光コネクタ及び光ファイバ接続構造
【目的】 簡単な構造でありながらクロストークが発生しないようにする。
【構成】
光コネクタAは、軸上経路101と軸外経路102との内部構造を有した光ファイバ100を接続するものであり、光ファイバ100a,bの先端部分を互いに反対方向から受け入れて保持するホルダ1と光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ずれするように光ファイバの軸上経路101a,b及び/又は軸外経路102a,bの端面間に介在される透光性を有した導光部材(ホルダ1の構成部位であるスリーブ20の導光部22に相当)とを具備している。
【構成】
光コネクタAは、軸上経路101と軸外経路102との内部構造を有した光ファイバ100を接続するものであり、光ファイバ100a,bの先端部分を互いに反対方向から受け入れて保持するホルダ1と光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ずれするように光ファイバの軸上経路101a,b及び/又は軸外経路102a,bの端面間に介在される透光性を有した導光部材(ホルダ1の構成部位であるスリーブ20の導光部22に相当)とを具備している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを接続する光コネクタ及び光ファイバ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボット分野では、多彩な動きをするロボットの開発が盛んであり、末端のセンサーから内/外界を読み取り、搭載されているコンピュータでデータ処理をし、末端の駆動部を動かすという一連の作業を瞬時に行うことが求められている。
【0003】
このような用途等に使用される光信号伝達媒体として、送・受信経路が分離された光ファイバが開発されている。この光ファイバは、外側光経路と内側光経路との内部構造を有し、軸外経路としてはマルチコア中空ファイバ等が使用される。
【0004】
上記光ファイバに使用される光コネクタの一例として図11A及び図11Bに示す構造のものがある。図中100は、軸上経路(内側光経路)101、軸外経路(軸外光経路)102及び被覆103を有した光ファイバである。光ファイバ100の末端については図11Aに示されているように一様にカットされている。図中200は、光ファイバ100の末端に取り付けられた光コネクタである。
【0005】
光コネクタ200は、接続対象に係る一方の光ファイバ100の末端に取り付けられたコネクタ本体210と、接続対象に係る他方の光ファイバ100の末端に取り付けられたスリーブ220とを有している。このようなスリーブ220をコネクタ本体210の一方側に装着すると、光ファイバ100の軸上経路101の端面同士及び軸外経路102の端面同士が各々突き合わされ、光ファイバ100が接続される。図11A中の実線矢印は、光ファイバ100の軸上経路101、軸外経路102内を伝搬する光信号の進行方向を示している(マルチコアファイバの接続構造の従来例については特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2010−286718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例による場合、光ファイバ100が光コネクタ200でもって接続された状態で軸上経路101及び軸外経路102の各端面間に微小なギャップが存在すると、図11A中破線矢印で示されているようにギャップを通じて互いの経路に光信号が混入し、クロストークが生じるという問題が指摘されている。
【0007】
もっとも、上記ギャップが生じないように光コネクタを改良することは可能であるものの、部品点数が多く構造も複雑となり、これに伴ってコスト高になるという別の問題を招来する。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであって、その目的とするところは、簡単な構造でありながらクロストークが発生しない光コネクタ及び光ファイバ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る光コネクタは、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの先端部分を互いに反対方向から受け入れて各々保持するホルダと、一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に介在される透光性を有した導光部材とを具備している。
【0010】
上記発明に係る光コネクタによる場合、光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面が光軸方向に位置ズレしているので、たとえ接続時に上記ギャップが生じたとしても互いの経路に光信号が混入することはなく、クロストークの発生を防止することが可能となる。また、光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間を透明の導光部材を介在させて光接続しているので、部品点数が少なく構造も簡単であり、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0011】
導光部材については、当該部材内を伝搬する光の漏洩を防ぐために、漏洩箇所付近の外面に当該光を略光進行方向に反射させるテーパ面が形成された構成のものが好ましい。
【0012】
上記発明に係る光コネクタによる場合、導光部材の外面に形成されたテーパ面の反射により漏洩光が少なくなり、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0013】
導光部材については、端面がレンズ形状にされた構成のものが好ましい。
【0014】
上記発明に係る光コネクタによる場合、導光部材の端面に形成されたレンズ形状により、集光機能等を必要に応じて持たすことができ、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0015】
ホルダの例については、両側が開口にされた略円筒体であって他方側から一方の光ファイバの先端部分を受け入れて保持するホルダ本体と、ホルダ本体の一方側に挿着可能な略円筒体であって他方の光ファイバの先端部分を反対方向から受け入れて保持するスリーブとを備えた構成のものがある。
【0016】
上記ホルダを用いた場合、スリーブについては、ホルダ本体内に装着可能なハウジング部と、導光部材の代わりとして使用された両端開放筒状体であって両端開口を通じて前記光ファイバの内側光経路の先端部分が反対方向から各々挿入され、両端開口の縁部分に当該光ファイバの外側光経路の端面が各々当接される導光部と、当該導光部を前記ハウジング部内に支持するために前記導光部と前記ハウジング部との間に介在した連結部とを備え、これらの各部が一体的な透明体である構成のものが好ましい。
【0017】
上記発明に係る光コネクタによる場合、ホルダの構成部位である導光部が導光部材を兼ねていることから、部品点数がより少なく、組み立ても容易となり、この点で一層の低コスト化を図ることが可能となる。
【0018】
上記ホルダを用いた場合、スリーブについては、光進行方向側開口縁の角部にC面が形成された構成のものが好ましい。
【0019】
上記発明に係る光コネクタによる場合、光ファイバの内側光経路の先端部分をスリーブの開口内に挿入するに当たりC面に案内されることから当該挿入がスムーズになる。しかもC面が光進行方向側に付加されているので、C面による反射が少なく、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0020】
