め定めた補正係数の代わりに用いることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、充電手段は、蓄電池を充電する。例えば、充電手段は、請求項5に記載の発明のように、電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電する。
【0009】
測定手段では、蓄電池の電圧が測定され、算出手段では、測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性(電圧−充電量の特性)に基づいて、充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間が算出される。例えば、測定した電圧に対応する充電量(SOC)を充電特性から特定し、特定した充電量を所定の電流値で充電するための充電時間を算出する。
【0010】
ところで、蓄電池は、劣化によって充電時間が変化する。そこで、補正手段では、充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて算出手段によって算出された充電時間が補正される。
【0011】
また、劣化度合によって充電時間が変化するので、補正係数を一定の値としたのでは正確な充電時間が得ることができない。そこで、計測手段では、充電手段による蓄電池の実際の充電時間が計測され、更新手段では、計測手段の計測結果及び補正手段によって補正された充電時間に基づいて、新たな補正係数を求めることにより、補正係数が更新される。そして、補正手段が、次回の充電時間の補正を行う際に、更新手段によって更新された補正係数を予め定めた補正係数の代わりに用いて、次回の充電時間の補正が行われる。すなわち、予測値と実測値を用いて補正係数の補正を行って更新するので、次に充電時間を算出する際には、蓄電池の劣化を考慮した補正値を用いて正確な充電時間を算出することができる。
【0012】
なお、請求項2に記載の発明のように、蓄電池を充電する充電手段と、蓄電池の電圧を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性に基づいて、前記充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間を算出する算出手段と、前記充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて前記算出手段によって算出された前記充電時間を補正する補正手段と、前記充電手段による蓄電池の実際の充電時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測結果及び前記補正手段によって補正された前記充電時間に基づいて、新たな前記補正係数を求めることにより、前記補正係数を更新する更新手段と、前記充電手段によって充電する自動車の種類を特定する特定手段と、前記補正係数を自動車の種類毎に記憶する記憶手段と、を備え、前記充電手段が、電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電し、前記補正手段が、前記記憶手段に記憶された前記補正係数のうち前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記補正係数を用いて前記充電時間を補正して、前記更新手段が前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記記憶手段に記憶された前記補正係数を更新する構成としてもよいし、請求項3に記載の発明のように、蓄電池を充電する充電手段と、蓄電池の電圧を測定する測定手段と、前記測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性に基づいて、前記充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間を算出する算出手段と、前記充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて前記算出手段によって算出された前記充電時間を補正する補正手段と、前記充電手段による蓄電池の実際の充電時間を計測する計測手段と、前記計測手段の計測結果及び前記補正手段によって補正された前記充電時間に基づいて、新たな前記補正係数を求めることにより、前記補正係数を更新する更新手段と、前記充電手段によって充電する自動車の種類を特定する特定手段と、前記補正係数を自動車の種類毎に記憶する記憶手段を備えたセンタサーバから前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記補正係数を取得する取得手段と、を備え、前記充電手段が、電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電し、前記補正手段が、前記取得手段に取得された前記補正係数を用いて前記充電時間を補正して、前記更新手段が前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記記憶手段に記憶された前記補正係数を更新する構成としてもよい。
【0013】