本発明に係る光ファイバ接続構造は、外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを備え、内側光経路の先端部を外側光経路の先端部に比べて突出するように光ファイバの端部がカットされ、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路と端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に透光性を有した導光部材を介在させるようにした。
【0021】
上記発明に係る光ファイバ接続構造による場合、光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ズレされることから、接続時に上記ギャップが生じたとしても互いの経路に光信号が混入せず、クロストークの発生を防止することが可能となる。また、光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間を透明な導光部材により光接続しているので、部品点数が少なく構造が簡単となり、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0022】
好ましくは、光ファイバの内側光経路の光進行方向側先端部分の角部にC面を形成することが望ましい。
【0023】
上記発明に係る光ファイバ接続構造による場合、光ファイバの内側光経路の先端部分を導光部材の開口内に挿入するに当たりC面に案内されることから当該挿入がスムーズになる。しかもC面が光進行方向側に付加されているので、C面による反射が少なく、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図であって、光ファイバ接続前の状態を示す光コネクタの縦断面図である。
【図2】光ファイバ接続時の状態を示す同光コネクタの縦断面図である。
【図3】同光コネクタの第1変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図4A】同光コネクタの第2変形例を説明するための図であって、光コネクタの正面図である。
【図4B】図4Aに係る光コネクタの左側面図である。
【図4C】図4Aに係る光コネクタの右側面図である。
【図4D】図4Aに係る光コネクタの図4C中A−A線の断面図である。
【図4E】光ファイバ接続前の状態を示す図4Aに係る光コネクタの斜視図である。
【図5】同光コネクタの第3変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図6】同光コネクタの第4変形例を説明するための図であって、スリーブの縦断面図である。
【図7】同光コネクタの第5変形例を説明するための図であって、図6に相当する図である。
【図8】同光コネクタの第6変形例を説明するための図であって、図1に相当する図である。
【図9】同光コネクタの第7変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図10】同光コネクタの第8変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図11A】従来技術を説明するための図であって、光ファイバ接続時の状態を示す光コネクタの縦断面図である。
【図11B】図11A中B−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図1及び図2を参照して説明する。ここに例として挙げる光コネクタAは、往路・復路が同軸上に配置された二重構造を有した双方向光通信用ファイバに使用されるものである。
【0026】
本実施形態の光ファイバ100は、図11A及び図11Bに示されているものと同一であって、軸上経路101(往路:内側光経路に相当)、軸外経路102(復路:外側光経路に相当)及び被覆103との内部構造を有している。軸外経路102はマルチコア中空ファイバを使用している。軸上経路101は一般的なシングルコアの光ファイバを使用し、軸外経路102の中心穴に挿入して配置されている。図2中の実線矢印は、光ファイバ100の軸上経路101及び軸外経路102内を伝搬する光信号の進行方向を示している。
【0027】
なお、接続対象に係る一方の光ファイバを100aとし、他方の光ファイバを100bとし、光ファイバ100に係る部品番号の末尾に付したa,bを用いて両者を使い分けて表現している。これは、光ファイバ100の構成部位である軸上経路101、軸外経路102及び被覆103についても全く同様である。
【0028】
光コネクタAについては、光ファイバ100aと光ファイバ100bとを接続するのに使用されるものである。このような光コネクタAを用いて光ファイバ100aと光ファイバ100bとを実際に接続するための前処理として、光ファイバ100a,bの端部に関し、図1及び図2に示す通り軸上経路101a,bの先端部が軸外経路102a,bの先端部に比べて突出するように且つ軸外経路の先端部が被覆103aの先端部に比べて突出するようにカットされている。また、光ファイバ100aの軸上経路101aの光進行方向側先端部分の角部に誘いのC面1011が全周に形成されている。
【0029】
光コネクタAについては、光ファイバ100a及び光ファイバ100bの先端部分を互いに反対方向から受け入れて各々保持するホルダ1と、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ずれするように光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に介在される透光性を有した導光部材(本案例ではホルダ1の構成部位である下記導光部22に相当)とを具備している。
【0030】
ホルダ1については、両側開口の略円筒体であって図中左側から光ファイバ100a の先端部分を受け入れて保持するホルダ本体10と、ホルダ本体10の一方側に挿着可能な略円筒体であって光ファイバ100bの先端部分を反対方向から受け入れて保持するスリーブ20とを備えている。ホルダ1は、その全体が樹脂成型品であるが、スリーブ20に関してのみ、導光部22が光ファイバ100a,bの軸外経路102a,b内を伝搬する光を導くための上記導光部材としての機能を兼ね備える関係上、透明体から構成されている。
【0031】
ホルダ本体10については、図1中右側端面にはスリーブ20のハウジング部21の 外径に対応した穴径を有し且つスリーブ20の端部を挿入して保持可能なスリーブ保持穴11が形成されている一方、図1中左側端面には光ファイバ100aの被覆103aの外径に対応した穴径を有し且つ光ファイバ100aの先端部分を挿入して保持可能なファイバ保持穴12が形成されている。スリーブ保持穴11の内周面には、スリーブ20をホルダ本体10に係止するための断面三角状の凸部13がその全周に形成されている。開口12の内底面には、光ファイバ100aの軸外経路102aの外径に対応した穴径を有し且つ光ファイバ100aの先端部分を通すための開口14が形成されている。開口14はスリーブ保持穴11に連通している。
【0032】
スリーブ20については、ホルダ本体10のスリーブ保持穴11に装着可能な円筒体であるハウジング部21と、上記導光部材の代わりとして使用された両端開放筒状体であって、両端の開口2211,2222を通じて光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの先端部分が反対方向から各々挿入され、開口2211,2222の縁部分に光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面が各々当接される導光部22と、導光部22をハウジング部21内に同軸状に支持するために導光部22とハウジング部21との間に介在した環状の連結部23とを備え、これらの各部が一体的になっている。
【0033】