また、請求項1に記載の発明は、請求項4に記載の発明のように、補正係数を記憶する記憶手段を更に備えて、補正手段が、記憶手段に記憶された補正係数を用いて充電時間を補正して、更新手段が記憶手段に記憶された補正係数を更新するようにしてもよい。この場合には、請求項6に記載の発明のように、充電手段が、電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電し、記憶手段が、自動車の種類に応じた補正係数を記憶して、補正手段が、自動車の種類に応じた補正係数を用いて充電時間を補正して、更新手段が、当該自動車の種類に対応する記憶手段に記憶された補正係数を補正するようにしてもよい。
【0014】
さらに、請求項7に記載の発明のように、補正手段によって補正された充電時間を表示する表示手段を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明によれば、蓄電池残量の測定結果と充電特性とに基づいて算出した充電時間と、実際の充電時間から充電時間を補正するための補正係数を補正するようにしたので、電池の劣化を考慮して正確な充電時間を算出することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係わる充電装置を備えた住宅の電力供給システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる充電装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わる充電装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態に係わる充電装置の一部の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係わる充電装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる充電装置を備えた住宅の電力供給システムの概略構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、電力供給システム10は、建物内への電力供給を制御するための住宅電力供給装置12を備えている。
【0019】
住宅電力供給装置12には、商用電源14、太陽電池16、発電ユニット18、蓄電池20が接続されており、これらの電力を建物で使用する電力として供給する。なお、図1では、蓄電池20を1つのみ示すが、蓄電池20は複数備えるようにしてもよい。
【0020】
太陽電池16は、太陽エネルギーを電力に変換するソーラーパネルを有し、該ソーラーパネルによって変換された電力を住宅電力供給装置12を介して建物へ供給する。
【0021】
発電ユニット18は、燃料電池を有し、該燃料電池によって発電して、発電した電力を住宅電力供給装置12を介して建物へ供給する。なお、太陽電池16や発電ユニット18は省略するようにしてもよい。
【0022】
住宅電力供給装置12は、電力会社から供給される電力や、太陽電池16から供給される電力、発電ユニット18から供給される電力によって、蓄電池20を充電したり、充電した電力や、上記各電力を建物(例えば、照明機器22や空調装置24等)へ供給するための制御を行う。
【0023】
また、住宅電力供給装置12は、ハイブリッド自動車や電気自動車等の走行用蓄電池26を備えた自動車28が接続可能とされており、自動車28の走行用蓄電池26を充電する充電装置を含んで構成されている。当該充電装置は、商用電源14からの電力や、太陽電池16または発電ユニット18の発電電力、蓄電池20に蓄電された電力等を用いて走行用蓄電池26を充電する。なお、走行用蓄電池26の電力を建物に供給可能にしてもよい。
【0024】
本実施の形態では、住宅電力供給装置12は、走行用蓄電池26に対する充電制御も行うようになっており、走行用蓄電池26を充電する際には、充電完了までの充電時間を算出して表示する機能も備えている。
(第1実施形態)
ここで、住宅電力供給装置12に含まれる本発明の第1実施形態に係わる充電装置50の構成について説明する。図2は、本発明の第1実施形態に係わる充電装置50の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
充電装置50は、図2に示すように、充電時間演算部30、データベース(DB)32、充電時間補正演算部34、満充電判断部36、表示装置38、補正係数演算部40、スイッチ42、及び電圧測定部44を備えている。
【0026】
走行用蓄電池26は図示しないケーブルを介して充電装置10に接続され、電圧測定部44によって走行用蓄電池26の電圧が測定される。
【0027】
DB32には、走行用蓄電池26の電圧とSOC(State of Charge:充電量)の関係を表す充電特性が予め記憶されており、充電時間演算部30は、DB32に予め記憶された充電特性を読み出すと共に、電圧測定部44によって測定した走行用蓄電池26の電圧を取得してSOCを特定し、所定の電流で充電した際の充電時間を演算する。例えば、電圧測定部44によって測定された走行用蓄電池26の電圧及び充電特性からSOCを計算し、計算したSOCとなるまでの充電時間を演算する。
【0028】
充電時間補正演算部34は、実際の充電電流を決定して、決定した充電電流と、DB32に予め記憶された充電時間を算出するための補正係数と、に基づいて、充電時間演算部30によって演算された充電時間を補正する。
【0029】
満充電判断部36は、電圧測定部44によって測定した電圧からSOCを求めて満充電か否かを判断し、満充電と判断した場合には、スイッチ42を制御して走行用蓄電池26への電力供給を遮断する。また、満充電判断部36は、電圧測定部44の測定結果から充電開始を判断して、満充電までの時間(実際の充電時間)を計測し計測結果を補正係数演算部40へ出力する。
【0030】