ハウジング部21の外面には、ホルダ本体10の凸部13に係止可能な断面三角状の凹部202がその全周に形成されている。ハウジング部21の後端側端面には、光ファイバ100bの先端部分を挿入して保持可能なファイバ保持穴201が形成されている。
【0034】
導光部22は、連結部前側部分221(導光部22の全体のうち連結部23より光進行方向側に当たる部分)と連結部後側部分222(導光部22の全体のうち連結部23より光進行方向反対側に当たる部分)とを有し、連結部前側部分221の外面に光進行方向に縮径されたテーパ面2214が全周に形成されている。即ち、導光部22の厚み幅が光軸方向( 光進行方向) に一様ではなく連結部前側部分221の基端部2213と連結部後側部分222の基端部2222とで異なっており、本案例では、基端部2213の厚み幅t2が基端部2222の厚み幅t1に比べて大きくされている(図2参照)。
【0035】
このようなテーパ面2214については、連結部23(漏洩箇所)付近に位置しており、導光部22内を伝搬する光が略光進行方向に反射し(図2中上側の部分拡大図参照)、その結果、連結部23を介してハウジング部21の方に漏洩するのが防止される。
【0036】
導光部22の連結部前側部分221の開口2211の縁の角部には、誘いのC面212が全周に形成されている。これにより、光ファイバ100aの先端部分に形成された誘いのC面1011と相まって、光ファイバの内側光経路の先端部分をスリーブ20の開口2211内に挿入するのがスムーズになる。
【0037】
上記のように構成された光コネクタAを用いた光ケーブル100の接続方法について説明する。まず、ホルダ本体10のファイバ保持穴12に光ファイバ100aの先端部分を挿入して保持させ、光ファイバ100aの軸外経路102a及び軸上経路101aの先端部分をホルダ本体10のスリーブ保持穴11に進入させる。一方、スリーブ20のファイバ保持穴201に光ファイバ100bの先端部分を挿入して保持させ、光ファイバ100bの軸上経路101bの先端部分をスリーブ20の導光部22の開口2221に挿入し、導光部22の開口2221の縁部分に光ファイバ100bの軸外経路102bの端面を当接させる。図1はこの状態を示している。
【0038】
その後、スリーブ20をホルダ本体10のスリーブ保持穴11に挿入すると、ホルダ本体10の凸部13がスリーブ20の凹部202に挿入係止され、スリーブ20がホルダ本体10に装着される。図2はこの状態を示している。即ち、光ファイバ100aの軸上経路101aの端面と光ファイバ100bの軸上経路101bの端面とが突合わされ、光ファイバ100aの軸外経路102aの端面がスリーブ20の導光部22の開口2221の縁部分に当接される。
【0039】
このように光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面同士のみが突き合わされる一方、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に当該経路に対応した径寸法を有した透光性筒状体であるスリーブ20の導光部22が介在される。これで光ファイバ101aと光ファイバ101bとが接続される。
【0040】
上記したような構成の光コネクタA及び光ファイバ接続構造による場合、図2に示されているように光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ズレしているので、たとえ接続時に上記ギャップが生じたとしても互いの経路に光信号が混入することはなく、クロストークの発生を防止することが可能となる。また、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間を光コネクタAのスリーブ20により光接続しているが、光コネクタAの部品点数が少なく構造も簡単であることから、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0041】
また、光ファイバ100bの軸外経路102bからスリーブ20の導光部22内へと伝搬する光が連結部23付近で広がるが、導光部22の連結部23付近の外面にテーパ2214形成されているので、上記したように当該光の大部分が導光部22の方に戻されハウジング部21の方に向かう光が少なくなる。更に、スリーブ20に形成された誘いのC面2212が光進行方向側に付加されているので、C面2212による光の反射成分が少なく(図2中下側の部分拡大図参照)、結果として、導光部22内を伝搬する光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。これは、光ケーブル100先端部に形成されたC面1011についても全く同様であり、C面1011が光進行方向側に付加されているので、光ファイバ100の軸上経路101内を伝搬する光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0042】
次に第1乃至第6変形例について上記実施形態と異なる点を中心として図3乃至図10を参照して説明する。
【0043】
図1及び図2に示された上記実施形態においては、光コネクタAのスリーブ20の導光部22の連結部前側部分221の外面がテーパ状(テーパ面2214:厚み幅t2)、連結部後側部分222の外面が直線状(厚み幅t1)であった。
【0044】
この点、図3に係る第1 変形例(光進行方向が図1及び図2に示す実施形態と同一である場合(光正方向形態))においては、連結部前側部分221’の外面が直線状(厚み幅t2)、連結部後側部分222’の外面が逆テーパ状(テーパ面2223:厚み幅t1(<t2))になっている。
【0045】
図4A, B, C, D, Eに係る第2変形例においては、第1変形例のように連結部後側部分222’の外面の全周が逆テーパ状になっているのではなく、連結部後側部分222”の外面の2箇所のみが逆テーパ状( テーパ面2223’)であり、この点のみが第1変形例と異なっている。テーパ面2223’は、具体的には、連結部後側部分222”の外面に長さ方向に沿って形成された断面三角状の溝の斜面であって、ハウジング部21’の長さ方向に沿って互いに対向した位置に形成された長穴211,211に対向して設けられている。
【0046】
図5に係る第3変形例(光進行方向が図1及び図2に示す実施形態と逆である場合(光逆方向形態))においては、連結部前側部分221’”の外面が逆テーパ状(テーパ面2214’:厚み幅t2)、連結部後側部分222の外面が直線状(厚み幅t1(>t2))にすると良く、この点のみが図3に係る第2変形例と異なっている。
【0047】
このような光逆方向形態である場合、図6に示すスリーブ20を代わり使用しても図5に係る第3変形例と全く同様の効果を有する。図6に係る第4変形例においては、連結部前側部分221’の外面が直線状(厚み幅t2)、連結部後側部分222’”の外面が逆テーパ状”’( テーパ面2223”:厚み幅t1(>t2))であり、この点のみが図5に係る第3変形例と異なっている。
【0048】
第1、第2、第3及び第4変形例についても、スリーブ20において導光部22から連結部23を通じてハウジング部21の方に漏れる光を略光進行方向に反射させるテーパ面2223,2233’2214’,2223”を有している以上、上記実施形態と全く同様に導光部22内を伝搬する光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0049】