表示装置38は、液晶表示装置等からなり、建物への電力供給に関する情報を表示すると共に、充電時間補正演算部34によって計算された充電時間を表示する。
【0031】
補正係数演算部40は、満充電判断部36から出力された実際の充電時間と、充電時間補正演算部34によって演算充電時間と、に基づいて、充電時間を補正するための補正係数を算出してDB32に予め記憶された補正係数を更新する。
【0032】
続いて、上述のように構成された本発明の第1実施形態に係わる充電装置50で行われる処理について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係わる充電装置50で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0033】
まず、ステップ100では、充電時間演算部30によってDB32に予め記憶された充電特性が読み出されてステップ102へ移行する。
【0034】
ステップ102では、最大充電電流(Amax)で充電した場合の充電時間T0が充電特性から充電時間演算部30によって算出されてステップ104へ移行する。すなわち、充電時間演算部30が、電圧測定部44によって測定された走行用蓄電池26の電圧及び充電特性からSOCを計算し、計算したSOCとなるまでの充電時間T0を演算する。
【0035】
ステップ104では、実際の充電電流が充電時間補正演算部34によって決定されると共に、DB32から充電時間を補正するための補正係数K1が読み出されてステップ106へ移行する。実際の充電電流の決定は、充電装置50が接続されたブレーカを流れる電流が変化するので、現在のブレーカの電流から許容する電流値を算出したりすることによって決定する。また、充電時間は、蓄電池の劣化等によって変化するので、これを補正するための補正係数K1が読み出される。補正係数K1は初期の値は1とされ、以降の処理によって実際の充電時間に基づく更新が行われる。
【0036】
ステップ106では、充電時間Teが充電時間補正演算部34によって予測されてステップ108へ移行する。すなわち、充電時間補正演算部34は、Te=K1×T0×(Amax/A1)によって充電時間を予測する。なお、K1はDB32に予め記憶された充電時間を算出するための補正係数、T0はステップ102で算出した充電時間、Amaxは最大充電電流、A1はステップ104で決定された充電電流を示す。
【0037】
ステップ108では、充電時間Teが表示装置38に表示されてステップ110へ移行する。
【0038】
ステップ110では、充電完了か否かが満充電判断部36によって判定される。該判定は、満充電判断部36が電圧測定部44によって測定した電圧を取得し、取得した電圧に基づいて満充電か否かを判定し、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ112へ移行する。
【0039】
ステップ112では、DB32に記憶された充電時間を補正するための補正係数K1が補正係数演算部40によって更新されて一連の処理を終了する。すなわち、補正係数演算部40は、ステップ106で予測した充電時間、及び実施の充電時間(満充電判断部36から出力された実際の充電時間)を、補正係数K1=K1×(実際の充電時間)/(予測充電時間)に代入することによって補正係数の補正を行うことにより新たに補正係数K1を求めて、DB32に記憶されている補正係数K1を更新する。これによって充電毎に充電時間を補正するための補正係数K1が更新されるので、蓄電池の劣化によって充電時間が変化しても正確な充電時間が算出可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係わる充電装置について説明する。図4は、本発明の第2実施形態に係わる充電装置の一部の構成を示すブロック図である。
【0040】
第2実施形態では、充電装置に接続される走行用蓄電池26が複数種類を想定したもので、基本的には第1実施形態と同一構成とされており、一部が異なるので、相違点のみ説明する。
【0041】
図4(A)に示すように、第2実施形態では、DB32に複数種類の自動車に対応して充電時間を補正するための補正係数及び走行用蓄電池26の充電特性が記憶されている。例えば、車種毎に補正係数及び充電特性がDB32に予め記憶される。
【0042】
また、第2実施形態の充電時間演算部30及び充電時間補正演算部34には、操作設定部46が更に接続されており、充電装置に接続される自動車に搭載された走行用蓄電池26の種類を選択するための操作が可能とされている。
【0043】
すなわち、操作設定部46によって自動車の種類を予め設定することによって、充電時間演算部30が充電時間を算出する際に用いる充電特性として、予め設定された自動車の種類に対応する充電特性をDB32から読み出して充電時間を演算し、充電時間補正演算部34が、充電時間を補正する際に用いる補正係数として、予め設定された自動車の種類に対応する補正係数をDB32から読み出して充電時間を補正し、補正係数演算部40が、補正係数の補正を行って自動車の種類に対応するDB32の補正係数を更新するようになっている。ここで、自動車の種類とは、例えば、個々の所有している車に応じて、定義して設定されるものであってもよいし、車種名A、車種名B、・・・のように車種名に応じて定義して設定されるものであってもよい。また、同じ車種でも、別々に設定できるように定義して設定してもよい。さらには、それらを区別したものを、表示画面等により報知するようにしてもよい。
【0044】