また、図7に係る第5変形例のスリーブ20については、その端面、ここでは導光部22の連結部前側部分221”の先端側開口縁端面及び連結部後側部分222”の先端側開口縁端面が何れもレンズ形状にされている点が、図6に示すスリーブ20と異なっている。図示例では導光部22の両開口の縁を凸状に湾曲形成して集光機能を発揮させるようにし、これをレンズ形状2215,2224として表している。この結果、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,b内を伝搬する光の伝送効率を高めることが可能となる。スリーブ20の導光部22の形状を若干設計変更するだけで良いことから、低コスト化と高性能化との双方を図ることが可能となる。レンズ形状は集光又は発散等に適したものであれば良い。
【0050】
更に、上記実施形態においては、ホルダ1のスリーブ20の導光部22が上記導光部材を兼ね備えた構成であったが、図8に係る第6変形例の光コネクタのようにホルダ1’とは別に導光部材2を新たに備えた構成でも良い。この場合のホルダ1’はホルダ本体10とスリーブ20’とを有している。スリーブ20’については、導光部22及び連結部23が省略されている点のみが図1等に示されたスリーブ20と異なっている。導光部材2については、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に介在される円筒状透明部材であり、導光部22と同様の形状を有し、その機能も導光部22と同様である。
【0051】
図9に係る第7変形例においては、導光部材3に加えて導光部材3が使用されている点のみが第6変形例と異なっている。導光部材3については、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面間に介在される円柱状透明部材である。このような第6,第7変形例においても、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ずれしている結果、上記実施形態と全く同様の作用効果を奏する。
【0052】
導光部材2と導光部材3とが別体である導光部材を用いたのが第7変形例であったが、これらが一体である導光部材4を用いたのが図10に係る第8変形例である。
【0053】
第8変形例に係る導光部材4は、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に介在される円筒状の導光部41と、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面間に介在される円柱状の導光部42と、導光部42を導光部41内に支持するために導光部42と導光部41との間に介在した連結部43とを備え、これらの各部が一体的な透明体となっている。
【0054】
導光部材4の導光部41及び導光部42の外面にも上記と同様の機能を有したテーパ面411、421が形成されている(図10中部分拡大図参照)。即ち、導光部41の連結部後側部分の外面が直線状(厚み幅t4)、連結部前側部分の外面がテーパ状(テーパ面411:厚み幅t3(>t4)))になっている。テーパ面411については、連結部43(漏洩箇所)付近に位置しており、導光部41内を伝搬する光が略光進行方向に反射し、その結果、連結部43を介して導光部42の方に漏洩するのが防止される。また、導光部42の連結部後側部分の外面が直線状(直径t6)、連結部前側部分の外面がテーパ状(テーパ面421:直径t5(>t6))になっている。テーパ面421については、連結部43(漏洩箇所)付近に位置しており、導光部42内を伝搬する光が略光進行方向に反射し、その結果、連結部43を介して導光部41の方に漏洩するのが防止される。よって、導光部材4を原因としたクロストークの発生を防止することが可能となる。
【0055】
更に、図7に係る第5変形例と同様に導光部材4の導光部42の端面を図示例では凸状に湾曲形成して集光機能を発揮させるようにし、これをレンズ形状422として表している(図10中部分拡大図参照)。この結果、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,b内を伝搬する光の伝送効率を高めることが可能となる。導光部材4の形状を若干設計変更するだけで良いことから、低コスト化と高性能化との双方を図ることが可能となる。レンズ形状は集光又は発散等に適したものであれば良い。
【0056】
なお、本発明に係る光コネクタ及び光ファイバ接続構造は上記実施形態及びその変形例に限定されず、光ファイバについては適用対象に応じて任意に変更すれば良い。例えば、外側光経路と内側光経路とが偏心構造となっていたり、外側光経路を単一状のコアのものとしてもかまわない。また、ホルダについては、光ファイバ及び他方の光ファイバの先端部分を受け入れて保持する機能を有する限り、どのような形状のものを使用してもかまわない。導光部材については、一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように光ファイバの内側光経路の端面間のみに介在する形態であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
A 光コネクタ
1 ホルダ
10 ホルダ本体
20 スリーブ
21 ハウジング部
22 導光部(導光部材)
221 連結部前側部分
222 連結部後側部分
23 連結部
100 光ファイバ
101 軸上経路(内側光経路)
102 軸外経路(外側光経路)
103 被覆
【技術分野】
【0001】
本発明は、外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを接続する光コネクタ及び光ファイバ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ロボット分野では、多彩な動きをするロボットの開発が盛んであり、末端のセンサーから内/外界を読み取り、搭載されているコンピュータでデータ処理をし、末端の駆動部を動かすという一連の作業を瞬時に行うことが求められている。
【0003】
このような用途等に使用される光信号伝達媒体として、送・受信経路が分離された光ファイバが開発されている。この光ファイバは、外側光経路と内側光経路との内部構造を有し、軸外経路としてはマルチコア中空ファイバ等が使用される。
【0004】
上記光ファイバに使用される光コネクタの一例として図11A及び図11Bに示す構造のものがある。図中100は、軸上経路(内側光経路)101、軸外経路(軸外光経路)102及び被覆103を有した光ファイバである。光ファイバ100の末端については図11Aに示されているように一様にカットされている。図中200は、光ファイバ100の末端に取り付けられた光コネクタである。
【0005】
光コネクタ200は、接続対象に係る一方の光ファイバ100の末端に取り付けられたコネクタ本体210と、接続対象に係る他方の光ファイバ100の末端に取り付けられたスリーブ220とを有している。このようなスリーブ220をコネクタ本体210の一方側に装着すると、光ファイバ100の軸上経路101の端面同士及び軸外経路102の端面同士が各々突き合わされ、光ファイバ100が接続される。図11A中の実線矢印は、光ファイバ100の軸上経路101、軸外経路102内を伝搬する光信号の進行方向を示している(マルチコアファイバの接続構造の従来例については特許文献1等参照)。
【特許文献1】特開2010−286718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例による場合、光ファイバ100が光コネクタ200でもって接続された状態で軸上経路101及び軸外経路102の各端面間に微小なギャップが存在すると、図11A中破線矢印で示されているようにギャップを通じて互いの経路に光信号が混入し、クロストークが生じるという問題が指摘されている。
【0007】
もっとも、上記ギャップが生じないように光コネクタを改良することは可能であるものの、部品点数が多く構造も複雑となり、これに伴ってコスト高になるという別の問題を招来する。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであって、その目的とするところは、簡単な構造でありながらクロストークが発生しない光コネクタ及び光ファイバ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る光コネクタは、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの先端部分を互いに反対方向から受け入れて各々保持するホルダと、一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に介在される透光性を有した導光部材とを具備している。
【0010】
上記発明に係る光コネクタによる場合、光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面が光軸方向に位置ズレしているので、たとえ接続時に上記ギャップが生じたとしても互いの経路に光信号が混入することはなく、クロストークの発生を防止することが可能となる。また、光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間を透明の導光部材を介在させて光接続しているので、部品点数が少なく構造も簡単であり、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0011】
導光部材については、当該部材内を伝搬する光の漏洩を防ぐために、漏洩箇所付近の外面に当該光を略光進行方向に反射させるテーパ面が形成された構成のものが好ましい。
【0012】
上記発明に係る光コネクタによる場合、導光部材の外面に形成されたテーパ面の反射により漏洩光が少なくなり、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0013】
導光部材については、端面がレンズ形状にされた構成のものが好ましい。
【0014】
上記発明に係る光コネクタによる場合、導光部材の端面に形成されたレンズ形状により、集光機能等を必要に応じて持たすことができ、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0015】
ホルダの例については、両側が開口にされた略円筒体であって他方側から一方の光ファイバの先端部分を受け入れて保持するホルダ本体と、ホルダ本体の一方側に挿着可能な略円筒体であって他方の光ファイバの先端部分を反対方向から受け入れて保持するスリーブとを備えた構成のものがある。
【0016】
上記ホルダを用いた場合、スリーブについては、ホルダ本体内に装着可能なハウジング部と、導光部材の代わりとして使用された両端開放筒状体であって両端開口を通じて前記光ファイバの内側光経路の先端部分が反対方向から各々挿入され、両端開口の縁部分に当該光ファイバの外側光経路の端面が各々当接される導光部と、当該導光部を前記ハウジング部内に支持するために前記導光部と前記ハウジング部との間に介在した連結部とを備え、これらの各部が一体的な透明体である構成のものが好ましい。
【0017】
上記発明に係る光コネクタによる場合、ホルダの構成部位である導光部が導光部材を兼ねていることから、部品点数がより少なく、組み立ても容易となり、この点で一層の低コスト化を図ることが可能となる。
【0018】
上記ホルダを用いた場合、スリーブについては、光進行方向側開口縁の角部にC面が形成された構成のものが好ましい。
【0019】
上記発明に係る光コネクタによる場合、光ファイバの内側光経路の先端部分をスリーブの開口内に挿入するに当たりC面に案内されることから当該挿入がスムーズになる。しかもC面が光進行方向側に付加されているので、C面による反射が少なく、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0020】
本発明に係る光ファイバ接続構造は、外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを備え、内側光経路の先端部を外側光経路の先端部に比べて突出するように光ファイバの端部がカットされ、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路と端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に透光性を有した導光部材を介在させるようにした。
【0021】
上記発明に係る光ファイバ接続構造による場合、光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ズレされることから、接続時に上記ギャップが生じたとしても互いの経路に光信号が混入せず、クロストークの発生を防止することが可能となる。また、光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間を透明な導光部材により光接続しているので、部品点数が少なく構造が簡単となり、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0022】
好ましくは、光ファイバの内側光経路の光進行方向側先端部分の角部にC面を形成することが望ましい。
【0023】
上記発明に係る光ファイバ接続構造による場合、光ファイバの内側光経路の先端部分を導光部材の開口内に挿入するに当たりC面に案内されることから当該挿入がスムーズになる。しかもC面が光進行方向側に付加されているので、C面による反射が少なく、光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態を説明するための図であって、光ファイバ接続前の状態を示す光コネクタの縦断面図である。
【図2】光ファイバ接続時の状態を示す同光コネクタの縦断面図である。
【図3】同光コネクタの第1変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図4A】同光コネクタの第2変形例を説明するための図であって、光コネクタの正面図である。
【図4B】図4Aに係る光コネクタの左側面図である。
【図4C】図4Aに係る光コネクタの右側面図である。
【図4D】図4Aに係る光コネクタの図4C中A−A線の断面図である。
【図4E】光ファイバ接続前の状態を示す図4Aに係る光コネクタの斜視図である。
【図5】同光コネクタの第3変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図6】同光コネクタの第4変形例を説明するための図であって、スリーブの縦断面図である。
【図7】同光コネクタの第5変形例を説明するための図であって、図6に相当する図である。
【図8】同光コネクタの第6変形例を説明するための図であって、図1に相当する図である。
【図9】同光コネクタの第7変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図10】同光コネクタの第8変形例を説明するための図であって、図2に相当する図である。
【図11A】従来技術を説明するための図であって、光ファイバ接続時の状態を示す光コネクタの縦断面図である。
【図11B】図11A中B−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図1及び図2を参照して説明する。ここに例として挙げる光コネクタAは、往路・復路が同軸上に配置された二重構造を有した双方向光通信用ファイバに使用されるものである。
【0026】
本実施形態の光ファイバ100は、図11A及び図11Bに示されているものと同一であって、軸上経路101(往路:内側光経路に相当)、軸外経路102(復路:外側光経路に相当)及び被覆103との内部構造を有している。軸外経路102はマルチコア中空ファイバを使用している。軸上経路101は一般的なシングルコアの光ファイバを使用し、軸外経路102の中心穴に挿入して配置されている。図2中の実線矢印は、光ファイバ100の軸上経路101及び軸外経路102内を伝搬する光信号の進行方向を示している。