なお、DB32は、図4(B)に示すように、インターネット等のネットワーク48を介して接続される構成としてもよい。すなわち、サーバ等にDB32を構成して自動車の種類毎の充電特性や補正係数を記憶し、充電時間演算部30がネットワーク48を介して操作設定部46によって設定された自動車の種類に対応する充電特性を取得して充電時間を算出し、充電時間補正演算部34がネットワーク48を介して操作設定部46によって設定された自動車の種類に対応する補正係数を取得して充電時間を補正し、補正係数演算部40が補正係数の補正を行ってネットワーク48を介してDB32に記憶された自動車の種類に対応する補正係数を更新する構成としてもよい。
【0045】
続いて、上述のように構成された本発明の第2実施形態に係わる充電装置で行われる処理について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係わる充電装置で行われる処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
【0046】
まず、ステップ98では、自動車の種類が特性されてステップ101へ移行する。すなわち、操作設定部46の設定により自動車の種類を特定することができ、充電時間演算部30及び充電時間補正演算部34が以降の処理で特定された自動車に種類に対応する充電特性や補正係数K1を読み出す。
【0047】
ステップ101では、特定された自動車に対応する充電特定がDB32から充電時間演算部30によって読み出されてステップ102へ移行する。
【0048】
ステップ102では、最大充電電流(Amax)で充電した場合の充電時間T0が充電特性から充電時間演算部30によって算出されてステップ105へ移行する。すなわち、充電時間演算部30が、電圧測定部44によって測定された走行用蓄電池26の電圧及び充電特性からSOCを計算し、計算したSOCとなるまでの充電時間T0を演算する。
【0049】
ステップ105では、実際の充電電流が充電時間補正演算部34によって決定されると共に、DB32からステップ98で特定された自動車に対応する充電時間を補正するための補正係数K1が読み出されてステップ106へ移行する。実際の充電電流の決定は、充電装置が接続されたブレーカを流れる電流が変化するので、現在のブレーカの電流から許容する電流値を算出したりすることによって決定する。また、充電時間は、蓄電池の劣化等によって変化するので、これを補正するための補正係数K1が読み出される。補正係数K1は初期の値は1とされ、以降の処理によって実際の充電時間に基づく更新が行われる。
【0050】
ステップ106では、充電時間Teが充電時間補正演算部34によって予測されてステップ108へ移行する。すなわち、充電時間補正演算部34は、Te=K1×T0×(Amax/A1)によって充電時間を予測する。なお、K1はDB32に予め記憶された充電時間を算出するための補正係数、T0はステップ102で算出した充電時間、Amaxは最大充電電流、A1はステップ104で決定された充電電流を示す。
【0051】
ステップ108では、充電時間Teが表示装置38に表示されてステップ110へ移行する。
【0052】
ステップ110では、充電完了か否かが満充電判断部36によって判定される。該判定は、満充電判断部36が電圧測定部44によって測定した電圧を取得し、取得した電圧に基づいて満充電か否かを判定し、該判定が否定された場合には肯定されるまで待機してステップ114へ移行する。
【0053】
ステップ114では、DB32に記憶された自動車の種類毎の充電時間を補正するための補正係数K1が補正係数演算部40によって更新されて一連の処理を終了する。すなわち、補正係数演算部40は、ステップ106で予測した充電時間、及び実施の充電時間(満充電判断部36から出力された実際の充電時間)を、補正係数K1=K1×(実際の充電時間)/(予測充電時間)に代入することによって補正係数の補正を行うことにより新たに補正係数K1を求めて、DB32に記憶されている自動車毎の補正係数K1を更新する。これによって充電毎に充電時間を補正するための補正係数K1が更新されるので、蓄電池の劣化によって充電時間が変化しても正確な充電時間が算出可能となる。
【0054】
なお、上記の各実施形態では、自動車に搭載された走行用蓄電池26を充電する際の充電時間を算出する例を説明したが、これに限るものではなく、例えば、建物で使用する蓄電池20を適用するようにしてもよいし、他の蓄電池を適用するようにしてもよい。
【0055】
また、第2実施形態では、操作設定部46を予め操作することによって自動車の種類を設定するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、自動車の走行用蓄電池26を制御する制御装置にそれぞれの自動車の種類を表す識別情報を記憶すると共に、充電装置50と通信する機能(例えば、充電ケーブルの接続と共に情報線接続する構成や無線通信等)を備えて、充電装置50と自動車側の制御装置とで通信することによって自動車の種類を表す識別情報を充電装置50が取得可能として、取得した自動車の種類に対応する充電特性や補正係数をDB32から取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 電力供給システム
12 住宅電力供給装置
20 蓄電池
26 走行用蓄電池
30 充電時間演算部
32 データベース(DB)
34 充電時間補正演算部
36 満充電判断部
38 表示装置
40 補正係数演算部
44 電圧測定部