【0027】
なお、接続対象に係る一方の光ファイバを100aとし、他方の光ファイバを100bとし、光ファイバ100に係る部品番号の末尾に付したa,bを用いて両者を使い分けて表現している。これは、光ファイバ100の構成部位である軸上経路101、軸外経路102及び被覆103についても全く同様である。
【0028】
光コネクタAについては、光ファイバ100aと光ファイバ100bとを接続するのに使用されるものである。このような光コネクタAを用いて光ファイバ100aと光ファイバ100bとを実際に接続するための前処理として、光ファイバ100a,bの端部に関し、図1及び図2に示す通り軸上経路101a,bの先端部が軸外経路102a,bの先端部に比べて突出するように且つ軸外経路の先端部が被覆103aの先端部に比べて突出するようにカットされている。また、光ファイバ100aの軸上経路101aの光進行方向側先端部分の角部に誘いのC面1011が全周に形成されている。
【0029】
光コネクタAについては、光ファイバ100a及び光ファイバ100bの先端部分を互いに反対方向から受け入れて各々保持するホルダ1と、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ずれするように光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に介在される透光性を有した導光部材(本案例ではホルダ1の構成部位である下記導光部22に相当)とを具備している。
【0030】
ホルダ1については、両側開口の略円筒体であって図中左側から光ファイバ100a の先端部分を受け入れて保持するホルダ本体10と、ホルダ本体10の一方側に挿着可能な略円筒体であって光ファイバ100bの先端部分を反対方向から受け入れて保持するスリーブ20とを備えている。ホルダ1は、その全体が樹脂成型品であるが、スリーブ20に関してのみ、導光部22が光ファイバ100a,bの軸外経路102a,b内を伝搬する光を導くための上記導光部材としての機能を兼ね備える関係上、透明体から構成されている。
【0031】
ホルダ本体10については、図1中右側端面にはスリーブ20のハウジング部21の 外径に対応した穴径を有し且つスリーブ20の端部を挿入して保持可能なスリーブ保持穴11が形成されている一方、図1中左側端面には光ファイバ100aの被覆103aの外径に対応した穴径を有し且つ光ファイバ100aの先端部分を挿入して保持可能なファイバ保持穴12が形成されている。スリーブ保持穴11の内周面には、スリーブ20をホルダ本体10に係止するための断面三角状の凸部13がその全周に形成されている。開口12の内底面には、光ファイバ100aの軸外経路102aの外径に対応した穴径を有し且つ光ファイバ100aの先端部分を通すための開口14が形成されている。開口14はスリーブ保持穴11に連通している。
【0032】
スリーブ20については、ホルダ本体10のスリーブ保持穴11に装着可能な円筒体であるハウジング部21と、上記導光部材の代わりとして使用された両端開放筒状体であって、両端の開口2211,2222を通じて光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの先端部分が反対方向から各々挿入され、開口2211,2222の縁部分に光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面が各々当接される導光部22と、導光部22をハウジング部21内に同軸状に支持するために導光部22とハウジング部21との間に介在した環状の連結部23とを備え、これらの各部が一体的になっている。
【0033】
ハウジング部21の外面には、ホルダ本体10の凸部13に係止可能な断面三角状の凹部202がその全周に形成されている。ハウジング部21の後端側端面には、光ファイバ100bの先端部分を挿入して保持可能なファイバ保持穴201が形成されている。
【0034】
導光部22は、連結部前側部分221(導光部22の全体のうち連結部23より光進行方向側に当たる部分)と連結部後側部分222(導光部22の全体のうち連結部23より光進行方向反対側に当たる部分)とを有し、連結部前側部分221の外面に光進行方向に縮径されたテーパ面2214が全周に形成されている。即ち、導光部22の厚み幅が光軸方向( 光進行方向) に一様ではなく連結部前側部分221の基端部2213と連結部後側部分222の基端部2222とで異なっており、本案例では、基端部2213の厚み幅t2が基端部2222の厚み幅t1に比べて大きくされている(図2参照)。
【0035】
このようなテーパ面2214については、連結部23(漏洩箇所)付近に位置しており、導光部22内を伝搬する光が略光進行方向に反射し(図2中上側の部分拡大図参照)、その結果、連結部23を介してハウジング部21の方に漏洩するのが防止される。
【0036】
導光部22の連結部前側部分221の開口2211の縁の角部には、誘いのC面212が全周に形成されている。これにより、光ファイバ100aの先端部分に形成された誘いのC面1011と相まって、光ファイバの内側光経路の先端部分をスリーブ20の開口2211内に挿入するのがスムーズになる。
【0037】
上記のように構成された光コネクタAを用いた光ケーブル100の接続方法について説明する。まず、ホルダ本体10のファイバ保持穴12に光ファイバ100aの先端部分を挿入して保持させ、光ファイバ100aの軸外経路102a及び軸上経路101aの先端部分をホルダ本体10のスリーブ保持穴11に進入させる。一方、スリーブ20のファイバ保持穴201に光ファイバ100bの先端部分を挿入して保持させ、光ファイバ100bの軸上経路101bの先端部分をスリーブ20の導光部22の開口2221に挿入し、導光部22の開口2221の縁部分に光ファイバ100bの軸外経路102bの端面を当接させる。図1はこの状態を示している。
【0038】
その後、スリーブ20をホルダ本体10のスリーブ保持穴11に挿入すると、ホルダ本体10の凸部13がスリーブ20の凹部202に挿入係止され、スリーブ20がホルダ本体10に装着される。図2はこの状態を示している。即ち、光ファイバ100aの軸上経路101aの端面と光ファイバ100bの軸上経路101bの端面とが突合わされ、光ファイバ100aの軸外経路102aの端面がスリーブ20の導光部22の開口2221の縁部分に当接される。
【0039】
このように光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面同士のみが突き合わされる一方、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に当該経路に対応した径寸法を有した透光性筒状体であるスリーブ20の導光部22が介在される。これで光ファイバ101aと光ファイバ101bとが接続される。
【0040】
上記したような構成の光コネクタA及び光ファイバ接続構造による場合、図2に示されているように光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ズレしているので、たとえ接続時に上記ギャップが生じたとしても互いの経路に光信号が混入することはなく、クロストークの発生を防止することが可能となる。また、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間を光コネクタAのスリーブ20により光接続しているが、光コネクタAの部品点数が少なく構造も簡単であることから、この点で低コスト化を図ることが可能となる。
【0041】
また、光ファイバ100bの軸外経路102bからスリーブ20の導光部22内へと伝搬する光が連結部23付近で広がるが、導光部22の連結部23付近の外面にテーパ2214形成されているので、上記したように当該光の大部分が導光部22の方に戻されハウジング部21の方に向かう光が少なくなる。更に、スリーブ20に形成された誘いのC面2212が光進行方向側に付加されているので、C面2212による光の反射成分が少なく(図2中下側の部分拡大図参照)、結果として、導光部22内を伝搬する光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。これは、光ケーブル100先端部に形成されたC面1011についても全く同様であり、C面1011が光進行方向側に付加されているので、光ファイバ100の軸上経路101内を伝搬する光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0042】
次に第1乃至第6変形例について上記実施形態と異なる点を中心として図3乃至図10を参照して説明する。
【0043】
図1及び図2に示された上記実施形態においては、光コネクタAのスリーブ20の導光部22の連結部前側部分221の外面がテーパ状(テーパ面2214:厚み幅t2)、連結部後側部分222の外面が直線状(厚み幅t1)であった。
【0044】
この点、図3に係る第1 変形例(光進行方向が図1及び図2に示す実施形態と同一である場合(光正方向形態))においては、連結部前側部分221’の外面が直線状(厚み幅t2)、連結部後側部分222’の外面が逆テーパ状(テーパ面2223:厚み幅t1(<t2))になっている。
【0045】
図4A, B, C, D, Eに係る第2変形例においては、第1変形例のように連結部後側部分222’の外面の全周が逆テーパ状になっているのではなく、連結部後側部分222”の外面の2箇所のみが逆テーパ状( テーパ面2223’)であり、この点のみが第1変形例と異なっている。テーパ面2223’は、具体的には、連結部後側部分222”の外面に長さ方向に沿って形成された断面三角状の溝の斜面であって、ハウジング部21’の長さ方向に沿って互いに対向した位置に形成された長穴211,211に対向して設けられている。
【0046】
図5に係る第3変形例(光進行方向が図1及び図2に示す実施形態と逆である場合(光逆方向形態))においては、連結部前側部分221’”の外面が逆テーパ状(テーパ面2214’:厚み幅t2)、連結部後側部分222の外面が直線状(厚み幅t1(>t2))にすると良く、この点のみが図3に係る第2変形例と異なっている。
【0047】
このような光逆方向形態である場合、図6に示すスリーブ20を代わり使用しても図5に係る第3変形例と全く同様の効果を有する。図6に係る第4変形例においては、連結部前側部分221’の外面が直線状(厚み幅t2)、連結部後側部分222’”の外面が逆テーパ状”’( テーパ面2223”:厚み幅t1(>t2))であり、この点のみが図5に係る第3変形例と異なっている。
【0048】
第1、第2、第3及び第4変形例についても、スリーブ20において導光部22から連結部23を通じてハウジング部21の方に漏れる光を略光進行方向に反射させるテーパ面2223,2233’2214’,2223”を有している以上、上記実施形態と全く同様に導光部22内を伝搬する光の伝送損失を最小限に抑えることが可能となる。
【0049】
また、図7に係る第5変形例のスリーブ20については、その端面、ここでは導光部22の連結部前側部分221”の先端側開口縁端面及び連結部後側部分222”の先端側開口縁端面が何れもレンズ形状にされている点が、図6に示すスリーブ20と異なっている。図示例では導光部22の両開口の縁を凸状に湾曲形成して集光機能を発揮させるようにし、これをレンズ形状2215,2224として表している。この結果、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,b内を伝搬する光の伝送効率を高めることが可能となる。スリーブ20の導光部22の形状を若干設計変更するだけで良いことから、低コスト化と高性能化との双方を図ることが可能となる。レンズ形状は集光又は発散等に適したものであれば良い。
【0050】
更に、上記実施形態においては、ホルダ1のスリーブ20の導光部22が上記導光部材を兼ね備えた構成であったが、図8に係る第6変形例の光コネクタのようにホルダ1’とは別に導光部材2を新たに備えた構成でも良い。この場合のホルダ1’はホルダ本体10とスリーブ20’とを有している。スリーブ20’については、導光部22及び連結部23が省略されている点のみが図1等に示されたスリーブ20と異なっている。導光部材2については、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に介在される円筒状透明部材であり、導光部22と同様の形状を有し、その機能も導光部22と同様である。
【0051】
図9に係る第7変形例においては、導光部材3に加えて導光部材3が使用されている点のみが第6変形例と異なっている。導光部材3については、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面間に介在される円柱状透明部材である。このような第6,第7変形例においても、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面と軸外経路102a,bの端面とが光軸方向に位置ずれしている結果、上記実施形態と全く同様の作用効果を奏する。
【0052】
導光部材2と導光部材3とが別体である導光部材を用いたのが第7変形例であったが、これらが一体である導光部材4を用いたのが図10に係る第8変形例である。
【0053】
第8変形例に係る導光部材4は、光ファイバ100a,bの軸外経路102a,bの端面間に介在される円筒状の導光部41と、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,bの端面間に介在される円柱状の導光部42と、導光部42を導光部41内に支持するために導光部42と導光部41との間に介在した連結部43とを備え、これらの各部が一体的な透明体となっている。
【0054】
導光部材4の導光部41及び導光部42の外面にも上記と同様の機能を有したテーパ面411、421が形成されている(図10中部分拡大図参照)。即ち、導光部41の連結部後側部分の外面が直線状(厚み幅t4)、連結部前側部分の外面がテーパ状(テーパ面411:厚み幅t3(>t4)))になっている。テーパ面411については、連結部43(漏洩箇所)付近に位置しており、導光部41内を伝搬する光が略光進行方向に反射し、その結果、連結部43を介して導光部42の方に漏洩するのが防止される。また、導光部42の連結部後側部分の外面が直線状(直径t6)、連結部前側部分の外面がテーパ状(テーパ面421:直径t5(>t6))になっている。テーパ面421については、連結部43(漏洩箇所)付近に位置しており、導光部42内を伝搬する光が略光進行方向に反射し、その結果、連結部43を介して導光部41の方に漏洩するのが防止される。よって、導光部材4を原因としたクロストークの発生を防止することが可能となる。
【0055】
更に、図7に係る第5変形例と同様に導光部材4の導光部42の端面を図示例では凸状に湾曲形成して集光機能を発揮させるようにし、これをレンズ形状422として表している(図10中部分拡大図参照)。この結果、光ファイバ100a,bの軸上経路101a,b内を伝搬する光の伝送効率を高めることが可能となる。導光部材4の形状を若干設計変更するだけで良いことから、低コスト化と高性能化との双方を図ることが可能となる。レンズ形状は集光又は発散等に適したものであれば良い。
【0056】