50 充電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池を充電する充電手段と、
蓄電池の電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性に基づいて、前記充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間を算出する算出手段と、
前記充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて前記算出手段によって算出された前記充電時間を補正する補正手段と、
前記充電手段による蓄電池の実際の充電時間を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測結果及び前記補正手段によって補正された前記充電時間に基づいて、新たな前記補正係数を求めることにより、前記補正係数を更新する更新手段と、
を備え、
前記補正手段が、次回の充電時間の補正を行う際に、前記更新手段によって更新された補正係数を前記予め定めた補正係数の代わりに用いる充電装置。
【請求項2】
電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電する充電手段と、
蓄電池の電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性に基づいて、前記充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間を算出する算出手段と、
前記充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて前記算出手段によって算出された前記充電時間を補正する補正手段と、
前記充電手段による蓄電池の実際の充電時間を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測結果及び前記補正手段によって補正された前記充電時間に基づいて、新たな前記補正係数を求めることにより、前記補正係数を更新する更新手段と、
前記充電手段によって充電する自動車の種類を特定する特定手段と、
前記補正係数を自動車の種類毎に記憶する記憶手段と、
を備え、
前記補正手段が、前記記憶手段に記憶された前記補正係数のうち前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記補正係数を用いて前記充電時間を補正して、前記更新手段が前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記記憶手段に記憶された前記補正係数を更新する充電装置。
【請求項3】
電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電する充電手段と、
蓄電池の電圧を測定する測定手段と、
前記測定手段の測定結果及び蓄電池の充電特性に基づいて、前記充電手段によって所定の電流値で充電する際の蓄電池の充電時間を算出する算出手段と、
前記充電時間を補正するための予め定めた補正係数を用いて前記算出手段によって算出された前記充電時間を補正する補正手段と、
前記充電手段による蓄電池の実際の充電時間を計測する計測手段と、
前記計測手段の計測結果及び前記補正手段によって補正された前記充電時間に基づいて、新たな前記補正係数を求めることにより、前記補正係数を更新する更新手段と、
前記充電手段によって充電する自動車の種類を特定する特定手段と、
前記補正係数を自動車の種類毎に記憶する記憶手段を備えたセンタサーバから前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記補正係数を取得する取得手段と、
を備え、
前記補正手段が、前記取得手段に取得された前記補正係数を用いて前記充電時間を補正して、前記更新手段が前記特定手段によって特定された自動車の種類に対応する前記記憶手段に記憶された前記補正係数を更新する充電装置。
【請求項4】
前記補正係数を記憶する記憶手段を更に備え、前記補正手段が、前記記憶手段に記憶された前記補正係数を用いて前記充電時間を補正して、前記更新手段が前記記憶手段に記憶
された前記補正係数を更新する請求項1に記載の充電装置。
【請求項5】
前記充電手段は、電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電する請求項1または請求項4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記充電手段が、電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載された蓄電池を充電し、前記記憶手段が、自動車の種類に応じた前記補正係数を記憶して、前記補正手段が、自動車の種類に応じた前記補正係数を用いて前記充電時間を補正して、前記更新手段が、当該自動車の種類に対応する前記記憶手段に記憶された前記補正係数を補正する請求項4に記載の充電装置。
【請求項7】
前記補正手段によって補正された充電時間を表示する表示手段を更に備えた請求項1〜6の何れか1項に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−135148(P2012−135148A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286248(P2010−286248)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】