なお、本発明に係る光コネクタ及び光ファイバ接続構造は上記実施形態及びその変形例に限定されず、光ファイバについては適用対象に応じて任意に変更すれば良い。例えば、外側光経路と内側光経路とが偏心構造となっていたり、外側光経路を単一状のコアのものとしてもかまわない。また、ホルダについては、光ファイバ及び他方の光ファイバの先端部分を受け入れて保持する機能を有する限り、どのような形状のものを使用してもかまわない。導光部材については、一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように光ファイバの内側光経路の端面間のみに介在する形態であっても良い。
【符号の説明】
【0057】
A 光コネクタ
1 ホルダ
10 ホルダ本体
20 スリーブ
21 ハウジング部
22 導光部(導光部材)
221 連結部前側部分
222 連結部後側部分
23 連結部
100 光ファイバ
101 軸上経路(内側光経路)
102 軸外経路(外側光経路)
103 被覆
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを接続するための光コネクタにおいて、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの先端部分を互いに反対方向から受け入れて各々保持するホルダと、一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に介在される透光性を有した導光部材とを具備したことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の光コネクタにおいて、前記導光部材は、当該部材内を伝搬する光の漏洩を防ぐために、漏洩箇所付近の外面に当該光を略光進行方向に反射させるテーパ面が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項3】
請求項1記載の光コネクタにおいて、前記導光部材は、その端面がレンズ形状にされていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項4】
請求項1記載の光コネクタにおいて、前記ホルダは、両側が開口にされた略円筒体であって他方側から一方の光ファイバの先端部分を受け入れて保持するホルダ本体と、ホルダ本体の一方側に挿着可能な略円筒体であって他方の光ファイバの先端部分を反対方向から受け入れて保持するスリーブとを備えていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載の光コネクタにおいて、前記スリーブは、前記ホルダ本体内に装着可能なハウジング部と、前記導光部材の代わりとして使用された両端開放筒状体であって両端開口を通じて前記光ファイバの内側光経路の先端部分が反対方向から各々挿入され、両端開口の縁部分に当該光ファイバの外側光経路の端面が各々当接される導光部と、当該導光部を前記ハウジング部内に支持するために前記導光部と前記ハウジング部との間に介在した連結部とを備え、これらの各部が一体的な透明体であることを特徴とする光コネクタ。
【請求項6】
請求項4記載の光コネクタにおいて、前記スリーブは、光進行方向先端側開口縁の角部にC面が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項7】
外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを備え、内側光経路の先端部を外側光経路の先端部に比べて突出するように光ファイバの端部がカットされ、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路と端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に透光性を有した導光部材を介在させたことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項8】
請求項7記載の光ファイバ接続構造において、前記光ファイバの内側光経路の光進行方向側先端部分の角部にC面が形成されたことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項1】
外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを接続するための光コネクタにおいて、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの先端部分を互いに反対方向から受け入れて各々保持するホルダと、一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路の端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に介在される透光性を有した導光部材とを具備したことを特徴とする光コネクタ。
【請求項2】
請求項1記載の光コネクタにおいて、前記導光部材は、当該部材内を伝搬する光の漏洩を防ぐために、漏洩箇所付近の外面に当該光を略光進行方向に反射させるテーパ面が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項3】
請求項1記載の光コネクタにおいて、前記導光部材は、その端面がレンズ形状にされていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項4】
請求項1記載の光コネクタにおいて、前記ホルダは、両側が開口にされた略円筒体であって他方側から一方の光ファイバの先端部分を受け入れて保持するホルダ本体と、ホルダ本体の一方側に挿着可能な略円筒体であって他方の光ファイバの先端部分を反対方向から受け入れて保持するスリーブとを備えていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項5】
請求項4記載の光コネクタにおいて、前記スリーブは、前記ホルダ本体内に装着可能なハウジング部と、前記導光部材の代わりとして使用された両端開放筒状体であって両端開口を通じて前記光ファイバの内側光経路の先端部分が反対方向から各々挿入され、両端開口の縁部分に当該光ファイバの外側光経路の端面が各々当接される導光部と、当該導光部を前記ハウジング部内に支持するために前記導光部と前記ハウジング部との間に介在した連結部とを備え、これらの各部が一体的な透明体であることを特徴とする光コネクタ。
【請求項6】
請求項4記載の光コネクタにおいて、前記スリーブは、光進行方向先端側開口縁の角部にC面が形成されていることを特徴とする光コネクタ。
【請求項7】
外側光経路と内側光経路との内部構造を有した光ファイバを備え、内側光経路の先端部を外側光経路の先端部に比べて突出するように光ファイバの端部がカットされ、接続対象に係る一方の光ファイバ及び他方の光ファイバの内側光経路と端面と外側光経路の端面とが光軸方向に位置ずれするように前記光ファイバの内側光経路及び/又は外側光経路の端面間に透光性を有した導光部材を介在させたことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【請求項8】
請求項7記載の光ファイバ接続構造において、前記光ファイバの内側光経路の光進行方向側先端部分の角部にC面が形成されたことを特徴とする光ファイバ接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【公開番号】特開2013−20109(P2013−20109A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153621(P2011−153621)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】
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